特開2019-211982(P2019-211982A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルプスアルパイン株式会社の特許一覧
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-211982(P2019-211982A)
(43)【公開日】2019年12月12日
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20191115BHJP
【FI】
   G06F3/041 480
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-107169(P2018-107169)
(22)【出願日】2018年6月4日
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】和宇慶 朝邦
(57)【要約】
【課題】触感機能を有する電子装置において、手の指等が接触する接触面は全体がフラットである美観が良好な電子装置を提供する。
【解決手段】貫通穴が設けられた支持板と、前記支持板の一方の面に取り付けられた表面板と、前記支持板の他方の面の側に設置された振動板と、前記振動板に取り付けられた振動伝達部材と、前記振動板に取り付けられた振動発生素子と、を有し、前記振動伝達部材の一部は、前記支持板に設けられた貫通穴に入り、前記振動伝達部材の一方の端面が前記表面板の裏面に接しているものであって、前記振動発生素子において発生させた振動は、前記振動板を介し、前記振動伝達部材に伝達され、前記振動伝達部材の一方の端面により、前記表面板を振動させるものであることを特徴とする電子装置により上記課題を解決する。
【選択図】 図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通穴が設けられた支持板と、
前記支持板の一方の面に取り付けられた表面板と、
前記支持板の他方の面の側に設置された振動板と、
前記振動板に取り付けられた振動伝達部材と、
前記振動板に取り付けられた振動発生素子と、
を有し、
前記振動伝達部材の一部は、前記支持板に設けられた貫通穴に入り、前記振動伝達部材の一方の端面が前記表面板の裏面に接しているものであって、
前記振動発生素子において発生させた振動は、前記振動板を介し、前記振動伝達部材に伝達され、前記振動伝達部材の一方の端面により、前記表面板を振動させるものであることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記表面板の裏面と前記振動伝達部材の一方の端面とは接着されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記貫通穴は、前記支持板の一方の面の幅広穴部の直径が、他方の面の幅狭穴部の直径よりも大きく形成され、前記幅広穴部と前記幅狭穴部との間が段部となっており、
前記振動伝達部材は、一方の端面の側の頭部と、前記頭部よりも直径の小さな軸部とにより形成されており、
前記貫通穴の前記幅広穴部に、前記振動伝達部材の前記頭部が入れられ、前記頭部が前記段部に接して、前記振動伝達部材が可動可能な状態で支持されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記貫通穴の前記幅広穴部と、前記振動伝達部材の前記頭部との間の隙間は、0.1mm以上、0.2mm以下であることを特徴とする請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記振動伝達部材は、前記振動発生素子よりも多いことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電子装置。
【請求項6】
前記振動板には、発光素子が設けられており、
前記振動伝達部材は、光を透過する材料により形成されており、
前記発光素子において発光した光は、前記振動伝達部材の内部を透過し、前記表面板を裏面より照射することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の電子装置。
【請求項7】
前記支持板の一方の面と前記表面板との間には、静電センサの電極が設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の電子装置。
【請求項8】
前記支持板は、フレキシブルプリント基板により形成されており、
前記フレキシブルプリント基板の内部の電極は、静電センサの電極であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の電子装置。
【請求項9】
前記振動発生素子は、複数設けられており、
前記振動発生素子の一方と他方は振動の周波数が異なることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子装置には、電子装置に手の指等が触れた際に振動を発生させ、電子装置に触れた手の指等に触感を与えるものがある。このような電子装置には、例えば、タッチパネル等が挙げられ、具体的には、タッチパネルに手の指等が触れた際に、振動を発生させて、タッチパネル等に触れた手の指等に触感を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−113419号公報
【特許文献2】特開2012−198582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような触感機能を有するタッチパネルでは、タッチパネル本体の操作部分を除き筐体に覆われており、筐体を振動させることなく、タッチパネル本体のみを振動させている。このため、タッチパネルの手の指等が接触する接触面では、タッチパネル本体と筐体との間に隙間や段差が生じてしまうため、見栄え等があまりよくない。
【0005】
このため、触感機能を有する電子装置において、手の指等が接触する接触面は全体がフラットな、美観が良好なものが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施の形態の一観点によれば、貫通穴が設けられた支持板と、前記支持板の一方の面に取り付けられた表面板と、前記支持板の他方の面の側に設置された振動板と、前記振動板に取り付けられた振動伝達部材と、前記振動板に取り付けられた振動発生素子と、を有し、前記振動伝達部材の一部は、前記支持板に設けられた貫通穴に入り、前記振動伝達部材の一方の端面が前記表面板の裏面に接しているものであって、前記振動発生素子において発生させた振動は、前記振動板を介し、前記振動伝達部材に伝達され、前記振動伝達部材の一方の端面により、前記表面板を振動させるものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
開示の電子装置によれば、触感機能を有する電子装置において、手の指等が接触する接触面の全体をフラットにすることができ、美観を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態における振動発生素子の斜視図
図2】本実施の形態における振動発生素子の分解斜視図
図3】本実施の形態における振動体の斜視図
図4】本実施の形態における弾性支持部材の斜視図
図5】本実施の形態における弾性支持部材の正面図
図6】本実施の形態における弾性支持部材に振動体が入れられた状態の斜視図
図7】本実施の形態における弾性支持部材に振動体が入れられた状態の正面図
図8】本実施の形態における振動発生素子の内部の様子を示す斜視図
図9】本実施の形態における永久磁石の説明図
図10】本実施の形態における振動発生素子の動作の説明図(1)
図11】本実施の形態における振動発生素子の動作の説明図(2)
図12】第1の実施の形態における電子装置の斜視図
図13】第1の実施の形態における電子装置の分解斜視図
図14】第1の実施の形態における電子装置の筐体部の斜視図
図15】第1の実施の形態における電子装置の筐体部の上面図
図16】第1の実施の形態における電子装置の筐体部の断面図
図17】第1の実施の形態における電子装置の振動板の斜視図
図18】第1の実施の形態における電子装置の伝達部材の側面図
図19】振動板に伝達部材及び振動素子が取り付けられたものの斜視図
図20】振動板に伝達部材及び振動素子が取り付けられたものの側面図
図21】振動板に伝達部材及び振動素子が取り付けられたものの断面図
図22】第1の実施の形態における電子装置の構造の説明図
図23】第1の実施の形態における電子装置の構造の要部の説明図(1)
図24】第1の実施の形態における電子装置の構造の要部の説明図(2)
図25】第1の実施の形態における電子装置の説明図(1)
図26】第1の実施の形態における電子装置の説明図(2)
図27】第2の実施の形態における電子装置の説明図(1)
図28】第2の実施の形態における電子装置の説明図(2)
図29】第2の実施の形態における電子装置の説明図(3)
図30】第2の実施の形態における電子装置の説明図(4)
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。また、本願においては、X1−X2方向、Y1−Y2方向、Z1−Z2方向を相互に直交する方向とする。また、X1−X2方向及びY1−Y2方向を含む面をXY面と記載し、Y1−Y2方向及びZ1−Z2方向を含む面をYZ面と記載し、Z1−Z2方向及びX1−X2方向を含む面をZX面と記載する。
【0010】
〔第1の実施の形態〕
(振動発生モジュール)
最初に、第1の実施の形態における電子装置に搭載される振動発生モジュールとなる振動発生素子について説明する。
【0011】
本実施の形態における振動発生素子100は、図1及び図2に示されるように、筐体本体部10、蓋部20、振動体30、弾性支持部材40、永久磁石51、52、ヨーク61、62等を有している。本実施の形態における振動発生素子の筐体は、筐体本体部10と蓋部20とにより形成されている。
【0012】
筐体本体部10は、金属板を加工することにより形成されており、略直方体の箱形の形状のものであり、底面と、底面の周囲の4つの側面により形成されており、開口している部分より、振動発生素子を形成するための部材が入れられる。筐体本体部10は、Y1−Y2方向が長手方向、X1−X2が短手方向となる略長方形の形状で形成されており、4つの側面は、底面の長手方向、即ち、Y1−Y2方向に沿った対向する2つの長手方向の側面と、短手方向、即ち、X1−X2方向に沿った対向する2つの短手方向の側面により形成されている。
【0013】
蓋部20は、金属板を加工することにより形成された略長方形の板状の部材であり、蓋部20により、筐体本体部10の開口している部分を覆うことができるように形成されている。
【0014】
図3に示されるように、振動体30は、電磁石であり、磁心31と、磁心31の周囲に電線を巻くことにより形成されたコイル32、フランジ33及び34等により形成されている。磁心31は、鉄等の強磁性体により形成されており、角柱形状のものである。コイル32は、磁心31の長手方向、即ち、Y1−Y2方向に対し、略直角に電線を巻くことにより形成されている。フランジ33及び34は、磁心31の長手方向の両端近傍に各々取り付けられている。フランジ33の上面側、即ち、Z1方向の側には、3つの突起部33a、33b、33cが設けられており、このうち、突起部33aと突起部33cは、端子として用いられるものであり、図面には図示されてはいないが、コイル32を形成している電線の両端の部分が各々絡げられている。
【0015】
このように電線が絡げられた突起部33a及び33cには、図示はしないが、FPC70の一方の側の電極端子が接続されている。また、FPC70の他方の側には不図示の外部回路が接続されており、FPC70を介して不図示の外部回路より、コイル32に電流が供給される。
【0016】
図4及び図5に示されるように、弾性支持部材40は、ばね性を有した金属板を所定の形状に加工することにより形成されており、振動体30が入れられる保持部41と、保持部41の両側に設けられたバネ部42により形成されている。図4は、弾性支持部材40の斜視図であり、図5は、正面図である。
【0017】
バネ部42は、板バネであり、X1−X2方向に長く形成された金属板を、Y1−Y2方向に沿って複数回折り曲げることにより形成されている。2つのバネ部42のうち、一方のバネ部42は、保持部41より、X1方向の側に形成されており、他方のバネ部42は、保持部41より、X2方向の側に形成されている。
【0018】
具体的には、バネ部42は、図5に示すように、3つの折り曲げ部43a、43b、43cと、2つの平坦部44a、44bと、接続部45とを有している。各々の折り曲げ部43a、43b、43cは、Y1−Y2方向に沿って折り曲げられた部分であり、平坦部44aは、折り曲げ部43aと折り曲げ部43bとの間に形成されており、平坦部44bは、折り曲げ部43bと折り曲げ部43cとの間に形成されている。平坦部44a及び44bは、X1方向の側またはX2方向の側から見た形状が略長方形となるように形成されている。
【0019】
図4及び図5に示される弾性支持部材40のような折り曲げ構造の板ばねは、折り目と直交する方向、即ち、X1−X2方向及びZ1−Z2方向には、変形しやすいが、折り目に沿った方向、即ち、Y1−Y2方向には、変形しにくいという特徴を有している。従って、弾性支持部材40は、伸縮によってX1−X2方向に弾性変形し、撓みによってZ1−Z2方向に弾性変形するが、Y1−Y2方向における変形は抑制される。
【0020】
また、弾性支持部材40のような折り曲げ構造の板ばねでは、一般的に、撓みによるZ1−Z2方向と、伸縮によるX1−X2方向とでは弾性変形しやすさが異なる。このため、弾性支持部材40のX1−X2方向における弾性係数を第1の弾性係数とし、弾性支持部材40のZ1−Z2方向における弾性係数を第2の弾性係数とすると、第1の弾性係数と第2の弾性係数とは異なる値となる。
【0021】
また、弾性支持部材40における一方のバネ部42のX1方向の側の端には、接続部45が形成されており、他方のバネ部42のX2方向の側の端には、接続部45が形成されている。従って、折り曲げ部43cは平坦部44bと接続部45との間となる。弾性支持部材40の接続部45の長手方向の両端、即ち、Y1方向の端とY2方向の端には、各々接続爪部45aが設けられており、この接続爪部45aを筐体本体部10の短手方向の側面の内側に接続することにより、筐体本体部10の内部に弾性支持部材40を取り付けることができる。従って、弾性支持部材40は、筐体本体部10に対し、X1−X2方向、及び、Z1−Z2方向に弾性変形可能な状態で、筐体本体部10に接続されている。
【0022】
図6及び図7に示すように、振動体30は、弾性支持部材40における保持部41に入れられ保持されている。このように振動体30が弾性支持部材40の保持部41に入れられたものは、第1の弾性係数及び振動体30の質量より定まる第1の固有振動数によりX1−X2方向に振動し、第2の弾性係数及び振動体30の質量より定まる第2の固有振動数によりZ1−Z2方向に振動する。第1の弾性係数と第2の弾性係数とは異なる値であるため、第1の固有振動数と第2の固有振動数も異なる値となる。
【0023】
電磁石により形成されている振動体30は、コイル32に電流を流すことによって、磁界が発生し、Y1−Y2方向に沿った磁束が発生するため、磁心31の長手方向の両側では異なる極性に磁化される。即ち、磁心31のY1方向の側とY2方向の側とでは、磁化される極性が異なっている。このため、コイル32に交流の電流を流すと、発生する磁界は、電流の向きの変化に対応して磁界の向きが変化する交番磁界となる。従って、磁心31のY1方向の側がS極となりY2方向がN極となる状態と、磁心31のY1方向の側がN極となりY2方向がS極となる状態が交互に繰り返される。振動体30に交番磁界を発生させるタイミングや交番磁界の周波数は、コイル32に接続されている不図示の外部回路により制御されている。
【0024】
また、永久磁石51、52は、略四角の板状に形成されている。図8に示されるように、永久磁石51、52は、筐体本体部10内において、振動体30の長手方向、即ち、Y1−Y2方向の延長線上に、各々設置されている。具体的には、筐体本体部10内において、振動体30の磁心31のY1−Y2方向の延長線上に各々設置されており、振動体30の磁心31のY1方向の延長線上に永久磁石51が設置されており、Y2方向の延長線上に永久磁石52が設置されている。永久磁石51及び52は、最も広い略四角形の面が磁化面となっており、永久磁石51の磁化面と振動体30の磁心31のY1方向の端面とが対向しており、永久磁石52の磁化面と振動体30の磁心31のY2方向の端面とが対向している。尚、図8は、本実施の形態における振動発生素子において、蓋部20及びFPC70を取り除いた状態の斜視図であり、振動発生素子の内部の様子を示している。
【0025】
筐体本体部10内において、永久磁石51よりも外のY1方向の側には、永久磁石51より生じている磁束を振動体30の側に向かわせるため、鉄等の強磁性体により形成されたヨーク61が設けられており、永久磁石52よりも外のY2方向の側には、永久磁石52より生じている磁束を振動体30の側に向かわせるため、鉄等の強磁性体により形成されたヨーク62が設けられている。
【0026】
図9に示されるように、永久磁石51及び52は、左上の角から右下の角に向かう破線により示される対角線により2つの領域に分けられており、互いの領域が異なる極性となるように着磁されている。尚、図9では、便宜上、永久磁石51を示している。
【0027】
本願においては、永久磁石51の左下側の領域、即ち、X1方向及びZ2方向側の領域を第1の磁化領域51aとし、永久磁石51の右上側の領域、即ち、X2方向及びZ1方向側の領域を第2の磁化領域51bとして説明する。永久磁石51では、第1の磁化領域51aがS極となり、第2の磁化領域51bがN極となるように着磁されている。永久磁石52についても、同様であるが極性が異なっている。即ち、図示はしないが、永久磁石52は、第1の磁化領域と第2の磁化領域が設けられており、第1の磁化領域がN極となり、第2の磁化領域がS極となるように着磁されている。
【0028】
次に、本実施の形態における振動発生素子の動作について、図10及び図11に基づき説明する。本実施の形態における振動発生素子では、電磁石により形成されている振動体30のコイル32に交流電流を流すことによって交番磁界を発生させ、磁心31の長手方向、即ち、Y1−Y2方向の両端が異なる極性となるように磁化させる。永久磁石51と永久磁石52は振動体30を挟んで対向して配置されており、永久磁石51の第1の磁化領域51aと永久磁石52の第1の磁化領域とは対向しており、永久磁石51の第2の磁化領域51bと永久磁石52の第2の磁化領域とは対向している。従って、対向している永久磁石51の第1の磁化領域51aと永久磁石52の第1の磁化領域とは異なる極性に着磁されており、対向している永久磁石51の第2の磁化領域51bと永久磁石52の第2の磁化領域とは異なる極性に着磁されている。
【0029】
本実施の形態においては、図10(a)に示されるように、振動体30の磁心31のY1方向側の端がN極に磁化された場合には、磁心31のY1方向側の端は、永久磁石51の第1の磁化領域51aに引き付けられる引力と、第2の磁化領域51bと反発し合う斥力が生じる。この際、図示はしないが、振動体30の磁心31のY2方向側の端はS極に磁化されるため、磁心31のY2方向側の端は、永久磁石52の第1の磁化領域に引き付けられる引力と、第2の磁化領域と反発し合う斥力が生じる。これにより、振動体30は、破線矢印で示されるようにX1方向やZ2方向に向かって動く。
【0030】
また、図10(b)に示されるように、振動体30の磁心31のY1方向側の端がS極に磁化された場合には、磁心31のY1方向側の端は、永久磁石51の第1の磁化領域51aと反発し合う斥力と、第2の磁化領域51bに引き付けられる引力が生じる。この際、図示はしないが、振動体30の磁心31のY2方向側の端はN極に磁化されるため、磁心31のY2方向側の端は、永久磁石51の第1の磁化領域と反発し合う斥力と、第2の磁化領域に引き付けられる引力が生じる。これにより、振動体30は、破線矢印で示されるようにX2方向やZ1方向に向かって動く。
【0031】
従って、本実施の形態における振動発生素子においては、電磁石により形成された振動体30のコイル32に交流電流を流すことにより、交番磁界が発生し、これに伴い、永久磁石との間で引力及び斥力が生じ、振動体30は、X1方向またはZ2方向に向かう動きと、X2方向またはZ1方向とに向かう動きとが繰り返され、振動が発生する。
【0032】
ところで、振動体30は、前述したように弾性支持部材40によって支持されており、第1の弾性係数及び振動体30の質量に対応して定まる第1の固有振動数によりX1−X2方向に沿って振動し、第2の弾性係数及び振動体30の質量に対応して定まる第2の固有振動数によりZ1−Z2方向に沿って振動する。
【0033】
電磁石により形成された振動体30に第1の固有振動数と同じ周波数の交番磁界を発生させた場合には、図11(a)に示すように、振動体30は、X1−X2方向において振動しやすくなる。従って、振動体30は、X1−X2方向に沿って振動する。また、電磁石により形成された振動体30に第2の固有振動数と同じ周波数の交番磁界を発生させた場合には、図11(b)に示すように、振動体30は、Z1−Z2方向において振動しやすくなる。従って、振動体30は、Z1−Z2方向に沿って振動する。また、第1の固有振動数及び第2の固有振動数と同じ周波数で特に大きな振幅で振動させる事ができるほか、第1の固有振動数及び第2の固有振動数に近い周波数でも振動可能であるため、固有振動数を1つしか持たない構造のものと比べて幅広い周波数での振動を発生させることができる。
【0034】
このように、本実施の形態における振動発生素子は、振動体30のコイル32に流れる交流電流の周波数を変えることにより、X1−X2方向における振動とZ1−Z2方向における振動と振動の方向を変えることができる。尚、コイル32に流す電流は、交流電流のかわりに所定の周波数のパルス波としてもよい。この場合であっても、通電時にいずれかの方向へ向かう引力及び斥力が生じ、非通電時には弾性支持部材40の弾性力により復帰しようとすることを所定の周波数で繰り返すことにより、X1−X2方向及びZ1−Z2方向における振動を発生させることができる。
【0035】
(電子装置)
次に、第1の実施の形態における電子装置について説明する。本実施の形態における電子装置は、図12及び図13に示されるように、表面板110、筐体部120、振動板130、振動伝達部材140、接着テープ150、151、振動発生素子100等を有している。尚、図12は本実施の形態における電子装置の斜視図であり、図13は分解斜視図である。
【0036】
表面板110は、金属または樹脂等の材料により形成されており、厚さが50μm以上、200μm以下、例えば、厚さが100μmの板状に形成されている。表面板110は、厚さがあまり厚すぎると振動を伝達しにくくなり、また、あまり薄すぎると強度が保てない。
【0037】
筐体部120は、図14から図16に示されるように、略直方体の箱であり、略長方形の天面部121と天面部121の各々の辺と接する4つの側面部122とにより形成されている。天面部121には、6つの貫通穴123が設けられている。貫通穴123は、天面部121の一方の面121aと他方の面121bとを貫通する丸い穴であり、一方の面121a側の幅広穴部123aが他方の面121b側の幅狭穴部123bよりも直径が広く形成されており、貫通穴123の幅広穴部123aと幅狭穴部123bとの間の径が変わる部分が段部123cとなっている。本願においては、天面部121は、振動伝達部材140を支持するものでもあるため支持板と記載する場合がある。図14は、筐体部120の斜視図であり、図15は上面図であり、図16は断面図である。
【0038】
振動板130は、図17に示すように、厚さが約5mmの樹脂材料により形成されており、6本の振動伝達部材140を各々支持するための貫通穴131が設けられている。
【0039】
振動伝達部材140は、図18に示されるように、円柱状の頭部141と軸部142により形成されており、頭部141の直径raが軸部142の直径rbよりも大きくなるように形成されている。本実施の形態においては、頭部141の直径raは約5mmであり、軸部142の直径rbは約3mmである。頭部141の側の端面が一方の端面140aとなり軸部142の側の端面が他方の端面140bとなっている。振動伝達部材140のZ1−Z2方向における長さLaは約15mmであり、頭部141のZ1−Z2方向における長さLbは約3mmであり、よって、軸部142のZ1−Z2方向における長さは約12mmである。
【0040】
接着テープ150、151は厚さが50μm〜100μmの両面テープであり、接着テープ150には、中心部分に開口部150aが設けられており、表面板110と筐体部120の天面部121の一方の面121aとを接着する。接着テープ151は、表面板110の裏面と振動伝達部材140の頭部141の端部である一方の端面140aとを接着する。
【0041】
振動発生素子100は、上述したように、X1−X2方向と、Z1−Z2方向の2つの異なる方向に振動可能な素子であり、振動方向によって、異なる周波数で振動する。
【0042】
本実施の形態における電子装置では、図19から図21に示されるように、振動板130の一方の面130aには、振動伝達部材140が取り付けられている。具体的には、振動板130に設けられている6つの貫通穴131の各々に、振動伝達部材140の軸部142の他方の端面140bが入れられており、接着剤152により固定されている。従って、振動板130の一方の面130aの側には、6本の振動伝達部材140が取り付けられている。また、振動板130の他方の面130bには、2つの振動発生素子100が取り付けられている。尚、図19は、この状態を示す斜視図であり、図20は側面図であり、図21は断面図である。
【0043】
また、本実施の形態における電子装置においては、図22に示すように、各々の振動伝達部材140の頭部141の側の一方の端面140aが、筐体部120の天面部121の一方の面121aと略面一となるように、振動伝達部材140の一部が筐体部120に設けられた各々の貫通穴123に入れられている。より詳細に説明すると、図23に示すように、筐体部120の天面部121には、一方の面121a側の幅広穴部123a、他方の面121b側の幅狭穴部123bにより形成される貫通穴123が設けられている。幅広穴部123a及び幅狭穴部123bは円形であり、幅広穴部123aの径は、幅狭穴部123bの径よりも広く形成されている。具体的には、幅広穴部123aは、振動伝達部材140の頭部141が入るように、幅広穴部123aの直径Raが5.1mm〜5.2mmとなるように形成されており、幅狭穴部123bは、振動伝達部材140の軸部142が入るように、直径Rbが3.1mm〜3.2mmとなるように形成されている。
【0044】
このような筐体部120の天面部121に設けられた貫通穴123に、図24に示すように、振動伝達部材140が入れられている。筐体部120の天面部121に設けられた貫通穴123に、振動伝達部材140が入れられている状態においては、振動伝達部材140の頭部141が、貫通穴123の幅広穴部123aに入り、軸部142の一部が幅狭穴部123bに入っている。振動伝達部材140の頭部141は直径raが約5mmであり、幅狭穴部123bの直径Rbは3.1mm〜3.2mmであるため、頭部141の軸部142側の面は、貫通穴123の段部123cに引っ掛かった状態となり、筐体部120の天面部121に設けられた貫通穴123に入れられた振動伝達部材140が、Z2方向の側に抜け落ちることはない。
【0045】
また、振動伝達部材140の頭部141は直径raが約5mmであり、振動伝達部材140の頭部141と貫通穴123の幅広穴部123aとの直径の差は、0.1mm以上0.2mm以下であり、この分の隙間が形成され、軸部142は直径rbが約3mmであるため、振動伝達部材140の軸部142と貫通穴123の幅狭穴部123bとの直径の差は、0.1mm以上0.2mm以下であり、この分の隙間が形成される。このため、振動伝達部材140は、Z1−Z2方向のみならず、X1−X2方向にも動くことができる。即ち、振動伝達部材140は、Z1−Z2方向の振動、及び、X1−X2方向の振動を伝達することができる。
【0046】
尚、本願においては、振動伝達部材140の頭部141の直径raと貫通穴123の幅広穴部123aの直径Raとの差よりも、振動伝達部材140の軸部142の直径rbと貫通穴123の幅狭穴部123bの直径Rbとの直径の差の方が大きくてもよい。この場合であっても、振動伝達部材140の頭部141は、貫通穴123の幅広穴部123aの内部をXY面に平行な方向に、自由に動くことができる。
【0047】
このように、筐体部120の貫通穴123に振動伝達部材140が入れられている状態のものを図25に示す。本実施の形態における電子装置は、筐体部120の天面部121の一方の面121aの上に、図26に示すように、接着テープ150を張り付け、振動伝達部材140の頭部141の側の端面である一方の端面140aに接着テープ151を各々張り付ける。
【0048】
このように、張り付けられた接着テープ150、151に、表面板110の裏面を張り付けることにより、図12に示される本実施の形態における電子装置が作製される。従って、本実施の形態における電子装置は、筐体部120の天面部121の一方の面121aと表面板110の裏面とが接着テープ150により接着されており、振動伝達部材140の一方の端面140aと表面板110の裏面とが接着テープ151により接着されている。
【0049】
(電子装置の動作)
本実施の形態における電子装置は、図12に示されるように、表面が平坦な表面板110により形成されているため、平坦であり美的外観も良好である。また、本実施の形態における電子装置は、振動発生素子100において振動を発生させ、振動板130及び振動伝達部材140を介し、表面板110を振動させることができる。これにより、表面板110に触れている手の指等に振動により触感を伝えることができる。
【0050】
即ち、振動発生素子100においては、Z1−Z2方向の振動と、X1−X2方向の振動を発生させることができる。このように振動発生素子100において発生した振動により振動発生素子100が取り付けられている振動板130が振動し、振動板130における振動は、振動伝達部材140を介し、表面板110が振動する。これにより、表面板110の表面側に触れている手の指等に、振動による触感を伝えることができる。
【0051】
本実施の形態においては、振動発生素子100は、Z1−Z2方向の振動と、X1−X2方向の振動を発生させることができる。振動発生素子100によりZ1−Z2方向の振動を発生させた場合、振動発生素子100のZ1−Z2方向の振動により、振動板130もZ1−Z2方向に振動する。振動板130に接着されている振動伝達部材140は、筐体部120の貫通穴123において、振動伝達部材140の頭部141が、貫通穴123の段部123cで支持されている状態であるため、振動伝達部材140はZ1−Z2方向に可動可能であり、表面板110をZ1−Z2方向に振動させ、Z1−Z2方向の振動を人の手の指等に触感として伝えることができる。尚、本実施の形態においては、振動発生素子100の数よりも振動伝達部材140の数が多く設けられている。
【0052】
振動発生素子100によりX1−X2方向の振動を発生させた場合、振動発生素子100のX1−X2方向の振動により、振動板130もX1−X2方向に振動する。振動板130に接着されている振動伝達部材140は、筐体部120の貫通穴123において、貫通穴123との間で隙間が形成されているため、振動伝達部材140はX1−X2方向に可動可能であり、表面板110をX1−X2方向に振動させ、X1−X2方向の振動を人の手の指等に触感として伝えることができる。
【0053】
従って、本実施の形態における電子装置では、振動方向の異なる2種類の振動を表面板110に伝達することができる。振動方向の異なる振動は、表面板110に接触している人の手の指等には、異なる触感として伝えられる。また、振動方向の異なる2種類の振動を組み合わせることにより、更に異なる触感を伝えることも可能である。
【0054】
本実施の形態においては、振動発生素子100は、例えば、X1−X2方向における振動の周波数は160Hzであり、Z1−Z2方向における振動の周波数は320Hzであり、X1−X2方向における振動の周波数とZ1−Z2方向における振動の周波数は異なっている。また、本実施の形態においては、振動発生素子100は2つ設けられているが、2つの振動発生素子100の周波数は異なるものであってもよい。例えば、一方の振動発生素子100は、X1−X2方向における振動の周波数が160Hzであり、Z1−Z2方向における振動の周波数が320Hzであり、他方の振動発生素子100は、X1−X2方向における振動の周波数が100Hzであり、Z1−Z2方向における振動の周波数が200Hzであってもよい。このように、2つの振動発生素子100の振動の周波数を変えることにより、人の手の指等が触れた際に、様々な触感を発生させることができる。
【0055】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態における電子装置について説明する。本実施の形態における電子装置は、図27から図29に示されるように、振動板130の一方の面130aの振動伝達部材240の直下に発光素子210を設けた構造のものである。図27は、本実施の形態における電子装置のXZ面における断面図であり、図28はYZ面における断面図であり、図29図28の要部拡大図である。
【0056】
本実施の形態においては、振動伝達部材240は、光を透過する樹脂材料等により形成されており、表面板110には、振動伝達部材240の一方の端部240aに対応する部分に、光を透過するように貫通穴が形成されている。尚、本実施の形態における振動伝達部材240は、光を透過する樹脂材料等により形成されていること、形状が一部異なること等を除き、第1の実施の形態における振動伝達部材140と同様の機能を有するものである。発光素子210は、LED等であり、発光素子210において発光した光は、振動伝達部材240の内部を透過し、表面板110を裏面より照射し、表面板110に設けられた貫通穴より出射される。このように表面板110に設けられた貫通穴より出射された光を人の目が視認することにより、表面板110において人の手の指等が触れる位置を知ることができる。
【0057】
更に、本実施の形態における電子装置は、図30に示されるように、筐体部120の天面部121の一方の面121aと表面板110との間に、静電センサ220を設けたものであってもよい。静電センサ220は電極等により形成されており、人の手の指等が近づいた場合に、静電容量が変化するため、人の手の指等が表面板110に接触したり、表面板110に近づいたことを検知することができる。図30においては、表面板110は光を遮光する材料により形成されており、表面板110に設けられた貫通穴111より光が漏れ出て、文字等を表示する。
【0058】
更に、本実施の形態においては、表面板110はフレキシブルプリント基板等により形成されており、フレキシブルプリント基板の内部に設けられた電極が、静電センサ220となるものであってもよい。
【0059】
尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0060】
以上、実施の形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0061】
10 筐体本体部
20 蓋部
30 振動体
31 磁心
32 コイル
33 フランジ
33a、33b、33c 突起部
34 フランジ
40 弾性支持部材
51 永久磁石
52 永久磁石
61 ヨーク
62 ヨーク
70 FPC
100 振動発生素子
110 表面板
120 筐体部
121 天面部
121a 一方の面
121b 他方の面
122 側面部
123 貫通穴
123a 幅広穴部
123b 幅狭穴部
123c 段部
130 振動板
130a 一方の面
130b 他方の面
131 貫通穴
140 振動伝達部材
140a 一方の端面
140b 他方の端面
141 頭部
142 軸部
150、151 接着テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30