【解決手段】室内フィン60は、上下方向に所定のピッチDPで並んだ複数の室内扁平管55に接合されている。複数の室内扁平管55は、複数の第1扁平管56からなる第1列76と、複数の第2扁平管57からなる第2列77とを有する。第1伝熱フィン66の第1端66aと第1中心位置86aとの間の距離D1は、DP×aである。第1伝熱フィン66の第2端66bと第2中心位置86bとの間の距離D2は、DP×bである。第2伝熱フィン67の第3端67aと第3中心位置87aとの間の距離D3は、DP×bである。第2伝熱フィン67の第4端67bと第4中心位置87bとの間の距離D4は、DP×aである。室内熱交換器51は、0.1<a<1、かつ、0.1<b<1、かつ、a<b、かつ、a+b<1の関係を満たす。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(1)空気調和装置の概略構成
図1は、空気調和装置1の概略構成図である。空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷媒サイクルを行うことによって、建物等の室内の冷房及び暖房を行うことが可能な装置である。
【0021】
空気調和装置1は、主として、室外ユニット2と、室内ユニット3と、液冷媒連絡管4と、ガス冷媒連絡管5とを有している。液冷媒連絡管4及びガス冷媒連絡管5は、室外ユニット2と室内ユニット3とを接続する冷媒経路である。空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路6は、室外ユニット2と室内ユニット3とが、液冷媒連絡管4及びガス冷媒連絡管5を介して接続されることによって構成されている。液冷媒連絡管4及びガス冷媒連絡管5は、空気調和装置1を建物等の所定の場所に設置する際に、現地で施工される冷媒管である。冷媒回路6には、作動冷媒としてR32が充填されている。しかし、冷媒回路6に充填される冷媒は、R32に限定されない。例えば、冷媒回路6に充填される冷媒として、R452B、R410A、R454B、HFO系混合冷媒(例えば、HFO−1123とR32との混合冷媒)、CO
2、CF
3I(単体もしくはその混合冷媒)が用いられてもよい。
【0022】
(2)室外ユニット
(2−1)室外ユニットの概略構成
図2は、室外ユニット2の概略外観斜視図である。
図3は、室外ユニット2の平面視概略構成図である。室外ユニット2は、冷媒回路6の一部を構成し、室外に設置されている。室外とは、建物の屋上、及び、建物の壁面近傍等である。室外ユニット2は、主として、アキュムレータ7と、圧縮機8と、四路切換弁10と、室外熱交換器11と、室外膨張弁12と、液側閉鎖弁13と、ガス側閉鎖弁14と、室外ファン15と、ケーシング40とを有している。
【0023】
アキュムレータ7は、圧縮機8にガス冷媒を供給するための容器である。アキュムレータ7は、圧縮機8の吸入側に設けられている。
【0024】
圧縮機8は、低圧のガス冷媒を吸入し、圧縮し、高圧のガス冷媒を吐出する。
【0025】
室外熱交換器11は、冷房運転時には圧縮機8から吐出された冷媒の放熱器として機能する。室外熱交換器11は、暖房運転時には室内熱交換器51から送られてくる冷媒の蒸発器として機能する。室外熱交換器11の液側には、室外膨張弁12が接続されている。室外熱交換器11のガス側には、四路切換弁10が接続されている。
【0026】
室外膨張弁12は、冷媒回路6の膨張機構として機能する電動膨張弁である。室外膨張弁12は、冷房運転時には室外熱交換器11において放熱された冷媒を室内熱交換器51に送る前に減圧する。室外膨張弁12は、暖房運転時には室内熱交換器51において放熱された冷媒を室外熱交換器11に送る前に減圧する。
【0027】
室外ユニット2の液側閉鎖弁13には、液冷媒連絡管4の一端が接続されている。室外ユニット2のガス側閉鎖弁14には、ガス冷媒連絡管5の一端が接続されている。また、室外ユニット2の機器及び弁の間は、冷媒管16〜22によって接続されている。
【0028】
四路切換弁10は、冷房運転の接続状態と、暖房運転の接続状態とを切り換えるための弁である。冷房運転の接続状態では、圧縮機8の吐出側が室外熱交換器11側に接続されると共に、圧縮機8の吸入側がガス側閉鎖弁14側に接続される。暖房運転の接続状態では、圧縮機8の吐出側がガス側閉鎖弁14側に接続されると共に、圧縮機8の吸入側が室外熱交換器11側に接続される。冷房運転の接続状態は、
図1において、四路切換弁10の実線で表されている。暖房運転の接続状態は、
図1において、四路切換弁10の破線で表されている。
【0029】
室外ファン15は、室外ユニット2の内部に配置される。室外ファン15は、室外空気を吸入して、室外熱交換器11に室外空気を供給した後に、室外ユニット2外に室外空気を排出する空気流れを形成する。この空気流れは、
図3において矢印で示されている。室外ファン15によって供給される室外空気は、室外熱交換器11を通過する冷媒との熱交換における冷却源又は加熱源として用いられる。
【0030】
ケーシング40は、
図2及び
図3に示されるように、主として、底フレーム40aと、天板40bと、左前板40cと、右前板40dと、右側板40eとを有している。底フレーム40aは、ケーシング40の底面部分を構成する横長の略長方形状の板状部材である。底フレーム40aは、その下面に固定された固定脚41によって設置面に設置されている。天板40bは、ケーシング40の天面部分を構成する横長の略長方形状の板状部材である。左前板40cは、主として、ケーシング40の左正面部分及び左側面部分を構成する板状部材である。左前板40cには、吹出口が上下に2つ並んで形成されている。これらの吹出口は、室外ファン15によって背面側及び左側面側からケーシング40内に取り込まれた室外空気を、前面側に吹き出すための開口である。各吹出口には、ファングリル42が設けられている。なお、吹出口は、天板40bに形成され、ケーシング40内に取り込まれた室外空気を上方に吹き出すための開口であってもよい。右前板40dは、主として、ケーシング40の右正面部分及び右側面の前部を構成する板状部材である。右側板40eは、主として、ケーシング40の右背面部分及び右側面の後部を構成する板状部材である。
【0031】
ケーシング40内には、仕切板43が設けられている。仕切板43は、ケーシング40の内部空間を、室外ファン15等が配置される送風機室と、圧縮機8等が配置される機械室とに仕切る。
【0032】
(2−2)室外熱交換器の概略構造
図4は、室外熱交換器11の概略外観斜視図である。室外熱交換器11は、主として、ガス側分流器23と、液側分流器24と、複数の流入側折返し部材25と、複数の反流入側折返し部材26と、複数の室外扁平管90と、複数の室外フィン91とを有している。室外熱交換器11を構成するこれらの部品は、アルミニウム又はアルミニウム合金で形成されており、互いにロウ付け等によって接合されている。
【0033】
複数の室外扁平管90は、上下方向(鉛直方向)に並んで配置されている。
【0034】
複数の室外フィン91は、室外扁平管90が延びている方向に沿って並んで配置されている。室外フィン91の板厚方向は、室外フィン91が並んでいる方向と同じである。
【0035】
ガス側分流器23は、複数の室外扁平管90の内の上方に配置されている複数の室外扁平管90に接続され、かつ、冷媒管19に接続されている。室外熱交換器11が冷媒の放熱器として機能する場合、冷媒管19から室外熱交換器11に流入した冷媒は、ガス側分流器23で複数の高さ位置に分流して、ガス側分流器23に接続されている複数の室外扁平管90に送られる。
【0036】
液側分流器24は、複数の室外扁平管90の内の下方に配置されている複数の室外扁平管90に接続され、かつ、冷媒管20に接続されている。室外熱交換器11が冷媒の放熱器として機能する場合、液側分流器24に接続されている複数の室外扁平管90のそれぞれを流れてきた冷媒は、液側分流器24で合流し、冷媒管20を介して室外熱交換器11の外部に流出する。
【0037】
複数の流入側折返し部材25は、ガス側分流器23と液側分流器24との間に配置されている。流入側折返し部材25は、互いに異なる高さ位置に設けられた室外扁平管90の端部同士を接続する管である。
【0038】
複数の反流入側折返し部材26は、室外熱交換器11の端部であって、ガス側分流器23と液側分流器24と複数の流入側折返し部材25とが設けられている側とは反対側の端部に設けられている。反流入側折返し部材26は、互いに異なる高さ位置に設けられた室外扁平管90の端部同士を接続する管である。
【0039】
室外熱交換器11では、複数の流入側折返し部材25及び複数の反流入側折返し部材26を設けることによって、室外熱交換器11の両端部で冷媒を折り返しながら冷媒を流すことが可能となっている。
【0040】
(2−3)室外扁平管
図5は、室外熱交換器11の断面図であって、室外フィン91と室外扁平管90との位置関係を示す図である。
図5は、室外扁平管90内部の流路90cが延びている方向に対して垂直に室外扁平管90を切断した状態で、当該流路90cが延びている方向に沿って見た断面図である。
【0041】
室外扁平管90は、上側扁平面90aと、下側扁平面90bと、複数の流路90cとを有している。上側扁平面90aは、室外扁平管90の表面であって、鉛直方向上方を向いている上面である。下側扁平面90bは、室外扁平管90の表面であって、鉛直方向下方を向いている下面である。流路90cは、冷媒が流れる空間である。複数の流路90cは、室外空気流れ方向に並んで設けられている。室外空気流れ方向とは、室外熱交換器11を通過する室外空気が流れる方向である。室外空気流れ方向は、室外扁平管90の断面視における長手方向であり、
図5において矢印で示されている方向である。以下、室外熱交換器11に関する説明において、「風上側」は室外空気流れ方向の上流側を意味し、「風下側」は室外空気流れ方向の下流側を意味する。
【0042】
複数の室外扁平管90の断面寸法は、全て同じである。断面寸法とは、具体的には、室外扁平管90の幅WTo、及び、室外扁平管90の高さHToである。室外扁平管90の幅WToは、室外扁平管90の断面視における長手方向(複数の流路90cが並んでいる方向)の寸法である。室外扁平管90の高さHToは、室外扁平管90の断面視における短手方向(上下方向)の寸法である。室外扁平管90の高さHToは、室外扁平管90の上側扁平面90aと下側扁平面90bとの間の距離に相当する。また、複数の室外扁平管90は、上下方向において所定のピッチDPoで配置されている。所定のピッチDPoとは、上下方向において隣り合う2つの室外扁平管90の上側扁平面90aの間の距離に相当する。
【0043】
図5に示されるように、室外扁平管90の風下側端部は、室外フィン91の風下側端部よりも、さらに風下側に位置している。これにより、室外熱交換器11の製造時又は運搬時における室外フィン91の風下側端部の損傷及び破損が抑制される。
【0044】
(2−4)室外フィン
室外フィン91は、室外空気流れ方向及び上下方向に広がる板状部材である。室外フィン91は、その板厚方向に沿って所定の間隔で複数配置されている。各室外フィン91には、複数の室外扁平管90が固定されている。室外フィン91の平坦部分における板厚方向の寸法は、例えば、0.05mm以上かつ0.15mm以下である。
【0045】
室外フィン91は、主として、複数の差し込み部92と、室外連通部97aと、複数の風下部97bと、ワッフル部93と、風上側フィンタブ94aと、風下側フィンタブ94bと、室外スリット95と、風上側リブ96aと、風下側リブ96bとを有している。
【0046】
差し込み部92は、室外フィン91の風下側の縁部から、室外フィン91の風上側の縁部の近傍まで、室外空気流れ方向(水平方向)に沿って切り込まれるようにして形成されている部分である。複数の差し込み部92は、上下方向に並ぶように設けられている。差し込み部92は、バーリング等によって形成されるフィンカラーを構成している。差し込み部92の形状は、室外扁平管90の断面の外形にほぼ一致している。差し込み部92には、室外扁平管90が挿入された状態でロウ付け固定されている。
【0047】
室外連通部97aは、室外フィン91の一部であって、室外扁平管90の風上側の端部よりもさらに風上側において、上下方向に連続して延びている部分である。室外フィン91の着霜耐力を確保する観点から、室外扁平管90の風上端の端部から、室外連通部97aの風上端の端部までの室外空気流れ方向の距離は、4mm以上であることが好ましい。
【0048】
風下部97bは、上下方向において隣り合う2つの差し込み部92に挟まれている部分である。各室外フィン91では、複数の風下部97bが、互いに異なる高さ位置において、室外連通部97aの風下側の端部からさらに風下側に向かって伸びている。
【0049】
ワッフル部93は、室外フィン91の室外空気流れ方向の中央近傍に形成されている。ワッフル部93は、隆起部分と非隆起部分とから構成されている。隆起部分は、室外フィン91の板厚方向に隆起した部分である。非隆起部分は、室外フィン91の板厚方向に隆起していない平坦な部分である。
【0050】
風上側フィンタブ94a及び風下側フィンタブ94bは、板厚方向に隣り合う室外フィン91同士の間隔を規制するために、それぞれ、室外フィン91の風上側の端部近傍と風下側の端部近傍とに設けられている。
【0051】
室外スリット95は、室外フィン91における伝熱性能を向上させるために、室外フィン91の平坦部分から板厚方向に切り起こされた部分である。室外スリット95は、ワッフル部93の風下側に形成されている。室外スリット95は、その長手方向が上下方向に沿うように形成されている。室外スリット95は、室外空気流れ方向に複数並ぶように形成されている。複数の室外スリット95は、全て同じ側に切り起こされている。室外スリット95は、風上側及び風下側のそれぞれにおいて開口を形成する。
【0052】
風上側リブ96aは、風上側フィンタブ94aの上方及び下方に設けられている。風上側リブ96aは、上下方向に隣り合う室外扁平管90同士の間において、室外空気流れ方向に沿って延びるように設けられている。風下側リブ96bは、風上側リブ96aの風下側端部からさらに風下側に延びるように設けられている。
【0053】
(3)室内ユニット
(3−1)室内ユニットの概略構成
図6は、室内ユニット3の外観斜視図である。
図7は、室内ユニット3の天板を取り除いた状態を示す概略平面図である。
図8は、
図7のA−Aで示される切断面における室内ユニット3の概略側面断面図である。
【0054】
室内ユニット3は、空気調和装置1の空調対象空間である部屋の天井Uの開口に埋め込まれて設置されるタイプの室内機である。室内ユニット3は、冷媒回路6の一部を構成している。室内ユニット3は、主として、室内熱交換器51と、室内ファン52と、ケーシング30と、フラップ39と、ベルマウス33と、ドレンパン32とを有している。
【0055】
室内熱交換器51は、冷房運転時には室内熱交換器51から送られてくる冷媒の蒸発器として機能する。室内熱交換器51は、暖房運転時には圧縮機8から吐出された冷媒の放熱器として機能する。室内熱交換器51の液側には、液冷媒連絡管4の室内側端部が接続されている。室内熱交換器51のガス側には、ガス冷媒連絡管5の室内側端部が接続されている。
【0056】
室内ファン52は、室内ユニット3のケーシング本体31の内部に配置された遠心送風機である。室内ファン52は、化粧パネル35の吸込口36を介して室内空気をケーシング30内に吸入し、室内熱交換器51を通過させた後、化粧パネル35の吹出口37を介して室内空気をケーシング30外へ吹き出す空気流れを形成する。この空気流れは、
図8において矢印で示されている。室内ファン52によって供給される室内空気は、室内熱交換器51を通過する冷媒と熱交換することにより温度が調節される。
【0057】
ケーシング30は、主として、ケーシング本体31と、化粧パネル35とを有している。
【0058】
ケーシング本体31は、空調対象空間である部屋の天井Uに形成された開口に挿入されるようにして設置されている。ケーシング本体31は、その平面視において長辺と短辺とが交互に接続された略八角形状を有している箱状の部材である。ケーシング本体31は、天板及び天板の周縁部から下方に延びる複数の側板を有している。ケーシング本体31の下面は、開口している。
【0059】
化粧パネル35は、天井Uに形成された開口に嵌め込まれるようにして設置されている。化粧パネル35は、その平面視においてケーシング本体31の天板及び側板よりも外側に広がっている。化粧パネル35は、ケーシング本体31の下方に取り付けられる。化粧パネル35は、内枠35aと外枠35bとを有している。内枠35aの内側には、下方に開口した略四角形状の吸込口36が形成されている。吸込口36の上方には、吸込口36から吸入された空気中の塵埃を除去するためのフィルタ34が設けられている。外枠35bの内側、かつ、内枠35aの外側には、下方又は斜め下方に開口した吹出口37及び角部吹出口38が形成されている。吹出口37は、化粧パネル35の平面視における略四角形状の各辺に対応する位置に配置されている、第1吹出口37a、第2吹出口37b、第3吹出口37c及び第4吹出口37dから構成されている。角部吹出口38は、化粧パネル35の平面視における略四角形状の各角に対応する位置に配置されている、第1角部吹出口38a、第2角部吹出口38b、第3角部吹出口38c及び第4角部吹出口38dから構成されている。
【0060】
フラップ39は、吹出口37を通過する空気流れの方向を変更するための部材である。フラップ39は、第1吹出口37aに配置される第1フラップ39aと、第2吹出口37bに配置される第2フラップ39bと、第3吹出口37cに配置される第3フラップ39cと、第4吹出口37dに配置される第4フラップ39dとから構成されている。各フラップ39は、ケーシング30の所定の位置において回動可能に軸支されている。
【0061】
ドレンパン32は、室内熱交換器51の下側に配置されている。ドレンパン32は、室内熱交換器51において空気中の水分が凝縮して生じるドレン水を受けとる。ドレンパン32は、ケーシング本体31の下部に装着されている。ドレンパン32には、平面視における中央部に、室内熱交換器51の内側において上下方向に伸びた円筒形状の空間が形成されている。この円筒形状の空間の内側下方には、ベルマウス33が配置されている。ベルマウス33は、吸込口36から吸入される空気を室内ファン52に案内する。
【0062】
また、ドレンパン32には、複数の吹出流路47a〜47d、及び、複数の角部吹出流路48a〜48cが形成されている。吹出流路47a〜47d及び角部吹出流路48a〜48cは、室内熱交換器51の外側において上下方向に伸びている。吹出流路47a〜47dは、第1吹出流路47aと、第2吹出流路47bと、第3吹出流路47cと、第4吹出流路47dとから構成されている。第1吹出流路47aは、その下端において第1吹出口37aと連通している。第2吹出流路47bは、その下端において第2吹出口37bと連通している。第3吹出流路47cは、その下端において第3吹出口37cと連通している。第4吹出流路47dは、その下端において第4吹出口37dと連通している。角部吹出流路48a〜48cは、第1角部吹出流路48aと、第2角部吹出流路48bと、第3角部吹出流路48cとから構成されている。第1角部吹出流路48aは、その下端において第1角部吹出口38aと連通している。第2角部吹出流路48bは、その下端において第2角部吹出口38bと連通している。第3角部吹出流路48cは、その下端において第3角部吹出口38cと連通している。
【0063】
(3−2)室内熱交換器の概略構造
図9は、室内熱交換器51の概略外観斜視図である。
図10は、室内熱交換器51の複数の室内フィン60の風上側の部分拡大外観斜視図である。
【0064】
室内熱交換器51は、室内ファン52と同一の高さ位置において、室内ファン52の周囲を囲むように曲げられた状態で、ケーシング本体31の内部に配置されている。室内熱交換器51は、主として、液側ヘッダ81と、ガス側ヘッダ71と、折返しヘッダ59と、複数の室内扁平管55と、複数の室内フィン60とを有している。室内熱交換器51を構成するこれらの部品は、アルミニウム又はアルミニウム合金で形成されており、互いにロウ付け等によって接合されている。
【0065】
室内熱交換器51は、室内空気流れ方向の上流側を構成する風上熱交換部70と、室内空気流れ方向の下流側を構成する風下熱交換部80とを有している。室内空気流れ方向とは、室内熱交換器51を通過する室内空気が流れる方向である。室内空気流れ方向は、室内扁平管55の長手方向、及び、上下方向と交差している方向である。風上熱交換部70は、室内熱交換器51の平面視における内側部分である。風下熱交換部80は、室内熱交換器51の平面視における外側部分である。以下、室内熱交換器51に関する説明において、「風上側」は室内空気流れ方向の上流側を意味し、「風下側」は室内空気流れ方向の下流側を意味する。
【0066】
液側ヘッダ81は、風下熱交換部80の平面視における一端を構成している。液側ヘッダ81は、上下方向に延びた円筒形状の部材である。液側ヘッダ81には、液冷媒連絡管4の室内側の端部が接続されている。液側ヘッダ81には、風下熱交換部80を構成している複数の室内扁平管55が接続されている。
【0067】
ガス側ヘッダ71は、風上熱交換部70の平面視における一端を構成している。ガス側ヘッダ71は、上下方向に延びた円筒形状の部材である。ガス側ヘッダ71には、ガス冷媒連絡管5の室内側の端部が接続されている。ガス側ヘッダ71には、風上熱交換部70を構成している複数の室内扁平管55が接続されている。
【0068】
折返しヘッダ59は、室内熱交換器51の端部であって、平面視において液側ヘッダ81及びガス側ヘッダ71の反対側の端部を構成している。折返しヘッダ59は、内部において、上下方向に並んだ複数の折返し空間を有している。折返し空間は、同一の高さ位置に設けられた、風上熱交換部70の室内扁平管55と、風下熱交換部80の室内扁平管55とを接続している。これにより、折返しヘッダ59は、互いに異なる高さ位置に設けられた、風上熱交換部70の室内扁平管55、及び、風下熱交換部80の室内扁平管55を流れてきた冷媒同士が混ざり合うことを抑制する。また、折返しヘッダ59は、各高さ位置の室内扁平管55を流れた冷媒を、同一の高さ位置の風上側もしくは風下側の室内扁平管55に折り返して送ることを可能にする。室内熱交換器51が冷媒の放熱器として機能する場合、折返しヘッダ59は、冷媒を風上側に折り返す。室内熱交換器51が冷媒の蒸発器として機能する場合、折返しヘッダ59は、冷媒を風下側に折り返す。
【0069】
複数の室内扁平管55は、室内熱交換器51の風上熱交換部70において、上下方向に並んで配置された室内扁平管55と、室内熱交換器51の風下熱交換部80において、上下方向に並んで配置された室内扁平管55とを含んでいる。風上熱交換部70を構成する複数の室内扁平管55は、それぞれ、一端がガス側ヘッダ71に接続されており、他端が折返しヘッダ59の風上側部分に接続されている。風下熱交換部80を構成する複数の室内扁平管55は、それぞれ、一端が液側ヘッダ81に接続されており、他端が折返しヘッダ59の風下側部分に接続されている。
【0070】
複数の室内フィン60は、室内熱交換器51の風上熱交換部70を構成している室内扁平管55に固定された室内フィン60と、室内熱交換器51の風下熱交換部80を構成している室内扁平管55に固定された室内フィン60とを含んでいる。室内フィン60は、室内扁平管55の長手方向に沿って、室内フィン60の板厚方向に並べられている。
【0071】
(3−3)室内扁平管
図11は、室内熱交換器51の断面図であって、室内フィン60と室内扁平管55との位置関係を示す図である。
図11は、室内扁平管55内部の流路55cが延びている方向に対して垂直に室内扁平管55を切断した状態で、当該流路55cが延びている方向に沿って見た断面図である。
【0072】
室内扁平管55は、上側扁平面55aと、下側扁平面55bと、複数の流路55cとを有している。上側扁平面55aは、室内扁平管55の表面であって、鉛直方向上方を向いている上面である。下側扁平面55bは、室内扁平管55の表面であって、鉛直方向下方を向いている下面である。流路55cは、冷媒が流れる空間である。複数の流路55cは、室内空気流れ方向に並んで設けられている。室内空気流れ方向は、室内扁平管55の断面視における長手方向であり、
図11において矢印で示されている方向である。
【0073】
図11に示されるように、風上熱交換部70を構成している室内扁平管55、及び、風下熱交換部80を構成している室内扁平管55は、室内空気流れ方向に沿って視た場合に、互いに完全に重ならないように配置されている。すなわち、風上熱交換部70を構成している室内扁平管55の上下方向の位置、及び、風下熱交換部80を構成している室内扁平管55の上下方向の位置は、互いに異なっている。室内扁平管55の配置の詳細に関しては後述する。
【0074】
また、室内熱交換器51では、
図11に示されるように、複数の室内扁平管55の風上側端部と、室内フィン60の風上側端部とは、室内空気流れ方向において概ね同じ位置に設けられている。
【0075】
風上熱交換部70及び風下熱交換部80の両方において、複数の室内扁平管55の断面寸法は、全て同じである。断面寸法とは、具体的には、室内扁平管55の幅WT、及び、室内扁平管55の高さHTである。室内扁平管55の幅WTは、室内扁平管55の断面視における長手方向(複数の流路55cが並んでいる方向)の寸法である。室内扁平管55の高さHTは、室内扁平管55の断面視における短手方向(上下方向)の寸法である。室内扁平管55の高さHTは、室内扁平管55の上側扁平面55aと下側扁平面55bとの間の距離に相当する。また、複数の室内扁平管55は、上下方向において所定のピッチDPで配置されている。所定のピッチDPとは、上下方向において隣り合う2つの室内扁平管55の上側扁平面55aの間の距離に相当する。
【0076】
(3−4)室内フィン
室内フィン60は、室内空気流れ方向及び上下方向に広がる板状部材である。室内フィン60は、その板厚方向に沿って所定の間隔で複数配置されている。各室内フィン60には、複数の室内扁平管55が固定されている。風上熱交換部70を構成している室内フィン60と、風下熱交換部80を構成している室内フィン60とは、室内空気流れ方向に沿って視た場合に、概ね互いに重なるように配置されている。風上熱交換部70を構成している室内フィン60の風下側の端部と、風下熱交換部80を構成している室内フィン60の風上側の端部とは、少なくとも一部分において互いに接触している。
【0077】
風上熱交換部70及び風下熱交換部80の両方において、室内フィン60は、主として、主面61と、複数のフィンカラー部65aと、室内連通部64と、複数の風上部65と、メインスリット62と、連通位置スリット63とを有している。室内フィン60の主面61における板厚方向の寸法は、例えば、0.05mm以上かつ0.15mm以下である。複数の室内フィン60の板厚方向におけるピッチ(互いに隣り合う室内フィン60の同じ側の面同士の間隔)は、1.0mm以上かつ1.6mm以下であることが好ましい。
【0078】
主面61は、室内フィン60の表面であって、フィンカラー部65a、メインスリット62及び連通位置スリット63が設けられていない平坦部分に相当する。
【0079】
フィンカラー部65aは、室内フィン60の風上側の縁部から、室内フィン60の風下側の縁部の近傍まで、室内空気流れ方向(水平方向)に沿って延びるように形成されている。複数のフィンカラー部65aは、上下方向に並ぶように設けられている。フィンカラー部65aは、バーリング等によって形成されている。フィンカラー部65aの輪郭形状は、室内扁平管55の断面の外形にほぼ一致している。フィンカラー部65aには、室内扁平管55が挿入された状態でロウ付け固定されている。
【0080】
図12は、室内フィン60と室内扁平管55との接合状態を示す断面図である。
図12は、室内扁平管55の流路55c内を冷媒が通過する方向、及び、鉛直方向を含む面で室内熱交換器51を切断した断面図である。
図12に示されるように、フィンカラー部65aは、主面61に対して、主面61の板厚方向においてメインスリット62の切り起こし側とは反対側に立ち上げられて構成されている。フィンカラー部65aの主面61側の反対側には、当該フィンカラー部65aに固定されている室内扁平管55の上側扁平面55a(又は下側扁平面55b)から遠ざかる方向に延びるように曲げられた位置決め部65xが設けられている。位置決め部65xは、隣り合う室内フィン60の主面61に面接触することで、複数の室内フィン60の板厚方向におけるピッチを規定している。
【0081】
また、
図12に示されるように、フィンカラー部65aは、室内扁平管55の上側扁平面55a(又は下側扁平面55b)との間にロウ材58が介在した状態で、ロウ付けにより室内扁平管55に接合されている。
図12に示されるように、室内扁平管55の下側扁平面55b側において、主面61に対するフィンカラー部65aの立ち上げが始まっている箇所と、メインスリット62の切り起こしが始まっている箇所との間の距離DSは、1mm以下であることが好ましい。室内扁平管55の下側扁平面55bにおける結露水は、メインスリット62の切り起こしが始まっている箇所を介して下方に導かれて排水される。そのため、当該距離DSを1mm以下の短い距離とすることで、室内扁平管55の下側扁平面55bにおいて結露水が保持されることが抑制される。
【0082】
室内連通部64は、室内フィン60の一部であって、室内扁平管55の風下側の端部よりもさらに風下側において、上下方向に連続して延びている部分である。WLを室内空気流れ方向における室内連通部64の長さとし、WFを室内空気流れ方向における室内フィン60の長さとした場合、室内フィン60は、0.2≦WL/WF≦0.5の関係を満たすことが好ましい。
【0083】
風上部65は、上下方向において隣り合う2つのフィンカラー部65aに挟まれている部分である。各室内フィン60では、複数の風上部65が、互いに異なる高さ位置において、室内連通部64の風上側の端部からさらに風上側に向かって伸びている。風上部65の上下方向の寸法は、DP−HTで表される。
【0084】
メインスリット62は、室内フィン60の伝熱性能を向上させるために、平坦な主面61から板厚方向に切り起こされて構成された部分である。メインスリット62は、各風上部65に形成されている。メインスリット62は、室内空気流れ方向に沿って複数並ぶように形成されている。
【0085】
連通位置スリット63は、室内フィン60の伝熱性能を向上させるために、平坦な主面61から板厚方向に切り起こされて構成された部分である。連通位置スリット63は、室内連通部64において、複数の高さ位置に形成されている。連通位置スリット63は、各高さ位置に設けられたメインスリット62の風下側に、それぞれ対応するように設けられている。連通位置スリット63は、その長手方向が上下方向に沿うように形成されている。連通位置スリット63の上端は、対応するメインスリット62の上端よりもさらに上方に位置する。連通位置スリット63の下端は、対応するメインスリット62の下端よりもさらに下方に位置する。
【0086】
メインスリット62及び連通位置スリット63は、平坦な主面61から板厚方向の同じ側に切り起こされることで、風上側及び風下側のそれぞれにおいて開口を形成する。
【0087】
(3−5)室内扁平管の配置の詳細
図13は、
図11と同様の室内熱交換器51の断面図であって、室内フィン60と室内扁平管55との位置関係を示す図である。
図13では、風上熱交換部70の室内フィン60の上下方向(室内フィン60の長手方向)の両端部と、風下熱交換部80の室内フィン60の上下方向の両端部が示されている。
図13では、風上熱交換部70及び風下熱交換部80の室内フィン60の上下方向の中央部が省略されている。
図13では、メインスリット62及び連通位置スリット63が省略されている。室内空気流れ方向は、
図13において矢印で示されている方向である。
【0088】
室内熱交換器51は、風上熱交換部70及び風下熱交換部80を有している。すなわち、室内熱交換器51は、室内空気流れ方向において、室内扁平管55が2列に配置された構造を有している。室内扁平管55の列とは、上下方向に並んで配置された複数の室内扁平管55の集まりである。すなわち、室内熱交換器51は、風上熱交換部70を構成する複数の室内扁平管55の列と、風下熱交換部80を構成する複数の室内扁平管55の列とからなる、2列の室内扁平管55を有している。
【0089】
以下、説明上の便宜のために、必要に応じて、「第1扁平管56」、「第2扁平管57」、「第1伝熱フィン66」及び「第2伝熱フィン67」の用語を、室内熱交換器51の構成要素を表す用語として使用する。第1扁平管56は、風上熱交換部70の室内扁平管55を意味する。第2扁平管57は、風下熱交換部80の室内扁平管55を意味する。第1伝熱フィン66は、風上熱交換部70の室内フィン60を意味する。第2伝熱フィン67は、風下熱交換部80の室内フィン60を意味する。
図13では、これらの用語の参照符号が記載されている。
【0090】
室内熱交換器51は、複数の第1扁平管56からなる列と、複数の第2扁平管57からなる列とを有する。以下、複数の第1扁平管56からなる列を、第1列76と呼び、複数の第2扁平管57からなる列を、第2列77と呼ぶ。第1列76では、複数の第1扁平管56が上下方向に所定のピッチDPで並んでいる。第2列77では、複数の第2扁平管57が上下方向に所定のピッチDPで並んでいる。第1列76におけるピッチDPは、第2列77におけるピッチDPと同じである。第1列76及び第2列77は、室内空気流れ方向に沿って並んでいる。
【0091】
室内熱交換器51は、第1伝熱フィン66と、第2伝熱フィン67とを有する。第1伝熱フィン66には、第1列76の複数の第1扁平管56が接合されている。第2伝熱フィン67には、第2列77の複数の第2扁平管57が接合されている。第1伝熱フィン66は、上下方向の上側の端である第1端66aと、上下方向の下側の端である第2端66bとを有する。第2伝熱フィン67は、上下方向の上側の端である第3端67aと、上下方向の下側の端である第4端67bとを有する。第1伝熱フィン66の第1端66aと第2端66bとの間の距離は、第2伝熱フィン67の第3端67aと第4端67bとの間の距離と同じである。
【0092】
以下、説明上の便宜のために、必要に応じて、「第1端近接扁平管56a」、「第2端近接扁平管56b」、「第3端近接扁平管57a」及び「第4端近接扁平管57b」の用語を、室内熱交換器51の構成要素を表す用語として使用する。第1端近接扁平管56aは、第1列76の複数の第1扁平管56の内、上下方向において第1端66aに最も近い第1扁平管56である。第2端近接扁平管56bは、第1列76の複数の第1扁平管56の内、上下方向において第2端66bに最も近い第1扁平管56である。第3端近接扁平管57aは、第2列77の複数の第2扁平管57の内、上下方向において第3端67aに最も近い第2扁平管57である。第4端近接扁平管57bは、第2列77の複数の第2扁平管57の内、上下方向において第4端67bに最も近い第2扁平管57である。
【0093】
図13には、第1距離D1、第2距離D2、第3距離D3及び第4距離D4が示されている。第1距離D1は、上下方向における、第1端66aと第1中心位置86aとの間の距離である。第1中心位置86aとは、第1端近接扁平管56aの上下方向の中心の位置である。第2距離D2は、上下方向における、第2端66bと第2中心位置86bとの間の距離である。第2中心位置86bとは、第2端近接扁平管56bの上下方向の中心の位置である。第3距離D3は、上下方向における、第3端67aと第3中心位置87aとの間の距離である。第3中心位置87aとは、第3端近接扁平管57aの上下方向の中心の位置である。第4距離D4は、上下方向における、第4端67bと第4中心位置87bとの間の距離である。第4中心位置87bとは、第4端近接扁平管57bの上下方向の中心の位置である。
【0094】
室内熱交換器51では、第1距離D1はDP×aであり、第2距離D2はDP×bであり、第3距離D3はDP×bであり、第4距離D4はDP×aである。DPは、第1列76における第1扁平管56のピッチ、かつ、第2列77における第2扁平管57のピッチである。a及びbは、0.1<a<1、かつ、0.1<b<1、かつ、a<b、かつ、a+b<1の関係を満たす変数である。
【0095】
変数a,bは、0.2≦a<0.5の関係をさらに満たすことが好ましく、0.2≦a<0.4の関係をさらに満たすことがより好ましい。この場合、0.4≦b<0.8の関係をさらに満たすことが好ましく、0.5≦b<0.8の関係をさらに満たすことがより好ましい。特に、0.3≦b−a≦0.5の関係をさらに満たすことが好ましい。なお、
図11及び
図13には、aが0.2であり、かつ、bが0.5である状態が示されている。
【0096】
第1距離D1と第4距離D4とが等しいことは、
図13において、第1伝熱フィン66の上側端部の上下方向の寸法と、第2伝熱フィン67の下側端部の上下方向の寸法とが等しいことを意味する。第2距離D2と第3距離D3とが等しいことは、
図13において、第1伝熱フィン66の下側端部の上下方向の寸法と、第2伝熱フィン67の上側端部の上下方向の寸法とが等しいことを意味する。
【0097】
また、室内熱交換器51では、第1端66a及び第3端67aは、上下方向における位置が同じであり、第2端66b及び第4端67bは、上下方向における位置が同じである。これは、
図13に示されるように、第1伝熱フィン66及び第2伝熱フィン67の上下方向の両端が揃っていることを意味する。なお、第1端66aと第3端67aとの上下方向の距離、及び、第2端66bと第4端67bとの上下方向の距離が、第1伝熱フィン66及び第2伝熱フィン67の寸法公差以内である場合も、第1伝熱フィン66及び第2伝熱フィン67の上下方向の両端が揃っていると見なすことができる。
【0098】
(4)空気調和装置の動作
空気調和装置1は、冷房運転及び暖房運転を行う。冷房運転では、圧縮機8、室外熱交換器11、室外膨張弁12及び室内熱交換器51の順に冷媒が流れる。暖房運転では、圧縮機8、室内熱交換器51、室外膨張弁12及び室外熱交換器11の順に冷媒が流れる。
【0099】
(4−1)冷房運転
冷房運転時では、室外熱交換器11が冷媒の放熱器として機能し、室内熱交換器51が冷媒の蒸発器として機能する。冷房運転時には、
図1の実線で示されるように四路切換弁10の接続状態が切り換えられる。冷媒回路6において、冷媒サイクルの低圧のガス冷媒は、室外ユニット2の圧縮機8に吸入され、冷媒サイクルの高圧になるまで圧縮された後に吐出される。圧縮機8から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁10を通って、室外熱交換器11に送られる。高圧のガス冷媒は、室外熱交換器11において、室外ファン15によって冷却源として供給される室外空気と熱交換を行って放熱して、高圧の液冷媒になる。高圧の液冷媒は、室外膨張弁12を通過する際に、冷媒サイクルにおける低圧になるまで減圧され、低圧の気液二相状態の冷媒となる。低圧の気液二相状態の冷媒は、液側閉鎖弁13及び液冷媒連絡管4を通って、室内ユニット3に送られる。
【0100】
室内ユニット3に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、室内熱交換器51において、室内ファン52によって加熱源として供給される室内空気と熱交換を行って蒸発する。これにより、室内熱交換器51を通過する空気が冷却されて、室内の冷房が行われる。この際に、室内熱交換器51を通過する空気に含まれる水分が凝縮して、室内熱交換器51の表面に結露水が生じる。室内熱交換器51において蒸発した低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡管5を通って、室外ユニット2に送られる。
【0101】
室外ユニット2に送られた低圧のガス冷媒は、ガス側閉鎖弁14、四路切換弁10及びアキュムレータ7を通って、圧縮機8に再び吸入される。
【0102】
(4−2)暖房運転
暖房運転時では、室外熱交換器11が冷媒の蒸発器として機能し、室内熱交換器51が冷媒の放熱器として機能する。暖房運転時には、
図1の破線で示されるように四路切換弁10の接続状態が切り換えられる。冷媒回路6において、冷媒サイクルの低圧のガス冷媒は、室外ユニット2の圧縮機8に吸入され、冷媒サイクルの高圧になるまで圧縮された後に吐出される。圧縮機8から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁10、ガス側閉鎖弁14及びガス冷媒連絡管5を通って、室内ユニット3に送られる。
【0103】
室内ユニット3に送られた高圧のガス冷媒は、室内熱交換器51において、室内ファン52によって冷却源として供給される室内空気と熱交換を行って放熱して、高圧の液冷媒になる。これにより、室内熱交換器51を通過する空気が加熱されて、室内の暖房が行われる。室内熱交換器51で放熱した高圧の液冷媒は、液冷媒連絡管4を通って、室外ユニット2に送られる。
【0104】
室外ユニット2に送られた高圧の液冷媒は、液側閉鎖弁13を通り、室外膨張弁12において冷媒サイクルの低圧まで減圧されて、低圧の気液二相状態の冷媒になる。低圧の気液二相状態の冷媒は、室外熱交換器11において、室外ファン15によって加熱源として供給される室外空気と熱交換を行って蒸発して、低圧のガス冷媒になる。低圧のガス冷媒は、四路切換弁10及びアキュムレータ7を通って、圧縮機8に再び吸入される。
【0105】
(5)特徴
(5−1)
一般的に、扁平管が複数列配置されたフィンアンドチューブ式の熱交換器では、扁平管は、格子状に配置されるよりも、千鳥状に配置される方が、伝熱特性の観点からは好ましい。扁平管が格子状に配置される場合、隣り合う2つの列の扁平管の位置(列内の扁平管の並び方向における位置)は同じである。この場合、熱交換器を通過する空気の流れ方向の最も上流側にある扁平管の死水域に、より下流側にある扁平管の先端(上流側の端部)が入るため、最も上流側にある扁平管以外の扁平管の熱伝達率が低下する傾向がある。一方、扁平管が千鳥状に配置される場合、隣り合う2つの列の扁平管の位置は互いに異なっている。この場合、熱交換器を通過する空気の流れ方向の最も上流側にある扁平管の死水域に、より下流側にある扁平管の先端(上流側の端部)が入りにくくなるため、最も上流側にある扁平管以外の扁平管の熱伝達率の低下が抑制される。
【0106】
しかし、扁平管が千鳥状に複数列配置された熱交換器では、扁平管の配列パターンによっては、フィン端部寸法が長くなる場合がある。ここで、フィン端部寸法は、伝熱フィンの長手方向の端部と、当該端部に最も近い扁平管の厚み方向中心との間の距離である。伝熱フィンの伝導率は無限大ではないため、伝熱フィンの温度は領域によって異なる。具体的には、扁平管から離れている領域は、扁平管により近い領域と比べて、冷媒が流れる扁平管の熱が伝達されにくい。そのため、フィン端部寸法が長くなるほど、フィン効率が低下する傾向がある。
【0107】
本実施形態の室内熱交換器51及びこれを備える空気調和装置1では、フィン端部寸法に相当する第1距離D1、第2距離D2、第3距離D3及び第4距離D4が所定の関係を満たす。具体的には、第1距離D1はDP×aであり、第2距離D2はDP×bであり、第3距離D3はDP×bであり、第4距離D4はDP×aである。DPは、第1列76における第1扁平管56のピッチ、かつ、第2列77における第2扁平管57のピッチである。a及びbは、0.1<a<1、かつ、0.1<b<1、かつ、a<b、かつ、a+b<1の関係を満たす変数である。変数a及びbがa+b<1の関係を満たすことにより、第1距離D1、第2距離D2、第3距離D3及び第4距離D4に上限が設けられる。これにより、室内フィン60のフィン端部寸法が長くなりすぎることが抑制される。その結果、扁平管が千鳥状に複数列配置された熱交換器におけるフィン効率の低下が抑制される。このように第1距離D1、第2距離D2、第3距離D3及び第4距離D4の上限を設定することがフィン効率の低下の抑制のために良好であることは、変数a,bの値を変化させた場合における室内フィン60のフィン性能の解析データにより明らかとなった。
図14は、室内フィン60のフィン性能のデータの具体例である。
図14には、0.1<a<1、かつ、0.1<b<1、かつ、a<b、かつ、a+b<1の関係を満たすように変数a,bを設定した場合における、室内フィン60のフィン性能が数値で表されている。
図14において、上記の関係を満たさない変数a,bに対応するセルには斜線が引かれている。ここで、フィン性能とは、室内扁平管55(具体的には、第1端近接扁平管56a、第2端近接扁平管56b、第3端近接扁平管57a及び第4端近接扁平管57b)の熱伝達率と、室内フィン60のフィン効率とから算出されるパラメータである。
図14には、変数aが0.4であり、かつ、変数bが0.5である場合におけるフィン性能を100.0とした場合におけるフィン性能が示されている。フィン性能が100.0である場合、室内フィン60は、銅クロスフィンと同等のフィン性能を有する。
図14に示されるように、変数a,bが、0.1<a<1、かつ、0.1<b<1、かつ、a<b、かつ、a+b<1の関係を満たしている場合、室内フィン60は、銅クロスフィンと同等又はそれ以上のフィン性能を有する。
【0108】
従って、室内熱交換器51は、第1距離D1、第2距離D2、第3距離D3及び第4距離D4に上限を設けることで、室内フィン60の端部と、当該端部に最も近い室内扁平管55との間の距離を抑えて、室内フィン60のフィン効率の低下を抑制させることが可能になる。
【0109】
なお、変数a,bが0.1以下の場合、室内フィン60のフィン端部寸法が短くなるので、室内フィン60の端部に位置するフィンカラー部65aに室内扁平管55を挿入しにくくなったり、室内扁平管55を挿入できなくなったりする。そのため、変数a,bを0.1より大きい値に設定して、第1距離D1、第2距離D2、第3距離D3及び第4距離D4に下限を設けることで、室内熱交換器51を組み立てる際に、室内フィン60と室内扁平管55との接合を効率的に行うことができる。
【0110】
(5−2)
本実施形態の室内熱交換器51及びこれを備える空気調和装置1では、
図13に示されるように、第1距離D1はDP×aであり、第2距離D2はDP×bであり、第3距離D3はDP×bであり、第4距離D4はDP×aである。変数a及びbは、0.1<a<1、かつ、0.1<b<1、かつ、a<b、かつ、a+b<1の関係を満たす。
【0111】
この場合、変数a,bは、0.2≦a<0.5の関係をさらに満たすことが好ましく、0.2≦a<0.4の関係をさらに満たすことがより好ましい。この場合、0.4≦b<0.8の関係をさらに満たすことが好ましく、0.5≦b<0.8の関係をさらに満たすことがより好ましい。特に、0.3≦b−a≦0.5の関係をさらに満たすことが好ましい。このように変数a,bの範囲を設定することがフィン効率の低下の抑制のために良好であることは、変数a,bの値を変化させた解析データにより明らかとなった。具体的には、
図14に示されるように、変数a,bが、0.3≦b−a≦0.5の関係をさらに満たしている場合、室内フィン60のフィン性能は101.0より大きい値を示すので、室内フィン60は、特に高いフィン性能を有する。
【0112】
室内扁平管55の熱伝達率、及び、室内フィン60のフィン効率の観点からは、a<bの場合、変数aとbとの差b−aには、適切な上限及び下限が設定されることが好ましい理由について、以下に説明する。
【0113】
室内熱交換器51では、変数aとbとの差b−aが小さいほど、異なる列間における室内扁平管55のずれが小さくなる。言い換えると、第1列76の第1扁平管56と、当該第1扁平管56に最も近い、第2列77の第2扁平管57との間の上下方向の距離が、差b−aが小さいほど、短くなる。そのため、差b−aが小さいほど、風上側の第1扁平管56の死水域に、風下側の第2扁平管57の端部が入りやすくなるので、第2扁平管57の熱伝達率が低下しやすくなる。
【0114】
一方、室内熱交換器51では、変数aとbとの差b−aが大きいほど、変数bの値が大きくなり、第2距離D2及び第3距離D3が長くなる傾向がある。その結果、室内フィン60のフィン端部寸法が長くなるので、室内フィン60のフィン効率が低下しやすくなる。
【0115】
従って、室内熱交換器51では、差b−aに上限及び下限を設定することで、第2扁平管57の熱伝達率の低下を抑制しつつ、室内フィン60のフィン効率の低下を抑制することが可能となる。
【0116】
なお、室内熱交換器51では、変数aとbとの差b−aが大きいほど、変数aの値が小さくなり、第1距離D1及び第4距離D4が短くなる傾向がある。その結果、室内フィン60のフィン端部寸法が短くなるので、室内フィン60の端部に位置するフィンカラー部65aに室内扁平管55を挿入しにくくなったり、室内扁平管55を挿入できなくなったりする。そのため、差b−aに上限を設定することで、室内熱交換器51を組み立てる際に、室内フィン60と室内扁平管55との接合を効率的に行うことができる。
【0117】
(5−3)
本実施形態の室内熱交換器51では、
図13に示されるように、第1伝熱フィン66及び第2伝熱フィン67の上下方向の両端部が揃っている。第1伝熱フィン66及び第2伝熱フィン67の上下方向の両端部が揃っていない場合、第1伝熱フィン66及び第2伝熱フィン67の一方の端部が、他方の端部よりも上下方向に突出する。この突出している部分は、扁平管の熱が特に伝達されにくい領域である。そのため、室内熱交換器51は、第1伝熱フィン66及び第2伝熱フィン67の両端部が揃っていることにより、室内フィン60のフィン効率の低下を抑制することが可能となる。
【0118】
(5−4)
本実施形態の室内熱交換器51は、2列の室内扁平管55を有しているため、室内熱交換器51で生じる結露水の内、風上熱交換部70で生じた結露水は、風上熱交換部70と風下熱交換部80との間の部分、又は、風下熱交換部80において下方に排水される。このように、室内扁平管55の列が1つのみの場合よりも、室内扁平管55の列が複数ある場合の方が、結露水の排水経路をより多く確保することができる。そのため、室内熱交換器51は、室内扁平管55の列を複数有することで、結露水の排水性を向上させることが可能となる。
【0119】
また、風下熱交換部80には、風上熱交換部70を通過する際に風上熱交換部70において結露水を生じさせることで乾き度が増した空気が供給されるため、風下熱交換部80で生じる結露水が少なく抑えられる。その結果、風下熱交換部80の風下側端部からの結露水の飛散が抑制される。そのため、室内熱交換器51は、室内扁平管55の列を複数有することで、結露水の飛散を抑制することが可能となる。
【0120】
(5−5)
本実施形態の室内熱交換器51では、室内フィン60は、室内扁平管55の風下側に室内連通部64を有している。このため、室内扁平管55で生じた結露水は、室内扁平管55の風下側に位置している室内連通部64を伝いながら下方に排出されやすい。そのため、室内扁平管55の風下側に室内連通部64を設けることで、室内フィン60の風下側の端部からの結露水の飛散が抑制される。
【0121】
(5−6)
本実施形態の室内熱交換器51では、室内フィン60は、室内空気流れ方向に開口が生じるように切り起こされたメインスリット62及び連通位置スリット63を有している。このため、室内熱交換器51に供給される空気を、室内フィン60に十分に接触させることができるので、空気熱源を十分に利用することが可能となる。
【0122】
なお、メインスリット62及び連通位置スリット63の上端は、それらの上方に位置する室内扁平管55の下端近傍に位置している。そのため、当該室内扁平管55において生じた結露水が、メインスリット62及び連通位置スリット63に捕らえられやすいので、結露水が排出されやすい。特に、
図12に示される距離DSが1mm以下に設計されることにより、室内扁平管55の下側扁平面55b側における結露水の滞留がより効果的に抑制されるので、結露水の排水性が向上する。
【0123】
(6)変形例
(6−1)変形例A
上記実施形態では、室内フィン60の風下側(室内空気流れ方向の下流側)の端部は、平坦な形状である。しかし、室内フィン60の風下側端部の形状は、平坦な形状に限られない。例えば、以下に述べるように、室内フィン60は、風下側端部に沿うように延びた導水リブ99を有してもよい。
【0124】
図15は、室内フィン60aと室内扁平管55との位置関係を示す説明図である。
図16は、室内フィン60aが有する導水リブ99の断面図であって、
図15のB−B断面の内の風下側近傍部分の説明図である。
【0125】
本変形例に係る室内熱交換器51は、上記実施形態と同様に、風上熱交換部70と風下熱交換部80とを有している。風上熱交換部70及び風下熱交換部80のそれぞれの室内フィン60aは、導水リブ99を有している。導水リブ99は、室内フィン60aの風下側に設けられた室内連通部64の風下側端部に沿うように、上下方向に延びている。導水リブ99は、
図16に示されるように、周囲の主面61に対して、室内フィン60aの板厚方向に向かって凹むように構成されている。導水リブ99は、室内フィン60aの板厚以上に凹んで構成されていることが好ましい。
【0126】
このように、室内フィン60aに導水リブ99を設けることで、室内熱交換器51において生じた結露水は導水リブ99に捕らえられるので、導水リブ99を伝って下方に結露水が導かれやすくなる。このため、室内フィン60aの風下側端部に結露水が到達することが抑制され、結露水の飛散が効果的に抑制される。
【0127】
導水リブ99は、室内連通部64の室内空気流れ方向の幅の半分よりも風下側に設けられていることが好ましい。導水リブ99は、室内連通部64の室内空気流れ方向の幅の内、風下側端部から20%以内の位置に設けられていることがより好ましい。
【0128】
なお、導水リブ99を有する室内フィン60aにおいて、室内連通部64の室内空気流れ方向における幅WLと、室内フィン60の室内空気流れ方向における幅WFとは、0.2≦WL/WFの関係を満たしていることが好ましい。
【0129】
(6−2)変形例B
上記実施形態では、室内熱交換器51は、風上熱交換部70と風下熱交換部80とを有しており、室内空気流れ方向において室内扁平管55が2列に並んで設けられている。しかし、室内熱交換器51が備える室内扁平管55は、2列に限られるものではなく、3列以上であってもよい。室内扁平管55の列の数を増やすことで、結露水の排水経路をより多く確保することができるので、室内熱交換器51の風下側端部からの結露水の飛散をより効果的に抑制することが可能となる。
【0130】
(6−3)変形例C
変形例Bにおいて、室内熱交換器51が3列以上の室内扁平管55を備える場合、第1列76の複数の第1扁平管56と、第2列77の複数の第2扁平管57とを、室内空気流れ方向に沿って交互に配置することで、室内扁平管55が千鳥状に複数列配置されてもよい。具体的には、室内熱交換器51が3列の室内扁平管55を備える場合、風上側から風下側に向かって、第1列76、第2列77、第1列76の順番に、室内扁平管55が複数列配置される。すなわち、室内空気流れ方向において、第1列76は、第2列77の隣に配置され、第2列77は、第1列76の隣に配置されている。
【0131】
この場合、室内熱交換器51を組み立てる際に、最初に、第1列76の複数の第1扁平管56が接合される第1伝熱フィン66、及び、第2列77の複数の第2扁平管57が接合される第2伝熱フィン67を、室内扁平管55の列の数に応じて用意する。次に、室内扁平管55の列ごとに、熱交換器を仮組み立てする。具体的には、並べられた複数の第1伝熱フィン66のフィンカラー部に複数の第1扁平管56を挿入し、及び、並べられた複数の第2伝熱フィン67のフィンカラー部に複数の第2扁平管57を挿入する。そして、複数の第1扁平管56の端部、及び、複数の第2扁平管57の端部をヘッダに挿入する。ここで、ヘッダとは、液側ヘッダ81、ガス側ヘッダ71及び折返しヘッダ59である。これにより、室内扁平管55の列ごとに、熱交換器が仮組み立てされる。次に、仮組み立てされた熱交換器を重ねて炉中ロウ付けする。これにより、室内扁平管55が千鳥状に複数列配置された室内熱交換器51が組み立てられる。
【0132】
なお、室内熱交換器51が複数列の室内扁平管55を備える場合、最も風上側に第2列77が配置されてもよい。例えば、室内熱交換器51が2列の室内扁平管55を備える場合、風上側から風下側に向かって、第2列77、第1列76の順番に、室内扁平管55が配置されてもよい。また、室内熱交換器51が3列の室内扁平管55を備える場合、風上側から風下側に向かって、第2列77、第1列76、第2列77の順番に、室内扁平管55が配置されてもよい。
【0133】
(6−4)変形例D
上記実施形態では、室内熱交換器51の室内フィン60は、メインスリット62及び連通位置スリット63を有している。メインスリット62及び連通位置スリット63は、室内フィン60の主面61に対して板厚方向の一方側にスリット全体が位置するように切り起こされて構成されている。
【0134】
しかし、室内フィン60に形成されるメインスリット62及び連通位置スリット63の切り起こし方は、これに限られない。例えば、メインスリット62及び連通位置スリット63の代わりに、例えば、ルーバーと称される構造が採用されてもよい。ルーバーとは、切り起こされて構成されるスリットの一種である。例えば、ルーバーの風上側端部は、室内フィン60の主面61の板厚方向の一方の側に位置し、ルーバーの風下側端部は、室内フィン60の主面61の板厚方向の他方の側に位置している。
【0135】
(6−5)変形例E
上記実施形態では、室内フィン60は、メインスリット62と、連通位置スリット63とを有している。メインスリット62及び連通位置スリット63は、平坦な主面61から板厚方向の同じ側に切り起こされることで、風上側及び風下側のそれぞれにおいて開口を形成する。すなわち、第1伝熱フィン66のメインスリット62及び連通位置スリット63は、第2伝熱フィン67のメインスリット62及び連通位置スリット63と同じ側に切り起こされている。
【0136】
しかし、第1伝熱フィン66のメインスリット62及び連通位置スリット63は、第2伝熱フィン67のメインスリット62及び連通位置スリット63とは反対側に切り起こされていてもよい。以下において、第1伝熱フィン66のメインスリット62及び連通位置スリット63を、それぞれ、第1メインスリット62a及び第1連通位置スリット63aと呼ぶ。また、第2伝熱フィン67のメインスリット62及び連通位置スリット63を、それぞれ、第2メインスリット62b及び第2連通位置スリット63bと呼ぶ。この場合、第1メインスリット62aの立ち上げ向き、及び、第2メインスリット62bの立ち上げ向きは、互いに逆方向となっている。また、第1連通位置スリット63aの立ち上げ向き、及び、第2連通位置スリット63bの立ち上げ向きは、互いに逆方向となっている。
【0137】
本変形例の上記の構成は、室内熱交換器51を組み立てる際に、第1伝熱フィン66及び第2伝熱フィン67を交互に並べる作業を以下に説明するように行うことで実現される。この作業では、最初に、所定の方向に沿って搬送される複数のフィンプレート160が所定の位置で切断されて室内フィン60が作成される。
図17は、フィンプレート160の切断位置を示す説明図である。
図17では、フィンプレート160の搬送方向が矢印で示され、フィンプレート160の切断位置が点線で示されている。
図17において、4枚のフィンプレート160は、全て同じ位置で切断される。フィンプレート160の切断位置は、室内フィン60の長手方向の両端に相当する。フィンプレート160は、長手方向に沿って配置される複数のフィンカラー部65aを有している。
図17では、メインスリット62及び連通位置スリット63は省略されている。
【0138】
図17に示されるように、フィンプレート160は、長手方向において隣り合う2つのフィンカラー部65aの間において、第1切断位置CP1及び第2切断位置CP2で切断される。第1切断位置CP1及び第2切断位置CP2は、フィンプレート160の長手方向において、所定の間隔で設定される。第1切断位置CP1及び第2切断位置CP2は、フィンプレート160の搬送方向においてフィンカラー部65aと重ならない位置にある。第1切断位置CP1及び第2切断位置CP2は、フィンプレート160の搬送方向において互いに異なっている。フィンプレート160の搬送方向において、第1切断位置CP1は、第2切断位置CP2の上流側にある。以下において、第1切断位置CP1と、第1近接フィンカラー部65a1の搬送方向の中心位置との間の距離を、第1フィン端部寸法D11と呼ぶ。第1近接フィンカラー部65a1は、複数のフィンカラー部65aの内、第1切断位置CP1の上流側において、第1切断位置CP1に最も近いフィンカラー部65aである。また、第2切断位置CP2と、第2近接フィンカラー部65a2の搬送方向の中心位置との間の距離を、第2フィン端部寸法D12と呼ぶ。第2近接フィンカラー部65a2は、複数のフィンカラー部65aの内、第2切断位置CP2の下流側において、第2切断位置CP2に最も近いフィンカラー部65aである。
【0139】
フィンプレート160では、第1フィン端部寸法D11は、DPf×a及びDPf×bの一方であり、第2フィン端部寸法D12は、DPf×a及びDPf×bの他方である。
図17では、第1フィン端部寸法D11は、DPf×aであり、第2フィン端部寸法D12は、DPf×bである。DPfは、フィンカラー部65aのピッチである。フィンカラー部65aのピッチとは、フィンプレート160の搬送方向において、隣り合う2つのフィンカラー部65aの中心位置の間の距離である。また、a及びbは、0.1<a<1、かつ、0.1<b<1、かつ、a<b、かつ、a+b<1の関係を満たす変数である。
【0140】
第1切断位置CP1及び第2切断位置CP2は、フィンプレート160の搬送方向において互いに異なっている。そのため、第1フィン端部寸法D11と第2フィン端部寸法D12との和であるDPf×(a+b)は、フィンカラー部65aのピッチであるDPfより短い。そのため、変数aと変数bとの和a+bは1未満である。従って、フィンプレート160の切断工程では、フィンプレート160の第1切断位置CP1及び第2切断位置CP2は、0.1<a<1、かつ、0.1<b<1、かつ、a<b、かつ、a+b<1の関係を満たすように設定される。
【0141】
これにより、室内フィン60の一方のフィン端部寸法はDPf×aとなり、他方のフィン端部寸法はDPf×bとなる。ここで、フィン端部寸法とは、室内フィン60の長手方向の端部と、当該端部に最も近いフィンカラー部65aの中心との間の距離である。ここで、フィンカラー部65aの中心は、室内フィン60の長手方向における中心を意味する。
【0142】
室内熱交換器51では、
図13に示されるように、第1伝熱フィン66の第1距離D1、及び、第2伝熱フィン67の第4距離D4は、DP×aであり、かつ、第1伝熱フィン66の第2距離D2、及び、第2伝熱フィン67の第3距離D3は、DP×bである。ここで、DPは、第1列76における第1扁平管56のピッチ、かつ、第2列77における第2扁平管57のピッチである。そして、DPは、フィンカラー部65aのピッチであるDPfに等しい。そのため、第1伝熱フィン66及び第2伝熱フィン67として、フィンプレート160の上記の切断工程で作成された室内フィン60を利用することができる。具体的には、フィンプレート160を切断して得られた室内フィン60を次に説明するように配置することで、
図13に示されるように第1伝熱フィン66及び第2伝熱フィン67を並べることができる。
【0143】
図18は、第1切断位置CP1及び第2切断位置CP2でフィンプレート160を切断して得られた室内フィン60の並べ方の説明図である。
図18には、室内空気流れ方向が矢印で示されている。ここでは、室内空気流れ方向において室内扁平管55が4列配置されている室内熱交換器51を組み立てるとする。この場合、
図18に示されるように、室内空気流れ方向において4枚の室内フィン60が並べられる。以下、室内空気流れ方向の上流側から下流側に向かって、1列目、2列目、3列目及び4列目の室内フィン60と呼ぶ。4枚の室内フィン60は、奇数列目(1列目及び3列目)の室内フィン60と、偶数列目(2列目及び4列目)の室内フィン60とが、上下方向において互いに反対向きになるように並べられる。すなわち、1列目の室内フィン60、及び、3列目の室内フィン60の上端は、第1切断位置CP1の切断位置における端に相当し、下端は、第2切断位置CP2の切断位置における端に相当する。また、2列目の室内フィン60、及び、4列目の室内フィン60の上端は、第2切断位置CP2の切断位置における端に相当し、下端は、第1切断位置CP1の切断位置における端に相当する。
【0144】
これにより、
図18に示されるように、室内空気流れ方向の上流側から下流側に沿って、第1フィン端部寸法D11の室内フィン60端部と、第2フィン端部寸法D12の室内フィン60端部とが交互に配置される。その結果、奇数列目の室内フィン60は、第1伝熱フィン66となり、偶数列目の室内フィン60は、第2伝熱フィン67となる。また、4枚の室内フィン60を並べる際には、4枚の室内フィン60の両端部が揃えられる。このように並べられた4枚の室内フィン60に室内扁平管55が接合されることで、効率的に、室内扁平管55を千鳥状に複数列配置することができる。
【0145】
以上説明したように、奇数列目の室内フィン60と、偶数列目の室内フィン60とを、上下方向において互いに反対向きになるように配置することで、室内空気流れ方向において第1伝熱フィン66及び第2伝熱フィン67を交互に並べることができる。その結果、第1メインスリット62aの立ち上げ向き、及び、第2メインスリット62bの立ち上げ向きは、互いに逆方向となる。また、第1連通位置スリット63aの立ち上げ向き、及び、第2連通位置スリット63bの立ち上げ向きは、互いに逆方向となる。
【0146】
(6−6)変形例F
上記実施形態では、室内熱交換器51は、千鳥状に複数列配置された室内扁平管55を備えている。しかし、室外熱交換器11が、千鳥状に複数列配置された室外扁平管90を備えていてもよい。また、空気調和装置1以外の冷媒サイクルを備える装置に用いられる熱交換器が、千鳥状に複数列配置された扁平管を備えていてもよい。この場合、室外熱交換器11、及び、冷媒サイクルを備える他の装置の熱交換器は、室内熱交換器51と同様の扁平管の配列パターンを有することができる。具体的には、これらの熱交換器においても、
図13に示されるように、第1距離D1はDP×aであり、第2距離D2はDP×bであり、第3距離D3はDP×bであり、第4距離D4はDP×aである。さらに、変数a及びbは、0.1<a<1、かつ、0.1<b<1、かつ、a<b、かつ、a+b<1の関係を満たす。これにより、室外熱交換器11、及び、冷媒サイクルを備える他の装置の熱交換器においても、フィン効率の低下を抑制させることが可能になる。
【0147】
(7)むすび
以上、本開示の実施形態及び変形例を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。