特開2019-212619(P2019-212619A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2019-212619電極活物質層の製造方法、リチウムイオン電池用電極の製造方法及びリチウムイオン電池の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-212619(P2019-212619A)
(43)【公開日】2019年12月12日
(54)【発明の名称】電極活物質層の製造方法、リチウムイオン電池用電極の製造方法及びリチウムイオン電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/139 20100101AFI20191115BHJP
   H01M 4/04 20060101ALI20191115BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20191115BHJP
【FI】
   H01M4/139
   H01M4/04 Z
   H01M4/62 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-96894(P2019-96894)
(22)【出願日】2019年5月23日
(31)【優先権主張番号】特願2018-103937(P2018-103937)
(32)【優先日】2018年5月30日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西口 真功
(72)【発明者】
【氏名】石溪 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】堀江 英明
(72)【発明者】
【氏名】依田 和之
(72)【発明者】
【氏名】久保田 浩
(72)【発明者】
【氏名】草地 雄樹
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA02
5H050CA05
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA11
5H050CA20
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB11
5H050CB12
5H050CB20
5H050CB29
5H050DA09
5H050DA13
5H050EA08
5H050EA10
5H050EA23
5H050EA28
5H050GA03
5H050HA01
(57)【要約】
【課題】簡便な工程で、薄層であっても取り扱いが容易な薄膜の電極活物質層を歩留まり良く得ることができる電極活物質層の製造方法を提供する。
【解決手段】電極活物質粒子と電解液とを含む電極活物質組成物を、ロールプレス機を用いてシート状に成形する成形工程とを有する電極活物質層の製造方法であって、上記電極活物質組成物の合計重量に基づく上記電解液の重量が0.1〜50重量%であることを特徴とする電極活物質層の製造方法。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極活物質粒子と電解液とを含む電極活物質組成物を、ロールプレス機を用いてシート状に成形する成形工程を有する電極活物質層の製造方法であって、
前記電極活物質組成物の合計重量に基づく前記電解液の重量が0.1〜50重量%であることを特徴とする電極活物質層の製造方法。
【請求項2】
前記電極活物質組成物が、粘着性を有する請求項1に記載の電極活物質層の製造方法。
【請求項3】
前記電極活物質組成物が、さらに粘着性樹脂を含む請求項1又は2に記載の電極活物質層の製造方法。
【請求項4】
前記電極活物質粒子の合計重量に対する前記粘着性樹脂の重量割合は、0.1〜6重量%である請求項3に記載の電極活物質層の製造方法。
【請求項5】
集電体と電極活物質層からなるリチウムイオン電池用電極の製造方法であって、
電極活物質粒子と電解液とを含む電極活物質組成物を、ロールプレス機を用いて集電体上にシート状に成形する成形工程を有し、
前記電極活物質組成物の合計重量に基づく前記電解液の重量が0.1〜50重量%であることを特徴とするリチウムイオン電池用電極の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の電極活物質層の製造方法により正極活物質層及び負極活物質層を得る工程と、前記正極活物質層及び前記負極活物質層を用いてリチウムイオン電池を製造する工程とを含むことを特徴とするリチウムイオン電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極活物質層の製造方法、リチウムイオン電池用電極の製造方法及びリチウムイオン電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護のため二酸化炭素排出量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池の開発が鋭意行われている。二次電池としては、高エネルギー密度、高出力密度が達成できるリチウムイオン電池(リチウムイオン二次電池ともいう)に注目が集まっている。
【0003】
このようなリチウムイオン電池の製造方法としては、例えば、正極集電体上に成形された正極活物質層と、負極集電体上に成形された負極活物質層とを、セパレータを介して対向させて積層体を得て、該積層体を外装体内に収容した後に電解液を注液するという方法が挙げられる。
【0004】
正極活物質層及び負極活物質層を形成する方法としては、例えば、特許文献1には、電極活物質及び結着剤を含む電極活物質層を、支持体表面上に水、溶剤を使用しない乾式法により成形する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−171366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された乾式法は、電極活物質層を薄くすることが難しく、さらに、薄層に成形した電極活物質層の強度が充分ではなく取り扱いが難しいという問題がある。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、簡便な工程で、薄層であっても取り扱いが容易な薄膜の電極活物質層を歩留まり良く得ることができる電極活物質層の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、電極活物質粒子と電解液とを含む電極活物質組成物を、ロールプレス機を用いてシート状に成形する成形工程を有する電極活物質層の製造方法であって、上記電極活物質組成物の合計重量に基づく上記電解液の重量が0.1〜50重量%であることを特徴とする電極活物質層の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電極活物質層の製造方法では、薄膜で取り扱いが容易な薄膜の電極活物質層を簡便な工程でかつ歩留まり良く得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の電極活物質層の製造方法を構成する成形工程の一例を模式的に示す図である。
図2】本発明の電極活物質層の製造方法を構成する成形工程の別の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において、リチウムイオン電池と記載する場合、リチウムイオン二次電池も含む概念とする。
【0012】
本発明の電極活物質層の製造方法は、電極活物質粒子と電解液とを含む電極活物質組成物を、ロールプレス機を用いてシート状に成形する成形工程とを有する電極活物質層の製造方法であって、上記電極活物質組成物の合計重量に基づく上記電解液の重量が0.1〜50重量%であることを特徴とする。
なお、本発明においてロールプレス機とは、外周面を対向して平行に配置された少なくとも一対の円柱型加圧ロールと上記ロールの回転駆動機構とを備え、上記の一対のロールの間で上記の電極活物質組成物等を挟んでシート状に圧延する機械である。上記ロールの材質及び大きさ、回転機構の様式並びに上記ロール及び回転機構の配置等は特に制限されない。また、上記の一対のロールの間から電極活物質層が吐出される方向は特に限定されず、水平方向であっても下向きであってもよい。
【0013】
本発明の電極活物質層の製造方法では、電極活物質粒子と電解液とを含む電極活物質組成物を、ロールプレス機を用いてシート状に成形する。
電極活物質組成物をロールプレス機により成形するという簡便な操作で電極活物質層を得ることができるため、成形ミスが起こりにくく、歩留まりが高い。
電極活物質組成物には既に0.1〜50重量%の電解液が含まれているため、内部にまで電解液が均一に含浸した電極活物質層を簡便な工程で得ることができる。
さらに、電極活物質組成物に含まれる電解液が過剰な場合であっても、ロールプレス機を用いて電極活物質層を成形する際に、余剰の電解液は電極活物質層(成形体)と分離されるため、電解液含有量の調整が容易である。
以上の理由により、本発明の電極活物質層の製造方法は、工程が簡便かつ歩留まりが良好である。
【0014】
本発明の電極活物質層の製造方法の例について、図1を用いて説明する。
図1は、本発明の電極活物質層の製造方法を構成する成形工程の一例を模式的に示す図である。
図1に示すように、成形工程では、電極活物質組成物10をロールプレス機が有するロール110により圧縮してシート状に成形する。シート状に成形された電極活物質組成物10は、電極活物質層11となり、垂直方向に排出された後、基材20表面に積層される。
なお、電極活物質組成物に含まれる電解液が過剰な場合には、ロール110により圧縮してシート状に成形する際に、余剰の電解液が分離されるので、分離された電解液を回収する機構を備えるのが好ましい。
【0015】
電極活物質組成物10が成形される速度に応じて、基材20を一方向に移動させてもよい。
基材20を一方向に移動させる手段は特に限定されないが、図1に示すように、載置部210aと駆動部210bからなる基材搬送手段210により、基材20を一方向(図1中、矢印Aで示す方向)に移動させてもよい。また、基材20自身が充分な機械的強度を有している場合には、載置部210aを設けることなく、駆動部210b上に直接基材20を配置する等の方法によって、基材20を一方向に移動させてもよい。
【0016】
成形工程において、シート状に成形された電極活物質層を排出する方向は特に限定されず、図2に示すように、電極活物質層11が水平方向に排出されていてもよい。
図2は、本発明の電極活物質層の製造方法を構成する成形工程の別の一例を模式的に示す図である。
図2に示すように、成形工程では、電極活物質組成物10をロールプレス機が有するロール110により圧縮してシート状に成形する。シート状に成形された電極活物質組成物10は、電極活物質層11となり、水平方向に排出された後、基材20表面に積層される。
【0017】
本発明の電極活物質層の製造方法において、電極活物質組成物は、電極活物質粒子と電解液とを含み、該電極活物質組成物の合計重量に基づく電解液の重量が0.1〜50重量%である。
電極活物質組成物がこのような構成であることにより、成形後の電極活物質層中の電極活物質粒子の表面が電解液に濡れた状態となり電解液が電極活物質層に容易に含浸することができ、電極活物質層が電解液を均一に含むことができる。
電極活物質層が電解液を均一に含んでいない場合、電極活物質層中の空隙が電気抵抗値を上げる原因になるため、成形後の電極活物質層には電解液が含まれていることが好ましい。
上記の電極活物質組成物を成形して得られる電極活物質層において、電極活物質層が有する空隙の合計空隙量に基づく電解液の重量(電解液の重量(g)/電極活物質層が有する空隙の合計空隙量(mL))は、0.01〜0.5g/mLであることが好ましい。この範囲であると、電極活物質層中における電解液の均一性がさらに良好になり、リチウムイオン電池のサイクル特性等がさらに良好となる。
なお、電極活物質層の空隙量は、電極活物質層の見掛け体積と、電極活物質層を構成する固体原料の重量と真密度の積の総和とから求めることができる。
【0018】
本発明の電極活物質層の製造方法において、ロールプレス機が電極活物質組成物に加える線圧は、35〜3500N/cmであることが好ましい。
なお、ロールプレス機が電極活物質組成物に加える線圧は、ロールプレス機に付属するロードセルによる得られる荷重とプレス後の電極幅とにより計算した線圧を意味する。
【0019】
ロールプレス機が有するロールの間隔としては、特に限定されないが、電極活物質組成物に加える線圧の観点、電極活物質層の膜厚を調整する観点から、100〜1000μmであることが好ましい。
【0020】
ロールプレス機のロールの回転速度としては、特に限定されないが、充分なプレス保持時間を保つ観点から、1〜20m/分であることが好ましい。
【0021】
本発明の電極活物質層の製造方法により得られた電極活物質層の膜厚は、特に限定されないが、200〜500μmであることが好ましい。
【0022】
電極活物質組成物を構成する電極活物質粒子及び電解液について説明する。
電極活物質粒子は、正極活物質粒子であっても負極活物質粒子であってもよい。
また、電極活物質組成物は、必要に応じて、導電助剤を含んでいてもよい。
【0023】
正極活物質粒子としては、リチウムと遷移金属との複合酸化物{遷移金属が1種である複合酸化物(LiCoO、LiNiO、LiAlMnO、LiMnO及びLiMn等)、遷移金属元素が2種である複合酸化物(例えばLiFeMnO、LiNi1−xCo、LiMn1−yCo、LiNi1/3Co1/3Al1/3及びLiNi0.8Co0.15Al0.05)及び金属元素が3種類以上である複合酸化物[例えばLiMM’M’’(M、M’及びM’’はそれぞれ異なる遷移金属元素であり、a+b+c=1を満たす。例えばLiNi1/3Mn1/3Co1/3)等]等}、リチウム含有遷移金属リン酸塩(例えばLiFePO、LiCoPO、LiMnPO及びLiNiPO)、遷移金属酸化物(例えばMnO及びV)、遷移金属硫化物(例えばMoS及びTiS)及び導電性高分子(例えばポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン及びポリ−p−フェニレン及びポリビニルカルバゾール)等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
なお、リチウム含有遷移金属リン酸塩は、遷移金属サイトの一部を他の遷移金属で置換したものであってもよい。
【0024】
正極活物質粒子の体積平均粒子径は、電池の電気特性の観点から、0.01〜100μmであることが好ましく、0.1〜35μmであることがより好ましく、2〜30μmであることがさらに好ましい。
【0025】
負極活物質粒子としては、炭素系材料[黒鉛、難黒鉛化性炭素、アモルファス炭素、樹脂焼成体(例えばフェノール樹脂及びフラン樹脂等を焼成し炭素化したもの等)、コークス類(例えばピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークス等)及び炭素繊維等]、珪素系材料[珪素、酸化珪素(SiOx)、珪素−炭素複合体(炭素粒子の表面を珪素及び/又は炭化珪素で被覆したもの、珪素粒子又は酸化珪素粒子の表面を炭素及び/又は炭化珪素で被覆したもの並びに炭化珪素等)及び珪素合金(珪素−アルミニウム合金、珪素−リチウム合金、珪素−ニッケル合金、珪素−鉄合金、珪素−チタン合金、珪素−マンガン合金、珪素−銅合金及び珪素−スズ合金等)等]、導電性高分子(例えばポリアセチレン及びポリピロール等)、金属(スズ、アルミニウム、ジルコニウム及びチタン等)、金属酸化物(チタン酸化物及びリチウム・チタン酸化物等)及び金属合金(例えばリチウム−スズ合金、リチウム−アルミニウム合金及びリチウム−アルミニウム−マンガン合金等)等及びこれらと炭素系材料との混合物等が挙げられる。
上記負極活物質粒子のうち、内部にリチウム又はリチウムイオンを含まないものについては、予め負極活物質粒子の一部又は全部にリチウム又はリチウムイオンを含ませるプレドープ処理を施してもよい。
【0026】
これらの中でも、電池容量等の観点から、炭素系材料、珪素系材料及びこれらの混合物が好ましく、炭素系材料としては、黒鉛、難黒鉛化性炭素及びアモルファス炭素がさらに好ましく、珪素系材料としては、酸化珪素及び珪素−炭素複合体がさらに好ましい。
【0027】
負極活物質粒子の体積平均粒子径は、電池の電気特性の観点から、0.01〜100μmが好ましく、0.1〜20μmであることがより好ましく、2〜10μmであることがさらに好ましい。
【0028】
本明細書において、電極活物質粒子の体積平均粒子径は、マイクロトラック法(レーザー回折・散乱法)によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径(Dv50)を意味する。マイクロトラック法とは、レーザー光を粒子に照射することによって得られる散乱光を利用して粒度分布を求める方法である。なお、体積平均粒子径の測定には、日機装(株)製のマイクロトラック等を用いることができる。
【0029】
導電助剤は、導電性を有する材料から選択される。
具体的には、金属[ニッケル、アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、銅及びチタン等]、カーボン[グラファイト及びカーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等)等]、及びこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
これらの導電助剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの合金又は金属酸化物を用いてもよい。電気的安定性の観点から、好ましくはアルミニウム、ステンレス、カーボン、銀、銅、チタン及びこれらの混合物であり、より好ましくは銀、アルミニウム、ステンレス及びカーボンであり、さらに好ましくはカーボンである。またこれらの導電助剤としては、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性材料(上記した導電助剤の材料のうち金属のもの)をめっき等でコーティングしたものでもよい。
【0030】
導電助剤の平均粒子径は、特に限定されるものではないが、電池の電気特性の観点から、0.01〜10μmであることが好ましく、0.02〜5μmであることがより好ましく、0.03〜1μmであることがさらに好ましい。なお、本明細書中において、「粒子径」とは、導電助剤の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lを意味する。「平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)等の観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。
【0031】
導電助剤の形状(形態)は、粒子形態に限られず、粒子形態以外の形態であってもよく、カーボンナノチューブ等、いわゆるフィラー系導電性樹脂組成物として実用化されている形態であってもよい。
【0032】
導電助剤は、その形状が繊維状である導電性繊維であってもよい。
導電性繊維としては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維、合成繊維の中に導電性のよい金属や黒鉛を均一に分散させてなる導電性繊維、ステンレス鋼のような金属を繊維化した金属繊維、有機物繊維の表面を金属で被覆した導電性繊維、有機物繊維の表面を導電性物質を含む樹脂で被覆した導電性繊維等が挙げられる。これらの導電性繊維の中では炭素繊維が好ましい。また、グラフェンを練りこんだポリプロピレン樹脂も好ましい。
導電助剤が導電性繊維である場合、その平均繊維径は0.1〜20μmであることが好ましい。
【0033】
電極活物質粒子は、電極活物質粒子の表面の少なくとも一部が電解液を吸収し膨潤することができる被覆用樹脂により覆われた被覆電極活物質粒子を用いてもよい。
上記被覆用樹脂は、電解液を吸収することでリチウムイオン導電性を発現し、電極活物質粒子間の抵抗値を低減することができる。さらに、電極活物質粒子の周囲が被覆用樹脂で被覆されていると、電極の体積変化が緩和され、電極の膨張を抑制することができる。
なお、電極活物質粒子として正極活物質粒子を使用した場合の被覆電極活物質粒子を被覆正極活物質粒子といい、電極活物質層を被覆正極活物質層ともいう。また電極活物質粒子として負極活物質粒子を使用した場合の被覆電極活物質粒子を被覆負極活物質粒子といい、電極活物質層を被覆負極活物質層ともいう。
【0034】
被覆用樹脂としては、国際公開第2015/005117号及び特開2017−054703号公報に記載のリチウムイオン電池活物質被覆用樹脂等を用いることができる。
【0035】
被覆電極活物質粒子に占める被覆用樹脂の割合は、1〜20重量%であることが好ましく、成形性と抵抗値との観点から、2〜7重量%であることがより好ましい。
【0036】
被覆電極活物質粒子を含む場合、被覆用樹脂は、電解液に浸漬した際の膨潤率が5〜50%であることが好ましい。
【0037】
電解液に浸漬した際の膨潤率は、電解液に浸漬する前、浸漬した後の被覆用樹脂の重量を測定して、以下の式で求められる。
膨潤率(%)=[(電解液浸漬後の高分子化合物の重量−電解液浸漬前の高分子化合物の重量)/電解液浸漬前の高分子化合物の重量]×100
膨潤率を求めるための電解液としては、好ましくはエチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)を体積割合でEC:DEC=3:7で混合した混合溶媒に、電解質としてLiPFを1mol/Lの濃度になるように溶解した電解液を用いる。
膨潤率を求める際の電解液への浸漬は、50℃、3日間行う。50℃、3日間の浸漬を行うことにより被覆用樹脂が飽和吸液状態となる。なお、飽和吸液状態とは、それ以上電解液に浸漬しても被覆用樹脂の重量が増えない状態をいう。
なお、電極活物質層を製造する際に使用する電解液は、上記電解液に限定されるものではなく、他の電解液を使用してもよい。
【0038】
膨潤率が5%以上であると、リチウムイオンが高分子化合物を容易に透過することができるため、電極活物質層内でのイオン抵抗を低く保つことができる。膨潤率が5%未満であると、リチウムイオンの伝導性が低くなり、リチウムイオン電池としての性能が充分に発揮されないことがある。
【0039】
本発明の製造方法に用いる電極活物質組成物は、薄層の電極活物質層を得る観点から、粘着性を有することが好ましい。
ここで粘着とは、JIS Z0109:2015 粘着テープ・粘着シート用語に定義された、「高粘度液体に見られる現象であって、僅かな圧力を加えるだけで被着体に接着する現象」を意味し、粘着性とは僅かな圧力を加えるだけでは被着体に接着することができる性質を意味する。
そして、電極活物質組成物が粘着性を有する状態とは、電極活物質組成物に僅かな圧力を加えることで、電極活物質組成物に含まれる電極活物質粒子及び/又は被覆電極活物質粒子の一部又は全部が塊状に接着して合一化し、かつ、弱い力で分離することができる状態を意味する。
【0040】
被覆用樹脂による被覆を行わない電極活物質粒子を用いる場合、及び上記被覆電極活物質粒子を用いる場合には、電極活物質組成物に粘着性樹脂を混合して電極活物質組成物に粘着性を付与する方法を用いることができる。
また、上記被覆電極活物質粒子を用いる場合、電極活物質組成物に粘着性を付与する方法としては、電極活物質組成物中に被覆用樹脂を溶解可能な有機溶剤を添加し、電極活物質粒子表面にある被覆用樹脂の一部を溶解する方法を用いることができる。
なかでも、電極活物質組成物に粘着性樹脂を混合して電極活物質組成物に粘着性を付与する方法が好ましい。
【0041】
本発明の電極活物質層の製造方法に用いる電極活物質組成物は、さらに粘着性樹脂を含むことが好ましい。
粘着性樹脂とは、常温で短時間、僅かな圧力で被着体への可逆的な接着が可能な樹脂であり、酢酸ビニル、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ブチルアクリレート及びブチルメタクリレートからなる群から選択された少なくとも1種の低Tgモノマーを必須構成単量体として含むことが好ましい。上記低Tgモノマーの合計重量割合は、構成単量体の合計重量に基づいて、45重量%以上であることが好ましい。
なお、上記被覆用樹脂がその一部を溶解する溶剤を使用しなければ粘着性を発現しないのに対し、上記粘着性樹脂は、その一部を溶解する溶剤を用いることなく電極活物質組成物中で粘着性を発現する点で、上記被覆用樹脂と上記粘着性樹脂とは区別される。
【0042】
上記粘着性樹脂としては、上記必須構成単量体の他に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリル酸等を含む重合体であってもよい。
【0043】
電極活物質組成物に粘着性樹脂を用いる場合、電極活物質粒子の合計重量に対して、0.1〜6重量%の粘着性樹脂を用いることが好ましい。
【0044】
電解液としては、リチウムイオン電池の製造に用いられる、電解質及び非水溶媒を含有する公知の電解液を使用することができる。
【0045】
電解質としては、公知の電解液に用いられているもの等が使用でき、例えば、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiClO及びLiN(SOF)等の無機アニオンのリチウム塩、LiN(SOCF、LiN(SO及びLiC(SOCF等の有機アニオンのリチウム塩等が挙げられる。これらの内、電池出力及び充放電サイクル特性の観点から好ましいのはLiN(SOF)及びLiPFである。
【0046】
非水溶媒としては、公知の電解液に用いられているもの等が使用でき、例えば、ラクトン化合物、環状又は鎖状炭酸エステル、鎖状カルボン酸エステル、環状又は鎖状エーテル、リン酸エステル、ニトリル化合物、アミド化合物、スルホン、スルホラン等及びこれらの混合物を用いることができる。
【0047】
ラクトン化合物としては、5員環(γ−ブチロラクトン及びγ−バレロラクトン等)及び6員環のラクトン化合物(δ−バレロラクトン等)等を挙げることができる。
【0048】
環状炭酸エステルとしては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート及びブチレンカーボネート等が挙げられる。
鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート及びジ−n−プロピルカーボネート等が挙げられる。
【0049】
鎖状カルボン酸エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル及びプロピオン酸メチル等が挙げられる。
環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン及び1,4−ジオキサン等が挙げられる。
鎖状エーテルとしては、ジメトキシメタン及び1,2−ジメトキシエタン等が挙げられる。
【0050】
リン酸エステルとしては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸エチルジメチル、リン酸ジエチルメチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリ(トリフルオロメチル)、リン酸トリ(トリクロロメチル)、リン酸トリ(トリフルオロエチル)、リン酸トリ(トリパーフルオロエチル)、2−エトキシ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−オン、2−トリフルオロエトキシ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−オン及び2−メトキシエトキシ−1,3,2−ジオキサホスホラン−2−オン等が挙げられる。
ニトリル化合物としては、アセトニトリル等が挙げられる。アミド化合物としては、DMF等が挙げられる。スルホンとしては、ジメチルスルホン及びジエチルスルホン等が挙げられる。
非水溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0051】
非水溶媒の内、電池出力及び充放電サイクル特性の観点から好ましいのは、ラクトン化合物、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル及びリン酸エステルであり、更に好ましいのはラクトン化合物、環状炭酸エステル及び鎖状炭酸エステルであり、特に好ましいのは環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルの混合液である。最も好ましいのはエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合液、又は、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合液である。
【0052】
上述した被覆活物質粒子を製造する方法について説明する。
被覆活物質粒子は、例えば、被覆用樹脂及び電極活物質粒子並びに必要により用いる導電剤を混合することによって製造してもよく、被覆活物質層に導電剤を用いる場合には被覆用樹脂と導電剤とを混合して被覆材を準備したのち、該被覆材と電極活物質粒子とを混合することにより製造してもよく、被覆用樹脂、導電剤及び電極活物質粒子を混合することによって製造してもよい。
なお、電極活物質粒子と被覆用樹脂と導電剤とを混合する場合、混合順序には特に制限はないが、電極活物質粒子と被覆用樹脂とを混合した後、更に導電剤を加えて混合することが好ましい。
上記方法により、被覆用樹脂と必要により用いる導電剤を含む被覆活物質層によって電極活物質の表面の少なくとも一部が被覆される。
【0053】
被覆材の任意成分である導電剤としては、電極活物質組成物を構成する導電助剤と同様のものを好適に用いることができる。
【0054】
本発明の電極活物質層の製造方法に用いる電極活物質組成物は、電極活物質粒子と電解液とを含めば制限はないが、電極用バインダ(単に結着剤及びバインダとも呼ばれる。)を含まないことが好ましい。
本明細書において、電極用バインダとは、電極活物質同士及び電極活物質と集電体とを結着固定するために用いられる公知の溶剤乾燥型のリチウムイオン電池用結着剤(デンプン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、スチレン−ブタジエンゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン及びスチレン−ブタジエン共重合体等の材料であって、溶剤に溶解又は分散して用いられ、溶剤を揮発、留去して固体として析出させることで結着する材料)を意味する。これらの電極用バインダは、溶媒成分を揮発させることで乾燥した場合にその表面が粘着性を示すことなく固体化して、電極活物質同士及び電極活物質と集電体とを強固に固定するものである。
一方、粘着性樹脂は、溶媒成分を揮発させて乾燥させても固体化せずに粘着性を有する樹脂を意味するため、僅かな圧力を加えるだけでは被着体に接着できないものに固体化する電極用バインダと接着性樹脂とは異なる材料であり、区別される。
【0055】
電極活物質組成物が電極用バインダを含む場合には、シート状に成形する前かシート状に成形した後の少なくともいずれかのタイミングで乾燥を行って電極用バインダによる結着を行う必要がある。シート状に成形する前に乾燥を行う電極用バインダで固まった状態で圧縮することになるため圧力によるひび割れ等の欠陥が生じやすい。
また、シート状に成形した後に乾燥すると乾燥による収縮等によりひび割れ等の欠陥が生じやすい。本発明の電極活物質層の製造方法に用いる電極活物質組成物が、電極用バインダを含まない場合には、圧縮することによるひび割れ等の欠陥が生じることがないため好ましい。
【0056】
本発明の電極活物質層の製造方法により得られた電極活物質層は、基材の上に積層されたものであっても、基材を有さないものであってもよい。基材を有さない場合及び基材の上に電極活物質層が積層されており基材が集電体ではない場合には、電極活物質層と集電体とを組み合わせることによってリチウムイオン電池用電極となる。基材の上に電極活物質層が積層されており、基材が集電体である場合には、そのままリチウムイオン電池用電極となり、別途集電体と組み合わせる必要はない。
集電体と電極活物質層からなり、電極活物質粒子と電解液とを含む電極活物質組成物を、ロールプレス機を用いて集電体上にシート状に成形する成形工程を有し、上記電極活物質組成物の合計重量に基づく上記電解液の重量が0.1〜50重量%であることを特徴とするリチウムイオン電池用電極の製造方法もまた、本発明の一態様である。
【0057】
本発明のリチウムイオン電池の製造方法は、本発明の電極活物質層の製造方法により正極活物質層及び負極活物質層を得る工程と、上記正極活物質層及び上記負極活物質層を用いてリチウムイオン電池を製造する工程とを含むことを特徴とする。
本発明のリチウムイオン電池の製造方法としては、例えば、本発明の電極活物質層の製造方法により得られた正極活物質層及び負極活物質層を、集電体と組み合わせることによってリチウムイオン電池用正極及び負極を得た後、対となる電極と組み合わせてセパレータを介して配置し、必要に応じて電池外装体に収容する等の方法により、リチウムイオン電池を得る方法が挙げられる。
【0058】
本発明の電極活物質層の製造方法において、基材を構成する材料は特に限定されないが、正極集電体や負極集電体等の集電体として機能するもの、又は、集電体として機能しない材料であり、材料表面からの電極活物質層の分離が容易であるものが望ましい。
集電体としては、銅、アルミニウム、炭素コーティングアルミニウム、チタン、ステンレス鋼及びニッケル等の金属製集電箔、導電性高分子からなる樹脂集電体(特開2012−150905号公報等に記載されている)、導電性炭素シート及び導電性ガラスシート等が挙げられる。
集電体として機能しない材料からなる基材で、基材表面からの電極活物質層の剥離が容易であるものとしては、表面に離型処理等の非付着性処理を行った樹脂フィルムやフッ素樹脂等が好ましく挙げられる。
【0059】
本発明の電極活物質層の製造方法において、基材の膜厚は特に限定されないが、基材が集電体である場合には、膜厚が90〜110μmであることが好ましい。
【0060】
本発明の電極活物質層の製造方法において、基材の移動速度は特に限定されないが、ロールプレス機から排出された電極活物質層が滞留しないで、かつ余分な応力がかからないように移動できる速度に調整されることが望ましい。
【0061】
本発明のリチウムイオン電池の製造方法において、セパレータ等の材料としては、公知の材料を使用することができる。
【実施例】
【0062】
次に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特記しない限り部は重量部、%は重量%を意味する。
【0063】
<製造例1:粘着性樹脂の製造>
攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素ガス導入管を付した4つ口コルベンに、酢酸ビニル5.0部、2−エチルヘキシルアクリレート23.7部及び酢酸エチル185.5部を仕込み75℃に昇温した。酢酸ビニル11.1部、2−エチルヘキシルアクリレート21.0部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート28.1部、アクリル酸11.1部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.200部及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.200部を混合した。得られた単量体混合液をコルベン内に窒素を吹き込みながら、滴下ロートで4時間かけて連続的に滴下してラジカル重合を行った。滴下終了後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.800部を酢酸エチル12.4部に溶解した溶液を滴下ロートを用いて、重合を開始してから6〜8時間目にかけて連続的に追加した。さらに、沸点で重合を2時間継続し、酢酸エチルを702.4部加えて樹脂濃度10重量%の粘着性樹脂の溶液を得た。その後、100℃の減圧乾燥機内に3時間入れることで酢酸エチルを除去した。粘着性樹脂の重量平均分子量(以下、Mwと略記する)は420,000であった。
Mwは、以下の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定により求めた。
装置:「HLC−8120GPC」[東ソー(株)製]
カラム:「TSKgel GMHXL」(2本)、「TSKgel Multipore HXL−Mを各1本連結したもの」[いずれも東ソー(株)製]
試料溶液:0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:10μL
流量:0.6mL/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリスチレン[東ソー(株)製]
【0064】
<製造例2:電解液の調製>
エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)の混合溶媒(体積比率でEC:PC=1:1)にLiN(FSO(LiFSI)を2mol/Lの割合で溶解させ、リチウムイオン電池用電解液を調製した。
【0065】
<実施例1>
[正極活物質層の成形]
万能混合機ハイスピードミキサーFS25[(株)アーステクニカ製]を用いて、炭素繊維[大阪ガスケミカル(株)製 ドナカーボ・ミルド S−243]20部と製造例1で得た粘着性樹脂の溶液300部とアセチレンブラック[電気化学工業(株)製デンカブラック]57部とLiNi0.8Co0.15Al0.05[(株)BASF戸田バッテリーマテリアルズ製HED NCA−7050、体積平均粒子径10μm]875部を室温、720rpmの条件で15分撹拌した。撹拌を維持したまま0.01MPaまで減圧し、次いで撹拌と減圧度を維持したまま温度を80℃まで昇温し、撹拌、減圧度及び温度を8時間維持して揮発分を留去した。得られた混合物を300μmの金属メッシュを取り付けたハンマークラッシャーNH−34S[(株)三庄インダストリー製]で粉砕し造粒を行い、正極活物質粒子を得た。得られた正極活物質粒子では、正極活物質粒子の合計重量に対する粘着性樹脂の重量割合が3.06重量%であった。得られた正極活物質粒子98.2部と製造例2で作製した電解液1.8部とを遊星撹拌型混合混練装置{あわとり練太郎[(株)シンキー製]}に入れ、2000rpmで5分間混合して、電極活物質組成物の合計重量に基づく上記電解液の重量割合が1.8重量%である正極活物質組成物を作製した。得られた正極活物質組成物を指で押すと、正極活物質組成物に含まれる正極活物質粒子の一部が、塊状に接着して合一化し、かつ、弱い力で分離することができる状態であった。
得られた正極活物質組成物をロールプレス機にセットされた粉体投入口に入れ、以下の条件で正極活物質組成物の成形を行った。
ロールプレス機から排出された正極活物質層は、ガラス板の上に載せて移動しても形状が壊れない程度にしっかり固められており、厚さは均一で350μmであり、平滑な表面を有していた。また、正極電極活物質層の見掛け体積と、正極電極活物質層を構成する固体原料の重量と真密度の積の総和により求めた正極電極活物質層が有する空隙の合計空隙量に基づく電解液の重量は、0.26g/mLであった。
なお、正極活物質層の厚さは、マイクロメータにより測定した。
<ロールプレス機の条件>
・ロールサイズ:250mmφ×400mm
・ロール回転速度:1m/分
・ロールの間隔(ギャップ):350μm
・圧力:10kN(線圧:25kN/m)
【0066】
[負極活物質層の成形]
万能混合機ハイスピードミキサーFS25[(株)アーステクニカ製]を用いて、炭素繊維[大阪ガスケミカル(株)製 ドナカーボ・ミルド S−243]20部と製造例1で得た粘着性樹脂の溶液300部とアセチレンブラック[電気化学工業(株)製デンカブラック]57部とリチウムイオン電池用負極材炭素[クレハバッテリーマテリアルズジャパン、品名:カーボトロンP、粒子径:20μm]430部とを室温、720rpmの条件で15分撹拌した。撹拌を維持したまま0.01MPaまで減圧し、次いで撹拌と減圧度を維持したまま温度を80℃まで昇温し、撹拌、減圧度及び温度を8時間維持して揮発分を留去した。得られた混合物を300μmの金属メッシュを取り付けたハンマークラッシャーNH−34S[(株)三庄インダストリー製]で粉砕し造粒を行い、負極活物質粒子を得た。得られた負極活物質粒子では、負極活物質粒子の合計重量に対する粘着性樹脂の重量割合が5.59重量%であった。得られた負極活物質粒子98.2部と製造例2で作製した電解液1.8部とを遊星撹拌型混合混練装置{あわとり練太郎[(株)シンキー製]}に入れ、2000rpmで5分間混合して、電極活物質組成物の合計重量に基づく上記電解液の重量割合が1.8重量%である負極活物質組成物を作製した。
得られた負極活物質組成物を指で押すと、負極活物質組成物に含まれる負極活物質粒子の一部が、塊状に接着して合一化し、かつ、弱い力で分離することができる状態であった。
得られた負極活物質組成物を上記の[正極活物質層の成形]と同様にしてロールプレス機で成形し、負極活物質組成物の成形を行った。ロールプレス機から排出された負極活物質層は、ガラス板の上に載せて移動しても形状が壊れない程度にしっかり固められており、厚さは均一で350μmであり、平滑な表面を有していた。また、負極電極活物質層の見掛け体積と、負極電極活物質層を構成する固体原料の重量と真密度の積の総和により求めた負極電極活物質層が有する空隙の合計空隙量に基づく電解液の重量は、0.21g/mLであった。
【0067】
[リチウムイオン電池の作製]
電流取り出し用端子を取り付けたカーボンコートアルミ箔に上記で得られた正極活物質層(大きさ:18cm×9cm×350μm)を配置し、その上にセパレータ[セルガード3501、厚さ25μm]を配置し、さらに上記で得られた負極活物質層(大きさ:18.2cm×9.2cm×350μm)を配置し、その上に電流取り出し用端子を取り付けた銅箔を配置し、正極側と負極側の電流取り出し用端子が同じ方向に出る向きにし、それを2枚の市販の熱融着型アルミラミネートフィルム(25cm×13.2cm)に挟み、端子の出ている1辺を熱融着した。なお、上記の配置を行う際にも正極活物質層及び負極活物質層は自重で崩壊やひび割れ等することなく取り扱い可能であった。
その後、ラミネートセル内のアルミ箔が被るようにラミネートセルを閉じ、先に熱融着した1辺に直交する2辺をヒートシールした。
残る1辺から製造例2で作製した電解液5部を注入し、さらに、真空シーラーを用いてセル内を真空にしながら残る1辺をヒートシールすることでラミネートセルを密封し、リチウムイオン電池を作製した。
【0068】
[充放電試験の測定条件]
作製した電池を充放電測定装置「HJ0501SM」[北斗電工(株)製]にセットし、45℃の条件下で定電流定電圧充電方式により、まず0.05Cの電流で4.2Vまで充電して10分間の休止を行った。その後0.05Cの電流で2.5Vまで放電して10分間の休止の後に再び0.05Cの電流で4.2Vまで充電した。その後、上記の10分間の休止時間を挟んで行う0.05Cでの4.2Vまで充電と0.05Cでの2.5Vまで放電とを繰り返し、合計10回の充放電を行い、1回目放電時の容量と10回目放電時の容量を測定し、10サイクル目容量維持率を評価した。
その結果、実施例1で作製したリチウムイオン電池の10サイクル目容量維持率は97%であり、問題なく作動した。
なお、10サイクル目容量維持率は、下記の計算式で算出した。
10サイクル目容量維持率(%)=[(評価用電池の11回目の放電容量)÷(評価用電池の2回目の放電容量)×100]
【0069】
<実施例2>
[正極活物質層の成形]
正極活物質粒子を50部に変更し、製造例2で作製した電解液を50部に変更したこと以外は実施例1と同様にして電極活物質組成物の合計重量に基づく上記電解液の重量割合が50重量%である正極活物質組成物を作製した。
得られた正極活物質組成物を指で押すと、正極活物質組成物に含まれる正極活物質粒子の一部が、塊状に接着して合一化し、かつ、弱い力で分離することができる状態であった。得られた正極活物質組成物をロールプレス機にセットされた粉体投入口に入れ、実施例1と同様の条件で正極活物質組成物の成形を行った。
正極活物質組成物は余剰の電解液を分離しながらロールプレス機から排出され、排出された正極活物質層は、ガラス板の上に載せて移動しても形状が壊れない程度にしっかり固められており、厚さは均一で350μmであり、平滑な表面を有していた。また、正極電極活物質層の見掛け体積と、正極電極活物質層を構成する固体原料の重量と真密度の積の総和により求めた正極電極活物質層が有する空隙の合計空隙量に基づく電解液の重量は、0.47g/mLであった。
【0070】
[負極活物質層の成形]
負極活物質粒子を50部に変更し、製造例2で作製した電解液を50部に変更したこと以外は実施例1と同様にして電極活物質組成物の合計重量に基づく上記電解液の重量割合が50重量%である負極活物質組成物を作製した。
得られた負極活物質組成物を指で押すと、負極活物質組成物に含まれる負極活物質粒子の一部が、塊状に接着して合一化し、かつ、弱い力で分離することができる状態であった。得られた負極活物質組成物を実施例1と同様にしてロールプレス機で成形し、負極活物質組成物の成形を行った。負極活物質組成物は余剰の電解液を分離しながらロールプレス機から排出され、排出された負極活物質層は、ガラス板の上に載せて移動しても形状が壊れない程度にしっかり固められており、厚さは均一で350μmであり、平滑な表面を有していた。また、負極電極活物質層の見掛け体積と、負極電極活物質層を構成する固体原料の重量と真密度の積の総和により求めた負極電極活物質層が有する空隙の合計空隙量に基づく電解液の重量は、0.45g/mLであった。
【0071】
[リチウムイオン電池の作製]
実施例1と同様にして銅箔、正極活物質層、セパレータ、負極活物質層及びカーボンコートアルミ箔の積層を行い、電解液2部を注液した後、アルミラミネートフィルムへの密封を行い、リチウムイオン電池を作製した。なお、積層を行う際にも正極活物質層及び負極活物質層は、自重で崩壊やひび割れ等することなく取り扱い可能であった。
【0072】
[充放電試験の測定条件]
実施例1と同様にして充放電試験を行った結果、10サイクル目容量維持率は94%であり、問題なく作動した。
【0073】
<実施例3>
[正極活物質層の成形]
正極活物質粒子を80部に変更し、製造例2で作製した電解液を20部に変更したこと以外は実施例1と同様にして電極活物質組成物の合計重量に基づく上記電解液の重量割合が20重量%である正極活物質組成物を作製した。
得られた正極活物質組成物を指で押すと、正極活物質組成物に含まれる正極活物質粒子の一部が、塊状に接着して合一化し、かつ、弱い力で分離することができる状態であった。得られた正極活物質組成物をロールプレス機にセットされた粉体投入口に入れ、実施例1と同様の条件で正極活物質組成物の成形を行った。
正極活物質組成物は余剰の電解液を分離しながらロールプレス機から排出され、排出された正極活物質層は、ガラス板の上に載せて移動しても形状が壊れない程度にしっかり固められており、厚さは均一で350μmであり、平滑な表面を有していた。また、正極電極活物質層の見掛け体積と、正極電極活物質層を構成する固体原料の重量と真密度の積の総和により求めた正極電極活物質層が有する空隙の合計空隙量に基づく電解液の重量は、0.44g/mLであった。
【0074】
[負極活物質層の成形]
負極活物質粒子を80部に変更し、製造例2で作製した電解液を20部に変更したこと以外は実施例1と同様にして電極活物質組成物の合計重量に基づく上記電解液の重量割合が20重量%である負極活物質組成物を作製した。
得られた負極活物質組成物を指で押すと、負極活物質組成物に含まれる負極活物質粒子の一部が、塊状に接着して合一化し、かつ、弱い力で分離することができる状態であった。得られた負極活物質組成物を実施例1と同様にしてロールプレス機で成形し、負極活物質組成物の成形を行った。負極活物質組成物は余剰の電解液を分離しながらロールプレス機から排出され、排出された負極活物質層は、ガラス板の上に載せて移動しても形状が壊れない程度にしっかり固められており、厚さは均一で350μmであり、平滑な表面を有していた。また、負極電極活物質層の見掛け体積と、負極電極活物質層を構成する固体原料の重量と真密度の積の総和により求めた負極電極活物質層が有する空隙の合計空隙量に基づく電解液の重量は、0.42g/mLであった。
【0075】
[リチウムイオン電池の作製]
実施例1と同様にして銅箔、正極活物質層、セパレータ、負極活物質層及びカーボンコートアルミ箔の積層を行い、電解液2部を注液した後、アルミラミネートフィルムへの密封を行い、リチウムイオン電池を作製した。なお、積層を行う際にも正極活物質層及び負極活物質層は、自重で崩壊やひび割れ等することなく取り扱い可能であった。
【0076】
[充放電試験の測定条件]
実施例1と同様にして充放電試験を行った結果、10サイクル目容量維持率は98%であり、問題なく作動した。
【0077】
<実施例4>
[正極活物質層の成形]
正極活物質粒子を99.9部に変更し、製造例2で作製した電解液を0.1部に変更したこと以外は実施例1と同様にして電極活物質組成物の合計重量に基づく上記電解液の重量割合が0.1重量%である正極活物質組成物を作製した。
得られた正極活物質組成物を指で押すと、正極活物質組成物に含まれる正極活物質粒子の一部が、塊状に接着して合一化し、かつ、弱い力で分離することができる状態であった。得られた正極活物質組成物をロールプレス機にセットされた粉体投入口に入れ、実施例1と同様の条件で正極活物質組成物の成形を行った。
正極活物質組成物は余剰の電解液を分離しながらロールプレス機から排出され、排出された正極活物質層は、ガラス板の上に載せて移動しても形状が壊れない程度にしっかり固められており、厚さは均一で350μmであり、平滑な表面を有していた。また、正極電極活物質層の見掛け体積と、正極電極活物質層を構成する固体原料の重量と真密度の積の総和により求めた正極電極活物質層が有する空隙の合計空隙量に基づく電解液の重量は、0.02g/mLであった。
【0078】
[負極活物質層の成形]
負極活物質粒子を99.9部に変更し、製造例2で作製した電解液を0.1部に変更したこと以外は実施例1と同様にして電極活物質組成物の合計重量に基づく上記電解液の重量割合が0.1重量%である負極活物質組成物を作製した。
得られた負極活物質組成物を指で押すと、負極活物質組成物に含まれる負極活物質粒子の一部が、塊状に接着して合一化し、かつ、弱い力で分離することができる状態であった。得られた負極活物質組成物を実施例1と同様にしてロールプレス機で成形し、負極活物質組成物の成形を行った。負極活物質組成物は余剰の電解液を分離しながらロールプレス機から排出され、排出された負極活物質層は、ガラス板の上に載せて移動しても形状が壊れない程度にしっかり固められており、厚さは均一で350μmであり、平滑な表面を有していた。また、負極電極活物質層の見掛け体積と、負極電極活物質層を構成する固体原料の重量と真密度の積の総和により求めた負極電極活物質層が有する空隙の合計空隙量に基づく電解液の重量は、0.01g/mLであった。
【0079】
[リチウムイオン電池の作製]
実施例1と同様にして銅箔、正極活物質層、セパレータ、負極活物質層及びカーボンコートアルミ箔の積層を行い、電解液7部を注液した後、アルミラミネートフィルムへの密封を行い、リチウムイオン電池を作製した。なお、積層を行う際にも正極活物質層及び負極活物質層は、自重で崩壊やひび割れ等することなく取り扱い可能であった。
【0080】
[充放電試験の測定条件]
実施例1と同様にして充放電試験を行った結果、10サイクル目容量維持率は91%であり、問題なく作動した。
【0081】
<実施例5>
[正極活物質層の成形]
万能混合機ハイスピードミキサーFS25[(株)アーステクニカ製]を用いて、炭素繊維[大阪ガスケミカル(株)製 ドナカーボ・ミルド S−243]20部と製造例1で得た粘着性樹脂の濃度を1重量%に調整した溶液100部とアセチレンブラック[電気化学工業(株)製デンカブラック]57部とLiNi0.8Co0.15Al0.05[(株)BASF戸田バッテリーマテリアルズ製HED NCA−7050、体積平均粒子径10μm]875部を室温、720rpmの条件で15分撹拌した。撹拌を維持したまま0.01MPaまで減圧し、次いで撹拌と減圧度を維持したまま温度を80℃まで昇温し、撹拌、減圧度及び温度を8時間維持して揮発分を留去した。得られた混合物を300μmの金属メッシュを取り付けたハンマークラッシャーNH−34S[(株)三庄インダストリー製]で粉砕し造粒を行い、正極活物質粒子を得た。得られた正極活物質粒子では、正極活物質粒子の合計重量に対する粘着性樹脂の重量割合が0.10重量%であった。得られた正極活物質粒子98.2部と製造例2で作製した電解液1.8部とを遊星撹拌型混合混練装置{あわとり練太郎[(株)シンキー製]}に入れ、2000rpmで5分間混合して、電極活物質組成物の合計重量に基づく上記電解液の重量割合が1.8重量%である正極活物質組成物を作製した。得られた正極活物質組成物を指で押すと、正極活物質組成物に含まれる正極活物質粒子の一部が、塊状に接着して合一化し、かつ、弱い力で分離することができる状態であった。
得られた正極活物質組成物をロールプレス機にセットされた粉体投入口に入れ、以下の条件で正極活物質組成物の成形を行った。
ロールプレス機から排出された正極活物質層は、ガラス板の上に載せて移動しても形状が壊れない程度にしっかり固められており、厚さは均一で350μmであり、平滑な表面を有していた。また、正極電極活物質層の見掛け体積と、正極電極活物質層を構成する固体原料の重量と真密度の積の総和により求めた正極電極活物質層が有する空隙の合計空隙量に基づく電解液の重量は、0.26g/mLであった。
なお、正極活物質層の厚さは、マイクロメータにより測定した。
<ロールプレス機の条件>
・ロールサイズ:250mmφ×400mm
・ロール回転速度:1m/分
・ロールの間隔(ギャップ):350μm
・圧力:10kN(線圧:25kN/m)
【0082】
[負極活物質層の成形]
万能混合機ハイスピードミキサーFS25[(株)アーステクニカ製]を用いて、炭素繊維[大阪ガスケミカル(株)製 ドナカーボ・ミルド S−243]20部と製造例1で得た粘着性樹脂の濃度を1重量%に調整した溶液55部とアセチレンブラック[電気化学工業(株)製デンカブラック]57部とリチウムイオン電池用負極材炭素[クレハバッテリーマテリアルズジャパン、品名:カーボトロンP、粒子径:20μm]430部とを室温、720rpmの条件で15分撹拌した。撹拌を維持したまま0.01MPaまで減圧し、次いで撹拌と減圧度を維持したまま温度を80℃まで昇温し、撹拌、減圧度及び温度を8時間維持して揮発分を留去した。得られた混合物を300μmの金属メッシュを取り付けたハンマークラッシャーNH−34S[(株)三庄インダストリー製]で粉砕し造粒を行い、負極活物質粒子を得た。得られた負極活物質粒子では、負極活物質粒子の合計重量に対する粘着性樹脂との重量割合が0.11重量%であった。得られた負極活物質粒子98.2部と製造例2で作製した電解液1.8部とを遊星撹拌型混合混練装置{あわとり練太郎[(株)シンキー製]}に入れ、2000rpmで5分間混合して、電極活物質組成物の合計重量に基づく上記電解液の重量割合が1.8重量%である負極活物質組成物を作製した。
得られた負極活物質組成物を指で押すと、負極活物質組成物に含まれる負極活物質粒子の一部が、塊状に接着して合一化し、かつ、弱い力で分離することができる状態であった。
得られた負極活物質組成物を上記の[正極活物質層の成形]と同様にしてロールプレス機で成形し、負極活物質組成物の成形を行った。ロールプレス機から排出された負極活物質層は、ガラス板の上に載せて移動しても形状が壊れない程度にしっかり固められており、厚さは均一で350μmであり、平滑な表面を有していた。また、負極電極活物質層の見掛け体積と、負極電極活物質層を構成する固体原料の重量と真密度の積の総和により求めた負極電極活物質層が有する空隙の合計空隙量に基づく電解液の重量は、0.21g/mLであった。
【0083】
[リチウムイオン電池の作製]
電流取り出し用端子を取り付けたカーボンコートアルミ箔に上記で得られた正極活物質層(大きさ:18cm×9cm×350μm)を配置し、その上にセパレータ[セルガード3501、厚さ25μm]を配置し、さらに上記で得られた負極活物質層(大きさ:18.2cm×9.2cm×350μm)を配置し、その上に電流取り出し用端子を取り付けた銅箔を配置し、正極側と負極側の電流取り出し用端子が同じ方向に出る向きにし、それを2枚の市販の熱融着型アルミラミネートフィルム(25cm×13.2cm)に挟み、端子の出ている1辺を熱融着した。なお、上記の配置を行う際にも正極活物質層及び負極活物質層は自重で崩壊やひび割れ等することなく取り扱い可能であった。
その後、ラミネートセル内のアルミ箔が被るようにラミネートセルを閉じ、先に熱融着した1辺に直交する2辺をヒートシールした。
残る1辺から製造例2で作製した電解液5部を注入し、さらに、真空シーラーを用いてセル内を真空にしながら残る1辺をヒートシールすることでラミネートセルを密封し、リチウムイオン電池を作製した。
【0084】
[充放電試験の測定条件]
実施例1と同様にして充放電試験を行った結果、10サイクル目容量維持率は98%であり、問題なく作動した。
【0085】
<実施例6>
[正極活物質層の成形]
万能混合機ハイスピードミキサーFS25[(株)アーステクニカ製]を用いて、炭素繊維[大阪ガスケミカル(株)製 ドナカーボ・ミルド S−243]20部と製造例1で得た粘着性樹脂の濃度を20重量%に調整した溶液600部とアセチレンブラック[電気化学工業(株)製デンカブラック]57部とLiNi0.8Co0.15Al0.05[(株)BASF戸田バッテリーマテリアルズ製HED NCA−7050、体積平均粒子径10μm]875部を室温、720rpmの条件で15分撹拌した。撹拌を維持したまま0.01MPaまで減圧し、次いで撹拌と減圧度を維持したまま温度を80℃まで昇温し、撹拌、減圧度及び温度を8時間維持して揮発分を留去した。得られた混合物を300μmの金属メッシュを取り付けたハンマークラッシャーNH−34S[(株)三庄インダストリー製]で粉砕し造粒を行い、正極活物質粒子を得た。得られた正極活物質粒子では、正極活物質粒子の合計重量に対する粘着性樹脂の重量割合が11.19重量%であった。得られた正極活物質粒子98.2部と製造例2で作製した電解液1.8部とを遊星撹拌型混合混練装置{あわとり練太郎[(株)シンキー製]}に入れ、2000rpmで5分間混合して、電極活物質組成物の合計重量に基づく上記電解液の重量割合が1.8重量%である正極活物質組成物を作製した。得られた正極活物質組成物を指で押すと、正極活物質組成物に含まれる正極活物質粒子の一部が、塊状に接着して合一化し、かつ、弱い力で分離することができる状態であった。
得られた正極活物質組成物をロールプレス機にセットされた粉体投入口に入れ、以下の条件で正極活物質組成物の成形を行った。
ロールプレス機から排出された正極活物質層は、ガラス板の上に載せて移動しても形状が壊れない程度にしっかり固められており、厚さは均一で350μmであり、平滑な表面を有していた。また、正極電極活物質層の見掛け体積と、正極電極活物質層を構成する固体原料の重量と真密度の積の総和により求めた正極電極活物質層が有する空隙の合計空隙量に基づく電解液の重量は、0.26g/mLであった。
なお、正極活物質層の厚さは、マイクロメータにより測定した。
【0086】
[負極活物質層の成形]
実施例5と同様にして電極活物質組成物の合計重量に基づく上記電解液の重量割合が1.8重量%である負極活物質組成物を作製した。
得られた負極活物質組成物を指で押すと、負極活物質組成物に含まれる負極活物質粒子の一部が、塊状に接着して合一化し、かつ、弱い力で分離することができる状態であった。
得られた負極活物質組成物を上記の[正極活物質層の成形]と同様にしてロールプレス機で成形し、負極活物質組成物の成形を行った。ロールプレス機から排出された負極活物質層は、ガラス板の上に載せて移動しても形状が壊れない程度にしっかり固められており、厚さは均一で350μmであり、平滑な表面を有していた。また、負極電極活物質層の見掛け体積と、負極電極活物質層を構成する固体原料の重量と真密度の積の総和により求めた負極電極活物質層が有する空隙の合計空隙量に基づく電解液の重量は、0.21g/mLであった。
【0087】
[リチウムイオン電池の作製]
電流取り出し用端子を取り付けたカーボンコートアルミ箔に上記で得られた正極活物質層(大きさ:18cm×9cm×350μm)を配置し、その上にセパレータ[セルガード3501、厚さ25μm]を配置し、さらに上記で得られた負極活物質層(大きさ:18.2cm×9.2cm×350μm)を配置し、その上に電流取り出し用端子を取り付けた銅箔を配置し、正極側と負極側の電流取り出し用端子が同じ方向に出る向きにし、それを2枚の市販の熱融着型アルミラミネートフィルム(25cm×13.2cm)に挟み、端子の出ている1辺を熱融着した。なお、上記の配置を行う際にも正極活物質層及び負極活物質層は自重で崩壊やひび割れ等することなく取り扱い可能であった。
その後、ラミネートセル内のアルミ箔が被るようにラミネートセルを閉じ、先に熱融着した1辺に直交する2辺をヒートシールした。
残る1辺から製造例2で作製した電解液5部を注入し、さらに、真空シーラーを用いてセル内を真空にしながら残る1辺をヒートシールすることでラミネートセルを密封し、リチウムイオン電池を作製した。
【0088】
[充放電試験の測定条件]
実施例1と同様にして充放電試験を行った結果、10サイクル目容量維持率は73%であり、問題なく作動した。
【0089】
<比較例1>
[比較用負極活物質層の成形]
リチウムイオン電池用負極材炭素100部、アセチレンブラック5部、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩1.5部及びジエン系重合体のラテックス(ガラス転移温度:−19℃)を固形分相当で10部を万能混合機ハイスピードミキサーFS25に入れ、室温、720rpmで撹拌した状態で、イオン交換水を固形分濃度が20%となるように加え、さらに5分撹拌した。その後、撹拌を維持したまま0.01MPaまで減圧し、次いで撹拌と減圧度を維持したまま温度を140℃まで昇温し、撹拌、減圧度及び温度を8時間維持して揮発分を留去して比較用負極活物質組成物を得た。
得られた比較用負極活物質組成物を指で押しても、比較用負極活物質組成物に含まれる負極活物質粒子の一部又は全部が合一化することはなく、粘着性を示さなかった。
得られた比較用負極活物質組成物を電解液と混合することなく、実施例1と同様にしてロールプレス機で成形し、負極活物質組成物の成形を行った。ロールプレス機から排出された負極活物質層は脆く崩れやすいものであり、厚さは均一ではなく、最も薄い部分が580μmであり、その表面も平滑ではなかった。また、比較用負極電極活物質層の見掛け体積と、比較用負極電極活物質層を構成する固体原料の重量と真密度の積の総和により求めた比較用負極電極活物質層が有する空隙の合計空隙量に基づく電解液の重量は、0g/mLであった。
【0090】
[リチウムイオン電池の作製]
負極活物質層として、上記で作製した比較用負極活物質層を用いたこと以外は実施例1と同様にして銅箔、正極活物質層、セパレータ、負極活物質層及びカーボンコートアルミ箔の積層とアルミラミネートフィルムへの密封を行い、電解液を注入して比較用リチウムイオン電池1を作製した。
【0091】
[充放電試験の測定条件]
実施例1と同様にして充放電試験を行った結果、比較用リチウムイオン電池1の10サイクル目容量維持率は61%であり、リチウムイオン電池として十分な性能を有していなかった。負極において、厚い膜厚の電極しか成形できず、内部抵抗が高くなり、レート特性が悪化したためと推定される。
【0092】
<比較例2>
[比較用正極活物質層の成形]
LiNi0.8Co0.15Al0.05[(株)BASF戸田バッテリーマテリアルズ製HED NCA−7050、体積平均粒子径10μm]100部、アセチレンブラック5部、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩1.5部及びジエン系重合体のラテックス(ガラス転移温度:−19℃)を固形分相当で10部を万能混合機ハイスピードミキサーFS25に入れ、室温、720rpmで撹拌した状態で、イオン交換水を固形分濃度が20%となるように加え、さらに5分撹拌した。その後、撹拌を維持したまま0.01MPaまで減圧し、次いで撹拌と減圧度を維持したまま温度を140℃まで昇温し、撹拌、減圧度及び温度を8時間維持して揮発分を留去して比較用正極活物質組成物を得た。
得られた比較用正極活物質組成物を指で押しても、比較用正極活物質組成物に含まれる正極活物質粒子の一部又は全部が合一化することはなく、粘着性を示さなかった。
得られた比較用正極活物質組成物を電解液と混合することなく、実施例1と同様にしてロールプレス機で成形し、正極活物質組成物の成形を行った。ロールプレス機から排出された正極活物質層は脆く崩れやすいものであり、厚さは均一ではなく、最も薄い部分が580μmであり、その表面も平滑ではなかった。また、比較用正極電極活物質層の見掛け体積と、比較用正極電極活物質層を構成する固体原料の重量と真密度の積の総和により求めた比較用正極電極活物質層が有する空隙の合計空隙量に基づく電解液の重量は、0g/mLであった。
【0093】
[リチウムイオン電池の作製]
正極活物質層として、上記で作製した比較用正極活物質層を用いたこと以外は実施例1と同様にして銅箔、正極活物質層、セパレータ、負極活物質層及びカーボンコートアルミ箔の積層とアルミラミネートフィルムへの密封を行い、電解液を注入して比較用リチウムイオン電池2を作製した。
【0094】
[充放電試験の測定条件]
実施例1と同様にして充放電試験を行った結果、比較用リチウムイオン電池2の10サイクル目容量維持率は54%であり、リチウムイオン電池として十分な性能を有していなかった。正極において、厚い膜厚の電極しか成形できず、内部抵抗が高くなり、レート特性が悪化したためと推定される。
【0095】
<比較例3>
[リチウムイオン電池の作製]
正極活物質層として比較例2で作製した比較用正極活物質層を、負極活物質層として比較例1で作製した比較用負極活物質層を用いたこと以外は実施例1と同様にして銅箔、正極活物質層、セパレータ、負極活物質層及びカーボンコートアルミ箔の積層とアルミラミネートフィルムへの密封を行い、電解液を注入して比較用リチウムイオン電池3を作製した。
【0096】
[充放電試験の測定条件]
実施例1と同様にして充放電試験を行った結果、比較用リチウムイオン電池3の10サイクル目容量維持率は34%であり、リチウムイオン電池として十分な性能を有していなかった。厚い膜厚の電極しか成形できず、内部抵抗が高くなり、レート特性が悪化したためと推定される。
【0097】
【表1】
【0098】
本発明の電極活物質層の製造方法では、電極活物質層を形成する際に乾燥・加熱工程が必要なく、水、溶剤を用いない乾式法によるリチウムイオン電池の製造方法(比較例)と比較して、簡便な工程で、薄い取り扱いが容易な電極活物質層を得ることができることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明の電極活物質層の製造方法により得られる電極活物質層は、特に、携帯電話、パーソナルコンピューター、ハイブリッド自動車及び電気自動車用に用いられる双極型二次電池用及びリチウムイオン二次電池用等を製造する方法として有用である。
【符号の説明】
【0100】
10 電極活物質組成物
11 電極活物質層
110 ロール
20 基材
210 基材搬送手段
210a 載置部
210b 駆動部
図1
図2