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特開2019-214064ワーク加工装置と、ワークの加工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-214064(P2019-214064A)
(43)【公開日】2019年12月19日
(54)【発明の名称】ワーク加工装置と、ワークの加工方法
(51)【国際特許分類】
   B21B 13/20 20060101AFI20191122BHJP
   B21B 1/16 20060101ALI20191122BHJP
【FI】
   B21B13/20 C
   B21B1/16 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-112789(P2018-112789)
(22)【出願日】2018年6月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】重松 良平
【テーマコード(参考)】
4E002
【Fターム(参考)】
4E002AC12
4E002BB10
(57)【要約】
【課題】ワークを高精度に能率良く加工することができるワーク加工装置を提供する。
【解決手段】ワーク加工装置10は、一組のローラ13,14と、ローラ13,14を回転させる回転機構20,21と、加圧機構30,31と、揺動機構40,41と、制御部50とを有している。ローラ13,14は、それぞれの回転方向に関してワークWに近付く側の回転前半部13a,14aと、ワークWから離れる側の回転前半部13a,14aとを有している。制御部50は、各ローラ13,14の回転前半部13a,14aが傾く方向と傾斜角度とが互いに同じとなるよう揺動機構40,41を制御する。ローラ13,14の回転前半部13a,14aが第2の軸線方向X2に傾くと、ワークWが第1の軸線方向X1に移動し、必要に応じてワークWの縮径加工が行われる。ローラ13,14の回転前半部13a,14aが第1の軸線方向X1に傾くと、ワークWが第2の軸線方向X2に移動し、必要に応じてワークWの縮径加工が行われる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊星機構の太陽車に相当する位置に配置されたワークに対して惑星車に相当する位置に配置され、前記ワークに対して滑ることなく自転軸を中心に回転する複数のローラと、
前記複数のローラのうち少なくとも1つのローラを前記自転軸を中心に強制的に回転させることにより前記ワークも回転させる回転機構と、
前記複数のローラを前記ワークの外周面に押圧する加圧機構と、
前記ローラの前記自転軸を前記ワークの回転軸に対して傾ける揺動機構と、
前記複数のローラの傾斜角度が互いに等しくなるよう前記揺動機構を制御する手段と、
を具備したことを特徴とするワーク加工装置。
【請求項2】
回転する前記ワークの外周面と前記ローラとの接点が螺旋形の軌跡を描くように前記揺動機構によって前記ローラの傾斜角度を制御することを特徴とする請求項1に記載のワーク加工装置。
【請求項3】
ワークを挟む位置に配置された複数の回転可能なローラを含み、前記各ローラがそれぞれ回転方向に関して前記ワークに近付く側の回転前半部と前記ワークから離れる側の回転後半部とを有するローラユニットと、
前記複数のローラのうち少なくとも1つのローラを回転させる回転機構と、
前記各ローラを前記ワークの外周面に押圧する加圧機構と、
前記各ローラが配置されている側から前記各ローラを見て、前記ワークの軸線と直角な面に対し前記ローラのなす角度が0°の中立位置を境に、前記各ローラの回転前半部側を第1の軸線方向と第2の軸線方向とに傾ける揺動機構と、
前記各ローラが配置されている側から前記各ローラを見て、前記各ローラの回転前半部側が傾く方向と傾斜角度とが各ローラごとに同じとなるよう前記揺動機構を制御する制御部とを具備したことを特徴とするワーク加工装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ワークを第1の軸線方向に移動させるとき、前記各ローラの回転前半部側をそれぞれ前記第2の軸線方向に傾けかつ前記各ローラの前記傾斜角度が互いに同じとなるよう前記揺動機構を制御し、前記ワークを第2の軸線方向に移動させるときには、前記各ローラの回転前半部側をそれぞれ前記第1の軸線方向に傾けかつ前記各ローラの前記傾斜角度が互いに同じとなるよう前記揺動機構を制御することを特徴とする請求項3に記載のワーク加工装置。
【請求項5】
前記ワークを軸線まわりに回転自在にかつ軸線に沿う方向には移動可能に支持するガイド部をさらに備えた請求項3に記載のワーク加工装置。
【請求項6】
前記ワークの位置を検出するセンサと、前記ワークの径を検出するセンサとを備えた請求項3に記載のワーク加工装置。
【請求項7】
前記ローラユニットが前記ワークの周方向の3か所に配置された3個の前記ローラを備えている請求項3に記載のワーク加工装置。
【請求項8】
複数のローラの間に棒状のワークを配置し、
前記各ローラを前記ワークの外周面に押圧し、
前記ワークを第1の軸線方向に移動させるとき前記各ローラ回転前半部を前記ワークの軸線と直角な面に対して0°の中立位置から第2の軸線方向に傾け、
前記各ローラを前記ワークに押圧した状態において前記各ローラを第1の回転方向に回転させ、前記ワークを第2の回転方向に回転させるとともに前記ワークを第1の軸線方向に移動させ、その後、
前記ワークを第2の軸線方向に移動させるとき前記各ローラの回転前半部を前記中立位置から前記第1の軸線方向に傾け、
前記各ローラを前記ワークに押圧した状態において前記各ローラを前記第1の回転方向に回転させ、前記ワークを前記第2の回転方向に回転させるとともに前記ワークを第2の軸線方向に移動させることを特徴とするワークの加工方法。
【請求項9】
前記第1の軸線方向の移動の際に前記ワークの径を小さくする第1の縮径加工を行い、
前記第2の軸線方向の移動の際に前記ワークの径をさらに小さくする第2の縮径加工を行うことを特徴とする請求項8に記載のワークの加工方法。
【請求項10】
前記ワークの径を検出し、
前記ワークの径が所定値となるよう前記第1の縮径加工と前記第2の縮径加工とを行うことを特徴とする請求項9に記載のワークの加工方法。
【請求項11】
前記ワークの径が所定値となるまで前記第1の縮径加工と前記第2の縮径加工とを繰り返すことを特徴とする請求項10に記載のワークの加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、長手方向に径が変化する部分を有するワークを製造するのに適したワーク加工装置と加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コイルばねを軽量化するための一つの手段として、コイルばねに生じる応力を均一に近付けることが有効である。コイルばねの材料は鋼製のロッド部材(ワイヤ)である。コイルばねの応力分布をなるべく均一にするために、長手方向(軸線方向)に径が変化するロッド部材を用いることも提案されている。
【0003】
長手方向に径が変化するロッド部材を製造する手段として、例えば切削や研磨等の機械加工をはじめとして、スェージングマシンによる縮径加工(塑性加工)、あるいは特殊な形状の圧延ロールを用いた塑性加工などが知られている。また特許文献1あるいは特許文献2に開示されているように、加熱されたワークを第1ローラと第2ローラとの間で引っ張ることにより、軟化した個所を引き延ばして細くするダイレス加工装置も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−056416号公報
【特許文献2】特開昭61−206518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
研削や研磨等の機械加工によってワークの径を小さくするには加工時間が長くかかり、しかも材料の無駄が多いなどの問題がある。これに対しスェージングマシンを使用する塑性加工は、型によってワークを強打するため騒音が大きく、しかも作業時間が長くかかるなどの問題がある。特殊な圧延ロールを用いてワークを塑性加工する方法では、加工後の形状が圧延ロールに依存するため汎用性に欠ける。一方、ダイレス加工装置は、加工後のワークの形状や径が設計値(目標値)どおりにならないことがあり、ワークの温度管理や第1ローラおよび第2ローラの周速度の管理が難しいという問題がある。
【0006】
従って本発明の目的は、棒状のワークを高精度にかつ能率良く製造することができるワーク加工装置とワークの加工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るワーク加工装置は、遊星機構の太陽車に相当する位置に配置されたワークに対して惑星車に相当する位置に配置され、前記ワークに対して滑ることなく自転軸を中心に回転する複数のローラと、前記複数のローラのうち少なくとも1つのローラを前記自転軸を中心に強制的に回転させることにより前記ワークも回転させる回転機構と、前記複数のローラを前記ワークの外周面に押圧する加圧機構と、前記ローラの前記自転軸を前記ワークの回転軸に対して傾ける揺動機構と、前記複数のローラの傾斜角度が互いに等しくなるよう前記揺動機構を制御する手段とを具備している。そして前記ワークの外周面と前記ローラとの接点が螺旋形の軌跡を描くように前記揺動機構によって前記ローラの傾斜角度が制御される。
【0008】
ワーク加工装置の1つの実施形態は、ワークを挟む位置に配置された複数の回転可能なローラを含むローラユニットと、前記複数のローラのうち少なくとも1つのローラを回転させる回転機構と、前記各ローラを前記ワークの外周面に押圧する加圧機構と、揺動機構と、制御部とを具備している。前記ローラユニットの各ローラ(一組のローラ)は、それぞれ、回転方向に関して前記ワークに近付く側の回転前半部と、前記ワークから離れる側の回転後半部とを有している。前記揺動機構は、前記各ローラが配置されている側から各ローラを見て、前記ワークの軸線と直角な面に対し前記ローラのなす角度が0°の中立位置を境に、前記各ローラの回転前半部側を第1の軸線方向と第2の軸線方向とに傾ける。前記制御部は、前記各ローラが配置されている側から各ローラを見て、前記各ローラの回転前半部が傾く方向と傾斜角度とが、各ローラごとに同じとなるよう前記揺動機構を制御する。
【0009】
前記制御部の一例では、前記ワークを第1の軸線方向に移動させるとき、前記各ローラの回転前半部側をそれぞれ前記第2の軸線方向に傾けかつ前記各ローラの前記傾斜角度が互いに同じとなるよう前記揺動機構を制御し、前記ワークを第2の軸線方向に移動させるときには、前記各ローラの回転前半部側をそれぞれ前記第1の軸線方向に傾けかつ前記各ローラの前記傾斜角度が互いに同じとなるよう前記揺動機構を制御してもよい。
【0010】
前記ワークを軸線まわりに回転自在に支持するガイド部をさらに備えてもよい。また前記ワークの位置を検出するセンサと、前記ワークの径を検出するセンサとを備えているとよい。さらに前記ローラユニットが、前記ワークの周方向の3か所に配置された3個の前記ローラを備えてもよい。
【0011】
1つの実施形態に係るワーク加工方法は、複数のローラの間に棒状のワークを配置し、前記各ローラを前記ワークの外周面に押圧する。前記ワークを第1の軸線方向に移動させるとき、前記各ローラの回転前半部側を前記ワークの軸線と直角な面に対して0°の中立位置から第2の軸線方向に傾ける。前記各ローラを前記ワークに押圧した状態において、前記各ローラを第1の回転方向に回転させることにより、前記ワークを第2の回転方向に回転させるとともに、前記ワークを第1の軸線方向に移動させる。前記ワークを第2の軸線方向に移動させるときには、前記各ローラの回転前半部側を前記中立位置から前記第1の軸線方向に傾ける。前記各ローラを前記ワークに押圧した状態において、前記各ローラを前記第1の回転方向に回転させることにより、前記ワークを前記第2の回転方向に回転させるとともに、前記ワークを第2の軸線方向に移動させる。
【0012】
このワーク加工方法において、第1の軸線方向の移動の際に前記ワークの径を小さくする第1の縮径加工を行い、前記第2の軸線方向の移動の際に前記ワークの径をさらに小さくする第2の縮径加工を行ってもよい。また前記ワークの径を検出し、ワークの径が所定値となるよう前記第1の縮径加工と前記第2の縮径加工とを行ってもよい。さらに前記ワークの径が所定値となるまで前記第1の縮径加工と前記第2の縮径加工とを繰り返してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ワークの搬送(第1の軸線方向の移動および第2の軸線方向の移動)と加工を一組のローラによって同時に行うことができる。例えばローラによってワークが弾性限度内で押圧される場合にはワークの搬送のみとなる。ローラによってワークが弾性限度を超える荷重で押圧される場合には、ワークの搬送と縮径加工とを同時に行うことができる。また必要に応じてワークの移動方向を切換えて、ワークの長手方向の少なくとも一部に縮径加工を何度か繰り返すこともできる。本発明のワーク加工装置とワークの加工方法によれば、長手方向に径が変化する部分を有する棒状のワークを一組のローラを用いて高精度にかつ能率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】1つの実施形態に係るワーク加工装置を模式的に示す平面図。
図2図1に示されたワーク加工装置の正面図。
図3図1に示されたワーク加工装置のローラユニットの正面図。
図4】同ローラユニットのローラが傾いた状態を示す平面図。
図5図4に示されたローラユニットの側面図。
図6】同ローラユニットのローラが他の方向に傾いた状態を示す平面図。
図7図6に示されたローラユニットの側面図。
図8】他の実施形態に係るローラユニットの正面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に1つの実施形態に係るワーク加工装置と加工方法について、図1から図7を参照して説明する。
図1はワーク加工装置10を模式的に示す平面図、図2はワーク加工装置10の正面図である。このワーク加工装置10は、例えば断面が円形の棒状のワークWの長手方向(軸線Xに沿う方向)の少なくとも一部に、径が変化する部分(例えばテーパ部W1や小径部W2)を形成することができる。
【0016】
ワーク加工装置10は、ワークWを加工する際に変形しないような剛性を有するベース部材11と、ベース部材11上に配置されたローラユニット12とを含んでいる。ローラユニット12は、少なくとも2個のローラ13,14と、ローラ13,14を保持するローラホルダ15,16とを備えている。ローラ13,14は、自転軸17,18を中心に回転することができる。
【0017】
またこのワーク加工装置10は、ローラ13,14を回転させるための回転機構20,21と、ローラ13,14をワークWの外周面W3に向けて押圧する加圧機構30,31と、ローラ13,14を傾けるための揺動機構40,41と、制御部(コントローラ)50とを含んでいる。回転機構20,21は、ワークWに接しているローラ13,14を、自転軸17,18を中心に強制的に回転させる。
【0018】
図3は、図2に示されたローラユニット12を拡大した正面図である。ローラユニット12は、一組のローラ13,14を有している。ローラ13,14は、ワークWを径方向に挟む位置に互いに対向して配置されている。これらローラ13,14は、ローラホルダ15,16に設けられた自転軸17,18を中心に、一定の回転方向(第1の回転方向R1)に同一の周速度で回転する。ローラ13,14が第1の回転方向R1に回転すると、ローラ13,14に接しているワークWは、ローラ13,14との間の摩擦によって、第2の回転方向R2に回転する。ローラホルダ15,16にはそれぞれ支軸(揺動軸)15a,16aが設けられている。
【0019】
遊星機構にたとえると、ワークWは太陽車に相当する位置に配置され、ローラ13,14は惑星車に相当する位置に配置されている。ローラ13,14はワークWに対して滑ることなく自転軸17,18を中心に回転する。ローラ13,14が回転すると、ワークWが軸線Xを中心に回転する。すなわちワークWの軸線XはワークWの回転軸でもある。
【0020】
各ローラ13,14は、回転機構20,21(図1に示す)によって、第1の回転方向R1に、同一の周速度で回転するようになっている。各ローラ13,14の外周は、回転方向(R1)に関して、ワークWに近付く側の回転前半部13a,14aと、ワークWから離れる側の回転後半部13b,14bとを有している。
【0021】
図3に示されるように一方のローラ13の回転前半部13aは、ローラ13の全周のうち、ローラ13とワークWとが接する個所P1から回転方向に関して上流側の半周の部分である。ローラ13の回転後半部13bは、ローラ13とワークWとが接する個所P1から回転方向に関して下流側の半周の部分である。他方のローラ14の回転前半部14aは、ローラ14の全周のうち、ローラ14とワークWとが接する個所P2から回転方向に関して上流側の半周の部分である。ローラ14の回転後半部14bは、ローラ14とワークWとが接する個所P2から回転方向に関して下流側の半周の部分である。
【0022】
回転機構20,21は、それぞれモータ61,62を有している。モータ61,62は制御部50によって制御される。モータ61,62の出力軸61a,62aは、自在継手63,64を介して、ローラ13,14の自転軸17,18に接続されている。第1のローラ13の自転軸17とモータ61の出力軸61aとがなす角度は自在継手63によって吸収される。第2のローラ14の自転軸18とモータ62の出力軸62aとがなす角度は自在継手64によって吸収される。
【0023】
ローラ13,14は、モータ61,62が生じるトルクによって、自転軸17,18を中心に一方向(第1の回転方向R1)に回転する。なおローラの数は2個に限らず、3以上であってもよい。また複数のローラのうち、少なくとも1つのローラを回転機構によって回転させ、残りのローラを従動回転させてもよい。
【0024】
加圧機構30,31は、ローラホルダ15,16を支持する可動フレーム70,71と、可動フレーム70,71をワークWの径方向に移動させる駆動部72,73と、可動フレーム70,71の移動を案内するリニヤガイド74,75とを含んでいる。ローラホルダ15,16は、支軸(揺動軸)15a,16aを中心に回動することができるように、可動フレーム70,71に支持されている。
【0025】
ローラ13,14は、加圧機構30,31によって、ワークWの外周面W3に向けて押圧される。加圧機構30,31の駆動部72,73は、アクチュエータ80,81と、アクチュエータ80,81が発生する駆動力を可動フレーム70,71に伝える力伝達部82,83(図2に示す)とを備えている。力伝達部82,83の一例は送りねじ(リードスクリュー)であるが、それ以外の力伝達部材を用いてもよい。アクチュエータ80,81は、制御部50によって回転方向と回転位置とを制御可能なパルスモータ等の回転電機を用いることができる。アクチュエータ80,81に油圧モータや油圧シリンダ等の流体圧ユニットを使用してもよい。
【0026】
揺動機構40,41は、ローラ13,14を第1の軸線方向X1と第2の軸線方向X2とに傾けるためのアクチュエータ90,91を有している。すなわち揺動機構40,41は、ローラホルダ15,16によって保持されているローラ13,14の回転前半部13a,14a側を、中立位置N(図5図7に示す)を境に、第1の軸線方向X1と第2の軸線方向X2とに傾ける機能を有している。ローラホルダ15,16は、それぞれ支軸15a,16aを中心として回動する。このように揺動機構40,41は、ローラ13,14の自転軸17,18をワークWの回転軸(軸線X)に対して傾けるようになっている。
【0027】
図4は、第1のローラ13の回転前半部13aと第2のローラ14の回転前半部14aとがそれぞれ第2の軸線方向X2に傾いた状態を示している。図5は、第1のローラ13が配置されている側から見たローラユニット12の側面図である。この明細書では、ワークWの軸線Xと直角な面Y1(図5に示す)に対して、自転軸17,18と直角なローラ13,14の回転面Y2,Y2´がなす角度θ1,θ1´をローラの傾斜角度(ピッチ角)と称している。傾斜角度θ1,θ1´が0°のとき、ローラ13,14は中立位置である。
【0028】
図5に示されるように第1のローラ13が配置されている側から見ると、第1のローラ13の回転前半部13aは、ワークWの軸線Xと直角な中立位置Nに対し、傾斜角度θ1をなして第2の軸線方向X2に傾いている。第2のローラ14の回転前半部14aも、中立位置Nに対し、傾斜角度θ1´をなして第2の軸線方向X2に傾いている。傾斜角度θ1,θ1´は互いに同じ角度である。説明の都合上、図5では傾斜角度θ1,θ1´を誇張して大きく描いたが、実際の傾斜角度θ1,θ1´は数度以下の小さな角度(例えば1°程度)である。
【0029】
図6は、第1のローラ13の回転前半部13aと第2のローラ14の回転前半部14aがそれぞれ第1の軸線方向X1に傾いた状態を示している。図7は、第1のローラ13が配置されている側から見たローラユニット12の側面図である。
【0030】
図7に示すように第1のローラ13が配置されている側から見ると、第1のローラ13の回転前半部13aは、ワークWの軸線Xと直角な面Y1に対し、ローラ13の回転面Y2が傾斜角度θ2をなして第1の軸線方向X1に傾いている。第2のローラ14の回転前半部14aも、ワークWの軸線Xと直角な面Y1に対し、ローラ14の回転面Y2´が傾斜角度θ2´をなして第1の軸線方向X1に傾いている。傾斜角度θ2,θ2´は互いに同じ角度である。説明の都合上、図7では傾斜角度θ2,θ2´を誇張して大きく描いたが、実際の傾斜角度θ2,θ2´は数度以下の小さな角度(例えば1°程度)である。
【0031】
図5に示されるように第1のローラ13と第2のローラ14とは、それぞれ、傾斜角度が0°の中立位置Nを境に、第1の軸線方向X1と第2の軸線方向X2とに傾く。しかも各ローラ13,14の回転前半部13a,14aが第2の軸線方向X2に傾いたときの傾斜角度θ1,θ1´が互いに同じ角度となるように、制御部50によって揺動機構40,41が制御される。
【0032】
また図7に示されるように各ローラ13,14の回転前半部13a,14aが第1の軸線方向X1に傾いたときの傾斜角度θ2,θ2´が互いに同じ角度となるように、制御部50によって揺動機構40,41が制御される。しかもローラ13,14の傾斜角度θ1,θ1´,θ2,θ2´は、揺動機構40,41によって変化させることができる。例えばワークWの材質や加工度(断面の減少率)に応じて、ローラ13,14の傾斜角度が適正な値に設定される。すなわち制御部50は、複数のローラ13,14の傾斜角度が互いに等しくなるよう揺動機構40,41を制御する手段として機能する。
【0033】
制御部50は、揺動機構40,41を制御することにより、ローラ13,14の傾斜角度を変化させる。この揺動制御は、コンピュータプログラムを用いたNC制御(Numerical Control)によって実現される。制御部50は、回転機構20,21や加圧機構30,31および揺動機構40,41を制御するための電気的構成、例えばCPU(Central Processing Unit)と、データを格納するメモリとを備えている。メモリにはワークWの加工に必要な各種データが格納されている。
【0034】
本実施形態のワーク加工装置10は、ワークWを軸線Xまわりに回転自在に支持するガイド部100,101(図1に示す)を有している。ガイド部100,101の一例はリニヤブッシュタイプであり、加工中のワークWが径方向に移動することを抑制し、ワークWが軸線Xに沿う方向に移動することを許容する。
【0035】
ワークWの移動方向(軸線Xに沿う方向)に関してローラユニット12の上流側と下流側に、ワークWの径を検出するセンサS1,S2が配置されている。センサS1,S2の一例は、レーザビームの発光部と受光部とを用いてワークWの加工前と加工後の外径をそれぞれ測定する。またこのワーク加工装置10は、ワークWの移動方向(軸線Xに沿う方向)の位置を検出するセンサS3,S4を備えている。
【0036】
次に、ワーク加工装置10によってワークWを加工する方法について説明する。
ワークWの一例は、ばね鋼からなる断面が円形のロッド部材である。このワークWは、予め所定長さに切断されている。ワークWは、塑性加工を容易にするために、例えばオーステナイト化温度まで加熱される。
【0037】
加熱手段110(図1に模式的に示す)の一例は、ワークWがローラ13,14に供給される前に、ワークWの被加工部を含む領域を加熱する。加熱手段110の一例は高周波誘導加熱装置であるが、それ以外にも、電流によってワークWにジュール熱を生じさせる通電加熱装置でもよいし、輻射熱によってワークを加熱する加熱炉であってもよい。
【0038】
塑性加工に適した温度に加熱されたワークWがガイド部100,101によって支持され、ワークWの被加工部の始点がローラ13,14の間に配置される。ローラ13,14が第1の回転方向R1(図3に示す)に回転すると、ローラ13,14に接しているワークWは第2の回転方向R2に回転する。ローラ13,14の傾斜角度が0°(中立位置)の場合、ローラ13,14の回転によってワークWが回転しても、ワークWは軸線方向に移動しない。
【0039】
図4図5は、回転するローラ13,14の回転前半部13a,14aが第2の軸線方向X2に傾いた状態を示している。傾斜角度はθ1,θ1´である。ローラ13,14に接しているワークWは、ローラ13,14との間の摩擦により、ローラ13,14の傾斜角度(プラスのピッチ角)θ1,θ1´に応じて、あたかも「ねじ」のように第1の軸線方向X1に螺進(前進)する。ローラ13,14はモータ61,62によって回転する。制御部50によってモータ61,62の回転速度を制御可能な場合、ローラ13,14の周速度に応じて、ワークWの単位時間あたりの回転数と軸線方向への移動速度を変化させることができる。
【0040】
図4図5に示すように、ローラ13,14の回転前半部13a,14aが第2の軸線方向X2に傾くと、ワークWはローラ13,14の周速度と傾斜角度θ1,θ1´に応じた速度で第1の軸線方向X1に移動する。このときローラ13,14の周速度と傾斜角度θ1,θ1´が大きいほど、ワークWの移動速度が大きくなる。ワークWが第1の軸線方向X1に移動(前進)しながら、ローラ13,14によってワークWが弾性限度内で押圧されると、ワークWは加工されずに搬送のみとなる。ワークWが弾性限度を超える荷重で押圧されると、ワークWの搬送と第1の縮径加工とが同時に行われる。これによりワークWは、ローラ13,14を通った部分の径が少し小さくなる。加工後のワークWの径がセンサS1によって検出される。ワークWの軸線方向の位置はセンサS3,S4によって検出される。
【0041】
ワークWが被加工部の終点まで移動すると、図6図7に示すように、ローラ13,14の回転前半部13a,14aを中立位置Nから第1の軸線方向X1に傾ける。ローラ13,14の回転前半部13a,14aが第1の軸線方向X1に傾くと、ワークWはローラ13,14の周速度と傾斜角度θ2,θ2´に応じた速度で第2の軸線方向X2に移動する。このときローラ13,14の周速度と傾斜角度θ2,θ2´が大きいほど、ワークWの移動速度が大きくなる。第1の方向R1に回転するローラ13,14に接しているワークWは、ローラ13,14の傾斜角度(マイナスのピッチ角)θ2,θ2´に応じて、あたかも「逆ねじ」のように、第2の軸線方向X2に螺進(後退)する。
【0042】
このように本実施形態のワーク加工装置10は、回転するワークWの外周面W3とローラ13,14との接点が螺旋形の軌跡を描くように、揺動機構40,41によってローラ13,14の傾斜角度を制御する。
【0043】
ワークWが第2の軸線方向X2に移動する際に、ローラ13,14によってワークWが弾性限度内で押圧されると、ワークWは加工されずに搬送のみとなる。ワークWが弾性限度を超える荷重で押圧されると、ワークWの搬送と第2の縮径加工が同時に行われる。このためワークWは、ローラ13,14を通った部分の径がさらに小さくなる。加工後のワークWの径はセンサS2によって検出される。
【0044】
このように揺動機構40,41によってローラ13,14が傾く方向を切換えることにより、ワークWが第1の軸線方向X1と第2の軸線方向X2とに往復移動しつつ、ワークWの径が次第に小さくなる。ワークWの被加工部の径が所定値となるまで、第1の縮径加工と第2の縮径加工とが繰り返されてもよい。第1の縮径加工と第2の縮径加工とでワークWの移動方向が逆転するが、ローラ13,14の回転方向(R1)は一定であり、ワークWの回転方向(R2)も一定である。こうしてワークWの長手方向の少なくとも一部に、所定長さのテーパ部W1あるいは小径部W2(図1に示す)が形成される。
【0045】
ローラ13,14は、加圧機構30,31によってワークWの径方向に押圧される。加圧機構30,31は制御部50によって制御される。ワークWの径方向へのローラ13,14の送り量を制御部50によって制御することで、ワークWの加工度(断面の減少率)を調整することができる。加工後のワークWは、ワーク加工装置10から取り出されたのち、搬送や取扱いに適した温度まで自然冷却される。場合によっては、加工直後のワークWを水あるいはガス等の冷却媒体によって冷却してもよい。
【0046】
このようにして、長手方向に径が変化するワークWを製造することができる。本実施形態のワーク加工装置10は、切削等の機械加工によってワークWを製造する場合と比較して、材料の無駄がなく、金属組織のメタルフローが切断されるなどの問題も回避される。また機械加工の場合に必要なワークの「つかみしろ」が不要となるため、ワークWのほぼ全長にわたり加工を行うことができる。
【0047】
本実施形態のワーク加工装置10は、回転する一組のローラ13,14を用いて、ワークの回転と、ワークの移動(第1の軸線方向X1と第1の軸線方向X2の移動)と、ワークの加工(減径加工)とを同時に行うことができる。このためワーク加工装置10の構成を簡略化することができ、加工に必要なエネルギーの消費も少なくてすむ。ローラ13,14によってワークWが弾性限度内で押圧される場合には、ワークWは実質的に加工されずに第1の軸線方向あるいは第2の軸線方向に搬送される。ローラ13,14によってワークWが弾性限度を超える荷重で押圧されると、ワークWが第2の軸線方向X2に移動しながら、第2の縮径加工が行われる。
【0048】
本実施形態のワーク加工装置10は、制御部50によってNC制御されるローラ13,14を用いてワークWの被加工部を直接加工するため、加工精度が高くかつ加工時間が比較的短い。このワーク加工装置10は、材料を軟化させた状態で材料を引っ張るダイレス加工と比較して、テーパ部や小径部を高精度に仕上げることができる。ワーク加工装置10による加工は、ダイレス加工と比較して、ワークの温度に厳密さが要求されないため、温度管理が容易である。しかもこのワーク加工装置10は、工場内に占める設置面積が小さくてすむし、スェージングマシンのような大きな騒音を発生することもない。
【0049】
以上述べた実施形態のワーク加工装置10を用いる加工方法は、下記の工程を含んでいる。
(1)加工すべき棒状のワークを必要に応じて加熱し、
(2)ワークを挟む位置に配置された一組のローラ13,14の間にワークを配置し、
(3)ローラ13,14をワークの外周面に向けて押圧し、
(4)ローラ13,14の回転前半部13a,14a側をワークの軸線と直角な中立位置Nを境に第2の軸線方向X2に傾け、
(5)ローラ13,14によってワークを押圧した状態において、ローラ13,14を第1の回転方向R1に回転させ、
(6)ワークを第2の回転方向R2に回転させるとともに第1の軸線方向X1に移動させ、必要に応じてワークの径を小さくする第1の縮径加工を行い、そののち、
(7)ローラ13,14の回転前半部13a,14a側を第2の軸線方向X2とは反対の第1の軸線方向X1に傾け、
(8)ローラ13,14によってワークを押圧した状態において、ローラ13,14を第1の回転方向R1に回転させ、
(9)ワークを第2の回転方向R2に回転させるとともに第2の軸線方向X2に移動させ、必要に応じてワークの径をさらに小さくする第2の縮径加工を行う。
(10)加工されたワークの径を検出し、ワークの径が所定値となるまで第1の縮径加工
【0050】
図8は第2の実施形態に係るローラユニット12Aを示している。このローラユニット12Aは、ワークWの周方向の3か所に配置された3個のローラ13,14,120を備えている。第1のローラ13と第2のローラ14は第1の実施形態で説明したものと同じである。第3のローラ120は、第1および第2のローラ13,14と同様に、支軸(揺動軸)121aを有するローラホルダ121によって保持され、自転軸122を中心に回転する。
【0051】
これら3個のローラ13,14,120は、ワークWの位置決めをなす機能も兼ねている。リニヤブッシュタイプのガイド部の代わりに、様々な径のワークを回転自在に支持することが可能なガイド部を使用すれば、ワークWの径が制約を受けないため、様々な径のワーク(ロッド部材)を加工することができる。それ以外の構成と作用について、第2の実施形態のローラユニット12Aを備えたワーク加工装置は、第1の実施形態で説明したローラユニット12を備えたワーク加工装置10と共通であるため説明を省略する。
【0052】
本発明のワーク加工装置と加工方法は、中実あるいは中空の棒状のワークに適用することができる。ワークは、コイルばねやスタビライザ、トーションバーなどの材料に用いるロッド部材であってもよい。ワークの材料は鋼以外の金属でもよいし、合成樹脂などの非金属からなるワークでもよい。ワークの材料によっては、ワークを加熱することなく冷間温度域(室温)あるいは室温よりも高い温間温度域で加工してもよい。
【符号の説明】
【0053】
W…ワーク、W1…テーパ部、W2…小径部、W3…外周面、10…ワーク加工装置、11…ベース部材、12…ローラユニット、13,14…ローラ、15,16…ローラホルダ、15a,16a…支軸(揺動軸)、17,18…自転軸、20,21…回転機構、30,31…加圧機構、40,41…揺動機構、50…制御部、100,101…ガイド部、110…加熱手段、S1,S2,S3,S4…センサ、X…軸線、X1…第1の軸線方向、X2…第2の軸線方向、R1…第1の回転方向、R2…第2の回転方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8