【課題】便の不快臭を持続的に抑制すると共に、排便の早期便認知により介護者等が速やかに交換することを可能にし、かぶれ等が発生し難い吸収性着用物品、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を有する吸水性樹脂粒子(P)、液拡散部材(B)並びに香料組成物(C)を含有してなる吸収体を備え、吸水性樹脂粒子(P)のDW法による5分後の吸収量(M)が30〜65ml/gである、吸収性着用物品;香料組成物(C)と吸水性樹脂粒子(P)を混合して(P)表面に(C)を付着させる工程、及び/又は(C)を(B)の表面に塗布又は噴霧する工程を有する上記吸収性着用物品の製造方法。
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を有する吸水性樹脂粒子(P)、液拡散部材(B)並びに香料組成物(C)を含有してなる吸収体を備える吸収性着用物品であって、吸水性樹脂粒子(P)のDemand Wettability法による5分後の吸収量(M)が30〜65ml/gである、吸収性着用物品。
架橋重合体(A)が、架橋重合体(A)100重量部に対して、疎水性物質(g)を0.005〜3重量%含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性着用物品。
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を有する、DW(DemandWettability)法による5分後の吸収量(M)が30〜65ml/gである吸水性樹脂粒子(P)、液拡散部材(B)並びに香料組成物(C)を含有してなる吸収体を備える吸収性着用物品の製造方法であって、香料組成物(C)と吸水性樹脂粒子(P)を混合して吸水性樹脂粒子(P)の表面に香料組成物(C)を付着させる工程、及び/又は香料組成物(C)を液拡散部材(B)の表面に塗布又は噴霧する工程を有する吸収性着用物品の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の吸収性着用物品は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)(以下、加水分解性ビニルモノマー(a2)ともいう。)並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を有する吸水性樹脂粒子(P)並びに液拡散部材(B)を含有する吸収体を備えるものであって、該吸収体は、さらに香料組成物(C)を含有してなる。
【0011】
本発明の吸収性着用物品において、上述のように、吸水性樹脂粒子(P)と液拡散部材(B)を含有してなる構成物を吸収体という。吸収体は水性液体の吸収を行う部分であり、水性液体としては、尿、便、汗及び血液等の体液並びに種々の用途(工業用、医療用及び農林水産業用等)に用いられる水性液体等が挙げられる。
【0012】
吸水性樹脂粒子(P)が有する架橋重合体(A)は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(b)を必須構成単位とする。
【0013】
本発明における水溶性ビニルモノマー(a1)としては特に限定はなく、公知のモノマー、例えば、特許第3648553号公報の0007〜0023段落に開示されている少なくとも1個の水溶性置換基とエチレン性不飽和基とを有するビニルモノマー(例えばアニオン性ビニルモノマー、非イオン性ビニルモノマー及びカチオン性ビニルモノマー)、特開2003−165883号公報の0009〜0024段落に開示されているアニオン性ビニルモノマー、非イオン性ビニルモノマー及びカチオン性ビニルモノマー並びに特開2005−75982号公報の0041〜0051段落に開示されているカルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基、水酸基、カルバモイル基、アミノ基及びアンモニオ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有するビニルモノマーが使用できる。
【0014】
加水分解性ビニルモノマー(a2)は特に限定はなく、公知{例えば、特許第3648553号公報の0024〜0025段落に開示されている加水分解により水溶性置換基となる加水分解性置換基を少なくとも1個有するビニルモノマー、特開2005−75982号公報の0052〜0055段落に開示されている少なくとも1個の加水分解性置換基[1,3−オキソ−2−オキサプロピレン(−CO−O−CO−)基、アシル基及びシアノ基等]を有するビニルモノマー}のビニルモノマー等が使用できる。なお、水溶性ビニルモノマーとは、当業者に周知の概念であるが、数量を用いて表すなら、例えば、25℃の水100gに少なくとも100g溶解するビニルモノマーを意味する。また、加水分解性ビニルモノマー(a2)における加水分解性とは、当業者に周知の概念であるが、より具体的に表すなら、例えば、水及び必要により触媒(酸又は塩基等)の作用により加水分解され、水溶性になる性質を意味する。加水分解性ビニルモノマー(a2)の加水分解は、重合中、重合後及びこれらの両方のいずれで行っても良いが、得られる吸水性樹脂粒子の吸収性能の観点から、重合後が好ましい。
【0015】
これらのうち、吸収性能等の観点から好ましいのは水溶性ビニルモノマー(a1)、より好ましいのは上述のアニオン性ビニルモノマー、カルボキシ(塩)基、スルホ(塩)基、アミノ基、カルバモイル基、アンモニオ基又はモノ−、ジ−若しくはトリ−アルキルアンモニオ基を有するビニルモノマー、更に好ましいのはカルボキシ(塩)基又はカルバモイル基を有するビニルモノマー、特に好ましいのは(メタ)アクリル酸(塩)及び(メタ)アクリルアミド、とりわけ好ましいのは(メタ)アクリル酸(塩)、最も好ましいのはアクリル酸(塩)である。
【0016】
なお、「カルボキシ(塩)基」は「カルボキシ基」又は「カルボキシレート基」を意味し、「スルホ(塩)基」は「スルホ基」又は「スルホネート基」を意味する。また、(メタ)アクリル酸(塩)はアクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩を意味し、(メタ)アクリルアミドはアクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。また、塩としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)塩及びアンモニウム(NH
4)塩等が挙げられる。これらの塩のうち、吸収性能等の観点から、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、更に好ましいのはアルカリ金属塩、特に好ましいのはナトリウム塩である。
【0017】
水溶性ビニルモノマー(a1)又は加水分解性ビニルモノマー(a2)のいずれかを構成単位とする場合、それぞれ1種を単独で構成単位としてもよく、また、必要により2種以上を構成単位としても良い。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合も同様である。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合、これらの含有モル比[(a1)/(a2)]は、75/25〜99/1が好ましく、更に好ましくは85/15〜95/5、特に好ましくは90/10〜93/7、最も好ましくは91/9〜92/8である。この範囲内であると、吸収性能が更に良好となる。
【0018】
架橋重合体(A)の構成単位として、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の他に、これらと共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)を構成単位とすることができる。その他のビニルモノマー(a3)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0019】
共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)としては特に限定はなく、公知(例えば、特許第3648553号公報の0028〜0029段落に開示されている疎水性ビニルモノマー、特開2003−165883号公報の0025段落及び特開2005−75982号公報の0058段落に開示されているビニルモノマー等)の疎水性ビニルモノマー等が使用できる。
【0020】
その他のビニルモノマー(a3)単位の含有量(モル%)は、吸収性能等の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位の合計モル数に基づいて、0〜5が好ましく、更に好ましくは0〜3、特に好ましくは0〜2、とりわけ好ましくは0〜1.5であり、吸収性能等の観点から、その他のビニルモノマー(a3)単位の含有量が0モル%であることが最も好ましい。
【0021】
架橋剤(b)としては特に限定はなく公知(例えば、特許第3648553号公報の0031〜0034段落に開示されているエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも1個有してかつ少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する架橋剤及び水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも2個有する架橋剤、特開2003−165883号公報の0028〜0031段落に開示されているエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、エチレン性不飽和基と反応性官能基とを有する架橋剤及び反応性置換基を2個以上有する架橋剤、特開2005−75982号公報の0059段落に開示されている架橋性ビニルモノマー並びに特開2005−95759号公報の0015〜0016段落に開示されている架橋性ビニルモノマー)の架橋剤等が使用できる。これらのうち、吸収性能等の観点から、エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤が好ましく、更に好ましいのはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート及び炭素数2〜40のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテル、特に好ましいのはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン、ポリエチレングリコールジアリルエーテル及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル、最も好ましいのはペンタエリスリトールトリアリルエーテルである。架橋剤(b)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0022】
架橋剤(b)単位の含有量(モル%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位の、その他のビニルモノマー(a3)も使用する場合は(a1)〜(a3)の、合計モル数に基づいて、0.001〜5が好ましく、更に好ましくは0.005〜3、特に好ましくは0.01〜1である。この範囲であると、吸収性能が更に良好となる。
【0023】
架橋重合体(A)の重合方法としては、公知の溶液重合(断熱重合、薄膜重合及び噴霧重合法等;特開昭55−133413号公報等)や、公知の逆相懸濁重合(特公昭54−30710号公報、特開昭56−26909号公報及び特開平1−5808号公報等)が挙げられる。
【0024】
架橋重合体(A)は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)並びに架橋剤(b)を必須構成成分とする単量体組成物を重合することにより得ることができる。重合方法のうち、有機溶媒等を使用する必要がなく生産コスト面で有利なことから、好ましくは溶液重合法であり、液拡散部材(B)との絡み性に起因する水性液体の拡散性の観点から、更に好ましくは水溶液重合法及び逆相懸濁重合法である。
【0025】
水溶液重合を行う場合、水と有機溶媒とを含む混合溶媒を使用することができ、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド及びこれらの2種以上の混合物を挙げられる。
水溶液重合を行う場合、有機溶媒の使用量(重量%)は、水の重量を基準として40以下が好ましく、更に好ましくは30以下である。
【0026】
重合に開始剤を用いる場合、従来公知のラジカル重合用開始剤が使用可能であり、例えば、アゾ化合物[アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシアノ吉草酸及び2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド等]、無機過酸化物(過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウム等)、有機過酸化物[過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド及びジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート等]及びレドックス触媒(アルカリ金属の亜硫酸塩又は重亜硫酸塩、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム及びアスコルビン酸等の還元剤とアルカリ金属の過硫酸塩、過硫酸アンモニウム、過酸化水素及び有機過酸化物等の酸化剤との組み合わせよりなるもの)等が挙げられる。これらの触媒は、単独で使用してもよく、これらの2種以上を併用しても良い。
ラジカル重合開始剤の使用量(重量%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の、その他のビニルモノマー(a3)も使用する場合は(a1)〜(a3)の、合計重量に基づいて、0.0005〜5が好ましく、更に好ましくは0.001〜2である。
【0027】
重合時には、必要に応じて連鎖移動剤に代表される重合コントロール剤を併用しても良く、これらの具体例としては、次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、アルキルメルカプタン類、ハロゲン化アルキル類、チオカルボニル化合物類等が挙げられる。これらの重合コントロール剤は、単独で使用してもよく、これらの2種以上を併用しても良い。
重合コントロール剤の使用量(重量%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の、その他のビニルモノマー(a3)も使用する場合は(a1)〜(a3)の、合計重量に基づいて、0.0005〜5が好ましく、更に好ましくは0.001〜2である。
【0028】
重合方法として懸濁重合法又は逆相懸濁重合法をとる場合は、必要に応じて、分散剤又は界面活性剤の存在下に重合を行っても良い。また、逆相懸濁重合法の場合、キシレン、ノルマルヘキサン及びノルマルヘプタン等の炭化水素系溶媒を使用して重合を行うことができる。
【0029】
重合開始温度は、使用する触媒の種類によって適宜調整することができるが、0〜100℃が好ましく、更に好ましくは2〜80℃である。
【0030】
重合に溶媒(有機溶媒及び水等)を使用する場合、重合後に溶媒を留去することが好ましい。溶媒に有機溶媒を含む場合、留去後の有機溶媒の含有量(重量%)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0〜10が好ましく、更に好ましくは0〜5、特に好ましくは0〜3、最も好ましくは0〜1である。この範囲であると、吸水性樹脂粒子の吸収性能が更に良好となる。
【0031】
溶媒に水を含む場合、留去後の水分(重量%)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0〜20が好ましく、更に好ましくは1〜10、特に好ましくは2〜9、最も好ましくは3〜8である。この範囲であると、吸収性能が更に良好となる。
【0032】
前記の重合方法により架橋重合体(A)が水を含んだ含水ゲル状物(すなわち、含水ゲル状物である架橋重合体(A)。以下、含水ゲルと略記する)を得ることができ、更に含水ゲルを乾燥することで乾燥した架橋重合体(A)を得ることができる。
水溶性ビニルモノマー(a1)としてアクリル酸やメタクリル酸等の酸基含有モノマーを用いる場合、含水ゲルを塩基で中和しても良い。酸基の中和度は、50〜80モル%であることが好ましい。中和度が50モル%未満の場合、得られる含水ゲル重合体の粘着性が高くなり、製造時及び使用時の作業性が悪化する場合がある。更に得られる吸水性樹脂粒子の保水量が低下する場合がある。一方、中和度が80%を超える場合、得られた樹脂のpHが高くなり人体の皮膚に対する安全性が懸念される場合がある。
なお、中和は、吸水性樹脂粒子の製造において、架橋重合体(A)の重合以降のいずれの段階で行ってもよく、例えば、含水ゲルの状態で中和する等の方法が好ましい例として例示される。
中和する塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物や、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩を通常使用できる。
【0033】
重合によって得られる含水ゲルは、必要に応じて細断することができる。細断後のゲルの大きさ(最長径)は50μm〜10cmが好ましく、更に好ましくは100μm〜2cm、特に好ましくは1mm〜1cmである。この範囲であると、乾燥工程での乾燥性が更に良好となる。
【0034】
細断は、公知の方法で行うことができ、周知の細断装置{例えば、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機}等を使用して細断できる。
【0035】
溶媒(水を含む。)を留去する方法としては、80〜230℃の温度の熱風で留去(乾燥)する方法、100〜230℃に加熱されたドラムドライヤー等による薄膜乾燥法、(加熱)減圧乾燥法、凍結乾燥法、赤外線による乾燥法、デカンテーション及び濾過等が適用できる。
【0036】
含水ゲルを乾燥して架橋重合体(A)を得た後、乾燥後に粉砕することができる。粉砕方法については、特に限定はなく、周知の粉砕装置{例えば、ハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、ロール式粉砕機及びシェット気流式粉砕機}等が使用できる。粉砕された架橋重合体は、必要によりふるい分け等により粒度調整できる。
【0037】
必要によりふるい分けした場合の架橋重合体(A)の重量平均粒子径(μm)は、250〜550が好ましく、更に好ましく300〜500、特に好ましくは320〜480、最も好ましくは350〜450である。この範囲であると、後述するDW法による5分後の吸収量(M)が更に良好となり液拡散部材(B)との絡み性も良くなり水性液体の拡散性が良い。
【0038】
尚、重量平均粒子径は、ロータップ試験篩振とう機及び標準ふるい(JIS Z8801−1:2006)を用いて、ペリーズ・ケミカル・エンジニアーズ・ハンドブック第6版(マックグローヒル・ブック・カンバニー、1984、21頁)に記載の方法で測定される。すなわち、JIS標準ふるいを、上から1000μm、850μm、710μm、500μm、425μm、355μm、250μm、150μm、125μm、75μm及び45μm、並びに受け皿の順等に組み合わせる。最上段のふるいに測定粒子の約50gを入れ、ロータップ試験篩振とう機で5分間振とうさせる。各ふるい及び受け皿上の測定粒子の重量を秤量し、その合計を100重量%として各ふるい上の粒子の重量分率を求め、この値を対数確率紙{横軸がふるいの目開き(粒子径)、縦軸が重量分率}にプロットした後、各点を結ぶ線を引き、重量分率が50重量%に対応する粒子径を求め、これを重量平均粒子径とする。
【0039】
また、粉砕した場合、粉砕後の架橋重合体(A)に含まれる微粒子の含有量は少ないほど吸収性能が良好となるため、架橋重合体(A)の合計重量に占める106μm以下(好ましくは150μm以下)の微粒子の含有率(重量%)は3以下が好ましく、更に好ましくは1以下である。微粒子の含有量は、上記の重量平均粒子径を求める際に作成するグラフを用いて求めることができる。
【0040】
粉砕した場合、粉砕後の架橋重合体(A)の形状については特に限定はなく、不定形破砕状、リン片状、パール状及び米粒状等が挙げられる。これらのうち、液拡散部材(B)とのからみが良く、繊維状物からの脱落の心配がないという観点から、不定形破砕状が好ましい。
【0041】
なお、架橋重合体(A)は、その性能を損なわない範囲で残留溶媒や残存架橋成分等の他の成分を多少含んでも良い。
【0042】
架橋重合体(A)は、表面改質や通液性の観点から疎水性物質(g)を含有することが好ましい。
【0043】
疎水性物質(g)としては、炭化水素基を含有する疎水性物質(g1)、フッ素原子をもつ炭化水素基を含有する疎水性物質(g2)及びポリシロキサン構造をもつ疎水性物質(g3)等が含まれる。
【0044】
炭化水素基を含有する疎水性物質(g1)としては、ポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン樹脂誘導体、ポリスチレン樹脂、ポリスチレン樹脂誘導体、ワックス、長鎖脂肪酸エステル、長鎖脂肪酸及びその塩、長鎖脂肪族アルコール、長鎖脂肪族アミド及びこれらの2種以上の混合物等が含まれる。
【0045】
ポリオレフィン樹脂としては、炭素数2〜4のオレフィン{エチレン、プロピレン、イソブチレン及びイソプレン等}を必須構成単量体(オレフィンの含有量はポリオレフィン樹脂の重量に基づいて、少なくとも50重量%)としてなる重量平均分子量1000〜100万の重合体{たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ(エチレン−イソブチレン)及びイソプレン等}が挙げられる。
【0046】
ポリオレフィン樹脂誘導体としては、ポリオレフィン樹脂にカルボキシ基(−COOH)や1,3−オキソ−2−オキサプロピレン(−COOCO−)等を導入した重量平均分子量1000〜100万の重合体{たとえば、ポリエチレン熱減成体、ポリプロピレン熱減成体、マレイン酸変性ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、マレイン化ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−酢酸ビニル共重合体のマレイン化物等}が挙げられる。
【0047】
ポリスチレン樹脂としては、重量平均分子量1000〜100万の重合体等が使用できる。
【0048】
ポリスチレン樹脂誘導体としては、スチレンを必須構成単量体(スチレンの含有量は、ポリスチレン誘導体の重量に基づいて、少なくとも50重量%)としてなる重量平均分子量1000〜100万の重合体{たとえば、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体及びスチレン−イソブチレン共重合体等}が挙げられる。
【0049】
ワックスとしては、融点50〜200℃のワックス{たとえば、パラフィンワックス、ミツロウ、カルナウバワックス及び牛脂等}が挙げられる。
【0050】
長鎖脂肪酸エステルとしては、炭素数8〜30の脂肪酸と炭素数1〜12のアルコールとのエステル{たとえば、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、グリセリンラウリン酸モノエステル、グリセリンステアリン酸モノエステル、グリセリンオレイン酸モノエステル、ペンタエリスリットラウリン酸モノエステル、ペンタエリスリットステアリン酸モノエステル、ペンタエリスリットオレイン酸モノエステル、ソルビットラウリン酸モノエステル、ソルビットステアリン酸モノエステル、ソルビットオレイン酸モノエステル、ショ糖パルミチン酸モノエステル、ショ糖パルミチン酸ジエステル、ショ糖パルミチン酸トリエステル、ショ糖ステアリン酸モノエステル、ショ糖ステアリン酸ジエステル、ショ糖ステアリン酸トリエステル及び牛脂等}が挙げられる。
【0051】
長鎖脂肪酸及びその塩としては、炭素数8〜30の脂肪酸{たとえば、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ダイマー酸及びベヘニン酸等}が挙げられ、その塩としては亜鉛、カルシウム、マグネシウム又はアルミニウム(以下、それぞれZn、Ca、Mg、Alと略す)との塩{たとえば、パルミチン酸Ca、パルミチン酸Al、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Mg、ステアリン酸Al等}が挙げられる。
【0052】
長鎖脂肪族アルコールとしては、炭素数8〜30の脂肪族アルコール{たとえば、ラウリルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等}が挙げられる。吸収性物品の耐モレ性の観点等から、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールが好ましく、さらに好ましくはステアリルアルコールである。
【0053】
長鎖脂肪族アミドとしては、炭素数8〜30の長鎖脂肪族一級アミンと炭素数1〜30の炭化水素基を有するカルボン酸とのアミド化物、アンモニア又は炭素数1〜7の1級アミンと炭素数8〜30の長鎖脂肪酸とのアミド化物、炭素数8〜30の脂肪族鎖を少なくとも1つ有する長鎖脂肪族二級アミンと炭素数1〜30のカルボン酸とのアミド化物及び炭素数1〜7の脂肪族炭化水素基を2個有する二級アミンと炭素数8〜30の長鎖脂肪酸とのアミド化物が挙げられる。
【0054】
炭素数8〜30の長鎖脂肪族一級アミンと炭素数1〜30の炭化水素基を有するカルボン酸とのアミド化物としては、1級アミンとカルボン酸とが1:1で反応した物と1:2で反応した物に分けられる。1:1で反応した物としては、酢酸N−オクチルアミド、酢酸N−ヘキサコシルアミド、ヘプタコサン酸N−オクチルアミド及びヘプタコサン酸N−ヘキサコシルアミド等が挙げられる。1:2で反応したものとしては、二酢酸N−オクチルアミド、二酢酸N−ヘキサコシルアミド、ジヘプタコサン酸N−オクチルアミド及びジヘプタコサン酸N−ヘキサコシルアミド等が挙げられる。なお、1級アミンとカルボン酸とが1:2で反応した物の場合、使用するカルボン酸は、同一でも異なっていてもよい。
【0055】
アンモニア又は炭素数1〜7の1級アミンと炭素数8〜30の長鎖脂肪酸とのアミド化物としては、アンモニア又は1級アミンとカルボン酸とが1:1で反応した物と1:2で反応した物に分けられる。1:1で反応した物としては、ノナン酸アミド、ノナン酸メチルアミド、ノナン酸N−ヘプチルアミド、ヘプタコサン酸アミド、ヘプタコサン酸N−メチルアミド、ヘプタコサン酸N−ヘプチルアミド及びヘプタコサン酸N−ヘキサコシルアミド等が挙げられる。1:2で反応したものとしては、ジノナン酸アミド、ジノナン酸N−メチルアミド、ジノナン酸N−ヘプチルアミド、ジオクタデカン酸アミド、ジオクタデカン酸N−エチルアミド、ジオクタデカン酸N−ヘプチルアミド、ジヘプタコサン酸アミド、ジヘプタコサン酸N−メチルアミド、ジヘプタコサン酸N−ヘプチルアミド及びジヘプタコサン酸N−ヘキサコシルアミド等が挙げられる。なお、アンモニア又は1級アミンとカルボン酸とが1:2で反応した物としては、使用するカルボン酸は、同一でも異なっていてもよい。
【0056】
炭素数8〜30の脂肪族鎖を少なくとも1つ有する長鎖脂肪族二級アミンと炭素数1〜30のカルボン酸とのアミド化物としては、酢酸N−メチルオクチルアミド、酢酸N−メチルヘキサコシルアミド、酢酸N−オクチルヘキサコシルアミド、酢酸N−ジヘキサコシルアミド、ヘプタコサン酸N−メチルオクチルアミド、ヘプタコサン酸N−メチルヘキサコシルアミド、ヘプタコサン酸N−オクチルヘキサコシルアミド及びヘプタコサン酸N−ジヘキサコシルアミド等が挙げられる。
【0057】
炭素数1〜7の脂肪族炭化水素基を2個有する二級アミンと炭素数8〜30の長鎖脂肪酸とのアミド化物としては、ノナン酸N−ジメチルアミド、ノナン酸N−メチルヘプチルアミド、ノナン酸N−ジヘプチルアミド、ヘプタコサン酸N−ジメチルアミド、ヘプタコサン酸N−メチルヘプチルアミド及びヘプタコサン酸N−ジヘプチルアミド等が挙げられる。
【0058】
フッ素原子をもつ炭化水素基を含有する疎水性物質(g2)としては、パーフルオロアルカン、パーフルオロアルケン、パーフルオロアリール、パーフルオロアルキルエーテル、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルアルコール及びこれらの2種以上の混合物等が含まれる。
【0059】
ポリシロキサン構造をもつ疎水性物質(g3)としては、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン{ポリオキシエチレン変性ポリシロキサン及びポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)変性ポリシロキサン等}、カルボキシ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、アルコキシ変性ポリシロキサン等及びこれらの混合物等が含まれる。
【0060】
疎水性物質(g)のHLB値は、1〜10が好ましく、さらに好ましくは2〜8、特に好ましくは3〜7である。この範囲であると、後述するDW法による5分後の吸収量(M)がさらに良好となる。なお、HLB値は、親水性−疎水性バランス(HLB)値を意味し、小田法(新・界面活性剤入門、197頁、藤本武彦、三洋化成工業株式会社発行、1981年発行)により求められる。
【0061】
疎水性物質(g)のうち、後述するDW法による5分後の吸収量(M)の観点から、炭化水素基を含有する疎水性物質(g1)が好ましく、より好ましくは長鎖脂肪酸エステル、長鎖脂肪酸及びその塩、長鎖脂肪族アルコール並びに長鎖脂肪族アミドであり、さらに好ましくはソルビットステアリン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ステアリン酸、ステアリン酸Mg、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Zn及びステアリン酸Al、特に好ましくはショ糖ステアリン酸エステル及びステアリン酸Mgであり、最も好ましくはショ糖ステアリン酸モノエステルである。
【0062】
疎水性物質(g)の含有量(重量%)は、DW法による5分後の吸収量(M)の観点から、架橋重合体(A)100重量部に対して、0.005〜3が好ましく、更に好ましくは0.01〜1、特に好ましくは0.025〜0.5である。
【0063】
本発明の吸水性樹脂粒子は、架橋重合体(A)の表面が表面架橋剤(d)により架橋された構造を有することが好ましい。架橋重合体(A)の表面を架橋することにより吸水性樹脂粒子のゲル強度を向上させることができ、吸水性樹脂粒子の望ましい保水量と荷重下における吸収量とを満足させることができる。表面架橋剤(d)としては、公知(特開昭59−189103号公報に記載の多価グリシジル化合物、多価アミン、多価アジリジン化合物及び多価イソシアネート化合物等、特開昭58−180233号公報及び特開昭61−16903号公報の多価アルコール、特開昭61−211305号公報及び特開昭61−252212号公報に記載のシランカップリング剤、特表平5−508425号公報に記載のアルキレンカーボネート、特開平11−240959号公報に記載の多価オキサゾリン化合物並びに特開昭51−136588号公報及び特開昭61−257235号公報に記載の多価金属等)の表面架橋剤等が使用できる。これらの表面架橋剤のうち、経済性及び吸収特性の観点から、多価グリシジル化合物、多価アルコール及び多価アミンが好ましく、更に好ましいのは多価グリシジル化合物及び多価アルコール、特に好ましいのは多価グリシジル化合物、最も好ましいのはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。表面架橋剤は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0064】
表面架橋をする場合、表面架橋剤の使用量(重量部)は、表面架橋剤の種類、架橋させる条件、目標とする性能等により種々変化させることができるため特に限定はないが、吸収特性の観点等から、架橋重合体(A)100重量部に対して、0.001〜3が好ましく、更に好ましくは0.005〜2、特に好ましくは0.01〜1.5である。
【0065】
架橋重合体(A)の表面架橋は、架橋重合体(A)と表面架橋剤(d)とを混合し、必要に応じて加熱することで行うことができる。架橋重合体(A)と表面架橋剤(d)との混合方法としては、円筒型混合機、スクリュー型混合機、スクリュー型押出機、タービュライザー、ナウター型混合機、双腕型ニーダー、V型混合機、ミンチ混合機、リボン型混合機、流動式混合機、気流型混合機、回転円盤型混合機、コニカルブレンダー及びロールミキサー等の混合装置を用いて架橋重合体(A)と表面架橋剤(d)とを均一混合する方法が挙げられる。この際、表面架橋剤(d)は、水及び/又は任意の溶剤で希釈して使用しても良い。
【0066】
架橋重合体(A)と表面架橋剤(d)とを混合する際の温度は特に限定されないが、10〜150℃が好ましく、更に好ましくは20〜100℃、特に好ましくは25〜80℃である。
【0067】
架橋重合体(A)と表面架橋剤(d)とを混合した後、加熱処理を行う。加熱温度は、樹脂粒子の耐壊れ性の観点から好ましくは100〜180℃、更に好ましくは110〜175℃、特に好ましくは120〜170℃である。180℃以下の加熱であれば蒸気を利用した間接加熱が可能であり設備上有利であり、100℃未満の加熱温度では吸収性能が悪くなる場合がある。また、加熱時間は加熱温度により適宜設定することができるが、吸収性能の観点から、好ましくは5〜60分、更に好ましくは10〜40分である。表面架橋して得られる吸水性樹脂を、最初に用いた表面架橋剤と同種又は異種の表面架橋剤を用いて、更に表面架橋することも可能である。
【0068】
架橋重合体(A)の表面を表面架橋剤(d)により架橋した後、必要により篩別して粒度調整される。得られた粒子の平均粒子経は、好ましくは250〜550μm、更に好ましくは350〜450μmである。微粒子の含有量は少ない方が好ましく、100μm以下の粒子の含有量は3重量%以下であることが好ましく、150μm以下の粒子の含有量が3重量%以下であることが更に好ましい。
【0069】
吸水性樹脂粒子(P)は、架橋重合体(A)を有する。(P)が(A)を有する態様としては、一般的には、例えば、架橋重合体(A)の凝集体、等であってよい。吸水性樹脂粒子(P)の重量平均粒子径は、後述するDW法による5分後の吸収量(M)の観点から、250〜550μmが好ましく、350〜450μmがより好ましい。
【0070】
吸水性樹脂粒子(P)は更に表面に無機質粉末をコーティングすることもできる。このましい無機質粉末としては、ガラス、シリカゲル、シリカゾル、シリカ、クレー、炭素繊維、カオリン、タルク、マイカ、ベントナイト、セリサイト、アスベスト及びシラス等)が挙げられる。無機質粉末のうち、好ましいのはシリカゾル、シリカ及びタルクである。
【0071】
無機質粉末の形状としては、不定形(破砕状)、真球状、フィルム状、棒状及び繊維状等のいずれでもよいが、不定形(破砕状)又は真球状が好ましく、更に好ましくは真球状である。
【0072】
無機質粉末の含有量(重量%)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.01〜3.0が好ましく、更に好ましくは0.05〜1.0、次に好ましくは0.07〜0.8、特に好ましくは0.10〜0.6、最も好ましくは0.15〜0.5である。この範囲であると、吸収性物品の吸収特性が更に良好となる。
【0073】
吸水性樹脂粒子(P)には、他の添加剤{例えば、公知(特開2003−225565号、特開2006−131767号等)の防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤及び有機質繊維状物等}を含むこともできる。これらの添加剤を含有させる場合、添加剤の含有量(重量%)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.001〜10が好ましく、更に好ましくは0.01〜5、特に好ましくは0.05〜1、最も好ましくは0.1〜0.5である。
【0074】
吸水性樹脂粒子(P)は、DW法による5分後の吸収量(M)が30〜65ml/gであり、好ましくは35〜60ml/g、更に好ましくは45〜55ml/gである。DW法による5分後の吸収量(M)が30ml/gより低いと吸水性樹脂が便から水分を吸い込むことができず消臭効果が低く、65ml/gより高いと吸水性樹脂が局所的に便から水分を吸い込むスポット吸収が起こり、吸収体内部で水分の拡散が効率的に行われないために消臭効果が弱くなる。疎水性物質(g)の含有量、吸水性樹脂粒子(P)の重量平均粒子径を前記の好ましい範囲に調整することで、より好ましい範囲に調整することができる。
尚、DW法による5分後の吸収量は、25±2℃、湿度50±10%の室内において以下の方法で測定される時間である。尚、使用する生理食塩水の温度は予め25℃±2℃に調整して使用する。
【0075】
<DW(DemandWettability)法による5分後の吸収量の測定手順>
25℃、湿度50%の室内で、
図1に示す装置を用いて行う。
図1に示した測定装置は、ビュレット部(2){目盛容量50ml、長さ86cm、内径1.05cm、}と導管{内径7mm}、測定台(6)からなっている。ビュレット部(2)は、上部にゴム栓(1)、下部に吸気導入管(9){先端内径3mm}とコック(7)が連結されており、さらに、吸気導入管(9)の上部はコック(8)がある。ビュレット部(2)から測定台(6)までは、導管が取り付けられている。測定台(6)の中央部には、生理食塩水供給部として直径3ミリの穴があいており、導管が連結されている。
【0076】
まずビュレット部(2)のコック(7)と空気導入管(9)のコック(8)を閉め、25℃に調節された所定量の生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)をビュレット部(2)上部から入れ、ゴム栓(1)でビュレット上部の栓をした後、ビュレット部(2)のコック(7)および空気導入管(9)のコック(8)を開ける。次に、測定台(6)に溢れ出た生理食塩水を拭き取ってから、測定台(6)の上面と、測定台(6)中心部の導管口から出てくる生理食塩水の水面とが同じ高さになるように測定台(6)の高さの調整を行う。生理食塩水供給部から生理食塩水を拭き取りながら、ビュレット部(2)内の生理食塩水の水面をビュレット部(2)目盛の一番上(0mlライン)に調整する。ビュレット部(2)のコック(7)と空気導入管(9)のコック(8)を閉め、測定台(6)上に、生理食塩水供給部が中心になるように平織りナイロンメッシュ(5)(目開き63μm、5cm×5cm)をのせ、さらにこの平織りナイロンメッシュ(5)の上に、測定台(6)の生理食塩水供給部を中心に直径2.7cmの範囲に0.50gの吸収性樹脂粒子(4)を均一に散布する。その後、ビュレット部(2)のコック(7)および空気導入管(9)のコック(8)を開ける。吸収性樹脂粒子(4)が吸水し始め、空気導入管(9)から導入された一つ目の泡がビュレット部(2)内の生理食塩水の水面に到達した時点(ビュレット部(2)内の生理食塩水の水面が下がった時点)を測定開始時間とし、継続的に、ビュレット部(2)内の生理食塩水(3)の減少量(吸収性樹脂粒子(4)が吸水した生理食塩水量)M(ml)を読み取る。吸水開始から5分後における吸収性樹脂粒子(4)の吸収量を、以下の式により求める。
【0077】
DW法による吸収量(ml/g)=M÷0.50
【0078】
吸水性樹脂粒子(P)の保水量(g/g)は、吸収性着用物品の耐モレ性の観点から28〜46が好ましく、更に好ましくは30〜45、特に好ましくは35〜43である。尚、吸水性樹脂粒子(P)の保水量は以下の方法により測定される。
【0079】
<吸水性樹脂粒子(P)の保水量の測定法>
目開き63μm(JIS Z8801−1:2006)のナイロン網で作成したティーバッグ(縦20cm、横10cm)に測定試料1.00gを入れ、生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)1,000ml中に無撹拌下、1時間浸漬した後、15分間吊るして水切りする。その後、ティーバッグごと、遠心分離器にいれ、150Gで90秒間遠心脱水して余剰の生理食塩水を取り除き、ティーバックを含めた重量(h1)を測定し次式から保水量を求める。
保水量(g/g)=(h1)−(h2)
尚、使用した生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃とする。
測定試料を用いない以外は上記と同様にして、遠心脱水後のティーバックの重量を測定し(h2)とする。
【0080】
吸水性樹脂粒子(P)1重量部が人工尿30重量部を吸収して得られる30倍膨潤ゲルのゲル弾性率(N/m
2)は、2,000〜3,000が好ましく、更に好ましくは2,025〜2950、特に好ましくは2,050〜2,900、最も好ましくは2,075〜2,850である。ゲル弾性率が2,000(N/m
2)より小さい場合、便の水分を吸収した吸水性樹脂同士がブロッキングするため、吸収体全体へ水分の拡散の指標である実施例に記載のゲル拡散長低くなり、スポット吸収となるため消臭効果が弱くなる。3,000(N/m
2)より大きい場合、水分の拡散量が高すぎるため耐モレ性が悪化する。
ゲル弾性率(N/m
2)の調整方法は特に限定されないが、例えば架橋剤(b)、表面架橋剤(d)の量でも調整可能である。尚、ゲル弾性率(N/m
2)は、下記測定方法で求められた値である。
【0081】
<ゲル弾性率の測定法>
人工尿[尿素200重量部、塩化ナトリウム80重量部、硫酸マグネシウム(7水塩)8重量部、塩化カルシウム(2水塩)3重量部、硫酸第2鉄(7水塩)2重量部、イオン交換水9704重量部]60.0gを100mlビーカー(内径5cm)に量り取り、JIS K7224−1996に記載された操作と同様にして、測定試料2.0gを精秤して上記ビーカーに投入し、30倍膨潤ゲルを作成する。この膨潤ゲルが乾燥しないように30倍膨潤ゲルの入ったビーカーにラップをし、このビーカーを40±2℃の雰囲気下で3時間、更に25±2℃の雰囲気下で0.5時間静置した後、ラップを取り外し、30倍膨潤ゲルのゲル弾性率をカードメーター(例えば、株式会社アイテックテクノエンジニアリング製カードメーター・マックスME−500)を用いて測定する。なおカードメーターの条件は以下の通りである。
・感圧軸:8mm
・スプリング:100g用
・荷重:100g
・上昇速度:1インチ/7秒
・試験性質:破断
・測定時間:6秒
・測定雰囲気温度:25±2℃
【0082】
本発明の吸収性物品における吸収体において、液拡散部材(B)は、吸収した液を拡散させるための部材であり、親水性繊維や合成繊維などが挙げられる。親水性繊維としては、各種フラッフパルプや綿状パルプ等、従来から吸収性物品に使用されている親水性繊維{原料(針葉樹及び広葉樹等)や形態(ティッシュのようにシート状のものなど)については特に限定されない。また、合成繊維は、合成繊維の単独あるいは上記のフラッフパルプや綿状パルプ等と併用して使用でき、不織布にしたシート状としてもよい。合成繊維としては、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン系繊維及びポリプロピレン系繊維等)、ポリエステル系繊維(ポリエチレンテレフタレート繊維等)、ポリオレフィン・ポリエステル複合繊維、ポリアミド系繊維及びポリアクリロニトリル系繊維等が挙げられる。
【0083】
親水性繊維の長さ、太さについては特に限定されず通常、長さは1〜200mm、太さは0.1〜100デニール(0.11〜110dtex)の範囲が好適である。形状についても繊維状であれば特に限定されず、ウェブ状、細い円筒状、裁断されたスプリットヤーン状、ステープル状及びフィラメント状等が例示される。
【0084】
本発明の吸収性物品における吸収体において、吸水性樹脂粒子(P)と液拡散部材(B)とは均一に混合されていてもよく、いずれか一方が偏在する形態であってもよい。
吸収体としては、吸水性樹脂粒子(P)と液拡散部材(B)である親水性繊維や合成繊維とから構成されたものであり、(1)層状に配置されたパルプ等からなる親水性繊維や合成繊維の層の間に吸水性樹脂粒子(P)を散粒する形態;(2)パルプ、熱融着性繊維等からなる親水性繊維や合成繊維と吸水性樹脂粒子(P)が混合された形態;(3)二枚以上の吸水紙や不織布で、必要により親水性繊維と共に吸水性樹脂粒子(P)をサンドイッチする形態等が挙げられる。
【0085】
吸収体における本発明の吸水性樹脂粒子(P)の添加量は、吸収体の種類やサイズ、目標とする吸収性能に応じて種々変化させることができるが、吸水性樹脂粒子(P)と親水性繊維や合成繊維の合計質量に基づいて、10〜95重量%が好ましく、さらに好ましくは30〜95重量%、特に好ましくは50〜95質量%である。この範囲であると、得られる吸収体の吸収能がさらに良好となりやすい。
【0086】
吸収体の使用前や使用中における形状保持性を高めるために、接着性バインダーを添加することによって繊維どうしを接着させてもよい。そのような接着性バインダーとしては、例えば、熱融着性合成繊維、ホットメルト接着剤、および接着性エマルジョン等が挙げられる。
【0087】
熱融着性合成繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等の全融型バインダー、およびポリプロピレンとポリエチレンとのサイドバイサイドや芯鞘構造からなる非全融型バインダーが挙げられる。上述の非全融型バインダーにおいては、ポリエチレン部分のみ熱融着する。
【0088】
ホットメルト接着剤としては、例えば、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、およびアモルファスポリプロピレン等のベースポリマーと粘着付与剤、可塑剤、および酸化防止剤等との配合物が挙げられる。
【0089】
接着性エマルジョンとしては、例えば、メチルメタクリレート、スチレン、アクリロニトリル、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、ブタジエン、エチレン、および酢酸ビニルからなる群より選択される少なくとも1つ以上の単量体の重合物が挙げられる。これら接着性バインダーは、単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0090】
本発明に用いる香料組成物(C)は、水分と接触すると香料が流出する機能を有し、排泄物に含まれる水分と接触することにより消臭性能等を発揮する。香料組成物(C)は、一般的なカプセル状のものや、香料を環状化合物に内包したもの、または多孔物質に内包し、その表面を被覆材で被覆したもの等が挙げられる。
上記に使用できるカプセル状のものの作成方法は、香料を内包されるべき物質とし、界面重合法、in situ重合法、オリフィス法、コアセルベーション法、液中乾燥法、気中懸濁被覆法、噴霧乾燥法等により作成される。使用される代表的な被覆材(カプセル材)は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリアミド、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルギン酸、塩化カルシウム、ゼラチン、アラビアゴム、澱粉等である。
環状化合物としては、環状オリゴ糖(シクロデキストリン)、環状高分子などが例示できる。
多孔物質としては、ゼオライト、セピオライト、活性炭、多孔シリカ等の無機多孔性物質や、発泡ポリスチレン樹脂、発泡ポリウレタン樹脂、発泡アクリル樹脂等の有機多孔物質または有機−無機複合多孔性物質が例示できる。多孔性物質の表面被覆材は、水溶性のものが好ましく、例えば、グアガム、カラギーナン等の植物由来水溶性高分子;コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム等の動物由来水溶性高分子;カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カチオン化グアガム等の半合成水溶性高分子;ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルビロリドン等の水溶性合成高分子などを例示できる。
【0091】
香料組成物(C)に用いる香料としては、天然香料及び合成香料のいずれを用いてもよいが、排泄物の臭気に対するマスキング効果(臭気と拮抗し又は競り勝って、その臭気を感じにくくさせる効果)を有するものや、ハーモナージュ効果(臭気と調和し、不快とは感じさせなくする効果)を有するものが好ましく、なかでもハーモナージュ効果を有するものがより好ましい。
【0092】
香料は下記の4種類に大別される。いずれの香料もジプロピレングリコール、安息香酸ベンジル、エタノールなどの溶剤で希釈されたものを用いてもよい。
【0093】
一種類目の香料組成物は、下記のフローラル系ジャスミン調香料、フローラル系ミューゲ調香料、フローラル系リリー調香料、フローラル系ローズ調香料、その他のフローラル系香料、バルサム調香料、ハーブ系香料(スパイス系を含む)、グリーン系香料、ウッディ系香料(アーシー調を含む)、フルーティー調香料、柑橘系香料、動物臭系香料、及びアンバー調香料をすべて含むものである。
【0094】
フローラル系ジャスミン調香料は、例えば、酢酸ベンジル、2−n−ヘキシル−3−フェニル−2−プロペナール、ジヒドロジャスモン酸メチル、ジャスモン酸メチル、3−メチル−2−(シス−2−ペンテン−1−イル)−2−シクロペンテン−1−オン、3−フェニルプロピオンアルデヒド、ギ酸ベンジル、2−n−ペンチル−3−フェニルプロペナール、プロピオン酸ベンジルなどから選ばれるものを単独で、もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0095】
フローラル系ミューゲ調香料は、4−メチル−2−(2−メチルプロピル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−オール、β−(p−tert−ブチルフェニル)−α−メチルプロピオンアルデヒド、2−メチル−3−(p−イソプロピルフェニル)プロピオンアルデヒド、3,7−ジメチル−1,7−オクタンジオール、3,7−ジメチル−7−ヒドロキシオクタナール、4(3)−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、3,7−ジメチル−3−オクタノール、4−(1−メチルエチル)シクロヘキサンメタノール、イソソルビドなどから選ばれるものを単独で、もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0096】
フローラル系リリー調香料は、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン−3−オール、酢酸3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン−3−イル及び3,7−ジメチル−1,6−ノナジエン−3−オールなどから選ばれるものを単独で、もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0097】
フローラル系ローズ系香料は、β-フェニルエチルアルコール、3,7−ジメチル−6−オクテン−1−オール、シス−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−オール、トランス−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−オール、4−メチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)テトラヒドロ−2H−ピラン、3,7−ジメチルオクタノール、3−メチル−5−フェニル−1−ペンタノール、1−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)−2−ブテン−1−オン、フェニル酢酸β−フェニルエチル、酢酸デシル、安息香酸ゲラニル、酢酸2−フェニルエチル、酢酸3,7−ジメチル−6−オクテン−1−イル、酢酸トランス−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−イル、酢酸シス−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−イル、プロピオン酸ゲラニル、ギ酸β−フェニルエチル、ギ酸トランス−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−イル、ギ酸シトロネリル、フェニル酢酸イソブチル、ベンゾフェノン、酪酸ゲラニル、n−ノニルアルコール、ゼラニウム油、ダマスクバラ花油、センチフォーリアバラ花油などから選ばれるものを単独で、もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0098】
また、その他のフローラル系香料として、下記のようなものも単独で、もしくは2種以上を組み合わせて使用可能である。
サリチル酸シス−3−ヘキセニル、3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−2−メチルプロパナール、酢酸6,6−ジメチルビシクロ[3.1.1]−2−ヘプト−2−エン−2−エチル、3,4−メチレンジオキシベンズアルデヒド、酢酸p−tert−ブチルシクロヘキシル、酢酸3−シクロヘキセン−1−メチル、4−(2,2−ジメチル−6−メチルシクロヘキシル)−3−メチル−3−ブテン−2−オン、フェニル酢酸メチル、ジフェニルエーテル、9−ドデカン−1−オール、5−ヒドロキシイソプロピル−2−メチル−2−ビニルテトラヒドロフラン、テトラヒドロ−2,2,6−トリメチル−6−ビニルピラン−3−オール(リナロールオキサイド)、デカン酸エチル、1,3,4,6,7,8a−ヘキサヒドロ−1,1,5,5−テトラメチル−2H−2,4a−メタノナフタレン8(5H)−オン、2,6−ジメチル−2−ヘプタノール、9−デセン−1−オール、ベンジルアルコール、安息香酸シス−3−ヘキセニル、3,7−ジメチル−6−オクテン−3−オール、p−クレゾール、ベンズアルデヒド、p−メンタン−3−オン、安息香酸イソブチル、α−イロン、オイゲノール、メチルオイゲノール、酢酸シンナミル、シンナミルアルコール、スチロール、フェニルアセトアルデヒド、アニスアルデヒド、アセトナフトン、アセトフェノン、ベンジリデンアセトン、p−メチルアセトフェノン、メチルヘキシルケトン、ヘリオトロピン、p−クレゾールメチルエーテル、ラウリルアルコール、ネロリドール、アンスラニル酸メチル、2−エトキシナフタレン、2−メトキシナフタレン、ジフェニルオキシド、カモミールローマン油などである。
【0099】
バルサム調香料は、サリチル酸n−ヘキシル、3−フェニル−1−プロパノール(ヒドロシンナミルアルコール)、ベンゾインレジノイド、ケイ皮酸ベンジル、ケイ皮酸、バルサムペルーあるいはバルサムトルーなどから選ばれるものを単独で、もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0100】
ハーブ系香料(スパイス系を含む)は、1,2−ジメトキシ−4−(1−プロペニル)ベンゼン、ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2.1−b]フラン、1−(5,5−ジメチルシクロヘキセン−1−イル)−4−ペンテン−1−オン、4−アリル−2−メトキシフェノール、ギ酸α,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチル、グァイアックウッド、ナツメグ油、ユーカリ油、ラベンダー油、アネトール、エストラゴール、d−カルボン、ペリラアルデヒド、4−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−2−ブタノン、l−メントール、エチルバニリン、バニリン、クミンアルデヒド、サフロール、イソチオシアン酸アリル、d−プレゴン、l−メントン、イソサフロールなどから選ばれるものを単独で、もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0101】
グリーン系香料は、酢酸シス−3−ヘキセニル、シス−3−ヘキセノール、ジメチルテトラヒドロベンズアルデヒド、p−エチル−2,2−ジメチルヒドロシンナムアルデヒド、安息香酸エチル、酢酸ボルニル、ファルネソール、d−α−ピネンなどから選ばれるものを単独で、もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0102】
ウッディ系香料(アーシー調を含む)は、3,3−ジメチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−4−ペンテン−2−オール、2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール、オリバナム油、パチョリ油などから選ばれるものを単独で、もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0103】
フルーティー調香料は、2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−酢酸エチル、酢酸2−tert−ブチルシクロヘキシル、酢酸3−メチル−2−ブテニル、酪酸イソアミル、カプリル酸エチル、トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−2−カルボン酸エチルなどから選ばれるものを単独で、もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0104】
柑橘系香料は、2,6−ジメチル−7−オクテン−2−オール、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン−1−アール、ライム油、ベルガモット油、レモン油、オレンジ油、リモネン、オクチルアルデヒド、ジフェニルメタン、メチルヘプテノン、ゲラニアール、ジペンテン、α−テルピネン、ネラール、酢酸リナリル、ロジナール、デシルアルデヒド、酢酸ターピニルなどから選ばれるものを単独で、もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0105】
動物臭系香料は、典型的にはムスク調香料ができる。すなわち、ムスク又はその合成品、具体的には、シクロペンタデセノライド、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチルシクロペンタ−γ−2−ベンゾピラン、1−(5,6,7,8−テトラヒドロ−3,5,5,6,8,8−ヘキサメチル−2−ナフタレニル)エタン−1−オン、エチレンブラシレート、4,4a,5,9b−テトラヒドロインデノ[1.2−d]−1,3−ジオキシン、2−[1−(3,3−ジメチルシクロヘキシル)エトキシ]−2−メチルプロピオン酸1−プロピル、ω−ペンタデカノラクトン、ω−ヘキサデセンラクトン、エキサルトン、2,4,6−トリニトロ−1,3−ジメチル−5−tert−ブチルベンゼン、2,6−ジニトロ−3,5−ジメチル−4−tert−ブチルアセトフェノン、3−メチルシクロペンタデカノンなどから選ばれるものを単独で、もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0106】
アンバー調香料は、アンバー又はその合成品、具体的には、2,3,8,8−テトラメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−2−アセトナフテン、安息香酸イソアミル、メチルノニルアセトアルデヒドなどから選ばれるものを単独で、もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0107】
二種類目の香料組成物は、皮革臭系香料は、カストリウムもしくはその合成品、イソブチルキノリンなどから選ばれるものを単独で、もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0108】
三種類目の香料組成物は、フラン化合物系香料、ピラン化合物系香料、シクロペンタノン系香料、バニリン系香料、及びピリジン系香料をすべて含むものである。
【0109】
フラン化合物系香料は、フラネオール、フルフラール、5‐メチルフルフラール、フルフリルメルカプタン、フルフリールアルコール、2−プロピオニルフラン、2−エチルフラン、メントフラン、2−メチル−3−フランチオール、2−メチル−3−テトラヒドロフランチオール、2−メチル−4,5−ジヒドロ−3−フランチオール、2−メチルフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、2−ヘキサノイルフラン、2−ペンチルフラン、2−プロピルフラン、2−(3−フェニルプロピル)テトラヒドロフラン、2,3−ジヒドロベンゾフラン、2,4−ジメチル−4−フェニルテトラヒドロフラン、2−フルフリル−5−メチルフラン、2−ヘプチルフラン、2−メチルベンゾフラン、2−メチル−5−プロピオニルフラン、2−(5−エテニル−5−メチルテトラヒドロフラン−2−イル)−プロパナール、3−{[2−メチル−(2or4),5−ジヒドロ−3−フリル]チオ}−2−メチルテトラヒドロフラン−3−チオール、2−エテニル−5−イソプロペニル−2−メチルテトラヒドロフラン、5−メチル−2−フランメタンチオール、6−メチル−2,3−ジヒドロチエノ[2,3−c]フラン、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン、3−アセチル−2,5−ジメチルフラン、2−アセチル−5−メチルフラン、2−アセチルフラン、2−ブチルフラン、2,5−ジエチルテトラヒドロフラン、ジフルフリルジスルフィド、ジフルフリルエーテル、ジフルフリルスルフィド、及び2,5−ジメチル−3−フランチオールなどから選ばれるものを単独で、もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でもフラネオール、5−メチルフルフラール、フルフリルメルカプタンが好ましい。
【0110】
ピラン化合物系香料は、マルトール、エチルマルトール、4−アセトキシ−3−ペンチルテトラヒドロピラン、3,5−ジヒドロキシ−6−メチル−2,3−ジヒドロ−4(4H)−ピラノン、6−エテニル−2,2,6−トリメチルテトラヒドロピラン、5−メチル−3−ブチルテトラヒドロピラン−4−イルアセテート、オクタヒドロ−2H−1−ベンゾピラン−2−オン、4−メチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)テトラヒドロピラン、テアスピラン、ビティスピラン、(2S,4aR,8aS)−2,5,5,8a−テトラメチル−3,4,4a,5,6,8a−ヘキサヒドロ−2H−1−ベンゾピラン、6−エテニル−2,2,6−トリメチルテトラヒドロ−3(4H)−ピラノン、6−ヒドロキシジヒドロテアスピラン、6−アセトキシジヒドロテアスピラン、及び2,6−ジエチル−5−イソプロピル−2−メチルテトラヒドロ−2H−ピランなどから選ばれるものを単独で、もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でもエチルマルトールが好ましい。
【0111】
シクロペンタノン系香料としては、例えば、シクロペンタノン、シクロテン、シクロテンアセテート、シクロテンプロピオネート、シクロテンブチレート、シクロテンイソブチレート、2−ゲラニルシクロペンタノン、2−ヘキシルシクロペンタノン、2−ヘキシリデンシクロペンタノン、2−シクロペンチルシクロペンタノン、2−アミル−2−シクロペンテノン、3−メチル−2−ペンチル−2−シクロペンテノン、3−エチル−2−ヒドロキシ−2−シクロペンテノン、2−ヒドロキシ−3,4−ジメチル−2−シクロペンテノン、2−メチル−3−(2−ペンテニル)−2−シクロペンテノン、3−メチル−2−(cis−2−ペンテニル)−2−シクロペンテノン、3−メチル−2−(trans−2−ペンテニル)−2−シクロペンテノン、3−メチル−2−シクロペンテノン、3−エチル−2−ヒドロキシ−4−メチル−2−シクロペンテノン、2−ヘキシル−2−シクロペンテノン、2,3−ジメチル−2−シクロペンテノンなどから選ばれるものを単独で、もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、シクロテンが好ましい。
【0112】
バニリン系香料としては、バニリン、エチルバニリン、アセトアルデヒドエチルバニリンアセタール、バニリンアセテート、エチルバニリンイソブチレート、アセトバニロン、エチルバニレート、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、メチルバニレート、バニリックアシド、バニリンイソブチレート、ブチルバニレート、バニリン2,3−ブタンジオールアセタール、バニリンラクテートなどから選ばれるものを単独で、もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、バニリン、エチルバニリンが好ましい。
【0113】
ピリジン系香料としては、2−アセチルピリジン、3−アセチルピリジン、4−アセチルピリジン、2−アセチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリジン、2−アセチル−4−イソプロペニルピリジン、4−アセチル−2−イソプロペニルピリジン、2−アセチル−4−イソプロピルピリジン、3,5−ジメチル−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン、2−アセチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリジンなどから選ばれるものを単独で、もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも2−アセチルピリジンが好ましい。
【0114】
ピラジン系香料としては、2−メチルチオ−3−メチルピラジン、2−メトキシ−3−メチルピラジン、2−エチル−3(5/6)ジメチルピラジン、2−エチル−3−メチルピラジン、2−メトキシ−5−メチルピラジン、2−アセチル−3,(5/6)−ジメチルピラジン、2−アセチル−3−エチルピラジン、2−アセチル−3−メチルピラジン、アセチルピラジン、2−(フルフリルチオ)−(3/5/6)−メチルピラジン、2−メチル−(5/6)−(メチルチオ)ピラジン、2−エチル−3−(メチルチオ)ピラジン2−イソプロピル−3−(メチルチオ)ピラジン、2−sec−ブチル−3−メトキシピラジン、2−エトキシ−(3/5/6)−メチルピラジン、2−エトキシ−3−エチルピラジン、2−エトキシ−3−イソプロピルピラジン、2−エチル−3−メトキシピラジン、2−ヘキシル−3−メトキシピラジン、2−イソブチル−3−メトキシピラジン、2−イソプロポキシ−3−メチルピラジン、2−イソプロピル−(3/5/6)−メトキシピラジン、2−メトキシ−(5/6)−メチルピラジン、2−メトキシ−3,5−ジメチルピラジン、2−イソプロピル−3−メトキシピラジン、メトキシピラジン、2−メチル−6−プロポキシピラジン、2−エトキシ−(5/6)−メチルピラジン、2−エトキシ−3−エチルピラジン、2−エトキシ−3−イソプロピルピラジン、2−ヘキシル−3−メトキシピラジン、2−(ヒドロキシメチル)−5−メチルピラジンなどから選ばれるものを単独で、もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも2−メチルチオ−3−メチルピラジンが好ましい。
【0115】
四種類目の香料組成物は、エステル系香料、アルコール系香料、及びケトン系香料をすべて含むものである。
【0116】
エステル系香料としては、ヘキサン酸エステル、プロピオン酸エステル、オクタン酸エステル、酢酸エステル、酪酸エステル、イソ酪酸エステル、アントラニル酸エステル、蟻酸エステル、ペンタン酸エステル、ヘプタン酸エステルなどから選ばれるものを単独で、もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。具体的には、アリルヘキサノエート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、cis−3−ヘキセニルアセテートが好ましい。
【0117】
アルコール系香料としては脂肪族アルコール、モノテルペンアルコール、芳香族アルコールなどから選ばれるものを単独で、もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。具体的には、ジメチル−3−シキロヘキセニルカルバルデヒドが好ましい。
【0118】
ケトン系香料としては、テルペンケトン、脂肪族ケトン、芳香族ケトンなどから選ばれるものを単独で、もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でもテルペンケトンが好ましい。
【0119】
本発明の吸収性着用物品における吸収体は、液体が通過する部位に香料組成物(C)を含有する。香料組成物(C)は、ティッシュや不織布、吸水性樹脂粒子、親水性繊維、合成繊維に存在していることができる。消臭持続性の観点から、香料組成物(C)は、吸水性樹脂粒子(P)の表面、及び/又は液拡散部材(B)の表面に存在することが好ましい。香料組成物(C)は吸水時に吸水性樹脂粒子(P)と接触すればよく、吸水前の樹脂粒子表面に存在していなくてもよい。
【0120】
香料組成物(C)は、液拡散性部材(B)と香料組成物(C)を混合することで、香料組成物(C)を含有する液拡散部材(B)を得ることができる。好ましくは、香料組成物(C)含有溶液と液拡散性部材(B)を接触させた後、溶液を除去することにより得られたものである。このように香料組成物(C)を混合することで、香料組成物(C)が液拡散性部材(B)表面若しくは内部に取り込まれる。好ましくは、少なくとも液拡散性部材(B)の表面に、更に好ましくは、大半が表面に、付着していることである。
【0121】
液拡散性部材(B)と香料組成物(C)含有溶液とを接触させる方法としては、特に限定されない。香料組成物(C)含有溶液に液拡散性部材(B)を浸漬する方法や香料組成物(C)含有溶液を液拡散性部材(B)表面に滴下、塗布、噴霧等する方法等が挙げられる。このうち香料組成物(C)を液拡散部材(B)の表面に塗布又は噴霧することが好ましい。塗布又は噴霧は、通常、吸収体を構成する前に予め、行われる。
【0122】
香料組成物(C)含有水溶液中の香料組成物(C)濃度は、0.01〜30質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜25質量%、さらに好ましくは0.2〜20である。浸漬させる場合は溶液濃度は低い方が添加しやすく、塗布や噴霧する場合は乾燥時間の短縮の観点から溶液濃度は濃い方が好ましい。
【0123】
香料組成物(C)の含有量は、液拡散性部材(B)の合計重量に対して、消臭効果と消臭持続性の観点から0.05〜20重量%であることが好ましく、更に好ましくは0.06〜10重量%、最も好ましくは0.07〜3重量%である。
【0124】
香料組成物(C)と吸水性樹脂粒子(P)を混合する方法としては、円筒型混合機、スクリュー型混合機、スクリュー型押出機、タービュライザー、ナウター型混合機、双腕型ニーダー、V型混合機、ミンチ混合機、リボン型混合機、流動式混合機、気流型混合機、回転円盤型混合機、コニカルブレンダー及びロールミキサー等の混合装置を用いて均一混合する方法が挙げられる。
【0125】
香料組成物(C)の含有量は、吸水性樹脂粒子(P)の重量に対して、消臭効果と消臭持続性の観点から0.005〜10重量%であることが好ましく、更に好ましくは0.01〜5重量%、最も好ましくは0.02〜1重量%である。
【0126】
なお、吸収体を構成する方法は公知の方法を用いることができ、例えば、吸収体は、公知の製造方法(特開2013−255565号公報、特開2014−233447号公報、特開2003−225565号公報、特開2006−131767号公報及び特開2005−097569号公報等)で得ることが出来る。
【0127】
本発明の吸収性着用物品において、吸収体は、水性液体吸収時に香料組成物(C)を含有するため、ハーモナージュ効果を有する香料を用いると、吸水性樹脂粒子が吸収体内部に液を引き込むと同時に香料が発生し、不快な便臭を香料の一部として取り込みより良い香りに変えることで便臭に対する消臭性能、消臭持続性に優れ、吸収体の使用中、交換時、使用後の便臭の不快さを抑制することが可能となる。
【0128】
本発明の吸収性着用物品は、好ましくは、香料組成物(C)と吸水性樹脂粒子(P)を混合して吸水性樹脂粒子(P)の表面に香料組成物(C)を付着させる工程、及び/又は香料組成物(C)を液拡散部材(B)の表面に塗布又は噴霧する工程により製造することができる。
【0129】
本発明における吸収性着用物品としては、吸収体、液体透過性シート及び通気性バックシートを備える吸収性着用物品が好ましく、さらに好ましくは衛生用品としての吸収性着用物品である。衛生用品としては、紙おむつ(子供用紙おむつ及び大人用紙おむつ等)、ナプキン(生理用ナプキン等)、パッド(失禁者用パッド及び手術用アンダーパッド等)等が挙げられる。これらの衛生物品のうち、紙おむつにより適している。これらの吸収性着用物品の構成及び製造方法は公知のものを適用できる。
【0130】
例えば、上述の吸収体を透液性シートと不透液性シートとで挟むことによって、生理用ナプキンや使い捨て紙オムツ等の吸収性着用物品を構成することができる。
【0131】
透液性シートの材料としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエステル、およびポリアミド、ポリウレタン等からなる不織布や多孔質の合成樹脂フィルム等が挙げられる。
【0132】
不透液性シートの材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテート、およびポリ塩化ビニル等からなる合成樹脂フィルム、これら合成樹脂と不織布との複合材からなるフィルム、並びに、上述の合成樹脂と織布との複合材からなるフィルム等が挙げられる。この不透液性シートは、蒸気を透過する性質を備えていてもよい。
【実施例】
【0133】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
【0134】
<吸水性樹脂粒子の製造例>
<製造例1>
アクリル酸145.4部を9.4部の水で希釈し、30〜20℃に冷却しつつ25%の水酸化ナトリウム水溶液242.3部を加えて中和した。この溶液に、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.09部、次亜リン酸ソーダ1水和物0.0146部及び過硫酸カリウム0.0727部を添加・溶解し、25℃でバイオミキサー(日本精機株式会社製 ABM−2型)にて2分間撹拌・分散してモノマー水溶液を得た。
【0135】
次いで、撹拌機、還流冷却器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、シクロヘキサン624部を入れ、これに、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルリン酸エステル(第一工業製薬株式会社、商品名:プライサーフA210G)1.56部を添加・溶解した後、撹拌しつつ窒素置換し、70℃まで昇温した。そして、70℃に保ったまま、モノマー水溶液を6.6部/分で6分間滴下して75℃で15分間保持した後、残りのモノマー水溶液を6.6部/分で54分間に亘って滴下した。その後、75℃で30分間熟成した後、水をシクロヘキサンとの共沸によって樹脂の含水率が約20%(赤外水分計:FD−100型、Kett社製、180℃、20分で測定)となるまで除去した。30℃に冷却し撹拌を停止すると、含水した吸収性樹脂粒子が沈降したので、デカンテーションにより、吸収性樹脂粒子とシクロヘキサン層とを分離した後、濾別して、80℃で減圧乾燥し、乾燥体粒子を得た。この乾燥体粒子100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに表面架橋剤(d)としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.06部、メタノール0.42部及びイオン交換水0.18部を混合した混合液を添加し、均一混合した後、135℃で30分加熱して、表面架橋された吸水性樹脂粒子(P−1)を得た。吸水性樹脂粒子(P−1)の重量平均粒子径は320μmであり、見掛け密度は0.50g/mlであった。なお、重量平均粒子径は及び見掛け密度はそれぞれ以下の方法で測定した。
【0136】
<重量平均粒子径の測定>
1000μm、850μm、710μm、500μm、425μm、355μm、250μm、150μm、125μm、75μm及び45μmの目開きを有する標準ふるいを順に重ね、受け皿の上に組み合わせた。最上段のふるい上に吸水性樹脂粒子約50gを入れ、ロータップ試験篩振とう機で5分間振とうさせた。各ふるい及び受け皿の上に残存した粒子の重量を秤量し、その合計を100重量%として各ふるい上の粒子の重量分率を求め、この値を対数確率紙{横軸がふるいの目開き(粒子径)、縦軸が重量分率}にプロットした後、各点を結ぶ線を引き、重量分率が50重量%に対応する粒子径を求め、これを重量平均粒子径とした。
【0137】
<見掛け密度の測定>
25℃の環境下で、JIS K7365:1999に準拠して測定した。
【0138】
<製造例2>
水溶性ビニルモノマー(a1){アクリル酸}155部(2.15モル部)、架橋剤(b){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル}0.6225部(0.0024モル部)及び脱イオン水340.27部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.62部、2%アスコルビン酸水溶液1.1625部及び2%の2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]水溶液2.325部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が90℃に達した後、90±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(1)を得た。
次にこの含水ゲル(1)502.27部をミンチ機で細断しながら48.5%水酸化ナトリウム水溶液128.42部を添加して混合し、引き続き疎水性物質(g){ステアリン酸Mg}1.9部を添加して混合し、細断ゲル(2)を得た。更に細断ゲル(2)を通気型バンド乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサーにて粉砕した後、目開き150、300,500,600、710μmのふるいを用いて150〜710μmの粒度に調整することにより、乾燥体粒子を得た。この乾燥体粒子100部を高速攪拌しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の4部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、150℃で30分間静置して表面架橋して、吸水性樹脂粒子(P−2)を得た。製造例1と同様に測定した吸水性樹脂粒子(P−2)の重量平均粒子径は400μmであり、見掛け密度は0.58g/mlであった。
【0139】
<製造例3>
乾燥体粒子100部に加えるエチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)を4部から5部に変更し、「目開き150、300,500,600、710μmのふるいを用いて150〜710μmの粒度に調整」を「目開き150、300,500μmのふるいを用いて150〜500μmの粒度に調整」に変更したこと以外、製造例2と同様にして吸水性樹脂粒子(P−3)を得た。製造例1と同様に測定した吸水性樹脂粒子(P−3)の重量平均粒子径は300μmであり、見掛け密度は0.66g/mlであった。
【0140】
<製造例4>
乾燥体粒子100部に加えるエチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)を4部から8部に変更したこと以外、製造例2と同様にして吸水性樹脂粒子(P−4)を得た。製造例1と同様に測定した吸水性樹脂粒子(P−4)の重量平均粒子径は400μmであり、見掛け密度は0.60g/mlであった。
【0141】
<製造例5>
「目開き150、300,500,600、710μmのふるいを用いて150〜710μmの粒度に調整」を「目開き150、300,500μmのふるいを用いて150〜500μmの粒度に調整」に変更したこと以外、製造例2と同様にして吸水性樹脂粒子(P−5)を得た。製造例1と同様に測定した吸水性樹脂粒子(P−5)の重量平均粒子径は300μmであり、見掛け密度は0.65g/mlであった。
【0142】
<製造比較例1>
製造例2で得られた吸水性樹脂粒子(P−2)100部に疎水性物質(g){ステアリン酸Mg}4部を添加して混合し、80℃で30分間静置して吸水性樹脂粒子(R−1)を得た。製造例1と同様に測定した吸水性樹脂粒子(R−1)の重量平均粒子径は400μmであり、見掛け密度は0.58g/mlであった。
【0143】
<製造比較例2>
乾燥体粒子100部に加える表面架橋剤(d)としてのエチレングリコールジグリシジルエーテルを0.01部、メタノール0.07部及びイオン交換水0.03部に変更し、目開き150、300,500μmのふるいを用いて150〜500μmの粒度に調整に変更したこと以外、製造例1と同様にして吸水性樹脂粒子(R−2)を得た。製造例1と同様に測定した吸水性樹脂粒子(R−2)の重量平均粒子径は300μmであり、見掛け密度は0.52g/mlであった。
【0144】
<製造比較例3>
「目開き150、300,500,600、710μmのふるいを用いて150〜710μmの粒度に調整」を「目開き150、300μmのふるいを用いて150〜300μmの粒度に調整」に変更したこと以外、製造例2と同様にして吸水性樹脂粒子(R−3)を得た。製造例1と同様に測定した吸水性樹脂粒子(R−3)の重量平均粒子径は300μmであり、見掛け密度は0.65g/mlであった。
【0145】
<製造比較例4>
「目開き150、300,500,600、710μmのふるいを用いて150〜710μmの粒度に調整」を「目開き500,600、710μmのふるいを用いて500〜710μmの粒度に調整」に変更したこと以外、製造例4と同様にして吸水性樹脂粒子(R−4)を得た。製造例1と同様に測定した吸水性樹脂粒子(R−4)の重量平均粒子径は620μmであり、見掛け密度は0.55g/mlであった。
【0146】
製造例1〜5の吸水性樹脂粒子(P−1)〜(P−5)及び製造比較例1〜4の吸水性樹脂(R−1)〜(R−4)についての性能評価として、保水量、DW法による5分後の吸収量及びゲル弾性率を上述の方法で測定し、ゲル拡散長を下記の方法で測定し、表1に記載した。
【0147】
【表1】
【0148】
表1からわかるとおり、吸水性樹脂粒子の重量平均粒子径を大きくするとDW法による5分後の吸収量が小さくなり、重量平均粒子径を小さくすると吸収量が増加し、重量平均粒子径を好ましい範囲に調節することで、DW法による5分後の吸収量を、本発明の吸収性着用物品における吸収量の範囲に、事実上、制御することができた。また、比較製造例1や2からも、疎水性物質(g)や表面架橋剤(d)の量でDW法による5分後の吸収量を調節することができることがわかる。
【0149】
<ゲル拡散長の測定>
直径12cmのシャーレに吸水性樹脂0.5gを均一散布し、生理食塩水10mLを加えて10分間静置してゲルを十分に膨潤させた。次いで生理食塩水1000mLに対して青色1号を0.1g加えて調整した着色液をシャーレの中央に1分間あたり5mLの速さで滴下した。さらに10分間静置した後、シャーレの中央部から青色着色液が拡散した距離を測定し、ゲル拡散長とした。
【0150】
<香料組成物の製造例>
<製造例6>
加熱装置を備えた混合槽に、10%PVA溶液100部を投入し、60℃まで加熱しながら、撹拌した。次に表2に示す香料溶液10部を投入し、2時間以上撹拌を行い、更に、60℃の10%硫酸ナトリウム溶液5部を投入することと投入後混合槽の温度を室温まで冷却することにより、PVAのコアセルベート滴を発生させ、油滴表面を被覆した。この際、相分離を誘起する剤として95%エタノールを20部併用した。相分離後、ろ過工程で相分離したペースト状物質を回収し、更に、20部の95%エタノールをPVA膜マイクロカプセルのペースト状物質に添加することによりPVA膜中の水分を低下させ、20℃低温乾燥でペースト状物質を水分率10%程度になるまで乾燥させ、香料組成物(C−1)を得た。
また、表2中のアップルベースの詳細な組成を表3に示す。
【0151】
【表2】
【0152】
【表3】
【0153】
<製造例7>
混合槽に80部の水を投入し、更に20部のシクロデキストリンを添加し、混合、撹拌を行い、次いで表4に示す香料を2部投入し、混合、撹拌を行った。得られた溶液をスプレードライして、香料組成物(C−2)を得た。
【0154】
【表4】
【0155】
<製造例8>
混合槽にゼオライト80部を投入し、更に20部の水を添加し、混合、攪拌を行い、次いで表5に示す香料の溶液を20部投入し、よく混練した。さらに混合槽に濃度20%PVA水溶液を20部添加し、よく混練した。得られたペーストを水分率10%程度になるまで40℃低温乾燥し、香料組成物(C−3)を得た。
【0156】
【表5】
【0157】
<実施例1>
吸水性樹脂粒子(P−1)を目付け200g/m
2となるように均一に拡散性部材(B)である不織布(b−1){不織布目付:25g/m
2、東洋紡社製2.2T 44−SMK}上に手で撒き、上から香料組成物(C−1)を目付0.2g/m
2となるように均一に手で撒き、吸収体(1)を得た。この吸収体(1)を10cm×40cmの長方形に裁断し、吸収体(1)を吸収体(1)と同じ大きさの拡散性部材(B)である透水性シート(b−2){目付け15.5g/m
2、アドバンテック社製、フィルターペーパー2番}で挟み吸収体(1−1)を得た。更にバックシートとしてポリエチレンシート(タマポリ社製ポリエチレンフィルムUB−1)を裏面に、不織布(b−1)(不織布目付:25g/m
2、東洋紡社製2.2T 44−SMK)を最表面に配置することにより吸収性着用物品(1)を調製した。
【0158】
<実施例2>
吸水性樹脂粒子(P−1)を吸水性樹脂粒子(P−2)に変更したこと以外、実施例1と同様にして吸収性着用物品(2)を調製した。
【0159】
<実施例3>
吸水性樹脂粒子(P−1)を吸水性樹脂粒子(P−3)に変更し、香料組成物(C−1)を香料組成物(C−3)に変更したこと以外、実施例1と同様にして吸収性着用物品(3)を調製した。
【0160】
<実施例4>
香料組成物(C−1)を香料組成物(C−2)に変更したこと以外、実施例1と同様にして吸収性着用物品(4)を調製した。
【0161】
<実施例5>
拡散性部材(B)である親水性繊維(b−3){フラッフパルプ}20部と吸水性樹脂粒子(P−1)80部と香料組成物(C−2)0.08部とを気流型混合装置{パッドフォーマー}で混合して、混合物を得た後、この混合物を目付け250g/m
2となるように均一にアクリル板(厚み4mm)上に積層し、5kg/cm
2の圧力で30秒間プレスし、吸収体(2)を得た。この吸収体(2)を10cm×40cmの長方形に裁断し、各々の上下に吸収体と同じ大きさの拡散性部材(B)である透水性シート(b−2){目付け15.5g/m
2、アドバンテック社製、フィルターペーパー2番}を配置し吸収体(2−1)を得た。更にバックシートとしてポリエチレンシート(タマポリ社製ポリエチレンフィルムUB−1)を裏面に、更に不織布(b−1){不織布目付:25g/m
2、東洋紡社製2.2T 44−SMK}を表面に配置することにより吸収性着用物品(5)を調製した。吸水性粒子と親水性繊維の重量比率(吸水性樹脂粒子の重量/親水性繊維の重量)は80/20であった。
【0162】
<実施例6>
吸水性樹脂粒子(P−1)を吸水性樹脂粒子(P−4)に変更したこと以外、実施例5と同様にして吸収性着用物品(6)を調製した。
【0163】
<実施例7>
吸水性樹脂粒子(P−1)を吸水性樹脂粒子(P−5)に変更し、香料組成物(C−2)を香料組成物(C−3)に変更したこと以外、実施例4と同様にして吸収性着用物品(7)を調製した。
【0164】
<比較例1>
吸水性樹脂粒子(P−1)を吸水性樹脂粒子(R−1)に変更したこと以外、実施例1と同様にして吸収性着用物品(H1)を調製した。
【0165】
<比較例2>
吸水性樹脂粒子(P−1)を吸水性樹脂粒子(R−2)変更したこと以外、実施例5と同様にして吸収性着用物品(H2)を調製した。
【0166】
<比較例3>
吸水性樹脂粒子(P−2)を吸水性樹脂粒子(R−3)へ変更したこと以外、実施例2と同様にして吸収性着用物品(H3)を調製した。
【0167】
<比較例4>
吸水性樹脂粒子(P−4)を吸水性樹脂粒子(R−4)変更したこと以外、実施例6と同様にして吸収性着用物品(H4)を調製した。
【0168】
実施例1〜7で得られた吸収性物品(1〜7)及び比較例1〜4で得られた比較用吸収性物品(H1〜H4)について、以下の方法で臭気官能試験し、結果を表6に記載した。
【0169】
<臭気官能試験>
疑似糞便{ベントナイト100部、グリセリン110部、0.82重量%カルボキシメチルセルロース水溶液248部、イオン交換水248部、エマルゲン130K(花王株式会社製)0.35部、ジメチルスルフィッド0.7部、イソ吉草酸1.4部、ジメチルジスルフィッド1.4部、酪酸2.1部、インドール3.5部の混合物}を用意した。該糞便臭モデルは、書籍「悪臭学(人体編)」(著者:鈴木隆 株式会社イースト・プレス 2000年発行)の糞尿の章に記載されたものに基づいている。吸収体の中央部に内径6cmのアクリル製円筒(重さ150g)を置き、円筒から20gの疑似糞便を流して、30分静置した。30分後の吸収体の香りを5人の被験者に嗅いでもらい臭気の不快感について以下の5段階で官能評価した。
5 糞便臭は全くせず高貴な香りを強く感じ、快適である。
4 糞便臭は全くせず良い香りを感じ、快適である。
3 糞便臭はほとんどせず、良い香りを感じ、快適である。
2 糞便臭が少し和らいでいるが、不快である。
1 糞便臭が強く残り、不快である。
【0170】
【表6】
【0171】
表6から判るように、本発明の構成を有しない比較製造例1〜4の吸水性樹脂R−1〜R−4用いた比較例1〜4は、実施例の態様に比べて有意に臭気官能試験の性能が劣っていた。このことから、吸水性樹脂粒子のDW法による5分後の吸収量とゲル拡散長が重要であり、DW法による5分後の吸収量とゲル拡散長の掛け合わせた値が大きいほど良好であることがわかる。したがって、本発明の構成を有する吸水性樹脂粒子を用いた吸収性物品が、便臭に対する消臭性能、消臭持続性等において明瞭な効果を発揮することがわかった。本発明の吸収性物品は、比較用の吸収性物品に比べ、不快臭を感じさせず、むしろ香料に基づく香気を感じさせることがわかった。したがって、本発明の吸収性物品を使用した場合、不快臭の消臭性能に優れ、さらに、便を吸収体内部に効果的に吸収及び拡散させるため、便の肌への付着が減少し、香料に基づく香気で嗅覚を通してすばやく排泄時を知ることができるため、排泄物の処理を遅滞なく行うことが可能となり、皮膚のカブレ等を引き起こすことがないことが容易に予測される。