【課題】作業者の確認を要すると物品検査システムが判断した検査結果に判断情報を記憶し参照できるようにするとともに、検査結果の確認作業による作業者の判断情報を記憶し参照できるようにして、検査結果の確認作業を効率化することができる物品検査システムを提供すること。
【解決手段】生産される物品を検査するX線検査装置30、金属検出装置40、重量検査装置50、の検査情報を、コンピュータネットワーク70を介して取得して管理するホストコンピュータ71を備え、ホストコンピュータ71は、検査情報の検査結果に対する物品検査システムによる判断情報及び、確認作業による作業者の判断情報を検査情報に関連付けて記憶し、検査情報とともに判断情報を表示部73に表示させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、クレーム対応等の検査結果の確認作業において、多数の検査結果をすべて目視で確認して検査結果に問題がある製品を抽出するには時間がかかる。また、一人の作業者では検査結果に問題が有るか無いかを判断できない場合がある。
【0006】
このような場合は、確認時間を短縮するために、多くの人員が必要となる。また、検査結果に問題が有るか無いかを判断できない検査結果に対しては、熟練の作業者による追加の確認が必要になるが、前の作業者の判断の情報が無いため、前の作業者の判断を参考にできず、情報のない状態から確認作業を行なうことになる。
【0007】
そこで、本発明は、作業者の確認を要すると物品検査システムが判断した検査結果に判断情報を記憶し参照できるようにするとともに、検査結果の確認作業による作業者の判断情報を記憶し参照できるようにして、検査結果の確認作業を効率化することができる物品検査システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の物品検査システムは、生産される物品を検査する物品検査装置の検査情報を管理する物品検査システムであって、前記検査情報の検査結果に対する物品検査システムが判断した判断情報と、検査結果の確認作業による作業者の判断情報とを前記検査情報に関連付けて記憶する制御部を備えるものである。
【0009】
この構成により、物品検査システムによる判断情報及び、検査結果に対する確認作業による作業者の判断情報が検査情報に関連付けて記憶される。このため、物品検査システムによる判断情報及び、検査結果の確認作業による作業者の判断情報を記憶することができ、検査結果の確認作業を効率化することができる。
【0010】
また、本発明の物品検査システムにおいて、前記制御部は、前記検査情報とともに前記判断情報を表示部に表示させるものである。
【0011】
この構成により、検査情報に関連付けて記憶された判断情報が検査情報とともに表示部に表示される。このため、検査情報に関連付けて記憶された判断情報を検査情報とともに参照することができ、検査結果の確認作業を効率化することができる。
【0012】
また、本発明の物品検査システムのプログラムは、生産される物品を検査する物品検査装置の検査情報を管理する物品検査システムのプログラムであって、コンピュータに、前記検査情報の検査結果に対する物品検査システムが判断した判断情報と検査結果の確認作業による作業者の判断情報とを前記検査情報に関連付けて記憶する判断情報追加機能を実現させるものである。
【0013】
この構成により、物品検査システムによる判断情報及び、検査結果に対する確認作業による作業者の判断情報が検査情報に関連付けて記憶される。このため、検査結果の確認作業において作業者の確認を要すると物品検査システムが判断した検査結果に判断情報を記憶し参照すること及び、検査結果の確認作業による作業者の判断情報を記憶することができ、検査結果の確認作業を効率化することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、検査結果の確認作業を効率化することができる物品検査システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る物品検査システムついて詳細に説明する。
【0017】
図1において、本発明の一実施形態に係る物品検査システムは、製造ラインのコンベア1から搬出される飲食物等の物品Wに対する異物混入の検査および重量の検査を行い、良品と判定された物品Wを後続の出荷ラインのコンベア2へ搬出し、不良と判定された物品をライン上から排除する検査ラインの管理を行なう。
【0018】
検査ラインは、X線検査装置30と、金属検出装置40と、重量検査装置50と、選別機60とを含んで構成される。なお、検査ラインは、X線検査装置30と、金属検出装置40と、重量検査装置50と、選別機60とのいずれか1つで構成してもよいし、いずれか2つ以上で構成してもよい。
【0019】
X線検査装置30は、コンベア31と、物品センサ32と、X線検出部33と、判定部34とを含んで構成される。
【0020】
コンベア31は、製造ラインのコンベア1から搬出された物品Wを一端側で受け入れて他端側に搬送する。
【0021】
物品センサ32は、X線検出部33の直前に配置されており、物品WのX線検出部33への進入を検知して、その検知信号を判定部34に出力する。物品センサ32は、例えば、コンベア31を幅方向(
図1の手前および奥方向)に跨ぐように対向して配置された図示しない一対の投光器および受光器からなる透過形光電センサで構成される。
【0022】
X線検出部33は、物品センサ32によって検知された物品Wに対し、コンベア31の搬送方向と直交する面に平行な幅広のX線を照射し、その物品Wを透過したX線をX線ラインセンサで検出してその位置毎の透過量を表す信号を判定部34に出力するように構成されている。
【0023】
判定部34は、X線検出部33の出力する信号に基づいて、コンベア31による物品Wの移動にともなって物品Wの位置毎のX線透過量の違いを表すイメージデータを作成し、そのイメージデータに基づいてその物品Wに対し異物の混入や欠陥の有無を判定する。
【0024】
判定部34は、判定結果やX線検出部33によって検出されたイメージデータ等を含む情報を検査情報としてコンピュータネットワーク70を介してホストコンピュータ71に送信する。判定部34は、判定結果を検査結果情報として後段の金属検出装置40に出力する。
【0025】
金属検出装置40は、X線検査装置30から搬出される物品Wに対して金属の異物の混入の有無を検査するためのものであり、コンベア41と、物品センサ42と、磁気検出部43と、判定部44とを含んで構成される。
【0026】
コンベア41は、コンベア31から搬出される物品を一端側で受けて他端側へ搬送する。なお、このコンベア41は、X線検査装置30のコンベア31と共通化することができる。
【0027】
物品センサ42は、磁気検出部43の直前に配置されており、磁気検出部43に進入する物品Wをその直前で検知して、その検知信号を判定部44に出力する。物品センサ42は、例えば、コンベア41を幅方向(
図1の手前および奥方向)に跨ぐように対向して配置された図示しない一対の投光器および受光器からなる透過形光電センサで構成される。
【0028】
磁気検出部43は、コンベア41上に磁界を発生し、この磁界中を通過する物品Wによる磁界の変化を検出する。なお、金属検出装置40は、物品Wに含まれる金属を磁石等の磁化器で着磁し、磁化された金属の残留磁気を磁気センサで検出するような構成としてもよい。
【0029】
判定部44は、物品センサ42によって検知された物品Wに対して磁気検出部43から出力される信号に基づいて、その物品Wに金属の異物が混入しているか否かを判定する。
【0030】
判定部44は、判定結果や磁気検出部43から出力される信号の振幅及び位相の時間による変化、磁気検出部43から出力される信号から得られる判定対象値等を検査情報としてコンピュータネットワーク70を介してホストコンピュータ71に送信する。判定部44は、判定結果をX線検査装置30から受信した検査結果情報と組合せて、検査を受けた物品Wの新たな検査結果情報として、後段の重量検査装置50に出力する。
【0031】
重量検査装置50は、金属検出装置40から搬出される物品Wの重量を検査するためのものであり、コンベア51と、物品センサ52と、計量部53と、判定部54とを含んで構成される。
【0032】
コンベア51は、計量部53が物品Wの荷重を荷重センサによって計量するための秤量台として機能するように配置され、前段のコンベア41から搬出される物品Wを一端側で受けて他端側へ搬送する。
【0033】
物品センサ52は、コンベア51に搬入される物品Wを検知し、その検知信号を判定部54に出力する。物品センサ52は、例えば、コンベア51を幅方向(
図1の手前および奥方向)に跨ぐように対向して配置された図示しない一対の投光器および受光器からなる透過形光電センサで構成される。
【0034】
計量部53は、物品センサ52によって検知されコンベア51に載った物品Wの荷重に対応した重量信号を判定部54に出力する。
【0035】
判定部54は、物品センサ52によって検知された物品Wがコンベア51に完全に搬入された後に計量部53から出力される重量信号に基づいて、その物品Wの重量を求め、求めた重量が許容範囲内にあるか否かを判定する。
【0036】
判定部54は、判定結果や計量部53から出力される重量信号、求めた重量値等を検査情報としてコンピュータネットワーク70を介してホストコンピュータ71に送信する。判定部54は、判定結果を金属検出装置40から受信した検査結果情報と組合せて、検査を受けた物品Wの新たな検査結果情報を生成して、後段の選別機60に出力する。
【0037】
選別機60は、重量検査装置50から搬出される物品Wのうち、前段の各検査装置で不良判定されたものをラインから排除するためのものであり、コンベア61と、物品センサ62と、排除装置63と、判定部64とを含んで構成される。
【0038】
コンベア61は、前段のコンベア51から搬出される物品Wを一端側で受けて他端側へ搬送して出荷ラインのコンベア2へ搬出する。なお、このコンベア61は出荷ラインのコンベア2と共用することもできる。
【0039】
物品センサ62は、排除装置63の直前に配置されており、コンベア61に搬入された物品Wを排除装置63の直前で検知し、その検知信号を判定部64に出力する。物品センサ62は、例えば、コンベア61を幅方向(
図1の手前および奥方向)に跨ぐように対向して配置された図示しない一対の投光器および受光器からなる透過形光電センサで構成される。
【0040】
排除装置63は、判定部64からの不良信号を受ける毎に、コンベア61上の物品Wをラインから排除する。
【0041】
この排除装置63としては、コンベア61の側方から物品Wにエアを吹き付けてコンベア61上から排除するもの、レバーの回動やスライドによる物品Wをコンベア61の側方へ案内して排除するもの等を使用することができる。
【0042】
判定部64は、重量検査装置50から受信した検査結果情報の中から物品の良否の判定結果の情報を抽出し、そのいずれかに不良の判定結果が含まれているときに、排除装置63に対して不良信号を出力して、物品センサ62で検知された物品Wをコンベア61上から排除させる。
【0043】
このような構成の検査ラインの各装置は、コンピュータネットワーク70を介してホストコンピュータ71と通信可能になっていて、ホストコンピュータ71が各装置の情報等を収集して管理している。
【0044】
ホストコンピュータ71は、図示しないCPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、ハードディスク装置と、入出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。
【0045】
ホストコンピュータ71の入力ポートには、入力部72が接続されている。入力部72は、キーボードやマウス等により構成される。
【0046】
ホストコンピュータ71の出力ポートには、表示部73が接続されている。表示部73は、液晶ディスプレイ等により構成される。
【0047】
ホストコンピュータ71は、検査ラインの各装置の検査情報や良品数、不良品数などをハードディスク装置に記憶して管理する。
【0048】
ホストコンピュータ71は、複数の検査ラインの各装置の検査情報や動作来歴、良品数、不良品数などもハードディスク装置に記憶して管理できるようになっている。
【0049】
ホストコンピュータ71は、例えば、X線検査装置30において、X線検出部33によって検出されたイメージデータが前後に検査した物品Wのイメージデータの傾向と異なっており正しく検査できていない可能性がある検査情報や、金属検出装置40の影響値が許容範囲の上限に近いためNGの可能性がある検査情報を抽出し、作業者の確認を要する検査結果であるという物品検査システムによる判断情報を抽出した検査情報に関連付けてハードディスク装置に記憶して管理できるようになっている。
【0050】
ホストコンピュータ71は、検査ラインの各装置の検査情報や良品数、不良品数などを、入力部72の操作によって入力された抽出条件により抽出して、その一覧を表示部73に表示できるようになっている。
【0051】
ホストコンピュータ71は、例えば、X線検査装置30の「今日のNGリスト」が抽出条件として入力部72の操作によって入力されると、
図2に示すように、当日のX線検査装置30の検査において不良品と判定された物品Wの一覧を表示部73に表示する。
図2において、後述するチェックボックスのチェック状態も表示される。
【0052】
図2において、例えば、Aで示した行が入力部72の操作によって選択されると、ホストコンピュータ71は、選択された行に対応した物品WのX線検査の画像を画像表示部102に表示する。
【0053】
図2において、拡大画像表示ボタン101が入力部72の操作によって選択されると、ホストコンピュータ71は、
図3に示すような検査画像表示画面を表示部73に表示する。
【0054】
図3において、チェック確認ボタン103は、後述する検査結果のチェック状態を確認するものである。閉じるボタン104は、検査画像表示画面を閉じさせるものである。
【0055】
次を表示ボタン105は、次の物品WのX線検査の画像を表示させるものである。前を表示ボタン106は、前の物品WのX線検査の画像を表示させるものである。
【0056】
チェック状態表示部107には、後述する検査結果のチェックによって設定された内容が表示される。拡大画像表示部108には、物品WのX線検査の拡大画像が表示される。
【0057】
チェック確認ボタン103が入力部72の操作によって選択されると、ホストコンピュータ71は、
図4に示すような画像確認画面を表示する。
【0058】
図4において、確認完了ボタン109は、後述するチェックボックスのチェック状態や判断情報確認部114の入力内容を対応した物品Wの検査情報と関連付けて記憶させるものである。
【0059】
キャンセルボタン110は、後述するチェックボックスのチェック状態や判断情報確認部114の入力内容を記憶せずに終了させるものである。
【0060】
NG確認済チェックボックス111は、拡大画像表示部108に表示された画像により不良品の確認を行なったか否かを入力させるものである。
【0061】
システム判定チェックボックス112は、作業者の確認を要すると物品検査システムが判断したか否かを反映したものである。
【0062】
チェックAチェックボックス113は、所定のチェックAを行なったか否かや所定の状態であるか否かを入力させるものである。
【0063】
チェックAチェックボックス113は、ユーザの定義により表示名等を変えてもよい。例えば、別の作業者による確認の必要のある物品Wについてチェックを行なうようにしてもよい。
【0064】
判断情報確認部114は、作業者の確認を要すると物品検査システムが判断した判断情報の確認や、拡大画像表示部108に表示された画像により不良品の確認作業を行なった作業者の判断情報を入力させるものである。物品検査システムが判断した判断情報とは、正しく検査できていない可能性やNGの可能性があるため、作業者が確認すべきと判断した情報である。作業者の判断情報とは、作業者による不良品の確認を実施したかどうかの確認結果の情報や、不良品の確認により判断がつかなかったこと、その理由など、後に確認する作業者に伝えておきたい情報である。
【0065】
図4に示すようにチェックボックスのチェックが行なわれ、判断情報確認部114に作業者による判断情報の入力が行なわれ、確認完了ボタン109が入力部72の操作によって選択されると、ホストコンピュータ71は、入力されたチェックボックスのチェック状態や判断情報確認部114の入力内容を対応した物品Wの検査情報と関連付けて記憶させ、検査画像表示画面を
図5に示すように表示する。
【0066】
図5に示すように、チェックボックスのチェック状態や判断情報確認部114の入力内容がチェック状態表示部107に表示される。
【0067】
なお、画像表示部102や拡大画像表示部108には、X線検査装置30の場合は
図6(a)に示すようなX線透過画像が表示される。
【0068】
金属検出装置40の場合は
図6(c)に示すような、磁気検出部43から出力される信号の振幅及び位相の時間による変化から生成されたリサージュ波形が表示される。
【0069】
重量検査装置50の場合は
図6(b)に示すような重量の時間変化を波形表示した画像が表示される。なお、物品Wの重量は、計量部53による重量信号が安定したタイミング(図中、2本の破線で挟まれたタイミング)で行なわれる。
【0070】
このように、不良品となった物品Wの検査情報と関連付けてチェックボックスのチェック状態や判断情報確認部114の入力内容を記憶しているため、後に確認する作業者にこれらの情報を参照可能にすることができ、検査結果の確認作業を効率化することができる。
【0071】
また、物品Wの一覧にチェックボックスのチェック状態を表示しているため、チェックボックスのチェック状態により確認が必要な検査結果を知ることができ、物品検査システムが事前に作業者の確認を要するとチェックした検査結果だけを確認する等、必要な検査結果だけを確認するようにすれば、検査結果の確認作業を効率化することができる。
【0072】
また、ホストコンピュータ71が、複数の検査ラインの情報を収集し管理するようにすれば、複数の検査ラインで統一された判断基準で生産工程へフィードバックすることができる。
【0073】
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。