【解決手段】内視鏡システム10において、内視鏡用プロセッサ20は、内視鏡用コネクタ31、画像記録部81、ユーザ認証部82、情報保護部83、設定情報記録部及び設定情報取得部を備える。画像記録部は、内視鏡用コネクタに接続された内視鏡40により撮影された画像を記録する。ユーザ認証部は、ユーザ認証を行なう。ユーザ認証部が認証に成功しない場合、情報保護部は、画像記録部からの画像の読み出しを禁止する。設定情報記録部は、ユーザと設定情報とを関連づけて記録する。ユーザ認証部が認証に成功した場合、設定情報取得部は、認証されたユーザに関連づけられた設定情報を設定情報記録部から取得する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施の形態1]
図1は、内視鏡システム10の外観を示す説明図である。内視鏡システム10は、内視鏡用プロセッサ20と、内視鏡40と、表示装置50とを含む。表示装置50は、たとえば液晶表示装置、または、有機EL(Electro Luminescence)表示装置である。
【0010】
表示装置50はキャスター付きの収容棚16の上段に設置されている。内視鏡用プロセッサ20は、収容棚16の中段に収容されている。収容棚16は、図示を省略する内視鏡検査用ベッドの近傍に配置される。収容棚16は内視鏡用プロセッサ20に接続されたキーボード15を搭載する、引き出し式の棚を有する。
【0011】
内視鏡検査の概略を説明する。収容棚16が、内視鏡用ベッドの近くに配置される。検査技師、看護師または医師等により、当日内視鏡検査を予定している患者の名前および生年月日等を記録した患者リストが、内視鏡用プロセッサ20に入力される。入力は、たとえばキーボード15を用いて行なわれる。診療予約システム等から出力された患者リストが、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬型記録媒体または図示を省略する病院内ネットワークシステムを介して内視鏡用プロセッサ20に読み込まれても良い。
【0012】
内視鏡40が、内視鏡用プロセッサ20に接続されて、所定の動作確認が行なわれる。患者リストから、次に内視鏡検査を受ける患者の名前等が読み込まれる。内視鏡検査用ベッドに横たわった患者の名前等を確認した後に、内視鏡検査が行なわれる。内視鏡検査中は、内視鏡40により撮影された画像が、表示装置50にリアルタイムで表示される。
【0013】
ユーザによる操作に基づいて、内視鏡検査画像の動画および静止画が、患者の名前等と関連づけて内視鏡用プロセッサ20に保存される。内視鏡検査の終了後、内視鏡40が内視鏡用プロセッサ20から取り外される。新たな内視鏡40が、内視鏡用プロセッサ20に接続される。
【0014】
内視鏡システム10の情報セキュリティの概要について説明する。たとえば米国においては、HIPPA(Health Insurance Portability and Accountability Act:医療保険の携行と責任に関する法律)により、医療情報の電子化の推進とそれに関係するプライバシー保護およびセキュリティ確保について定められている。HIPPAによると、医療機関は患者の病気および診療に関する情報のセキュリティを守る義務を負う。
【0015】
日本においても、厚生労働省より発行された「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」により、電子的な医療情報の管理義務が、医療機関に課せられている。高い情報セキュリティレベルを確保するためには、部屋の物理的な施錠、および、情報機器のパスワードロック等により、内視鏡システム10への部外者のアクセスを排除することが望ましい。
【0016】
しかしながら、医療機関においては、他の医療機関等に勤務する医師等が、臨時で勤務する場合がある。このような臨時勤務の医師等であっても、急患の発生時には速やかに内視鏡システム10を使用して内視鏡検査を行なえることが望ましい。
【0017】
本実施の形態の内視鏡用プロセッサ20は、ユーザ認証を行なう。ユーザ認証に成功した登録ユーザは、内視鏡用プロセッサ20の全機能を使用できる。臨時勤務の医師等の非登録ユーザは、内視鏡用プロセッサ20に保存された内視鏡画像等の検査データにはアクセスできないが、内視鏡システム10の基本機能を用いた内視鏡検査は行なえる。ここで、基本機能とは、内視鏡画像のリアルタイム観察、画像処理、静止画および動画の保存、照明光のオン・オフと光量の調整、送気送水等、内視鏡検査を実施する際に一般的に使用する機能を意味する。
【0018】
図2は、内視鏡用プロセッサ20の外観を示す説明図である。内視鏡用プロセッサ20は、略直方体形状であり、一面に内視鏡用コネクタ31およびタッチパネル25を備える。内視鏡用コネクタ31は、電気コネクタ311と光コネクタ312とを含む。タッチパネル25の下部に、媒体読書部28が配置されている。媒体読書部28は、たとえばUSBコネクタ、または、SD(Secure Digital)カードスロット等の、可搬型記録媒体の読み書きを行なう接続用インターフェイスである。
【0019】
図1および
図2を使用して説明を続ける。内視鏡用プロセッサ20は、内視鏡用コネクタ31およびタッチパネル25を表示装置50の表示面と同じ側に向けて、収容棚16に収容されている。なお収容棚16には、送水タンク35(
図3参照)、および図示を省略する吸引装置等も収容される。収容棚16に、ビデオプリンタおよび電気メス等の周辺機器が収容されても良い。
【0020】
内視鏡40は、挿入部44、操作部43、ユニバーサルコード49およびスコープコネクタ48を有する。操作部43には、制御ボタン431、送気送水ボタン432、湾曲ノブ433およびチャンネル入口434が設けられている。チャンネル入口434には、処置具等を挿入する挿入口を有する鉗子栓42が固定されている。
【0021】
挿入部44は長尺であり、一端が折止部45を介して操作部43に接続されている。挿入部44は、操作部43側から順に軟性部441、湾曲部442および先端部443を有する。湾曲部442は、湾曲ノブ433の操作に応じて湾曲する。
【0022】
ユニバーサルコード49は長尺であり、第一端が操作部43に、第二端がスコープコネクタ48にそれぞれ接続されている。ユニバーサルコード49は、軟性である。スコープコネクタ48は略直方体形状であり、電気コネクタ311と光コネクタ312との双方に同時に接続される。スコープコネクタ48には、送気送水用のチューブを接続する送気送水口金36(
図3参照)が設けられている。
【0023】
図3は、内視鏡システム10の構成を示す説明図である。前述のとおり内視鏡システム10は、内視鏡用プロセッサ20と、内視鏡40と、表示装置50とを含む。内視鏡用プロセッサ20は、CPU(Central Processing Unit)21、主記憶装置22、補助記憶装置23、通信部24、タッチパネル25、表示装置I/F(Interface)26、入力装置I/F27、媒体読書部28、内視鏡用コネクタ31、光源33、ポンプ34およびバスを備える。内視鏡用コネクタ31は、前述の電気コネクタ311および光コネクタ312を含む。
【0024】
CPU21は、本実施の形態のプログラムを実行する演算制御装置である。CPU21には、一または複数のCPUまたはマルチコアCPU等が使用される。CPU21は、バスを介して内視鏡用プロセッサ20を構成するハードウェア各部と接続されている。
【0025】
主記憶装置22は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の記憶装置である。主記憶装置22には、CPU21が行なう処理の途中で必要な情報およびCPU21で実行中のプログラムが一時的に保存される。
【0026】
補助記憶装置23は、SRAM、フラッシュメモリまたはハードディスク等の記憶装置である。補助記憶装置23には、ユーザDB61、患者DB62、検査結果DB63、ログDB64、CPU21に実行させるプログラム、およびプログラムの実行に必要な各種データが保存される。
【0027】
通信部24は、内視鏡用プロセッサ20とネットワークとの間のデータ通信を行なうインターフェイスである。タッチパネル25は、液晶表示パネル等の表示部251と、表示部251に積層された入力部252とを備える。
【0028】
表示装置I/F26は、内視鏡用プロセッサ20と表示装置50とを接続するインターフェイスである。入力装置I/F27は、内視鏡用プロセッサ20とキーボード15等の入力装置とを接続するインターフェイスである。
【0029】
光源33は、たとえばキセノンランプ等の高輝度の白色光源である。光源33は、図示を省略するドライバを介してバスに接続されている。光源33の点灯、消灯および明るさの変更は、CPU21により制御される。光源33から照射した照明光は、光コネクタ312に入射する。光コネクタ312は、スコープコネクタ48と係合し、内視鏡40に照明光を供給する。
【0030】
ポンプ34は、内視鏡40の送気・送水機能用の圧力を発生させる。ポンプ34は、図示を省略するドライバを介してバスに接続されている。ポンプ34のオン、オフおよび圧力の変更は、CPU21により制御される。ポンプ34は、送水タンク35を介して、スコープコネクタ48に設けられた送気送水口金36に接続される。
【0031】
内視鏡用プロセッサ20に接続された内視鏡40の機能の概略を説明する。スコープコネクタ48、ユニバーサルコード49、操作部43および挿入部44の内部に、ファイバーバンドル、ケーブル束、送気チューブおよび送水チューブ等が挿通されている。光源33から出射した照明光は、光コネクタ312およびファイバーバンドルを介して、先端部443に設けられた照明窓から放射される。
【0032】
照明光により照らされた範囲を、先端部443に設けられた撮像素子で撮影する。撮像素子からケーブル束および電気コネクタ311を介して内視鏡用プロセッサ20に映像信号が伝送される。CPU21により画像処理を施された内視鏡画像が、表示装置50に表示される。
【0033】
ユーザが制御ボタン431を操作することにより、静止画の記録、動画の記録の開始および終了、表示装置50に表示される画像の画質変更等が行なわれる。なお、
図3に示す内視鏡40は3個の制御ボタン431を有する。それぞれのボタンの機能は、ユーザが任意に割り当てることができる。
【0034】
ユーザが送気送水ボタン432を操作することにより、先端部443に設けられたノズルから、送気および送水が行なわれる。なお、送気および送水のオンおよびオフは、送気送水ボタン432の押し込み量に基づいて機械的に制御される。送気送水ボタン432の押し込み量が電気信号に変換されて、CPU21により送気および送水のオンおよびオフ制御が行なわれても良い。
【0035】
図4は、ユーザDB61のレコードレイアウトを説明する説明図である。ユーザDB61は、内視鏡システム10を使用する医師等のユーザに固有に付与されたユーザIDと、パスワードと、内視鏡用プロセッサ20の設定情報とを関連づけて記録するDBである。ユーザDB61は、ユーザIDフィールド、パスワードフィールドおよびプリセットフィールドを有する。プリセットフィールドは、No.1フィールドからNo.3フィールドまでのサブフィールドを有する。
【0036】
No.1フィールドには、ユーザがログインに成功した場合に、最初に内視鏡用プロセッサ20に設定される設定情報が記録されている。No.2フィールドおよびNo.3フィールドには、ユーザの選択に基づいて切り替えが行なわれる設定条件が記録されている。なお、プリセットフィールドのサブフィールドの数は3個に限定しない。1個、2個または4個以上であっても良い。
【0037】
ユーザIDフィールドには、ユーザIDが記録されている。パスワードフィールドには、パスワードが記録あれている。プリセットフィールドの各サブフィールドには、ユーザごとに設定されたプリセット条件が記録されている。ユーザは、たとえば上部内視鏡検査用、下部内視鏡検査用等の用途に応じて、照明光の強度、送気圧力の大きさ、画像処理の条件、および、制御ボタン431に割り当てる機能、および、タッチパネル25ならびに表示装置50に表示する画面のレイアウト等のプリセット条件を設定して、ユーザDB61に記録されることができる。
【0038】
ユーザは、たとえばタッチパネル25を用いてプリセット条件の設定を行なう。ユーザはパソコン等を用いてプリセット条件を記録したファイルを作成し、媒体読書部28を介して読み取ってユーザDB61に記録させても良い。ユーザDB61は、ユーザについて、一つのフィールドを有する。ユーザDB61は、本実施の形態の設定情報記録部の一例である。
【0039】
図5は、患者DB62のレコードレイアウトを説明する説明図である。患者DB62は、当日の内視鏡検査の順番と、患者IDと、患者の名前と生年月日とを関連づけて記録するDBである。患者DB62は、順番フィールド、患者IDフィールド、名前フィールドおよび生年月日フィールドを有する。名前フィールドは、漢字フィールドおよびローマ字フィールドを有する。
【0040】
順番フィールドには検査の順番の予定が記録されている。患者IDフィールドには、患者に固有に付与された患者IDが記録されている。漢字フィールドには、患者の漢字氏名が記録されている。ローマ字フィールドには、患者のローマ字氏名が記録されている。成年月日フィールドには、患者の生年月日が記録されている。患者DB62は、一人の患者について、一つのフィールドを有する。
【0041】
図6は、検査結果DB63のレコードレイアウトを説明する説明図である。検査結果DB63は、内視鏡検査中に記録した内視鏡画像等の検査結果を記録するDBである。検査結果DB63は、認証日時フィールド、患者IDフィールド、ユーザIDフィールドおよび検査データフィールドを有する。検査データフィールドは、画像フィールドおよび付加情報フィールドを有する。
【0042】
認証日時フィールドには、ユーザDB61に基づいてユーザ認証が行なわれた日時が記録されている。患者IDフィールドには、内視鏡検査を受けた患者の患者IDが記録されている。ユーザIDフィールドには、ユーザ認証が行なわれたユーザのユーザIDが記録されている。画像フィールドには、内視鏡検査中に記録された静止画および動画が記録されている。付加情報フィールドには、たとえばユーザが静止画に付けたマーカーの位置等の付加情報が記録されている。検査結果DB63は、1回の内視鏡検査について、1つのレコードを有する。検査結果DB63は、本実施の形態の画像記録部の一例である。
【0043】
図7は、ログDB64のレコードレイアウトを説明する説明図である。ログDB64は、内視鏡用プロセッサ20の操作ログを記録するDBである。ログDB64は、日時フィールドおよびログフィールドを有する。日時フィールドには、操作が行なわれた日時が記録されている。ログフィールドには、操作の内容が記録されている。ログDB64は、1回の操作について1つのレコードを有する。
【0044】
図8から
図10は、タッチパネル25に表示する画面の例を示す説明図である。なお、表示装置50に、タッチパネル25と同じ画面が表示されても良い。表示装置50がタッチパネル機能を有し、内視鏡用プロセッサ20が、タッチパネル25と表示装置50のタッチパネル機能の両方からの操作を受け付けても良い。内視鏡用プロセッサ20がタッチパネル25を備えず、表示装置50に表示された画面を用いて操作を受け付けても良い。
【0045】
図8は、ユーザ認証を受け付けるログイン画面を示す。ログイン画面は、ID欄711、パスワード欄712、認証ボタン721および認証スキップボタン722を有する。ユーザDB61に登録された登録ユーザは、ID欄711およびパスワード欄712に、自分のユーザIDおよびパスワードを入力して、認証ボタン721を選択する。
【0046】
認証ボタン721の選択を受け付けた場合、CPU21はユーザIDとパスワードとの照合を行ない、認証の可否を判定する。認証に成功した場合、CPU21はユーザに内視鏡用プロセッサ20の全機能の使用を許可する。
【0047】
図9は、認証に成功した場合にタッチパネルに表示される、患者確認画面を示す。CPU21は、患者DB63から次に検査を行なう予定の患者のIDおよび氏名を取得して、画面に表示する。画面の下部に、はいボタン723およびいいえボタン724が表示される。
【0048】
正しい患者が表示されている場合、ユーザは、はいボタン723を選択する。順番の変更が行なわれた場合、または、当所予定していなかった患者の内視鏡検査を行なう場合、ユーザは、いいえボタン724を選択する。
【0049】
いいえボタン724の選択を受け付けた場合、CPU21は患者DB62に記録された患者のうち、内視鏡検査が終了していない患者のリストを表示して、ユーザによる選択を受け付ける。患者がリストに掲載されていない旨の入力を受け付けた場合、CPU21はキーボートを介して次に検査する患者の患者ID等の入力を受け付ける。CPU21は、患者DB62に新規レコードを作成して、入力された患者にかかる情報を記録する。
【0050】
図10は、患者にかかる情報の入力を受け付けた後に、CPU21がタッチパネル25に表示するプロセッサ制御画面の一例を示す。画面の左側に丸い第1スイッチ731および第2スイッチ732が縦に並んでいる。その右側に、スライダ形式の第3スイッチ733が表示されている。さらに右側に、長円形の第1設定ボタン741、第2設定ボタン742および第3設定ボタン743と、正方形の第4スイッチ734が表示されている。右端に、スライダ形状の第5スイッチ735が表示されている。
【0051】
第1スイッチ731は、光源33のオンとオフとの切り替えを受け付ける。第2スイッチ732は、ポンプ34のオンとオフとの切り替えを受け付ける。第3スイッチ733は、光源33の明るさの調整を受け付ける。第1設定ボタン741から第3設定ボタン743は、ユーザDB61のプリセットフィールドに記録されたプリセット設定の読み出しを受け付ける。第4スイッチ734は、表示装置50に表示する内視鏡画像への患者情報の表示と非表示との切り替えを受け付ける。第5スイッチ735は、画像処理設定の種類の選択を受け付ける。
【0052】
なお、
図10に示すプロセッサ制御画面は例示である。プロセッサ制御画面は、医療施設ごとに適宜カスタマイズされても良い。ユーザDB61のプリセットフィールドに、プロセッサ制御画面の設定が記録されてもよい。
【0053】
図11は、表示装置50に表示する画面の例を示す説明図である。
図11は、
図9を使用して説明した患者確認画面において、はいボタン723の選択を受け付けた場合に、CPU21が表示装置50に表示する画面の例を示す。画面中央部の左寄りに、画像欄75が表示されている。画像欄75には内視鏡40により撮影された画像がリアルタイムで表示される。ユーザは、画像欄75に表示された画像を見ながら、内視鏡検査を行なう。
【0054】
画像欄75の右側に、参考画像欄751が表示されている。参考画像欄751には、検査結果DB63からユーザが呼び出した、過去の検査画像が表示される。ユーザは、過去の画像と、リアルタイムの画像とを対比することにより、病変の経時的な変化の有無等を詳細に検討できる。
【0055】
なお、参考画像欄751には、同一の内視鏡検査中の過去の画像、たとえば、前回記録した静止画の画像等が表示されても良い。ユーザは参考画像欄751を表示するか否か、および、どの画像を表示するかを任意に選択できる。
【0056】
画面の下部に、患者ID欄761、患者名欄762、生年月日欄763、時間計測欄764、時刻欄765および設定表示欄766が配置されている。患者ID欄761、患者名欄762および生年月日欄763には、患者DB62から取得した患者ID、患者名および患者の生年月日が表示される。時間計測欄76には、たとえば光源33をオンにした後の経過時間が表示される。時刻欄765には、現在時刻が表示される。設定表示欄766には、画像処理の設定が表示される。
【0057】
図8に戻って説明を続ける。
図8に示すログイン画面で認証ボタン721の選択を受け付けたが認証に成功しない場合、CPU21は認証エラーが生じた旨を表示して、再度の入力または認証スキップボタン722の選択を促す。
【0058】
ユーザ登録DB61に記録されていないユーザ、およびパスワードを失念したユーザは、認証スキップボタン722を選択する。認証スキップボタン722の選択を受け付けた場合、CPU21は非認証ユーザに対して、ユーザDB61、患者DB62および検査結果DB63へのアクセスを禁止する。したがって、CPU21は
図9を使用して説明した患者確認画面を表示しない。
【0059】
図12は、タッチパネル25に表示する画面の例を示す説明図である。認証スキップボタン722の選択を受け付けた場合、CPU21は、
図12に示す画面をタッチパネル25に表示する。画面の左側に丸い第1スイッチ731および第2スイッチ732が縦に並んでいる。その右側に、スライダ形式の第3スイッチ733が表示されている。第3スイッチ733よりも右側は、空欄である。
【0060】
第1スイッチ731、第2スイッチ732および第3スイッチ733の機能は、
図10を使用して説明した画面と同様である。CPU21は、非認証ユーザによる、光源33のオンとオフとの切り替え、ポンプ34のオンとオフとの切り替え、および、光源33の明るさ調整の操作を受け付ける。なお、
図12に示すプロセッサ制御画面は例示である。
【0061】
図13は、表示装置50に表示する画面の例を示す説明図である。
図13は、認証スキップボタン722の選択を受け付けた場合に、CPU21が表示装置50に表示する画面の例を示す。画面中央部に、画像欄75が表示されている。画像欄75には内視鏡40により撮影されたリアルタイムの画像が表示される。非認証ユーザが使用する場合、患者ID欄761、患者名欄762および生年月日欄763は空欄である。非認証ユーザは、過去の検査画像を検査結果DB63から呼び出して表示させることはできない。
【0062】
非認証ユーザは、内視鏡用プロセッサ20の基本機能を用いて、内視鏡検査を行なえる。非認証ユーザが静止画または動画を記録する操作を行なった場合、CPU21は、媒体読書部28を介してUSBメモリまたはSDカード等の可搬型記録媒体に、画像を記録する。内視鏡検査の終了後、ユーザは可搬型記録媒体を取り外して、パソコン等を使用して画像を読み取り、カルテに添付する。
【0063】
なお、CPU21は、可搬型記録媒体の代わりに、補助記憶装置23の所定の領域に画像と検査日時とを関連づけて記録しても良い。このようにする場合、CPU21は検査を行なったユーザに対して、当該所定の領域へのアクセスおよび画像の取り出しを許可しても良い。
【0064】
所定の領域は、検査結果DB63の特定のレコードであっても良い。CPU21は、
図6の最下行に示すように、患者IDおよびユーザIDを「不明」のレコードに、画像を記録する。後日、登録ユーザが認証日時、すなわち非登録ユーザが認証スキップボタン722を選択した日時を手がかりとして、患者IDの紐付けを行なうことができる。
【0065】
図14は、プログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。CPU21は、
図8を使用して説明したログイン画面を表示する(ステップS501)。CPU21は、ユーザIDおよびパスワードの入力を受け付ける。CPU21は、ユーザDB61に記録された情報に基づいて、認証の成否を判定する(ステップS502)。ステップS502により、CPU21は本実施の形態のユーザ認証部の機能を実現する。
【0066】
ユーザ認証は、従来から行なわれているため、詳細については説明を省略する。なお、ユーザ認証を行なう手段は、
図8を使用して説明したユーザIDおよびパスワードの入力に限定しない。たとえば、指紋認証、顔認証、声紋認証または虹彩認証等の、生体認証が用いられても良い。ユーザが身に付けるIDカードに埋め込まれた認証チップが用いられても良い。その他、任意のユーザ認証手段を利用しても良い。
【0067】
認証に成功したと判定した場合(ステップS502でYES)、CPU21は認証したユーザIDをキーとしてユーザDB61を検索し、プリセットフィールドからプリセット設定にかかる情報を取得する(ステップS503)。ステップS503により、CPU21は本実施の形態の設定情報取得部の機能を実現する。
【0068】
CPU21は、内視鏡用コネクタ31に内視鏡40が取り付けられているか否かを判定する(ステップS504)。取り付けられていると判定した場合(ステップS504でYES)、CPU21は
図9を使用して説明した患者確認画面を表示する(ステップS505)。ユーザによる患者の確認または入力が終了した後、CPU21は内視鏡用プロセッサ20の全機能を使用可能な状態に設定する(ステップS506)。
【0069】
ユーザは、内視鏡40を操作して、内視鏡検査を行なう。なお、内視鏡検査中にCPU21が行なう画像処理、画像表示、画像保存等の処理については、従来から使用されているため、説明を省略する。
【0070】
内視鏡40が取り付けられていないと判定した場合(ステップS504でNO)、CPU21は、ユーザDB61、患者DB62、検査結果DB63の入力および閲覧機能を使用可能な状態に設定する(ステップS511)。ユーザは、患者DB62への患者リストの入力、ユーザDB61への設定の入力等、内視鏡検査以外の操作を行なえる。
【0071】
認証に成功していないと判定した場合(ステップS502でNO)、CPU21は、内視鏡用コネクタ31に内視鏡40が取り付けられているか否かを判定する(ステップS521)。取り付けられていると判定した場合(ステップS521でYES)、CPU21は内視鏡用プロセッサ20の基本機能を使用可能な状態に設定する(ステップS522)。ステップS522により、CPU21は本実施の形態の情報保護部の機能を実現する。ユーザは、内視鏡40を操作して、内視鏡検査を行なう。
【0072】
内視鏡40が取り付けられていないと判定した場合(ステップS521でNO)、CPU21は認証エラーが発生した旨を表示して、ステップS501に戻る。
【0073】
ステップS506またはステップS522の終了後、CPU21は内視鏡用コネクタ31から内視鏡40が取り外されたことを検出する(ステップS507)。ステップS507またはステップS511の終了後、CPU21は処理を終了するか否かを判定する(ステップS508)。処理を終了しないと判定した場合(ステップS508でNO)、CPU21はステップS501に戻る。処理を終了すると判定した場合(ステップS508でYES)、CPU21は処理を終了する。
【0074】
なお、一連のプログラムと平行して、CPU21は操作ログをログDB64に記録する。操作ログの記録は、各種情報処理システム等で従来から行なわれているため、詳細については説明を省略する。
【0075】
補助記憶装置23に記録された各データベースは、本実施の形態のプログラムを用いなければアクセスできないように暗号化されていることが望ましい。このようにする場合には、CPU21は、データの読み書きの都度、暗号化と複号化とを行なう。
【0076】
本実施の形態によると、情報セキュリティ管理機能を有する内視鏡用プロセッサ20を提供できる。認証されたユーザは検査結果DB63等に記録された過去の内視鏡画像等の検査データを閲覧可能であり、認証されていないユーザは過去の検査データの閲覧はできないが、基本機能を用いて内視鏡検査を行なえる内視鏡システム10を提供できる。
【0077】
本実施の形態によると、患者DB62を使用することにより、症例間で患者の氏名等を入力する手間を省く内視鏡用プロセッサ20を提供できる。たとえば検査技師等のコメディカルスタッフ、または、事務スタッフ等が、診察時間の開始前に患者DB62を入力できる。これにより、医師は内視鏡検査に注力できる。
【0078】
本実施の形態によると、検査結果DB63を使用することにより、患者IDと内視鏡検査で得た検査データとを関連づけて記録できる。たとえば、院内情報システムを介して、検査結果DB63に記録された情報が電子カルテシステムに取り込まれても良い。
【0079】
本実施の形態によると、ログDB64を使用することにより、仮に不正アクセスの疑念が生じた場合に、経緯を検証できる内視鏡システム10を提供できる。
【0080】
[実施の形態2]
本実施の形態は、非認証ユーザであっても内視鏡検査の画像を患者情報と関連づけて検査結果DB63に記録できる内視鏡システム10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
【0081】
図15は、実施の形態2のタッチパネル25に表示する画面の例を示す説明図である。なお、表示装置50に、タッチパネル25と同じ画面が表示されても良い。
図15に示す画面は、
図8を使用して説明したログイン画面において、認証スキップボタン722の選択を受け付けた場合に、CPU21が表示する患者情報入力画面である。
【0082】
図15に示す患者情報入力画面は、患者ID入力欄771、患者名漢字入力欄772、患者名英字入力欄773、患者生年月日入力欄774および次ボタン725を含む。非認証ユーザは、
図15に示す画面に、患者ID等を入力した後に、次ボタン725を選択する。
【0083】
入力された情報が、患者DB62に含まれていない患者に関する情報である場合、CPU21は患者DB61に新規レコードを作成して、
図15を使用して説明した患者情報入力画面を介して入力された仮の患者情報を記録する。なお、患者ID入力欄771に患者IDが入力されていない場合、CPU21は仮の患者IDを付与する。
【0084】
CPU21は、検査結果DB63に、患者IDまたは仮の患者IDと関連づけて、内視鏡画像等の検査データを記録する。すなわち、非認証ユーザは、検査結果DB63等に記録された過去の検査結果の閲覧はできないが、内視鏡検査結果を検査結果DB63等に記録することは可能である。
【0085】
図16は、実施の形態2のプログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。ステップS501からステップS511までの処理、および、ステップS521でNOと判定した場合の処理は、
図14を使用して説明した実施の形態1のプログラムの処理の流れと同一であるため、説明を省略する。
【0086】
内視鏡用コネクタ31に内視鏡40が取り付けられていると判定した場合(ステップS521でYES)、CPU21は、
図15を使用して説明した患者情報入力画面を表示して、患者情報の入力を受け付ける(ステップS531)。ここでユーザは、患者ID入力欄771、患者名漢字入力欄772、および、患者名英字入力欄773のうちのいずれか一つを入力して、次ボタン725を選択しても良い。ステップS531により、CPU21は本実施の形態の受付部の機能を実現する。
【0087】
CPU21は、患者ID入力欄771、患者名漢字入力欄772、および、患者名英字入力欄773のうち、ユーザによる入力を受け付けた欄に記載された情報をキーとして患者DB62を検索し、患者DB62に含まれる患者であるか否かを判定する(ステップS532)。患者DB62に含まれない患者であると判定した場合(ステップS532でNO)、CPU21は患者DB61に新規レコードを作成して、
図15を使用して説明した患者情報入力画面を介して入力された情報を記録する(ステップS533)。
【0088】
患者DB62に含まれる患者であると判定した場合(ステップS532でYES)、またはステップS533の終了後、CPU21は内視鏡用プロセッサ20の基本機能を使用可能であるが、検査結果DB63等にはアクセスできない状態に設定する(ステップS522)。ユーザは、内視鏡40を操作して、内視鏡検査を行なう。以後の処理は、
図14を使用して説明した実施の形態1のプログラムの処理の流れと同一であるため、説明を省略する。
【0089】
本実施の形態によると、たとえば非認証ユーザが患者の名前のみを知っている場合、患者IDおよび生年月日等を秘匿したまま、検査結果DB63に内視鏡検査の結果を記録できる。したがって、事後に登録ユーザがログインして、患者IDと内視鏡検査結果との関連づけ等の作業を行なう必要がない内視鏡用プロセッサ20を提供できる。
【0090】
[実施の形態3]
本実施の形態は、非登録ユーザに対しても
図9を使用して説明した患者確認画面を表示する内視鏡システム10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
【0091】
図17は、実施の形態3のプログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。ステップS501からステップS511までの処理、および、ステップS521でNOと判定した場合の処理は、
図14を使用して説明した実施の形態1のプログラムの処理の流れと同一であるため、説明を省略する。
【0092】
内視鏡用コネクタ31に内視鏡40が取り付けられていると判定した場合(ステップS521でYES)、CPU21は、
図9を使用して説明した患者確認画面を表示する(ステップS541)。ユーザによる患者の確認または入力が終了した後、CPU21は内視鏡用プロセッサ20の基本機能を使用可能な状態に設定する(ステップS522)。以後の処理は、
図14を使用して説明した実施の形態1のプログラムの処理の流れと同一であるため、説明を省略する。
【0093】
本実施の形態によると、臨時で勤務する非認証ユーザであっても、登録ユーザと同様の手順で次に内視鏡検査を受ける患者の確認を行なえる内視鏡システム10を提供できる。
【0094】
[実施の形態4]
図18は、実施の形態4の内視鏡システム10の機能ブロック図である。内視鏡システム10は、内視鏡用プロセッサ20と内視鏡40とを有する。内視鏡用プロセッサ20は、内視鏡用コネクタ31と、画像記録部81と、ユーザ認証部82と、情報保護部83とを有する。
【0095】
画像記録部81は、内視鏡用コネクタ31に接続された内視鏡40により撮影された画像を記録する。ユーザ認証部82は、ユーザ認証を行なう。情報保護部83は、ユーザ認証部82が認証に成功しない場合、画像記録部81からの画像の読み出しを禁止する。
【0096】
各実施例で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組合せ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものでは無いと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味では無く、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。