特開2019-210710(P2019-210710A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本車輌製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2019210710-杭打機 図000003
  • 特開2019210710-杭打機 図000004
  • 特開2019210710-杭打機 図000005
  • 特開2019210710-杭打機 図000006
  • 特開2019210710-杭打機 図000007
  • 特開2019210710-杭打機 図000008
  • 特開2019210710-杭打機 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-210710(P2019-210710A)
(43)【公開日】2019年12月12日
(54)【発明の名称】杭打機
(51)【国際特許分類】
   E02D 13/00 20060101AFI20191115BHJP
   E21B 7/00 20060101ALI20191115BHJP
【FI】
   E02D13/00 Z
   E21B7/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-107963(P2018-107963)
(22)【出願日】2018年6月5日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 一磨
【テーマコード(参考)】
2D050
2D129
【Fターム(参考)】
2D050AA01
2D050EE01
2D050EE17
2D050FF03
2D129AA00
2D129AB16
2D129BA15
2D129CA02
2D129CA17
(57)【要約】
【課題】耐久性及び信頼性を向上させることができ、かつ、シーブへの着脱も容易な深度検出器を備えた杭打機を提供する。
【解決手段】深度検出器34は、主巻ロープ19をガイドする主巻ガイドシーブ20のシーブ軸31と同軸上に支持されたブラケット35と、該ブラケットに設けられたロータリーエンコーダ36とを有し、主巻ガイドシーブは、シーブ軸を挿通する円筒状のボス部20aと、該ボス部の外周に対して周方向に摺動可能な円環状のリテーナ39とを有し、ロータリーエンコーダは、リテーナに対してブラケットと一体で着脱可能に形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クローラを備えた下部走行体の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体と、該上部旋回体の前部に立設したリーダと、該リーダに沿って昇降可能なオーガを吊持する主巻ロープと、該主巻ロープの移動量を検出する深度検出器とを備えた杭打機において、前記深度検出器は、前記主巻ロープをガイドする主巻ガイドシーブのシーブ軸と同軸上に支持されたブラケットと、該ブラケットに設けられたロータリーエンコーダとを有し、前記主巻ガイドシーブは、前記シーブ軸を挿通する円筒状のボス部と、該ボス部の外周に対して周方向に摺動可能な円環状のリテーナとを有し、前記ロータリーエンコーダは、前記リテーナに対して前記ブラケットと一体で着脱可能に形成されていることを特徴とする杭打機。
【請求項2】
前記ボス部と前記リテーナとの摺動面は、ブッシュが配置されていることを特徴とする請求項1記載の杭打機。
【請求項3】
前記リテーナは、前記摺動面に給脂するための給脂部が設けられていることを特徴とする請求項2記載の杭打機。
【請求項4】
前記リテーナは、前記ブッシュの軸方向の外側端面に当接可能な鍔部が設けられていることを特徴とする請求項2又は3記載の杭打機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭打機に関し、詳しくは、地盤に圧入する杭の深度を計測するための深度検出器を備えた杭打機に関する。
【背景技術】
【0002】
杭打機は、一般に、リーダに沿って昇降するオーガで鋼管杭を回転させて地盤に圧入する場合、ワイヤロープで吊持されたオーガの移動量を深度検出器により検出してデータを得るとともに、深度を求めてディスプレイに表示したり、記録手段に記録しながら施工を行っている。この深度検出器にロータリーエンコーダを用いる場合には、ワイヤロープが巻き掛けられた中間シーブの軸にアームを設け、該アームの先端にロータリーエンコーダを取り付け、該ロータリーエンコーダの回転子にワイヤロープを押さえローラで押圧することにより、ウインチの巻き取りや巻き出しによるワイヤロープの移動をロータリーエンコーダに回転として伝達し、ワイヤロープの移動量から深度を算出するように構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−280031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の深度検出器は、その構造上、アームに板材を用いていることから剛性が低くなりがちである。このため、シーブとアームとが互いに接触して摩耗やガタつきが生じ易く、ロータリーエンコーダの検出精度を低下させる原因となっていた。
【0005】
そこで本発明は、耐久性及び信頼性を向上させることができ、かつ、シーブへの着脱も容易な深度検出器を備えた杭打機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の杭打機は、クローラを備えた下部走行体の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体と、該上部旋回体の前部に立設したリーダと、該リーダに沿って昇降可能なオーガを吊持する主巻ロープと、該主巻ロープの移動量を検出する深度検出器とを備えた杭打機において、前記深度検出器は、前記主巻ロープをガイドする主巻ガイドシーブのシーブ軸と同軸上に支持されたブラケットと、該ブラケットに設けられたロータリーエンコーダとを有し、前記主巻ガイドシーブは、前記シーブ軸を挿通する円筒状のボス部と、該ボス部の外周に対して周方向に摺動可能な円環状のリテーナとを有し、前記ロータリーエンコーダは、前記リテーナに対して前記ブラケットと一体で着脱可能に形成されていることを特徴としている。
【0007】
また、前記ボス部と前記リテーナとの摺動面は、ブッシュが配置されていることを特徴とし、前記リテーナは、前記摺動面に給脂するための給脂部と、前記ブッシュの軸方向の外側端面に当接可能な鍔部とが設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ロータリーエンコーダをブラケットに設けるとともに、このブラケットを着脱可能にする円環状のリテーナが主巻ガイドシーブのボス部の外周に配置されているので、主巻ガイドシーブとブラケットとをシーブ軸回りに相対回動可能にしつつ、これらの相対回動が円滑に行える広さの摺動面を確保することができる。これにより、摺動面の摩耗によるブラケットのガタつきや、かじりなどが生じることはなく、主巻ロープの移動量を安定して検出することができる。また、深度検出器を使用しない場合、ロータリーエンコーダをブラケットと一体で取り外せるので、保守性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一形態例を示す杭打機の側面図である。
図2】同じく要部側面図である。
図3】深度検出器を取り付けた状態を示す主巻ガイドシーブの側面図である。
図4図3のIV−IV断面図である。
図5図3のV−V断面図である。
図6】深度検出器を取り外した状態を示す主巻ガイドシーブの側面図である。
図7図6のVII−VII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1乃至図7は、本発明の杭打機の一形態例を示すもので、本形態例に示す杭打機11は、図1に示すように、クローラ12aを備えた下部走行体12の上部に、上部旋回体13が旋回可能に設けられている。上部旋回体13の前部には、複数のリーダ部材を連結して形成されるリーダ14やフロントジャッキ15が取り付けられるリーダブラケット16が設けられ、該リーダブラケット16に立設したリーダ14を左右一対のバックステー17,17で支持するようにしている。また、上部旋回体13の前部には、主巻ウインチ18から繰り出される主巻ロープ19をガイドする主巻ガイドシーブ20と、補巻ウインチ21から繰り出される補巻ロープ22をガイドする補巻ガイドシーブ23とが設けられている。各ロープ19,22は、リーダ14の上端に設けられたトップシーブブロック24を介してリーダ14の前部にそれぞれ垂下され、主巻ロープ19の先端はリーダ14に沿って昇降可能なオーガ(図示せず)に、補巻ロープ22の先端は下部ガイド(図示せず)にそれぞれ取り付けられている。
【0011】
上部旋回体13の後部にはガントリ25が設けられ、起伏ウインチ26からの起伏ロープ27が、ペンダントロープ28を介して、バックステー17が連結されているステーホルダ14aに連結されている。また、上部旋回体13の後端部には、カウンタウエイト29が搭載されるとともに、カウンタウエイト29を搭載するフレームの両側にリヤジャッキ30がそれぞれ設けられている。
【0012】
リーダブラケット16の上面には、図2に示すように、前記主巻ガイドシーブ20及び補巻ガイドシーブ23を機体幅方向のシーブ軸31,32でそれぞれ回転可能に支持するシーブブラケット33が設けられている。また、主巻ガイドシーブ20には、主巻ウインチ18の巻き取りや巻き出しによる主巻ロープ19の移動量を検出する深度検出器34が着脱可能に取り付けられている。
【0013】
深度検出器34は、図3乃至図5に示すように、主巻ガイドシーブ20のシーブ軸31と同軸上に支持されたブラケット35の先端部にロータリーエンコーダ36を設けたもので、このロータリーエンコーダ36を構成する回転子(図示せず)に主巻ロープ19を介在させ、押さえローラ36aにより主巻ロープ19を回転子に押圧するように構成されている。これにより、主巻ウインチ18の巻き取りや巻き出しに伴い、主巻ガイドシーブ20はシーブ軸31まわりに回転するが、深度検出器34は設定位置に保持された状態(図3)で、主巻ロープ19の移動に連動して回転子が回転し、その回転を測定することにより主巻ロープ19の移動量を検出する。検出された信号は通信線を経由して制御装置(図示せず)に伝達され、深度として算出される。
【0014】
主巻ガイドシーブ20は、円板状の金属材料からなり、中央にシーブ軸31が挿通される円筒状のボス部20aを有するとともに、外周部には主巻ロープ19が係合可能なV字状の係合溝20bを有している。また、ボス部20aの内周にはインナーブッシュ37が、ボス部20aの軸方向両側部外周には一対のアウターブッシュ38,38がそれぞれ圧入固定されている。各ブッシュ37,38は、砲金などの軟質な金属製の軸受材料により形成されている。さらに、ボス部20aには、シーブ軸31とインナーブッシュ37との摺動面にグリスを給脂するための給脂部20cが設けられている。
【0015】
ブラケット35は、所定の板厚、例えば、6mmからなる一対の略ひし形状の板片を主巻ガイドシーブ20の軸方向両側に配置したもので、アウターブッシュ38を内嵌する円環状のリテーナ39を介して前後方向に二分割した前側部材35a,35aと後側部材35b,35bとを有している。また、アウターブッシュ38の外周面38aとリテーナ39の内周面39bとは所定の幅で、例えば、20mm幅で摺接している。さらに、主巻ガイドシーブ20の軸方向両側における各部材35a,35bは、対応する面を互いに対向させてそれぞれ配置した状態で、各シーブ外周側を円筒状のカラー部材40で設定間隔に保持してボルト41及びナット42でそれぞれ取り付けられるとともに、各基端側をリテーナ39の外周縁部に設けた外鍔部39aに複数のボルト43でそれぞれ着脱可能に取り付けられている。これにより、深度検出器34全体として剛性が得られるように形成されている。
【0016】
リテーナ39は、前記外鍔部39aと反対側の位置に内鍔部39cが設けられており、内鍔部39cがアウターブッシュ38の軸方向の外側端面に当接することによりアウターブッシュ38の外周縁部38bが内鍔部39cで均一に覆われている。また、リテーナ39の側面には、アウターブッシュ38とリテーナ39との摺動面38a,39bにグリスを給脂するための給脂部39dが設けられている(図5)。
【0017】
このように形成された深度検出器34は、施工時に深度を計測しない場合には不要であるため、耐久性や保守性の観点から取り外される。具体的には、ボルト43による締結を解除して、前側部材35a及び後側部材35bをリテーナ39からそれぞれ取り外す。このとき、ロータリーエンコーダ36は、後側部材35bに取り付けられた状態のままで作業が行われる。ここで、シーブ側に残留する両リテーナ39,39は、図6及び図7に示すように、両リテーナ39,39と主巻ガイドシーブ20とに、ボルト44を貫通させるとともに、ナット45でそれぞれ締め付けることにより、主巻ガイドシーブ20と一体回転可能に固定される。一方、深度検出器34を取り付ける際には、上述の手順と逆の手順を行う。
【0018】
このように、ロータリーエンコーダ36をブラケット35に設けるとともに、このブラケット35を着脱可能にする円環状のリテーナ39が主巻ガイドシーブ20のボス部20aの外周に配置されているので、主巻ガイドシーブ20とブラケット35とをシーブ軸31回りに相対回動可能にしつつ、これらの相対回動が円滑に行える広さの摺動面を確保することができる。これにより、摺動面の摩耗によるブラケットのガタつきや、かじりなどが生じることはなく、主巻ロープ19の移動量を安定して検出することができる。また、深度検出器34を使用しない場合、ロータリーエンコーダ36をブラケット35と一体で取り外せるので、保守性に優れている。
【0019】
さらに、ボス部20aとリテーナ39との摺動面にアウターブッシュ38が配置されているので、深度検出器34の耐久性及び信頼性を向上させることができる。特に、深度検出器34を取り外した状態では、リテーナ39は主巻ガイドシーブ20に固定されて一体で回転するので、アウターブッシュ38が摩耗することはなく、耐久性の向上につながる。
【0020】
また、リテーナ39の側面には、摺動面38a,39bにグリスを給脂するための給脂部39dが設けられているので、アウターブッシュ38による軸受け機能を効果的に発揮することができる。さらに、リテーナ39における外鍔部39aと反対側の位置には、アウターブッシュ38の軸方向の外側端面に当接可能な内鍔部39cが設けられているので、この内鍔部39cでアウターブッシュ38の外周縁部38bを覆うことが可能となり、摺動面38a,39bの防塵性や防水性を向上させることができる。
【0021】
なお、本発明は、前記形態例に限定されるものでなく、主巻ガイドシーブとブラケットとの相対回動を円滑に行うことができれば、摺動面は、20mm幅に限定する必要はなく、ブラケットの板厚よりも大きい寸法であれば適宜に変更することができる。また、ブッシュの材質は、金属材料としたが、樹脂材料としてもよい。さらに、簡素な構成として、アウターブッシュを設けない構成も可能である。
【符号の説明】
【0022】
11…杭打機、12…下部走行体、12a…クローラ、13…上部旋回体、14…リーダ、14a…ステーホルダ、15…フロントジャッキ、16…リーダブラケット、17…バックステー、18…主巻ウインチ、19…主巻ロープ、20…主巻ガイドシーブ、20a…ボス部、20b…係合溝、20c…給脂部、21…補巻ウインチ、22…補巻ロープ、23…補巻ガイドシーブ、24…トップシーブブロック、25…ガントリ、26…起伏ウインチ、27…起伏ロープ、28…ペンダントロープ、29…カウンタウエイト、30…リヤジャッキ、31,32…シーブ軸、33…シーブブラケット、34…深度検出器、35…ブラケット、35a…前側部材、35b…後側部材、36…ロータリーエンコーダ、36a…押さえローラ、37…インナーブッシュ、38…アウターブッシュ、38a…外周面、38b…外周縁部、39…リテーナ、39a…外鍔部、39b…内周面、39c…内鍔部、39d…給脂部、40…カラー部材、41…ボルト、42…ナット、43,44…ボルト、45…ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7