【解決手段】振動ユニット100は、圧電素子10、及び圧電素子10が接合された振動板11を有する振動デバイス1と、振動デバイス1を収容するケース2と、を備えている。ケース2は、振動デバイス1の振動を伝達する第一ケース部材3、及び第一方向D1で第一ケース部材3と対向している第二ケース部材4を有している。振動デバイス1は、第三方向D3における一対の端部11cに位置し、第二ケース部材4に固定された一対の固定領域R1、及び一対の端部11cの間に位置し、第一ケース部材3に連結された連結領域R2を有している。連結領域R2は、振動デバイス1の最大振動領域Rmから離間している。
前記一方の端部と前記一方の連結領域との間の前記交差方向における距離は、前記最大振動領域と前記一方の連結領域との間の前記交差方向における距離と同等である、請求項4に記載の振動ユニット。
前記他方の端部と前記他方の連結領域との間の前記交差方向における距離は、前記最大振動領域と前記他方の連結領域との間の前記交差方向における距離と同等である、請求項4又は5に記載の振動ユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記振動ユニットでは、操作板が外部から使用者によって押圧されると、操作板とともに圧電素子が湾曲変形し、圧電素子が損傷するおそれがある。
【0005】
本発明の一つの態様は、圧電素子の損傷を抑制可能な振動ユニット、駆動装置及び駆動方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様に係る振動ユニットは、圧電素子、及び圧電素子が接合された振動板を有する振動デバイスと、振動デバイスを収容するケースと、を備え、ケースは、振動デバイスの振動を伝達する第一ケース部材、及び振動板の厚さ方向で第一ケース部材と対向している第二ケース部材を有しており、振動デバイスは、厚さ方向に交差する交差方向における一対の端部に位置し、第二ケース部材に支持固定された一対の固定領域、及び一対の端部の間に位置し、第一ケース部材に連結された連結領域を有しており、連結領域は、振動デバイスの最大振動領域から離間している。
【0007】
上記一つの態様では、振動デバイスは、第一ケース部材に連結された連結領域を有している。このため、例えば、第一ケース部材が使用者の指等の接触により押圧されると、これに伴い連結領域が押圧される。振動デバイスは、一対の端部に位置する一対の固定領域で第二ケース部材に支持固定されている。連結部材は、一対の端部の間に位置しているので、連結部材が押圧されると、振動デバイスが湾曲変形する。本発明者らの調査研究によれば、振動デバイスの振動が最も大きくなる最大振動領域が押圧されると、振動デバイスが大きく湾曲変形するため、圧電素子の損傷が生じ易い。そこで、連結領域は、最大振動領域から離間して設けられている。これにより、圧電素子の損傷を抑制することができる。
【0008】
上記一つの態様では、連結領域は、第一ケース部材に向かって付勢されていてもよい。この場合、振動デバイスの振動が第一ケース部材に確実に伝達される。
【0009】
上記一つの態様では、厚さ方向から見て、連結領域の面積は、固定領域の面積よりも小さくてもよい。
【0010】
上記一つの態様では、振動デバイスは、一対の連結領域を有しており、一方の連結領域は、交差方向において一方の固定領域と最大振動領域との間に位置し、他方の連結領域は、交差方向において他方の固定領域と最大振動領域との間に位置していてもよい。この場合、振動デバイスは、分散して配置された一対の連結領域を有しているので、圧電素子の損傷を更に抑制することができる。
【0011】
上記一つの態様では、一方の端部と一方の連結領域との間の交差方向における距離は、最大振動領域と一方の連結領域との間の交差方向における距離と同等であってもよい。この場合、圧電素子の損傷を一層抑制することができる。
【0012】
上記一つの態様では、他方の端部と他方の連結領域との間の交差方向における距離は、最大振動領域と他方の連結領域との間の交差方向における距離と同等であってもよい。この場合、圧電素子の損傷をより一層抑制することができる。
【0013】
本発明の一つの態様に係る駆動装置は、上記振動ユニットと、振動デバイスをn次振動モード(1<n<4)で振動させる信号を振動ユニットに与える制御回路と、を備える。
【0014】
上記一つの態様では、振動デバイスを高次振動モードで振動させる。この場合、1<nであるため、振動デバイスにおける振動領域が分散して広がり易い。また、n<4であるため、圧電素子の損傷を抑制可能である。
【0015】
本発明の一つの態様に係る駆動方法は、上記振動ユニットを駆動する駆動方法であって、振動デバイスをn次振動モード(1<n<4)で振動させる。
【0016】
上記一つの態様では、振動デバイスを高次振動モードで振動させる。この場合、1<nであるため、振動デバイスにおける振動領域が分散して広がり易い。また、n<4であるため、圧電素子の損傷を抑制可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一つの態様によれば、圧電素子の損傷を抑制可能な振動ユニット、駆動装置及び駆動方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0020】
図1は、実施形態に係る振動ユニットの斜視図である。
図2は、
図1に示される振動ユニットの分解斜視図である。
図3は、
図1のIII-III線に沿っての端面図である。
図4は、
図1のIV-IV線に沿っての端面図である。
図1〜
図4示されるように、実施形態に係る振動ユニット100は、複数の振動デバイス1と、複数の振動デバイス1を収容するケース2とを備えている。振動ユニット100は、たとえば、ケース2の操作領域Raに使用者の指等が接触すると、振動デバイス1が振動するように構成されている。振動デバイス1の振動は、ケース2を通じて使用者に伝達される。これにより、振動ユニット100は、使用者に押圧感(タッチ感、クリック感、操作感)を与えることができる。
【0021】
複数の振動デバイス1は、マトリックス状に配置されている。ここでは、4つの振動デバイス1が3行3列のマトリックス状に配置されている。振動デバイス1は、圧電素子10と、振動板11と、配線部材(不図示)と、を備えている。
【0022】
振動板11は、たとえば、Ni−Fe合金、Ni、黄銅、又はステンレス等の金属からなる板部材である。振動板11は、振動板11の厚さ方向で互いに対向している主面11a,11bを有している。つまり、振動板11の厚さ方向は、主面11a,11bの対向方向である。主面11a,11bは、矩形状を呈している。主面11a,11bの短辺の長さは、例えば、60mmである。主面11a,11bの長辺の長さは、例えば、80mmである。振動板11の厚さは、例えば、250μmである。振動板11の主面11aには、圧電素子10が接合されている。
【0023】
以下、説明の便宜上、振動板11の厚さ方向を第一方向D1とする。主面11a,11bの短辺方向を第二方向D2とする。主面11a,11bの長辺方向を第三方向D3とする。第二方向D2及び第三方向D3は、第一方向D1に交差する交差方向である。ここでは、第一方向D1、第二方向D2及び第三方向D3は、互いに直交している。
【0024】
圧電素子10は、シート状を呈している。圧電素子10は、第一方向D1で互いに対向している主面10a,10bを有している。主面10aは、振動板11の主面11bと対向している。圧電素子10は、圧電素子10の厚さ方向が振動板11の厚さ方向と一致するように、主面11bに接合されている。圧電素子10は、主面11bの第二方向D2及び第三方向D3の中央に配置されている。圧電素子10は、第一方向D1から見て、振動板11の全ての外縁(四辺)から離間している。主面10a,10bは、矩形状を呈している。主面10a,10bは、例えば、正方形状を呈している。主面10a,10bの一辺の長さは、例えば、30mmである。圧電素子10の厚さ(圧電素子10の第一方向D1の長さ)は、例えば、100μmである。
【0025】
圧電素子10の主面10aは、例えば、エポキシ樹脂又はアクリル系樹脂からなる樹脂層(不図示)によって振動板11の主面11bに接合(接着)されている。主面10aの全面が主面11bに接合(接着)されている。樹脂層は、導電性のフィラーを含んでおらず、電気絶縁性を有している。
【0026】
圧電素子10は、圧電体と、一対の外部電極とを備えている。圧電体は、内部電極を介して複数の圧電体層が積層されてなる積層構造を有している。一対の外部電極は、それぞれ極性の異なる内部電極に接続され、例えば、主面10b上に配置されている。圧電素子10は、一つの圧電体層からなる単層構造を有し、一対の外部電極が圧電体層を第一方向D1で挟むように設けられていてもよい。
【0027】
配線部材は、例えばフレキシブルプリント基板(FPC)である。圧電素子10の外部電極は、配線部材によって、例えば、制御回路(不図示)に電気的に接続されている。制御回路は、振動ユニット100を統括的に制御している。配線部材の圧電素子10側の端部は、例えば、振動板11の主面11aに接合されている。
【0028】
ケース2は、第一ケース部材3及び第二ケース部材4を備えている。ケース2は、第一ケース部材3及び第二ケース部材4が組み合わされてなる箱部材である。ケース2の外形は、直方体形状を呈している。第一ケース部材3及び第二ケース部材4が互いに対向している方向は、第一方向D1と一致している。
【0029】
第一ケース部材3は、振動デバイス1の振動を伝達する板状部材である。第一ケース部材3は、一対の主面3a,3bと、端面3cと、を有している。一対の主面3a,3bは、互いに対向している。端面3cは、一対の主面3a,3bを連結するように、一対の主面3a,3bが互いに対向している方向に延在している。一対の主面3a,3bが互いに対向している方向は、第一方向D1と一致している。一対の主面3a,3bは、第一方向D1から見て、たとえば、長方形状を呈している。一対の主面3a,3bは、第一方向D1から見て、たとえば、正方形状を呈していてもよい。
【0030】
主面3aは、ケース2の外面の一部を構成している。主面3bは、ケース2の内面の一部を構成している。主面3bは、振動デバイス1と対向している。主面3aは、上述のように、使用者の指等が接触により押圧可能な操作領域Raを有している。操作領域Raは、使用者の指等の接触により押圧されると、主面3bが湾曲外側となるように湾曲変形する。操作領域Raは、第一方向D1から見て、後述する凹部6と重なる領域である。第一ケース部材3は、たとえば、タッチパネルである。第一ケース部材3は、たとえば、主面3aを構成するカバー部材を有している。カバー部材は、たとえば、ガラスからなる。カバー部材は、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、又は成型樹脂等の樹脂からなってもよい。タッチパネルは、たとえば、カバー部材と、タッチセンサ層と、主面3bを構成する表示層と、が積層されて構成されている。
【0031】
一対の主面3a,3bの長辺方向は、たとえば、第三方向D3と一致している。一対の主面3a,3bの短辺方向は、たとえば、第二方向D2と一致している。一対の主面3a,3bの長辺の長さ(すなわち、第一ケース部材3の第三方向D3の長さ)は、たとえば、260mmである。一対の主面3a,3bの短辺の長さ(すなわち、第一ケース部材3の第二方向D2の長さ)は、たとえば、170mmである。第一ケース部材3の第一方向D1の長さ(すなわち、第一ケース部材3の厚さ)は、たとえば、1.7mmである。
【0032】
第二ケース部材4は、第一方向D1で第一ケース部材3と対向している板状部材である。第二ケース部材4は、たとえば、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、又は成型樹脂等の樹脂からなる。第二ケース部材4は、ステンレス又はアルミなどの金属からなってもよい。本実施形態では、第二ケース部材4は、第一ケース部材3及び振動板11よりも湾曲変形し難い構成となっている。第二ケース部材4は、振動デバイス1を介して第一ケース部材3と対向している。第二ケース部材4は、一対の主面4a,4bと、端面4cと、を有している。一対の主面4a,4bは、互いに対向している。端面4cは、一対の主面4a,4bを連結するように、一対の主面4a,4bが互いに対向している方向に延在している。一対の主面4a,4bが互いに対向している方向は、第一方向D1と一致している。一対の主面4a,4bは、たとえば、長方形状を呈している。一対の主面4a,4bは、たとえば、正方形状を呈していてもよい。
【0033】
主面4aは、ケース2の内面の一部を構成している。主面4aは、振動デバイス1と対向している。主面4aは、振動デバイス1を介して主面3bと対向している。主面4b及び端面4cは、ケース2の外面の一部を構成している。
【0034】
一対の主面4a,4bの長辺方向は、たとえば、第三方向D3と一致している。一対の主面4a,4bの短辺方向は、たとえば、第二方向D2と一致している。一対の主面4a,4bの長辺の長さ(すなわち、第二ケース部材4の第三方向D3の長さ)は、たとえば、280mmである。一対の主面4a,4bの短辺の長さ(すなわち、第二ケース部材4の第二方向D2の長さ)は、たとえば、190mmである。第二ケース部材4の第一方向D1の長さ(最大長さ)は、たとえば、10mmである。一対の主面4a,4b及び一対の主面3a,3bは、互いに同形状を呈している。
【0035】
主面4aには、主面4bに向かって窪んでいる凹部5が設けられている。凹部5は、主面4aの外縁部を除く略全体に設けられている。凹部5は、第一方向D1から見て、主面4aの第二方向D2及び第三方向D3の略中央に設けられている。凹部5は、第一方向D1から見て、主面4aの全ての外縁(四辺)から離間している。
【0036】
凹部5の底面5aは、主面3bと対向している。底面5aは、たとえば、長方形状を呈している。底面5aの長辺方向は、たとえば、第三方向D3と一致している。底面5aの短辺方向は、たとえば、第二方向D2と一致している。底面5aの長辺の長さは、主面4aの長辺の長さよりも短く、たとえば、260mmである。底面5aの短辺の長さは、主面4aの短辺の長さよりも短く、たとえば、170mmである。主面4aと底面5aとの間に形成された段差面5bは、第一方向D1に延在している。段差面5bの第一方向D1の長さは、たとえば、2mmである。底面5aの長辺の長さは、主面3bの長辺の長さと同等以上である。底面5aの短辺の長さは、主面3bの短辺の長さと同等以上である。
【0037】
底面5aには、主面4bに向かって窪んでいる凹部6が設けられている。凹部6は、底面5aの外縁部を除く略全体に設けられている。凹部6は、第一方向D1から見て、底面5aの第二方向D2及び第三方向D3の略中央に設けられている。凹部6は、第一方向D1から見て、底面5aの全ての外縁(四辺)から離間している。
【0038】
底面6aは、主面3bと対向している。底面6aは、たとえば、長方形状を呈している。底面6aの長辺方向は、たとえば、第三方向D3と一致している。底面6aの短辺方向は、たとえば、第二方向D2と一致している。底面6aの長辺の長さは、底面5aの長辺の長さよりも短く、たとえば、250mmである。底面6aの短辺の長さは、底面5aの短辺の長さよりも短く、たとえば、160mmである。底面5aと底面6aとの間に形成された段差面6bは、第一方向D1に延在している。段差面6bの第一方向D1の長さは、たとえば、0.3mmである。
【0039】
底面6aには、第二ケース部材4を第一方向D1に貫通する複数(ここでは2つ)の貫通孔7が設けられている。複数の貫通孔7は、第三方向D3に並んで設けられている。複数の貫通孔7は、互いに離間している。複数の貫通孔7は、底面6aの全ての外縁(四辺)から離間している。
【0040】
貫通孔7は、第一方向D1から見て、たとえば、長方形状を呈している。貫通孔7の長辺方向は、たとえば、第二方向D2と一致している。貫通孔7の短辺方向は、たとえば、第三方向D3と一致している。貫通孔7の長辺の長さは、底面6aの短辺の長さよりも短く、たとえば、130mmである。貫通孔7の短辺の長さは、たとえば、70mmである。貫通孔7の第一方向D1の長さは、たとえば、7.7mmである。
【0041】
凹部5には、第一ケース部材3が配置されている。第一ケース部材3は、凹部6及び貫通孔7を覆うように、凹部5の略全体に配置されている。底面5aの外縁部(底面5aにおいて凹部6及び貫通孔7を除く部分)は、主面3bの外縁部と対向し、第一ケース部材3を支持している。
【0042】
底面5aの外縁部には、樹脂層21が設けられている。樹脂層21は、底面5aの外縁部の全体に設けられている。樹脂層21は、主面3b及び底面5aを互いに接合(接着)している。第一ケース部材3は、樹脂層21により第二ケース部材4に固定されている。樹脂層21は、樹脂(たとえば、エポキシ樹脂又はアクリル系樹脂)からなる。樹脂層21は、導電性のフィラーを含んでおらず、電気絶縁性を有している。第一ケース部材3は、樹脂層21によらず底面5aに溶着されていてもよい。
【0043】
凹部6には、複数(ここでは4つ)の振動デバイス1が互いに離間して配置されている。振動デバイス1は、主面11aが主面3bと対向し、主面11bが底面6aと対向するように配置されている。本実施形態では、1つの貫通孔7に対して2つの振動デバイス1が第二方向D2に並んで配置されている。振動デバイス1は、貫通孔7を覆うように底面6aに配置されている。貫通孔7の第二方向D2における両端部及び中央部は、振動デバイス1により覆われておらず、振動デバイス1から露出している。
【0044】
振動デバイス1は、底面6aにおいて、貫通孔7の第三方向D3の両側に配置された部分に架け渡されている。底面6aは、振動板11の第三方向D3における一対の端部11cを支持している。一対の端部11cは、振動デバイス1の第三方向D3における一対の端部を構成している。底面6aは、主面11bの第三方向D3における一対の端部11cと対向している。
【0045】
底面6aにおいて振動デバイス1と対向する部分には、樹脂層22が設けられている。樹脂層22は、主面11b及び底面6aを互いに接合(接着)している。樹脂層22は、樹脂(たとえば、エポキシ樹脂又はアクリル系樹脂)からなる。樹脂層22は、導電性のフィラーを含んでおらず、電気絶縁性を有している。樹脂層22は、樹脂層21と同じ樹脂からなってもよい。
【0046】
図5は、
図1の振動デバイスの平面図である。
図5では、主面11b側から見た振動デバイス1の平面図が示されている。
図5では、振動デバイス1以外の図示が省略されている。特に、
図3及び
図5に示されるように、振動デバイス1は、一対の端部11cに位置し、樹脂層22により第二ケース部材4に支持固定された一対の固定領域R1を有している。一対の固定領域R1は、例えば、互いに同形状を呈している。固定領域R1は、樹脂層22によらず底面5aに溶着されていてもよい。各固定領域R1の第三方向D3の長さは、たとえば10mmである。
【0047】
圧電素子10は、貫通孔7内に配置されている。圧電素子10は、第一方向D1から見て、底面6aから離間している。圧電素子10は、第一方向D1から見て、貫通孔7の第三方向D3の中央と重なるように配置されている。貫通孔7は、振動デバイス1が変形可能(振動可能)な空間を画定している。
【0048】
各主面11aと主面3bとの間には、スペーサ23が配置されている。特に、
図3及び
図5に示されるように、振動デバイス1は、一対の端部11cの間に位置し、スペーサ23により第一ケース部材3に連結された連結領域R2を有している。ここで、「連結領域R2がスペーサ23により第一ケース部材3に連結された状態」とは、スペーサ23が連結領域R2及び第一ケース部材3のそれぞれに当接されていることにより、振動デバイス1の振動が第一ケース部材3に伝達可能な状態であればよい。スペーサ23は、連結領域R2及び第一ケース部材3のそれぞれに接着等により固定(固着)された状態でなくてもよい。スペーサ23を連結領域R2に固着した場合、スペーサ23ごと振動デバイス1を第一ケース部材3に固定することができる。
【0049】
本実施形態では、各主面11aと主面3bとの間には、一対のスペーサ23が配置され、各振動デバイス1は、互いに離間する一対の連結領域R2を有している。一対の連結領域R2は、例えば、互いに同形状を呈している。第一方向D1から見て、各連結領域R2の面積は、各固定領域R1の面積よりも小さい。第一方向D1から見て、連結領域R2の面積の総和は、固定領域R1の面積の総和よりも小さい。スペーサ23は、主面11a及び主面3bの両方に当接している。スペーサ23は、第一方向D1から見て、例えば矩形状を呈している。スペーサ23は、第一方向D1から見て、例えば一辺が5mmの正方形状を呈している。スペーサ23の第一方向D1の長さ(厚さ)は、例えば0.13mmである。
【0050】
一対のスペーサ23は、第一方向D1から見て、圧電素子10を第三方向D3に挟むように配置されている。スペーサ23は、第一方向D1から見て、圧電素子10の第三方向D3の外縁に沿って配置されている。スペーサ23は、第一方向D1から見て、振動板11及び圧電素子10の第二方向D2の中央とそれぞれ重なるように配置されている。
【0051】
スペーサ23は、例えば、振動板11の振動を阻害しないように、振動板11よりも軟らかい部材で構成されている。スペーサ23として、例えば不織布からなる基材を有する両面テープ、薄い樹脂、金属板、又は紙等を用いることができる。スペーサ23は、振動板11又は第一ケース部材3と一体的に設けられた凸部であってもよい。この場合、振動板11又は第一ケース部材3の損傷を抑制するため、凸部の頂部を平面としてもよい。主面11a及び第一ケース部材3の主面3bの第一方向D1の間隔は、スペーサ23の第一方向D1の長さよりも短い。これにより、振動板11が板バネとして機能する。連結領域R2及びスペーサ23は、第二ケース部材4によって、主面3bに向かって付勢されている。連結領域R2及びスペーサ23は、第一ケース部材3によって、貫通孔7内及び底面6aに向かって付勢されている。連結領域R2とスペーサ23との間には、互いに押し付け合う圧力が加わっている。スペーサ23と第一ケース部材3との間には、互いに押し付け合う圧力が加わっている。
【0052】
続いて、振動ユニット100の動作について説明する。振動ユニット100では、第一ケース部材3のうち、第一方向D1から見て操作領域Raと重なる部分は、主面4aに支持されていない。したがって、たとえば、ケース2の操作領域Raに使用者の指等が接触すると、第一ケース部材3は、主面3bが湾曲外側となるように湾曲変形する。第一ケース部材3は、スペーサ23により連結領域R2に連結されている。このため、第一ケース部材3の変位に伴って、連結領域R2がスペーサ23を介して押圧される。連結領域R2は、第一方向D1から見て貫通孔7と重なっており、底面6aに支持されていない。したがって、振動板11は、主面11bが湾曲外側となるように湾曲変形する。
【0053】
圧電素子10は、振動板11に接合されている。このため、振動板11の湾曲変形に伴って、圧電素子10が湾曲変形する。これにより、圧電素子10では一対の外部電極間に電位差が生じ、配線部材を介して制御回路に電流が流れる。制御回路は、振動ユニット100に対する使用者による操作を、この電流によって検出する。制御回路は、使用者による押圧を検出すると、配線部材を介して圧電素子10の一対の外部電極間に所定の電圧を印加する。これにより、圧電体が面方向(第三方向D3に交差する方向)に伸縮する。
【0054】
一対の外部電極間に交流電圧が印加されると、圧電素子10は、印加された交流電圧の周波数に応じて伸縮を繰り返す。圧電素子10が接合された振動板11は、一対の端部11cにおいて第二ケース部材4に固定されている。したがって、振動板11は、圧電素子10の伸縮の繰り返しに応じて、圧電素子10と一体に撓み振動を繰り返し、第一方向D1に変位する。このような振動デバイス1の振動は、第一ケース部材3を通じて、使用者に伝達される。これにより、振動ユニット100は、使用者に押圧感(タッチ感、クリック感、操作感)を与えることができる。
【0055】
第一ケース部材3の変位量は、操作領域Raにおいて使用者の指等が接触した接触部分に対応する部分で最も大きくなり、この接触部分の近くに配置された連結領域R2ほど強く押圧される。連結領域R2が強く押圧された振動デバイス1ほど、一対の外部電極間に生じる電位差が大きくなる。したがって、制御回路は、例えば、最も大きな電流値が検出された振動デバイス1に電圧を印加し、当該振動デバイス1を振動させてもよい。これにより、操作領域Raの接触部分を確実に振動させることができる。
【0056】
本実施形態において、振動デバイス1の振動(変位)が最も大きくなる最大振動領域Rmは、振動デバイス1の第二方向D2及び第三方向D3の中央に位置する領域である。振動デバイス1の最大振動領域Rmは、より具体的には、振動デバイス1から一対の固定領域R1を除いた部分の第二方向D2及び第三方向D3の中央に位置する領域である。最大振動領域Rmと一方の固定領域R1との間の第三方向D3における距離は、最大振動領域Rmと他方の固定領域R1との間の第三方向D3における距離と同等である。最大振動領域Rmは、第一方向D1から見て連結領域R2から離間している。
【0057】
本実施形態において、一方の連結領域R2は、第三方向D3において、最大振動領域Rm及び一方の固定領域R1の中央に位置している。つまり、一方の連結領域R2と最大振動領域Rmとの間の第三方向D3における距離は、一方の連結領域R2と一方の固定領域R1との間の第三方向D3における距離と同等である。また、他方の連結領域は、第三方向D3において、最大振動領域Rm及び他方の固定領域R1の中央に位置している。つまり、他方の連結領域R2と最大振動領域Rmとの間の第三方向D3における距離は、他方の連結領域R2と他方の固定領域R1との間の第三方向D3における距離と同等である。
【0058】
以上説明したように、振動ユニット100では、振動デバイス1は、第一ケース部材3に連結された一対の連結領域R2を有している。このため、第一ケース部材3の操作領域Raが使用者の指等の接触により押圧されると、一対の連結領域R2が押圧される。振動デバイス1は、第二ケース部材4に支持固定された一対の固定領域R1を有している。一対の固定領域R1は、振動デバイス1の一対の端部11cに位置している。一対の連結領域R2は、一対の端部11cの間に位置しており、第二ケース部材4に支持されていない。したがって、連結領域R2が押圧されると、振動デバイス1が湾曲変形する。本発明者らの調査研究によれば、最大振動領域Rmが押圧されると、圧電素子10が損傷し易い。そこで、連結領域R2は、最大振動領域Rmから離間して設けられている。これにより、圧電素子10の損傷を抑制することができる。
【0059】
振動デバイス1は、分散して配置された一対の連結領域R2を有しているので、圧電素子10の損傷を更に抑制することができる。各連結領域R2は、第三方向D3において端部11c及び最大振動領域Rmの中央に位置しているので、圧電素子10の損傷をより一層抑制することができる。
【0060】
連結領域R2は、第一ケース部材3に向かって付勢されている。このため、振動デバイス1の振動が第一ケース部材3に確実に伝達される。
【0061】
次に、振動ユニット100を駆動する駆動装置110及び駆動方法について説明する。
【0062】
図6は、実施形態に係る駆動装置のブロック図である。
図6に示されるように、駆動装置110は、振動ユニット100と、制御回路101と、を備えている。制御回路101は、振動ユニット100と電気的に接続され、振動ユニット100を統括的に制御している。制御回路101は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を備えている。この場合、制御回路101は、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、CPUで実行することによって各種の処理を行う。使用者が振動ユニット100を操作(押圧)すると、振動ユニット100が使用者による操作を検出して信号S1を制御回路101に与える。制御回路101は、振動ユニット100から信号S1を受け取ると、振動デバイス1をn次振動モード(1<n<4)で振動させる信号S2を振動ユニット100に与える。これにより、振動ユニット100がn次振動モード(1<n<4)で振動する。
【0063】
nが4以上(n≧4)の場合、すなわち、4次以上の高次振動モードでは、周波数が高過ぎるため、使用者に押圧感を与えることができないおそれがある。また、4次以上の高次振動モードでは、圧電素子10が大きく歪み、圧電素子10が損傷するおそれもある。なお、振動ユニット100ではなく、タッチパネルが使用者による操作を検出して信号S1を制御回路101に与えてもよい。
【0064】
図7は、振動デバイスの振動の大きさの測定結果を示す写真図である。
図7(a)は、1次振動モードで振動する振動デバイスの振動板における振動の大きさの測定結果を示す写真図である。
図7(b)は、2次振動モードで振動する振動デバイスの振動板における振動の大きさの測定結果を示す写真図である。
図7(c)は、3次振動モードで振動する振動デバイスの振動板における振動の大きさの測定結果を示す写真図である。
図7(a)〜
図7(c)では、振動が大きいほど濃色で示され、振動が小さいほど淡色で示されている。
【0065】
振動デバイスにおいて、左右方向の一対の端部は固定領域である。1次振動モードでは、振動デバイスの振動領域が左右方向の中央の一箇所に集中している。最大振動領域は、振動領域の略中心に位置している。2次振動モードでは、振動領域が3つに分散して広がっている。最大振動領域は、各振動領域の略中心に位置している。3次振動モードでは、振動領域が6つに分散して広がっている。最大振動領域は、各振動領域の略中心に位置している。なお、3次振動モードにおける最大振動領域は、振動板において圧電素子が接合された領域と固定領域との中間に位置している。連結領域は最大振動領域よりも圧電素子側に位置している。
【0066】
これらの測定結果から、1次振動モードよりも2次振動モードの方が振動板の振動領域が分散して広がり易く、2次振動モードよりも3次振動モードの方が振動板の振動領域が分散して広がり易いことが分かった。すなわち、高次振動モードの方が低次振動モードよりも振動デバイスにおける振動領域が分散して広がり易いことが分かった。特に、1次振動モードの場合、振動デバイスの振動領域が一箇所に集中するので、使用者が接触している位置によっては、使用者に十分な押圧感を与えることができないおそれがあることが分かった。
【0067】
実施形態に係る駆動装置110及び駆動方法では、振動ユニット100をn次振動モード(1<n<4)で振動させる。このため、振動ユニット100を1次振動モードで振動させる場合に比べて、振動デバイス1における振動領域が分散して広がり易い。よって、使用者が接触している位置によらず、使用者に十分な押圧感を与えることができる。
【0068】
本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0069】
図8は、第一変形例に係る振動デバイスの平面図である。
図8に示されるように、第一変形例に係る振動デバイス1Aは、主に固定領域R1の形状の点で、振動デバイス1と相違している。振動デバイス1Aの各固定領域R1は、第二方向D2において互いに離間する一対の固定領域部分R1aを有している。本変形例では、ケース2(
図1参照)として、実施形態に係るケース2と同じケースを用いてもよいし、実施形態に係るケース2とは異なる形状の底面6a(
図2参照)を有するケースを用いてもよい。具体的には、例えば、底面6aにおいて、一対の固定領域部分R1aと対向する部分の間に凹部が設けられたケースが用いられてもよい。
【0070】
図9は、第二変形例に係る振動デバイスの平面図である。
図9に示されるように、第二変形例に係る振動デバイス1Bは、主に連結領域R2の配置の点で、振動デバイス1と相違している。振動デバイス1Bの各連結領域R2は、振動デバイス1Bの第二方向D2の中央からずれた位置に配置されている。一方の連結領域R2は、振動デバイス1Bの第二方向D2の中央よりも第二方向D2の一方にずれた位置に配置されている。他方の連結領域R2は、振動デバイス1Bの第二方向D2の中央よりも第二方向D2の他方にずれた位置に配置されている。一対の連結領域R2は、圧電素子10の対角をなす一対の角部に接するようにそれぞれ配置されている。
【0071】
振動デバイス1A,1Bを備える振動ユニットにおいても、振動ユニット100と同様に、連結領域R2が最大振動領域から離間して設けられているので、圧電素子10の損傷を抑制することができる。
【0072】
振動ユニット100は、1つ以上の振動デバイス1を備えていればよい。振動デバイス1は、1つ以上の連結領域R2を有していればよい。圧電素子10は、振動板11の主面11aに配置され、主面3bと対向していてもよい。圧電素子10は、振動板11の第二方向D2及び第三方向D3の中央からずれた位置に配置されていてもよい。振動デバイス1は、3つ以上の固定領域R1を有していてもよい。連結領域R2は、一対の端部11cの間に位置し、かつ、最大振動領域から離間していればよく、例えば、第一方向D1から見て、圧電素子10と重なる位置に配置されていてもよい。第一方向D1から見て、各連結領域R2の面積は、各固定領域R1の面積と同等以上であってもよい。第一方向D1から見て、連結領域R2の面積の総和は、固定領域R1の面積の総和と同等以上であってもよい。