特開2019-212341(P2019-212341A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新コスモス電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2019212341-ガス漏れ警報器 図000003
  • 特開2019212341-ガス漏れ警報器 図000004
  • 特開2019212341-ガス漏れ警報器 図000005
  • 特開2019212341-ガス漏れ警報器 図000006
  • 特開2019212341-ガス漏れ警報器 図000007
  • 特開2019212341-ガス漏れ警報器 図000008
  • 特開2019212341-ガス漏れ警報器 図000009
  • 特開2019212341-ガス漏れ警報器 図000010
  • 特開2019212341-ガス漏れ警報器 図000011
  • 特開2019212341-ガス漏れ警報器 図000012
  • 特開2019212341-ガス漏れ警報器 図000013
  • 特開2019212341-ガス漏れ警報器 図000014
  • 特開2019212341-ガス漏れ警報器 図000015
  • 特開2019212341-ガス漏れ警報器 図000016
  • 特開2019212341-ガス漏れ警報器 図000017
  • 特開2019212341-ガス漏れ警報器 図000018
  • 特開2019212341-ガス漏れ警報器 図000019
  • 特開2019212341-ガス漏れ警報器 図000020
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-212341(P2019-212341A)
(43)【公開日】2019年12月12日
(54)【発明の名称】ガス漏れ警報器
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/16 20060101AFI20191115BHJP
【FI】
   G08B21/16
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-170068(P2019-170068)
(22)【出願日】2019年9月19日
(62)【分割の表示】特願2017-244934(P2017-244934)の分割
【原出願日】2013年3月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】上田 英一
【テーマコード(参考)】
5C086
【Fターム(参考)】
5C086AA02
5C086FA11
5C086GA06
5C086GA10
(57)【要約】
【課題】発光部材が放つ光を確認することができ、且つ製造コストを低減可能なガス漏れ警報器を提供すること。
【解決手段】発光部23がカバー部材17と一体に成形されており、発光部23が、カバー部材17の内側に設けてある発光部材16からの光を受けて面発光可能に構成され、発光部23は、カバー部材17の内側方向に引退して設けられ、カバー部材17の他の部分よりも薄肉であり、かつ、発光部23の光透過率がカバー部材17の他の部分の透過率よりも高くなるように構成されている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部がカバー部材と一体に成形されており、前記発光部が、前記カバー部材の内側に設けてある発光部材からの光を受けて面発光可能に構成され、
前記発光部は、
前記カバー部材の内側方向に引退して設けられ、
前記カバー部材の他の部分よりも薄肉であり、かつ、
前記発光部の光透過率が前記カバー部材の他の部分の透過率よりも高くなるように構成されているガス漏れ警報器。
【請求項2】
発光部がカバー部材と同一の素材で構成されており、前記発光部が、前記カバー部材の内側に設けてある発光部材からの光を受けて面発光可能に構成され、
前記発光部は、
前記カバー部材の内側方向に引退して設けられ、
前記カバー部材の他の部分よりも薄肉であり、かつ、
前記発光部の光透過率が前記カバー部材の他の部分の透過率よりも高くなるように構成されているガス漏れ警報器。
【請求項3】
カバー部材の一部が発光部として構成されており、前記発光部が、前記カバー部材の内側に設けてある発光部材からの光を受けて面発光可能に構成され、
前記発光部は、
前記カバー部材の内側方向に引退して設けられ、
前記カバー部材の他の部分よりも薄肉であり、かつ、
前記発光部の光透過率が前記カバー部材の他の部分の透過率よりも高くなるように構成されているガス漏れ警報器。
【請求項4】
前記発光部は、前記カバー部材の表面側において平坦に構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス漏れ警報器。
【請求項5】
前記発光部は、前記カバー部材の裏面側において平坦に構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス漏れ警報器。
【請求項6】
前記発光部は、底面と当該底面の外周に連設される傾斜面とを備える請求項1〜5のいずれか1項に記載のガス漏れ警報器。
【請求項7】
前記発光部は、前記傾斜面で徐々に薄肉となり、前記底面で最薄となるように構成される請求項6に記載のガス漏れ警報器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス漏れ警報器の発光部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のガス漏れ警報器としては、以下の特許文献1に示すように、その本体を構成するカバー部材に、ガス漏れなどを検知したときに発光してユーザーに知らせる発光ダイオードのような発光部材を備えるものが一般的に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−287382号公報(図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のガス漏れ警報器では、発光部材の光を通すための穴をカバー部材に設けたり、設けた穴と発光部材との間に隙間があるため、埃や水等がこの穴や隙間を通って内部に入り、基板等を腐食させてしまう虞がある。そのため、埃や水等が入るのを防ぐための構造を別途設ける必要があり、部品点数が増加して製造コストが高くなるという問題を抱えていた。また、発光部材の光を通すために、カバー部材における発光部材の光が透過する部分に透明若しくは半透明の別部材を嵌め込むような構成とすることも考えられるが、この別部材の強度を確保するためにかなり丈夫な素材を採用する必要があるため、この構成においても製造コストが高くなるという問題がある。
本発明の目的は、発光部材が放つ光を確認することができ、且つ製造コストを低減可能なガス漏れ警報器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のガス漏れ警報器に係る第1特徴構成は、発光部がカバー部材と一体に成形されており、前記発光部が、前記カバー部材の内側に設けてある発光部材からの光を受けて面発光可能に構成され、前記発光部は、前記カバー部材の内側方向に引退して設けられ、前記カバー部材の他の部分よりも薄肉であり、かつ、前記発光部の光透過率が前記カバー部材の他の部分の透過率よりも高くなるように構成されている点にある。
【0006】
第2特徴構成は、発光部がカバー部材と同一の素材で構成されており、前記発光部が、前記カバー部材の内側に設けてある発光部材からの光を受けて面発光可能に構成され、前記発光部は、前記カバー部材の内側方向に引退して設けられ、前記カバー部材の他の部分よりも薄肉であり、かつ、前記発光部の光透過率が前記カバー部材の他の部分の透過率よりも高くなるように構成されている点にある。
【0007】
第3特徴構成は、カバー部材の一部が発光部として構成されており、前記発光部が、前記カバー部材の内側に設けてある発光部材からの光を受けて面発光可能に構成され、前記発光部は、前記カバー部材の内側方向に引退して設けられ、前記カバー部材の他の部分よりも薄肉であり、かつ、前記発光部の光透過率が前記カバー部材の他の部分の透過率よりも高くなるように構成されている点にある。
【0008】
〔作用及び効果〕
本発明の第1〜第3のいずれかの構成によれば、発光部が、発光部材がカバー部材の内側に設けられており発光部材からの光を受けて面発光するように構成されているため、発光部材が放つ光を確認することができる。さらに、発光部材の光を通すための穴や、透明もしくは半透明部材をカバー部材に設ける必要がないため、埃や水等が内部に入るのを防ぐための構造を別途設けたり、あるいは強度の高い高価な素材を採用する必要もなく、部品点数が少なくて済み製造コストを低減することが可能となる。また、本発明の第1〜第3のいずれかの構成によれば、発光部がカバー部材の他の部分よりも光透過率が高くなるように構成されているため、発光部材の放つ光が発光部を通過し易くなり、発光部材が放つ光をより一層確認し易くなる。
【0009】
第4特徴構成は、前記発光部は、前記カバー部材の表面側において平坦に構成されている点にある。
【0010】
〔作用及び効果〕
第4特徴構成によれば、発光部の表面側に段差が無いことにより埃等が溜まり難く汚れが付き難いため遮光され難く、より良好な発光状態が維持されやすい。
【0011】
第5特徴構成は、前記発光部は、前記カバー部材の裏面側において平坦に構成されている。
【0012】
〔作用及び効果〕
第5特徴構成によれば、発光部をカバー部材の他の部分より薄肉に構成し、かつ、カバー部材の裏面側において平坦に構成されることから、発光部のカバー部材の表面側において、カバー部材の他の部分からの引退と、発光部の周縁部からの引退という2段階で引退する。これによって、外部からの衝撃が、発光部に対して伝わり難くなるため、発光部の破損を防止しやすい。
【0013】
第6特徴構成は、前記発光部は、底面と当該底面の外周に連設される傾斜面とを備える点にある。
【0014】
〔作用及び効果〕
第6構成によれば、視覚的に優しい発光形態を得ることできる。
【0015】
第7特徴構成は、前記発光部は、前記傾斜面で徐々に薄肉となり、前記底面で最薄となるように構成される点にある。
【0016】
〔作用及び効果〕
第7特徴構成によれば、視覚的に一層優しい発光形態を得ることできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のガス漏れ警報器の第1実施形態を示す斜視図である。
図2図1に示すガス漏れ警報器の分解斜視図である。
図3】第1実施形態に係る上カバーの平面図である。
図4】第1実施形態に係る上カバーにボタン部材を嵌め込む様子を一部拡大して示した分解斜視図である。
図5】上カバーにボタン部材を嵌め込んだときの図3の矢視線V−Vにおける押圧操作前の縦断面図である。
図6】上カバーにボタン部材を嵌め込んだときの図3の矢視線VI−VIにおける押圧操作後の縦断面図である。
図7図5の矢視線VII−VIIにおける横断面図である。
図8】第1実施形態に係る基板を配置した下カバーに上カバーを嵌合させる様子を一部拡大して示した分解斜視図である。
図9図3の矢視線IX−IXにおけるガス漏れ警報器の縦断面図である。
図10】本発明のガス漏れ警報器の第2実施形態を示す斜視図である。
図11図10に示すガス漏れ警報器の分解斜視図である。
図12】第2実施形態に係る上カバーの平面図である。
図13】第2実施形態に係る上カバーにボタン部材を嵌め込む様子を一部拡大して示した分解斜視図である。
図14】上カバーにボタン部材を嵌め込んだときの図12の矢視線XIV−XIVにおける押圧操作前の縦断面図である。
図15】上カバーにボタン部材を嵌め込んだときの図12の矢視線XV−XVにおける押圧操作後の縦断面図である。
図16図14の矢視線XVI−XVIにおける横断面図である。
図17】第2実施形態に係る基板を配置した下カバーに上カバーを嵌合させる様子を一部拡大して示した分解斜視図である。
図18図12の矢視線XVIII−XVIIIにおけるガス漏れ警報器の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のガス漏れ警報器の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、本明細書中において「幅方向」、「長手方向」、「厚み方向」のそれぞれは、図1における矢印X1、X2、X3に沿う方向を意味する。
【0019】
〔第1実施形態〕
図1及び図2に示すように、本実施形態のガス漏れ警報器1は、ユーザーによる押圧操作が行われるボタン部材2、ボタン部材2を支持する支持部材10、警報動作のオン・オフの切り換えを行うスイッチ部材15、警報ランプとしての発光部材16、図示しない制御回路等を備える基板31、ガス漏れを検知するガスセンサー32、警報音を発する警報ブザー33、ガス漏れ警報器1を稼働させる電源34、及び、ガス漏れ警報器1の外観を構成するカバー部材17等を備える。
【0020】
(ボタン部材)
図2及び図4に示すように、ボタン部材2は、カバー部材17の上カバー18に形成された凹部19に対して嵌め込み可能に構成される。ボタン部材2は、直方体の箱形状の筐体であり、合成樹脂等で構成されている。ボタン部材2は、押圧操作が行われる平面視で長方形の押圧部分3と、押圧部分3の2つの長辺のそれぞれから立設する長側壁部4と、押圧部分3の2つの短辺のそれぞれから立設する短側壁部7と、2つの短側壁部7のそれぞれの内側に立設する係止爪部5と、押圧部分3の裏面の略中心に立設する円筒状の被嵌合部6とを備える。ボタン部材2の2つの長側壁部4のうちの一方に、2つの切欠き溝9(溝部)が形成されている。また、ボタン部材2の短側壁部7には、短側壁部7の縦断面がコの字となるような切欠き部8が形成されており、係止爪部5は切欠き部8の内側に隣接するように配置される。
【0021】
(カバー部材)
図1及び図2に示すように、カバー部材17は、ガス漏れ警報器1の正面側に配置される上カバー18と、背面側に配置される下カバー30とを備える。上カバー18及び下カバー30はいずれも直方体の箱形状の筐体であり、通常使用される公知の合成樹脂、例えば、ABS樹脂やポリカーボネート/ABS等で構成して良いが、使用する合成樹脂は、難燃性であることが望ましい。また、上カバー18の表面、または上カバー18及び下カバー30のそれぞれの表面に所謂「シボ加工」を施して、細かな凹凸を形成するようにしても良い。
【0022】
上カバー18の上面における幅方向X1の略中央部で且つ長手方向X2の両端には、長手方向X2の端側ほど深く引退するように傾斜する傾斜部21が形成されている。一方の傾斜部21には、警報ブザー33のブザー音が発せられる複数のスリット22が形成されており、他方の傾斜部21には、発光部23が設けられている。
【0023】
図2に示すように、上カバー18の上面における幅方向X1の端側で且つ長手方向X2の略中央部には、直方体状の窪みである凹部19が形成されており、この凹部19に対してボタン部材2が嵌め込まれる。
【0024】
図3図7に示すように、凹部19の底面19aの2つの短辺側部分のそれぞれに、開口部19cが形成されている。また、凹部19の底面19aの2つの短辺のそれぞれから立設する側壁には、ボタン部材2の係止爪部5が係止可能な被係止部13が形成されている。被係止部13は、丸みを帯びた曲面13aを有し、凹部19の内側に突出するように設けられている。また被係止部13は、開口部19cの上方に配置される。
【0025】
凹部19における、被係止部13が形成された側壁には、厚み方向に沿う2つの縦リブ20A,20Bが、被係止部13の幅方向の両側に設けられている。図4及び図7に示すようにボタン部材2を凹部19に嵌め込む際に、ボタン部材2の係止爪部5が、2つの縦リブ20A,20Bの間に嵌め込まれると同時に、2つの縦リブ20A,20Bが、ボタン部材2の切欠き部8の中に嵌め込まれるように構成される。
【0026】
凹部19の底面19aの2つの長辺のうち、上カバー18の幅方向X1の内側に配置される長辺から立設する側壁に、2つの位置決めリブ26が設けられている。ボタン部材2を凹部19に嵌め込む際に、ボタン部材2の2つの切欠き溝9のそれぞれに、凹部19の2つの位置決めリブ26のそれぞれが嵌め込まれるように構成されている。これにより、ボタン部材2の前後方向(長手方向X2)における嵌め込み方向が規定されるため、ボタン部材2の前後方向(長手方向X2)の逆付けが防止される。
【0027】
(支持部材)
図3図7に示すように、支持部材10は、円柱体11と、円柱体11の軸心方向の略中央部の側面に設けられるバネ部12とを備え、合成樹脂等で構成されている。
【0028】
円柱体11は、その一端側が、ボタン部材2の被嵌合部6の被嵌合凹部6aに嵌め込まれ、他端側に、ユーザーによるボタン部材2の押圧操作が行われたときにスイッチ部材15と接触する接触部11aを設けてある。
【0029】
バネ部12は、平面視で半円状の2つの連結部分12a,12bを備える。2つの連結部分12a,12bは、円柱体11の軸心方向の略中央部の側面に対向配置され、それらが円柱体11を回り込むようにして設けられており、バネ部12全体として平面視でS字のような形を形成する。
【0030】
支持部材10は、上カバー18の凹部19の中に配置される。バネ部12の2つの連結部分12a,12bのそれぞれが、凹部19の底面19aに形成された円形貫通孔19bにおいて平面視で対向する位置に連結されている。これにより支持部材10は上カバー18に両持ち支持され、バネ部12の2つの連結部分12a,12bが上カバー18の厚み方向(ボタン部材2の押圧方向及びその逆方向)X3に撓むことで、支持部材10がX3方向に移動することが可能となる。
尚、本実施形態における支持部材10及びバネ部12は、上カバー18と一体に成形されている。
【0031】
(スイッチ部材、発光部材、警報ブザー、ガスセンサー、電源、基板など)
本実施形態のガス漏れ警報器1において使用される、スイッチ部材15、発光部材16、警報ブザー33、ガスセンサー32、電源34、基板31等、及びその他の部品については、警報器等において通常用いられる公知の部品を使用して良い。例えば、スイッチ部材15としては、タクトスイッチ等を使用することができる。発光部材16としては、砲弾型の発光ダイオード等を使用することができる。ガスセンサー32としては、半導体式センサや接触燃焼式センサ等を使用することができる。尚、スイッチ部材15、発光部材16、警報ブザー33、ガスセンサー32、及び電源34のそれぞれは、基板31の所定位置に配置される。
【0032】
(被検知ガス)
検知するガスとしては、例えば、都市ガスやプロパンガスなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
(組立作業)
ボタン部材2の2つの係止爪部5のそれぞれを、ボタン部材2の切欠き溝9が凹部19のリブ26に嵌め込まれるように、凹部19の側壁の2つの縦リブ20A,20Bの間に配置して(図4参照)、凹部19の底面19aの開口部19cに挿入されるように、ボタン部材2の押圧部分3を押すと、係止爪部5が2つの縦リブ20A,20Bの間を移動すると共に、2つの縦リブ20A,20Bが、ボタン部材2の切欠き部8の中に嵌め込まれていく。
【0034】
そして、ボタン部材2の係止爪部5の丸みを帯びた底面5bが、被係止部13の曲面13aに当接することによって、係止爪部5がボタン部材2の内側に押し込まれるように弾性変形しつつ、ボタン部材2が凹部19の中に嵌め込まれていき、係止爪部5の爪部分5aが被係止部13の下側に到達して、係止爪部5の底面5bと被係止部13の曲面13aとが接触しなくなると同時に、係止爪部5の爪部分5aが外側に弾性復帰して被係止部13の底面13bに係止する(図5参照)。
【0035】
このとき、図5に示すように、支持部材10の円柱体11の一端側が、ボタン部材2の被嵌合凹部6aの中に嵌め込まれると共に、ボタン部材2の係止爪部5の爪部分5aが、支持部材10の連結部分12a,12bから押圧方向と逆向きの弾性力を受けて付勢されつつ凹部19の被係止部13の底面13bに係止する。これにより、ボタン部材2は上カバー18の凹部19に抜け止めされた状態で嵌め込まれる。
【0036】
図2に示すように、スイッチ部材15や発光部材16等を備える基板31を下カバー30の中の所定の位置に所定の向きで配置し、さらに上カバー18を基板31の上から重ねるようにして被せることによって、上カバー18と下カバー30とが互いに嵌合し、ガス漏れ警報器1が組み立てられる(図1参照)。
【0037】
このとき、ガス漏れ警報器1の内部では、上カバー18の支持部材10の円柱体11の丁度真下にスイッチ部材15が配置されると共に(図5参照)、上カバー18に設けられた仕切壁24の内側に発光部材16が配置される(図8図9参照)。
【0038】
(スイッチ構造)
本実施形態のガス漏れ警報器1におけるスイッチ構造は、押圧操作が行われるボタン部材2と、ボタン部材2を支持する支持部材10と、支持部材10を設けてある上カバー18と、スイッチ部材15とを備える。
【0039】
ボタン部材2は、上カバー18に形成された凹部19において押圧操作時にX3方向に移動可能に取り付けられている。
【0040】
図5に示すように、ユーザーによるボタン部材2の押圧操作が行われていない状態では、ボタン部材2は、支持部材10の連結部分12a,12bから押圧方向と逆向きの弾性力を受けて付勢されることにより、ボタン部材2の係止爪部5の爪部分5aが、被係止部13の底面13bに係止した状態に維持され、これにより、支持部材10の円柱体11の接触部11aと、スイッチ部材15とが離間状態となる。
【0041】
一方、図6に示すように、ユーザーが、支持部材10の連結部分12a,12bからの弾性力に抗して、ボタン部材2の押圧部分3を押すと、支持部材10の円柱体11がボタン部材2の嵌合突起6によって押される。その押圧力によって、支持部材10の連結部分12a,12bが、ボタン部材2の押圧方向と同じ方向に撓んで円柱体11が移動し、円柱体11の接触部11aとスイッチ部材15とが接触し、これによりスイッチがオン・オフされる。
【0042】
ユーザーがボタン部材2の押圧操作を止めると、ボタン部材2は、支持部材10の連結部分12a,12bからの弾性力によって押圧方向と逆向きに速やかに移動して、元の位置に戻る。即ち、図5に示すように、ボタン部材2の係止爪部5が凹部19の被係止部13に再び係止すると共に、円柱体11の接触部11aとスイッチ部材15とが離間する状態となる。
【0043】
尚、本実施形態においては、ボタン部材2が押圧方向及びその逆方向に移動する際、ボタン部材2の切欠き部8の内側面8aが、凹部19の2つの縦リブ20A,20Bの外側面20a,20bによって常にガイドされることになる(図7参照)。即ち、この2つの縦リブ20A,20Bは、ボタン部材2の厚み方向X3の移動をガイドするガイド部材として機能しており、これによりボタン部材2の姿勢が維持されるため、ボタン部材2の姿勢が崩れて凹部19の内壁面に引っ掛かるようなことが防止され、より円滑なスイッチ操作が実施される。
【0044】
また、ユーザーによるボタン部材2の押圧操作が行われていない状態、即ち、支持部材10の円柱体11の接触部11aと、スイッチ部材15とが離間する状態(図5参照)において、凹部19の2つの位置決めリブ26の上端と、ボタン部材2の2つの切欠き溝9の最奥部9aとが離間する状態に保持される。ユーザーがボタン部材2の押圧部分3を押して、円柱体11の接触部11aとスイッチ部材15とが接触したとき(図6参照)、凹部19の2つの位置決めリブ26の上端と、ボタン部材2の2つの切欠き溝9の最奥部9a(当接部)とが近づくように構成されている。そして、ユーザーが、さらにボタン部材2を押し込もうとしたときには、位置決めリブ26の上端と、切欠き溝9の最奥部9aとが当接することによってボタン部材2の移動が規制され、スイッチ部材15に余分な負荷がかかるのを防止することができる。
【0045】
(発光部)
本実施形態のガス漏れ警報器1における発光部23は、ガス漏れ警報器1の内側に設けてある発光部材16(例えば、砲弾型の発光ダイオード等)からの光を受けて面発光するように構成されている。
【0046】
図9に示すように、発光部23は、傾斜部21の表面側では平坦な面となっており、傾斜部21の裏面側では、上カバー18の他の部分よりも薄肉に形成された、底面23aと底面23aから緩やかに立ち上がる傾斜面23bとが形成されている。発光部23は、傾斜面23bで徐々に薄肉となり、底面23aで最薄となる。発光部23の底面23a及び傾斜面23bのそれぞれは、発光部23の裏側に配置される発光部材16からの光が透過して面発光するような厚みに設計されている。このような構成によれば、傾斜部21の一部が発光部23として面発光するとき、傾斜部21における発光部分の境界が曖昧となるため、視覚的に優しい発光形態を得ることできる。さらに、傾斜部21の表面側に段差が無いことにより埃等が溜まり難く汚れが付き難いため遮光され難く、より良好な発光状態が維持される。
【0047】
図8及び図9に示すように、発光部23が位置する上カバー18の裏面部分には、底面23aと傾斜面23bとを取り囲むように仕切壁24が立設されており、発光部23の裏面部分が、仕切壁24に囲まれるようにして裏面の他の部分から仕切られている。この構成によれば、仮に火災が発生した場合でも、発光部23が位置する上カバー18の裏面部分が、仕切壁24によって裏面の他の部分から仕切られていることから、火災による熱が仕切壁24に優先して伝わり、薄肉に形成された発光部23には伝わり難くなるため、発光部23が熱で溶け落ちるのを防止することができる。またさらに、仕切壁24が、発光部23に加えられ得る外部からの衝撃を受けることが可能となり、発光部23に衝撃が伝わり難くなるため、発光部23、特に底面23aの破損を防止することができる。
【0048】
仕切壁24の内壁面には、厚み方向に沿う複数の補強リブ25が設けられている。これらの補強リブ25は、図9に示すように、発光部23の傾斜面23bが位置する上カバー18の裏面部分に立設しており、仕切壁24を補強すると共に、発光部23に加えられ得る外部からの衝撃を受けることも可能となる。その結果、外部からの衝撃が、発光部23に対してさらに伝わり難くなるため、発光部23、特に底面23aの破損をさらにより確実に防止することができる。
【0049】
本実施形態のガス漏れ警報器1を、幅方向X1を上下方向として、壁面等に取り付ける場合、傾斜部21の側壁21aは、庇としての機能を有する。つまり、側壁21aによって影が形成されて発光部23の付近が暗くなるため、ユーザーが本実施形態のガス漏れ警報器1を比較的明るい場所に設置した場合も発光部23の発光状態を確認し易くなる。特に、被検知ガスが空気より重いプロパンガスの場合、ガス漏れ警報器1は、壁等において床に近い下方側に設置されるため、比較的薄暗い環境に置かれることで、発光部23の発光状態がより確認し易いものとなる。
【0050】
本実施形態における発光部23は、他の部分よりも薄肉に構成されているが、発光部23が、面発光可能な構成であれば特にこの構成に限定されるものではない。即ち、発光部23を必ずしも薄肉に構成する必要はなく、また発光部23の全体を薄肉に構成するのではなく、その一部だけを薄肉に構成するようにしても良い。ただし、発光部23は、3%以上の光透過率を有することが望ましい。発光部23の光透過率は、発光部23の厚み、構成素材の種類、構成素材中に含まれる酸化チタンの量などを適宜変更して調節することができ、カバー部材17全体ではなく、カバー部材17のうち少なくとも発光部23の部分を、3%以上の光透過率を有する構成にしても良い。
【0051】
また、発光部23に「シボ加工」を施してある場合、発光部材16からの光がシボ加工による微細な凹凸で乱反射して光が拡散するため、発光部23の発光状態をより一層確認し易くなる。尚「シボ加工」については、カバー部材17全体ではなく、カバー部材17のうち少なくとも発光部23の部分にのみ「シボ加工」を施すように構成しても良い。
【0052】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態について説明するが、重複説明を避けるため、先の第1実施形態で説明した構成部品や同じ作用を有する構成部品については、同じ符号を付すことにより説明を省略し、主として異なる構成についてのみ説明する。
【0053】
図10〜12及び図18に示すように、本実施形態では、一方の傾斜部21には、第1実施形態におけるスリット22に代えて複数の音響穴22が形成されており、他方の傾斜部21に形成された発光部23は、第1実施形態の場合と異なり、平面視で略台形の底面23aとその四辺から緩やかに立ち上がる傾斜面23bとを備え、発光部23全体として平面視で略台形をなす。本実施形態における発光部23の底面23aと傾斜面23bは、上カバー18の他の部分よりも薄肉に構成されている。即ち、発光部23は、傾斜面23bで徐々に薄肉となり、底面23aで最薄となる。発光部23の底面23a及び傾斜面23bのそれぞれは、発光部23の裏側に配置される発光部材16からの光が透過して面発光するような厚みに設計されている。本実施形態においても、図17及び18に示すように、発光部23が位置する上カバー18の裏面部分に仕切壁24が立設されており、発光部23の裏面部分が、仕切壁24に囲まれるようにして裏面の他の部分から仕切られている。
【0054】
発光部23は、傾斜部21による上カバー18の上面の他の部分からの引退と、底面23aと傾斜面23bによる傾斜部21の他の部分からの引退という2段階で引退するため、異物が発光部23に対して直接当たり難くなる。その結果、外部からの衝撃が、発光部23に対してさらに伝わり難くなるため、発光部23、特に底面23aの破損を防止することができる。
【0055】
尚、本実施形態においても、発光部23を必ずしも薄肉に構成する必要はなく、また発光部23の全体を薄肉に構成するのではなく、その一部だけを薄肉に構成するようにしても良いが、発光部23は3%以上の光透過率を有することが望ましく、発光部23の光透過率は、発光部23の厚み、構成素材の種類、構成素材中に含まれる酸化チタンの量などを適宜変更して調節することができ、またシボ加工を施すようにしても良い点については上記第1実施形態と同様である。
【0056】
図11〜13に示すように、本実施形態では、ボタン部材2に、第1実施形態における長側壁部4に切欠き溝9を設けておらず、凹部19の側にも、切欠き溝9に対応する位置決めリブ26を設けていない。
【0057】
また、ボタン部材2は、図13〜16に示すように、押圧部分3の裏面の略中心には円柱状の嵌合突起6が設けてあり、支持部材10に設けられた被嵌合凹部11bの中に嵌め込まれるように構成してある。
【0058】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の支持部材10における円柱体11が、発光ダイオード等の発光部材を収容可能な収容部を備える構成としても良い。この構成によれば、発光部材からの光によって、ボタン部材2を発光させるように構成することが可能となるため、ユーザーが暗闇の中でもボタン部材2の位置を確認し易くなる。
(2)上述の実施形態では、支持部材10の円柱体11の接触部11aとスイッチ部材15とが接触し、これによりスイッチがオン・オフされる構成を示してあるが、この構成に限定されるものではない。その他の構成として、例えば、スイッチ部材15としてタクトスイッチ等を採用して、支持部材の接触部11aがスイッチ部材15にわずかに沈み込んでオン・オフ動作を行うような構成としても良く、支持部材の接触部11aとスイッチ部材15とが、常時離間する状態に保持されている必要はない。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、例えば、ガス漏れ警報器の他に、火災警報器などにも適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 ガス漏れ警報器
2 ボタン部材
3 押圧部分
4 長側壁部
5 係止爪部
5a 爪部分
5b 底面
6 嵌合部
6a 被嵌合凹部
7 短側壁部
8 切欠き部
8a 内側面
9 切欠き溝(溝部)
9a 最奥部(当接部)
10 支持部材
11 円柱体
11a 接触部
11b 被嵌合凹部
12 バネ部
12a,12b 連結部分
13 被係止部
13a 曲面
13b 底面
15 スイッチ部材
16 発光部材
17 カバー部材
18 上カバー
19 凹部
19a 底面
19b 円形貫通孔
19c 開口部
20A,20B 縦リブ
20a,20b 外側面
21 傾斜部
21a 側壁(庇)
22 音響穴
23 発光部
23a 底面
23b 傾斜面
24 仕切壁
25 補強リブ
26 位置決めリブ
30 下カバー
31 基板
32 ガスセンサー
33 警報ブザー
34 電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18