特開2019-210908(P2019-210908A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2019210908-圧縮機のターミナル構造 図000003
  • 特開2019210908-圧縮機のターミナル構造 図000004
  • 特開2019210908-圧縮機のターミナル構造 図000005
  • 特開2019210908-圧縮機のターミナル構造 図000006
  • 特開2019210908-圧縮機のターミナル構造 図000007
  • 特開2019210908-圧縮機のターミナル構造 図000008
  • 特開2019210908-圧縮機のターミナル構造 図000009
  • 特開2019210908-圧縮機のターミナル構造 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-210908(P2019-210908A)
(43)【公開日】2019年12月12日
(54)【発明の名称】圧縮機のターミナル構造
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/00 20060101AFI20191115BHJP
   F04B 39/12 20060101ALI20191115BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20191115BHJP
【FI】
   F04B39/00 106A
   F04B39/00 C
   F04B39/00 104Z
   F04B39/12 F
   F04C29/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-109756(P2018-109756)
(22)【出願日】2018年6月7日
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100176463
【弁理士】
【氏名又は名称】磯江 悦子
(74)【代理人】
【識別番号】100183232
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 敏行
(72)【発明者】
【氏名】甲斐田 寛仁
(72)【発明者】
【氏名】帯谷 武和
(72)【発明者】
【氏名】山本 雄一
【テーマコード(参考)】
3H003
3H129
【Fターム(参考)】
3H003AB01
3H003AC03
3H003BC00
3H003CD00
3H003CF02
3H129AA01
3H129AA12
3H129AB03
3H129BB47
3H129CC27
(57)【要約】
【課題】漏電や絶縁不良の発生を抑制する圧縮機のターミナル構造を提案する。
【解決手段】本開示の圧縮機のターミナル構造は、圧縮機のケーシングに設けられたターミナル部と、ターミナル部に取り付けられたシート部材(140)とを備える。シート部材(140)は、ターミナル部のターミナルピンが挿通される穴部(43)と、穴部(43)を取り囲む環状領域(A2)に設けられた少なくとも1つの貫通孔(44)とを備えることを特徴とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(1)のケーシング(10)に設けられたターミナル部(20)と、
上記ターミナル部(20)に取り付けられたシート部材(40,140,240,340,440)と
を備え、
上記シート部材(40,140,240,340,440)は、
上記ターミナル部(20)のターミナルピン(22)が挿通される穴部(43)と、
上記穴部(43)を取り囲む環状領域(A2)に設けられた少なくとも1つの貫通孔(44,244,344)と
を備えることを特徴とする、圧縮機のターミナル構造。
【請求項2】
請求項1に記載の圧縮機のターミナル構造であって、
上記シート部材(240,340)の上記環状領域(A2)の上記ケーシング(10)側には、環状の溝部(245,345)が設けられており、
少なくとも1つの上記貫通孔(244,344)は、上記溝部(245,345)に連なることを特徴とする、圧縮機のターミナル構造。
【請求項3】
請求項2に記載の圧縮機のターミナル構造であって、
上記シート部材(340)の上記環状領域(A2)の上記溝部(345)とは反対側には、上記溝部(345)に沿って形成された畝部(346)が設けられていることを特徴とする、圧縮機のターミナル構造。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の圧縮機のターミナル構造であって、
上記貫通孔(44,244,344)の内径(D1)は、上記ターミナルピン(22)の外径(D2)よりも小さいことを特徴とする、圧縮機のターミナル構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、圧縮機のターミナル構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の圧縮機のターミナル構造としては、ターミナルの絶縁保護のために、圧縮機のターミナル用の孔を有するガスケットを備えるものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−146901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の圧縮機のターミナル構造では、ガスケットの底面から浸入した水分が、毛細管現象により、ターミナルに到達して、漏電や絶縁不良が発生する恐れがある。
【0005】
本開示は、圧縮機のターミナル構造において漏電や絶縁不良の発生の抑制を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の圧縮機のターミナル構造は、
圧縮機のケーシングに設けられたターミナル部と、
上記ターミナル部に取り付けられたシート部材と
を備え、
上記シート部材は、
上記ターミナル部のターミナルピンが挿通される穴部と、
上記穴部を取り囲む環状領域に設けられた少なくとも1つの貫通孔と
を備えることを特徴とする。
【0007】
本開示によれば、ターミナルピンを挿通するシート部材の穴部を取り囲む環状領域に貫通孔が設けられているため、シート部材とターミナルとの間に侵入した水分の一部は、ターミナルピンに到達する前に、環状領域に設けられた貫通孔に案内されて貫通孔から蒸発する。これにより、外部から水分が侵入したとしても、ターミナルピンに水分が到達することを抑制できるので、ターミナル部で漏電又は絶縁不良が発生することを抑制できる。
【0008】
一実施形態の圧縮機のターミナル構造は、
上記環状領域の上記ケーシング側には、環状の溝部が設けられており、
少なくとも1つの上記貫通孔は、上記溝部に連なる。
【0009】
上記実施形態によれば、シート部材とターミナルとの間から侵入した水分は、ターミナルピンに到達する前に、シート部材の環状領域に設けられた環状の溝部に案内されて貫通孔から蒸発する。これにより、外部から水分が侵入したとしても、水分がターミナルピンに到達することを抑制できるので、ターミナル部で漏電又は絶縁不良が発生することを効果的に抑制できる。
【0010】
一実施形態の圧縮機のターミナル構造は、
上記環状領域の上記溝部とは反対側には、上記溝部に沿って形成された畝部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
上記実施形態によれば、シート部材の畝部によって、溝部におけるシート部材の厚みを一定に保ちつつ、畝部が設けられていない場合よりも溝部の容積を大きくできる。このため、溝部がより多くの水分を捕捉できるので、ターミナル部で漏電又は絶縁不良が発生することを効果的に抑制できる。
【0012】
一実施形態の圧縮機のターミナル構造は、
上記貫通孔の内径は、上記ターミナルピンの外径よりも小さいことを特徴とする
【0013】
上記実施形態によれば、貫通孔の内径がターミナルピンの外径よりも小さいため、万が一、ターミナルピンがターミナル部から外れたとしても、ターミナルピンが貫通孔を介してターミナル部と接触することを抑制でき、ターミナル部でショートが発生することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の第1実施形態に係る圧縮機の上部を示す分解斜視図である。
図2】第1実施形態に係る圧縮機の上部の縦断面図である。
図3】第1実施形態に係るシート部材の斜視図である。
図4】第2実施形態に係るシート部材の図3と同様の斜視図である。
図5】第3実施形態に係るシート部材の斜視図である。
図6図5のVI−VI線に沿ってシート部材を切断した場合の、溝部周辺を示す要部断面図である。
図7】第4実施形態に係るシート部材の図6と同様の要部断面図である。
図8】第5実施形態に係る圧縮機の上部の図2と同様の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施形態に係る圧縮機のターミナル構造を添付図面を参照して説明する。
【0016】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る圧縮機1の上部の分解斜視図である。図2は、本実施形態に係る圧縮機1の上部の縦断面図である。
【0017】
図1及び図2を参照すると、本実施形態の圧縮機1は、ケーシング10と、ケーシング10に設けられたターミナル部20と、ターミナルガード30と、シート部材40と、ターミナルカバー50とを備える。また、本実施形態の圧縮機1は、ケーシング10の内部に、冷媒を圧縮する圧縮機構部(図示せず)と、上記圧縮機構部を駆動するモータ(図示せず)とを備える。
【0018】
ケーシング10は、金属製の密閉容器である。本実施形態のケーシング10の上部には、ターミナル部20を取り付けるための取付部11と、ケーシング10の内部と外部とを連通する吐出管12とが設けられている。図2に示すように、ケーシング10の取付部11には、ターミナル部20が嵌合可能なように構成された取付孔11aが設けられている。吐出管12は、圧縮機1のケーシング10の内部に設けられた上記圧縮機構部からの高温高圧の冷媒を、ケーシング10の外部へと吐出する。
【0019】
本実施形態のターミナル部20は、ハーメチックターミナル(気密端子)である。ターミナル部20は、ボディ21と、ボディ21に挿通された複数(本実施形態では3つ)のターミナルピン22とを備える。
【0020】
ボディ21は、金属からなる有底筒形状の部材である。具体的には、ボディ21は、円板形状の基部21aと、基部21aの周縁部から立設された筒部21bとを備える。また、ボディ21は、基部21aに設けられ、ターミナルピン22を挿通可能なように構成された複数(本実施形態では3つ)の挿通孔21cを備える。また、ボディ21は、ケーシング10の取付部11に設けられた取付孔11aに嵌合した状態で、筒部21bが取付孔11aの内周に溶接されることで固定される。
【0021】
ターミナルピン22は、金属のような導電性材料からなる。本実施形態のターミナルピン22は、ボディ21の挿通孔21cに挿入されて固定されている。
【0022】
ターミナルピン22の一方側の端部(図2において下側の端部)は、圧縮機1のケーシング10の内部に位置しており、圧縮機1のケーシング10の内部に設けられたモータ(図示せず)に電気的に接続されている。
【0023】
ターミナルピン22の他方側の端部(図2において上側の端部)は、ターミナルカバー50によって覆われた空間に位置している。また、ターミナルピン22の他方側の端部(図2において上側の端部)には、端子板23が取り付けられている。ターミナルピン22は、圧縮機1の外部に設けられた三相交流電源(図示せず)に、端子板23と電線(図示せず)とを介して電気的に接続されている。
【0024】
ターミナルピン22の外周面と、ボディ21の挿通孔21cとの間には、ガラスからなる絶縁ガラス部24が設けられている。絶縁ガラス部24は、ボディ21にターミナルピン22を固定するとともに、ボディ21とターミナルピン22との間を電気的に絶縁する。
【0025】
ターミナルガード30は、金属からなる有底筒形状の部材であり、ターミナル部20を取り囲むように、ケーシング10の取付部11上に配置されている。具体的には、ターミナルガード30は、ケーシング10の取付部11上に載置される底面31と、底面31の周縁部から立設された側面32とを備える。
【0026】
ターミナルガード30の底面31には、図2に示すように、ターミナル部20を挿通可能に構成された開口31aが設けられている。ターミナルガード30の側面32には、図1に示すように、切欠き部32aが設けられている。ターミナルガード30に設けられた切欠き部32aには、耐熱ゴムからなる閉塞部材33が取り付けられる。
【0027】
閉塞部材33は、ターミナルピン22の他方側の端部(図2において上側の端部)と三相交流電源(図示せず)とを電気的に接続する電線(図示せず)を挿通可能な孔部33aと、孔部33aに到達する切り込み33bとを備える。孔部33aは、後述するように、ターミナルガード30とシート部材40とターミナルカバー50とで画定される内部空間Sと外部とを連通する。
【0028】
図3は、本実施形態に係るシート部材40の斜視図である。
【0029】
図3を参照すると、シート部材40は、シリコーンゴムのような絶縁材料からなる有底筒形状の部材である。具体的には、シート部材40は、シート状である底壁41と、底壁41の周縁部から立設された側壁42とを備える。本実施形態のシート部材40は、ターミナル部20やターミナルガード30(図1に示す)等の金属部分を覆うことで、ターミナル部20やターミナルガード30等の金属部分とターミナルピン22(図1に示す)とが接触することを抑制して、ターミナル部20(図1に示す)でのショートを抑制するための保護部材である。
【0030】
図2図3を併せて参照すると、本実施形態のシート部材40の底壁41は、ターミナル部20の上面と、ターミナルガード30の上面とに沿うように構成されている。具体的には、図3に示すように、シート部材40の底壁41は、ターミナル部20のボディ21の基部21aに沿うように構成された上段41aと、ターミナルガード30の底面31に沿うように構成された下段41bとを有する。
【0031】
これにより、シート部材40の底壁41がターミナル部20と、ターミナルガード30とに沿って密着して配置されるため、シート部材40とターミナル部20及びターミナルガード30との間において隙間の発生を抑制できる。このため、シート部材40とターミナル部20及びターミナルガード30との間に水分が溜まることを抑制できるので、ターミナル部20やターミナルガード30が腐食することを抑制できる。
【0032】
また、図3に示すように、シート部材40の底壁41は、複数(本実施形態では3つ)の穴部43と、穴部43の周囲に設けられた複数(本実施形態では8つ)の貫通孔44とを備える。3つの穴部43と、8つの貫通孔44とは、底壁41の上段41aに設けられている。
【0033】
ここで、シート部材40の底壁41の上段41aを、円形状の仮想的な境界線BLによって、3つの穴部43を含む円形領域A1と、円形領域A1を取り囲む環状領域A2とに画定しているものとする。言い換えれば、円形領域A1は、3つの穴部43を取り囲むように形成されている境界線BLによって取り囲まれた内側の領域であり、環状領域A2は、境界線BLの外側の領域である。
【0034】
本実施形態のシート部材40の穴部43は、前述したように、シート部材40の底壁41に画定された円形領域A1に設けられており、ターミナルピン22が挿通できるように構成されている。具体的には、シート部材40の3つの穴部43は、ターミナルピン22の端子板23が挿通可能な内径をそれぞれ有しており、3つのターミナルピン22のそれぞれに対応する位置に設けられている。シート部材40がターミナルガード30内に配置された状態において、シート部材40の穴部43には、ターミナルピン22が挿通されている。
【0035】
本実施形態のシート部材40に設けられた8つの円形の貫通孔44は、前述したように、穴部43が設けられた円形領域A1を取り囲む環状領域A2に設けられている。また、本実施形態のシート部材40の貫通孔44は、穴部43を取り囲むように境界線BLの外側に配置されている。また、図2を併せて参照すると、シート部材40の貫通孔44の直径D1は、例えば、1mmであり、ターミナルピン22の外径D2よりも小さい。
【0036】
シート部材40の側壁42は、ターミナルガード30の側面32に沿うように構成されており、ターミナルガード30の側面32を内側から覆うように配置されている。また、シート部材40の側壁42には、切欠き部42aが設けられている。シート部材40の側壁42に設けられた切欠き部42aは、シート部材40がターミナルガード30の内部に配置された状態で、ターミナルガード30の切欠き部32a(図1に示す)に対応する位置に設けられる。シート部材40の側壁42に設けられた切欠き部42aは、閉塞部材33と干渉しないように構成されている。
【0037】
図1を参照すると、ターミナルカバー50は、ターミナルガード30の外形と略同一の内形を有する有底筒形状である。具体的には、ターミナルカバー50は、天板部51と、天板部51の周縁部から下方に延在する側部52とを有する。ターミナルカバー50は、ターミナル部20、ターミナルガード30及びシート部材40を覆うように、ターミナルガード30に取り付けられる。ターミナルカバー50の側部52には、切欠き部52aが設けられており、ターミナルカバー50がターミナル部20、ターミナルガード30及びシート部材40を覆ったとき、切欠き部52aからは閉塞部材33が露出する。また、ターミナルカバー50は、ナイロン66のような合成樹脂からなる。ターミナルカバー50は、UL94−5VAの難燃グレードであれば好ましい。
【0038】
(水分の流れ)
以下、図2を参照して、シート部材40とターミナルガード30との間に水分が侵入した場合の水分の流れを説明する。シート部材40の底壁41とターミナルガード30の底面31との間に侵入した水分は、シート部材40の底壁41に設けられた貫通孔44から、ターミナルガード30とシート部材40とターミナルカバー50とによって画定された内部空間Sに排出される。
【0039】
具体的には、シート部材40とターミナルガード30との間に侵入した水分は、毛細管現象によって、シート部材40の底壁41の下面に沿って移動する。そして、図2に明瞭に示すように、シート部材40の環状領域A2に設けられた貫通孔44の近傍まで侵入した水分の一部は、貫通孔44に案内される(図2中符号W参照)。すなわち、シート部材40の環状領域A2に設けられた貫通孔44は、貫通孔44の近傍まで侵入した水分の侵入経路を遮断する。貫通孔44に案内された水分は、その後、蒸発して貫通孔44から内部空間Sに排出され、内部空間Sと外部とを連通する閉塞部材33の孔部33a(図1に示す)からターミナルカバー50の外部へと排出される。
【0040】
上記構成によれば、ターミナルピン22を挿通するシート部材40の穴部43を取り囲む環状領域A2に貫通孔44が設けられているため、シート部材40とターミナルガード30との間に侵入した水分の一部は、ターミナルピン22に到達する前に、環状領域A2に設けられた貫通孔44に案内され、その後、貫通孔44から蒸発して内部空間Sに排出される。これにより、外部から水分が侵入したとしても、ターミナルピン22に水分が到達することを抑制できるので、ターミナル部20で漏電又は絶縁不良が発生することを抑制できる。
【0041】
また、上記実施形態では、貫通孔44の内径D1が、ターミナルピン22の外径D2よりも小さいため、万が一、ターミナルピン22がボディ21から外れた場合であっても、ターミナルピン22が貫通孔44を介してターミナル部20のボディ21に接触することを抑制できる。これにより、ターミナル部20にショートが発生することを抑制できる。
【0042】
以下に説明する第2実施形態から第5実施形態では、第1実施形態と同一ないし同様の要素には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。さらに、第2実施形態から第4実施形態では、特に言及する点を除いて、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0043】
[第2実施形態]
図4は、本実施形態に係るシート部材140の図3と同様の斜視図である。本実施形態に係る圧縮機1のターミナル構造は、シート部材を除いて、第1実施形態と同一の構成をしており、図1及び図2を援用する。
【0044】
図4を参照すると、本実施形態のシート部材140は、底壁41が多孔板状になるように、多数の貫通孔44が設けられている。すなわち、本実施形態の貫通孔44は、円形領域A1と底壁41の下段41bにも設けられている。
【0045】
なお、貫通孔44は、境界線BLの内側に設けられていなくてもよく、シート部材140の底壁41の下段41bに設けられていなくてもよい。
【0046】
本実施形態の圧縮機1のターミナル構造は、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0047】
[第3実施形態]
図5は、本実施形態に係るシート部材240の図3と同様の斜視図である。また、図6は、図5におけるVI−VI線に沿った貫通孔及び溝部周辺を示す模式的な断面図である。本実施形態に係る圧縮機1のターミナル構造は、シート部材を除いて、第1実施形態と同一の構成をしており、図1及び図2を援用する。
【0048】
図5及び図6を参照すると、本実施形態のシート部材240は、環状領域A2のターミナル部20のボディ21側(すなわち、圧縮機1のケーシング10(図2に示す)側)に、環状の溝部245が設けられている。環状の溝部245は、3つの穴部43を取り囲むように設けられている。図6に示すように、溝部245は、シート部材240の底壁41の底面が、ターミナル部20のボディ21とは反対側(すなわち、圧縮機1のケーシング10(図2に示す)とは反対側)に窪んでいる。また、本実施形態の3つの貫通孔244は、溝部245に連なるように設けられている。
【0049】
溝部245は、円形に限定されず、楕円形や多角形などの他の形状を有していてもよい。また、溝部245は、複数設けられていてもよい。
【0050】
この構成によれば、環状領域A2に環状の溝部245が設けられているため、シート部材240とターミナルガード30との間から侵入した水分は、ターミナルピン22に到達する前に環状の溝部245に案内され、その後、貫通孔244から蒸発して内部空間Sに排出される。言い換えれば、環状領域A2に設けられた環状の溝部245によって、水分の侵入経路を分断できる。これにより、外部から水分が侵入したとしても、水分がターミナルピン22に到達することを抑制できるので、ターミナル部20で漏電又は絶縁不良が発生することを効果的に抑制できる。
【0051】
[第4実施形態]
図7は、本実施形態に係るシート部材340の図6と同様の貫通孔、溝部及び畝部の周辺を示す模式的な断面図である。本実施形態に係る圧縮機1のターミナル構造は、シート部材を除いて、第1実施形態と同一の構成をしており、図1及び図2を援用する。
【0052】
図7を参照すると、本実施形態のシート部材340は、ターミナル部20のボディ21側(すなわち、圧縮機1のケーシング10(図2に示す)側)に、環状の溝部345が設けられている。また、図示しないが、本実施形態の溝部345は、上記第3実施形態と同様に、環状で有り、環状領域A2に3つの穴部43を取り囲むように設けられている。
【0053】
また、本実施形態のシート部材340は、環状領域A2のターミナル部20のボディ21とは反対側(すなわち、圧縮機1のケーシング10(図2に示す)とは反対側)に、溝部345に沿って形成された畝部346が設けられている。畝部346は、ターミナル部20のボディ21とは反対側(すなわち、圧縮機1のケーシング10(図2に示す)とは反対側)にドーム状の断面形状を有するように突出している。本実施形態の3つの貫通孔344は、畝部346を貫通して、溝部345に連なる。
【0054】
この構成によれば、シート部材340が畝部346を有しているため、溝部345を形成した場合であっても、シート部材340の厚みを一定に保つことができる。すなわち、畝部346が設けられていない場合と比較して、シート部材340の厚みを厚くすることなく、溝部345の容積を大きくとることができる。このため、溝部345がより多くの水分を捕捉できるので、ターミナル部20で漏電又は絶縁不良が発生することを効果的に抑制できる。
【0055】
[第5実施形態]
図8は、本実施形態に係る圧縮機1のターミナル構造の図2と同様の断面図である。本実施形態の圧縮機のターミナル構造は、側壁42(図3に示す)を備えていない点、及びシート部材の形状が異なる点を除いて、上記第1実施形態の圧縮機のターミナル構造と同様の構成を有する。
【0056】
図8を参照すると、本実施形態の圧縮機1は、ターミナルガード30(図2に示す)を備えておらず、圧縮機1のターミナルカバー50は、図示しないスタッドボルト及びナットで圧縮機1のケーシング10に直接取り付けられている。
【0057】
本実施形態のシート部材440は、圧縮機1のケーシング10とターミナルカバー50とに挟持されて、圧縮機1のケーシング10とターミナルカバー50との間を封止するガスケットである。本実施形態のシート部材440は、側壁42(図3に示す)を備えていない点でのみ、第1実施形態のシート部材40(図3に示す)と異なる。すなわち、シート部材440は、シリコーンゴムのような絶縁材料からなる略板状の部材である。具体的には、シート部材40は、シート状である底壁41を備え、シート部材440の底壁41は、ターミナルピン22が挿通できるように構成された穴部43と、穴部43の周囲に設けられた複数の貫通孔44とを備える。
【0058】
本実施形態の圧縮機のターミナル構造は、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0059】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【0060】
例えば、上記第1〜第4実施形態では、4つ、8つ又は多数の貫通孔44,が設けられていたが、これに限定されず、貫通孔44は、環状領域A2に少なくとも1つあればよい。
【0061】
上記第1〜第5実施形態では、シート部材40,140,240,340,440の底壁41は、上段41aと下段41bとを有していたが、シート部材40の形状はこれに限定されない。例えば、シート部材40の底壁41は、圧縮機1のケーシング10、ターミナル部20、又はターミナルガード30の形状に沿うように、平面状に形成されていてもよく、ターミナル部20のみを覆うように構成されていてもよい。
【0062】
境界線BLは円形状に限定されず、穴部43を取り囲む形状であれば多角形のような他の形状であってもよい。すなわち、境界線BLは、穴部43の数、位置、及び大きさに応じて、形状及び大きさを適宜変更できる。
【符号の説明】
【0063】
1…圧縮機
10…ケーシング
11…取付部
11a…取付孔
12…吐出管
20…ターミナル部
21…ボディ
21a…基部
21b…筒部
21c…挿通孔
22…ターミナルピン
23…端子板
24…絶縁ガラス部
30…ターミナルガード
31…底面
31a…開口
32…側面
32a…切欠き部
33…閉塞部材
33a…孔部
33b…切り込み
40…シート部材
41…底壁
41a…上段
41b…下段
42…側壁
42a…切欠き部
43…穴部
44…貫通孔
50…ターミナルカバー
51…天板部
52…側部
52a…切欠き部
140…シート部材
240…シート部材
244…貫通孔
245…溝部
340…シート部材
344…貫通孔
345…溝部
346…畝部
440…シート部材
BL…境界線
A1…円形領域
A2…環状領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8