【解決手段】ビークルと地上システム間のデータ伝達方法で、ビークル上のビークルバスマルチプレクサによってデータを機上から複数のビークルデータバスを介して受信するステップを含む。またビークルバスマルチプレクサによってデータを多用途電力インタフェースの少なくとも1つのデータ経路に多重化するステップを含み、多用途電力インタフェースによって少なくとも1つのデータ経路を介してビークルバスマルチプレクサから関連付けられた地上バスマルチプレクサにデータ送信するステップを含み、地上バスマルチプレクサによって多用途電力インタフェースの少なくとも1つのデータ経路からのデータを複数の地上データバスに逆多重化するステップを含み、地上バスマルチプレクサによって複数の地上データバスを介し地上システムにデータ送信するステップを含む。
前記ビークルデータバス(820)の各々は、ARINCバス、CANバス、RSバス、光バス、またはイーサネット(登録商標)バスのうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載の方法。
前記地上データバス(720)の各々は、ARINCバス、CANバス、RSバス、光バス、またはイーサネット(登録商標)バスのうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載の方法。
前記多用途電力インタフェース(110)のコネクタ(150)上のピン(210a)の電力部分(280a)が、前記BPLデータ経路を備える、請求項4に記載の方法。
前記データ(1110a、1110b、1110c)は、航空機制御ドメインデータ、航空機情報システムデータ、または機内娯楽データのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
前記機上システムは、航空電子機器システム、航空機制御ドメインシステム、航空機情報システム、ビデオ監視システム、機内娯楽システム、またはミッションシステムのうちの1つである、請求項1に記載の方法。
前記ビークルデータバス(820)の各々は、ARINCバス、CANバス、RSバス、光バス、またはイーサネット(登録商標)バスのうちの少なくとも1つを備える、請求項13に記載のシステム。
前記地上データバス(720)の各々は、ARINCバス、CANバス、RSバス、光バス、またはイーサネット(登録商標)バスのうちの少なくとも1つを備える、請求項13に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本明細書に開示の方法および装置は、航空機および航空機の工場の自動化のための光データ、電力線データ、および地上電力の多用途インタフェースのための有効なシステムを提供する。1つ以上の実施形態において、本開示のシステムは、光データ経路(最適なデータ転送のために凹レンズまたは凸レンズを使用する)と、電力線ブロードバンド(BPL)データ経路と、三相交流(AC)電力の供給とをビークルに提供する多用途電力インタフェースを使用することによって、地上のビークルとの間で大量のデータを従来からの方法よりも高速なラスタレートで転送することを可能にする。本開示の多用途電力インタフェースは、ビークルと地上のデータネットワークとの間に複数のギガビット以上の通信リンクを提供する。
【0030】
さらに、本開示のシステムは、(試験システムからの別個のアナログ信号と共に)種々のビークルデータバスからの信号を本開示の多用途電力インタフェースのデータ経路(例えば、光データ経路およびBPLデータ経路)のための信号に多重化するために利用されるバスマルチプレクサも提供する。本開示のバスマルチプレクサは、多用途電力インタフェースのデータ経路からの信号を再びビークルデータバスからの信号(ならびに、試験システムからの別個のアナログ信号)に逆多重化するためにも利用される。
【0031】
すでに述べたように、ビークル(例えば、航空機)に搭載されて動作するシステムは、大量のデータを生成および受信する可能性がある。航空電子機器、ビデオ監視システム、機内娯楽システム、および軍用の航空機における軍用電子機器ミッションシステムなど、現在および将来の航空機システムは、いずれも、地上における乗客および機器の乗せ下ろしの際にデータを航空機に移動させ、あるいは航空機から移動させるために太いデータパイプを必要とする。これらの航空機システムに関して、何ギガバイトものデータを移動させなければならない。既存の無線の機外通信ソリューションにおける現状のデータパイプ帯域幅容量は、このデータ量を妥当な時間枠内に航空機に移動させ、あるいは航空機から移動させることが、不可能である。これらの大量のデータキャッシュを航空機に移動させ、あるいは航空機から移動させるために、数時間または数日が必要である。
【0032】
現在では、データは、スニーカーネット(すなわち、例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブまたはハードドライブによって電子データを物理的に保持して人力で届ける)とデータを無線で転送するために航空機に現状において設置されている無線機(例えば、GateLinkまたはセルラーモデム)との組み合わせを使用することによって、地上の航空機に運ばれ、地上の航空機から運ばれている。しかしながら、これらの従来からのデータ転送方法は、どちらも低速である。さらに、無線機を利用したデータ転送は、各々の無線データリンクに使用料が生じ、コスト高になる可能性があるため、地上においては推奨されない。
【0033】
例えば、現状において、航空会社が事件後に監視システムの映像および音声を航空機から移動させる必要がある場合、8〜16ギガバイト(GB)のデータを移動させなければならず、既存の無線ネットワークを使用し、さらには/あるいは航空機に搭載されたネットワーク記憶装置を取り外して交換することによってデータを「少しずつロード(trickle-load)」するために、数日から数週間を要する可能性がある。さらに、機内娯楽システムに新しいコンテンツを再導入する必要がある場合、約32GBのデータを事務管理部門においてサーバにロードした後に、サーバを現時点において航空機に搭載されているサーバと交換しなければならない。また、軍用ミッションシステムの場合、データ転送は、古い記憶装置を取り外し、新しい装置と交換することによって行われなければならない。3つの場合のいずれにおいても、既存の無線の機外通信ソリューションにおける現状のデータパイプ帯域幅容量は、このデータ量を妥当な時間枠内に航空機に移動させ、あるいは航空機から移動させることが、不可能である。これらの大量のデータキャッシュを航空機に移動させ、あるいは航空機から移動させるために、現状の機外システムを使用すると、数時間、数日、または数週間が必要である。
【0034】
本開示のシステムは、複数の光ファイバ(例えば、1〜10ギガバイト(Gb))データリンク(凹レンズまたは凸レンズを利用する)および複数の電力線ブロードバンド(BPL)データリンクを従来からの三相交流(AC)電力インタフェース(スティンガー(Stinger)ケーブルと呼ばれる)に組み込むことにより、地上のビークルとの間で効率的かつ迅速にデータを転送するための高帯域幅のソリューションを提供する多用途電力インタフェースを形成する。本開示の多用途電力インタフェースは、400ヘルツ(Hz)の航空機電力インフラストラクチャを利用する民間および軍用の空港において利用可能である。さらに、有線の400Hz電力インフラストラクチャが利用可能でない場合、本開示の多用途電力インタフェースは、航空機のエンジンがオフである間にオペレータが可搬の自給式地上電源カートを利用して航空機にAC電力を供給する地方の飛行場または軍用飛行場において利用可能である。どちらのソリューションにおいても、地上でのデータの機外通信のために、航空機の機上の1つのインタフェースと、1つのゲートボックスBPL/光データリンクソリューション(構成)だけが必要である。
【0035】
本開示のシステムは、すべての飛行場のために単一のソリューションを提供することによって航空機のオペレータのコストを削減し、サポートすべき飛行場での作業のために単一のソリューションを提供することによって各々の地方の飛行場または軍用飛行場のコストを削減する。航空機の地上電力インタフェース(例えば、スティンガーケーブル)接続口の付近の航空機胴体は貴重である。光ファイバリンクを電力インタフェース(例えば、スティンガーケーブル)の電力ピンに直接統合することによって、新たな直接結合の光リンクが生み出され、したがって航空機の構造への影響を最小限または皆無にしつつ迅速かつ容易に航空機内に設置することができる装置が得られる。このように、この実装の容易さが、本開示のシステムの導入に対する障壁を低減し、既存の空港インフラストラクチャへの本開示のシステムの世界的な採用において重要であると考えられる。
【0036】
一般に、本開示の多用途電力インタフェースは、ビークル自体に追加のインタフェース/コネクタを必要とすることなく、ビークルの機上システムへの電力の供給、およびそのようなシステムとの通信を容易にする。より具体的には、航空機に搭載された既存の電力コネクタを、本明細書に記載の電力供給および通信に利用することができる。したがって、航空機の機上システムと地上システムとの間の物理的接続の利点を、ビークルに別の物理的コネクタを追加することに関係する追加のコストおよび複雑さを伴うことなく、達成することができる。例えば、地上整備員は、現在のシステムを利用する際に航空機と地上システムとの間の余分な接続を行う必要がない。
【0037】
さらに、本開示のシステムが、工場自動化、航空機機能試験、および航空機システム試験を、工場フロアの試験システムから航空機のドアおよびハッチを通って航空機の内部の機上システムに延びる多数の太い機能試験用の緊密なケーブルを本開示の多用途電力インタフェースで置き換えることによって可能にすることに、注意すべきである。複数の光データ経路と複数のBPLデータ経路と備える本開示の多用途電力インタフェースの1つ以上は、工場自動化および機能試験に必要なすべての試験信号を多重化するのに必要な容量およびスループットを提供し、したがって試験に必要な求められるインタフェースを大幅に簡単化する。加えて、本開示のシステムは、多用途電力インタフェースの各々の端部にバスマルチプレクサ(例えば、地上バスマルチプレクサおよびビークルバスマルチプレクサ)を使用する。これらのバスマルチプレクサは、多数の航空機データバス(例えば、ARINC-429バス、CANバス、RS-485バス、光バス、およびイーサネット(登録商標)バス)からの信号および試験システムからの別個のアナログ信号を、本開示の多用途電力インタフェースのデータ経路(例えば、光データ経路およびBPLデータ経路)のための信号に多重化する。さらに、バスマルチプレクサは、多用途電力インタフェースのデータ経路からの信号を再びビークルデータバスからの信号および試験システムからの別個のアナログ信号に逆多重化する。
【0038】
本明細書に記載のシステムおよび方法は、航空機の文脈において説明されることがある。しかしながら、そのようなシステムおよび方法は、飛行機に関連した実施だけに限定されず、任意のビークル(例えば、空中のビークル、宇宙のビークル、陸上のビークル、および海のビークル)に関連して使用することが可能である。本明細書において使用されるとき、ビークルという用語は、航空機、自動車、船舶、タンク、トラック、および機関車など、移動可能な任意の物体を指す。本明細書において使用されるとき、航空機という用語は、飛行機、ヘリコプタ、ミサイル、および飛行可能な任意の物体を指す。さらに、「データ」という用語は、あらゆる形態の情報を広く指す。さらに、一態様において、本明細書に記載のシステムおよび方法は、航空機がゲートに到着したときに航空機と地上システムとの間の通信を容易にする。
【0039】
さらに、本開示のシステムおよび方法を、既知の電力および通信システムおよび方法との組み合わせにおいて修正および利用できることに留意されたい。例えば、一部の通信を依然として電力線通信を介して行うことができ、無線通信も使用できると考えられる。複数の通信態様において、1つの態様(例えば、電力線通信)を、他の態様のうちの1つが稼働できない場合に、フェイルオーバーモードとして使用することができる。さらに、異なる態様を、例えば商用ドメインデータおよび軍用ドメインデータなどの異なる通信用ドメインの生成を容易にするために使用することができる。一例として、無線ドメインを商用ドメインとして使用することができ、光ファイバドメイン(例えば、光データ経路)を軍用ドメインとして使用することができ、電力ドメイン(例えば、BPLデータ経路)を機内娯楽ドメインとして使用することができる。当然ながら、多数の代案が可能である。
【0040】
以下の説明においては、本システムのより完全な説明を提供するために、多くの詳細が述べられる。しかしながら、本開示のシステムを、これらの特定の詳細を備えなくても実施できることは、当業者にとって明らかであろう。他の場合において、周知の特徴は、システムを不必要に不明瞭にすることがないよう、詳細には説明されていない。
【0041】
本開示の実施形態が、本明細書において、機能的および/または論理的な構成要素、ならびに種々の処理ステップに関して説明されるかもしれない。そのような構成要素を、指定の機能を実行するように構成された任意のいくつかのハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェア構成要素によって実現できることを、理解すべきである。例えば、本開示の一実施形態は、1つ以上のプロセッサ、マイクロプロセッサ、または他の制御デバイスの制御下で種々の機能を実行することができる種々の集積回路構成要素(例えば、メモリ素子、デジタル信号処理素子、論理素子、ルックアップテーブル、など)を使用することができる。さらに、当業者であれば、本開示の実施形態を他の構成要素と組み合わせて実施することができ、本明細書に記載のシステムが本開示の単なる一例の実施形態にすぎないことを、理解できるであろう。
【0042】
簡潔さのために、ビークル用のデータ通信システムに関する従来からの技術および構成要素、ならびにシステム(および、システムの個々の動作構成要素)の他の機能的側面は、本明細書において詳細には説明されないかもしれない。さらに、本明細書に含まれる種々の図に示される接続線は、種々の要素間の典型的な機能的関係および/または物理的結合を表すように意図されている。本開示の一実施形態において、多数の代替または追加の機能的関係または物理的接続が存在し得ることに、注意すべきである。
【0043】
図1は、本開示の少なくとも1つの実施形態による典型的なビークル120および典型的な地上システム130に接続された本開示の多用途電力インタフェース110を示す
図100である。この図において、ビークル120は航空機である。しかしながら、他の実施形態において、本開示のシステムのビークル120について、これらに限られるわけではないが空中のビークル(例えば、飛行機、航空機、およびヘリコプタ)、宇宙のビークル(例えば、スペースプレーンおよび衛星)、陸上のビークル(例えば、戦車、トラック、および機関車)、ならびに海のビークル(例えば、船舶およびボート)など、さまざまな異なる種類のビークルを使用できることに、注意すべきである。
【0044】
この図において、ビークル(すなわち、飛行機)120は、地上整備員にとってアクセス可能であるようにビークル120の本体(例えば、胴体)の外面に取り付けられたコネクタ140を含む。コネクタ140は、複数のソケット(例えば、
図3のソケット320を参照)を備える。
【0045】
多用途電力インタフェース110の一端160は、コネクタ150(
図2を参照)を含む。コネクタ150は、複数のピン(例えば、
図2の210a、210b、210c、220、230a、230bを参照)を備える。多用途電力インタフェース110の他端170は、地上システム130に接続されている。地上システム130は、
図1においては地上電源カートとして概略的に示されているが、地上システム130の構成要素が、例えば搭乗橋システムなどの飛行機のゲートに位置する他の物理的構成要素に統合されてもよいことに、注意すべきである。
【0046】
ビークル120が地上にあるとき、地上整備員は、コネクタ150がコネクタ140に電気的かつ通信可能に結合するように、多用途電力インタフェース110のコネクタ150をビークル120のコネクタ140に接続する。
【0047】
以下でさらに詳しく説明されるように、多用途電力インタフェース110は、光学部分(例えば、光ファイバまたは光ファイバケーブル)および電力部分(例えば、導電性材料)の両方を備える。コネクタ140および150も、光学部分(例えば、光ファイバまたは光ファイバケーブル)および電力部分(例えば、導電性材料)を備える。動作時に、データが、コネクタ140、150および多用途電力インタフェース110を介して、ビークル120上の少なくとも1つの機上システム(図示せず)と地上システム130の構成要素との間でやり取りされる。さらに、電力が、コネクタ140、150および多用途電力インタフェース110を介して、地上システム130からビークル120上の少なくとも1つの機上システム(図示せず)に供給される。
【0048】
1つ以上の実施形態において、本開示のシステムの機上システムは、これらに限られるわけではないが航空電子機器システム、航空機制御ドメインシステム、航空機情報システム、ビデオ監視システム、機内娯楽システム、および/またはミッションシステムなど、さまざまな異なる種類のシステムであってよい。少なくとも1つの実施形態において、データは、航空機制御ドメインデータ(例えば、航空電子機器データ、飛行管理コンピュータデータ)、航空機情報システムデータ(例えば、気象データ、航空機状態データ、温度データ、風データ、滑走路位置データ、下降データのためのフライトレベル)、または機内娯楽データ(例えば、映画データ、音楽データ、ゲームデータ)のうちの少なくとも1つを含む。
【0049】
他の実施形態において、ビークル120が
図1に示されるとおりのコネクタ140を2つ以上備えてもよいことに、注意すべきである。これらの実施形態においては、別々の多用途電力インタフェース110が、ビークル120上のコネクタ140にそれぞれ接続される。さらに、これらの実施形態において、多用途電力インタフェース110を2つ以上の地上システム130に接続することができる。
【0050】
図2が、本開示の少なくとも1つの実施形態による本開示の多用途電力インタフェース110のコネクタ150の典型的ピンインタフェースを示す
図200である。コネクタ150は、ビークル120のコネクタ140(
図1を参照)に取り付けられる(例えば、嵌合する)。コネクタ150は、絶縁ベース260とベース260の周囲を延伸する側壁270とを有するハウジング250を備える。
【0051】
図2に示されるように、6つのピン210a、210b、210c、220、230a、230bが、コネクタ150のベース260から延伸している。各々のピン210a、210b、210c、220、230a、230bは、(金属などの導電性材料を含む外側導電性部分である)電力部分280a、280b、280c、280d、280e、280fと、(少なくとも1つの光ファイバまたは光ファイバケーブルを備える)光学部分240a、240b、240c、240d、240e、240fとを含む。各々のピン210a、210b、210c、220、230a、230bの光学部分240a、240b、240c、240d、240e、240fは、ピン210a、210b、210c、220、230a、230bの電力部分280a、280b、280c、280d、280e、280fの内側を延び、電力部分280a、280b、280c、280d、280e、280fの端部と同じところまで延伸している(例えば、同一平面上にある)。
【0052】
1つ以上の実施形態において、ピン210a、210b、210cの電力部分280a、280b、280cは、ビークル120に三相交流(AC)電力を供給する(すなわち、3つのピン210a、210b、210cの各々が異なる正弦波位相を有する)。ピン220は、中性ピンであり、接地として動作する。ピン230a、230bは、コネクタ150のピン210a、210b、210c、220がビークル120のコネクタ140のソケット(例えば、
図3のソケット320を参照)内に正しく据え付けられる(例えば、嵌合する)ことを保証するために使用されるインタロックピンである。したがって、動作時に、コネクタ150がビークル120のコネクタ140に完全に据え付けられる前に多用途電力インタフェース110への給電が生じることがないように、インタロックピン230a、230bは、ピン210a、210b、210c、220、230a、230bがコネクタ150のソケット(例えば、
図3のソケット320を参照)内に完全に据え付けられるまでは、地上システム130による多用途電力インタフェース110およびビークル120への電力供給を可能にしない。インタロックピン230a、230bは、コネクタ150のより長いピン210a、210b、210c、220がビークル120のコネクタ140のソケットに完全に据え付けられることを保証するために、長さがより短い。インタロックピン230a、230bによって提供されるこの保護機能は、アークフラッシュの軽減を提供し(例えば、コネクタ150における航空機120へのアーク放電を防止し)、地上整備員に安全を提供する(例えば、給電中の緩んだ多用途電力インタフェース110に触れることによる地上整備員の感電を防止する)。
【0053】
コネクタ150は、ビークル120上の少なくとも1つの機上システム(図示せず)に電気的に接続され、より詳細には、各々のピン210a、210b、210c、220、230a、230bが、少なくとも1つのそのような機上システムに接続され、電力部分280a、280b、280c、280d、280e、280fを介して電力を供給する。さらに、各々のピン210a、210b、210c、220、230a、230bは、少なくとも1つのそのような機上システムに、電力部分(例えば、電力線ブロードバンド(BPL))280a、280b、280c、280d、280e、280fを介する通信(例えば、データの転送)、および/または光学部分(例えば、光ファイバまたは光ファイバケーブルによる光通信)240a、240b、240c、240d、240e、240fを介する通信を可能にするように接続される。
【0054】
コネクタ150の具体的な構成は、関係する特定のビークル120および機上システムに応じて、幅広くさまざまであってよい。
図2に示したコネクタ150は、ほんの一例のコネクタにすぎない。例えば、ピン210a、210b、210c、220、230a、230bのサイズおよび数は、さまざまであってよい。ピン210a、210b、210c、220、230a、230bの具体的配置も、さまざまであってよい。さらに、コネクタ150について選択される材料は、ビークル120が稼働する特定の環境に依存し得る。
【0055】
図3は、本開示の少なくとも1つの実施形態による、ビークル120上のコネクタ140のソケット320と嵌合するように配置された本開示の多用途電力インタフェース110のコネクタ150の典型的なピン210aを示す
図300であり、この典型的なピン210aは、凸レンズ350を備えている。この図には、ビークル120上のコネクタ140に取り付けられる第1のコネクタ150が示されている。多用途電力インタフェース110のコネクタ150は、光ファイバ/電気移行ブロックと呼ばれることもあるハウジング250を含み、ただ1つのピン210aを有するものとして概略的に示されている。
【0056】
ピン210aは、一方の端部にねじ山310を備える。ピン210aは、コネクタ150の内側に形成されたねじ山(図示せず)にピン210aのねじ山310をねじ込むことによってコネクタ150に取り付けられる。したがって、ピン210aは、コネクタ150から取り外し可能である。
【0057】
ピン210aは、電力部分280aと、電力部分280aの内側に延伸し、電力部分280aの端部と同じところまで延伸している光学部分240aとを備える。光学部分240aは、光ファイバケーブル330を備える。あるいは、光学部分240aは、1つ以上の光ファイバを備えることができる。さらに、各々の光ファイバは、シングルモードファイバであっても、マルチモードファイバであってもよい。光ファイバケーブル314は、光学部分240aから光−イーサネット(登録商標)インタフェース316まで延伸し、イーサネット(登録商標)ケーブル318が、光−イーサネット(登録商標)インタフェース316から延伸する。光ファイバケーブル314、光−イーサネット(登録商標)インタフェース316、およびイーサネット(登録商標)ケーブル318はすべて、地上システム130に接続された多用途電力インタフェース110内に収容されている。イーサネット(登録商標)ケーブル318は、データを受信および/または提供する地上システム130内のシステムに接続される。地上システム130によって提供されたデータを、イーサネット(登録商標)ケーブル318および光ファイバケーブル314を介して光学部分240aに伝えることができる。
【0058】
凸レンズ(すなわち、レンズから外側に膨らんでいる)350が、光ファイバケーブル330の端部に取り付けられている。凸レンズ350は、ピン210aの光学部分240aから放射される光信号のビーム351を広げる(または、拡大する)。凸レンズ350は、屈折によってビーム351を分散させることによってビーム351を広げる。凸レンズ350は、単一の透明な材料片を備える単レンズ、または(通常は共通の軸線に沿って配置された)いくつかの単レンズを備える複合レンズであってよい。凸レンズ350を、これらに限られるわけではないがガラス、プラスチック、および/または石英などの種々さまざまな種類の材料から製造することができる。材料は研削および研磨され、あるいは凸状に成形される。ビーム351の広がりは、多用途電力インタフェース110のコネクタ150のピン210aについて、ビークル120上のコネクタ140のソケット320との嵌合における寛容さ(例えば、曲がっており、あるいは完全に嵌合していない)を可能にする。
【0059】
ビークル120の一部を形成する第2のコネクタ140が図示されている。コネクタ140は、光ファイバ/電気移行ブロックと呼ばれることもあるハウジング360を含み、1つのソケット320を有するものとして概略的に示されている。ソケット320は、電力部分370と、電力部分370の底部390に位置する光学部分380とを含む。
【0060】
光ファイバケーブル395が、光学部分380から光−イーサネット(登録商標)インタフェース397まで延伸し、イーサネット(登録商標)ケーブル398が、光−イーサネット(登録商標)インタフェース397から延伸する。光ファイバケーブル395、光−イーサネット(登録商標)インタフェース397、およびイーサネット(登録商標)ケーブル398は、ビークル120に搭載されている(例えば、すべてがビークル120内に収容されている)。イーサネット(登録商標)ケーブル398は、ビークル120上の機上システムに接続され、そのようなシステムによって生成されたデータを、イーサネット(登録商標)ケーブル398および光ファイバケーブル395を介して光学部分380に伝えることができる。コネクタ140は、ビークル120上の機上システム(図示せず)に電気的に接続され、より詳細には、ソケット320が、電力部分370を介して電力を供給するとともに、光学部分380および/または電力部分370を介した通信を可能にするために、少なくとも1つのそのような機上システムに接続されている。
【0061】
より具体的には、動作に先立ち、ピン210aがソケット320内に配置され、ピン210aが締まり嵌めによってソケット320内に固定される。例えば、地上整備員が、コネクタ150をコネクタ140に接続することができる。ソケット320に供給される電力は、ピン210aの導電性部分280aを通ってソケット320の電力部分370に伝えられ、ビークル120上の機上システムに伝えられる。
【0062】
データは、機上システムから、イーサネット(登録商標)ケーブル398、インタフェース397、および光ファイバケーブル395を介して、光ファイバケーブル330として示されている光学部分380に伝えられる。光リンクが、光学部分380と光学部分240aとの間に確立される。データは、そのようなリンクを横切り、多用途電力インタフェース110を介して地上システム130に伝送される。例えば、機上システムは、ビークル120に搭載されたいくつかのモニタを使用して先進の航空電子機器データ、機内娯楽システムデータ、ケータリングシステムデータ、乗客システムデータ、および/またはエンジン監視データなどのデータを収集し、データを光リンクを介して地上システム130に伝送することができる。
【0063】
さらに、データは、機上システムからソケット320の電力部分370を介してピン210aの電力部分280aに伝えられる。電力部分370と電力部分280aとの間に電力線ブロードバンド(BPL)リンクが確立される。データは、そのようなリンクを横切り、多用途電力インタフェース110を介して地上システム130に伝送される。したがって、機上システムは、ビークル120に搭載されたいくつかのモニタを使用して先進の航空電子機器データ、機内娯楽システムデータ、ケータリングシステムデータ、乗客システムデータ、および/またはエンジン監視データなどのデータを収集し、データをBPLリンクを介して地上システム130に伝送することができる。
【0064】
当然ながら、システムの多数の変形が可能かつ想定される。例えば、コネクタ150のピン210a、210b、210c、220、230a、230bおよびコネクタ140のソケット320の構成および数は、さまざまであってよい。さらに、機上システムおよび地上システム構成要素によって利用されるデータ通信の伝送モードおよびフォーマットは、システムごとおよび構成要素ごとにさまざまであってよい。そのようなフォーマットおよび伝送モードに適応するようにシステムを変更することが可能である。
【0065】
図4Aは、本開示の少なくとも1つの実施形態による、ビークル120上のコネクタ140のソケット320と嵌合するように配置された本開示の多用途電力インタフェース110のコネクタ150の典型的なピン210aを示す詳細
図400であり、この典型的なピン210aは、凸レンズ350を備えている。ピン210aは、外側の電力部分280aと、電力部分280aの内側に延伸し、電力部分280aの端部356と同じところまで延伸している光学部分240aとを含む。ピン210aは、ハウジング250におけるピン210aの固定を容易にするためのねじ山310をさらに含む。
【0066】
図4Aに示されるように、ピン210aは中空であり、これは、少なくとも1本の光ファイバまたは光ファイバケーブルであってよい光学部分240aのピン210a内への固定を容易にする。さらに、ねじ山310は、ピン210aがコネクタ150内に容易かつ簡単に固定されるように、多用途電力インタフェース110のコネクタ150の開口部内のねじ山と噛み合うように構成される。ピン210aが損傷または磨耗した場合に、コネクタ150を多用途電力インタフェース110から取り外す必要なく、ピン210aを交換し、あるいは取り外して修理することができる。
【0067】
また、
図4Aに示されるように、ビークル120のコネクタ140は、電力部分370と光学部分380とを有するソケット320を備える。ソケット320の底部390は、凸レンズ350と形状が相補的であるように凹状である。
【0068】
図4Bは、本開示の少なくとも1つの実施形態による、ビークル120上のコネクタ140のソケット320に嵌合した本開示の多用途電力インタフェース110のコネクタの典型的なピン210aを示す詳細
図450であり、この典型的なピン210aは、凸レンズ350を備えている。この図において、ピン210aは、ピン210aの端部に位置する凸レンズ350がソケット320の底部390の内面と嵌合するよう、ソケット320内に配置されるように示されている。動作時に、ピン210aがソケット320と嵌合した後に、地上システム130は、ピン210aの電力部分280aおよびソケット320の電力部分370を介して、ビークル120上の少なくとも1つの機上システムに電力を供給する。さらに、ピン210aがソケット320と嵌合した後に、データが、ピン210aの光学部分240aおよびソケット320の光学部分380を介し、さらには/あるいはピン210aの電力部分280aおよびソケット320の電力部分370を介して、ビークル120の機上システムと地上システム130との間で伝達(すなわち、やり取り)される。
【0069】
図5Aは、本開示の少なくとも1つの実施形態による、ビークル120上のコネクタ540のソケット520と嵌合するように配置された本開示の多用途電力インタフェース110のコネクタ150の典型的なピン510aを示す詳細
図500であり、この典型的なピン510aは、凹レンズ550を備えている。この図において、
図5Aのピン510aは、
図5Aのピン510aが凹レンズ550を備える一方で、
図4Aのピン210aは凸レンズ350を備えることを除き、
図4Aのピン210aと同様である。加えて、
図5Aのコネクタ540は、
図5Aのコネクタ540のソケット520の底部590が凸状である一方で、
図4Aのコネクタ140のソケット320の底部390が凹状であることを除き、
図4Aのコネクタ140と同様である。ソケット520の底部590は、凹レンズ550と形状が相補的であるように凸状である。
【0070】
凹レンズ(すなわち、レンズ内にくぼんでいる)550が、光ファイバケーブル530の端部に取り付けられている。凹レンズ550は、ピン510aの光学部分540aから放射される光信号のビーム551を広げる(または、拡大する)。凹レンズ550は、屈折によってビーム551を分散させることによってビーム551を広げる。凹レンズ550は、単一の透明な材料片を備える単レンズ、または(通常は共通の軸線に沿って配置された)いくつかの単レンズを備える複合レンズであってよい。凹レンズ550を、これらに限られるわけではないがガラス、プラスチック、および/または石英などの種々さまざまな種類の材料から製造することができる。材料は研削および研磨され、あるいは凸状に成形される。ビーム551の広がりは、多用途電力インタフェース110のコネクタ150のピン510aについて、ビークル120上のコネクタ540のソケット520との嵌合における寛容さ(例えば、曲がっており、あるいは完全に嵌合していない)を可能にする。
【0071】
図5Bは、本開示の少なくとも1つの実施形態によるビークル120上のコネクタ540のソケット520と嵌合した本開示の多用途電力インタフェース110のコネクタ540の典型的なピン510aを示す詳細
図560であり、この典型的なピン510aは、凹レンズ550を備えている。この図において、ピン510aは、ピン510aの端部に位置する凹レンズ550がソケット520の底部590の内面と嵌合するよう、ソケット520内に配置されるように示されている。動作時に、ピン510aがソケット520と嵌合した後に、地上システム130は、ピン510aの電力部分580aおよびソケット520の電力部分570を介して、ビークル120上の少なくとも1つの機上システムに電力を供給する。さらに、ピン510aがソケット520と嵌合した後に、データが、ピン510aの光学部分540aおよびソケット520の光学部分581を介し、さらには/あるいはピン510aの電力部分580aおよびソケット520の電力部分570を介して、ビークル120の機上システムと地上システム130との間で伝達(すなわち、やり取り)される。
【0072】
図6は、本開示の少なくとも1つの実施形態によるビークルと地上システムとの間でデータを伝達するための本開示の方法600を示すフローチャートである。方法600の開始610において、地上システムに接続された多用途電力インタフェースのコネクタのピンが、ビークルのコネクタのソケットに、ピンの端部に位置するレンズがソケットの底部の内面と嵌合するように配置される(620)。次いで、地上システムは、ピンおよびソケットの電力部分を介してビークルの機上システムに電力を供給する(630)。また、データの少なくとも一部が、ピンおよびソケットの光学部分を介して、機上システムと地上システムとの間で伝達される(640)。さらに、データの少なくとも一部が、ピンおよびソケットの電力部分を介して、機上システムと地上システムとの間で伝達される(650)。その後に、方法600は終了する(660)。
【0073】
図7は、本開示の少なくとも1つの実施形態による地上の典型的なビークル120および地上バスマルチプレクサ710に接続された本開示の多用途電力インタフェース110を示す
図700である。多用途電力インタフェース110を、バスマルチプレクサ(例えば、地上システム130に組み合わせられた地上バスマルチプレクサ710、およびビークル120上に配置(例えば、ビークル120内に収容)されたビークルバスマルチプレクサ(
図7には示されておらず、
図8の810を参照))を利用してバスリピータシステムを完成させることによって、工場自動化、機能試験、システム試験、および/またはデータ転送のために使用することができる。多用途電力インタフェース110を介して互いに接続されたバスマルチプレクサ(例えば、地上バスマルチプレクサ710およびビークルバスマルチプレクサ810)は、ビークル120の機上システム上に位置する複数のバス(720、
図8の820を参照)および地上システム130上の複数のバス720とインタフェースする。さらに、1つ以上の実施形態において、バスマルチプレクサ(例えば、地上バスマルチプレクサ710およびビークルバスマルチプレクサ810)は、複数のバス720、820からデータを受け取り、受け取ったデータの少なくとも一部をイーサネット(登録商標)パケットとして符号化する。イーサネット(登録商標)パケットは、変調され、多用途電力インタフェース110を介して送信される。バスマルチプレクサ(例えば、地上バスマルチプレクサ710およびビークルバスマルチプレクサ810)と多用途電力インタフェース110(光データ経路およびBPLデータ経路を備える)との組み合わせは、完全な機能試験インタフェース装備を可能にすることにより、システム複雑性を低減する。バスマルチプレクサを介してルーティングされるイーサネット(登録商標)通信は、イーサネット(登録商標)スイッチによる通信のルーティングと同様に取り扱われる。
【0074】
図7において、地上バスマルチプレクサ710は、多用途電力インタフェース110および地上システム130(工場自動化ラック、機能試験ラック、システム試験ラック、試験設備、および/または地上電源カートであってよい)に接続されるように示されている。複数のデータバス720が、地上システム130および地上バスマルチプレクサ710に接続されている。1つ以上の実施形態において、データバス720および/または地上バスマルチプレクサ710は、地上システム130内に収容されている。
【0075】
1つ以上の実施形態においては、本開示のシステムの動作時に、地上バスマルチプレクサが、データバス720からデータを受信し、データバス720からのデータを多用途電力インタフェース110の少なくとも1つのデータ経路(例えば、少なくとも1つの光学部分240aにおける少なくとも1つの光データ経路および/または少なくとも1つの電力部分280aにおける少なくとも1つのBPLデータ経路)に多重化する。次いで、データは、地上バスマルチプレクサ710から航空機120に多用途電力インタフェース110を介して送信される。次いで、航空機120の内部に位置するビークルバスマルチプレクサ(
図7には示されておらず、
図8の810を参照)が、多用途電力インタフェース110のデータ経路からのデータを、ビークル120上の少なくとも1つの機上システムに接続されたデータバス(
図8の820を参照)に逆多重化し、データをデータバス(
図8の820を参照)を介してビークル120上の機上システムに送信する。1つ以上の実施形態において、機上システムは、航空電子機器システム、航空機制御ドメインシステム、航空機情報システム、ビデオ監視システム、機内娯楽システム、および/またはミッションシステムである。
【0076】
さらに、1つ以上の実施形態においては、動作時に、ビークルバスマルチプレクサ810が、ビークル120上の少なくとも1つの機上システムに接続されたデータバス(
図8の820を参照)からデータを受信し、データバス(
図8の820を参照)からのデータを多用途電力インタフェース110の少なくとも1つのデータ経路(例えば、少なくとも1つの光学部分240aにおける少なくとも1つの光データ経路および/または少なくとも1つの電力部分280aにおける少なくとも1つのBPLデータ経路)に多重化する。次いで、データは、ビークルバスマルチプレクサ810から地上バスマルチプレクサ710に多用途電力インタフェース110を介して送信される。次いで、地上バスマルチプレクサ710は、多用途電力インタフェース110のデータ経路からのデータをデータバス720に逆多重化し、データをデータバス720を介して地上システム130に送信する。
【0077】
図8は、本開示の少なくとも1つの実施形態による地上の地上バスマルチプレクサ710およびビークル120上のビークルバスマルチプレクサ810に接続された本開示の多用途電力インタフェース110を示す
図800である。この図において、多用途電力インタフェース110は、地上バスマルチプレクサ710およびビークルバスマルチプレクサ810に接続されるように示されている。また、地上バスマルチプレクサ710には複数のデータバス720が接続される。1つ以上の実施形態において、地上バスマルチプレクサ710に接続されるデータバス720について、これらに限られるわけではないがAeronautical Radio, Incorporated(ARINC)バス(例えば、ARIN-429)、コントローラエリアネットワーク(CAN)バス、推奨規格(RS)バス(例えば、RS-485またはRS-232)、光バス、および/またはイーサネット(登録商標)バスなど、さまざまな異なる種類のデータバスを使用することができる。さらに、複数のデータバス820がビークルバスマルチプレクサ810に接続される。1つ以上の実施形態において、ビークルバスマルチプレクサ810に接続されるデータバス820について、これらに限られるわけではないがAeronautical Radio, Incorporated(ARINC)バス(例えば、ARIN-429)、コントローラエリアネットワーク(CAN)バス、推奨規格(RS)バス(例えば、RS-485またはRS-232)、光バス、および/またはイーサネット(登録商標)バスなど、さまざまな異なる種類のデータバスを使用することができる。データバス720に使用されるデータバスの種類のうちの少なくとも1つが、データバス820に使用されるデータバスの種類のうちの少なくとも1つと異なってもよいことに、留意されたい。
【0078】
図9Aおよび
図9Bは、本開示の少なくとも1つの実施形態によるバスマルチプレクサ(例えば、地上バスマルチプレクサ710およびビークルバスマルチプレクサ810)を利用してビークルと地上システムとの間でデータを伝達するための本開示の方法900を示すフローチャートである。方法900の開始905において、ビークル上のビークルバスマルチプレクサが、ビークル上の機上システムから複数のビークルデータバスを介してデータを受信する(910)。次に、ビークルバスマルチプレクサは、データを多用途電力インタフェースの少なくとも1つのデータ経路に多重化する(915)。次いで、多用途電力インタフェースは、少なくとも1つのデータ経路を介して、ビークルバスマルチプレクサから地上システムに関連付けられた地上バスマルチプレクサにデータを送信する(920)。次に、地上バスマルチプレクサは、多用途電力インタフェースの少なくとも1つのデータ経路からのデータを、地上システムに関連付けられた複数の地上データバスに逆多重化する(925)。地上バスマルチプレクサは、複数の地上データバスを介して地上システムにデータを送信する(930)。
【0079】
また、地上システムに関連付けられた地上バスマルチプレクサは、地上システムに関連付けられた複数の地上データバスを介してデータを受信する(935)。次いで、地上バスマルチプレクサは、データを多用途電力インタフェースの少なくとも1つのデータ経路に多重化する(940)。次に、多用途電力インタフェースは、少なくとも1つのデータ経路を介して、地上バスマルチプレクサからのデータをビークル上のビークルバスマルチプレクサに送信する(945)。次いで、ビークルバスマルチプレクサは、多用途電力インタフェースの少なくとも1つのデータ経路からのデータをビークル上の複数のビークルデータバスに逆多重化する(950)。次に、ビークルバスマルチプレクサは、データを複数のビークルデータバスを介してビークル上の機上システムに送信する(955)。その後に、方法900は終了する(960)。
【0080】
図10は、本開示の少なくとも1つの実施形態に従って本開示の多用途電力インタフェース110を介するビークル(例えば、航空機)120から地上システム130へのデータの転送のための接続を確立させるための本開示の方法1000を示すフローチャートである。本開示のシステムの動作の際に、ひとたび地上整備員が多用途電力インタフェース110のコネクタ150をビークル120のコネクタ140に接続すると、少なくとも1つのプロセッサ(例えば、ビークル120の少なくとも1つの機上システムに位置する少なくとも1つのプロセッサ)は、プロセッサが少なくとも1つの機上システムに対して多用途電力インタフェース110を介するビークル120から地上システム130へのデータ転送を命令する前に、地上システム130を認証しなければならない。
【0081】
ビークル(例えば、航空機)120から地上システム130へのデータ転送のための接続を確立させるためのこの方法1000の開始時に、少なくとも1つのプロセッサは、以下の判定(すなわち、1010、1020、1030、1040、および/または1050)のうちの少なくとも1つを検証することによって地上システム130を認証する。第1の判定に関して、プロセッサは、多用途電力インタフェース110が提供する電圧がほぼ予想される電圧であるかどうか(例えば、電圧が115+/-5ボルトの交流(Vac)であるかどうか)を判断する(1010)。プロセッサが、多用途電力インタフェース110が提供する電圧がほぼ予想される電圧ではないと判断した場合、プロセッサは、データリンクを確立させるための地上システム130とのハンドシェイクのシーケンスを終了させる(1060)。
【0082】
一方で、プロセッサが、多用途電力インタフェース110が提供する電圧がほぼ予想される電圧であると判断した場合、プロセッサは、多用途電力インタフェース110が提供する電力(例えば、三相交流(AC)電力)からの位相の隔たりがほぼ予想される位相の隔たり(例えば、約120度)であるかどうかを判断する(1020)。プロセッサが、多用途電力インタフェース110が提供する電力からの位相の隔たりがほぼ予想される位相の隔たりではないと判断した場合、プロセッサは、データリンクを確立させるための地上システム130とのハンドシェイクのシーケンスを終了させる(1060)。
【0083】
一方で、プロセッサが、多用途電力インタフェース110が提供する電力からの位相の隔たりがほぼ予想される位相の隔たりであると判断した場合、プロセッサは、多用途電力インタフェース110が提供する電流(例えば、アンペア数)がほぼ予想される電流である(例えば、アンペア数が負荷プロファイルに関して正常範囲内である)かどうかを判断する(1030)。プロセッサが、多用途電力インタフェース110が提供する電流(例えば、アンペア数)がほぼ予想される電流ではないと判断した場合、プロセッサは、データリンクを確立させるための地上システム130とのハンドシェイクのシーケンスを終了させる(1060)。
【0084】
一方で、プロセッサが、多用途電力インタフェース110が提供する電流がほぼ予想される電流であると判断した場合、プロセッサは、多用途電力インタフェース110が提供する電力線ブロードバンド(BPL)リンクが健全であるかどうかを判断する(例えば、BPLリンクは、予想されるデータレートの範囲内で動作している場合に、健全であると判断される)(1040)。しかしながら、プロセッサが、多用途電力インタフェース110が提供するBPLリンクが健全ではないと判断した場合、プロセッサは、データリンクを確立させるための地上システム130とのハンドシェイクのシーケンスを終了させる(1060)。
【0085】
一方で、プロセッサが、多用途電力インタフェース110が提供するBPLリンクが健全であると判断した場合、プロセッサは、多用途電力インタフェース110が提供する光リンク(すなわち、ファイバリンク)が健全であるかどうかを判断する(例えば、光リンクは、予想されるデータレートの範囲内で動作している場合に、健全であると判断される)(1050)。しかしながら、プロセッサが、多用途電力インタフェース110が提供する光リンクが健全ではないと判断した場合、プロセッサは、データリンクを確立させるための地上システム130とのハンドシェイクのシーケンスを終了させる(1060)。
【0086】
一方で、プロセッサが、多用途電力インタフェース110が提供する光リンクが健全であると判断した場合、プロセッサは、ビークル120上の少なくとも1つの機上システムに対して、データを多用途電力インタフェース110を介してビークル120から地上システム130に転送する(すなわち、移動させる)ための命令(例えば、少なくとも1つのウェイクアップ命令信号)を送信する。機上システムが命令を受信した後に、機上システムは、地上システム130へのデータの転送を開始する。
【0087】
図11は、本開示の少なくとも1つの実施形態に従って本開示の多用途電力インタフェース110の異なる部分(例えば、光学部分240a、240b、240c、240d、240e、240f、および電力部分280a、280b、280c、280d、280e、280f)に割り当てることができるビークル120のためのさまざまな異なる種類のデータ1110a、1110b、1110cを示す概略
図1100である。特に、本開示のシステムにおいて、データは、多用途電力インタフェース110の少なくとも1つのピン210a(位相1)、210b(位相2)、210c(位相3)、220(中性)、230a(プログラムピン1)、230b(プログラムピン2)の少なくとも1つの光学部分240a、240b、240c、240d、240e、240f、および/または少なくとも1つのピン210a(位相1)、210b(位相2)、210c(位相3)、220(中性)、230a(プログラムピン1)、230b(プログラムピン2)の少なくとも1つの電力部分280a、280b、280c、280d、280e、280fに区分される。1つ以上の実施形態において、区分されたデータは、航空機制御ドメインデータ1110a(例えば、航空電子機器データ、飛行管理コンピュータデータ)、航空機情報システムデータ1110b(例えば、気象データ、航空機状態データ、温度データ、風データ、滑走路位置データ、下降データのためのフライトレベル)、または機内娯楽データ1110c(例えば、映画データ、音楽データ、ゲームデータ)を含むことができる。少なくとも1つの実施形態においては、どのようにデータが多用途電力インタフェース110のピン210a(位相1)、210b(位相2)、210c(位相3)、220(中性)、230a(プログラムピン1)、230b(プログラムピン2)の光学部分240a、240b、240c、240d、240e、240f、および/またはピン210a(位相1)、210b(位相2)、210c(位相3)、220(中性)、230a(プログラムピン1)、230b(プログラムピン2)の電力部分280a、280b、280c、280d、280e、280fに具体的に区分されるかを、航空機120上の(例えば、少なくとも1つの機上システムの)少なくとも1つのプロセッサと地上システム130の少なくとも1つのプロセッサとの間でネゴシエートすることができる。
【0088】
さらに、本開示は、以下の条項による実施形態を含む。
【0089】
条項1.ビークル(120)と地上システム(130)との間でデータ(1110a、1110b、1110c)を伝達するための方法であって、
前記ビークル(120)上のビークルバスマルチプレクサ(810)によって、前記データ(1110a、1110b、1110c)を、前記ビークル(120)上の機上システムから複数のビークルデータバス(820)を介して受信するステップと、
前記ビークルバスマルチプレクサ(810)によって、前記データ(1110a、1110b、1110c)を、多用途電力インタフェース(110)の少なくとも1つのデータ経路に多重化するステップと、
前記多用途電力インタフェース(110)によって、前記少なくとも1つのデータ経路を介して、前記データ(1110a、1110b、1110c)を前記ビークルバスマルチプレクサ(810)から前記地上システム(130)に関連付けられた地上バスマルチプレクサ(710)に送信するステップと、
前記地上バスマルチプレクサ(710)によって、前記多用途電力インタフェース(110)の前記少なくとも1つのデータ経路からの前記データを、前記地上システム(130)に関連付けられた複数の地上データバス(720)に逆多重化するステップと、
前記地上バスマルチプレクサ(710)によって、前記データを前記複数の地上データバス(720)を介して前記地上システム(130)に送信するステップと
を含む方法。
【0090】
条項2.前記ビークルデータバス(820)の各々は、ARINCバス、CANバス、RSバス、光バス、またはイーサネット(登録商標)バスのうちの少なくとも1つを備える、条項1に記載の方法。
【0091】
条項3.前記地上データバス(720)の各々は、ARINCバス、CANバス、RSバス、光バス、またはイーサネット(登録商標)バスのうちの少なくとも1つを備える、条項1に記載の方法。
【0092】
条項4.前記少なくとも1つのデータ経路は、光データ経路または電力線ブロードバンド(BPL)データ経路のうちの少なくとも1つを備える、条項1に記載の方法。
【0093】
条項5.前記多用途電力インタフェース(110)のコネクタ(150)上のピン(210a)の光学部分(240a)が、前記光データ経路を備える、条項4に記載の方法。
【0094】
条項6.前記多用途電力インタフェース(110)のコネクタ(150)上のピン(210a)の電力部分(280a)が、前記BPLデータ経路を備える、条項4に記載の方法。
【0095】
条項7.前記ビークルバスマルチプレクサ(810)は、前記ビークル(120)内に収容されている、条項1に記載の方法。
【0096】
条項8.前記地上バスマルチプレクサ(710)は、前記地上システム(130)内に収容されている、条項1に記載の方法。
【0097】
条項9.前記データ(1110a、1110b、1110c)は、航空機制御ドメインデータ、航空機情報システムデータ、または機内娯楽データのうちの少なくとも1つを含む、条項1に記載の方法。
【0098】
条項10.前記機上システムは、航空電子機器システム、航空機制御ドメインシステム、航空機情報システム、ビデオ監視システム、機内娯楽システム、またはミッションシステムのうちの1つである、条項1に記載の方法。
【0099】
条項11.前記地上システム(130)は、地上電源カートまたは試験設備のうちの1つである、条項1に記載の方法。
【0100】
条項12.地上システム(130)とビークル(120)との間でデータ(1110a、1110b、1110c)を伝達するための方法であって、
前記地上システム(130)に関連付けられた地上バスマルチプレクサ(710)によって、前記データ(1110a、1110b、1110c)を、前記地上システム(130)に関連付けられた複数の地上データバス(720)を介して受信するステップと、
前記地上バスマルチプレクサ(710)によって、前記データ(1110a、1110b、1110c)を、多用途電力インタフェース(110)の少なくとも1つのデータ経路に多重化するステップと、
前記多用途電力インタフェース(110)によって、前記少なくとも1つのデータ経路を介して、前記データ(1110a、1110b、1110c)を前記地上バスマルチプレクサ(710)から前記ビークル(120)上のビークルバスマルチプレクサ(810)に送信するステップと、
前記ビークルバスマルチプレクサ(810)によって、前記多用途電力インタフェース(110)の前記少なくとも1つのデータ経路からの前記データ(1110a、1110b、1110c)を、前記ビークル(120)上の複数のビークルデータバス(820)に逆多重化するステップと、
前記ビークルバスマルチプレクサ(810)によって、前記データ(1110a、1110b、1110c)を前記複数のビークルデータバス(820)を介して前記ビークル(120)上の機上システムに送信するステップと
を含む方法。
【0101】
条項13.ビークル(120)と地上システム(130)との間でデータ(1110a、1110b、1110c)を伝達するためのシステムであって、
前記データ(1110a、1110b、1110c)を前記ビークル(120)上の機上システムから複数のビークルデータバス(820)を介して受信し、前記データ(1110a、1110b、1110c)を多用途電力インタフェース(110)の少なくとも1つのデータ経路に多重化する前記ビークル(120)上のビークルバスマルチプレクサ(810)と、
前記データ(1110a、1110b、1110c)を前記少なくとも1つのデータ経路を介して前記ビークルバスマルチプレクサ(810)から前記地上システム(130)に関連付けられた地上バスマルチプレクサ(710)に送信する前記多用途電力インタフェース(110)と、
前記多用途電力インタフェース(110)の前記少なくとも1つのデータ経路からの前記データ(1110a、1110b、1110c)を前記地上システム(130)に関連付けられた複数の地上データバス(720)に逆多重化し、前記データ(1110a、1110b、1110c)を前記複数の地上データバス(720)を介して前記地上システム(130)に送信する前記地上バスマルチプレクサ(710)と
を備えるシステム。
【0102】
条項14.前記ビークルデータバス(820)の各々は、ARINCバス、CANバス、RSバス、光バス、またはイーサネット(登録商標)バスのうちの少なくとも1つを備える、条項13に記載のシステム。
【0103】
条項15.前記地上データバス(720)の各々は、ARINCバス、CANバス、RSバス、光バス、またはイーサネット(登録商標)バスのうちの少なくとも1つを備える、条項13に記載のシステム。
【0104】
条項16.前記少なくとも1つのデータ経路は、光データ経路または電力線ブロードバンド(BPL)データ経路のうちの少なくとも1つを備える、条項13に記載のシステム。
【0105】
条項17.前記多用途電力インタフェース(110)のコネクタ(150)上のピン(210a)の光学部分(240a)が、前記光データ経路を備える、条項16に記載のシステム。
【0106】
条項18.前記多用途電力インタフェース(110)のコネクタ(150)上のピン(210a)の電力部分(280a)が、前記BPLデータ経路を備える、条項16に記載のシステム。
【0107】
条項19.前記ビークルバスマルチプレクサ(810)は、前記ビークル(120)内に収容されている、条項13に記載のシステム。
【0108】
条項20.ビークル(120)から地上システム(130)に多用途電力インタフェース(110)を介してデータ(1110a、1110b、1110c)を転送するための接続を確立させるための方法であって、
前記ビークル(120)上の少なくとも1つのプロセッサによって、
前記多用途電力インタフェース(110)が提供する電圧がほぼ予想される電圧であること、
前記多用途電力インタフェース(110)が提供する電力からの位相の隔たりがほぼ予想される位相の隔たりであること、
前記多用途電力インタフェース(110)が提供する電流がほぼ予想される電流であること、
前記多用途電力インタフェース(110)が提供する電力線ブロードバンド(BPL)リンクが健全であること、および
前記多用途電力インタフェース(110)が提供する光リンクが健全であること
のうちの少なくとも1つを検証することによって、前記地上システム(130)を認証するステップと、
前記少なくとも1つのプロセッサが前記地上システム(130)を認証した場合に、前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記ビークル(120)上の少なくとも1つの機上システムに対して、前記多用途電力インタフェース(110)を介して前記地上システム(130)に前記データ(1110a、1110b、1110c)を転送するための少なくとも1つの命令を送信するステップと
を含む方法。
【0109】
特定の実施形態を示して説明したが、以上の検討が、これらの実施形態の範囲を限定しようとするものではないことを、理解されたい。本発明の多数の態様の実施形態および変形を、本明細書において開示および説明してきたが、そのような開示は、あくまでも説明および例示の目的で提示されているにすぎない。したがって、特許請求の範囲の技術的範囲から外れることなく、さまざまな変更および修正を行うことが可能である。
【0110】
上述の方法が、特定の順序で生じる特定の事象を示している場合に、本開示の利点を有する当業者であれば、そのような順序が変更可能であり、そのような変更が本開示のいくつかの変形に合致していることを、理解できるであろう。さらに、方法の一部を、可能であれば並行処理にて同時に実行しても、順次に実行してもよい。さらに、方法のより多くの部分またはより少ない部分を実行してもよい。
【0111】
したがって、実施形態は、特許請求の範囲の技術的範囲に包含され得る代替物、改変物、および等価物を例示するように意図されている。
【0112】
説明に役立つ特定の実施形態および方法を本明細書において開示したが、そのような実施形態および方法の変形および改変を、開示された技術の真の思想および範囲から逸脱することなく行うことができることが、以上の開示から当業者にとって明らかであろう。開示された技術について、細部の問題においてのみ互いに相違する多数の他の例が存在する。したがって、開示された技術を、添付の特許請求の範囲ならびに適用法の規則および原則によって要求される範囲を超えて限定してはならない。