【課題】室外熱交換器の液側端と液冷媒連絡管とを接続する室外液冷媒管に液冷媒連絡管を流れる冷媒が気液二相状態になるように冷媒を減圧する液圧調整膨張弁を設けた空気調和装置において、圧縮機の吐出温度の上昇を抑えつつ、冷媒の二相搬送を良好に行う。
【解決手段】室外液冷媒管(34)のうち液圧調整膨張弁(26)よりも室外熱交換器(23)側の部分には、室外液冷媒管(34)を流れる冷媒の一部を分岐して圧縮機(21)に送る液インジェクション管(46)が接続されている。
圧縮機(21)及び室外熱交換器(23、23a、23b)を有する室外ユニット(2)と、室内熱交換器(52a、52b、52c、52d)を有する複数の室内ユニット(3a、3b、3c、3d)と、前記室外ユニットと前記複数の室内ユニットとを接続する液冷媒連絡管(5)と、を有しており、前記圧縮機から吐出された冷媒を前記室外熱交換器、前記液冷媒連絡管、前記室内熱交換器の順に流す運転を行う空気調和装置において、
前記室外熱交換器の液側端と前記液冷媒連絡管とを接続する室外液冷媒管(34)に、前記液冷媒連絡管を流れる前記冷媒が気液二相状態になるように減圧する液圧調整膨張弁(26)を設け、
前記室外液冷媒管のうち前記液圧調整膨張弁よりも前記室外熱交換器側の部分に、前記室外液冷媒管を流れる前記冷媒の一部を分岐して前記圧縮機に送る液インジェクション管(46)を接続している、
空気調和装置(1)。
前記室外液冷媒管に、前記室外液冷媒管を流れる前記冷媒の一部を分岐して前記圧縮機に送る冷媒戻し管(41)を接続するとともに、前記冷媒戻し管を流れる前記冷媒によって前記室外液冷媒管のうち前記液圧調整膨張弁よりも前記室外熱交換器側の部分を流れる前記冷媒を冷却する冷媒冷却器(45)を設けている、
請求項1に記載の空気調和装置。
前記液インジェクション管のうち前記吸入冷媒管の前記アキュムレータの入口側の部分に接続される部分に、前記室外液冷媒管から分岐された前記冷媒を前記アキュムレータに送る液抜き弁(46d)を設け、
前記室外ユニット及び前記室内ユニットの構成機器を制御する制御部(19)は、前記圧縮機から吐出された前記冷媒の圧力が所定の吐出圧力閾値を超えないように前記液抜き弁を制御する、
請求項4又は6に記載の空気調和装置。
前記液インジェクション管又は前記冷媒戻し管のうち前記吸入冷媒管の前記アキュムレータの入口側の部分に接続される部分に、前記室外液冷媒管から分岐された前記冷媒を前記アキュムレータに送る液抜き弁(41d、46d)を設け、
前記室外ユニット及び前記室内ユニットの構成機器を制御する制御部(19)は、前記圧縮機から吐出された前記冷媒の圧力が所定の吐出圧力閾値を超えないように前記液抜き弁を制御する、
請求項11又は13に記載の空気調和装置。
前記制御部は、前記室外熱交換器の液側端における前記冷媒の過冷却度が目標過冷却度になるように、前記液圧調整膨張弁の開度を制御することによって、前記液冷媒連絡管を流れる前記冷媒が気液二相状態になるように前記液圧調整膨張弁による減圧を行わせる、
請求項14〜17のいずれか1項に記載の空気調和装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1の空気調和装置において、圧縮機の吐出温度が過度に上昇した場合は、吐出温度を低下させる保護制御のために、例えば、各室内ユニットに設けられた室内膨張弁の開度を一時的に大きくする制御を行うことが考えられる。
【0004】
しかし、このような制御では、液冷媒連絡管を流れる冷媒の状態が変動してしまい、所望の気液二相状態が得られなくなり、液圧調整膨張弁による冷媒の二相搬送に支障をきたすおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、圧縮機及び室外熱交換器を有する室外ユニットと、室内熱交換器を有する複数の室内ユニットと、両ユニット間を接続する液冷媒連絡管と、を有しており、室外熱交換器の液側端と液冷媒連絡管とを接続する室外液冷媒管に、液冷媒連絡管を流れる冷媒が気液二相状態になるように冷媒を減圧する液圧調整膨張弁を設けた空気調和装置において、圧縮機の吐出温度の上昇を抑えつつ、冷媒の二相搬送を良好に行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の観点にかかる空気調和装置は、圧縮機及び室外熱交換器を有する室外ユニットと、室内熱交換器を有する複数の室内ユニットと、室外ユニットと複数の室内ユニットとを接続する液冷媒連絡管と、を有しており、圧縮機から吐出された冷媒を室外熱交換器、液冷媒連絡管、室内熱交換器の順に流す運転を行う空気調和装置である。そして、ここでは、室外熱交換器の液側端と液冷媒連絡管とを接続する室外液冷媒管に、液冷媒連絡管を流れる冷媒が気液二相状態になるように減圧する液圧調整膨張弁を設けている。しかも、ここでは、室外液冷媒管のうち液圧調整膨張弁よりも室外熱交換器側の部分に、室外液冷媒管を流れる冷媒の一部を分岐して圧縮機に送る液インジェクション管を接続している。
【0007】
ここでは、上記の液圧調整膨張弁によって気液二相状態の冷媒を液冷媒連絡管に流して室外ユニット側から室内ユニット側に送る冷媒の二相搬送を行う構成において、上記のように、室外液冷媒管のうち液圧調整膨張弁よりも室外熱交換器側の部分に室外液冷媒管を流れる冷媒の一部を分岐して圧縮機に送る液インジェクション管をさらに設けている。このような液インジェクション管を設けると、室外液冷媒管を流れる冷媒の温度の変動を抑えつつ、圧縮機に冷媒を送ることができるため、これにより、液圧調整膨張弁で減圧された後の液冷媒連絡管を流れる冷媒の状態を変動させないようにしつつ、圧縮機の吐出温度の上昇を抑えることができる。このように、ここでは、圧縮機の吐出温度の上昇を抑えつつ、液冷媒連絡管を流れる冷媒を所望の気液二相状態に確実に維持することができる。
【0008】
すなわち、ここでは、液圧調整膨張弁を有する構成において、上記の液インジェクション管を設けることによって、圧縮機の吐出温度の上昇を抑えつつ、冷媒の二相搬送を良好に行うことができる。
【0009】
第2の観点にかかる空気調和装置は、第1の観点にかかる空気調和装置において、圧縮機に吸入される冷媒が流れる吸入冷媒管に、液インジェクション管を接続している。
【0010】
ここでは、上記のように、室外液冷媒管から分岐した冷媒を圧縮機の吸入側に送ることができるため、圧縮機に吸入される冷媒の温度を低下させることができる。
【0011】
第3の観点にかかる空気調和装置は、第2の観点にかかる空気調和装置において、吸入冷媒管に、冷媒を一時的に溜めるアキュムレータを設け、吸入冷媒管のうちアキュムレータの出口側の部分に、液インジェクション管を接続している。
【0012】
ここでは、上記のように、液インジェクション管がアキュムレータの出口側に接続されることで、アキュムレータを介さずに液インジェクション管を流れる冷媒を圧縮機に吸入される冷媒に合流させることができるため、液インジェクション管がアキュムレータの入口側に接続される場合に比べて、圧縮機に吸入される冷媒の温度を低下させる効果を向上させることができる。
【0013】
第4の観点にかかる空気調和装置は、第2の観点にかかる空気調和装置において、液インジェクション管を2つに分岐し、吸入冷媒管のうちアキュムレータの入口側の部分及びアキュムレータの出口側の部分の両方に、液インジェクション管を接続している。
【0014】
ここでは、上記のように、液インジェクション管がアキュムレータの入口側及び出口側の両方に接続されているため、圧縮機に吸入される冷媒の温度を低下させる効果を向上させたい場合には、液インジェクション管を流れる冷媒をアキュムレータの出口側に送り、圧縮機から吐出された冷媒の圧力が所定の吐出圧力閾値を超えないように液抜きを行いたい場合は、液インジェクション管を流れる冷媒をアキュムレータの入口側に送ることができる。
【0015】
第5の観点にかかる空気調和装置は、第1の観点にかかる空気調和装置において、圧縮機の圧縮行程の途中部分に、液インジェクション管を接続している。
【0016】
ここでは、上記のように、室外液冷媒管から分岐した冷媒を圧縮機の圧縮行程の途中部分に送ることができるため、圧縮機において中間圧まで圧縮された冷媒の温度を低下させることができる。
【0017】
第6の観点にかかる空気調和装置は、第5の観点にかかる空気調和装置において、圧縮機に吸入される冷媒が流れる吸入冷媒管に、冷媒を一時的に溜めるアキュムレータを設け、液インジェクション管を2つに分岐し、吸入冷媒管のうちアキュムレータの入口側の部分及び圧縮機の圧縮行程の途中部分の両方に、液インジェクション管を接続している。
【0018】
ここでは、上記のように、液インジェクション管がアキュムレータの入口側及び圧縮機の圧縮行程の途中部分の両方に接続されているため、圧縮機において中間圧まで圧縮された冷媒の温度を低下させたい場合には、液インジェクション管を流れる冷媒を圧縮機の圧縮行程の途中部分に送り、圧縮機から吐出された冷媒の圧力が所定の吐出圧力閾値を超えないように液抜きを行いたい場合は、液インジェクション管を流れる冷媒をアキュムレータの入口側に送ることができる。
【0019】
第7の観点にかかる空気調和装置は、第1の観点にかかる空気調和装置において、室外液冷媒管に、室外液冷媒管を流れる冷媒の一部を分岐して圧縮機に送る冷媒戻し管を接続するとともに、冷媒戻し管を流れる冷媒によって室外液冷媒管のうち液圧調整膨張弁よりも室外熱交換器側の部分を流れる冷媒を冷却する冷媒冷却器を設けている。
【0020】
ここでは、上記の液圧調整膨張弁によって気液二相状態の冷媒を液冷媒連絡管に流して室外ユニット側から室内ユニット側に送る冷媒の二相搬送を行う構成において、上記のように、冷媒戻し管及び冷媒戻し管を流れる冷媒によって室外液冷媒管のうち液圧調整膨張弁よりも室外熱交換器側の部分を流れる冷媒を冷却する冷媒冷却器をさらに設けている。
【0021】
ここで、上記の液インジェクション管を設けずに、このような冷媒戻し管及び冷媒冷却器を設ける場合を想定すると、冷媒戻し管を流れる冷媒は、冷媒冷却器を流れる冷媒を冷却した後に圧縮機に送られるため、これにより、圧縮機の吐出温度の上昇を抑えることができる。しかし、冷媒戻し管を流れる冷媒は、冷媒冷却器において室外液冷媒管を流れる冷媒を冷却した後に圧縮機に送られるため、冷媒冷却器を通過した後の室外液冷媒管を流れる冷媒の温度は、冷媒戻し管を流れる冷媒の流量に応じて変動し、その結果、液圧調整膨張弁で減圧された後の液冷媒連絡管を流れる冷媒の状態も変動する。例えば、冷媒戻し管を流れる冷媒の流量が多くなりすぎると、圧縮機の吐出温度の上昇をある程度抑えることができるものの、冷媒冷却器を通過した後の室外液冷媒管を流れる冷媒の温度が低下しすぎることになり、その結果、液圧調整膨張弁で減圧された後の液冷媒連絡管を流れる冷媒が液成分の多い気液二相状態になる。
【0022】
すなわち、液圧調整膨張弁を有する構成において、冷媒戻し管及び冷媒冷却器を設けただけでは、所望の気液二相状態を維持することができない場合があるため、圧縮機の吐出温度の上昇を抑えつつ、冷媒の二相搬送を良好に行うことが難しい。
【0023】
そこで、ここでは、冷媒戻し管及び冷媒冷却器だけでなく、上記の液インジェクション管をさらに設けている。このような液インジェクション管を設けると、室外液冷媒管を流れる冷媒の温度の変動を抑えつつ、圧縮機に冷媒を送ることができるため、冷媒戻し管を流れる冷媒の流量を多くしなくても、圧縮機の吐出温度の上昇を抑えることができる。そして、冷媒戻し管を流れる冷媒の流量が多くなければ、冷媒冷却器を通過した後の室外液冷媒管を流れる冷媒の温度が低下しすぎることもなくなるため、その結果、液圧調整膨張弁で減圧された後の液冷媒連絡管を流れる冷媒が液成分の多い気液二相状態にならない。このように、ここでは、圧縮機の吐出温度の上昇を抑えつつ、液冷媒連絡管を流れる冷媒を所望の気液二相状態を維持することができる。
【0024】
すなわち、ここでは、液圧調整膨張弁を有する構成において、上記の冷媒戻し管及び冷媒冷却器とともに、上記の液インジェクション管を設けることによって、圧縮機の吐出温度の上昇を抑えつつ、冷媒の二相搬送を良好に行うことができる。
【0025】
第8の観点にかかる空気調和装置は、第7の観点にかかる空気調和装置において、圧縮機に吸入される冷媒が流れる吸入冷媒管に、液インジェクション管及び/又は冷媒戻し管を接続している。
【0026】
ここでは、上記のように、室外液冷媒管から分岐した冷媒を圧縮機の吸入側に送ることができるため、圧縮機に吸入される冷媒の温度を低下させることができる。
【0027】
第9の観点にかかる空気調和装置は、第8の観点にかかる空気調和装置において、吸入冷媒管に、冷媒を一時的に溜めるアキュムレータを設け、吸入冷媒管のうちアキュムレータの出口側の部分に、液インジェクション管及び/又は冷媒戻し管を接続している。
【0028】
ここでは、上記のように、液インジェクション管及び/又は冷媒戻し管がアキュムレータの出口側に接続されることで、アキュムレータを介さずに液インジェクション管及び/又は冷媒戻し管を流れる冷媒を圧縮機に吸入される冷媒に合流させることができるため、液インジェクション管及び/又は冷媒戻し管がアキュムレータの入口側に接続される場合に比べて、圧縮機に吸入される冷媒の温度を低下させる効果を向上させることができる。
【0029】
第10の観点にかかる空気調和装置は、第8の観点にかかる空気調和装置において、吸入冷媒管のうちアキュムレータの入口側の部分に、液インジェクション管及び/又は冷媒戻し管を接続している。
【0030】
ここでは、上記のように、液インジェクション管及び/又は冷媒戻し管がアキュムレータの入口側に接続されることで、アキュムレータを介して冷媒戻し管を流れる冷媒を圧縮機に吸入される冷媒に合流させることができるため、液インジェクション管及び/又は冷媒戻し管がアキュムレータの出口側に接続される場合に比べて、例えば、圧縮機における液圧縮を防ぐことができる。
【0031】
第11の観点にかかる空気調和装置は、第8の観点にかかる空気調和装置において、液インジェクション管又は冷媒戻し管を2つに分岐し、吸入冷媒管のうちアキュムレータの入口側の部分及びアキュムレータの出口側の部分の両方に、液インジェクション管又は冷媒戻し管を接続している。
【0032】
ここでは、上記のように、液インジェクション管又は冷媒戻し管がアキュムレータの入口側及び出口側の両方に接続されているため、圧縮機に吸入される冷媒の温度を低下させる効果を向上させたい場合には、液インジェクション管又は冷媒戻し管を流れる冷媒をアキュムレータの出口側に送り、圧縮機から吐出された冷媒の圧力が所定の吐出圧力閾値を超えないように液抜きを行いたい場合は、液インジェクション管又は冷媒戻し管を流れる冷媒をアキュムレータの入口側に送ることができる。
【0033】
第12の観点にかかる空気調和装置は、第7の観点にかかる空気調和装置において、圧縮機の圧縮行程の途中部分に、液インジェクション管及び/又は冷媒戻し管を接続している。
【0034】
ここでは、上記のように、室外液冷媒管から分岐した冷媒を圧縮機の圧縮行程の途中部分に送ることができるため、圧縮機において中間圧まで圧縮された冷媒の温度を低下させることができる。
【0035】
第13の観点にかかる空気調和装置は、第12の観点にかかる空気調和装置において、圧縮機に吸入される冷媒が流れる吸入冷媒管に、冷媒を一時的に溜めるアキュムレータを設け、液インジェクション管又は冷媒戻し管を2つに分岐し、吸入冷媒管のうちアキュムレータの入口側の部分及び圧縮機の圧縮行程の途中部分の両方に、液インジェクション管又は冷媒戻し管を接続している。
【0036】
ここでは、上記のように、液インジェクション管又は冷媒戻し管がアキュムレータの入口側及び圧縮機の圧縮行程の途中部分の両方に接続されているため、圧縮機において中間圧まで圧縮された冷媒の温度を低下させたい場合には、液インジェクション管又は冷媒戻し管を流れる冷媒を圧縮機の圧縮行程の途中部分に送り、圧縮機から吐出された冷媒の圧力が所定の吐出圧力閾値を超えないように液抜きを行いたい場合は、液インジェクション管又は冷媒戻し管を流れる冷媒をアキュムレータの入口側に送ることができる。
【0037】
第14の観点にかかる空気調和装置は、第1〜第6の観点のいずれかにかかる空気調和装置において、液インジェクション管に、室外液冷媒管から分岐された冷媒を減圧する液インジェクション膨張弁を設けている。そして、室外ユニット及び室内ユニットの構成機器を制御する制御部は、圧縮機から吐出された冷媒の温度が所定の吐出温度閾値を超えないように、液インジェクション膨張弁の開度を制御する。
【0038】
ここでは、上記のように、液インジェクション管に設けられた液インジェクション膨張弁の開度を制御することによって、液インジェクション管を通じて室外液冷媒管から圧縮機に送られる冷媒の流量を調節することができるため、圧縮機から吐出された冷媒の温度(圧縮機の吐出温度)の上昇を確実に抑えることができる。
【0039】
第15の観点にかかる空気調和装置は、第4又は第6の観点にかかる空気調和装置において、液インジェクション管のうち吸入冷媒管のアキュムレータの入口側の部分に接続される部分に、室外液冷媒管から分岐された冷媒をアキュムレータに送る液抜き弁を設けている。そして、室外ユニット及び室内ユニットの構成機器を制御する制御部は、圧縮機から吐出された冷媒の圧力が所定の吐出圧力閾値を超えないように液抜き弁を制御する。
【0040】
ここでは、上記のように、液インジェクション管のうちアキュムレータの入口側に接続された部分に設けられた液抜き弁を制御することによって、液インジェクション管を通じて室外液冷媒管からアキュムレータに冷媒を送ることができるため、圧縮機から吐出された冷媒の圧力(圧縮機の吐出圧力)の上昇を抑えることができる。
【0041】
第16の観点にかかる空気調和装置は、第7〜第13の観点のいずれかにかかる空気調和装置において、液インジェクション管に、室外液冷媒管から分岐された冷媒を減圧する液インジェクション膨張弁を設け、冷媒戻し管に、室外液冷媒管から分岐された冷媒を減圧する冷媒戻し膨張弁を設けている。そして、室外ユニット及び室内ユニットの構成機器を制御する制御部は、圧縮機から吐出された冷媒の温度が所定の吐出温度閾値を超えないように、液インジェクション膨張弁の開度を制御するとともに、室外液冷媒管のうち冷媒冷却器と液圧調整膨張弁との間の部分における冷媒の温度が目標液管温度になるように、冷媒戻し膨張弁の開度を制御する。
【0042】
ここでは、上記のように、液インジェクション管に設けられた液インジェクション膨張弁の開度を制御することによって、液インジェクション管を通じて室外液冷媒管から圧縮機に送られる冷媒の流量を調節することができるため、圧縮機から吐出された冷媒の温度(圧縮機の吐出温度)の上昇を確実に抑えることができる。しかも、ここでは、上記のように、冷媒戻し管に設けられた冷媒戻し膨張弁の開度を制御することによって、冷媒冷却器において室外液冷媒管を流れる冷媒と熱交換を行う冷媒の流量を調節することができるため、室外液冷媒管のうち冷媒冷却器と液圧調整膨張弁との間の部分における冷媒の温度(液管温度)を目標液管温度で一定にすることができる。そして、液管温度を一定にすることによって、液圧調整膨張弁で減圧された後の液冷媒連絡管を流れる冷媒を所望の気液二相状態を確実に維持することができる。このように、ここでは、液圧調整膨張弁による冷媒の二相搬送を行うのに当たり、液管温度を一定に維持するために冷媒戻し管及び冷媒冷却器を使用するとともに、圧縮機の吐出温度の上昇を抑えるために液インジェクション管を使用しているのである。
【0043】
第17の観点にかかる空気調和装置は、第11又は第13の観点にかかる空気調和装置において、液インジェクション管又は冷媒戻し管のうち吸入冷媒管のアキュムレータの入口側の部分に接続される部分に、室外液冷媒管から分岐された冷媒をアキュムレータに送る液抜き弁を設けている。そして、室外ユニット及び室内ユニットの構成機器を制御する制御部は、圧縮機から吐出された冷媒の圧力が所定の吐出圧力閾値を超えないように液抜き弁を制御する。
【0044】
ここでは、上記のように、液インジェクション管又は冷媒戻し管のうちアキュムレータの入口側に接続された部分に設けられた液抜き弁を制御することによって、液インジェクション管又は冷媒戻し管を通じて室外液冷媒管からアキュムレータに冷媒を送ることができるため、圧縮機から吐出された冷媒の圧力(圧縮機の吐出圧力)の上昇を抑えることができる。
【0045】
第18の観点にかかる空気調和装置は、第14〜第17の観点のいずれかにかかる空気調和装置において、制御部が、室外熱交換器の液側端における冷媒の過冷却度が目標過冷却度になるように、液圧調整膨張弁の開度を制御することによって、液冷媒連絡管を流れる冷媒が気液二相状態になるように液圧調整膨張弁による減圧を行わせる。
【0046】
ここでは、上記のように、室外熱交換器の液側端における冷媒の過冷却度が目標過冷却度になるように液圧調整膨張弁の開度を制御しているため、室外熱交換器の保有冷媒量を所望の状態に維持しやすくなり、その結果、液圧調整膨張弁で減圧された後の液冷媒連絡管を流れる冷媒を所望の気液二相状態に維持しやすくできる。
【発明の効果】
【0047】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、液圧調整膨張弁を有する空気調和装置において、液インジェクション管を設けることによって、圧縮機の吐出温度の上昇を抑えつつ、冷媒の二相搬送を良好に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明にかかる空気調和装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。尚、本発明にかかる空気調和装置の実施形態の具体的な構成は、下記の実施形態及びその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0050】
(1)第1実施形態
<構成>
図1は、本発明の第1実施形態にかかる空気調和装置1の概略構成図である。空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルによって、ビル等の室内の冷房や暖房を行う装置である。空気調和装置1は、主として、室外ユニット2と、互いが並列に接続される複数(ここでは、2つ)の室内ユニット3a、3bと、室外ユニット2と室内ユニット3a、3bとを接続する液冷媒連絡管5及びガス冷媒連絡管6と、室外ユニット2及び室内ユニット3a、3bの構成機器を制御する制御部19と、を有している。そして、空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路10は、室外ユニット2と複数の室内ユニット3a、3bとを、液冷媒連絡管5及びガス冷媒連絡管6を介して接続することによって構成されている。冷媒回路10には、R32等の冷媒が充填されている。
【0051】
−冷媒連絡管−
液冷媒連絡管5は、主として、室外ユニット2から延びる合流管部と、室内ユニット3a、3bの手前で複数(ここでは、2つ)に分岐した分岐管部5a、5bと、を有している。また、ガス冷媒連絡管6は、主として、室外ユニット2から延びる合流管部と、室内ユニット3a、3bの手前で複数(ここでは、2つ)に分岐した分岐管部6a、6bと、を有している。
【0052】
−室内ユニット−
室内ユニット3a、3bは、ビル等の室内に設置されている。室内ユニット3a、3bは、上記のように、液冷媒連絡管5及びガス冷媒連絡管6を介して室外ユニット2に接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0053】
次に、室内ユニット3a、3bの構成について説明する。尚、室内ユニット3aと室内ユニット3bとは同様の構成であるため、ここでは、室内ユニット3aの構成のみ説明し、室内ユニット3bの構成については、それぞれ、室内ユニット3aの各部を示す添え字「a」の代わりに添え字「b」を付して、各部の説明を省略する。
【0054】
室内ユニット3aは、主として、室内膨張弁51aと、室内熱交換器52aと、を有している。また、室内ユニット3aは、室内熱交換器52aの液側端と液冷媒連絡管5とを接続する室内液冷媒管53aと、室内熱交換器52aのガス側端とガス冷媒連絡管6とを接続する室内ガス冷媒管54aと、を有している。
【0055】
室内膨張弁51aは、冷媒を減圧しながら室内熱交換器52aを流れる冷媒の流量を調整する電動膨張弁であり、室内液冷媒管53aに設けられている。
【0056】
室内熱交換器52aは、冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却する、又は、冷媒の放熱器として機能して室内空気を加熱する熱交換器である。ここで、室内ユニット3aは、室内ユニット3a内に室内空気を吸入して、室内熱交換器52aにおいて冷媒と熱交換させた後に、供給空気として室内に供給するための室内ファン55aを有している。すなわち、室内ユニット3aは、室内熱交換器52aを流れる冷媒の冷却源又は加熱源としての室内空気を室内熱交換器52aに供給するファンとして、室内ファン55aを有している。室内ファン55aは、室内ファン用モータ56aによって駆動される。
【0057】
室内ユニット3aには、各種のセンサが設けられている。具体的には、室内ユニット3aには、室内熱交換器52aの液側端における冷媒の温度Trlを検出する室内熱交液側センサ57aと、室内熱交換器52aのガス側端における冷媒の温度Trgを検出する室内熱交ガス側センサ58aと、室内ユニット3a内に吸入される室内空気の温度Traを検出する室内空気センサ59aと、が設けられている。
【0058】
−室外ユニット−
室外ユニット2は、ビル等の室外に設置されている。室外ユニット2は、上記のように、液冷媒連絡管5及びガス冷媒連絡管6を介して室内ユニット3a、3bに接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0059】
次に、室外ユニット2の構成について説明する。
【0060】
室外ユニット2は、主として、圧縮機21と、室外熱交換器23と、を有している。また、室外ユニット2は、室外熱交換器23を冷媒の放熱器として機能させる放熱運転状態と、室外熱交換器23を冷媒の蒸発器として機能させる蒸発運転状態と、を切り換えるための切換機構22を有している。切換機構22と圧縮機21の吸入側とは、吸入冷媒管31によって接続されている。吸入冷媒管31には、圧縮機21に吸入される冷媒を一時的に溜めるアキュムレータ29が設けられている。圧縮機21の吐出側と切換機構22とは、吐出冷媒管32によって接続されている。切換機構22と室外熱交換器23のガス側端とは、第1室外ガス冷媒管33によって接続されている。室外熱交換器23の液側端と液冷媒連絡管5とは、室外液冷媒管34によって接続されている。室外液冷媒管34の液冷媒連絡管5との接続部には、液側閉鎖弁27が設けられている。切換機構22とガス冷媒連絡管6とは、第2室外ガス冷媒管35によって接続されている。第2室外ガス冷媒管35のガス冷媒連絡管6との接続部には、ガス側閉鎖弁28が設けられている。液側閉鎖弁27及びガス側閉鎖弁28は、手動で開閉される弁である。
【0061】
圧縮機21は、冷媒を圧縮するための機器であり、例えば、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素(図示せず)が圧縮機用モータ21aによって回転駆動される密閉式構造の圧縮機が使用される。
【0062】
切換機構22は、室外熱交換器23を冷媒の放熱器として機能させる場合(以下、「室外放熱状態」とする)には圧縮機21の吐出側と室外熱交換器23のガス側とを接続し(
図1の切換機構22の実線を参照)、室外熱交換器23を冷媒の蒸発器として機能させる場合(以下、「室外蒸発状態」とする)には圧縮機21の吸入側と室外熱交換器23のガス側とを接続するように(
図1の切換機構22の破線を参照)、冷媒回路10内における冷媒の流れを切り換えることが可能な機器であり、例えば、四路切換弁からなる。
【0063】
室外熱交換器23は、冷媒の放熱器として機能する、又は、冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。ここで、室外ユニット2は、室外ユニット2内に室外空気を吸入して、室外熱交換器23において冷媒と熱交換させた後に、外部に排出するための室外ファン24を有している。すなわち、室外ユニット2は、室外熱交換器23を流れる冷媒の冷却源又は加熱源としての室外空気を室外熱交換器23に供給するファンとして、室外ファン24を有している。ここでは、室外ファン24は、室外ファン用モータ24aによって駆動される。
【0064】
そして、空気調和装置1では、圧縮機21、室外熱交換器23、液冷媒連絡管5及び室内熱交換器52a、52bのみに着目した場合に、圧縮機21から吐出された冷媒を室外熱交換器23、液冷媒連絡管5、室内熱交換器52a、52bの順に流す運転(冷房運転)を行うようになっている。また、空気調和装置1では、圧縮機21、ガス冷媒連絡管6、室内熱交換器52a、52b、液冷媒連絡管5及び室外熱交換器23のみに着目した場合に、圧縮機21から吐出された冷媒をガス冷媒連絡管6、室内熱交換器52a、52b、液冷媒連絡管5、室外熱交換器23の順に流す運転(暖房運転)を行うようになっている。尚、ここでは、冷房運転時は、切換機構22が室外放熱状態に切り換えられ、暖房運転時は、切換機構22が室外蒸発状態に切り換えられる。
【0065】
また、ここでは、室外液冷媒管34に、室外膨張弁25及び液圧調整膨張弁26が設けられている。室外膨張弁25は、暖房運転時に冷媒を減圧する電動膨張弁であり、室外液冷媒管34のうち室外熱交換器23の液側端寄りの部分に設けられている。液圧調整膨張弁26は、冷房運転時に液冷媒連絡管5を流れる冷媒が気液二相状態になるように冷媒を減圧する電動膨張弁であり、室外液冷媒管34のうち液冷媒連絡管5寄りの部分に設けられている。すなわち、液圧調整膨張弁26は、室外液冷媒管34のうち室外膨張弁25よりも液冷媒連絡管5寄りの部分に設けられている。
【0066】
そして、空気調和装置1では、冷房運転時において、液圧調整膨張弁26によって気液二相状態の冷媒を液冷媒連絡管5に流して室外ユニット2側から室内ユニット3a、3b側に送る冷媒の二相搬送を行うようになっている。
【0067】
しかも、ここでは、室外液冷媒管34に、室外液冷媒管34を流れる冷媒の一部を分岐して圧縮機21に送る液インジェクション管46が接続されている。液インジェクション管46は、室外液冷媒管34のうち液圧調整膨張弁26よりも室外熱交換器23側の部分に接続されている。より具体的には、液インジェクション管46は、室外液冷媒管34のうち室外膨張弁25と液圧調整膨張弁26との間の部分に接続されている。また、液インジェクション管46は、圧縮機21に吸入される冷媒が流れる吸入冷媒管31に接続されている。しかも、インジェクション管46は、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の出口側の部分に接続されている。液インジェクション管46には、室外液冷媒管34から分岐された冷媒を減圧する液インジェクション膨張弁47が設けられている。液インジェクション膨張弁47は、電動膨張弁からなる。
【0068】
室外ユニット2には、各種のセンサが設けられている。具体的には、室外ユニット2には、圧縮機21から吐出された冷媒の圧力(吐出圧力Pd)を検出する吐出圧力センサ36と、圧縮機21から吐出された冷媒の温度(吐出温度Td)を検出する吐出温度センサ37と、圧縮機21に吸入される冷媒の圧力(吸入圧力Ps)を検出する吸入圧力センサ39と、圧縮機21に吸入される冷媒の温度(吸入温度Ts)を検出する吸入温度センサ40と、が設けられている。また、室外ユニット2には、室外熱交換器24の液側端における冷媒の温度Tol(室外熱交出口温度Tol)を検出する室外熱交液側センサ38と、室外液冷媒管25のうち室外膨張弁25と液圧調整膨張弁26との間の部分における冷媒の温度(液管温度Tlp)を検出する液管温度センサ49が設けられている。
【0069】
−制御部−
制御部19は、室外ユニット2や室内ユニット3a、3bに設けられた制御基板等(図示せず)が通信接続されることによって構成されている。尚、
図1においては、便宜上、室外ユニット2や室内ユニット3a、3bとは離れた位置に図示している。制御部19は、上記のような各種センサ36、37、38、39、40、49、57a、57b、58a、58b、59a、59bの検出信号等に基づいて空気調和装置1(ここでは、室外ユニット2及び室内ユニット3a、3b)の各種構成機器21、22、24、25、26、47、51a、51b、55a、55bの制御、すなわち、空気調和装置1全体の運転制御を行うようになっている。
【0070】
<空気調和装置の動作及び特徴>
次に、空気調和装置1の動作及び特徴について、
図1及び
図2を用いて説明する。ここで、
図2は、本発明の第1実施形態にかかる空気調和装置1における冷房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図である。
【0071】
空気調和装置1では、上記のように、冷房運転及び暖房運転が行われる。そして、冷房運転においては、室外液冷媒管34に設けられた液圧調整膨張弁26によって、気液二相状態の冷媒を液冷媒連絡管5に流して室外ユニット2側から室内ユニット3a、3b側に送る冷媒の二相搬送が行われる。さらに、冷房運転においては、室外液冷媒管34のうち液圧調整膨張弁26よりも室外熱交換器23側の部分に室外液冷媒管34を流れる冷媒の一部を分岐して圧縮機21に送る液インジェクション管46によって、室外液冷媒管34を流れる冷媒の温度(液管温度Tlp)の変動を抑えつつ、圧縮機21に冷媒を送る動作が行われる。尚、以下に説明する空気調和装置1の動作は、空気調和装置1の構成機器を制御する制御部19によって行われる。
【0072】
−冷房運転−
冷房運転の際、例えば、室内ユニット3a、3bの全てが冷房運転(すなわち、室内熱交換器52a、52bの全てが冷媒の蒸発器として機能し、かつ、室外熱交換器23が冷媒の放熱器として機能する運転)を行う際には、切換機構22が室外放熱状態(
図1の切換機構22の実線で示された状態)に切り換えられて、圧縮機21、室外ファン24及び室内ファン55a、55bが駆動される。
【0073】
すると、圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、切換機構22を通じて室外熱交換器23に送られる(
図1、2の点B参照)。室外熱交換器23に送られた冷媒は、冷媒の放熱器として機能する室外熱交換器23において、室外ファン24によって供給される室外空気と熱交換を行って冷却されることによって凝縮する(
図1、2の点C参照)。この冷媒は、室外膨張弁25、液圧調整膨張弁26及び液側閉鎖弁27を通じて室外ユニット2から流出する(
図1、2の点D参照)。
【0074】
室外ユニット2から流出した冷媒は、液冷媒連絡管5を通じて室内ユニット3a、3bに分岐して送られる(
図1、2の点E参照)。室内ユニット3a、3bに送られた冷媒は、室内膨張弁51a、51bによって低圧まで減圧された後に、室内熱交換器52a、52bに送られる(
図1、2の点F参照)。室内熱交換器52a、52bに送られた冷媒は、冷媒の蒸発器として機能する室内熱交換器52a、52bにおいて、室内ファン55a、55bによって室内から供給される室内空気と熱交換を行って加熱されることによって蒸発する(
図1、2の点G参照)。この冷媒は、室内ユニット3a、3bから流出する。一方、室内熱交換器52a、52bにおいて冷却された室内空気は、室内に送られ、これにより、室内の冷房が行われる。
【0075】
室内ユニット3a、3bから流出した冷媒は、ガス冷媒連絡管6を通じて室外ユニット2に合流して送られる(
図1、2の点H参照)。室外ユニット2に送られた冷媒は、ガス側閉鎖弁28、切換機構22及びアキュムレータ29を通じて圧縮機21に吸入される(
図1、2の点A参照)。
【0076】
ここで、上記の冷房運転の際には、液圧調整膨張弁26によって気液二相状態の冷媒を液冷媒連絡管5に流して室外ユニット2側から室内ユニット3a、3b側に送る冷媒の二相搬送を行うようにしている。しかも、以下に説明するように、冷媒の二相搬送を行うにあたり、液インジェクション管46によって圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えつつ、冷媒の二相搬送を良好に行えるようにしている。
【0077】
まず、制御部19は、液冷媒連絡管5を流れる冷媒が気液二相状態になるように液圧調整膨張弁26による減圧を行わせるようにしている(
図1、2の点C、D参照)。液圧調整膨張弁26で減圧された後の冷媒は、高圧の冷媒よりも圧力が低く、かつ、低圧の冷媒よりも圧力が高い中間圧の冷媒となる(
図1、2の点D参照)。ここでは、制御部19が、室外熱交換器23の液側端における冷媒の過冷却度SCoが目標過冷却度SCotになるように、液圧調整膨張弁26の開度を制御している。具体的には、制御部19は、室外熱交換器23の液側端における冷媒の過冷却度SCoを、室外熱交出口温度Tolから得る。制御部19は、吐出圧力Pdを飽和温度に換算して得られる冷媒の温度Tocから室外熱交出口温度Tolを差し引くことによって、室外熱交換器23の液側端における冷媒の過冷却度SCoを得る。そして、制御部19は、過冷却度SCoが目標過冷却度SCotよりも大きい場合に、液圧調整膨張弁26の開度を大きくする制御を行い、過冷却度SCoが目標過冷却度SCotよりも小さい場合に、液圧調整膨張弁26の開度を小さくする制御を行っている。尚、このとき、制御部19は、室外膨張弁25の開度を全開状態で固定する制御を行っている。
【0078】
この制御により、液冷媒連絡管5を流れる冷媒が気液二相状態になるため、液冷媒連絡管5を流れる冷媒が液状態である場合に比べて、冷媒連絡配管5が液状態の冷媒で満たされることがなくなり、その分だけ液冷媒連絡管5に存在する冷媒量を少なくできるようになっている。
【0079】
また、制御部19は、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えるように室外液冷媒管34を流れる冷媒の一部を分岐して圧縮機21(ここでは、圧縮機21の吸入側に接続されている吸入冷媒管31)に送るようにしている。ここでは、制御部19が、圧縮機21の吐出温度Tdが所定の吐出温度閾値Tdx(例えば、上限吐出温度)を超えないように、液インジェクション膨張弁47の開度を制御している。具体的には、制御部19は、吐出温度Tdが吐出温度閾値Tdxまで上昇した場合に、吐出温度Tdが吐出温度閾値Tdx以下になるまで、液インジェクション膨張弁47の開度を大きくする制御を行っている。
【0080】
この制御により、室内ユニット3a、3bから室外ユニット2に送られた冷媒(
図1、2の点H)は、液インジェクション管46を通じて圧縮機21に送られる冷媒が合流して冷却されるため(
図1、2の点H、A参照)、その冷却分に応じて、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えることができるようになっている(
図1、2の点B参照)。
【0081】
−暖房運転−
暖房運転の際、例えば、室内ユニット3a、3bの全てが暖房運転(すなわち、室内熱交換器52a、52bの全てが冷媒の放熱器として機能し、かつ、室外熱交換器23が冷媒の蒸発器として機能する運転)を行う際には、切換機構22が室外蒸発状態(
図1の切換機構22の破線で示された状態)に切り換えられて、圧縮機21、室外ファン24及び室内ファン55a、55bが駆動される。
【0082】
すると、圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、切換機構22及びガス側閉鎖弁28を通じて室外ユニット2から流出する。
【0083】
室外ユニット2から流出した冷媒は、ガス冷媒連絡管6を通じて室内ユニット3a、3bに分岐して送られる。室内ユニット3a、3bに送られた冷媒は、室内熱交換器52a、52bに送られる。室内熱交換器52a、52bに送られた高圧の冷媒は、冷媒の放熱器として機能する室内熱交換器52a、52bにおいて、室内ファン55a、55bによって室内から供給される室内空気と熱交換を行って冷却されることによって凝縮する。この冷媒は、室内膨張弁51a、51bを通じて室内ユニット3a、3bから流出する。一方、室内熱交換器52a、52bにおいて加熱された室内空気は、室内に送られ、これにより、室内の暖房が行われる。
【0084】
室内ユニット3a、3bから流出した冷媒は、液冷媒連絡管5を通じて合流して室外ユニット2に送られる。室外ユニット2に送られた冷媒は、液側閉鎖弁27及び液圧調整膨張弁26を通じて、室外膨張弁25に送られる。室外膨張弁25に送られた冷媒は、室外膨張弁25によって低圧まで減圧された後に、室外熱交換器23に送られる。室外熱交換器23に送られた冷媒は、室外ファン24によって供給される室外空気と熱交換を行って加熱されることによって蒸発する。この冷媒は、切換機構22及びアキュムレータ29を通じて圧縮機21に吸入される。
【0085】
尚、このとき、制御部19は、液圧調整膨張弁26の開度を全開状態で固定する制御を行い、液インジェクション膨張弁47の開度を全閉状態にして液インジェクション管46に冷媒を流さないようにしている。
【0086】
−特徴−
ここでは、上記の液圧調整膨張弁26によって気液二相状態の冷媒を液冷媒連絡管5に流して室外ユニット2側から室内ユニット3a、3b側に送る冷媒の二相搬送を行う構成において、上記のように、室外液冷媒管34のうち液圧調整膨張弁26よりも室外熱交換器23側の部分に室外液冷媒管34を流れる冷媒の一部を分岐して圧縮機21に送る液インジェクション管46をさらに設けている。このような液インジェクション管46を設けると、室外液冷媒管34を流れる冷媒の温度(液管温度Tlp)の変動を抑えつつ、圧縮機21に冷媒を送ることができるため(
図2の点C参照)、これにより、液圧調整膨張弁26で減圧された後の液冷媒連絡管5を流れる冷媒の状態を変動させないようにしつつ(
図2の点D参照)、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えることができる(
図2の点B参照)。このように、ここでは、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えつつ、液冷媒連絡管5を流れる冷媒を所望の気液二相状態に確実に維持することができる。
【0087】
すなわち、ここでは、液圧調整膨張弁26を有する構成において、上記の液インジェクション管46を設けることによって、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えつつ、冷媒の二相搬送を良好に行うことができる。
【0088】
また、ここでは、上記のように、制御部19が、室外熱交換器23の液側端における冷媒の過冷却度SCoが目標過冷却度SCotになるように、液圧調整膨張弁26の開度を制御することによって、液冷媒連絡管5を流れる冷媒が気液二相状態になるように液圧調整膨張弁26による減圧を行わせている。このため、ここでは、室外熱交換器23の保有冷媒量を所望の状態に維持しやすくなり(
図2の点C参照)、その結果、液圧調整膨張弁26で減圧された後の液冷媒連絡管5を流れる冷媒を所望の気液二相状態に維持しやすくできる(
図2の点D参照)。
【0089】
しかも、ここでは、液インジェクション管46に、室外液冷媒管34から分岐された冷媒を減圧する液インジェクション膨張弁47を設けている。そして、制御部19は、圧縮機21の吐出温度Tdが所定の吐出温度閾値Tdx(例えば、上限吐出温度)を超えないように、液インジェクション膨張弁47の開度を制御している。このように、ここでは、液インジェクション管46を通じて室外液冷媒管34から圧縮機21に送られる冷媒の流量を調節することができるため、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を確実に抑えることができる(
図2の点B参照)。
【0090】
また、ここでは、圧縮機21に吸入される冷媒が流れる吸入冷媒管31に、液インジェクション管46を接続している。このため、ここでは、室外液冷媒管34から分岐した冷媒を圧縮機21の吸入側に送ることができるため、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を低下させることができる(
図2の点H、A参照)。特に、ここでは、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の出口側の部分に、液インジェクション管46を接続しており、アキュムレータ29を介さずに液インジェクション管46を流れる冷媒を圧縮機21に吸入される冷媒に合流させることができるようになっている。このため、ここでは、液インジェクション管46がアキュムレータ29の入口側に接続される場合に比べて、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を低下させる効果を向上させることができる。
【0091】
<変形例1>
上記第1実施形態(
図1参照)の空気調和装置1では、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の出口側の部分に、液インジェクション管46を接続しており、これにより、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を低下させる効果を向上させるようにしている。しかし、液インジェクション管46の吸入冷媒管31への接続位置は、これに限定されるものではない。
【0092】
ここでは、
図3に示すように、吸入冷媒管34のうちアキュムレータ29の入口側の部分に、液インジェクション管46を接続しており、アキュムレータ29を介して液インジェクション管46を流れる冷媒を圧縮機21に吸入される冷媒に合流させることができるようになっている。このため、ここでは、液インジェクション管46がアキュムレータ29の出口側に接続される場合に比べて、例えば、圧縮機21における液圧縮を防ぐことができる。尚、この構成では、アキュムレータ29の底部から吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の出口側の部分に冷媒を送る返液管31aを設けておき、制御部19が返液管31aに設けられた返液弁31bを制御することによって、アキュムレータ29内に溜まった液冷媒を圧縮機21に戻すようにしてもよい。
【0093】
<変形例2>
上記第1実施形態及び変形例1(
図1、3参照)の空気調和装置1では、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分又はアキュムレータ29の出口側の部分に、液インジェクション管46を接続している。しかし、液インジェクション管46の吸入冷媒管31への接続位置は、これらに限定されるものではない。
【0094】
ここでは、
図4に示すように、液インジェクション管46を2つに分岐し、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分及びアキュムレータ29の出口側の部分の両方に、液インジェクション管46を接続している。ここで、液インジェクション管46のうちアキュムレータ29の出口側の部分に接続されるほうを第1液インジェクション管46aとし、液インジェクション管46のうちアキュムレータ29の入口側の部分に接続されるほうを第2液インジェクション管46bとする。このように、ここでは、液インジェクション管46をアキュムレータ29の入口側及び出口側の両方に接続することで、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を低下させる効果を向上させたい場合には、液インジェクション管46を流れる冷媒をアキュムレータ29の出口側に送り、例えば、圧縮機21における液圧縮を防ぎたい場合には、液インジェクション管46を流れる冷媒をアキュムレータ29の入口側に送るようにしてもよい。
【0095】
また、
図4の液インジェクション管46を2つに分岐し、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分及びアキュムレータ29の出口側の部分の両方に、液インジェクション管46を接続した構成を利用して、圧縮機21の吐出圧力Pdの上昇を抑えることができる。具体的には、液インジェクション管46のうちアキュムレータ29の入口側の部分に接続される第2液インジェクション管46bに、液抜き弁46dを設けておき、圧縮機21の吐出圧力Pdが所定の吐出圧力閾値Pdx(例えば、上限吐出圧力)を超えないように液抜き弁46dを制御する。具体的には、制御部19は、吐出圧力Pdが吐出圧力閾値Pdxまで上昇した場合に、吐出圧力Pdが吐出圧力閾値pdx以下になるまで、液抜き弁46dを開ける制御を行う。これにより、液インジェクション管46を通じて、室外熱交換器23内に存在する液冷媒をアキュムレータ29に送って待避させることができ、その結果、吐出圧力Pdの上昇を抑えることができる。このように、ここでは、液インジェクション管46のうちアキュムレータ29の入口側に接続される第2液インジェクション管46bに設けられた液抜き弁46dを制御することによって、液インジェクション管46を通じて室外液冷媒管34からアキュムレータ29に冷媒を送ることができるため、圧縮機21の吐出圧力Pdの上昇を抑えることができる。尚、この構成では、上記の液抜き制御時に、第2液インジェクション管46bに多くの冷媒を流すことができるように、第1液インジェクション管46aに流動抵抗となるキャピラリーチューブ46cを設けている。
【0096】
<変形例3>
上記第1実施形態(
図1参照)の空気調和装置1では、吸入冷媒管31に液インジェクション管46を接続することで、室外液冷媒管34から分岐した冷媒を圧縮機21の吸入側に送るようにし、これにより、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を低下させ(
図2の点H、A参照)、その結果、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えるようにしている。しかし、液インジェクション管46を流れる冷媒の圧縮機21への送り先は、これに限定されるものではない。
【0097】
ここでは、
図5に示すように、圧縮機21の圧縮行程の途中部分に液インジェクション管46を接続するようにしてもよい。
【0098】
この構成では、上記第1実施形態(
図2の点H、A参照)とは異なり、
図5及び
図6に示すように、室外液冷媒管34から液インジェクション管46に分岐した冷媒を圧縮機21の圧縮行程の途中部分に送り、圧縮機21において中間圧まで圧縮された冷媒の温度を低下させることで(
図6の点I参照)、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えることができる。尚、この場合においても、冷媒の二相搬送を行うための液圧調整膨張弁26の制御等は、上記第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0099】
<変形例4>
上記第1実施形態の変形例3(
図5参照)の空気調和装置1においても、上記変形例2(
図4参照)と同様に、
図7に示すように、液インジェクション管46を2つに分岐し、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分及び圧縮機21の圧縮行程の途中部分の両方に、液インジェクション管46を接続してもよい。ここで、液インジェクション管46のうち圧縮機21の圧縮行程の途中部分に接続されるほうを第1液インジェクション管46aとし、液インジェクション管46のうちアキュムレータ29の入口側の部分に接続されるほうを第2液インジェクション管46bとする。このように、ここでは、液インジェクション管46を吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分及び圧縮機21の圧縮行程の途中部分の両方に接続することで、圧縮機21において中間圧まで圧縮された冷媒の温度を低下させたい場合には、液インジェクション管46を流れる冷媒を圧縮機21の圧縮行程の途中部分に送り、例えば、圧縮機21における液圧縮を防ぎたい場合には、液インジェクション管46を流れる冷媒をアキュムレータの入口側に送ることができる。
【0100】
また、
図7の液インジェクション管46を2つに分岐し、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分及び圧縮機21の圧縮行程の途中部分の両方に、液インジェクション管46を接続した構成を利用して、圧縮機21の吐出圧力Pdの上昇を抑えることができる。具体的には、液インジェクション管46のうちアキュムレータ29の入口側の部分に接続される第2液インジェクション管46bに、液抜き弁46dを設けておき、圧縮機21の吐出圧力Pdが所定の吐出圧力閾値Pdx(例えば、上限吐出圧力)を超えないように液抜き弁46dを制御する。具体的には、制御部19は、吐出圧力Pdが吐出圧力閾値Pdxまで上昇した場合に、吐出圧力Pdが吐出圧力閾値pdx以下になるまで、液抜き弁46dを開ける制御を行う。これにより、液インジェクション管46を通じて、室外熱交換器23内に存在する液冷媒をアキュムレータ29に送って待避させることができ、その結果、吐出圧力Pdの上昇を抑えることができる。このように、ここでは、液インジェクション管46のうちアキュムレータ29の入口側に接続される第2液インジェクション管46bに設けられた液抜き弁46dを制御することによって、液インジェクション管46を通じて室外液冷媒管34からアキュムレータ29に冷媒を送ることができるため、圧縮機21の吐出圧力Pdの上昇を抑えることができる。
【0101】
(2)第2実施形態
<構成>
図8は、本発明の第2実施形態にかかる空気調和装置1の概略構成図である。空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルによって、ビル等の室内の冷房や暖房を行う装置である。空気調和装置1は、主として、室外ユニット2と、互いが並列に接続される複数(ここでは、2つ)の室内ユニット3a、3bと、室外ユニット2と室内ユニット3a、3bとを接続する液冷媒連絡管5及びガス冷媒連絡管6と、室外ユニット2及び室内ユニット3a、3bの構成機器を制御する制御部19と、を有している。そして、空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路10は、室外ユニット2と複数の室内ユニット3a、3bとを、液冷媒連絡管5及びガス冷媒連絡管6を介して接続することによって構成されている。冷媒回路10には、R32等の冷媒が充填されている。
【0102】
−冷媒連絡管−
液冷媒連絡管5は、主として、室外ユニット2から延びる合流管部と、室内ユニット3a、3bの手前で複数(ここでは、2つ)に分岐した分岐管部5a、5bと、を有している。また、ガス冷媒連絡管6は、主として、室外ユニット2から延びる合流管部と、室内ユニット3a、3bの手前で複数(ここでは、2つ)に分岐した分岐管部6a、6bと、を有している。
【0103】
−室内ユニット−
室内ユニット3a、3bは、ビル等の室内に設置されている。室内ユニット3a、3bは、上記のように、液冷媒連絡管5及びガス冷媒連絡管6を介して室外ユニット2に接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0104】
尚、室内ユニット3a、3bの構成は、第1実施形態の室内ユニット3a、3bと同じ構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0105】
−室外ユニット−
室外ユニット2は、ビル等の室外に設置されている。室外ユニット2は、上記のように、液冷媒連絡管5及びガス冷媒連絡管6を介して室内ユニット3a、3bに接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0106】
尚、室外ユニット2の構成は、第1実施形態の室外ユニット2の構成に、冷媒戻し管41及び冷媒冷却器45を設けた点のみが異なる。このため、ここでは、主として、冷媒戻し管41及び冷媒冷却器45の構成について説明する。
【0107】
ここでは、室外液冷媒管34に、冷媒戻し管41が接続されており、冷媒冷却器45が設けられている。冷媒戻し管41は、室外液冷媒管34を流れる冷媒の一部を分岐して圧縮機21に送る冷媒管である。冷媒冷却器45は、冷媒戻し管41を流れる冷媒によって室外液冷媒管34のうち液圧調整膨張弁26よりも室外熱交換器23側の部分を流れる冷媒を冷却する熱交換器である。ここで、室外膨張弁25は、室外液冷媒管34のうち冷媒冷却器45よりも室外熱交換器23側の部分に設けられている。また、液圧調整膨張弁26は、室外液冷媒管34の冷媒冷却器45が接続された部分よりも液冷媒連絡管5側の部分(ここでは、冷媒冷却器45と液側閉鎖弁27との間の部分)に設けられている。また、ここでは、液インジェクション管46が、室外液冷媒管34のうち冷媒冷却器45と液圧調整膨張弁26との間の部分に接続されている。
【0108】
冷媒戻し管41は、室外液冷媒管34から分岐した冷媒を圧縮機21の吸入側に送る冷媒管である。そして、冷媒戻し管41は、主として、冷媒戻し入口管42と、冷媒戻し出口管43と、を有している。冷媒戻し入口管42は、室外液冷媒管34を流れる冷媒の一部を室外熱交換器23の液側端と液圧調整膨張弁26との間の部分(ここでは、室外膨張弁25と冷媒冷却器45との間の部分)から分岐させて冷媒冷却器45の冷媒戻し管41側の入口に送る冷媒管である。冷媒戻し入口管42には、冷媒戻し管41を流れる冷媒を減圧しながら冷媒冷却器45を流れる冷媒の流量を調整する冷媒戻し膨張弁44が設けられている。ここで、冷媒戻し膨張弁44は、電動膨張弁からなる。冷媒戻し出口管43は、冷媒冷却器45の冷媒戻し管41側の出口から吸入冷媒管31に送る冷媒管である。しかも、冷媒戻し管41の冷媒戻し出口管43は、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の出口側の部分に接続されている。そして、冷媒冷却器45は、冷媒戻し管41を流れる冷媒によって室外液冷媒管34を流れる冷媒を冷却するようになっている。ここで、冷媒冷却器45は、冷房運転時に、冷媒戻し管41を流れる冷媒と室外液冷媒管34を流れる冷媒とが対向流になる形式の熱交換器である。
【0109】
また、ここでは、液管温度センサ49が、冷媒冷却器45の出口における冷媒の温度を液管温度Tlpとして検出するように、室外液冷媒管34のうち冷媒冷却器45の出口と液インジェクション管46が接続された部分との間の部分に設けられている。
【0110】
−制御部−
制御部19は、室外ユニット2や室内ユニット3a、3bに設けられた制御基板等(図示せず)が通信接続されることによって構成されている。尚、
図8においては、便宜上、室外ユニット2や室内ユニット3a、3bとは離れた位置に図示している。制御部19は、上記のような各種センサ36、37、38、39、40、49、57a、57b、58a、58b、59a、59bの検出信号等に基づいて空気調和装置1(ここでは、室外ユニット2及び室内ユニット3a、3b)の各種構成機器21、22、24、25、26、41、47、51a、51b、55a、55bの制御、すなわち、空気調和装置1全体の運転制御を行うようになっている。
【0111】
<空気調和装置の動作及び特徴>
次に、空気調和装置1の動作及び特徴について、
図8及び
図9を用いて説明する。ここで、
図9は、本発明の第2実施形態にかかる空気調和装置1における冷房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図である。
【0112】
空気調和装置1では、上記のように、冷房運転及び暖房運転が行われる。そして、冷房運転においては、室外液冷媒管34に設けられた液圧調整膨張弁26によって、気液二相状態の冷媒を液冷媒連絡管5に流して室外ユニット2側から室内ユニット3a、3b側に送る冷媒の二相搬送が行われる。さらに、冷房運転においては、室外液冷媒管34を流れる冷媒の一部を分岐して圧縮機21に送る冷媒戻し管41、及び、冷媒戻し管41を流れる冷媒によって室外液冷媒管34のうち液圧調整膨張弁26よりも室外熱交換器23側の部分を流れる冷媒を冷却する冷媒冷却器45によって、室外液冷媒管34のうち冷媒冷却器45と液圧調整膨張弁26との間の部分における冷媒を冷却する動作が行われる。さらに、冷房運転においては、室外液冷媒管34のうち液圧調整膨張弁26よりも室外熱交換器23側の部分に室外液冷媒管34を流れる冷媒の一部を分岐して圧縮機21に送る液インジェクション管46によって、室外液冷媒管34を流れる冷媒の温度(液管温度Tlp)の変動を抑えつつ、圧縮機21に冷媒を送る動作が行われる。尚、以下に説明する空気調和装置1の動作は、空気調和装置1の構成機器を制御する制御部19によって行われる。
【0113】
−冷房運転−
冷房運転の際、例えば、室内ユニット3a、3bの全てが冷房運転(すなわち、室内熱交換器52a、52bの全てが冷媒の蒸発器として機能し、かつ、室外熱交換器23が冷媒の放熱器として機能する運転)を行う際には、切換機構22が室外放熱状態(
図8の切換機構22の実線で示された状態)に切り換えられて、圧縮機21、室外ファン24及び室内ファン55a、55bが駆動される。
【0114】
すると、圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、切換機構22を通じて室外熱交換器23に送られる(
図8、9の点B参照)。室外熱交換器23に送られた冷媒は、冷媒の放熱器として機能する室外熱交換器23において、室外ファン24によって供給される室外空気と熱交換を行って冷却されることによって凝縮する(
図8、9の点C参照)。この冷媒は、室外膨張弁25、冷媒冷却器45、液圧調整膨張弁26及び液側閉鎖弁27を通じて室外ユニット2から流出する(
図8、9の点D参照)。
【0115】
室外ユニット2から流出した冷媒は、液冷媒連絡管5を通じて室内ユニット3a、3bに分岐して送られる(
図8、9の点E参照)。室内ユニット3a、3bに送られた冷媒は、室内膨張弁51a、51bによって低圧まで減圧された後に、室内熱交換器52a、52bに送られる(
図8、9の点F参照)。室内熱交換器52a、52bに送られた冷媒は、冷媒の蒸発器として機能する室内熱交換器52a、52bにおいて、室内ファン55a、55bによって室内から供給される室内空気と熱交換を行って加熱されることによって蒸発する(
図8、9の点G参照)。この冷媒は、室内ユニット3a、3bから流出する。一方、室内熱交換器52a、52bにおいて冷却された室内空気は、室内に送られ、これにより、室内の冷房が行われる。
【0116】
室内ユニット3a、3bから流出した冷媒は、ガス冷媒連絡管6を通じて室外ユニット2に合流して送られる(
図8、9の点H参照)。室外ユニット2に送られた冷媒は、ガス側閉鎖弁28、切換機構22及びアキュムレータ29を通じて圧縮機21に吸入される(
図8、9の点A参照)。
【0117】
ここで、上記の冷房運転の際には、液圧調整膨張弁26によって気液二相状態の冷媒を液冷媒連絡管5に流して室外ユニット2側から室内ユニット3a、3b側に送る冷媒の二相搬送を行うようにしている。しかも、以下に説明するように、冷媒の二相搬送を行うにあたり、冷媒戻し管41及び冷媒冷却器45によって室外液冷媒管34を流れる冷媒を冷却し、そして、液インジェクション管46によって圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えつつ、冷媒の二相搬送を良好に行えるようにしている。
【0118】
まず、制御部19は、液冷媒連絡管5を流れる冷媒が気液二相状態になるように液圧調整膨張弁26による減圧を行わせるようにしている(
図8、9の点J、D参照)。液圧調整膨張弁26で減圧された後の冷媒は、高圧の冷媒よりも圧力が低く、かつ、低圧の冷媒よりも圧力が高い中間圧の冷媒となる(
図8、9の点D参照)。ここでは、制御部19が、室外熱交換器23の液側端における冷媒の過冷却度SCoが目標過冷却度SCotになるように、液圧調整膨張弁26の開度を制御している。具体的には、制御部19は、室外熱交換器23の液側端における冷媒の過冷却度SCoを、室外熱交出口温度Tolから得る。制御部19は、吐出圧力Pdを飽和温度に換算して得られる冷媒の温度Tocから室外熱交出口温度Tolを差し引くことによって、室外熱交換器23の液側端における冷媒の過冷却度SCoを得る。そして、制御部19は、過冷却度SCoが目標過冷却度SCotよりも大きい場合に、液圧調整膨張弁26の開度を大きくする制御を行い、過冷却度SCoが目標過冷却度SCotよりも小さい場合に、液圧調整膨張弁26の開度を小さくする制御を行っている。尚、このとき、制御部19は、室外膨張弁25の開度を全開状態で固定する制御を行っている。
【0119】
この制御により、液冷媒連絡管5を流れる冷媒が気液二相状態になるため、液冷媒連絡管5を流れる冷媒が液状態である場合に比べて、冷媒連絡配管5が液状態の冷媒で満たされることがなくなり、その分だけ液冷媒連絡管5に存在する冷媒量を少なくできるようになっている。
【0120】
また、制御部19は、冷媒戻し管41を流れる冷媒によって、室外液冷媒管34のうち液圧調整膨張弁26よりも室外熱交換器23側の部分を流れる冷媒を冷媒冷却器45において冷却して、室外液冷媒管34のうち冷媒冷却器45と液圧調整膨張弁26との間の部分における冷媒の温度(液管温度Tlp)を一定にしている。ここでは、制御部19が、室外液冷媒管34のうち冷媒冷却器45と液圧調整膨張弁26との間の部分における冷媒の温度(液管温度Tlp)が目標液管温度Tlptになるように、冷媒戻し膨張弁44の開度を制御している。具体的には、制御部19は、液管温度Tlpが目標液管温度Tlptよりも高い場合に、冷媒戻し膨張弁44の開度を大きくする制御を行い、液管温度Tlpが目標液管温度Tlptよりも低い場合に、冷媒戻し膨張弁44の開度を小さくする制御を行っている。
【0121】
この制御により、室外液冷媒管34のうち冷媒冷却器45と液圧調整膨張弁26との間の部分における冷媒の温度(液管温度Tlp)を目標液管温度Tlptで一定に維持できるようになっている(
図8、9の点J参照)。
【0122】
さらに、制御部19は、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えるように室外液冷媒管34を流れる冷媒の一部を分岐して圧縮機21(ここでは、圧縮機21の吸入側に接続されている吸入冷媒管31)に送るようにしている。ここでは、制御部19が、圧縮機21の吐出温度Tdが所定の吐出温度閾値Tdx(例えば、上限吐出温度)を超えないように、液インジェクション膨張弁47の開度を制御している。具体的には、制御部19は、吐出温度Tdが吐出温度閾値Tdxまで上昇した場合に、吐出温度Tdが吐出温度閾値Tdx以下になるまで、液インジェクション膨張弁47の開度を大きくする制御を行っている。
【0123】
この制御により、室内ユニット3a、3bから室外ユニット2に送られた冷媒(
図8、9の点H)は、液インジェクション管46を通じて圧縮機21に送られる冷媒が合流して冷却されるため(
図8、9の点H、A参照)、その冷却分に応じて、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えることができるようになっている(
図8、9の点B参照)。
【0124】
−暖房運転−
暖房運転の際、例えば、室内ユニット3a、3bの全てが暖房運転(すなわち、室内熱交換器52a、52bの全てが冷媒の放熱器として機能し、かつ、室外熱交換器23が冷媒の蒸発器として機能する運転)を行う際には、切換機構22が室外蒸発状態(
図8の切換機構22の破線で示された状態)に切り換えられて、圧縮機21、室外ファン24及び室内ファン55a、55bが駆動される。
【0125】
すると、圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、切換機構22及びガス側閉鎖弁28を通じて室外ユニット2から流出する。
【0126】
室外ユニット2から流出した冷媒は、ガス冷媒連絡管6を通じて室内ユニット3a、3bに分岐して送られる。室内ユニット3a、3bに送られた冷媒は、室内熱交換器52a、52bに送られる。室内熱交換器52a、52bに送られた高圧の冷媒は、冷媒の放熱器として機能する室内熱交換器52a、52bにおいて、室内ファン55a、55bによって室内から供給される室内空気と熱交換を行って冷却されることによって凝縮する。この冷媒は、室内膨張弁51a、51bを通じて室内ユニット3a、3bから流出する。一方、室内熱交換器52a、52bにおいて加熱された室内空気は、室内に送られ、これにより、室内の暖房が行われる。
【0127】
室内ユニット3a、3bから流出した冷媒は、液冷媒連絡管5を通じて合流して室外ユニット2に送られる。室外ユニット2に送られた冷媒は、液側閉鎖弁27、液圧調整膨張弁26及び冷媒冷却器45を通じて、室外膨張弁25に送られる。室外膨張弁25に送られた冷媒は、室外膨張弁25によって低圧まで減圧された後に、室外熱交換器23に送られる。室外熱交換器23に送られた冷媒は、室外ファン24によって供給される室外空気と熱交換を行って加熱されることによって蒸発する。この冷媒は、切換機構22及びアキュムレータ29を通じて圧縮機21に吸入される。
【0128】
尚、このとき、制御部19は、液圧調整膨張弁26の開度を全開状態で固定する制御を行い、冷媒戻し膨張弁44及び液インジェクション膨張弁47の開度を全閉状態にして冷媒戻し管41及び液インジェクション管46に冷媒を流さないようにしている。
【0129】
−特徴−
ここでは、上記の液圧調整膨張弁26によって気液二相状態の冷媒を液冷媒連絡管5に流して室外ユニット2側から室内ユニット3a、3b側に送る冷媒の二相搬送を行う構成において、上記のように、冷媒戻し管41及び冷媒戻し管41を流れる冷媒によって室外液冷媒管34のうち液圧調整膨張弁26よりも室外熱交換器23側の部分を流れる冷媒を冷却する冷媒冷却器45をさらに設けている。
【0130】
ここで、上記の液インジェクション管46を設けずに、このような冷媒戻し管41及び冷媒冷却器45を設ける場合を想定すると、冷媒戻し管41を流れる冷媒は、冷媒冷却器45を流れる冷媒を冷却した後に圧縮機21に送られるため、これにより、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えることができる。しかし、冷媒戻し管41を流れる冷媒は、冷媒冷却器45において室外液冷媒管34を流れる冷媒を冷却した後に圧縮機21に送られるため、冷媒冷却器45を通過した後の室外液冷媒管34を流れる冷媒の温度(液管温度Tlp)は、冷媒戻し管41を流れる冷媒の流量に応じて変動し、その結果、液圧調整膨張弁26で減圧された後の液冷媒連絡管5を流れる冷媒の状態も変動する。例えば、冷媒戻し管41を流れる冷媒の流量が多くなりすぎると、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇をある程度抑えることができるものの、液管温度Tlpが低下しすぎることになり、その結果、液圧調整膨張弁26で減圧された後の液冷媒連絡管5を流れる冷媒が液成分の多い気液二相状態になる。
【0131】
すなわち、液圧調整膨張弁26を有する構成において、冷媒戻し管41及び冷媒冷却器45を設けただけでは、所望の気液二相状態を維持することができない場合があるため、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えつつ、冷媒の二相搬送を良好に行うことが難しい。
【0132】
そこで、ここでは、冷媒戻し管41及び冷媒冷却器45だけでなく、上記の液インジェクション管46をさらに設けている。このような液インジェクション管46を設けると、液管温度Tlpの変動を抑えつつ(
図9の点J参照)、圧縮機21に冷媒を送ることができるため、冷媒戻し管41を流れる冷媒の流量を多くしなくても、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えることができる。そして、冷媒戻し管41を流れる冷媒の流量が多くなければ、液管温度Tlpが低下しすぎることもなくなるため、その結果、液圧調整膨張弁26で減圧された後の液冷媒連絡管5を流れる冷媒が液成分の多い気液二相状態にならない。このように、ここでは、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えつつ(
図9の点B参照)、液冷媒連絡管5を流れる冷媒を所望の気液二相状態を維持することができる(
図9の点D参照)。
【0133】
すなわち、ここでは、液圧調整膨張弁26を有する構成において、上記の冷媒戻し管41及び冷媒冷却器45とともに、上記の液インジェクション管46を設けることによって、圧縮機21の吐出温度tdの上昇を抑えつつ、冷媒の二相搬送を良好に行うことができる。
【0134】
また、ここでは、上記のように、制御部19が、室外熱交換器23の液側端における冷媒の過冷却度SCoが目標過冷却度SCotになるように、液圧調整膨張弁26の開度を制御することによって、液冷媒連絡管5を流れる冷媒が気液二相状態になるように液圧調整膨張弁26による減圧を行わせている。このため、ここでは、室外熱交換器23の保有冷媒量を所望の状態に維持しやすくなり(
図9の点C参照)、その結果、冷媒冷却器45に送る冷媒の状態を安定させることができる。
【0135】
しかも、ここでは、液インジェクション管46に、室外液冷媒管34から分岐された冷媒を減圧する液インジェクション膨張弁47を設け、冷媒戻し管41に、室外液冷媒管34から分岐された冷媒を減圧する冷媒戻し膨張弁44を設けている。そして、制御部19は、圧縮機21の吐出温度Tdが所定の吐出温度閾値Tdx(例えば、上限吐出温度)を超えないように、液インジェクション膨張弁47の開度を制御するとともに、室外液冷媒管34のうち冷媒冷却器45と液圧調整膨張弁26との間の部分における冷媒の温度(液管温度Tlp)が目標液管温度Tlptになるように、冷媒戻し膨張弁44の開度を制御している。このように、ここでは、液インジェクション管46に設けられた液インジェクション膨張弁47の開度を制御することによって、液インジェクション管46を通じて室外液冷媒管34から圧縮機21に送られる冷媒の流量を調節することができるため、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を確実に抑えることができる(
図9の点B参照)。しかも、ここでは、冷媒戻し管41に設けられた冷媒戻し膨張弁44の開度を制御することによって、冷媒冷却器45において室外液冷媒管34を流れる冷媒と熱交換を行う冷媒の流量を調節することができるため、液管温度Tlpを目標液管温度Tlptで一定にすることができる(
図9の点J参照)。そして、液管温度Tlpを一定にすることによって、液圧調整膨張弁26で減圧された後の液冷媒連絡管5を流れる冷媒を所望の気液二相状態を確実に維持することができる(
図9の点D参照)。このように、ここでは、液圧調整膨張弁26による冷媒の二相搬送を行うのに当たり、液管温度Tlpを一定に維持するために冷媒戻し管41及び冷媒冷却器45を使用するとともに、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えるために液インジェクション管46を使用しているのである。
【0136】
また、ここでは、圧縮機21に吸入される冷媒が流れる吸入冷媒管31に、液インジェクション管46及び冷媒戻し管41を接続している。このため、ここでは、室外液冷媒管34から分岐した冷媒を圧縮機21の吸入側に送ることができるため、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を低下させることができる(
図9の点H、A参照)。特に、ここでは、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の出口側の部分に、液インジェクション管46及び冷媒戻し管41を接続しており、アキュムレータ29を介さずに液インジェクション管46を流れる冷媒を圧縮機21に吸入される冷媒に合流させることができるようになっている。このため、ここでは、液インジェクション管46及び/又は冷媒戻し管41がアキュムレータ29の入口側に接続される場合に比べて、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を低下させる効果を向上させることができる。
【0137】
<変形例1>
上記第2実施形態(
図8参照)の空気調和装置1では、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の出口側の部分に、液インジェクション管46及び冷媒戻し管41を接続しており、これにより、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を低下させる効果を向上させるようにしている。しかし、液インジェクション管46及び冷媒戻し管41の吸入冷媒管31への接続位置は、これに限定されるものではない。
【0138】
ここでは、
図10に示すように、吸入冷媒管34のうちアキュムレータ29の入口側の部分に、液インジェクション管46及び冷媒戻し管41を接続しており、アキュムレータ29を介して液インジェクション管46を流れる冷媒を圧縮機21に吸入される冷媒に合流させることができるようになっている。このため、ここでは、液インジェクション管47及び冷媒戻し管41がアキュムレータ29の出口側に接続される場合に比べて、例えば、圧縮機21における液圧縮を防ぐことができる。尚、この構成では、アキュムレータ29の底部から吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の出口側の部分に冷媒を送る返液管31aを設けておき、制御部19が返液管31aに設けられた返液弁31bを制御することによって、アキュムレータ29内に溜まった液冷媒を圧縮機21に戻すようにしてもよい。
【0139】
また、ここでは図示しないが、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の出口側の部分に、液インジェクション管46を接続し、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分に、冷媒戻し管41を接続してもよい。また、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分に、液インジェクション管46を接続し、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の出口側の部分に、冷媒戻し管41を接続してもよい。
【0140】
<変形例2>
上記第2実施形態及び変形例1(
図8、10参照)の空気調和装置1では、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分又はアキュムレータ29の出口側の部分に、液インジェクション管46及び/又は冷媒戻し管41を接続している。しかし、液インジェクション管46及び/又は冷媒戻し管41の吸入冷媒管31への接続位置は、これらに限定されるものではない。
【0141】
ここでは、
図11に示すように、液インジェクション管46を2つに分岐し、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分及びアキュムレータ29の出口側の部分の両方に、液インジェクション管46を接続している。ここで、液インジェクション管46のうちアキュムレータ29の出口側の部分に接続されるほうを第1液インジェクション管46aとし、液インジェクション管46のうちアキュムレータ29の入口側の部分に接続されるほうを第2液インジェクション管46bとする。このように、ここでは、液インジェクション管46をアキュムレータ29の入口側及び出口側の両方に接続することで、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を低下させる効果を向上させたい場合には、液インジェクション管46を流れる冷媒をアキュムレータ29の出口側に送り、例えば、圧縮機21における液圧縮を防ぎたい場合には、液インジェクション管46を流れる冷媒をアキュムレータ29の入口側に送るようにしてもよい。また、ここでは、
図12に示すように、冷媒戻し管41を2つに分岐し、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分及びアキュムレータ29の出口側の部分の両方に、冷媒戻し管41を接続してもよい。ここで、冷媒戻し管41のうちアキュムレータ29の出口側の部分に接続されるほうが第1冷媒戻し管41aであり、冷媒戻し管41のうちアキュムレータ29の入口側の部分に接続されるほうが第2冷媒戻し管41bである。
【0142】
また、
図11の液インジェクション管46を2つに分岐し、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分及びアキュムレータ29の出口側の部分の両方に、液インジェクション管46を接続した構成を利用して、圧縮機21の吐出圧力Pdの上昇を抑えることができる。具体的には、液インジェクション管46のうちアキュムレータ29の入口側の部分に接続される第2液インジェクション管46bに、液抜き弁46dを設けておき、圧縮機21の吐出圧力Pdが所定の吐出圧力閾値Pdx(例えば、上限吐出圧力)を超えないように液抜き弁46dを制御する。具体的には、制御部19は、吐出圧力Pdが吐出圧力閾値Pdxまで上昇した場合に、吐出圧力Pdが吐出圧力閾値pdx以下になるまで、液抜き弁46dを開ける制御を行う。これにより、液インジェクション管46を通じて、室外熱交換器23内に存在する液冷媒をアキュムレータ29に送って待避させることができ、その結果、吐出圧力Pdの上昇を抑えることができる。このように、ここでは、液インジェクション管46のうちアキュムレータ29の入口側に接続される第2液インジェクション管46bに設けられた液抜き弁46dを制御することによって、液インジェクション管46を通じて室外液冷媒管34からアキュムレータ29に冷媒を送ることができるため、圧縮機21の吐出圧力Pdの上昇を抑えることができる。尚、この構成では、上記の液抜き制御時に、第2液インジェクション管46bに多くの冷媒を流すことができるように、第1液インジェクション管46aに流動抵抗となるキャピラリーチューブ46cを設けている。また、
図12の冷媒戻し管41を2つに分岐し、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分及びアキュムレータ29の出口側の部分の両方に、冷媒戻し管41を接続した構成を利用して、圧縮機21の吐出圧力Pdの上昇を抑えるようにしてもよい。具体的には、液インジェクション管46の場合と同様に、冷媒戻し管41のうちアキュムレータ29の入口側の部分に接続される第2冷媒戻し管41bに、液抜き弁41dを設けておき、圧縮機21の吐出圧力Pdが吐出圧力閾値Pdxを超えないように液抜き弁41dを制御するのである。尚、この構成においても、上記の液抜き制御時に、第2冷媒戻し管41bに多くの冷媒を流すことができるように、第1冷媒戻し管41aに流動抵抗となるキャピラリーチューブ41cを設けてもよい。
【0143】
<変形例3>
上記第2実施形態(
図8参照)の空気調和装置1では、吸入冷媒管31に液インジェクション管46及び冷媒戻し管41を接続することで、室外液冷媒管34から分岐した冷媒を圧縮機21の吸入側に送るようにし、これにより、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を低下させ(
図2の点H、A参照)、その結果、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えるようにしている。しかし、液インジェクション管46及び冷媒戻し管41を流れる冷媒の圧縮機21への送り先は、これに限定されるものではない。
【0144】
ここでは、
図13に示すように、圧縮機21の圧縮行程の途中部分に冷媒戻し管41を接続するようにしてもよい。
【0145】
この構成では、
図13及び
図14に示すように、室外液冷媒管34から冷媒戻し管41に分岐した冷媒を圧縮機21の圧縮行程の途中部分に送り、圧縮機21において中間圧まで圧縮された冷媒の温度も低下させる点(
図14の点K参照)で、上記第2実施形態と異なっている。尚、この場合においても、冷媒の二相搬送を行うための液圧調整膨張弁26の制御等は、上記第2実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0146】
また、
図15に示すように、圧縮機21の圧縮行程の途中部分に液インジェクション管46を接続するようにしてもよい。
【0147】
この構成では、
図15及び
図16に示すように、上記第2実施形態(
図9の点H、A参照)とは異なり、室外液冷媒管34から液インジェクション管46に分岐した冷媒を圧縮機21の圧縮行程の途中部分に送り、圧縮機21において中間圧まで圧縮された冷媒の温度を低下させることで(
図16の点L参照)、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えることができる。尚、この場合においても、冷媒の二相搬送を行うための液圧調整膨張弁26の制御等は、上記第2実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0148】
さらに、ここでは図示しないが、室外液冷媒管34から液インジェクション管46及び冷媒戻し管41に分岐した冷媒の両方を圧縮機21の圧縮行程の途中部分に送るようにして、
図16と同様に、圧縮機21において中間圧まで圧縮された冷媒の温度を低下させるようにしてもよい。
【0149】
<変形例4>
上記第2実施形態の変形例3(
図13参照)の空気調和装置1においても、上記変形例2(
図11参照)と同様に、
図17に示すように、液インジェクション管46を2つに分岐し、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分及び圧縮機21の圧縮行程の途中部分の両方に、液インジェクション管46を接続してもよい。ここで、液インジェクション管46のうち圧縮機21の圧縮行程の途中部分に接続されるほうを第1液インジェクション管46aとし、液インジェクション管46のうちアキュムレータ29の入口側の部分に接続されるほうを第2液インジェクション管46bとする。このように、ここでは、液インジェクション管46を吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分及び圧縮機21の圧縮行程の途中部分の両方に接続することで、圧縮機21において中間圧まで圧縮された冷媒の温度を低下させたい場合には、液インジェクション管46を流れる冷媒を圧縮機21の圧縮行程の途中部分に送り、例えば、圧縮機21における液圧縮を防ぎたい場合には、液インジェクション管46を流れる冷媒をアキュムレータの入口側に送ることができる。また、ここでは、
図18に示すように、冷媒戻し管41を2つに分岐し、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分及び圧縮機21の圧縮行程の途中部分の両方に、冷媒戻し管41を接続してもよい。ここで、冷媒戻し管41のうちアキュムレータ29の出口側の部分に接続されるほうが第1冷媒戻し管41aであり、冷媒戻し管41のうちアキュムレータ29の入口側の部分に接続されるほうが第2冷媒戻し管41bである。
【0150】
また、
図17の液インジェクション管46を2つに分岐し、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分及び圧縮機21の圧縮行程の途中部分の両方に、液インジェクション管46を接続した構成を利用して、圧縮機21の吐出圧力Pdの上昇を抑えることができる。具体的には、液インジェクション管46のうちアキュムレータ29の入口側の部分に接続される第2液インジェクション管46bに、液抜き弁46dを設けておき、圧縮機21の吐出圧力Pdが所定の吐出圧力閾値Pdx(例えば、上限吐出圧力)を超えないように液抜き弁46dを制御する。具体的には、制御部19は、吐出圧力Pdが吐出圧力閾値Pdxまで上昇した場合に、吐出圧力Pdが吐出圧力閾値pdx以下になるまで、液抜き弁46dを開ける制御を行う。これにより、液インジェクション管46を通じて、室外熱交換器23内に存在する液冷媒をアキュムレータ29に送って待避させることができ、その結果、吐出圧力Pdの上昇を抑えることができる。このように、ここでは、液インジェクション管46のうちアキュムレータ29の入口側に接続される第2液インジェクション管46bに設けられた液抜き弁46dを制御することによって、液インジェクション管46を通じて室外液冷媒管34からアキュムレータ29に冷媒を送ることができるため、圧縮機21の吐出圧力Pdの上昇を抑えることができる。また、
図18の冷媒戻し管41を2つに分岐し、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分及び圧縮機21の圧縮行程の途中部分の両方に、冷媒戻し管41を接続した構成を利用して、圧縮機21の吐出圧力Pdの上昇を抑えるようにしてもよい。具体的には、液インジェクション管46の場合と同様に、冷媒戻し管41のうちアキュムレータ29の入口側の部分に接続される第2冷媒戻し管41bに、液抜き弁41dを設けておき、圧縮機21の吐出圧力Pdが吐出圧力閾値Pdxを超えないように液抜き弁41dを制御するのである。
【0151】
(3)第3実施形態
<構成>
図19は、本発明の第3実施形態にかかる空気調和装置1の概略構成図である。空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルによって、ビル等の室内の冷房や暖房を行う装置である。空気調和装置1は、主として、室外ユニット2と、互いが並列に接続される複数(ここでは、4つ)の室内ユニット3a、3b、3c、3dと、各室内ユニット3a、3b、3c、3dに接続される中継ユニット4a、4b、4c、4dと、中継ユニット4a、4b、4c、4dを介して室外ユニット2と室内ユニット3a、3b、3c、3dとを接続する冷媒連絡管5、6と、室外ユニット2、室内ユニット3a、3b、3c、3d及び中継ユニット4a、4b、4c、4dの構成機器を制御する制御部19と、を有している。そして、空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路10は、室外ユニット2と、室内ユニット3a、3b、3c、3dと、中継ユニット4a、4b、4c、4dと、冷媒連絡管5、6とが接続されることによって構成されている。冷媒回路10には、R32等の冷媒が充填されている。そして、空気調和装置1は中継ユニット4a、4b、4c、4dによって、各室内ユニット3a、3b、3c、3dが個別に冷房運転又は暖房運転を行うことが可能になっており、暖房運転を行う室内ユニットから冷房運転を行う室内ユニットに冷媒を送ることで室内ユニット間において熱回収を行うこと(ここでは、冷房運転と暖房運転とを同時に行う冷暖同時運転を行うこと)が可能になるように構成されている。
【0152】
−冷媒連絡管−
液冷媒連絡管5は、主として、室外ユニット2から延びる合流管部と、中継ユニット4a、4b、4c、4dの手前で複数(ここでは、4つ)に分岐した第1分岐管部5a、5b、5c、5dと、中継ユニット4a、4b、4c、4dと室内ユニット3a、3b、3c、3dとを接続する第2分岐管部5aa、5bb、5cc、5ddと、を有している。
また、ガス冷媒連絡管6は、主として、高低圧ガス冷媒連絡管7と、低圧ガス冷媒連絡管8と、中継ユニット4a、4b、4c、4dと室内ユニット3a、3b、3c、3dとを接続する分岐管部6a、6b、6c、6dと、を有している。高低圧ガス冷媒連絡管7は、室外ユニット2から延びる合流管部と、中継ユニット4a、4b、4c、4dの手前で複数(ここでは、4つ)に分岐した分岐管部7a、7b、7c、7dと、を有している。低圧ガス冷媒連絡管8は、室外ユニット2から延びる合流管部と、中継ユニット4a、4b、4c、4dの手前で複数(ここでは、4つ)に分岐した分岐管部8a、8b、8c、8dと、を有している。
【0153】
−室内ユニット−
室内ユニット3a、3b、3c、3dは、ビル等の室内に設置されている。室内ユニット3a、3b、3c、3dは、上記のように、液冷媒連絡管5、ガス冷媒連絡管6(高低圧ガス冷媒連絡管7、低圧ガス冷媒連絡管8及び分岐管部6a、6b、6c、6d)及び中継ユニット4a、4b、4c、4dを介して室外ユニット2に接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0154】
尚、室内ユニット3a、3b、3c、3dの構成は、第1及び第2実施形態の室内ユニット3a、3bと同じ構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0155】
−中継ユニット−
中継ユニット4a、4b、4c、4dは、ビル等の室内に室内ユニット3a、3b、3c、3dとともに設置されている。中継ユニット4a、4b、4c、4dは、液冷媒連絡管5及びガス冷媒連絡管6(高低圧ガス冷媒連絡管7、低圧ガス冷媒連絡管8及び分岐管部6a、6b、6c、6d)とともに、室内ユニット3a、3b、3c、3dと室外ユニット2との間に介在しており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0156】
次に、中継ユニット4a、4b、4c、4dの構成について説明する。尚、中継ユニット4aと中継ユニット4b、4c、4dとは同様の構成であるため、ここでは、中継ユニット4aの構成のみ説明し、中継ユニット4b、4c、4dの構成については、それぞれ、中継ユニット4aの各部を示す符号の添字「a」の代わりに、「b」、「c」又は「d」の添字を付して、各部の説明を省略する。
【0157】
中継ユニット4aは、主として、液接続管61aと、ガス接続管62aと、を有している。
【0158】
液接続管61aは、その一端が液冷媒連絡管5の第1分岐管部5aに接続され、他端が液冷媒連絡管5の第2分岐管部5aaに接続されている。
【0159】
ガス接続管62aは、高低圧ガス冷媒連絡管7の分岐管部7aに接続された高圧ガス接続管63aと、低圧ガス冷媒連絡管8の分岐管部8aに接続された低圧ガス接続管64aと、高圧ガス接続管63aと低圧ガス接続管64aとを合流させる合流ガス接続管65aとを有している。合流ガス接続管65aは、ガス冷媒連絡管6の分岐管部6aに接続されている。高圧ガス接続管63aには、高圧ガス弁66aが設けられており、低圧ガス接続管64aには、低圧ガス弁67aが設けられている。ここでは、高圧ガス弁66a及び低圧ガス弁67aは、電動膨張弁からなる。
【0160】
そして、中継ユニット4aは、室内ユニット3aが冷房運転を行う際には、低圧ガス弁67aを開けた状態にして、液冷媒連絡管5の第1分岐管部5aを通じて液接続管61aに流入する冷媒を、液冷媒連絡管5の第2分岐管部5aaを通じて室内ユニット3aに送り、その後、室内熱交換器52aにおいて室内空気との熱交換によって蒸発した冷媒を、ガス冷媒連絡管6の分岐管部6a、合流ガス接続管65a及び低圧ガス接続管64aを通じて、低圧ガス冷媒連絡管8の分岐管部8aに戻すように機能することができる。また、中継ユニット4aは、室内ユニット3aが暖房運転を行う際には、低圧ガス弁67aを閉止し、かつ、高圧ガス弁66aを開けた状態にして、高低圧ガス冷媒連絡管7の分岐管部7aを通じて高圧ガス接続管63a及び合流ガス接続管65aに流入する冷媒を、ガス冷媒連絡管6の分岐管部6aを通じて室内ユニット3aに送り、その後、室内熱交換器52aにおいて室内空気との熱交換によって放熱した冷媒を、液冷媒連絡管5の第2分岐管部5aa及び液接続管61aを通じて、液冷媒連絡管5の第1分岐管部5aに戻すように機能することができる。この機能は、中継ユニット4aだけでなく、中継ユニット4b、4c、4dも同様に有しているため、中継ユニット4a、4b、4c、4dによって、室内熱交換器52a、52b、52c、52dは、個別に冷媒の蒸発器又は放熱器として機能させる切り換えが可能になっている。
【0161】
−室外ユニット−
室外ユニット2は、ビル等の室外に設置されている。室外ユニット2は、上記のように、液冷媒連絡管5、ガス冷媒連絡管6(高低圧ガス冷媒連絡管7、低圧ガス冷媒連絡管8及び分岐管部6a、6b、6c、6d)及び中継ユニット4a、4b、4c、4dを介して室内ユニット3a、3b、3c、3dに接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0162】
室外ユニット2は、主として、圧縮機21と、複数(ここでは、2つ)の室外熱交換器23a、23bと、を有している。また、室外ユニット2は、各室外熱交換器23a、23bを冷媒の放熱器として機能させる放熱運転状態と、各室外熱交換器23a、23bを冷媒の蒸発器として機能させる蒸発運転状態と、を切り換えるための切換機構22a、22bを有している。切換機構22a、22bと圧縮機21の吸入側とは、吸入冷媒管31によって接続されている。吸入冷媒管31には、圧縮機21に吸入される冷媒を一時的に溜めるアキュムレータ29が設けられている。圧縮機21の吐出側と切換機構22a、2bとは、吐出冷媒管32によって接続されている。切換機構22aと室外熱交換器23a、23bのガス側端とは、第1室外ガス冷媒管33a、33bによって接続されている。室外熱交換器23a、23bの液側端と液冷媒連絡管5とは、室外液冷媒管34によって接続されている。室外液冷媒管34の液冷媒連絡管5との接続部には、液側閉鎖弁27が設けられている。また、室外ユニット2は、圧縮機21から吐出された冷媒を高低圧ガス冷媒連絡管7に送る冷媒導出状態と、高低圧ガス冷媒連絡管7を流れる冷媒を吸入冷媒管31に送る冷媒導入状態と、を切り換えるための第3切換機構22cを有している。第3切換機構22cと高低圧ガス冷媒連絡管7とは、第2室外ガス冷媒管35によって接続されている。第3切換機構22cと圧縮機21の吸入側とは、吸入冷媒管31によって接続されている。圧縮機21の吐出側と第3切換機構22cとは、吐出冷媒管32によって接続されている。第2室外ガス冷媒管35の高低圧ガス冷媒連絡管7との接続部には、高低圧ガス側閉鎖弁28aが設けられている。吸入冷媒管31は、低圧ガス冷媒連絡管8に接続されている。吸入冷媒管31と低圧ガス冷媒連絡管8との接続部には、低圧ガス側閉鎖弁28bが設けられている。液側閉鎖弁27及びガス側閉鎖弁28a、28bは、手動で開閉される弁である。
【0163】
圧縮機21は、冷媒を圧縮するための機器であり、例えば、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素(図示せず)が圧縮機用モータ21aによって回転駆動される密閉式構造の圧縮機が使用される。
【0164】
第1切換機構22aは、第1室外熱交換器23aを冷媒の放熱器として機能させる場合(以下、「室外放熱状態」とする)には圧縮機21の吐出側と第1室外熱交換器23aのガス側とを接続し(
図19の第1切換機構22aの実線を参照)、第1室外熱交換器23aを冷媒の蒸発器として機能させる場合(以下、「室外蒸発状態」とする)には圧縮機21の吸入側と第1室外熱交換器23aのガス側とを接続するように(
図19の第1切換機構22aの破線を参照)、冷媒回路10内における冷媒の流れを切り換えることが可能な機器であり、例えば、四路切換弁からなる。また、第2切換機構22bは、第2室外熱交換器23bを冷媒の放熱器として機能させる場合(以下、「室外放熱状態」とする)には圧縮機21の吐出側と第2室外熱交換器23bのガス側とを接続し(
図19の第2切換機構22bの実線を参照)、第2室外熱交換器23bを冷媒の蒸発器として機能させる場合(以下、「室外蒸発状態」とする)には圧縮機21の吸入側と第2室外熱交換器23bのガス側とを接続するように(
図19の第2切換機構22bの破線を参照)、冷媒回路10内における冷媒の流れを切り換えることが可能な機器であり、例えば、四路切換弁からなる。そして、切換機構22a、22bの切り換え状態を変更することによって、室外熱交換器23a、23bは、個別に冷媒の蒸発器又は放熱器として機能させる切り換えが可能になっている。
【0165】
第1室外熱交換器23aは、冷媒の放熱器として機能する、又は、冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。第2室外熱交換器23bは、冷媒の放熱器として機能する、又は、冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。ここで、室外ユニット2は、室外ユニット2内に室外空気を吸入して、室外熱交換器23a、23bにおいて冷媒と熱交換させた後に、外部に排出するための室外ファン24を有している。すなわち、室外ユニット2は、室外熱交換器23a、23bを流れる冷媒の冷却源又は加熱源としての室外空気を室外熱交換器23a、23bに供給するファンとして、室外ファン24を有している。ここでは、室外ファン24は、室外ファン用モータ24aによって駆動される。
【0166】
第3切換機構23cは、圧縮機21から吐出された冷媒を高低圧ガス冷媒連絡管7に送る場合(以下、「冷媒導出状態」とする)には圧縮機21の吐出側と高低圧ガス冷媒連絡管7とを接続し(
図19の第3切換機構22cの破線を参照)、高低圧ガス冷媒連絡管7を流れる冷媒を吸入冷媒管31に送る場合(以下、「冷媒導入状態」とする)には圧縮機21の吸入側と高低圧ガス冷媒連絡管7を接続するように(
図19の第3切換機構22cの実線を参照)、冷媒回路10内における冷媒の流れを切り換えることが可能な機器であり、例えば、四路切換弁からなる。
【0167】
そして、空気調和装置1では、圧縮機21、室外熱交換器23a、23b、液冷媒連絡管5及び室内熱交換器52a、52b、52c、52dのみに着目した場合に、圧縮機21から吐出された冷媒を室外熱交換器23、液冷媒連絡管5、室内熱交換器52a、52b、52c、52dの順に流す運転(全冷房運転及び冷房主体運転)を行うようになっている。ここで、全冷房運転とは、冷媒の蒸発器として機能している室内熱交換器のみが存在する運転状態を意味し、冷房主体運転とは、冷媒の蒸発器として機能している室内熱交換器及び冷媒の放熱器として機能している室内熱交換器の両方が混在しているが、全体としては蒸発側の負荷が大きい状態を意味する。また、空気調和装置1では、圧縮機21、ガス冷媒連絡管6、室内熱交換器52a、52b、52c、52d、液冷媒連絡管5及び室外熱交換器23a、23bのみに着目した場合に、圧縮機21から吐出された冷媒をガス冷媒連絡管6、室内熱交換器52a、52b、52c、52d、液冷媒連絡管5、室外熱交換器23a、23bの順に流す運転(全暖房運転及び暖房主体運転)を行うようになっている。ここで、全暖房運転とは、冷媒の放熱器として機能している室内熱交換器のみが存在する運転状態を意味し、暖房主体運転とは、冷媒の蒸発器として機能している室内熱交換器及び冷媒の放熱器として機能している室内熱交換器の両方が混在しているが、全体としては放熱側の負荷が大きい状態を意味する。尚、ここでは、全冷房運転及び冷房主体運転時には、切換機構22a、22bの少なくとも一方が室外放熱状態に切り換えられて、室外熱交換器23a、23b全体としては冷媒の放熱器として機能し、液冷媒連絡管5を通じて室外ユニット2側から室内ユニット3a、3b、3c、3d側に冷媒が流れる状態になる。また、全暖房運転及び暖房主体運転時には、切換機構22a、22bの少なくとも一方が室外蒸発状態に切り換えられ、かつ、第3切換機構22cが冷媒導出状態に切り換えられて、室外熱交換器23a、23b全体としては冷媒の蒸発器として機能し、液冷媒連絡管5を通じて室内ユニット3a、3b、3c、3d側から室外ユニット2側に冷媒が流れる状態になる。
【0168】
また、ここでは、室外液冷媒管34に、第2実施形態の室外ユニット2と同様に、液圧調整膨張弁26、液インジェクション管46、冷媒戻し管41及び冷媒冷却器45が設けられている。液圧調整膨張弁26、液インジェクション管46、冷媒戻し管41及び冷媒冷却器45の構成は、第2実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0169】
−制御部−
制御部19は、室外ユニット2や室内ユニット3a、3b、3c、3d、中継ユニット4a、4b、4c、4dに設けられた制御基板等(図示せず)が通信接続されることによって構成されている。尚、
図19においては、便宜上、室外ユニット2や室内ユニット3a、3b、中継ユニット4a、4b、4c、4dとは離れた位置に図示している。制御部19は、上記のような各種センサ36、37、38、39、40、49、57a〜57d、58a〜58d、59a〜59dの検出信号等に基づいて空気調和装置1(ここでは、室外ユニット2、室内ユニット3a、3b、3c、3d及び中継ユニット4a、4b、4c、4d)の各種構成機器21、22a〜22c、24、25a、25b、26、41、47、51a〜51d、55a〜55d、66a〜66d、67a〜67dの制御、すなわち、空気調和装置1全体の運転制御を行うようになっている。
【0170】
<空気調和装置の動作及び特徴>
次に、空気調和装置1の動作及び特徴について、
図19及び
図9を用いて説明する。
【0171】
空気調和装置1では、上記のように、全冷房運転、冷房主体運転、全暖房運転及び暖房主体運転が行われる。そして、全冷房運転及び冷房主体運転においては、第1及び第2実施形態と同様に、室外液冷媒管34に設けられた液圧調整膨張弁26によって、気液二相状態の冷媒を液冷媒連絡管5に流して室外ユニット2側から室内ユニット3a、3b、3c、3d側に送る冷媒の二相搬送が行われる。さらに、全冷房運転及び冷房主体運転においては、室外液冷媒管34を流れる冷媒の一部を分岐して圧縮機21に送る冷媒戻し管41、及び、冷媒戻し管41を流れる冷媒によって室外液冷媒管34のうち液圧調整膨張弁26よりも室外熱交換器23側の部分を流れる冷媒を冷却する冷媒冷却器45によって、室外液冷媒管34のうち冷媒冷却器45と液圧調整膨張弁26との間の部分における冷媒を冷却する動作が行われる。さらに、全冷房運転及び冷房主体運転においては、室外液冷媒管34のうち液圧調整膨張弁26よりも室外熱交換器23側の部分に室外液冷媒管34を流れる冷媒の一部を分岐して圧縮機21に送る液インジェクション管46によって、室外液冷媒管34を流れる冷媒の温度(液管温度Tlp)の変動を抑えつつ、圧縮機21に冷媒を送る動作が行われる。尚、空気調和装置1の動作は、空気調和装置1の構成機器を制御する制御部19によって行われる。また、以下の説明では、液圧調整膨張弁26等の制御を伴う運転を代表して、全冷房運転について説明を行い、冷房主体運転については説明を省略する。
【0172】
全冷房運転の際、例えば、室内ユニット3a、3b、3c、3dの全てが冷房運転(すなわち、室内熱交換器52a、52b、52c、52dの全てが冷媒の蒸発器として機能し、かつ、室外熱交換器23a、23bが冷媒の放熱器として機能する運転)を行う際には、切換機構22a、22bが室外放熱状態(
図19の切換機構22a、22bの実線で示された状態)に切り換えられて、圧縮機21、室外ファン24及び室内ファン55a、55bが駆動される。また、第3切換機構22cが冷媒導入状態(
図19の切換機構22cの実線で示された状態)に切り換えられ、中継ユニット4a、4b、4c、4dの高圧ガス弁66a、66b、66c、66d及び低圧ガス弁67a、67b、67c、67dは開状態にされる。
【0173】
すると、圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、切換機構22a、22bを通じて室外熱交換器23a、23bに送られる(
図19、9の点B参照)。室外熱交換器23a、23bに送られた冷媒は、冷媒の放熱器として機能する室外熱交換器23a、23bにおいて、室外ファン24によって供給される室外空気と熱交換を行って冷却されることによって凝縮する(
図19、9の点C参照)。この冷媒は、室外膨張弁25a、25b、冷媒冷却器45、液圧調整膨張弁26及び液側閉鎖弁27を通じて室外ユニット2から流出する(
図19、9の点D参照)。
【0174】
室外ユニット2から流出した冷媒は、液冷媒連絡管5及び中継ユニット4a、4b、4c、4dを通じて室内ユニット3a、3b、3c、3dに分岐して送られる(
図19、9の点E参照)。室内ユニット3a、3b、3c、3dに送られた冷媒は、室内膨張弁51a、51b、51c、51dによって低圧まで減圧された後に、室内熱交換器52a、52b、52c、52dに送られる(
図19、9の点F参照)。室内熱交換器52a、52b、52c、52dに送られた冷媒は、冷媒の蒸発器として機能する室内熱交換器52a、52b、52c、52dにおいて、室内ファン55a、55bによって室内から供給される室内空気と熱交換を行って加熱されることによって蒸発する(
図19、9の点G参照)。この冷媒は、室内ユニット3a、3b、3c、3dから流出する。一方、室内熱交換器52a、52b、52c、52dにおいて冷却された室内空気は、室内に送られ、これにより、室内の冷房が行われる。
【0175】
室内ユニット3a、3b、3c、3dから流出した冷媒は、ガス冷媒連絡管6及び中継ユニット4a、4b、4c、4dを通じて室外ユニット2に合流して送られる(
図19、9の点H参照)。室外ユニット2に送られた冷媒は、ガス側閉鎖弁28及びアキュムレータ29を通じて圧縮機21に吸入される(
図19、9の点A参照)。
【0176】
ここで、上記の全冷房運転の際には、第1及び第2実施形態の冷房運転の際と同様に、液圧調整膨張弁26によって気液二相状態の冷媒を液冷媒連絡管5に流して室外ユニット2側から室内ユニット3a、3b、3c、3d側に送る冷媒の二相搬送を行うようにしている。しかも、冷媒の二相搬送を行うにあたり、第2実施形態の冷房運転の際と同様に、冷媒戻し管41及び冷媒冷却器45によって室外液冷媒管34を流れる冷媒を冷却し、そして、液インジェクション管46によって圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えつつ、冷媒の二相搬送を良好に行えるようにしている。この動作の詳細については、第2実施形態の冷房運転における冷媒の二相搬送に関する動作及び制御と同じであるため、ここでは説明を省略する。また、冷房主体運転の場合も、冷媒の二相搬送に関する動作及び制御は、全冷房運転の場合と同様である。
【0177】
<変形例>
上記第3実施形態(
図19参照)の空気調和装置1においては、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の出口側の部分に、液インジェクション管46及び冷媒戻し管41を接続しているが、これに限定されるものではなく、第2実施形態及び変形例1〜4と同様に、液インジェクション管46や冷媒戻し管41の接続位置を工夫してもよい。
【0178】
また、上記第3実施形態(
図19参照)の空気調和装置1においては、冷媒戻し管41及び冷媒冷却器45を有しているが、これに限定されるものではなく、第1実施形態及び変形例1〜4と同様に、冷媒戻し管41及び冷媒冷却器45を有しない構成を採用してもよい。
【0179】
(4)他の実施形態
<A>
上記第2及び第3実施形態及び変形例の空気調和装置1においては、液インジェクション管46が、室外液冷媒管34のうち冷媒冷却器45と液圧調整膨張弁26との間の部分に接続されているが、これに限定されるものではない。
【0180】
例えば、
図20に示すように、液インジェクション管46を、室外液冷媒管34のうち冷媒戻し管41の分岐位置よりも室外熱交換器23寄りの位置に接続してもよい。また、
図21に示すように、液インジェクション管46を、室外液冷媒管34のうち冷媒戻し管41の分岐位置と冷媒冷却器45との間の位置に接続してもよい。
【0181】
<B>
上記第2及び第3実施形態及び変形例の空気調和装置1においては、冷媒冷却器45が、冷房運転(全冷房運転や冷房主体運転も同様)の際に、冷媒戻し管41を流れる冷媒と室外液冷媒管34を流れる冷媒とが対向流になる形式の熱交換器であり、かつ、冷媒戻し管41が室外液冷媒管34のうち冷媒冷却器45の上流側の位置から分岐されているが、これに限定されるものではない。
【0182】
例えば、
図22に示すように、冷媒冷却器45が、冷房運転(全冷房運転や冷房主体運転も同様)の際に、冷媒戻し管41を流れる冷媒と室外液冷媒管34を流れる冷媒とが並行流になる形式の熱交換器であり、かつ、冷媒戻し管41が室外液冷媒管34のうち冷媒冷却器45の上流側の位置から分岐されていてもよい。また、
図23に示すように、冷媒冷却器45が、冷房運転(全冷房運転や冷房主体運転も同様)の際に、冷媒戻し管41を流れる冷媒と室外液冷媒管34を流れる冷媒とが対向流になる形式の熱交換器であり、かつ、冷媒戻し管41が室外液冷媒管34のうち冷媒冷却器45の下流側の位置から分岐されていてもよい。また。
図24に示すように、冷媒冷却器45が、冷房運転(全冷房運転や冷房主体運転も同様)の際に、冷媒戻し管41を流れる冷媒と室外液冷媒管34を流れる冷媒とが並行流になる形式の熱交換器であり、かつ、冷媒戻し管41が室外液冷媒管34のうち冷媒冷却器45の下流側の位置から分岐されていてもよい。
【0183】
<C>
上記第1及び第2実施形態及び変形例の空気調和装置1は、冷房運転と暖房運転とを切り換えて行うことができる構成であったが、これに限定されず、冷房運転のみを行うことが可能な冷房専用の空気調和装置であってもよい。
圧縮機(21)及び室外熱交換器(23、23a、23b)を有する室外ユニット(2)と、室内熱交換器(52a、52b、52c、52d)を有する複数の室内ユニット(3a、3b、3c、3d)と、前記室外ユニットと前記複数の室内ユニットとを接続する液冷媒連絡管(5)と、を有しており、前記圧縮機から吐出された冷媒を前記室外熱交換器、前記液冷媒連絡管、前記室内熱交換器の順に流す運転を行う空気調和装置において、
前記室外熱交換器の液側端と前記液冷媒連絡管とを接続する室外液冷媒管(34)に、前記液冷媒連絡管を流れる前記冷媒が気液二相状態になるように減圧する液圧調整膨張弁(26)を設け、
前記複数の室内ユニットのそれぞれに対応して、前記液冷媒連絡管を流れる気液二相状態の前記冷媒をさらに減圧する室内膨張弁(51a、51b)を設け、
前記室外液冷媒管のうち前記液圧調整膨張弁よりも前記室外熱交換器側の部分に、前記室外液冷媒管を流れる前記冷媒の一部を分岐して熱交換器を介さずに前記圧縮機に送る液インジェクション管(46)を接続している、
空気調和装置(1)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明にかかる空気調和装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。尚、本発明にかかる空気調和装置の実施形態の具体的な構成は、下記の実施形態及びその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0024】
(1)第1実施形態
<構成>
図1は、本発明の第1実施形態にかかる空気調和装置1の概略構成図である。空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルによって、ビル等の室内の冷房や暖房を行う装置である。空気調和装置1は、主として、室外ユニット2と、互いが並列に接続される複数(ここでは、2つ)の室内ユニット3a、3bと、室外ユニット2と室内ユニット3a、3bとを接続する液冷媒連絡管5及びガス冷媒連絡管6と、室外ユニット2及び室内ユニット3a、3bの構成機器を制御する制御部19と、を有している。そして、空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路10は、室外ユニット2と複数の室内ユニット3a、3bとを、液冷媒連絡管5及びガス冷媒連絡管6を介して接続することによって構成されている。冷媒回路10には、R32等の冷媒が充填されている。
【0025】
−冷媒連絡管−
液冷媒連絡管5は、主として、室外ユニット2から延びる合流管部と、室内ユニット3a、3bの手前で複数(ここでは、2つ)に分岐した分岐管部5a、5bと、を有している。また、ガス冷媒連絡管6は、主として、室外ユニット2から延びる合流管部と、室内ユニット3a、3bの手前で複数(ここでは、2つ)に分岐した分岐管部6a、6bと、を有している。
【0026】
−室内ユニット−
室内ユニット3a、3bは、ビル等の室内に設置されている。室内ユニット3a、3bは、上記のように、液冷媒連絡管5及びガス冷媒連絡管6を介して室外ユニット2に接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0027】
次に、室内ユニット3a、3bの構成について説明する。尚、室内ユニット3aと室内ユニット3bとは同様の構成であるため、ここでは、室内ユニット3aの構成のみ説明し、室内ユニット3bの構成については、それぞれ、室内ユニット3aの各部を示す添え字「a」の代わりに添え字「b」を付して、各部の説明を省略する。
【0028】
室内ユニット3aは、主として、室内膨張弁51aと、室内熱交換器52aと、を有している。また、室内ユニット3aは、室内熱交換器52aの液側端と液冷媒連絡管5とを接続する室内液冷媒管53aと、室内熱交換器52aのガス側端とガス冷媒連絡管6とを接続する室内ガス冷媒管54aと、を有している。
【0029】
室内膨張弁51aは、冷媒を減圧しながら室内熱交換器52aを流れる冷媒の流量を調整する電動膨張弁であり、室内液冷媒管53aに設けられている。
【0030】
室内熱交換器52aは、冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却する、又は、冷媒の放熱器として機能して室内空気を加熱する熱交換器である。ここで、室内ユニット3aは、室内ユニット3a内に室内空気を吸入して、室内熱交換器52aにおいて冷媒と熱交換させた後に、供給空気として室内に供給するための室内ファン55aを有している。すなわち、室内ユニット3aは、室内熱交換器52aを流れる冷媒の冷却源又は加熱源としての室内空気を室内熱交換器52aに供給するファンとして、室内ファン55aを有している。室内ファン55aは、室内ファン用モータ56aによって駆動される。
【0031】
室内ユニット3aには、各種のセンサが設けられている。具体的には、室内ユニット3aには、室内熱交換器52aの液側端における冷媒の温度Trlを検出する室内熱交液側センサ57aと、室内熱交換器52aのガス側端における冷媒の温度Trgを検出する室内熱交ガス側センサ58aと、室内ユニット3a内に吸入される室内空気の温度Traを検出する室内空気センサ59aと、が設けられている。
【0032】
−室外ユニット−
室外ユニット2は、ビル等の室外に設置されている。室外ユニット2は、上記のように、液冷媒連絡管5及びガス冷媒連絡管6を介して室内ユニット3a、3bに接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0033】
次に、室外ユニット2の構成について説明する。
【0034】
室外ユニット2は、主として、圧縮機21と、室外熱交換器23と、を有している。また、室外ユニット2は、室外熱交換器23を冷媒の放熱器として機能させる放熱運転状態と、室外熱交換器23を冷媒の蒸発器として機能させる蒸発運転状態と、を切り換えるための切換機構22を有している。切換機構22と圧縮機21の吸入側とは、吸入冷媒管31によって接続されている。吸入冷媒管31には、圧縮機21に吸入される冷媒を一時的に溜めるアキュムレータ29が設けられている。圧縮機21の吐出側と切換機構22とは、吐出冷媒管32によって接続されている。切換機構22と室外熱交換器23のガス側端とは、第1室外ガス冷媒管33によって接続されている。室外熱交換器23の液側端と液冷媒連絡管5とは、室外液冷媒管34によって接続されている。室外液冷媒管34の液冷媒連絡管5との接続部には、液側閉鎖弁27が設けられている。切換機構22とガス冷媒連絡管6とは、第2室外ガス冷媒管35によって接続されている。第2室外ガス冷媒管35のガス冷媒連絡管6との接続部には、ガス側閉鎖弁28が設けられている。液側閉鎖弁27及びガス側閉鎖弁28は、手動で開閉される弁である。
【0035】
圧縮機21は、冷媒を圧縮するための機器であり、例えば、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素(図示せず)が圧縮機用モータ21aによって回転駆動される密閉式構造の圧縮機が使用される。
【0036】
切換機構22は、室外熱交換器23を冷媒の放熱器として機能させる場合(以下、「室外放熱状態」とする)には圧縮機21の吐出側と室外熱交換器23のガス側とを接続し(
図1の切換機構22の実線を参照)、室外熱交換器23を冷媒の蒸発器として機能させる場合(以下、「室外蒸発状態」とする)には圧縮機21の吸入側と室外熱交換器23のガス側とを接続するように(
図1の切換機構22の破線を参照)、冷媒回路10内における冷媒の流れを切り換えることが可能な機器であり、例えば、四路切換弁からなる。
【0037】
室外熱交換器23は、冷媒の放熱器として機能する、又は、冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。ここで、室外ユニット2は、室外ユニット2内に室外空気を吸入して、室外熱交換器23において冷媒と熱交換させた後に、外部に排出するための室外ファン24を有している。すなわち、室外ユニット2は、室外熱交換器23を流れる冷媒の冷却源又は加熱源としての室外空気を室外熱交換器23に供給するファンとして、室外ファン24を有している。ここでは、室外ファン24は、室外ファン用モータ24aによって駆動される。
【0038】
そして、空気調和装置1では、圧縮機21、室外熱交換器23、液冷媒連絡管5及び室内熱交換器52a、52bのみに着目した場合に、圧縮機21から吐出された冷媒を室外熱交換器23、液冷媒連絡管5、室内熱交換器52a、52bの順に流す運転(冷房運転)を行うようになっている。また、空気調和装置1では、圧縮機21、ガス冷媒連絡管6、室内熱交換器52a、52b、液冷媒連絡管5及び室外熱交換器23のみに着目した場合に、圧縮機21から吐出された冷媒をガス冷媒連絡管6、室内熱交換器52a、52b、液冷媒連絡管5、室外熱交換器23の順に流す運転(暖房運転)を行うようになっている。尚、ここでは、冷房運転時は、切換機構22が室外放熱状態に切り換えられ、暖房運転時は、切換機構22が室外蒸発状態に切り換えられる。
【0039】
また、ここでは、室外液冷媒管34に、室外膨張弁25及び液圧調整膨張弁26が設けられている。室外膨張弁25は、暖房運転時に冷媒を減圧する電動膨張弁であり、室外液冷媒管34のうち室外熱交換器23の液側端寄りの部分に設けられている。液圧調整膨張弁26は、冷房運転時に液冷媒連絡管5を流れる冷媒が気液二相状態になるように冷媒を減圧する電動膨張弁であり、室外液冷媒管34のうち液冷媒連絡管5寄りの部分に設けられている。すなわち、液圧調整膨張弁26は、室外液冷媒管34のうち室外膨張弁25よりも液冷媒連絡管5寄りの部分に設けられている。
【0040】
そして、空気調和装置1では、冷房運転時において、液圧調整膨張弁26によって気液二相状態の冷媒を液冷媒連絡管5に流して室外ユニット2側から室内ユニット3a、3b側に送る冷媒の二相搬送を行うようになっている。
【0041】
しかも、ここでは、室外液冷媒管34に、室外液冷媒管34を流れる冷媒の一部を分岐して
熱交換器を介さずに圧縮機21に送る液インジェクション管46が接続されている。液インジェクション管46は、室外液冷媒管34のうち液圧調整膨張弁26よりも室外熱交換器23側の部分に接続されている。より具体的には、液インジェクション管46は、室外液冷媒管34のうち室外膨張弁25と液圧調整膨張弁26との間の部分に接続されている。また、液インジェクション管46は、圧縮機21に吸入される冷媒が流れる吸入冷媒管31に接続されている。しかも、インジェクション管46は、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の出口側の部分に接続されている。液インジェクション管46には、室外液冷媒管34から分岐された冷媒を減圧する液インジェクション膨張弁47が設けられている。液インジェクション膨張弁47は、電動膨張弁からなる。
【0042】
室外ユニット2には、各種のセンサが設けられている。具体的には、室外ユニット2には、圧縮機21から吐出された冷媒の圧力(吐出圧力Pd)を検出する吐出圧力センサ36と、圧縮機21から吐出された冷媒の温度(吐出温度Td)を検出する吐出温度センサ37と、圧縮機21に吸入される冷媒の圧力(吸入圧力Ps)を検出する吸入圧力センサ39と、圧縮機21に吸入される冷媒の温度(吸入温度Ts)を検出する吸入温度センサ40と、が設けられている。また、室外ユニット2には、室外熱交換器24の液側端における冷媒の温度Tol(室外熱交出口温度Tol)を検出する室外熱交液側センサ38と、室外液冷媒管25のうち室外膨張弁25と液圧調整膨張弁26との間の部分における冷媒の温度(液管温度Tlp)を検出する液管温度センサ49が設けられている。
【0043】
−制御部−
制御部19は、室外ユニット2や室内ユニット3a、3bに設けられた制御基板等(図示せず)が通信接続されることによって構成されている。尚、
図1においては、便宜上、室外ユニット2や室内ユニット3a、3bとは離れた位置に図示している。制御部19は、上記のような各種センサ36、37、38、39、40、49、57a、57b、58a、58b、59a、59bの検出信号等に基づいて空気調和装置1(ここでは、室外ユニット2及び室内ユニット3a、3b)の各種構成機器21、22、24、25、26、47、51a、51b、55a、55bの制御、すなわち、空気調和装置1全体の運転制御を行うようになっている。
【0044】
<空気調和装置の動作及び特徴>
次に、空気調和装置1の動作及び特徴について、
図1及び
図2を用いて説明する。ここで、
図2は、本発明の第1実施形態にかかる空気調和装置1における冷房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図である。
【0045】
空気調和装置1では、上記のように、冷房運転及び暖房運転が行われる。そして、冷房運転においては、室外液冷媒管34に設けられた液圧調整膨張弁26によって、気液二相状態の冷媒を液冷媒連絡管5に流して室外ユニット2側から室内ユニット3a、3b側に送る冷媒の二相搬送が行われる。さらに、冷房運転においては、室外液冷媒管34のうち液圧調整膨張弁26よりも室外熱交換器23側の部分に室外液冷媒管34を流れる冷媒の一部を分岐して
熱交換器を介さずに圧縮機21に送る液インジェクション管46によって、室外液冷媒管34を流れる冷媒の温度(液管温度Tlp)の変動を抑えつつ、圧縮機21に冷媒を送る動作が行われる。尚、以下に説明する空気調和装置1の動作は、空気調和装置1の構成機器を制御する制御部19によって行われる。
【0046】
−冷房運転−
冷房運転の際、例えば、室内ユニット3a、3bの全てが冷房運転(すなわち、室内熱交換器52a、52bの全てが冷媒の蒸発器として機能し、かつ、室外熱交換器23が冷媒の放熱器として機能する運転)を行う際には、切換機構22が室外放熱状態(
図1の切換機構22の実線で示された状態)に切り換えられて、圧縮機21、室外ファン24及び室内ファン55a、55bが駆動される。
【0047】
すると、圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、切換機構22を通じて室外熱交換器23に送られる(
図1、2の点B参照)。室外熱交換器23に送られた冷媒は、冷媒の放熱器として機能する室外熱交換器23において、室外ファン24によって供給される室外空気と熱交換を行って冷却されることによって凝縮する(
図1、2の点C参照)。この冷媒は、室外膨張弁25、液圧調整膨張弁26及び液側閉鎖弁27を通じて室外ユニット2から流出する(
図1、2の点D参照)。
【0048】
室外ユニット2から流出した冷媒は、液冷媒連絡管5を通じて室内ユニット3a、3bに分岐して送られる(
図1、2の点E参照)。室内ユニット3a、3bに送られた冷媒は、室内膨張弁51a、51bによって低圧まで減圧された後に、室内熱交換器52a、52bに送られる(
図1、2の点F参照)。室内熱交換器52a、52bに送られた冷媒は、冷媒の蒸発器として機能する室内熱交換器52a、52bにおいて、室内ファン55a、55bによって室内から供給される室内空気と熱交換を行って加熱されることによって蒸発する(
図1、2の点G参照)。この冷媒は、室内ユニット3a、3bから流出する。一方、室内熱交換器52a、52bにおいて冷却された室内空気は、室内に送られ、これにより、室内の冷房が行われる。
【0049】
室内ユニット3a、3bから流出した冷媒は、ガス冷媒連絡管6を通じて室外ユニット2に合流して送られる(
図1、2の点H参照)。室外ユニット2に送られた冷媒は、ガス側閉鎖弁28、切換機構22及びアキュムレータ29を通じて圧縮機21に吸入される(
図1、2の点A参照)。
【0050】
ここで、上記の冷房運転の際には、液圧調整膨張弁26によって気液二相状態の冷媒を液冷媒連絡管5に流して室外ユニット2側から室内ユニット3a、3b側に送る冷媒の二相搬送を行うようにしている。しかも、以下に説明するように、冷媒の二相搬送を行うにあたり、液インジェクション管46によって圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えつつ、冷媒の二相搬送を良好に行えるようにしている。
【0051】
まず、制御部19は、液冷媒連絡管5を流れる冷媒が気液二相状態になるように液圧調整膨張弁26による減圧を行わせるようにしている(
図1、2の点C、D参照)。液圧調整膨張弁26で減圧された後の冷媒は、高圧の冷媒よりも圧力が低く、かつ、低圧の冷媒よりも圧力が高い中間圧の冷媒となる(
図1、2の点D参照)。ここでは、制御部19が、室外熱交換器23の液側端における冷媒の過冷却度SCoが目標過冷却度SCotになるように、液圧調整膨張弁26の開度を制御している。具体的には、制御部19は、室外熱交換器23の液側端における冷媒の過冷却度SCoを、室外熱交出口温度Tolから得る。制御部19は、吐出圧力Pdを飽和温度に換算して得られる冷媒の温度Tocから室外熱交出口温度Tolを差し引くことによって、室外熱交換器23の液側端における冷媒の過冷却度SCoを得る。そして、制御部19は、過冷却度SCoが目標過冷却度SCotよりも大きい場合に、液圧調整膨張弁26の開度を大きくする制御を行い、過冷却度SCoが目標過冷却度SCotよりも小さい場合に、液圧調整膨張弁26の開度を小さくする制御を行っている。尚、このとき、制御部19は、室外膨張弁25の開度を全開状態で固定する制御を行っている。
【0052】
この制御により、液冷媒連絡管5を流れる冷媒が気液二相状態になるため、液冷媒連絡管5を流れる冷媒が液状態である場合に比べて、冷媒連絡配管5が液状態の冷媒で満たされることがなくなり、その分だけ液冷媒連絡管5に存在する冷媒量を少なくできるようになっている。
【0053】
また、制御部19は、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えるように室外液冷媒管34を流れる冷媒の一部を分岐して
熱交換器を介さずに圧縮機21(ここでは、圧縮機21の吸入側に接続されている吸入冷媒管31)に送るようにしている。ここでは、制御部19が、圧縮機21の吐出温度Tdが所定の吐出温度閾値Tdx(例えば、上限吐出温度)を超えないように、液インジェクション膨張弁47の開度を制御している。具体的には、制御部19は、吐出温度Tdが吐出温度閾値Tdxまで上昇した場合に、吐出温度Tdが吐出温度閾値Tdx以下になるまで、液インジェクション膨張弁47の開度を大きくする制御を行っている。
【0054】
この制御により、室内ユニット3a、3bから室外ユニット2に送られた冷媒(
図1、2の点H)は、液インジェクション管46を通じて圧縮機21に送られる冷媒が合流して冷却されるため(
図1、2の点H、A参照)、その冷却分に応じて、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えることができるようになっている(
図1、2の点B参照)。
【0055】
−暖房運転−
暖房運転の際、例えば、室内ユニット3a、3bの全てが暖房運転(すなわち、室内熱交換器52a、52bの全てが冷媒の放熱器として機能し、かつ、室外熱交換器23が冷媒の蒸発器として機能する運転)を行う際には、切換機構22が室外蒸発状態(
図1の切換機構22の破線で示された状態)に切り換えられて、圧縮機21、室外ファン24及び室内ファン55a、55bが駆動される。
【0056】
すると、圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、切換機構22及びガス側閉鎖弁28を通じて室外ユニット2から流出する。
【0057】
室外ユニット2から流出した冷媒は、ガス冷媒連絡管6を通じて室内ユニット3a、3bに分岐して送られる。室内ユニット3a、3bに送られた冷媒は、室内熱交換器52a、52bに送られる。室内熱交換器52a、52bに送られた高圧の冷媒は、冷媒の放熱器として機能する室内熱交換器52a、52bにおいて、室内ファン55a、55bによって室内から供給される室内空気と熱交換を行って冷却されることによって凝縮する。この冷媒は、室内膨張弁51a、51bを通じて室内ユニット3a、3bから流出する。一方、室内熱交換器52a、52bにおいて加熱された室内空気は、室内に送られ、これにより、室内の暖房が行われる。
【0058】
室内ユニット3a、3bから流出した冷媒は、液冷媒連絡管5を通じて合流して室外ユニット2に送られる。室外ユニット2に送られた冷媒は、液側閉鎖弁27及び液圧調整膨張弁26を通じて、室外膨張弁25に送られる。室外膨張弁25に送られた冷媒は、室外膨張弁25によって低圧まで減圧された後に、室外熱交換器23に送られる。室外熱交換器23に送られた冷媒は、室外ファン24によって供給される室外空気と熱交換を行って加熱されることによって蒸発する。この冷媒は、切換機構22及びアキュムレータ29を通じて圧縮機21に吸入される。
【0059】
尚、このとき、制御部19は、液圧調整膨張弁26の開度を全開状態で固定する制御を行い、液インジェクション膨張弁47の開度を全閉状態にして液インジェクション管46に冷媒を流さないようにしている。
【0060】
−特徴−
ここでは、上記の液圧調整膨張弁26によって気液二相状態の冷媒を液冷媒連絡管5に流して室外ユニット2側から室内ユニット3a、3b側に送る冷媒の二相搬送を行う構成において、上記のように、室外液冷媒管34のうち液圧調整膨張弁26よりも室外熱交換器23側の部分に室外液冷媒管34を流れる冷媒の一部を分岐して
熱交換器を介さずに圧縮機21に送る液インジェクション管46をさらに設けている。このような液インジェクション管46を設けると、室外液冷媒管34を流れる冷媒の温度(液管温度Tlp)の変動を抑えつつ、圧縮機21に冷媒を送ることができるため(
図2の点C参照)、これにより、液圧調整膨張弁26で減圧された後の液冷媒連絡管5を流れる冷媒の状態を変動させないようにしつつ(
図2の点D参照)、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えることができる(
図2の点B参照)。このように、ここでは、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えつつ、液冷媒連絡管5を流れる冷媒を所望の気液二相状態に確実に維持することができる。
【0061】
すなわち、ここでは、液圧調整膨張弁26を有する構成において、上記の液インジェクション管46を設けることによって、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えつつ、冷媒の二相搬送を良好に行うことができる。
【0062】
また、ここでは、上記のように、制御部19が、室外熱交換器23の液側端における冷媒の過冷却度SCoが目標過冷却度SCotになるように、液圧調整膨張弁26の開度を制御することによって、液冷媒連絡管5を流れる冷媒が気液二相状態になるように液圧調整膨張弁26による減圧を行わせている。このため、ここでは、室外熱交換器23の保有冷媒量を所望の状態に維持しやすくなり(
図2の点C参照)、その結果、液圧調整膨張弁26で減圧された後の液冷媒連絡管5を流れる冷媒を所望の気液二相状態に維持しやすくできる(
図2の点D参照)。
【0063】
しかも、ここでは、液インジェクション管46に、室外液冷媒管34から分岐された冷媒を減圧する液インジェクション膨張弁47を設けている。そして、制御部19は、圧縮機21の吐出温度Tdが所定の吐出温度閾値Tdx(例えば、上限吐出温度)を超えないように、液インジェクション膨張弁47の開度を制御している。このように、ここでは、液インジェクション管46を通じて室外液冷媒管34から圧縮機21に送られる冷媒の流量を調節することができるため、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を確実に抑えることができる(
図2の点B参照)。
【0064】
また、ここでは、圧縮機21に吸入される冷媒が流れる吸入冷媒管31に、液インジェクション管46を接続している。このため、ここでは、室外液冷媒管34から分岐した冷媒を圧縮機21の吸入側に送ることができるため、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を低下させることができる(
図2の点H、A参照)。特に、ここでは、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の出口側の部分に、液インジェクション管46を接続しており、アキュムレータ29を介さずに液インジェクション管46を流れる冷媒を圧縮機21に吸入される冷媒に合流させることができるようになっている。このため、ここでは、液インジェクション管46がアキュムレータ29の入口側に接続される場合に比べて、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を低下させる効果を向上させることができる。
【0065】
<変形例1>
上記第1実施形態(
図1参照)の空気調和装置1では、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の出口側の部分に、液インジェクション管46を接続しており、これにより、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を低下させる効果を向上させるようにしている。しかし、液インジェクション管46の吸入冷媒管31への接続位置は、これに限定されるものではない。
【0066】
ここでは、
図3に示すように、吸入冷媒管34のうちアキュムレータ29の入口側の部分に、液インジェクション管46を接続しており、アキュムレータ29を介して液インジェクション管46を流れる冷媒を圧縮機21に吸入される冷媒に合流させることができるようになっている。このため、ここでは、液インジェクション管46がアキュムレータ29の出口側に接続される場合に比べて、例えば、圧縮機21における液圧縮を防ぐことができる。尚、この構成では、アキュムレータ29の底部から吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の出口側の部分に冷媒を送る返液管31aを設けておき、制御部19が返液管31aに設けられた返液弁31bを制御することによって、アキュムレータ29内に溜まった液冷媒を圧縮機21に戻すようにしてもよい。
【0067】
<変形例2>
上記第1実施形態及び変形例1(
図1、3参照)の空気調和装置1では、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分又はアキュムレータ29の出口側の部分に、液インジェクション管46を接続している。しかし、液インジェクション管46の吸入冷媒管31への接続位置は、これらに限定されるものではない。
【0068】
ここでは、
図4に示すように、液インジェクション管46を2つに分岐し、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分及びアキュムレータ29の出口側の部分の両方に、液インジェクション管46を接続している。ここで、液インジェクション管46のうちアキュムレータ29の出口側の部分に接続されるほうを第1液インジェクション管46aとし、液インジェクション管46のうちアキュムレータ29の入口側の部分に接続されるほうを第2液インジェクション管46bとする。このように、ここでは、液インジェクション管46をアキュムレータ29の入口側及び出口側の両方に接続することで、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を低下させる効果を向上させたい場合には、液インジェクション管46を流れる冷媒をアキュムレータ29の出口側に送り、例えば、圧縮機21における液圧縮を防ぎたい場合には、液インジェクション管46を流れる冷媒をアキュムレータ29の入口側に送るようにしてもよい。
【0069】
また、
図4の液インジェクション管46を2つに分岐し、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分及びアキュムレータ29の出口側の部分の両方に、液インジェクション管46を接続した構成を利用して、圧縮機21の吐出圧力Pdの上昇を抑えることができる。具体的には、液インジェクション管46のうちアキュムレータ29の入口側の部分に接続される第2液インジェクション管46bに、液抜き弁46dを設けておき、圧縮機21の吐出圧力Pdが所定の吐出圧力閾値Pdx(例えば、上限吐出圧力)を超えないように液抜き弁46dを制御する。具体的には、制御部19は、吐出圧力Pdが吐出圧力閾値Pdxまで上昇した場合に、吐出圧力Pdが吐出圧力閾値pdx以下になるまで、液抜き弁46dを開ける制御を行う。これにより、液インジェクション管46を通じて、室外熱交換器23内に存在する液冷媒をアキュムレータ29に送って待避させることができ、その結果、吐出圧力Pdの上昇を抑えることができる。このように、ここでは、液インジェクション管46のうちアキュムレータ29の入口側に接続される第2液インジェクション管46bに設けられた液抜き弁46dを制御することによって、液インジェクション管46を通じて室外液冷媒管34からアキュムレータ29に冷媒を送ることができるため、圧縮機21の吐出圧力Pdの上昇を抑えることができる。尚、この構成では、上記の液抜き制御時に、第2液インジェクション管46bに多くの冷媒を流すことができるように、第1液インジェクション管46aに流動抵抗となるキャピラリーチューブ46cを設けている。
【0070】
<変形例3>
上記第1実施形態(
図1参照)の空気調和装置1では、吸入冷媒管31に液インジェクション管46を接続することで、室外液冷媒管34から分岐した冷媒を圧縮機21の吸入側に送るようにし、これにより、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を低下させ(
図2の点H、A参照)、その結果、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えるようにしている。しかし、液インジェクション管46を流れる冷媒の圧縮機21への送り先は、これに限定されるものではない。
【0071】
ここでは、
図5に示すように、圧縮機21の圧縮行程の途中部分に液インジェクション管46を接続するようにしてもよい。
【0072】
この構成では、上記第1実施形態(
図2の点H、A参照)とは異なり、
図5及び
図6に示すように、室外液冷媒管34から液インジェクション管46に分岐した冷媒を圧縮機21の圧縮行程の途中部分に送り、圧縮機21において中間圧まで圧縮された冷媒の温度を低下させることで(
図6の点I参照)、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えることができる。尚、この場合においても、冷媒の二相搬送を行うための液圧調整膨張弁26の制御等は、上記第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0073】
<変形例4>
上記第1実施形態の変形例3(
図5参照)の空気調和装置1においても、上記変形例2(
図4参照)と同様に、
図7に示すように、液インジェクション管46を2つに分岐し、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分及び圧縮機21の圧縮行程の途中部分の両方に、液インジェクション管46を接続してもよい。ここで、液インジェクション管46のうち圧縮機21の圧縮行程の途中部分に接続されるほうを第1液インジェクション管46aとし、液インジェクション管46のうちアキュムレータ29の入口側の部分に接続されるほうを第2液インジェクション管46bとする。このように、ここでは、液インジェクション管46を吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分及び圧縮機21の圧縮行程の途中部分の両方に接続することで、圧縮機21において中間圧まで圧縮された冷媒の温度を低下させたい場合には、液インジェクション管46を流れる冷媒を圧縮機21の圧縮行程の途中部分に送り、例えば、圧縮機21における液圧縮を防ぎたい場合には、液インジェクション管46を流れる冷媒をアキュムレータの入口側に送ることができる。
【0074】
また、
図7の液インジェクション管46を2つに分岐し、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分及び圧縮機21の圧縮行程の途中部分の両方に、液インジェクション管46を接続した構成を利用して、圧縮機21の吐出圧力Pdの上昇を抑えることができる。具体的には、液インジェクション管46のうちアキュムレータ29の入口側の部分に接続される第2液インジェクション管46bに、液抜き弁46dを設けておき、圧縮機21の吐出圧力Pdが所定の吐出圧力閾値Pdx(例えば、上限吐出圧力)を超えないように液抜き弁46dを制御する。具体的には、制御部19は、吐出圧力Pdが吐出圧力閾値Pdxまで上昇した場合に、吐出圧力Pdが吐出圧力閾値pdx以下になるまで、液抜き弁46dを開ける制御を行う。これにより、液インジェクション管46を通じて、室外熱交換器23内に存在する液冷媒をアキュムレータ29に送って待避させることができ、その結果、吐出圧力Pdの上昇を抑えることができる。このように、ここでは、液インジェクション管46のうちアキュムレータ29の入口側に接続される第2液インジェクション管46bに設けられた液抜き弁46dを制御することによって、液インジェクション管46を通じて室外液冷媒管34からアキュムレータ29に冷媒を送ることができるため、圧縮機21の吐出圧力Pdの上昇を抑えることができる。
【0075】
(2)第2実施形態
<構成>
図8は、本発明の第2実施形態にかかる空気調和装置1の概略構成図である。空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルによって、ビル等の室内の冷房や暖房を行う装置である。空気調和装置1は、主として、室外ユニット2と、互いが並列に接続される複数(ここでは、2つ)の室内ユニット3a、3bと、室外ユニット2と室内ユニット3a、3bとを接続する液冷媒連絡管5及びガス冷媒連絡管6と、室外ユニット2及び室内ユニット3a、3bの構成機器を制御する制御部19と、を有している。そして、空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路10は、室外ユニット2と複数の室内ユニット3a、3bとを、液冷媒連絡管5及びガス冷媒連絡管6を介して接続することによって構成されている。冷媒回路10には、R32等の冷媒が充填されている。
【0076】
−冷媒連絡管−
液冷媒連絡管5は、主として、室外ユニット2から延びる合流管部と、室内ユニット3a、3bの手前で複数(ここでは、2つ)に分岐した分岐管部5a、5bと、を有している。また、ガス冷媒連絡管6は、主として、室外ユニット2から延びる合流管部と、室内ユニット3a、3bの手前で複数(ここでは、2つ)に分岐した分岐管部6a、6bと、を有している。
【0077】
−室内ユニット−
室内ユニット3a、3bは、ビル等の室内に設置されている。室内ユニット3a、3bは、上記のように、液冷媒連絡管5及びガス冷媒連絡管6を介して室外ユニット2に接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0078】
尚、室内ユニット3a、3bの構成は、第1実施形態の室内ユニット3a、3bと同じ構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0079】
−室外ユニット−
室外ユニット2は、ビル等の室外に設置されている。室外ユニット2は、上記のように、液冷媒連絡管5及びガス冷媒連絡管6を介して室内ユニット3a、3bに接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0080】
尚、室外ユニット2の構成は、第1実施形態の室外ユニット2の構成に、冷媒戻し管41及び冷媒冷却器45を設けた点のみが異なる。このため、ここでは、主として、冷媒戻し管41及び冷媒冷却器45の構成について説明する。
【0081】
ここでは、室外液冷媒管34に、冷媒戻し管41が接続されており、冷媒冷却器45が設けられている。冷媒戻し管41は、室外液冷媒管34を流れる冷媒の一部を分岐して圧縮機21に送る冷媒管である。冷媒冷却器45は、冷媒戻し管41を流れる冷媒によって室外液冷媒管34のうち液圧調整膨張弁26よりも室外熱交換器23側の部分を流れる冷媒を冷却する熱交換器である。ここで、室外膨張弁25は、室外液冷媒管34のうち冷媒冷却器45よりも室外熱交換器23側の部分に設けられている。また、液圧調整膨張弁26は、室外液冷媒管34の冷媒冷却器45が接続された部分よりも液冷媒連絡管5側の部分(ここでは、冷媒冷却器45と液側閉鎖弁27との間の部分)に設けられている。また、ここでは、液インジェクション管46が、室外液冷媒管34のうち冷媒冷却器45と液圧調整膨張弁26との間の部分に接続されている。
【0082】
冷媒戻し管41は、室外液冷媒管34から分岐した冷媒を圧縮機21の吸入側に送る冷媒管である。そして、冷媒戻し管41は、主として、冷媒戻し入口管42と、冷媒戻し出口管43と、を有している。冷媒戻し入口管42は、室外液冷媒管34を流れる冷媒の一部を室外熱交換器23の液側端と液圧調整膨張弁26との間の部分(ここでは、室外膨張弁25と冷媒冷却器45との間の部分)から分岐させて冷媒冷却器45の冷媒戻し管41側の入口に送る冷媒管である。冷媒戻し入口管42には、冷媒戻し管41を流れる冷媒を減圧しながら冷媒冷却器45を流れる冷媒の流量を調整する冷媒戻し膨張弁44が設けられている。ここで、冷媒戻し膨張弁44は、電動膨張弁からなる。冷媒戻し出口管43は、冷媒冷却器45の冷媒戻し管41側の出口から吸入冷媒管31に送る冷媒管である。しかも、冷媒戻し管41の冷媒戻し出口管43は、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の出口側の部分に接続されている。そして、冷媒冷却器45は、冷媒戻し管41を流れる冷媒によって室外液冷媒管34を流れる冷媒を冷却するようになっている。ここで、冷媒冷却器45は、冷房運転時に、冷媒戻し管41を流れる冷媒と室外液冷媒管34を流れる冷媒とが対向流になる形式の熱交換器である。
【0083】
また、ここでは、液管温度センサ49が、冷媒冷却器45の出口における冷媒の温度を液管温度Tlpとして検出するように、室外液冷媒管34のうち冷媒冷却器45の出口と液インジェクション管46が接続された部分との間の部分に設けられている。
【0084】
−制御部−
制御部19は、室外ユニット2や室内ユニット3a、3bに設けられた制御基板等(図示せず)が通信接続されることによって構成されている。尚、
図8においては、便宜上、室外ユニット2や室内ユニット3a、3bとは離れた位置に図示している。制御部19は、上記のような各種センサ36、37、38、39、40、49、57a、57b、58a、58b、59a、59bの検出信号等に基づいて空気調和装置1(ここでは、室外ユニット2及び室内ユニット3a、3b)の各種構成機器21、22、24、25、26、41、47、51a、51b、55a、55bの制御、すなわち、空気調和装置1全体の運転制御を行うようになっている。
【0085】
<空気調和装置の動作及び特徴>
次に、空気調和装置1の動作及び特徴について、
図8及び
図9を用いて説明する。ここで、
図9は、本発明の第2実施形態にかかる空気調和装置1における冷房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図である。
【0086】
空気調和装置1では、上記のように、冷房運転及び暖房運転が行われる。そして、冷房運転においては、室外液冷媒管34に設けられた液圧調整膨張弁26によって、気液二相状態の冷媒を液冷媒連絡管5に流して室外ユニット2側から室内ユニット3a、3b側に送る冷媒の二相搬送が行われる。さらに、冷房運転においては、室外液冷媒管34を流れる冷媒の一部を分岐して圧縮機21に送る冷媒戻し管41、及び、冷媒戻し管41を流れる冷媒によって室外液冷媒管34のうち液圧調整膨張弁26よりも室外熱交換器23側の部分を流れる冷媒を冷却する冷媒冷却器45によって、室外液冷媒管34のうち冷媒冷却器45と液圧調整膨張弁26との間の部分における冷媒を冷却する動作が行われる。さらに、冷房運転においては、室外液冷媒管34のうち液圧調整膨張弁26よりも室外熱交換器23側の部分に室外液冷媒管34を流れる冷媒の一部を分岐して
熱交換器を介さずに圧縮機21に送る液インジェクション管46によって、室外液冷媒管34を流れる冷媒の温度(液管温度Tlp)の変動を抑えつつ、圧縮機21に冷媒を送る動作が行われる。尚、以下に説明する空気調和装置1の動作は、空気調和装置1の構成機器を制御する制御部19によって行われる。
【0087】
−冷房運転−
冷房運転の際、例えば、室内ユニット3a、3bの全てが冷房運転(すなわち、室内熱交換器52a、52bの全てが冷媒の蒸発器として機能し、かつ、室外熱交換器23が冷媒の放熱器として機能する運転)を行う際には、切換機構22が室外放熱状態(
図8の切換機構22の実線で示された状態)に切り換えられて、圧縮機21、室外ファン24及び室内ファン55a、55bが駆動される。
【0088】
すると、圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、切換機構22を通じて室外熱交換器23に送られる(
図8、9の点B参照)。室外熱交換器23に送られた冷媒は、冷媒の放熱器として機能する室外熱交換器23において、室外ファン24によって供給される室外空気と熱交換を行って冷却されることによって凝縮する(
図8、9の点C参照)。この冷媒は、室外膨張弁25、冷媒冷却器45、液圧調整膨張弁26及び液側閉鎖弁27を通じて室外ユニット2から流出する(
図8、9の点D参照)。
【0089】
室外ユニット2から流出した冷媒は、液冷媒連絡管5を通じて室内ユニット3a、3bに分岐して送られる(
図8、9の点E参照)。室内ユニット3a、3bに送られた冷媒は、室内膨張弁51a、51bによって低圧まで減圧された後に、室内熱交換器52a、52bに送られる(
図8、9の点F参照)。室内熱交換器52a、52bに送られた冷媒は、冷媒の蒸発器として機能する室内熱交換器52a、52bにおいて、室内ファン55a、55bによって室内から供給される室内空気と熱交換を行って加熱されることによって蒸発する(
図8、9の点G参照)。この冷媒は、室内ユニット3a、3bから流出する。一方、室内熱交換器52a、52bにおいて冷却された室内空気は、室内に送られ、これにより、室内の冷房が行われる。
【0090】
室内ユニット3a、3bから流出した冷媒は、ガス冷媒連絡管6を通じて室外ユニット2に合流して送られる(
図8、9の点H参照)。室外ユニット2に送られた冷媒は、ガス側閉鎖弁28、切換機構22及びアキュムレータ29を通じて圧縮機21に吸入される(
図8、9の点A参照)。
【0091】
ここで、上記の冷房運転の際には、液圧調整膨張弁26によって気液二相状態の冷媒を液冷媒連絡管5に流して室外ユニット2側から室内ユニット3a、3b側に送る冷媒の二相搬送を行うようにしている。しかも、以下に説明するように、冷媒の二相搬送を行うにあたり、冷媒戻し管41及び冷媒冷却器45によって室外液冷媒管34を流れる冷媒を冷却し、そして、液インジェクション管46によって圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えつつ、冷媒の二相搬送を良好に行えるようにしている。
【0092】
まず、制御部19は、液冷媒連絡管5を流れる冷媒が気液二相状態になるように液圧調整膨張弁26による減圧を行わせるようにしている(
図8、9の点J、D参照)。液圧調整膨張弁26で減圧された後の冷媒は、高圧の冷媒よりも圧力が低く、かつ、低圧の冷媒よりも圧力が高い中間圧の冷媒となる(
図8、9の点D参照)。ここでは、制御部19が、室外熱交換器23の液側端における冷媒の過冷却度SCoが目標過冷却度SCotになるように、液圧調整膨張弁26の開度を制御している。具体的には、制御部19は、室外熱交換器23の液側端における冷媒の過冷却度SCoを、室外熱交出口温度Tolから得る。制御部19は、吐出圧力Pdを飽和温度に換算して得られる冷媒の温度Tocから室外熱交出口温度Tolを差し引くことによって、室外熱交換器23の液側端における冷媒の過冷却度SCoを得る。そして、制御部19は、過冷却度SCoが目標過冷却度SCotよりも大きい場合に、液圧調整膨張弁26の開度を大きくする制御を行い、過冷却度SCoが目標過冷却度SCotよりも小さい場合に、液圧調整膨張弁26の開度を小さくする制御を行っている。尚、このとき、制御部19は、室外膨張弁25の開度を全開状態で固定する制御を行っている。
【0093】
この制御により、液冷媒連絡管5を流れる冷媒が気液二相状態になるため、液冷媒連絡管5を流れる冷媒が液状態である場合に比べて、冷媒連絡配管5が液状態の冷媒で満たされることがなくなり、その分だけ液冷媒連絡管5に存在する冷媒量を少なくできるようになっている。
【0094】
また、制御部19は、冷媒戻し管41を流れる冷媒によって、室外液冷媒管34のうち液圧調整膨張弁26よりも室外熱交換器23側の部分を流れる冷媒を冷媒冷却器45において冷却して、室外液冷媒管34のうち冷媒冷却器45と液圧調整膨張弁26との間の部分における冷媒の温度(液管温度Tlp)を一定にしている。ここでは、制御部19が、室外液冷媒管34のうち冷媒冷却器45と液圧調整膨張弁26との間の部分における冷媒の温度(液管温度Tlp)が目標液管温度Tlptになるように、冷媒戻し膨張弁44の開度を制御している。具体的には、制御部19は、液管温度Tlpが目標液管温度Tlptよりも高い場合に、冷媒戻し膨張弁44の開度を大きくする制御を行い、液管温度Tlpが目標液管温度Tlptよりも低い場合に、冷媒戻し膨張弁44の開度を小さくする制御を行っている。
【0095】
この制御により、室外液冷媒管34のうち冷媒冷却器45と液圧調整膨張弁26との間の部分における冷媒の温度(液管温度Tlp)を目標液管温度Tlptで一定に維持できるようになっている(
図8、9の点J参照)。
【0096】
さらに、制御部19は、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えるように室外液冷媒管34を流れる冷媒の一部を分岐して
熱交換器を介さずに圧縮機21(ここでは、圧縮機21の吸入側に接続されている吸入冷媒管31)に送るようにしている。ここでは、制御部19が、圧縮機21の吐出温度Tdが所定の吐出温度閾値Tdx(例えば、上限吐出温度)を超えないように、液インジェクション膨張弁47の開度を制御している。具体的には、制御部19は、吐出温度Tdが吐出温度閾値Tdxまで上昇した場合に、吐出温度Tdが吐出温度閾値Tdx以下になるまで、液インジェクション膨張弁47の開度を大きくする制御を行っている。
【0097】
この制御により、室内ユニット3a、3bから室外ユニット2に送られた冷媒(
図8、9の点H)は、液インジェクション管46を通じて圧縮機21に送られる冷媒が合流して冷却されるため(
図8、9の点H、A参照)、その冷却分に応じて、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えることができるようになっている(
図8、9の点B参照)。
【0098】
−暖房運転−
暖房運転の際、例えば、室内ユニット3a、3bの全てが暖房運転(すなわち、室内熱交換器52a、52bの全てが冷媒の放熱器として機能し、かつ、室外熱交換器23が冷媒の蒸発器として機能する運転)を行う際には、切換機構22が室外蒸発状態(
図8の切換機構22の破線で示された状態)に切り換えられて、圧縮機21、室外ファン24及び室内ファン55a、55bが駆動される。
【0099】
すると、圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、切換機構22及びガス側閉鎖弁28を通じて室外ユニット2から流出する。
【0100】
室外ユニット2から流出した冷媒は、ガス冷媒連絡管6を通じて室内ユニット3a、3bに分岐して送られる。室内ユニット3a、3bに送られた冷媒は、室内熱交換器52a、52bに送られる。室内熱交換器52a、52bに送られた高圧の冷媒は、冷媒の放熱器として機能する室内熱交換器52a、52bにおいて、室内ファン55a、55bによって室内から供給される室内空気と熱交換を行って冷却されることによって凝縮する。この冷媒は、室内膨張弁51a、51bを通じて室内ユニット3a、3bから流出する。一方、室内熱交換器52a、52bにおいて加熱された室内空気は、室内に送られ、これにより、室内の暖房が行われる。
【0101】
室内ユニット3a、3bから流出した冷媒は、液冷媒連絡管5を通じて合流して室外ユニット2に送られる。室外ユニット2に送られた冷媒は、液側閉鎖弁27、液圧調整膨張弁26及び冷媒冷却器45を通じて、室外膨張弁25に送られる。室外膨張弁25に送られた冷媒は、室外膨張弁25によって低圧まで減圧された後に、室外熱交換器23に送られる。室外熱交換器23に送られた冷媒は、室外ファン24によって供給される室外空気と熱交換を行って加熱されることによって蒸発する。この冷媒は、切換機構22及びアキュムレータ29を通じて圧縮機21に吸入される。
【0102】
尚、このとき、制御部19は、液圧調整膨張弁26の開度を全開状態で固定する制御を行い、冷媒戻し膨張弁44及び液インジェクション膨張弁47の開度を全閉状態にして冷媒戻し管41及び液インジェクション管46に冷媒を流さないようにしている。
【0103】
−特徴−
ここでは、上記の液圧調整膨張弁26によって気液二相状態の冷媒を液冷媒連絡管5に流して室外ユニット2側から室内ユニット3a、3b側に送る冷媒の二相搬送を行う構成において、上記のように、冷媒戻し管41及び冷媒戻し管41を流れる冷媒によって室外液冷媒管34のうち液圧調整膨張弁26よりも室外熱交換器23側の部分を流れる冷媒を冷却する冷媒冷却器45をさらに設けている。
【0104】
ここで、上記の液インジェクション管46を設けずに、このような冷媒戻し管41及び冷媒冷却器45を設ける場合を想定すると、冷媒戻し管41を流れる冷媒は、冷媒冷却器45を流れる冷媒を冷却した後に圧縮機21に送られるため、これにより、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えることができる。しかし、冷媒戻し管41を流れる冷媒は、冷媒冷却器45において室外液冷媒管34を流れる冷媒を冷却した後に圧縮機21に送られるため、冷媒冷却器45を通過した後の室外液冷媒管34を流れる冷媒の温度(液管温度Tlp)は、冷媒戻し管41を流れる冷媒の流量に応じて変動し、その結果、液圧調整膨張弁26で減圧された後の液冷媒連絡管5を流れる冷媒の状態も変動する。例えば、冷媒戻し管41を流れる冷媒の流量が多くなりすぎると、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇をある程度抑えることができるものの、液管温度Tlpが低下しすぎることになり、その結果、液圧調整膨張弁26で減圧された後の液冷媒連絡管5を流れる冷媒が液成分の多い気液二相状態になる。
【0105】
すなわち、液圧調整膨張弁26を有する構成において、冷媒戻し管41及び冷媒冷却器45を設けただけでは、所望の気液二相状態を維持することができない場合があるため、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えつつ、冷媒の二相搬送を良好に行うことが難しい。
【0106】
そこで、ここでは、冷媒戻し管41及び冷媒冷却器45だけでなく、上記の液インジェクション管46をさらに設けている。このような液インジェクション管46を設けると、液管温度Tlpの変動を抑えつつ(
図9の点J参照)、圧縮機21に冷媒を送ることができるため、冷媒戻し管41を流れる冷媒の流量を多くしなくても、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えることができる。そして、冷媒戻し管41を流れる冷媒の流量が多くなければ、液管温度Tlpが低下しすぎることもなくなるため、その結果、液圧調整膨張弁26で減圧された後の液冷媒連絡管5を流れる冷媒が液成分の多い気液二相状態にならない。このように、ここでは、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えつつ(
図9の点B参照)、液冷媒連絡管5を流れる冷媒を所望の気液二相状態を維持することができる(
図9の点D参照)。
【0107】
すなわち、ここでは、液圧調整膨張弁26を有する構成において、上記の冷媒戻し管41及び冷媒冷却器45とともに、上記の液インジェクション管46を設けることによって、圧縮機21の吐出温度tdの上昇を抑えつつ、冷媒の二相搬送を良好に行うことができる。
【0108】
また、ここでは、上記のように、制御部19が、室外熱交換器23の液側端における冷媒の過冷却度SCoが目標過冷却度SCotになるように、液圧調整膨張弁26の開度を制御することによって、液冷媒連絡管5を流れる冷媒が気液二相状態になるように液圧調整膨張弁26による減圧を行わせている。このため、ここでは、室外熱交換器23の保有冷媒量を所望の状態に維持しやすくなり(
図9の点C参照)、その結果、冷媒冷却器45に送る冷媒の状態を安定させることができる。
【0109】
しかも、ここでは、液インジェクション管46に、室外液冷媒管34から分岐された冷媒を減圧する液インジェクション膨張弁47を設け、冷媒戻し管41に、室外液冷媒管34から分岐された冷媒を減圧する冷媒戻し膨張弁44を設けている。そして、制御部19は、圧縮機21の吐出温度Tdが所定の吐出温度閾値Tdx(例えば、上限吐出温度)を超えないように、液インジェクション膨張弁47の開度を制御するとともに、室外液冷媒管34のうち冷媒冷却器45と液圧調整膨張弁26との間の部分における冷媒の温度(液管温度Tlp)が目標液管温度Tlptになるように、冷媒戻し膨張弁44の開度を制御している。このように、ここでは、液インジェクション管46に設けられた液インジェクション膨張弁47の開度を制御することによって、液インジェクション管46を通じて室外液冷媒管34から圧縮機21に送られる冷媒の流量を調節することができるため、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を確実に抑えることができる(
図9の点B参照)。しかも、ここでは、冷媒戻し管41に設けられた冷媒戻し膨張弁44の開度を制御することによって、冷媒冷却器45において室外液冷媒管34を流れる冷媒と熱交換を行う冷媒の流量を調節することができるため、液管温度Tlpを目標液管温度Tlptで一定にすることができる(
図9の点J参照)。そして、液管温度Tlpを一定にすることによって、液圧調整膨張弁26で減圧された後の液冷媒連絡管5を流れる冷媒を所望の気液二相状態を確実に維持することができる(
図9の点D参照)。このように、ここでは、液圧調整膨張弁26による冷媒の二相搬送を行うのに当たり、液管温度Tlpを一定に維持するために冷媒戻し管41及び冷媒冷却器45を使用するとともに、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えるために液インジェクション管46を使用しているのである。
【0110】
また、ここでは、圧縮機21に吸入される冷媒が流れる吸入冷媒管31に、液インジェクション管46及び冷媒戻し管41を接続している。このため、ここでは、室外液冷媒管34から分岐した冷媒を圧縮機21の吸入側に送ることができるため、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を低下させることができる(
図9の点H、A参照)。特に、ここでは、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の出口側の部分に、液インジェクション管46及び冷媒戻し管41を接続しており、アキュムレータ29を介さずに液インジェクション管46を流れる冷媒を圧縮機21に吸入される冷媒に合流させることができるようになっている。このため、ここでは、液インジェクション管46及び/又は冷媒戻し管41がアキュムレータ29の入口側に接続される場合に比べて、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を低下させる効果を向上させることができる。
【0111】
<変形例1>
上記第2実施形態(
図8参照)の空気調和装置1では、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の出口側の部分に、液インジェクション管46及び冷媒戻し管41を接続しており、これにより、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を低下させる効果を向上させるようにしている。しかし、液インジェクション管46及び冷媒戻し管41の吸入冷媒管31への接続位置は、これに限定されるものではない。
【0112】
ここでは、
図10に示すように、吸入冷媒管34のうちアキュムレータ29の入口側の部分に、液インジェクション管46及び冷媒戻し管41を接続しており、アキュムレータ29を介して液インジェクション管46を流れる冷媒を圧縮機21に吸入される冷媒に合流させることができるようになっている。このため、ここでは、液インジェクション管47及び冷媒戻し管41がアキュムレータ29の出口側に接続される場合に比べて、例えば、圧縮機21における液圧縮を防ぐことができる。尚、この構成では、アキュムレータ29の底部から吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の出口側の部分に冷媒を送る返液管31aを設けておき、制御部19が返液管31aに設けられた返液弁31bを制御することによって、アキュムレータ29内に溜まった液冷媒を圧縮機21に戻すようにしてもよい。
【0113】
また、ここでは図示しないが、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の出口側の部分に、液インジェクション管46を接続し、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分に、冷媒戻し管41を接続してもよい。また、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分に、液インジェクション管46を接続し、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の出口側の部分に、冷媒戻し管41を接続してもよい。
【0114】
<変形例2>
上記第2実施形態及び変形例1(
図8、10参照)の空気調和装置1では、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分又はアキュムレータ29の出口側の部分に、液インジェクション管46及び/又は冷媒戻し管41を接続している。しかし、液インジェクション管46及び/又は冷媒戻し管41の吸入冷媒管31への接続位置は、これらに限定されるものではない。
【0115】
ここでは、
図11に示すように、液インジェクション管46を2つに分岐し、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分及びアキュムレータ29の出口側の部分の両方に、液インジェクション管46を接続している。ここで、液インジェクション管46のうちアキュムレータ29の出口側の部分に接続されるほうを第1液インジェクション管46aとし、液インジェクション管46のうちアキュムレータ29の入口側の部分に接続されるほうを第2液インジェクション管46bとする。このように、ここでは、液インジェクション管46をアキュムレータ29の入口側及び出口側の両方に接続することで、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を低下させる効果を向上させたい場合には、液インジェクション管46を流れる冷媒をアキュムレータ29の出口側に送り、例えば、圧縮機21における液圧縮を防ぎたい場合には、液インジェクション管46を流れる冷媒をアキュムレータ29の入口側に送るようにしてもよい。また、ここでは、
図12に示すように、冷媒戻し管41を2つに分岐し、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分及びアキュムレータ29の出口側の部分の両方に、冷媒戻し管41を接続してもよい。ここで、冷媒戻し管41のうちアキュムレータ29の出口側の部分に接続されるほうが第1冷媒戻し管41aであり、冷媒戻し管41のうちアキュムレータ29の入口側の部分に接続されるほうが第2冷媒戻し管41bである。
【0116】
また、
図11の液インジェクション管46を2つに分岐し、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分及びアキュムレータ29の出口側の部分の両方に、液インジェクション管46を接続した構成を利用して、圧縮機21の吐出圧力Pdの上昇を抑えることができる。具体的には、液インジェクション管46のうちアキュムレータ29の入口側の部分に接続される第2液インジェクション管46bに、液抜き弁46dを設けておき、圧縮機21の吐出圧力Pdが所定の吐出圧力閾値Pdx(例えば、上限吐出圧力)を超えないように液抜き弁46dを制御する。具体的には、制御部19は、吐出圧力Pdが吐出圧力閾値Pdxまで上昇した場合に、吐出圧力Pdが吐出圧力閾値pdx以下になるまで、液抜き弁46dを開ける制御を行う。これにより、液インジェクション管46を通じて、室外熱交換器23内に存在する液冷媒をアキュムレータ29に送って待避させることができ、その結果、吐出圧力Pdの上昇を抑えることができる。このように、ここでは、液インジェクション管46のうちアキュムレータ29の入口側に接続される第2液インジェクション管46bに設けられた液抜き弁46dを制御することによって、液インジェクション管46を通じて室外液冷媒管34からアキュムレータ29に冷媒を送ることができるため、圧縮機21の吐出圧力Pdの上昇を抑えることができる。尚、この構成では、上記の液抜き制御時に、第2液インジェクション管46bに多くの冷媒を流すことができるように、第1液インジェクション管46aに流動抵抗となるキャピラリーチューブ46cを設けている。また、
図12の冷媒戻し管41を2つに分岐し、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分及びアキュムレータ29の出口側の部分の両方に、冷媒戻し管41を接続した構成を利用して、圧縮機21の吐出圧力Pdの上昇を抑えるようにしてもよい。具体的には、液インジェクション管46の場合と同様に、冷媒戻し管41のうちアキュムレータ29の入口側の部分に接続される第2冷媒戻し管41bに、液抜き弁41dを設けておき、圧縮機21の吐出圧力Pdが吐出圧力閾値Pdxを超えないように液抜き弁41dを制御するのである。尚、この構成においても、上記の液抜き制御時に、第2冷媒戻し管41bに多くの冷媒を流すことができるように、第1冷媒戻し管41aに流動抵抗となるキャピラリーチューブ41cを設けてもよい。
【0117】
<変形例3>
上記第2実施形態(
図8参照)の空気調和装置1では、吸入冷媒管31に液インジェクション管46及び冷媒戻し管41を接続することで、室外液冷媒管34から分岐した冷媒を圧縮機21の吸入側に送るようにし、これにより、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を低下させ(
図2の点H、A参照)、その結果、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えるようにしている。しかし、液インジェクション管46及び冷媒戻し管41を流れる冷媒の圧縮機21への送り先は、これに限定されるものではない。
【0118】
ここでは、
図13に示すように、圧縮機21の圧縮行程の途中部分に冷媒戻し管41を接続するようにしてもよい。
【0119】
この構成では、
図13及び
図14に示すように、室外液冷媒管34から冷媒戻し管41に分岐した冷媒を圧縮機21の圧縮行程の途中部分に送り、圧縮機21において中間圧まで圧縮された冷媒の温度も低下させる点(
図14の点K参照)で、上記第2実施形態と異なっている。尚、この場合においても、冷媒の二相搬送を行うための液圧調整膨張弁26の制御等は、上記第2実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0120】
また、
図15に示すように、圧縮機21の圧縮行程の途中部分に液インジェクション管46を接続するようにしてもよい。
【0121】
この構成では、
図15及び
図16に示すように、上記第2実施形態(
図9の点H、A参照)とは異なり、室外液冷媒管34から液インジェクション管46に分岐した冷媒を圧縮機21の圧縮行程の途中部分に送り、圧縮機21において中間圧まで圧縮された冷媒の温度を低下させることで(
図16の点L参照)、圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えることができる。尚、この場合においても、冷媒の二相搬送を行うための液圧調整膨張弁26の制御等は、上記第2実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0122】
さらに、ここでは図示しないが、室外液冷媒管34から液インジェクション管46及び冷媒戻し管41に分岐した冷媒の両方を圧縮機21の圧縮行程の途中部分に送るようにして、
図16と同様に、圧縮機21において中間圧まで圧縮された冷媒の温度を低下させるようにしてもよい。
【0123】
<変形例4>
上記第2実施形態の変形例3(
図13参照)の空気調和装置1においても、上記変形例2(
図11参照)と同様に、
図17に示すように、液インジェクション管46を2つに分岐し、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分及び圧縮機21の圧縮行程の途中部分の両方に、液インジェクション管46を接続してもよい。ここで、液インジェクション管46のうち圧縮機21の圧縮行程の途中部分に接続されるほうを第1液インジェクション管46aとし、液インジェクション管46のうちアキュムレータ29の入口側の部分に接続されるほうを第2液インジェクション管46bとする。このように、ここでは、液インジェクション管46を吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分及び圧縮機21の圧縮行程の途中部分の両方に接続することで、圧縮機21において中間圧まで圧縮された冷媒の温度を低下させたい場合には、液インジェクション管46を流れる冷媒を圧縮機21の圧縮行程の途中部分に送り、例えば、圧縮機21における液圧縮を防ぎたい場合には、液インジェクション管46を流れる冷媒をアキュムレータの入口側に送ることができる。また、ここでは、
図18に示すように、冷媒戻し管41を2つに分岐し、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分及び圧縮機21の圧縮行程の途中部分の両方に、冷媒戻し管41を接続してもよい。ここで、冷媒戻し管41のうちアキュムレータ29の出口側の部分に接続されるほうが第1冷媒戻し管41aであり、冷媒戻し管41のうちアキュムレータ29の入口側の部分に接続されるほうが第2冷媒戻し管41bである。
【0124】
また、
図17の液インジェクション管46を2つに分岐し、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分及び圧縮機21の圧縮行程の途中部分の両方に、液インジェクション管46を接続した構成を利用して、圧縮機21の吐出圧力Pdの上昇を抑えることができる。具体的には、液インジェクション管46のうちアキュムレータ29の入口側の部分に接続される第2液インジェクション管46bに、液抜き弁46dを設けておき、圧縮機21の吐出圧力Pdが所定の吐出圧力閾値Pdx(例えば、上限吐出圧力)を超えないように液抜き弁46dを制御する。具体的には、制御部19は、吐出圧力Pdが吐出圧力閾値Pdxまで上昇した場合に、吐出圧力Pdが吐出圧力閾値pdx以下になるまで、液抜き弁46dを開ける制御を行う。これにより、液インジェクション管46を通じて、室外熱交換器23内に存在する液冷媒をアキュムレータ29に送って待避させることができ、その結果、吐出圧力Pdの上昇を抑えることができる。このように、ここでは、液インジェクション管46のうちアキュムレータ29の入口側に接続される第2液インジェクション管46bに設けられた液抜き弁46dを制御することによって、液インジェクション管46を通じて室外液冷媒管34からアキュムレータ29に冷媒を送ることができるため、圧縮機21の吐出圧力Pdの上昇を抑えることができる。また、
図18の冷媒戻し管41を2つに分岐し、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の入口側の部分及び圧縮機21の圧縮行程の途中部分の両方に、冷媒戻し管41を接続した構成を利用して、圧縮機21の吐出圧力Pdの上昇を抑えるようにしてもよい。具体的には、液インジェクション管46の場合と同様に、冷媒戻し管41のうちアキュムレータ29の入口側の部分に接続される第2冷媒戻し管41bに、液抜き弁41dを設けておき、圧縮機21の吐出圧力Pdが吐出圧力閾値Pdxを超えないように液抜き弁41dを制御するのである。
【0125】
(3)第3実施形態
<構成>
図19は、本発明の第3実施形態にかかる空気調和装置1の概略構成図である。空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルによって、ビル等の室内の冷房や暖房を行う装置である。空気調和装置1は、主として、室外ユニット2と、互いが並列に接続される複数(ここでは、4つ)の室内ユニット3a、3b、3c、3dと、各室内ユニット3a、3b、3c、3dに接続される中継ユニット4a、4b、4c、4dと、中継ユニット4a、4b、4c、4dを介して室外ユニット2と室内ユニット3a、3b、3c、3dとを接続する冷媒連絡管5、6と、室外ユニット2、室内ユニット3a、3b、3c、3d及び中継ユニット4a、4b、4c、4dの構成機器を制御する制御部19と、を有している。そして、空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路10は、室外ユニット2と、室内ユニット3a、3b、3c、3dと、中継ユニット4a、4b、4c、4dと、冷媒連絡管5、6とが接続されることによって構成されている。冷媒回路10には、R32等の冷媒が充填されている。そして、空気調和装置1は中継ユニット4a、4b、4c、4dによって、各室内ユニット3a、3b、3c、3dが個別に冷房運転又は暖房運転を行うことが可能になっており、暖房運転を行う室内ユニットから冷房運転を行う室内ユニットに冷媒を送ることで室内ユニット間において熱回収を行うこと(ここでは、冷房運転と暖房運転とを同時に行う冷暖同時運転を行うこと)が可能になるように構成されている。
【0126】
−冷媒連絡管−
液冷媒連絡管5は、主として、室外ユニット2から延びる合流管部と、中継ユニット4a、4b、4c、4dの手前で複数(ここでは、4つ)に分岐した第1分岐管部5a、5b、5c、5dと、中継ユニット4a、4b、4c、4dと室内ユニット3a、3b、3c、3dとを接続する第2分岐管部5aa、5bb、5cc、5ddと、を有している。
また、ガス冷媒連絡管6は、主として、高低圧ガス冷媒連絡管7と、低圧ガス冷媒連絡管8と、中継ユニット4a、4b、4c、4dと室内ユニット3a、3b、3c、3dとを接続する分岐管部6a、6b、6c、6dと、を有している。高低圧ガス冷媒連絡管7は、室外ユニット2から延びる合流管部と、中継ユニット4a、4b、4c、4dの手前で複数(ここでは、4つ)に分岐した分岐管部7a、7b、7c、7dと、を有している。低圧ガス冷媒連絡管8は、室外ユニット2から延びる合流管部と、中継ユニット4a、4b、4c、4dの手前で複数(ここでは、4つ)に分岐した分岐管部8a、8b、8c、8dと、を有している。
【0127】
−室内ユニット−
室内ユニット3a、3b、3c、3dは、ビル等の室内に設置されている。室内ユニット3a、3b、3c、3dは、上記のように、液冷媒連絡管5、ガス冷媒連絡管6(高低圧ガス冷媒連絡管7、低圧ガス冷媒連絡管8及び分岐管部6a、6b、6c、6d)及び中継ユニット4a、4b、4c、4dを介して室外ユニット2に接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0128】
尚、室内ユニット3a、3b、3c、3dの構成は、第1及び第2実施形態の室内ユニット3a、3bと同じ構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0129】
−中継ユニット−
中継ユニット4a、4b、4c、4dは、ビル等の室内に室内ユニット3a、3b、3c、3dとともに設置されている。中継ユニット4a、4b、4c、4dは、液冷媒連絡管5及びガス冷媒連絡管6(高低圧ガス冷媒連絡管7、低圧ガス冷媒連絡管8及び分岐管部6a、6b、6c、6d)とともに、室内ユニット3a、3b、3c、3dと室外ユニット2との間に介在しており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0130】
次に、中継ユニット4a、4b、4c、4dの構成について説明する。尚、中継ユニット4aと中継ユニット4b、4c、4dとは同様の構成であるため、ここでは、中継ユニット4aの構成のみ説明し、中継ユニット4b、4c、4dの構成については、それぞれ、中継ユニット4aの各部を示す符号の添字「a」の代わりに、「b」、「c」又は「d」の添字を付して、各部の説明を省略する。
【0131】
中継ユニット4aは、主として、液接続管61aと、ガス接続管62aと、を有している。
【0132】
液接続管61aは、その一端が液冷媒連絡管5の第1分岐管部5aに接続され、他端が液冷媒連絡管5の第2分岐管部5aaに接続されている。
【0133】
ガス接続管62aは、高低圧ガス冷媒連絡管7の分岐管部7aに接続された高圧ガス接続管63aと、低圧ガス冷媒連絡管8の分岐管部8aに接続された低圧ガス接続管64aと、高圧ガス接続管63aと低圧ガス接続管64aとを合流させる合流ガス接続管65aとを有している。合流ガス接続管65aは、ガス冷媒連絡管6の分岐管部6aに接続されている。高圧ガス接続管63aには、高圧ガス弁66aが設けられており、低圧ガス接続管64aには、低圧ガス弁67aが設けられている。ここでは、高圧ガス弁66a及び低圧ガス弁67aは、電動膨張弁からなる。
【0134】
そして、中継ユニット4aは、室内ユニット3aが冷房運転を行う際には、低圧ガス弁67aを開けた状態にして、液冷媒連絡管5の第1分岐管部5aを通じて液接続管61aに流入する冷媒を、液冷媒連絡管5の第2分岐管部5aaを通じて室内ユニット3aに送り、その後、室内熱交換器52aにおいて室内空気との熱交換によって蒸発した冷媒を、ガス冷媒連絡管6の分岐管部6a、合流ガス接続管65a及び低圧ガス接続管64aを通じて、低圧ガス冷媒連絡管8の分岐管部8aに戻すように機能することができる。また、中継ユニット4aは、室内ユニット3aが暖房運転を行う際には、低圧ガス弁67aを閉止し、かつ、高圧ガス弁66aを開けた状態にして、高低圧ガス冷媒連絡管7の分岐管部7aを通じて高圧ガス接続管63a及び合流ガス接続管65aに流入する冷媒を、ガス冷媒連絡管6の分岐管部6aを通じて室内ユニット3aに送り、その後、室内熱交換器52aにおいて室内空気との熱交換によって放熱した冷媒を、液冷媒連絡管5の第2分岐管部5aa及び液接続管61aを通じて、液冷媒連絡管5の第1分岐管部5aに戻すように機能することができる。この機能は、中継ユニット4aだけでなく、中継ユニット4b、4c、4dも同様に有しているため、中継ユニット4a、4b、4c、4dによって、室内熱交換器52a、52b、52c、52dは、個別に冷媒の蒸発器又は放熱器として機能させる切り換えが可能になっている。
【0135】
−室外ユニット−
室外ユニット2は、ビル等の室外に設置されている。室外ユニット2は、上記のように、液冷媒連絡管5、ガス冷媒連絡管6(高低圧ガス冷媒連絡管7、低圧ガス冷媒連絡管8及び分岐管部6a、6b、6c、6d)及び中継ユニット4a、4b、4c、4dを介して室内ユニット3a、3b、3c、3dに接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0136】
室外ユニット2は、主として、圧縮機21と、複数(ここでは、2つ)の室外熱交換器23a、23bと、を有している。また、室外ユニット2は、各室外熱交換器23a、23bを冷媒の放熱器として機能させる放熱運転状態と、各室外熱交換器23a、23bを冷媒の蒸発器として機能させる蒸発運転状態と、を切り換えるための切換機構22a、22bを有している。切換機構22a、22bと圧縮機21の吸入側とは、吸入冷媒管31によって接続されている。吸入冷媒管31には、圧縮機21に吸入される冷媒を一時的に溜めるアキュムレータ29が設けられている。圧縮機21の吐出側と切換機構22a、2bとは、吐出冷媒管32によって接続されている。切換機構22aと室外熱交換器23a、23bのガス側端とは、第1室外ガス冷媒管33a、33bによって接続されている。室外熱交換器23a、23bの液側端と液冷媒連絡管5とは、室外液冷媒管34によって接続されている。室外液冷媒管34の液冷媒連絡管5との接続部には、液側閉鎖弁27が設けられている。また、室外ユニット2は、圧縮機21から吐出された冷媒を高低圧ガス冷媒連絡管7に送る冷媒導出状態と、高低圧ガス冷媒連絡管7を流れる冷媒を吸入冷媒管31に送る冷媒導入状態と、を切り換えるための第3切換機構22cを有している。第3切換機構22cと高低圧ガス冷媒連絡管7とは、第2室外ガス冷媒管35によって接続されている。第3切換機構22cと圧縮機21の吸入側とは、吸入冷媒管31によって接続されている。圧縮機21の吐出側と第3切換機構22cとは、吐出冷媒管32によって接続されている。第2室外ガス冷媒管35の高低圧ガス冷媒連絡管7との接続部には、高低圧ガス側閉鎖弁28aが設けられている。吸入冷媒管31は、低圧ガス冷媒連絡管8に接続されている。吸入冷媒管31と低圧ガス冷媒連絡管8との接続部には、低圧ガス側閉鎖弁28bが設けられている。液側閉鎖弁27及びガス側閉鎖弁28a、28bは、手動で開閉される弁である。
【0137】
圧縮機21は、冷媒を圧縮するための機器であり、例えば、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素(図示せず)が圧縮機用モータ21aによって回転駆動される密閉式構造の圧縮機が使用される。
【0138】
第1切換機構22aは、第1室外熱交換器23aを冷媒の放熱器として機能させる場合(以下、「室外放熱状態」とする)には圧縮機21の吐出側と第1室外熱交換器23aのガス側とを接続し(
図19の第1切換機構22aの実線を参照)、第1室外熱交換器23aを冷媒の蒸発器として機能させる場合(以下、「室外蒸発状態」とする)には圧縮機21の吸入側と第1室外熱交換器23aのガス側とを接続するように(
図19の第1切換機構22aの破線を参照)、冷媒回路10内における冷媒の流れを切り換えることが可能な機器であり、例えば、四路切換弁からなる。また、第2切換機構22bは、第2室外熱交換器23bを冷媒の放熱器として機能させる場合(以下、「室外放熱状態」とする)には圧縮機21の吐出側と第2室外熱交換器23bのガス側とを接続し(
図19の第2切換機構22bの実線を参照)、第2室外熱交換器23bを冷媒の蒸発器として機能させる場合(以下、「室外蒸発状態」とする)には圧縮機21の吸入側と第2室外熱交換器23bのガス側とを接続するように(
図19の第2切換機構22bの破線を参照)、冷媒回路10内における冷媒の流れを切り換えることが可能な機器であり、例えば、四路切換弁からなる。そして、切換機構22a、22bの切り換え状態を変更することによって、室外熱交換器23a、23bは、個別に冷媒の蒸発器又は放熱器として機能させる切り換えが可能になっている。
【0139】
第1室外熱交換器23aは、冷媒の放熱器として機能する、又は、冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。第2室外熱交換器23bは、冷媒の放熱器として機能する、又は、冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。ここで、室外ユニット2は、室外ユニット2内に室外空気を吸入して、室外熱交換器23a、23bにおいて冷媒と熱交換させた後に、外部に排出するための室外ファン24を有している。すなわち、室外ユニット2は、室外熱交換器23a、23bを流れる冷媒の冷却源又は加熱源としての室外空気を室外熱交換器23a、23bに供給するファンとして、室外ファン24を有している。ここでは、室外ファン24は、室外ファン用モータ24aによって駆動される。
【0140】
第3切換機構23cは、圧縮機21から吐出された冷媒を高低圧ガス冷媒連絡管7に送る場合(以下、「冷媒導出状態」とする)には圧縮機21の吐出側と高低圧ガス冷媒連絡管7とを接続し(
図19の第3切換機構22cの破線を参照)、高低圧ガス冷媒連絡管7を流れる冷媒を吸入冷媒管31に送る場合(以下、「冷媒導入状態」とする)には圧縮機21の吸入側と高低圧ガス冷媒連絡管7を接続するように(
図19の第3切換機構22cの実線を参照)、冷媒回路10内における冷媒の流れを切り換えることが可能な機器であり、例えば、四路切換弁からなる。
【0141】
そして、空気調和装置1では、圧縮機21、室外熱交換器23a、23b、液冷媒連絡管5及び室内熱交換器52a、52b、52c、52dのみに着目した場合に、圧縮機21から吐出された冷媒を室外熱交換器23、液冷媒連絡管5、室内熱交換器52a、52b、52c、52dの順に流す運転(全冷房運転及び冷房主体運転)を行うようになっている。ここで、全冷房運転とは、冷媒の蒸発器として機能している室内熱交換器のみが存在する運転状態を意味し、冷房主体運転とは、冷媒の蒸発器として機能している室内熱交換器及び冷媒の放熱器として機能している室内熱交換器の両方が混在しているが、全体としては蒸発側の負荷が大きい状態を意味する。また、空気調和装置1では、圧縮機21、ガス冷媒連絡管6、室内熱交換器52a、52b、52c、52d、液冷媒連絡管5及び室外熱交換器23a、23bのみに着目した場合に、圧縮機21から吐出された冷媒をガス冷媒連絡管6、室内熱交換器52a、52b、52c、52d、液冷媒連絡管5、室外熱交換器23a、23bの順に流す運転(全暖房運転及び暖房主体運転)を行うようになっている。ここで、全暖房運転とは、冷媒の放熱器として機能している室内熱交換器のみが存在する運転状態を意味し、暖房主体運転とは、冷媒の蒸発器として機能している室内熱交換器及び冷媒の放熱器として機能している室内熱交換器の両方が混在しているが、全体としては放熱側の負荷が大きい状態を意味する。尚、ここでは、全冷房運転及び冷房主体運転時には、切換機構22a、22bの少なくとも一方が室外放熱状態に切り換えられて、室外熱交換器23a、23b全体としては冷媒の放熱器として機能し、液冷媒連絡管5を通じて室外ユニット2側から室内ユニット3a、3b、3c、3d側に冷媒が流れる状態になる。また、全暖房運転及び暖房主体運転時には、切換機構22a、22bの少なくとも一方が室外蒸発状態に切り換えられ、かつ、第3切換機構22cが冷媒導出状態に切り換えられて、室外熱交換器23a、23b全体としては冷媒の蒸発器として機能し、液冷媒連絡管5を通じて室内ユニット3a、3b、3c、3d側から室外ユニット2側に冷媒が流れる状態になる。
【0142】
また、ここでは、室外液冷媒管34に、第2実施形態の室外ユニット2と同様に、液圧調整膨張弁26、液インジェクション管46、冷媒戻し管41及び冷媒冷却器45が設けられている。液圧調整膨張弁26、液インジェクション管46、冷媒戻し管41及び冷媒冷却器45の構成は、第2実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0143】
−制御部−
制御部19は、室外ユニット2や室内ユニット3a、3b、3c、3d、中継ユニット4a、4b、4c、4dに設けられた制御基板等(図示せず)が通信接続されることによって構成されている。尚、
図19においては、便宜上、室外ユニット2や室内ユニット3a、3b、中継ユニット4a、4b、4c、4dとは離れた位置に図示している。制御部19は、上記のような各種センサ36、37、38、39、40、49、57a〜57d、58a〜58d、59a〜59dの検出信号等に基づいて空気調和装置1(ここでは、室外ユニット2、室内ユニット3a、3b、3c、3d及び中継ユニット4a、4b、4c、4d)の各種構成機器21、22a〜22c、24、25a、25b、26、41、47、51a〜51d、55a〜55d、66a〜66d、67a〜67dの制御、すなわち、空気調和装置1全体の運転制御を行うようになっている。
【0144】
<空気調和装置の動作及び特徴>
次に、空気調和装置1の動作及び特徴について、
図19及び
図9を用いて説明する。
【0145】
空気調和装置1では、上記のように、全冷房運転、冷房主体運転、全暖房運転及び暖房主体運転が行われる。そして、全冷房運転及び冷房主体運転においては、第1及び第2実施形態と同様に、室外液冷媒管34に設けられた液圧調整膨張弁26によって、気液二相状態の冷媒を液冷媒連絡管5に流して室外ユニット2側から室内ユニット3a、3b、3c、3d側に送る冷媒の二相搬送が行われる。さらに、全冷房運転及び冷房主体運転においては、室外液冷媒管34を流れる冷媒の一部を分岐して圧縮機21に送る冷媒戻し管41、及び、冷媒戻し管41を流れる冷媒によって室外液冷媒管34のうち液圧調整膨張弁26よりも室外熱交換器23側の部分を流れる冷媒を冷却する冷媒冷却器45によって、室外液冷媒管34のうち冷媒冷却器45と液圧調整膨張弁26との間の部分における冷媒を冷却する動作が行われる。さらに、全冷房運転及び冷房主体運転においては、室外液冷媒管34のうち液圧調整膨張弁26よりも室外熱交換器23側の部分に室外液冷媒管34を流れる冷媒の一部を分岐して圧縮機21に送る液インジェクション管46によって、室外液冷媒管34を流れる冷媒の温度(液管温度Tlp)の変動を抑えつつ、圧縮機21に冷媒を送る動作が行われる。尚、空気調和装置1の動作は、空気調和装置1の構成機器を制御する制御部19によって行われる。また、以下の説明では、液圧調整膨張弁26等の制御を伴う運転を代表して、全冷房運転について説明を行い、冷房主体運転については説明を省略する。
【0146】
全冷房運転の際、例えば、室内ユニット3a、3b、3c、3dの全てが冷房運転(すなわち、室内熱交換器52a、52b、52c、52dの全てが冷媒の蒸発器として機能し、かつ、室外熱交換器23a、23bが冷媒の放熱器として機能する運転)を行う際には、切換機構22a、22bが室外放熱状態(
図19の切換機構22a、22bの実線で示された状態)に切り換えられて、圧縮機21、室外ファン24及び室内ファン55a、55bが駆動される。また、第3切換機構22cが冷媒導入状態(
図19の切換機構22cの実線で示された状態)に切り換えられ、中継ユニット4a、4b、4c、4dの高圧ガス弁66a、66b、66c、66d及び低圧ガス弁67a、67b、67c、67dは開状態にされる。
【0147】
すると、圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、切換機構22a、22bを通じて室外熱交換器23a、23bに送られる(
図19、9の点B参照)。室外熱交換器23a、23bに送られた冷媒は、冷媒の放熱器として機能する室外熱交換器23a、23bにおいて、室外ファン24によって供給される室外空気と熱交換を行って冷却されることによって凝縮する(
図19、9の点C参照)。この冷媒は、室外膨張弁25a、25b、冷媒冷却器45、液圧調整膨張弁26及び液側閉鎖弁27を通じて室外ユニット2から流出する(
図19、9の点D参照)。
【0148】
室外ユニット2から流出した冷媒は、液冷媒連絡管5及び中継ユニット4a、4b、4c、4dを通じて室内ユニット3a、3b、3c、3dに分岐して送られる(
図19、9の点E参照)。室内ユニット3a、3b、3c、3dに送られた冷媒は、室内膨張弁51a、51b、51c、51dによって低圧まで減圧された後に、室内熱交換器52a、52b、52c、52dに送られる(
図19、9の点F参照)。室内熱交換器52a、52b、52c、52dに送られた冷媒は、冷媒の蒸発器として機能する室内熱交換器52a、52b、52c、52dにおいて、室内ファン55a、55bによって室内から供給される室内空気と熱交換を行って加熱されることによって蒸発する(
図19、9の点G参照)。この冷媒は、室内ユニット3a、3b、3c、3dから流出する。一方、室内熱交換器52a、52b、52c、52dにおいて冷却された室内空気は、室内に送られ、これにより、室内の冷房が行われる。
【0149】
室内ユニット3a、3b、3c、3dから流出した冷媒は、ガス冷媒連絡管6及び中継ユニット4a、4b、4c、4dを通じて室外ユニット2に合流して送られる(
図19、9の点H参照)。室外ユニット2に送られた冷媒は、ガス側閉鎖弁28及びアキュムレータ29を通じて圧縮機21に吸入される(
図19、9の点A参照)。
【0150】
ここで、上記の全冷房運転の際には、第1及び第2実施形態の冷房運転の際と同様に、液圧調整膨張弁26によって気液二相状態の冷媒を液冷媒連絡管5に流して室外ユニット2側から室内ユニット3a、3b、3c、3d側に送る冷媒の二相搬送を行うようにしている。しかも、冷媒の二相搬送を行うにあたり、第2実施形態の冷房運転の際と同様に、冷媒戻し管41及び冷媒冷却器45によって室外液冷媒管34を流れる冷媒を冷却し、そして、液インジェクション管46によって圧縮機21の吐出温度Tdの上昇を抑えつつ、冷媒の二相搬送を良好に行えるようにしている。この動作の詳細については、第2実施形態の冷房運転における冷媒の二相搬送に関する動作及び制御と同じであるため、ここでは説明を省略する。また、冷房主体運転の場合も、冷媒の二相搬送に関する動作及び制御は、全冷房運転の場合と同様である。
【0151】
<変形例>
上記第3実施形態(
図19参照)の空気調和装置1においては、吸入冷媒管31のうちアキュムレータ29の出口側の部分に、液インジェクション管46及び冷媒戻し管41を接続しているが、これに限定されるものではなく、第2実施形態及び変形例1〜4と同様に、液インジェクション管46や冷媒戻し管41の接続位置を工夫してもよい。
【0152】
また、上記第3実施形態(
図19参照)の空気調和装置1においては、冷媒戻し管41及び冷媒冷却器45を有しているが、これに限定されるものではなく、第1実施形態及び変形例1〜4と同様に、冷媒戻し管41及び冷媒冷却器45を有しない構成を採用してもよい。
【0153】
(4)他の実施形態
<A>
上記第2及び第3実施形態及び変形例の空気調和装置1においては、液インジェクション管46が、室外液冷媒管34のうち冷媒冷却器45と液圧調整膨張弁26との間の部分に接続されているが、これに限定されるものではない。
【0154】
例えば、
図20に示すように、液インジェクション管46を、室外液冷媒管34のうち冷媒戻し管41の分岐位置よりも室外熱交換器23寄りの位置に接続してもよい。また、
図21に示すように、液インジェクション管46を、室外液冷媒管34のうち冷媒戻し管41の分岐位置と冷媒冷却器45との間の位置に接続してもよい。
【0155】
<B>
上記第2及び第3実施形態及び変形例の空気調和装置1においては、冷媒冷却器45が、冷房運転(全冷房運転や冷房主体運転も同様)の際に、冷媒戻し管41を流れる冷媒と室外液冷媒管34を流れる冷媒とが対向流になる形式の熱交換器であり、かつ、冷媒戻し管41が室外液冷媒管34のうち冷媒冷却器45の上流側の位置から分岐されているが、これに限定されるものではない。
【0156】
例えば、
図22に示すように、冷媒冷却器45が、冷房運転(全冷房運転や冷房主体運転も同様)の際に、冷媒戻し管41を流れる冷媒と室外液冷媒管34を流れる冷媒とが並行流になる形式の熱交換器であり、かつ、冷媒戻し管41が室外液冷媒管34のうち冷媒冷却器45の上流側の位置から分岐されていてもよい。また、
図23に示すように、冷媒冷却器45が、冷房運転(全冷房運転や冷房主体運転も同様)の際に、冷媒戻し管41を流れる冷媒と室外液冷媒管34を流れる冷媒とが対向流になる形式の熱交換器であり、かつ、冷媒戻し管41が室外液冷媒管34のうち冷媒冷却器45の下流側の位置から分岐されていてもよい。また。
図24に示すように、冷媒冷却器45が、冷房運転(全冷房運転や冷房主体運転も同様)の際に、冷媒戻し管41を流れる冷媒と室外液冷媒管34を流れる冷媒とが並行流になる形式の熱交換器であり、かつ、冷媒戻し管41が室外液冷媒管34のうち冷媒冷却器45の下流側の位置から分岐されていてもよい。
【0157】
<C>
上記第1及び第2実施形態及び変形例の空気調和装置1は、冷房運転と暖房運転とを切り換えて行うことができる構成であったが、これに限定されず、冷房運転のみを行うことが可能な冷房専用の空気調和装置であってもよい。