特開2019-214966(P2019-214966A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-214966(P2019-214966A)
(43)【公開日】2019年12月19日
(54)【発明の名称】遠心圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/44 20060101AFI20191122BHJP
   F04D 29/58 20060101ALI20191122BHJP
   H02K 9/19 20060101ALI20191122BHJP
【FI】
   F04D29/44 P
   F04D29/44 W
   F04D29/58 P
   H02K9/19 A
   H02K9/19 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-112489(P2018-112489)
(22)【出願日】2018年6月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】久野 奈柄
【テーマコード(参考)】
3H130
5H609
【Fターム(参考)】
3H130AA12
3H130AB12
3H130AB27
3H130AB43
3H130AB46
3H130AC01
3H130BA33G
3H130BA68A
3H130BA74A
3H130BA97A
3H130BA97G
3H130CA02
3H130CA13
3H130DA02Z
3H130DA04Z
3H130DB01Z
3H130DB02Z
3H130DB03Z
3H130DD01X
3H130EA01A
3H130EA01G
3H130EA07A
3H130EA07G
3H130EB01G
3H130EB02D
3H130EB02G
3H130EB04G
5H609BB03
5H609BB14
5H609BB19
5H609PP06
5H609PP10
5H609QQ06
5H609QQ12
5H609RR26
5H609RR37
5H609RR42
(57)【要約】
【課題】本発明は、汲み上げられる天然ガスを用いてその内部を冷却する遠心圧縮機を提供する。例えば、本発明は、汲み上げた天然ガスを用いて、電動モータを冷却するダウンホール圧縮機を提供する。
【解決手段】本発明の遠心圧縮機は、シャフトと共に回転するロータとロータの外周側に設置されるステータとを有する密閉型の電動モータと、ステータの外周側に設置される第一流路と、シャフトの中空部に設置される第二流路と、汲み上げる流体を第一流路と第二流路とに分流するロート状部材からなる分流部と、を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと共に回転するロータと前記ロータの外周側に設置されるステータとを有する密閉型の電動モータと、前記ステータの外周側に設置される第一流路と、前記シャフトの中空部に設置される第二流路と、汲み上げる流体を前記第一流路と前記第二流路とに分流するロート状部材からなる分流部と、を有することを特徴とする遠心圧縮機。
【請求項2】
前記ロート状部材は、内径が前記流体の流れ方向に沿って小さくなる斜面と、その中央部に中央孔と、を有することを特徴とする請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項3】
前記ロート状部材は、内径が前記流体の流れ方向に沿って小さくなる斜面と、外側が前記流体の流れ方向に添って大きくなる斜面と、その中央部に中央孔と、を有することを特徴とする請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項4】
前記ロート状部材は、内側傾斜面に少なくとも1本以上の溝を有することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の遠心圧縮機。
【請求項5】
前記溝は、前記中央部から放射状に形成されることを特徴とする請求項4に記載の遠心圧縮機。
【請求項6】
前記中央孔と前記第二流路との間の位置に、前記中央孔から流入する流体を前記第一流路へ導入する流路を有することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の遠心圧縮機。
【請求項7】
前記第二流路の端部の位置に、前記第一流路から流入する流体と前記第二流路から流入する流体と、が合流する流路を有することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の遠心圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心圧縮機に関する
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開2011−202566号公報(特許文献1)がある。この公報には、電動遠心圧縮機が記載されている。そして、この公報には、冷却風が、筐体に設けられた冷却流路からベアリングシャフトのガイド孔に供給され、さらにテンションシャフトの第2孔部を通ってテンションシャフトの空間部に導入されていることが記載され、冷却風は、空間部に沿ってテンションシャフトの軸方向に流通して、テンションシャフトを冷却した後、テンションシャフトの第1孔部からスクロールの内部に排出されていることが記載されている。
【0003】
また、本技術分野の背景技術として、特開平10−246196号公報(特許文献2)がある。この公報には、主軸の回転によって排気を行なうターボ分子ポンプにおいて、主軸には軸方向に延びる中空部が形成され、中空部に冷却流体を流すための冷却流路が設けられていることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−202566号公報
【特許文献2】特開平10−246196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1及び前記特許文献2には、電動遠心圧縮機やターボ分子ポンプを冷却することが記載されている。しかし、前記特許文献1及び前記特許文献2に記載される電動遠心圧縮機やターボ分子ポンプは、汲み上げられる流体を用いて冷却するものではない。
【0006】
そこで、本発明は、汲み上げられる流体を用いてその内部を冷却する遠心圧縮機を提供する。例えば、本発明は、汲み上げた天然ガスを用いて、電動モータを冷却するダウンホール圧縮機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の遠心圧縮機は、シャフトと共に回転するロータとロータの外周側に設置されるステータとを有する密閉型の電動モータと、ステータの外周側に設置される第一流路と、シャフトの中空部に設置される第二流路と、汲み上げる流体を第一流路と第二流路とに分流するロート状部材からなる分流部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、汲み上げられる天然ガスを用いてその内部を冷却する遠心圧縮機を提供することができる。例えば、本発明によれば、汲み上げた天然ガスを用いて、電動モータを冷却するダウンホール圧縮機を提供することができる。
【0009】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施例のダンホール圧縮機を説明する断面図である。
図2図1で示したダウンホール圧縮機の入口付近の一部(A部分)を拡大した説明図である。
図3図1で示したダウンホール圧縮機の出口付近の一部(B部分)を拡大した説明図である。
図4図1で示したダウンホール圧縮機の分流部付近を拡大した説明図である。
図5図1で示したダウンホール圧縮機のほぼ中央部のC−C部分の断面を拡大した説明図である。
図6】他の実施例のダウンホール圧縮機の分流部を拡大した説明図である。
図7】他の実施例のダウンホール圧縮機の分流部を拡大した説明図である。
図8】他の実施例のダウンホール圧縮機の分流部を拡大した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施例を、図面を用いて説明する。なお、同様の構成要素には同様の符号を付し、また、同一の説明は繰り返さない。また、各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、例えば、一の構成要素が複数の部材から成ること、複数の構成要素が一の部材から成ること、或る構成要素の一部が他の構成要素の一部であること、或る構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本実施例のダンホール圧縮機を説明する断面図である。
【0013】
本実施例では、本発明の遠心圧縮機の代表例として、ダウンホール圧縮機1を使用して説明する。すなわち、本実施例で記載するダウンホール圧縮機1は、天然ガス(プロセスガス)を生産する生産プラントで使用されるものである。
【0014】
この生産プラントでは、地下の天然ガス田に向かう数千メートルの長さの井戸を掘り、天然ガスを採掘している。生産プラントの稼動当初は、天然ガス田が自ら有する自噴圧力によって、地下から地上に向けて、天然ガスを、井戸を通して噴出する。しかし、稼働から暫くすると自噴圧力が減衰し、天然ガスの噴出速度が低下し、生産性が低下する。
【0015】
このため、井戸の中に、ダウンホール圧縮機1を設置して、天然ガスを地上に強制的に圧送する。
【0016】
つまり、本実施例で記載するダンホール圧縮機1は、地下の天然ガス田に向かう井戸に設置されるものであり、自噴圧力が減衰した天然ガスを地上に強制的に圧送するものである。
【0017】
ダンホール圧縮機1は、流体(本実施例では「天然ガス」を用いて説明する。)を汲み上げる入口10と、汲み上げた天然ガスを分流する分流部20と、分流部20に設置され、汲み上げた天然ガスを分流する機能を有するロート状部材21と、天然ガスを汲み上げるための電動モータ30と、電動モータ30を構成するロータ32、巻線33、及びステータ34等と、汲み上げた天然ガスを圧縮するガス圧縮部50と、汲み上げた天然ガスを排出する出口60と、電動モータ30を密閉するインナーケース101と、インナーケース101の外側を覆うアウターケース102と、ロータ32を支持するアキシャル軸受け104a及びジャーナル軸受け104bと、汲み上げた天然ガスを流す第一流路105と、汲み上げた天然ガスを流す第二流路106と、を有する。
【0018】
すなわち、本実施例で記載するダウンホール圧縮機1は、シャフト103と共に回転するロータ32とロータ32の外周側に設置されるステータ34とを有する密閉型の電動モータ30と、ステータ34の外周側に設置される第一流路105と、シャフト103の中空部に設置される第二流路106と、汲み上げた天然ガスを第一流路105と第二流路106とに分流するロート状部材21からなる分流部20と、を有するものである。
【0019】
なお、図1に示す矢印は、汲み上げガス流80を示す。汲み上げガス流80とは、汲み上げた天然ガスの流れを示すものであり、ダンホール圧縮機1の内部を冷却しつつ、入口10から出口60へ流れる様子を示すものである。
【0020】
ダウンホール圧縮機1は、天然ガスを汲み上げるため、例えば直径が約20cm〜30cmの井戸の中に設置され、例えば数千mの深い位置の高温環境下に設置される。
【0021】
また、ダウンホール圧縮機1の外径は、既設井戸の直径未満とする必要があり、例えば水冷設備等の冷却設備を別途設置するには井戸の大径化工事が必要となってしまう。このため、本実施例で記載するダウンホール圧縮機1はその内部を、例えば水冷設備等の冷却設備を別途設置することなく、汲み上げた天然ガスを使用して冷却する。
【0022】
さらには、約20cm〜30cmという小さい外径で、高い圧縮性能を得るには、ダウンホール圧縮機1に使用される電動モータ30を高速回転(数万rpm以上)させる必要があり、電動モータ30はロータ32とステータ34との間の風損が大きくなるため、ロータ32もステータ34も冷却する必要がある。
【0023】
本実施例では、このような条件下で使用されるダウンホール圧縮機1のロータ32やステータ34を冷却するために、汲み上げた天然ガスを使用する。汲み上げた天然ガスには、油や水が液滴として重量割合が最大75%程度含まれているため、この液滴を効率よく冷却に用いている。つまり、本実施例では、汲み上げた天然ガスを用いて、ダウンホール圧縮機1の発熱部分である電動モータ30を冷却する。
【0024】
本実施例では、汲み上げた天然ガスを、ダウンホール圧縮機1のロータ32やステータ34が構成する電動モータ30の冷却に使用するため、汲み上げた天然ガスを分流する分流部20に設置された汲み上げた天然ガスを分流する機能を有するロート状部材21が設置される。
【0025】
ダウンホール圧縮機1は、ダウンホール圧縮機1が設置される井戸の直径と同等の外径の長尺円筒形であり、井戸の中でのダウンホール圧縮機1の姿勢は、入口10が下側(天然ガス田側)、出口60が上側(地上側)になる。
【0026】
電動モータ30は、シャフト103と一体で共に回転するロータ32、インナーケース101に固定され、ロータ32の外周側に設置されるステータ34、ステータ34に磁場を発生させる巻線33等により構成される。なお、電動モータ30は、汲み上げた天然ガスとは接触しない密閉型の電動モータ30である。
【0027】
なお、電動モータ30への通電により、シャフト103が回転し、ガス圧縮部50の主羽根車51に動力を伝える。電動モータ30への通電により、シャフト103、および主羽根車51が回転し、天然ガスは入口10より出口60へ圧送される。
【0028】
シャフト103は、電動モータ30を貫通して下流側(出口60側)と上流側(入口10側)に延長され、上流側と下流側とで、それぞれ一対のアキシャル軸受け104aとジャーナル軸受け104bとで支持される。
【0029】
ステータ34とアキシャル軸受け104a及びジャーナル軸受け104bとは、インナーケース101に固定される。
【0030】
インナーケース101の外側に、インナーケース101の外側を覆うアウターケース102が設置され、インナーケース101とアウターケース102との間隙が第一流路105になる。また、シャフト103には、軸中心(シャフト103の中心)を貫通する中空部が設置される。このシャフト103に設置される中空部が第二流路106となる。
【0031】
つまり、電動モータ30の駆動により、ガス圧縮部50が作動し、天然ガスを汲み上げる。汲み上げた天然ガスは、入口10を通り、分流部20により、ステータ34の外周側であってインナーケース101の外周側に設置される第一流路105とシャフト103の中空部に設置される第二流路106とに分流される。この際、汲み上げた天然ガスを分流する分流部20のロート状部材21が機能する。第一流路105と第二流路106とに分流された天然ガスは、その後、出口60から排出される。
【0032】
図2は、図1で示したダウンホール圧縮機の入口付近の一部(A部分)を拡大したものである。
【0033】
シャフト103には、軸中心(シャフト103の中心部分)を貫通する中空部103aが設置される。また、インナーケース101とシャフト103との間には、ラビリンスシール101aが設置される。
【0034】
ロート状部材21を通った天然ガスは、ロート状部材21の中央孔21aを通り、その後、中空部103aが形成される第二流路106と、第一流路105へ向かう流路105cとに分かれて流れる。
【0035】
すなわち、中央孔21aと第二流路106との間の位置に、中央孔21aから流入する天然ガスを第一流路105へ導入する流路105cを有する。
【0036】
図3は、図1で示したダウンホール圧縮機の出口付近の一部(B部分)を拡大したものである。
【0037】
シャフト103には、軸中心(シャフト103の中心部分)を貫通する中空部103aが設置される。また、インナーケース101とシャフト103との間には、ラビリンスシール101aが設置される。
【0038】
中空部103aを通った天然ガスは、中空部103aの出口部を通り、その後、ガス圧縮部30への流路へと向かう。この際、中空部103aは、入口側(ロート状部材21側)は開いているが、出口側は終端栓103bで閉じられている。このため、中空部103aを通った天然ガスは、中空部103aの出口部を通った後、ガス圧縮部30への流路へと向かうように分かれて流れる。
【0039】
また、第一流路105を通った天然ガスは、第二流路106を通った天然ガスと、合流し、その後、ガス圧縮部30への流路へと向かう。
【0040】
すなわち、第二流路106の端部の位置に、第一流路105から流入する天然ガスと第二流路106から流入する天然ガスとが合流する流路107を有する。
【0041】
つまり、中空部103aの終端栓103bの手前であって、インナーケース101の外側の部分より、軸中心から径方向へ向かって流路107が設置される。中空部103aが形成される第二流路106と第一流路105とを流れる天然ガスは、流入する天然ガスが合流する流路107で合流し、第一流路105を流れる天然ガスと第二流路106を流れる天然ガスとは、ガス圧縮部50の手前で連通する。
【0042】
また、図2及び図3に示すように、シャフト103は、ラビリンスシール101aを介してインナーケース101に固定される。つまり、上流側及び下流側に設置されるアキシャル軸受け104a及びジャーナル軸受け104bを含む領域内、すなわち、インナーケース101の内側は、汲み上げた天然ガスより密閉される。
【0043】
汲み上げた天然ガスには、油や水が液滴として混入し、さらには、硫化水素などの腐食成分も含まれる可能性がるため、電動モータ30を密閉化する。
【0044】
なお、本実施例で記載する天然ガスには、不純物が混入されていることは言うまでもない。また、本実施例で記載する分流とは、天然ガスの流れる方向が複数に分かれることを意味する。
【0045】
また、図2及び図3に示す矢印も、汲み上げガス流80を示すものである。
【0046】
図4は、図1で示したダウンホール圧縮機の分流部付近を拡大した説明図である。
【0047】
入口10の直後に分流部20が設置される。分流部20のロート状部材21は、第一流路105と第二流路106とに汲み上げた天然ガスを分流する。
【0048】
ロート状部材21の外側傾斜面21bは、アウターケース102の傾斜面102bとほぼ一定の間隙102cになるように設置される。この間隙102cは、第一流路105に連通する。つまり、ロート状部材21の外側傾斜面21bは、外径が天然ガスの流れ方向に添って大きくなる。
【0049】
ロート状部材21の中央部の中央孔21aの中心軸とシャフト103の中空孔103a(第二流路106)の中心軸とは、概略一致し、中央孔21aと中空孔103aとは、間隙103dをもって対面する。間隙103dは、第一流路105と第二流路106とに連通する。つまり、間隙103dは、ロート状部材21の中央孔21aを通った天然ガスが、第一流路105へ向かう流路105cである。
【0050】
なお、本実施例では、中央孔21aの径と中空孔103a(第二流路106)の径とはほぼ同じである。
【0051】
ロート状部材21の内側傾斜面21cは、内径が天然ガスの流れ方向に沿って小さくなる。
【0052】
入口10から汲み上げた天然ガスのうち、傍流ガスは、ロート状部材21の内側傾斜面21cを沿い、間隙102cを通って第一流路105へ流れる。
【0053】
一方、主流ガスは、ロート状部材21の内側傾斜面21cに衝突する。天然ガスに含まれる液滴(液体)は、液膜となり、中央孔21aから吐出される。また、ロート状部材21の内側傾斜面21cに衝突しない気体と液体とが混合している天然ガス物も、中央孔21aから吐出される。
【0054】
運動量の大きい液体は、主に第二流路106に導入され、運動量の小さい気体の一部は、間隙103d(流路105c)を通り、第一流路105に導入される。
【0055】
液体は気体より密度や熱伝導率が大きく、冷却効果が高いため、第二流路106に液体の割合が大きい天然ガスを導入し、第一流路105に液体の割合が小さい天然ガスを導入する。これにより、効率よく電動モータ30を冷却することができる。
【0056】
本実施例で記載するロート状部材21により、液滴(液体)が混入した天然ガスは、気体成分が多い第一流体と、液体成分が多い第二流体とに分離できる。
【0057】
第一流体(気体成分が多い)より第二流体(液体成分が多い)のほうが、冷却性能が高いため、発熱源との接触面積が大きい第一流路105へ第一流体を、発熱源との接触面積が小さい第二流路106へ第二流体を導入することで、ステータ34側からもロータ32側からも十分に冷却できる。
【0058】
また、図4に示す矢印も、汲み上げガス流80を示すものである。
【0059】
図5は、図1で示したダウンホール圧縮機のほぼ中央部のC−C部分の断面を拡大した説明図である。
【0060】
本実施例で記載するダウンホール圧縮機1は、磁石(永久磁石)35を使用するが、磁石のない電動モータであってもよい。
【0061】
電動モータ30の発熱は、通電によるロータ32及びステータ34の鉄損失、巻線33に発生する銅損失、軸受け(アキシャル軸受け104aやジャーナル軸受け104b)の摩擦による機械損失、ステータ34とロータ32との間の(ステータ34とロータ32との間隙36に発生する)摩擦による風損失、磁石35の損失などがある。
【0062】
これらの損失を第一流路105と第二流路106とを通過する天然ガスを使用して冷却する。第一流路105は、アウターケース102とインナーケース101との間隙に形成され、インナーケース101の外周に形成されるドーナッツ状の流路である。この流路に天然ガスを流通させ、発熱源であるステータ34を外側から冷却する。第二流路106は、中心部に形成され、円状の断面形状を有する発熱源であるロータ32を内側から冷却する。
【0063】
一般的に、円筒状物体を外側から冷却すると、冷却媒体との接触面積を大きくとれるが、内側からの冷却では冷却媒体との接触面積を大きくとれない。
【0064】
本実施例では、入口10の近傍にロート状部材21を設置することにより、液滴(液体)が混入した汲み上げた天然ガスを、気体が主な成分の流れと液体が主な成分の流れとに分流し、ステータ34を外周から冷却する第一流路105には気体が主な成分の流れを、ロータ32を内側から冷却する第二流路106には液体が主な成分の流れを導入する。これにより、深い過酷な環境に設置された電動モータを搭載したダウンホール圧縮機1であっても、効率的に冷却することができる。
【0065】
つまり、本実施例では、電動モータ30の内部を密閉化し、ステータ34の外周に第一流路105を、ロータ32の内周に第二流路106を設置し、入口10の直後にロート状部材21を設置し、気体成分が多い第一流体と、液体成分が多い第二流体とに分流し、第一流体は第一流路へ、第二流体は第二流路へ導入する。
【実施例2】
【0066】
図6は、他の実施例のダウンホール圧縮機の分流部を拡大した説明図である。
【0067】
本実施例では、実施例1で記載したロート状部材21の内側傾斜面21cに、細い溝21dを中央部から放射状に少なくとも1本以上(好ましくは複数本)形成する。このように構成することで、内側傾斜面21cで生成された液膜が細い溝21dに入り、表面張力により細い溝21dの内部にトラップされ、中央孔21aへ効率よく導くことができる。なお、細い溝21dの断面は、V字状、U字状、矩形状であってもよい。
【実施例3】
【0068】
図7は、他の実施例のダウンホール圧縮機の分流部を拡大した説明図である。
【0069】
本実施例では、ロート状部材21をアウターケース102と一体化し、ロート状部材21の外側傾斜面をなくし、内側傾斜面21cのみとする。このように構成することで、外側傾斜面から第一流路105へ流れる液滴(液体)をなくし、液滴(液体)を内側傾斜面21cで着実に液膜化し、第二流路106へ導入することで、第二流路106の冷却効果をより高めることができる。
【0070】
なお、中央孔21aの径は、中空孔103a(第二流路106)の径より大きいことが好ましい。
【実施例4】
【0071】
図8は、他の実施例のダウンホール圧縮機の分流部を拡大した説明図である。
【0072】
本実施例では、実施例3で記載したロート状部材21の内側傾斜面21cに、細い溝21dを中央部から放射状に少なくとも1本以上(好ましくは複数本)形成する。このように構成することで、内側傾斜面21cで生成された液膜が細い溝21dに入り、表面張力により細い溝21dの内部にトラップされ、中央孔21aへ効率よく導くことができる。なお、細い溝21dの断面は、V字状、U字状、矩形状であってもよい。
【0073】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されることはない。
【符号の説明】
【0074】
1 ダウンホール圧縮機
10 入口
20 分流部
21 ロート状部材
21a 中央孔
30 電動モータ
32 ロータ
33 巻線
34 ステータ
50 ガス圧縮部
51 主羽根車
60 出口
80 汲み上げガス流
101 インナーケース
101a ラビリンスシール
102 アウターケース
103 シャフト
103a 中空部
103b 終端栓
104a アキシャル軸受け
104b ジャーナル軸受け
105 第一流路
106 第二流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8