【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく本発明は、以下の特徴を有するものとして構成される。
【0008】
第1の住戸と、第2の住戸と、前記第1の住戸と前記第2の住戸との間に設ける境界室とを備える民泊対応集合住宅について、前記境界室は、前記第1の住戸に対して開閉可能な鍵付きの第1の扉と、前記第2の住戸に対して開閉可能な鍵付きの第2の扉とを有し、さらに、前記第1の扉を解錠し且つ前記第2の扉を施錠することで前記第1の住戸が前記境界室を利用可能とし、又は、前記第1の扉を施錠し且つ前記第2の扉を解錠することで前記第2の住戸が前記境界室を利用可能とする施錠装置を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の民泊対応集合住宅は、第1の住戸と第2の住戸の間に境界室を有することを特徴とする。この境界室は、室内に境界空間部を有する。この境界空間部は、収納室としたり、居室としたり多目的で使用することができる。境界室における第1の住戸側には、第1の扉が設けられ、第2の住戸側には第2の扉が設けられる。第1の扉と第2の扉は、各住戸と境界室の室内とを構造的に隔てて、室内空間を分離することができる。したがって、第1の住戸と第2の住戸は、第1の扉を解錠し且つ第2の扉を施錠することで、第1の住戸が境界室を利用することができ、解錠と施錠を逆にすることで、第2の住戸が境界室を利用することが可能となる。
【0010】
こうした本発明の民泊対応集合住宅によれば、例えば、第1の住戸と第2の住戸の双方の所有者(以下、単に「所有者」という。)が同一人であり、第1の住戸と第2の住戸を民泊サービスに利用したい場合、次のような運用が可能となる。
【0011】
即ち、所有者が第1の住戸に居住しており、第2の住戸を民泊サービスに使用する際には、第1の扉を解錠し第2の扉を施錠することで、境界室は第1の住戸の居住空間として利用することができる。この場合、第2の住戸は民泊サービスに使用するほか、賃貸物件としても活用することができる。
【0012】
そして、第2の住戸の民泊サービスの営業日数が関係法令に規定する上限日数に到達した場合には、当該所有者は、第2の住戸に移動し、第1の住戸を営業日数の上限まで民泊サービスに利用すればよい。
【0013】
したがって、本発明の民泊対応集合住宅によれば、第1の住戸と第2の住戸を、それぞれ関係法令に規定する上限日数まで有効活用することができる。現在の営業日数の上限は180日であるから、第1の住戸と第2の住戸を合わせて運用すれば、所有者は360日間、住宅宿泊事業者として民泊サービスを提供することが可能となる。
【0014】
また、本発明の民泊対応集合住宅によれば、第1の住戸と第2の住戸は隣接しているので、所有者が移動する際の負担も軽減することができる。
【0015】
さらに、所有者が第2の住戸に移動した際には、第1の扉を施錠し第2の扉を解錠することで、境界室は第2の住戸の居住空間として利用することができる。即ち、第1の住戸又は第2の住戸の何れに居住する場合でも、所有者は、境界室を現在の居住空間として占有することができる。したがって、本発明の民泊対応集合住宅によれば、境界室を所有者の衣類や身の回り品等の収納室として利用することで、所有者の荷物の移動量を減らせるため、第1の住戸と第2の住戸との間の移動が容易になり、その負担を軽減することができる。
【0016】
前記本発明については、建物のエントランスドア又は前記第1の住戸の玄関ドアの少なくとも何れかの解錠と連動して前記第1の扉を施錠する施錠装置を有するように構成できる。
【0017】
本発明によれば、例えば民泊サービス利用者が、第1の住戸及び第2の住戸を有する建物のエントランスドア又は滞在する第1の住戸の玄関ドアを解錠すると、施錠装置が第1の扉を施錠する。このため民泊サービス利用者は、第1の扉を解錠することができず、また所有者も解錠できないので、セキュリティ上も安心して滞在し、また居住することができる。
【0018】
前記本発明については、建物のエントランスドア又は前記第2の住戸の玄関ドアの少なくとも何れかの解錠と連動して前記第2の扉を施錠する施錠装置を有するように構成できる。
【0019】
本発明によれば、例えば民泊サービス利用者が、第1の住戸及び第2の住戸を有する建物のエントランスドア又は滞在する第2の住戸の玄関ドアを解錠すると、施錠装置が第2の扉を施錠する。このため民泊サービス利用者は、第2の扉を解錠することができず、また所有者も解錠できないので、セキュリティ上も安心して滞在し、また居住することができる。
【0020】
また、本発明は、民泊対応集合住宅を利用するゲストが使用するゲスト用操作装置と、前記ゲスト用操作装置と通信網を通じて接続可能な施錠管理装置とを用いて行う施錠管理方法であって、前記ゲスト用操作装置が、前記ゲスト用操作装置に備える撮像装置により撮像した前記ゲストの顔画像である認証用画像データを、前記施錠管理装置に送信するステップと、前記施錠管理装置が、前記認証用画像データと前記施錠管理装置の記憶部が保持する前記ゲストの事前登録済み本人画像データとを表示画面に表示するとともに、前記施錠管理装置を操作する管理者が、前記認証用画像データの人物と前記事前登録済み本人画像データの人物とが同一人であると判断して承認操作を行った場合には、前記施錠管理装置が前記第1の扉又は前記第2の扉を解錠するための解錠コードを、前記ゲスト用操作装置に送信するステップとを実行する施錠管理方法を提供する。
さらに、本発明は、民泊対応集合住宅を利用するゲストが使用するゲスト用操作装置と、前記ゲスト用操作装置と通信網を通じて接続可能な施錠管理装置とを用いて行う施錠管理システムであって、前記ゲスト用操作装置は、前記ゲスト用操作装置に備える撮像装置にて撮像した前記ゲストの顔画像を含む画像又は映像でなる認証用画像データを、前記施錠管理装置に送信するものであり、前記施錠管理装置は、前記ゲストの事前登録済み本人画像データを保持する記憶部と、前記認証用画像データと前記事前登録済み本人画像データとを表示する表示画面とを有しており、前記施錠管理装置は、前記認証用画像データの人物と前記事前登録済み本人画像データの人物とが同一人である場合に、前記民泊対応集合住宅の隣接する第1の住戸と第2の住戸の間に位置する境界室における前記第1の住戸に通じる第1の扉又は前記第2の住戸に通じる第2の扉を解錠する解錠コードを前記ゲスト用操作装置に送信するものである施錠管理システムを提供する。
【0021】
本発明によれば、ゲスト用操作装置の撮像装置により撮像したゲストの顔画像である認証用画像データと、施錠管理装置の記憶部が保持する前記ゲストの事前登録済み本人画像データとを表示部に表示するので、施錠管理装置での本人確認を確実且つ容易に行うことができる。また、施錠管理装置では、その本人確認の結果に基づき第1の扉又は第2の扉を解錠するための解除コードをゲスト用操作装置に送信するので、ゲスト用操作装置を使用するゲストは、解除コードを用いて第1の扉又は第2の扉を解錠することができる。以上のとおり本発明によれば、ゲストに対する鍵の付与を遠隔操作で、即時行うことができる。
【0022】
前記解錠コードは、前記建物のエントランスドア、前記第1の住宅の玄関ドア又は前記第2の住戸の玄関ドアを解錠するための暗証番号として構成できる。
【0023】
解錠コードがエントランスドア、玄関ドアを解錠するための暗証番号であるため、ゲストはエントランスドア、玄関ドアの解錠を、例えばテンキー等を使用して容易に行うことができる。また、物理キー(シリンダー錠の金属鍵)が不要であるため、物理キーを紛失するようなことも防ぐことができる。
【0024】
前記解錠コードは、前記建物のエントランスドア、前記第1の住宅の玄関ドア又は前記第2の住戸の玄関ドアを解錠するための鍵を収容するキーボックスを解錠するための暗証番号として構成できる。
【0025】
解錠コードが、物理キーを収容するキーボックスを解錠するための暗証番号であるため、テンキー入力等により開閉するスマートキーを設置しておらず、物理キーを使用する建物や住戸であっても、ゲストに対する鍵の付与を遠隔操作で、即時行うことができる。
【0026】
前記ゲスト用操作装置は、前記建物のエントランスドア、前記第1の住戸の玄関又は前記第2の住戸の玄関に設置した外部インターフォン装置として構成できる。
【0027】
ゲスト用操作装置が、外部インターフォン装置であるため、ゲストが所有するスマートフォンで使用する専用アプリを用意しなくても、ゲストに対する鍵の付与を遠隔操作で、即時行うことができる。
【0028】
前記施錠管理装置は、前記管理者が所持する通信端末、前記第1の住戸の室内に設置した室内インターフォン装置、前記第2の住戸の室内に設置した室内インターフォン装置、又はコールセンターに備える操作装置の少なくとも何れかとして構成できる。
【0029】
施錠管理装置は、管理者が所持する通信端末、第1の住戸及び第2の住戸に設置した室内インターフォン装置、コールセンターに備えるオペレータ用端末の何れかとして構成できるので、様々な形態でゲストに対する鍵の付与を遠隔操作で、即時行える。例えば、管理者が所持する通信端末が、ホストが所有する通信端末としてのスマートフォンである場合には、ホストは第1の住戸、第2の住戸の室内又は外出先にいても、スマートフォンで鍵の付与を行うことができる。また、ホストが第1の住戸又は第2の住戸の室内にいる場合には、室内インターフォン装置を使って鍵の付与を行うことができる。さらに、ホストが鍵の付与に対応できない場合又は鍵の付与を行わない場合には、コールセンターのオペレータ用端末が鍵の付与を行うことができる。
【0030】
前記施錠装置は、前記民泊対応集合住宅のエントランスに設置したエントランス用電子錠に入力した解錠コードが有効であるときに、前記第1の住戸の前記第1の扉又は第2の住戸の前記第2の扉を施錠するように構成できる。
【0031】
施錠装置が、エントランス用電子錠に入力した解錠コードの有効性を、例えば滞在期間等に基づいて判定し、有効であるときには、滞在先となる第1の住戸の第1の扉又は第2の住戸の第2の扉を自動で施錠する。このため、第1の住戸又は第2の住戸のホストが、ゲストの来訪前に自ら滞在先の住戸の扉を事前に施錠する手間を省くことができる。
【0032】
前記施錠装置は、前記解錠コードの有効期間が経過したときに、施錠している前記第1の扉又は前記第2の扉を解錠するように構成できる。
【0033】
本発明によれば、解錠コードの有効期間、即ちゲストの滞在期間が経過すると施錠している前記第1の扉又は前記第2の扉を自動で解錠するため、第1の住戸又は第2の住戸のホストが自ら解錠する手間を省くことができる。