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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-214072(P2019-214072A)
(43)【公開日】2019年12月19日
(54)【発明の名称】溶接・切断トーチ用部品の自動認識
(51)【国際特許分類】
   B23K 10/00 20060101AFI20191122BHJP
   H05H 1/34 20060101ALI20191122BHJP
   H05H 1/36 20060101ALI20191122BHJP
【FI】
   B23K10/00 504
   H05H1/34
   H05H1/36
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2019-72921(P2019-72921)
(22)【出願日】2019年4月5日
(31)【優先権主張番号】15/947,258
(32)【優先日】2018年4月6日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】519124095
【氏名又は名称】ザ・エサブ・グループ・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100071010
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 行造
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】ナドラー、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ドハティー、マクシミリアン
(72)【発明者】
【氏名】ユーイング、フレデリック
【テーマコード(参考)】
2G084
4E001
【Fターム(参考)】
2G084AA16
2G084BB22
2G084BB23
2G084BB24
2G084CC23
2G084CC34
2G084GG11
2G084GG21
4E001AA01
4E001AA03
4E001BA04
4E001ME06
4E001ME12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】溶接、切断装置トーチ部品を自動的に認識し、自動認識に基づいて切断パラメータ、溶接パラメータを自動調整可能とする。
【解決手段】互換性のあるトーチ用部品の表面に1つ以上の受動的な刻印を付加し、自動認識は、トーチ本体100及び1つ以上の撮像装置160を含むトーチアセンブリ又はトーチアセンブリ及び電源装置を含むシステムにより実行することができる。トーチ本体は、1つ以上の受動的な刻印を含む1つ以上の互換性のあるトーチ用部品140を取り外し可能に受け入れるよう構成された動作端を有する。1つ以上の撮像装置は、1つ以上の受動的な刻印によって自動的に1つ以上の互換性のあるトーチ用部品を認識することができるように、1つ以上の互換性のあるトーチ用部品上にある1つ以上の受動的な刻印を表す画像又は画像データを光学的に取得するような場所に配置される。従って、種々の部品を高信頼度で確実に認識することができる。
【選択図】図1C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の刻印を有する1つ以上の互換性のあるトーチ用部品を取り外し可能に受け入れるよう構成された動作端を有するトーチ本体であって、前記トーチ本体は内部空洞を画定することを特徴とするトーチ本体と、
前記内部空洞内に配置され、前記1つ以上の互換性のあるトーチ用部品を前記1つ以上の刻印に基づいて自動的に認識することができるように前記1つ以上の互換性のあるトーチ用部品に付加された前記1つ以上の刻印の画像又は画像データを光学的に取得するように位置決めされた1つ以上の撮像装置と、
を具備する
溶接作業又は切断作業のために用いるトーチアセンブリ。
【請求項2】
前記1つ以上の互換性のあるトーチ用部品に付加された前記1つ以上の刻印に光を当てるように構成された1つ以上の光源、
をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載のトーチアセンブリ。
【請求項3】
メモリと、
プロセッサであって、前記プロセッサに前記1つ以上の撮像装置を動作させるとともに前記1つ以上の光源を動作させるために、前記メモリに格納された命令を実行することを特徴とするプロセッサと、
をさらに具備することを特徴とする請求項2に記載のトーチアセンブリ。
【請求項4】
前記プロセッサは、さらに、
前記1つ以上の刻印に基づき前記1つ以上の互換性のあるトーチ用部品を自動的に認識するするように、前記画像又は前記画像データを電源装置に送信することを特徴とする請求項3に記載のトーチアセンブリ。
【請求項5】
前記プロセッサは、時間ベースの間隔及びアクションベースの間隔の内の少なくとも1つである、所定の間隔で前記1つ以上の撮像装置及び前記1つ以上の光源を動作させることを特徴とする請求項3に記載のトーチアセンブリ。
【請求項6】
前記1つ以上の撮像装置は少なくとも単一のカメラを具備し、前記1つ以上の刻印は、前記1つ以上の互換性のある部品の一部に、前記単一のカメラで視認可能なように付加されていることを特徴とする請求項1に記載のトーチアセンブリ。
【請求項7】
メモリと、
プロセッサであって、
前記プロセッサは前記1つ以上の撮像装置を動作させ、
前記1つ以上の刻印に基づき前記1つ以上の互換性のあるトーチ用部品を自動的に認識するための光学的認識技術で前記画像又は前記画像データを分析する、
よう前記メモリに格納された命令を実行させることを特徴とするプロセッサと、
をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載のトーチアセンブリ。
【請求項8】
前記プロセッサは、さらに、
前記自動的な認識により判断された前記1つ以上の互換性のあるトーチ用部品の認識情報に基づき前記トーチの動作パラメータを調整するために電源装置に命令を送信することを特徴とする請求項7に記載のトーチアセンブリ。
【請求項9】
前記1つ以上の互換性のあるトーチ用部品は消耗部品であり、前記1つ以上の刻印は、前記消耗部品の視認可能な部分に付加されていることを特徴とする請求項1に記載のトーチアセンブリ。
【請求項10】
1つ以上の受動的な機械的刻印を有する互換性のあるトーチ用部品を受け入れる動作端を有するトーチ本体と、
前記トーチ本体上又は前記トーチ本体内に配置される撮像装置と、
前記トーチ本体に取り外し可能に結合することのできるトーチ用部品であって、前記トーチ用部品は、前記撮像装置が前記1つ以上の受動的な機械的刻印を表す画像又は画像データを光学的に取得することができるように前記トーチ用部品が前記トーチ本体に取り外し可能に結合されたとき、前記撮像装置によって光学的に視認することができる面に、1つ以上の受動的な機械的刻印を有することを特徴とする、トーチ用部品と、
を有するトーチアセンブリと、
前記1つ以上の受動的な機械的刻印に基づいて動作パラメータを自動的に調整する電源装置と
を具備するシステム。
【請求項11】
前記トーチアセンブリは、前記画像又は前記画像データを前記電源装置に送信し、前記電源装置は、前記電源装置が前記動作パラメータを自動的に調整することができるように、光学的認識技術で前記1つ以上の受動的な機械的刻印を認識することを特徴とする請求項10のシステム。
【請求項12】
前記電源装置は、
前記1つ以上の受動的な機械的刻印に基づき前記トーチ用部品の認識情報を判断し、
前記認識情報に基づき前記トーチに送られた電力の前記動作パラメータを調整する、
ことを特徴とする請求項11のシステム。
【請求項13】
前記トーチアセンブリは、
前記トーチ用部品に付加された前記1つ以上の受動的な機械的刻印に光を当てるように構成された光源をさらに具備することを特徴とする請求項10のシステム。
【請求項14】
前記トーチアセンブリは、
メモリと、
プロセッサであって、前記プロセッサが所定の間隔で前記撮像装置及び前記光源を動作させるように、前記メモリに格納された命令を実行することを特徴とするプロセッサと、
をさらに具備することを特徴とする請求項13のシステム。
【請求項15】
前記撮像装置は、少なくとも単一のカメラを具備することを特徴とする請求項10のシステム。
【請求項16】
前記1つ以上の受動的な機械的刻印は三次元の受動的な機械的刻印であり、前記撮像装置は、前記三次元の受動的な機械的刻印の深さ及び前記三次元の受動的な機械的刻印のプロファイルの内の少なくとも1つを検出するよう構成されていることを特徴とする請求項10のシステム。
【請求項17】
トーチ本体上に又はトーチ本体中に設置された1つ以上の互換性のあるトーチ用部品に付加された1つ以上の受動的刻印を表す画像又は画像データを、前記トーチ本体上に又は前記トーチ本体中に設置された1つ以上の撮像装置を動作させることで光学的に取得するステップと、
前記1つ以上の受動的刻印に基づいて前記1つ以上の互換性のあるトーチ用部品を認識するステップと、
を具備する互換性のあるトーチ用部品を認識する方法。
【請求項18】
前記画像は生の画像又は処理済みの画像であり、
前記方法は、
前記1つ以上の受動的刻印に基づき前記1つ以上の互換性のあるトーチ用部品を自動的に認識することができるように、前記画像又は前記画像データを電源装置に送信するステップをさらに具備することを特徴とする請求項17の方法。
【請求項19】
前記1つ以上の受動的刻印に基づき前記1つ以上の互換性のあるトーチ用部品を自動的に認識するために、光学的認識技術で前記画像又は前記画像データを分析するステップをさらに具備することを特徴とする請求項17の方法。
【請求項20】
前記分析するステップは、前記トーチに含まれるプロセッサにより実行され、前記方法は、
前記自動的に認識することにより、前記1つ以上の互換性のあるトーチ用部品の認識情報に基づき、動作パラメータを調整するために電源装置に命令を送信するステップをさらに具備することを特徴とする請求項19の方法。
【請求項21】
トーチ内に設置された消耗部品の認識情報に基づいて動作パラメータを自動的に調整するように構成されたトーチに取り外し可能に結合することができる消耗部品であって、前記消耗部品は、
前記トーチの動作端で光学的に視認することができる面と、
前記面にある1つ以上の受動的な機械的刻印であって、前記1つ以上の受動的な機械的刻印は、
前記消耗部品の認識情報、
前記消耗部品に関連する動作パラメータ、及び
前記トーチ内の必要な位置に前記消耗部品が存在すること、
に関する情報を少なくとも1つは提供することを特徴とする、1つ以上の受動的な機械的刻印と、
を具備することを特徴とする消耗部品。
【請求項22】
前記面は、前記消耗部品の後部端壁であることを特徴とする請求項21に記載の消耗部品。
【請求項23】
前記1つ以上の受動的な機械的刻印には、前記消耗部品の製造業者を認識させるための商標が含まれていることを特徴とする請求項21に記載の消耗部品。
【請求項24】
前記1つ以上の受動的な機械的刻印は、機械可読な刻印を具備することを特徴とする請求項21に記載の消耗部品。
【請求項25】
前記面は前記トーチを含むトーチアセンブリに含まれる撮像装置により視認可能であり、前記撮像装置は、前記部品に関する前記動作パラメータを決定することができるように、前記面に付加された前記1つ以上の受動的な機械的刻印を表す画像又は画像データを取得するよう構成されていることを特徴とする請求項21に記載の消耗部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、溶接・切断トーチの部品を認識すること、特に、溶接及び/又は切断トーチの、消耗部品のような互換性のあるトーチ用部品を自動的に認識することに関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ切断トーチのような多くの溶接・切断トーチは、現在、様々な消耗品(例えば、溶接チップ、切断チップ、及び/又は様々な電極)を受け入れることができるトーチ本体、及び他の互換性のあるトーチ用部品を有する。その結果、単一のトーチ本体を(様々な作業のために装着される先端部、電極、及び/又は他の互換性のある部品/消耗部品と共に)色々な切断作業及び/又は溶接作業に使用することができる。残念なことに、別の互換性のあるトーチ用部品(例えば、異なるトーチチップ及び異なる電極)には別の動作設定がしばしば必要となる。従って、トーチ本体への設置前又は設置中に(又は少なくともトーチ操作の前に)別の互換性のあるトーチ用部品(例えば、トーチチップ及び/又は電極)を認識しなければならない。加えて、トーチが別の部品と共に使用されるときには、トーチ本体に接続される電源を、通常は調整しておく必要がある。
【0003】
多くの場合、トーチ本体上に/トーチ本体内に特定のトーチ用部品を取り付ける前に、トーチの種々の消耗部品(例えば、トーチチップ、電極など)がオペレータによって認識される。例えば、オペレータは、部品に又は部品の包装に含まれるバーコードをスキャンすることができる。残念なことに、視覚的認識は、特に経験の浅いユーザにとっては(不可能ではないにしても)困難であることが多く、そして、バーコードの認識は、エンドユーザがバーコードリーダを携帯している場合にのみ可能である。偽造品又は他の不適切な消耗部品(例えば、形状が変更されたために、特定のトーチ本体には最適な溶接/切断パラメータを提供するのに適さない特性を有する競合部品)を視覚的に又はバーコードで認識することが困難なこともある。
【0004】
代替的に、いくつかの部品は、高周波識別(RFID)技術、圧力減衰測定技術、及び/又は表面反射率測定技術を使用して認識することができる。残念ながら、RFID識別技術は高価となる可能性があり、(この技術をさらに高価にするが)古い部品にRFIDタグを新しく取り付けない限り、古い部品とは互換性がない可能性がある。その一方で、圧力の減衰又は反射率を測定することによって部品を認識することは、トーチ本体内に設置されるときに、互換性のあるトーチ用部品(すなわち、トーチ先端及び/又は電極)を迅速に認識するためには信頼性に欠ける及び/又は実用的ではない可能性がある。例えば、圧力減衰の測定は、かなりの時間が経過した後に部品を認識することしかできない可能性があり、さらに、消耗品の圧力減衰を測定することは、消耗品が摩耗している場合に不正確になる可能性がある。一方、反射率の測定は、特に異なる形状の部品に対しては一貫性がなくなる可能性があるため、部品の反射率の測定は信頼できない可能性がある。
【0005】
どのように互換性のあるトーチ用部品が認識されるかにかかわらず、新しく取り付けられた部品を有するトーチを安全に使用することができるようにする前に、通常、電源を適切な設定に手動で調整する必要がある。場合によっては、ユーザは業界の文献(マニュアルなど)又は部品のパッケージを調べて適切な設定を決定する必要があるが、これは、特に経験の浅いユーザにとっては非常に面倒な場合や混乱を招く場合がある。一方、消耗部品を取り換えるときに、ユーザが記憶に基づいて設定を調整するか、又は調整しなかった場合トーチは安全に動作しなくなる可能性がある。加えて又はその代わりに、トーチは、理想的ではない条件下で動作する可能性があり、それにより、トーチの切断性能/溶接性能に悪影響を及ぼし、及び/又は部品寿命を縮める可能性があり、いずれも、時間的に及びコスト的に、溶接作業/切断作業を非効率にする可能性がある。
【0006】
上記に鑑み、トーチに取り付けられたトーチ用部品(すなわち、電極、トーチチップ、シールドカップ、ガス分配器、又は他の互換性のある部品/消耗部品)を正確に高い信頼度で速く自動的に認識することが望ましい。さらに、自動認識に基づいて、電力パラメータ、流れパラメータ、及び/又は故障状態のような切断パラメータ又は溶接パラメータを自動的に調整することが望ましい。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、溶接・切断トーチの消耗部品のような部品を自動的に認識することを目的とする。1つの実施形態によれば、溶接作業用又は切断作業用のトーチアセンブリは、トーチ本体と1つ以上の撮像装置とを含む。トーチ本体は、1つ以上の刻印を有する1つ以上の互換性のあるトーチ用部品を取り外し可能に収容するように構成された動作端を有し、内部空洞を画定する。1つ以上の撮像装置は、この内部空洞内に配置され、1つ以上の互換性のあるトーチ用部品を1つ以上の刻印に基づいて自動的に認識することができるように、1つ以上の互換性のあるトーチ用部品に付加された1つ以上の刻印を表す画像又は画像データを光学的に取得するような場所に位置決めされる。その結果、ここに提示された技術を用いて様々な部品を高信頼度で確実に認識することができる。
【0008】
さらに、1つ以上の刻印(例えば、マーク)は、特にRFIDタグのような様々な他の部品認識手法と比較して、比較的安価な技術で作成することができる。従って、古い部品に、ここに提示された認識技術に適するように容易かつ安価に新たに取り付けることができる。さらに、1つ以上の刻印は商標である場合があり又はそれを含む場合があるので、偽造品又は不適当な部品を容易に認識することができる(偽造品は商標を含まないか、又は少なくとも含むべきではないため)。これにより、偽造品や不適切な部品に関連する安全上のリスクと性能の低下が軽減される。少なくともいくつかの実施形態では、1つ以上の刻印は受動的な機械的刻印である。
【0009】
いくつかの実施形態では、部品を含むトーチの動作パラメータ(例えば、トーチに供給される電力の電力パラメータ)は、自動認識に応答して自動的に調整される。例えば、電源装置はトーチに供給される電流レベルを自動的に調整することができる。追加的又は代替的に、電源装置はガス流設定を自動的に調整することもできる。さらにまた、動作パラメータ(例えば、電流調整)の表示又は危険な状態の警告を電源装置で作成することができる。他の利点の中でも、自動認識に基づいてトーチの動作パラメータを自動的に調整することにより、ユーザは、ある切断作業又は溶接作業から別の切断作業又は溶接作業へとシームレスに移行することが可能になる。
【0010】
例えば、ユーザは、単に様々な消耗部品を交換することによって、第1のプラズマ切断チップで、40アンペアで切断することから第2のプラズマ切断チップで、80アンペアで切断することへとシームレスに移行することができる。別の例として、ユーザは、刻印により、消耗部品を交換することによって、切断、切削などへとシームレスに移行することができる。さらに、そしてまた好都合なことに、動作パラメータの自動調整により、トーチに現在設置されている消耗部品に基づいて、ユーザが特定の動作設定を、不注意に又は望まぬ状態に増減することを防ぐことができる。例えば、電源装置は、トーチ上に/トーチ内に現在取り付けられている部品の認識情報に基づいて、供給電力を特定の上限に電流制限することができる。ユーザが特定の動作設定を望まぬ状態に変更することを防止することで、危険な溶接動作/切断動作を妨げ又は防止する一方で、ユーザが最適ではない動作設定で切断又は溶接することを妨げ又は防止することができる。言い換えると、これらの調整/制限は、(すなわち、錯誤を防止すること及び/又は作業期間を短縮することによって)切断作業/溶接作業に関連するコストを減少させ、保守又は交換部品などの、切断作業/溶接作業に関連する、時間経過とともに生じるコストを(すなわち、トーチ、電源、及び/又はトーチコンポーネントの寿命を延ばすことによって)減少させる。
【0011】
さらにまた、オペレータが偽造品又はその他の不適切な消耗部品(例えば、特定のトーチ本体に対して最適な溶接パラメータ/切断パラメータを提供するのに適していない特性を有する部品)を入手した場合、ここに提示する技術ではオペレータによるトーチの操作の開始を防止すること(すなわちアーク移動を防止すること)、及びトーチの操作パラメータに制限を適用することができる。トーチの動作パラメータを制限することで、偽造品又は不適切な消耗部品の故障によって潜在的に引き起こされかもしれない危険からオペレータ及び/又はトーチを保護することができる。
【0012】
別の実施形態によれば、システムはトーチアセンブリと電源とを有する。このトーチは、1つ以上の受動的な機械的刻印を有する互換性のあるトーチ用部品を受ける作動端を有するトーチ本体と、トーチ本体上又はトーチ本体内に配置され、互換性のあるトーチ用部品に付加された1つ以上の受動的な機械的刻印を表す画像又は画像データを光学的に取得する撮像装置とを有する。電源装置は、1つ以上の受動的な機械的刻印に基づいてトーチの動作パラメータを自動的に調整する。
【0013】
さらにまた別の実施形態によれば、トーチ本体に配置された1つ以上の撮像装置を操作することによって、トーチ又はトーチアセンブリに設置された互換性のある1つ以上のトーチ用部品に付加された1つ以上の受動的刻印を表す画像又は画像データを視覚的又は光学的に取得する(例えば、画像を取り込む)ことを含む方法によって部品の自動認識が達成される。互換性のある1つ以上のトーチ用部品は、1つ以上の受動的刻印に基づいて認識される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】本開示における例示的実施形態による、互換性のあるトーチ用部品を自動的に認識し、トーチアセンブリの動作設定を自動的に調整するように構成された電源及びトーチアセンブリを有する切断システムの斜視図である。
【0015】
図1B】本開示における例示的実施形態による、図1Aのトーチアセンブリの斜視図である。
【0016】
図1C】本開示における例示的実施形態による、互換性のあるトーチ用部品を受け取って自動的に認識するように構成されている図1Bのトーチアセンブリの端部の断面図である。
【0017】
図2図1Cに示すトーチの一部及び例示的な実施形態による互換性のあるトーチ用部品を示すブロック図である。
【0018】
図3】本開示における例示的実施形態による、図1Aのトーチアセンブリ及び電源装置のブロック図である。
【0019】
図4】本開示における例示的実施形態による、図1C又は図3に示すトーチの動作を示す概略フローチャートである。
【0020】
図5】本開示における例示的実施形態による、図3の電源装置の動作を示す概略フローチャートである。
【0021】
図6】本開示における別の例示的実施形態による、図3の電源装置の動作を示す概略フローチャートである。
【0022】
図面全体を通して、同じ番号は同じ構成要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
溶接用及び/又は切断用トーチアセンブリ(本明細書では単にトーチアセンブリと呼ぶ)のための、電極、トーチチップ及び他の消耗品のような互換性のあるトーチ用部品を自動的に認識するための方法、装置、及びシステムがここに提示される。方法、装置、及びシステムは、互換性のあるトーチ用部品に付加された1つ以上の刻印(例えば、1つ以上の受動的な機械的刻印)を認識する光学的認識技術を用いて互換性のあるトーチ用部品を認識する。例えば、カメラなどの撮像装置をトーチアセンブリに取り付けることができ、撮像装置を、トーチアセンブリのトーチに設置された1つ以上の消耗部品又は部品のアセンブリ(例えば、これらの部品からなる使用可能な及び/又は使用不可能となったカートリッジ)の表面(例えば、背面)の画像及び/又はその表面を表す画像データを光学的に取得するように配置することができる。2つの具体例として、カメラが刻印の画像を取得(例えばキャプチャ)してもよく、又はレーザスキャナが刻印を表す画像データを取得してもよい。
【0024】
画像及び/又は画像データがどのように取得されるかにかかわらず、光学的認識技術(例えば、光学式文字認識(OCR)技術)を、取得された画像及び/又は画像データに適用し、この画像及び/又は画像データに付加された1以上の刻印を認識させることができる。いくつかの実施形態では、互換性のあるトーチ用部品に付加された1つ以上の刻印には、部品を本物の部品として認識することを可能にする(すなわち、偽造ではない)製造業者の商標(例えばESAB)が含まれる。追加的又は代替的に、1つ以上の刻印には、部品にさせようとする動作の指示(例えば、「60Aカット」)が含まれる。
【0025】
以下にさらに詳細に説明するように、少なくともいくつかの実施形態において、トーチに含まれる/トーチ内に設置された互換性のある1つ以上のトーチ用部品が認識されたとき、互換性のあるトーチ用部品を受け取るトーチに結合された電源装置は、自動的にトーチの動作パラメータを調整又は制御することができる。例えば、いくつかの実施形態では、トーチは、1つ以上の刻印を有するトーチ用部品の表面に向かって光を放射し、1つ以上の刻印を表す画像及び/又は画像データを光学的に取得し、画像を電源装置に送信するように構成することができる。次に電源装置は部品を認識し、それに応じて自動的に電力供給及びガス供給の設定を調整することができる。この具体例において、動作を委任することにより、ここに提示された技術を既存のトーチに新しく取り付けることを比較的容易にすることができる。動作の委任によりまた、いくつかの実施形態では、トーチに必要な処理量(及び部品の数)を減らすことができ、トーチをより使い易くし、(少なくとも徐々に)より軽くし、及び/又はより簡単にすることができる。さらに、電源装置で部品を認識することにより、トーチに設置された部品に基づいて、電源装置はトーチに供給される電力及び/又はガスのパラメータを迅速に調整することを可能にし、安全でなく望ましくない(すなわち、溶接/切断性能及び/又はトーチ及び/又は認識された互換性のあるトーチ用部品の寿命にとって望ましくない)電力パラメータでトーチを動作させることができないようにすることができる。また、他の実施形態では、以下でさらに詳しく説明するように、トーチは、互換性のあるトーチ用部品をトーチで認識することができるように(およびそれに鑑みて命令を電源に送信することができるように)、必要とされる部品を有することができる。
【0026】
図1Aは、ここに提示する技術を実施することができる切断システム10の例示的実施形態を示す。大まかにいえば、切断システム10は、トーチ22を有するトーチアセンブリ20に電力及びガスを供給する(又は少なくともその供給を制御する)ように構成された電源装置40を具備する。以下に詳述するように、電源装置40は、トーチアセンブリ20に取り付けられた互換性のある部品の認識情報に基づいて、トーチアセンブリ20にガス及び/又は電力を供給する。切断システム10は、接地クランプ付きの作業リード50も有する。トーチアセンブリ20(図1B参照)に含まれるリード50及びリード32は比較的短いものとして示されているが、リードは任意の長さとすることができる。図示されていないが、ここに提示する技術を実施するように構成された溶接システムは同様の部品を有することができる。
【0027】
図1Bは、図1Aに示すトーチアセンブリ20の外観を示す。図から分かるように、トーチアセンブリ20は、第1の端部101(例えば、接続端101)から第2の端部102(例えば、動作端102)に延びるトーチ本体100を有するトーチ22を含む。トーチ本体100の接続端101は、リード24の一端に(現在知られている又は今後開発される任意の方法で)結合することができ、リード24の他端は、トーチアセンブリ20を現在知られているか又は今後開発される任意の方法(例えば、解放可能な接続)で電源40に結合することを可能にするコネクタ26に結合することができ、又はこのようなコネクタ26を有することができる。一方、トーチ本体の動作端102は、アイテム200で一般的に示される消耗部品のような互換性のある部品を受け入れることができるが、以下でさらに詳述するトーチチップ、電極、ガスリングなどのような様々な部品を含むことができる。本体100はまた、ユーザが切断動作を開始することを可能にするトリガ105を含むことができる。
【0028】
図1Cは、トーチ本体100の動作端102の近傍のトーチ22の一部を示す。分かり易くするために、図1Cは、一般的に溶接/切断トーチに含まれる電力又はガス移送用部品などの様々な部品を除外したトーチ本体100を示す。代わりに、図1Cでは、ここに提示された技術の明確かつ簡潔な説明を可能にする選択された部品のみを示す。しかしながら、トーチに一般的に含まれる図示されていない部品(すなわち、溶接又は切断作業を容易にするための部品)は、例示的実施形態に従って構成されたトーチに含めることができる(そして実際に含めるべきである)。
【0029】
図示の実施形態では、トーチ本体100は、互換性のある電極120、互換性のあるガス分配器130、互換性のあるトーチチップ140、及び互換性のあるシールドカップ150を、これらの各部品が他の同様の部品と互換性がある限りにおいて、そして必ずしもそれ自体と互換性又は再構成の可能性がないとしても、収容する。例えば、電極120は、他の電極(又は他の類似の消耗品)と交換又は置き換えることができるので互換性がある。図示の実施形態では、ガス分配器130及び電極120をトーチ本体100に取り付けることができ、チップ140をその上に取り付けることができる。代替的に、電極120、ガス分配器130、及びチップ140は、単一の部品として(例えば、カートリッジとして)トーチ本体100に設置することができる。いずれにしても、電極120、ガス分配器130、及びチップ140がトーチ本体100に/トーチ本体100内に設置されると、電極120、ガス分配器130、及びトーチチップ140をトーチ本体100の動作端102に(そして軸方向に整列して)固定するためにシールドカップ150がトーチチップ140の設置フランジ142の周りに設置される。
【0030】
しかしながら、他の実施形態では、電極120、ガス分配器130、及び/又はトーチチップ140(ならびに任意の他の互換性のあるトーチ用部品)は、トーチ本体100にあるねじ部と部品に含まれる対応するねじ部とを嵌合させるような、望ましい方法でトーチ本体100に固定又は取り付けることができる。さらに、他の実施形態では、トーチアセンブリ20(又はトーチ22のみ)は、互換性のある電極120、互換性のあるガス分配器130、互換性のあるトーチチップ140、及び/又は互換性のあるシールドカップ150に加えて又はその代わりに、互換性のあるトーチ用部品の適切な組み合わせを含むことができる。
【0031】
さらに図1Cに示すように、トーチアセンブリ20はまた、図示の実施形態ではトーチ本体100内に配置された撮像装置160を有する。もっと具体的に言うと、トーチ本体100は内部キャビティ104を画定し、撮像装置160は内部キャビティ内に配置され、これにより、撮像装置160は、トーチ本体100の動作端102の1つ以上の画像及び/又は画像データを表す画像データを光学的に取得することができる。すなわち、撮像装置160は、トーチ本体100の動作端102に設置された互換性のあるトーチ用部品を表す1つ以上の画像及び/又は画像データを光学的に取得するよう配置される。いくつかの実施形態では、撮像装置160は、動作端102への直接の見通し線を有する必要はなく、代わりに、現在知られているか又は今後開発されるミラー、光ファイバー、ライトパイプなどの光学部品を介して内部空洞104の動作端102を見るようにすることもできる。言い換えれば、撮像装置160を、現在知られているか又は今後開発される光学部品を介して内部キャビティ104の動作端102に光学的に結合させてもよい。実際に、いくつかの実施形態では、撮像装置160は、トーチアセンブリ20内に配置される必要はなく、トーチ本体100の外面又はその近くに配置し、内部キャビティ104の動作端102に光学的に結合することができる。とはいえ、内部撮像装置160(すなわち、内部キャビティ104内に配置された撮像装置160)を有する実施形態は、トーチ本体100の表面の外側に取り付けられた、又は他の方法でトーチアセンブリ20の外部(例えば、「外部撮像装置160」)に配置された撮像装置を含む実施形態よりもより滑らかでより効率的で誤動作しにくい可能性がある。
【0032】
一般に、撮像装置160は、二次元及び/又は三次元画像及び/又は画像を表す画像データを光学的に取得することができる任意の装置又は部品とすることができる。例えば、撮像装置160は、その視野内の任意の面(及びその上にある1つ以上の刻印)の二次元画像を取り込む単一のカメラとすることができる。付加的又は代替的に、撮像装置160は、撮像装置160に二次元画像、三次元画像、及び/又は画像データ(例えば、画像を表すレーザを用いた光学スキャンによるデータ)を(例えば、以下にさらに詳述する、エッチングを検出するために)取得するような、カメラアレイ、複数のカメラ、レーザ、LIDAR、超音波、ソナー、レーダ、赤外線撮像装置などの複数の撮像用部品を含むことができる。
【0033】
図1Cに示すように、いくつかの実施形態では、撮像装置160は、トーチ本体100の動作端102の一部(例えば、半分)だけに広がる視野「A」を有することができるが、他の実施形態では、撮像装置160は、トーチ本体100全体(「A」+「B」)にわたる視野を有する。以下でさらに詳述するように、いくつかの実施形態では、互換性のあるトーチ用部品(例えば、消耗部品)は、任意の刻印をトーチ本体の特定の半径方向位置(例えば、トーチ本体の「上部」)に配置するように調整することができる。これらの実施形態では、撮像装置160は、半径方向位置をカバーする視野「A」を有する(例えば、円筒形トーチ本体100のセグメントを覆う視野のみを有する)ことだけが必要となる可能性がある。
【0034】
さらに、いくつかの実施形態では、様々な部品は、撮像装置160に直接隣接する部品を超えて撮像装置160の視野を広げるための経路、開口部、又は他のそのような機構(例えば埋め込み型光ファイバ)を含むことができる。例えば、図1Cでは、撮像装置160は、電極120の背面122及びガス分配器130の背面132への直接的な見通し線を有するが、撮像装置160は、トーチチップ140の背面144への直接的な見通し線を有していなくてもよい。従って、ガス分配器130は、トーチチップの背面144の特定部分への見通し線を撮像装置160にもたらす経路134(例えば、光ファイバ経路)を画定する。従って、図示の実施形態では、撮像装置は、撮像装置160が「A」によって画定される視野を有するか、又は「A」+「B」によって画定される視野を有するかにかかわらず、電極120の背面122、ガス分配器130の背面132、及びトーチチップ140の背面144を表す1つ以上の画像及び/又は画像データを光学的に取得するように配置される。
【0035】
いくつかの実施形態では、トーチアセンブリ20はまた、撮像装置160の視野(例えば「A」又は「A」+「B」)を照らすように構成された光源170を含むことができる。すなわち、撮像装置160が視野「A」を有する場合、光源170は、「A1」で示すように、少なくとも視野「A」を照らすことができ、撮像装置160が視野「A+B」を有する場合、光源170は、「A1+B1」で示すように、少なくとも視野「A+B」を照らすことができる。光源170は、互換性のあるトーチ用部品の表面を照らすことができる、発光ダイオード(LED)のような、任意の装置とすることができる。付加的又は代替的に、トーチの動作中に放射される光(すなわちプラズマアークによって放射される光)は、トーチ本体100の中に又はトーチ本体100の上にある光源170からの光を補完又は代替することができ、従って溶接/切断動作もまた、光源170と称することも可能である。トーチアセンブリ20が光源170を含む場合、光源をトーチ本体100の内部キャビティ104内に配置することもでき、現在知られているか又は今後開発されるミラー、光ファイバー、ライトパイプのような任意の光学部品を介して、内部キャビティ104の動作端に光学的に結合させることもできる。
【0036】
図1Cは単一の撮像装置160及び単一の光源170を示すが、いくつかの実施形態では、トーチ20は、それぞれ特定の種類の互換性のあるトーチ用部品200(例えば、電極のための第1の撮像装置、トーチチップのための第2の撮像装置、等)専用の複数の撮像装置160を含むことができる。他の実施形態では、トーチ本体100に設置された任意の部品200に含まれる1つ以上の刻印210(図2参照)を撮像するためには単一の撮像装置160が適している。複数の撮像装置160を含む実施形態では、複数の光源170を含むこともできる。光源170はそれぞれ、単一の撮像装置160、一組の撮像装置160、又はそれらの組み合わせた、専用のものとすることができる。代替的に、単一の光源170により、トーチ20に含まれる任意の撮像装置160のための光を供給することもできる。
【0037】
さらに図1Cを参照すると、トーチアセンブリ20は、プロセッサ190を含むこともできる。トーチ本体100に含まれるプロセッサ190は、撮像装置160と光源170とを任意の組み合わせで動作させることができる。さらに、以下にさらに詳述するように、プロセッサ190は、部品の1つ以上の刻印に基づいて部品を認識することができ、又は電源装置が部品の1つ以上の刻印に基づいて部品を認識することができるようにするために、電源装置にデータを送信することができる。従って、互換性のある電極120、互換性のあるガス分配器130、互換性のあるトーチチップ140、及び/又は互換性のあるシールドカップ150がトーチ本体100の動作端102にどのように取り付けられるのかとは関係なく、これらの互換性のあるトーチ用部品のいずれかは(トーチ本体100内又はトーチ本体100上に含まれる他の互換性のあるトーチ用部品も)、1つ以上の刻印210(図2を参照)を含む場合、これらの部品は、(光源170から光を当てられることによって容易となった画像及び/又は画像データの取得と共に)撮像装置160によって取得された1つ以上の刻印210を表す1つ以上の画像及び/又は画像データに基づいて認識することができる。
【0038】
図2は、図1Cのトーチを示すブロック図である。ここで、図2では図1Cと同様の部分には同一の符号を付している(そして、上記に含まれるこれらの部分についての説明は、図2に示される同様の部分に適用可能となる)。例えば、上記のトーチ本体100の説明は、図2に示すトーチ本体100に適用可能であり、従って、トーチ本体100は、1つ以上の刻印210を有する互換性のある消耗部品200(これらは、電極120、ガス分配器130、トーチチップ140、又はシールドカップ150を表すことができる)を受け入れることができる。簡単にするために、「マーク」という用語は、マークが1つ以上の刻印を指すことができるという理解の下で、刻印210を本明細書ではマーク210とも呼ぶことができる。図2において、マーク210は部品200の背面202に設けられる。しかしながら、この位置は単なる例示であることを理解すべきである。他の実施形態では、トーチ本体100に設置可能な任意の互換性のあるトーチ用部品200(図1Cに示された互換性のあるトーチ用部品、ならびに様々な消耗品などの図1Cに示されていない任意の他の互換性のあるトーチ用部品を含む)は、(直接又は光学部品を介して)撮像装置160から見ることができる位置にマーク210を有する。
【0039】
一般に、互換性のあるトーチ用部品200は、その上に設けられるマーク210を付けて製造することができ、又はマーク210を、現在知られているか又は今後開発される任意の方法で部品の表面に付加することができる。例えば、マーク210は、トーチ用部品に文字及び/又は記号を(例えば、レーザ、エッチング、印刷、スタンピング等で)恒久的に刻印することによって、互換性のあるトーチ用部品(例えば、消耗品)に恒久的に付加することができる。代替的に、マークは、ラベル、ステッカー、又は他の品目/方法で、互換性のあるトーチ用部品(例えば、消耗品)に恒久的又は一時的に付加してもよい。マーク210の文字及び/又は記号は、部品の製造業者及び用途(例えば、目的、使用法、及び特性)に対応する。例えば、図2において、互換性のある部品200(電極120、ガス分配器130、トーチチップ140、又はシールドカップ150として表される)は、「ESAB 60A GOUGE」と表示されるマーク210を含む。これは、この部品がESABにより製造されたことを示しており(したがってESABのトーチ本体に適しており)、60アンペアのプラズマガウジングに適している。しかしながら、この例にもかかわらず、(取得が光源170からの照明を必要とする場合であっても)マーク210で表される1つ以上の画像及び/又は画像データを撮像装置160が光学的に取得することができるのであれば、そして、光学的認識技術をこの文字、記号、又は任意の他の認識子/マークに適用することができるのであれば、マーク210に含まれる文字及び/又は記号は人間が読むことができる必要はない(人間が読むことができない刻印を本明細書では機械可読と呼ぶことがある)。
【0040】
マーク210は二次元である必要はなく、代わりにマーク210は三次元の構成とするか又はそのような構成を含むことができる。例えば、マーク210は、隆起部分又は彫刻部分を含むことができる。立体的特徴は、(例えば、レーザ、ソナー、レーダなどを用いて)記号及び文字だけでなくプロファイル及び深さについてもスキャンすることができ、マークを、光学的認識技術を用いて処理するとき、プロファイル及び深さを考慮することができる。しかしながら、「受動的」とは、そのマークがいかなる信号も発しないこと、いかなる電子データも格納又は送信しないこと、さらに、いかなる動作も実行しないことを示す限りにおいて、そのマークは受動的で機械的なマークである。別の言い方をすれば、(コンピューティングデバイスと相互作用することができるスマートマークにするのとは対照的に)マーク/刻印はデータ処理能力がない。一方、「機械的」とは、刻印/マークが、互換性のある部品に適用される物理的な加算的又は減算的プロセスから形成又は作成される物理的刻印であることを意味する。いくつかの例として、機械的刻印は、ドリルで形成された穴、材料にエッチングされた文字、材料に印刷された記号、材料にエッチングされた形状などを含むことができる。少なくともいくつかの実施形態において、刻印が、付着点、冷却機能、及び/又は他の互換性のある部品の機能的態様を提供し、機能的構成に加えて互換性のある部品に取り付けられる限りにおいて、刻印も非機能的となる。
【0041】
マークの物理的特性とは無関係に(例えば、穴又はエッチング形状などを含んで、マークが二次元であるか三次元であるかに関わらず)、マーク210(例えば、1つ以上の刻印)は、トーチアセンブリに含まれる1つ以上の撮像装置の視野内(例えば、図1Cの視野A)にある互換性のある部品200の一部に含まれる。すなわち、マーク210は、トーチ22の動作端102の内側の位置から光学的に見える位置に設けられる(図1C参照)。例えば、少なくともいくつかの実施形態では、マーク210は、消耗部品の後面上の半径方向外側の位置(例えば、側壁と向かい合う端壁)に付加することができる。少なくともいくつかの実施形態では、この位置は遮るものがなく(例えば、他の部品によって覆われず、又は塞がれていない)、従ってトーチアセンブリに含まれる1つ以上の撮像装置160から光学的に見ることができる。
【0042】
比較すると、一般的には互換性のある部品(例えば、消耗品)には、(情報を付加するために利用可能な広い表面積があるので)ブランド情報を付加するのが容易な、部品の広い面(例えば、側壁)上にブランド情報(又は他のそのような刻印)が付加される。加えて、通常、互換性のある部品(例えば、消耗品)は、後端壁に機械的嵌合機能(例えば、ねじ切り、冷却剤通路/接続部等)を含み、従って、後端壁(又は部品の他のそのような光学的に見える部分)に刻印を含めることは困難である。ここでは、トーチアセンブリに含まれる1つ以上の撮像装置が、1つ以上の互換性のある部品に含まれる1つ以上の刻印の画像及び/又は画像データを確実に取得できるようにするために、1つ以上の互換性のある部品が光学的に視認可能な表面に刻印される。例えば、図1Cにおいて、電極120には、(トーチ22の)トーチ本体100の動作端102から見える範囲で、光学的に見ることができる表面となる可能性のある、後面122上に1つ以上の刻印を付加することができる。
【0043】
また、マークの物理的特性とは無関係に、少なくともいくつかの実施形態では、部品200は、マーク210をトーチ本体100の特定の部分と位置合わせする機構を含む。このような実施形態では、マーク210を、トーチ本体100に含まれる撮像装置160により見ることができる。例えば、部品200及びトーチ本体100は、マーク210を確実に撮像装置160と光学的に位置合わせするために、部品200をトーチ本体100に取り付けるときに、部品200をトーチ本体100とどのように位置合わせするかを示す刻印(又は他の任意の種類の機械的キーイング)を含むことができる。
【0044】
図2は、マーク210を有する単一の部品200のみを示しているが、1つ以上の互換性のあるトーチ用部品200をトーチ本体100に設置し、トーチ20がこれら部品200の各々を検出するよう構成することができる。いくつかの実施形態では、複数の部品を単一の刻印又は刻印210のセット(例えば、複数の部品がカートリッジ内に組み込まれる場合)と関連付け、この1つ以上の刻印210をこの部品の組み合わせに固有のものとすることができる。例えば、複数の部品が全体的なマークパターンの一部を含むことができ、全体的なマークパターンがすべての部品が互いに結合されたときにのみ完成するようにできる。別の例として、カートリッジ本体には、1つ以上の刻印を付加することができ、そして特定の消耗部品のみを受け入れるように構成することができる(そして1つ以上の刻印は、カートリッジ本体内のすべての部品を示すことができる)。代替的に、複数の部品がそれぞれ独自のマーク210を有することができる。様々な部品が独自のマーク210を有する実施形態では、マーク210を部品全体にわたって比較し、部品間の適合性を判断することができる。上述のように、いくつかの実施形態では、トーチ20は、各々が特定のタイプの互換性のあるトーチ用部品200に専用となっている複数の撮像装置(例えば、電極用の第1撮像装置、トーチチップ用の第2撮像装置など)を有することができるが、他の実施形態では、トーチ本体100に取り付けられた任意の部品200に付加したマーク210を撮像するためには、単一の撮像装置160が適していることもある。
【0045】
上述したように(そして以下に詳細に説明するように)、プロセッサ190は、(単に1つ以上の撮像装置160及び1つ以上の光源170を動作させるように構成されているのとは対照的に)撮像装置160によって取得された画像162(又は画像データ)を処理するように構成することができる。例えば、図2に示すように、プロセッサは、OCR技術を(「ESAB 60A GOUGE」を提供する文字を含む)画像162に適用することができる。しかしながら、様々な実施形態において、現在既知であるか又は今後開発される任意の光学的認識技術を、撮像装置160によって取得した画像162に適用することができる。同様に、現在既知であるか又は今後開発される任意の光学的技術を、データから刻印を認識するために(例えば、光学スキャンからのデータをつなぎ合わせ、続いて光学的認識技術を用いて刻印を認識するために)、取得した画像データに適用することができる。一般に、光学的認識技術には、一致点を見つけるために、取得された画像及び/又は画像データをデータ及び/又は画像のライブラリと比較することを含むことができる。
【0046】
図3を参照すると、この図は、本発明に従って構成されたシステム300(例えば切断システム10)の概略ブロック図を示している。システム300は、(図1A図1Cに示すトーチアセンブリ20のような)トーチアセンブリ301と、溶接又は切断作業の電力パラメータ又はガス流量設定のような、動作パラメータを調整するよう構成された(図1Aに示す電源40のような)電源装置350とを有する。図1Cに関して上述したように、トーチアセンブリ301は、他の互換性のあるトーチ用部品の中でも、互換性のあるトーチチップ及び電極を選択的に受け入れることができる。その結果、チップ1〜3及び電極1〜3は、トーチ30の動作端102上に設置することができるものとして破線で示されている。また、上述したように、トーチアセンブリ301はプロセッサ190を有することができる。付加的に、アセンブリ301は、メモリ310と、電源装置350に含まれるインターフェース370への接続を可能にするインターフェース330とを有することができる。いくつかの実施形態では、トーチアセンブリ301に含まれるインターフェース330は、(すなわち、別々の伝送ケーブルを介して)電源装置350に電力接続及びデータ接続を提供することができる。例えば、各インターフェース330は、無線インターフェースユニット及び電源インターフェースユニットを有することができ、無線インターフェースユニットによりトーチアセンブリ301と電源装置350との間の無線データ転送が可能となり、電源インターフェースユニットにより電源からトーチ30への有線電力転送が可能になる。
【0047】
一般に、プロセッサ190(例えば、マイクロプロセッサ)は、1つ以上の撮像装置160及び1つ以上の光源170のような、トーチ本体に含まれる又はそれに結合される様々な部品を動作させるためにメモリ310(すなわち撮像ロジック312)に含まれる命令を実行することができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ190はまた、以下でさらに詳述するように、トーチアセンブリ301内に/トーチアセンブリ301上に、必要な部品があるかどうかを判断するために撮像ロジック312を実行することができる。さらに、いくつかの実施形態では、プロセッサ190は、簡単に上述したように、認識(ID)ロジック314を実行して、その中に設置された部品(すなわち、電極1〜3又はチップ1〜3)を認識することができる。さらにまた、プロセッサ190は、データ及び/又は命令を電源装置350に送信するために、メモリ310(すなわち、撮像ロジック312)に含まれる命令を実行することができる。撮像ロジックを実行するときのプロセッサの動作を、図4に関連して以下にさらに詳細に説明する。
【0048】
一方、電源装置350はまた、電源装置のメモリ360に格納されている命令(すなわち、動作ロジック362及びIDロジック314)を実行するように構成されているプロセッサ354を有することができる。トーチアセンブリ301から受信したデータを部品の認識情報及び/又は1つ以上の動作パラメータと関連付ける画像IDデータ構造364(すなわちテーブル)もまた、電源装置350のメモリ360に格納することができる。代替的に、IDデータ構造364は、電源装置350及び/又はトーチアセンブリ301によって(すなわち、それぞれインターフェース370及び/又はインターフェース330に含まれるネットワークインターフェースユニットを通して)アクセスすることができる外部IDデータベース380に格納することができる。以下で図5及び図6に関連してさらに詳述するように、少なくともいくつかの実施形態では、電源装置プロセッサ354は、トーチアセンブリ301から受信したデータを(画像ID364からの)部品の認識情報と関連付けてインストール済みの部品を認識するためにIDロジック314を実行する。
【0049】
付加的又は代替的に、電源装置プロセッサ354は、認識された部品がトーチ内に配置されている間に、溶接又は切断動作の動作パラメータを調整するために動作ロジック362を実行することができる。少なくともいくつかの実施形態では、動作パラメータには、自動切断/溶接の設定(例えば、コンピュータ数値制御(CNC)コントローラによって制御される設定)、電力/電流の設定、及び/又はガス流の設定を含めることができる。いくつかの例として、自動切断/溶接の設定は、移動速度、ピアス高さ、スタンドオフ高さ/切断高さ、及び/又はピアス滞留時間を含む。比較すると、ガス流設定には、少なくともいくつかの実施形態では、使用されているガスの種類(例えば、酸素、窒素、アルゴン、空気など)、圧力又は流速、ガス機能(例えば、プリフロー、ポストフロー、カットガス、シールドガスなど)及び/又はガスシーケンシングを含むことができる。いくつかの実施形態では、電源装置プロセッサ354はまた、必要な部品がトーチアセンブリ301内に/トーチアセンブリ301上に配置されているかどうかを判断するために、以下でさらに詳細に論じるように(この判断を行うために撮像ロジック312を実行するプロセッサ190の代わりに)動作ロジック362を実行することができる。
【0050】
さらに、図示されていないが、いくつかの実施形態では、電源装置350のインターフェース370及び/又はトーチアセンブリ301のインターフェース330は、1つ以上の外部コンピューティングデバイスへの接続(有線又は無線)を可能にし、外部コンピューティングデバイスがIDロジック314及び/又は動作ロジック362を含むことで、外部コンピューティングデバイスは画像又は画像データを分析し、電源装置350及び/又はトーチアセンブリ301と通信し、電源装置350の動作設定を調整することができ、或いは、ここに提示された技術の少なくとも一部に関連するロジックを実行する。
【0051】
一般に、トーチアセンブリ301及び電源装置350にそれぞれ含まれるメモリ310及びメモリ360は、様々な部品の動作に関する命令その他のデータを含むデータを格納するように構成することができる。さらに、メモリ310及びメモリ360は、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体装置、光記憶媒体装置、フラッシュメモリ装置、電気的、光学的又は他の物理的/有形(例えば、一時的でない)メモリを含むことができる。従って、一般に、メモリ310及びメモリ360は、コンピュータ実行可能命令からなるソフトウェアでエンコードされた1つ以上の有形(一時的でない)コンピュータ可読記憶媒体(例えば、メモリデバイス)であるか又はそれらを含むことができる。例えば、メモリ310及び/又はメモリ360は、ここで説明するように、トーチアセンブリ301のトーチに設置された部品を自動的に認識するために、及び/又は自動的に認識することに応答して動作パラメータを自動的に調整するために、それに関連するプロセッサ(それぞれプロセッサ190及びプロセッサ354)によって実行することができる命令を格納することができる。言い換えれば、メモリ310及び/又はメモリ360は、1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、1つ以上のプロセッサにここに記載の動作を実行させる命令を含むことができる。
【0052】
さらに図3を参照すると、電源装置は1つ以上のインジケータ352も含むことができる。場合によっては、インジケータ352は、電流ゲージ、圧力ゲージ、故障ゲージ、及び/又は他の動作制御信号を含む。付加的又は代替的に、インジケータ352は、現在認識されている部品の認識情報を表示し、及び/又はユーザが電力設定を危険な設定に変更しようとすると警告を表示することができるディスプレイを含むことができる。
【0053】
上述のように図4は、例示した実施形態に従って構成された、(これもまた、図1A図1Cのトーチアセンブリ20を表すことができる)図3のトーチアセンブリ301によって実行される動作の概略フローチャートを示す。まず、410において、1つ以上の撮像装置(例えば撮像装置160)は、トーチアセンブリ301内に/トーチアセンブリ301上に設置された1つ以上の互換性のあるトーチ用部品(すなわち、トーチアセンブリ301のトーチに含まれる消耗部品)を表す1つ以上の画像及び/又は画像データを光学的に取得する。いくつかの実施形態では、1つ以上の撮像装置は、トーチ本体の動作端及びトーチ本体の中に設置された互換性のあるトーチ用部品の1つ以上の画像及び/又は画像データを常に光学的に取得する。代替的に、1つ以上の撮像装置は、トーチ本体の動作端及びトーチ本体の中に取り付けられた互換性のあるトーチ用部品の1つ以上の画像及び/又は画像データを所定の間隔で光学的に取得するだけとすることもできる。所定の間隔は、時間ベース(例えば、30秒ごと)又はアクションベースとすることができる。所定のアクションベースに基づく間隔の例には、電源の投入、電源のサイクリング、機械化されたトーチでの「火災」信号の受信、トーチにあるトリガの作動、及び/又は互換性のあるトーチ用部品のトーチ本体上の所定の位置への固定に応答して開始する時間間隔が含まれる。いくつかの実施形態では、トーチ本体に含まれる光源は、所定の間隔で互換性のあるトーチ用部品(及びその上に含まれる任意のマーク)を照明するだけでよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、420において、トーチアセンブリは、取得した画像及び/又は画像データを分析することなく、取得した画像及び/又は画像データを電源装置に送信する。例えば、トーチアセンブリは、画像及び/又は画像データを及び/又はバッチ又はセットとして取得したとき電源装置に取得した画像及び/又は画像データを転送することができる。代替的に、430において、トーチアセンブリ内のプロセッサ(例えば、プロセッサ190)は、取得した画像及び/又は画像データを光学的認識技術で分析して、1つ以上の互換性のあるトーチ用部品に含まれる1つ以上の刻印を認識することができる。例えば、撮像装置が定常的に画像及び/又は画像データを取得している場合、プロセッサは取得した画像及び/又は画像データの変化を検出し(例えば、1つ以上の刻印を画像のライブラリと比較し)、変化が検出されたときに画像及び/又は画像データに光学的認識技術を適用する。代替的に、撮像装置が所定の間隔で画像及び/又は画像データを取得している場合、プロセッサは、取得した各画像及び/又は画像データを光学的認識技術で分析することができる。
【0055】
430でトーチアセンブリが取得した画像及び/又は画像データに光学的認識技術を適用する場合、440でトーチアセンブリは、取得した画像及び/又は画像データ内の1つ以上の刻印が認識されたかどうかを判断することができる。1つ以上の刻印が440で認識された場合、450で刻印又は刻印を表すデータが電源装置に送信される。しかしながら、いくつかの実施形態では、450で送信する前に、トーチアセンブリは、445で、動作に必要な部品が適切に配置されているかどうかを判断することができる(この判断は必ずしも行う必要はないので、445は破線で示されている)。例えば、特定のプラズマ切断動作で適切に機能させるために、特定のトーチアセンブリが電極、ガス分配器、トーチチップ、及びシールドカップを必要とする場合、トーチアセンブリは、動作を開始する前にこれらの部品のすべてが現在トーチに設置されているかを判断することができる。
【0056】
トーチアセンブリ(又はより具体的には、トーチアセンブリのプロセッサ)が、必要な部品が設置されていない(又は正しく設置されていない)と判断した場合、445でトーチアセンブリは部品が定位置にないと判断し、460で電源装置が動作することを(すなわち、電源装置が電力を供給するのを阻止する信号を電源装置に送ることによって)阻止する。例えば、トーチチップを定位置に置く前にシールドキャップがトーチに取り付けられている場合、プロセッサは、445で部品が定位置にないと判断し、460でプラズマ切断動作を阻止することができる。この判断は、(例えば、電極カテゴリ、ガス分配器カテゴリ、トーチチップカテゴリ、及びシールドカップカテゴリが刻印で認識されている部品が配置されているときに)必要とされる所定のカテゴリの各々から刻印を認識することで、そして、1つ以上の撮像装置によって認識された刻印の数を数え、所定の数(例えば、部品が定位置にあることを判断するためには4つの刻印が必要である)と比較することで行われる。付加的又は代替的に、部品配置の決定は、刻印が特定の焦点範囲から外れているかどうかに依存することがある。例えば、取得した画像内で刻印の焦点が合っていない場合、関連する部品は適切に設置されていないと判断することができ、従って、関連する部品は定位置にないと見なすことができる。
【0057】
445でトーチが部品の定位置分析を実行しない場合、450で、刻印又は刻印を表すデータが電源装置に送信される。例えば、刻印「ESAB 60A GOUGE」は撮像装置によって認識された場合、プロセッサは、いくつかの実施形態では、単にこれらの刻印を電源に送信することができる。代替的に、プロセッサは、認識された1つ以上の刻印に基づいて動作設定を決定し、動作設定に関連する命令を電源装置に送信することができる。例えば、刻印「ESAB 60A GOUGE」を認識すると、プロセッサは、電源装置に60アンペアで電力を供給し、プラズマガスをガウジングに適した圧力で供給するように指示し、60アンペアでのガウジングに必要な他の動作パラメータを設定することができる。送信された命令は、「検出されたマークを表すデータ」と見なすことができる。しかしながら、これは、検出されたマークを表す唯一のデータではない。他の例では、マークを表すデジタルデータ(例えば「有効」及び「60Aガウジング」)及びマークを表すアナログデータ(例えば有効及び60Aガウジングに割り当てられた値)が含まれる。より具体的な例として、取得された画像及び/又は画像データ内のマークがライブラリに格納された表示(例えば、画像ID364)と一致すると判断されると、トーチアセンブリは、画像及び/又は画像データ及び「有効」との決定を送信することができ、有効な認識された部品としてトーチアセンブリを自動的に設定することに関する動作の残りを処理することができる。
【0058】
450で正確に何が送信されるかどうかにかかわらず、マークが認識された場合、トーチアセンブリは、少なくとも最終的には、トーチ操作を進めることができる。一方、440で、トーチアセンブリのプロセッサが410でマークを認識しない場合、プロセッサは、460でトーチアセンブリが動作するのを阻止することができる。すなわち、トーチアセンブリが切断又は溶接を開始するのを阻止することができる。
【0059】
図4をさらに参照すると、ここで説明している実施形態は、ほとんどの場合、内部撮像装置を有するトーチアセンブリについて説明しているが、いくつかの実施形態では、撮像装置は実際には電源装置に含まれ、トーチアセンブリと電源装置との間のケーブルには、電源装置をトーチ本体の動作端と光学的に連結するための光学部品を含むことができる。これらの実施形態では、電源装置は図4に示す動作を実行することができる。代替的に、トーチアセンブリは、トーチの動作端(及びその中に取り付けられているコンポーネント)の画像及び/又は画像データ画像を取得している電源装置(又はトーチと電源装置との間に延びるトーチアセンブリのリード線上に配置された撮像装置のような別の外部撮像装置)から情報を収集することができる。
【0060】
図5は、例示的実施形態に従って構成された電源装置の動作の概略フローチャートを示す。最初に、510又は515において、電源装置はトーチアセンブリからデータを受信する。具体的には、510において、電源装置は、トーチに含まれる1つ以上の互換性のあるトーチ用部品の1つ以上の画像及び/又は画像データ、又は取得した画像及び/又は画像データを表すデータを受け取る。上述のように、取得した画像及び/又は画像データを表すデータには、マークを表すデジタルデータ(例えば、「有効」及び「60Aガウジング」)、マークを表すアナログデータ、及び動作パラメータを調整するための命令を含めることができる。データが命令である場合又は命令を含む場合、電源装置は530でトーチアセンブリに提供された動作パラメータを簡単に調整することができる(従って、520は破線で示される)。しかしながら、データが命令を含まず、互換性のあるトーチ用部品を認識しない場合(515でこのデータが受信される)、電源装置は、取得した画像及び/又は画像データのマークを有する1つ以上の互換性のあるトーチ用部品の認識情報を判断しなければならない。例えば、電源装置が画像及び/又は画像データを受信する場合、電源装置内のプロセッサはこの画像及び/又は画像データに光学的認識技術を適用することができる。別の例として、電源装置が取得した画像及び/又は画像データ内で認識されたマークを表すアナログ又はデジタルデータを受信した場合、電装置源はこのデータを用いてルックアップテーブルに問い合わせてその受信したデータで表されるマークに関連する1つ以上の互換性のあるトーチ部品を認識することができる。特に、電源装置において互換性のあるトーチ用部品の組み合わせを認識する実施形態では、510(又は515)で電源装置が複数のソースからデータを受信することができるように、1つ以上の撮像装置が電源装置にデータを送信することができる。
【0061】
515又は520において、電源装置が認識情報を受け取らないか認識情報をそれぞれ決定することができない場合、電源装置は、互換性のあるトーチ用部品、プラズマ切断トーチアセンブリ、溶接トーチアセンブリ、又は任意の他のトーチアセンブリ(ここで述べるプラズマ構成部品は単なる例であり、ここで提示した技術で、任意のトーチアセンブリタイプの部品を認識することができる)が特定のトーチアセンブリと互いに適合性がないと判断することができる。例えば、510で受信されたデータが、部品にはマークが含まれないことを示す場合、電源装置は、互換性のあるトーチ用部品がこのトーチアセンブリと互いに適合性がないと判断することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、電源装置は、525で部品が所定の位置にあるかどうかを判断することもできる(ただし、いくつかの実施形態では、電源装置は部品が所定の位置にあるかどうかを判断しない、従って525は破線で示される)。電源装置は、簡潔のため、ここでは繰り返さないが、上記に含まれるステップ445の説明に従ってこの決定を行う。すなわち、いくつかの実施形態では、電源装置は部品が所定の位置にあるかどうかを決定するので、上記に含まれる445の説明はステップ525に適用することができる。これらの実施形態のいくつかでは、トーチアセンブリが、部品が所定の位置にあるかどうかの判断を行う代わりに、電源装置がこの判断を行う。代替的に、電源装置及びトーチアセンブリは、部品が所定の位置にあるかどうかを判断するために一緒に動作することもできる。すなわち、電源装置及びトーチアセンブリは、445に関連して上記で説明した動作を直列的に又は同時に完了させることができる。さらに他の実施形態では、トーチアセンブリは、部品が所定の位置にあるかどうかの決定を独立して行うことができる(そして、電源装置はこのステップを無視することができる)。部品が所定の位置にあるかどうかを決定するために電源装置がマークを分析する場合、部品が所定の位置にないとき、527で、電源装置は溶接処理又は切断処理の開始を控えることができる。部品が配置されると、電源装置はステップ530に進む。
【0063】
530で、電源装置は、520で決定された認識情報に基づいてトーチアセンブリの動作パラメータを調整する。例えば、互換性のあるトーチ用部品がプラズマ切断トーチアセンブリ用の60アンペア又は40アンペアの切断チップとして識別される場合、例えば、電源装置は、それぞれ60アンペア又は40アンペアの電流がトーチアセンブリに供給されるように電力供給を調整することができる。さらに、60アンペア又は40アンペアのトーチチップがトーチ本体に設置されていると電源装置が判断したときに、ユーザが電流を100アンペアに変更しようとしていることを電源装置が検出した場合、電源装置は自動的に電流を安全なレベル(すなわち、60又は40アンペア)までロールバックする。すなわち、ある場合には、この技術はアークの発生を防止しないかもしれないが、アークの移動が(安全性と高品質の動作を保証するために)最適な動作パラメータで達成されることを保証する。代替的に、トーチチップがガウジングチップとして認識される場合、電源装置をガウジングモードに設定することができる。さらに、トーチチップが認識されない場合、電源は、認識されていない部品が故障して他のトーチ用部品を損傷しないように、又はエンドユーザを危険にさらさないように、ワークピースへのアーク移動を防止するか、動作設定を非常に低いレベルに制限する。これにより、偽造品又は不適切な/望ましくない部品がトーチ本体と共に使用されたりトーチ本体を損傷したりすることを防止することができる。
【0064】
ここで図6を参照すると、この図は、他の例示的実施形態に従って構成された電源装置の動作についての概略フローチャートを示している。図6に示すように、610で、電源装置は、トーチアセンブリから互換性のあるトーチ用部品又は互換性のあるトーチ用部品の組み合わせについて、取得した画像及び/又は画像データを最初に受け取る。620で、電源装置は、取得した画像及び/又は画像データに含まれる1つ以上の互換性のあるトーチ用部品が認識可能なマークを含むかどうかを判断する。この判断により、部品が本物である(すなわちトーチアセンブリに適しており偽造品ではない)かどうかを判断することができる。いくつかの実施形態では、マークを識別するために使用される画像のライブラリには、マークが本物であるかどうかを示すタグを含むことができる。代替的に、画像のライブラリには、本物のマークのみを認識するように、本物のマークのみを含むことができる。
【0065】
認識可能なマークが620で発見された場合(従って、620で部品が本物であると判断された場合)、電源装置は次に630でトーチアセンブリに現在設置されている認識可能な互換性のあるトーチ用部品の認識情報を判断する。640で、電源装置は、識別された互換性のあるトーチ用部品が特定の切断/溶接作業に対してつじつまが合っているか又は適合性があるかどうかを判断する。この判断を行うために、電源装置は、複数の認識された互換性のあるトーチ用部品を一緒に使用できるかどうか、及び/又は1つ以上の認識された互換性のあるトーチ用部品が選択した溶接/切断作業に適しているかどうかを判断することができる。例えば、電源装置は、トーチアセンブリ内に/トーチアセンブリ上に現在設置されている電極、トーチチップ、ガス分配器、及びシールドカップがすべて、100アンペアの空気切断作業に適しているかどうかを判断することができる。
【0066】
そうではなくて、620において、電源装置が、1つ以上の部品が本物ではない、及び/又は特定のトーチアセンブリに不適当である(すなわち、1つ以上の部品が偽造されている)と判断した場合、電源装置は、故障モードに入ることができる。同様に、640において、認識された互換性のあるトーチ用部品のうちの少なくとも1つが他の認識された互換性のあるトーチ用部品と互いに適合性がない(すなわち、1つの互換性のあるトーチ用部品が100アンペアの空気切断に適していない)と電源装置が判断した場合、645で、電源装置は故障モードに入ることができる。電源装置は、故障モードで動作しているとき、トーチアセンブリの動作を妨げることがある。代替的に、故障モードでは、電源装置は、品質を低下させない、及び/又はこの認識された互換性のあるトーチ用部品を用いて動作させるときに危険になることのないようトーチの動作を制限することができる。比較すると、認識された互換性のあるトーチ用部品が互いに適合性があり、及び/又は特定の切断/溶接作業に適していると電源装置が判断した場合、電源装置は、650で、部品の認識情報に基づいて自動的にトーチアセンブリに配信すべき処理パラメータ(すなわち動作パラメータ)を調整する。すなわち、電源装置(又はトーチアセンブリ)は、認識された部品がすべて特定の動作に使用されることを意図していると判断することができ、電源装置はトーチアセンブリの動作パラメータを調整して特定の動作をサポートすることができる。
【0067】
他の利点の中でも、ここに記載し示した技術により、ユーザは迅速かつシームレスに様々な切断操作や溶接操作を移行することが可能になる。また、ここに提示した技術により、トーチアセンブリに現在設置されている/含まれている特定の部品の動作パラメータ(例えば、電力パラメータ及びガス移動パラメータ)を自動的に設定することによって、溶接及び切断動作の安全性が高くなり、動作条件が改善される。そのため、経験の浅いユーザでも経験豊富なユーザでも、すべての部品の特定の設定を知る必要はなく(又は見つけようとする必要もなく)、取り付け時にコンポーネントを識別する必要もない。すなわち、ここに提示された技術により、エンドユーザは理想的な設定及び/又は偽造部品についての知識を必要としなくなる。さらに、たとえユーザが安全でない又は最適以下の設定を使用しようとしても、ここに提示された技術により、ユーザがそうはできないようにすることができる(ここに提示された技術により純正部品による特定の操作に理想的な設定を適用されることが保証されるため)。これにより、パフォーマンスが向上し安定し、使いやすさ及び安全性が向上する。
【0068】
さらに別の例として、ここに提示された技術は、安価にかつ確実に部品を識別することができる。すなわち、少なくとも、電気部品をトーチ部品に付加することと比較して、刻印を部品に付加することはかなり安価であり、少なくとも信頼できるという可能性がある。さらに、これらの技術は、(一般的な溶接/切断作業と比較して)電源とトーチアセンブリとの間に追加の電気的接続を必要としない。
【0069】
要約すると、1つの形態では、ここではトーチアセンブリが提示され、そのトーチアセンブリは、1つ以上の刻印を含む1つ以上の互換性のあるトーチ用部品を取り外し可能に受け入れるよう構成された動作端を有するトーチ本体であって、このトーチ本体は内部空洞を画定するトーチ本体と、この内部空洞内に配置され、1つ以上の互換性のあるトーチ用部品が1つ以上の刻印に基づいて自動的に認識することができるようにこの1つ以上の互換性のあるトーチ用部品に付加された1つ以上の刻印の画像又は画像データを光学的に取得するように位置決めされた1つ以上の撮像装置と、を具備する。
【0070】
別の形態では、ここではシステムが提示され、そのシステムは、1つ以上の受動的な機械的刻印を有する互換性のあるトーチ用部品を受け入れる動作端を有するトーチ本体と、トーチ本体上又はトーチ本体内に配置され撮像装置と、トーチ本体に取り外し可能に結合することのできるトーチ用部品であって、トーチ用部品は、撮像装置が1つ以上の受動的な機械的刻印を表す画像又は画像データを光学的に取得することができるようにトーチ用部品がトーチ本体に取り外し可能に結合されたとき、撮像装置によって光学的に視認することができる面に、1つ以上の受動的な機械的刻印を有することを特徴とする、トーチ用部品と、を有するトーチアセンブリと、1つ以上の受動的な機械的刻印に基づいて動作パラメータを自動的に調整する電源装置とを具備する。
【0071】
さらに別の形態では、互換性のあるトーチ用部品を認識する方法がここに提示され、その方法は、トーチ本体上に又はトーチ本体中に設置された1つ以上の互換性のあるトーチ用部品に付加された1つ以上の受動的刻印を表す画像又は画像データを、トーチ本体上に又はトーチ本体中に設置された1つ以上の撮像装置を動作させることで光学的に取得するステップと、1つ以上の受動的刻印に基づいて1つ以上の互換性のあるトーチ用部品を認識するステップと、を具備する。
【0072】
さらに別の形態では、トーチ内に設置された消耗部品の認識情報に基づいて動作パラメータを自動的に調整するように構成されたトーチに取り外し可能に結合することができる消耗部品がここに提示され、その消耗部品は、トーチの動作端で光学的に視認することができる面と、この面にある1つ以上の受動的な機械的刻印であって、この1つ以上の受動的な機械的刻印は少なくとも、消耗品の認識情報、この消耗品に関連する動作パラメータ、及びこのトーチ内の適切な位置にこの消耗品が存在すること、に関する情報を提供することを特徴とする、1つ以上の受動的な機械的刻印と、を具備する。
【0073】
ここでは1つ以上の具体的な実施例で、実施できるような技術を例示及び説明したが、本発明の技術的範囲内で種々の改良及び改変が可能であり、例示した具体的詳細はここに提示された技術の範囲を限定することを意図するものではない。加えて、ここで説明した実施例のうちの1つの様々な特徴を他の実施例に組み込むことができる。従って、添付の特許請求の範囲は、本開示の範囲を満たすものとして広く解釈されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】
2019214072000001.pdf