【解決手段】半導体装置1は、半導体基板2と、半導体基板2に形成された単位セル(MISFET)と、半導体基板2に形成された第1トレンチ50と、単位セルから電気的に分離され、第1トレンチ50内に配置されたn型部56およびp型部55を有するダイオード49と、半導体基板2に形成された第2トレンチと、単位セルと電気的に接続され、第2トレンチ内に配置された一対のn
前記ダイオードは、平面視環状に形成された前記第1導電型部と、前記第1導電型部に取り囲まれた領域に形成された前記第2導電型部とを含む、請求項1または2に記載の半導体装置。
前記ゲート絶縁膜は、前記ゲートトレンチの側面に配置された第1部分と、前記ゲート絶縁膜の前記第1部分よりも厚く形成され、前記ゲートトレンチの底面に配置された第2部分とを含む、請求項6〜8のいずれか一項に記載の半導体装置。
前記双方向ツェナーダイオードの前記一対の第1導電型部の一方は、前記ゲート電極に電気的に接続され、前記一対の第1導電型部の他方は、前記ソース領域に電気的に接続されている、請求項6〜12のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置1の模式的な平面図である。
半導体装置1は、たとえば、ディスクリート半導体装置であって、この実施形態では、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)として構成されている。半導体装置1は、本発明の半導体層の一例としての半導体基板2を備えている。半導体基板2は、平面視四角形状に形成されていてもよい。この実施形態では、半導体基板2は、一対の長辺および一対の短辺を有する平面視長方形状に形成されている。
【0020】
半導体基板2において、一対の長辺および一対の短辺で取り囲まれた領域は、半導体基板2の第1面3である。半導体基板2の第1面3は、半導体基板2の表面と称してもよい。また、半導体基板2の第1面3の反対側の面(
図2参照)は、第2面4である。半導体基板2の第2面4は、半導体基板2の裏面と称してもよい。
また、半導体基板2の一対の長辺を定義する面は、第3面5および第4面6である。第3面5および第4面6は、互いに対向している。一方、半導体基板2の一対の短辺を定義する面は、第5面7および第6面8である。第5面7および第6面8は、互いに対向している。半導体基板2の第3面5、第4面6、第5面7および第6面8は、第1面3と第2面4との間を接続している。また、半導体基板2の第3面5、第4面6、第5面7および第6面8は、半導体基板2の側面と称してもよい。また、半導体基板2の第1面3において、第3面5、第4面6、第5面7および第6面8の近傍領域は、半導体基板2の周縁部と称してもよい。
【0021】
半導体基板2の第1面3には、互いに分離された複数の導体パターンが形成されている。複数の導体パターンは、それぞれ、AlCu、AlSiCu等、Alを含む合金からなっていてもよい。複数の導体パターンは、この実施形態では、ゲート導電膜9、アノード導電膜10、カソード導電膜11およびソース導電膜12を含んでいてもよい。なお、
図1では、明瞭化のため、ゲート導電膜9、アノード導電膜10およびカソード導電膜11にハッチングを付している。
【0022】
ゲート導電膜9は、ゲートパッド13と、ゲートフィンガー14とを含んでいてもよい。ゲートパッド13は、この実施形態では、平面視において半導体基板2の1つの角部に配置されている。ゲートフィンガー14は、平面視において、ゲートパッド13から半導体基板2の第3面5、第4面6、第5面7および第6面8に沿うように(たとえば、平行に)延びている。この実施形態では、ゲートフィンガー14は、半導体基板2の周縁部の全体に亘って環状に形成されている。
【0023】
アノード導電膜10は、アノードパッド15と、アノードフィンガー16と、アノード電極17とを含んでいてもよい。また、カソード導電膜11は、カソードパッド18と、カソードフィンガー19と、カソード電極20とを含んでいてもよい。アノード導電膜10およびカソード導電膜11は、ゲートフィンガー14で取り囲まれた領域に形成されている。なお、ゲートフィンガー14で取り囲まれた領域を、半導体基板2のアクティブ領域23と称し、ゲートフィンガー14が形成された領域および当該領域よりも外側の領域を、半導体基板2の外周領域24と称してもよい。
【0024】
アノードパッド15およびカソードパッド18は、この実施形態では、ゲートパッド13が配置された角部とは異なる半導体基板2の1つの角部に、互いに並んで配置されている。より具体的には、半導体基板2の1つの短辺(
図1では、第5面7によって定義される短辺)の一端部にゲートパッド13が配置され、当該短辺の他端部にアノードパッド15およびカソードパッド18が配置されている。
【0025】
アノードフィンガー16およびカソードフィンガー19は、それぞれ、アノードパッド15およびカソードパッド18から半導体基板2の第5面7に沿うように延び、半導体基板2の短辺の途中部で半導体基板2の中央部に向かって屈曲している。アノードフィンガー16およびカソードフィンガー19は、アノードパッド15およびカソードパッド18から半導体基板2の中央部まで互いに平行に配置され、半導体基板2の中央部において、所定の広さの電極領域21を区画するように離れて配置されている。すなわち、電極領域21は、半導体基板2の中央部においてアノードフィンガー16およびカソードフィンガー19によって取り囲まれた領域である。
【0026】
電極領域21を挟んでアノードフィンガー16およびカソードフィンガー19は、互いに対向して配置されている。アノード電極17は、アノードフィンガー16からカソードフィンガー19へ向かって延び、電極領域21内に配置されている。同様に、カソード電極20は、カソードフィンガー19からアノードフィンガー16へ向かって延び、電極領域21内に配置されている。
【0027】
また、この実施形態では、アノード電極17およびカソード電極20以外の導電パターンとして、ダイオード配線22が形成されている。ダイオード配線22は、アノード電極17およびカソード電極20から分離されている。
ソース導電膜12は、アクティブ領域23の、アノード導電膜10およびカソード導電膜11が形成された領域を除くほぼ全域を覆うように形成されている。
【0028】
なお、
図1では省略するが、半導体基板2の第1面3には、ゲート導電膜9、アノード導電膜10、カソード導電膜11およびソース導電膜12等の導電パターンを覆うように、パッシベーション膜68(
図5および
図7参照)が形成されていてもよい。ワイヤボンディング用の領域を確保するためにゲートパッド13、アノードパッド15、カソードパッド18およびソース導電膜12の一部を露出させることを除いて、複数の導電パターンは、当該パッシベーション膜68に覆われていてもよい。
【0029】
また、
図1の説明において、「半導体基板2の第1面3に形成されている」構成は、半導体基板2の第1面3に直接形成されている構成に加えて、半導体基板2との間に1つまたは複数の別の層を挟んで形成され、半導体基板2の第1面3の領域内に単に配置されている構成も含むものとする。
図2は、
図1のII−II線に沿う断面図であって、半導体装置1のトランジスタ構造を説明するための図である。
【0030】
図2を参照して、半導体基板2のアクティブ領域23に備えられるMISFETの具体的な構造を説明する。
半導体基板2は、ベース基板25と、ベース基板25上に形成されたエピタキシャル層26とを含む。ベース基板25は、シリコン製のn
+型半導体層であってもよい。エピタキシャル層26は、シリコン製のn
−型半導体層であってもよい。エピタキシャル層26によって、半導体基板2の第1面3が形成されており、ベース基板25によって半導体基板2の第2面4が形成されている。
【0031】
ベース基板25のn型不純物濃度は、たとえば1.0×10
19cm
−3〜1.0×10
20cm
−3であってもよい。エピタキシャル層26のn型不純物濃度は、たとえば1.0×10
15cm
−3〜1.0×10
17cm
−3であってもよい。
半導体基板2の第2面4には、ドレイン電極27が接続されている。これにより、n型のベース基板25およびエピタキシャル層26が、n型のドレイン領域28として形成されている。ドレイン電極27の材料としては、たとえば、ゲート導電膜9等の複数の導電パターンの材料と同一のものを適用できる。
【0032】
半導体基板2には、ゲートトレンチ29が形成されている。ゲートトレンチ29の深さは、たとえば、0.5μm〜1.5μmである。ゲートトレンチ29は、MISFETの本発明のトランジスタセル部の一例としての単位セル30を区画している。ゲートトレンチ29は、半導体基板2の第1面3に形成されている。ゲートトレンチ29は、平面視ストライプ状に形成されていてもよいし、平面視格子状に形成されていてもよい。隣り合うゲートトレンチ29の間の距離で定義される単位セル30のセルピッチは、たとえば1.0μm〜2.0μmであってもよい。そして、このような単位セル30は、
図1のソース導電膜12で覆われた領域の全体に亘って形成されている。
【0033】
ゲートトレンチ29の内面には、ゲート絶縁膜31が形成されている。ゲート絶縁膜31は、たとえば、酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁材料からなっていてもよい。ゲート絶縁膜31は、ゲートトレンチ29の側面に配置された第1部分32と、ゲート絶縁膜31の第1部分32よりも厚く形成され、ゲートトレンチ29の底面に配置された第2部分33とを含む。第1部分32の厚さは、たとえば、300Å〜1500Åであり、第2部分33の厚さは、たとえば、1500Å〜4000Åであってもよい。
【0034】
ゲートトレンチ29には、ゲート絶縁膜31を介してゲート電極34が埋め込まれている。ゲート電極34は、たとえば、ポリシリコン等の導電材料からなっていてもよい。ゲート電極34は、半導体基板2の第1面3と面一な上面35を有している。ゲート電極34は、
図1において、ソース導電膜12とゲートフィンガー14との境界付近において、ゲートフィンガー14に電気的に接続されている。
【0035】
ゲートトレンチ29の側方において、半導体基板2の第1面3から第2面4に向かって順に、ソース領域36、ボディ領域37およびドレイン領域28が形成されている。ソース領域36およびボディ領域37は、それぞれ、n型の半導体領域およびp型の半導体領域であってもよい。ソース領域36のn型不純物濃度は、たとえば1.0×10
19cm
−3〜1.0×10
20cm
−3であってもよい。ボディ領域37のp型不純物濃度は、たとえば1.0×10
15cm
−3〜1.0×10
17cm
−3であってもよい。
【0036】
すなわち、ソース領域36が半導体基板2の最表面に形成され、第1面3から露出している。ボディ領域37は、ソース領域36とドレイン領域28との間に挟まれている。ソース領域36、ボディ領域37およびドレイン領域28は、ゲートトレンチ29の内面として露出している。そして、ゲート電極34は、ソース領域36、ボディ領域37およびドレイン領域28に跨って配置されており、ソース領域36、ボディ領域37およびドレイン領域28の全てに対向している。
【0037】
この実施形態では、半導体基板2には、さらに、ソーストレンチ38が形成されている。ソーストレンチ38は、半導体基板2の第1面3からソース領域36およびボディ領域37を通過して、ドレイン領域28に達するように形成されている。ソーストレンチ38の深さは、たとえば、ゲートトレンチ29と同じであってもよい。したがって、ソーストレンチ38の深さは、たとえば、0.5μm〜1.5μmであってもよい。ソース領域36およびボディ領域37は、ソーストレンチ38の側面として露出いている。
【0038】
ソーストレンチ38の内面には、絶縁膜39が形成されている。絶縁膜39は、たとえば、酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁材料からなっていてもよい。絶縁膜39の厚さは、絶縁膜39の全体にわたって一様な厚さであってもよい。この実施形態では、絶縁膜39の厚さは、ゲート絶縁膜31の第1部分32と同じであってもよい。また、絶縁膜39は、ソース領域36およびボディ領域37をソーストレンチ38の側面に露出させるように、ソーストレンチ38の内面の一部に選択的に形成されていてもよい。すなわち、絶縁膜39は、半導体基板2の第1面3に対してソーストレンチ38の深さ方向に後退した位置(ボディ領域37の途中部)に上端部40を有している。
【0039】
ソーストレンチ38には、絶縁膜39を介して導電体41が埋め込まれている。導電体41は、たとえば、ゲート電極34と同じ材料(たとえば、ポリシリコン)からなっていてもよい。導電体41は、ソーストレンチ38において、絶縁膜39の内方領域のみに形成されており、この実施形態では、絶縁膜39の上端部40と面一な上面42を有するように、ソーストレンチ38に埋め込まれている。したがって、導電体41の上面42は、ゲート電極34の上面35に対して、ゲートトレンチ29およびソーストレンチ38の底部側に位置している。
【0040】
ソーストレンチ38の周囲には、不純物領域43が形成されている。不純物領域43は、p型の半導体領域であってもよい。不純物領域43のp型不純物濃度は、たとえば1.0×10
15cm
−3〜1.0×10
17cm
−3であってもよい。
不純物領域43は、この実施形態では、ボディ領域37に連なって形成され、ソーストレンチ38の内面に露出している。より具体的には、不純物領域43は、ボディ領域37からソーストレンチ38の底部へ向かってソーストレンチ38の側面に沿って延びる第1部分44と、ソーストレンチ38の底面から半導体基板2の第2面4に向かって延びる第2部分45とを一体的に有していてもよい。
【0041】
不純物領域43の第1部分44は、ソーストレンチ38の側面からソーストレンチ38の深さ方向と直交する方向に、一様な厚さを有している。たとえば、その厚さは、約0.2μmであってもよい。
一方、不純物領域43の第2部分45は、ソーストレンチ38の底面から半導体基板2の第2面4へ向かう方向の厚さが一様ではない。より具体的には、第2部分45は、ソーストレンチ38の幅方向中央部の直下の位置を頂部とし、半導体基板2の第2面4へ突出する断面視弧状に形成されている。これにより、第2部分45の厚さは、ソーストレンチ38の幅方向両端部から中央部に向かって漸増する大きさとなっている。たとえば、第2部分45の最も大きな厚さ(弧状の頂部の厚さ)は、たとえば、約0.4μmであってもよい。
【0042】
また、不純物領域43には、第1部分44と第2部分45との境界部に、ソーストレンチ38の底部の角部に向かって凹む凹部46が形成されていてもよい。
半導体基板2の第1面3の上には、単位セル30を覆う絶縁層47が形成されている。絶縁層47は、たとえば、複数の絶縁膜が積層された積層構造を有していてもよいし、1つの絶縁膜だけを含む単層構造を有していてもよい。絶縁層47は、たとえば酸化シリコン(SiO
2)または窒化シリコン(SiN)を含んでいてもよい。
【0043】
絶縁層47には、コンタクト孔48が形成されている。コンタクト孔48は、ソーストレンチ38および半導体基板2の第1面3におけるソーストレンチ38の周囲のソース領域36を、絶縁層47から露出させている。
ソース導電膜12は、絶縁層47の上に形成されている。ソース導電膜12は、絶縁層47の上からコンタクト孔48に入り込むと共に、ソーストレンチ38に入り込んでいる。ソース導電膜12は、ソーストレンチ38の側面においてソース領域36およびボディ領域37に接しており、半導体基板2の第1面3においてソース領域36に接している。これにより、ソース導電膜12は、ソース領域36およびボディ領域37に電気的に接続されている。
【0044】
また、この実施形態では、ソース導電膜12は、ソーストレンチ38内の導電体41に電気的に接続されている。より具体的には、導電体41の上面42はソーストレンチ38において露出しており、ソース導電膜12は、導電体41の上面42に接するようにソーストレンチ38に埋め込まれている。
図3は、
図1の二点鎖線IIIで囲まれた部分の拡大図である。
図4は、
図1の二点鎖線IIIで囲まれた部分の拡大図である。
図5は、
図3のV−V線に沿う断面図である。
【0045】
図3〜
図5を参照して、半導体基板2のアクティブ領域23に備えられたダイオード49の具体的な構造を説明する。なお、
図3は、アノード導電膜10およびカソード導電膜11の形状、ならびにダイオード49の平面形状を主に示している。
図4は、アノード導電膜10およびカソード導電膜11の形状、ならびに当該導電膜10,11とダイオード49とのコンタクト形状を主に示している。
図5は、ダイオード49の断面形状を主に示している。
【0046】
半導体基板2のエピタキシャル層26には、第1トレンチ50が形成されている。第1トレンチ50の深さは、たとえば、ゲートトレンチ29と同じであってもよい。したがって、第1トレンチ50の深さは、たとえば、0.5μm〜1.5μmであってもよい。また、第1トレンチ50は、
図5に示すように、ベース基板25とエピタキシャル層26との界面に対して、半導体基板2の第1面3側(つまり、エピタキシャル層26内)に底部を有している。
【0047】
第1トレンチ50は、
図3および
図4に示すように、ソース導電膜12で覆われていない領域にゲートトレンチ29から独立して形成されている。この実施形態では、第1トレンチ50は、平面視四角形状に形成されている。ソース導電膜12で覆われた領域の全体に亘ってゲートトレンチ29が形成されていることから、第1トレンチ50は、アクティブ領域23内で多数の単位セル30と隣接している。
【0048】
ダイオード49は、第1トレンチ50内に配置されている。ダイオード49と第1トレンチ50との内面に第1絶縁膜51が形成されることによって、ダイオード49と半導体基板2との間が絶縁されている。
第1絶縁膜51は、たとえば、酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁材料からなっていてもよい。第1絶縁膜51は、第1トレンチ50の底面に形成された第1部分52と、ダイオード49を覆うと共に、第1トレンチ50の第1部分52よりも上側の部分に埋め込まれた第2部分53とを含んでいてもよい。
【0049】
第1絶縁膜51の第1部分52は、第1トレンチ50の底面全体に亘って、一様な厚さで形成されており、その厚さt
1は、たとえば、1500Å〜4000Åであってもよい。
そして、この第1絶縁膜51の上に、ダイオード49が配置されている。ダイオード49は、ゲート電極34と同じ材料(この実施形態では、ポリシリコン)からなっていてもよい。この実施形態では、1つの第1トレンチ50に、複数のダイオード49(
図3〜
図5では、5つ)が互いに間隔を空けて配置されている。複数のダイオード49は、たとえば、平面視長方形状の第1トレンチ50の長手方向に沿って配列されていてもよい。
【0050】
また、各ダイオード49は、第1トレンチ50の側面から間隔を空けて形成されている。したがって、複数のダイオード49は、第1トレンチ50の側面によって取り囲まれた領域内に配置されている。各ダイオード49の側面と第1トレンチ50の側面と距離は、各ダイオード49の厚さよりも大きくなっている。たとえば、各ダイオード49の側面と第1トレンチ50の側面と距離が、5μm〜15μmであり、各ダイオード49の厚さが、3000Å〜8000Åであってもよい。
【0051】
各ダイオード49は、
図5に示すように、半導体基板2の第1面3と面一な上面54(平坦面)を有している。各ダイオード49の上面54は、第1トレンチ50の底面と平行であってもよい。
各ダイオード49は、この実施形態では、本発明の第2導電型部の一例としてのp型部55と、p型部55を取り囲む本発明の第1導電型部の一例としてのn型部56とを含む。たとえば、p型部55は、平面視円形状に形成され、n型部56は、平面視環状に形成されている。
【0052】
なお、p型部55をn型部56で取り囲む構成であれば、p型部55およびn型部56が平面視で重なっていないので、別途引き回し配線等を必要とせず、p型部55およびn型部56のどちらに対しても、簡単にコンタクトをとることができる。
p型部55およびn型部56は、それぞれ、
図5に示すようにポリシリコン層の厚さ方向において表面96から裏面97に達するように形成されていてもよいし、図示はしないが、ポリシリコン層の表面部に選択的に形成されていてもよい。なお、p型部55はn型部56で取り囲まれていなくてもよく、たとえば、p型部55およびn型部56は、互い隣接して形成されることによって、共有しない周縁を一部に有していてもよい。
【0053】
また、p型部55のp型不純物濃度は、たとえば、1×10
15cm
−3〜1×10
20cm
−3あってよい。n型部56のn型不純物濃度は、たとえば、1×10
18cm
−3〜5×10
21cm
−3であってよい。
第1絶縁膜51の第2部分53は、
図5に示すように、隣り合うダイオード49の間およびダイオード49と第1トレンチ50の側面との間の部分を埋め尽くすと共に、ダイオード49を覆うように、半導体基板2上に形成されている。
【0054】
第2部分53の第1トレンチ50の側面上の部分(第1トレンチ50の側面に接する部分)の厚さt
2は、第1部分52の厚さt
1よりも厚く、たとえば、5μm〜15μmであってもよい。
そして、アノード電極17、カソード電極20およびダイオード配線22は、第1絶縁膜51の第2部分53上に形成されており、それぞれが、ダイオード49に電気的に接続されている。
図3および
図4に示すように、アノード電極17、カソード電極20およびダイオード配線22は、ダイオード49のp型部55に接続される第1の形状を有する第1電極57と、ダイオード49のn型部56に接続される第2の形状を有する第2電極58のいずれかであってよい。
【0055】
第1電極57は、この実施形態では、平面視円形状のp型部55に沿う平面視円形の第1コンタクト部59と、第1コンタクト部59から延びるライン状の第1引き出し部60とを一体的に含んでいる。第1コンタクト部59は、
図4および
図5に示すように、p型部55の上方の第1絶縁膜51(第2部分53)に形成された環状の第1コンタクト孔61を介して、p型部55に接続されている。
図5に示すように、第1コンタクト部59は、たとえば、タングステン(W)等の導電材料からなる第1プラグ81によって、p型部55の表面部に埋め込まれるように接続されていてもよい。
【0056】
第2電極58は、この実施形態では、一部に開放部62を有する平面視略環状の第2コンタクト部63と、第2コンタクト部63から延びるライン状の第2引き出し部64とを一体的に含んでいる。第2コンタクト部63は、
図4および
図5に示すように、n型部56の上方の第1絶縁膜51(第2部分53)に形成され、第2コンタクト部63と同様に一部開放された平面視略環状の第2コンタクト孔65を介して、n型部56に接続されている。
図5に示すように、第2コンタクト部63は、たとえば、タングステン(W)等の導電材料からなる第2プラグ82によって、n型部56の表面部に埋め込まれるように接続されていてもよい。
【0057】
そして、この実施形態では、互いに間隔を空けた複数のダイオード49の一つのダイオード49(
図3〜
図5では、紙面左側のダイオード49)のp型部55に第1電極57からなるカソード電極20が接続されている。当該ダイオード49のn型部56には、第2電極58からなるアノード電極17が接続されている。このカソード電極20(第1コンタクト部59)は、アノード電極17(第2コンタクト部63)に取り囲まれている。
【0058】
一方、上記紙面左側のダイオード49から少なくとも1つのダイオード49を挟んで配置された一つのダイオード49(
図3〜
図5では、紙面右側のダイオード49)のp型部55には、第1電極57からなるアノード電極17が接続されている。当該ダイオード49のn型部56には、第2電極58からなるダイオード配線22が接続されている。そして、当該ダイオード配線22の第2電極58に連なる第1電極57からなるダイオード配線22が、当該ダイオード49に隣り合うダイオード49のp型部55に接続されている。このような構成が、さらに隣り合うダイオード49との接続にも適用されている。
【0059】
そして、上記紙面左側のダイオード49に隣り合うダイオード49のp型部55には、第1電極57からなるダイオード配線22が接続されている。当該ダイオード49のn型部56には、第2電極58からなるカソード電極20が接続されている。
これにより、この実施形態では、第1電極57および第2電極58が一体となり、隣り合うダイオード49に跨るダイオード配線22によって隣り合うダイオード49同士が互いに電気的に接続されている。そして、これらの複数のダイオード49は、1つの第1ダイオード66(この実施形態では、紙面左側のダイオード49)と、当該第1ダイオード66に並列接続され、互いに直列接続された複数(この実施形態では、4つ)の第2ダイオード67とを含んでいる。
【0060】
第1絶縁膜51上には、アノード電極17、カソード電極20およびダイオード配線22を覆うように、パッシベーション膜68が形成されている。パッシベーション膜68は、たとえば窒化シリコン(SiN)を含んでいてもよい。
図6は、
図1の二点鎖線VIで囲まれた部分の拡大図である。
図7は、
図6のVII−VII線に沿う断面図である。
【0061】
図6および
図7を参照して、半導体基板2のアクティブ領域23に備えられた双方向ツェナーダイオード69の具体的な構造を説明する。
半導体基板2のエピタキシャル層26には、第2トレンチ70が形成されている。第2トレンチ70の深さは、たとえば、ゲートトレンチ29および第1トレンチ50と同じであってもよい。したがって、第2トレンチ70の深さは、たとえば、0.5μm〜1.5μmであってもよい。また、第2トレンチ70は、
図7に示すように、ベース基板25とエピタキシャル層26との界面に対して、半導体基板2の第1面3側(つまり、エピタキシャル層26内)に底部を有している。
【0062】
第2トレンチ70は、ゲートトレンチ29から独立して、ゲートパッド13の直下の領域からソース導電膜12の直下の領域に引き出されている。この実施形態では、第2トレンチ70は、平面視四角形状に形成されている。
双方向ツェナーダイオード69は、第2トレンチ70内に配置されている。双方向ツェナーダイオード69と第2トレンチ70との内面に第2絶縁膜71が形成されることによって、双方向ツェナーダイオード69と半導体基板2との間が絶縁されている。
【0063】
第2絶縁膜71は、たとえば、酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁材料からなっていてもよい。第2絶縁膜71は、第2トレンチ70の底面に形成された第1部分72と、双方向ツェナーダイオード69を覆うと共に、第2トレンチ70の第1部分72よりも上側の部分に埋め込まれた第2部分73とを含んでいてもよい。
第2絶縁膜71の第1部分72は、第2トレンチ70の底面全体に亘って、一様な厚さで形成されており、その厚さt
3は、第1絶縁膜51の第1部分52の厚さt
1と同じであってもよい。したがって、第2絶縁膜71の第1部分72の厚さt
3は、たとえば、1500Å〜4000Åであってもよい。
【0064】
そして、この第2絶縁膜71の上に、双方向ツェナーダイオード69が配置されている。双方向ツェナーダイオード69は、ゲート電極34およびダイオード49と同じ材料(この実施形態では、ポリシリコン)からなっていてもよい。この実施形態では、双方向ツェナーダイオード69は、たとえば、平面視長方形状の第2トレンチ70の長手方向に長手な平面視長方形状であってもよい。
【0065】
また、双方向ツェナーダイオード69は、第2トレンチ70の側面から間隔を空けて形成されている。したがって、双方向ツェナーダイオード69は、第2トレンチ70の側面によって取り囲まれた領域内に配置されている。双方向ツェナーダイオード69の側面と第2トレンチ70の側面と距離は、双方向ツェナーダイオード69の厚さよりも大きくなっている。たとえば、双方向ツェナーダイオード69の側面と第2トレンチ70の側面と距離が、5μm〜15μmであり、双方向ツェナーダイオード69の厚さが、3000Å〜8000Åであってもよい。
【0066】
双方向ツェナーダイオード69は、
図7に示すように、半導体基板2の第1面3と面一な上面74(平坦面)を有している。双方向ツェナーダイオード69の上面74は、第2トレンチ70の底面と平行であってもよい。
双方向ツェナーダイオード69は、ゲートパッド13の直下の領域に位置する一端部と、ソース導電膜12の11直下の領域に位置する他端部とを有している。
【0067】
双方向ツェナーダイオード69は、本発明の第1導電型部の一例としてのn
+型部75および本発明の第2導電型部の一例としてのp型部76を含み、n
+型部75およびp型部76が交互に繰り返された構造を有している。n
+型部75は、双方向ツェナーダイオード69の一端部および他端部にそれぞれ形成されている。双方向ツェナーダイオード69の両端部に形成された一対のn
+型部75の間の領域に、n
+型部75およびp型部76が交互に繰り返し形成されている。
【0068】
n
+型部75およびp型部76は、それぞれ、平面視において、第2トレンチ70が延びる方向(第2トレンチ70の長手方向)に交差する交差方向に沿って延びる帯状に形成されていてもよい。これにより、n
+型部75およびp型部76は、当該交差方向に沿って延びるストライプ状に形成されている。交差方向は、第2トレンチ70が延びる方向に直交する直交方向であってもよい。
【0069】
n
+型部75およびp型部76の間の領域には、pn接合部が形成されている。このpn接合部により、n
+型部75をカソードとし、p型部76をアノードとするツェナーダイオードDZ1,DZ2が形成されている。
双方向ツェナーダイオード69は、複数(この実施形態では4つ)の双方向ツェナーダイオード要素DEを含む。双方向ツェナーダイオード要素DEは、アノード(p型部76)を介して互いに電気的に接続された一対のツェナーダイオードDZ1,DZ2を含む。
【0070】
互いに隣り合う双方向ツェナーダイオード要素DEは、カソード(n
+型部75)を介して電気的に接続されている。この実施形態では、このような複数の双方向ツェナーダイオード要素DEによって一つの双方向ツェナーダイオード69が形成されている。
双方向ツェナーダイオード69は、双方向ツェナーダイオード要素DEを一つだけ含む構造を有していてもよい。したがって、双方向ツェナーダイオード69は、一対のn
+型部75および一対のn
+型部75の間に形成された少なくとも一つのp型部76を有していてもよい。
【0071】
また、n
+型部75は、たとえば、ソース領域36のn型不純物濃度とほぼ等しいn型不純物濃度を有していてもよい。したがって、n
+型部75のn型不純物濃度は、たとえば1.0×10
19cm
−3〜1.0×10
20cm
−3であってもよい。p型部76は、たとえば、ボディ領域37のp型不純物濃度とほぼ等しいp型不純物濃度を有していてもよい。したがって、p型部76のp型不純物濃度は、たとえば1.0×10
15cm
−3〜1.0×10
17cm
−3であってもよい。
【0072】
第2絶縁膜71の第2部分73は、
図7に示すように、双方向ツェナーダイオード69と第2トレンチ70の側面との間の部分を埋め尽くすと共に、双方向ツェナーダイオード69を覆うように、半導体基板2上に形成されている。
第2部分73の第2トレンチ70の側面上の部分(第2トレンチ70の側面に接する部分)の厚さt
4は、第1部分72の厚さt
3よりも厚く、第1絶縁膜51の第2部分53の厚さt
2と同じであってもよい。したがって、第2絶縁膜71の第2部分73の厚さt
4は、たとえば、5μm〜15μmであってもよい。
【0073】
そして、ゲート導電膜9およびソース導電膜12は、第2絶縁膜71の第2部分73上に形成されている。
第2絶縁膜71には、第1コンタクト孔77および第2コンタクト孔78が形成されている。第1コンタクト孔77は、ゲートパッド13の直下に位置する双方向ツェナーダイオード69の一端部(n
+型部75)を露出させている。第2コンタクト孔78は、ソース導電膜12の直下に位置する双方向ツェナーダイオード69の他端部(n
+型部75)を露出させている。
【0074】
ゲート導電膜9(ゲートパッド13)は、第1コンタクト孔77を介して、双方向ツェナーダイオード69の一端部(n
+型部75)に接続されている。ソース導電膜12は、第2コンタクト孔78を介して、双方向ツェナーダイオード69の他端部(n
+型部75)に接続されている。
図7に示すように、ゲート導電膜9およびソース導電膜12は、それぞれ、たとえば、タングステン(W)等の導電材料からなる第1プラグ83および第2プラグ84によって、n
+型部75の表面部に埋め込まれるように接続されていてもよい。これにより、双方向ツェナーダイオード69は、半導体装置1のMISFET(単位セル30)に電気的に接続されている。
【0075】
第2絶縁膜71上には、ゲート導電膜9およびソース導電膜12を覆うように、パッシベーション膜68が形成されている。パッシベーション膜68には、ワイヤボンディング用の領域を確保するためにゲートパッド13およびソース導電膜12の一部を露出させる開口79,80が形成されている。
次に、半導体装置1の動作、および過電流保護方式をより具体的に説明する。
【0076】
半導体装置1には、ゲートドライバG/D(図示せず)によって電圧が印加される。具体的には、ソース導電膜12とドレイン電極27との間に、ドレイン電極27側が正となるバイアス電圧が与えられる。これにより、n型のドレイン領域28とp型ボディ領域37との界面のpn接合には逆方向電圧が与えられ、その結果、n
+型のソース領域36とドレイン領域28と間、すなわち、ソース−ドレイン間は、遮断状態となる。この状態で、ソース導電膜12とゲートパッド13との間に、ゲートパッド13側が正となる所定の電圧を与えると、p型のボディ領域37に対するバイアスがゲート電極34に与えられる。これにより、ゲートトレンチ29の側面におけるp型のボディ領域37には、電子が誘起されて、反転チャネルが形成される。この反転チャネルを介して、n
+型のソース領域36とn型のドレイン領域28と間が導通する。こうして、ソース−ドレイン間が導通してドレイン電流Idが流れることになる。
【0077】
一方、ダイオード49には、ゲートドライバG/D(図示せず)によって定電流が印加される。また、ゲートドライバG/Dの短絡保護回路(図示せず)が、ダイオード49の順方向電圧V
Fを常時監視している。
そして、半導体装置1のMISFET(単位セル30)に短絡が発生して過電流が流れると、半導体基板2の第1面3側で温度上昇が発生する。この温度上昇は、アクティブ領域23内のダイオード49にも伝わるので、当該温度上昇に伴ってダイオード49の順方向電圧V
Fが低下する。たとえば、ダイオード49の立ち上がり電圧が低電圧側にシフトする。そして、短絡保護回路が、この順方向電圧V
Fの低下を、MISFETにおける短絡の発生として感知し、ゲートパッド13に印加している電圧をオフにする。これにより、MISFETのソース−ドレイン(S−D)間を流れるドレイン電流Idが遮断され、MISFETが保護される。
【0078】
図8A〜
図15A、
図8B〜
図15Bおよび
図8C〜
図15Cは、前述の半導体装置1の製造工程を工程順に示す図である。
図8A〜
図15Aが単位セル30の形成に関連する工程を示し、
図8B〜
図15Bがダイオード49の形成に関連する工程を示し、
図8C〜
図15Cが双方向ツェナーダイオード69の形成に関連する工程を示す。
半導体装置1を製造するには、まず、
図8A、
図8Bおよび
図8Cを参照して、n
+型のベース基板25が準備される。次に、n型不純物が導入されながら、ベース基板25の表面(主面)からシリコンがエピタキシャル成長される。これにより、ベース基板25の主面の上にn
−型のエピタキシャル層26が形成される。ベース基板25およびエピタキシャル層26を含む積層構造により、半導体基板2が形成される。半導体基板2は、第1面3および第2面4を有している。
【0079】
次に、半導体基板2の第1面3にマスク(図示せず)が形成される。そして、このマスクを介するエッチングによって、半導体基板2の不要な部分が選択的に除去される。これにより、半導体基板2の第1面3に、ゲートトレンチ29、ソーストレンチ38、第1トレンチ50および第2トレンチ70が同時に形成される。
次に、
図9A、
図9Bおよび
図9Cを参照して、たとえばCVD法によって、半導体基板2の第1面3の全体に絶縁層85が堆積される。絶縁層85の堆積は、ゲートトレンチ29、ソーストレンチ38、第1トレンチ50および第2トレンチ70が絶縁層85で埋め戻され、半導体基板2の第1面3が絶縁層85で覆われるまで続けられる。
【0080】
次に、
図10A、
図10Bおよび
図10Cを参照して、たとえばエッチバックによって、絶縁層85の不要な部分が選択的に除去される。これにより、ゲートトレンチ29の底部に残った絶縁層85からなるゲート絶縁膜31の第2部分33、第1トレンチ50の底部に残った絶縁層85からなる第1絶縁膜51の第1部分52、および第2トレンチ70の底部に残った絶縁層85からなる第2絶縁膜71の第1部分72が形成される。
【0081】
次に、ソーストレンチ38の底面から露出する半導体基板2に対してp型不純物(たとえば、ホウ素(B))が導入される。p型不純物は、たとえば図示しないイオン注入マスクを介して、半導体基板2に注入される。これにより、ソーストレンチ38の底面に沿うp型の不純物領域43の第2部分45が形成される。第2部分45は、この実施形態では、ソーストレンチ38の底面および側面の下部から半導体基板2の第2面4に向かって膨出するように広がる形状で形成される。
【0082】
次に、
図11A、
図11Bおよび
図11Cを参照して、たとえば熱酸化法またはウェット酸化法によって、ゲートトレンチ29の側面、ソーストレンチ38の内面、第1トレンチ50の側面および第2トレンチ70の側面から露出する半導体基板2が酸化される。これにより、ゲートトレンチ29の内面にゲート絶縁膜31の第1部分32が形成され、ソーストレンチ38の内面に絶縁膜39が形成される。また、第1トレンチ50の側面および第2トレンチ70の側面には、それぞれ、絶縁膜86および絶縁膜87が形成される。
【0083】
次に、たとえばCVD法によって、半導体基板2の第1面3の全体に、たとえばポリシリコンからなる導電層88が堆積される。導電層88の堆積は、ゲートトレンチ29、ソーストレンチ38、第1トレンチ50および第2トレンチ70が導電層88で埋め戻され、半導体基板2の第1面3が導電層88で覆われるまで続けられる。
次に、
図12A、
図12Bおよび
図12Cを参照して、たとえばエッチバックによって、導電層88の不要な部分が選択的に除去される。エッチバックは、導電層88の各上面35,42,54,74が半導体基板2の第1面3と面一になるまで続けられる。これにより、ゲート電極34および導電体41が形成される。さらに、第1トレンチ50および第2トレンチ70内の導電層88が、ダイオード49および双方向ツェナーダイオード69の形状に合うように選択的にパターニングされる。
【0084】
次に、半導体基板2の第1面3の上に、フォトマスク89が形成される。フォトマスク89は、ネガ型であってもよいし、ポジ型であってもよい。ここでは、ネガ型のフォトマスク89を例にとって説明する。
次に、露光および現像により、第1トレンチ50内の導電層88を露出させる開口90、および第2トレンチ70内の導電層88を露出させる開口91が、フォトマスク89に選択的に形成される。
【0085】
次に、フォトマスク89を介して、第1トレンチ50および第2トレンチ70のそれぞれに配置された導電層88の全域にp型不純物(たとえば、ホウ素(B))が注入される。これにより、ダイオード49のp型部55および双方向ツェナーダイオード69のp型部76が、各導電層88の全域に形成される。p型不純物が注入された後、フォトマスク89は除去される。
【0086】
次に、
図13A、
図13Bおよび
図13Cを参照して、半導体基板2の第1面3の上に、フォトマスク92が形成される。フォトマスク92は、ネガ型であってもよいし、ポジ型であってもよい。ここでは、ネガ型のフォトマスク92を例にとって説明する。
次に、露光および現像により、ソース領域36、ダイオード49のn型部56および双方向ツェナーダイオード69のn
+型部75を形成すべき領域をそれぞれ露出させる開口93,94,95が、フォトマスク92に選択的に形成される。
【0087】
次に、フォトマスク92を介して、半導体基板2、ならびに第1トレンチ50および第2トレンチ70のそれぞれに配置された導電層88にn型不純物(たとえば、ヒ素(As))が注入される。これにより、ソース領域36、ダイオード49のn型部56および双方向ツェナーダイオード69のn
+型部75が形成される。n型不純物が注入された後、フォトマスク92は除去される。
【0088】
ここで、ダイオード49および双方向ツェナーダイオード69用の導電層88がトレンチ内ではなく、半導体基板2の第1面3上に形成される場合について考える。この場合、フォトマスク92の、半導体基板2の第1面3上の導電層88を覆う部分と、半導体基板2の第1面3を覆う部分との間には、導電層88の厚さに相当する段差が存在することとなる。
【0089】
このフォトマスク92を露光する場合には、導電層88を覆う部分、および半導体基板2の第1面3を覆う部分に対して、それぞれ異なるフォーカスマージンを設定しなければならない。そのため、導電層88を覆う部分に対する露光と、半導体基板2の第1面3を覆う部分に対する露光とを同一の工程で行うことは、およそ現実的ではなくなる。
フォーカスマージンとは、露光時において、フォトマスクに対する光の焦点が最適な焦点位置から上方または下方にずれた際に、当該フォトマスクが実用可能な状態で維持できる深度領域の幅のことである。
【0090】
これに対して、この実施形態では、ダイオード49および双方向ツェナーダイオード69用の導電層88が、それぞれ、第1トレンチ50および第2トレンチ70内に配置され、導電層88の上面54,74が、半導体基板2の第1面3とほぼ同一の平面上に形成されている。したがって、フォトマスク92において、導電層88を覆う部分と半導体基板2の第1面3との間に段差が形成されるのを抑制することができる。しかも、導電層88の上面54,74は平坦に形成されているので、当該導電層88の上面54,74の上においてフォトマスク92に段差が形成されることも抑制することができる。
【0091】
よって、フォトマスク92を露光する場合には、導電層88を覆う部分と半導体基板2の第1面3に対して、それぞれ等しいフォーカスマージンを設定することができる。
これにより、ダイオード49のn型部56および双方向ツェナーダイオード69のn
+型部75を形成する際に、露光フォーカスを精度よく合わせることができる。その結果、ダイオード49のp型部55およびn型部56の寸法ばらつき、ならびに、双方向ツェナーダイオード69のp型部76およびn
+型部75の寸法ばらつきを抑制することができる。
【0092】
次に、
図14A、
図14Bおよび
図14Cを参照して、露光および現像により、p型のボディ領域37および不純物領域43の第1部分44を形成すべき領域を露出させる開口を有するフォトマスク(図示せず)が、半導体基板2の第1面3上に選択的に形成される。当該フォトマスクを介して、半導体基板2の第1面3にp型不純物(たとえば、ホウ素(B))が注入される。これにより、ボディ領域37および不純物領域43の第1部分44が形成される。p型不純物が注入された後、フォトマスクは除去される。
【0093】
次に、たとえばエッチバックによって、半導体基板2の第1面3上のゲート絶縁膜31、絶縁膜86および絶縁膜87が除去される。これにより、半導体基板2の第1面3、第1トレンチ50の側面、および第2トレンチ70の側面が露出する。
次に、ソーストレンチ38内の絶縁膜39および導電体41が、エッチバックによって上部から一部除去される。これにより、絶縁膜39の上端部40および導電体41の上面42が、半導体基板2の第1面3に対してソーストレンチ38の深さ方向に後退した位置となる。
【0094】
次に、たとえばCVD法によって、半導体基板2の第1面3の全体に絶縁材料が堆積される。これにより、絶縁層47、第1絶縁膜51の第2部分53、および第2絶縁膜71の第2部分73が形成される。なお、絶縁層47、第1絶縁膜51の第2部分53、および第2絶縁膜71の第2部分73は、同一工程で形成される絶縁膜であり、たとえば、共通の名称として層間絶縁膜と称してもよい。
【0095】
次に、
図15A、
図15Bおよび
図15Cを参照して、マスク(図示せず)を介するエッチングによって、絶縁層47、第1絶縁膜51の第2部分53、および第2絶縁膜71の第2部分73の不要な部分が除去される。これにより、コンタクト孔48、第1コンタクト孔61、第2コンタクト孔65、第1コンタクト孔77および第2コンタクト孔78が形成される。
【0096】
次に、第1コンタクト孔61、第2コンタクト孔65、第1コンタクト孔77および第2コンタクト孔78のそれぞれに、第1プラグ81、第2プラグ82、第1プラグ83および第2プラグ84が埋め込まれる。
次に、たとえばスパッタ法により、絶縁層47、第1絶縁膜51の第2部分53、および第2絶縁膜71の第2部分73の上に電極材料(たとえばAlCu)が堆積されて、電極材料層が形成される。次に、たとえばマスク(図示せず)を介するエッチングによって、電極材料層の不要な部分が除去される。これにより、ゲート導電膜9、アノード導電膜10、カソード導電膜11、ソース導電膜12およびダイオード配線22を含む導体パターンが形成される。
【0097】
次に、ゲート導電膜9、アノード導電膜10、カソード導電膜11、ソース導電膜12およびダイオード配線22を選択的に覆うパッシベーション膜68が形成される。
その後、たとえばスパッタ法により、半導体基板2の第2面4にドレイン電極27が形成される。以上の工程を経て、半導体装置1が得られる。
図16は、半導体装置1を備える半導体パッケージ101の概略図である。なお、
図16では、半導体パッケージ101の内部の明瞭化のため、樹脂パッケージ103を破線で示している。
【0098】
半導体パッケージ101は、端子フレーム102と、半導体装置1(チップ)と、樹脂パッケージ103とを含む。
端子フレーム102は、金属製の板状である。端子フレーム102は、半導体装置1を支持するベース部104(アイランド)と、ドレイン端子105と、ソース端子106と、ゲート端子107と、アノード端子108と、カソード端子109とを含む。
【0099】
ベース部104は、平面視四角形状に形成されている。この実施形態では、ベース部104は、一対の長辺および一対の短辺を有する平面視長方形状に形成されている。半導体装置1は、ドレイン電極27(
図2等参照)とベース部104とが、銀ペースト等の接合材を介して接合されることによって、ベース部104に支持されている。半導体装置1は、たとえば、半導体基板2の一対の長辺とベース部104の一対の長辺とが平行となるように配置されていてもよい。
【0100】
ドレイン端子105は、ベース部104と一体的に形成されている。ドレイン端子105は、ベース部104の一対の長辺の一方の長辺のほぼ全体に亘る幅で形成されている。この実施形態では、ドレイン端子105は、ベース部104の一対の長辺の一方の長辺から、半導体装置1の反対方向に突出するように形成されている。
ソース端子106、ゲート端子107、アノード端子108およびカソード端子109は、半導体装置1に対してドレイン端子105の反対側に配置されている。ソース端子106、ゲート端子107、アノード端子108およびカソード端子109は、ベース部104とは分離して形成されている。
【0101】
ソース端子106、ゲート端子107、アノード端子108およびカソード端子109は、それぞれ、直線状に延びる形状に形成されていてもよい。また、ソース端子106、ゲート端子107、アノード端子108およびカソード端子109は、それぞれ、1本だけ形成されていてもよいし、複数本形成されていてもよい。この実施形態では、ゲート端子107、アノード端子108およびカソード端子109に比べて相対的に大きな電流が流れるソース端子106が複数本形成されている。
【0102】
ソース端子106は、ソースワイヤ110を介して、半導体装置1のソース導電膜12に接続されている。ソースワイヤ110は、複数本形成されていてもよい。各ソースワイヤ110は、ダイオード49をオーバーラップするように配置され、ダイオード49を挟む第1の部分114および第1の部分114の反対側の第2の部分115の2箇所で、ソース導電膜12に接続されていてもよい。
【0103】
ゲート端子107、アノード端子108およびカソード端子109は、それぞれ、ゲートワイヤ111、アノードワイヤ112およびカソードワイヤ113を介して、半導体装置1のゲートパッド13、アノードパッド15およびカソードパッド18に接続されている。ゲートワイヤ111、アノードワイヤ112およびカソードワイヤ113は、1本ずつ形成されていてもよい。
【0104】
樹脂パッケージ103は、たとえば、エポキシ樹脂など公知のモールド樹脂からなり、半導体装置1を封止している。樹脂パッケージ103は、半導体装置1と共に端子フレーム102のベース部104およびワイヤ110〜113を覆っている。各端子105〜109の一部は、樹脂パッケージ103から露出している。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0105】
たとえば、半導体装置1の各半導体部分の導電型を反転した構成が採用されてもよい。つまり、半導体装置1において、p型の部分がn型であり、n型の部分がp型であってもよい。
また、前述の実施形態では、半導体装置1のトランジスタ構造の一例として、MISFETを示したが、半導体装置1が備えるトランジスタ構造は、たとえば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、JFET(Junction Field Effect Transistor)、バイポーラトランジスタ、サイリスタ等であってもよい。
【0106】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。