【解決手段】位相終点判断は、自動的に組織へのエネルギの印加を停止させるために行われる。エネルギの印加の前に、位相終点判断は、処理される組織の誘電率及び導電率の積を測定することによって識別される。電気外科システム2は、電気外科発生器12、フィードバック回路20又はコントローラ及び電気外科ツール40を含む。フィードバック回路は、処理される組織の位相終点を判断することにより、電気外科終点を提供する。電気外科システムは、異なる電気外科手術に向けて1つよりも多い電気外科ツールを含み、かつ様々なユーザインタフェース機能及び音声インジケータ44及び視覚インジケータ46を含む。電気外科システムは、従来の双極電気外科ツール及び直流外科電気器具に電力を供給する。
前記終点の位相差は、前記電気外科ツールの前記インピーダンスが増加すると減少し、又は、前記終点の位相差は、前記電気外科ツールの前記インピーダンスが減少すると増加する、請求項7に記載のシステム。
前記終点の位相差は、前記電気外科ツールの前記キャパシタンスが増加すると減少し、又は、前記終点の位相差は、前記電気外科ツールの前記キャパシタンスが減少すると増加する、請求項9に記載のシステム。
前記電気外科制御ユニットは、各顎の少なくとも1つの電極を介して組織に印加された前記測定信号の位相角を測定するように構成されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載のシステム。
前記電気外科制御ユニットは、前記治療エネルギの電圧及び周波数と異なる電圧及び周波数の前記測定信号を印加するように構成されている、請求項1又は11に記載のシステム。
前記電気外科制御ユニットは、前記電気外科ツールのキャパシタンス及びインピーダンスを測定し、前記電気外科ツールの測定したキャパシタンス及びインピーダンスに基づいて前記終点を調節するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
前記電気外科制御ユニットは、前記治療エネルギの出力を定期的に中断し、前記治療エネルギの出力が中断されている間に前記測定信号の出力を指示するように構成されている、請求項11,12又は13に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の説明は、いずれの当業者も外科ツールを製作かつ使用して本明細書で説明する方法を実行することを可能にするために示すものであり、本発明者により考えられる本発明を実行する最良のモードを示すものである。しかし、様々な修正が当業者に明らかであることには変わりはない。これらの修正は、本発明の範囲であるように考えられている。
【0032】
電気外科システム
図1Aは、電気外科システム2の概略図を示している。電気外科システム2は、電気外科ユニット(ESU)10及び電気外科ツール40を含むことができる。電気外科ツール40は、電気外科ユニット10に電気的に結合することができる。一部の実施形態では、電気ワイヤ、ワイヤバンドル、又はケーブルのような電子結合器30は、ESU10に電気外科ツール40を電気的に結合することができる。一部の実施形態では、電気外科システム2は、外部ツールコントローラ80を任意的に更に含むことができる。
【0033】
図1Aを引き続き参照すると、電気外科ユニット10は、発生器12及びフィードバック回路20を含むことができる。発生器12は、電源及び高周波(RF)電気外科信号を発生するように構成された信号プロセッサのようなアクチュエータ16を含むことができる。発生器12は、ディスプレイ14を更に含むことができる。ディスプレイ14は、他の情報の中でもとりわけ、アクチュエータ16のステータス及び電気外科ユニット10に電気的に結合された電気外科ツール40のステータスを含む2つの電気外科システムのステータスを示すように構成することができる。
【0034】
図1Aを引き続き参照すると、ESU10のフィードバック回路20は、位相弁別器22、組織識別器24、及び暗号化モジュール26を含むことができる。一部の実施形態では、位相弁別器22は、組織識別器24に電気的に結合することができる。位相弁別器22は、ESU10に電気的に結合された電気外科ツール40から情報を受け取るように構成することができる。一部の実施形態では、電気外科ツール40からの情報は、電気外科ツールへの印加電圧及び供給電流に関する情報を含み、位相弁別器22は、印加電圧と供給電流との間の位相差を計算するように構成することができる。暗号化モジュール26は、暗号化されたプロトコルにフォーマット設定されたデータを送受信するように構成することができる。暗号化されたプロトコルは、いくつかの市販の暗号化プロトコルのうちの1つとすることができ、又は一部の実施形態では、目的別に開発された暗号化プロトコルとすることができる。
【0035】
図1Aを引き続き参照すると、一部の実施形態では、フィードバック回路20は、一体型ESU10内で発生器12と共に配置された1つ又はそれよりも多くの集積回路、プリント回路基板、又は他のプロセッサとすることができる。
図1Bに示すように、他の実施形態では、フィードバック回路20’は、ESU10を形成するように独立型発生器12’に電気的に結合することができる。ツール40は、フィードバック回路20’に電気的に結合することができる。独立型発生器12及びフィードバック回路20を有する電気外科システムの他の態様は、
図1Aに関して説明した一体型ESUを有するシステムと実質的に類似とすることができる。
【0036】
図1Aを引き続き参照すると、ツール40は、インジケータ42、組織セレクタ50、アクチュエータ60、及びメモリ70を含むことができる。一部の実施形態では、インジケータ40は、スピーカ、チャイム、クリックデバイス、又は別の音声発生デバイスのような音声インジケータ44を含むことができる。一部の実施形態では、インジケータ40は、ランプ、LED、ディスプレイ、カウンタ、又は別の可視指示デバイスのような視覚インジケータ46を含むことができる。一部の実施形態では、視覚インジケータ46は、多色LEDを含む。一部の実施形態では、ツール40は、音声インジケータ44及び視覚インジケータ46を含む。
【0037】
組織セレクタ50は、電極アセンブリ52及び切断ツール54を含むことができる。様々な実施形態では、様々な電極アセンブリは、特定の組織上で、例えば、凝固、切断、又は融合のような望ましい電気外科処置を行うように構成することができる。一部の実施形態では、電極アセンブリ52は、脈管密封器としての使用に向けて構成することができる。他の実施形態では、電極アセンブリ52は、肥満症治療ステープラとしての使用に向けて構成することができる。更に他の実施形態では、電極アセンブリ52は、組織切断デバイスとしての使用に向けて構成することができる。一部の実施形態では、切断ツール54は、固定ブレード又は可動ブレード又は鋭い刃先のような機械的要素とすることができる。他の実施形態では、切断ツール54は、エネルギ供給可能なワイヤ又はフィラメントのような電気外科要素とすることができる。
【0038】
図1Aを引き続き参照すると、アクチュエータ60は、組織を選択的に選択するために組織セレクタ50に作動的に結合することができる。例えば、一部の実施形態では、組織セレクタ50は、顎ベースの把持器を含むことができ、アクチュエータは、開放位置から閉鎖位置まで把持器を選択的に移動させる作動機構を含むことができる。他の実施形態では、他の組織セレクタを電気外科システム2において使用することができるように考えられている。一部の実施形態では、アクチュエータ60は、電極に選択的に通電するように構成することができる。例えば、アクチュエータ60は、ツール上のスイッチ又はボタンを含むことができる。
【0039】
図1Aを引き続き参照すると、ツール40は、メモリ70を更に含むことができる。一部の実施形態では、メモリ70は、暗号化モジュール72及び構成デバイスモジュール74を含む。暗号化モジュール72は、ESU10上の暗号化モジュール26との暗号化された情報交換を補助するように構成することができる。構成デバイスモジュール74は、ツール40に関する作動パラメータ情報を格納することができる。例えば、一部の実施形態では、構成デバイスモジュール74は、電極アセンブリ、使用回数、及びツールの使用総作動時間に関する情報及び他の作動パラメータを格納することができる。
【0040】
図1Aを引き続き参照すると、電気外科システム2は、ツール40にESU10を電気的に結合する外部ツールコントローラ80を更に含むことができる。一部の実施形態では、外部ツールコントローラ80は、スイッチのようなツールセレクタ82を含む。外部ツールコントローラ80は、複数のデバイスがこのコントローラに接続することを可能にすることができる。ツールセレクタ82は、通電される複数のデバイスのうちの1つの選択を可能にする。例えば、ツールセレクタ82は、ダイヤル、スイッチ、又はトグルを含むことができる。ツールアクチュエータ84は、選択されたツール40をESU10に選択的に電気的に結合することができる。
【0041】
図2Aを参照すると、電気外科システム102の例示的な実施形態は、ESU110及び電気外科融合ツール120を含むように示されている。電気外科融合ツール120は、ESU110上のツールポート112とのケーブル式接続のような電気結合器130により、ESU110に電気的に結合することができる。図示の実施形態では、電気外科融合ツール120は、
図41A〜
図55に関して以下でより詳細に説明するように、組織密封器及び分割器を含む。電気外科融合ツール120は、ユーザにツールのステータスを知らせるようにその上に位置決めされた多色LEDのような視覚インジケータ122を含む。他の実施形態では、電気外科融合ツール120は、発生器又は異なる電気外科ユニットに電気的に結合することができる。一部の実施形態では、足踏みスイッチの手のような手動コントローラは、ツールの選択的な制御を可能にするために、ESU110又は電気外科融合ツール122に電気的に結合することができる。
【0042】
図2Bを参照すると、電気外科システム202の例示的な実施形態は、ESU210及び電気外科ツール220を含むように示されている。電気外科ツール220は、ESU上のツールポート212とのケーブル式接続のようにESU210に電気的に結合することができる。図示の実施形態では、電気外科ツール220は、
図56〜
図65に関して以下でより詳細に説明するように、電気切断及び凝固ツールを含む。電気外科ツール220は、ユーザにツールのステータスを知らせるようにその上に位置決めされた多色LEDのような視覚インジケータ222を含む。他の実施形態では、電気外科ツール220は、発生器又は異なる電気外科ユニットに電気的に結合することができる。一部の実施形態では、足踏みスイッチの手のような手動コントローラは、ツールの選択的な制御を可能にするためにESU210又は電気外科融合ツール222に電気的に結合することができる。
【0043】
図2Cを参照すると、電気外科システム2302の例示的な実施形態は、ESU310及び電気外科ツール320を含むように示されている。電気外科ツール320は、ESU310上のツールポート312とのケーブル式接続のようにESU310に電気的に結合することができる。図示の実施形態では、電気外科ツール320は、
図66〜
図111に関して以下でより詳細に説明するように、電気外科ステープル固定式ツールを含む。電気外科ツール320は、ユーザにツールのステータスを知らせるようにその上に位置決めされた多色LEDのような視覚インジケータ322を含む。他の実施形態では、電気外科ツール320は、発生器又は異なる電気外科ユニットに電気的に結合することができる。一部の実施形態では、足踏みスイッチの手のような手動コントローラは、ツールの選択的な制御を可能にするために、ESU310又は電気外科融合ツール322に電気的に結合することができる。
【0044】
集積電気外科ユニット
図3A〜
図3Cを参照すると、電気外科ユニット410は、斜視図、正面図、及び後面図に示されている。電気外科ユニット410は、
図1Aに関して上述したように一体型ESUとすることができ、かつ発生器及びフィードバック回路を含むことができる。一部の実施形態では、電気外科ユニット410のハウジング又はコンソールは、標準的な手術室カート又は保管棚上に収まるようにサイズ決定及び構成することができる。一部の実施形態では、電気外科ユニット410のハウジング又はコンソールは、他の外科電気機器と積み重ね可能であるように構成することができる。
【0045】
図3A〜
図3Bを参照すると、電気外科ユニット410の斜視図が示されている。図示の実施形態では、電気外科ユニット410は、2つの専用ツールポート412、1つの双極ツールポート414、及び1つの電力ポート416を含む。他の実施形態では、電気外科ユニットは、異なる数のポートを含むことができる。例えば、一部の実施形態では、電気外科ユニットは、2つより多いか又は少ない専用テレポート412、1つより多いか又は少ない双極ツールポート414、及び1つより多いか又は少ない電力ポート416を含むことができる。
【0046】
図3A〜
図3Bを引き続き参照すると、各専用ツールポート412は、
図1Aに関して上述したように、メモリを有する電気外科ツールに結合されるように構成される。従って、専用ツールポート412は、電気外科ユニット410、並びに発生器のフィードバック回路に電気的に結合することができる。一部の実施形態では、専用ツールポート412は、複数の電気接触ピン又はピンソケットを含むマルチピンコネクタを含む。一部の実施形態では、コネクタは、10個より多い、例えば20個のピン又はピンソケットを含むことができる。
図1Aに関して先に説明し、かつ以下でより詳細に説明するように、専用ツールポート412は、電気的に結合された電気外科ツールからのデータの暗号化された送受信向けに構成することができる。
【0047】
図3A〜
図3Bを引き続き参照すると、双極ツールポート414は、従来の双極電気外科ツールを受け取るように構成されたプラグを含むことができる。双極ツールポート414は、電気外科ユニット410の発生器に結合することができる。一部の実施形態では、双極ツールポート414は、電気外科ユニット410のフィードバック回路に結合されていない。従って、有利な態様では、電気外科ユニット410は、ここでより詳細に説明するように、両方の専用電気外科ツール及び従来の双極電気外科ツールに通電することができる。従って、電気外科ユニット410は、外科手術空間内に更に別のラック又はカートスペースを必要とすることなく、独立型双極電気外科発生器の代わりに使用することができる。
【0048】
図3A〜
図3Bを引き続き参照すると、電力ポート416は、電気外科ユニット410の発生器に結合することができる。電力ポート416は、直流を供給するように構成することができる。例えば、一部の実施形態では、電力ポート416は、DC約12ボルトを供給することができる。電力ポート416は、人工呼吸器、ポンプ、照明、又は別の外科付属品のような外科付属品に電力供給するように構成することができる。従って、有利な態様では、標準双極ツールのための電気外科発生器に取って代わることに加えて、電気外科ユニット410は、外科予備電源に取って代わることができる。一部の実施形態では、電気外科ユニット410で現在既存の発生器及び電源に取って代わることは、外科手術空間において必要とされる幹線電力コードの数において保管棚カード又は棚上で必要とされる格納スペースの量を低減することができる。
【0049】
図3A〜
図3Bを引き続き参照すると、電気外科ユニット410は、ディスプレイ420を含むことができる。一部の実施形態では、ディスプレイは、一部の実施形態ではバックライト又はサイドライトを通じて照明することができる例えばLCDパネルディスプレイのようなテキスト及びグラフィック情報を示すことができる多重回線ディスプレイを含むことができる。一部の実施形態では、ディスプレイ420は、電気外科ユニット410に電気的に結合された特定のツールに関する情報、及び外科的処置に関連の標準色に対応する色(例えば、黄色のテキスト及びグラフィックで表示される切断作動、紫で表示される融合又は溶着作動、及び青色で表示される凝固のようなもの、無血切開作動は、黄色及び青色で表示することができる)を表示するように構成することができる多色ディスプレイを含むことができる。一部の実施形態では、以下でより詳細に説明するように、ディスプレイは、電気外科ユニット410に電気的に結合された複数のツールのステータスデータを同時に示すように構成することができる。一部の実施形態では、ユーザは、複数の電気的接続のツールの提示ステータスと単一の電気的接続のツールのステータスとの間でディスプレイ420を切り換えることができる。ディスプレイの更に例示的な態様を
図4A及び
図4Bに関して、より具体的には、下記のシステムの作動に関して全体的に説明する。
【0050】
図3A〜
図3Bを引き続き参照すると、電気外科ユニットは、例えば複数のボタン422のようなユーザインタフェースを含むことができる。ボタン422は、例えば、電気外科ユニット410に結合された1つ又はそれよりも多くのツールに供給される電気エネルギの増加又は低減を要求することのような電気外科ユニットとのユーザ対話を可能にすることができる。他の実施形態では、ディスプレイ420は、タッチスクリーンディスプレイとすることができ、従って、データ表示及びユーザインタフェース機能性が一体化される。一部の実施形態では、電気外科ユニット410は、ユーザに発生可能な誤差、供給される電気エネルギの終結、又は他の条件に対して注意を喚起するために、スピーカ又はチャイムのような聞こえるインジケータを含むことができる。一部の実施形態では、電気外科ユニット410は、可聴インジケータが、ユーザに可聴フィードバックをもたらすために、切断作動中の特定の音、融合又は溶着作動中の異なる音、及び凝固作動中の別の明確な音を発することができるように構成することができる。
【0051】
図3Cを参照すると、電気外科ユニット410の後面図が示されている。図示の実施形態では、電気外科ユニット410の後部は、後面パネル430を含む。後面パネル430は、
図1Aに関して上述したように、足ペダルコントローラのような外部コントローラに電気的に結合されるように構成されたコントローラポート432のような様々なポートを含むことができる。後面パネル430は、接地ラグを含むことができる。他の実施形態では、1つ又はそれよりも多くのコントローラポート及び/又は接地ラグは、例えば前面又は側面上の電気外科ユニット410の別の面上に位置することができる。電気外科ユニット410の裏面は、電気外科ユニット410の電源をオン又はオフにする壁ソケット及び主電源スイッチのようなAC電力幹線に接続されるように構成された幹線電力ポートを含む電力モジュール440を含むことができる。他の実施形態では、主電源スイッチは、例えば前面又は側面上の電気外科ユニット410の別の面上に位置決めすることができる。電気外科ユニット410の後面は、スロット、グリル、又は複数のルーバ450のような熱交換機能を含むことができる。他の実施形態では、熱交換機能は、例えば前面又は側面上の電気外科ユニット410の別の面上に位置決めすることができる。熱交換機能は、電気外科ユニット410コンソール内に収容された発生器、フィードバック回路、及び他の電気構成要素の空冷又は他の流体冷却を高めることができる。
【0052】
図4Aを参照すると、ディスプレイの例示的なスクリーンショットが示されている。図示の実施形態では、ディスプレイ420は、図示のスクリーンショットにおいて
図3A、
図3Bに関して上述した電気外科ユニット410の前面パネル上の4つのポートに対応するADCツール460、双極ツール470、第1の高周波電気外科ツール480、及び第2の高周波電気外科ツール490に関するステータス情報を表示するように分割することができる。第1の区画462は、DCツール460に関する情報を表示する。第2の区画472は、双極電気外科ツール470に関する情報を表示する。ステータス棒グラフ474のような視覚インジケータは、作動時に、双極電気外科ツール470に印加されて総有効電気エネルギの割合を示すために使用することができる。上述のように、視覚インジケータは、行われる外科的処置を示すために色分けすることができる。第3の区画482は、ステータス棒グラフ484のような視覚インジケータを有する第1の高周波電気外科ツール480に関する情報を表示することができる。第4の区画492は、そのツールに関して行うことができる各タイプの外科手術に関する個別の視覚インジケータ、すなわち、棒グラフ494、496、498を有する第2の高周波電気外科ツール490に関する情報を表示することができる。例えば、組織を切断、凝固、又は融合するように作動可能な電気外科ツールは、3つの色分けされた棒グラフを有することができる。ディスプレイ420は、足ペダルが電気的に結合されたツールに対応する区画に位置する足ペダルアイコン476のようなコントローラアイコンを含むことができる。
【0053】
図4Bを参照すると、ディスプレイ420の別の例示的なスクリーンショットが示されている。ディスプレイは、第2の電気外科ツールに対応する区画492の情報呈示を最大に利用するように構成されるように示されている。上述のように、一部の実施形態では、電気外科ユニットは、電気的に結合された単一のツールに関するステータス情報を表示するように構成可能とすることができる。一部の実施形態では、電気外科ユニットは、電気外科ツールに印加されたエネルギレベルのユーザ操作を可能にすることができる。1つの構成では、電気外科ツールのエネルギレベルは、ツールにより行われる各タイプの電気外科処置に相応に調節することができる。例えば、ユーザは、ツールによって実行される電気外科手術に供給されたエネルギレベルを対応して増加又は低減するマスターエネルギレベルを増加又は低減することができ、エネルギレベルは、ディスプレイ420上の棒グラフ494、496、498において反映させることができる。別の構成では、電気外科ツールのエネルギレベルは、処置特異方式で操作することができる。例えば、ユーザは、他の電気外科処置のエネルギレベルを不変のままにしながら、特定の電気外科ツールにより行われる電気外科処置のうちの1つに対応するエネルギレベルを増加又は低減することができる。この変化は、ディスプレイ420上の棒グラフのうちの1つ、例えば、切断棒グラフ494において反映させることができる。
【0054】
電気外科システム位相角操作
電気外科ユニット
一般的に、電気外科発生器、電気外科コントローラ、及び1つ又はそれよりも多くの電気外科ツールを含む電気外科ユニットが提供される。コントローラは、ツールがコントローラに取り付けられた発生器内に組み込むか、又はそれに取り付けることができる。
【0055】
一実施形態では、コントローラは、様々な電気外科発生器に取り付け可能である。コントローラに取り付けられた発生器は、コントローラの指示に従ってRFエネルギの供給を提供する。コントローラは、様々な取り付け可能な発生器に対してフィードバック制御及び予めプログラムされた設定を提供する。これは、主として、取り付けられた発生器とは独立している内部測定信号を使用することによって可能にされる。換言すれば、発生器が発生させる(終点測定、例えば、位相シフトに影響を与える)駆動装置信号の駆動周波数に関係なく、測定信号、及び従って最終位相シフトは、同じままである。
【0056】
図5を参照すると、一実施形態では、電気外科発生器は、RF増幅器、パルス幅変調器(PWM)、及び継電器を含む。電気外科発生器は、120Hz電圧主入力部に結合されている。主入力部は、電源631の低漏れ絶縁変圧器で絶縁されている。電源は、制御プロセッサ637及びRF増幅器633の作動電圧を供給する。更に、電源は、DC100V及び8アンペアの全出力を供給するために直列に接続した2つのDC50V出力モジュールを含む。RF電源は、RF増幅器、例えば、RF出力電圧を発生させるスイッチング式低インピーダンスRF発生器によって生成される。一実施形態では、切断のための600のピークカット電圧及び凝固/融合のための10アンペア電流が生成される。
【0057】
一実施形態では、組織を融合することは、比較的大きな組織片にRF電流を印加することを伴っている。潜在的に大きなツールのために、接触面積組織インピーダンスは、非常に低い。従って、有効量のRF電源を送出するために、RF増幅器の現在の機能は大きい。従って、一般的な発生器が2〜3アンペアの電流を生成することができる場合、発生器のRF増幅器は、低インピーダンス負荷部に5アンペアRMSを超える電流を供給することができる。それによって隣接組織への損傷が最小である迅速な組織融合をもたらす。
【0058】
RF増幅器回路は、冗長な電圧及び電流モニタリングを有する。1組の電圧及び電流センサは、PWM回路に接続され、かつサーボ制御に使用される。電圧及び電流は、PWM回路上に位置するアナログデジタル変換器(ADC)を使用してプロセッサ637により読み取ることができる。PWM回路は、アナログ乗算器も有し、アナログ乗算器は、電圧と電流の積を計算することによって電力を計算する。PWM回路は、電圧及び電流の平均値を使用し、位相角を含まず、従って、実は実効電力ではなく「ボルトアンペア無効電力(VAR)」を計算している。第2の組の電圧及び電流センサは、遠隔測定回路642にも接続されている。信号は、電圧及び電流の冗長なモニタリングのためにADCに接続されている。プロセッサは、電圧及び電流の読取値を乗算して電力出力が400ワットを超えていないことを確認する。遠隔測定回路は、PWM回路から完全に独立しているモニタリング回路を有する。これはADCを含み、ADCは、独立した基準電源を有する。
【0059】
RF増幅器は、一実施形態では、スイッチングクラスDプッシュプル回路である。従って、増幅器は、大きなRF電圧を生成して高組織インピーダンスに、並びに大きなRF電流を生成して低組織インピーダンスにすることができる。RF増幅器の出力レベルは、「パルス幅変調(PWM)」により制御される。この高圧PWM出力信号は、RF増幅器上のローパスフィルタにより正弦波に変えられる。フィルタの出力は、RF増幅器の凝固出力である。出力はまた、出力変圧器により電圧が段階的に増大され、結果として、RF増幅器の切断出力が発生する。一度に1つの出力部がPWM回路上の制御サーボに接続されて、一度に1つの出力部のみが使用に向けて選択される。
【0060】
RF増幅器には、PWM回路634が結合されている。一実施形態のPWM634は、RF増幅器の出力レベルを設定するために、ユーザインタフェースを通じてユーザにより入力される電圧及び電流の設定値を受け取る。ユーザ設定値は、PWMのデジタル/アナログ変換器により、作動レベルに変換される。ユーザ設定値は、PWMのデジタル/アナログ変換器により、作動レベルに変換される。一実施形態の設定値には、最大電圧出力、最大電流出力、最大電力出力、及び位相停止がある。PWM回路のサーボ回路は、3つの設定値に基づいてRF出力を制御する。サーボ回路は、この点を踏まえて電圧、電流、及び電源設定値を超えないようにRF増幅器の出力電圧を制御する。例えば、ESGの出力は、400ワットよりも小さいように制限されている。個々の電圧及び電流設定値は、組織インピーダンスに基づいて400ワットを超えるように設定することができる。しかし、電源サーボは、400ワット未満に電力出力を制限する。
【0061】
RF出力電圧及び電流は、フィードバック制御システムにより調節される。出力電圧及び電流は、設定値の値と比較され、出力電圧は、指令出力を維持するように調節される。RF出力は、400ワットに制限される。2つのツール接続は、RF出力及び制御信号を多重送信するために継電器635を使用することによってサポートされる。EMIラインフィルタ636は、RF絶縁変圧器及び結合コンデンサを用いてRF漏れ電流を制限する。
【0062】
RF増幅器の切断及び凝固出力電圧は、継電器回路635に接続される。一実施形態の継電器回路は、継電器マトリックスを含み、継電器マトリックスは、電気外科ユニットの3つの出力ポートのうちの1つにRF増幅器出力を導く。継電器マトリックスは、ツール電極の構成も選択する。RF出力は、常に、継電器接点と損傷を防止するために継電器がスイッチングされる前に電源が切断される。アイドル状態の出力ポートにRFを導く継電器の膠着を緩和するために、各出力ポートは、漏れ電流センサを有する。センサは、1つのツールポートを出て別のツールポートを通じて戻る電流のようなRF電流の不均衡を探す。電流センサは、継電器PCB上に位置し、検出器及びADCは、遠隔測定PCB上にある。CPUは、ADCの漏れ電流をモニタする。従って、欠陥が検出されると、RF電源を切断する警報条件をもたらす。
【0063】
継電器回路は、RF電源が投入される前に、ツールインピーダンスを測定するのに使用する低電圧ネットワーク分析器回路を含む。回路は、インピーダンス及び組織位相角を測定する。プロセッサ637は、インピーダンス測定値を使用してツールが短絡しているか否かを確かめる。ツールA又はB出力が短絡する場合、システムはユーザに警告して、RF電源に電源を入れないことになる。RF増幅器は、短絡から完全に保護されている。サーボ設定に依存して、システムは、通常は作動して短絡し、故障条件を引き起こすことはない。
【0064】
電圧及び電流のフィードバックは、低漏れ電流を保証するために絶縁変圧器を使用して行われる。制御プロセッサ637は、RF増幅器の電力出力を計算して電力設定値と比較し、電力設定値は、一実施形態ではユーザにより入力される。プロセッサは、電流と電圧の間の位相遅延又は差異もモニタする。更に、一実施形態では、プロセッサは、異なる位相設定と適合させ、異なる位相設定は、モニタされた位相差に対する組織タイプに依存する。プロセッサは、RFエネルギのあらゆる印加の前にこの点を踏まえて組織の位相シフトを測定する。以下でより詳細に説明するように、位相測定値は、固有に組織タイプを識別する組織通気率(tissue permeability)及び導電率に比例する。組織タイプが識別されると、その組織タイプの終点判断に関連する位相角を判断することができる。発生器は、一実施形態では、3つのRF出力ポート(ツールA、ツールB、及び一般的双極)を有する。ツールA及びBポート639はスマートなツールを接続するのに使用され、一方、一般的双極ポート640は標準的な電子外科ツールをサポートする。RF出力がアクティブであるか又は警報条件が存在した時に、可聴トーンが生成される。
【0065】
手動コントローラ及び足踏みコントローラも、漏れ電流を制限するために絶縁される。制御プロセッサは、RF出力部を有効にする前に有効な選択がないか入力を確認する。スイッチからの2つの制御入力が同時に作動させられる時、RF出力部の電源が切断され、警報が生成される。デジタル/アナログ変換器は、制御出力をアナログサーボ制御により使用可能な信号に変換するのに使用される。制御設定値は、出力電圧及び電流である。変換器は、アナログ位相角測定値を処理するのに使用される。コントローラからの電圧RMS、電流RMS、及び電源RMS情報は、ユーザに呈示のために使用可能な形にも変換される。デジタルI/Oバスインタフェース638は、ユーザ、コントローラ、及び手/足踏みスイッチ間のデジタル通信を提供する。絶縁回路は、電気外科発生器から漏れ経路の可能性を排除するのに使用される。データチャンネルプロトコルで、ユーザと発生器との間の通信も行う。
【0066】
一実施形態では、4つのツールインタフェース回路がユニット内にある。これらの回路は、システムの内側の幹線電源からユーザ入力スイッチを絶縁するのに使用される。4台のツールインタフェース回路は同一で、ユーザスイッチ入力、並びにツール暗号のためのメモリ及びスクリプトメモリを読み取る回路基板上のマイクロプロセッサを有する。スイッチ閉成抵抗は、閉成として読み取られる汚れたスイッチ接点を排除するためにADCで測定される。300オーム未満スイッチ閉成は有効であり、一方、1000オームを超えるあらゆる読取値は、開である。300オームと1000オームの間の読取値は、不完全な入力であると見なされる。
【0067】
4つのツールインタフェース回路は、RS485ネットワークを使用するプロセッサと通信する。各ツールインタフェース回路は、ユニット内でアドレス及び位置を選択するジャンパを有する。RS485接続は、漏れ電流通路のあらゆる可能性を排除するために絶縁される。1つのツールインタフェース回路は、ツールA及びBポートの各々に接続される。第3のツールインタフェース回路は、DC出力ポートに接続され、第4の回路は、後面パネル足踏みスイッチ入力部に接続される。プロセッサは、ネットワークマスターであり、4つの回路の各々は、ネットワークスレーブである。プロセッサは、各回路に入力がないかポーリングする。ツールインタフェース回路は、指令に応答することしかできない。それによってネットワークが確定的なものになり、あらゆる種類のデッドロックが防止される。各ツールインタフェース回路は、システムOK論理信号に接続される。システムエラーがツールインタフェース回路により検出された場合、この信号はアサートされる。プロセッサは、この信号をモニタして故障を表示する。この信号は、PWM回路とのハードウエアの接続を有し、アサートされた時にRF増幅器を無効にする。システムエラーは、同時に作動された2つの入力スイッチ又はプロセッサとの通信の損失とすることができる。ツールA及びBポート、並びにDCポートは、ツールがレセプタクルに接続した時を検出するマイクロスイッチを有する。このスイッチが押されるまで、ツールインタフェース回路前面パネル接続は、あらゆる漏れ電流が前面パネル接続から流れるのを防止するためにオフに構成される。スイッチが押されると、ツールインタフェースにより、プロセッサは、ツール暗号のためのメモリ及びスクリプトメモリへの読み書きを開始することができる。ツールが検出された状態で、接続したツールのタイプ及びステータスを示すウィンドウがユーザインタフェースディスプレイ内で開く。一般的な双極ポートは、あらゆる構成メモリを有していないレガシーツールをサポートする。組織測定回路は、双極接続接点をモニタするのに使用される。バイポーラのツールが接続した時、ツールキャパシタンスが検出され、プロセッサは、ユーザインタフェースディスプレイ上で双極ツールウィンドウを開いて双極ツールのステータスを示す。DCポートは、DC12ボルト電動カスタム外科ツールとインタフェース接続するのに使用される。ツールがこのポートに接続した時、接続したツールのタイプ及びステータスを示すウィンドウが、ユーザインタフェースディスプレイ内で開く。DCツールスクリプト指令がオンになった時、プロセッサは、絶縁された12ボルトツールの電源を投入する電源コントローラ絶縁回路643上の継電器を閉条件にする。
【0068】
電源コントローラ及び絶縁回路643は、2つの他の機能を有する。RF増幅器を駆動する100ボルトの電源を制御する。この電源は、PWM回路から制御される継電器により電源が投入される。プロセッサは、PWM回路を通じてこの電源のオンを指令する。PWM回路がリセットされるか又は故障条件を検出した場合、継電器は、作動せず、100ボルト電源はオフのままになる。また、電源コントローラ及び絶縁回路上に位置するのは、絶縁の余分の層を追加するRS485絶縁回路である。
【0069】
前面パネルインタフェース回路構成641は、プロセッサに前面パネル制御スイッチ及びLCDディスプレイを接続するのに使用される。前面パネルインタフェース回路は、マイクロプロセッサも含み、マイクロプロセッサは、絶縁された予備電源により電力供給され、絶縁された予備電源は、主電源スイッチがオンの時はいつでもオンである。前面パネル電源スイッチを押した時、マイクロプロセッサは、電源コントローラ及び絶縁回路上の継電器を使用して主論理電源の電源を投入する。電源をオフにするためにボタンを押した時、マイクロプロセッサは、プロセッサに電源オフ要求を信号送信する。プロセッサが、電源をオフにするように待機する時、それは、電源をオフにするようにマイクロプロセッサに信号送信する。電源コントローラ継電器は、その後開成され、主電源がオフになる。
【0070】
一実施形態では、発生器は、単一のスイッチ入力指令のみを受諾する。RFがアクティブではない、例えば、RFエネルギは印加されていない状態では、足踏みスイッチ、ツール、又は足踏みスイッチ及びツールの組合せからの複数のスイッチ閉成は、無視される。RFがアクティブである状態で、二重閉成は、警報を引き起こすものとし、RFは、終了されるものとする。足踏みスイッチは、一実施形態では、RFエネルギの印加の作動を行う一時的スイッチを含む。スイッチは、例えば作動時に凝固に向けて、切断に向けて、及び/又は順序付けられた凝固又は切断に向けてRFエネルギの作動を開始する。足ペダル上の2位置押しボタンは、切り換わって異なるツール間のスイッチングを可能にする。アクティブなポートは、発生器のディスプレイ及び手ツール上のLED上で表示される。
【0071】
一実施形態では、全てのRF作動は、「RFオン・トーン」をもたらす。作動トーン音量は、後面パネル音量操作ノブで4OdBA(最小)と65dB(最大)との間で調節可能である。しかし、音量調節は、警報の音声音量に影響を与えない。また、一実施形態では、ユニバーサル入力電源は、発生器に結合され、スイッチ又は設定を使用せずに入力電圧及び周波数範囲にわたって作動する。プログラミングポートは、一実施形態では、発生器にコードをダウンロードするのに使用され、かつ作動データをアップロードするのに使用される。
【0072】
発生器は、一実施形態では、3アンペアでDC12Vを有する出力電力を供給する。DC電力を使用するこのようなツールの例は、吸入/注水ポンプ、ステープラ、及び分割器(例えば腫瘍等を小さい部分に分割し除去するツール)であるがこれらに限定されない。DCコネクタは、分かり易い一方向接続を有する。他のツールレセプタクルと同様に、非無菌電子チップモジュールは、一回の一方向ロッキング機構により、適切なDC電動手持ツールのコネクタに挿入される。コネクタ及びチップモジュール上のツール特異の彫刻模様により、チップモジュールがチップモジュールのプログラム先であるツールのタイプにのみ適合することが保証される。チップコネクタは、ツール認識及びツール利用に関するデータ記憶を可能にする。DCコネクタは、不正挿入を防止するようにも構成される。発生器は、付属のDC電動ツールを認識するようにも構成される。発生器は、ツールコネクタから構成データを読取り、ツール認識及びツール利用データの記憶が可能である。
【0073】
一実施形態では、コントローラは、ツールがコントローラに取り付けられる時にツールを認識する。認識するツールに基づいて、発生器は、ツールにより必要に応じて適切にRFエネルギを印加するようにコントローラを構成するのに利用される設定パラメータにアクセスして特殊な作動を開始する。例えば、設定されるパラメータには、出力電圧の自動事前設定、特定の出力ピン(ツールに接続)の作動、又はフィードバックサイクルの判断があるがこれらに限定されない。
【0074】
一実施形態では、コントローラは、接続したツールに制御信号及び/又は電力を供給し、LED及び/又は特徴的な音声トーンを通じて制御信号及び/又は電力がアクティブである時を表示する。コントローラはまた、いつ及び/又はどの特定のツールがアクティブであるかを表示するように配置される。コントローラはまた、ツール有効寿命のある一定の満了又は初回のツール作動後の特定の期間の後にツールが再利用されることを防止する。
【0075】
一実施形態では、位相測定値は、2つの正弦波信号間の相対測定値である。一方の信号は、基準として使用され、位相シフトは、その基準に対して測定される。信号が時変なので、測定は、瞬時に行うことができない。信号は、差異を判断することができるように十分に長くモニタすべきである。一般的に、2つの既知の点(ゼロを通って交差する正弦波)間の時間差が、位相角を判断するために測定される。位相コントローラの場合、デバイスは、正確な水晶制御時計で出力正弦波を作る。その正確な水晶制御時計は、アナログデジタル変換器で入力サンプルを読み取るために使用される。このようにして、位相コントローラの出力は、正確に位相コントローラの入力と同調している。一実施形態では、位相コントローラは、入力正弦波信号を基準正弦波と比較して位相シフト量を判断する。
【0076】
位相コントローラは、「離散フーリエ変換(DFT)」として公知である数学的な処理を用いてこの比較を行う。この特定の事例では、入力信号の1024個のサンプルは、正弦機能及び余弦関数で点毎に相関される。慣例により、余弦部を実部と呼び、正弦部を虚部と呼ぶ。入力信号に位相シフトがない場合、DFTの結果は、100%実部である。入力信号が90°の位相シフトを有する場合、DFTの結果は、100%虚部のものである。DFTの結果が実部と虚部の両方の成分を有する場合、位相角は、虚部と実部の値の比の逆正接として計算することができる。
【0077】
位相角計算が実数と虚数の単位とは独立していることを認めるべきである。その比のみが重要である。位相コントローラの位相結果は、利得からも独立しており、インピーダンスの計算は、位相角を計算する処理において行われない。DFTを実行することにより、位相コントローラは、1対の数として位相測定値を符号化する。
【0078】
ユーザは、グラフィックパネルディスプレイ及び関連のスイッチ641を通じて電気外科ユニットと対話する。前面パネルスイッチは、グラフィックパネルディスプレイ上に生成されたLCDディスプレイメニューでの対話を可能にする。メニューは、言語選択及びツール設定値の修正を可能にするものである。一実施形態では、ツールがプラグに差し込まれてユニットにより検出された時に限り、パラメータは、そのツールに対して変更することができる。
【0079】
上述の電気外科ユニットは、電気外科ツールがユニットに接続される1つ又はそれよりも多くのレセプタクルを含む。この接続を通じて、ツール及びユニットは、互いに通信する。ツールを接続することも、ツール情報及び電流の強さを示すためにコントローラにシステムのディスプレイを更新させる。
【0080】
ディスプレイ又はユーザインタフェース641の例を
図6に示している。ユーザインタフェースは、各接続したツールのツールステータスのようなツール情報を提供し、ユーザインタフェースにより、ユーザは、設定値、例えば、RFエネルギの印加又は強度を修正することができる。一実施形態では、ユーザインタフェースは、各接続したツールの機能に関してツール設定も示す。図示の実施形態では、3つのツールは、発生器に接続されている。従って、吸入/注入ポンプディスプレイ621、Kii融合ツールディスプレイ622、及びへら(spatula)ツールディスプレイ623が示されている。吸入/注入ポンプがオン/オフ設定624を有する各ツールに利用可能な関連の操作又はアクションが行われる。Kii融合ツールは、切断625、凝固626、及び融合627に関する相対的な電力設定を有し、へらツールは、切断628及び凝固629に関する相対的な電力設定を有する。
【0081】
一実施形態では、ユーザインタフェースにより、ナビゲーションボタン632から単一のボタンを押すことによる選択したツール(強調表示された縁631により表示)に関する全ての設定の同時変更が可能である。例えば、
図7に示すように、「アップ」ボタン633を押すことにより、接続したKii融合ツールに対して切断、凝固、及び融合の相対電力設定が同時に変更されることになる。更に、
図8に示すように、設定は、サブメニューにナビゲートすることによって個々に変更することができる。図示の例では、Kii融合ツールの凝固レベルは、切断及び/又は融合の相対的な電力設定を変更することなく変更される。デフォルトボタン634を選択することにより、選択したツールの全てのツール機能の設定は、デフォルト設定に戻る。また、文脈から当然のように、関連のボタン操作及び対応するラベルは、
図7内のメニューボタンであるボタン635及び
図8内のバックボタンに示すように変わる可能性がある。
【0082】
本発明の様々な態様によるコントローラを示すブロック図を
図9に示している。図示のように、発生器の出力は、組織に印加された電圧及び電流の間の位相シフトを測定するために駆動信号及び回路の周波数を判断する回路内に供給される。発生器により印加された電圧は、出力電圧の振幅を低減するバッファ/レベルシフト器541を通じて送られる。信号は、周波数測定542を通じて発生器出力の周波数を供給するよう処理され、マイクロコントローラ543内に供給される。駆動信号の周波数は、位相シフトに直接に影響を与えることができる。同様に、発生器出力は、高周波数ノイズを低減する信号処理回路544を通じて送られ、次に、電圧及び電流調節545a−bを通じて調整され、印加電圧及び電流を表す信号を供給するために多極ローパスフィルタ546a−bによりフィルタリングされる。電圧及び電流を表す両方の信号は、位相比較器547を使用して位相シフトに関して測定される。位相比較器の出力は、マイクロコントローラ543内に供給される。最終位相シフトに到達するように判断することができる使用する電気外科ユニットの周波数により、マイクロコントローラは、位相比較器の出力を発生器の駆動周波数により判断されたトリガレベルと比較する。このようなトリガレベルに達成し、すなわち、組織融合又は溶着が完了した時に、マイクロコントローラ543により、組織が発生器から切り離され、マイクロコントローラ543は、音響インジケータ又は視覚インジケータ548(ブザー、ディスプレイ、ライトなど)によりその状態を示す。その条件がマイクロコントローラ543に供給される過大電圧を検出するために発生器出力が供給される過電圧検出器549も設けられる。
【0083】
図10は、融合処理の終点を判断するために電圧と電流の間の位相シフトを利用する電気外科ユニットの様々な実施形態によるコントローラのブロック図を示している。マイクロコントローラ553は、5MHzで低圧方形波信号551を送出する。低圧方形波信号551は、5MHzで4極ローパスフィルタ550により低圧正弦波信号552に変換される。低圧5MHzの信号は、発生器の出力に重畳され、この出力は、一般的に300〜500kHzの周波数で100〜200Vの範囲である。一例として、500kHzでの200V駆動電圧及び5MHzでの5V測定電圧の重畳回線電圧信号を
図11に示している。
【0084】
組合せ電圧は、次に、組織に印加され、ちょうど前の例の場合と同様に、処理のためにバッファ/レベルシフト器回路を通じて調整される。同様に、組織を通る電流が測定され、同じく処理のために調整される。ESUからの300〜500kHzでの高電圧(及び高電流)、並びに5MHzでの低電圧(弱電流)信号を含む処理済み電圧(及び電流)信号は、5MHzを中心とする多極帯域通過フィルタを通して送られる。フィルタは、信号をESUと区別して、5MHzでの2つの信号のみが位相比較器内の位相シフトを測定するために残る。融合処理の終了の近くの時点の5MHzの電圧及び電流の両方に関するフィルタリング後の信号を
図12に示している。
【0085】
測定された位相シフトは、マイクロコントローラ内に供給され、マイクロコントローラは、読取値を5MHzの周波数での融合処理の完了を示す所定のレベルと比較する。また、このようなトリガレベルに達成し、すなわち、組織融合又は溶着が完了した時に、マイクロコントローラ553により、組織が発生器から切り離され、マイクロコントローラ553は、音響インジケータ又は視覚インジケータ548(ブザー、ディスプレイ、ライトなど)によりその状態を示す。
【0086】
図13は、コントローラの一態様の概略ブロック図を示している。図示のように、マイクロプロセッサ561は、発生器の出力と内部測定回路の間で組織のスイッチングのタイミングを計る。従って、組織は、低電圧及び低電流測定信号の位相シフトを測定することによって融合処理のステータスに関して定期的に評価される。得られた位相シフトの値に基づいて、組織は、更に、融合に向けて発生器の高圧出力へスイッチングされるか、又は発生器から永久的に切り離される。従って、内部回路は、500kHzで低圧正弦波563に変換される低圧方形波信号562を500kHzで発生させるマイクロプロセッサ561を含む。この信号は、組織に印加され、正規の測定間隔中に発生器から電気的に切り離された時に限り位相比較器564により分析される。
【0087】
一実施形態では、位相シフトは、直接に駆動信号、すなわち、組織に電気外科発生器によって供給される電圧及び電流から導出される。一実施形態では、電気回路は、非常に異なる周波数で測定信号を重畳することにより、1つの(正弦波)周波数を有する駆動電圧を修正する。従って、融合処理の電気エネルギは、測定のために第2の周波数で第2信号として同時に印加しながら1つの周波数で供給される。測定回路内の帯域通過フィルタを使用することによる2つの異なる信号の分離により、電気外科融合又は溶着処理中に位相シフトの連続測定が可能である。一実施形態では、コントローラは、低圧測定信号を印加することによって融合又は溶着処理のステータスを評価するために、定期的に電気外科エネルギの供給を中断する。測定サイクル中に得られる位相シフトに基づいて、コントローラは、組織へ発生器から駆動信号をスイッチングするか、又は組織を絶縁する。一実施形態では、コントローラは、発生器から組織へのRFエネルギの供給を終了させることにより、位相シフトの所定のレベルで組織融合又は溶着処理を中断する。
【0088】
図14は、生物組織の融合又は溶着の制御のための本発明の態様によるコントローラ又は制御ユニットを示している。図示のように、制御ユニットは、血管又は組織を圧迫するように配置されているツール508に発生器507の双極電源出力を接続している。ツールは、融合処理を作動させるスイッチ509も収容する。発生器が手動作動に向けて入力部を装備している場合(足ペダル511又は他の仲介デバイスを使用するのではなく)、制御ユニットから発生器までの第3の接続512は、同じ手動スイッチによる発生器の作動を可能にするものである。
【0089】
コントローラは、一実施形態では、発生器の直接出力部と内部測定回路、例えば、スイッチ515間の組織のスイッチングを制御するプロセッサ513を含む。コントローラは、内部のバッテリ電力モジュール514で電源が供給される。タイミングが計られたスイッチングにより、組織のステータスを定期的に測定しながら、組織は、間隔を置いて融合される。従って、測定信号は、マイクロプロセッサ513から500kHz方形波で供給される時に信号発生器518によって生成される500kHz正弦波低電圧信号である。低圧正弦波測定信号が組織に印加された時、位相比較器516は、測定電圧の印加により引き起こされた印加測定電圧と電流の間の位相シフトを測定する。プロセッサにより分析されるか又は処理される結果に基づいて、組織は、発生器にスイッチングされるか、又はLED/ブザー517を通じた音響表示及び/又は視覚表示を伴って発生器から切り離される。
【0090】
図15は、位相シフトを測定するのに使用される低圧正弦波信号を発生する外部測定回路の一実施形態を示している。この信号は、4極低域アクティブフィルタ531に500kHz方形波を通すことによって生成される。4極ローパスフィルタは、高調波成分を除去して正弦波基本周波数を通過させる。500kHzの方形波は、マイクロコントローラ524内のPWM周辺機器522を通じて生成される。
【0091】
図16は、発生器から駆動信号と測定信号、例えば、500kHz5ボルトピーク間正弦波基準信号との間でスイッチングされるように構成されたスイッチ515を示している。スイッチングを実行する固体スイッチの使用により長い運転寿命及び固有の電流サージ制御が得られるが、双極凝固モードで一般的な発生器によって生成された比較的高い電圧(AC−200V)及び高周波数(−500kHz)信号を阻止することは困難である可能性がある。従って、2つの二極双投形機械式継電器527、528が使用される。第1の継電器527は、発生器と基準信号間でスイッチングされる。第2の継電器528は、電流サージを制限し、これは、継電器を損傷して低圧回路を中断させる可能性がある電磁干渉(EMI)パルスを発生させることがある。更に、これは、組織を電気アークにより引き起こされる合併症又は問題から保護する。殆どの発生器が一定電力デバイスであるので、最高電圧が無負荷条件中に発生する。直列抵抗器を通じた発生器内の最初のスイッチングにより、発生器の出力電圧は、抵抗器にわたって共有され、組織に与えられる電圧が制限される。更に、この抵抗器は、エネルギ制限器として機能し、発生器の全出力が印加される前に、高い導電チャンネルが融合する組織内で有効になる。
【0092】
一実施形態では、スイッチングは、以下の順序で行われる。低電圧測定又は基準信号から発生器にスイッチングされる時、第1の継電器528は、基準の両端を切り換えて消し、直接に1つの発生器リード線で及び100オームの抵抗器を通じた1つのリード線に切り換えて入れる。100オーム抵抗器は、200ボルトの電源に対しては、2アンペアにサージ電流を制限する。出力部の短絡が発生した場合、400ワットは3ワット抵抗器内で消費され、3ワット抵抗器は、迅速に燃え尽きる。しかし、第1の継電器528が発生器内で切り換わった約50ミリ秒後に、第2の継電器527は、100オーム抵抗器を消して、100オームの抵抗器は、燃え尽きないようにされ、かつ発生器の全出力を組織に送出することができる。デバイスが他の方法でスイッチングされる時(ESUから基準信号に)、デバイスは、最初に100オーム抵抗器内で切り換わって電流を低減し、次に、完全に発生器を消す。この順序により、誘導的な激しい反応及びEMI生成が低減される。
【0093】
一実施形態の継電器527、528は、ラッチングタイプである。殆どの機械式継電器は、非デフォルト状態で有意な量の電力を引き出す(電流は、戻りバネの力に対抗するのに必要とされる)。コントローラは、限られた電力容量のバッテリが装備されているので、2つのラッチングタイプ継電器が使用される。これらの継電器は、電流を使用して2つの安定状態の間に移行するだけであり、作動時の電力レベルが遙かに低くなる。
【0094】
2つの上述正弦波との間の位相シフトを測定する位相検出回路530を
図17に示している。回路の第1の部分は、基準電圧と同じDC値に正弦波をレベルシフトする。レベルシフト後の信号は、次に、比較器531の負の入力部に送られる。正の入力部は、DC基準電圧に直接に接続されている。スイッチングノイズを低減するために少量のヒステリシスが使用される。比較器の出力は、入力正弦波と同じ位相を有する方形波である。これらの2つの信号は、排他的論理和ゲート532に送られる。ゲートの出力は、2つの入力の一方が高い時に高く、低い時には低い。出力の負荷サイクルは、従って、2つの入力方形波の位相に線形に関連する。負荷サイクルはローパスフィルタを通じてDC電圧に変換され、DC電圧は、マイクロコントローラのアナログデジタル変換器周辺機器により測定される。
【0095】
図18は、2つの低機能コインセルにより制御回路に電力供給しているバッテリ電源回路を示している。バッテリは、5時間の時間間隔にわたって500融合サイクルの寿命を有する。特定の数のシール、又は特定の時間制限は到達した時、コントローラは、警告を出して作動を中止する。コントローラは、使用される特定のバッテリの電力特性を中心とした電源要求を管理する。コントローラは、バッテリの電力容量を超える場合がある特異の作動が同時に発生するのを防止し、融合サイクル間の回路の選択した部分の電源消費量を低減し、及び融合サイクルの間に4MHzから32kHzにマイクロコントローラ発振器を減速する管理制御を含む。
【0096】
図19は、ツールに接続するように構成された入力ポート534を示している。ツール上のスイッチの係合で、コントローラは、組織に関する初期測定(短絡など)を提供し、初期測定に基づいて、発生器を作動させて、コントローラにより渡されてかつ制御される電気外科電力供給する。
【0097】
多くの発生器が足踏みペダルでもっぱら作動させることができるので(ただし、又は外科医の好みにもよる)、コントローラは、このような状況に対応する。例えば、発生器を足踏みスイッチで作動させ、一方、ツール上の手動スイッチによるその後の作動が行われる場合、コントローラは、発生器の出力の投入を可能にする。
【0098】
上述の制御回路を使用する結果を
図20を示すが、
図20は、生物組織に印加された実効電圧を時間の関数として示している。ブタ腎動脈のこの特定の例に示すように、組織は、約300msの5つの測定サイクルにより中断される、約850msの時間持続時間の6つの高電圧融合間隔に露出されている。
【0099】
一実施形態では、融合処理は、ツール上のスイッチを押すことで始まり、それによって初期測定シーケンスが開始される。この時点は、始動(電源投入)535と記載されている。実施形態のツールは、2つの電極間の抵抗を検査、及び位相シフトが許容範囲であるか否か調べる。位相シフトを確認することにより、融合された組織を再度融合しようとすることが防止される。初期検査の結果に基づいて、コントローラは、発生器の出力を組織に投入する。それによって圧迫組織へのRFエネルギの印加が開始される。約850msの後、コントローラは発生器から組織を切り離して第1の組織評価位相へスイッチングされる。結果に基づいて、組織は、更に加熱されるか又は測定回路上に残るように発生器から切り離されたままである。後者の事例は、「電源停止(スイッチオン)」536と記載されている。この場合、組織が密封されている(又は、その電極の短絡が発生した)ことを示す音響及び/又は視覚信号が装置から発せられる。組織への測定信号の供給は、ツール上のスイッチが解除された時に終了になり、これは、「手動停止(スイッチオフ)」537と記載されている。この時点で、組織へのエネルギの全ての供給が終了になる。
【0100】
測定サイクル538のより詳細な分析は、
図21及び
図22に示しており、
図21及び
図22は、更に別の測定(位相シフト以外の)をその測定期間内に含めることができることを示している。このような測定は、例えば、融合された組織を融合しようとすること、又は電気的に短絡している電極への電源の供給を防止することができる。
【0101】
図22では、
図21の2Vの測定安定期539のより詳細な分析を示す。図示のように、RF測定サイクル中に組織を通じて位相シフトを判断するのに使用される500kHzの低電圧測定信号540の詳細図を示す。
【0102】
電気外科システム及び処理
様々な実施形態における電気外科システム及び処理は、手術中に患者に単極又は双極高周波電気エネルギを印加する。このようなシステム及び処理は、特に、空間的に限定されたアクセス及び呼出し及び可視性のために簡単な取り扱いを必要とする腹腔鏡検査で内視鏡手術に適合され、血管を融合して他の生物組織を結合するために、一態様では、組織/血管を切断、切開、及び分離するのに使用される。ある一定の実施形態では、システム及び処理は、(a)組織を乾燥させ、かつ(b)殆どの生物組織内に豊富にあるコラーゲン(タイプI−III)及び他のタンパク質を変性するために機械的に圧迫された組織へのRFエネルギの印加を含む。適切な温度へのコラーゲンの加熱によりコラーゲンが拡張するか、収縮するか、又は変性するので、システムは、血管の永久的な閉塞に向けて手術中の毛細管及び血管の密封を可能にする。以下でより詳細に説明するように、一例として、最大7ミリメートルまでの動脈は、高周波(RF)エネルギ及び機械的圧力により閉塞させ、かつ切開することができる。
【0103】
制御された高周波電気エネルギを圧迫組織に同時に印加した時、組織は、比較的高い圧力(約10〜20kg/cm
2)で圧迫され、組織は、タンパク質を変性させて、組織内の十分な水を除去するために十分な電気エネルギが供給される。この処理中、印加電圧は、電気アーク(一般的に<200VRMS)を回避するために十分に低減される。
【0104】
上述の方法で電気エネルギを印加した時、組織は、迅速に以下の融合/結合処理を経る。体温で始まって、組織は、(a)迅速に加熱され、結果として(b)細胞バースト、体液(主として水及び塩イオン)の放出、(c)約60−650℃での血管内のコラーゲン及びエラスチンの分解及び「活性化」、及び(d)血管の乾燥が発生する。ここでは、乾燥処理は、血管温度が約1000℃に到達した場合の蒸気の形態での水の放出により見出される。分解されたコラーゲン鎖及びエラスチン鎖の存在する時の水の減少は、コラーゲン鎖間の接合の形成に至り、結果として、組織の強力な弾性シールになる。測定値により確認されるように、血管が少なくとも70℃に加熱され、約10〜20kg/cm
2で加圧されて、次に、初期の含水率の約40〜50%分乾燥した時、最も強力な(最高のバースト圧力による)血管融合が得られる。
【0105】
電気的に、組織は、インピーダンスにより融合処理中に特徴付けることができ、このインピーダンスは、一般的に10〜100オームの純粋のオームの抵抗で始まる。融合処理中に、純粋のオーム抵抗は、増加分が2桁になる前に20〜50%低減する。抵抗器が最終値に接近する時に、組織のインピーダンスは、約20度の位相シフトで容量挙動において徐々に増加する。組織は、たとえオームの成分がこの位相中にほぼ不変のままであるとしても、約40度の位相シフトによる融合処理の終わりに顕著な容量挙動を示す。
【0106】
図23をここで参照すると、電気外科システムの様々な実施形態により直径4ミリメートルのブタ腎動脈の密封に関する実験データを例証するグラフが示されている。融合処理は、3ポンドの圧迫荷重で幅0.75ミリメートルの電極で動脈を圧迫することにより、及び60W最大電力設定で200Vを使用する電圧安定電気外科電源で動脈に通電することによって実行される。融合処理(1秒)の開始における電圧501、電流502及び電力503が示されている。図示のように、例えば、正弦波電圧及び電流は実質的に同相であり、すなわち、位相差又は角度は、0に等しい。この時点で、動脈のインピーダンスは、約100オームの値を有する純粋にオーム性である。
【0107】
同じ大きさの動脈に関する印加ピーク電圧及びピーク電流の時間的の経過を
図24に示している。印加電圧は一定の値に迅速に安定し、これは、電圧安定電源のアーチファクトである。運用荷重に関係なく、電圧安定電気外科電源は、電圧が電気外科効果に対して強大な影響力を有することから設定値に出力電圧を調節する。電圧と対照的に、動脈を通じて駆動される電流は、初期1Aから0.5sで1.5Aまで増加し、次に、次の3秒にわたって徐々に約0.2Aに低減する。融合時間の残りの4秒間は、電流のピーク値は、ほぼ不変のままである。
【0108】
図24からの情報を示す別の方法を
図25に示しており、
図25は、動脈のインピーダンス506を融合時間の関数として示している。採取された動脈の初期インピーダンスは、75オームである。高周波数電気エネルギの印加で、動脈は、迅速に加熱され、従って、コラーゲン収縮、細胞膜バースト、及び捕捉された液体(主として水及びイオン)の最後的な放出が発生する。従って、インピーダンスは、約54オームに低減している。電気エネルギの更に別の供給は、動脈乾燥を開始し、従って、インピーダンス増加になる。融合処理となって約4秒で、動脈のインピーダンスは、約800オームから約1,200オームへのインピーダンスへの緩やかな増加を伴って安定し始める。
【0109】
融合処理は、(a)組織のサイズ及びタイプが無視される一定の絶対抵抗(例えば2kohm)、(b)オーム抵抗が最小である時間の特定の倍数、(c)オーム抵抗が初期のものと同じである時間の特定の倍数、又は(d)オーム抵抗が最小のもののある倍数(factor)である時間の特定の倍数で終了させることができる。しかし、融合された動脈のバースト圧力及び熱の広がりを考慮して、融合処理の終了は、インピーダンス曲線の平坦になった部分におけるものであると判断される。しかし、
図25で分るように、この領域は、インピーダンス測定としては不正確な適用範囲でもある。同様に、各々の一連の(a)〜(d)は、融合時間(結果として望ましい最少の熱の広がりで望ましい最高バースト圧力になる)の終点を判断する際にはより良くなる。終了基準としてのみオーム抵抗を利用して、不完全な結果になる可能性がある。これは、大きさが異なる組織を融合する時(同じ性質のものでさえ)、より顕著である可能性があり、これも、
図26で例証しており、
図26は、様々な大きさの動脈及び他の組織の相対抵抗(初抵抗に対する)を融合時間の関数として示している。
【0110】
同じ材料の組織(すなわち、動脈)の融合処理の終了は、1つの相対的なオームの負荷部を指定することによって(例えば、抵抗が初抵抗の3倍に到達した時)望ましい精度で制御することはできない。代替的に、抵抗内の相対的な変化は、血管のサイズに依存し、すなわち、<2mmの動脈は、1秒の何分の1かで密封し(初抵抗と比較して抵抗が約2倍になる場合)、約3mmの動脈が約2秒で密封し(抵抗が約3倍になる場合)、15mm動脈/静脈は、約7秒で密封する(抵抗が5倍に増加した場合)。同時に、一部の動脈は、その特徴付けに従わない場合がある(例えば、3〜4mmの動脈は、初抵抗の2.5倍を上回らない)ことができない。代替的に、融合処理は、
図25内の平坦な領域内で終了するはずである。上述のように、精度は、異なる融合時間の時間の関数に関して平坦な領域内では困難である。
【0111】
位相ベースのモニタリング
一態様では、融合処理の終点の判断は、融合処理中に電圧及び電流の位相シフトをモニタすることによって行われる。インピーダンスとは異なり、位相シフトは、動脈が乾燥して融合が完了する時の方が変化が顕著になり、それゆえに、インピーダンスより影響を受けやすい制御値になる。これは、融合処理の開始に対して
図23に示すように、電圧及び電流を異なる融合時間の時間の関数としてモニタする時に見出される。
【0112】
図23では、融合の開始により、印加電圧及び電流が同調している(約−3°のシフトで)ことが見出され、これは、動脈が、支配的に約75オームのオーム負荷のように振舞うことを示している。エネルギの更に別の供給により、動脈の加熱、インピーダンスの初期減少(コラーゲンの収縮、細胞膜バースト、及び主として水及び融合イオンの放出により引き起こされる)、及びインピーダンスのその後の増加が発生する。血管融合のこの期間中、電圧と電流の間の位相差は最小の変化で小さいままであり、これは、動脈が純粋にオーム性であることを示している。
【0113】
動脈は、完全には乾燥状態ではなく、従って、密封は完全ではない。
図27を参照すると、融合処理になって4秒で、位相差は、−10°(電流リード)までゆっくり増加する。電気エネルギの更に別の供給は抵抗の値を大幅に変更するものではない(
図24を参照されたい)が、電圧と電流の間の位相差内の顕著な増加を引き起こす。これは、融合処理になって7秒の位置で
図28で見出され、これは、約25°の位相差を示している。血管融合処理は続き、位相差又は角度が
図29に示すように約35〜40°に到達した時に最少の望ましい熱の広がりで望ましいバースト圧力が得られる。また、図示のように、位相角は、約20〜40°に到達する。同様に、結果として他の組織の溶着になるのに必要な位相差又は角度は、肺組織に対しては約45〜50°、小腸に対しては60〜65°に到達する。しかし、組織の全てのタイプに対して、位相範囲の最高値に到達すると、密封時間の長すぎになる可能性がある。従って、以下でより詳細に説明するように、電気外科発生器を通じた位相シフト、すなわち、測定信号の測定又はモニタリングと共に電気外科制御ユニットを通じたRFエネルギ、すなわち、駆動装置信号の印加が、電気外科システムの様々な実施形態により血管及び組織を融合又は溶着するために行われる。
【0114】
電気的に組織を特徴付ける時、インピーダンスの代わりに電圧と電流の間に位相差を融合又は溶着処理内の制御値として使用することを更に示すことができる。血管及び組織を位相差が取得することができる並列の時間に依存するオーム性抵抗器R及びコンデンサCであると考えた時(その両方は、組織サイズ及びタイプに依存する)、以下のようになる。
【0116】
ここで、Rはオーム抵抗、ρは比抵抗、Aは面積、dは融合された組織の厚みであり、更に、以下のようになる。
【0118】
ここで、Xcは容量インピーダンス、ωは周波数、Cは組織の容量であり、更に、以下のようになる。
【0120】
ここで、ε及びε
0は、相対誘電率及び絶対誘電率である。そこで、位相差φは、以下のように表すことができる。
【0122】
従って、(オーム性の)抵抗Rとは対照的に位相差φをモニタする違いは、φは、印加された周波数Ω及び材料特性(すなわち、誘電率ε及び導電率ρ)だけに依存し、組織寸法(すなわち、圧迫組織A面積及び組織厚みd)に依存しないということである。さらに、組織抵抗の変化より、位相差の変化の方が、融合処理終了時には遙かに大きく、より簡単かつより正確な測定が可能である。
【0123】
更に、特定の周波数での組織の初期誘電体特性(誘電率ε及び導電率ρ)の測定で、組織のタイプを判断することができる。誘電率ε及び導電率ρの積の値を増大させることによって準備された様々なタイプの生物組織の誘電体特性を350kHzの周波数(一般的な電気外科発生器の周波数範囲にある)で
図30に示している。実際の組織融合又は溶着処理の前の組織の誘電率εと導電率ρの積の測定により(これは、原料特性であり組織寸法から独立している)、適切に特定の生物組織を融合又は密封するのに必要とされる位相シフトを、
図30から判断することができる。確実にそれぞれのタイプの組織を融合又は密封するのに必要とされる位相シフトは、組織の誘電率εの積及び導電率ρの関数(350kHzにおける)として測定される。
図31及び
図32は、更にこの機能を強調しており、
図31では、終点判断は、初期位相読取値の関数として示し、
図32では、終点判断は、組織特性(導電率×相対誘電率)の関数として示している。組織特性の関数は、φ終了=38+29[1−exp(-0.0091ρε)]として表すことができる。
【0124】
従って、(a)組織の誘電体特性の測定、及び(b)位相差の制御及びフィードバックは、組織サイズに関係なく、様々な組織タイプに対して正確な制御及びフィードバック機構を可能にし、かつ標準電気外科電源(周波数の非常に狭い範囲において個々に稼動する)を使用することを可能にするものである。しかし、行われた組織特性測定のその特性周波数は、位相の特性周波数と同じか又は異なるとすることができることに注意すべきである。しかし、組織測定が発生器の駆動周波数に基づいて、かつ様々な発生器が使用される場合(その全ては、周波数の狭い範囲で稼動)、終点は、異なるものになる。それゆえに、このような事例に対して、(1)外部測定信号(同じ周波数である)を使用すること、又は(b)独立型発生器を利用する望ましいとすることができる。
【0125】
従って、コントローラは、組織融合又は溶着処理モニタ及び制御するために誘電率及び導電率の積、並びに印加電圧と電流の間の位相差を判断するように構成される。特に、コントローラの制御及びフィードバック回路は、いつ位相差が誘電体及び導電率測定の結果により判断された位相シフト値に到達するかを判断する。この閾値に到達した時、融合又は溶着処理は、終了になる。例えば、視覚又は可聴のインジケータは、終了を知らせるために設けられ、一態様では、コントローラは、電極を通じた電気エネルギの更に別の送出を制限する(完全に、ほぼ完全に、又は所定の最小値に)。従って、組織の密封、結合、又は接続を発生させるツールは、接続中の組織に対する非外傷性設定になり、かつ組織で十分なバースト圧力、引張強度、又は引張強度をもたらす。
【0126】
接続ツールの容量性負荷補償
一実施形態では、ツールキャパシタンス及びツール抵抗の測定及び説明は、一貫した初期組織評価(導電率及び誘電率)に向けて行われ、それによって処理(すなわち、凝固、融合又は溶着)の組織特異的終点が得られる。本発明の別の態様では、ツールキャパシタンス及びツール抵抗の測定及び説明は、一貫した組織フィードバック測定(位相シフト)に向けて行われ、それによって一貫した組織変容結果(すなわち、凝固、融合又は溶着)が保証される。
【0127】
図33は、2つの電気外科ツールの状態図を示している。図示のように、両方のツールは、抵抗性又はオーム性負荷部(主として発生器に手持ツールを接続するワイヤハーネス1500、並びに手持ツール内の接続に由来する)、並びに容量性負荷(主としてツール顎、並びに発生器に手持ツールを接続するワイヤハーネス1500に由来する)として電気的に表される。状態図では、ツールは、位相角により特徴付けることができる。
【0128】
ツールの一般的な構成内に見られるオーム性及び容量性インピーダンスの値は、オーム性負荷部に対しては1〜10オーム、容量抵抗(数百kHzで数十〜数百pFキャパシタンス)に対しては1〜100キロオームの範囲にある。2つの等しいツールであっても、ツール特性(電気ワイヤ接続、ハーネス長など)の変動は、同じツールに対して異なる位相角α及びα’になる可能性がある。以下に示すように、これらの変動は、組織評価前及び組織評価中に使用される異なる組織測定値になる可能性がある。
【0129】
図34に示すように、組織と接触している電気外科ツールの状態図は、組織のオーム性及び容量性の成分(実線矢印)を増して、電気外科発生器に対する全負荷(破線矢印)を示す、ツールの抵抗性及び容量性の成分(ドット矢印)から成る。電圧及び電流の位相シフトに依存する組織測定技術に対して、ツールの存在は、見掛けの位相による対象とする組織測定値の結果を大幅を変えるものである。
【0130】
この関連では、電力供給の前の組織測定(融合/結合の終点を判断するため)又は電力供給中に組織測定(融合/結合の終点を判断するため)が同一ツール(すなわち、ツールインピーダンス)で形成される場合、ツール(インピーダンス)の存在は、実際的な問題にはならない。代替的に、ツールインピーダンスの変動により、初期組織評価(不正確な終点の指摘)及び組織フィードバック測定(融合/結合の終点を判断する)において異なる結果が発生する。
【0131】
従って、組織変容処理中に位相シフトを測定するのに使用されるコントローラは、最初に初期ツールインピーダンス(例えば、電気外科発生器へのツールコネクタの接続中に)を判断するのに使用することができ、ツール特性の公差/変化は、次に、組織測定アルゴリズム内で対処される。それによってオーム性かつ容量性の値及び/又は特定の電気外科ツールの公差とは独立している組織測定値が可能になる。
【0132】
従って、一般的に、ツールキャパシタンスが増加する時、終点位相シフトは減少する。特に、ツールキャパシタンスが増加する時、容量インピーダンスは減少する(X=1/ωC)。容量インピーダンスにより、終点位相シフトが小さくなるか又は減少する。同様に、ツール抵抗が増加する時、終点位相シフトは減少する。
【0133】
また、初期組織判断観点から、一般的に、ツールキャパシタンスが増加する時、見掛けの初期位相シフトは、「理想的な」値と比較すると減少する。「理想的な」値は、0又は殆ど0のキャパシタンスを有するツールである。同様に、ツール抵抗が増加する時、見掛けの初期位相シフトは、「理想的な」値と比較すると減少する。従って、ツールキャパシタンス(C=εε
0A/d)及び/又はツール抵抗(R=ρd/A)が増加する時、tanφの減少、すなわち、位相の減少を反映する誘電率及び/又は導電率の増加がある。一例では、160pFのキャパシタンスを有する電気外科ツールは、6〜23度の初期位相シフトを有する230pFのキャパシタンスを有するツールに対して9〜59度の初期位相シフトを有していた。更に、組織誘電率と導電率の積の値が初期位相シフトに逆比例するために、ツールキャパシタンス及び/又は抵抗が増加する時、見掛けの組織誘電率及び導電率の積は「理想的な」値と比較すると増加する。
【0134】
図35は、電気外科融合処理中のブタ腎動脈のオーム抵抗を示している。上述のように、血管の融合処理及び/又は組織の溶着は、位相差又は印加電圧と生じた電流の間の角度を測定して融合/密封処理を中断するのに使用する時の方が良好に制御することができる。組織のタイプに基づいて、終点は、それぞれ、約40度(血管)又は60度(腸)で理想的であることが判明している。
【0135】
組織が迅速に所定の位相(組織のタイプに基づいて、40から60度の範囲である)に到達する代わりに、測定位相シフトは、漸近的に遮断(cut-off)閾値に接近する。これを
図35に示すのと同じ密封に対して
図36に示している。図示のように、位相シフトは、初期融合処理中に迅速に増加するが、次に、密封のそれ以降に対してはゆっくり増加する。漸近的な接近では、最終位相閾値(例えば、40度)に到達するには有意な量の時間が必要であることがある。従って、位相値が明確な値に到達することだけに依存するのではなく、更に、位相の導関数を使用して確定された位相値への漸近的な接近を回避することができる。同じ密封の位相値の導関数を
図37に示している。図示のように、位相は、密封になって最初の0.5s中に大きく変化(増加)し、密封のそれ以降ついては殆ど変化しない。約1.5sの密封時間の後、位相dφ/dtの導関数は、密封(実際の位相読取値から独立)を終了させるために0.1度/秒という所定の値に到達する。
【0136】
更に、判断された位相値は、位相トリップレベルが電源を制御するプロセッサの読出時間中に到達した時、例えば、検出されることなくオーバーシュートする可能性がある。このような場合、プロセッサは、最終位相停止に到達したことを認識することができない。これは、ブタ腸の結合に対して
図38に示している。図示のように、位相シフトは60度の所定の位相閾値をオーバーシュートするが、代替的に、50度の漸近的な定常レベルに到達する。単独で明確な値に到達するために位相値に依存する代わりに、密封が確実に終了に適応させるために位相の導関数も使用される。
【0137】
同じ密封の位相値の導関数を
図39に示している。図示のように、位相は、結合になって最初の0.25s中に大きく変化(増加)し、密封のそれ以降については、変化は僅かに少しである。結合から約1.5s後、位相の導関数dφ/dtは、0.1度/秒という所定の値に到達して結合(実際の位相読取値から独立)を終了させる。一実施形態の位相の導関数は、0.02度/秒に設定される。0.2〜0.01度/秒の位相導関数の範囲も、問題がないことが判明している。後者の場合、位相角読取値の導関数は、密封/結合を終了させる安全機能になる。
【0138】
先に説明し、かつ本出願を通じて説明するように、電気外科発生器は、最終的に接続した電気外科ツールにRFエネルギを供給する。電気外科発生器は、確実に、供給されたRFエネルギが指定のパラメータを超えず、かつ故障又は誤り状態を検出に適応させる。しかし、様々な実施形態では、電気外科ツールは、外科的処置のために適切にRFエネルギを印加するのに使用される指令又は論理を供給する。電気外科ツールは、電気外科発生器と共にツールの操作を指図する指令及びパラメータを有するメモリを含む。例えば、簡単な事例では、発生器は、RFエネルギを供給することができるが、接続したツールは、どれくらいのエネルギを印加するか判断する。しかし、発生器は、たとえ接続したツールによる指示があったとしても、RFエネルギの供給源が組閾値を超えることを可能にするものではなく、従って、欠陥のあるツールに関する指令に対する検査又は確認が行われる。
【0139】
一実施形態では、各ツールは、ツール認証、構成、期限満了、及び記録を行う集積回路が付属している。レセプタクル又はポートへのツールの接続により、ツール確認及び識別処理が開始される。一実施形態のツール認証は、課題−応答方式及び/又はコントローラによっても共有される格納されたシークレットキーを通じて行われる。他のパラメータは、完全性検査のためにハッシュキーを有する。使用は、コントローラ及び/又はツール集積回路に記録される。一実施形態における誤差により、結果として使用を非記録とすることができる。一実施形態では、ログ記録は、二進法で設定され、かつオフラインツールで又はコントローラを通じて解釈される。
【0140】
一実施形態では、標準双極出口に標準双極ツールを接続してもツールはアクティブに検査されない。しかし、コントローラが、双極出口に関する情報がユニットのモニタ又はユーザインタフェース上で表示されるように接続を認識する。ディスプレイは、出口が作動される前に双極出口のためにフィールドを取っておく。一実施形態では、コントローラは、時間測定成分を使用してツールの期限満了をモニタする。このような構成要素は、発振器又はタイマ、リアルタイム暦時計にポーリングすることを利用し、起動時に設定される。タイマ割込みは、コントローラにより処理され、タイムアウトのためにスクリプトにより使用することができる。記録(logging)でもタイマ又はカウンタを利用して、記録されたイベントに時刻を表示する。
【0141】
一実施形態のツールは、ツールと一体化されるか又はツールから取外し可能なメモリを有する。ツールメモリ内のツールアルゴリズム又はスクリプトは、発生器のスクリプト解釈プログラム内に取り込まれる。スクリプトは、発生器に接続した時の使用のためにツールを準備する指令及びパラメータを供給する。ツールに結合されたスイッチが作動されると、コントローラは、スイッチ閉成を検出してツールを認証すると、ツールの期限満了ステータスを確認してレセプタクルのツールを表す内部データ構造を初期化する。ツールスイッチのその後の作動により、発生器にRFエネルギを供給するようにスクリプトに指示させるイベントが開始される。コントローラは、ツール及び発生器に使用を記録する。ツールが発生器のレセプタクルから切り離された時、コントローラは、レセプタクルに関連の情報をリセットする。コントローラは、適切な作動しているか発生器を絶えずモニタする。回復不能誤り及び故障は公開され、システムの更に別の作動が回避される。全ての故障は、コントローラのメモリ及び/又はツールのメモリに格納される。
【0142】
特定の処置からの、例えば、電源投入から電源切断までのデータは、各ツール上に格納される。ツールは、更に処置からのデータ、すなわち、ツール使用回数、電源設定電力設定値、及び故障を保持する。一実施形態における各ツールは、同様に全ての他のツールからの情報も保持する。ツールメモリは、以下のパラメータ、すなわち、発生器の製造番号、タイムスタンプ、各ツール使用に関する組織評価及び終点設定、すなわち、切断、凝固、結合、電源設定、RF持続時間、及び終点(自動停止、故障、手動停止などを含むがこれらに限定されるものではない。
【0143】
発生器は、ダウンロード可能な内部ログ内に、使用詳細を記録する。発生器は、コード及び機械性能の記憶のメモリを有する。発生器は、特定のツール性能に関する命令を含む再プログラマブルメモリを有する。メモリは、例えば、製造番号及びツール使用パラメータを保持する。発生器は、接続したツールのタイプに関する情報を格納する。このような情報には、タイムスタンプ、接続したツールの使用回数又は使用持続時間、各々の電源設定、デフォルト設定に行われた変更と共にツール識別器、例えば、接続したツールの製造番号があるがこれらに限定されない。一実施形態におけるメモリは、約2月間又は約10,000回のツール使用に関するデータを保持し、かつ必要に応じて自己上書きするように構成される。
【0144】
一実施形態では、コントローラは、ツールスクリプトを構文分析する状態機械解釈プログラムモジュールを含む。ツールスクリプトは、特定の又は所定のツールに関するツール処理を表している。ツールスクリプトは、ツール、コントローラ、又はその組合せに接続されるか又はそれに一体化されたメモリ上に格納される。状態機械解釈プログラムモジュールは、スイッチ作動/作動停止、ツール位置又は超過測定閾値のような特定のイベントに応答する。モジュールは、応答と同時に、RFエネルギ及び/又は電極作動の出力を制御する。一実施形態では、解釈プログラムモジュールは、各ツール入力レセプタクルに対して設けられる。コントローラは、ツールイベントを検出して、検出されたイベントを適切な解釈プログラムモジュールに転送する。モジュールは、次に、検出されたイベントに基づいてコントローラのアクションを要求し、それによって適切なツール入力レセプタクル、更には適切な解釈プログラムモジュールに関連の接続したツールに出力が供給される。
【0145】
一実施形態では、コントローラは、特定の入力レセプタクルに対して特定の又は所定の一定のツールスクリプトを有する。従って、このツールスクリプトのみが、特定の入力レセプタクルに接続したツールに使用される。解釈プログラムモジュールは、イベント検出器及びスクリプト構文分析プログラムを含む。イベント検出器は、スイッチ作動/作動停止イベント又は測定イベント(例えば、超過位相閾値)のようなツールイベントを受信及び識別する。イベント検出器は、RF出力、出力選択、及び/又は出力の選択、ディスプレイ及び音声トーンの変更を制御するコントローラへの要求を作成する。検出される他のイベントには、手及び足踏みスイッチ、顎スイッチの検出、位相終了及び位相中及び終了イベント、短絡、開成、ツールスクリプト状態がある。スクリプト構文分析プログラムは、ツールスクリプトを解釈する。スクリプト内のキーワードは、スクリプト構文分析プログラムがイベント検出器により識別された検出イベントに基づいてツール作動に関する作戦指揮及びデータを抽出する手助けをする。電圧、電流のような設定値に加えて、ツールスクリプトは、切断などからRF供給源又は凝固電源を指定する。スクリプトは、どの電極がRF+、RF−に接続されるか、又は浮動するのを許可されるかも指定する。スクリプトは、電極構成を制御してイベントをトリガする閾値を設定することができるので、スクリプトは、使用中にツールを完全に変更することができる。
【0146】
スクリプトは、電圧及び電流出力設定、並びに電圧及び電流の設定のシーケンスを制御する。例えば、血管の誘電率及び導電率は、サイズとは独立した同じものである。小さい血管は、非常に迅速に融合し、一方、大きな血管は、数秒掛かる場合がある。小血管に大量の電流を印加すると、余分な組織損傷が発生する恐れがあり、一方、少量の電流を使用して、融合機能を実行するためには容認できないほど長い時間を消費することになる。従って、ツール性能を修正するために、スクリプトは、少量のRF電流を最初に指令することができ、融合終点に1秒未満で到達しなかった場合、大きな血管の融合を速めるために高い電流が指令される。1つの作動(凝固)から別の作動(切断)にスイッチングされるようにツール性能を修正する別のスクリプトの使用は、融合及び切断のような多段処理を簡素化するようにツール電極及びESG出力を変更するということである。臨床医が処理を開始する時、スクリプトは、融合のためにユニットを最初に設定し、すなわち、融合終点を示す組織位相角を測定する。RF電源は、次に、融合終点に到達するまで投入される。ユニットは、その後RF電源を切断して、融合が完了であることを示すためにビープ音を発する。ユニットは、次に、切断構成に電極をスイッチングして切断に向けてRF出力を設定し、RF出力を再作動する。切断手術は、切断が完了した時に臨床医により停止される。
【0147】
図40を参照すると、ツール作動の概要が示されている。電気外科発生器に接続したツールが確認される(601)。終点が判断される(602)。ツールは、エネルギ、例えば、RFエネルギを印加し(603)、終点に到達するか、又は誤り状態が検出されるまで続く。終点に到達したか、又は終点を超えたように判断すると(604)、ツールは、作動が停止され(例えば、エネルギの印加が停止される)、処理が終了する。
【0148】
接続ツールのツールアルゴリズムに基づいて、終点のツール確認及び判断は、変わる可能性がある。特に、ツール短絡は、ツールの組織接触面で抵抗を測定することによって判断される。抵抗が10オームを下回った場合、ツール短絡条件が認められる。様々な実施形態により、測定組織誘電率と導電率の積又は初期位相シフトは、接続ツールに対して終点を判断するのに利用される。
【0149】
様々な実施形態により、位相シフト及び/又は位相変化率は、終点に到達したか、又は超えたかを判断するために処理を通して測定される。また、タイムアウトパラメータ、例えば、タイマ又はカウンタが設定された時間制限又は障害状態に到達するか又は超えると、たとえ判断した終点に到達していないか又は超えていないとしても処理を停止又は中断する。
【0150】
手持ち式電気外科ツール
先に全体的に説明し、かつ以下でより詳細に説明するように、様々な手持ち式電気外科ツールは、本明細書で説明する電気外科システムにおいて使用することができる。例えば、電気外科把持器、はさみ、ピンセット、探触子、ニードル、及び本明細書で説明する一態様、一部、又は全てを組み込む他の器具は、電気外科システムにおいて様々な利点を有することができる。様々な実施形態電気外科ツールを以下で説明する。以下で全体的に説明する機能の1つ、一部、又は全ては以下で説明するツールの実施形態のいずれかに含めることができるように考えられている。例えば、以下で説明するツールの各々が上述のようにフィードバック回路との対話のためにメモリを含むことは望ましいとすることができる。しかし、他の実施形態では、以下で説明するツールは、ツールメモリの対話なしで標準双極電源と対話するように構成することができる。しかし、更に、これらの実施形態の特定的な態様は、本出願の範囲の他の電気外科ツールの特定的な態様と組み合わせることができるように考えられている。これらの電気外科ツールの特定的な態様を本明細書で全体的に及び以下でより詳細に様々な実施形態に関して説明する。
【0151】
図1A及び
図1Bに関して上述したように、電気外科ツールはメモリを含むことができることが望ましい。メモリは、暗号化モジュール及び構成デバイスモジュールを含むことができる。構成デバイスモジュールは、特定のタイプのツールデータを格納することができる。例えば、構成デバイスモジュールは、電気外科ユニットへの電気接続に成功すると電気外科ユニットに移設されるソフトウエアを含むツールの作動パラメータを格納することができる。これらの作動パラメータには、これらの作動のためにツール及び対応するエネルギレベル範囲及び持続時間によって実行される様々な電気外科処置に関するデータ、ツールの電極構成に関するデータ、及びツールで異なる電気外科処置を行う電極間のスイッチングに関するデータを含むことができる。有利な態様では、従来技術電気外科システムとは異なり、ツールプロフィール及び周期的なツールデータ更新の変更は、休止時間なしで、迅速に電気外科発生器に行うことができ、その理由は、ツール作動用ソフトウエアが発生器ではなく電気外科ツール自体に常駐することができるからである。従って、データ更新は、ツール製造中に行うことができる。
【0152】
構成デバイスモジュールは、例えば、以前のツール使用毎の情報の記録を含むデータログを更に格納することができる。例えば、一部の実施形態では、データログは、電気外科ユニット識別器、ツールによって実行される電気外科処置のログ及び持続時間、及びツールに印加されたエネルギのログを含むタイムスタンプデータを含むことができる。一部の実施形態では、特に電気外科ツールが殺菌及び再使用向けに構成されていない場合に特定のツールの使用は最大使用期間又は処置回数に制限されることが望ましいとすることができる。従って、一部の実施形態では、構成デバイスモジュールは、所定の使用又は処置回数の後のツールの作動を防止するように構成することができる。一部の実施形態では、ツールは、想定外の再使用可能性を低減するために、簡単に切り離すことができる使い捨てのコネクタのようなデータログに加えて、又はその代わりに機械的ロックアウトを含むことができる。
【0153】
一部の実施形態では、ツールが暗号化されたプロトコルを通じて電気外科ユニットと通信することが望ましい。従って、メモリは、この暗号化された通信を補助するために暗号化モジュール又は暗号化キーを更に格納することができる。
【0154】
図18などに関して上述したように、電気外科システムにおいて使用する電気外科ツールが1つ又はそれよりも多くの音響及び/又は視覚インジケータを含むことが望ましいとすることができる。一部の実施形態では、電気外科ツールは、LEDのアレイ、又は多くの組み合わされた色を発生させることができる三色LEDアセンブリのような多色LEDアセンブリを含むことができる。視覚インジケータは、ツールによって実行される電気外科処置のタイプに対応する色で照明するように構成することができる。ツールが複数の異なるタイプの電気外科処置を行うように構成されている場合、視覚インジケータは、現在選択された電気外科処置を反映するように更新することが望ましい。従って、有利な態様では、ユーザは、手術領域を注視しながら、ツールがどのタイプの電気外科処置を行うように構成されているか見出される。
【0155】
電気外科融合ツール
図41A〜
図41Bを参照すると、手持ち式腹腔鏡検査密封器/分割器又は融合ツール1100の一実施形態が示されている。図示の実施形態では、密封器/分割器は、ハンドルアセンブリ1110、ハンドルアセンブリ1110から延びる細長シャフト1120、及びハンドルアセンブリ1110の反対側の細長シャフト1120上に位置決めされた顎アセンブリ1130を含む。細長シャフト1120は、間に中心縦軸を形成する近位端及び遠位端を有する。図示の実施形態では、ハンドルアセンブリ1110は、ピストル把持方式のハンドルを含む。細長シャフト1120及び顎アセンブリ1130は、一実施形態では、5mmの直径トロカールカニューレ又はアクセスポートを通じて適合するようにサイズ決定及び成形されている。他の実施形態では、細長シャフト及び顎アセンブリは、他の規格又は非標準サイズを有するトロカールカニューレ又はアクセスポートを通じて適合するようにサイズ決定及び構成することができる。
図41Aでは、ハンドルアセンブリ1110は、顎が開いている第1の又は初期位置に示されている。
【0156】
図41A〜
図42Bを参照すると、ハンドルアセンブリ1110は、固定ハンドル1112及び固定ハンドルに移動可能に結合された作動ハンドル1114を含む。図示の実施形態では、固定ハンドル1112は、右ハンドルフレーム1112R及び左ハンドルフレーム1112Lで形成されるハウジングを含む。他の実施形態では、固定ハンドル1112は単一の構成要素とすることができ、又は2つよりも多い部分で形成されたハウジングとすることができる。図示の実施形態では、作動ハンドル1114は、以下でより詳細に説明するように、固定ハウジングに摺動可能に及びピボット回転可能に結合される。作動面では、作動ハンドル1114は、顎アセンブリを作動させる、例えば顎を選択的に開閉するようにユーザにより、例えば、外科医により操作することができる。
【0157】
図42A〜
図42Bを引き続き参照すると、図示の実施形態では、作動ハンドル1114は、顎アセンブリ1130にハンドルアセンブリ1110を結合する力調節機構1200を構成するように固定ハンドル1112に結合されている。望ましくは、力調節機構1200は、閉鎖構成において、顎アセンブリ1130が第1の顎1132と第2の顎1134の間に所定の最小力と所定の最大力の間の把持力を送出するように構成することができる。
【0158】
図42A〜
図42Bを引き続き参照すると、図示の実施形態では、作動ハンドル1114は、力調節機構1200を構成するために、2つの摺動式ピボット位置1202、1204で固定ハンドル1112に結合されている。作動ハンドル1114は、上に形成される把持面を含む第1の端部1116及び第1の端部1116と反対側の第2の端部1118を有する。図示の実施形態では、作動ハンドル1114は、第2の端部1118に隣接してピン1206に結合されている。一部の実施形態では、作動ハンドル1114には、ピン面を形成するそこから延びる突起を一体式に構成することができ、一方、他の実施形態では、ピンは、作動ハンドルの開口に圧入することができる。1206ピンは、固定取手ハウジングの左右のハンドルフレーム1112L、1112R内に形成された対応するスロットのような固定ハンドル1112のスロット内に含めることができる。これらのスロットは、摺動ピン1206が所定の範囲にわたって移動することを可能にすることができる。一部の実施形態では、スロットは、作動ハンドルが開放顎に対応する第1の位置から閉鎖顎に対応する第2の位置まで移動する時に、望ましい作動ハンドル経路を形成するように構成することができる。例えば、図示の実施形態は、細長シャフト1120の中心縦軸から斜めに固定ハンドル1112内に形成された略直線スロットを含む。他の実施形態では、スロットは、中心縦軸とほぼ平行に構成することができる。一部の実施形態では、スロットは、曲線式とすることができる。
【0159】
図示の実施形態では、力調節機構1200は、左右のハンドルフレーム内のピンスロットの後部に向う近位側方向にピンを付勢するトリガバネ1208のような付勢部材を含む(例えば、
図42Bを参照されたい)。トリガバネ1208及び作動ハンドル1114は、取付点1202で、自由につまり妨害されずにピボット回転することができる。付勢部材1208は、所定の力に予め荷重を加えることができる。作動面では、所定の力が作動ハンドル1114の上で掛けられた時、トリガバネ1208により掛けられる付勢力は、克服され、作動ハンドル1114の第2の端部1118は、スロット内のピンにより案内されて略遠位側に並進することができる。
【0160】
図示の実施形態は、固定ハンドルに作動ハンドルの1つのピボット点を結合するピンインスロット構成を含むが、他の実施形態では、他の接続を構成することができるように考えられている。例えば、一部の実施形態では、スロットを作動ハンドル内に構成することができ、合わせ突起を固定ハンドル内に構成することができる。更にその上に、図示の実施形態は、付勢部材を形成する緊張コイルバネを含むが、他の実施形態では、他の付勢部材が考えられている。例えば、付勢部材は、圧縮バネ、捩りバネ、弾性バンド、流体を満たした衝撃吸収ユニット、又は別の適切な付勢デバイスを含むことができる。
【0161】
図42A〜
図42Bを引き続き参照すると、図示の実施形態では、作動ハンドル1114は、作動ハンドルの第1及び第2の端部1116、1118との間の位置で摺動可能かつピボット回転可能に固定ハンドル1112に結合されている。プルブロック1250のような作動部材は、作動ハンドルに結合することができる。図示の実施形態では、プルブロック1250の作動経路は、左右のハンドルフレーム1112L、1112R内に形成されたレールによって定められる。作動ハンドル1114が近位側に移動する時、プルブロック1250も移動し、効果的に顎を閉鎖させ、これにより顎の間で組織を固定する。図示の実施形態では、レールは他の方向での移動を制限しながら、近位側及び遠位側に摺るようにプルブロック1250を案内する。他の実施形態では、ピン−イン−スロット構成のような様々な他の案内部材は、作動部材の作動経路を構成することができる。
【0162】
図示のように、プルブロック1250は、略開放の上面及び下面及び実質的に閉鎖された近位端を有するほぼ矩形柱状構造体を含む。作動ハンドル1114は、プルブロック1250の上面及び下面を貫通することができる。作動ハンドル1114の端部は、固定ハンドルに対する作動ハンドル1114の移動がレールによって形成される作動経路に沿って略縦方向にプルブロック1250を移動させることができるようにプルブロック1250の近位端を担持することができる。プルブロック1250の遠位端は、密封器/分割器の細長シャフトに沿って縦方向に延びることができる作動チューブ、棒又はロッドのような作動シャフトと結合することができる。従って、作動面では、第1の位置から第2の位置への作動ハンドル1114への移動により縦方向に固定ハウジング内でプルブロック1250が並進し、これは、細長シャフトに対して縦軸に沿って略線形に作動ロッドを対応するように並進させる。この作動チューブの移動は、顎アセンブリ内の顎の相対運動を制御することができる。
【0163】
図42A及び
図42Bを引き続き参照すると、一部の実施形態では、密封器/分割器は、固定ハンドルに対して第2の位置内の作動ハンドル1114を維持するラッチ機構1260を含むことができる。図示の実施形態では、作動トリガは、作動ハンドル1112内に含まれた第2の位置つまり閉鎖位置に作動トリガを保持する適合ラッチ1264と係合することができる拡張ラッチ腕1262を含む。他の実施形態では、ラッチ機構の1つの部分は作動ハンドル1114の第2の端部の近くに作動ハンドル1114の一部上に構成することができ、ラッチ機構の合わせ部分は作動ハンドル1112上に構成することができるように考えられている。更に他の実施形態では、ラッチ機構の一部はプルブロック1250上に構成することができ、ラッチ機構の合わせ部分は固定ハウジング上に構成することができるように考えられている。
【0164】
一部の実施形態では、密封器/分割器の顎アセンブリ1130は、ハンドルアセンブリ1110上に位置決めされたブレードトリガ1402のようなブレードアクチュエータに結合することができる前進可能な切断ブレード1400(
図44B)を含む。ブレード作動機構1404は、作動的に、切断ブレードにブレードトリガを結合することができる。図示の実施形態では、ブレードトリガ1402は、ピストル把持方式で簡単に操作することができるようにハンドルアセンブリの近位側表面上に位置決めされている。図示のように、ブレード作動機構1404は、切断ブレードに結合されたブレード作動シャフトアセンブリに対してブレードトリガ1402の近位側動作を伝達及び逆転させるピボット回転式ブレード前進リンクを含む。他の実施形態では、ブレードトリガ1402は、ブレードトリガ1402の遠位側移動がリンク機構を通じて前進方向の移動なしで遠位側に切断ブレードを進めることができるように、作動ハンドル1112の遠位側表面上などの作動ハンドル1112上の他の位置に位置決めすることができる。作動において、ユーザは、後退位置から拡張位置まで切断ブレード1400を前進させるためにブレードトリガ1402を近位側に移動させることができる。ブレード作動機構1404は、ブレード戻しバネ1406のような付勢部材を含んで、アクチュエータ内でブレード前進レバーを遠位側に付勢し、それによって後退位置に切断ブレード1400を付勢することができる。
【0165】
図42Cを参照すると、ハンドルアセンブリは、ワイヤハーネス1500も含む。ワイヤハーネス1500は、ある一定の実施形態では、単一の鞘管内に含まれた6つの絶縁された個々の電気ワイヤ又はリード線を含む。図示のように、配線ハーネス1500は、下面で作動ハンドル1112のハウジングを出て作動ハンドル1112の内部に沿って略上方へ延びることができる。他の実施形態では、他のワイヤルーティングを設けることができる。例えば、一部の実施形態では、ワイヤハーネス1500は、作動ハンドル1112の近位側表面の下部を出ることができる。ハーネス内のワイヤは、上述のように、密封器/分割器と電気外科発生器及び/又はその付属品との間の電気通信をもたらすことができる。
【0166】
密封器/分割器のある一定の実施形態では、作動ハンドル1112の内側で、リード線のうちの2本は、顎アセンブリ1130の無限の回転を可能にするように構成された回転カプリングクリップ1502に取り付けられる。以下でより詳細に説明するように、他のリード線のうちの2本は、多色LEDのような視覚インジケータ1504に取り付けられ、残りの2本のリード線は、スイッチ1506に取り付けられる。一部の実施形態では、スイッチ1506は、ユーザ操作ボタンに接続され、かつ作動ボタンが押された時に作動する。一態様では、作動すると、スイッチ1506は、一斉に2つのリード線を電気的に結合することによって回路を完成する。従って、電路は、次に、回転カプリングクリップ1502に取り付けられた2本のリード線の一方に高周波電力を供給するために電気外科発生器からアクチュエータまで確立される。
【0167】
図43をここで参照すると、ハンドルアセンブリは、回転シャフトアセンブリ1600に結合されている。ある一定の実施形態では、回転シャフトアセンブリ1600へのハンドルアセンブリの結合は、ハンドルアセンブリに対して顎アセンブリ1130の無限の360度の回転を可能にするように構成される。図示の実施形態では、ハンドルアセンブリ1110は5ヵ所の位置又は接続でシャフト1120に接続し、同時に作動ハンドル1114の完全な作動、例えば、血管の密封及び/又は分割を可能にしながらシャフト全体の連続的な360度の回転をもたらす。図示のように、最初の2つの接続は、作動チューブ及び導電スリーブで回転シャフトアセンブリと接触する回転カプリングクリップ1502である。次の係合区域つまり第3の接続は、2つの回転カプリングクリップ1502の間に位置する回転ハブアセンブリ1602である。
【0168】
図43を引き続き参照すると、回転シャフトアセンブリ1600は、望ましくは、ハンドルアセンブリ1110に対する顎アセンブリ1130の近位側及び遠位側の移動が回転移動を可能にしながら防止されるように、左右のハンドルフレーム内に含まれる。例えば、回転ハブアセンブリ1602、回転カプリングクリップ1502、又は回転シャフトアセンブリ1600の他の構成要素の近位側及び遠位側の移動を妨げる内方延在フランジを作動ハンドル1112上に形成することができる。第4の接続は、複数のネジ付きナット1604及びプルブロック1250の位置にある。第5の接続は、ブレードレバー1608と後部ブレードシャフト1606の間にある。回転シャフトアセンブリ1600は、外側カバーチューブに固定されている回転ノブ1610を含むことができる。回転ノブ1610により、外科医は、ハンドルを把持しながら装置のシャフトを回転させることができる。回転シャフトアセンブリ1600が作動ハンドル1112と5ヵ所の接続位置を有するように示されているが、一部の実施形態では、回転シャフトアセンブリは、例えば、1ヵ所、2ヵ所、3ヵ所、又は4ヵ所の接続位置のようなより少ない接続位置を有することができる。更に他の実施形態では、回転シャフトアセンブリは、例えば6ヵ所、7ヵ所、8ヵ所、又は8ヵ所の接続位置のような5ヵ所よりも多い接続位置を有することが望ましいとすることができる。
【0169】
望ましくは、回転シャフトアセンブリ1600は、電気外科器具の作動を通して血管密封器/分割器に連続的な360度の回転をもたらす。シャフトとの電気接続に向けて回転カプリングクリップ1502を使用することにより、シャフトは、ハンドルアセンブリに対する顎アセンブリ1130のあらゆる向き又は回転で作動する、例えば、RFエネルギを送出することができる。従って、有利な態様では、外科医は、密封器/分割器の設置及び作動に関してより多くの外科的オプションが与えられる。有利な態様では、回転シャフトアセンブリ1600を用いて、ワイヤ及び電気及び機械的接続は、従って、シャフトの連続的な無限の回転を妨げたりしない。回転シャフトアセンブリ1600を通じて双極接続を維持するために、電気接続のうちの1つは、シャフトの他の導電部から絶縁される。
【0170】
以下でより詳細に説明するように、一部の実施形態では、密封器/分割器は、所定の範囲の把持力で把持するように構成することができる。一実施形態では、シャフトの長さにわたる全体的な公差の積み重ねは、ハンドルアセンブリから顎アセンブリ1130に印加された力が所定の範囲に正確に維持することができるように制御することができる。シャフト1120の全長は、ネジ付きナット1604及びネジカプリングを使用することによって制御することができる。ネジ付きナット1604は、細長シャフト1120の長さを厳密に制御するように調節することができる。長さは、シャフトのハブ部分に対してネジ付きナット1604の位置を維持することによって制御される。図示の実施形態では、作動チューブの遠位端に取り付けられているのは、ネジカプリングである。ネジカプリングに取り付けられているのは、プルブロック1250と係合するように構成されている2つのネジ付きナットである。プルブロック1250は、作動チューブの後部に取り付けられるネジ山を有するナット1604と係合し、作動チューブは、近位側に移動する。説明した相互作用は。ネジ付きナット1604及びカプリングが作動チューブではなく外側カバーチューブに取り付けられるように逆転させることができる。他の実施形態では、ロックスクリューのような他の長さ調節機構は、引きボックと作動チューブの設定された距離関係を形成する作動チューブ又は歯付きに対して、望ましい位置で選択的にプルブロック1250の位置を固定するように全体的な公差の積み重ねを制御するのに使用することができる。他の実施形態では、長さ調節機構は、例えば、細長シャフトが顎アセンブリ1130と接続する細長シャフトの遠位端に位置決めすることができる。
【0171】
図44A〜
図44Dを参照すると、細長シャフト1120は、貫通する複数の作動部材を含むことができる。図示の実施形態では、細長シャフトは、ハンドルアセンブリ1110と顎アセンブリ1130を結合する作動チューブ1122及び切断ブレードとブレードトリガ1402を結合するブレード作動シャフトアセンブリ1124を含む。一部の実施形態では、ブレード作動シャフトアセンブリ1124は、近位側部分及び遠位側部分を有する2分割シャフトを含む。ブレードシャフトアセンブリの近位側部分は、接続ノード1126で近位端で終結することができる。図示の実施形態では、接続ノード1126は、ブレード前進レバーと係合するようになった略球面の突起部分を含む。他の実施形態では、接続ノードは、立方体の又は矩形のプリズム状の突起のような他の形状を含むことができる。図示の実施形態では、ブレードシャフトの近位側部分は、ブレードシャフトアセンブリ1124の遠位側部分に作動的に結合されている。ブレードシャフトの遠位側部分は、遠位端で切断ブレードの付属部品のためのマウントを含むことができる。図示の実施形態では、マウントは、少なくとも1つの熱固定支柱を含む。ある一定の実施形態では、ブレードシャフトの近位側部分及び遠位側部分の両方は、作動チューブ1122の略管状の区画内に少なくとも部分的に位置決めされている(例えば、
図44Cを参照されたい)。
【0172】
細長シャフト1120の長さ調節に関して上述したように、図示の実施形態では、作動チューブ1122の遠位端に取り付けられているのは、ネジカプリング1150(
図44d)である。図示のように、ネジカプリング1150に取り付けられているのは、プルブロック1250と係合するように構成されている2つのスレッドナット1604である。図示の実施形態では、作動チューブ1122は、外側カバーチューブ内に収容されている。作動チューブ1122は、外側カバーチューブ1126内に入れ子にすることができ、かつ外側カバーチューブ1126内に入れ子にされたブレード作動シャフト1124を有することができる略管状の部材として示されているが、他の実施形態では、非管状作動部材、例えば、シャフト、剛性バンド、又はリンクを使用することができ、これらは、ある一定の実施形態では、外側カバーチューブ内のブレード作動シャフトとほぼ平行に位置決めすることができる。
【0173】
図44Aを引き続き参照すると、図示の実施形態では、外側カバーチューブ1126の遠位端に取り付けられているのは、回転シャフトアセンブリ1600である。回転シャフトアセンブリ1600は、2つの合わせハブ1602及び導電スリーブ1610を含む。図示の実施形態では、ハブ1602は、スナップ式に外側カバーチューブと互いに係合する。他の実施形態では、ハブは、一体式構造であり、かつ外側カバーチューブ上の合わせ特徴と接続するように形成することができる。導電スリーブ1610は、外側カバーチューブに取り付けられた後の組付け済みのハブの近位側部分に取り付けることができる。導電スリーブ1610が組付け済みのハブ1602の後部に取り付けられた時、スリーブ1610は、絶縁ワイヤ1612の露出端部を捕捉する(
図44Dを参照されたい)。図示の実施形態では、絶縁ワイヤ1612は、導電スリーブ下の取込み点から作動チューブ1122内のスロットを通って、次に、保護スリーブ1614内に延びている。保護スリーブ1614及び絶縁ワイヤ1612は、顎アセンブリ1130に向けて作動チューブ1122の内側に遠位側に延びている。他の実施形態では、絶縁ワイヤは、保護鞘と一体に形成することができ、個別の保護スリーブは、作動チューブ内には存在しない。
【0174】
図45A〜
図45Cを参照すると、細長シャフト1120の遠位端に取り付けられているのは、顎アセンブリ1130である。ある一定の実施形態では、顎アセンブリ1130は、下顎1134、上顎1132、上部導電アセンブリ1142、下部非導電性スペーサ1144、及び顎ピボットピン1146を含む。図示の実施形態における顎ピボットピン1146は、上下の顎1132、1134をピボット式に結合し、上顎1132が下顎1134に対してピボット回転することを可能にする。他の実施形態では、他の重要なカプリングが考えられている。図示のように、上顎1132の近位側部分は、下顎1134を貫通して作動チューブ1122内に延びている。
【0175】
一部の実施形態では、一方の顎は、対向する顎が開放位置と閉鎖位置の間に固定された顎に対してピボット回転するように、細長シャフト1120に対して固定することができる。例えば、図示の実施形態では、下顎1134の近位側部分は、カバーチューブ1126の内側に延び、所定の位置でクリンプされ、顎アセンブリ1130は、回転シャフトアセンブリ1600に固定される。従って、図示の実施形態では、上顎1132は、固定された下顎1134に対して移動可能である。他の実施形態では、両方の顎は、両方の顎が互いに対してピボット回転することができるように、細長シャフトにピボット式に結合することができる。
【0176】
上顎1132に取り付けられているのは、非導電性部分1702及び導電パッド1704(
図45Bを参照する)を含む上部導電アセンブリ1142である。非導電性部分1702は、上顎1132から導電パッド1704を絶縁し、同様に残りのシャフトアセンブリ1120から絶縁する。絶縁ワイヤ1612は、ハンドルアセンブリ1110内のワイヤリングハーネス1500に上顎1132上の導電パッド1704を電気的に結合するように振り向けることができる。図示の実施形態では、絶縁ワイヤ1612は、下顎の近位端で収容されている保護スリーブの遠位端から延びて上顎1132内に延びている。上顎1132は、絶縁されたワイヤを受け取るように位置決めされたスロットを有することができる。絶縁ワイヤ1612は、次に、上顎1132の孔を貫通し、非導電性部分内のスロットに入る。絶縁ワイヤは、次に、非導電性部分の遠位端まで延びて導電パッドまで通る(
図44Dを参照されたい)。
【0177】
顎アセンブリ1130は、上顎1132及び下顎1134の上の電極が直接に接触して短絡を発生させる可能性がある危険性を低減するように、スペーサ1144のような部材を維持する1つ又はそれよりも多くの非導電性スペースを含むことができる。図示の実施形態では、下部非導電性スペーサ1144は、下顎のU字溝部分の内側に収容され、導電パッドが下顎に接触するのを防止する突起を維持する空間を含む(
図45Cを参照されたい)。
【0178】
本明細書で説明する電気外科器具の作動態様の一部をここで参照すると、血管1030又は組織バンドルが密封のために識別された状態で、上下の顎は、組織周りに配置される(
図46Aを参照されたい)。作動ハンドル1114は、圧搾されて、作動ハンドル1114は、作動ハンドル1112に対して近位側に移動する(
図46Bを参照されたい)。作動ハンドル1114が近位側に移動する時、左右のハンドルフレーム内のレールに沿ってプルブロック1250を押す。プルブロック1250は、作動チューブ1122の後部に取り付けられているネジ付きナット1604と係合し、作動チューブ1122は、近位側に移動する。作動チューブの近位側の移動により、プルチューブに結合された上顎1132が下顎の方へピボット回転し、組織が実質的に固定される(
図46Cを参照されたい)。上顎により組織に印加された力は、プルチューブ及びプルブロック1250を通じて作動ハンドル1114に移動する。予め加えられた負荷の力が克服されると、作動ハンドル1114は、遠位側に摺動ピン1206を移動させ始める(
図46Dを参照されたい)。トリガバネへ予め掛かる負荷が克服された時、作動ハンドル1114のピボット点は、摺動ピン1206から、摺動ピン1206が作動トリガに接触するプルブロック1250の後方部分まで移動する。摺動ピン1206は、トリガバネ1208に掛かっていた予め加えられた負荷の力が克服されたので遠位側に前進することができる。
【0179】
作動ハンドル1114の連続した作動により、作動ハンドル1114は、作動ハンドル1114が左右のハンドルフレーム内のラッチ機構1260と係合する位置までピボット回転し、これにより、係合位置にトリガを維持してトリガが開放位置に戻るのを防止する。係合した位置に到達して上下の顎1132、1134の間に何もない時、トリガバネは、顎アセンブリ1130の電極に印加された力が最適血管シールに必要とされる力の範囲の下端の近くにあることを保証する距離まで延ばされる。多量の、例えば、最大量の組織が顎内に置かれた時、作動ハンドル1114は、トリガバネ1208を更に延ばす。しかし、トリガバネ1208により、印加される最大量の力が最適血管シールに使用される力の範囲の最大端を超えないように保証される。係合した位置から、密封高周波エネルギが、電源投入ボタンを押すことによって組織に印加される。組織が密封されると、作動トリガは、作動トリガの指状突起部分が左右のハンドルフレームのラッチ部分から分離することを可能にする位置まで近位側前進を続行させることによって、再開することができる(
図46A〜
図46Fを参照されたい)。
【0180】
上述の摺動ピン1206及びプルブロック1250を含む浮動二重ピボット回転機構は、望ましくは、血管及び組織を密封するために最適な最小の力を供給し、この力は、上下の顎の間に含まれる物質量に関係なく維持される。また、この機構は、極端に多大な量の力が組織に印加されるという危険を低減する。血管又は組織束に印加される力が過大である場合、潜在的な損傷が発生する可能性がある。従って、非常に小さい血管又は薄い組織束が顎内に固定された場合、器具は、良好な組織溶着を得るのに必要な最小量の力を印加する。同じことが非常に大きな血管又は組織束に対しても当て嵌まる。顎の移動が組織厚みに基づいて大きく変わる可能性があるので、顎により印加された力は調節可能である。器具は、自己調節式かつ自動式(ユーザからのアクションなし)であることが望ましい。以下で説明する浮動二重ピボット機構は、自己調節を行って電極の縦方向に沿って特定の範囲の力を印加する。
【0181】
作動ハンドル1114が最適血管シールのために所定の力範囲まで押された状態で、左右のハンドルフレームの合わせラッチと係合し、作動トリガが遠位側に更に移動させるのが阻止される(
図46Eを参照されたい)。この時点で、ユーザは、作動ボタンを押すことができ、適切な密封のために組織に適切なエネルギが印加される。
【0182】
組織が密封された状態で、ユーザは、ブレードトリガ1402を作動させることができる。ブレードトリガ1402が近位側に移動された時、ブレードレバーはピボット回転し、前部及び後部のブレードシャフト及び切断ブレード1400が強制的に遠位側に移動させられる。切断ブレードは前に進んで、組織の密封部分を分割する(
図46Fを参照されたい)。ユーザがブレードトリガ1402を解放した時、ブレードバネは、最初の位置に切断ブレードをリセットする。ブレードトリガ1402が、元の位置つまり最初の位置に戻った時、ユーザは、上顎を開放するために作動ハンドル1114を圧搾し続けることができる。作動ハンドル1114の近位側移動の続行によってトリガが解放することができる位置までラッチ端部にわたって上方に作動トリガの拡張部分アーム部1262を付勢することにより、左右のハンドルフレームのラッチ機構1260から作動ハンドル1114が分離する(
図46Gを参照されたい)。
【0183】
電気外科器具は、上述の電気外科発生器のような作動ボタンが押された時に組織に適切な量のエネルギを印加するように特に構成された電気外科発生器に接続可能である。
図47を参照すると、器具は、電気外科発生器と共に中間制御ユニット1800にも接続可能である。中間制御ユニット1800は、組織密封をモニタして適切な量の密封エネルギが組織に印加されることを保証することができる。一態様の制御ユニット1800は、最も一般的な電気外科発生器に接続するように構成された1組のケーブルを有することができる。制御ユニットも、器具からワイヤリングハーネス1500プラグを接続するポートを有する(
図47を参照されたい)。
【0184】
図47を引き続き参照すると、ある一定の実施形態では、非無菌電力コントローラは、滅菌野を超えて密封器/分割器から延びてコントローラにプラグ接続されるコードを通じて無菌血管密封器/分割器とインタフェース接続する。一態様では、コントローラは、コントローラが取り付けられるか又は一体化された非無菌再使用可能電源からの電力を調節及び/又は配電する。一部の実施形態では、コントローラは、外科環境の無菌性を維持するために、単一使用向けに構成することができる。再使用不能なコントローラの再使用を防止するために、電気外科ツールのコードは、非無菌コントローラにプラグ接続されると取り外すことができない。この接続は、永久的に無菌部と非無菌部を結合し、ユーザが想定外の外科的処置又は目的での再使用に向けてコントローラを切り離すことができないようになっている(
図47を参照されたい)。
【0185】
電気外科ツールの顎アセンブリ1130のような顎アセンブリを把持する際に、顎の間に生成される把持力は、近位端に隣接する極大値Fmaxから遠位端の近くの極小値Fminまで顎の縦方向に沿って変わる可能性がある。一部の実施形態では、電気外科ツールは、力が顎の通電電極部分の長手(長さ)方向に沿って最適化されて血管シールの所定の力範囲が維持されるように構成することができる。適切な血管シールを得るために利用される所定の最大量の力は、望ましくは、通電電極の近位端(ピボットに最も近い)では超えない。更に、通電電極の最も遠位側の端部での把持力は、望ましくは、最適血管シールの所定の最小量の力よりも大きい。望ましくは、顎アセンブリ1130に沿ったあらゆる点で生成される把持力は、最適密封をもたらすために、所定の最大力及び所定の最小力によって定められる範囲にある(
図48Aを参照されたい)。
【0186】
一部の実施形態では、血管シールを形成する電極幅は、約0.25mmと約1.5mmの間にある。他の実施形態では、電極幅は、望ましいことに約0.4mmと約1mmの間にある。他の実施形態では、電極幅は、約0.6mmと0.8mmの間にあることが好ましい。一部の実施形態では、電極幅は、約0.75mmである。0.75mmの電極では、血管シールをもたらすためにこのタイプの電極に対して十分な圧力は、約3ポンドである(
図48B及び
図48Cを参照されたい)。しかし、
図48Cから、0.75mmの電極上の約0.4ポンド〜2.3kgの力範囲は、15psiを超えるバースト圧力を維持することができることが見出されている。一部の実施形態では、顎及び電極構成は、望ましいことに3〜39kg/cm
2、更に望ましいことに10〜30kg/cm
2、好ましくは約23kg/cm
2の圧力を維持することができる。異なる電極幅を有する実施形態は、異なる力範囲を有することができる。上述の電極構成を依然として維持しながらシール表面積を最大に利用するために、一部の実施形態では、0.75mmの電極の複数の横列を設けることができる(
図48Dを参照されたい)。
【0187】
一部の実施形態では、顎アセンブリ1130の導電パッド上の電極形状により、密封区域が完全にブレード切断経路の遠位側部分を収容することが保証される。単一の線形電極は、血管の一部のだけが密封された時に血管漏れを引き起こす可能性がある。一実施形態では、顎アセンブリ1130上に位置決めされた電極は、上顎及び下顎の各々の上の単一のU字形電極1902表面を含む。各U字形電極は、遠位端に向けて顎の導電パッドの近位端から延びるほぼ平行な線形脚部1910と、1本の足から反対の脚部に延びる遠位端の湾曲コネクタ1912とを含むことができる。望ましくは、U字形電極は、ブレード切断経路の遠位端を完全に包含することができる。他の実施形態では、より大きい密封区域をもたらすために、上顎及び下顎の両方の上の1つよりも多い離間したU字形電極表面を設けることができる(
図49を参照されたい)。一部の実施形態では、電極1904は、完全に囲まれた密封部を作り出すために遠位端で接続することができる(
図49を参照されたい)。ある一定の実施形態では、U字形電極1906表面の間の1つ又は複数の橋部材1908により、更に、密封区域が完全にブレード切断経路の遠位側部分を収容に適応させることが保証される。
【0188】
一部の実施形態では、一部の外科的処置に対して、顎1130’の外形は、顎の遠位端が外科医のようなユーザのために可視性を改善するように顎の近位端から縦軸に対して外れるように湾曲とすることができる。湾曲顎による実施形態では、U字形電極は、適切な電極幅及び間隔を依然として維持しながら湾曲して設けることができる(
図50を参照されたい)。
【0189】
図51を参照すると、ある一定の実施形態では、電気外科ユニットは、顎アセンブリ1130”上に形成された組織解剖器を含むことができる。有利な態様では、この一体型組織解剖器は、大雑把に又は電気外科的に非脈管組織の切開を補助することができ、血管密封器/分割器を別の器具と交換する必要がない。従って、この複合ツールの機能性は、有利な態様では、より迅速な外科的処置を補助することができる。ツール交換回数の低減は、ツール交換はこれらの外科環境では時間を消費する可能性があるので、特に、腹腔鏡検査処置又はアクセスが比較的限られた処置において有利である可能性がある。
【0190】
図51を引き続き参照すると、一部の実施形態では、顎アセンブリ1130”の顎の一方は、他の顎の遠位端を超えて遠位側に拡張した遠位端を有することができる(
図51を参照されたい)。図示の実施形態では、下顎1134”は、拡張した遠位端を有することができる。都合のよいことに、下顎1134”が細長シャフトにピボット回転して固定される実施形態では、この拡張した構成は、切開中に下顎の安定性を補助することができる。他の実施形態では、上顎1132は拡張した遠位端を有することができ、組織解剖器は、作動ハンドル1114の移動により切開作動中にピボット回転させることができる。一部の実施形態では、拡張した遠位端は、遠位端が顎の比較的より近位側の部分と比較して比較的短くかつ狭いように形状がテーパ付きとすることができる。有利な態様では、このテーパ付き形状により、遠位端は、隣接組織に接触するという危険を低減しながら比較的限られた環境内に位置決めされた組織にアクセス可能である。
【0191】
図52A、
図52Bを参照すると、一部の実施形態では、顎アセンブリ1130”の両方の顎は、顎の電極部分又は電極部分の少なくとも一部の縦方向に沿って側方に及び/又は高さにおいてテーパ付きである。これらの実施形態では、顎アセンブリ1130”は、組織切開に使用することができる扁平な遠位端を有する。有利な態様では、扁平な遠位端は、比較的限られた外科環境への顎アセンブリ1130”のアクセスを高めることができる。
【0192】
図53A、
図53Bを参照すると、ある一定の実施形態では、切断/凝固電極は、組織切開を行うために顎アセンブリ1130の外面上に配置することができる。一部の実施形態では、切断/凝固電極は、例えば、上顎又は下顎のいずれかの外面上の遠位端で顎上に位置する(
図53Aを参照されたい)。望ましくは、電極1920は、顎アセンブリ1130の他の構成要素から絶縁つまり絶縁することができ、双極器具の通電電極になる。従って、絶縁ワイヤは、ハンドルアセンブリ内の電気外科ツールの配線ハーネス1500に切断/凝固電極を電気的に結合するために、切断/凝固電極1920から細長シャフト1120の近位端まで延びることができる(上顎上の導電パッドから延びる絶縁ワイヤと同様に)。一部の実施形態では、絶縁ワイヤは、細長シャフトの外側カバーチューブ内の保護スリーブ内に延びることができる。他の実施形態では、絶縁ワイヤは、保護鞘と一体式に構成することができる。また、一態様における絶縁ワイヤは、導電パッドのために延びる絶縁ワイヤと同様に、回転接続、例えば、回転クリップに結合される。
【0193】
図53Bを参照すると、一態様における切断/凝固電極は、ハンドルアセンブリ1110上の少なくとも1つの作動ボタン1922、1924又はスイッチにより選択的に作動させることができる。一部の実施形態では、ハンドルアセンブリは、組織凝固電気外科信号で電極を作動させるために組織切断電気外科信号及び凝固ボタン1924で電極を作動させる切断ボタン1922を含むことができる。例えば、
図53Bでは、個別の切断及び凝固ボタンは、顎の内面上の電極を作動させる組織密封ボタンの近くのアクチュエータ上に示されている。他の実施形態では、単一の多機能スイッチ又はボタンは、望ましい構成において切断/凝固電極を作動させることができる。更に他の実施形態では、切断/凝固電極は切断のみの又は凝固のみの電気外科信号を受け取るように構成することができ、単一の対応する作動ボタン又はスイッチを選択的に電極を作動させるために使用することができる。
【0194】
血管密封器/分割器は、作動チューブ及びブレード作動シャフトのような顎を作動させるために使用される内部の細長構成要素に向けて薄い金属チューブ及び小径機械加工ロッドを使用することができる。しかし、このような構成要素は、高価である可能性があり、一部の実施形態では、製造及び原材料費は、望ましくは、細長噴射成形プラスチック構成要素を使用して低減することができる。ブレード作動シャフト1124に関して上述したように、一部の実施形態では、経費及び製造困難度は、近位側つまり後部シャフト部分及び遠位側つまり前部シャフト部分のような2つの合わせポリマーシャフト区画124a、1124bで形成された細長シャフトを使用して更に低減することができる。一部の実施形態では、2つのシャフト部分1124a、1124bは、同心度を維持して軸線方向の不要な移動を防止するために、インターロック1960、例えば、他のシャフト区画の対応するスロットと結合する1つのシャフト区画又は構成要素上の突起により接続することができる(
図54Aを参照されたい)。他の実施形態では、他の合わせ構造を2つの合わせシャフト区画上に構成することができる。例えば、シャフト部分の一方には、その上に1つ又はそれよりも多くの返し部を構成することができ、他方には、返し部を受け取って保持するように構成された凹部を構成することができる。更に他の実施形態では、2つの合わせシャフト部分は、シャフト部分上に形成されたインターロックに加えて又はその代わりに、化学接着剤又はエポキシで接着することができる。
【0195】
図55A及び55Bを参照すると、ある一定の実施形態では、電気外科ツールの細長シャフト1120は、外面が作動ハンドル1114による顎アセンブリ1130の作動中に近位側及び遠位側に移動ないように構成することができる。他の実施形態では、外シャフト構成要素を移動させて顎を開閉してハンドルアセンブリを操作することなく適切な締付け力を供給することができる。しかし、外シャフト構成要素を移動させると、血管密封器/分割器がトロカール密封部に対して移動する可能性があり、従って、密封器/分割器と吹送体腔(insufflated body cavity)の間のガスシールが潜在的に複雑化する。従って、最外部シャフト構成要素が外科的処置を通して固定のままであることが望ましい場合がある。従って、ある一定の実施形態では、細長シャフトは、固定外側カバーチューブ(それは、誘電体コーティング又は絶縁スリーブを含むことができる)の内側上に可動構成要素(例えば、プルチューブ及びブレード作動シャフト)を維持する。
図55A及び
図55Bを引き続き参照すると、図示のように、固定外側カバーチューブは、顎の固定部分に接続され、一方、プルチューブは、顎(例えば、上顎)の移動部分に接続されている。従って、顎アセンブリ1130が開放位置(
図55A)から閉鎖位置(
図55B)まで作動される時、プルチューブは、近位側に縦方向に移動し、一方、外筒スリーブが固定したままである。
【0196】
電気外科システムに関して上述したように、ある一定の実施形態では、電気外科ツールは、小さいPCB上に取り付けられたツールIDチップのようなメモリを含むことができる。一部の実施形態では、PCBは、作動ハンドル1112上に又はその中に配置することができる。他の実施形態では、PCB及びチップは、配線ハーネスのプラグ内に一体化することができる。PCB及びチップは、ツール特異のパターンで成形することができる。ツールIDチップ及びPCBは、電気外科ツールの配線ハーネス及びプラグに電気的に結合することができる。プラグとツールIDチップ間の「スペーサ」は、全てのツールに対して同じコネクタの使用を可能にすることができる。一部の実施形態では、スペーサは、アセンブリ中に1つのタイプの電気外科ツールのPCBが電気外科ツールの異なるタイプに組み込まれる危険を低減するように、プラグ側の全てのツール及びチップ側のツール特異のパターンに対して同じ形状を有することができる。
【0197】
電気外科システムに関して上述したように、プラグが発生器に挿入された時、メモリに格納された暗号化されたツール情報が確認される。一般情報(ツール及び発生器の製造番号)がやり取りされ、ツール特異のソフトウエアが発生器にアップロードされる。毎回のツール使用完了により、ツール特異の情報(発生器との接続、個々のツール使用、誤差など)は、必要に応じて伝達することができ、発生器、ツールチップ、又は両者のメモリに格納することができる。例示的な実施形態では、発生器のメモリは、約2ヵ月分のデータを保持するようにサイズ決定され、一方、ツールチップのメモリは、1回の外科的処置分のデータを保持することができる。
【0198】
電気外科システムに関して上述したように、一部の実施形態では、電気外科融合ツールは、様々な作動パラメータをモニタし、位相角に基づいて高周波終点を判断するシステムにおいて使用することができる。
【0199】
本発明をある一定の特定的な態様において説明したが、多くの更に別の修正及び変形が当業者に明らかであろう。従って、本発明は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、サイズ、形状、及び材料の様々な変化を含む具体的に説明した以外の方法で実施することができることを理解すべきである。従って、本発明の実施形態は、あらゆる点で例示的であり、制限的ではないと考えるべきである。
【0200】
電気外科解剖ツール
腹腔鏡検査外科的処置では、一般的に結合組織又は脈管組織の切開が必要である。組織タイプ、サイズ、位置、及び特定の組織の条件のようなファクタに依存して、異なるツール及び技術を用いて特定の処置を行うことができる。個々のツールの選択は、機能性と共に、選択したツールでは周囲の組織の損傷が比較的小さいという希望に基づくことができる。一例として、結合組織の切開は、通常機械式切断又は電気外科切断により行われ、一方、脈管組織の切開は、一般的に、ステープラ又はクリップ、次に機械式切断を使用する結紮技術に依存する。その結果として、結合組織及び繊管束組織の両方の切開を含む一般的な腹腔鏡検査処置では、手術部位に至るトロカールアクセスポートを通じて連続して交換される複数のツールが必要である。このツール交換により、外科的処置の経費及び時間が増大する。従って、腹腔鏡検査処置中にツール交換回数を大幅に低減することができる多機能ツールを提供することが望ましい。
【0201】
図56をここで参照すると、図示の実施形態では、無血組織切開ツール2101は、遠位末端部分2104にシャフト2103を通じて接続する近位手持部分2102を含む。手持部分2102上のトリガ2105の作動により、組織を上部2106と下部2107の顎要素の間に固定することができるように遠位末端部分2104上の顎要素2106、2107を開閉が可能である。
【0202】
図56を引き続き参照すると、一部の実施形態では、ツール2101は、電気外科発生器に電気的に結合されるように構成することができる。例えば、一部の実施形態では、ツール2101は、一体型電源コード、又は電源コードを受けるようになっているソケット又は他コネクタを含むことができる。ツールの少なくとも一部は、電気外科発生器上のコントローラ又はスイッチの作動を通じて選択的に通電することができる。例えば、一部の実施形態では、ツールは、手動スイッチ又は足踏みスイッチで通電するか、又は電気外科発生器に結合することができる。
【0203】
図57を参照すると、例示的な従来技術電気外科デバイスが示されている。機械的カッターを含む電気外科組織密封デバイスは、最初に電気外科的に凝固させ、次に、様々な組織タイプを通じて機械式に切断するのに使用することができる。また、特定の高調波組織分割器は、器官のような結合組織から血管性が高い組織に至る様々な組織を凝固及び/又は切開するのに使用することができる。
【0204】
図57に概略的に示すように、従来技術の電気外科組織解剖器は、第1の電極2201を形成する下顎及び第2の電極2202を形成する上顎を含む。従来技術装置では、2つの顎要素、すなわち、電極2201、2202は、組織に比較的多量の圧力を供給する。圧迫組織への電気エネルギの同時の印加による高い圧力を用いて、電気外科血管融合により非常に大きな血管を永久的に閉塞させることができる。電気融合処理が完了した後、組織は、機械式ブレード2203を前進させることによって分離することができる。
【0205】
従来技術電気外科デバイスと対照的に、
図58aを参照すると、電気外科凝固状態又は電気外科切断状態に構成することができる電気外科ツールの一実施形態が示されている。図示の実施形態では、下顎要素2301は、第1の凝固電極2302、第2の凝固電極2303及び電気外科切断電極2304を含む。電極の各々は、絶縁部材2305により互いから絶縁することができる。上顎2306は、この実施形態では通電されず、単に下顎要素2301に組織を押し当てるために使用されるだけである。
【0206】
図58aに示す電極構成により、下顎要素2301と接触している組織は、2つの凝固電極2302、2303の各々を双極電気外科ユニットの対応する出口に電気的に結合することによって凝固させることができる。ここでは、2つの凝固電極2302及び2303には、反極性を有する電気エネルギを供給することができる。一部の実施形態では、供給された電気エネルギは、アークの危険性を低減するために200Vよりも大きくない又は僅か200Vの電位差を有し、かつ電極2302及び2303は、組織で同じ接触面積を有することが望ましいとすることができる。後者により、両方の電極に対して同じ電気外科的効果が保証される。
【0207】
図58aを引き続き参照すると、2つの凝固電極2302、2303が凝固後の組織容積内で実質的な止血をもたらした後、組織は、電気外科切断電極2304にエネルギを印加することによって電気外科的に切断することができる。電気外科切断作動中、2つの凝固電極2302、2303は、戻り電極として機能するために、双極電気外科ユニットの対応する出口に電気的に結合することができる。ここでは、切断電極2304と2つの戻り電極2302及び2303の間の電位差は、望ましくは、約300〜500Vの間とすることができ、一方、2つの戻り電極は、望ましいことに実質的に等電位とすることができる。
【0208】
図58aを引き続き参照すると、一部の実施形態では、組織との電極の相対的な接触面積は、戻り電極2302、2303に対するものよりも切断電極2304に対する方が遥かに小さいことが望ましいとすることができる。例えば、一部の実施形態では、望ましくは、切断電極は、戻り電極2302、2303の一方の接触面積の約1%と20%の間にある接触面積を有することができる。更に望ましくは、切断電極は、戻り電極2302、2303の一方の接触面積の約5%と10%の間にある接触面積を有することができる。一実施形態では、切断電極は、戻り電極2302、2303の一方の接触面積の約10%である接触面積を有することができる。切断領域の大きさの間のこの相対的な割合により、切断電極の近くの組織において比較的高い電流密度(及び従って高電力密度)になり、それによって局所的気化又は組織の電気外科切断が容易にされる。
【0209】
図58aを引き続き参照すると、顎が開放位置又は閉鎖位置であるか否かに関わらず、図示の電極構成の付加的な態様は、下顎2301は凝固及び切断の両方に使用することができるということである。この複合の機能性は、凝固した組織を見出すために、又は切断状態にツールを構成し、かつ組織に対してツールを擦り合せることによって組織を切開するためにツールを使用する時に有利である。
【0210】
外科ツールの電極構成の別の実施形態を
図58bに示している。図示の実施形態では、上顎2306’は、下顎要素2301に組織を押し当てるために使用されるだけでなく、電気エネルギを供給することができるその上に配置された上部電極2307を含む。組織は、双極電気外科ユニットから2つの下部凝固電極2302、2303に第1の電気極性を、かつ上部電極2307に第2の反対の極性を供給することによって凝固させることができる。ここでもまた、凝固向けに構成される時、上部電極2307と2つの下部電極2302、2303の間の電位差は、組織へのアークの危険性を低減するために200Vを超えず、かつ電極2307は、電極2302及び2303の組み合わせた表面積と同じ組織との接触面積を有することが望ましい。後者により、電極両側に対して同じ電気外科効果が保証される。
【0211】
図58bを引き続き参照すると、上部電極2306’と2つの下部電極2302、2303との間の組織の止血が実質的に達成された後、組織は、電気外科切断電極2304に電気エネルギを供給することによって電気外科的に切断することができる。上顎2306上の上部凝固電極2307は、双極電気外科ユニットの対応する出口と電気的に結合することによって戻り電極として構成することができる。
【0212】
図58bを引き続き参照すると、外科ツールが電気外科切断デバイスとして構成される時、望ましくは、切断電極2304と戻り電極2307の間の電位差は、約300〜500Vの間にある。一部の実施形態では、組織との電極の接触面積は、切断電極2304に対しては、上顎2306’上の戻り電極2307の場合より非常に小さいことが望ましいとすることができる。例えば、一部の実施形態では、望ましくは、切断電極は、戻り電極2307の接触面積の約1%と20%の間にある接触面積を有することができる。更に望ましくは、切断電極は、戻り電極の一方の接触面積の約5%と10%の間にある接触面積を有することができる。一実施形態では、切断電極は、戻り電極の一方の接触面積の約10%である接触面積を有することができる。この相対的なサイズ決定により、切断電極の近くの組織において比較的高い電流密度(及び従って高電力密度)になることができ、それによって局所的気化又は組織の電気外科切断が容易にされる。上述のように電極2302、2303、2304、2307を有する
図58bの外科ツール遠位端では、2つの顎要素間の組織のみを凝固及び/又は切断することができる。従って、
図58aの実施形態とは異なり、
図58bに示すツールは、下部電極だけを使用することによって使用されるようには構成されていない。
【0213】
外科ツールの電極構成の別の実施形態を
図58cに示している。図示の実施形態では、上顎2306”は、上部電極2307’含むが、2つの凝固電極2302及び2303間に挟持されている2つの切断電極2304及び2309も示している。
図58bに図示の実施形態との違いでは、凝固及び切断の両方は、手持ツール(及び従って顎部材)が全開であるか又は全開ではない場合に対して区別される。完開のツールでは、組織は、反対の極性を2つの下部凝固電極2302及び2303に印加することによって凝固させることができ、かつ第1の極性を切断電極2304に、かつ第2の極性を両方の電極2302及び2303に印加することによって切断する。相違点といえば、全開ではないツールは、両方の下部凝固電極2302及び2303に1つの極性を、かつ電極2307’に反対の極性を印加することにより、組織を凝固させ、一方、切断は、電極309と戻り電極2307’との間に行われる。ここでもまた、凝固向けに構成される時、2つの下部電極2302及び2303(ツールは全開)、又は上部電極2307’と2つの下部電極2302、2303(ツールは全開ではない)間の電位差は、組織へのアークの危険性を低減するために200Vを超えないことが望ましい。
【0214】
切断電極2304及び309の分離は、上下の顎要素(完全にでなく、開成される)内に位置決めされている組織の切断又はツールの下面と接触している組織の切断を補助する。分離により、組織の不慮の切断が防止される。
【0215】
外科ツールの電極構成の別の実施形態を
図58dに示すが、
図58dでは、上顎2306'''は、2つの個別の電極2307”及び2308を含む。この構成では、上顎要素2306'''は、下顎要素2301に組織を押し当てるために使用することができるが、電気エネルギを供給することができる。
【0216】
図58dを引き続き参照すると、電極2302、2303、2307”、2308は、凝固状態に合わせて選択的に構成することができる。下顎2301上で凝固電極2302、2303を、かつ上顎2306'''上で交替極性2308を有する2つの凝固電極2307’上を供給することにより、顎内の組織を凝固させることができる。例えば、1つの可能な凝固状態構成において、下顎2301上の1つの凝固電極2302及び上顎2306'''上の一方の凝固電極2308は、第1の極性を有する電気エネルギ源に電気的に結合することができる。下顎2301上の他方の凝固電極2303及び上顎2306'''上の他方の凝固電極2307”は、第1の極性と一般的に反対の第2の極性を有する電気エネルギ源に電気的に結合することができる。これは例示的な例であるが、電気エネルギ源との電極2302、2303、2307”、2308の接続の他の組合せは、凝固状態においてツールを形成するために可能であるように考えられている。反対の凝固電極の接触面積は、電極の両側に対して同じ電気外科的効果が得られるように同じであることが望ましいとすることができる。
【0217】
図58dを引き続き参照すると、凝固状態にある電極による電気エネルギの印加による上部電極2307”、2308と2つの下部電極2302、2303との間の組織のホメオスタシスの後、組織は、電気外科的に切断することができる。外科ツールの遠位端は、電気外科切断電極2304に電気エネルギを供給することにより、切断状態に構成することができる。様々な実施形態では、他の電極2302、2303、2307”、2308のうちの1つ、一部、又は全ては、ツールが切断状態にある時、双極電気外科ユニットの対応する出口と電気的に結合することによって戻り電極として機能するように構成することができる。
【0218】
図58dを引き続き参照すると、ツールが切断状態に構成される時、切断電極と戻り電極の間の電位差は、望ましいことに約300〜500Vの間にある。更に、組織との電極の相対的な接触面積は、戻り電極2302、2303、2307”、2308のいずれか又はその組合せに対するものよりも切断電極2304に対する方が非常に小さいことが望ましいとすることができる。例えば、一部の実施形態では、望ましくは、切断電極2304は、戻り電極の1つの接触面積の約1%と20%の間にある接触面積を有することができる。更に望ましくは、切断電極は、戻り電極の1つの接触面積の約5%と10%の間にある接触面積を有することができる。一実施形態では、切断電極は、戻り電極の1つの接触面積の約10%である接触面積を有することができる。
図58aに関して示すと共に説明する実施形態の場合と正に同様に、
図58dの実施形態において示す電極構成は、切断モードにおいて、組織を見出して凝固させるために又は組織にツールを擦り合わせる時に切開するのに使用することができる。
【0219】
図58a〜
図58dのツール構成の実用性は、選択した電極の選択的な作動及び/又は作動停止により更に高めることができる。一部の実施形態では、この選択的な作動及び作動停止は、有線又は無線の手又は足で操作するスイッチのようなオペレータが押す電気スイッチ、又は手持部分上に位置決めされたスイッチによって実行することができる。電気外科ユニットは、次に、顎がどれくらい開閉されているかに依存して特定の電極にアドレスする。
【0220】
図59aは、
図58aに示すような電極構成の概略回路図を示している。ここでは、中心「切断」電極2304が分離されている間、単極電気スイッチ401の作動により、外凝固電極2302、2303が反対の極性に接続される。この設定により、凝固状態における電極が構成される。代替的に、二極電気スイッチ402の作動により、中心「切断」電極2304に第1の極性を有する電気エネルギ、及び外戻り電極2302、2303に第1の極性と一般的に反対の第2の極性を有する電気エネルギが供給される。この設定により、切断状態における電極が構成される。従って、ツールは、電気外科的凝固及び/又は切断に使用することができ、従って、組織の無血切開を行うことができる。
【0221】
図59bは、
図58bに示す電極構成に使用することができる概略電源回路を示している。図示の実施形態では、二極電気スイッチ2403の作動により、下顎上の2つの外凝固電極2302、2303は、第1の極性の電気エネルギの供給源に、かつ上顎上の凝固電極2307は、第1の極性と略の反対の第2の極性の電気エネルギの供給源に接続される。スイッチ2403がこの位置の状態で、切断電極2304は、分離されたままである。この設定により、凝固状態における外科ツールの電極が構成される。代替的に、単極電気スイッチ2404の作動により、下顎電極2302、2303を凝固に使用することができる。上顎2307上の電極及び切断電極2304は、この代替凝固構成において分離されたままである。凝固させた後に組織を切開するために、電気外科発生器上の個別の電極出口2405は、切断電極2304に対応するのに使用される。望ましくは、切断電極には、下顎上の2つの戻り電極2302、2303に対して300〜500Vの電圧が供給される。
【0222】
図59cは、
図58dの電極構成にアドレスするのに使用することができる概略電源回路を示している。図示の実施形態では、二極電気スイッチ2406の作動により、下顎及び上顎の両方上の2つの凝固電極2302、2303、2307”、2308は、反対の極性を有する電気エネルギの供給源を接続される。切断電極2304は、分離されたままである。この設定は、上部及び下部の顎要素の間に固定されている組織を凝固させるために凝固状態に外科ツールの電極を構成するのに使用することができる。代替的に、他の実施形態では、第2の凝固二極スイッチ2407は、一方又は両方の顎を凝固状態中に選択的に作動させることができるように上顎及び下顎の作動を分離するように実行することができる。凝固した組織の電気外科切断のためのツールの下顎を利用するために、切断二極スイッチ2408の作動により、切断電極2304は、第1の極性を有する電気エネルギ源に接続され、2つの戻り電極2302、2303は、第1の極性の一般的に反対の第2の極性を有する電気エネルギ源に接続される。発生器によりこの設定に向けて供給される電圧は、望ましくは、電気外科切断を補助するために約300〜500Vの間にある。図示の実施形態では、上顎要素上の電極2307”2308、は、電気外科切断中にはアドレス指定されないままである。
【0223】
先により詳細に説明したように、特定の電極の作動(又は作動停止)は、凝固状態又は切断状態にツールを構成することができる。ある一定の実施形態では、特定の電極の選択的な作動及び作動停止は、押しボタン、スイッチ、又は腹腔鏡検査ツールの手持部分上に取り付けられた他の電気スイッチングデバイス、又は有線又は無線スイッチにより補助することができる。他の実施形態では、特定の電極の選択的な作動及び作動停止は、顎要素の様々な位置でスイッチングされるように手持部分のハンドル機構に取り込まれているスイッチ又は他の電気スイッチングデバイスにより補助することができる。
【0224】
図59aに示す回路に関して、
図58aに示すツールを参照すると、手持部分上に取り付けられたスイッチングデバイスは、ユーザがツール上で電極を選択的に構成することを可能にするのに使用することができる。スイッチ2401は、凝固状態にツールの電極を構成するために選択的に作動させることができる手持部分上に取り付けられた手で作動させるスイッチングデバイスとすることができる。スイッチ2402は、切断状態にツールの電極を構成するために選択的に作動させることができる手持部分上に取り付けられた手で作動させるスイッチングデバイスとすることができる。別の実施形態では、スイッチ2401、2402は、ツールが締付部材の所定の位置で凝固状態から切断状態に自動的にスイッチングされるようにハンドル機構に組み込むことができる。
【0225】
顎要素(例えば、開成及びほぼ閉鎖の顎)の異なる位置で凝固状態から切断状態に電極をスイッチングする1つの利益は、
図59bの実施形態に関して見出される。ある一定の実施形態では、スイッチ2403及び2404は、手による作動のための手持ツールの外側にではなく、トリガ機構の位置に基づいて、自己スイッチングに向けて外科ツールのハンドル内に組み込むことができる。一実施形態では、スイッチ2403は分離することができ、スイッチ2404は、全開の顎要素位置で係合することができる。従って、顎要素の全開により、スイッチ2403、2404は、下顎要素だけを局所凝固に使用することができるように構成することができる。この実施形態では、手持部分のトリガが、全開放の顎位置から顎要素を閉鎖に移動させるために作動された時、スイッチ2404は分離され、かつスイッチ2403は、同時に係合する。従って、顎要素が部分閉鎖の構成に移動した状態で、ツールは、上部及び下部の顎要素の間に固定されている組織を凝固させるか又は切断するのに使用することができる。
【0226】
説明した実施形態では、電極スイッチは、顎要素が閉鎖されると自動的に作動される。説明した実施形態は、顎全開放位置からの閉鎖の開始時に凝固状態と切断状態の間のスイッチ点を含むが、他の実施形態は、異なるスイッチング位置を有することができる。例えば、この自動スイッチングに対して、スイッチ2403、2404は、電極が開放又は閉鎖サイクルのあらゆる位置で作動及び作動停止されるように構成することができる。他の実施形態では、外科ツールは、
図58bの電極構成、及びツール手持部分の上に位置決めすることによるなどの手動作動向けに構成されたスイッチ2403、2404による
図59bのスイッチング回路を含むことができる。
【0227】
同様に、ある一定の実施形態では、
図59cのスイッチング回路による
図58dの電極構成を有する外科ツールは、特定の顎要素位置での凝固状態と切断状態の間の自動スイッチングのためのトリガ機構に組み込まれたスイッチ2406、2408を有することができる。ある一定の実施形態では、第2の凝固スイッチ2407を手持部分のトリガ機構に組込み、全開顎位置のような所定の顎位置で上顎要素上の電極を分離することが望ましいとすることができる。第2の凝固スイッチ2407のこのスイッチング構成は、例えば、上顎要素上の電極と組織を不注意に接触することなく下顎要素を使用して組織を局所凝固することを可能にするものである。他の実施形態では、第2の凝固スイッチ2407が、ユーザにより手動で作動されるように手持部分上に位置決めされ、ユーザが、上顎要素上の電極を選択的に係合及び分離することができることが望ましいとすることができる。他の実施形態では、
図59cのスイッチング回路のスイッチ2406、2407、2408の全ては、ユーザにより手動で作動するように外科ツールの手持部分上に位置決めすることができる。
【0228】
図60を参照すると、ツールスイッチングの1つの構成が示されている。図示の実施形態では、電気接点は、手持部分2501及びトリガ2502の両方に組み込まれている。例えば、図示のように、手持部分2501には、第1の電気接点2504、第2の電気接点2506、及び第3の電気接点507が位置決めされている。図示の実施形態では、トリガ2502は、第1の電気接点2503及び第2の電気接点2505を含む。電気接点2503、2504、2505、2506、2507の全ては、トリガ2502及び手持部分2501の所定の相対位置で互いに係合及び分離するように位置決めされている。
【0229】
図60を引き続き参照すると、図示のように、顎が全開放位置にある時、トリガ2502の上の第1の接点2503は、手持部分2501上の第1の接点2504と係合するが、第1の接点2503、2504は、トリガ2502が顎を閉鎖するために開放位置から移動した時に切り離される。図示の実施形態では、顎が全開放位置である状態で、トリガ2502上の第2の接点2505は、手持部分2501上の第2の接点2506と係合する。しかし、第2の接点2505、2506は、トリガ2502が顎を閉鎖するために開放位置から移動した時に切り離される。顎が更に閉鎖されると、トリガ2502上の第2の接点2505は、手持部分2501上の第3の接点2507と係合し、トリガ上の第1の接点2503は、手持部分2501上の第2の接点2506と係合する。この係合により、手持部分が更に閉鎖される時に接点2507の極性のスイッチングが可能である。従ってかつ
図58bを参照すると、
図60のスイッチング機構は、全開の顎位置において反対の極性を有する上部電極2307及び下部凝固電極2303の作動を可能にする。漸進的な組織乾燥により、顎は、閉鎖し始め、上部電極2307は、電気的に切り離され(
図60の接点2503及び2504を切り離すことにより)、一方、下部電極2303は、第2の電極2302と同じ極性にスイッチングされる(接点2505を
図60の2506から接点2507に接続することにより)。別の段階では、上部及び下部の顎要素間の乾燥した組織は、ここで、電気外科的に切開することができる。
【0230】
図61を参照すると、スイッチング機構の別の実施形態は、顎部材が全開放位置に示されている。図示の実施形態では、同心接触ストリップが、手持部分上に配置され、対向接触ピンが、トリガ上に取り付けられている。他の実施形態では、接触ピンは、手持部分上に取り付けることができ、かつ接触ストリップは、トリガ上に位置決めすることができる。図示の実施形態では、トリガ移動により、ピン接点(特定の電極に接続)に特定のツール位置で電気エネルギを供給することができる。一部の実施形態では、単一のピン(すなわち、同じ電極)の極性は、顎が開閉される時に変えることができる。
【0231】
1つの接触ストリップとピンの構成を
図3bの電極構成に対して
図61に示している。図示の実施形態では、ピン2601は、上顎部材上の電極2307(
図58b)に電気的に結合され、かつ分離される。図示のように、ピン2602は、下顎上の凝固電極2302、2303(
図58b)の一方に電気的に結合されている。図示のように、ピン2602は、トリガが「全開」位置から部分閉鎖位置に移動する時に係合する。トリガの更に別の前進により、ピン2602は、第2の凝固電極と同じ極性に変わり、両方とも切断のための戻り電極として使用することができるようになる。
【0232】
図60及び
図61の両方は、ツールを「従来の」電気外科発生器と共に使用することを可能にする手持ツール内の通電スイッチング機構(通電電極をスイッチングする)を示しており、
図62は、受動スイッチングのための構成を示している。ここでは、一時的スイッチ2701が、ハンドル内に取り付けられており、かつレバー2703が「全開」位置となった時にトリガ2702により閉鎖される。
【0233】
同様に、
図63は、それぞれ、「ツール全開」及び「ツール全閉」位置におけるトリガ2803及び2804により閉鎖される2つの一時的スイッチ2801及び2802の組込みを示している。
図62及び63に示すような一時的スイッチの閉鎖は、以下で説明するように、次に、多電極発生器の論理スイッチングに使用される。
【0234】
図64は、内部RF電源に個々のツール電極(
図58a〜
図58dの全ての個々の電極など)を直接に接続する多電極スイッチング電源の概略図を示している。手持ツール内の通電スイッチで異なる電極に外部電気外科ユニットの2つの極性をスイッチングする代わりに、この構成は、電源内のスイッチングによる異なる極性を有する個々に関係のある電極の集団を補助するものである。ツール位置に基づいて、電極は、
図62及び63に示すツール位置スイッチによる判断に従って所定の論理による判断とは異なるポピュレートの方法を行うことができる。従って、5つの電極接続点2901〜2905は、バスバー2907に至る継電器列2906に接続されている。継電器列2906内の全ての継電器の選択したスイッチングを通じて、各出口点2901〜2905は、それぞれ、独立して及び/又は同時にプラント接続点2908及び2909に接続することができる。プラント接続点2908及び2909自体は、組織測定回路2911又はRFプラント2912の2つの出口に継電器列2910を通じて接続することができる。
【0235】
図65を参照すると、ある一定の実施形態では、略無血の組織切開に向けて電気外科ツールを使用する方法が概略的に示されている。図示の方法は、位置決め段階2952、組織評価段階2954、凝固させるために電気エネルギを印加する段階2956、組織測定段階2958、スイッチング段階2960、及び切断するために電気エネルギを印加する段階2962を含む。位置決め段階2952は、凝固構成及び切断構成の一方に構成可能な複数の電極を有する電気外科ツールを切開される組織の近くに位置決めする。ある一定の実施形態では、電気外科ツールは、本明細書で説明すると共に
図56及び
図58〜
図63に示す電気外科ツールの態様を含む。
【0236】
組織評価段階2954は、凝固から切断にスイッチングするための将来のトリガレベルを判断するために凝固電極により組織に測定信号を印加する。この判断は、それぞれの組織のための望ましい電気位相シフトスイッチングレベルを示す組織の導電率と誘電率の積を測定することによって達成することができる。例えば、一部の実施形態では、望ましい切断スイッチングレベルは、10度〜40度で発生する。更に望ましくは、血管の好ましい切換レベルは、10度〜30度の間の位相シフトであり、一方、血管性が高い組織(器官など)に対しては、むしろ20度〜40度の間にある。
【0237】
凝固させるために電気エネルギを印加する段階2956は、組織において止血をもたらすために凝固構成において電気エネルギを電気外科ツールに印加する。本明細書で説明する様々な実施形態では、凝固の電極構成を示している。凝固構成において電気外科ツールに電気エネルギを印加する段階は、複数の電極の1つに第1の極性を有する電気エネルギを供給し、複数の電極の別の電極に第1の極性と一般的に反対の第2の極性を有する電気エネルギを供給する段階を含むことができる。望ましくは、第1の極性を有する電極と第2の極性を有する電極の間の電位差は、200Vよりも大きくなく又は僅か約200Vである。
【0238】
組織の凝固処理中に、凝固状態のフィードバックを行うために段階2958において印加電圧と生じた電流の間の位相シフトを同時に測定する。所定の切換レベルに到達した状態で、処理は、スイッチング段階2960に進む。
【0239】
スイッチング段階2960では、上述のように、電気外科ツールの一部の実施形態は、切換機構を含むハンドルアセンブリを含むことができる。このスイッチング機構は、ハンドルアセンブリのトリガの位置に基づいて、凝固構成又は切断構成に電気外科ツールを選択的に構成することができる。上述のように、一部の実施形態では、切換機構は、電気外科ツールが開放位置である状態で電極が凝固構成に構成されるように構成することができる。切換機構は、更に、電気外科ツールが閉鎖位置の方へ移動する時、電極が切断構成に構成されるよう構成することができる。他の実施形態では、凝固構成から切断構成への電極の構成のスイッチングは、ハンドルアセンブリのトリガの異なる所定の位置で行うことができる。更に別の実施形態では、スイッチングは、
図64に示すように多電極電源内で行うことができる。
【0240】
切断するために電気エネルギを印加する段階2962は、組織を切開するために切断構成において電気エネルギを電気外科ツールに印加する。本明細書で説明する様々な実施形態では、切断の電極構成を示している。例えば、切断構成において電気外科ツールに電気エネルギを印加する段階は、複数の電極の1つに電気エネルギを供給して戻り電極として複数の電極の別の電極を構成する段階を含むことができる。望ましくは、切断電極と戻り電極の間の電位差は、約300と約500Vの間にある。
【0241】
電気外科組織ステープラ
従来、生体組織の接続又再接続は、縫合糸、クリップ、又はステープルの使用を伴っている。つい最近では、電気又は熱の使用が、生体組織の接続を完了するか、又は漏れ又は出血のために接続した組織を密封するのに利用されるようになっている。
【0242】
しかし、ステープル、縫合糸、又はクリップを使用せずに生体組織の一部、特に、導管を固定又は接続する必要性が残っている。
【0243】
好ましい位置で電流密度を増大させる機能を有する固定顎により組織に送出される電気外科的に生成された電流を含む生体組織を恒久的に付着又は接続する装置及び方法を提供する。
【0244】
図66〜
図72を参照すると、細長本体3210と、作動可能なハンドル3235を含む近位端3230と、顎アセンブリを含む遠位端3220とを有する外科的組織融合又は溶着器具3200が示されている。一部の実施形態では、顎アセンブリは、固定された顎3280、及び固定された顎3280に対してピボット式に作動可能な顎3260を含むことができる。他の実施形態では、顎アセンブリは、2つの作動可能な顎を含むことができる。以下でより詳細に説明するように、組織融合又は溶着器具3200は、望ましくは、例えば、肥満学の外科的処置又は他の組織のステープルのような閉鎖が望ましい処置において適用することができるステープル固定のような処置を行うように構成することができる。
【0245】
図66〜
図68を参照すると、ある一定の実施形態では、細長本体3210は、腹腔鏡検査処置における使用に向けてトロカールカニューレのような外科アクセスポートを通じて使用されるようにサイズ決定及び構成することができる。例えば、細長本体は、トロカールカニューレのいくつかの標準サイズのうちの1つに対応する外径を有することができ、又は細長本体は、非標準な用途特異のアクセスポートのためのサイズにすることができる。他の実施形態では、細長本体3210は、ポートのない外科切開における使用に向けてサイズ決定及び構成することができる。
【0246】
図66〜
図68を引き続き参照すると、近位ハンドル3235は、ユーザの片手により使用可能であるようにサイズ決定及び構成することができる。近位ハンドル3235は、電気外科システムに関して上述した電気外科発生器のような電気外科発生器との接続電気プラグのような接続のための特徴を有することができる。一部の実施形態では、近位ハンドル3235は、作動スイッチ3240を含むことができる。作動スイッチ3240は、ユーザがデバイス3200の通電部分に選択的に通電することを可能にすることができる。近位ハンドルは、ユーザが遠位顎部分3260、3280の間に選択した組織を把持、保持、及び圧迫することを可能にするために顎アセンブリに作動的に結合された移動可能なレバー3236を含むことができる。
図66は、遠位顎分3260、3280の表面3261、3281に互いに近い閉鎖状態の電気外科ツール3200を示している。
図67〜
図68は、組織をその間に形成される間隙3295内に受け取ることができるように、遠位顎分3260、3280の表面3261、3281が互いから離間した開放状態の電気外科ツール3200を示している。
【0247】
図69〜
図72を参照すると、電気外科ツール3200の顎アセンブリ3250は、適用中のステープルアクションを模擬するようにその上に位置決めされた複数の電極を含むことができる。図示の実施形態では、複数の電極3320は、第1の固定された顎3280の対応して離間した凹部3300内に離間した横列で対に配置されている。電極は、縦方向に顎アセンブリの近位端から顎アセンブリの遠位端まで延びる4つのほぼ平行な縦列内に延びている。他の実施形態では、電極の数及び構成は図示の実施形態と異なるものとすることができるように考えられている。例えば、一部の実施形態では、第1の顎3280は、離間した単一の電極を含むことができ、他の実施形態では、第1の顎3280は、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、又は7つを超える電極の離間した横列を含むことができる。更に他の実施形態では、第1の顎3280は、例えば、角を成すか、曲線を成すか、又は成形された横列内の電極のような電極の幾何学的な構成を含むことができ、又は電極は、第1の顎3280の対応するランダムに分散した凹部にランダムに分配することができる。双極外科的処置での使用に向けて、電極は、1つの対の部材が第1の極性を有する電気エネルギ源に電気的に結合することができ、各対の第2の部材が第1の極性の反対の第2の極性を有する電気エネルギ源に電気的に結合することができるように対で適用されるように構成されることが望ましいとすることができる。図示の実施形態では、電極3320は、以下で更に説明するように、顎アセンブリ内に位置決めされた組織に接触するために選択的に拡張し、かつ凹部3300に後退するようにサイズ決定及び構成されている。
【0248】
図69〜
図72を引き続き参照すると、図示の実施形態では、第2の顎3260は、第1の顎3280にピボット回転可能に結合されている。図示のように、移動可能な第2の顎3260は、近位側ピボット点3290でヒンジで第1の顎3280に結合されている。第2の顎3260は、顎アセンブリを移動可能なレバー3236に供給される力により開閉することができるように移動可能なレバー3236に作動的に結合することができる。
【0249】
図69〜
図72を引き続き参照すると、顎アセンブリは、摺動可能又は移動可能な切断ブレードのような切断要素3371を更に含むことができる。図示の実施形態では、第1の顎3280は、切断要素3371を保持するようにサイズ決定及び構成されている直線スロット3370を含む。作動面では、切断要素は、第1の顎3280内の近位位置から第1の顎3280内の遠位位置までスロット3370に沿って前進可能である。他の実施形態では、他の切断要素3371は、電気外科ツールにおいて使用することができる。例えば、一部の実施形態は、往復移動式機械的切断ブレード又は半径方向に前進可能な切断要素を有することができる。電気外科ツールの他の実施形態は、切断電極のような電気切断要素を含むことができる。
【0250】
同じく
図73〜
図80を参照すると、ある一定の実施形態では、電極3320は、そり3380のような遠位側に移動する作動部材により上方に押圧するか又は選択的に拡張することができ、そり3380は、略平坦な細長本体3381と、望ましい間隔で電極3320に接触するように配置された少なくとも1つのカム又はピーク3385とを含む。一部の実施形態では、電極3320は、千鳥配置にすることができる。他の実施形態では、作動部材上のカム又はピーク3385は、電極3320の順次の拡張をもたらすように千鳥配置にすることができる。更に他の実施形態では、前記複数の電極3320の全ては、作動部材上の複数のカム又はピークの移動等により、略同時に選択的に拡張することができる。
【0251】
図73〜
図80を引き続き参照すると、一部の実施形態では、電気外科ツールは、望ましくは、近位レバー3236に供給される力を最大に利用して電極3320と圧迫組織3030の間で電流密度を最大に利用するために、順次拡張パターンがあらゆる特定の瞬間に又はあらゆる特定の力で拡張されたいくつかの電極3320を含むように構成される。有利な態様では、電極3320の順次拡張及び通電は、全ての電極3320が同時に通電された場合に当て嵌まるように圧迫組織3030の過大な熱による損傷を防止することができる。複数の電極3320の同時拡張を含む電気外科ツールの実施形態では、電極は、組織の熱による損傷の危険性を低減するために順番に通電することができる。
【0252】
図75を参照すると、ある一定の実施形態では、電極3320は、作動部材又はそり3380上に配置された接点を通じて、電気外科ツールに電気的に結合することができる。他の実施形態では、電極は顎アセンブリ内に縦方向に延びる1つ又はそれよりも多くのワイヤ、顎の一方の上又はその内部に配置された接触ストリップ又は別の電気的結合を通じて電気外科ツールに電気的に結合することができる。図示の実施形態では、作動部材ピーク3385と、発生器のような電力供給源に結合することができる電気外科ツールとの間の電気接点は、移動可能なアクチュエータそり3380の細長の平坦な部分3381に関連の接触ストリップ3390、3391、3392、3393によって達成することができる。そり3380は、順番に又は規則的に電極を移動させて通電するように構成することができる。様々な実施形態では、そり3380は、自動的に又は手動で制御することができる。
【0253】
以下で更に説明するように、一部の実施形態では、接触ストリップ3390、3391、3392、3393は、電気外科ツールが双極外科ツールとして作動するように電気的に通電することができる。電極3320の4つの縦方向に延びる縦列を含む図示の実施形態では(例えば、
図71を参照されたい)、接触ストリップ3390、3391、3392、3393のうちの1つは、電極の対応する縦方向の縦列内の1つ又はそれよりも多くの電極3320に電気的に結合することができる。他の実施形態では、作動部材上に4つより多いか又は少ない接触ストリップを含む他の電気接点構成が考えられている。例えば、2つの接触ストリップは、
図71に示すような4電極縦列電気外科ツール内の各々2つの縦列の電極と結合するために比較的広くすることができる。他の実施形態では、電気外科ツールは、4つより多いか又は少ない縦方向縦列の電極を有することができ、かつ対応して4つより多いか又は少ない接触ストリップを有することができる。
【0254】
図76を参照すると、電極3320は、摺動作動部材ピークにより拡張かつ後退するように構成することができる。図示の実施形態では、電極3320は、第1の顎部分3280の凹部3300内に入れ子にし、作動部材ピーク3385の相対位置に基づいて特定の位置に電極3320を維持するようにサイズ決定及び構成された平坦な本体部分3324を含む。平坦化された本体3324は、関連のカム又は接触器ピーク3385の作動に応答して電極3320を上昇するように構成された接触面323を含むことができる。電極3320の平坦化された構造部分3321は、第1の顎3280の凹部3300の孔を貫通する1対のとがった貫通要素3325、3327に移行する。
【0255】
作動面では、そり3380が遠位側に前進させられる時、電極3320及び接触器ピーク3385のカム面389の接触面323、322は、電極3320の個々の対と係合して第1の顎3280の接触面3281を超えて拡張する。そり3380が1対の電極3320を過ぎて遠位側に前進する時、この対は、第1の顎3280内に引込む。望ましくは、電極3320は、電気外科ツールが組織部位から除去されると組織内に配置されるのではなく電極拡張後に顎アセンブリ内に維持されるように構成される。図示のように、電極対3320は、平坦化された構造部分3321の上面上の接触面330が第1の顎の接触面3281と干渉するので、第1の顎3280から完全には拡張しない。図示の実施形態は、接続のための平坦化構造部分3321を有する対になった電極3320を示すが、他の実施形態では、単一の電極3320は、第1の顎の接触面3281と干渉するフレア状下部又はフランジ付き拡張部により第1の顎内に維持することができる。
【0256】
図77〜
図80を参照すると、ある一定の実施形態では、移動可能なレバー3236は、多段作動処理において顎アセンブリ及び移動可能電極を作動させるように構成される。一部の実施形態では、移動可能なレバー3236は、ユーザが移動可能な近位レバー3236を把持することに関連の第1のアクションが、顎アセンブリが人体導管又は血管3030(
図77)のようなその中に位置決めされた選択した組織を把持するというアクションであるように、顎アセンブリに作動的に結合することができる。ユーザにより移動可能なレバー3236の更に別の移動により、顎アセンブリは、移動可能な顎3260が開放状態(
図67)から閉鎖状態(
図66)の方へピボット回転し続ける時に選択及び把持された組織3030(
図78)を圧迫し始める。図示の実施形態では、移動可能なレバー3236は、移動可能なレバー3236の前進により、複数の対になった電極3320が第1の顎3280内から、移動可能な第2の顎3260(
図79−80)の対向面261上に向けてそり3380により順番に前進するように顎アセンブリ内の複数の電極3320と作動的に結合される。
【0257】
図79及び
図80を参照すると、電極3320が第1の顎3280と第2の顎3260の間に圧迫された組織3030を順番に通過する時に、電極3320は、そり3380(
図75)上の接点3390、3391、3392、3393との電気的結合により拡張される時に順番に通電される。この順次通電は、電極3320が圧迫組織3030内に拡張する時に誇張された電流密度を作り出すことができる。電極3320が拡張かつ通電された状態で、それらは、そり3380上の対応する電気接点との電気接触から順番に切り離される。切り離された電極3320は、次に、治療された組織3030と接触して冷却することができる。図示の実施形態では、作動そり3380の摺動ピーク3385と直接に接触している電極3320のみが通電される。接触器ピーク3385が完全に電極3320を拡張していずれかの特定の電極又は電極対を超えると、もはや、電気外科ツール3200が結合されている電源との以前の電極3320接続はない。他の実施形態では、電極3320の実質的に全ては、電極3320に選択的にエネルギを供給するために、電気的結合の構成により実質的に同時に通電することができる。
【0258】
図81〜
図83をここで参照すると、閉鎖、閉塞、又は密封してその後分離することができる人体導管3030の例示的な図が、電気外科ツール3200の顎アセンブリのある一定の実施形態によって示されている。
図81では、導管3030が最初に選択されて把持される。
図82〜
図83では、把持された組織3030は、遠位顎3260、3280の間に完全に圧迫される。近位ハンドル3235に関連の移動可能なレバー3236を更に作動させることができ、電極3320は、順番に通電されて上昇し、圧迫組織3030内に入る(例えば、
図77〜
図80を参照されたい)。組織3030が電極によって供給されたエネルギに応答して完全に融合又は溶着された時、
図98〜
図100に関して以下で更に説明するように、切断要素3371を選択的に前進させることができる。切断要素3371は、電極融合の横列の間に導管又は組織3030を切断するようにサイズ決定及び構成され、複数の融合横列が切断の両側に残る。電極3320は、次に、顎3260、3280が分離された時に選択された組織3030から引っ込められる(例えば、
図77〜
図80を参照されたい)。
【0259】
図84〜
図85を参照すると、双極電気外科組織融合作動のある一定の態様が示されている。以前の双極外科ツールでは、第1の極性(+)の電気エネルギは、第1のパドル3400上の表面接点電極ピン3405に供給することができ、第2の極性(−)の電気エネルギは、第2のパドル3420上の電極ピン3425に供給することができる。パドルは、第1のパドル3400が第1の部分3030の外壁3036を圧迫するように2つの部分3030、3030’を有する血管のような組織の上で圧迫することができ、第2のパドル3420は、第2の部分3030の外壁3037’を圧迫する。組織の2つの部分が互いに結合又は融合されるためには、電気エネルギは、組織部分3030、3030’の内壁3033、3034間の接続までピン3405、3425の間に比較的長い距離を進まなければならない。ピンの間の距離が双極電気外科器具において増加する時に、電流密度は、減少する傾向がある。従って、このようなデバイスを使用してかなり長い持続時間にわたって電気エネルギを印加することが必要である可能性があり、組織3030、3030’は、望ましくないほど損傷する可能性がある。
【0260】
図86〜
図91を参照すると、有利な態様では、電気外科ツール3200を用いて、短い持続時間の高電流密度により、有効な密封/結合を発生させることができ、かつ放射熱の影響は最小か又は実質的にない。従来の表面接触電極とは異なり、電気外科ツール3200内の例示的な挿入電極3325は、密集した電流通路を発生させることができ、従って、圧迫組織3030内での熱活動が高まる。電気外科表面の放射に付随する熱の損傷の限界は、潜在的に注目に値するものであり、従って、放射熱の損傷の限界の最小化又は排除は、例えば、鋭い又はテーパ付き先端3326のような電極3325を挿入することによって、電極3325が融合すべき組織を貫通することを可能にする。他の実施形態では、電極3325は、それ以外に特定の位置でエネルギを集中又は集束させる方式で電流通路を誘導するように構成することができる。
【0261】
電極3325に関連の活動の断面図を
図86〜
図91で見ることができ、貫通電極要素3325は、組織3030内に接続面3470を作り出すために、テーパ付き先端3326のアクションを通じて一部の圧迫組織3030を通して挿通又は挿入される。エネルギ源からのエネルギは、電極3325に供給され、次に、接続面3470から半径方向に隣接組織に放射される。組織は、通電されると流体含有量を失う特定の温度まで加熱される。組織3030は、次に、架橋と似た方法で細胞レベルで融合される。この架橋コラーゲンは、変性セルの連続的な構造体3465を形成する。電極3325が除去された時、変性構造体3465は残る。
図89〜
図91に示すように、変性した構造体3465は、閉鎖又は閉塞を形成するために圧迫された圧迫導管3030の2つの対向壁部3033、3034のような組織3030、3030’の2つの部分の間の接続構造体3475として機能することができる。本明細書で説明する電気外科ツール3200で融合された時、変性構造体3475は、一般的に、電気外科ツール3200の顎3260、3280の間に圧迫されて移動可能な電極3320により通電された組織全体を貫通する。変性構造体3475は、広い第1の挿入部分、狭い中間部分、及び広い出口部分がある「砂時計」形状に似ているとすることができる。
【0262】
電気外科では、処置のタイミング及び温度の管理が伴っている。組織内の生成熱が過少であると、組織は、適切に融合又は溶着することができず、組織内の生成熱が過大であると、組織が破裂し、従って、合併症になる場合がある。従って、電気外科ツールは、生体組織内の変数により影響を受け難いものとすることができる。器具は、治療された組織内で発生する条件を測定するか、又はその条件に応答するフィードバックシステムに結合することができる。例えば、電気外科ツールは、電流に対する抵抗が生じるように加熱段階中に組織を乾燥させることができる。一部の実施形態では、その抵抗は、測定されるか、又はそうでなければ電極への電気外科エネルギの送出を制御するために使用することができる。一部の実施形態では、電気外科エネルギの開始と電気外科エネルギの送出中のあらゆるその後の点の間の相変化は、送出を制御するのに使用することができる。他の実施形態では、治療後の組織の温度の測定を使用して送出を制御することもできる。
【0263】
導管閉塞の様々な方法の間の比較は、
図92〜
図95において認識することができる。
図92は、縫合された導管3030を示している。縫合された導管3030は、少なくとも1つの結び目3481で終る複数の個々の又は使用中の縫合糸3480を含む。縫合処理には、専門知識が必要とされ、時間を消費するものである可能性があり、必ずしも結果として最適な閉塞にはならない場合がある。従って、導管3030は、漏れ又は滲出が発生する場合がある。
【0264】
図93は、複数のステープル3490が導管3030に挿入されたステープル固定された導管3030を示している。ステープル3490は、導管3030内に留まって導管に閉塞力を印加する折り目3491を有する。外科ステープラを使用するステープル固定により、多くの場合、縫合よりも確実な閉鎖がもたらされる。しかし、ステープル固定でさえも、縫合を用いて閉鎖を完了させる場合があり、その理由は、ステープル3490は、組織厚み又は肌目の大きな変動に対処することができないからである。いくつかの外科的処置では、ステープル固定を使用する。これらの場合、殆どのステープル3490は、手術部位内に残る。通常、ステープル3490は、チタンのような金属から作られる。多大の力が、対象の組織を閉塞させ(3030)、その後ステープルを挿入し(3490)、適切に折る(3491)のに必要な全てのアクションをもたらすためにステープルデバイスの顎部分に印加されることが認められるであろう。ステープル3490を保持するカートリッジは、複雑かつ高価なデバイスであって、ステープル3490の1回分の装着量しか保持しないことにも注意すべきである。従って、一般的に、典型的な外科的処置中にステープル固定器具の数回の交換がある。例えば、腸に関連する外科的処置中に、各カートリッジが最大36個又はより多くのステープルを保持するとして、3個〜10個のステープルカートリッジを使用するのは珍しいことではない。取り残される残留金属塊は、従って、重要である。更に、除去が所望された場合、ステープルは、簡単には切断されず、更に、その一部は切断処置中に取り外される場合がある。従って、それによって体腔内での金属片残留が発生する場合がある。更に、電気メスが、ステープル固定された血管又は導管3030を完全に密封するのに使用されることが多い。
【0265】
図94を参照すると、
図84及び
図85に関して上述した表面接触電極により印加されるような圧迫外部電気外科融合は、小血管又は導管に適切とすることができる。しかし、上述のように、特により大きな導管3030では、これらの治療法の使用に関連の過度の放射熱による損傷がある場合がある。残留組織の再生を排除するか、又は脈管再灌流又は再生を妨げる熱による損傷は、殆どの場合望ましくないものである。従って、圧迫外部電気外科融合は、熱による損傷が発生する可能性がある比較的より大きな血管又は導管では望ましくないとすることができる。更に、一部の場合には、圧迫電気外科融合は、十分な圧迫力を供給することができないことがあり、従って、導管壁部3031の近くで非閉塞区域3032が発生する。縫合及びステープル固定は、殆どの場合、適切に行われた時には再生を受け入れる。しかし、外科ステープル固定は、多くの場合に、送出デバイスが組織厚み又はきめの変動に対して十分に補償しないので、残留組織の壊死の原因になる可能性がある。
【0266】
上述の内容及び
図94から明らかなように、本明細書で説明する電気外科ツール3200は、複数のステープルの配置を真似る方式で融合又は溶着することができる。治療された組織の部分は、ステープルによって作られた接続に似ている。更に、本明細書で説明する電気外科ツール3200に関しては、ステープラと異なり、第2の閉鎖顎は、ステープル脚部の折り又は曲げのためのアンビルをもたらすほど十分な強度である必要はない。従って、電気外科ツール3200は、特に、デバイスを小さい管状アクセスポートを通じて操作すべきである場合がある用途において有利とすることができる。
【0267】
図95を参照すると、選択した組織を圧迫し、かつ本明細書で説明するように電気外科ツール3200で例えばその後複数の変性した接続構造体3475を作り出すことにより、閉塞時の安全性と最小の熱放射による損傷の組合せが得られる。残留組織の壊死の適切な脈管再生及び最小化も得られる。従って、導管閉塞に対して本明細書で説明する電気外科ツール3200の使用は、望ましくは、外部接点電気外科融合の欠点の低減と共に組織縫合又はステープル固定の利点をもたらすことができる。有利な態様では、本明細書で説明するように電気外科ツール3200で導管を密封することは、外科医により比較的迅速かつ簡単に達成することができる。
【0268】
図96を参照すると、電気外科ツールの様々な実施形態の密封強度に関する実験データが、グラフを使用して示されている。本明細書で説明するように電気外科ツール3200のシールの強度を明らかにするために様々な実験をブタ小腸組織に行った。0〜0.055インチの溝幅(すなわち、隣接電極の間の間隔)を有するツールを使用して、本明細書で説明する電気外科ツール3200及び測定したそのバースト圧力を使用してブタ腸組織を密封した。制御事項として、腸組織の従来通りにステープル固定された区画は、0.5±0.1ポンド/平方インチのバースト圧力に耐えることができることを最初に確立させた。複数の試験を様々な溝幅で行い、結果の統計範囲を
図96にプロットし、各溝幅の平均データは、その範囲で指定した点に示されている。
図96から明らかなように、比較的小さい溝幅に対して、電気外科ツール3200は、従来のステープル固定に勝る腸組織密封バースト強度を作り出すことができる。比較的大きな溝幅に対して、電気外科ツール3200は、従来のステープル固定と同様か又は僅かに劣る性能である腸組織密封バースト強度を作り出すことができる。従って、本明細書で説明する電気外科ツール3200は、バースト強度が同様か又は増大し、同時により速くかつ簡単に使え、かつ上述の他の利点も有する。
【0269】
図97〜
図100を参照すると、上述のように、一部の実施形態では、電気外科ツール3200の顎アセンブリは、選択的に作動可能な切断構成要素のような切断要素3371を含むことができる。切断構成要素は、近位位置と遠位位置の間で顎アセンブリの顎の間に圧迫された切断組織まで選択的に移動させることができる。様々な実施形態では、切断要素3371は、鋭いブレード、フック、ナイフ、又は圧迫組織において変性構造体3475の間に切断するようにサイズ決定及び構成された他の切断要素とすることができる。
図99に示すように、一部の実施形態では、切断要素3371は、切断要素3371が鋭いブレード3372に向けて一方向に移動する時に組織の切断を可能にするために近位端又は遠位端の一方上に鋭いブレード3372を含む。
図100に示すように、一部の実施形態では、切断要素3371は、切断要素3371が固定された顎3280のスロット3370に沿って近位側に又は遠位側に移動する時に組織の切断を可能にするために、各々の近位端及び切断要素3371の遠位端上の第1の鋭いブレード3372及び第2の鋭いブレード373を含む。
【0270】
図示の実施形態では、切断要素は、機械的構成要素として示されているが、他の実施形態では、切断要素3371は、発生器又は電源によって選択的に通電することができるエネルギ供給可能な要素又はワイヤを含むことができる。電気外科切断要素3371は、圧迫及び融合された組織部分を簡単に分離することができ、治療された組織3030に関連の内腔3032の流体閉塞又は付加的な密封を更に提供することができる。
【0271】
図101〜
図106は、本明細書で説明する電気外科ツール3200のような電気外科ツールに使用する電流強化要素3500、3510、3520、3522、3524、3526、3530、3540、3545、3550の様々な構成を示している。これらの要素は、圧迫組織3030の位置上又はその位置内にエネルギを集束させるか又は誘導するように構成することができる。従って、様々な実施形態では、電気外科ツールは、上述のように、複数の拡張可能電極の代わりに又はそれに加えて複数の電流強化要素を含むことができる。様々な電流強化要素の各々は、他の考慮事項の中でもとりわけ、所望される組織貫通の深さ及び所望されるエネルギ増大の程度によって特定の外科環境に望ましいとすることができる。一部の実施形態では、電気外科ツールは、顎アセンブリの一方の顎上に上述のような複数の拡張可能電極、及び顎アセンブリの他方の顎上に複数の電流強化要素を含むことができる。他の実施形態では、電気外科ツールは、顎アセンブリの一方の顎上に第1の複数の電流強化要素及び顎アセンブリの他方の顎上に第2の複数の電流強化要素を含むことができる。
【0272】
一部の実施形態では、これらの要素は、
図101に示すように、エネルギホーンとして機能する孔3500を含むことができる。他の実施形態では、これらの要素は、
図102に示すように、固定又は移動可能であるロッド3510又はスパイクを更に含むことができる。代替実施形態として、一部の用途では、複数のかすかな円弧又はマウンド3520のような侵入性が小さい構成を使用することができる(
図103a)。一部の用途は、複数の浮き上がった正方形3522(
図103b)、ロッド3524(
図103c)、「ボールカップ」のような構成3526(
図103d)、又はエネルギを端部及びコーナで集束又は集中させることができる矩形3530(
図104)を含む若干侵入性が高い構成を好む場合がある。他の実施形態では、要素は、複数の細長横列3540(
図105a)、又はソケット−アンド−スピケット3545(
図105b)を含むことができる。他の実施形態では、要素は、組織の表面に貫入するようにサイズ決定及び構成された複数のピラミッド又は円錐3550(
図106)などを含むことができる。
【0273】
図107は、電気外科ツールで圧迫及び融合された組織の断面図を示している。図示のように、組織3030は、上顎3260及び下顎3280要素の正方形模様による実施形態では圧迫され、かつ電気RF電流又は熱エネルギを受ける。このエネルギ印加は、双極電気外科ユニットに上部及び下部の顎要素の両方を接続することにより、又は各顎要素内に電気(オーム性)加熱器を封入することによって達成することができる。たとえ「未圧迫」組織区域の間に何らかの圧迫、並びに「未圧迫」組織区域への何らかのエネルギ剰余の可能性があるとしても、直接に圧迫かつ通電された組織区域は、一斉に融合する第1の区域となり、かつ密封する唯一の区域とすることができる。
【0274】
図108aを参照すると、融合及び分離された血管3030の得られた結果の外観の例が示されている。図示のように、密封及び切断された血管の2つの区画の各々は、電極又は電流強化要素のパターンに対応するパターンを含むことができる。例えば、
図103a〜
図103bに示すように、血管の分割された部分は、それぞれの二重横列の融合された正方形部により流体が漏れないように各々密封されている。融合された正方形部間の組織は、他方では、融合又は接続さえする必要がない。例えば、
図108bを参照すると、
図108aの線8−8に沿った断面では、切断された血管内の融合区域と非融合区域が示されている。この例では、融合されかつ変性した組織要素(正方形)は、反対側の組織区域に接続されていない組織区域によって分離される。
【0275】
図109aは、2つの二重横列の丸い区域の組織を結合して2つの二重横列の間の組織を切断することによって得られた例示的な密封及び切断された組織セグメント3030を示している。組織の分割された部分は、それぞれの二重横列の融合された円により流体が漏れないように各々密封されている。融合された円間の組織は、他方では、融合又は接続さえする必要がない。これは、例えば、
図109bに示しており、
図109bは、
図109aの線9−9行に沿った断面を示している。この例では、融合されかつ変性した組織要素(円形)は、接続されていない(反対側の組織区域に対して)組織区域によって分離される。
【0276】
図110を参照すると、正方形の模様による凹部を有する電気外科ツールの顎アセンブリ3250内の組織3030を断面で示している。図示のように、組織3030は、上部及び下部の顎要素の正方形パターンで圧迫される。電気外科ツールの一部の実施形態では、エネルギは、超音波エネルギを上部電極に印加することによって組織に供給することができ、超音波エネルギは、上部及び下部の顎要素の両方との組織の摩擦を引き起こすことができる。
図110の上顎要素の移動は、例示的な目的のために、引き込み平面と平行であるように示されているが、その移動は、横方向に行うこともできる。組織による熱伝導を通じて「未圧迫」組織区域内への「未圧迫」組織区域間の何らかの圧迫があったとしても、直接に圧迫かつ通電された組織区域は、最初に融合することができ、密封する唯一の区域とすることができる。
【0277】
図111を参照すると、正方形の模様による凹部を有する電気外科ツールの顎アセンブリ3250内の組織3030が断面で示されている。エネルギは、次に、例えば正方形の模様による区域内のファイバ−光ケーブルを通じて供給されるUV及び/又はIR放射線の照射によって組織に供給される。「未圧迫」組織区域間の圧迫、並びに散乱による「未圧迫」組織区域内への何らかのUR/IRエネルギの余剰があったとしても、直接に圧迫かつ通電された組織区域は、第1の区域とになり、かつ密封する唯一の区域とすることができる。
【0278】
UV(200〜400ナノメートル)は、タンパク質(及びヘモグロビン)により吸収されて、タンパク質内の化学結合の分裂をもたらし、一方、IR(>1マイクロメートル)は、水で有意に吸収され、組織の加熱が発生すると考えられる。300〜500ナノメートルのスペクトル範囲のインコヒーレントUVを使用した固定された動脈の融合は、動脈を実質的に加熱することなく達成することができることが明らかにされている。UVによる加圧組織の照射により、コラーゲンは、乾燥又は熱的に誘発されたコラーゲン変性なしで、光化学反応を通じて互いを結び付くことができる。
【0279】
一態様では、組織は、複数のステープルの配置に似た方法で融合又は溶着される。治療された組織の部分は、ステープルによって行われた接続に似ている。しかし、電気外科ツールを使用すると、単一の把持処置が、何十ものステープルの解放を模擬することができ、従って、外科のためのステープラによる類似の処置に勝る大幅な時間節約をもたらす。外科ステープラと比較した時、有利な態様では、電気外科ツールの第2の閉鎖顎は、ステープル脚部の折り又は曲げのためのアンビルをもたらすほど十分な強度である必要はない。それは、従って、デバイスを小さい管状アクセスポートを通じて操作すべきである腹腔鏡検査用途に好ましいとすることができる。
【0280】
本出願ではある一定の好ましい実施形態及び実施例を開示するが、本発明が具体的に開示した実施形態を超えて他の代替的な実施形態及び/又は本発明の用途及び明らかな修正及びその均等物にまで拡張されることは、当業者によって理解されるであろう。更に、これらの本発明の様々な特徴は、単独に又は明示的に上述したもの以外のこれらの本発明の他の特徴と組み合わせて使用することができる。すなわち、本明細書に開示する本発明の範囲は、上述の特定の開示した実施形態により制限されるべきではなく、以下の特許請求の範囲の正当な判読によってのみ判断されるべきであることが意図されている。
【0281】
以下に本発明の実施態様を記載する。
(実施態様1)第1の顎と、
前記第1の顎に対してピボット回転可能な第2の顎と、
前記第1の顎上に位置決めされた第1の電極,前記第1の顎上に位置決めされた第2の電極,及び,前記第1の顎上に位置決めされた第3の電極,を含む複数の電極と、
を含む電気外科ツールであって、
凝固構成において、前記第1、第2、及び第3の電極の少なくとも1つが、第1の極性を有する電気エネルギ源に電気的に結合され、該複数の電極の少なくとも1つの他のものが、該第1の極性と一般的に反対の第2の極性を有する電気エネルギ源に電気的に結合されるように、かつ切断構成において、該第1、第2、及び第3の電極のうちの1つが、切断電圧を有する電気エネルギ源に電気的に結合され、該複数の電極の少なくとも1つの他のものが、戻り電極であるように構成されるように選択的に構成可能である、ことを特徴とする電気外科ツール。
(実施態様2)前記凝固構成において、前記第1の電極は、前記第1の極性を有する前記電気エネルギ源に電気的に結合され、前記第2の電極は、前記第2の極性を有する前記電気エネルギ源に電気的に結合されることを特徴とする実施態様1に記載の電気外科ツール。
(実施態様3)前記切断構成において、前記第3の電極は、前記切断電圧を有する前記電気エネルギ源に電気的に結合され、前記第1及び第2の電極は、戻り電極であるように構成されることを特徴とする実施態様1に記載の電気外科ツール。
(実施態様4)前記第3の電極は、露出面区域を有し、前記第1及び第2の電極は、露出結合面区域を有し、
前記第3の電極の前記露出面区域は、前記第1及び第2の電極の前記露出結合面区域よりも小さい、ことを特徴とする実施態様3に記載の電気外科ツール。
(実施態様5)前記第1、第2、及び第3の電極を互いから絶縁する1つ又はそれよりも多くの絶縁部材を更に含むことを特徴とする実施態様1に記載の電気外科ツール。
(実施態様6)前記1つ又はそれよりも多くの絶縁部材は、前記第1の電極と前記第3の電極の間で前記第1の顎上に配置された第1の絶縁部材と、該第3の電極と前記第2の電極の間で該第1の顎上に配置された第2の絶縁部材と、を含むことを特徴とする実施態様5に記載の電気外科ツール。
(実施態様7)前記凝固構成において、前記第1の極性を有する前記電気エネルギ源と前記第2の極性を有する前記電気エネルギ源との間の電位差が、約200Vよりも大きくないことを特徴とする実施態様1に記載の電気外科ツール。
(実施態様8)前記切断構成において、切断電圧を有する前記電気エネルギ源と前記戻り電極との間の電位差が、約300Vと約500Vの間であることを特徴とする実施態様1に記載の電気外科ツール。
(実施態様9)前記第2の顎上に位置決めされた第4の電極を更に含むことを特徴とする実施態様1に記載の電気外科ツール。
(実施態様10)前記凝固構成において、前記第1及び第2の電極は、前記第1の極性を有する前記電気エネルギ源に電気的に結合され、前記第4の電極は、前記第2の極性を有する前記電気エネルギ源に電気的に結合されることを特徴とする実施態様9に記載の電気外科ツール。
(実施態様11)前記切断構成において、前記第3の電極は、前記切断電圧を有する前記電気エネルギ源に電気的に結合され、前記第4の電極は、戻り電極として構成されることを特徴とする実施態様9に記載の電気外科ツール。
(実施態様12)前記第2の顎上に位置決めされた第5の電極を更に含むことを特徴とする実施態様9に記載の電気外科ツール。
(実施態様13)前記凝固構成において、前記第1及び第2の電極の一方及び前記第4及び第5の電極の一方が、前記第1の極性を有する前記電気エネルギ源と電気的に結合され、該第1及び第2の電極の他方及び該第4及び第5の電極の他方が、前記第2の極性を有する前記電気エネルギ源に電気的に結合されることを特徴とする実施態様12に記載の電気外科ツール。
(実施態様14)前記切断構成において、前記第3の電極は、前記切断電圧を有する前記電気エネルギ源に電気的に結合され、前記第1の電極、前記第2の電極、前記第4の電極、及び前記第5の電極のうちの少なくとも1つが、戻り電極として構成されることを特徴とする実施態様12に記載の電気外科ツール。
(実施態様15)スイッチの作動によって前記凝固構成と前記切断構成の間で選択的に構成可能であることを特徴とする実施態様1に記載の電気外科ツール。
(実施態様16)開放位置と閉鎖位置の間で前記第1の顎及び前記第2の顎を互いに対してピボット回転させるように作動可能なハンドルアセンブリを更に含み、
前記スイッチは、前記ハンドルアセンブリの移動によって作動される、ことを特徴とする実施態様15の電気外科ツール。
(実施態様17)前記スイッチは、前記顎が前記開放位置にある時に電気外科ツールが前記凝固構成にあり、且つ、該顎が前記閉鎖位置に向けて移動される時に電気外科ツールが前記切断構成にあるように構成されていることを特徴とする実施態様16に記載の電気外科ツール。
【0282】
(実施態様18)遠位端及び近位端を有する電気外科ツールであって、
第1の顎要素,前記第1の顎要素と互いに対して開放位置と閉鎖位置の間で移動可能である第2の顎要素,及び,前記第1の顎要素及び前記第2の顎要素の少なくとも一方に配置され、凝固構成及び切断構成の一方に選択的に構成可能な複数の電極,を含む、ツールの遠位端に位置決めされた遠位末端部分と、
前記遠位末端部分に接続した遠位端と近位端とを有する細長シャフトと、
ツールの近位端に位置決めされ、かつ前記細長シャフトの前記近位端に接続され、手持部分,及び,前記手持部分にピボット回転可能に結合されたトリガであって、該手持部分に対するトリガの移動が前記第1及び第2の顎要素を互いに対して移動させるように前記遠位末端部分に作動可能に結合されたトリガ,を含むハンドルアセンブリと、
前記複数の電極を前記凝固構成及び前記切断構成の一方に選択的に構成するように前記遠位末端部分に電気的に結合されたスイッチング機構と、を含むことを特徴とするツール。
(実施態様19)前記スイッチング機構は、前記手持部分に対する前記トリガの移動によって、前記トリガの移動が前記複数の電極を前記凝固構成及び前記切断構成の一方に選択的に構成するように作動可能であることを特徴とする実施態様18に記載の電気外科ツール。
(実施態様20)前記スイッチング機構は、前記第1の顎要素及び前記第2の要素が前記開放位置にある時に、前記複数の電極を前記凝固構成に構成することを特徴とする実施態様19に記載である電気外科ツール。
(実施態様21)前記スイッチング機構は、前記第1の顎要素及び前記第2の顎要素が前記開放位置から前記閉鎖位置に向けて移動する時に、前記複数の電極を前記切断構成に構成することを特徴とする実施態様19に記載の電気外科ツール。
(実施態様22)前記スイッチング機構は、
全てが前記手持部分上に位置決めされた第1の電気接点、第2の電気接点、及び第3の電気接点と、
前記トリガ上に位置決めされた第4の電気接点及び第5の電気接点と、
を含む、ことを特徴とする実施態様19に記載の電気外科ツール。
(実施態様23)前記第1の電気接点、第2の電気接点、第3の電気接点、第4の電気接点、及び第5の電気接点は、前記トリガ及び前記手持部分の所定の相対位置で互いに係合及び離脱するように位置決めされることを特徴とする実施態様22に記載の電気外科ツール。
(実施態様24)前記第1の顎要素及び前記第2の顎要素が開放位置にある時に、前記トリガ上の前記第4の電気接点は、前記手持部分上の前記第1の電気接点と係合し、該トリガ上の前記第5の電気接点は、該手持部分上の前記第2の電気接点と係合することを特徴とする実施態様22に記載の電気外科ツール。
(実施態様25)前記第1の顎要素及び前記第2の顎要素が前記開放位置と前記閉鎖位置の間にある時に、前記トリガ上の前記第4の電気接点は、前記手持部分上の前記第2の電気接点と係合し、該トリガ上の前記第5の電気接点は、該手持部分上の前記第3の電気接点と係合することを特徴とする実施態様22に記載の電気外科ツール。
(実施態様26)前記スイッチング機構は、前記手持部分上に配置された複数の接触ストリップと、前記トリガ上に装着された複数の接触ピンと、を含むことを特徴とする実施態様19に記載の電気外科ツール。
(実施態様27)前記複数のピンは、2本のピンを含むことを特徴とする実施態様26に記載の電気外科ツール。
(実施態様28)前記複数の接触ストリップは、2つの同心接触ストリップを含むことを特徴とする実施態様26に記載の電気外科ツール。
(実施態様29)前記スイッチング機構は、単極電気スイッチ及び二極電気スイッチを含むことを特徴とする実施態様18に記載の電気外科ツール。
(実施態様30)前記スイッチング機構は、第1の二極電気スイッチ及び第2の二極電気スイッチを含むことを特徴とする実施態様18に記載の電気外科ツール。
(実施態様31)前記スイッチング機構は、第3の二極電気スイッチを更に含むことを特徴とする実施態様30に記載の電気外科ツール。
(実施態様32)前記スイッチング機構は、多電極スイッチング電源を含むことを特徴とする実施態様18に記載の電気外科ツール。
【0283】
(実施態様33)生物組織の実質的に無血の切開の方法であって、
凝固構成及び切断構成の一方に構成可能な複数の電極を含む電気外科ツールを切開される組織に隣接して位置決めする段階と、
前記組織で止血を達成するために前記凝固構成において前記電気外科ツールに電気エネルギを印加する段階と、
前記電気外科ツールを前記切断構成にスイッチングする段階と、
前記切断構成において前記電気外科ツールに電気エネルギを印加する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
(実施態様34)前記凝固構成において前記電気外科ツールに電気エネルギを印加する前に、切開される前記組織を評価する段階と、
前記凝固構成において前記電気外科ツールに電気エネルギを印加中に、前記組織の特性を測定する段階と、
を更に含むことを特徴とする実施態様33に記載の方法。
(実施態様35)切開される前記組織を評価する段階は、前記凝固構成において前記電極によって測定信号を切開される該組織を通して印加する段階を含むことを特徴とする実施態様34に記載の方法。
(実施態様36)前記測定信号は、前記組織の導電率及び誘電率を評価することを特徴とする実施態様35に記載の方法。
(実施態様37)前記凝固構成において前記電気外科ツールに電気エネルギを印加中に、前記組織の特性を測定する段階は、印加電圧と該組織に生じた電流の間の位相シフトを測定する段階を含むことを特徴とする実施態様34に記載の方法。
(実施態様38)前記電気外科ツールを切断構成にスイッチングする段階は、多電極スイッチング電源の継電器列内の継電器を選択的にスイッチングする段階を含むことを特徴とする実施態様34に記載の方法。
(実施態様39)前記電気外科ツールは、トリガを有するハンドルアセンブリと、該トリガの移動が開放位置と閉鎖位置の間で顎アセンブリを移動させるように該ハンドルアセンブリの該トリガに作動的に結合された顎アセンブリとを含み、
前記複数の電極は、前記顎アセンブリ上に位置決めされ、
スイッチング機構が、前記ハンドルアセンブリに電気的に結合され、
前記電気外科ツールを前記切断構成にスイッチングする段階は、前記スイッチング機構を作動させるために前記トリガを所定の方向に移動させる段階を含む、
ことを特徴とする実施態様33に記載の方法。
(実施態様40)前記電気外科ツールを前記切断構成にスイッチングする段階は、前記トリガを移動して前記顎アセンブリを前記開放位置から前記閉鎖位置まで移動する段階を含むことを特徴とする実施態様39に記載の方法。
(実施態様41)前記凝固構成において前記電気外科ツールに電気エネルギを印加する段階は、前記複数の電極の1つに第1の極性を有する電気エネルギを供給し、該複数の電極の別のものに該第1の極性と一般的に反対の第2の極性を有する電気エネルギを供給する段階を含むことを特徴とする実施態様33に記載の方法。
(実施態様42)前記凝固構成において前記電気外科ツールに電気エネルギを印加する段階は、前記第1の極性を有する前記電気エネルギ源と前記第2の極性を有する前記電気エネルギ源の間の約200Vよりも大きくない電位差を維持する段階を含むことを特徴とする実施態様41に記載の方法。
(実施態様43)前記切断構成において前記電気外科ツールに電気エネルギを印加する段階は、前記複数の電極の1つに電気エネルギを供給し、該複数の電極の別のものを戻り電極として構成する段階を含むことを特徴とする実施態様33に記載の方法。
(実施態様44)前記切断構成において前記電気外科ツールに電気エネルギを印加する段階は、前記電気エネルギと前記戻り電極の間の約300Vと約500Vの間の電位差を維持する段階を含むことを特徴とする実施態様43に記載の方法。
【0284】
(実施態様45)固定ハンドル,及び,前記固定ハンドルに移動可能に結合された作動ハンドル,を含むハンドルアセンブリと、
中心縦軸をその間に形成する近位端及び遠位端を有し、前記ハンドルから遠位側に延びる細長シャフトと、
前記細長シャフトの前記遠位端上に位置決めされた顎アセンブリであって、内面と,外面と,該内面上に配置された少なくとも1つの電極とを有する第1の顎、及び、内面と,外面と,該内面上に配置された少なくとも1つの電極とを有する第2の顎、を含み、前記第1の顎の前記内面が前記第2の顎の前記内面から離間した開放構成から、該第1の顎の該内面が該第2の顎の該内面に近い閉鎖構成まで前記作動ハンドルの移動によって作動可能である、前記顎アセンブリと、
前記ハンドルアセンブリを前記顎アセンブリに結合する力調節機構であって、前記閉鎖構成において、該顎アセンブリが前記第1の顎と前記第2の顎の間に所定の最小力と所定の最大力の間の把持力を送出するように構成された、前記力調節機構と、
を含むことを特徴とする電気外科ツール。
(実施態様46)前記力調節機構は、
前記作動ハンドルを前記固定ハンドルに結合し、該固定ハンドルに対して縦方向に摺動可能に位置決めされた第1のピボット点と、
前記作動ハンドルを前記固定ハンドルに結合し、該固定ハンドルに対して摺動可能な第2のピボット点と、
所定の前負荷を用いて前記第2のピボット点を付勢するアクチュエータバネと、
を含む、ことを特徴とする実施態様45に記載の電気外科ツール。
(実施態様47)前記力調節機構は、作動部材と、前記細長シャフトに対して縦方向に移動可能であり、かつ前記ハンドルアセンブリを前記顎アセンブリに結合する作動ロッドとを更に含むことを特徴とする実施態様46に記載の電気外科ツール。
(実施態様48)前記ハンドルアセンブリは、前記第2のピボット点の作動経路を定める少なくとも1つのガイドを含むことを特徴とする実施態様46に記載の電気外科ツール。
(実施態様49)前記力調節機構は、前記顎アセンブリが、前記第1及び第2の顎の間に3kg/cm
2と39kg/cm
2の間の圧力を生じる把持力を送出するように構成されることを特徴とする実施態様45に記載の電気外科ツール。
(実施態様50)前記力調節機構は、前記顎アセンブリが、前記顎の間に約23kg/cm
2の平均圧力を生じる把持力を送出するように構成されることを特徴とする実施態様49に記載の電気外科ツール。
(実施態様51)前記顎アセンブリは、近位端及び遠位端を有し、前記顎間の前記圧力は、該顎アセンブリの該近位端で第1の圧力、及び該顎アセンブリの該遠位端で該第1の圧力よりも小さい第2の圧力を有し、
前記第1の圧力及び前記第2の圧力の両方が、3kg/cm
2と39kg/cm
2の間である、ことを特徴とする実施態様49に記載の電気外科ツール。
(実施態様52)前記顎アセンブリは、前記第1の顎及び前記第2の顎の一方に位置決めされて近位位置から遠位位置まで前進可能である切断ブレードを更に含むことを特徴とする実施態様45に記載の電気外科ツール。
(実施態様53)前記ハンドルアセンブリは、前記固定ハンドルに対して移動可能なトリガを更に含み、該トリガは、該トリガの移動が前記近位位置と前記遠位位置の間で前記切断ブレードを移動するように該切断ブレードに結合されることを特徴とする実施態様52に記載の電気外科ツール。
(実施態様54)前記第1の顎は、近位端及び遠位端を有し、
前記第2の顎は、近位端及び遠位端を有し、
前記第2の顎の前記遠位端は、前記顎アセンブリが前記閉鎖構成にある時に前記第1の顎の前記遠位端よりも更に遠位側に延びる、
ことを特徴とする実施態様45に記載の電気外科ツール。
(実施態様55)前記第2の顎の前記遠位端の外面上に位置決めされた切断電極を更に含むことを特徴とする実施態様54に記載の電気外科ツール。
(実施態様56)前記顎アセンブリを前記ハンドルアセンブリに接続する回転カプリングを更に含むことを特徴とする実施態様45に記載の電気外科ツール。
(実施態様57)前記回転カプリングは、前記ハンドルアセンブリに対する前記中心縦軸周りの前記顎アセンブリの無限の回転を可能にするように構成されることを特徴とする実施態様56に記載の電気外科ツール。
【0285】
(実施態様58)移動可能作動ハンドルを含むハンドルアセンブリと、
前記ハンドルから遠位側に延び、中心縦軸をその間に形成する近位端及び遠位端を有する細長シャフトと、
前記細長シャフトの前記遠位端上に位置決めされた顎アセンブリであって、内面と,外面と,近位端及び遠位端と,該内面上に配置された少なくとも1つの電極と,を有する第1の顎、内面と,外面と,近位端及び遠位端と,該内面上に配置された少なくとも1つの電極と,を有する第2の顎、及び、前記第1の顎の前記内面に沿って、前記近位端に隣接する後退位置と該近位端と前記遠位端の間の前進位置との間に形成された切断経路に沿って前進可能なブレード、を含む前記顎アセンブリと、
を備え、
前記顎アセンブリは、前記作動ハンドルの移動によって開放構成から閉鎖構成まで作動可能であり、
前記第1の顎上の前記少なくとも1つの電極及び前記第2の顎上の前記少なくとも1つの電極が、前記ブレードの前記切断経路を取り囲む密封区域を形成する、
ことを特徴とする電気外科ツール。
(実施態様59)前記第1の顎の前記内面上に配置された前記少なくとも1つの電極は、前記第1の顎に沿って前記近位端から前記遠位端に向けて縦方向に延びる2つのほぼ平行な脚部と、該2つのほぼ平行な脚部の間に延びて該第1の顎の該遠位端に隣接して位置決めされた湾曲コネクタ部分と、を有する略U字形の電極を含み、
前記第2の顎の前記内面上に配置された前記少なくとも1つの電極は、前記第2の顎に沿って前記近位端から前記遠位端に向けて縦方向に延びる2つのほぼ平行な脚部と、該2つのほぼ平行な脚部の間に延びて該第2の顎の該遠位端に隣接して位置決めされた湾曲コネクタ部分と、を有する略U字形の電極を含む、
ことを特徴とする実施態様58に記載の電気外科ツール。
(実施態様60)前記第1の顎の前記内面上に配置された前記少なくとも1つの電極は、前記第1の顎に沿って前記近位端から前記遠位端に向けて縦方向に延びる2つのほぼ平行な脚部と、該2つのほぼ平行な脚部の間に延びて該第1の顎の該遠位端に隣接して位置決めされた湾曲コネクタ部分と、を各々有する2つの略U字形の電極を含み、
前記第2の顎の前記内面上に配置された前記少なくとも1つの電極は、前記第2の顎に沿って前記近位端から前記遠位端に向けて縦方向に延びる2つのほぼ平行な脚部と、該2つのほぼ平行な脚部の間に延びて該第2の顎の該遠位端に隣接して位置決めされた湾曲コネクタ部分と、を各々有する2つの略U字形の電極を含む、
ことを特徴とする実施態様58に記載の電気外科ツール。
(実施態様61)前記第1の顎上の前記2つの略U字形の電極は、少なくとも1つの橋部材によって接続され、前記第2の顎上の前記2つの略U字形の電極は、少なくとも1つの橋部材によって接続されることを特徴とする実施態様60に記載の電気外科ツール。
(実施態様62)前記第1の顎及び前記第2の顎は、前記細長シャフトの前記中心縦軸に対して湾曲していることを特徴とする実施態様58に記載の電気外科ツール。
(実施態様63)前記第1の顎の前記内面上に配置された前記少なくとも1つの電極は、前記第1の顎に沿って前記近位端から前記遠位端に向けて曲線的に延びる2つのほぼ平行な円弧セグメント脚部と、該2つのほぼ平行な脚部の間に延びて該第1の顎の該遠位端に隣接して位置決めされた湾曲コネクタ部分と、を有する略U字形の電極を含み、
前記第2の顎の前記内面上に配置された前記少なくとも1つの電極は、前記第2の顎に沿って前記近位端から前記遠位端に向けて曲線的に延びる2つのほぼ平行な円弧セグメント脚部と、該2つのほぼ平行な脚部の間に延びて該第2の顎の該遠位端に隣接して位置決めされた湾曲コネクタ部分と、を有する略U字形の電極を含む、
ことを特徴とする実施態様62に記載の電気外科ツール。
(実施態様64)前記作動ハンドルは、作動機構によって前記顎アセンブリに結合されており、
前記作動機構は、
前記作動ハンドルに結合された近位端と前記第1の顎及び前記第2の顎の少なくとも一方に結合された遠位端とを有する摺動可能な作動チューブと、
前記摺動可能な作動チューブを取り囲むカバーチューブと、
前記カバーチューブを取り囲み、前記細長シャフトの外面を形成する外側チューブと、 を含むことを特徴とする実施態様58に記載の電気外科ツール。
(実施態様65)前記ハンドルは、前記後退位置と前記前進位置の間で前記ブレードを選択的に前進させるように該ブレードに結合されたトリガを更に含むことを特徴とする実施態様64に記載の電気外科ツール。
(実施態様66)前記作動機構は、前記摺動可能な作動チューブ内に位置決めされて前記トリガを前記ブレードに結合するブレード前進部材を更に含むことを特徴とする実施態様65に記載の電気外科ツール。
(実施態様67)前記ブレード前進部材は、ブレード前進シャフトを含むことを特徴とする実施態様66に記載の電気外科ツール。
(実施態様68)前記ブレード前進シャフトは、嵌合インタフェースによって接続された近位区画及び遠位区画を含むことを特徴とする実施態様67に記載の電気外科ツール。
(実施態様69)前記ブレード前進シャフトは、ポリマー材料から成ることを特徴とする実施態様68に記載の電気外科ツール。
【0286】
(実施態様70)ハンドルアセンブリと、
中心縦軸をその間に形成する近位端及び遠位端を有し、前記ハンドルアセンブリから遠位側に延びる細長シャフトと、
前記細長シャフトの前記遠位端上に位置決めされた顎アセンブリであって、内面と,外面と,近位端及び遠位端と,該内面上に配置された少なくとも1つの融合電極と,を有する第1の顎、及び、内面と,外面と,近位端及び遠位端と,該内面上に配置された少なくとも1つの融合電極と,該外面上に配置された切断電極と,を有する第2の顎、を含む前記顎アセンブリと、を含むことを特徴とする電気外科ツール。
(実施態様71)前記第1の顎及び前記第2の顎のうちの一方の前記遠位端は、該第1の顎及び該第2の顎のうちの他方の前記遠位端よりも前記中心縦軸に対して更に遠位側に延びていることを特徴とする実施態様70に記載の電気外科ツール。
(実施態様72)前記第2の顎の前記遠位端は、前記第1の顎の前記遠位端よりも前記中心縦軸に対して更に遠位側に延びていることを特徴とする実施態様71に記載の電気外科ツール。
【0287】
(実施態様73)患者の人体組織に外科的処置を行う電気外科システムであって、
電気外科発生器と、
ツールデータ格納するメモリモジュールを含む電気外科ツールと、
を含み、
前記電気外科発生器は、前記メモリモジュールから前記ツールデータを受け取って、該ツールデータに基づいて前記電気外科ツールに電気外科信号プロフィールを適用するように構成される、ことを特徴とするシステム。
(実施態様74)前記電気外科ツールは、凝固状態及び切断状態において作動するように構成可能な少なくとも2つの電極を含み、
前記ツールデータは、電極構成データを含む、ことを特徴とする実施態様73に記載のシステム。
(実施態様75)前記ツールデータは、暗号化されたフォーマットで格納されることを特徴とする実施態様73に記載のシステム。
(実施態様76)前記ツールデータは、ツール使用データを含むことを特徴とする実施態様73に記載のシステム。
(実施態様77)前記電気外科発生器は、前記メモリモジュールから前記ツールデータを受け取るように構成された分析モジュールを含むことを特徴とする実施態様73に記載のシステム。
(実施態様78)前記分析モジュールは、前記電気外科ツールからの作動データをモニタするように構成されることを特徴とする実施態様77に記載のシステム。
(実施態様79)前記作動データは、患者の人体組織の複素インピーダンスを含むことを特徴とする実施態様78に記載のシステム。
(実施態様80)前記作動データは、電圧と電流の間の位相角を含むことを特徴とする実施態様78に記載のシステム。
(実施態様81)前記電気外科発生器は、所定の位相角終点データを含み、
前記分析モジュールは、モニタされた位相角を所定の位相角終点データと比較するように構成される、ことを特徴とする実施態様80に記載のシステム。
【0288】
(実施態様82)患者の人体組織に外科的処置を行う電気外科発生器であって、
電源と、
前記電源に電気的に結合され、高周波信号を発生するように構成された信号発生モジュールと、
ツールデータを格納した電気外科ツールとインタフェースで接続するように構成され、該電気外科ツール上に格納された該ツールデータを受け取って前記信号発生モジュールからの前記高周波信号を該ツールに供給するように構成された第1のツールポートと、
を含むことを特徴とする発生器。
(実施態様83)ツールデータを格納した第2の電気外科ツールとインタフェースで接続するように構成され、該第2の電気外科ツール上に格納された該ツールデータを受け取って前記信号発生モジュールからの前記高周波信号を該第2のツールに供給するように構成された第2のツールポートを更に含むことを特徴とする実施態様82の電気外科発生器。
(実施態様84)前記発生器を双極電気外科ツールに結合するように構成された双極ツールポートを更に含むことを特徴とする実施態様83に記載の電気外科発生器。
(実施態様85)前記発生器を直流デバイスに結合するように構成された電力ポートを更に含むことを特徴とする実施態様84に記載の電気外科発生器。
(実施態様86)前記発生器を双極電気外科ツールに結合するように構成された双極ツールポートを更に含むことを特徴とする実施態様82に記載の電気外科発生器。
(実施態様87)前記発生器を直流デバイスに結合するように構成された電力ポートを更に含むことを特徴とする実施態様82に記載の電気外科発生器。
(実施態様88)前記信号発生モジュールは、前記高周波信号の電圧と電流の間の位相角をモニタし、かつ該モニタされた位相角に基づいて電気外科処置終点を判断するように構成されることを特徴とする実施態様82の電気外科発生器。
(実施態様89)前記第1のツールポートに電気的に結合されたアクチュエータポートを更に含むことを特徴とする実施態様82に記載の電気外科発生器。
(実施態様90)前記アクチュエータポートは、足ペダルコントローラポートを含むことを特徴とする実施態様89の電気外科発生器。
(実施態様91)前記第1のツールポートと前記第2のツールポートとに電気的に結合されたアクチュエータポートを更に含むことを特徴とする実施態様83に記載の電気外科発生器。
(実施態様92)前記アクチュエータポートは、足ペダルコントローラポートを含むことを特徴とする実施態様91の電気外科発生器。
【0289】
(実施態様93)電気外科ツールのためのコントローラであって、
オン位置とオフ位置の間で移動可能であり、該オン位置にある時に第1の電気外科アクションを作動させるための第1のアクチュエータと、
オン位置とオフ位置の間で移動可能であり、該オン位置にある時に第2の電気外科アクションを作動させるための第2のアクチュエータと、
コントローラが第1の電気外科ツールに作動的に結合されるように構成された第1の状態,及び,コントローラが第2の電気外科ツールに作動的に結合されるように構成された第2の状態,を有するツールセレクタと、を含むことを特徴とするコントローラ。
(実施態様94)前記第1のアクチュエータは、凝固作動を起動するための凝固スイッチを含むことを特徴とする実施態様93に記載のコントローラ。
(実施態様95)前記凝固スイッチは、足ペダルを含むことを特徴とする実施態様94に記載のコントローラ。
(実施態様96)前記第2のアクチュエータは、切断作動を起動するための切断スイッチを含むことを特徴とする実施態様93に記載のコントローラ。
(実施態様97)前記切断スイッチは、切断足ペダルを含むことを特徴とする実施態様96に記載のコントローラ。
(実施態様98)前記ツールセレクタは、トグルスイッチを含むことを特徴とする実施態様93に記載のコントローラ。
【0290】
(実施態様99)双極電気外科デバイスに作動的に結合された電気外科発生器の出力を制御する方法であって、
電気外科デバイスの少なくとも1つの電極を通じて患者の組織に印加され、かつ該電気外科デバイスによる該組織の治療の前に該組織に印加された第1の測定信号の位相角を測定する段階と、
前記第1の測定信号の前記位相角を使用してターゲット位相角を判断する段階と、
前記組織の変容を引き起こすことができる該組織への治療信号の送出に続いて、該組織に印加された第2の測定信号の位相角を測定する段階と、
前記第2の測定信号の前記位相角が前記ターゲット位相角に到達した時に、前記組織への前記治療信号の送出を中止する段階と、を含むことを特徴とする方法。
(実施態様100)前記治療信号及び前記第2の測定信号は、時間交互方式で前記組織に交互に印加されることを特徴とする実施態様100に記載の方法。
(実施態様101)前記治療信号及び前記第2の測定信号は、実質的に同時に前記組織に印加されることを特徴とする実施態様100に記載の方法。
(実施態様102)前記組織の変容は、組織融合を含むことを特徴とする実施態様100に記載の方法。
(実施態様103)前記組織の変容は、凝固を含むことを特徴とする実施態様100に記載の方法。
【0291】
(実施態様104)双極電気外科デバイスに作動的に結合された電気外科発生器の出力を制御する方法であって、
電気外科デバイスの少なくとも1つの電極を通じて患者の組織に印加され、かつ該電気外科デバイスによる該組織の変容の前に該組織に印加された測定信号を使用して患者の組織の誘電率及び導電率を判断する段階と、
前記組織の前記誘電率及び前記導電率に基づいて閾値位相角を判断する段階と、
前記組織に印加された信号の位相角を測定する段階と、
前記信号の前記位相角が前記閾値位相角に到達した時に、前記組織への治療信号の送出を中止する段階と、を含むことを特徴とする方法。
【0292】
(実施態様105)双極電気外科デバイスを通じた組織への電気外科エネルギの送出の前に組織を特徴付ける方法であって、
電気外科デバイスの少なくとも1つの電極を通じて患者の組織に印加され、かつ該電気外科デバイスによる該組織の変容の前に所定の周波数で該組織に印加された測定信号の位相角を測定する段階と、
前記位相角測定値及び前記所定の周波数を使用して、前記組織の相対誘電率と導電率との積を判断する段階と、
前記組織の前記相対誘電率と導電率との前記積に基づいて該組織を特徴付ける段階と、 を含むことを特徴とする方法。
(実施態様106)前記特徴付けに少なくとも部分的に基づいて、前記組織の変容を引き起こすことができる該組織への治療信号の送出を制御する段階を更に含むことを特徴とする実施態様105に記載の方法。
(実施態様107)前記特徴付ける段階は、治療終点を判断する段階を含むことを特徴とする実施態様105に記載の方法。
(実施態様108)前記特徴付ける段階は、組織タイプを判断する段階を含むことを特徴とする実施態様105に記載の方法。
【0293】
(実施態様109)双極電気外科デバイスを通じた組織への電気外科エネルギの送出の前に組織を特徴付ける方法であって、
顎部材の少なくとも1つが電極を含む電気外科デバイスの少なくとも2つの顎部材の間に位置決めされた患者の組織に印加され、該電極を通じて該組織に送出されて該電気外科デバイスによる該組織の変容に対して印加される測定信号を発生する段階と、
前記測定信号を使用して、前記少なくとも2つの顎部材の間に位置決めされた前記組織の寸法とは実質的に独立して判断される治療終点条件を判断する段階と、
前記治療終点条件に到達した時に前記組織の変容を引き起こすことができる該組織への治療信号の送出を停止する段階と、を含むことを特徴とする方法。
【0294】
(実施態様110)双極電気外科手術に関わっている患者への治療エネルギの印加のための電気外科システムであって、
測定信号と共に治療エネルギを発生して出力するように構成された電気外科発生器と、 治療エネルギ及び測定信号の前記出力を指示するように構成された電気外科制御ユニットと、
前記電気外科発生器及び前記電気外科制御ユニットの一方に取外し可能に接続され、かつ組織に接触して該組織に前記治療エネルギ及び前記測定信号を印加するように配置された電気外科ツールと、
を含み、
前記電気外科制御ユニットは、前記測定信号の前記印加を通じて前記組織の誘電率及び導電率を測定する、ことを特徴とするシステム。
(実施態様111)前記電気外科制御ユニットは、前記治療エネルギの前記印加の前に前記測定信号を印加することを特徴とする実施態様110に記載のシステム。
(実施態様112)前記電気外科制御ユニットは、前記組織の前記測定された誘電率及び導電率に基づいて前記治療エネルギの前記印加を中断させる終点を判断することを特徴とする実施態様110に記載のシステム。
(実施態様113)前記終点は、前記治療エネルギの位相パラメータであることを特徴とする実施態様112に記載のシステム。
(実施態様114)前記終点は、前記治療エネルギの前記位相パラメータの導関数を更に含むことを特徴とする実施態様113に記載のシステム。
(実施態様115)前記終点は、前記治療エネルギの印加電圧及び電流の間の位相差であることを特徴とする実施態様112に記載のシステム。
(実施態様116)前記終点は、前記位相差の導関数を更に含むことを特徴とする実施態様115に記載のシステム。
(実施態様117)前記終点は、前記電気外科ツールのインピーダンスに応じることを特徴とする実施態様115に記載のシステム。
(実施態様118)前記終点の位相差は、前記電気外科ツールの前記インピーダンスが増加すると減少することを特徴とする実施態様117に記載のシステム。
(実施態様119)前記終点の位相差は、前記電気外科ツールの前記インピーダンスが減少すると増加することを特徴とする実施態様117に記載のシステム。
(実施態様120)前記終点は、前記電気外科ツールのキャパシタンスに応じることを特徴とする実施態様115に記載のシステム。
(実施態様121)前記終点の位相差は、前記電気外科ツールの前記キャパシタンスが増加すると減少することを特徴とする実施態様120に記載のシステム。
(実施態様122)前記終点の位相差は、前記電気外科ツールの前記キャパシタンスが減少すると増加することを特徴とする実施態様120に記載のシステム。