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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-212273(P2019-212273A)
(43)【公開日】2019年12月12日
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20191115BHJP
   H01Q 7/00 20060101ALI20191115BHJP
   H01Q 19/02 20060101ALI20191115BHJP
【FI】
   G06K19/077 296
   H01Q7/00
   H01Q19/02
   G06K19/077 272
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2018-208406(P2018-208406)
(22)【出願日】2018年11月5日
(31)【優先権主張番号】特願2018-105255(P2018-105255)
(32)【優先日】2018年5月31日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 圭介
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 重人
(72)【発明者】
【氏名】井戸 道雄
(72)【発明者】
【氏名】寺西 正臣
【テーマコード(参考)】
5J020
【Fターム(参考)】
5J020AA00
5J020BC10
5J020DA03
(57)【要約】
【課題】通信範囲を拡大できる半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】一つの実施形態に係る半導体記憶装置は、第1のループアンテナと、第2のループアンテナと、コントローラと、を備える。前記第1のループアンテナは、第1の磁界による電磁誘導に基づいて第2の磁界を生じさせる。前記第2のループアンテナは、前記第2の磁界による電磁誘導に基づいて誘導起電力を発生させる。前記コントローラは、前記第2のループアンテナに生じた誘導起電力に基づいて動作可能であり、前記第2のループアンテナを介して、前記第1の磁界を生じさせる第1の外部装置との通信を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の磁界による電磁誘導に基づいて第2の磁界を生じさせる、第1のループアンテナと、
前記第2の磁界による電磁誘導に基づいて誘導起電力を発生させる、第2のループアンテナと、
前記第2のループアンテナに生じた誘導起電力に基づいて動作可能であり、前記第2のループアンテナを介して、前記第1の磁界を生じさせる第1の外部装置との通信を行う、コントローラと、
を具備する半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第2のループアンテナは、前記第1の磁界による電磁誘導に基づいて誘導起電力を発生させることが可能な、請求項1の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第1のループアンテナの中心が延びる方向は、前記第2のループアンテナの中心が延びる方向と交差する、請求項1又は請求項2の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第1のループアンテナの中心が延びる方向に見た平面視において、前記第2のループアンテナの一方の端部は、前記第1のループアンテナの外縁の内側に位置する、請求項3の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1のループアンテナの中心が延びる方向と直交する当該第1のループアンテナの内側の断面は、前記第2のループアンテナの中心が延びる方向と直交する当該第2のループアンテナの内側の断面よりも大きい、請求項1乃至請求項4のいずれか一つの半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第1のループアンテナと前記第2のループアンテナとは、互いに電気的に分離した、請求項1乃至請求項5のいずれか一つの半導体記憶装置。
【請求項7】
外面を有し、前記コントローラを覆うカバーと、
前記外面で露出された複数の端子と、
をさらに具備し、
前記コントローラは、前記端子を介して第2の外部装置との通信を行い、
前記第1のループアンテナは、前記第2のループアンテナと前記外面との間に位置する、
請求項1乃至請求項6のいずれか一つの半導体記憶装置。
【請求項8】
導体パターンが設けられた基板、をさらに具備し、
前記コントローラは、前記基板に実装され、
前記導体パターンは、前記第1のループアンテナを形成する、
請求項1乃至請求項7のいずれか一つの半導体記憶装置。
【請求項9】
前記第1のループアンテナは、直列に接続された複数のコイルを含む、請求項8の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記第2のループアンテナは、前記基板に実装される、請求項8又は請求項9の半導体記憶装置。
【請求項11】
外面を有し、前記コントローラを覆うカバーと、
前記外面で露出された複数の端子と、
前記第1のループアンテナが設けられたフィルムと、
をさらに具備し、
前記コントローラは、前記端子を介して第2の外部装置との通信を行い、
前記フィルムは、前記外面に貼り付けられる、
請求項1乃至請求項6のいずれか一つの半導体記憶装置。
【請求項12】
前記第1のループアンテナの共振周波数は、10MHz以上且つ20MHz以下である、請求項1乃至請求項11のいずれか一つの半導体記憶装置。
【請求項13】
前記第2のループアンテナは、前記第1のループアンテナの導線の近傍に位置する、請求項1の半導体記憶装置。
【請求項14】
前記第2のループアンテナは、前記導線の一部に沿って延びるとともに、前記第1のループアンテナの中心が延びる方向に見た平面視において当該導線の一部に重ねられる、請求項13の半導体記憶装置。
【請求項15】
前記第2のループアンテナは、第1の端部と、前記第1の端部の反対側にある第2の端部と、を有し、
前記第1のループアンテナの中心が延びる方向に見た平面視において、前記第1の端部の少なくとも一部が前記第1のループアンテナの外縁の内側に位置し、前記第2の端部が前記第1のループアンテナの外縁の外側に位置する、
請求項14の半導体記憶装置。
【請求項16】
前記第1の端部と前記導線との間の距離は、前記第2の端部と前記導線との間の距離よりも短い、請求項15の半導体記憶装置。
【請求項17】
前記第1のループアンテナの中心が延びる方向に見た平面視において前記導線の一部に重ねられる前記第2のループアンテナの長さは、前記第2の端部と前記導線との間の距離よりも長い、請求項15又は請求項16の半導体記憶装置。
【請求項18】
前記導線は、前記第1のループアンテナの内側に向かって窪んだ凹部を有し、
前記第1のループアンテナの中心が延びる方向に見た平面視において、前記第2のループアンテナの少なくとも一部は、前記凹部と交差する、
請求項15乃至請求項17のいずれか一つの半導体記憶装置。
【請求項19】
前記導線は、第1の導線と、前記第1の導線より太い第2の導線と、を含む、請求項13乃至請求項18のいずれか一つの半導体記憶装置。
【請求項20】
外面と、第1の縁と、前記第1の縁の反対側に位置する第2の縁とを有するカバーと、
前記外面で露出され、前記第1の縁に沿って並ぶ複数の端子と、
第1のループアンテナと、
前記第2の縁に沿って延びる第2のループアンテナと、
前記カバーに覆われ、前記第2のループアンテナを介して第1の外部装置との通信を行い、前記端子を介して第2の外部装置との通信を行う、コントローラと、
を具備し、
前記第1のループアンテナの中心が延びる方向は、前記第2のループアンテナの中心が延びる方向と交差し、
前記第1のループアンテナは、前記第2のループアンテナと前記外面との間に位置し、
前記第1のループアンテナの中心が延びる方向に見た平面視において、前記第2のループアンテナの一方の端部は、前記第1のループアンテナの外縁の内側に位置する、
半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ループアンテナを備え、外部装置が発生させる磁界に基づいて当該ループアンテナに生じる電磁誘導を利用し、外部装置との無線通信を行う装置が知られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−170355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外部装置に対するループアンテナの配置によっては、磁束がループアンテナの内部を通過し難く、無線通信が困難となることがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの実施形態に係る半導体記憶装置は、第1のループアンテナと、第2のループアンテナと、コントローラと、を備える。前記第1のループアンテナは、第1の磁界による電磁誘導に基づいて第2の磁界を生じさせる。前記第2のループアンテナは、前記第2の磁界による電磁誘導に基づいて誘導起電力を生じさせる。前記コントローラは、前記第2のループアンテナに生じた誘導起電力に基づいて動作可能であり、前記第2のループアンテナを介して、前記第1の磁界を生じさせる第1の外部装置との通信を行う。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1の実施形態に係るメモリカードを概略的に示す例示的な平面図である。
図2図2は、第1の実施形態のメモリカードを含むシステムの構成の一例を概略的に示す例示的なブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態のメモリカードを図1のF3−F3線に沿って概略的に示す例示的な断面図である。
図4図4は、第1の実施形態のメモリカード及び無線通信ホスト装置を概略的に示す例示的な斜視図である。
図5図5は、第2の実施形態に係るメモリカードを概略的に示す例示的な斜視図である。
図6図6は、第3の実施形態に係る中間アンテナを模式的に示す例示的な斜視図である。
図7図7は、第4の実施形態に係るメモリカードを概略的に示す例示的な平面図である。
図8図8は、第5の実施形態に係る基板の中間アンテナが設けられた層を概略的に示す例示的な平面図である。
図9図9は、第6の実施形態に係る基板の中間アンテナが設けられた層を概略的に示す例示的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1の実施形態)
以下に、第1の実施形態について、図1乃至図4を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明について、複数の表現が記載されることがある。複数の表現がされた構成要素及び説明は、記載されていない他の表現がされても良い。さらに、複数の表現がされない構成要素及び説明も、記載されていない他の表現がされても良い。
【0008】
図1は、第1の実施形態に係るメモリカード11を概略的に示す例示的な平面図である。メモリカード11は、半導体記憶装置の一例である。本実施形態において、メモリカード11は、microSDカードである。なお、半導体記憶装置は、例えば、SDカード、マルチメディアカード、又はUSBフラッシュメモリのような他の装置であっても良い。半導体記憶装置は、半導体チップを有する装置又はシステムを含む。
【0009】
各図面に示されるように、本明細書において、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、メモリカード11の幅に沿って規定される。Y軸は、メモリカード11の長さに沿って規定される。Z軸は、メモリカード11の厚さに沿って規定される。
【0010】
本実施形態のメモリカード11には、無線通信技術が適用される。例えば、13.56MHzの周波数を用いる近距離無線通信(Near Field Communication:NFC)が、メモリカード11に適用される。他の無線通信技術がメモリカード11に適用されても良い。
【0011】
NFCが適用されたメモリカード11は、電磁誘導により無線アンテナで電流を誘起させる。このため、以下に説明するように、メモリカード11は、例えば、コイル状、螺旋状、又は渦巻状と称され得る形状に形成された無線アンテナを有する。
【0012】
図2は、第1の実施形態のメモリカード11を含むシステムの構成の一例を概略的に示す例示的なブロック図である。図2に示すように、メモリカード11は、ホスト装置12に電気的に接続されるよう構成される。ホスト装置12は、第2の外部装置の一例である。さらに、メモリカード11は、無線通信ホスト装置13と無線通信するよう構成される。無線通信ホスト装置13は、第1の外部装置の一例である。ホスト装置12及び無線通信ホスト装置13はそれぞれ、例えば、パーソナルコンピュータ、ポータブルコンピュータ、スマートフォン、携帯電話、サーバ、スマートカード、リーダ/ライタ、又は他の装置である。
【0013】
メモリカード11は、複数のインターフェース(I/F)端子22と、無線アンテナ23と、コントローラ24と、フラッシュメモリ25と、を有する。I/F端子22は、端子の一例である。無線アンテナ23は、第2のループアンテナの一例であり、例えば、コイル、又は二次コイルとも称され得る。
【0014】
コントローラ24は、無線通信コントローラ26と、メモリコントローラ27と、ブリッジコントローラ28とを含む。本実施形態において、無線通信コントローラ26、メモリコントローラ27、及びブリッジコントローラ28は、それぞれ別個の電子部品である。しかし、無線通信コントローラ26、メモリコントローラ27、及びブリッジコントローラ28は、一つの電子部品としてのコントローラ24に含まれても良い。また、例えば、複数の電子部品及び配線とプログラムとが、無線通信コントローラ26、メモリコントローラ27、及びブリッジコントローラ28のそれぞれを構成しても良い。すなわち、無線通信コントローラ26、メモリコントローラ27、及びブリッジコントローラ28はそれぞれ、一つの電気的要素、複数の電気的要素、又は一つ若しくは複数の電気的要素及びプログラムによって構成されても良い。
【0015】
無線通信コントローラ26は、メモリカード11と無線通信ホスト装置13との間の通信を制御する。無線通信コントローラ26は、記憶部26aを有する。メモリコントローラ27は、フラッシュメモリ25へのデータの書き込み及び読み出しを制御する。
【0016】
ブリッジコントローラ28は、無線通信コントローラ26及びメモリコントローラ27を制御する。さらに、ブリッジコントローラ28は、メモリカード11とホスト装置12との通信を制御する。
【0017】
メモリカード11がホスト装置12に電気的に接続されると、メモリカード11は、当該ホスト装置12から供給される電力によって動作する。例えば、メモリカード11は、ホスト装置12によってデータを書き込まれ、又はホスト装置12によってデータを読み出される。
【0018】
メモリカード11は、ホスト装置12のような他の装置に接続されておらず、且つ当該他の装置から電力を供給されていない状態で、無線通信ホスト装置13とデータを送受信することができる。例えば、メモリカード11は、電磁誘導に基づき無線アンテナ23が生じさせる誘導起電力によって、無線通信ホスト装置13とデータを送受信することができる。メモリカード11は、例えば、約13.56MHzの周波数でNFC規格に準拠した通信を行い、無線通信ホスト装置13との間でデータの送受信を行う。このように、メモリカード11は、ホスト装置12から電力の供給を受けることなく動作可能である。
【0019】
本実施形態のメモリカード11は、SDインターフェースに従ってホスト装置12との間でデータを送受信する。メモリカード11は、他のインターフェースを用いてホスト装置12との間でデータを送受信しても良い。メモリカード11は、NFCインターフェースに沿って無線通信ホスト装置13との間でデータを送受信する。メモリカード11は、他の無線通信インターフェースを用いて無線通信ホスト装置13との間でデータを送受信しても良い。なお、ホスト装置12と無線通信ホスト装置13は、同一の装置であっても良い。
【0020】
図3は、第1の実施形態のメモリカード11を図1のF3−F3線に沿って概略的に示す例示的な断面図である。図3に示すように、メモリカード11は、基板31と、中間アンテナ32と、カバー33とをさらに有する。中間アンテナ32は、第1のループアンテナの一例であり、例えば、コイル、又はブーストコイルとも称され得る。
【0021】
基板31は、例えば、プリント回路板(PCB)である。本実施形態において、基板31は、例えば複数の層を有する。なお、基板31はこの例に限られない。基板31は、第1の面31aと、第2の面31bとを有する。
【0022】
第1の面31aは、Z軸の負方向(Z軸の矢印の反対方向)に向く略平坦な面である。第2の面31bは、第1の面31aの反対側に位置し、Z軸の正方向(Z軸の矢印が示す方向)に向く略平坦な面である。
【0023】
図1に示すように、メモリカード11及び基板31はそれぞれ、Y軸方向に延びる略矩形状に形成される。基板31は、第1の縁31cと、第2の縁31dと、第3の縁31eと、第4の縁31fとをさらに有する。
【0024】
第1の縁31c及び第2の縁31dはそれぞれ、X軸方向に延びる。第1の縁31cは、第2の縁31dに対してY軸の正方向(Y軸の矢印が示す方向)に離間している。第3の縁31eは、Y軸方向に延びる。第4の縁31fは、大よそY軸方向に延びる。第4の縁31fは、切欠きや突起を形成する。
【0025】
第1の縁31c及び第2の縁31dはそれぞれ、第3の縁31e及び第4の縁31fのそれぞれよりも短い。このため、第1の縁31c及び第2の縁31dは、略矩形の基板31の短辺を形成する。第3の縁31e及び第4の縁31fは、略矩形の基板31の長辺を形成する。
【0026】
基板31に、複数のI/F端子22及び中間アンテナ32が設けられる。複数のI/F端子22は、第1の面31aに設けられ、第1の縁31cに隣接し、第1の縁31cに沿って並ぶ。本実施形態のI/F端子22は、SDインターフェース端子であり、ホスト装置12に対する電気的な接続を確保する。言い換えると、I/F端子22は、ホスト装置12と電気的に接続可能である。
【0027】
基板31に、無線アンテナ23、コントローラ24、及びフラッシュメモリ25が実装される。フラッシュメモリ25は、第2の面31bの上に配置される。無線通信コントローラ26、メモリコントローラ27、及びブリッジコントローラ28は、フラッシュメモリ25の上に配置されて、例えばワイヤボンディングにより第2の面31bのパッドに電気的に接続される。なお、無線通信コントローラ26、メモリコントローラ27、及びブリッジコントローラ28の実装は、この例に限られない。
【0028】
カバー33は、例えば、非磁性体且つ絶縁体である合成樹脂によって作られる、いわゆるモールド樹脂である。カバー33は、他の材料によって作られても良い。カバー33は、基板31の第1の面31a及び第2の面31b、無線アンテナ23、コントローラ24、及びフラッシュメモリ25を覆い、メモリカード11の外面を形成する。
【0029】
図3に示すように、カバー33も、メモリカード11及び基板31と同じく、Y軸方向に延びる略矩形状に形成される。カバー33は、第1の外面33aと、第2の外面33bと、第1の縁33cと、第2の縁33dとを有する。第1の外面33aは、外面の一例である。第1の外面33a及び第2の外面33bはそれぞれ、メモリカード11の外部に露出されており、メモリカード11の外面の一部である。
【0030】
第1の外面33aは、Z軸の負方向に向く略平坦な面である。第2の外面33bは、第1の外面33aの反対側に位置し、Z軸の正方向に向く略平坦な面である。第1の縁33c及び第2の縁33dは、略矩形のカバー33の短辺を形成し、X軸方向に延びる。第1の縁33cは、第2の縁33dに対してY軸の正方向に離間している。カバー33の第1の縁33c及び第2の縁33dは、基板31の第1の縁31c及び第2の縁31dに重なる。なお、第1の縁33c及び第2の縁33dはこの例に限られない。
【0031】
複数のI/F端子22は、カバー33に覆われず、第1の外面33aで露出される。複数のI/F端子22は、カバー33の第1の縁33cに隣接し、第1の縁33cに沿って並ぶ。また、第2の外面33bに、例えばメモリカード11の容量を示す画像が印刷される。
【0032】
本実施形態において、無線アンテナ23は、螺旋状に巻かれてX軸方向に延びるコイルを有する、ループアンテナである。無線アンテナ23は、磁性体41の周りに巻かれる。磁性体41は、X軸方向に延びる略直方体状に形成される。なお、磁性体41は、円柱状のような他の形状に形成されても良い。また、磁性体41が省略されても良い。
【0033】
螺旋状の無線アンテナ23の中心Ax1は、X軸方向に延びる。X軸方向における無線アンテナ23の長さは、Y軸方向における無線アンテナ23の長さよりも長く、且つZ軸方向における無線アンテナ23の長さよりも長い。なお、無線アンテナ23の寸法はこの例に限られない。また、無線アンテナ23の中心Ax1が延びる方向は、局所的に変化しても良い。
【0034】
無線アンテナ23は、いわゆるチップアンテナであり、基板31の第2の面31bに表面実装により取り付けられる。図1に示すように、無線アンテナ23は、基板31の第2の縁31d及びカバー33の第2の縁33dに隣接し、第2の縁31d,33dに沿って延びる。このため、無線アンテナ23は、複数のI/F端子22からY軸の負方向(Y軸の矢印の反対方向)に離間している。
【0035】
図2に示すように、無線アンテナ23は、無線通信コントローラ26に電気的に接続される。磁束が無線アンテナ23の内部を通過することによる電磁誘導に基づき、無線アンテナ23は誘導起電力を無線通信コントローラ26に供給する。このように、無線アンテナ23は、電磁誘導に基づいて外部の装置との間で通信を行う。
【0036】
図1に示すように、本実施形態において、中間アンテナ32は、基板31の一つの層に設けられた導体パターン45により形成される。導体パターン45は、銅のような導体によって作られ、基板31において、例えば、パッド、配線、ビア、及びグランドプレーンを形成する。なお、中間アンテナ32は、ワイヤのような他の材料によって作られても良い。
【0037】
中間アンテナ32は、渦巻状の導体パターン45により形成されたループアンテナである。中間アンテナ32は、略四角形の環状に形成される。なお、中間アンテナ32は、円環状のような他の形状に形成されても良い。
【0038】
図3に示すように、中間アンテナ32は、基板31の中間の層に設けられ、第1の面31aと第2の面31bとの間に位置する。このため、中間アンテナ32は、無線アンテナ23と、第1の外面33aとの間に位置する。中間アンテナ32は、例えば、基板31の絶縁層を介して、無線アンテナ23から離間している。
【0039】
図1に示すように、中間アンテナ32は、第2の縁31d及び第3の縁31eに隣接する。中間アンテナ32の一部と無線アンテナ23の一部とは、Z軸方向に重ねられる。なお、中間アンテナ32と無線アンテナ23との位置はこの例に限られない。
【0040】
渦巻状の中間アンテナ32の中心Ax2は、Z軸方向に延びる。このため、無線アンテナ23の中心Ax1が延びる方向(X軸方向)は、中間アンテナ32の中心Ax2が延びる方向(Z軸方向)と交差する。無線アンテナ23の中心Ax1が延びる方向と中間アンテナ32の中心Ax2が延びる方向とは、本実施形態では直交するが、90°より小さい角度で交差しても良い。
【0041】
中心Ax2が延びる方向(Z軸方向)と直交する中間アンテナ32の内側の断面は、中心Ax1が延びる方向(X軸方向)と直交する無線アンテナ23の内側の断面よりも大きい。言い換えると、X−Y平面における中間アンテナ32の内側の断面は、Y−Z平面における無線アンテナ23の内側の断面よりも大きい。中間アンテナ32の内側の断面は、渦巻状の導体パターン45に囲まれた領域である。無線アンテナ23の内側の断面は、螺旋状の無線アンテナ23に囲まれた領域である。
【0042】
図1のようにZ軸方向に見た平面視において、無線アンテナ23は、中間アンテナ32と交差する。また、Z軸方向に見た平面視において、X軸方向における無線アンテナ23の一方の端部23aは、中間アンテナ32の外縁32aの内側に位置する。端部23aは、第1の端部の一例である。外縁32aは、渦巻状に巻かれた無線アンテナ23の最も外側の線により形成される。
【0043】
X軸方向における無線アンテナ23の他方の端部23bは、中間アンテナ32の外縁32aの外側に位置する。端部23bは、第2の端部の一例であり、端部23aの反対側に位置する。なお、無線アンテナ23の二つの端部23a,23bがともに中間アンテナ32の外縁32aの外側に位置しても良い。
【0044】
無線アンテナ23の一方の端部23aは、基板31の第4の縁31fよりも第3の縁31eに近い。無線アンテナ23の他方の端部23bは、第3の縁31eよりも第4の縁31fに近い。X軸方向において、無線アンテナ23の一方の端部23aと第3の縁31eとの間の距離は、他方の端部23bと第4の縁31fとの間の距離よりも長い。
【0045】
図2に示すように、中間アンテナ32は、I/F端子22、無線アンテナ23、コントローラ24、及びフラッシュメモリ25を含む回路C1から、電気的に分離されている。言い換えると、中間アンテナ32は、無線アンテナ23から電気的に独立する。
【0046】
中間アンテナ32の端子は、コンデンサ49に接続される。これにより、中間アンテナ32は、回路C1から独立した共振回路C2を形成する。なお、中間アンテナ32はこの例に限られない。例えば、中間アンテナ32を形成し、又は中間アンテナ32に接続される導体パターン45が、基板31の複数の層に設けられることで、複数の層の導体パターン45の間に静電容量が形成されても良い。コンデンサ49に限らず、このような導体パターン45により形成される静電容量や、他の静電容量が、中間アンテナ32と共に共振回路C2を形成し得る。
【0047】
中間アンテナ32の内部を磁束が通過することで、中間アンテナ32に電磁誘導が生じ、中間アンテナ32に電流が流れる。中間アンテナ32に電流が流れることで、中間アンテナ32は、当該中間アンテナ32の内部を通過する磁束を発生させる。
【0048】
NFCが適用される本実施形態のメモリカード11において、中間アンテナ32の共振周波数は、10MHz以上且つ20MHz以下に設定される。例えば、中間アンテナ32の共振周波数は、約13.56MHzに設定される。中間アンテナ32の共振周波数は、例えば、コンデンサ49により調整される。
【0049】
以上説明されたメモリカード11において、図2の無線アンテナ23は、無線通信ホスト装置13から発信された電波を受けると、電磁誘導に基づき電流又は電圧を発生させる。無線アンテナ23は、発生した電力を、無線通信コントローラ26に供給する。
【0050】
本実施形態の無線アンテナ23は、NFCに対応する所定の周波数又は周波数帯に対応して設定される。例えば、無線アンテナ23の共振周波数は、約13.56MHzに設定される。
【0051】
無線アンテナ23は、無線通信ホスト装置13から受けたデータを、無線通信コントローラ26に送る。さらに、無線アンテナ23は、無線通信コントローラ26から受けたデータを、無線通信ホスト装置13に送る。
【0052】
無線通信コントローラ26は、無線アンテナ23を介して無線通信ホスト装置13と通信可能である。無線通信コントローラ26は、無線通信ホスト装置13に対する無線アンテナ23を用いたNFCを制御する。
【0053】
無線通信コントローラ26は、上述の電磁誘導に基づき無線アンテナ23で発生した電力により動作可能である。無線通信コントローラ26は、無線通信ホスト装置13からの電波に基づいて無線アンテナ23で発生した電流又は電圧で表される信号又はデータを受け、当該信号又はデータに応じて動作する。例えば、無線通信コントローラ26は、動作時に、無線通信ホスト装置13から無線アンテナ23を介してNFCに対応する所定の周波数でデータを受け、データを記憶部26aに書き込む。また、無線通信コントローラ26は、動作時に、記憶部26aに書き込まれているデータを読み出し、無線アンテナ23を介して、当該データを無線通信ホスト装置13へ送る。より具体的には、無線通信コントローラ26は、無線アンテナ23を介してNFCに対応する所定の周波数の信号を受信すると、NFCによる通信をすることができる。
【0054】
ブリッジコントローラ28は、I/F端子22を介してホスト装置12と通信可能である。フラッシュメモリ25に対する書き込み時に、ブリッジコントローラ28は、ホスト装置12からI/F端子22を介して受信したデータを、メモリコントローラ27へ送る。フラッシュメモリ25に対する読み出し時に、ブリッジコントローラ28は、メモリコントローラ27から受信したデータを、I/F端子22を介してホスト装置12へ送る。
【0055】
例えばメモリカード11がホスト装置12に電気的に接続されている場合、無線通信コントローラ26に十分な電力が供給される。この場合、無線通信コントローラ26は、無線通信ホスト装置13から無線アンテナ23を介してNFCにより受信されたデータを、ブリッジコントローラ28及びメモリコントローラ27を介して、フラッシュメモリ25に書き込んでも良い。
【0056】
無線通信コントローラ26に十分な電力が供給される場合、無線通信コントローラ26は、フラッシュメモリ25に書き込まれているデータを、ブリッジコントローラ28及びメモリコントローラ27を介して読み出して、データを生成し、当該データを記憶部26aに書き込んでも良い。
【0057】
無線通信コントローラ26に十分な電力が供給される場合、無線通信コントローラ26は、フラッシュメモリ25に書き込まれているデータの一部又は全部を、ブリッジコントローラ28及びメモリコントローラ27を介して読み出し、読み出されたデータを、無線アンテナ23を介して無線通信ホスト装置13に送信しても良い。
【0058】
記憶部26aは、無線アンテナ23で発生した電力により動作可能な低電力消費メモリである。記憶部26aに対するデータの書き込み及び読み出しの消費電力は、フラッシュメモリ25に対するデータの書き込み及び読み出しの消費電力よりも少ない。
【0059】
記憶部26aは、例えば、不揮発性メモリである。記憶部26aは、無線通信コントローラ26による制御に基づいてデータを記憶する。なお、記憶部26aは、データを一時的に記憶するメモリであっても良い。記憶部26aは、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read‐Only Memory)である。記憶部26aは、他のメモリであっても良い。
【0060】
上述のように、無線通信コントローラ26及び記憶部26aは、無線通信ホスト装置13からの電波によって無線アンテナ23に誘起される電力により動作可能である。しかし、無線通信コントローラ26及び記憶部26aは、メモリカード11がホスト装置12から電力を供給されている場合に、ホスト装置12から供給される電力により動作しても良い。
【0061】
フラッシュメモリ25は、例えばNAND型フラッシュメモリである。なお、メモリカード11は、フラッシュメモリ25の代わりに、NOR型フラッシュメモリ、磁気抵抗メモリ(Magnetoresistive Random Access Memory:MRAM)、相変化メモリ(Phase change Random Access Memory:PRAM)、抵抗変化型メモリ(Resistive Random Access Memory:ReRAM)、又は強誘電体メモリ(Ferroelectric Random Access Memory:FeRAM)のような他の不揮発性メモリを有しても良い。
【0062】
メモリコントローラ27は、フラッシュメモリ25へのデータの書き込み及び読み出しを制御する。より具体的には、メモリコントローラ27は、ホスト装置12から、I/F端子22及びブリッジコントローラ28を介して書き込み命令及びデータを受けた場合に、当該データをフラッシュメモリ25に書き込む。メモリコントローラ27は、ホスト装置12から、I/F端子22及びブリッジコントローラ28を介して読み出し命令を受けた場合に、フラッシュメモリ25からデータを読み出し、当該データをブリッジコントローラ28及びI/F端子22を介してホスト装置12へ送る。
【0063】
例えばメモリカード11がホスト装置12に電気的に接続されている場合、メモリコントローラ27に十分な電力が供給される。この場合、メモリコントローラ27は、無線通信ホスト装置13から無線アンテナ23、無線通信コントローラ26、及びブリッジコントローラ28を介して受けたデータを、フラッシュメモリ25に書き込んでも良い。メモリコントローラ27に十分な電力が供給される場合、メモリコントローラ27は、フラッシュメモリ25から読み出したデータを、ブリッジコントローラ28、無線通信コントローラ26、及び無線アンテナ23を介して、無線通信ホスト装置13へ送信しても良い。
【0064】
フラッシュメモリ25及びメモリコントローラ27は、ホスト装置12から供給された電力によって動作する。
【0065】
上述のデータは、例えば、NFCインターフェースに従って無線通信ホスト装置13とメモリカード11との間で送信及び受信されるデータでも良く、フラッシュメモリ25に書き込まれるデータの特徴データでも良く、無線通信ホスト装置13から無線アンテナ23を介して無線通信コントローラ26に受信された特徴データでも良く、フラッシュメモリ25に関する特徴データでも良く、メモリカード11に関する特徴データでも良い。より具体的に説明すると、データは、例えば、フラッシュメモリ25に書き込まれる画像データのうちの一部(例えば最初又は最後)のデータ、サムネイルデータ、フラッシュメモリ25に書き込まれるデータの管理情報、フラッシュメモリ25のメモリ容量、フラッシュメモリ25の残り容量、フラッシュメモリ25に書き込まれたファイルの名称、データの生成時間、データが画像データの場合は撮影時間データ、フラッシュメモリ25に書き込まれているファイル数であっても良い。
【0066】
本実施形態において、ホスト装置12からの書き込み指示及びデータが、まず、ブリッジコントローラ28に受信され、その後、メモリコントローラ27に受信される。これは、まず、ブリッジコントローラ28が、書き込み指示及びデータをホスト装置12から受信したか、又は、無線通信ホスト装置13から受信したかを判断し、この判断結果に応じて動作を切り替えるためである。
【0067】
本実施形態において、例えば、メモリカード11と無線通信ホスト装置13とは、フラッシュメモリ25に対するデータの書き込み及び読み込みの許可又は禁止に係るデータ(以下、ロック機能のデータと称する)を送受信する。記憶部26aに、ロック機能のデータが記憶される。なお、メモリカード11及び記憶部26aは、この例に限られない。
【0068】
無線通信コントローラ26は、無線通信ホスト装置13から受信したデータに基づき、ロック機能のデータを記憶部26aに書き込む。ブリッジコントローラ28は、ホスト装置12からデータを受信した際に、記憶部26aに記憶されたロック機能のデータを参照する。ブリッジコントローラ28は、フラッシュメモリ25に対するデータの書き込み及び読み込みが禁止されている場合、メモリコントローラ27との間のデータの送受信を行わない。ブリッジコントローラ28は、フラッシュメモリ25に対するデータの書き込み及び読み込みが許可されている場合、上述のようにメモリコントローラ27との間のデータの送受信を行う。
【0069】
以下、無線アンテナ23の電磁誘導について詳しく説明する。図4は、第1の実施形態のメモリカード11及び無線通信ホスト装置13を概略的に示す例示的な斜視図である。図4に示すように、無線通信ホスト装置13は、アンテナ13aを有する。アンテナ13aは、例えば、一次コイルとも称され得る。
【0070】
アンテナ13aは、例えば、渦巻状のループアンテナである。アンテナ13aは、大よそ四角形の環状に形成される。なお、アンテナ13aは、円環状のような他の形状に形成されても良い。アンテナ13aの内側の断面は、中間アンテナ32の内側の断面よりも大きい。なお、アンテナ13aの大きさはこの例に限られない。
【0071】
アンテナ13aは、例えば、電波を発信することで、約13.56MHzの周波数を有する第1の磁界M1を生じさせる。なお、無線通信ホスト装置13のアンテナ13aは、第1の磁界M1のみを生じても良い。図4及び図3は、第1の磁界M1の磁束を矢印で模式的に示す。通常、第1の磁界M1の磁束は、アンテナ13aの内部を通過し、アンテナ13aから略放射状に拡がる。
【0072】
無線通信ホスト装置13と無線通信を行う場合、メモリカード11は、アンテナ13aの中心が延びる方向と中間アンテナ32の中心Ax2が延びる方向とが略平行になるように、アンテナ13aの上方に配置される。例えば、メモリカード11は、アンテナ13aに対して、図4の第1の位置P1や第2の位置P2に配置される。
【0073】
Z軸方向から平面視した場合、第1の位置P1におけるメモリカード11の無線アンテナ23は、アンテナ13aと交差する。この場合、第1の磁界M1の磁束が無線アンテナ23の内部を通過することができる。
【0074】
第1の磁界M1の磁束が無線アンテナ23の内部を通過することによる電磁誘導に基づき、無線アンテナ23が誘導起電力を発生させる。無線通信コントローラ26は、無線アンテナ23に生じた誘導起電力に基づいて動作し、無線アンテナ23を介して無線通信ホスト装置13との通信を行う。
【0075】
一方、Z軸方向から平面視した場合、第2の位置P2におけるメモリカード11の無線アンテナ23は、アンテナ13aと平行に延びる。この場合、無線アンテナ23の中心Ax1が第1の磁界M1の磁束と直交し、第1の磁界M1の磁束が無線アンテナ23の内部を通過し難い。第1の磁界M1の磁束により無線アンテナ23に電磁誘導が生じたとしても、誘導起電力が無線通信コントローラ26の動作のためには不十分となることがある。
【0076】
無線アンテナ23は、X軸方向に長く巻かれている。このため、無線アンテナ23は、例えば中間アンテナ32よりも指向性が強く、第1の磁界M1の磁束が内部を通過し難い。また、無線アンテナ23は、基板31の上における専有面積が小さい。
【0077】
図3に示すように、第1の磁界M1の磁束は、中間アンテナ32の内部を通過できる。さらに、中間アンテナ32は、共振によって、第1の磁界M1の磁束を集めることができる。中間アンテナ32の内部を通過する第1の磁界M1の磁束により、中間アンテナ32に電磁誘導が生じる。
【0078】
電磁誘導に基づいて中間アンテナ32に電流が流れると、中間アンテナ32が第2の磁界M2を生じさせる。図3は、第2の磁界M2の磁束を矢印で模式的に示す。第2の磁界M2の磁束は、中間アンテナ32の内部を通過し、中間アンテナ32から略放射状に拡がる。
【0079】
Z軸方向から平面視した場合、無線アンテナ23は、中間アンテナ32と交差する。このため、第2の磁界M2の磁束は、無線アンテナ23の内部を通過することができる。第2の磁界M2の磁束が無線アンテナ23の内部を通過することによる電磁誘導に基づき、無線アンテナ23が誘導起電力を発生させる。すなわち、中間アンテナ32に電磁誘導が生じると、無線アンテナ23に連鎖的に電磁誘導が生じる。無線通信コントローラ26は、無線アンテナ23に生じた誘導起電力に基づいて動作し、無線アンテナ23を介して無線通信ホスト装置13との通信を行う。
【0080】
さらに、第1の磁界M1の磁束は、共振によって、中間アンテナ32の内部を通過し、中間アンテナ32から放射状に拡がるように方向を変える。方向を変えられた第1の磁界M1の磁束は、無線アンテナ23の内部を通過することができる。このため、無線アンテナ23の内部における磁束密度が増大し、無線アンテナ23における誘導起電力が増大し得る。
【0081】
以上のように、無線アンテナ23は、無線通信ホスト装置13のアンテナ13aとの間で直接的に電波や磁界を送受信することができるとともに、アンテナ13aとの間で中間アンテナ32を介して間接的に電波や磁界を送受信することもできる。すなわち、メモリカード11は、無線アンテナ23で電磁誘導が生じる位置に加え、中間アンテナ32で電磁誘導が生じる位置において、無線通信ホスト装置13との間で通信を行うことができる。
【0082】
メモリカード11は、例えば、ホスト装置12のコネクタに収容された状態で、他の無線通信ホスト装置13との間で通信を行う場合がある。この場合、中間アンテナ32がホスト装置12やコネクタの金属筐体により覆われるため、第1の磁界M1の磁束が中間アンテナ32の内部を通過し難い。しかし、無線アンテナ23は、コネクタの開口端の近傍に位置する。このため、第1の磁界M1の磁束が無線アンテナ23の内部を通過でき、メモリカード11が無線通信ホスト装置13との間で通信を行うことができる。
【0083】
例えばメモリカード11がホスト装置12に電気的に接続され、無線通信コントローラ26に十分な電力が供給される場合、無線通信コントローラ26がリーダ/ライタとして機能しても良い。この場合、無線通信コントローラ26は、信号又はデータを表す電流又は電圧を無線アンテナ23に供給する。これにより、無線アンテナ23は、例えば、電波を発信することで、第3の磁界M3を生じさせる。
【0084】
中間アンテナ32は、第3の磁界M3による電磁誘導に基づいて、第2の磁界M2を生じさせる。第2の磁界M2によりアンテナ13aに電磁誘導が生じると、無線通信ホスト装置13は、アンテナ13aで発生した電流又は電圧で表される信号又はデータを受け、当該信号又はデータに応じて動作する。
【0085】
以上説明された第1の実施形態に係るメモリカード11において、中間アンテナ32は、第1の磁界M1による電磁誘導に基づいて第2の磁界M2を生じさせる。無線アンテナ23は、第2の磁界M2による電磁誘導に基づいて誘導起電力を発生させる。コントローラ24の無線通信コントローラ26は、無線アンテナ23に生じた誘導起電力に基づいて動作可能であり、無線アンテナ23を介して、無線通信ホスト装置13との通信を行う。すなわち、中間アンテナ32が、第1の磁界M1を、無線アンテナ23の電磁誘導に適した第2の磁界M2に変換する。本実施形態では、中間アンテナ32が、互いに向きが異なる第1の磁界M1と第2の磁界M2との間の変換を行う。これにより、中間アンテナ32を欠く場合に比べ、メモリカード11の通信範囲を拡大できる。
【0086】
第2のループアンテナは、第1の磁界M1による電磁誘導に基づいて誘導起電力を発生させることが可能である。すなわち、無線通信コントローラ26は、第1の磁界M1の磁束が無線アンテナ23の内部を直接通過する場合と、第1の磁界M1の磁束が中間アンテナ32の内部を通過することで当該中間アンテナ32が第2の磁界M2を発生させ、当該第2の磁界M2の磁束が無線アンテナ23の内部を通過した場合と、の両方で無線通信ホスト装置13と通信可能である。これにより、中間アンテナ32を欠く場合に比べ、メモリカード11の通信範囲を拡大できる。
【0087】
第1の位置P1のように、無線アンテナ23の中心Ax1が延びる方向がアンテナ13aの線と平行に延び、無線アンテナ23の中心Ax1が延びる方向が第1の磁界M1の磁束の向きと直交する場合、磁束が無線アンテナ23の内部を通過し難く、無線アンテナ23に電磁誘導が生じにくい。本実施形態では、中間アンテナ32の中心Ax2が延びる方向は、無線アンテナ23の中心Ax1が延びる方向と交差する。これにより、中間アンテナ32と無線アンテナ23とのうち少なくとも一方の内部を第1の磁界M1の磁束が通過でき、中間アンテナ32と無線アンテナ23とのうち少なくとも一方に電磁誘導が生じる。これにより、より確実にコントローラ24が無線通信ホスト装置13と通信可能となり、メモリカード11の通信範囲を拡大できる。
【0088】
中間アンテナ32の中心Ax2が延びる方向に見た平面視において、無線アンテナ23の一方の端部23aは、中間アンテナ32の外縁32aの内側に位置する。これにより、中間アンテナ32の内部を通過する第2の磁界M2の磁束が、無線アンテナ23の一方の端部23aから当該無線アンテナ23の内部に入りやすくなり、無線アンテナ23に電磁誘導が生じやすくなる。また、無線アンテナ23により生じる第3の磁界M3の磁束が、中間アンテナ32の内部に入りやすくなる。従って、より確実にコントローラ24が無線通信ホスト装置13と通信可能となり、メモリカード11の通信範囲を拡大できる。
【0089】
中間アンテナ32の中心Ax2が延びる方向と直交する当該中間アンテナ32の内側の断面は、無線アンテナ23の中心Ax1が延びる方向と直交する当該無線アンテナ23の内側の断面よりも大きい。これにより、中間アンテナ32の内部を第1の磁界M1の磁束が通過しやすくなり、中間アンテナ32に電磁誘導が生じやすくなる。従って、より確実にコントローラ24が無線通信ホスト装置13と通信可能となり、メモリカード11の通信範囲を拡大できる。
【0090】
中間アンテナ32と無線アンテナ23とは、互いに電気的に分離している。これにより、例えば、中間アンテナ32が導電体に覆われていたとしても、無線アンテナ23の内部を第1の磁界M1の磁束が通過すれば、コントローラ24が無線通信ホスト装置13と通信可能となる。従って、メモリカード11の通信範囲の減少が抑制される。
【0091】
中間アンテナ32は、無線アンテナ23と、複数のI/F端子22が露出される第1の外面33aと、の間に位置する。microSDカードであるメモリカード11は、一般的に、I/F端子22が設けられた第1の外面33aが、下方向のようなユーザから遠い方向に向くように扱われる。このため、ユーザは、第1の外面33aが無線通信ホスト装置13に向くように、メモリカード11を扱うと考えられる。このような扱いにより、中間アンテナ32は、無線アンテナ23と、無線通信ホスト装置13との間に配置される。無線通信ホスト装置13により生じさせられた第1の磁界M1の磁束は、例えば共振により、中間アンテナ32の内部を通過し、中間アンテナ32から放射状に拡がるように方向を変える。方向を変えられた第1の磁界M1の磁束と、中間アンテナ32が生じさせた第2の磁界M2の磁束とが無線アンテナ23の内部を通過することで、無線アンテナ23に電磁誘導が生じ、コントローラ24が無線通信ホスト装置13と通信可能となる。このように、中間アンテナ32が第1の磁界M1の磁束の方向を変えるため、無線アンテナ23の内部における磁束密度が増大し、無線アンテナ23がより確実に電磁誘導を生じることができる。従って、より確実にコントローラ24が無線通信ホスト装置13と通信可能となり、メモリカード11の通信範囲を拡大できる。
【0092】
基板31に設けられた導体パターン45が、中間アンテナ32を形成する。これにより、部品点数の増加無しに中間アンテナ32を設けることができ、メモリカード11のコストの増加が抑制される。
【0093】
無線アンテナ23は、基板31に実装される。これにより、例えば、無線アンテナ23を、当該無線アンテナ23の中心Ax1が延びる方向と中間アンテナ32の中心Ax2が延びる方向とが互いに交差するように配置することが容易になる。
【0094】
中間アンテナ32の共振周波数は、10MHz以上且つ20MHz以下である。NFC規格に準拠した磁界の周波数は、13.56MHzである。このため、中間アンテナ32は、NFC規格に準拠した周波数(13.56MHz)を有する第1の磁界M1に共振するため、当該第1の磁界M1の磁束を集めやすい。従って、第1の磁界M1により中間アンテナ32が第2の磁界M2を生じやすくなり、より確実にコントローラ24が無線通信ホスト装置13と通信可能となり、メモリカード11の通信範囲を拡大できる。
【0095】
Z軸方向に見た平面視において、中間アンテナ32の内側に、ボンディングパッドのような導体が存在しても良い。導体が存在しても、第1の磁界M1の磁束が中間アンテナ32の内部を通過することで、中間アンテナ32に電磁誘導が生じる。
【0096】
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態について、図5を参照して説明する。なお、以下の複数の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
【0097】
図5は、第2の実施形態に係るメモリカード11を概略的に示す例示的な斜視図である。図5に示すように、第2の実施形態において、メモリカード11はフィルム51をさらに有する。フィルム51は、例えば、シールとも称され得る。
【0098】
フィルム51は、例えば、合成樹脂によって作られるが、紙のような他の材料によって作られても良い。第2の実施形態において、中間アンテナ32は、フィルム51に設けられる。さらに、図2のコンデンサ49もフィルム51に設けられ、中間アンテナ32の端子に接続される。
【0099】
フィルム51は、例えば、当該フィルム51に塗布された接着剤により、カバー33の第1の外面33aに貼り付けられる。なお、フィルム51は、両面テープのような他の手段により第1の外面33aに貼り付けられても良い。
【0100】
以上説明された第2の実施形態のメモリカード11において、中間アンテナ32が設けられたフィルム51が、I/F端子22が露出された第1の外面33aに貼り付けられる。これにより、中間アンテナ32を容易に設けることができる。さらに、中間アンテナ32と無線アンテナ23との間に適切な距離を設けやすくなり、中間アンテナ32が生じた第2の磁界M2の磁束が無線アンテナ23の内部を通過しやすくなる。これにより、より確実にコントローラ24が無線通信ホスト装置13と通信可能となり、半導体記憶装置の通信範囲を拡大できる。
【0101】
(第3の実施形態)
以下に、第3の実施形態について、図6を参照して説明する。図6は、第3の実施形態に係る中間アンテナ32を模式的に示す例示的な斜視図である。図6に示すように、中間アンテナ32は、複数の第1の部分61と、複数の第2の部分62と、複数の第3の部分63とを有する。
【0102】
第1の部分61は、基板31の第1の層65に設けられた導体パターン45によって形成される。第2の部分62は、基板31の第2の層66に設けられた導体パターン45によって形成される。第3の部分63は、基板31の第3の層67に設けられた導体パターン45によって形成される。
【0103】
第2の層66は、第1の層65と第3の層67との間に位置する。なお、第1の層65と第2の層66との間や、第2の層66と第3の層67との間に、他の層が介在しても良い。複数の第2の部分62はそれぞれ、第1の部分61及び第3の部分63と、ビア68によって電気的に接続される。
【0104】
ビア68によって互いに接続された複数の第1の部分61、複数の第2の部分62、及び複数の第3の部分63は、直列に接続された複数のコイル69を形成する。言い換えると、中間アンテナ32は、複数のコイル69を含む。複数のコイル69は、X−Y平面上にマトリクス状に配置される。なお、複数のコイル69の配置は、この例に限られない。
【0105】
複数のコイル69はそれぞれ、第1の部分61、第2の部分62、及び第3の部分63によって形成される。第1の部分61、第2の部分62、及び第3の部分63が基板31の第1の層65、第2の層66、及び第3の層67に設けられることで、コイル69は螺旋状に形成される。なお、複数のコイル69は、渦巻状に形成されても良い。
【0106】
第1の磁界M1の磁束が、複数のコイル69のいずれか一つの内部を通過すると、複数のコイル69を含む中間アンテナ32に電磁誘導が生じる。これにより、複数のコイル69が第2の磁界M2を生じさせる。
【0107】
以上説明された第3の実施形態のメモリカード11において、無線アンテナ23は、直列に接続された複数のコイル69を含む。これにより、大きな一つのコイルからなる無線アンテナ23が基板31の中間層に設けられる場合に比べ、無線アンテナ23の内部の空間が小さくなる。このため、無線アンテナ23の内部において、基板31に気泡が生じることが抑制され、メモリカード11の歩留まりが低下することが抑制される。
【0108】
(第4の実施形態)
以下に、第4の実施形態について、図7を参照して説明する。図7は、第4の実施形態に係るメモリカード11を概略的に示す例示的な平面図である。図7に示すように、第4の実施形態のメモリカード11は、二つの中間アンテナ32を有する。二つの中間アンテナ32は、互いに電気的に分離している。二つの中間アンテナ32はそれぞれ別の共振回路C2を形成する。
【0109】
Z軸方向に見た平面視において、無線アンテナ23の一方の端部23aは、一方の中間アンテナ32の外縁32aの内側に位置する。無線アンテナ23の他方の端部23bは、他方の中間アンテナ32の外縁32aの内側に位置する。
【0110】
以上説明された第4の実施形態のメモリカード11は、互いに電気的に分離した二つの中間アンテナ32を有する。Z軸方向に見た平面視において、無線アンテナ23の一方の端部23aは一方の中間アンテナ32の外縁32aの内側に位置し、他方の端部23bは他方の中間アンテナ32の外縁32aの内側に位置する。これにより、二つの中間アンテナ32のうち一方の内部を第1の磁界M1の磁束が通過すれば、無線アンテナ23の内部に電磁誘導が生じ得る。これにより、メモリカード11の通信範囲を拡大できる。
【0111】
(第5の実施形態)
以下に、第5の実施形態について、図8を参照して説明する。図8は、第5の実施形態に係る基板31の中間アンテナ32が設けられた層を概略的に示す例示的な平面図である。図8では、無線アンテナ23が二点鎖線で示される。
【0112】
図8に示すように、第5の実施形態の中間アンテナ32は、第1の実施形態の中間アンテナ32よりも大きく設計される。例えば、X軸方向における中間アンテナ32の長さは、X軸方向における無線アンテナ23の長さよりも長い。中間アンテナ32がより大きく設計されることで、中間アンテナ32の内側の断面がより大きくなり、中間アンテナ32のインダクタンスが増大する。これにより、メモリカード11の通信範囲を拡大できる。
【0113】
中間アンテナ32は、導体パターン45により形成された導線71を有する。導線71は、第1の延部71aと、第2の延部71bと、第3の延部71cと、第4の延部71dとを有する。第1の延部71aは、導線の一部、の一例である。
【0114】
第1の延部71aは、基板31の第2の縁31d及びカバー33の第2の縁33dに隣接し、第2の縁31d,33dに沿ってX軸方向に延びる。第2の延部71bは、第1の延部71aからY軸の正方向に離間し、X軸方向に延びる。
【0115】
第3の延部71c及び第4の延部71dは、第1の延部71aと第2の延部71bとの間で、Y軸方向に延びる。第3の延部71cは、基板31の第3の縁31eに隣接し、第3の縁31eに沿って延びる。第4の延部71dは、第3の延部71cからX軸の正方向(X軸の矢印が示す方向)に離間する。第1乃至第4の延部71a,71b,71c,71dにより、中間アンテナ32が略四角形の環状に形成される。なお、中間アンテナ32の形状は、この例に限られない。
【0116】
無線アンテナ23は、第1の延部71aの近傍に位置する。本実施形態では、無線アンテナ23は、第1の延部71aに沿って延びるとともに、中間アンテナ32の中心Ax2が延びる方向に見た平面視において第1の延部71aの一部に重ねられる。なお、無線アンテナ23は、中間アンテナ32の中心Ax2が延びる方向に見た平面視において第1の延部71aから離間しても良い。
【0117】
中間アンテナ32の中心Ax2が延びる方向に見た平面視において、無線アンテナ23の一方の端部23aが、中間アンテナ32の外縁32aの内側に位置する。なお、端部23aの一部が外縁32aの内側に位置し、端部23aの他の一部が外縁32aの外側に位置しても良い。さらに、中間アンテナ32の中心Ax2が延びる方向に見た平面視において、無線アンテナ23の他方の端部23bが、中間アンテナ32の外縁32aの外側に位置する。
【0118】
無線アンテナ23の一方の端部23aと導線71との間の距離は、他方の端部23bと導線71との間の距離よりも短い。例えば、端部23aと第3の延部71cとの間の距離L1は、端部23bと第4の延部71dとの間の距離L2よりも短い。なお、距離L1,L2は、この例に限られない。
【0119】
中間アンテナ32の中心Ax2が延びる方向に見た平面視において第1の延部71aに重ねられる無線アンテナ23の長さL3は、無線アンテナ23の端部23bと導線71との間の距離L2よりも短い。なお、距離L2及び長さL3は、この例に限られない。
【0120】
導線71は、複数の第1の導線75と、複数の第2の導線76とを含む。第2の導線76は、第1の導線75よりも太い。第1の導線75と、第2の導線76とは、互いに交互に接続され、渦巻状の中間アンテナ32を形成する。
【0121】
導線71の第1の延部71aは、第1の導線75によって形成される。第2の延部71bは、第2の導線76によって形成される。第3の延部71c及び第4の延部71dはそれぞれ、第1の導線75及び第2の導線76によって形成される。
【0122】
導体パターン45は、中間アンテナ32に加え、複数のダミーパターン81を形成する。ダミーパターン81は、中間アンテナ32の内側において、互いに間隔を介して格子状(マトリクス状)に配置される。
【0123】
複数のダミーパターン81は、互いに電気的に分離するとともに、図2の回路C1及び共振回路C2から電気的に分離している。なお、ダミーパターン81は、例えば、他のダミーパターン81のような、他の導体に電気的に接続されても良い。
【0124】
ダミーパターン81は、例えば、略円形に形成される。なお、ダミーパターン81は、他の形状であっても良い。隣り合うダミーパターン81の間の距離は、ダミーパターン81の直径よりも長い。このため、中間アンテナ32の内側におけるダミーパターン81の密度は、中間アンテナ32の内側における非磁性体の密度よりも低くなる。中間アンテナ32の内側におけるダミーパターン81の密度は、例えば、中間アンテナ32の通信性能に応じて設定される。
【0125】
ダミーパターン81が設けられることで、基板31に気泡が形成されることが抑制される。さらに、ダミーパターン81が設けられることで、基板31の強度が向上するとともに、基板31の第1の面31a及び第2の面31bがより平坦に形成される。
【0126】
以上説明された第5の実施形態のメモリカード11において、無線アンテナ23は、中間アンテナ32の導線71の近傍に位置する。すなわち、無線アンテナ23は、中間アンテナ32が生じさせる第2の磁界M2の磁束密度が高い位置に配置される。これにより、無線アンテナ23が生じさせる誘導起電力が増大するため、メモリカード11の通信範囲を拡大できる。
【0127】
無線アンテナ23は、導線71の第1の延部71aに沿って延びるとともに、中間アンテナ32の中心Ax2が延びる方向に見た平面視において当該第1の延部71aに重ねられる。すなわち、無線アンテナ23は、中間アンテナ32が生じさせる第2の磁界M2の磁束密度がより高い位置に配置される。これにより、無線アンテナ23が生じさせる誘導起電力が増大するため、メモリカード11の通信範囲を拡大できる。
【0128】
導線71の近傍において発生する第2の磁界M2の磁束は、無線アンテナ23の巻線の隙間から、無線アンテナ23の内部に入ることができる。さらに、磁性体41により、第2の磁界M2の磁束が、無線アンテナ23の内部に入りやすくなる。このため、第1の延部71aの近傍において発生する第2の磁界M2の磁束は、無線アンテナ23に電磁誘導に基づく誘導起電力を発生させる。導線71に近いほど第2の磁界M2の磁束密度が高いため、導線71の近傍に配置される無線アンテナ23の巻線の隙間に、より多くの第2の磁界M2の磁束が入ることができる。従って、第1の延部71aに重ねられた本実施形態の無線アンテナ23は、より大きい誘導起電力を生じさせることができる。
【0129】
中間アンテナ32の中心Ax2が延びる方向に見た平面視において、無線アンテナ23の端部23aの少なくとも一部が中間アンテナ32の外縁32aの内側に位置し、端部23bが中間アンテナ32の外縁32aの外側に位置する。これにより、端部23aに入る第2の磁界M2の磁束がより多くなり、且つ端部23bに入る第2の磁界M2の磁束がより少なくなる。従って、無線アンテナ23で、端部23aから入った磁束による誘導起電力と、端部23bから入った磁束による誘導起電力とが、互いに相殺することが抑制される。相殺される誘導起電力の低下により、無線アンテナ23で生じるとともにコントローラ24を動作させる誘導起電力が増大するため、メモリカード11の通信範囲を拡大できる。
【0130】
端部23aと導線71との間の距離L1は、端部23bと導線71との間の距離L2よりも短い。これにより、端部23aに入る第2の磁界M2の磁束がより多くなり、且つ端部23bに入る第2の磁界M2の磁束がより少なくなる。従って、無線アンテナ23で、端部23aから入った磁束による誘導起電力と、端部23bから入った磁束による誘導起電力とが、互いに相殺することが抑制される。相殺される誘導起電力の低下により、無線アンテナ23で生じるとともにコントローラ24を動作させる誘導起電力が増大するため、メモリカード11の通信範囲を拡大できる。
【0131】
中間アンテナ32の中心Ax2が延びる方向に見た平面視において第1の延部71aに重ねられる無線アンテナ23の長さL3は、端部23bと導線71との間の距離L2よりも長い。これにより、無線アンテナ23のより多くの部分が、第2の磁界M2の磁束密度がより高い位置に配置される。従って、無線アンテナ23が生じさせる誘導起電力が増大するため、メモリカード11の通信範囲を拡大できる。
【0132】
導線71は、第1の導線75と、当該第1の導線75より太い第2の導線76と、を含む。これにより、第2の導線76における電気抵抗が低減され、メモリカード11の通信範囲を拡大できる。さらに、第1の導線75により中間アンテナ32の内側の断面及びインダクタンスを増大させることができ、メモリカード11の通信範囲を拡大できる。
【0133】
(第6の実施形態)
以下に、第6の実施形態について、図9を参照して説明する。図9は、第6の実施形態に係る基板31の中間アンテナ32が設けられた層を概略的に示す例示的な平面図である。図9に示すように、第6の実施形態の導線71は、凹部71eを有する。
【0134】
凹部71eは、中間アンテナ32の内側に向かって窪んだ導線71の一部である。凹部71eは、第1の延部71aと第4の延部71dとの角に設けられる。このため、導線71に凹部71eが設けられることで、第1の延部71a及び第4の延部71dのそれぞれの長さは、第5の実施形態における第1の延部71a及び第4の延部71dのそれぞれの長さよりも短くなる。
【0135】
中間アンテナ32の中心Ax2が延びる方向見た平面視において、無線アンテナ23の少なくとも一部は、凹部71eと交差する。別の表現によれば、中間アンテナ32の中心Ax2が延びる方向見た平面視において、無線アンテナ23は、凹部71eを横切って延びる。
【0136】
凹部71eによって、領域Rが形成される。領域Rは、基板31において、中間アンテナ32の外縁32aの外側にあり、凹部71eに囲まれる領域である。図9は、領域Rを二点鎖線で仮想的に示す。
【0137】
無線アンテナ23の端部23bは、領域Rに位置する。これにより、端部23bと導線71との間の距離L2が、第5の実施形態の距離L2よりも長くされることが可能となる。なお、無線アンテナ23が領域Rを通過して端部23bが領域Rの外に位置することで、距離L2がさらに長くされても良い。
【0138】
本実施形態のX軸方向における無線アンテナ23の長さ及び中間アンテナ32の長さは、第5の実施形態のX軸方向における無線アンテナ23の長さ及び中間アンテナ32の長さと同一である。しかし、導線71が凹部71eを有することで、距離L2がより長く設定されている。
【0139】
以上説明された第6の実施形態のメモリカード11では、導線71は、中間アンテナ32の内側に向かって窪んだ凹部71eを有する。中間アンテナ32の中心Ax2が延びる方向に見た平面視において、無線アンテナ23の少なくとも一部は、凹部71eと交差する。このため、端部23bが凹部71eにより形成された領域Rに配置され、又は無線アンテナ23が当該領域Rを通過して端部23bが導線71から離間した位置に配置されることが可能となる。従って、例えばメモリカード11において配線及び実装に面積上の制約があったとしても、端部23bを中間アンテナ32の外縁32aの外側に配置することができる。また、凹部71eは中間アンテナ32の内側の断面を縮小させるが、導線71の他の部分は、中間アンテナ32の内側の断面をより大きくするように配置されることが可能である。従って、中間アンテナ32の内側の断面及びインダクタンスが増大し、メモリカード11の通信範囲を拡大できる。
【0140】
第1,2,4,5,6の実施形態において、中間アンテナ32は、一つの層に設けられた。しかし、中間アンテナ32は、複数の層に設けられても良い。これにより、例えばメモリカード11において配線及び実装に面積上の制約があったとしても、中間アンテナ32の巻き数を増大させることが可能になるとともに、中間アンテナ32の内側の断面が縮小することが抑制される。従って、メモリカード11の通信範囲を拡大できる。
【0141】
以上説明された複数の実施形態において、無線アンテナ23はチップアンテナであり、中間アンテナ32は基板31の導体パターン45によって形成される。しかし、無線アンテナ23は、中間アンテナ32と同様に基板31に設けられた導体パターン45によって形成されても良い。また、中間アンテナ32は、無線アンテナ23と同様に基板31に実装されたチップアンテナであっても良い。この場合も、無線通信コントローラ26は、第1の磁界M1の磁束が無線アンテナ23の内部を直接通過する場合と、第1の磁界M1の磁束が中間アンテナ32の内部を通過することで当該中間アンテナ32が第2の磁界M2を発生させ、当該第2の磁界M2の磁束が無線アンテナ23の内部を通過した場合と、の両方で無線通信ホスト装置13と通信可能である。これにより、中間アンテナ32を欠く場合に比べ、メモリカード11の通信範囲を拡大できる。
【0142】
以上説明された少なくとも一つの実施形態によれば、第1のループアンテナは、第1の磁界による電磁誘導に基づいて第2の磁界を生じさせる。第2のループアンテナは、第2の磁界による電磁誘導に基づいて誘導起電力を発生させる。コントローラは、第2のループアンテナに生じた誘導起電力に基づいて動作可能であり、第2のループアンテナを介した第1の外部装置との通信を行う。すなわち、第1のループアンテナが、第1の磁界を、第2のループアンテナの電磁誘導に適した第2の磁界に変換する。これにより、第1のループアンテナを欠く場合に比べ、半導体記憶装置の通信範囲を拡大できる。
【0143】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0144】
11…メモリカード、12…ホスト装置、13…無線通信ホスト装置、22…I/F端子、23…無線アンテナ、23a…端部、24…コントローラ、31…基板、32…中間アンテナ、32a…外縁、33…カバー、33a…第1の外面、33c…第1の縁、33d…第2の縁、45…導体パターン、51…フィルム、69…コイル、71…導線、71a…第1の延部、71e…凹部、75…第1の導線、76…第2の導線、Ax1,Ax2…中心、M1…第1の磁界、M2…第2の磁界、L1,L2…距離、L3…長さ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9