特開2019-213710(P2019-213710A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-213710(P2019-213710A)
(43)【公開日】2019年12月19日
(54)【発明の名称】鍼
(51)【国際特許分類】
   A61H 39/08 20060101AFI20191122BHJP
【FI】
   A61H39/08 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-112752(P2018-112752)
(22)【出願日】2018年6月13日
(71)【出願人】
【識別番号】518210306
【氏名又は名称】小椋 加枝
(74)【代理人】
【識別番号】100144130
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 実
(72)【発明者】
【氏名】小椋 加枝
【テーマコード(参考)】
4C101
【Fターム(参考)】
4C101DA01
4C101DA11
4C101DA15
4C101DA16
4C101DA20
(57)【要約】
【課題】鍼を持つことなく鍼治療を行うことができる、刺さない鍼を提供する。
【解決手段】鍼1は、刺さずに被治療生物95に接触させて鍼治療を行うためのものであって、先端部3を被治療生物95に接触させるための棒状の鍼本体2と、鍼本体2の途中に設けられた、治療者の中指91を入れるための指入部7とを備えるものである。鍼本体2は、曲げることのできる材質で形成されていることが好ましい。鍼本体2には、棒状の長さ方向に沿って溝5が形成されていることが好ましい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刺さずに被治療生物に接触させて鍼治療を行うための鍼であって、
先端部を前記被治療生物に接触させるための棒状の鍼本体と、
前記鍼本体の途中に設けられた、指を入れるための1つ又は複数の指入部とを、
備えることを特徴とする鍼。
【請求項2】
前記鍼本体は、曲げることのできる材質で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の鍼。
【請求項3】
前記鍼本体は、棒状の形状が後端部側に向かうにしたがって幅広になる形状で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鍼。
【請求項4】
前記鍼本体には、棒状の長さ方向に沿って溝が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の鍼。
【請求項5】
前記指入部は、前記鍼本体に設ける位置を変更可能であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の鍼。
【請求項6】
前記指入部は、前記鍼本体に着脱可能であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の鍼。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刺さずに被治療生物に接触させて鍼治療を行うための鍼に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被治療生物(人や動物)に対する鍼治療が古くから行われている。鍼治療には、治療生物に鍼を刺す治療方法と、鍼を刺さない治療方法がある。刺さない鍼は、てい鍼と呼ばれる場合もある。
【0003】
例えば特許文献1には、てい鍼と鍼管が一体化した治療器具が記載されている。同文献の図に示されるように、刺さない鍼(てい鍼)は棒状に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3195518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
てい鍼のような刺さない鍼は、棒状の鍼の先端部を被治療生物に接触させて使用される。治療者は、鍼を手に持って治療を行う。鍼を持つ方法は、棒状の鍼を鉛筆等の筆記具を持つように親指と人差指の間に挟んで持つ方法や、掌側の鍼を親指と他の指で支えるように持つ方法などがある。
【0006】
治療者は鍼の先端を被治療生物の肌のツボ(経穴)や経路等に接触させて、鍼の先端部に意識を集中させて治療を行う。しかしながら、鍼を持ちながら治療を行うため、持つことに意識が分散されてしまう場合がある。また、鍼を持つことで手が疲労してしまう場合がある。
【0007】
本発明は、前記の課題を解決するためになされたもので、鍼を持つことなく鍼治療を行うことができる、刺さない鍼を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するためになされた、特許請求の範囲の請求項1に記載された鍼は、刺さずに被治療生物に接触させて鍼治療を行うための鍼であって、先端部を前記被治療生物に接触させるための棒状の鍼本体と、前記鍼本体の途中に設けられた、指を入れるための1つ又は複数の指入部とを、備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載された鍼は、請求項1に記載のものであり、前記鍼本体は、曲げることのできる材質で形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載された鍼は、請求項1又は2に記載のものであり、前記鍼本体は、棒状の形状が後端部側に向かうにしたがって幅広になる形状で形成されていることを特徴とする
【0011】
請求項4に記載された鍼は、請求項1から3のいずれかに記載のものであり、前記鍼本体には、棒状の長さ方向に沿って溝が形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載された鍼は、請求項1から4のいずれかに記載のものであり、前記指入部は、前記鍼本体に設ける位置を変更可能であることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載された鍼は、請求項1から5のいずれかに記載のものであり、前記指入部は、前記鍼本体に着脱可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の鍼によれば、指入部に指を入れることで鍼本体を保持できるため、鍼を持たずに鍼治療することができる。そのため、鍼を持つことに意識が分散されず、治療に集中することができる。また、鍼を持たなくてもよいので、手の疲労を軽減することができる。複数の指入部を有する場合、鍼本体が指にしっかりと保持されるため、鍼本体の先端部が指からずれてしまうことを防止でき、鍼本体を指に確実に沿わせることができる。
【0015】
鍼本体が曲げることのできる材質で形成されている場合、治療者の指や掌の自然な形状に合わせるように変形できるため、治療者は自然な手の状態で治療でき、一層集中して治療することができる。また、手の疲労をより軽減することができる。
【0016】
鍼本体の棒状の形状が後端部側に向かうにしたがって幅広になる形状で形成されている場合、治療者から出る治療用エネルギーを鍼本体により多く導くことができる。鍼本体を全体的に幅広に形成する場合よりも、材料を少なくすることができる。また、曲げる場合に曲げやすくなる。
【0017】
鍼本体に棒状の長さ方向に沿って溝が形成されている場合、治療者の治療用エネルギーを、溝に沿って鍼本体の先端部まで導くことができる。
【0018】
指入部が鍼本体に設ける位置を変更可能である場合、治療者の掌や指の大きさに対応させて鍼本体の装着位置や指入部の位置を最適な位置に調整でき、治療者は集中して治療を行うことができる。指入部が鍼本体に着脱可能である場合、指入部が不要な場合に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明を適用する鍼の斜視図である。
図2】本発明を適用する鍼の平面図(指入部が設けられている側から見た図)である。
図3】本発明を適用する鍼の使用状態を示す説明図である。
図4】本発明を適用する別の鍼の側面図である。
図5】本発明を適用する別の鍼の構成を示す断面図である。
図6図5に示した鍼本体の側面図である。
図7】本発明を適用するさらに別の鍼を示す断面図である。
図8図7に示した鍼本体の側面図である。
図9】本発明を適用する別の鍼の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
【0021】
図1に、本発明を適用する鍼1の斜視図を示す。図2に、本発明を適用する鍼1の平面図を示す。この鍼1は、刺さずに被治療生物(人、動物)に接触させて鍼治療を行うための鍼であって、先端部3を被治療生物に接触させるための棒状の鍼本体2と、鍼本体2の途中に設けられた、指を入れるための1つ又は複数の指入部7とを備えるものである。両図には、指入部7を1つ備える鍼1を図示している。複数の指入部7を備える鍼1c(図9参照)については後述する。
【0022】
鍼本体2は、直線の棒状(真っすぐな形状)に形成されている。鍼本体2は、湾曲した棒状(曲がった形状)に形成されていてもよい。鍼本体2は、治療者の掌や指の形状に合わせて変形できるように、曲げることのできる材質で形成されていることが好ましい。
【0023】
鍼本体2の長さは、任意であるが、例えば、50mm〜200mmである。鍼本体2の長さは、一例として、治療者の掌の中央に有る労宮(ろうきゅう)のツボから中指の腹の中央までの長さであることが好ましい。この場合、鍼本体2の長さは、約100mm〜150mmであることが好ましい。
【0024】
鍼本体2は、棒状の形状が後端部4側に向かうにしたがって幅広になる形状で形成されている。図2に示すように、棒状部分の後端部4の幅(太さ)W1と、棒状部分の先端部(球状の先端部3の根本)の幅(太さ)W2は、W1>W2の関係であることが好ましい。後端部4を幅広に形成すると、労宮のツボ周辺全体に後端部4を接触させることができ、治療者の手掌・労宮周辺から出ると考えられている治療用エネルギーを鍼本体2にできるだけ多く導くことができる。なお、必要性に応じて、鍼本体2を、W1=W2となるように等幅(同じ太さ)で形成してもよいし、場合によっては、W1<W2となるように形成してもよい。鍼本体2を等幅(同じ太さ)で形成して、後端部4に、鍼本体2よりも幅広に形成した、治療者のツボに接触させるための幅広部材を設けてもよい。
【0025】
鍼本体2の横断面形状は、円形、楕円形、四角形、多角形など任意の形状である。治療者の掌及び指が位置する側になる指入部7が設けられている鍼本体2の側は、ほぼ平面になるように形成されていることが好ましい。鍼本体2には、棒状の長さ方向に沿って溝5が形成されていることが好ましい。この溝5は、鍼本体2の先端部3(この場合は先端部3の球状部分の根本)から後端部4まで形成されていることが好ましい。また、溝5は、治療者の掌及び指が位置する側になる指入部7が設けられている側に形成されていることが好ましい。
【0026】
図1図2に示すように、鍼本体2の形状が後端部4側に向かうにしたがって幅広になる形状で形成されている場合、溝5は、後端部4側に向かうにしたがって幅広になる形状で形成されていることが好ましい。溝5の幅を、鍼本体2の太さ(幅)に応じて後端部4側を広く形成すると、治療者の手掌・労宮周辺から出ると考えられている治療用エネルギーをできるだけ多く鍼本体2に取り入れることができる。また、溝5の幅を、鍼本体2の太さ(幅)に応じて後端部4側を広くすると、鍼本体2の重量をより軽量化することができる。鍼本体2を軽くすると、治療者の負荷を軽減でき、治療に集中することができる。
【0027】
鍼本体2の材質は、例えば、電気抵抗率の小さな銀、銅、金、アルミニウム、鉄、白金のような導電性を有する金属であることが好ましい。ツボや経路は人体を流れる電気信号(人体電気)と関連する場所と考えられており、鍼本体2が導電性を有することで、効果的な治療が可能と考えられている。銀は、電気抵抗率が小さく、棒状の形状を曲げて変形させることができるため、鍼本体2の材質として好ましく用いることができる。
【0028】
美肌や美容などのために、鍼本体2をゲルマニウム、プラチナ、チタン、ジルコニウム、セラミック等の材質で形成してもよい。鍼本体2の材質は任意であり、必要性に応じて、プラスチックなどの合成樹脂、水晶などの天然石、木材、半導体等を用いてもよい。
【0029】
鍼本体2の先端部3は、一例として、球形状に形成されている。先端部3が球形状の場合、鍼本体2の被治療生物に対する角度を変えても、ほぼ点で被治療生物に接触させることができる。そのため、治療者が発すると考えられている治療用エネルギー(気、波動等)を、被治療生物にほぼ点で集中させることができる。また、先端部3が球形状の場合、先端部3を被治療生物に強く押し当てたとしても、被治療生物を傷つけることが無い。そのため、球状の先端部3を押し当てて指圧的な治療を行うこともできる。なお、先端部3の形状は任意であり、被治療生物を傷つけない程度に棒状に尖っていてもよいし、多面体形状や楕円体形状などであってもよい。先端部3が、球形状に1つ又は複数の突起が付加された形状であってもよい。
【0030】
球形状の先端部3の材質は、鍼本体2の材質と同様であってもよいし、異なっていてもよい。先端部3の材質は、例えば、電気抵抗率の小さな銀、銅、金、アルミニウム、鉄、白金のような導電性を有する金属であることが好ましい。先端部3の材質は、ゲルマニウム、プラチナ、チタン、ジルコニウム、セラミック等であってもよい。先端部3の材質は任意であり、必要性に応じて、プラスチックなどの合成樹脂、水晶などの天然石、木材、半導体等を用いてもよい。先端部3を鍼本体2と一体的に形成してもよい。先端部3と鍼本体2とを各々別体で形成して、例えば、融着、溶着、圧接、溶接、接着等の任意の固定方法で結合してもよい。
【0031】
例えば、鍼本体2を銀、先端部3を金で球形状に形成して結合する。球状の先端部3は、内部が空洞であってもよいし、内部が密に詰まっていてもよい。
【0032】
指入部7は、治療者が指を入れて(指に嵌めて)、鍼本体2を持つことなく、鍼本体2を保持するためのものである。指入部7は、指に嵌めやすいように、一例としてリング状(指輪状)に形成されている。同図に示すように、指入部7は、リング状の一部が切り欠かれた形状に形成されていてもよい。指入部7の形状は、指を入れて鍼本体2を保持できる形状であれば、任意の形状に形成することができる。
【0033】
指入部7は、治療者が指を入れたときに、鍼本体2を指に沿わせるように設けられている。そのため、指入部7は、鍼本体2の途中に、棒状の鍼本体2に対してリング状の面がほぼ直交する角度(向き)で設けられている。言い換えると、指入部7は、そのリング状の中心軸が棒状の鍼本体2とほぼ平行になる向きで鍼本体2に設けられている。なお、鍼本体2と指入部7の面との交差角度を任意の角度で設けてもよい。
【0034】
指入部7の材質は、鍼本体2の材質と同様であってもよいし、異なっていてもよい。指入部7の材質は、例えば、電気抵抗率の小さな銀、銅、金、アルミニウム、鉄、白金のような導電性を有する金属であることが好ましい。指入部7の材質は、ゲルマニウム、プラチナ、チタン、ジルコニウム、セラミック等であってもよい。先端部3の材質は任意であり、必要性に応じて、プラスチックなどの合成樹脂、水晶などの天然石、木材、半導体等を用いてもよい。指入部7を鍼本体2と一体的に形成してもよい。指入部7と鍼本体2とを各々別体で形成して、例えば、融着、溶着、圧接、溶接、接着、螺子止め等の任意の固定方法で結合してもよい。
【0035】
例えば、指入部7と鍼本体2とを銀で一体的に形成することが好ましい。
【0036】
次に、鍼1の使用方法について説明する。
【0037】
図3に、鍼1の使用状態を模式的に示す。同図は、治療者の中指91に鍼1を装着した例を示している。なお、他の指の図示は省略している。
【0038】
治療者は、一例として、利き手の中指91に、指入部7を通して鍼1を装着する。中指91の腹92に、鍼本体2の先端部3が当たるように鍼本体2の位置を調整する。
【0039】
治療者は、被治療生物95の皮膚のツボや経路の位置等に、先端部3を弱く又は強く押し当てたり、擦ったりするように接触させて、鍼治療を行う。この際に、治療者は、鍼1を指で持たなくてもよいので、先端部3に触れている中指91の腹92に集中することができる。そのため、集中して治療を行うことができるため、治療効果を上げることができる。また、鍼1を指で持たなくてもよいので、手の疲労を軽減することができる。
【0040】
鍼本体2が曲げることのできる材質である場合、中指91や掌94の自然な形状にフィットするように鍼本体2を湾曲させて使用することで、一層集中して治療することができる。また、手の疲労を一層軽減することができる。
【0041】
一例として、鍼本体2の先端部3を中指91の腹92に当てると共に、鍼本体2の後端部4を掌94の労宮93に当てて使用することが好ましい。こうすると、治療者の手掌・労宮周辺から出ると考えられている治療用エネルギーが鍼本体2の後端部4から鍼本体2を通って先端部3に導かれる。そのため、被治療生物95に多くの治療用エネルギーを注入することができる。また、後端部4が幅広に形成されていると、治療者の手掌・労宮周辺から出ると考えられている治療用エネルギーを可及的に多く鍼本体2に導くことができるため、被治療生物95に多くの治療用エネルギーを注入することができる。治療用エネルギーを鍼本体2に導くために、鍼本体2を全体的に太く形成してもよい。
【0042】
鍼本体2には棒状の長さ方向に沿って溝5が形成されていることが好ましい。治療者の手掌・労宮周辺から出ると考えられている治療用エネルギーは、溝5によって後端部4から先端部3まで導かれやすくなるためである。溝5は、掌94の労宮93に近くにある方が治療用エネルギーを導きやすいため、鍼本体2の指入部7側に形成されていることが好ましい。溝5は、幅広である方が治療用エネルギーを多く取り入れることができるため好ましい。また、溝5は、幅広に形成した方が鍼本体2を軽量化でき、治療者の負担を軽減できるため好ましい。なお、治療者の治療方法にもよるため、必要性に応じて、溝5を設けてもよいし、設けなくてもよい。溝5の幅は任意である。例えば後端部4から先端部3まで溝5を同じ幅で形成してもよい。
【0043】
治療方法によって、鍼本体2の後端部4を、治療者の別のツボ等の任意の位置に当てるようにしてもよい。また、治療方法によって、鍼本体2の後端部4を、治療者の任意の位置に当てなくてもよい。
【0044】
鍼1を装着する指は、中指91に限らず任意であり、親指、人差指、薬指又は小指であってもよい。治療者は、一方の手(例えば右手)だけに鍼1を装着して治療を行ってもよいし、一方の手に鍼1を装着すると共に他方の手(例えば左手)に別の鍼1を装着して両手で治療を行ってもよい。治療者は、例えば右手の人差指に鍼1を装着すると共に、右手の薬指に別の鍼1を装着するというように、複数の鍼1を、片手(例えば右手)の任意の複数の指に装着して治療を行ってもよい。治療者は、被治療生物として、人や、犬、猫、うさぎなどのペット、牛、豚、山羊、羊などの家畜、その他の動物に対し、鍼1を用いて鍼治療を行ってもよい。
【0045】
なお、図4に示すように、鍼本体2の後端部4側が、指入部7側(治療者の指側)とは逆側に、反らせた形状に予め形成されていることが好ましい。鍼本体2が曲げることのできる材質であっても、端部は曲げるのは困難な場合が多いためである。後端部4側を曲げることができずに、鍼本体2を真っすぐな状態のままで使用していると、後端部4が手掌に食い込むようになってしまう場合がある。この食い込みは治療時間が長いと手掌に痛みを生じさせる場合がある(治療方法や治療者による)。後端部4側を予め反らせておくと、後端部4側を、力を入れて曲げなくても手掌の形状にフィットさせることができる。また、図3のように、鍼本体2の先端部3側が、指入部7側(治療者の指側)とは逆側に、反らせた形状に予め形成されていてもよい。
【0046】
次に、本発明を適用する別の鍼1aについて、図5図6を参照して説明する。なお、以下において、既に説明した構成と同様の構成については同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0047】
図5に、鍼1aの構成を説明する横断面図を示す。この鍼1aの指入部7aは、鍼本体2aに着脱可能に設けられるものである。また、鍼1aの指入部7aは、鍼本体2aに設ける位置を変更可能であるものである。
【0048】
図5に示すように、指入部7aは、リング状の一部に、鍼本体2aを嵌め込むために窪ませた嵌込部21が形成されている。嵌込部21には、指入部7aから鍼本体2aが外れないように固定するための突起22,22が形成されている。指入部7aは、可撓性を有する金属又は樹脂で形成されている。
【0049】
図6に、鍼本体2aの側面図を示す。鍼本体2aには、指入部7aの嵌込部21と嵌合する切欠部11が形成されている。また、鍼本体2aには、指入部7aの突起22が嵌る窪部12が形成されている。鍼本体2aには、切欠部11及び窪部12の組が複数(この例では3組)形成されている。なお、鍼本体2aは、切欠部11及び窪部12の複数の組が形成されている部分の幅(太さ)がいずれも等幅(同じ太さ)になるように形成されている。
【0050】
図5に示すように、鍼本体2aの任意の位置の切欠部11及び窪部12に、指入部7aの嵌込部21及び突起22を嵌め込むことで、指入部7aを設ける位置を調整することができる。そのため、治療者の掌や指の大きさに対応させて鍼1aの装着位置や指入部7aの位置を最適な位置に調整でき、治療者は集中して治療を行うことができる。治療に指入部7aが不要である場合は、指入部7aを取り外して、鍼本体2aだけで治療を行うこともできる。
【0051】
次に、本発明を適用するさらに別の鍼1bについて、図7図8を参照して説明する。
【0052】
この鍼1bの指入部7bは、鍼本体2bに着脱可能に設けられるものである。また、鍼1bの指入部7bは、鍼本体2bに設ける位置を変更可能であるものである。
【0053】
図7に、鍼1bの構成を説明する横断面図を示す。指入部7bは、リング状の一部が切り欠かれており、切り欠かれた端部が嵌込部25、25になっている。図7図8に示すように、鍼本体2bの両側部には、指入部7bの嵌込部25が嵌ってスライド移動可能なガイド窪部15、15が形成されている。指入部7bは、金属又は樹脂で形成されている。
【0054】
なお、この例では、鍼本体2bは、棒状部分の後端部4側の幅W1(図2参照)と先端部3側の幅W2(図2参照)とが同じ幅になるように、後端部4から先端部3まで等幅(同じ太さ)で形成されている。指入部7bをスライド移動可能とするためである。
【0055】
指入部7bの嵌込部25を、鍼本体2bの後端部4からガイド窪部15に挿入する。ガイド窪部15の任意の位置に嵌込部25をスライドさせることで、指入部7bを鍼本体2bの任意の位置にセットすることができる。そのため、治療者の掌や指の大きさに対応させて鍼1bの装着位置や指入部7bの位置を最適な位置に調整でき、治療者は集中して治療を行うことができる。治療に指入部7bが不要である場合は、指入部7bを取り外して、鍼本体2bだけで治療を行うこともできる。なお、ガイド窪部15が溝5を兼用してもよい。
【0056】
指入部7a、7bを鍼本体2a、2bに着脱可能に設ける構造(着脱構造)や、位置を変更可能にする構造(位置変更構造)は例示であり、その他の任意の構造とすることができる。指入部7a、7bを鍼本体2a、2bに螺子止めで固定してもよい。螺子止め可能な螺子穴を鍼本体2a、2bに複数形成しておくことで、指入部7a、7bを着脱可能とすると共に位置を変更可能としてもよい。
【0057】
図9に、本発明を適用する別の鍼1cの斜視図を示す。この鍼1cは、鍼本体2の途中に、指を入れるための複数(同図の例では2つ)の指入部7(7、7)を備えるものである。
【0058】
指入部7は、図1に示した鍼1の指入部7と同様の位置に設けられている。指入部7は、指入部7よりも先端部3側に設けられている。指入部7は、例えば、中指91(図3参照)の第2関節と指付け根関節の間に装着され、指入部7は、例えば、中指91の第1関節と第2関節の間に装着される。指入部7、7の各々の径を、装着する中指91の部位の径に対応させて、適宜変えてもよい。
【0059】
図1の鍼1のように、1つの指入部7を有する場合、指入部7を中心に鍼本体2が回転して、先端部3が中指91の腹92から左右にずれてしまう場合がある。図9の鍼1cのように、複数(2つ)の指入部7、7を有する場合、鍼本体2が中指91に対してずれず、中指91に確実に沿う。そのため、治療者は、鍼本体2のずれに注意がそがれず、一層集中して治療することができる。また、治療者の疲労感を少なくすることができる。
【0060】
指入部7、7は、鍼1a,1bに示したように、鍼本体2に設ける位置を変更可能であってもよいし、着脱可能であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1・1a・1b・1cは鍼、2・2a・2bは鍼本体、3は先端部、4は後端部、5は溝、7・7・7・7a・7bは指入部、11は切欠部、12は窪部、15はガイド窪部、21は嵌込部、22は突起、25は嵌込部、91は中指、92は中指の腹、93は労宮、94は掌、W1は鍼本体2の後端部4の幅(太さ)、W2は鍼本体2の先端部側の幅(太さ)である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9