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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-214440(P2019-214440A)
(43)【公開日】2019年12月19日
(54)【発明の名称】エレベータ用ロープの接続方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/06 20060101AFI20191122BHJP
   B66B 7/00 20060101ALI20191122BHJP
   D07B 9/00 20060101ALI20191122BHJP
【FI】
   B66B7/06 Z
   B66B7/00 K
   D07B9/00
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-111408(P2018-111408)
(22)【出願日】2018年6月11日
(11)【特許番号】特許第6567734号(P6567734)
(45)【特許公報発行日】2019年8月28日
(71)【出願人】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 麻衣
【テーマコード(参考)】
3B153
3F305
【Fターム(参考)】
3B153AA10
3B153CC52
3B153EE22
3B153EE26
3B153EE27
3B153FF04
3B153GG25
3F305BB02
3F305BC12
3F305DA11
3F305DA15
(57)【要約】
【課題】エレベータ用のロープの接続に要する時間を短縮する。
【解決手段】実施形態に係るエレベータ用ロープの接続方法は、第1のロープ及び第2のロープそれぞれから、複数のストランドを引き出す工程と、第1のロープから引き出されたストランドごとに、相互により合されてストランドを構成する複数の素線の先端部が密着するように、複数の素線の先端部同士を固定する工程と、第2のロープから引き出されたストランドごとに、相互により合されてストランドを構成する複数の素線の先端部が密着するように、複数の素線の先端部同士を固定する工程と、第1のロープのストランドと第2のロープのストランドとを編み込んで、第1のロープと第2のロープとを接続する工程と、を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
より合された複数のストランドから形成されたロープを交換する際に、既存の第1のロープと新規な第2のロープとを接続するためのロープの接続方法であって、
前記第1のロープ及び前記第2のロープそれぞれから、複数の前記ストランドを引き出す工程と、
前記第1のロープから引き出された前記ストランドごとに、相互により合されて前記ストランドを構成する複数の素線の先端部が密着するように、複数の前記素線の先端部同士を固定する工程と、
前記第2のロープから引き出された前記ストランドごとに、相互により合されて前記ストランドを構成する複数の前記素線の先端部が密着するように、複数の前記素線の先端部同士を固定する工程と、
前記第1のロープの前記ストランドと前記第2のロープの前記ストランドとを編み込んで、前記第1のロープと前記第2のロープとを接続する工程と、
を含むエレベータ用ロープの接続方法。
【請求項2】
前記第1のロープから1本の前記ストランドを引き出すごとに、引き出された前記ストランドを構成する複数の前記素線の先端部が密着するように、複数の前記素線の先端部同士を固定する工程と、
前記第2のロープから1本の前記ストランドを引き出すごとに、引き出された前記ストランドを構成する複数の前記素線の先端部が密着するように、複数の前記素線の先端部同士を固定する工程と、
を含む請求項1に記載のエレベータ用ロープの接続方法。
【請求項3】
前記第1のロープから引き出された前記ストランドごとに、前記ストランドの先端部を熱収縮チューブで覆い、前記熱収縮チューブを加熱することにより、前記ストランドを構成する複数の前記素線の先端部が密着するように、複数の前記素線の先端部同士を固定する工程と、
前記第2のロープから引き出された前記ストランドごとに、前記ストランドの先端部を熱収縮チューブで覆い、前記熱収縮チューブを加熱することにより、前記ストランドを構成する複数の前記素線の先端部が密着するように、複数の前記素線の先端部同士を固定する工程と、
を含む請求項1または2に記載のエレベータ用ロープの接続方法。
【請求項4】
前記第1のロープから引き出された前記ストランドごとに、前記ストランドの先端部をゴムキャップで覆い、前記ストランドを構成する複数の前記素線の先端部が密着するように、複数の前記素線の先端部同士を固定する工程と、
前記第2のロープから引き出された前記ストランドごとに、前記ストランドの先端部をゴムキャップで覆い、前記ストランドを構成する複数の前記素線の先端部が密着するように、複数の前記素線の先端部同士を固定する工程と、
を含む請求項1または2に記載のエレベータ用ロープの接続方法。
【請求項5】
前記第1のロープから引き出された前記ストランドごとに、前記ストランドを構成する複数の前記素線の先端部が密着するように、複数の前記素線の先端部同士を樹脂で固定する工程と、
前記第2のロープから引き出された前記ストランドごとに、前記ストランドを構成する複数の前記素線の先端部が密着するように、複数の前記素線の先端部同士を樹脂で固定する工程と、
を含む請求項1または2に記載のエレベータ用ロープの接続方法。
【請求項6】
前記第1のロープから引き出された前記ストランドごとに、前記ストランドを構成する複数の前記素線の先端部が密着するように、複数の前記素線の先端部同士を溶接により固定する工程と、
前記第2のロープから引き出された前記ストランドごとに、前記ストランドを構成する複数の前記素線の先端部が密着するように、複数の前記素線の先端部同士を溶接により固定する工程と、
を含む請求項1または2に記載のエレベータ用ロープの接続方法。
【請求項7】
前記第1のロープおよび前記第2のロープが樹脂で被覆されている場合、前記第1のロープおよび前記第2のロープを被覆している前記樹脂を除去する工程を含み、
前記除去する工程において、
前記第1のロープおよび前記第2のロープの先端部に指定された長さの前記樹脂を残し、前記第1のロープおよび前記第2のロープの先端部から反対方向に指定された長さの樹脂を除去する、
請求項1から6の何れか一項に記載のエレベータ用ロープの接続方法。
【請求項8】
前記指定された長さが、前記ストランドの直径の長さの10倍から30倍である、
請求項7に記載のエレベータ用ロープの接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ用ロープの接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの乗りかごとつり合い錘とを接続しているロープが損傷したときや、定期のメンテナンス時には、ロープを交換する必要がある。一般的に、エレベータに使用されるロープを交換する際には、架設されている旧ロープに新しいロープを接続し、ロープの架設経路に沿って旧ロープを巻き取ることにより、旧ロープを回収するとともに新ロープを架設する。
【0003】
新旧ロープを接続する方法として、新旧ロープを形成するストランド同士を編み込むことにより、新旧ロープを接続する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4-327483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ロープを形成するストランドは、より合わされた複数の素線から形成されている。ストランドを編み込む際に、ストランドを形成する素線がばらばらになることがある。この状態でストランドを編み込むと、ばらばらになった素線のいくつかが編み込まれたストランドからはみ出した状態になる。いくつかの素線がストランドからはみ出した状態でロープの交換を行うと、はみ出した素線がロープの架設経路に絡むことがある。これを防止するために、ばらばらになった素線をより合わせて、ストランドを編み込む必要がある。素線の1本1本は細くて固いので、素線を編み込む際に指に刺さる恐れがある。したがって、ばらばらになった素線をより合わせながらストランドを編み込んで新旧ロープを接続する作業には多くの時間を要していた。
【0006】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、エレベータ用のロープの接続に要する時間を短縮することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係るエレベータ用ロープの接続方法は、より合された複数のストランドから形成されたロープを交換する際に、既存の第1のロープと新規な第2のロープとを接続するためのロープの接続方法である。実施形態に係るエレベータ用ロープの接続方法は、第1のロープ及び第2のロープそれぞれから、複数のストランドを引き出す工程と、第1のロープから引き出されたストランドごとに、相互により合されてストランドを構成する複数の素線の先端部が密着するように、複数の素線の先端部同士を固定する工程と、第2のロープから引き出されたストランドごとに、相互により合されてストランドを構成する複数の素線の先端部が密着するように、複数の素線の先端部同士を固定する工程と、第1のロープのストランドと第2のロープのストランドとを編み込んで、第1のロープと第2のロープとを接続する工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係るエレベータ用のロープの交換作業について説明するための図である。
図2】エレベータ用のロープの構成について説明するための図である。
図3A】ストランドの構成について説明するための図である。
図3B】ストランドの構成について説明するための図である。
図4】一実施形態に係るエレベータ用のロープの接続方法について説明するためのフローチャートである。
図5】一実施形態に係るエレベータ用のロープの接続方法について説明するための図である。
図6】一実施形態に係るエレベータ用のロープの接続方法について説明するための図である。
図7】一実施形態に係るエレベータ用のロープの接続方法について説明するための図である。
図8】一実施形態に係るエレベータ用のロープの接続方法について説明するための図である。
図9】一実施形態に係るエレベータ用のロープの接続方法について説明するための図である。
図10】一実施形態に係るエレベータ用のロープの接続方法について説明するための図である。
図11】一実施形態に係るエレベータ用のロープの接続方法について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態1)
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
先ず、図1によりエレベータ装置100の全体構成を説明する。図1に示されるように、エレベータ装置100は、昇降路壁102に囲まれた昇降路101内に配置された乗りかご2およびつり合い錘3を備える。昇降路101の上方には、乗りかご2を昇降させる既存のロープ4(第1のロープ)もしくは新規なロープ5(第2のロープ)を駆動する巻上機1及び制御装置9等が設置された機械室103が設けられている。制御装置9は、エレベータ装置100の全体を制御するもので、乗り場呼び又はかご呼びに応じて巻上機1を運転制御し、乗りかご2を呼びのあった階へ着床させる。エレベータ装置100では、建屋の各階の床104に設けられた乗り場に、昇降路101内の乗りかご2に通じる出入り口105が設けられている。
【0011】
次に、エレベータ用のロープの交換作業の概略について図1を参照して説明する。既存のロープ4は、巻上機1を介してエレベータの乗りかご2とつり合い錘3とを接続している。ロープ4は、例えば、損傷もしくは老朽化した交換対象のロープである。ロープ4を交換する際、任意の階の出入り口105に新規なロープ5が巻かれた新ロープドラム6とロープ4を巻き取る旧ロープドラム8を用意する。乗りかご2の上面を新ロープドラム6を用意した階の床面と同じ位置になるように停止させ、ロープ4を乗りかご2及びつり合い錘3から切り離す。ロープ4の一端を旧ロープドラム8に接続し、他端を新ロープドラム6に巻かれたロープ5に接続する。旧ロープドラム8にロープ4を巻き取ることにより、ロープ4があった位置にロープ5が架設される。ロープ5に乗りかご2とつり合い錘3を接続して、ロープの交換を終える。
【0012】
次に、ロープ4,5の構成について説明する。図2に、ロープ4,5の断面図を示す。図2に示されるように、ロープ4,5は、心網12、ストランド15、被覆11から形成されている。図2に示す例では、ロープ4,5は、8本のストランド15から形成されている。図3A及び図3Bに、ストランド15の断面図を示す。ストランド15は、より合わされた複数の素線16から形成されている。素線16は、炭素鋼等の固い素材で形成されている。素線16の太さ及び本数は限定されない。図3A及び図3Bに示す例では、ストランド15は、19本の素線16から形成されている。図2に示されるように、被覆11は、複数のストランド15の周囲を被覆している。被覆11は、例えばビニール等の樹脂で形成されている。被覆11は、より合わされたストランド15及び素線16がばらばらになることを防止している。図2に示すL1は、ロープ4,5の直径である。また、L2は、ストランド15の直径である。
【0013】
次に、ロープ4とロープ5との接続方法について図4を参照しながら説明する。最初に、ロープ4とロープ5の被覆11を除去する(ステップS11)。このとき、図5に示されるように、ロープ4,5の先端部に指定された長さで被覆11aを残す。具体的には、残す被覆11aの長さをL3とした場合、L3がストランド15の直径L2の10倍から30倍程度になるように被覆11aを残す。L3は、例えば、20mm〜60mm程度である。
【0014】
被覆11aを残さないと、より合わされたストランド15及び素線16がばらばらになってしまい、後述する作業が困難になる場合がある。L3を短くし過ぎると、残した被覆11aから目的とするストランド15を引き出す際、他のストランド15も一緒に引き出されてしまうこともある。L3を長くし過ぎると、残した被覆11aから目的とするストランド15を引き出すことが困難になる。経験上、L3をL2の10倍から30倍程度の長さにすると作業効率を向上することができた。
【0015】
除去する被覆11の長さL4は、例えば、30cm〜70cmである。L4を長くするほど、ロープ4,5の接続強度を高くすることができる。一方、L4を長くするほど、作業時間は長くなる。したがって、ロープ4,5の接続部に加わる荷重に応じてL4の長さを決める。
【0016】
次に、ロープ4,5それぞれから、複数のストランドを引き出す(ステップS12)。具体的には、より合わされた複数のストランド15の中の1本を残された被覆11aから引き出す。ストランド15が偶数番目に引き出されたストランド15である場合(ステップS13:Yes)、引き出されたストランド15を切断する(ステップS14)。具体的には、図6に示す被覆11を除去した位置11bで引き出されたストランド15を切断する。一方、ストランド15が奇数番目に引き出されたストランド15である場合(ステップS13:No)、ステップS15の処理に移行する。
【0017】
引き出されたストランド15は被覆11aに覆われていないので、ストランド15の先端部を処理しない場合、図6に示されるように、ストランド15を形成する素線16がばらばらになることがある。これを防止するために、ロープ4から引き出されたストランド15ごとに、相互により合されてストランド15を構成する複数の素線16の先端部が密着するように、複数の素線16の先端部同士を固定する。次に、ロープ5から引き出されたストランド15ごとに、相互により合されてストランド15を構成する複数の素線16の先端部が密着するように、複数の素線16の先端部同士を固定する。(ステップS15)。具体的には、図7に示されるように、ロープ4から引き出されたストランド15ごとに、ストランド15の先端部を熱収縮チューブ40で覆い、熱収縮チューブ40を加熱することにより、ストランド15を構成する複数の素線16の先端部が密着するように、複数の素線16の先端部同士を固定する。ロープ5についても同様の処理を行う。
【0018】
ステップS14もしくはステップS15の処理がされていないストランド15が残っている場合(ステップS16:Yes)、ステップS12からステップS16までの処理を繰り返す。一方、ステップS14もしくはステップS15の処理がされていないストランド15が残っていない場合(ステップS16:No)、ステップS17の処理に移行する。
【0019】
すべてのストランド15の処理が終わると(ステップS16:No)、ロープ4,5の先端部は、図8に示されるような状態になる。次に、ロープ4,5それぞれの心網12の先端部に残された被覆11aを除去する。
【0020】
次に、図9に示されるように、ロープ5(もしくは、ロープ4)の心網12を、被覆11を除去した位置11bで切断する(ステップS17)。次に、ロープ4から引き出されたストランド15とロープ5から引き出されたストランド15とを編み込むことにより、ロープ4とロープ5とを接続する(ステップS18)。具体的には、図10に示されるように、ロープ4,5の残されたストランド15を残された心網12を核にして編み込む。ストランド15の先端部を熱収縮チューブ40で被覆しているので、ストランド15を編み込む際に、ストランド15の先端部の素線16がばらばらになることはない。したがって、ストランド15を編み込む作業の効率を向上させることができる。
【0021】
次に、ロープ4とロープ5とを接続した部分を被覆する(ステップS19)。具体的には、熱収縮チューブ40で被覆されたストランド15の先端部を伸縮性のあるテーピング30で被覆する。このとき、図11に示されるように、テーピング30で被覆された部分の直径L5がロープ4,5の直径L1以下になるようにする。これにより、ロープ4を旧ロープドラム8に巻き取る際に、巻上機1等の架設経路にロープ4,5の接続部分が引っかかることを防止することができる。以上の作業により、ロープ4,5の接続作業が完了する。
【0022】
(変形例1)
上記の説明では、切断されたストランド15の先端部を熱収縮チューブ40で被覆する場合について説明した。しかし、ストランド15を形成する素線16がばらばらにならないようにする方法をこれに限定する必要はない。例えば、ロープ4,5から引き出されたストランド15ごとに、ストランド15の先端部をゴムキャップで覆い、ストランド15を構成する複数の素線16の先端部が密着するように、複数の素線16の先端部同士を固定する用ようにしてもよい。この場合、図11に示されるように、テーピング30で被覆された部分の直径L5がロープ4,5の直径L1以下になるように、ゴムキャップを選択する必要がある。また、ストランド15の先端部をビニールテープ等で固定してもよい。
【0023】
(変形例2)
また、引き出されたストランド15ごとに、ストランド15を構成する複数の素線16の先端部が密着するように、ペンキ、接着剤、ゴム、プラスチック等の樹脂を使用して、複数の素線16の先端部同士を固定するようにしてもよい。ストランド15の先端部を樹脂で固定する場合、樹脂が素線16と素線16の間に浸透し、素線16同士が固定される。
【0024】
(変形例3)
また、素線16の先端部をアーク溶接等により溶かして、素線16同士を融着させてもよい。また、はんだ等でストランド15の先端部を溶接してもよい。この場合、図11に示されるように、テーピング30で被覆された部分の直径L5がロープ4,5の直径L1以下になるように留意する必要がある。
【0025】
以上に説明したように、本実施形態に係るエレベータ用ロープの接続方法では、ストランド15の先端部の素線16がばらばらにならないように、複数の素線16の先端部同士を固定する工程を設ける。これにより、ロープ4,5のストランド15を編み込む作業が容易になり、エレベータ用のロープの接続に要する時間を短縮することができる。
【0026】
また、ロープ4,5の被覆11を除去する際、ストランド15の先端部に被覆11aを残す。これにより、残された被覆11aからストランド15を1本1本引き出すことができる。引き出したストランド15以外のストランド15は、残された被覆11aによって束ねられた状態を維持されている。したがって、引き出したストランド15の先端部を固める処理をしている間に、他のストランド15の素線16がばらばらになることはない。
【0027】
なお、図4に示したフローチャートは作業手順の一例であり、これに限定する必要はない。例えば、図5に示すL3の長さで被覆11を削除する。そして、全てのストランド15の素線16の先端部同士を固定する。その後、図5に示すL4の長さで被覆11を削除する。そして、ストランド15を1本おきに切断する。そして、ロープ4,5の残されたストランド15を編み込むことにより、ロープ4,5を接続する。この作業手順においても、素線16の先端部同士を固定する工程を設けることによって素線16がばらばらになることを防止でき、ロープ4,5のストランド15を編み込む作業時間を短縮することができる。
【0028】
また、上記の説明では、被覆11を有するロープ4,5を接続する場合について説明した。被覆11を有さないロープを接続する場合においても、素線16の先端部同士を固める工程を設けることにより、ストランド15の切断もしくは編み込みの際に素線16がばらばらになることを防止できる。これにより、ロープ4,5のストランド15を編み込む作業時間を短縮することができる。
【0029】
また、上記の説明では、ストランド15の先端部に残す被覆11aの長さL3をストランド15の直径L2の10倍から30倍程度にする場合について説明した。ストランド15及び素線16がばらばらになろうとする力は、ロープの種類によって異なる。ストランド15の先端部に残す被覆11aの長さL3は、ストランド15及び素線16がばらばらになろうとする力に基づいて決めればよい。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0031】
1…巻上機
2…乗りかご
3…つり合い錘
4…ロープ
5…ロープ
6…新ロープドラム
8…旧ロープドラム
11…被覆
11a…ストランドの先端部に残す被覆
12…心網
15…ストランド
16…素線
30…テーピング
40…熱収縮チューブ
100…エレベータ装置
101…昇降路
102…昇降路壁
103…機械室
104…床
105…出入り口
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2019年6月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明の実施形態に係るエレベータ用ロープの接続方法は、より合された複数のストランドから形成されたロープを交換する際に、既存の第1のロープと新規な第2のロープとを接続するためのロープの接続方法である。実施形態に係るエレベータ用ロープの接続方法は、第1のロープ及び第2のロープそれぞれから、複数のストランドを引き出す工程と、第1のロープから引き出されたストランドごとに、相互により合されてストランドを構成する複数の素線の先端部が密着するように、複数の素線の先端部同士を固定する工程と、第2のロープから引き出されたストランドごとに、相互により合されてストランドを構成する複数の素線の先端部が密着するように、複数の素線の先端部同士を固定する工程と、第1のロープのストランドと第2のロープのストランドとを編み込んで、第1のロープと第2のロープとを接続する工程と、第1のロープおよび第2のロープが樹脂で被覆されている場合、第1のロープおよび第2のロープを被覆している樹脂を除去する工程と、を含む。除去する工程において、第1のロープおよび第2のロープの先端部に指定された長さの樹脂を残し、第1のロープおよび第2のロープの先端部から反対方向に指定された長さの樹脂を除去する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
より合された複数のストランドから形成されたロープを交換する際に、既存の第1のロープと新規な第2のロープとを接続するためのロープの接続方法であって、
前記第1のロープ及び前記第2のロープそれぞれから、複数の前記ストランドを引き出す工程と、
前記第1のロープから引き出された前記ストランドごとに、相互により合されて前記ストランドを構成する複数の素線の先端部が密着するように、複数の前記素線の先端部同士を固定する工程と、
前記第2のロープから引き出された前記ストランドごとに、相互により合されて前記ストランドを構成する複数の前記素線の先端部が密着するように、複数の前記素線の先端部同士を固定する工程と、
前記第1のロープの前記ストランドと前記第2のロープの前記ストランドとを編み込んで、前記第1のロープと前記第2のロープとを接続する工程と、
前記第1のロープおよび前記第2のロープが樹脂で被覆されている場合、前記第1のロープおよび前記第2のロープを被覆している前記樹脂を除去する工程と、を含み、
前記除去する工程において、
前記第1のロープおよび前記第2のロープの先端部に指定された長さの前記樹脂を残し、前記第1のロープおよび前記第2のロープの先端部から反対方向に指定された長さの樹脂を除去する、
エレベータ用ロープの接続方法。
【請求項2】
前記第1のロープから1本の前記ストランドを引き出すごとに、引き出された前記ストランドを構成する複数の前記素線の先端部が密着するように、複数の前記素線の先端部同士を固定する工程と、
前記第2のロープから1本の前記ストランドを引き出すごとに、引き出された前記ストランドを構成する複数の前記素線の先端部が密着するように、複数の前記素線の先端部同士を固定する工程と、
を含む請求項1に記載のエレベータ用ロープの接続方法。
【請求項3】
前記第1のロープから引き出された前記ストランドごとに、前記ストランドの先端部を熱収縮チューブで覆い、前記熱収縮チューブを加熱することにより、前記ストランドを構成する複数の前記素線の先端部が密着するように、複数の前記素線の先端部同士を固定する工程と、
前記第2のロープから引き出された前記ストランドごとに、前記ストランドの先端部を熱収縮チューブで覆い、前記熱収縮チューブを加熱することにより、前記ストランドを構成する複数の前記素線の先端部が密着するように、複数の前記素線の先端部同士を固定する工程と、
を含む請求項1または2に記載のエレベータ用ロープの接続方法。
【請求項4】
前記第1のロープから引き出された前記ストランドごとに、前記ストランドの先端部をゴムキャップで覆い、前記ストランドを構成する複数の前記素線の先端部が密着するように、複数の前記素線の先端部同士を固定する工程と、
前記第2のロープから引き出された前記ストランドごとに、前記ストランドの先端部をゴムキャップで覆い、前記ストランドを構成する複数の前記素線の先端部が密着するように、複数の前記素線の先端部同士を固定する工程と、
を含む請求項1または2に記載のエレベータ用ロープの接続方法。
【請求項5】
前記第1のロープから引き出された前記ストランドごとに、前記ストランドを構成する複数の前記素線の先端部が密着するように、複数の前記素線の先端部同士を樹脂で固定する工程と、
前記第2のロープから引き出された前記ストランドごとに、前記ストランドを構成する複数の前記素線の先端部が密着するように、複数の前記素線の先端部同士を樹脂で固定する工程と、
を含む請求項1または2に記載のエレベータ用ロープの接続方法。
【請求項6】
前記第1のロープから引き出された前記ストランドごとに、前記ストランドを構成する複数の前記素線の先端部が密着するように、複数の前記素線の先端部同士を溶接により固定する工程と、
前記第2のロープから引き出された前記ストランドごとに、前記ストランドを構成する複数の前記素線の先端部が密着するように、複数の前記素線の先端部同士を溶接により固定する工程と、
を含む請求項1または2に記載のエレベータ用ロープの接続方法。
【請求項7】
前記指定された長さが、前記ストランドの直径の長さの10倍から30倍である、
請求項1から6の何れか一項に記載のエレベータ用ロープの接続方法。