【課題】支払方法N件:債務科目M件となる場合に、支払方法別かつ債務科目別の支払予定金額を算出できる金額算出装置、金額算出方法及び金額算出プログラムの提供を課題とする。
【解決手段】本実施形態では、(1)組合せ支払方法の支払方法コードと分割条件とを含む分割条件マスタから、支払予定日と支払先と債務科目と支払予定金額と組合せ支払方法の支払方法コードとを有する支払明細データを複数含む支払予定データ中の支払方法コードと同じものと紐付く分割条件を取得し、(2)支払予定日、支払先及び支払方法コードが同じである支払明細データ中の支払予定金額を集計して合計額を算出し、(3)前記取得した分割条件に基づいて前記合計額を分割して、支払方法別の支払予定金額を算出し、(4)前記算出した支払方法別の支払予定金額を、支払明細データ中の支払予定金額の比に応じて按分して、支払方法別かつ債務科目別の支払予定金額を算出する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、金額算出装置、金額算出方法および金額算出プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0019】
[1.概要]
同一取引先に対して、複数債務科目(買掛金と未払金等)が発生する場合、前記債務科目別に支払予定金額を管理したいというケースがある。
【0020】
しかしながら、同一取引先に対して複数債務科目が発生し、取引合計金額によって決済条件が変わる場合には、従来においては、債務科目ごとに支払方法を分けて管理し、前記取引合計金額から支払方法を手動で変更する必要があった。
【0021】
そこで、本実施形態においては、例えば、同一取引先に対する支払方法に複数債務科目(買掛金と未払金等)が紐付くような取引が発生する場合に、前記債務科目別に支払予定金額を管理できるようにした。
【0022】
また、本実施形態においては、例えば、支払方法N件:債務科目M件(NとMは共に2以上の自然数)になるような取引先においても、複雑な登録をすることなく、支払方法別かつ債務科目別の支払予定金額の管理をできるようにした。
【0023】
そして、本実施形態においては、例えば、同一取引に対する合計取引金額により支払条件(決済条件)が変わるような場合(例えば、合計取引金額が○○万円以上の場合は、半金半手にするという場合)にも、分割設定に基づき債務科目単位での支払予定金額を自動で算出することができる。これにより、本実施形態においては、例えば、従来より簡便かつ正確に、支払予定金額を支払方法別かつ債務科目別に管理することができるようになる。以下、具体的な構成および動作について説明する。
【0024】
[2.構成]
本実施形態に係る金額算出装置100の構成の一例について、
図1を参照して説明する。
図1は、金額算出装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0025】
金額算出装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、金額算出装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0026】
金額算出装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。金額算出装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0027】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、金額算出装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、金額算出装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、後述する各種マスタ等のデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0028】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0029】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0030】
記憶部106は、支払先マスタ106aと、支払方法マスタ106bと、分割条件マスタとしての支払方法分割設定マスタ106c(以下、単に「分割設定マスタ106c」という。)と、仕入明細データ106dと、経費明細データ106eと、支払予定データ106fと、金種別支払予定データ106gと、金種別支払予定内訳データ106hと、を備えている。
【0031】
本実施形態に係る金額算出装置100によれば、ある支払先に対して支払う支払予定金額の合計額を分割して支払方法別の支払予定金額を算出し、更に、当該算出した支払方法別の支払予定金額を支払明細データ中の支払予定金額の比に応じて按分することにより、支払方法別かつ債務科目別の支払予定金額を算出することができる。
【0032】
前記支払方法としては、例えば、現金による支払、支払手形による支払または振込による支払等が挙げられる。前記支払方法を識別するためのデータを支払方法識別データといい、
図9においては、支払方法コードSH001、SH002およびSH003が前記支払方法識別データに該当する。
【0033】
また、前記支払方法を2種類以上組み合わせた支払方法を、組合せ支払方法という。前記組合せ支払方法としては、例えば、「70%手形30%現金」のように、前記合計額の70%を支払手形により支払い、前記合計額の30%を現金で支払う支払方法等が挙げられる。前記組合せ支払方法を識別するためのデータを組合せ支払方法識別データといい、
図9においては、支払方法コードSH004が前記組合せ支払方法識別データに該当する。
【0034】
前記債務科目としては、例えば、買掛金または未払金等が挙げられる。本実施形態に係る金額算出装置100によれば、支払方法別かつ債務科目別の支払予定金額を算出することができるが、当該債務科目別とは、種類が異なる債務科目別であってもよいし、種類が同じ債務科目別であってもよい。種類が異なる債務科目別の支払予定金額の管理例としては、同一取引先からユーザ向け販売のサーバの仕入(買掛金)以外に、自社使用の備品としてのサーバ購入(未払金)した場合に、買掛金と未払金に分けて支払予定金額の内訳を管理するという場面である。種類が同じ債務科目別の支払予定金額の管理例としては、同一取引に対して物品の仕入(買掛金(物品))以外に、修繕用部品を同時に仕入(買掛金(部品))するような場合に、買掛金(物品)と買掛金(部品)に分けて支払予定金額の内訳を管理するという場面である。
【0035】
支払先マスタ106aは、支払先等を管理するためのマスタである。支払先マスタ106aは、
図9に示すように、例えば、支払先を識別するための支払先識別データ(支払先コード:TK000001および支払先名:東京A)、支払区分(S01:都度支払)、支払月(2)、支払日(31)および前記組合せ支払方法識別データ(支払方法コード:SH004)等を含む。
【0036】
支払方法マスタ106bは、前記支払方法および前記組合せ支払方法等を管理するためのマスタである。支払方法マスタ106bは、
図9に示すように、例えば、前記支払方法識別データ(支払方法コード:SH001、SH002およびSH003)、前記支払方法(支払方法名:現金、支払手形および振込)、前記組合せ支払方法識別データ(支払方法コード:SH004)、前記組合せ支払方法(10万未満振込・10万以上70%手形30%現金)ならびに支払予定金額の合計額の分割の有無の設定(分割設定)等を含む。
【0037】
当該分割設定について説明する。
図9の支払方法マスタ106bの支払方法コードSH001〜SH003のレコードに示すように、分割設定が「無」である場合、前記合計額を前記支払方法別に分割することなく、支払方法コードSH001〜SH003に対応する支払方法によって支払を行うこととなる。これに対して、
図9の支払方法マスタ106bの支払方法コードSH004のレコードに示すように、分割設定が「有」である場合、次段落で述べる分割設定マスタ106cを参照して、前記合計額を前記支払方法別に分割して支払を行うこととなる。
【0038】
分割設定マスタ106cは、前記分割の仕方等を管理するためのマスタである。分割設定マスタ106cは、
図9に示すように、例えば、前記組合せ支払方法識別データ(支払方法コード:SH004)、前記ある支払先に対して前記組合せ支払方法により支払う前記支払予定金額の合計額を前記支払方法別に分割するための条件である分割条件(分割枝番、分割区分および支払方法)ならびに前記分割を行うか否かを決定するための基準となる金額である基準金額(基準金額0円および100,000円)等を含む。
【0039】
前記分割条件は、
図9の分割設定マスタ106cに示すように、例えば、前記合計額の分割順(分割枝番)、前記合計額の分割比(分割区分)ならびに前記支払方法識別データ(支払方法コード:SH001、SH002およびSH003)等を含む。後述する分割部102cは、前記分割順、前記分割比および前記支払方法識別データを用いて、前記合計額を分割して前記支払方法別の前記支払予定金額を算出することができる。
【0040】
前記基準金額として、
図9の分割設定マスタ106cの下2行のレコードの例では、前記合計額が基準金額100,000円「以上の」場合に分割をするという設定がされているが、設定の仕方は、特に限定されず、前記「以上」に代えて、例えば、「以下の」、「より大きい」、「より小さい」または「と等しい」等であってもよい。
【0041】
仕入明細データ106dは、仕入入力した情報を管理するためのデータである。仕入明細データ106dは、
図3に示すように、例えば、仕入番号、行番号、仕入日、仕入先、前記支払先識別データ(支払先)、仕入れた商品を識別するための商品識別データ(商品)、仕入金額および債務科目等を含む。
【0042】
経費明細データ106eは、経費入力した情報を管理するためのデータである。経費明細データ106eは、
図4に示すように、例えば、経費番号、経費計上日、前記仕入先、前記支払先識別データ(支払先)、経費の費目を識別するための費目識別データ(費目)、経費金額および債務科目等を含む。
【0043】
支払予定データ106fは、支払予定の情報を管理するためのデータである。支払予定データ106fは、支払明細データを複数含む。前記支払明細データとは、
図3および
図4の支払予定データ106fにおける横一行の情報である。前記支払明細データは、
図3および
図4に示すように、例えば、支払予定番号、支払予定日、伝票番号−行番号、前記支払先識別データ(支払先)、前記支払予定金額、支払済金額、前記債務科目、前記組合せ支払方法識別データ(支払方法)および支払通知番号等を有する。
【0044】
支払予定データ106fは、例えば、仕入明細データ106dおよび経費明細データ106eを元にして作成されるため、これら明細データの情報を一部引き継いでいる。すなわち、支払予定データ106fにおける支払先は、仕入明細データ106dおよび経費明細データ106eにおける支払先を引き継いでおり、支払予定データ106fにおける支払予定金額は、仕入明細データ106dにおける仕入金額および経費明細データ106eにおける経費金額を引き継いでおり、支払予定データ106fにおける債務科目は、仕入明細データ106dおよび経費明細データ106eにおける債務科目を引き継いでいる。
【0045】
前記支払済金額は、前記支払予定金額のうち、支払決済を行った金額である。
【0046】
前記支払通知番号は、以下の[4−3]で説明する支払方法確定処理の段階で、前記支払先および前記支払予定日ごとに採番される番号である。
【0047】
金種別支払予定データ106gは、前記支払方法別(金種別)に前記支払予定金額を管理するためのデータであり、後述する分割部102cが生成するデータである。金種別支払予定データ106gは、
図5に示すように、例えば、前記支払方法別(金種別)の支払予定番号(金種別支払予定SEQ)、前記支払予定日、前記支払先識別データ(支払先)、前記支払予定金額、前記支払方法識別データ(支払方法)、前記支払通知番号および支払状態識別フラグ(支払済フラグ)等を含む。
【0048】
前記支払方法別(金種別)の支払予定番号(金種別支払予定SEQ)は、以下の[4−3]で説明する支払方法確定処理の段階で、前記支払先、前記支払方法および前記支払予定日ごとに採番される番号である。
【0049】
前記支払状態識別フラグ(支払済フラグ)は、前記支払予定金額の支払決済が済んでいないことを示すフラグである支払状態未済フラグ(0)または前記支払予定金額の支払決済が済んだことを示すフラグである支払状態済フラグ(1)である。
【0050】
金種別支払予定内訳データ106hは、前記支払方法別(金種別)かつ前記債務科目別に前記支払予定金額を管理するためのデータであり、後述する按分部102dが生成するデータである。金種別支払予定内訳データ106hは、
図5に示すように、例えば、前記支払方法別(金種別)の支払予定番号(金種別支払予定SEQ)、同一の金種別支払予定SEQを有するレコード内における行番号(金種別支払予定内訳SEQ)、前記支払先識別データ(支払先)、前記債務科目および前記支払予定金額等を含む。
【0051】
制御部102は、金額算出装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0052】
制御部102は、機能概念的に、例えば、(1)前記分割条件マスタから、前記支払予定データ中の前記組合せ支払方法識別データと同じものと紐付く分割条件を取得する取得手段としての取得部102aと、(2)前記支払予定日、前記支払先識別データおよび前記組合せ支払方法識別データが同じである前記支払明細データ中の前記支払予定金額を集計して、前記合計額を算出する集計手段としての集計部102bと、(3)前記取得手段で取得した前記分割条件に基づいて前記合計額を分割することにより、前記支払方法別の前記支払予定金額を算出する分割手段としての分割部102cと、(4)前記分割手段で算出した前記支払方法別の前記支払予定金額を、前記支払明細データ中の前記支払予定金額の比に応じて按分することにより、前記支払方法別かつ前記債務科目別の前記支払予定金額を算出する按分手段としての按分部102dと、(5)前記按分手段で算出した前記支払方法別かつ前記債務科目別の前記支払予定金額のうち、支払決済の対象とするものとして指定された支払方法により支払う前記支払予定金額についての支払決済を行う決済手段としての決済部102eと、(6)前記決済手段で支払決済を行った前記支払予定金額を、支払済金額として前記支払予定データに更新する更新手段としての更新部102fと、を備えている。
【0053】
取得部102aは、分割設定マスタ106cから、支払予定データ106f中の前記組合せ支払方法の支払方法コードと同じものと紐付く分割条件を取得する。
【0054】
集計部102bは、前記支払予定日、前記支払先および前記組合せ支払方法の支払方法コードが同じである前記支払明細データ中の支払予定金額を集計して、ある支払先に対して前記組合せ支払方法により支払う前記支払予定金額の合計額を算出する。
【0055】
分割部102cは、取得部102aで取得した前記分割条件に基づいて前記合計額を分割することにより、前記支払方法別の前記支払予定金額を算出する。なお、分割部102cは、集計部102bで算出した前記合計額が前記基準金額を満たす場合に、前記分割を行ってもよい。また、分割部102cは、分割設定マスタ106cに設定された前記分割枝番順で、前記支払方法ごとの前記分割区分の比に応じて、前記分割を行ってもよい。
【0056】
按分部102dは、分割部102cで算出した前記支払方法別の前記支払予定金額を、前記支払明細データ中の前記支払予定金額の比に応じて按分することにより、前記支払方法別かつ前記債務科目別の前記支払予定金額を算出する。
【0057】
決済部102eは、按分部102dで算出した前記支払方法別かつ前記債務科目別の前記支払予定金額のうち、支払決済の対象とするものとして指定された支払方法により支払う前記支払予定金額についての支払決済を行う。
【0058】
更新部102fは、決済部102eで支払決済を行った前記支払予定金額を、支払済金額として支払予定データ106fに更新する。
【0059】
[3.処理概要]
本項目では、本実施形態に係る処理の概要について説明する。
【0060】
[3−1.処理の流れ]
本実施形態に係る処理の流れは、概要としては、以下に示す4段階である。
【0061】
まず、支払方法マスタ106bおよび分割設定マスタ106cの設定が行われる。
【0062】
次に、支払方法確定処理によって、前記設定したマスタに基づいて、決済条件および支払金額が確定する。
【0063】
次に、支払先別支払予定表等で、科目別の内訳金額が確認される。
【0064】
最後に、確定された決済条件を元に、経理等にて決済処理が行われる。
【0065】
[3−2.具体例]
支払方法別かつ債務科目別に支払予定金額の算出を行う具体例について、
図2を用いて簡潔に説明する。
【0066】
例えば、
図2のXに示すように、ある支払先に対して、買掛金が50万円であり、未払金が40万円であるとすると、当該支払先に対する支払予定金額の合計額は90万円となる。一方で、分割設定マスタ106cには、「合計額が10万円未満の場合は振込。合計額が10万円以上の場合は、70%が手形で、30%が現金。」という分割条件が設定されているとする。
【0067】
この場合、合計額90万円は10万円以上の条件を満たすため、
図2のYに示すように、現金による支払予定金額は90万円×30%=27万円と算出され、一方で、
図2のZに示すように、支払手形による支払予定金額は90万円×70%=63万円と算出される。このようにして、支払方法別の支払予定金額が算出される。
【0068】
更に、前記算出した支払方法別の支払予定金額が、買掛金50万円と未払金40万円の比に応じて按分されることにより、支払方法別かつ債務科目別の支払予定金額が算出される。具体的には、
図2のYに示すように、現金による買掛金の支払予定金額は27万円×50万円/90万円=15万円と算出され、現金による未払金の支払予定金額は27万円×40万円/90万円=12万円と算出される。また、
図2のZに示すように、支払手形による買掛金の支払予定金額は63万円×50万円/90万円=35万円と算出され、支払手形による未払金の支払予定金額は63万円×40万円/90万円=28万円と算出される。
【0069】
[4.処理詳細]
本項目では、本実施形態に係る処理の詳細について説明する。以下においては、取引先である東京Aから、ユーザ向け販売のサーバの仕入(買掛金)以外に、自社使用の備品としてのサーバ購入(未払金)した場合に、現金による買掛金の支払予定金額、現金による未払金の支払予定金額、支払手形による買掛金の支払予定金額および支払手形による未払金の支払予定金額を算出するという場面(すなわち、支払方法2件:債務科目2件となる場面)を例にとって、説明をする。
【0070】
なお、本項目においては、支払先マスタ106a、支払方法マスタ106bおよび分割設定マスタ106cにおける内容は、
図9に示すとおりであると仮定して、説明を進める。
【0071】
[4−1.仕入入力]
まず、前記ユーザ向け販売のサーバの仕入を行い仕入計上する際に、
図3に示すように、仕入入力画面から、仕入先、支払先、仕入日、組合せ支払方法識別データ(支払方法「SH004:10万未満振込、10万以上70%手形30%現金」)、商品コード、商品名および仕入金額等の情報が入力されると、
図3に示す仕入明細データ106dが作成される。
図3に示すように、仕入明細データ106dにおける債務科目は、買掛金となる。そして、前記入力された組合せ支払方法識別データおよび前記作成された仕入明細データ106dを基にして、
図3に示す支払予定データ106fが作成される。
【0072】
[4−2.経費入力]
次に、前記自社使用の備品としてのサーバを購入して費用計上する際に、
図4に示すように、経費入力画面から、仕入先、支払先、経費計上日、組合せ支払方法識別データ(支払方法「SH004:10万未満振込、10万以上70%手形30%現金」)、費目コード、費目名および経費金額等の情報が入力されると、
図4に示す経費明細データ106eが作成される。
図4に示すように、経費明細データ106eにおける債務科目は、未払金となる。そして、前記入力された組合せ支払方法識別データおよび前記作成された経費明細データ106eを基にして、
図4に示す支払予定データ106fが作成される。
【0073】
[4−3.支払方法確定処理]
次に、支払方法を確定するための画面(図示せず)からの指示を受けると、
図5に示すように、[4−1]および[4−2]で作成した支払予定データ106fにおける支払先(TK000001:東京A)および支払予定日(2018/03/31)ごとに、支払通知番号「SHT001」が採番される。
【0074】
更に、前記指示を受けると、取得部102a、集計部102b、分割部102cおよび按分部102dが以下の処理を実行することにより、支払方法別かつ債務科目別の支払予定金額が算出される。
【0075】
まず、取得部102aは、
図9の分割設定マスタ106cから、
図5の支払予定データ106f中の組合せ支払方法識別データ(SH004)と同じものと紐付く情報として、
図9の分割条件X「分割枝番1、分割区分残り、支払方法SH003:振込」と
図9の分割条件Y「(分割枝番1、分割区分30%、支払方法SH001:現金)、(分割枝番2、分割区分残り、支払方法SH002:支払手形)」とを取得する。
【0076】
次に、集計部102bは、
図5の支払予定データ106fに含まれる2つの支払明細データにおいて、支払予定日(2018/03/01)、支払先(TK000001:東京A)および組合せ支払方法識別データ(SH004)が同じであるため、当該2つの支払明細データ中の支払予定金額を集計して、500,000円+400,000円=900,000円という合計額を算出する。
【0077】
次に、分割部102cは、集計部102bで算出した合計額900,000円が、
図9の分割設定マスタ106cにおける基準金額以上を満たすか否かをチェックする。合計額900,000円は、
図9の分割条件Xについての「基準金額0円以上(すなわち、0円以上〜100,000円未満)」を満たさないため、分割部102cは、分割条件Xに基づく分割は行わない。これに対して、合計額900,000円は、
図9の分割設定マスタ106cの分割条件Yについての「基準金額100,000円以上」を満たすため、分割部102cは、
図9の分割条件Yに基づく分割を以下のようにして行う。
【0078】
すなわち、分割部102cは、まず、分割条件Yのうちの(分割枝番1、分割区分30%、支払方法SH001:現金)に基づき、現金による支払予定金額を、合計額900,000円×分割区分30%=270,000円と算出する。続いて、分割部102cは、分割条件Yのうちの(分割枝番2、分割区分残り、支払方法SH002:支払手形)に基づき、支払手形による支払予定金額を、合計額900,000円×分割区分残り(=70%)=630,000円と算出する。このようにして、分割部102cは、基準金額以上の単位で分割枝番順に分割処理を行うことにより、支払方法別の支払予定金額を算出することができる。
【0079】
そして、当該算出した支払方法別の支払予定金額を基にして、分割部102cは、
図5の金種別支払予定データ106gを生成する。なお、
図5の金種別支払予定データ106gにおいて、金種別支払予定SEQは、支払先、支払方法および支払予定日ごとに採番される番号である。
【0080】
続いて、按分部102dは、分割部102cで算出した前記支払方法別の支払予定金額を、
図5の支配明細データ中の支払予定金額500,000円および400,000円の比に応じて以下のように按分することにより、支払方法別かつ債務科目別の支払予定金額を算出する。
【0081】
すなわち、按分部102dは、現金による買掛金の支払予定金額を270,000円×500,000円/900,000円=150,000円と算出し、現金による未払金の支払予定金額を270,000円×400,000円/900,000円=120,000円と算出し、支払手形による買掛金の支払予定金額を630,000円×500,000円/900,000円=350,000円と算出し、支払手形による未払金の支払予定金額を630,000円×400,000円/900,000円=280,000円と算出する。
【0082】
そして、当該算出した支払方法別かつ債務科目別の支払予定金額を基にして、按分部102dは、
図5の金種別支払予定内訳データ106hを生成する。
【0083】
按分部102dが算出した支払方法別かつ債務科目別の支払予定金額は、
図6に示す支払先別支払予定表等から確認することができる。
【0084】
[4−4.支払決済入力]
最後に、
図7の支払決済入力画面から、支払決済の対象とする支払方法が指定されると、決済部102eは、当該指定された支払方法により支払う支払予定金額についての支払決済を行う。
【0085】
具体的には、
図7の支払決済入力画面においては、支払方法「SH001:現金」にチェックがつけられている。この場合、決済部102eは、
図8の金種別支払予定内訳データ106hに示す4つの支払予定金額のうち、「現金」による買掛金の支払予定金額150,000円および「現金」による未払金の支払予定金額120,000円についての支払決済を行う。このように、本実施形態に係る金額算出装置100が決済部102eを備えれば、按分部102dが算出した支払方法別かつ債務科目別の支払予定金額のうち、支払決済を行いたい支払方法による支払予定金額についてのみ決済を行うことができ、柔軟な決済が可能となる。
【0086】
なお、決済部102eは、
図8の金種別支払予定データ106gに示すように、決済が済んだ支払方法「SH001:現金」について、支払済フラグを0から1に更新してもよい。
【0087】
続いて、更新部102fは、金種別支払予定データ106gにおける支払通知番号および金種別支払予定内訳データ106hにおける債務科目をキーとして、決済部102eで支払決済を行った支払予定金額を、支払済金額として支払予定データ106fに更新する。
【0088】
具体的には、
図8の金種別支払予定データ106gにおいて、決済が済んだ支払方法「SH001:現金」と紐付く支払通知番号は「SHT001」である。また、
図8の金種別支払予定内訳データ106hにおいて、支払決済が済んだのは、買掛金150,000円および未払金120,000円である。この場合、更新部102fは、
図5の支払予定データ106fから、支払通知番号「SHT001」を有する2つの支払明細データを特定し、更に、当該特定した2つの支払明細データについて、
図8に示すように、買掛金の支払済金額150,000円および未払金の支払済金額120,000円を更新する。このように、本実施形態に係る金額算出装置100が更新部102fを備えれば、2つ以上の債務科目のうち、どの債務科目についていくら支払が済んだのかを正確かつ迅速に把握することができる。
【0089】
[4−5.まとめ]
以上説明したように、本実施形態に係る金額算出装置100によれば、支払方法N件:債務科目M件となる場合において、支払方法別かつ債務科目別の支払予定金額を算出できる。
【0090】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0091】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0092】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0093】
また、金額算出装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0094】
例えば、金額算出装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて金額算出装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0095】
また、このコンピュータプログラムは、金額算出装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0096】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto−Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu−ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0097】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0098】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0099】
また、金額算出装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、金額算出装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0100】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。