【解決手段】直列に接続されたN(Nは2以上の自然数)個のスイッチング素子(トランジスタQ1,Q2)と、該N個のスイッチング素子(トランジスタQ1,Q2)夫々のオン/オフを制御する制御回路(2a)とを備え、N個のスイッチング素子(トランジスタQ1,Q2)を介して被駆動部(負荷3a)を駆動する負荷駆動装置(100a)。N個のスイッチング素子(トランジスタQ1,Q2)夫々の一端及び制御端の間に接続されており、夫々の制御端に対する一端の電圧をクランプするクランプ回路を各別に備え、該クランプ回路は、クランプした電圧を分圧するようにしてあり、制御回路(2a)は前記クランプ回路で分圧した電圧に基づいて上記一端の過電圧を検出した場合、N個のスイッチング素子(トランジスタQ1,Q2)をオフするようにしてある。
直列に接続されたN(Nは2以上の自然数)個のスイッチング素子と、該N個のスイッチング素子夫々のオン/オフを制御する制御回路とを備え、前記N個のスイッチング素子を介して被駆動部を駆動する負荷駆動装置であって、
前記N個のスイッチング素子夫々の一端及び制御端の間に接続されており、夫々の制御端に対する一端の電圧をクランプするクランプ回路を各別に備え、
該クランプ回路は、クランプした電圧を分圧するようにしてあり、
前記制御回路は、前記クランプ回路で分圧した電圧に基づいて前記一端の過電圧を検出した場合、前記N個のスイッチング素子をオフするようにしてある負荷駆動装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1から3に開示された回路は、何れも電源と負荷との間に接続された1つのスイッチング素子又は2つ並列のスイッチング素子を過電圧から保護するためのものであり、2つ以上直列に接続されたスイッチング素子を過電圧から保護できるものではなかった。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数直列に接続されたスイッチング素子を過電圧から保護することが可能な負荷駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る負荷駆動装置は、直列に接続されたN(Nは2以上の自然数)個のスイッチング素子と、該N個のスイッチング素子夫々のオン/オフを制御する制御回路とを備え、前記N個のスイッチング素子を介して被駆動部を駆動する負荷駆動装置であって、前記N個のスイッチング素子夫々の一端及び制御端の間に接続されており、夫々の制御端に対する一端の電圧をクランプするクランプ回路を各別に備え、該クランプ回路は、クランプした電圧を分圧するようにしてあり、前記制御回路は、前記クランプ回路で分圧した電圧に基づいて前記一端の過電圧を検出した場合、前記N個のスイッチング素子をオフするようにしてある。
【0010】
本発明にあっては、直列に接続されたN個のスイッチング素子夫々の一端及び制御端の間に、夫々の制御端に対する一端の電圧をクランプするクランプ回路が各別に接続されている。各スイッチング素子のオン/オフを制御する制御回路は、各クランプ回路がクランプして分圧した電圧に基づいて夫々のスイッチング素子の一端に印加された過電圧を検出した場合、全てのスイッチング素子をオフする。これにより、N個のうちの何れかのスイッチング素子についてアクティブクランプが機能した場合、各スイッチング素子に印加される電圧が略均等となる状態に復帰する。
【0011】
本発明に係る負荷駆動装置は、前記N個のスイッチング素子夫々の制御端及び他端の間に接続された抵抗器を更に備える。
【0012】
本発明にあっては、各スイッチング素子の制御端と、該制御端に印加される制御電圧の基準となる他端との間に抵抗器が接続されている。これにより、例えばクランプ回路からの漏れ電流によって制御端の制御電圧が不用意に上昇することが防止される。
【0013】
本発明に係る負荷駆動装置は、前記クランプ回路は、定電圧素子と、一端が前記制御端に接続されたダイオードとを含み、クランプした電圧を前記定電圧素子及び前記ダイオードで分圧するようにしてある。
【0014】
本発明にあっては、定電圧素子及びダイオードを含む直列回路によってクランプ電圧が分圧され、ダイオードによる分圧電圧が制御回路に与えられる。これにより、定電圧素子が導通した場合、スイッチング素子の制御端の電圧にダイオードの順方向電圧を加えた電圧が制御回路に与えられるため、アクティブクランプが機能したことが制御回路によって検出される。また、分圧回路にダイオードが直列に接続されていることにより、スイッチング素子をオンするために制御回路から制御端に印加される電圧によってアクティブクランプが誤検出されることが防止される。
【0015】
本発明に係る負荷駆動装置は、前記定電圧素子は、1つのツェナーダイオード又は複数直列に接続されたツェナーダイオードである。
【0016】
本発明にあっては、定電圧素子が1又は複数直列に接続したツェナーダイオードを含むため、クランプ電圧の大きさを容易に調整することができる。
【0017】
本発明に係る負荷駆動装置は、前記N個のスイッチング素子を2組備え、該2組のN個のスイッチング素子は、直列点にて直列に接続されており、前記直列点に前記被駆動部が接続されている。
【0018】
本発明にあっては、2レベルインバータに含まれるハーフブリッジ回路の一方のアーム及び他方のアームの夫々がN個直列のスイッチング素子によって構成されているため、各アームの耐電圧性が向上する。
【0019】
本発明に係る負荷駆動装置は、前記Nは2であり、一方のN個のスイッチング素子の接続点と、他方のN個のスイッチング素子の接続点との間に2つ直列に接続されたダイオードを備える。
【0020】
本発明にあっては、ハーフブリッジ回路の各アームを構成する2つのスイッチング素子の接続点同士が、2個直列のダイオードによって接続されている。これにより、ハーフブリッジの両端を電源に接続し、ダイオードの接続点を電源の中間電位点に接続した場合は、いわゆるNPC(Neutral Point Clamped )方式の3レベルインバータが構成される。
【0021】
本発明に係る負荷駆動装置は、前記2組のN個のスイッチング素子が3つ並列に接続されている。
【0022】
本発明にあっては、3つ並列に接続されたNPC方式の3レベルインバータを用いて、三相負荷を駆動することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、複数直列に接続されたスイッチング素子を過電圧から保護することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明をその実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る負荷駆動装置100aの構成例を示す回路図である。負荷駆動装置100aは、周期的に駆動される負荷3aに流れる電流をスイッチングするスイッチング回路1と、該スイッチング回路1によるスイッチングを制御する制御回路2aとを備える。
【0026】
負荷3aは、電源4のプラス側端子とスイッチング回路1の高電位側との間に接続されているが、これに限定されない。例えば、スイッチング回路1の高電位側に電源4を接続し、低電位側に負荷3aを接続してもよい。本実施形態1では、電源4の電圧は1500Vであるが、これに限定されない。
【0027】
スイッチング回路1は、直列に接続された2個のトランジスタ(IGBT=Insulated Gate Bipolar Transistor :スイッチング素子に相当)Q1及びQ2と、トランジスタQ1及びQ2夫々のコレクタ・エミッタ間に逆並列に接続されたダイオードD10及びD20とを有する。トランジスタQ1のコレクタは、負荷3aの一端に接続されている。トランジスタQ2のエミッタは、電源4のマイナス側端子に接続されている。
【0028】
スイッチング回路1における直列に接続されたトランジスタの数は2個に限定されず、3個以上であってもよい。トランジスタQ1及びQ2はIGBTに限定されず、例えばNチャネル型又はPチャネル型のMOSFET等の他のスイッチング素子であってもよい。トランジスタQ1及びQ2がMOSFETの場合、ダイオードD10及びD20は、寄生ダイオードで置き換えられる。
【0029】
スイッチング回路1は、トランジスタQ1のゲートに対するコレクタの電位をクランプするツェナーダイオードZD11(定電圧素子に相当)及びダイオードD11の直列回路(クランプ回路に相当)と、トランジスタQ1のゲート及びエミッタ間に接続された抵抗器R11と、制御回路2aに接続するための変換回路CV1とを更に有する。トランジスタQ1のゲート・エミッタ間には、ゲート電圧をクランプするために、ダイオードD12及びツェナーダイオードZD12の直列回路が接続されている。
【0030】
スイッチング回路1は、また、トランジスタQ2のゲートに対するコレクタの電位をクランプするツェナーダイオードZD21(定電圧素子に相当)及びダイオードD21の直列回路(クランプ回路に相当)と、トランジスタQ2のゲート及びエミッタ間に接続された抵抗器R21と、制御回路2aに接続するための変換回路CV2とを更に有する。トランジスタQ2のゲート・エミッタ間には、ゲート電圧をクランプするために、ダイオードD22及びツェナーダイオードZD22の直列回路が接続されている。
【0031】
トランジスタQ1及びQ2のコレクタ・エミッタ間の耐圧は例えば1200Vである。ツェナーダイオードZD11及びZD21の降伏電圧は、例えば1100Vである。ツェナーダイオードZD11及びZD21夫々は、複数のツェナーダイオードを直列に接続したものであってもよい。ツェナーダイオードZD12及びZD22の降伏電圧は、例えば15Vである。抵抗器R11及びR21夫々は、トランジスタQ1及びQ2のコレクタ・ゲート間の容量を介してコレクタ・ゲート間の電圧のdV/dtに応じた電流がゲートに流れることにより、トランジスタQ1及びQ2が不用意にオンするのを防止するためのものである。
【0032】
ツェナーダイオードZD11は、カソードがトランジスタQ1のコレクタに接続されており、アノードがダイオードD11のアノードに接続されている。ダイオードD11のカソードは、トランジスタQ1のゲートに接続されている。ツェナーダイオードZD21は、カソードがトランジスタQ2のコレクタに接続されており、アノードがダイオードD21のアノードに接続されている。ダイオードD21のカソードは、トランジスタQ2のゲートに接続されている。特にトランジスタQ1及びQ2がPチャネル型のMOSFETの場合、少なくとも電源4、ツェナーダイオードZD11及びZD21、ダイオードD11及びD21、ダイオードD12及びD22並びにツェナーダイオードZD12及びZD22について、極性を反転させるものとする。
【0033】
ツェナーダイオードZD11及びダイオードD11の直列回路は、クランプした電圧を夫々のダイオードの両端電圧によって分圧し、分圧点の電位を変換回路CV1に与える。変換回路CV1は、トランジスタQ1のエミッタの電位に対する上記分圧点の電位の電位差(電圧)を、制御回路2aの共通電位(以下、単に共通電位という)に対する電位差に変換して制御回路2aに与える。即ち、変換回路CV1は、トランジスタQ1のエミッタの電位に対するダイオードD11のアノードの電位の電位差を、共通電位を基準とする電圧に変換して制御回路2aに与える。
【0034】
変換回路CV1は、また、制御回路2aからの駆動信号を、トランジスタQ1のエミッタの電位を基準とする信号に変換し、変換した信号をドライバDR12及びDR13に与える。ドライバDR12及びDR13は何れか一方がオンする。ドライバDR12は、抵抗器R12を介してトランジスタQ1をオンさせる駆動信号をゲートに与え、ドライバDR13は、抵抗器R13を介してトランジスタQ1をオフさせる駆動信号をゲートに与えるようになっている。ドライバDR12をトーテムポール出力のドライバに置き換え、ドライバDR13及び抵抗器R13を削除してもよい。
【0035】
ツェナーダイオードZD21及びダイオードD21の直列回路は、クランプした電圧を夫々のダイオードの両端電圧によって分圧し、分圧点の電位を変換回路CV2に与える。変換回路CV2は、トランジスタQ2のエミッタの電位に対する上記分圧点の電位の電位差(電圧)を、共通電位に対する電位差に変換して制御回路2aに与える。即ち、変換回路CV2は、トランジスタQ2のエミッタの電位に対するダイオードD21のアノードの電位の電位差を、共通電位を基準とする電圧に変換して制御回路2aに与える。
【0036】
変換回路CV2は、また、制御回路2aからの駆動信号を、トランジスタQ2のエミッタの電位を基準とする信号に変換し、変換した信号をドライバDR22及びDR23に与える。ドライバDR22及びDR23は何れか一方がオンする。ドライバDR22は、抵抗器R22を介してトランジスタQ2をオンさせる駆動信号をゲートに与え、ドライバDR23は、抵抗器R23を介してトランジスタQ2をオフさせる駆動信号をゲートに与えるようになっている。ドライバDR22をトーテムポール出力のドライバに置き換え、ドライバDR23及び抵抗器R23を削除してもよい。
【0037】
制御回路2aは、機器全体を制御するCPU(Central Processing Unit )21を備え、CPU21は、制御プログラム等の情報を記憶するROM(Read Only Memory )22、一時的に発生した情報を記憶するRAM(Random Access Memory )23及び経過時間等を計時するタイマ24と互いにバス接続されている。制御回路2aが、CPUを有するマイクロコンピュータを含んで構成されていてもよい。CPU21又はマイクロコンピュータは、予め処理手順を定めたコンピュータプログラムを実行するように構成されていてもよい。
【0038】
CPU21には、また、変換回路CV1及びCV2と接続するための入出力部25がバス接続されている。CPU21は、入出力部25によってダイオードD11及びD21夫々のアノードの電位に対応する電圧を変換回路CV1及びCV2から取り込み、トランジスタQ1及びQ2の駆動信号を変換回路CV1及びCV2に与えるようになっている。
【0039】
上述のように構成された負荷駆動装置100aの制御回路2aは、トランジスタQ1及びQ2のオン/オフを同時に制御する。例えばトランジスタQ1及びQ2がオンに制御された場合、トランジスタQ1及びQ2夫々のコレクタ・エミッタ間の電圧は略0Vである。また、トランジスタQ1及びQ2がオフに制御された場合、トランジスタQ1及びQ2の特性が揃っている場合は、トランジスタQ1及びQ2夫々のコレクタ・エミッタ間の電圧は略750Vである。一方、ツェナーダイオードZD11及びZD21の降伏電圧は1100Vであるから、何れの場合であってもツェナーダイオードZD11及びZD21は降伏せず、アクティブクランプは機能しない。
【0040】
ここで、例えばトランジスタQ1及びQ2をオフに制御している状態でドライバDR12がオン故障となった場合、トランジスタQ1がオンするため、クランプ回路が存在しないときは、電源4の電圧である1500Vが、トランジスタQ2のコレクタ・エミッタ間に印加される。このため、トランジスタQ2の耐圧によってはコレクタ・エミッタ間が降伏して破壊することがある。
【0041】
同様に、例えばトランジスタQ1及びQ2をオフに制御している状態でドライバDR22がオン故障となった場合、トランジスタQ2がオンするため、クランプ回路が存在しないときは、電源4の電圧である1500Vが、トランジスタQ1のコレクタ・エミッタ間に印加される。このため、トランジスタQ1の耐圧によってはコレクタ・エミッタ間が降伏して破壊することがある。
【0042】
本実施形態1に係る負荷駆動装置100aは、ツェナーダイオードZD11及びダイオードD11の直列回路からなるクランプ回路と、ツェナーダイオードZD21及びダイオードD21の直列回路からなるクランプ回路とを備えているため、上記のような場合であっても、トランジスタQ2及びQ1のコレクタ・エミッタ間の電圧が略1100Vにクランプされる。以下では、トランジスタQ2におけるアクティブクランプの動作について説明するが、トランジスタQ1におけるアクティブクランプの動作についても同様である。
【0043】
図2は、実施形態1に係る負荷駆動装置100aのアクティブクランプ時における各部の波形の一例を示すタイミングチャートである。
図2に示す6つのタイミングチャートは、何れも同一の時間軸(t)を横軸にしてあり、縦軸は電圧を表す。
図2では、上段から順に、トランジスタQ1のゲート・ソース間の電圧(以下、単にゲート電圧という)、トランジスタQ1のコレクタ・エミッタ間の電圧(以下、単にコレクタ電圧という)、トランジスタQ2のゲート電圧、トランジスタQ2のコレクタ電圧、ツェナーダイオードZD21の両端電圧、及びトランジスタQ2のアクティブクランプの検出電圧を模式的に示す。トランジスタQ2のアクティブクランプの検出電圧とは、トランジスタQ2のエミッタの電位に対するダイオードD21のアノードの電位の電位差である。
【0044】
時刻t1より前では、トランジスタQ1及びQ2は共にオフである。従って、トランジスタQ1及びQ2のコレクタ電圧は共に略750Vである。時刻t1で、何らかの不具合が発生したことに伴い、一方のトランジスタQ1のみをオンさせる駆動信号がゲートに与えられた場合、トランジスタQ1のコレクタ電圧は0Vに向けて低下し始める。具体的には、トランジスタQ1及びQ2をオフに制御している状態でドライバDR12がオン故障となった場合や、ドライバDR22がオフ故障の状態でトランジスタQ1及びQ2をオフからオンに制御した場合にこのような状況に陥る。
【0045】
時刻t1でトランジスタQ1のコレクタ電圧が低下し始めた場合、このコレクタ電圧の低下率の絶対値と同じ大きさの上昇率でトランジスタQ2のコレクタ電圧が上昇し始める。よって、トランジスタQ1のコレクタ電圧と、トランジスタQ2のコレクタ電圧とを加えた電圧は1500Vに維持される。時刻t1では、トランジスタQ2のゲート電圧は略0Vであるから、時刻t1以降、ツェナーダイオードZD21の両端電圧も、トランジスタQ1のコレクタ電圧と同じ上昇率で上昇し始める。
【0046】
時刻t2aでツェナーダイオードZD21の両端電圧が1100Vに達した場合、ツェナーダイオードZD21が降伏して、トランジスタQ2のゲート電圧と、トランジスタQ2のアクティブクランプの検出電圧とが共に上昇し始める。ツェナーダイオードZD21のツェナー電流は、電源4から、負荷3a及びトランジスタQ1を介して流入し、ダイオードD21及び抵抗器R21を介して電源4へと還流する。
【0047】
なお、ドライバDR23がトランジスタQ2をオフに制御している場合は、ツェナーダイオードZD21のツェナー電流が、抵抗器R23及びドライバDR23にも流れる。また、抵抗器R21における電圧降下が15Vよりも大きい場合は、ツェナーダイオードZD21のツェナー電流が、ダイオードD22及びツェナーダイオードZD22の直列回路にも流れる。
【0048】
その後、ツェナーダイオードZD21の両端電圧は1100Vを維持し、トランジスタQ2のゲート電圧は、時刻t2aから少し後の時刻t2bでトランジスタQ2をオンさせるゲートオン電圧に達する。このときのコレクタ電圧は、ゲートオン電圧に1100Vをを加えた電圧である。そして、このときからトランジスタQ2が能動領域に入り、トランジスタQ2のコレクタ電圧が、ゲートオン電圧に1100Vを加えた電圧にクランプされる。
【0049】
例えば、トランジスタQ2のコレクタ電圧が僅かに上昇した場合、ツェナーダイオードZD21のアノードの電圧及びダイオードD21のカソードの電圧も同じ電圧だけ上昇し、トランジスタQ2のゲート電圧が僅かに上昇するから、コレクタ電圧が低下するように負帰還がかかる。逆にトランジスタQ2のコレクタ電圧が僅かに低下した場合、ツェナーダイオードZD21のアノードの電圧及びダイオードD21のカソードの電圧も同じ電圧だけ低下し、トランジスタQ2のゲート電圧が僅かに低下するから、コレクタ電圧が上昇するように負帰還がかかる。
【0050】
時刻t2b以降もトランジスタQ1のコレクタ電圧は低下し続けており、時刻t3で0Vとなる。一方、トランジスタQ2のコレクタ電圧はゲートオン電圧に1100Vを加えた電圧であるから、トランジスタQ1及びQ2夫々のコレクタ電圧を加えた電圧は1500Vに満たず、残りの電圧は負荷3aに印加される。この状態では、ツェナーダイオードZD21にツェナー電流が流れ、トランジスタQ2にコレクタ電流が流れているため、ツェナーダイオードZD21及びトランジスタQ2にて無視できない熱損失が発生している。そこで、本実施形態1では、トランジスタQ2のアクティブクランプの検出電圧を変換回路CV2を介して制御回路2aに取り込み、アクティブクランプが機能したことが制御回路2aで検出されたときに、トランジスタQ1及びQ2が共にオフされるようにする。
【0051】
例えば、上述したように、トランジスタQ1及びQ2をオフに制御している状態でドライバDR12がオン故障となった場合は、トランジスタQ1をオフする方向に駆動すべくドライバDR13によってトランジスタQ1のゲート電圧を引き下げる。また、ドライバDR22がオフ故障の状態でトランジスタQ1及びQ2をオフからオンに制御した場合は、ドライバDR12及びDR22の駆動を停止させ、ドライバDR13によってトランジスタQ1をオフさせる。これにより、トランジスタQ1及びQ2は共にオフの状態となり、破壊を免れる。
【0052】
時刻t4にてアクティブクランプが機能したことが制御回路2aで検出されて、トランジスタQ1をオフさせる駆動信号がゲートに与えられた場合、トランジスタQ1のコレクタ電流(即ちトランジスタQ2のコレクタ電流+ツェナー電流)が減少し始め、トランジスタQ1のコレクタ電圧が750Vに向けて上昇し始める。
【0053】
その後、時刻t5aでトランジスタQ2のコレクタ電流がゼロとなった場合、トランジスタQ2は能動領域から遮断領域に遷移し、コレクタ電圧が低下し始める。これに伴い、トランジスタQ2のゲート電圧と、トランジスタQ2のアクティブクランプの検出電圧とが共に低下し始める。このときは、トランジスタQ1にツェナーダイオードZD21のツェナー電流が流れている。
【0054】
時刻t5aから少し後の時刻t5bでトランジスタQ2のゲート電圧と、トランジスタQ2のアクティブクランプの検出電圧とが0Vに低下した場合、ツェナーダイオードZD21が降伏しなくなる。この時点でトランジスタQ1及びQ2のコレクタ電流がゼロとなり、トランジスタQ1のコレクタ電圧と、トランジスタQ2のコレクタ電圧とを加えた電圧は1500Vとなる。以後、トランジスタQ1のコレクタ電圧の上昇率と絶対値が同じ大きさの低下率でトランジスタQ2のコレクタ電圧が低下し始める。そして、時刻t6にてトランジスタQ1が完全にオフとなり、トランジスタQ1及びQ2のコレクタ電圧は共に略750Vとなる。
【0055】
以下では、上述した制御回路2aの動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。以下に示す処理は、ROM22に予め格納されているコンピュータプログラムに従ってCPU21により実行される。
図3は、実施形態1に係る負荷駆動装置100aでアクティブクランプ時に全トランジスタをオフするCPU21の処理手順を示すフローチャートである。各トランジスタをオン/オフを周期的に制御す駆動処理については、フローチャートの図示とその説明を省略する。
【0056】
図3の処理は、負荷駆動装置100aの動作を開始する場合に、タイマ24で計時する時間に基づいて周期的に起動される。この起動周期は、負荷3aが駆動される周期と同等又はそれ以下の長さであることが好ましい。図中のkは、トランジスタの番号に対応する処理ループのループカウンタである。ここではトランジスタの数を2とするが、3以上であってもよい。
【0057】
図3の処理が起動された場合、CPU21は、ループカウンタであるkを1に初期化する(S11)。その後、CPU21は、k番目のトランジスタのアクティブクランプの検出信号を取り込み(S12)、取り込んだ検出信号が所定の電圧以上であるか否かによってアクティブクランプがオンであるか否か、即ちアクティブクランプが機能したか否かを判定する(S13)。
【0058】
アクティブクランプがオンである場合(S13:YES)、CPU21は、全トランジスタの駆動処理を停止した(S14)後に、全トランジスタをオフに制御して(S15)
図3の処理を終了する。先に駆動処理を停止するのは、オフしたトランジスタが再びオンに駆動されるのを阻止するためである。
【0059】
一方、アクティブクランプがオンではない場合(S13:NO)、CPU21は、ループカウンタであるkを1だけインクリメントし(S16)、kが3であるか否か、即ちトランジスタの番号が全トランジスタの数を1だけ上回ったか否かを判定する(S17)。kが3である場合(S17:YES)、CPU21は、特段の処理を行わずに
図3の処理を終了する。これに対し、kが3ではない場合(S17:NO)、CPU21は、次の番号のトランジスタについてアクティブクランプの判定を行うために、ステップS12に処理を移す。
【0060】
以上のように実施形態1によれば、直列に接続されたN個(N=2)のトランジスタQ1及びQ2夫々のコレクタ及びゲート間に、夫々のゲートに対するコレクタの電圧をクランプするクランプ回路が各別に接続されている。トランジスタQ1及びQ2のオン/オフを制御する制御回路2aは、各クランプ回路がクランプして分圧した電圧に基づいて夫々のトランジスタQ1及びQ2のコレクタに印加された過電圧を検出した場合、全てのトランジスタをオフする。これにより、N個のうちの何れかのトランジスタについてアクティブクランプが機能した場合、各トランジスタに印加される電圧が略均等となる状態に復帰する。従って、複数直列に接続されたトランジスタを過電圧から保護することが可能となる。
【0061】
また、実施形態1によれば、トランジスタQ1及びQ2夫々のゲートと、該ゲートに印加される制御電圧の基準となるエミッタとの間に抵抗器R11及びR21が接続されている。従って、クランプ回路からの漏れ電流によってゲートの制御電圧が不用意に上昇するのを防止することができる。
【0062】
更に、実施形態1によれば、ツェナーダイオードZD11及びダイオードD11を含む直列回路によってクランプ電圧が分圧され、ダイオードD11による分圧電圧が制御回路2aに与えられる。同様に、ツェナーダイオードZD21及びダイオードD21を含む直列回路によってクランプ電圧が分圧され、ダイオードD21による分圧電圧が制御回路2aに与えられる。従って、ツェナーダイオードZD11(又はZD21)が導通した場合、トランジスタQ1(又はQ2)のゲートの電圧にダイオードD11(又はD21)の順方向電圧を加えた電圧がゲートに与えられるため、アクティブクランプが機能したことを制御回路2aにて検出することができる。また、分圧回路にダイオードD11(又はD21)が直列に接続されていることにより、トランジスタQ1(又はQ2)をオンするために制御回路2aからゲートに印加される電圧によってアクティブクランプが誤検出されるのを防止することができる。
【0063】
更に、実施形態1によれば、分圧回路が1又は複数直列に接続したツェナーダイオードを含むため、クランプ電圧の大きさを容易に調整することができる。
【0064】
(実施形態2)
実施形態1は、直列に接続れたトランジスタQ1及びQ2によって直流の負荷3aを駆動する形態であったが、実施形態2は、トランジスタQ1及びQ2を2組用いて単相交流の負荷3bを駆動する形態である。
図4は、実施形態2に係る負荷駆動装置100bの構成例を示す回路図である。負荷駆動装置100bは、ハーフブリッジ回路を含む2レベルインバータであり、交流で駆動される負荷3bに流れる正/負の電流を交互にスイッチングするスイッチング回路1,1と、該スイッチング回路1,1によるスイッチングを制御する制御回路2bとを備える。スイッチング回路1,1がハーフブリッジのアームを構成する。実施形態1と同様に、スイッチング回路1,1夫々が有するトランジスタの数は2つに限定されない。
【0065】
負荷3bは、電源4の電圧を分圧するコンデンサ41及び42の接続点と、直列に接続されたスイッチング回路1,1の接続点との間にインダクタL1を介して接続されている。負荷3bの両端には、インダクタL1との組み合わせによりLCフィルタを構成するコンデンサC1が接続されている。スイッチング回路1,1の直列回路は、両端が電源4に接続されている。
【0066】
なお、スイッチング回路1,1夫々と制御回路2bとの間の接続を示す実線に付された斜線及び「4」の数値は、これらの回路間が4つの線によって接続されていることを表すものである(
図1参照)。スイッチング回路1,1では、トランジスタQ1及びQ2とダイオードD10及びD20とを除いて、回路内の詳細な構成の図示を省略する。制御回路2bは、制御回路2aと比較して、入出力部25(
図1参照)と接続される変換回路CV1及びCV2の数が異なる。
【0067】
その他、実施形態1に対応する箇所には同様の符号を付してその説明を省略する。電源4の電圧は、実施形態1の場合と同様に1500Vである。制御回路2bがスイッチング回路1,1を用いて負荷3bに正/負2レベルの電圧を交互に印加する方法については公知であるため、ここでの説明を省略する。
【0068】
上述のように構成された負荷駆動装置100bの制御回路2bは、実施形態1の場合と同様に、スイッチング回路1,1夫々について、トランジスタQ1及びQ2のオン/オフを同時に制御することにより、スイッチング回路1,1をオン/オフする。一方のスイッチング回路1がオンの間は、他方のスイッチング回路1に電源4の電圧が印加されるため、スイッチング回路1,1夫々に要求される耐圧は、実施形態1の場合と同じである。よって、本実施形態2にあっても、トランジスタQ1及びQ2のコレクタ・エミッタ間の耐圧を1200Vとし、ツェナーダイオードZD11及びZD21(
図1参照)の降伏電圧を1100Vとする。
【0069】
例えば、高電位側のスイッチング回路1がオンである間に、低電位側のスイッチング回路1でトランジスタQ1及びQ2の一方がオンとなった場合、他方のトランジスタについてアクティブクランプが機能するのは、実施形態1の場合と同様である。但し、この場合は、電源4とスイッチング回路1,1との間に負荷が存在しないため、全てのトランジスタがオフされるまでの間に、スイッチング回路1,1に流れる電流が増大し続けることとなる。よって、スイッチング回路1,1夫々で何れかのトランジスタのアクティブクランプ検出電圧が所定の電圧以上となった場合、この事象をラッチ回路でラッチし、ラッチした信号に基づいて、スイッチング回路1,1夫々のトランジスタQ1及びQ2をハードウェア回路で強制的にオフすることが好ましい。後述する実施形態3及び4についても同様である。
【0070】
図5は、負荷駆動装置100bでアクティブクランプが機能する場合の各トランジスタの状態を示す図表である。
図5では、
図4に示す4つのトランジスタQ1,Q2,Q1,Q2を、高電位側から順にスイッチT1,T2,T3,T4と称し、各スイッチのオン状態を1、オフ状態を0として図示してある。状態1,2,3,4夫々では、本来オフであるべきスイッチT3,T4,T1,T2が何らかのハードウェアの不具合のためにオンとなることにより、スイッチT4,T3,T2,T1にてアクティブクランプが機能する。状態5は、オフであるべき2つのスイッチT1,T2又はT3,T4が同時にオンとなった場合に相当する。この場合はアクティブクランプが機能せず、スイッチT1,T2,T3,T4が破壊する可能性が高い。但しこのような状態に陥る確率は極めて低い。
【0071】
以上のように本実施形態2によれば、2レベルインバータとしての負荷駆動装置100bに含まれるハーフブリッジ回路の一方のアーム及び他方のアームの夫々がN個(N=2)直列のトランジスタQ1及びQ2によって構成されているため、各アームの耐電圧性を向上させることができる。
【0072】
(実施形態3)
実施形態2は、負荷駆動装置100bが2レベルインバータである形態であるのに対し、実施形態3は、負荷駆動装置100cが3レベルインバータである形態である。
図6は、実施形態3に係る負荷駆動装置100cの構成例を示す回路図である。負荷駆動装置100cは、交流で駆動される負荷3bに流れる電流をスイッチングするスイッチング回路1,1と、該スイッチング回路1,1によるスイッチングを制御する制御回路2cとを備える。
【0073】
負荷駆動装置100cは、実施形態2の負荷駆動装置100bに対し、ハーフブリッジ回路の各アームを構成する2つのトランジスタQ1及びQ2の接続点の間に介装された2個直列のダイオードD1およびD2を更に備える。ダイオードD1のカソードは、高電位側のスイッチング回路1のトランジスタQ1及びQ2の接続点に接続されている。ダイオードD2のアノードは、低電位側のスイッチング回路1のトランジスタQ1及びQ2の接続点に接続されている。ダイオードD1及びD2の接続点は、コンデンサ41及び42の接続点に接続されている。
【0074】
制御回路2cと制御回路2bとの違いは、ソフトウェア処理上の差異のみである。その他、実施形態1及び2に対応する箇所には同様の符号を付してその説明を省略する。電源4の電圧は、実施形態1及び2の場合と同様に1500Vである。制御回路2cがスイッチング回路1,1を用いて負荷3bに3レベルの電圧を印加する方法については公知であるため、ここでの説明を省略する。
【0075】
以上のように構成された負荷駆動装置100cの制御回路2cは、実施形態1及び2の場合とは異なり、スイッチング回路1,1夫々について、トランジスタQ1及びQ2のオン/オフを各別に制御する。
図7は、稼働状態にある負荷駆動装置100cにおける各トランジスタの状態と出力電圧との対応を示す図表である。
図7では、電源4の電圧をVdcとした場合に、各スイッチ(トランジスタ)のオン状態及びオフ状態の組み合わせによる状態7から状態11の夫々に応じて、0,0,Vdc/2,0,−Vdc/2の3レベルの電圧が出力されることが示されている。なお、スイッチT1からT4の全てがオフである状態6は、負荷駆動装置100cが稼働していないオフ状態で用いられる。
【0076】
スイッチT1からT4が
図7に示す何れかの状態にある場合、各トランジスタに印加される最大電圧は、電源4の電圧の半分である略750Vである。しかしながら、不具合によって3つのトランジスタがオンとなった場合は、残りの1つのトランジスタに1500Vが印加される。よって、本実施形態3にあっても、トランジスタQ1及びQ2のコレクタ・エミッタ間の耐圧を1200Vとし、ツェナーダイオードZD11及びZD21(
図1参照)の降伏電圧を1100Vとする。
【0077】
4つのスイッチT1,T2,T3,T4のうち、2つのスイッチがオンである状態9,10,11では、制御回路2cによる制御の不具合又はハードウェアの不具合により、オフである残り2つのスイッチのうちの一方がオンとなった場合に、実施形態2の
図5に示す状態1から4の何れかとなり、アクティブクランプが機能する。状態7,8では、オフである3つのスイッチのうちの1つがオンとなった場合であっても、各トランジスタに印加される最大電圧が略750Vであるため、アクティブクランプが機能することはない。
【0078】
以上のように本実施形態3によれば、ハーフブリッジ回路の各アームを構成するトランジスタQ1及びQ2の接続点同士が、2個直列のダイオードD1及びD2によって接続されている。従って、ハーフブリッジの両端を電源4に接続し、ダイオードD1及びD2の接続点を電源4の中間電位点に接続することにより、いわゆるNPC(Neutral Point Clamped )方式の3レベルインバータが構成される。また、制御回路2cによる制御の不具合やハードウェアの不具合によって1つのトランジスタに電源4の電圧が印加される状態に陥った場合であっても、アクティブクランプが機能することにより、各トランジスタを保護することができる。
【0079】
(実施形態4)
実施形態3は、負荷駆動装置100cが単相の3レベルインバータである形態であるのに対し、実施形態4は、負荷駆動装置100dが三相の3レベルインバータである形態である。
図8は、実施形態4に係る負荷駆動装置100dの構成例を示す回路図である。負荷駆動装置100dは、三相交流で駆動される負荷3dに流れる電流をスイッチングする三相分のスイッチング回路1,1と、該三相分のスイッチング回路1,1によるスイッチングを制御する制御回路2dとを備える。第2相及び第3相のスイッチング回路1,1では、ダイオードD10及びD20の符号の記載を省略する。
【0080】
各相のスイッチング回路1,1が有するハーフブリッジの各アームを構成するトランジスタQ1及びQ2の接続点の間には、2個直列のダイオードD1およびD2が接続されている。各相のダイオードD1およびD2の接続点は、電源4の電圧を分圧するコンデンサ41及び42の接続点に接続されている。負荷3dは、各相の2つのアームの接続点に接続されている。コンデンサ41及び42は、三相個別に備わっていなくてもよい。
【0081】
制御回路2dは、制御回路2cと比較して、入出力部25(
図1参照)と接続される変換回路CV1及びCV2の数が異なる他に、ソフトウェア処理が異なっている。その他、実施形態1及び3に対応する箇所には同様の符号を付してその説明を省略する。電源4の電圧は、実施形態1、2及び3の場合と同様に1500Vである。制御回路2dが三相分のスイッチング回路1,1を用いて負荷3dに三相分の3レベルの電圧を印加する方法については公知であるため、ここでの説明を省略する。
【0082】
以上のように構成された負荷駆動装置100dの制御回路2dは、実施形態3の場合と同様に、スイッチング回路1,1夫々について、トランジスタQ1及びQ2のオン/オフを各別に制御する。稼働状態にある負荷駆動装置100dにおける一相分の各トランジスタの状態と出力電圧との対応を示す図表は、実施形態3の
図7に示すものと同様である。アクティブクランプが機能する場合の各トランジスタの状態を示す図表は、実施形態2の
図5に示すものと同様である。
【0083】
図9は、
図5及び7に示されていない各トランジスタの状態を示す図表である。
図9に示される状態12から状態16には、スイッチT1及びT4の少なくとも一方がオンである状態と、隣接していないスイッチ(T1及びT3、T2及びT4)がオンである状態とが含まれている。各トランジスタがこれらの状態に陥る原因としては、制御回路2dによる制御に不具合があった場合、外来ノイズの影響を受けた場合、ドライバDR12,DR13,DR22,DR23の何れかが故障した場合等が考えられる。
【0084】
スイッチング回路1,1の各トランジスタが状態12から状態16の何れかの状態にある場合、隣接する相のスイッチング回路1,1の各トランジスタの状態によっては、一部のトランジスタが破壊する可能性がある。このことは、公知の文献(“SEMIKRON Application Note AN-11001”、https://www.semikron.com/dl/service-support/downloads/download/semikron-application-note-3l-npc-tnpc-topology-ja-2012-09-03-rev-04/、インターネット、平成30年5月7日検索)にも記載されている。
【0085】
しかしながら、何れかのトランジスタのコレクタ電圧が不具合によって上昇した場合であっても、実施形態2及び3の場合と同様にアクティブクランプが機能した時点で全てのトランジスタがオフされるため、各トランジスタが破壊から保護される。
【0086】
以上のように本実施形態4によれば、3つ並列に接続されたNPC方式の3レベルインバータを用いて、三相の負荷3dを駆動することができる。また、制御回路2dによる制御の不具合やハードウェアの不具合によって何れかのトランジスタに過電圧が印加される状態に陥った場合であっても、アクティブクランプが機能することにより、各トランジスタを保護することができる。
【0087】
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、各実施形態で記載されている技術的特徴は、お互いに組み合わせることが可能である。