特開2019-214300(P2019-214300A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-214300(P2019-214300A)
(43)【公開日】2019年12月19日
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両
(51)【国際特許分類】
   B62K 5/05 20130101AFI20191122BHJP
   B62K 25/24 20060101ALI20191122BHJP
   B62K 21/18 20060101ALI20191122BHJP
【FI】
   B62K5/05
   B62K25/24
   B62K21/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-112542(P2018-112542)
(22)【出願日】2018年6月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】長坂 和哉
(72)【発明者】
【氏名】寺田 偉紀
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏志
【テーマコード(参考)】
3D011
3D013
3D014
【Fターム(参考)】
3D011AA02
3D011AD01
3D011AD03
3D011AH01
3D011AL01
3D011AL11
3D013CA07
3D013CB02
3D013CB12
3D013CE02
3D013CF51
3D014DD06
3D014DE06
3D014DE33
(57)【要約】
【課題】リーン及び旋回を簡素な構造で実現できる鞍乗り型車両を提供する。
【解決手段】鞍乗り型車両1は、2つの前輪11と、左前輪旋回軸A1L及び右前輪旋回軸A1Rのそれぞれを中心として旋回する左前輪支持部材6L及び右前輪支持部材6Rと、車幅方向に垂直な軸回りに回転する上リーンアーム7及び下リーンアーム8と、操舵ロッド49と、を備える。上リーンアーム7は、左前輪旋回軸A1L上に設けられた第1接続部C1及び第2接続部C2を介して左前輪支持部材6L及び右前輪支持部材6Rのそれぞれに接続される。下リーンアーム8は、右前輪旋回軸A1R上に設けられた第3接続部C3及び第4接続部C4を介して左前輪支持部材6L及び右前輪支持部材6Rのそれぞれに接続される。操舵ロッド49は、操舵軸45の前方に配置される。車体の正面視において、操舵ロッド49が、上リーンアーム7と下リーンアーム8の間に配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞍乗り型車両であって、
回転可能な第1操舵輪と、
前記第1操舵輪とは車幅方向で反対側に配置され、回転可能な第2操舵輪と、
前記第1操舵輪を支持する第1操舵輪支持部材と、
前記第2操舵輪を支持する第2操舵輪支持部材と、
その中央部が車体に支持され、車幅方向の一側が第1接続部を介して前記第1操舵輪支持部材と接続され、反対側が第2接続部を介して前記第2操舵輪支持部材と接続される、車幅方向に垂直な軸回りに回転する第1リーンアームと、
その中央部が前記第1リーンアームの中央部とは異なる高さで車体に支持され、車幅方向の一側が第3接続部を介して前記第1操舵輪支持部材と接続され、反対側が第4接続部を介して前記第2操舵輪支持部材と接続される、車幅方向に垂直な軸回りに回転する第2リーンアームと、
操舵旋回軸を中心として左右旋回可能に車体に支持される操舵軸と、
前記第1接続部と前記第3接続部とを結ぶ第1旋回軸を中心として左右旋回可能であり、車幅方向に押し引きされることによって、前記第1旋回軸を中心として前記第1操舵輪を左右旋回させる第1ナックル部材と、
前記第2接続部と前記第4接続部とを結ぶ第2旋回軸を中心として左右旋回可能であり、車幅方向に押し引きされることによって、前記第2旋回軸を中心として前記第2操舵輪を左右旋回させる第2ナックル部材と、
前記操舵軸の左右旋回に連動して前記第1ナックル部材及び第2ナックル部材を車幅方向に押し引きする操舵ロッドと、
を備え、
前記操舵ロッドは、前記操舵軸の前方に配置され、
車体の正面視において、前記操舵ロッドが、前記第1リーンアームと前記第2リーンアームの間に配置されていることを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項2】
請求項1に記載の鞍乗り型車両であって、
車体の前後方向に延びて形成され、先端部が前記第1操舵輪と前記第2操舵輪との間に位置するフロント支持部材を備え、
前記先端部は、上下に並べて設けられた上先端部及び下先端部と、前記上先端部と前記下先端部とを連結する連結部と、を備え、
前記操舵軸は、前記連結部より後方であって、前記上先端部に取り付けられていることを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項3】
請求項2に記載の鞍乗り型車両であって、
前記操舵ロッドは、前記連結部の前方に設けられていることを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の鞍乗り型車両であって、
前記操舵軸は、垂直成分を有する方向に延びるように設けられ、
前記操舵軸の上端には、ステアリング操作部材の操作を伝達する第1伝達部材が固定され、
前記操舵軸の下端には、前記操舵軸の回転を前記操舵ロッドに伝達する第2伝達部材が固定されることを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載の鞍乗り型車両であって、
前記第1リーンアームは、前記第2リーンアームよりも高い位置に配置され、
前記第1リーンアームは、平面視で四角形の中空部を有するように形成され、
前記操舵軸は、前記第1リーンアームの前記中空部を通過するように配置されていることを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項6】
請求項5に記載の鞍乗り型車両であって、
前記第1リーンアームは、前後方向に離れた2箇所で車体に支持され、
前記操舵軸は、前記第1リーンアームが車体に支持される2箇所の間を通過することを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項7】
請求項1から6までの何れか一項に記載の鞍乗り型車両であって、
前記第1操舵輪を制動するブレーキキャリパーが、当該第1操舵輪の車軸の後方に設けられ、
前記第2操舵輪を制動するブレーキキャリパーが、当該第2操舵輪の車軸の後方に設けられていることを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項8】
請求項1から7までの何れか一項に記載の鞍乗り型車両であって、
ステアリング操作部材の回転と連動して回転する操作回転部材と、
前記操舵軸と一体的に回転する第1伝達部材と、
前記操作回転部材と前記第1伝達部材とを連結し、前記操作回転部材の回転を前記操舵軸に伝達する伝達ロッドと、
を備え、
前記伝達ロッドは、前記操作回転部材及び前記第1伝達部材のうち少なくとも何れかに対する連結箇所を変更可能に構成されていることを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項9】
請求項1から8までの何れか一項に記載の鞍乗り型車両であって、
前記車体は、
第1部材と、
前記第1部材の前方に配置される第2部材と、
前記第2部材が前記第1部材に対して相対的に上下動可能となるように、前記第1部材と前記第2部材とを連結する上下動リンク機構と、
を備え、
前記上下動リンク機構は、車幅方向で対をなすように配置された2対のリンクアームを備え、
前記第1操舵輪及び前記第2操舵輪から前記第2部材に伝達された振動を緩衝するサスペンションが、2対の前記リンクアームの間を通過するように配置されていることを特徴とする鞍乗り型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、2つの前輪を有する鞍乗り型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、左右1対の前輪を備える鞍乗り型車両が知られている。特許文献1は、この種の車両を開示する。
【0003】
特許文献1の揺動型車両は、車体に左右内側を揺動可能に支持され、左右外側に左右一対の前輪をそれぞれ転舵可能に支持する左右一対のアーム部材と、左右前輪への荷重をそれぞれ受ける左右クッションユニットと、ステアリングリンク機構に連結される左右タイロッドと、を備える構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6170086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような2つの前輪を備える鞍乗り型車両において、構造の簡素化及び車両の軽量化を図ることが望まれていた。
【0006】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、リーン及び旋回を簡素な構造で実現できる鞍乗り型車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0008】
本発明の観点によれば、以下の構成の鞍乗り型車両が提供される。即ち、この鞍乗り型車両は、第1操舵輪と、第2操舵輪と、第1操舵輪支持部材と、第2操舵輪支持部材と、第1リーンアームと、第2リーンアームと、操舵軸と、第1ナックル部材と、第2ナックル部材と、操舵ロッドと、を備える。前記第1操舵輪は、回転可能である。前記第2操舵輪は、前記第1操舵輪とは車幅方向で反対側に配置され、回転可能である。前記第1操舵輪支持部材は、前記第1操舵輪を支持する。前記第2操舵輪支持部材は、前記第2操舵輪を支持する。前記第1リーンアームは、その中央部が車体に支持され、車幅方向の一側が第1接続部を介して前記第1操舵輪支持部材と接続され、反対側が第2接続部を介して前記第2操舵輪支持部材と接続される。前記第1リーンアームは、車幅方向に垂直な軸回りに回転する。前記第2リーンアームは、その中央部が前記第1リーンアームの中央部とは異なる高さで車体に支持され、車幅方向の一側が第3接続部を介して前記第1操舵輪支持部材と接続され、反対側が第4接続部を介して前記第2操舵輪支持部材と接続される。前記第2リーンアームは、車幅方向に垂直な軸回りに回転する。前記操舵軸は、操舵旋回軸を中心として左右旋回可能に車体に支持される。前記第1ナックル部材は、前記第1接続部と前記第3接続部とを結ぶ第1旋回軸を中心として左右旋回可能であり、車幅方向に押し引きされることによって、前記第1旋回軸を中心として前記第1操舵輪を左右旋回させる。前記第2ナックル部材は、前記第2接続部と前記第4接続部とを結ぶ第2旋回軸を中心として左右旋回可能であり、車幅方向に押し引きされることによって、前記第2旋回軸を中心として前記第2操舵輪を左右旋回させる。前記操舵ロッドは、前記操舵軸の左右旋回に連動して前記第1ナックル部材及び第2ナックル部材を車幅方向に押し引きする。前記操舵ロッドは、前記操舵軸の前方に配置され、車体の正面視において、前記操舵ロッドが、前記第1リーンアームと前記第2リーンアームの間に配置されている。
【0009】
これにより、フロントフォーク等の部材を介さずに操舵することができるので、車両の軽量化を実現することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、リーン及び旋回を簡素な構造で実現できる鞍乗り型車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る鞍乗り型車両の構成を示す概略側面図。
図2】鞍乗り型車両の前輪支持構造を示す部分斜視図。
図3】前輪支持構造を示す部分側面図。
図4図3の状態からフロント支持部材が車体フレームに対して上側にスイングした状態を示す部分側面図。
図5】前輪支持構造を示す部分平面図。
図6】リーン状態を示す部分正面図。
図7】リーン状態を示す部分斜視図。
図8】左旋回状態を示す部分正面図。
図9】左旋回状態を示す部分斜視図。
図10】第2実施形態の鞍乗り型車両を示す部分斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る鞍乗り型車両1の構成を示す概略側面図である。図2は、鞍乗り型車両1の前輪支持構造5を示す部分斜視図である。図3は、前輪支持構造5を示す部分側面図である。図4は、図3の状態からフロント支持部材20が車体フレーム15に対して上側にスイングした状態を示す部分側面図である。図5は、前輪支持構造5を示す部分平面図である。
【0013】
以下の説明で前後、上下、及び左右というときは、鞍乗り型車両1に乗車した運転者から見たときの前後、上下、及び左右を意味する。左右方向は、鞍乗り型車両1の車幅方向と言い換えることもできる。
【0014】
図1及び図2に示す第1実施形態の鞍乗り型車両1は、車体10と、前輪11と、後輪12と、を備える。運転者は、車体10に跨がった状態で鞍乗り型車両1を運転する。前輪11は、左右1対で2つ備えられ、後輪12は、1つ備えられる。
【0015】
車体10は、鞍乗り型車両1を走行させる駆動源を支持する。本実施形態では、駆動源として、図1に示すエンジン13が用いられる。エンジン13は、駆動輪である後輪12を駆動するパワーユニットとして機能し、例えばガソリンエンジンとして構成される。エンジン13で発生する駆動力は、図略の変速ギアによって変速され、ドライブチェーン(図略)を介して後輪12に伝達される。ただし、エンジン13の代わりに例えば電動モータを駆動源として用いても良い。
【0016】
車体10は、車体フレーム(第1部材)15と、フロント支持ユニット2と、を備える。車体10の上部に、運転者が座るシート16が設けられている。車体10の前上部に、運転者が操作するステアリングハンドル(ステアリング操作部材)40が設けられている。
【0017】
車体フレーム15は、エンジン13等を支持する骨格となる強度部品であって、例えば金属パイプにより構成されている。車体フレーム15の前部には、フロント支持ユニット2が連結される。
【0018】
フロント支持ユニット2は、車体10の前部(車体フレーム15の前方)に配置されている。このフロント支持ユニット2は、フロント支持部材(第2部材)20と、上下動リンク機構21と、を備える。
【0019】
フロント支持部材20は、図2に示すように、車幅方向(左右方向)の中央に配置されている。フロント支持部材20は、車体フレーム15に対して、円弧を描いて上下に移動可能に取り付けられている。
【0020】
フロント支持部材20は、前アーム部(先端部)22と、ベース部23と、を備える。
【0021】
前アーム部22は、1対の前輪11の間に配置されるとともに、ベース部23の前方に位置している。前アーム部22は、例えば図3に示すように、上先端アーム部(上先端部)24と、下先端アーム部(下先端部)25と、連結部26と、を備える。
【0022】
上先端アーム部24及び下先端アーム部25は、何れも例えば角パイプ状の部材から構成され、ほぼ水平な前後方向に延びている。下先端アーム部25は、上先端アーム部24の下方に位置している。上先端アーム部24の後端及び下先端アーム部25の後端は、ベース部23の前端面にそれぞれ溶接等によって固定されている。
【0023】
上先端アーム部24及び下先端アーム部25は、何れも車体10の左右方向中央に配置され、上下方向に並べて設けられている。上先端アーム部24及び下先端アーム部25は、互いに平行に配置されている。
【0024】
下先端アーム部25は、上先端アーム部24より長く形成されている。従って、下先端アーム部25の前端(先端)は、上先端アーム部24の前端(先端)より前方に位置する。
【0025】
連結部26は、上下方向に延びる棒状の部材として構成されており、上先端アーム部24と下先端アーム部25との間に設けられている。連結部26は、下先端アーム部25の前後方向中途部と、上先端アーム部24の前端部と、を連結する。
【0026】
ベース部23は、上先端アーム部24及び下先端アーム部25の後方に配置されている。ベース部23は、前後方向に延びるように形成されている。ベース部23の前端には、前述のとおり、前アーム部22を構成する上先端アーム部24及び下先端アーム部25が固定されている。ベース部23の後端には、上下動リンク機構21が連結されている。
【0027】
上下動リンク機構21は、フロント支持部材20と車体フレーム15とを連結する。上下動リンク機構21は、図2に示すように、上リンク部材27と、下リンク部材28と、を備える。上リンク部材27と下リンク部材28とは、上下方向に並べて配置されている。
【0028】
上リンク部材27は、上下方向で見たときに矩形枠状に形成されている。上リンク部材27は、前後1対で配置された軸部27a,27bと、左右1対で配置されたリンクアーム27L,27Rと、を備える。
【0029】
軸部27a,27bのそれぞれは、細長い部材として構成され、左右方向に水平に延びるように配置されている。1対の軸部27a,27bは、前後方向に間隔をあけて配置されている。前側の軸部27aは、ベース部23の後端に、水平方向の軸を中心として回転可能に取り付けられている。後側の軸部27bは、車体フレーム15に、水平方向の軸を中心として回転可能に取り付けられている。
【0030】
リンクアーム27L,27Rのそれぞれは、細長く形成され、前後方向に延びるように配置されている。1対のリンクアーム27L,27Rは、左右方向に間隔をあけて配置されている。リンクアーム27L,27Rの前端は前側の軸部27aに固定され、後端は後側の軸部27bに固定される。
【0031】
下リンク部材28は、図2及び図3に示すように、前後1対で配置された軸部28a,28bと、左右1対で配置されたリンクアーム28L,28Rと、を備える。下リンク部材28は上リンク部材27と実質的に同一の構成であるので、説明を省略する。
【0032】
上下動リンク機構21の4つのリンクアーム27L,27R,28L,28Rの長さは互いに等しくなっており、上下動リンク機構21は平行リンク機構を構成している。従って、フロント支持部材20は、車体フレーム15に対する向きを保ったまま、図4の太線矢印に示すように、車体フレーム15に対して円弧を描くように上下に移動することができる。ただし、リンクアーム27L,27R,28L,28Rの長さが上下で異なっても良い。
【0033】
図2に示すように、上リンク部材27を矩形枠状に形成したことにより、上リンク部材27の内部には、左右のリンクアーム27L,27Rに挟まれた部分に四角形の中空部S1が形成される。同様に、下リンク部材28の内部には、左右のリンクアーム28L,28Rに挟まれた部分に四角形の中空部S2が形成される。
【0034】
車体フレーム15とフロント支持部材20とは、サスペンションユニット30と、連動アーム31と、サスペンションリンク34と、からなるサスペンション機構を介して連結されている。
【0035】
サスペンションユニット30は、路面の凹凸が車体10に伝わるのを緩和する緩衝装置として機能し、路面からの衝撃や振動を吸収する。サスペンションユニット30は、例えば、スプリングとダンパが一体となった装置として構成することができる。
【0036】
本実施形態において、サスペンションユニット30は、細長い部品であり、その長さが伸縮可能な構成となっている。サスペンションユニット30は、上下動リンク機構21が有する上リンク部材27のリンクアーム27L,27Rの間、及び、下リンク部材28のリンクアーム28L,28Rの間を何れも通過するように、概ね上下方向に(前低後高の傾斜状に)延びて設けられている。サスペンションユニット30の延びる方向は、垂直成分を有している。サスペンションユニット30の上端部は、車体フレーム15の前上部に回転可能に連結され、サスペンションユニット30の下端部は、サスペンションリンク34の後端部に回転可能に連結される。
【0037】
このように、上下に並んで配置された中空部S1,S2を通過するようにサスペンションユニット30が配置されることにより、空間を有効に利用でき、鞍乗り型車両1の小型化を実現することができる。
【0038】
連動アーム31は、下リンク部材28の下方に配置されている。連動アーム31は、車体10の左右方向に並んで1対で配置されている。以下の説明では、車体左側に配置されている連動アーム31を左連動アーム31Lと呼び、右側に配置されている連動アーム31を右連動アーム31Rと呼ぶことがある。右連動アーム31Rは、図2から図4までにおいては他の部材に隠れているが、図6に描かれている。
【0039】
左連動アーム31L及び右連動アーム31Rのそれぞれは、例えば金属製の細長い棒状部材として構成され、前後方向に延びるように配置されている。左連動アーム31L及び右連動アーム31Rは、互いに平行となるように配置されている。
【0040】
左連動アーム31Lの前端は、サスペンションリンク34の前側下部に回転可能に支持されている。左連動アーム31Lの後端は、車体フレーム15の前側下部に回転可能に支持されている。右連動アーム31Rも同様に、サスペンションリンク34と車体フレーム15に連結されている。
【0041】
サスペンションリンク34は、車体10の左右方向で見たときに略三角形に形成されたリンク部材である。サスペンションリンク34の前側上部は、ベース部23の後端の下部に回転可能に支持されている。サスペンションリンク34の前側下部には、左連動アーム31L及び右連動アーム31Rが回転可能に連結されている。サスペンションリンク34は、ベース部23との連結箇所及び連動アーム31との連結箇所よりも後方へ延びており、その後端部には、サスペンションユニット30の下端が回転可能に連結されている。サスペンションリンク34と連動アーム31との組合せにより、サスペンションユニット30の伸縮量を拡大するための公知のプロリンク機構が構成されている。
【0042】
このように構成された鞍乗り型車両1において、フロント支持部材20が車体フレーム15に対して円弧を描くように上下に移動する過程で、サスペンションリンク34がフロント支持部材20とともに移動する。また、同時に、左連動アーム31L及び右連動アーム31Rがサスペンションリンク34を回転させる。従って、車体フレーム15の前側上部と、サスペンションリンク34の後端部と、を連結するサスペンションユニット30の長さが伸縮することになる。これに伴って、サスペンションユニット30のスプリングが伸縮するとともに、ダンパによる減衰力が付与されるので、フロント支持部材20の車体フレーム15に対する上下移動速度を抑えることができる。この結果、走行時において前輪11が受ける路面からの衝撃及び振動が、フロント支持部材20から後方の車体フレーム15等に伝達されにくくすることができる。
【0043】
前輪11は、車体10の左右方向両側に1つずつ設けられている。それぞれの前輪11は、前輪支持構造5を介して、車体10(具体的には、フロント支持ユニット2)に対して支持されている。以下の説明においては、1対の前輪11のうち、車体10の左側に設けられた前輪11を左前輪11Lと呼び、車体10の右側に設けられた前輪11を右前輪11Rと呼ぶことがある。左前輪11Lは第1操舵輪に相当し、右前輪11Rは第2操舵輪に相当する。
【0044】
前輪支持構造5は、図2に示すように、1対のナックル部材50と、1対の前輪支持部材6と、上リーンアーム(第1リーンアーム)7と、下リーンアーム(第2リーンアーム)8と、を備える。
【0045】
以下の説明においては、1対のナックル部材50のうち、車体10の左側に設けられたナックル部材50を左ナックル部材50Lと呼び、車体10の右側に設けられたナックル部材50を右ナックル部材50Rと呼ぶことがある。左ナックル部材50Lが第1ナックル部材に相当し、右ナックル部材50Rが第2ナックル部材に相当する。
【0046】
また、1対の前輪支持部材6のうち、車体10の左側に設けられた前輪支持部材6を左前輪支持部材6Lと呼び、車体10の右側に設けられた前輪支持部材6を右前輪支持部材6Rと呼ぶことがある。左前輪支持部材6Lが第1操舵輪支持部材に相当し、右前輪支持部材6Rが第2操舵輪支持部材に相当する。
【0047】
図2では、左前輪11Lとその周辺の構成(左ナックル部材50L、ブレーキディスク19、ブレーキキャリパー17)が取り外された状態が描かれている。図3及び図4においては、左前輪11L及びその周辺の構成が省略されている。
【0048】
ナックル部材50は、図2等に示すように、車軸18を介して前輪11を回転可能に支持する。ナックル部材50は、車軸支持部51と、固定部53と、押引き部52と、を備える。
【0049】
車軸支持部51は、円筒状に形成され、その軸が左右方向を向くように配置されている。車軸支持部51の内部に、前輪11の車軸18が、図略の軸受を介して回転可能に支持される。
【0050】
固定部53は、ブロック状に形成されており、車軸支持部51の外周面のうち後部に固定されている。固定部53は、図示しない固定部材(例えば、ボルト)を介して、前輪支持部材6の本体部61に固定される。なお、前輪支持部材6の詳細は後述する。
【0051】
固定部53には、ブレーキキャリパー17が取り付けられている。ブレーキキャリパー17としては、例えば油圧によりブレーキパッドを押し付けるタイプのキャリパーを用いることができる。ブレーキキャリパー17は、図略のブレーキパッドをブレーキディスク19に押さえ付けることで発生する摩擦によって前輪11を制動する。
【0052】
押引き部52は、図2に示すように、前後方向に細長い板状部材から形成されている。押引き部52は、その厚み方向が車体10の左右方向と一致するように設けられている。車体10の左右方向で見たとき、押引き部52は、車軸支持部51から前方に延びるように、車軸支持部51の外周面の前部に固定される。押引き部52は、後述の操舵リンク機構46を構成する操舵ロッド49の端部に連結される。
【0053】
車体10の左右方向で見たとき、固定部53は、車軸支持部51から、押引き部52とは反対側である後方に延びるように配置されている。従って、ブレーキキャリパー17は、前輪11の車軸18より後方に位置している。
【0054】
前輪支持部材6は、前輪11を、ナックル部材50を介して、前輪旋回軸A1を中心として旋回可能に支持している。前輪支持部材6は、本体部61と、取付部62と、回転軸部材63と、を備える。
【0055】
本体部61は、半円弧状の板状に形成され、ナックル部材50の車軸支持部51を迂回するように配置されている。この本体部61には、ナックル部材50の固定部53が固定されている。
【0056】
取付部62は、本体部61の上端部及び下端部にそれぞれ一体的に設けられている。それぞれの取付部62は、図2等に示すように、車体10の前後方向で見たときにL字状に折り曲げられている。
【0057】
回転軸部材63は、細長い棒状の部材として形成されており、前輪支持部材6の上部及び下部に位置する取付部62にそれぞれ固定される。上側の回転軸部材63と下側の回転軸部材63は、互いに軸線が一致するように配置されている。この軸線は上下方向から傾斜するように向けられており、車体10の左右方向で見たとき、前側が低く、後側が高くなっている。
【0058】
上側の回転軸部材63の上端は、上リーンアーム7に対して回転可能に連結される。下側の回転軸部材63の下端は、下リーンアーム8に対して回転可能に連結される。
【0059】
本実施形態の鞍乗り型車両1においては、それぞれの前輪11は、前輪支持部材6が有する2つの回転軸部材63の軸線を中心として旋回するように支持されている。即ち、前輪旋回軸A1は、回転軸部材63の軸線と一致する。なお、以下の説明においては、左前輪11Lの前輪旋回軸A1を左前輪旋回軸(第1旋回軸)A1Lと呼び、右前輪11Rの前輪旋回軸A1を右前輪旋回軸(第2旋回軸)A1Rと呼ぶことがある。
【0060】
上リーンアーム7は、図5等に示すように、上先端アーム部24の上側に回転可能に設けられている。
【0061】
上リーンアーム7は、図5等に示すように、第1上アーム71と、第2上アーム72と、第3上アーム73と、第4上アーム74と、第1上支点ボス75と、第2上支点ボス76と、を備える。
【0062】
第1上アーム71及び第2上アーム72は、左前輪11L側に設けられ、平面視で左右成分を含む方向に延びるように細長く形成されている。第2上アーム72は、第1上アーム71よりも後方に位置している。第1上アーム71及び第2上アーム72の左端同士が結合されている。当該左端の結合箇所は、第1接続部C1を介して、左前輪支持部材6Lの上端に連結されている。
【0063】
第1上アーム71及び第2上アーム72は、第1接続部C1から遠ざかるにつれて互いに前後方向に離れるように設けられている。第1上アーム71において、第1接続部C1に接続される側と反対側の端部は、第1上支点ボス75に接続されている。第2上アーム72において、第1接続部C1に接続される側と反対側の端部は、第2上支点ボス76に接続されている。
【0064】
第3上アーム73及び第4上アーム74は、右前輪11R側に設けられ、平面視で左右成分を含む方向に延びるように細長く形成されている。第4上アーム74は、第3上アーム73よりも後方に位置している。第3上アーム73及び第4上アーム74の右端同士が結合されている。当該右端の結合箇所は、第2接続部C2を介して、右前輪支持部材6Rの上端に連結されている。
【0065】
第3上アーム73及び第4上アーム74は、第2接続部C2から遠ざかるにつれて互いに前後方向に離れるように設けられている。第3上アーム73において、第2接続部C2に接続される側と反対側の端部は、第1上支点ボス75に接続されている。第4上アーム74において、第2接続部C2に接続される側と反対側の端部は、第2上支点ボス76に接続されている。
【0066】
第1上支点ボス75及び第2上支点ボス76は、上リーンアーム7の中央部であって、鞍乗り型車両1の左右方向中央位置(即ち、2つの前輪11の間の中央位置)に設けられている。第1上支点ボス75及び第2上支点ボス76のそれぞれは、軸線が前後方向に向いた円筒状に形成されている。第1上支点ボス75及び第2上支点ボス76は、上先端アーム部24の上部において、それぞれ回転可能に支持されている。第1上支点ボス75及び第2上支点ボス76は、互いに軸線が一致するように配置されている。
【0067】
第1上支点ボス75は、第2上支点ボス76の前方に設けられている。第1上支点ボス75と第2上支点ボス76との間は、互いに前後方向に離れて配置されている。
【0068】
第1上支点ボス75は、第1上アーム71と第3上アーム73との間に設けられ、第1上アーム71と第3上アーム73とを互いに結合している。
【0069】
第2上支点ボス76は、第2上アーム72と第4上アーム74との間に設けられ、第2上アーム72と第4上アーム74とを互いに結合している。
【0070】
このように構成された上リーンアーム7は、平面視で菱形状となっており、その内部に菱形状(四角形状)の中空部S3が形成されている。また、上リーンアーム7は、図6及び図7に示すように、第1上支点ボス75及び第2上支点ボス76の軸線と一致する上リーン回転軸A2Hを中心として、シーソー状に回転する。
【0071】
下リーンアーム8は、図4等に示すように、下先端アーム部25の下側に設けられている。下リーンアーム8は、図4及び図5に示すように、第1下アーム81と、第2下アーム82と、第3下アーム83と、第4下アーム84と、第1下支点ボス85と、第2下支点ボス86と、を備える。
【0072】
下リーンアーム8の第1下アーム81、第2下アーム82、第3下アーム83、第4下アーム84、第1下支点ボス85及び第2下支点ボス86の構成は、上リーンアーム7の第1上アーム71、第2上アーム72、第3上アーム73、第4上アーム74、第1上支点ボス75及び第2上支点ボス76にそれぞれ類似した構成となっているため、詳細な説明は省略する。
【0073】
第1下アーム81及び第2下アーム82の左端同士は、互いに結合されている。当該左端の結合箇所は、第3接続部C3を介して、左前輪支持部材6Lの下端に連結されている。
【0074】
第3下アーム83及び第4下アーム84の右端同士は、互いに結合されている。当該右端の結合箇所は、第4接続部C4を介して、右前輪支持部材6Rの下端に連結されている。
【0075】
第1下支点ボス85及び第2下支点ボス86は、下リーンアーム8の中央部に位置する。第1下支点ボス85及び第2下支点ボス86のそれぞれは、軸線が前後方向に向いた円筒状に形成されている。第1下支点ボス85及び第2下支点ボス86は、下先端アーム部25の下部において、それぞれ回転可能に支持されている。第1下支点ボス85及び第2下支点ボス86は、互いに軸線が一致するように配置されている。
【0076】
第1下支点ボス85は、第2下支点ボス86の前方に設けられている。第1下支点ボス85と第2下支点ボス86との間は、互いに前後方向に離れて配置されている。第1下支点ボス85は、第1下アーム81と第3下アーム83とを互いに結合している。第2下支点ボス86は、第2下アーム82と第4下アーム84とを互いに結合している。
【0077】
このように構成された下リーンアーム8は、平面視で菱形状となっており、その内部に菱形状(四角形状)の中空部S4が形成されている。また、下リーンアーム8は、図6及び図7に示すように、第1下支点ボス85及び第2下支点ボス86の軸線と一致する下リーン回転軸A2Lを中心として、シーソー状に回転する。
【0078】
以上をまとめると、図2等に示すように、上リーンアーム7の左端は、左前輪支持部材6Lの上部の回転軸部材63に第1接続部C1を介して接続され、上リーンアーム7の右端は、右前輪支持部材6Rの上部の回転軸部材63に第2接続部C2を介して接続されている。
【0079】
下リーンアーム8の左端は、左前輪支持部材6Lの下部の回転軸部材63に第3接続部C3を介して接続され、下リーンアーム8の右端は、右前輪支持部材6Rの下部の回転軸部材63に第4接続部C4を介して接続されている。
【0080】
第1接続部C1と第3接続部C3とを結ぶ軸線が、左前輪旋回軸A1Lを構成している。第2接続部C2と第4接続部C4とを結ぶ軸線が、右前輪旋回軸A1Rを構成している。
【0081】
第1接続部C1、第2接続部C2、第3接続部C3及び第4接続部C4は、例えば、ピロボールジョイントから構成される。ピロボールジョイントは3自由度の軸受であり、軸線まわりの回転と、軸線の前後方向及び左右方向の傾きを許容する。これにより、前輪旋回軸A1を中心として前輪支持部材6及びナックル部材50を旋回可能とするとともに、上リーンアーム7及び下リーンアーム8のそれぞれと、左前輪旋回軸A1L及び右前輪旋回軸A1Rのそれぞれと、のなす角を任意に変更することができる。
【0082】
以上のように構成した前輪支持構造5においては、上リーンアーム7及び下リーンアーム8の回転に連動して、左前輪11L及び右前輪11Rは、図6及び図7に示すように上下方向で互いに逆向きに移動する。即ち、上リーンアーム7及び下リーンアーム8の回転によって、左前輪11Lが上昇するときは右前輪11Rが下降し、左前輪11Lが下降するときは右前輪11Rが上昇する。一方の前輪11がある距離だけ上昇する場合、反対側の前輪11は、等しい距離だけ下降する。図6及び図7では、左右の前輪11の高低差を分かり易く示すために車体10が直立した状態が描かれているが、実際は、左右の前輪11の高低差の分だけ、車体10が路面に対して傾斜することになる。このように、本実施形態の鞍乗り型車両1は、車体10が傾斜している状態(リーン状態)における走行を簡単な構成で実現できる。
【0083】
本実施形態では、上リーンアーム7及び下リーンアーム8を介して、左前輪11L及び右前輪11Rを、フロント支持部材20に対して安定して且つ容易に上下動させることができる。即ち、鞍乗り型車両1のリーンを容易に実現できる。また、上述のピロボールジョイントによる接続によって、リーンした状態における旋回を容易に実現できる。
【0084】
本実施形態の鞍乗り型車両1においては、図5において、第1接続部C1と第2接続部C2との間の距離D1と、第3接続部C3と第4接続部C4との間の距離D2と、が等しい(D1=D2)。言い換えれば、左右方向における上リーンアーム7及び下リーンアーム8の長さが同じである。これにより、上リーンアーム7と下リーンアーム8との回転に連動して、左前輪11L及び右前輪11Rの上下移動の対称性を確保でき、鞍乗り型車両1の円滑なリーンを実現することができる。
【0085】
上リーンアーム7の回転中心である上リーン回転軸A2Hは、第1上支点ボス75及び第2上支点ボス76の軸を通過するように配置される。下リーンアーム8の回転中心である下リーン回転軸A2Lは、第1下支点ボス85及び第2下支点ボス86の軸を通過するように配置される。上リーン回転軸A2Hは、第1接続部C1と第2接続部C2との間の距離D1を2等分するように配置され、下リーン回転軸A2Lは、第3接続部C3と第4接続部C4との間の距離D2を2等分するように配置される。
【0086】
上リーン回転軸A2H及び下リーン回転軸A2Lは、何れも、水平な前後方向に向けられている。言い換えれば、上リーン回転軸A2H及び下リーン回転軸A2Lは、何れも、車幅方向に垂直となっている。
【0087】
図3及び図7等に示すように、上リーン回転軸A2Hと下リーン回転軸A2Lとは互いに平行に設けられている。これにより、上リーンアーム7及び下リーンアーム8の回転に伴って、上リーンアーム7及び下リーンアーム8の端部が、同じ形状の軌跡を描いて移動する。従って、車体10の前後方向で見たときに、図6に示すように平行リンク機構が構成され、前輪11を安定して上下動させることができる。
【0088】
上リーンアーム7及び下リーンアーム8のそれぞれは、前後方向に離れた2箇所で支持されているので、上リーン回転軸A2H及び下リーン回転軸A2Lのブレを容易に低減でき、円滑なリーンを実現することができる。また、上リーンアーム7を前側で支持する第1上支点ボス75、及び、下リーンアーム8を前側で支持する第1下支点ボス85は、上先端アーム部24と下先端アーム部25とが連結部26によって互いに連結される場所の近傍に配置されている。従って、上リーンアーム7及び下リーンアーム8の支持部分の剛性を高めることができる。
【0089】
更に、上述のようにリンク機構の節点にピロボールジョイントが採用されているのとで、車体10の左右方向で見たときの前輪支持部材6における回転軸部材63の角度を変更することで、前輪旋回軸A1の傾斜角(即ちキャスター角)を容易に調整することができる。これにより、本実施形態の鞍乗り型車両1は、クルージング性又は低燃費のために直進性能を追求する場合、スポーツ性のために旋回性能を追求する場合の両方に容易に対応することができ、汎用性に優れている。
【0090】
続いて、本実施形態の鞍乗り型車両1の操舵に関する構成について説明する。
【0091】
本実施形態の鞍乗り型車両1の操舵機構4は、図2に示すように、上述のステアリングハンドル40のほか、ステアリングシャフト41と、連結部材42と、操舵連結ロッド(伝達ロッド)43と、旋回伝達部材(第1伝達部材)44と、操舵軸45と、操舵リンク機構46と、を備えている。
【0092】
ステアリングシャフト41は、上下成分を含む方向に延び、前低後高の傾斜状に設けられている。ステアリングシャフト41は、図示しないヘッドパイプを介して、車体フレーム15に支持されている。ステアリングシャフト41は、上端がステアリングハンドル40の中央部に固定され、下端が連結部材42に接続されている。ステアリングハンドル40及びステアリングシャフト41は、当該ステアリングシャフト41の中心である操作軸A3を中心として左右旋回可能である。
【0093】
連結部材42は、図2に示すように、左右方向に所定の幅を有するブロック状に形成されている。連結部材42は、ステアリングシャフト41から後下方に延びるように設けられている。連結部材42の上端部は、ステアリングシャフト41の下端に、水平方向の軸を中心として回転可能に支持されている。連結部材42の下端部は、操舵連結ロッド43に接続されている。
【0094】
操舵連結ロッド43は、左右1対で設けられている。以下の説明においては、左側に設けられた操舵連結ロッド43を左操舵連結ロッド43Lと呼び、右側に設けられた操舵連結ロッド43を右操舵連結ロッド43Rと呼ぶことがある。
【0095】
左操舵連結ロッド43L及び右操舵連結ロッド43Rは、前後方向に細長い棒状の部材として構成されている。左操舵連結ロッド43L及び右操舵連結ロッド43Rのそれぞれの後端は、ピロボールジョイント等を介して、連結部材42の下端部の左右に接続されている。左操舵連結ロッド43L及び右操舵連結ロッド43Rのそれぞれの前端は、ピロボールジョイント等を介して、フロント支持部材20の上部に配置された旋回伝達部材44の左右に接続されている。
【0096】
旋回伝達部材44は、板状の部材であり、上下方向で見たときにV字状に屈曲した形状となっている。しかし、これに限定せず、旋回伝達部材44がU字状等に形成されても良い。旋回伝達部材44は、フロント支持部材20の上部に配置されている。旋回伝達部材44が屈曲している部分は、後述の操舵軸45の上端に固定される。操舵軸45はフロント支持部材20に対して回転可能に支持されているので、旋回伝達部材44も操舵軸45と一体的に回転することができる。
【0097】
旋回伝達部材44は、操舵軸45が取り付けられる屈曲部分から左斜め前方及び右斜め前方に延びるように形成されている。旋回伝達部材44の2つの端部のそれぞれは、左操舵連結ロッド43L及び右操舵連結ロッド43Rの前端に対し、回転可能に連結されている。
【0098】
操舵軸45は、フロント支持部材20の上先端アーム部24に固定された軸ケース47を介して、フロント支持部材20に対して回転可能に支持されている。操舵軸45は、軸ケース47に差し込まれて配置されている。操舵軸45は、その軸(操舵旋回軸A4)を中心として回転可能である。
【0099】
操舵旋回軸A4は上下方向から傾斜するように向けられており、車体10の左右方向で見たとき、前側が低く、後側が高くなっている。
【0100】
操舵旋回軸A4は、図2等に示すように、左前輪旋回軸A1L及び右前輪旋回軸A1Rに対して平行に向けられている。更に言えば、鞍乗り型車両1の直進状態、かつ2つの前輪11の高低差が無い状態において、車体10の左右方向で図3のように見たときに、操舵旋回軸A4、左前輪旋回軸A1L、及び右前輪旋回軸A1Rが互いに重なっている。
【0101】
軸ケース47は、筒状部材から構成され、その軸が操舵旋回軸A4と一致するように配置されている。軸ケース47は、上先端アーム部24の中途部と交差するように固定されている。これにより、フロント支持ユニット2の前アーム部22を利用して軸ケース47(即ち操舵軸45)を支持することができ、構造の簡素化を図ることができる。
【0102】
軸ケース47は、上先端アーム部24において、第1上支点ボス75と第2上支点ボス76との間の位置に固定されている。即ち、軸ケース47及び操舵軸45は、上リーンアーム7に形成された中空部S3を通過するように延びている。操舵軸45の上端は、上リーン回転軸A2Hよりも上方に位置しており、操舵軸45の下端は、上リーン回転軸A2Hと下リーン回転軸A2Lとの間に位置する。これにより、2つの前輪11の間の空間を効率良く利用することができ、鞍乗り型車両1のコンパクト化を図ることができる。また、軸ケース47は、上先端アーム部24と下先端アーム部25とを連結する連結部26の後方に位置する。これにより、前アーム部22の剛性を確保しながら操舵軸45を旋回可能に支持することができる。
【0103】
操舵リンク機構46は、伝達アーム(第2伝達部材)48と、操舵ロッド49と、を備え、操舵軸45の回転を前輪11に伝達する。
【0104】
伝達アーム48は板状の部材であり、図5に示すように、上下方向で見たときにループ形状、具体的にはリング形状に構成されている。伝達アーム48の内部には、左右方向に広がった楕円状の中空部S5が形成されており、この中空部S5を連結部26が上下方向に通過している。伝達アーム48の後部は、図3等に示すように、操舵軸45の下端に固定されている。従って、伝達アーム48は、操舵軸45と一体的に回転する。伝達アーム48の前部は、第7接続部C7を介して、操舵ロッド49の中央に接続されている。
【0105】
操舵ロッド49は、細長い棒状部材から構成されており、左右のナックル部材50を互いに連結するように配置される。操舵ロッド49は、図6に示すように、車体10の前後方向で見たときに上リーンアーム7及び下リーンアーム8の間に配置されている。操舵ロッド49の左端は、第5接続部C5を介して、左ナックル部材50Lの押引き部52に連結されている。操舵ロッド49の右端は、第6接続部C6を介して、右ナックル部材50Rの押引き部52に連結されている。
【0106】
操舵ロッド49は、図2等に示すように、操舵軸45より前方に設けられている。また、操舵ロッド49は、伝達アーム48の中空部S5を通過する連結部26より前方に設けられている。これにより、操舵ロッド49がナックル部材50の比較的に前側に位置する部分を押し引きすることができ、前輪11を容易に旋回させることができる。
【0107】
以上の構成で、運転者がステアリングハンドル40を回転操作すると、ステアリングハンドル40にステアリングシャフト41を介して接続される連結部材42が操作軸A3を中心に回転するので、左右の操舵連結ロッド43のうち一方が前進し、他方が後退する。1対の操舵連結ロッド43の押し引きにより、旋回伝達部材44が操舵旋回軸A4を中心として回転するので、この旋回伝達部材44に操舵軸45を介して連結される伝達アーム48が回転する。
【0108】
伝達アーム48が回転するのに伴い、伝達アーム48の前端に連結された操舵ロッド49が左右方向に移動する。これにより、ナックル部材50の押引き部52が左右方向に押される(又は引っ張られる)ので、ナックル部材50及び前輪支持部材6が、前輪11とともに、左前輪旋回軸A1L又は右前輪旋回軸A1Rを中心として旋回する。以上により、運転者の操作に基づく操舵を実現することができる。
【0109】
第5接続部C5、第6接続部C6及び第7接続部C7は、例えばピロボールジョイントから構成される。これにより、鞍乗り型車両1がリーンするとき、操舵ロッド49は、前輪11に対して、図6及ぶ図7に示すように、斜めに位置することができる。
【0110】
また、図5において、第5接続部C5と第6接続部C6との間の距離D3は、第1接続部C1と第2接続部C2との間の距離D1と等しく、第3接続部C3と第4接続部C4との間の距離D2とも等しい(D3=D1=D2)。言い換えれば、第1接続部C1、第3接続部C3及び第5接続部C5の3点で定まる平面と、第2接続部C2、第4接続部C4及び第6接続部C6の3点で定まる平面とが、互いに平行となっている。これにより、鞍乗り型車両1がリーンした状態における旋回を容易に実現できる。
【0111】
1対の操舵連結ロッド43のそれぞれの前端は、旋回伝達部材44に対し、ピロボールジョイントによって連結されている。また、操舵連結ロッド43のそれぞれの後端は、連結部材42に対し、ピロボールジョイントによって連結されている。また、連結部材42は、ステアリングシャフト41の下端部に、水平な軸を中心として回転可能に連結されている。
【0112】
この結果、図3及び図4に示すようにフロント支持部材20が車体フレーム15に対して上下にスイングしても、それに応じて連結部材42及び操舵連結ロッド43が角度を変化させることができる。従って、ステアリングハンドル40と旋回伝達部材44の位置関係の変化を吸収しつつ、運転者がステアリングハンドル40に加えた操作を旋回伝達部材44に適切に伝達することができる。
【0113】
本実施形態では、車体フレーム15に対してフロント支持部材20自体を傾斜させるのではなく、フロント支持部材20に支持される左右の前輪11の高さを異ならせることで、車体10の傾斜を実現している。従って、リーンを実現するための機構の軽量化を実現することができる。
【0114】
また、操舵機構4において運転者の操舵操作を伝達する経路(旋回伝達部材44、操舵軸45、伝達アーム48、及び操舵リンク機構46等)が、上リーンアーム7及び下リーンアーム8を含むリーン機構と、機械的に明確に分離している。従って、操舵系の慣性モーメントを小さくできるので、良好な操作性を実現することができる。
【0115】
本実施形態の操舵機構4において、操舵ロッド49は前輪11の車軸より前方に位置する一方、前輪11を制動するブレーキキャリパー17は、前輪11の車軸18より後方に位置している。これにより、操舵ロッド49(及び、ナックル部材50の押引き部52)とブレーキキャリパー17とを前後で振り分けて配置することができ、スペースを効率的に利用することができる。
【0116】
本実施形態では、左右1対の操舵連結ロッド43は、図5のように上下方向で見たときに殆ど平行となっている。しかし、操舵連結ロッド43の連結部材42又は旋回伝達部材44に対する連結位置を左右方向で適宜変更して、後端側よりも前端側の方が操舵連結ロッド43同士の間隔が狭くなるように、又は広くなるように変更することもできる。例えば、図5の旋回伝達部材44において破線で示す位置に取付孔を予め形成しておき、操舵連結ロッド43の前端の連結位置を当該取付孔に変更することが考えられる。連結部材42側においても、取付孔を複数形成して、操舵連結ロッド43の後端の連結位置を選択可能とすることができる。これにより、運転者がステアリングハンドル40を旋回するときの操縦フィーリングを変更することができる。
【0117】
以上に説明したように、本実施形態の鞍乗り型車両1は、左前輪11Lと、右前輪11Rと、左前輪支持部材6Lと、右前輪支持部材6Rと、上リーンアーム7と、下リーンアーム8と、操舵軸45と、左ナックル部材50Lと、右ナックル部材50Rと、操舵ロッド49と、を備える。左前輪11Lは、回転可能である。右前輪11Rは、左前輪11Lとは車幅方向で反対側に配置され、回転可能である。左前輪支持部材6Lは、左前輪11Lを支持する。右前輪支持部材6Rは、右前輪11Rを支持する。上リーンアーム7は、その中央部が車体10に支持され、車幅方向の一側が第1接続部C1を介して左前輪支持部材6Lと接続され、反対側が第2接続部C2を介して右前輪支持部材6Rと接続される。上リーンアーム7は、車幅方向に垂直な軸(上リーン回転軸A2H)を中心として回転する。下リーンアーム8は、その中央部が上リーンアーム7の中央部とは異なる高さで車体10に支持され、車幅方向の一側が第3接続部C3を介して左前輪支持部材6Lと接続され、反対側が第4接続部C4を介して右前輪支持部材6Rと接続される。下リーンアーム8は、車幅方向に垂直な軸(下リーン回転軸A2L)を中心として回転する。操舵軸45は、操舵旋回軸A4を中心として左右旋回可能に車体10に支持される。左ナックル部材50Lは、第1接続部C1と第3接続部C3とを結ぶ左前輪旋回軸A1Lを中心として左右旋回可能であり、車幅方向に押し引きされることによって、左前輪旋回軸A1Lを中心として左前輪11Lを左右旋回させる。右ナックル部材50Rは、第2接続部C2と第4接続部C4とを結ぶ右前輪旋回軸A1Rを中心として左右旋回可能であり、車幅方向に押し引きされることによって、右前輪旋回軸A1Rを中心として右前輪11Rを左右旋回させる。操舵ロッド49は、操舵軸45の左右旋回に連動して左ナックル部材50L及び右ナックル部材50Rを車幅方向に押し引きする。操舵ロッド49は、操舵軸45の前方に配置される。車体10の正面視(図6)において、操舵ロッド49が、上リーンアーム7と下リーンアーム8の間に配置されている。
【0118】
これにより、フロントフォーク等の部材を介さずに操舵することができるので、車両の軽量化を実現することができる。
【0119】
また、本実施形態の鞍乗り型車両1は、フロント支持部材20を備える。フロント支持部材20は、車体10の前後方向に延びて形成され、前アーム部22が左前輪11Lと右前輪11Rとの間に位置する。前アーム部22は、上先端アーム部24及び下先端アーム部25と、連結部26と、を備える。上先端アーム部24及び下先端アーム部25は、上下に並べて設けられる。連結部26は、上先端アーム部24と下先端アーム部25とを連結する。操舵軸45は、連結部26より後方であって、上先端アーム部24に取り付けられている。
【0120】
これにより、フロント支持部材20を利用して操舵軸45を支持することができ、構造の簡素化を図ることができる。
【0121】
また、本実施形態の鞍乗り型車両1の操舵ロッド49は、連結部26の前方に設けられている。
【0122】
これにより、他の部材と干渉せず、操舵ロッド49を設けることができる。また、操舵ロッド49を相対的に前方に設けることで、操舵ロッド49が押し引きする力をナックル部材50に容易に伝えて、前輪11を旋回させることができる。
【0123】
また、本実施形態の鞍乗り型車両1の操舵軸45は、垂直成分を有する方向に延びるように設けられる。操舵軸45の上端には、ステアリングハンドル40の操作を伝達する旋回伝達部材44が固定される。操舵軸45の下端には、操舵軸45の回転を操舵ロッド49に伝達する伝達アーム48が固定される。
【0124】
これにより、ステアリングハンドル40に加えられた操作力を容易に操舵ロッド49に伝達することができる。また、相対的に高い位置に配置されたステアリングハンドル40からの操舵力を、操舵軸45の上側から入力し、下側から操舵ロッド49に出力することで、構成の簡素化を図ることができる。
【0125】
また、本実施形態の鞍乗り型車両1の上リーンアーム7は、下リーンアーム8よりも高い位置に配置される。上リーンアーム7は、平面視で四角形の中空部S3を有するように形成される。操舵軸45は、上リーンアーム7の中空部S3を通過するように配置されている。
【0126】
これにより、軽量で剛性が高い上リーンアーム7を実現することができる。また、2つの前輪11の間の空間を効率良く利用することができ、車両のコンパクト化を図ることができる。
【0127】
また、本実施形態の鞍乗り型車両1の鞍乗り型車両1において、上リーンアーム7は、前後方向に離れた2箇所で車体10に支持される。操舵軸45は、上リーンアーム7が車体10に支持される2箇所の間を通過する。
【0128】
これにより、上リーンアーム7を2箇所で安定して支持することができる。また、上リーンアーム7の周辺の空間を効率良く利用することができる。
【0129】
また、本実施形態の鞍乗り型車両1において、左前輪11Lを制動するブレーキキャリパー17が、当該左前輪11Lの車軸18の後方に設けられている。右前輪11Rを制動するブレーキキャリパー17が、当該右前輪11Rの車軸18の後方に設けられている。
【0130】
これにより、ブレーキキャリパー17が操舵ロッド49及びナックル部材50等に干渉しにくい構成とすることができる。
【0131】
また、本実施形態の鞍乗り型車両1は、連結部材42と、旋回伝達部材44と、操舵連結ロッド43と、を備える。連結部材42は、ステアリングハンドル40の回転と連動して回転する。旋回伝達部材44は、操舵軸45に固定される。操舵連結ロッド43は、連結部材42と旋回伝達部材44とを連結し、連結部材42の回転を操舵軸45に伝達する。操舵連結ロッド43は、連結部材42及び旋回伝達部材44のうち少なくとも何れかに対する連結箇所を変更可能に構成されている。
【0132】
これにより、ステアリング操作のフィーリングを容易に変更することができる。
【0133】
また、本実施形態の鞍乗り型車両1の車体10は、車体フレーム15と、フロント支持部材20と、上下動リンク機構21と、を備える。フロント支持部材20は、車体フレーム15の前方に配置される。上下動リンク機構21は、フロント支持部材20が車体フレーム15に対して相対的に上下動可能となるように、車体フレーム15とフロント支持部材20とを連結する。上下動リンク機構21は、車幅方向に対をなすように配置された2対のリンクアーム27L,27R,28L,28Rを備える。左前輪11L及び右前輪11Rからフロント支持部材20に伝達された振動を緩衝するサスペンションユニット30が、2対のリンクアーム27L,27R,28L,28Rの間を通過するように配置されている。
【0134】
これにより、リンクアーム27L,27R,28L,28Rの周辺の空間を効率的に利用することができ、車体の小型化を実現することができる。
【0135】
次に、第2実施形態を説明する。図10は、第2実施形態の鞍乗り型車両1xを示す部分斜視図である。なお、本実施形態の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0136】
図10に示す第2実施形態の鞍乗り型車両1xの操舵リンク機構46xは、左操舵ロッド(第1操舵ロッド)49Lと、右操舵ロッド(第2操舵ロッド)49Rと、伝達アーム(操舵アーム)48xと、を備えている。なお、図10には、左前輪11Lが省略された状態が描かれている。
【0137】
本実施形態において、上リーンアーム7及び下リーンアーム8は、平面視で菱形ではなく、略三角形状に形成されている。上リーンアーム7は、図示しない軸受を介して、上リーン回転軸A2Hを中心として回転可能に配置されている。下リーンアーム8は、図示しない軸受を介して、下リーン回転軸A2Lを中心として回転可能に配置されている。
【0138】
前輪支持部材6は、上下方向に細長い棒状の部材として構成されている。左前輪支持部材6Lの上端は第1接続部C1を介して上リーンアーム7に連結され、下端は第3接続部C3を介して下リーンアーム8に連結される。右前輪支持部材6Rの上端は第2接続部C2を介して上リーンアーム7に連結され、下端は第4接続部C4を介して下リーンアーム8に連結される。
【0139】
ナックル部材50は、前輪支持部材6の上下方向中途部に固定され、この固定箇所から前上方に延びる細長い棒状の部材として構成されている。左ナックル部材50L及び右ナックル部材50Rの何れも、その先端は、前輪支持部材6の上端よりも高くなっている。
【0140】
左ナックル部材50Lと右ナックル部材50Rとで、先端部分の高さが互いに異なっている。左ナックル部材50Lの先端には左操舵ロッド49Lが連結され、右ナックル部材50Rの先端には右操舵ロッド49Rが連結される。
【0141】
操舵軸45は円筒状に形成されており、フロント支持部材20から上方に突出した支軸に回転可能に支持されている。操舵軸45の外周面の前部に、伝達アーム48xが固定される。従って、伝達アーム48xは、操舵軸45と一体的に回転する。前述の第1実施形態の伝達アーム48と異なり、本実施形態の伝達アーム48xは、上リーンアーム7よりも上方に配置されている。
【0142】
この伝達アーム48xは、板状のアームとして形成されており、その厚みを左右方向に向けるように配置されている。伝達アーム48xの前端の下部には、左操舵ロッド49Lが連結され、前端の上部には、右操舵ロッド49Rが連結される。
【0143】
左操舵ロッド49Lは、左前輪11L側に設けられる。左操舵ロッド49Lの左端は、第5接続部C5を介して、左ナックル部材50Lの先端に連結されている。左操舵ロッド49Lのうち、左ナックル部材50Lと連結される側と反対側の端部は、第8接続部C8を介して、伝達アーム48xの前下部に連結される。
【0144】
右操舵ロッド49Rは、右前輪11R側に設けられる。右操舵ロッド49Rの右端は、第6接続部C6を介して、右ナックル部材50Rの先端に連結されている。右操舵ロッド49Rのうち、右ナックル部材50Rと連結される側と反対側の端部は、第9接続部C9を介して、伝達アーム48xの前上部に連結されている。
【0145】
第8接続部C8及び第9接続部C9は、例えばピロボールジョイントとして構成することができる。左操舵ロッド49Lと右操舵ロッド49Rは、互いに平行に配置されている。また、第8接続部C8と第9接続部C9とを結ぶ仮想直線L1を考えたとき、この仮想直線L1は、操舵旋回軸A4と平行となっている。
【0146】
本実施形態の鞍乗り型車両1xにおいても、第1接続部C1と第2接続部C2との間の距離と、第3接続部C3と第4接続部C4との間の距離と、が等しい。また、第5接続部C5と第8接続部C8との間の距離と、第6接続部C6と第9接続部C9との間の距離と、を加算した距離が、第1接続部C1と第2接続部C2との間の距離に等しい。
【0147】
この構成の鞍乗り型車両1xも、上述の第1実施形態の鞍乗り型車両1と同様に、リーン及び旋回を実現することができる。また、操舵のためのロッドを左右で2等分し、左操舵ロッド49Lと右操舵ロッド49Rとで高さを異ならせることができるので、操舵リンク機構46xにおけるレイアウトの柔軟性を高めることができる。
【0148】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0149】
上リーン回転軸A2H及び下リーン回転軸A2Lは、水平な前後方向ではなく、傾斜させた方向(前低後高又は前高後低)とすることもできる。この場合でも、上リーン回転軸A2H及び下リーン回転軸A2Lは、車幅方向と垂直に向けられる。
【0150】
第1接続部C1から第9接続部C9までの各接続部は、ピロボールジョイントに限定されず、他の形式の球面滑り軸受を用いることもできる。また、例えばラジアル軸受の組合せによって多自由度の接続部を構成しても良い。
【0151】
第1実施形態及び第2実施形態の構成を、後輪を2つ有する鞍乗り型車両における後輪のリーン/操舵機構に適用することもできる。この場合、フロント支持ユニット2ではなくリア支持ユニットにおいて、左右1対の後輪を支持する後輪支持構造に本発明が適用され、前述の説明と前後が逆転することになる(後端側が先端側となる)。
【符号の説明】
【0152】
1 鞍乗り型車両
6L 左前輪支持部材(第1操舵輪支持部材)
6R 右前輪支持部材(第2操舵輪支持部材)
7 上リーンアーム(第1リーンアーム)
8 下リーンアーム(第2リーンアーム)
10 車体
11L 左前輪(第1操舵輪)
11R 右前輪(第2操舵輪)
45 操舵軸
49 操舵ロッド
50L 左ナックル部材(第1ナックル部材)
50R 右ナックル部材(第2ナックル部材)
A1L 左前輪旋回軸(第1旋回軸)
A1R 右前輪旋回軸(第2旋回軸)
A4 操舵旋回軸
C1 第1接続部
C2 第2接続部
C3 第3接続部
C4 第4接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10