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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-214269(P2019-214269A)
(43)【公開日】2019年12月19日
(54)【発明の名称】軌条車両
(51)【国際特許分類】
   B61D 17/18 20060101AFI20191122BHJP
   B61D 27/00 20060101ALI20191122BHJP
【FI】
   B61D17/18
   B61D27/00 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-111982(P2018-111982)
(22)【出願日】2018年6月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(71)【出願人】
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】眺野 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】川上 創司
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 亮次
(72)【発明者】
【氏名】宮永 恭
(72)【発明者】
【氏名】山内 源太
(72)【発明者】
【氏名】高田 裕一郎
(72)【発明者】
【氏名】野末 壮
(72)【発明者】
【氏名】菅沢 正浩
(72)【発明者】
【氏名】金川 裕司
(72)【発明者】
【氏名】梶山 智大
(57)【要約】
【課題】部品点数を削減するとともに、側構体および屋根構体と内装材との位置決め作業に係わる製作工数を低減でき、軽量な内装材を有する軌条車両を提供する。
【解決手段】軌条車両は、台枠10と、前記台枠10の上面に備えられるとともに床部をなす上床12と、前記台枠10の幅方向の端部に立設される側構体20と、前記側構体20の上端部に載置される屋根構体30と、を有し、前記側構体20の車内側に備えられる側膜21と、前記屋根構体30の車内側に備えられる天井膜31と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台枠と、
前記台枠の上面に備えられるとともに床部をなす上床と、
前記台枠の幅方向の端部に立設される側構体と、
前記側構体の上端部に載置される屋根構体と、
を有する軌条車両において、
前記軌条車両は、
前記側構体の車内側に備えられる側膜と、
前記屋根構体の車内側に備えられる天井膜と、
を有すること、
を特徴とする軌条車両。
【請求項2】
請求項1に記載される軌条車両において、
前記軌条車両は、
前記屋根構体と前記側構体との接続部の近傍に、前記側構体の長手方向に沿って備えられる軒桁部と、
前記側構体の下端部に前記側構体の長手方向に沿って備えられる腰下部と、
を有しており、
前記側膜および前記天井膜は、自立できない程度の小さい剛性を有する難燃性素材からなり、
前記天井膜は、一方の前記軒桁部から他方の前記軒桁部とに架け渡され、
前記側膜は、前記軒桁部と前記腰下部とに架け渡されること、
を特徴とする軌条車両。
【請求項3】
請求項1に記載される軌条車両において、
前記軌条車両は、
前記屋根構体の幅方向の中央部に前記屋根構体の長手方向に沿って備えらえる中央天井部と、
前記屋根構体と前記側構体との接続部の近傍に、前記側構体の長手方向に沿って備えられる軒桁部と、
前記側構体の下端部に前記側構体の長手方向に沿って備えられる腰下部と、
を有しており、
前記天井膜は、前記中央天井部と前記軒桁部とに架け渡され、
前記側膜は、前記軒桁部と前記腰下部とに架け渡されること、
を特徴とする軌条車両。
【請求項4】
請求項3に記載される軌条車両において、
前記軒桁部は、前記接続部に沿う側天井部と、前記側天井部の下端部から一体に備えられる荷棚部と、
を有しており、
前記天井膜は、前記中央天井部と前記側天井部の上端部とに跨って架け渡されており、
前記側膜は、前記荷棚部と前記腰下部とに跨って架け渡されること、
を特徴とする軌条車両。
【請求項5】
請求項2に記載される軌条車両において、
前記軌条車両は、
一方の前記軒桁部から他方の前記軒桁部とに架け渡される前記天井膜の前記軌条車両の幅方向の中央部を前記屋根構体の車内側に押圧する天井膜押圧部を有すること、
を特徴とする軌条車両。
【請求項6】
請求項2から請求項5のいずれかの1項に記載される軌条車両において、
前記軌条車両は、
前記荷棚部と前記腰下部とに跨って架け渡される前記側膜の上端部を前記側構体の車内側に押圧する側膜押圧部を有すること、
を特徴とする軌条車両。
【請求項7】
請求項2から請求項6のいずれかの1項に記載される軌条車両において、
前記側構体は複数の窓を有しており、
前記側膜は前記窓に対応する複数の開口部を有すること
を特徴とする軌条車両。
【請求項8】
請求項2から請求項7のいずれかの1項に記載される軌条車両において、
前記軌条車両は、
前記上床の下方に備えられる調和空気ダクトを有しており、
前記調和空気ダクトの内部を流れる調和空気を高さ方向に導くダクトモジュールと、
前記ダクトモジュールに保持されるとともにテーブルを有するキセモジュールと、
を有すること
を特徴とする軌条車両。
【請求項9】
請求項2から請求項8のいずれかの1項に記載される軌条車両において、
前記軌条車両は、前記側構体の車内側に断熱材を有しており、
前記側膜は、前記断熱材と前記キセモジュールとによって挟持されること
を特徴とする軌条車両。
【請求項10】
請求項2に記載される軌条車両において、
前記軒桁部は、照明装置を備えること
を特徴とする軌条車両。
【請求項11】
請求項3に記載される軌条車両において、
前記中央天井部は、照明装置を備えること
を特徴とする軌条車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌条車両に関する。
【背景技術】
【0002】
敷設された軌道に沿って運行される軌条車両は、一般的に、床面をなす台枠と、台枠の長手方向の両端部に立設される妻構体と、台枠の幅方向の両端部に立設される側構体と、妻構体および屋根構体の上端部に載置される屋根構体からなる6面体の軌条車両構体を有する。台枠の上面には上床が備えられ、この上床の上面に座席等が備えられる。側構体および屋根構体の車内側には、断熱材や遮音材が備えられ、これら断熱材や遮音材を覆う態様でそれぞれ側内装材と天井内装材が備えられ、乗客が快適に移動できるような車内環境を提供している。
【0003】
特許文献1に、車両外部から固体伝播により車室内に伝わる音を低減して高防音化を図ることが可能な軌条車両の車体構造を提供することを課題として、アルミニウム製押出し成形品からなる屋根構体の車内側に第1接着層を形成し、この接着層11が、断熱性を有する弾性支持材(メラミン樹脂系弾性フォーム)を支持し、さらにこの弾性支持材の車内側に第2接着層を備え、この第2接着層が天井パネルを弾性支持することによって、車内騒音を低減する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−160631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、側構体および屋根構体の車内側に、弾性部材を介して側内装材や天井内装材を接着によって備える内装材の防振支持構造は、接着剤を塗布する前の構体表面の脱脂処理や、接着剤を良好に乾燥させる温湿度環境を最適に確保する必要があると考えられる。あるいは、車内騒音の抑制を目的として、構体の車内側の面に複数の防振ゴムマウントを備え、この防振ゴムマウントで内装材を防振支持する場合も、部品点数が多くなることに加えて隣接する内装材と内装材の隙間の調整等に係わる管理に多くの工数が必要であった。このため、側構体や屋根構体に、側内装材や天井内装材を防振支持する構成において、製作コストをより低減するという観点からは解決すべき課題がある。
【0006】
本発明の課題は、部品点数を削減するとともに、側構体および屋根構体と内装材との位置決め作業に係わる製作工数を低減でき、軽量な内装材を有する軌条車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、代表的な本発明の軌条車両の一つは、台枠と、前記台枠の上面に備えられるとともに床部をなす上床と、前記台枠の幅方向の端部に立設される側構体と、前記側構体の上端部に載置される屋根構体と、を有する軌条車両において、前記軌条車両は、前記側構体の車内側に備えられる側膜と、前記屋根構体の車内側に備えられる天井膜と、を有することにより達成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、以上の構成を備えるため、部品点数を削減するとともに、側構体および屋根構体と内装材との位置決め作業に係わる製作工数を低減でき、軽量な内装材を有する軌条車両を提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、鉄道車両の長手方向に交差する断面図である。
図2図2は、鉄道車両の中央天井部の幅方向の両端部の第1膜保持部の長手方向に交差する断面図である。
図3図3は、鉄道車両の軒桁部をなす側天井部の上端部の第2膜保持部の長手方向に交差する断面図である。
図4図4は、鉄道車両の軒桁部をなす荷棚部の幅方向の端部の第3膜保持部の長手方向に交差する断面図である。
図5図5は、鉄道車両の腰下部の上端部の第4膜保持部の長手方向に交差する断面図である。
図6図6は、側構体および断熱材が取り除かれた鉄道車両の調和空気ダクトおよび窓部を車外から車内の方向に見た模式図(図1のB−B断面図相当)である。
図7図7は、鉄道車両の車内から鉄道車両の側部および窓部を見た模式図である。
図8図8は、ダクトモジュールおよびキセモジュールの高さ方向に交差する断面図(図6のC−C断面図)である。
図9図9は、ダクトモジュールおよびキセモジュールを鉄道車両に取り付ける際の作業手順を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図を参照して、本発明の実施の形態を説明する。まず、説明に供する各方向を定義する。軌条車両の長手方向またはレール方向をX方向、軌条車両の幅方向または枕木方向をY方向、軌条車両の高さ方向をZ方向とし、以下、単にX方向、Y方向、Z方向と記す。本明細書にて「膜」とは、重力に抗して自立できない程度に剛性が低い薄材をいう。
【0011】
軌条車両は、敷設される軌道に沿って運行される車両であり、鉄道車両、モノレール車両、路面電車、新交通車両等を含む。軌条車両の代表例として、鉄道車両を取り上げて本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
図1は、鉄道車両の長手方向に交差する断面図である。鉄道車両1は、6面体をなす構体7のX方向の両端部を、軌道(レール)3の上を転動する車輪を有する台車5に支持される。構体7は、床面をなす台枠10と、台枠10のY方向の両端部に立設される側構体20と、台枠10のX方向の両端部に立設される妻構体(図示なし)と、側構体20および妻構体の上端部に載置される屋根構体30と、から構成される。台枠10の上面には、座席等が載置される上床12が備えられる。
【0013】
側構体20には、窓23や乗客等の乗降に供される側引き戸(図示なし)などが備えられる。また、妻構体と平行に仕切り壁42が備えられ、これにより側引き戸(図示なし)が設置されるデッキ部と、座席のある客室部とが区画される。仕切り壁42には仕切り壁引戸44が備えられる。
【0014】
屋根構体30のY方向の中央部の車内側には、中央天井部32が備えられる。同様に、屋根構体30のY方向の両端部と側構体20のZ方向の上端部に跨る態様で、軒桁部22が備えられる。さらに、側構体20のZ方向の下端部の車内側には腰下部28が備えられる。
【0015】
中央天井部32はX方向に沿って備えられる長尺部材であり、中央天井部32のY方向の中央部には照明装置34(後述する図2参照)が備えられ、そのY方向の両端部には第1膜保持部33が備えられる。軒桁部22は、側構体20と屋根構体30の接続部を車内側から覆う側天井部22aと、荷物等が載置される荷棚部22bとからなる。本実施形態では、軒桁部22が側天井部22aおよび荷棚部22bを一体に備える例を示すが、独立した側天井部22aおよび荷棚部22bを備えても良い。
【0016】
軒桁部22の側天井部22aのZ方向の上端部には第2膜保持部24が備えられ、軒桁部22の荷棚部22bの先端部(Y方向の端部)の下面には第3膜保持部26が備えられる。腰下部28のZ方向の上端部には、第4膜保持部29(後述する図5参照)が備えられる。
【0017】
可撓性のある膜材から構成される天井膜31が、第1膜保持部33から両側の第2膜保持部24にそれぞれ架け渡されるとともに、屋根構体30の車内側の大部分を覆う態様で備えられる。同様に、一対の側膜21が、第3膜保持部26から第4膜保持部29(後述する図5参照)に架け渡されるとともに、対向する側構体20の車内側の大部分を覆う態様で備えられる。側膜21は、あらかじめ複数の窓23に対応する部位に複数の開口部を備えており、各窓23を遮蔽することなく側構体20の車内側を広い面積で覆うことができる。
【0018】
軒桁部22の荷棚部22bのY方向の側構体20に近い端部には、側膜21を側構体20に沿う位置に保持するための側膜押圧部27が備えられる。天井膜31および側膜21は、自立できない程度の小さい剛性を有する難燃性素材からなる。天井膜31は、Y方向の両端縁にX方向に沿って離散的に複数の膜保持部55(後述する図2参照)を備える。同様に、側膜21は、Z方向の両端縁にX方向に沿って離散的に、複数の膜保持部55を備える(後述する図5、7参照)。なお、離散的な形態の膜保持部55を例示したが、離散的な形態に限定されず、膜保持部55は、例えば、X方向に沿う長さ寸法を有する一体的な形態であっても良い。
【0019】
図2は、鉄道車両の中央天井部の幅方向の両端部の第1膜保持部の長手方向に交差する断面図である。中央天井部32は、屋根構体30が有するカーテンレール等に、ボルト61などで固定される。中央天井部32は、そのY方向の中央部に照明装置34を備え、この照明装置34の両端部に、天井膜31を保持する第1膜保持部33(図2で片側のみ図示)が設けられている。照明装置34を利用して天井膜31を保持できるため、コスト低減を図れる。
【0020】
第1膜保持部33は、天井膜31の縁に沿って備えられる膜固定部55が嵌め込まれて固定される溝部33cと、天井膜31に張り(張力)を与えるべく略S字状に屈曲させるよう半円筒状の各先端がずれて天井膜31の両面にそれぞれ当接する押圧部33a及び突出部33bとを備える。膜固定部55は、膜が固定される頂部55aと、円筒状の中央部55bと、基部55cとを有する。
【0021】
天井膜31のY方向の端部は膜固定部55の頂部55aに固定され、その中央部55bおよび基部55cは、第1膜保持部33の溝部33cに嵌め込まれる。溝部33cに嵌め込まれた状態で膜固定部55は、溝部33cに沿ってX方向に移動でき、天井膜31のゆるみ(たるみ、しわ)をなくすことができるよう、溝部33cの任意の場所に固定される。
なお、図2では屋根構体30のY方向の中央部に中央天井部32を備える例を示したが、中央天井部32の代わりに、照明装置を有するY方向に沿って備えられる一対(2列)の天井部を準備し、これら一対(2列)の天井部を屋根構体30のY方向の両端部に固定しても良い。この場合、一対(2列)の天井部の間に屋根構体30の大部分を覆う天井膜31を架け渡した後、天井膜31のY方向の中央部を、上述した側膜押圧部27に相当する機能を有する天井膜押圧部で屋根構体30の車内側の面に押圧しても良い。
【0022】
図3は、鉄道車両の軒桁部をなす側天井部の上端部の第2膜保持部の長手方向に交差する断面図である。軒桁部22は、側構体20および屋根構体30が備えるカーテンレール等に、ボルト(点線で図示)などで固定される。軒桁部22の側天井部22aの上端部は、天井膜31を保持する第2膜保持部24を有する。
【0023】
第2膜保持部24は、天井膜31の縁に沿って備えられる膜固定部55が嵌め込まれて固定される溝部24cと、天井膜31に張り(張力)を与えるべく略S字状に屈曲させるよう半円筒状の各先端がずれて天井膜31の両面にそれぞれ当接する押圧部24a及び突出部24bとを備える。膜固定部55は、膜が固定される頂部55aと、円筒状の中央部55bと、基部55cとを有する。
【0024】
天井膜31のY方向の端部は膜固定部55の頂部55aに固定され、その中央部55bおよび基部55cは、第2膜保持部24の溝部24cに嵌め込まれる。溝部24cに嵌め込まれた状態で膜固定部55は、溝部24cに沿ってX方向に移動でき、天井膜31のゆるみ(たるみ、しわ)をなくすことができるよう、溝部24cの任意の場所に固定される。
なお、軒桁部22の側天井部22aに照明装置を備え、一方の側天井部22aから他方の側天井部22aに、天井膜31を架け渡すとともに天井膜31のY方向の中央部を上述した側膜押圧部27に相当する機能を有する天井膜押圧部で、天井膜31のY方向の中央部を屋根構体30の車内側に押圧しても良い。この形態に依れば、部品点数を削減できるとともに、屋根構体30の付加物の重量を軽減できるので、低重心化を促進できる。
【0025】
図4は、鉄道車両の軒桁部をなす荷棚部の幅方向の端部の第3膜保持部の長手方向に交差する断面図である。軒桁部22の荷棚部22bのY方向の端部は、側膜21を保持する第3膜保持部26を有する。第3膜保持部26は、側膜21の縁に沿って備えられる膜固定部55が嵌め込まれて固定される溝部26cと、側膜21に張り(張力)を与えるべく略S字状に屈曲させるよう半円筒状の各先端がずれて側膜21の両面にそれぞれ当接する押圧部26a及び突出部26bとを備える。膜固定部55は、膜が固定される頂部55aと、円筒状の中央部55bと、基部55cとを有する。
【0026】
側膜21のY方向の端部は膜固定部55の頂部55aに固定され、その中央部55bおよび基部55cは、第3膜保持部26の溝部26cに嵌め込まれる。溝部26cに嵌め込まれた状態で膜固定部55は、溝部26cに沿ってX方向に移動でき、側膜21のゆるみ(たるみ、しわ)をなくすことができるよう、溝部26cの任意の場所に固定される。
【0027】
図5は、鉄道車両の腰下部の上端部の第4膜保持部の長手方向に交差する断面図である。腰下部28は、側膜21を保持する第4膜保持部29を有する。第4膜保持部29は、側膜21の縁に沿って備えられる膜固定部55が嵌め込まれて固定される溝部29cと、側膜21に張り(張力)を与えるべく略S字状に屈曲させるよう半円筒状の各先端がずれて側膜21の両面にそれぞれ当接する押圧部29a及び突出部29bとを備える。膜固定部55は、膜が固定される頂部55aと、円筒状の中央部55bと、基部55cを有する。
【0028】
側膜21のZ方向の端部は膜固定部55の頂部55aに固定され、その中央部55bおよび基部55cは、第4膜保持部29の溝部29cに嵌め込まれる。溝部29cに嵌め込まれた状態で膜固定部55は、溝部29cに沿ってX方向に移動でき、側膜21のゆるみ(たるみ、しわ)をなくすことができるよう、溝部29cの任意の場所に固定される。なお、膜固定部55は、各膜保持部で共通な部品を用いることで、コスト低減を図ることができる。また、側膜21及び天井膜31も共通の膜素材を必要な寸法に切り出すことで形成でき、これによりコスト低減を図ることができる。
【0029】
図6は側構体および断熱材が取り除かれた鉄道車両の調和空気ダクトおよび窓部を車外から車内の方向に見た模式図(図1のB−B断面図相当)であり、図7は鉄道車両の車内から鉄道車両の側部および窓部を見た模式図である。
【0030】
鉄道車両1は、図1を参照して台枠10(上床12)の下方に空気調和装置(図示せず)を備えており、この空気調和装置で生成される調和空気は、鉄道車両1の上床12の下方にX方向に沿って備えられる調和空気ダクト(図示なし)に送風される。その後、調和空気は、図6において、この調和空気ダクトに接続するとともにZ方向に分岐するダクトモジュール77を構成する立ち上がりダクト70を経て、鉄道車両1の車内の隅々まで供給される。
【0031】
立ち上がりダクト70はZ方向に交差する断面が矩形状のダクトであり、後述するキセモジュール76を支持することができる十分高い剛性を備える。立ち上がりダクト70の上端部は、立ち上がりダクト70の内部をZ方向に流れてきた調和空気が、X方向に流れ方向を変えて車内に供給するために、X方向に沿う張出部70aを有する。
【0032】
この張出部70aは、大型の第1窓キセ71を支持するための複数の固定部(ボルト等)78を備える。側膜21は、立ち上がりダクト70(張出部70aを含む)と第1窓キセ71との間の隙間に把持される態様で固定される。
【0033】
図7に示すように、第1窓キセ71の車内側には、テーブル73や調和空気の吐出し口および流路などを備える第2窓キセ72が備えられる。第2窓キセ72を備える第1窓キセ71は、キセモジュール76を構成する。立ち上がりダクト70を含むダクトモジュール77(図6)は、側膜21の車外側に備えられる断熱材(吸音材、遮音材を兼ねると好ましい)74(後述する図8参照)の表面に側膜21を押圧するキセモジュール76を支持するに十分な剛性を有する。
【0034】
立ち上がりダクト70の内部をZ方向に供給される調和空気は、図7に矢印で示す流れ75のように、第1窓キセ71と第2窓キセ72との間に設けられる張出部70a(図6)を含む吹き出し口の間を通過して、テーブル73のX方向の両端部の下方から車内へ供給される。
【0035】
図8はダクトモジュールおよびキセモジュールの高さ方向に交差する断面図(図6のC−C断面図)であり、図9はダクトモジュールおよびキセモジュールを鉄道車両に取り付ける際の作業手順を示す模式図である。
【0036】
以下、ダクトモジュールおよびキセモジュールを鉄道車両に取り付ける際の作業について説明する。まず、台枠10と側構体20と屋根構体30などからなる6面体の構体7が製造される。図9において、側構体20および屋根構体30の車内側には断熱材74が貼りつけられ(矢印79a)、この断熱材74の車内側にダクトモジュール77(立ち上がりダクト70)が固定される(矢印79b)。ダクトモジュール77が車内側に傾かないように、必要に応じて、ダクトモジュール77のZ方向の中央部と側構体20とを接続しても良い。
【0037】
続いて、側膜21を側構体20に備える過程で、この側膜21により立ち上がりダクト70を車内側から覆う(矢印79c)。更に、立ち上がりダクト70に対して、車内側から側膜21を車外の方向へ押圧する態様で、キセモジュール76を立ち上がりダクト70に固定する(矢印79d)。
【0038】
従来は、鉄道車両1の構体7を構成する側構体20の車内側に、複数の窓23に対応する側内装材を備え、同様に、屋根構体30の車内側に複数の天井内装材を備えていた。これに対し、本実施形態の構成によれば、一連の窓23を含む側構体20の車内側をX方向に単一材である側膜21で覆うとともに、屋根構体30の車内側を単一材である(図1の例では2つの)天井膜31で覆うので、内装材に関する部品点数を大幅に低減することができる。
【0039】
さらに、従来における窓に対応して配置される複数の側内装材は、一旦、取付けて取付状況を確認した後、必要に応じて取り外して、間隔や隙間を調整する作業などが含まれることから、隣り合う側内装材との位置決め作業に多くの工数を要していた。同様に複数の天井内装材も、隣り合う天井内装材の位置決めに多くの工数を要していた。これに対し、本実施形態の構成によれば、側膜21および天井膜31を架け渡すように配置することで、側内装材および天井内装材に係わる位置決め工数を大幅に削減することができる。
【0040】
さらに、側膜21および天井膜31の単位面積当たりの重量が、従来の熱可塑性樹脂などからなる側内装材および天井内装材の重量に比較して小さいので、大幅な軽量化を実現できる。さらに、側膜21および天井膜31で軽量化した重量の一部を利用して、車両全体の重量を大きくすることなく、より面密度の大きい遮音材(吸音材)や断熱材を採用することによって、車内騒音が小さくより快適な移動空間を提供することができる。
【0041】
また、従来、鉄道車両1の車内で生じる騒音は、側内装材および天井内装材の車内側の面で反射するため減衰率が小さく、車内騒音の低減を阻害していた。これに対し本実施の形態によれば、可撓性のある側膜21および天井膜31が鉄道車両1の車内の大部分を覆うため、反射に伴う車内騒音の減衰率が大きくなり車内騒音の低減を促進することができる。
【0042】
以上述べたように、本実施形態によれば、部品点数を削減するとともに、側構体および屋根構体と内装材との位置決め作業に係わる製作工数を低減でき、軽量な内装材を有する鉄道車両を提供することができる。
【0043】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態における構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態における構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0044】
1…鉄道車両、 3…軌道、
5…台車、 7…構体、
10…台枠、 12…上床、
20…側構体、 21…側膜、
22…軒桁部、 22a…側天井部、
22b…荷棚部、 23…窓、
24…第2膜保持部、 24a…押圧部、
24b…突出部、 24c…溝部、
26…第3膜保持部、 26a…押圧部、
26b…突出部、 26c…溝部、
27…側膜押圧部、 28…腰下部、
29…第4膜保持部、 29a…押圧部、
29b…突出部、 29c…溝部、
30…屋根構体、 31…天井膜、
32…中央天井部、 33…第1膜保持部、
33a…押圧部、 33b…突出部、
33c…溝部、 34…照明装置、
42…仕切り壁、 44…仕切り壁引戸、
55…膜保持部、 55a…頂部、
55b…中央部、 55c…基部、
61…ボルト、 70…立ち上がりダクト、
70a…張出部、 71…第1窓キセ(構体側大)、
72…第2窓キセ(車内側小)、 73…テーブル、
74…断熱材、遮音材、吸音材、 75…調和空気の流れ、
76…キセモジュール、 77…ダクトモジュール、
78…固定部、 79a〜79d…組立方向を示す矢印、
X…長手方向(レール方向)、 Y…幅方向(枕木方向)、
Z…高さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9