【解決手段】部品供給装置には、クリップ2を下方に滑らせるレール4と同方向に延びるエスケープ部材17が、その長手方向の中央部でレール4と交差する方向に延びる支軸18を中心に正方向及び逆方向に回動できるように設けられる。エスケープ部材17における支軸18よりもレール4の上流側の部分にはばね板22が設けられる。エスケープ部材17の下流端には、エスケープ部材17の回動に基づき、クリップ2の下流側への移動を規制する規制位置と同規制を解除する解除位置との間で変位するストッパ板21が設けられる。一方、エスケープ部材17の上流端には、エスケープ部材17の回動に基づき、クリップ2の下流側への移動を規制する規制位置と同規制を解除する解除位置との間で変位するストッパ棒23が設けられる。
ホッパーから送り出された部品を受けて下方に滑らせるレールの上に、予め定められた数の前記部品を保持するための定量スペースと、その定量スペースに保持された前記部品の前記レール上からの脱落を抑制するカバーとが設けられており、前記定量スペースの下流端には前記レール上での前記部品の下流への移動を規制する規制位置と同規制を解除する解除位置との間で変位可能な第1ストッパが設けられている一方、前記定量スペースの上流端には前記レール上での前記部品の下流への移動を規制する規制位置と同規制を解除する解除位置との間で変位可能な第2ストッパが設けられている部品供給装置において、
前記レールにおける前記定量スペースに対応する部分と同方向に延びるエスケープ部材が、その長手方向の中央部で前記レールと交差する方向に延びる支軸を中心に正方向及び逆方向に回動できるように設けられており、
前記第1ストッパが前記エスケープ部材における前記定量スペースの下流端に対応する部分に設けられている一方、前記第2ストッパが前記エスケープ部材における前記定量スペースの上流端に対応する部分に設けられており、
前記エスケープ部材は、正方向への回動を通じて前記第1ストッパを規制位置に変位させるとともに前記第2ストッパを解除位置に変位させる一方、逆方向への回動を通じて前記第1ストッパを解除位置に変位させるとともに前記第2ストッパを規制位置に変位させるものであり、前記支軸と前記第2ストッパとの間の部分が弾性部を有するように構成されていることを特徴とする部品供給装置。
【背景技術】
【0002】
工業製品の製造現場等においては、製造途中の製品に対し作業者が組み付ける比較的小さい部品を、その作業者の手元に供給するための部品供給装置が設置されている。
同装置は、ホッパーから送り出された上記部品を受け、その部品を作業者の手元まで下方に滑らせるレールを備えている。そして、このレールの上には、予め定められた数の部品を保持するための定量スペースと、その定量スペースに保持された部品の前記レール上からの脱落を抑制するカバーとが設けられている。
【0003】
また、部品供給装置において、上記定量スペースの下流端にはレール上での部品の下流への移動を規制する規制位置と同規制を解除する解除位置との間で変位可能な第1ストッパが設けられている。一方、同装置において、定量スペースの上流端にはレール上での部品の下流への移動を規制する規制位置と同規制を解除する解除位置との間で変位可能な第2ストッパが設けられている。
【0004】
なお、特許文献1には、部品供給装置に第1エアシリンダ及び第2エアシリンダを設け、第1エアシリンダのピストンロッドを上記第1ストッパとして動作させるとともに、第2エアシリンダのピストンロッドを上記第2ストッパとして動作させることが記載されている。
【0005】
上記部品供給装置においては、第2エアシリンダのピストンロッドを没入させて解除位置に変位させた状態のもと、第1エアシリンダのピストンロッドを突出させて規制位置に変位させることにより、そのピストンロッドによってレール上の部品が下流に移動することが規制される。その結果、レール上の定量スペースに予め定められた数の部品が溜まり、その数の部品によって定量スペースが満たされるようになる。
【0006】
そして、定量スペースが部品によって満たされた後、第2エアシリンダのピストンロッドを突出させて規制位置に変位させることにより、そのピストンロッドによって定量スペースよりも上流側に位置する部品が下流側に移動することが規制される。この状態のもと、第1エアシリンダのピストンロッドを没入させて解除位置に変位させることにより、定量スペースに満たされた部品、言い換えれば予め定められた数の部品が、レール上を滑って作業者の手元に供給される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記部品供給装置においては、第1エアシリンダ及び第2エアシリンダといった二つの機構を設けること、及び、それら二つの機構を細かく駆動制御すること、等々に起因する構造の複雑化が無視できない問題となる。
【0009】
また、第2エアシリンダのピストンロッド(第2ストッパ)を突出させて規制位置に変位させたとき、次のような状況が生じるおそれがある。すなわち、上記ピストンロッドが定量スペースを満たす部品の直ぐ上流の部品の下流への移動を規制するに当たり、その部品が定量スペース内の上流端に位置する部品と重なっていることが原因となって、同部品をカバーの上流端との間に挟み込んでしまい、同挟み込まれた部品の下流への移動を阻害することがある。この場合、第1エアシリンダのピストンロッドを没入させて解除位置に変位させたとき、カバーの上流端で下流への移動が阻害されている上記部品の分、作業者の手元に供給される部品の数が少なくなってしまう。
【0010】
なお、こうしたことが生じないようにするため、ホッパーとレールとの間にパーツフィーダを設け、そのパーツフィーダでホッパーからレールに送られる部品に振動を与えて部品同士を互いに離れさせることにより、部品同士が重なった状態でレール上を滑り落ちることがないようにすることも考えられる。ただし、この場合には部品供給装置の構造が複雑化かつ大型化することは避けられない。
【0011】
本発明の目的は、作業者の手元に供給される部品の数が少なくなることを簡単な構造で抑制できる部品供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する部品供給装置は、ホッパーから送り出された部品を受けて下方に滑らせるレールの上に、予め定められた数の部品を保持するための定量スペースと、その定量スペースに保持された上記部品のレール上からの脱落を抑制するカバーとが設けられる。そして、定量スペースの下流端にはレール上での部品の下流への移動を規制する規制位置と同規制を解除する解除位置との間で変位可能な第1ストッパが設けられている一方、定量スペースの上流端にはレール上での部品の下流への移動を規制する規制位置と同規制を解除する解除位置との間で変位可能な第2ストッパが設けられている。同装置においては、レールにおける定量スペースに対応する部分と同方向に延びるエスケープ部材が、その長手方向の中央部でレールと交差する方向に延びる支軸を中心に正方向及び逆方向に回動できるように設けられている。そして、上記第1ストッパがエスケープ部材における定量スペースの下流端に対応する部分に設けられている一方、上記第2ストッパがエスケープ部材における定量スペースの上流端に対応する部分に設けられている。また、上記エスケープ部材は、正方向への回動を通じて第1ストッパを規制位置に変位させるとともに第2ストッパを解除位置に変位させる一方、逆方向への回動を通じて第1ストッパを解除位置に変位させるとともに第2ストッパを規制位置に変位させるものであり、支軸と第2ストッパとの間の部分が弾性部を有するように構成されている。
【0013】
上記構成によれば、エスケープ部材を正方向に回動した状態とすることにより、ホッパーから送り出されてレール上を滑って下る部品が、規制位置にある第1ストッパによって下方への移動が規制されるため、レール上の定量スペース内に部品が溜まるようになる。そして、レール上の定量スペース内が部品で満たされることにより、同定量スペース内に予め定められた数の部品が保持された状態となる。その後、エスケープ部材を逆方向に回動させると、それに伴い第1ストッパが解除位置に変位するとともに第2ストッパが規制位置に変位する。
【0014】
規制位置に変位する第2ストッパが定量スペースを満たす部品の直ぐ上流の部品に対し接触することによって同部品の下流への移動を規制する際、その部品が定量スペース内の上流端に位置する部品と重なっていることが原因となって、同部品をカバーの上流端との間に挟み込んでしまうことがある。この場合、同挟み込まれた部品の下流への移動が阻害されてしまい、第1ストッパの解除位置への変位に基づき、定量スペース内に保持された各部品がレール上を滑って作業者の手元に供給されるとき、その部品の数がカバーの上流端で下流への移動が阻害されている上記部品の分だけ少なくなる。
【0015】
しかし、エスケープ部材における支軸と第2ストッパとの間の部分が弾性部を有しているため、エスケープ部材の逆方向への回動に伴い規制位置に変位する第2ストッパが部品に接触して同部品の下流への移動を規制するとき、その部品が次のような動きをするようになる。すなわち、第2ストッパが上記部品に接触した状態でのエスケープ部材の逆方向への回動により、同エスケープ部材の弾性部がレールに向かって円弧状に膨らむかたちで変形し、その変形に伴って第2ストッパが上記部品をレールの上流側にずらすように変位する。こうして上記部品がレールの上流側にずれることにより、その部品とカバーの上流端との間の部品の挟み込みが解除されるため、挟み込まれていた部品の下流側への移動が阻害されることはなくなる。このため、第1ストッパが解除位置に変位することに基づき、定量スペース内における予め定められた数の部品を作業者の手元に供給することができ、その部品の数が少なくなることを抑制できる。
【0016】
また、上記部品供給装置においては、第1ストッパ及び第2ストッパの規制位置と解除位置との間での変位がエスケープ部材の正方向及び逆方向についての回動を通じて実現されるため、そうした第1ストッパ及び第2ストッパの変位を実現するための構造が複雑化することはない。更に、作業者の手元に供給される部品の数が少なくなることを抑制する構成としては、エスケープ部材が弾性部を有するものであるという構成を採用するだけでよいため、その構成の採用に起因して部品供給装置の構造が複雑化したり大型化したりすることもない。
【0017】
上記部品供給装置において、上記カバーにおける定量スペースの上流端に対応する部分は、上流に向かうほどレールに対し離れるよう拡開しているものとすることが考えられる。
【0018】
この構成によれば、ホッパーから送り出されてレール上を滑る部品が特殊な姿勢をとる場合であっても、上記カバーにおける定量スペースの上流端に対応する部分であって上述したように拡開した部分により、上記部品の姿勢を整えて同部品をレール上の定量スペース内に滑って移動できるようにすることが可能となる。
【0019】
上記供給装置において、上記レールは、長手方向において下流に向かうほど下るように傾斜している一方、幅方向の片側の縁に同レールと同方向に延びるように立壁が形成されているものとすることが考えられる。更に、上記レールの上側且つ同レールにおける定量スペースよりも上流側には、レールの幅方向の両縁のうち上記立壁側の縁から反対側の縁に向かうほどレールの下流に位置するよう、同レールと交差する方向に延びるワイヤを設けることが考えられる。
【0020】
ホッパーから送り出されてレール上を滑る部品の姿勢として、同部品がレール上に立った姿勢や、同部品がレール上で寝た状態となって二段となる姿勢をとる場合がある。これらの姿勢をとった部品が定量スペース内に入ると、その定量スペース内を部品で満たしたときに同部品の数が予め定められた数からずれるおそれがある。しかし、上記構成によれば、上述した姿勢をとっている部品がレール上を滑って上記ワイヤを通過しようとすると、そのワイヤに当たることによって同ワイヤに沿って移動し、レールの幅方向の両縁のうち立壁と反対側の縁(立壁がない方の縁)から、レール外に脱落させられて定量スペース内に入らないようにされる。従って、上述したように定量スペース内に満たされた部品の数が予め定められた数からずれることを抑制できる。
【0021】
上記部品供給装置において、上記レールは、その幅方向において立壁側の縁に向かうほど下るようにも傾斜しているものとすることが考えられる。
この構成によれば、レール上を滑る部品が立壁寄りの位置で下方に滑るようになるため、適正な姿勢の部品がレールにおける立壁と反対側の縁(立壁のない方向の縁)から、レール外に脱落してしまうことを抑制できる。
【0022】
上記部品供給装置において、上記部品は、平面上に寝たり立ったりし得る形状を有するものとすることが考えられる。また、上記ワイヤは、レール上において立っている部品と接する高さ位置に設けられている第1ワイヤ、及び、レール上において寝た状態で二段に重なっている部品のうちの上段の部品と接する高さ位置に設けられている第2ワイヤとすることが考えられる。
【0023】
ホッパーから送り出されてレール上を滑る部品は、平面上に寝たり立ったりし得る形状を有しているため、その部品がレール上に立った姿勢や、同部品がレール上で寝た状態となって二段となる姿勢をとる場合がある。上記構成によれば、レール上に立った姿勢をとる部品がレール上を滑って第1ワイヤを通過しようとすると、その第1ワイヤに当たることによって同ワイヤに沿って移動し、レールの幅方向の両縁のうちの立壁と反対側の縁(立壁がない方の縁)から、レール外に脱落させられて定量スペース内に入らないようにされる。また、レール上で寝た状態となって二段となる姿勢をとる部品がレール上を滑って第2ワイヤを通過しようとすると、上段の部品が第2ワイヤに当たることによって同ワイヤに沿って移動し、レールの幅方向の両縁のうちの立壁と反対側の縁から、レール外に脱落させられて定量スペース内に入らないようにされる。従って、レール上に立った姿勢をとる部品や、レール上で寝た状態となって二段となる姿勢をとる部品が定量スペースに入ってしまう問題を回避でき、その問題に起因して定量スペース内に満たされた部品の数が予め定められた数からずれることを抑制できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、作業者の手元に供給される部品の数が少なくなることを簡単な構造で抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、部品供給装置の一実施形態について、
図1〜
図8を参照して説明する。
図1(a)に示す部品供給装置1は、
図1(b)に示すクリップ2を作業者の手元に供給するためのものである。なお、部品供給装置1によって作業者の手元に供給される部品である上記クリップ2は、
図1(b)から分かるように平面上に寝たり立ったりし得る形状を有している。
【0027】
図1(a)に示すように、部品供給装置1は、クリップ2を溜めておくための円筒状のホッパー3と、そのホッパー3から送り出されたクリップ2を受けて下方に滑らせるレール4と、そのレール4の最も下流となる部分に設けられている仕切り機構5と、上記ホッパー3を駆動制御する制御装置6と、を備えている。
【0028】
上記ホッパー3は、制御装置6を通じて駆動されることにより、内部に溜められたクリップ2をホッパー3の下部に形成されている送出口7から送り出す。そして、ホッパー3から送り出されたクリップ2は、レール4の最も上流の部分に固定された受取プレート8を介して同レール4に受け渡される。レール4上のクリップ2は、仕切り機構5まで滑り降りて同機構5に溜められるとともに、レール4における仕切り機構5よりも上流側の部分にも溜められる。そして、仕切り機構5は、上述したように溜められたクリップ2を予め定められた数となるよう仕切り、その数のクリップ2を作業者の手元に供給する。
【0029】
レール4における仕切り機構5よりも上流側の部分の上方には、その部分に留まるクリップ2を検出するためのセンサ9が設けられている。そして、クリップ2がレール4上の仕切り機構5及びその上流側の部分に溜まるまでレール4を滑り降りてくると、上記部分に留まったクリップ2がセンサ9によって検出される。センサ9は、上記部分に留まったクリップ2を検出すると、制御装置6に対し検出信号を出力する。制御装置6は、センサ9からの検出信号を入力すると、クリップ2の送り出しが停止されるようホッパー3を駆動制御する。
【0030】
そして、仕切り機構5によって同機構5に溜められたクリップ2が作業者の手元に供給されると、レール4における仕切り機構5よりも上流側の部分に溜まっていたクリップ2が同機構5に滑り降りるため、上記部分にクリップ2が存在しなくなってセンサ9がクリップを検出しなくなる。その結果、センサ9が検出信号を制御装置6に出力しなくなり、制御装置6は上記検出信号が入力されないことに基づきクリップ2の送り出しが行われるようホッパー3を駆動制御する。
【0031】
次に、ホッパー3の詳細な構造について説明する。
図2に示すように、ホッパー3内の底部分には、水平面に対し傾斜する傾斜面10を有する回転底11と、その回転底を水平方向に回転させるモータ12と、が設けられている。ホッパー3の内部であって回転底11の傾斜面10の上には、複数(この例では二つ)の攪拌棒3aが傾いた状態で載せられている。ホッパー3の外側壁の下部には上記送出口7が形成されている。この送出口7の下端は回転底11の傾斜面10における最も高さ位置の低い部分と同じ高さに形成されている一方、送出口7の上端は回転底11の傾斜面10における最も高さ位置の高い部分よりも低い位置に形成されている。
【0032】
制御装置6(
図1(a))は、ホッパー3からクリップ2を送り出す際には、所定角度範囲で正回転と逆回転との間での回転底11の回転方向の反転が繰り返されるよう、ホッパー3(モータ12)を駆動制御する。これにより、ホッパー3内の送出口7付近にあるクリップ2が同送出口7から送り出される。ちなみに、ホッパー3内の各クリップ2は、上述したように回転底11の回転方向が正回転と逆回転との間で繰り返し反転されるとき、回転底11の傾斜面10に載せられた複数の攪拌棒3aによって攪拌される。このため、ホッパー3内の各クリップ2が、二点鎖線で示すようにホッパー3の内側壁で支えられて下方に降りてこないという現象が生じることは抑制される。
【0033】
図3は、上記送出口7をホッパー3外の正面から見た状態を示している。
図3から分かるように、送出口7においては、その上半分7aが下半分7bよりもホッパー3の周方向(
図3の左右方向)に大きくなるように形成されている。ホッパー3内のクリップ2は、重力の関係から送出口7の下半分7bから外に出ようとする。このとき、送出口7の下半分7bに複数のクリップ2がホッパー3の周方向に挟まってしまい、それらクリップ2をホッパー3の外に送り出せなくなる可能性がある。しかし、このような状況になったとしても、回転底11の回転に伴い上記各クリップ2が傾斜面10によって
図3に二点鎖線で示すように送出口7における幅広の上半分7aに至るまで押し上げられると、それらクリップ2が送出口7で周方向に挟まることはなくなってホッパー3の外に送り出されるようになる。
【0034】
次に、レール4及び仕切り機構5の詳細な構造について説明する。
図1(a)に示すように、レール4における幅方向の片側の縁には、同レール4と同方向に延びるように立壁13が形成されている。また、レール4は、長手方向において下流に向かうほど下るように傾斜している一方、幅方向において上記立壁13側の縁に向かうほど下るようにも傾斜している。
【0035】
レール4の上側且つ同レール4における仕切り機構5よりも上流側には、レール4の幅方向の両縁のうち立壁13側の縁から反対側の縁に向かうほどレール4の下流に位置するよう、同レールと交差する方向に延びる第1ワイヤ25及び第2ワイヤ26が設けられている。なお、第1ワイヤ25は、第2ワイヤ26よりも、レール4の上流側に位置している。
【0036】
図4に示すように、第1ワイヤ25は、レール4上において、寝ているクリップ2(実線)とは接することなく、且つ、立っているクリップ2(二点鎖線)と接する高さ位置に設けられている。このため、レール4上で立った姿勢をとるクリップ2がレール4上を滑って第1ワイヤ25を通過しようとすると、その第1ワイヤ25に当たることによって同ワイヤ25に沿って
図4の左側に移動し、レール4の幅方向の両縁のうち立壁13と反対側の縁(立壁13がない方の縁)から、レール4外に脱落させられるようになる。
【0037】
図5に示すように、第2ワイヤ26は、レール4上において、第1ワイヤ25よりも低い高さ位置であって、寝た状態で二段に重なっているクリップ2のうちの上段のクリップ2(二点鎖線)と接する高さ位置に設けられている。このレール4上で寝た状態となって二段となる姿勢をとるクリップ2がレール4上を滑って第2ワイヤ26を通過しようとすると、上段のクリップ2が第2ワイヤ26に当たることによって同ワイヤ26に沿って
図6の左側に移動し、レール4の幅方向の両縁のうち立壁13と反対側の縁から、レール4外に脱落させられるようになる。
【0038】
図6は、レール4上における仕切り機構5に対応する部分の断面を示している。
図6から分かるように、レール4上における仕切り機構5に対応する部分は、予め定められた数のクリップ2を保持するための定量スペースSPとなっている。そして、仕切り機構5は、定量スペースSPに保持されたクリップ2のレール4上からの脱落を抑制するカバー14を備えている。このカバー14は、レール4に固定されている。
【0039】
カバー14は、
図1(a)に示されるように、レール4(定量スペースSP)の上方を覆う天井壁15と、レール4の立壁13と反対側の側方を覆う側壁16と、を備えている。そして、カバー14における天井壁15及び側壁16の上流端15a,16a、言い換えれば定量スペースSPの上流端に対応する部分は、上流に向かうほどレール4に対し離れるよう拡開している。
【0040】
図6に示すように、仕切り機構5には、レール4における定量スペースSPに対応する部分と同方向に延びる板状のエスケープ部材17が、その長手方向の中央部でレール4と交差する方向(
図6の紙面と直交する方向)に延びる支軸18を中心に正方向及び逆方向に回動できるように設けられている。なお、上記支軸18は、レール4に固定された支持脚19によって支持されている。
【0041】
上記エスケープ部材17の下流端(
図6の右端)は、レール4よりも下流に延びている。このエスケープ部材17の下流端には、下方に突出する操作板20が設けられている。エスケープ部材17は、操作板20等の質量によって支軸18を中心とする右回転方向(正方向)に回動するよう付勢されている一方、作業者が手で支軸18を中心とする左回転方向(逆方向)に回動させることが可能となっている。
【0042】
また、エスケープ部材17の下流端における上記操作板20よりも上流側の部分には、下方に突出するストッパ板21が設けられている。このストッパ板21は、レール4の下流端、言い換えれば定量スペースSPの下流端に対応する部分に位置している。なお、ストッパ板21は、エスケープ部材17の回動を通じて、レール4上でのクリップ2の下流への移動を規制する規制位置と同規制を解除する解除位置との間で変位する第1ストッパとしての役割を担う。
【0043】
一方、エスケープ部材17における支軸18に対応する部分よりも上流側の部分には、エスケープ部材17の他の部分と比較して弾性変形しやすいばね板22が設けられている。このばね板22の上流端(
図6の左端)、言い換えれば定量スペースSPの上流端に対応する部分には、下方に向けて突出するストッパ棒23が設けられている。そして、ストッパ棒23の先端にはストッパゴム24が取り付けられている。なお、ストッパ棒23は、エスケープ部材17の回動を通じて、レール4上でのクリップ2の下流への移動を規制する規制位置と同規制を解除する解除位置との間で変位する第2ストッパとしての役割を担う。また、エスケープ部材17にばね板22を設けることにより、同エスケープ部材17における支軸18とストッパ棒23(第2ストッパ)との間の部分が弾性部として機能する。
【0044】
図6に示すように、エスケープ部材17が操作板20等の質量によって正方向に回動した状態では、ストッパ棒23が解除位置に変位するとともにストッパ板21が規制位置に変位してクリップ2の下流への移動を規制する。このため、ホッパー3から送り出されてレール4上を滑って下るクリップ2が、そのレール4上の定量スペースSP内に溜まるようになる。そして、レール4上の定量スペースSP内がクリップ2で満たされることにより、同定量スペースSP内に予め定められた数のクリップ2が保持された状態となる。
【0045】
定量スペースSP内に予め定められた数のクリップ2が保持された状態のもと、作業者が手で操作板20を持ち上げてエスケープ部材17を
図7に示すように逆方向に回動させると、それに伴いストッパ板21が規制位置から解除位置に変位するとともに、ストッパ棒23が解除位置から規制位置に変位する。このように規制位置に変位させられたストッパ棒23が、定量スペースSPを満たすクリップ2の直ぐ上流のクリップ2に対し接触することにより、そのクリップ2の下流側への移動が規制される。一方、定量スペースSP内に満たされたクリップ2、言い換えれば予め定められた数のクリップ2は、ストッパ板21が解除位置に変位することによって、レール4上を滑って作業者の手元に供給される。
【0046】
次に、部品供給装置1の動作について説明する。
上述したようにエスケープ部材17を逆方向に回動させると、規制位置に変位するストッパ棒23が、
図8に二点鎖線で示すクリップ2(2A)、すなわち、定量スペースSPを満たすクリップ2のすぐ上流のクリップ2Aに対し接触し、それによって同クリップ2Aの下流への移動が規制される。その際、上記クリップ2Aが定量スペースSP内の上流端に位置するクリップ2(2B)と重なっていることが原因となって、そのクリップ2Bを天井壁15(カバー14)の上流端15aとの間に挟み込んでしまうことがある。
【0047】
この場合、同挟み込まれたクリップ2Bの下流への移動が阻害されてしまう。その結果、ストッパ板21(
図7)の解除位置への変位に基づき、定量スペースSP内に保持された各クリップ2がレール4上を滑って作業者の手元に供給されるとき、そのクリップ2の数が
図8に示す天井壁15の上流端15aで下流への移動が阻害されている上記クリップ2Bの分だけ少なくなる。
【0048】
しかし、エスケープ部材17における支軸18とストッパ棒23との間の部分(ばね板22)が弾性を有しているため、エスケープ部材17の逆方向への回動に伴い規制位置に変位するストッパ棒23がクリップ2Aに接触して同クリップ2Aの下流への移動を規制するとき、そのクリップ2Aが次のような動きをするようになる。すなわち、ストッパ棒23がクリップ2Aに接触した状態でのエスケープ部材17の逆方向への回動により、ばね板22が
図8に実線で示すようにレール4に向かって円弧状に膨らむかたちで変形し、その変形に伴って
図8に実線で示すようにストッパ棒23がクリップ2Aをレール4の上流側にずらすように変位する。
【0049】
こうしてクリップ2Aがレール4の上流側にずれることにより、そのクリップ2Aと天井壁15の上流端15aとの間のクリップ2Bの挟み込みが解除されるため、挟み込まれていたクリップ2Bの下流側への移動が阻害されることはなくなる。このため、ストッパ板21(
図7)が解除位置に変位することに基づき、定量スペースSP内における予め定められた数のクリップ2を作業者の手元に供給することができ、その部品の数が少なくなることを抑制できる。
【0050】
また、部品供給装置1においては、ストッパ板21及びストッパ棒23の規制位置と解除位置との間での変位がエスケープ部材17の正方向及び逆方向についての回動を通じて実現されるため、そうしたストッパ板21及びストッパ棒23の変位を実現するための構造が複雑化することはない。更に、作業者の手元に供給されるクリップ2の数が少なくなることを抑制する構成については、エスケープ部材17にばね板22を設けるだけでよいため、そうした構成の採用に起因して部品供給装置1の構造が複雑化したり大型化したりすることもない。
【0051】
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)部品供給装置1によって作業者の手元に供給されるクリップ2の数が、予め定められた数よりも少なくなることを簡単な構造で抑制することができる。
【0052】
(2)ホッパー3から送り出されてレール4上を滑って下るクリップ2が特殊な姿勢となる場合であっても、仕切り機構5におけるカバー14の天井壁15及び側壁16の上流端15a,16aが上流に向かうほどレール4に対し離れるよう拡開しているため、それら上流端15a,16aによって上記クリップ2の姿勢を整えることができる。その結果、同クリップ2がレール4上の定量スペースSP内に滑って移動できるようになる。
【0053】
(3)ホッパー3から送り出されてレール4上を滑るクリップ2の姿勢として、同クリップ2がレール4上に立った姿勢や、同クリップ2がレール4上で寝た状態となって二段となる姿勢をとる場合がある。これらの姿勢をとったクリップ2が定量スペースSP内に入ったと仮定すると、その定量スペースSP内をクリップ2で満たしたときに同クリップ2の数が予め定められた数からずれるおそれがある。
【0054】
しかし、レール4上に立った姿勢をとるクリップ2がレール4上を滑って第1ワイヤ25を通過しようとすると、その第1ワイヤ25に当たることによって同ワイヤ25に沿って移動し、レール4の幅方向の両縁のうち立壁13と反対側の縁(立壁13がない方の縁)から、レール4外に脱落させられて定量スペースSP内に入らないようにされる。また、レール4上で寝た状態となって二段となる姿勢をとるクリップ2がレール4上を滑って第2ワイヤ26を通過しようとすると、上段のクリップ2が第2ワイヤ26に当たることによって同ワイヤ26に沿って移動し、レール4における立壁13と反対側の縁からレール4外に脱落させられて定量スペースSP内に入らないようにされる。
【0055】
従って、レール4上に立った姿勢をとるクリップ2や、レール4上で寝た状態となって二段となる姿勢をとるクリップ2が定量スペースSPに入ってしまう問題を回避でき、その問題に起因して定量スペースSP内に満たされたクリップ2の数が予め定められた数からずれることを抑制できる。
【0056】
(4)レール4は、その幅方向において立壁13側の縁に向かうほど下るように傾斜している。このため、レール4上を滑るクリップ2が立壁13寄りの位置で下方に滑るようになるため、適正な姿勢のクリップ2がレール4における立壁13と反対側の縁(立壁13のない方向の縁)から、レール4外に脱落してしまうことを抑制できる。
【0057】
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・第1ワイヤ25及び第2ワイヤ26に代えて、レール4上に立った姿勢をとるクリップ2と寝た状態で二段となる姿勢を取るクリップ2のうちの上段のクリップ2との両方をレール4外に脱落させるワイヤを一つだけ設けるようにしてもよい。
【0058】
・第1ワイヤ25と第2ワイヤ26との一方を省略したり、両方を省略したりしてもよい。
・レール4については、必ずしも立壁13側の縁に向けて下るように傾斜している必要はない。
【0059】
・カバー14における天井壁15及び側壁16の上流端15a,16aは、必ずしもレール4の上流に向かうほど同レール4に対し離れるよう拡開している必要はない。
・部品供給装置1によって作業者の手元に供給される部品としてクリップ2を例示したが、ボルトなどクリップ2以外の部品を部品供給装置1によって作業者の手元に供給するようにしてもよい。
【0060】
・ストッパ板21が規制位置から解除位置に変位したとき、定量スペースSP内のクリップ2をエア等で下流側に押し出すようにして作業者の手元に速やかに供給するようにしてもよい。