【解決手段】身体におけるコラーゲンの生成を促進させる波長の光を照射する照射装置1は、基板10に所定間隔で配置されており、それぞれ光を発光する複数の光源部20と、光源部20から見て光の進行方向側に固定して配置されており、複数の光源部20から発光された光の進行方向を複数の異なる方向に変更させる進行方向変更部30とを備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、光を発光する光源が、ユーザが手で握る治療機器の先端部に設けられているに過ぎないため、光が照射できる範囲は狭く、例えば人の頭部の全体に光を照射することが困難である。また、上記の治療機器では、光の進行方向が固定されており、光の進行方向を変更するためには複雑な機構を設ける必要がある。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、簡素な構造で、光の進行方向を複数の方向に変更できる照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様においては、身体におけるコラーゲンの生成を促進させる波長の光を照射する照射装置であって、基板に所定間隔で配置されており、それぞれ前記光を発光する複数の光源部と、前記光源部から見て前記光の進行方向側に固定して配置されており、前記複数の光源部から発光された前記光の進行方向を複数の異なる方向に変更させる進行方向変更部と、を備える、照射装置を提供する。
【0007】
また、前記複数の光源部は、前記基板の主面に格子状に点在するように配置されていることとしてもよい。
【0008】
また、前記進行方向変更部は、矩形の前記基板の主面に離間して対向するように、第1方向に所定間隔で列状に複数配置された第1進行方向変更部を含むこととしてもよい。
【0009】
また、前記進行方向変更部は、前記第1進行方向変更部と直交するように前記第1方向と直交する第2方向に所定間隔で列状に複数配置された第2進行方向変更部を含むこととしてもよい。
【0010】
また、前記進行方向変更部は、隣接する2つの光源部に対向しており、前記2つの光源部から発光された光の進行方向を、それぞれ異なる方向に変更させることとしてもよい。
【0011】
また、前記進行方向変更部は、透明体であるプリズムであり、前記プリズムは、矩形の前記基板の対向する2つの側面の間を一直線状に配置されていることとしてもよい。
【0012】
また、前記照射装置は、前記複数の光源部の中から光を発光させる光源部を順次切り替える発光制御部を更に備えることとしてもよい。
【0013】
また、前記発光制御部は、前記複数の光源部から発光された複数の光が集中するように、光源部を順次切り替えることとしてもよい。
【0014】
また、前記基板は、フレキシブル基板であり、前記照射装置は、平板状に形成されており、全体として撓み可能であることとしてもよい。
【0015】
また、前記照射装置は、洗髪台の前記身体の頭部が位置する凹部の内側面に着脱可能に装着されることとしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡素な構造で、光の進行方向を複数の方向に変更できるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<照射装置の構成>
本発明の一の実施形態に係る照射装置の構成について、
図1〜
図3を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、一の実施形態に係る照射装置1の構成の一例を説明するための模式図である。
図2は、照射装置1の内部構成の一例を説明するための模式図である。
図3は、基板10に配置された複数の光源部20の配置状態の一例を説明するための模式図である。なお、
図1では、説明の便宜上、照射装置1の内部に配置されている進行方向変更部30を破線で示している。
【0020】
照射装置1は、たんぱく質の一つであるコラーゲンの生成を促進させる波長の光を照射する。例えば、照射装置1が人の身体に照射することで、身体におけるコラーゲンの生成を促進させる。コラーゲンは、例えば身体の細胞を結び付けて支える機能を有する。照射装置1は、
図1に示すように平板状に形成されている。照射装置1は、
図2に示すように、基板10と、光源部20と、進行方向変更部30と、カバー部40と、分離部50とを有する。照射装置1は、カバー部40を介して前方へ向かって発光する。
【0021】
基板10は、照射装置1の底面部となっている。基板10は、
図3に示すように、矩形平板状に形成されている。基板10は、フレキシブル基板であり、可撓性を有する。基板10には、光源部20を含む様々な電子部品が実装されうる。例えば、基板10には、光源部20の発光を制御する発光制御部15(
図3)が設けられている。発光制御部15の詳細については、後述する。
【0022】
光源部20は、例えばLED光源であり、コラーゲンの生成を促進させる所定の波長の光を発する。光源部20が発する光の波長は、コラーゲンの生成を促進させる観点から、ここでは600(nm)〜650(nm)の範囲が望ましい。より望ましくは、光の波長は633(nm)であり、この場合にはコラーゲンの生成が一層促進される。
【0023】
光源部20は、基板10上に所定間隔で複数配置されている。ここでは、複数の光源部20は、
図3に示すように、基板10の主面10aに格子状に点在するように配置されている。すなわち、光源部20は、基板10の主面10aのほぼ全ての領域に所定間隔で配置されている。これにより、広範囲に光を照射することができるので、効率的にコラーゲンの生成を促進できる。なお、上記では、複数の光源部20が主面10aに格子状に配置されていることとしたが、これに限定されない。複数の光源部20は、主面10aに千鳥状に配置されていてもよい。
【0024】
進行方向変更部30は、照射装置1の前面3(
図3)側に配置されており、光源部20が配置された基板10に離間して対向している。進行方向変更部30は、複数の光源部20から発光された光の進行方向を複数の異なる方向に変更させる。例えば、進行方向変更部30は、複数の光源部20から発光された光を、異なる複数の方向へ屈折又は反射させることで、光の進行方向を変更させている。
【0025】
進行方向変更部30は、
図2に示すように、光源部20から見て光の進行方向側に固定して配置されている。すなわち、進行方向変更部30は、可動することなく、光の進行方向を複数の異なる方向に変更させている。このように可動させる機構を有しないため、照射装置1を薄型化することが可能となる。
【0026】
進行方向変更部30は、
図2に示すように、X方向(第1方向に該当する)において所定間隔で列状に複数配置されている。複数の進行方向変更部30は、
図1に示すように、それぞれY方向に沿って(ここではY方向と平行に)配置されている。具体的には、進行方向変更部30は、
図1に示すように、矩形の照射装置1の対向する2つの側面の間を一直線に配置されている。
【0027】
進行方向変更部30は、ここでは
図2に示すように、光の方向を変えるプリズムである。プリズムは、ガラス等の透明体であり、三角柱の形状(断面形状は、
図2に示すように正三角形)を成している。プリズムは、光源部20から発光された光を屈折させて、光の進行方向を変更させる。このようにプリズムを用いることで、簡易な構造で進行方向変更部30を構成できる。
【0028】
図2に示すように、進行方向変更部30は、X方向において隣接する2つの光源部20に対向している。そして、進行方向変更部30は、対向する2つの光源部20から発光された光を異なる方向に変更させる。
【0029】
図4は、X方向で隣接する2つの光源部20から発光された光の進行方向を説明するための模式図である。
図4(a)には奇数番目の光源部20から発光された光の進行方向が示されており、
図4(b)には偶数番目の光源部20から発光された光の進行方向が示されている。ここでは、
図4で左端に配置された進行方向変更部30−1に対向する2つの光源部20−1a、20−1bを例に挙げて説明する。光源部20−1aから発光された光と、光源部20−1bから発光された光は、進行方向変更部30−1によって屈折され、それぞれ異なる方向へ進行する。
【0030】
図4では、光源部20から発光された光が、進行方向変更部30によって2つの方向に進行する例を説明したが、これに限定されない。例えば、
図5に示すように、光源部20から発光された光が、進行方向変更部30によって4つの方向(上下左右の方向)に進行してもよい。
【0031】
図5は、光の4つの進行方向を説明するための模式図である。ここでは、4つの進行方向に進行する光を発する光源部20を、便宜上、第1光源部、第2光源部、第3光源、第4光源部と呼ぶ。すなわち、複数の光源部20が、4つの光源部に分けられる。そして、第1光源部から照射された光は、進行方向変更部30で屈折して方向D1(上方向)に進み、第2光源部から照射された光は、進行方向変更部30で屈折して方向D2(下方向)に進む。また、第3光源部から照射された光は、進行方向変更部30で屈折して方向D3(左方向)に進み、第4光源部から照射された光は、進行方向変更部30で屈折して方向D4(右方向)に進む。
【0032】
光源部20が発した光を4つの方向に進行させるために、進行方向変更部30を例えば
図6に示すように配置してもよい。
図6は、進行方向変更部30の配置例を説明するための模式図である。
図6では、説明の便宜上、黒塗りの部分を進行方向変更部30として示している。進行方向変更部30は、
図6に示すように、X方向に所定間隔で列状に配置された第1進行方向変更部30aと、Y方向に所定間隔で列状に配置された第2進行方向変更部30bとで構成されている。第1進行方向変更部30aと第2進行方向変更部30bは、互いに直交するように配置されている。この場合、第1進行方向変更部30aが光を左方向又は右方向へ進ませ、第2進行方向変更部30bが光を上方向又は下方向へ進ませる。これにより、四方に光を進行させることが可能となる。
【0033】
なお、上記では、進行方向変更部30が4つの方向D1〜D4(
図5)に光を進行させることとしたが、これに限定されない。例えば、進行方向変更部30は、3つの方向に光を進行させてもよい。
【0034】
図2に示すように、複数の進行方向変更部30の上方には、カバー部40が設けられている。カバー部40は、平板状に形成されており、複数の進行方向変更部30を覆うように配置されている。
進行方向変更部30と基板10の間には、
図2に示すように、平板状の分離部50が設けられている。分離部50と基板10の間には、空隙が形成されている。なお、進行方向変更部30、カバー部40及び分離部50は、例えば樹脂で一体成形されてもよい。
【0035】
ところで、基板10には、前述したように複数の光源部20の発光を制御する発光制御部15(
図3)が設けられている。本実施形態では、発光制御部15は、複数の光源部20の中から発光させる光源部20を順次切り替える。すなわち、発光制御部15は、複数の光源部20の全ての光源部20を同時に発光させるのではなく、一部の光源部20毎に切り替えながら発光させる。例えば、発光制御部15は、
図3に示す複数の光源部20を、X方向の一端側から他端側へ向かって、列毎に切り替えながら発光させてもよい。
【0036】
発光制御部15は、
図5に示すように4つの方向に光を進行させる場合には、複数の光源部20を4つのグループに分けて、それぞれ異なる発光タイミングで発光させてもよい。一例として、発光制御部15は、第1発光タイミングで第1光源部のみを発光させ、その後の第2発光タイミングで第2光源部のみを発光させ、その後の第3発光タイミングで第3光源部のみを発光させ、その後の第4発光タイミングで第4光源部のみを発光させる。すなわち、発光制御部15は、発光タイミング毎に異なる進行方向の光を照射させる。
【0037】
発光制御部15は、複数の光源部20から一部の光源部20をランダムに選択し、選択した光源部20から光を発光させてもよい。例えば、複数の光源部20から上述した第1光源部、第2光源部、第3光源部及び第4光源部をランダムに選択して、発光させてもよい。
【0038】
また、発光制御部15は、複数の光源部20から発光された複数の光が集中するように、光源部20を切り替えてもよい。すなわち、発光制御部15は、進行方向変更部30によって集中する方向に進行する光を発する光源部20を選択して発光させる。これにより、局所の部分に光を集中させることで、当該局所の部分におけるコラーゲンの促進がより有効に奏される。
【0039】
照射装置1は、
図1に示すように平板状の形状を成しているが、変形可能である。例えば、照射装置1は、
図7に示すように湾曲可能である。このように照射装置1が変形することで、様々な形状の照射先に光を照射することができる。また、取付け面が湾曲しているような装置に、照射装置1を取り付けることが可能となる。
【0040】
図7は、照射装置1の湾曲状態を説明するための模式図である。照射装置1は、前述した進行方向変更部30を有することで、可動部が不要となり、また薄型化できる。そして、光源部20が配置された基板10がフレキシブル基板であるため、照射装置1全体を湾曲させることができる。例えば、
図7に示すように、照射装置1のカバー部40側が凹むように、湾曲させることができる。
【0041】
上記では、進行方向変更部30であるプリズムが、
図2に示すように配置されていることとしたが、これに限定されない。例えば、進行方向変更部30であるプリズムは、
図8に示すように、
図2とは上下逆に配置されていてもよい。この場合でも、対向する2つの光源部20から発光された光を、それぞれ異なる向きに進行させることができる。なお、
図8は、照射装置1の内部構成の変形例を説明するための模式図である。
【0042】
<照射装置の使用形態>
上述した構成を有する照射装置1の使用形態について、
図9及び
図10を参照しながら説明する。
【0043】
図9は、照射装置1の使用形態の一例を説明するための模式図である。照射装置1は、
図9に示すように、離れて位置する人の頭部Hに光を照射する用途で使用されうる。照射装置1は、人の頭部Hの形状に沿うように配置されることで、頭部Hのほぼ全体に光を照射できる。そして、照射装置1は、前述したように進行方向が異なる複数の光を、頭部Hに照射する。また、照射装置1は、発光する光源部20を順次切り替えながら、頭部Hに光を照射する。これにより、頭部Hにおけるコラーゲンの生成が促進される。生成されたコラーゲンは、頭部Hの頭皮の細胞の働きを促進させる。この結果、例えば髪を太くしたり、髪のツヤを出したりできる。
【0044】
照射装置1は、人の頭部に光を照射するために、特定の装置に取り付けられる。例えば、照射装置1は、
図10に示すように洗髪台90に取り付けられ、洗髪台90で洗髪を行う際に頭部に光を照射する。このように洗髪と光の照射によるコラーゲン生成とを一緒に行うことで、別々に行う場合に比べて作業時間を大幅に短縮できる。
【0045】
図10は、照射装置1が洗髪台90に取り付けられている状態を説明するための模式図である。照射装置1は、例えば美容室に設けられた洗髪台90の凹部92の内側面93に着脱可能に装着されている。照射装置1は、基板10側に洗髪台90に装着される装着部を有してもよい。なお、
図10では、一つの照射装置1が洗髪台90に装着されているが、これに限定されず、複数の照射装置1が洗髪台90に装着されていてもよい。
【0046】
凹部92の内側面93は、通常湾曲した面となっており、照射装置1は、湾曲した内側面93に沿うように変形した状態で装着されている。凹部92の形状は、洗髪台90の種類によって異なったりするが、上述した照射装置1の場合には変形しやすいため、凹部92の形状に倣って変形した状態で装着可能である。これにより、洗髪台90の種類に応じた照射装置1を装着する必要がなくなり、使用者にとっては利便性が高まる。
【0047】
洗髪台90に装着された照射装置1は、前述したように、複数の光源部20の中から発光させる光源部20を順次切り替えながら発光させる。例えば、照射装置1は、複数の光源部20の中からランダムに光源部20を選択して発光させる制御を、光源部20を切り替えながら行う。このように光源部20を切り替えながら発光させることで、周囲の人が洗髪台90を注視することになり、洗髪台90の利用を促すことが期待できる。
【0048】
なお、上記では、照射装置1が洗髪台90に着脱可能に装着されることとしたが、これに限定されず、コラーゲン生成の促進を期待される身体の部位に供される他の装置に装着されてもよい。
【0049】
また、上記では、照射装置1が矩形状であることとしたが、これに限定されない。例えば、照射装置1は、楕円形状であってもよい。
【0050】
また、上記では、進行方向変更部30がプリズムであることとしたが、これに限定されない。進行方向変更部30は、例えば光を反射させる反射部材であってもよい。また、プリズムの表面に反射材が設けられていてもよい。
【0051】
また、上記では、照射装置1は、人の頭部(具体的には、髪)に、コラーゲンの生成を促進させる光を照射させることとしたが、これに限定されない。例えば、照射装置1は、人の体の胴体に、コラーゲンの生成を促進させる光を照射させてもよい。これにより、例えば肌がツルツルになる、ハリが保てる等の美肌効果が高まる。
【0052】
<本実施形態における効果>
上述した照射装置1においては、基板10の複数の光源部20から発光された光の進行方向を複数の異なる方向に変更させる進行方向変更部30は、光源部20から光の進行方向側に固定して配置されている。
【0053】
このような構成によれば、照射装置1に可動部を設けなくても、固定配置された進行方向変更部30によって複数の光源部20から発光される光の進行方向を複数の方向に変更できる。すなわち、簡素な構造で、光源部20から発光された光の進行方向を複数の方向に変更できる。特に、基板10上に配置された複数の光源部20を切り替えながら発光させることで、発光タイミング毎に異なる進行方向の光を照射させることができる。
【0054】
さらに、上述した照射装置1は、例えば洗髪台90に着脱可能に装着されることにより、洗髪をしながら光を照射させることができる。特に、照射装置1が簡素な構造となって薄型化されていることで変形しやすいので、様々な種類の洗髪台90に取り付けることが可能となる。
【0055】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。