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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-211476(P2019-211476A)
(43)【公開日】2019年12月12日
(54)【発明の名称】熱電腕時計
(51)【国際特許分類】
   G04C 10/00 20060101AFI20191115BHJP
   H01L 35/30 20060101ALI20191115BHJP
   H02N 11/00 20060101ALI20191115BHJP
   G04G 19/00 20060101ALI20191115BHJP
【FI】
   G04C10/00 C
   H01L35/30
   H02N11/00 A
   G04G19/00 Y
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-100959(P2019-100959)
(22)【出願日】2019年5月30日
(31)【優先権主張番号】18175994.5
(32)【優先日】2018年6月5日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】アラン・ジョルノ
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ・ゲイシャ
(72)【発明者】
【氏名】イヴァン・フェリ
【テーマコード(参考)】
2F002
2F101
【Fターム(参考)】
2F002AE00
2F101DE04
2F101DJ02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】熱電発電機を備えた熱電腕時計における、熱電モジュールの破損や劣化の問題を克服する。
【解決手段】半導体ピラーPSによって接続されたホットプレートPCとコールドプレートPFとを含む熱電モジュールMTを備えた熱電腕時計PHに関し、ホットプレートPCは、腕時計PHの背面カバーFDに熱的に接続され、コールドプレートPFは、少なくとも2つの分岐部BCを有する支持要素SPを介して腕時計PHのミドルケースCRに熱的に接続され、少なくとも2つの分岐部BCは、熱電モジュールMTのコールドプレートPFが保持される共通端部EX1を有し、少なくとも2つの分岐部BCは、衝撃を吸収するように可撓性である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ピラー(PS)によって接続されたホットプレート(PC)とコールドプレート(PF)とを含む熱電モジュール(MT)を備えた熱電腕時計(PH)であって、前記ホットプレート(PC)は、前記腕時計(PH)の背面カバー(FD)に熱的に接続され、前記コールドプレート(PF)は、少なくとも2つの分岐部(BC)を有する支持要素(SP)を介して前記腕時計(PH)のミドルケース(CR)に熱的に接続され、前記少なくとも2つの分岐部(BC)は、前記熱電モジュール(MT)の前記コールドプレート(PF)が保持される共通端部(EX1)を有し、前記少なくとも2つの分岐部(BC)は、衝撃を吸収するように可撓性である、熱電腕時計(PH)。
【請求項2】
前記支持要素(SP)は、第2の端部(EX2)と呼ばれる前記分岐部(BC)の他方の端部を貫通する金属リング(AN)を含み、前記リング(AN)は、前記第2の端部(EX2)が前記リング(AN)を介して前記ミドルケース(CR)に接合されるように、前記ミドルケース(CR)に固定された、請求項1に記載の熱電腕時計(PH)。
【請求項3】
前記分岐部(BC)は同じ長さである、請求項1または請求項2に記載の熱電腕時計(PH)。
【請求項4】
高い熱伝導率および高い機械的減衰を有するベアリング(CSc)は、前記背面カバー(FD)と前記熱電モジュール(MT)との間の界面に配置される、請求項1から請求項3のいずれかに記載の熱電腕時計(PH)。
【請求項5】
高い熱伝導率および高い機械的減衰を有するベアリング(CSc)は、前記熱電モジュール(MT)と前記支持要素(SP)との間の界面に配置される、請求項1から請求項4のいずれかに記載の熱電腕時計(PH)。
【請求項6】
前記背面カバー(FD)は、
−前記腕時計(PH)の着用時に手首に接触し、前記手首からの熱流束を前記熱電モジュール(MT)に向けるように配置された伝導性材料(CD)製の部品と、
−熱電モジュール(MT)を通過しない、前記手首と前記腕時計(PH)のミドルケース(CR)との間の熱流束を、制限するように配置された断熱材(IS)製の部品とを含む、請求項1から請求項5のいずれかに記載の熱電腕時計(PH)。
【請求項7】
前記断熱部品(IS)は、中央領域(ISc)および周辺領域(ISp)を含み、前記中央領域(ISc)は、前記周辺領域(ISp)よりも小さい厚さを有する、請求項6に記載の熱電腕時計(PH)。
【請求項8】
前記熱電モジュール側の前記断熱部品(IS)の前記中央領域(ISc)は、前記中央領域(ISc)を機械的に補強するためにアーム(BR’)によって覆われている、請求項7に記載の熱電腕時計(PH)。
【請求項9】
前記伝導性部品(CD)は、前記手首側に、前記断熱部品(IS)の前記中央領域(ISc)を局所的に覆うアーム(BR)を含む、請求項7に記載の熱電腕時計(PH)。
【請求項10】
前記熱電モジュール側において、前記断熱部品(IS)の前記中央領域(ISc)を覆う放熱スクリーン(EC)を含む、請求項6から請求項9のいずれかに記載の熱電腕時計(PH)。
【請求項11】
前記支持要素(SP)の機械的剛性Κは、0.15N/mmから2800N/mm、好ましくは12.8N/mmから104.8N/mmの範囲内である、請求項1から請求項10のいずれかに記載の熱電腕時計(PH)。
【請求項12】
前記支持要素(SP)の前記熱伝導Cは、6.7から840mW/K、好ましくは47から198mW/Kの範囲内である、請求項1から請求項11のいずれかに記載の熱電腕時計(PH)。
【請求項13】
前記支持要素(SP)は、前記分岐部(BC)に結合されたグラファイトベースのフィルムを含み、前記フィルムは、好ましくは、少なくとも400W/m/Kの熱伝導率を有する、請求項1から請求項12のいずれかに記載の熱電腕時計(PH)。
【請求項14】
前記少なくとも2つの分岐部(BC)はアルミニウム製である、請求項1から請求項13のいずれかに記載の熱電腕時計(PH)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱電腕時計と呼ばれる熱電発電機を備えた腕時計の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
このような熱電発電機は、熱流束を、腕時計の電気デバイス(腕時計のムーブメント、ダイヤル照明デバイスなど)に給電するために使用することができる電力に変換する。図1を参照すると、熱電発電機GTは、従来の方式で、熱電モジュールMTおよび送電回路CTを含む。熱電モジュールMTは、互いに実質的に平行で電気的に絶縁され、互いに隣接して配置された電導性ワイヤコネクタDMf、DMcを支えるコールドプレートPFおよびホットプレートPCを含む。熱電モジュールMTはまた、ホットプレートPCのワイヤコネクタDMcと、コールドプレートPFのワイヤコネクタDMfとの間に延在する半導体ピラーPSを含む。ホットプレートPCの各ワイヤコネクタDMcは、1つのnドープ半導体ピラーと1つのpドープ半導体ピラーとを備えた一対の半導体ピラーPSによって、コールドプレートPFの2つのワイヤコネクタDMfへ接続され、コールドプレートPFの各ワイヤコネクタDMfは、2つの端部ワイヤコネクタDMfeを除いて、ホットプレートPCの2つのワイヤコネクタDMcに接続されるように、ピラーPSが配置されている。したがって、ピラーPSは電気的に直列に、そして熱的に並列に接続されている。最後に、送電回路CTは、コールドプレートPFの2つの端部ワイヤコネクタDMfeを、給電されるべき電気デバイスに接続する。
【0003】
従来の方式では、ホットプレートは、腕時計の背面カバーと熱的に直列しており、コールドプレートは、ミドルケースと熱的に直列している。腕時計の着用者の手首から放出される自然熱の伝達によってホットプレートが加熱されると、ホットプレートとコールドプレートとの間に温度差が生じる。この温度勾配は、第1のプレートのワイヤコネクタと、第2のプレートのワイヤコネクタとの間にゼーベック効果によって電位差を生じさせる。この電位差は、その後、送電回路を介して給電されるべき電気デバイスに伝送される。送電回路は、有利には、熱流束が低いときでも熱電発電機が電気デバイスに給電できるように昇圧器を含むことに留意されたい。
【0004】
温度勾配を最大にするために、熱電モジュールは、一方では背面カバーと、他方ではミドルケースと、最適な熱接触状態で配置される必要がある。図2を参照すると、この最適な熱接触は、従来、一方では背面カバーFDと熱電モジュールMTとの間、他方では熱電モジュールMTと、ミドルケースCRに熱的および機械的に接続される支持プレートESとの間で、圧力を維持することを意味する。しかしながら、このようなシステムでは、ミドルケースCRへの衝撃は、熱電モジュールMTに容易に伝播する。これは、ホットプレートPCおよびコールドプレートPFが壊れやすい、熱電モジュールMTの劣化を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
この問題を克服するために、請求項1に記載の腕時計が提案されている。
【0006】
したがって、熱電モジュールのコールドプレートと熱接触が生じる共通端部を有する少なくとも2つの分岐部を、支持要素に設けることが提案される。分岐部のもう一方の端部(第2の端部と呼ばれる)は、ミドルケースと一体的であることが意図されている。可撓的な分岐部により、支持要素は、ミドルケースへの衝撃が熱電モジュールに伝搬するのを阻止するための衝撃吸収材として作用する。したがって、支持要素は、熱伝導体と、制御された剛性を有する機械ばねとの二重機能を有する。aおよびbが分岐部の幅および厚さである場合、剛性は積ab3にしたがって変動し、熱伝導は積abにしたがって変動するので、分岐部のaとbの寸法を慎重に選択することで、支持要素の熱的および機械的パラメータを最適化することが可能である。
【0007】
さらに、本発明は、従属請求項に規定された特徴を含み得る。
【0008】
一実施形態では、支持要素は、分岐部の第2の端部を貫通する金属リングを含み、リングは、第2の端部がリングを介してミドルケースに接合されるようにミドルケースに固定される。したがって、これはミドルケースへの支持要素の取り付けを最適化する。支持要素リングは、たとえば、ミドルケースに押圧および/または結合される。
【0009】
支持要素は、1つの部品であっても、1つの部品でなくてもよい。分岐部は、同じ長さであっても、同じ長さでなくてもよく、その結果、熱電モジュールは、ミドルケースに対して中心にあるか、または中心から外れる。支持要素は、1つのみの材料(アルミニウム、銅、CuBeなど)または材料のアセンブリ(たとえば、高い熱伝導率を有するグラファイトを含む)で製造され得る。
【0010】
一実施形態では、高い熱伝導率および高い機械的減衰を有するベアリングは、背面カバーと熱電モジュールとの間の界面に配置される。上記で述べたものと組み合わせることができる実施形態では、高い熱伝導率および高い機械的減衰を有するベアリングは、熱電モジュールと支持要素との間の界面に配置される。ベアリングは、ガラス強化エラストマで形成され得る。
【0011】
一実施形態では、背面カバーは以下を含む。
−腕時計の着用時に手首に接触し、熱流束を熱電モジュールに向けるように配置された伝導性材料(たとえば、アルミニウム、CuBeなど)製の1つの部品。有利には、手首側では、伝導部の表面は、背面カバー全表面のほとんどを覆っているが、熱電モジュール側(すなわち、手首側とは反対側)では、伝導部の表面は、ホットプレートの表面よりもほとんど大きくない。したがって、大きな熱流束除去面があるが、流束は専ら熱電モジュールに向かって集中される。
−熱電モジュールを通過せずに腕時計の背面カバーからミドルケースへ直接通過する熱流束を低減するように配置された断熱材(たとえば、ABS、ポリアミドなど)製の1つの部品。断熱部の周辺領域は、ミドルケースに固定されることが意図されており、断熱部の中央領域は、手首側の伝導部によって覆われている。
【0012】
伝導部および断熱部は、伝導性および絶縁性機能を最適化し、装飾的効果を生み出すために様々な形態を採用することができる。伝導部および断熱部は、熱電モジュール側のサークリップにより、クリンプにより、接着剤等により組み立てることができる。
【0013】
一実施形態では、断熱部は、その厚さを低減するために、熱電モジュール側で空洞化されている。より具体的には、断熱部の中央領域は、断熱部の周辺領域よりも薄い。その理由は、空気は、断熱部を形成することができるいかなる材料よりも優れた断熱材であるからである(このような小さな寸法では、空気対流現象は起こらないからである)。空気を、他のより絶縁性の高いガス(たとえば、アルゴン、CO2、または、六フッ化硫黄SF6)と置換することを想定することも可能である。
【0014】
同様に、熱電発電機が接続される構成要素を支えるプレートは、空気(またはガス)の体積を増加させ、それによって腕時計の背面カバーと、内部腕時計要素との間の断熱性を向上させるために空洞化され得る。
【0015】
一実施形態では、上述した理由のために薄くなければならない断熱部を補強するために、手首側の伝導部または熱電モジュール側の断熱部は、堅いアームを含む。アームは、伝導部および断熱部と同じ、または異なる材料で製造され得る。
【0016】
一実施形態では、放射による熱交換を阻止することによって断熱性を改善するために、熱放射スクリーンとして機能するディスクは、熱電モジュール側の断熱部の中央領域に配置される。スクリーンとして使用される材料は、スプレー、蒸着、または塗装堆積アルミニウムなどの、周囲温度で低い熱放射率を有する材料とすることができる。あるいは、サバイバルブランケットのように、PETまたは他の種類のフィルム上に数層にわたって堆積された材料から放射ディスクを製造し、次いで背面カバーに対して金側をして、背面ケースに追加することができる。ディスクはファラデー箱としても機能し、静電気放電から腕時計を保護することに留意されたい。
【0017】
一実施形態では、支持要素の機械的剛性Κは、0.15N/mmから2800N/mm、好ましくは12.8N/mmから104.8N/mmの範囲内である。
【0018】
一実施形態では、支持要素の熱伝導Cは、6.7から840mW/K、好ましくは47から198mW/Kの範囲内である。
【0019】
一実施形態では、支持要素は、分岐部に結合されたグラファイトベースのフィルムを含み、フィルムは少なくとも400W/m/Kの熱伝導率を有することが好ましい。フィルムは、分岐部の熱伝導を増加させる。
【0020】
一実施形態では、少なくとも2つの分岐部はアルミニウム製である。
【0021】
他の特徴および利点は、添付の図面を参照しながら、非限定的な例示として与えられる以下の記載から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】上述したように、電気エネルギを腕時計に供給するために使用することができる熱電発電機を表す図である。
図2】上述したように、腕時計の背面カバーに取り付けられた図1の熱電発電機のモジュールを表す図である。
図3】本発明の一実施形態による熱電腕時計の半分解図である。
図4】本発明の一実施形態による熱電腕時計の熱電モジュールのミドルケースおよび支持要素を表す図である。
図5】背面カバーを取り外した状態で背面カバー側から見た本発明の一実施形態による熱電腕時計を表す図である。
図6】手首側から見た本発明の一実施形態による熱電腕時計の背面カバーを表す図である。
図7】熱電モジュール側から見た本発明の一実施形態による熱電腕時計の背面カバーを表す図である。
図8】手首側から見た本発明の一実施形態による熱電腕時計の背面カバーを表す図である。
図9】熱電モジュール側から見た本発明の一実施形態による熱電腕時計の背面カバーを表す図である。
図10】背面カバーを取り外した状態で背面カバー側から見た本発明の一実施形態による熱電腕時計を表す図である。
図11】放熱スクリーンが上に載っている、熱電モジュール側から見た本発明の一実施形態による熱電腕時計の背面カバーを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図3は、本発明の一実施形態による熱電腕時計PHの要素の分解図である。PHは、
−ミドルケースCR、
−ミドルケースCRに取り付けられたプレートPT、
−電気エネルギを供給され、プレートPTによって支えられる要素EA、
−ミドルケースCRに固定される背面カバーFD、
−熱電モジュールMTを含む熱電発電機であって、前記モジュールMTは、ホットプレートPC、コールドプレートPF、およびホットプレートPCとコールドプレートPFとの間に延在する半導体ピラーPSを含む。
−背面カバーFDとプレートPTとの間でミドルケースCRに機械的に接続された支持要素SPであって、熱電モジュールMTは、支持要素SPと背面カバーFDとの間に配置されている。
【0024】
支持要素SPは、衝撃吸収材(熱電モジュールをあらゆる衝撃から保護する)と、ミドルケースCRに向かう熱を除去するための手段との二重機能を有する。
【0025】
支持要素SPは、リングANと、リングANから互いに向かって延在する複数の分岐部BCとから形成されている。したがって、分岐部BCは、共通端部EX1(分岐部は、全て実質的に同じ長さである場合は、リングの中心にあり、そうでなければ、リングに対して中心から外れている)を有する。第2の端部EX2と呼ばれるリングの他の端部は、リングANに接続されている。前記リングANは、ミドルケースCRに固定されている。リングANは、たとえば、ミドルケースCRに圧着および/または結合および/またはねじ止めおよび/またはクリップ留めされる。あるいは、リングANを有さず、分岐部の2つの端部EX2は、ミドルケースCRに直接固定(たとえば、結合)された支持要素SPを想定することが可能である。リングANは、優れた熱伝導体である必要はない(スチールリングで十分である)が、分岐部BCは、優れた熱伝導体である必要があるので、銅、銀、金、アルミニウム、またはこれらの材料に基づく合金で、有利に製造される。
さらには、図3の実施形態では、4つの分岐部BCがあるが、それより多いまたは少ない分岐部が存在し得る。図4は、支持要素SPが、3つの分岐部BCを有する実施形態を図示する。
【0026】
分岐部BCは、衝撃を吸収するために可撓的である。この可撓性により、分岐部は、衝撃の場合に変形することがある。さらに、分岐部は、熱を伝導する。同じ長さlからなるN個の分岐部を有する支持要素の熱伝導Cの特性は、次式によって与えられる。C=N*a*b/l*λ、ここで、aは、N個の分岐部の幅、bは、厚さ、λは、使用される材料の熱伝導率である。N個の分岐部を有する支持要素の機械的剛性Κは、次式によって与えられる。Κ=N*E*a*b3/l3、ここで、Eは、使用される材料の弾性率である。
【0027】
これらパラメータは、互いに独立して、以下の範囲内にある。Nは1から8個、aは2から10mm、bは0.2から1.0mm、lは10から25mm。要求される減衰に応じて、0.15N/mmから2800N/mmの範囲内の剛性Κ、および6.7から840mW/Kの熱伝導Cを得るようにパラメータが選択される。
【0028】
好ましくは、Nは2から4個の分岐部、aは4から6mm、bは0.45から0.55mm、およびlは14から16mmで選択される。有利には、12.8から104.8N/mmの剛性Κ、および47から198mW/Kの熱伝導Cを得ることが求められる。
【0029】
アルミニウムのような材料が選択され、熱伝導率λ=210W/m/Kおよび弾性係数E=72GPaの場合、分岐部の数Nおよびそれらの寸法a、bおよびlのようなパラメータを変えることによって、熱伝導Cおよび機械的剛性Κを、広い範囲内で適合させることができる。
【0030】
たとえば、以下の寸法、すなわち、l=14mm、a=5mm、およびb=0.5mmを有する2つの分岐部、N=2の場合、C=75mW/KおよびΚ=32.8N/mmが得られる。必要に応じて、熱伝導を維持しながら剛性を約20%上げることができる。これを達成するために、厚さbを10%増加させ、幅aを10%増加させて、a=4.5mm、b=0.55mm、C=74mW/K、およびΚ=39.3N/mmを得る。
【0031】
分岐部に沿った熱伝導を大幅に改善するために、400W/m/Kのオーダの高い熱伝導率を有するグラファイトベースのフィルム(たとえば、T−global(R)によるT62(R))を結合することが可能である。厚さ0.13mmおよび幅5mmのフィルムを分岐部の全長lにわたって結合して、幅a=5mm、厚さb=0.50mm、長さl=14mmの2つの分岐部を有する構造の熱伝導に、37mW/Kの追加の熱伝導を加え、75mW/Kの代わりに、112mW/Kの熱伝導Cを得る。
【0032】
熱電モジュールMTは、分岐部BCの共通端部EX1に配置され、コールドプレートPFは、前記共通端部EX1と直接または間接的に接触している。コールドプレートPFが、分岐部BCの共通端部EX1と間接的に接触している場合、図5に見られるように、高い熱伝導率と高い機械的減衰を有するベアリングCfは、コールドプレートPFと共通端部EX1との間に配置される。ホットプレートPCに関しても、直接または間接的に、背面カバーFDと接触している。ホットプレートPCが背面カバーFDと間接的に接触している場合、高い熱伝導率および高い機械的減衰を有するベアリングCScは、ホットプレートPCと背面カバーFDとの間に配置される。前記ベアリングScは図7に見られる。この種のベアリングは、ガラス、カーボン、グラファイト、またはダイヤモンドで強化されたエラストマで製造され得る。
【0033】
図6および図7に表されるように、背面カバーFDは、2つの部分、すなわち、中央熱伝導部CDおよび断熱部ISから形成される。断熱部IS自身は、2つの領域、すなわち、中央領域IScおよび周辺領域ISpから形成される。手首側(図6参照)では、伝導部CDは、断熱部ISの中央領域IScを覆い、断熱部ISの周辺領域ISpは、伝導部CDを囲む。さらに、断熱部ISの中央領域IScは、貫通開口部(図7の実施形態では、中央に配置されているが、熱電モジュールの位置によっては、中心から外れていてもよい)を含み、熱電モジュール側からアクセス可能な、接触領域CDzと呼ばれる伝導部CDの領域を形成する。接触領域CDzは、熱電モジュールMTと直接または間接的に接触するように意図されている。このように、腕時計が着用されているとき、伝導部CDの片側は手首と接触し、熱流束が伝導部CDを横切り、接触領域CDzに至り、熱電モジュールMTのホットプレートPCを越えて向けられる。断熱部ISは、熱電モジュールMTを通過しない、手首と腕時計のミドルケースCRとの間の熱流束を制限することを可能にする。言い換えれば、熱電モジュールMTを通過することによって、熱流束は、背面カバーFDからミドルケースCRまで通過するように強制される。
【0034】
図7の実施形態では、伝導部CDは、サークリップCLによって、接触領域CDzにおいて断熱部ISに固定されている。あるいは、図9に図示される実施形態の場合のように、伝導部CDは、クリンプTSによって、接触領域CDzにおいて断熱部に固定され得る。
【0035】
また、断熱部ISの中央領域IScの厚さは、周辺領域ISpの厚さよりも小さいので、背面カバーFDは、熱電モジュール側から窪んだ外観を有することに留意されたい。周辺領域ISpは、ミドルケースCRに固定されるように意図されており、したがって、取付孔FXを含み、中実で、すなわち、その厚さでなければならない。逆に、熱電モジュール側では、中央領域IScは、支持要素SPの分岐部BCに面している。空気は、断熱部ISを作製するために使用されるいかなる材料よりも優れた絶縁体であるので、絶縁を高めるために中央領域IScを分岐部BCから遠ざけることが好ましい。空いた体積は、代替的に、アルゴンのような、空気よりも優れた絶縁ガスで充填することができる。この体積は、ポリウレタンフォームで代替的に充填できることに留意されたい。さらに、前記体積を増加させ、それによって絶縁を改善するために、図3および図10に見られるように、プレートPTを空洞化することも同様に有利である。
【0036】
図8は、手首側の伝導部CDの代替形態を示す。この実施形態では、伝導部CDは、特に中央領域IScがその小さい厚さによって脆弱となるときに、前記中央領域IScを機械的に強化するために、補強アームBRを含む。有利には、これらのアームBRは、径方向に延在して、断熱部ISの周辺領域ISpを覆う。機械的補強はまた、熱電モジュール側にわたって径方向に延在するアームBR’を中央領域IScに取り付けることによって、中央領域ISc自身に形成することもできる。図9はこのような実施形態を表す。
【0037】
さらに、図11に例示する実施形態では、腕時計PHは、熱電モジュール側の断熱部ISの中央領域IScを覆い、背面ケースFDと支持要素SPとの間の放射による熱交換を阻止する放熱スクリーンECを有する。熱スクリーンECは、有利には、サバイバルブランケットと同じ方式で製造され、アルミニウム側は、支持要素の方を向き、金側(プラスチック製)は隠されている。スクリーンECは、その周縁部において、背面カバーFDとミドルケースCRとの間に結合または留められている。熱スクリーンECが金属面を有することを考えると、熱スクリーンECはまた、いかなる静電放電に対しても腕時計PHを保護するためにファラデースクリーンとして作用する。あるいは、放熱スクリーンECは、アルミニウムを蒸発させることによって、または熱電モジュール側の断熱部ISの中央領域ISc上にスプレーを当てることによって製造され得る。
【0038】
もちろん、本発明は例示された例に限定されず、当業者に明らかとなるであろう様々な変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0039】
AN リング
BC 分岐部
BR 補強アーム
BR’ アーム
CD 伝導部
CDz 接触領域
CL サークリップ
CR ミドルケース
CSc ベアリング
CT 送電回路
DMc 電導性ワイヤコネクタ
DMf 電導性ワイヤコネクタ
DMfe 端部ワイヤコネクタ
EA 要素
EC 放熱スクリーン
ES 支持プレート
EX1 共通端部
EX2 第2の端部
FD 背面カバー
FX 取付孔
GT 熱電発電機
IS 断熱部
ISc 中央領域
ISp 周辺領域
MT 熱電モジュール
PC ホットプレート
PF コールドプレート
PH 熱電腕時計
PS 半導体ピラー
PT プレート
SP 支持要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】
2019211476000001.pdf