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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-215270(P2019-215270A)
(43)【公開日】2019年12月19日
(54)【発明の名称】踏力検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/22 20060101AFI20191122BHJP
【FI】
   G01L5/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-112905(P2018-112905)
(22)【出願日】2018年6月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】和賀 聡
(72)【発明者】
【氏名】ユータルビロフ ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ミショ ジェレミー ヤンニック
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AA01
2F051AB09
2F051BA07
(57)【要約】
【課題】ワイヤーハーネスの断線のリスクが低く、組立が容易であり、ワイヤーハーネスに要する製造コストが低い踏力検出装置を提供すること。
【解決手段】
踏力を受けるペダル2と、一端に前記ペダルを有するペダルアーム3と、ペダルアーム3の他端側に設けられたシャフト4と、シャフト4を保持する保持部7を有しており、保持部7に保持されたシャフト4を回転軸として、ペダルアーム3が回転可能に取り付けられるハウジング5と、踏力を検出する踏力検出部6とを備えており、ハウジング5に設けられた踏力検出部6がハウジング5の歪みに基づいて踏力を検出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
踏力を受けるペダルと、
一端に前記ペダルを有するペダルアームと、
前記ペダルアームの他端側に設けられたシャフトと、
前記シャフトを保持する保持部を有しており、前記保持部に保持された前記シャフトを回転軸として、前記ペダルアームが回転可能に取り付けられたハウジングと、
前記踏力を検出する踏力検出部と、を備えており、
前記踏力検出部が前記ハウジングに設けられ、前記ハウジングの歪みに基づいて前記踏力を検出することを特徴とする
踏力検出装置。
【請求項2】
前記シャフトが、前記ペダルアームの両側にそれぞれ突出しており、
前記ハウジングが前記保持部を二つ有しており、二つの前記保持部のそれぞれが両側に突出した前記シャフトを保持している
請求項1に記載の踏力検出装置。
【請求項3】
前記踏力検出部が、前記シャフトと前記保持部との間に配置されている
請求項1に記載の踏力検出装置。
【請求項4】
前記ハウジングが薄肉部を有しており、前記踏力検出部が、前記薄肉部に配置されている
請求項1に記載の踏力検出装置。
【請求項5】
前記踏力検出部は、
一方の面に歪み量の変化にともなって抵抗値が変化する歪み抵抗が形成され、他方の面に前記歪み抵抗の抵抗値を電圧値に変換する変換回路が形成された回路基板を有し、
前記回路基板は、前記一方の面または前記他方の面が、前記ハウジングから離れた状態で、前記ハウジングに対向し、前記ハウジングの歪みに対応して歪みが生じるように前記ハウジングに固定されており、
前記歪み抵抗の抵抗値を前記変換回路が変換した電圧値から前記踏力を算出する演算部を備えている
請求項1に記載の踏力検出装置。
【請求項6】
前記歪み抵抗が、ホイートストンブリッジを構成している
請求項5に記載の踏力検出装置。
【請求項7】
前記踏力検出部が、カバー部材を有し、
前記カバー部材が、前記ハウジングの面に対向する対向面と、前記対向面の周囲を取り囲む側面と、前記側面の前記対向面とは反対側の開口と、前記対向面、前記側面および前記開口により囲まれた収納部と、を有し、
前記回路基板は、前記一方の面または前記他方の面が前記開口を臨んで、前記収納部内の前記対向面に固定されており、
前記カバー部材は、前記対向面が前記ハウジングの表面に対向して、前記ハウジングに固定されている
請求項5に記載の踏力検出装置。
【請求項8】
前記踏力検出部が、歪み量の変化にともなって抵抗値が変化する歪み抵抗を有しており、前記ハウジングの表面に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の踏力検出装置。
【請求項9】
前記ペダルの移動量を検出可能な移動量検出装置と、
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の踏力検出装置と、を備えたペダル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のブレーキペダルなど足で踏む動作によって操作を行うペダルに加えられた踏力を検出する踏力検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の自動運転化に対する要求の高まりに伴い、ブレーキに対しても高い冗長性が求められている。すなわち、何らかの異常が発生した場合にもブレーキペダルに加えられた踏力を検知可能とする予備的な機構を設けることが求められている。特許文献1には、踏力に基づいて電気制御でブレーキをかける電動ブレーキ装置において、ブレーキ時の踏力をより正確に検出するための機構を備えたブレーキ踏力検出装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−260828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のブレーキ踏力検出装置は、ブレーキペダルの可動部であるパッドに設置されている。このため、固定部に固定されたコネクタに接続するため、電気の供給や出力の伝送に用いられるワイヤーハーネス(電線)をブレーキペダルおよびブレーキアームなどの可動部に引き回して固定しなければならない。ワイヤーハーネスを可動部に引き回すことは、断線のリスク(危険)が高くなる、組立が複雑になる、製造コストが高くなるなど種々の問題の原因となり得る。
本発明の目的は、ワイヤーハーネスの断線のリスクが低く、組立が容易であり、ワイヤーハーネスに要する製造コストが低い踏力検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する手段として、本発明は以下の構成を備えている。
踏力を受けるペダルと、一端に前記ペダルを有するペダルアームと、前記ペダルアームの他端側に設けられたシャフトと、前記シャフトを保持する保持部を有しており、前記保持部に保持された前記シャフトを回転軸として、前記ペダルアームが回転可能に取り付けられたハウジングと、前記踏力を検出する踏力検出部と、を備えており、前記踏力検出部が前記ハウジングに設けられ、前記ハウジングの歪みに基づいて前記踏力を検出することを特徴とする踏力検出装置。
【0006】
踏力検出部は、ハウジングに取り付けられ、ハウジングの歪みに基づいてペダルに加えられた踏力を検出する。このため、ペダル、ペダルアームおよびシャフトのような可動部に引き回して、踏力検出部の検出結果を出力するための配線を設ける必要がない。ハウジングは自動車等に固定されるから、踏力検出部をハウジングに取り付けることにより、ペダルアームの動きに伴って踏力検出部の自動車等に対する位置が変化しない。したがって、ペダルなどの可動部に取り付けられた場合よりも、配線に断線が発生するリスク(危険)が低くなる。また、配線をまとめたワイヤーハーネスを可動部に引き回す必要がないから、組み立てが容易になり、ワイヤーハーネスに要するコストを抑制できる。
【0007】
踏力検出装置は、前記シャフトが、前記ペダルアームの両側にそれぞれ突出しており、前記ハウジングが前記保持部を二つ有しており、二つの前記保持部のそれぞれが両側に突出した前記シャフトを保持していることが好ましい。
【0008】
ハウジングが二つの保持部によってシャフトの両端を保持する構成により、ペダルアームからの力を分散できるから、ハウジングが破壊される危険が小さくなる。また、ペダルアームの両側に設けられたシャフトは、片側にのみ設けられたシャフトよりも、ペダルアームからの力によるシャフト自体に生じる撓みが小さくなる。したがって、ペダルを踏み込んだときのフィーリングが良好になり、また、踏力を確実にハウジングに伝えることができる。
【0009】
前記踏力検出部が、前記シャフトと前記保持部との間に配置されていてもよい。シャフトと保持部との間に踏力検出部を配置すれば、踏力検出部によってペダルアームからシャフトに加えられた力を受ける部分の歪みを検出することができる。
【0010】
前記ハウジングが薄肉部を有しており、前記踏力検出部が前記薄肉部に配置された構成としても良い。
この構成によれば、ペダルアームからハウジングに加えられた力が薄肉部に集中するから、薄肉部に配置された踏力検出部によって踏力を検出することが容易になる。
【0011】
前記踏力検出部は、一方の面に歪み量の変化にともなって抵抗値が変化する歪み抵抗が形成され、他方の面に前記歪み抵抗の抵抗値を電圧値に変換する変換回路が形成された回路基板を有し、前記回路基板は、前記一方の面または前記他方の面が、前記ハウジングから離れた状態で、前記ハウジングに対向し、前記ハウジングの歪みに対応して歪みが生じるように前記ハウジングに固定されており、前記歪み抵抗の抵抗値を前記変換回路が変換した電圧値から前記踏力を算出する演算部を備えた構成としてもよい。
前記歪み抵抗が、ホイートストンブリッジを構成していてもよい。
この構成によれば、歪み抵抗の抵抗値の変化に基づいてハウジングの歪みに応じた回路基板の変形を検知し、踏力を算出することができる。
【0012】
前記踏力検出部が、カバー部材を有し、前記カバー部材が、前記ハウジングの面に対向する対向面と、前記対向面の周囲を取り囲む側面と、前記側面の前記対向面とは反対側の開口と、前記対向面、前記側面および前記開口により囲まれた収納部と、を有し、前記回路基板は、前記一方の面または前記他方の面が前記開口を臨んで、前記収納部内の前記対向面に固定されており、前記カバー部材は、前記対向面が前記ハウジングの表面に対向して、前記ハウジングに固定されている構成としてもよい。
カバー部材内の収納部に配置することにより、回路基板を保護することができる。
【0013】
前記踏力検出部が、歪み量の変化にともなって抵抗値が変化する歪み抵抗を有しており、前記ハウジングの表面に配置された構成としてもよい。
【0014】
本発明のペダル装置は、前記ペダルの移動量を検出可能な移動量検出装置と、本発明の踏力検出装置と、を備えている。
移動量検出装置および踏力検出装置によりペダルに加えられた操作を検出することで、冗長性の良好なペダル装置となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の踏力検出装置はハウジングの歪みに基づいて踏力を検出するから、自動車などの本体に固定されたハウジングに踏力検出部が設けられる。踏力検出部をハウジングに設けることにより、ペダルやペダルアームなどの可動部に、踏力検出部から外部への出力配線用のワイヤーハーネスを設ける必要がなくなる。ハウジングはペダル操作に伴って本体に対する位置が変化しないから、ペダル操作によって出力配線に断線が発生するリスク(危険)が低くなる。また、可動部に配線を設ける必要がなくなることにより、組み立てが容易になり、配線のワイヤーハーネスに要するコストを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る踏力検出装置の構造を概略的に示す側面図
図2】本発明の実施形態に係る踏力検出装置の構造を概略的に示す平面図
図3】本発明の実施形態に係る踏力検出装置の変形例の構造を概略的に示す平面図
図4図3の一点鎖線で囲んだ部分Pを白抜き矢印方向に見た構造を概略的に示す部分側面図
図5】本発明の実施形態に係る踏力検出装置の他の変形例の構造を概略的に示す側面図
図6】本発明の実施形態に係る踏力検出装置の踏力検出部の構造を示す分解斜視図
図7】ハウジングに取り付けられた踏力検出部の構造を示す断面図
図8】踏力検出部を構成する回路基板における抵抗が形成された面の構造を概略的に示す平面図
図9】歪み抵抗を備えたホイートストンブリッジの構成を示す回路図
図10】ハウジングの歪み量を計算により求めた実施例で用いた踏力検出装置の構造を概略的に示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図を参照して、本発明の実施形態を説明する。各図における同じ部材には同じ番号を付して、説明を省略する。
図1および図2は、本実施形態に係る踏力検出装置1の構造を概略的に示す側面図および平面図である。これらの図に示すように、本発明の踏力検出装置1は、踏力を受けるペダル2と、ペダル2を一端に保持するペダルアーム3と、ペダルアーム3の他端側に設けられたシャフト4と、自動車などの本体50に固定されるハウジング5と、踏力を検出する踏力検出部6と、を備えている。ハウジング5は、シャフト4を保持する保持部7を有している。ペダルアーム3は、保持部7に保持されたシャフト4を回転中心として回転可能な状態でハウジング5に取り付けられている。
【0018】
踏力検出装置1は、例えば、自動車のブレーキのペダル装置60の一部として用いられる。この場合、ペダル2に加えられた踏力の測定手段としての踏力検出部6とペダルアーム3の回転角度(移動量)を測定する手段としての回転角度測定部61が、ハウジング5に設けられて用いられることがある。
【0019】
ペダル2に踏力が加えられると、シャフト4を回転軸(中心)としてペダルアーム3が図1に白抜き矢印で示した方向に移動する。ペダル装置60にはペダル2およびペダルアーム3を初期位置に戻すための弾性体8が設けられている。ペダルアーム3が移動すると移動距離(移動量)に応じて、ペダルアーム3の取付部9とハウジング5との間に設けられた弾性体8からペダルアーム3に対して、弾性力(反発力)が加えられる。ペダル2は踏力と弾性力とが等しくなった位置で停止する。踏力検出部6の詳細については後述するが、このように弾性体8からの反発力も加わることから、ペダル2を踏み込むことでハウジング5にも踏力と関係性のある力が加わる。そのため、その力により発生するハウジング5の歪みを計測することで踏力を算出することが可能である。
【0020】
ペダル装置60が回転角度測定部61および踏力検出部6を備え、回転角度(踏み込み量)と踏力を同時に測定することで、ペダル装置60の冗長性が向上する。ただし、回転角度と踏力を同時に測定するのではなく、両者を別々に測定する構成としてもよい。
【0021】
シャフト4は、ペダルアーム3の両側からそれぞれ突出している。ここで、ペダルアーム3の両側からそれぞれ突出するとは、Y軸方向に沿ってペダルアーム3がシャフト4に挟まれていることをいう。また、ハウジング5もペダルアーム3の他端側を挟むように対向する保持部7を二つ有しており、二つの保持部7のそれぞれが両側に突出したシャフト4を保持している。このように、ペダルアーム3は、両持ち支持構造によって、シャフト4を介してハウジング5の保持部7に保持されている。両持ち支持構造によって、ペダルアーム3からの力によるシャフト4自身の撓みを抑えるとともに、ハウジング5の強度が高くなる。ブレーキ時に足に伝わる感触(フィーリング)および信頼性の観点から、両持ち支持構造が好ましい。ただし、ペダルアーム3をハウジングに保持する機構は、ペダルアーム3の片側のみから突出したシャフト4を一つの保持部7によって保持する片持ち支持構造であってもよい。
【0022】
図1、2には、二つの保持部7のうちの一方に踏力検出部6が配置された態様を示した。しかし、ハウジング5において、踏力検出部6が設けられる位置は保持部7に限られるものではない。踏力検出部6は、ペダルアーム3からの力がシャフト4を介してハウジング5に加えられることによって歪みが生じる部分に配置すればよい。ただし、踏力検出部6によってペダル2に加えられた踏力を確実に検出する観点から、ハウジング5における歪みの大きな部分に配置することが好ましい。
【0023】
図3は、本実施形態に係る踏力検出装置1の変形例の構造を概略的に示す平面図である。図4は、図3の一点鎖線で囲んだ部分Pを白抜き矢印方向に見た構造を概略的に示す部分側面図である。図3図4に示す踏力検出装置1は、対向する保持部7を連結する連結部10ではなく保持部7に薄肉部11を備えており、一方の保持部7に設けられた薄肉部11に踏力検出部6を備えている。ハウジング5の一部に薄肉部11を設けることにより、ペダルアーム3からハウジング5に加えられた力を薄肉部11に集中させて、薄肉部11の表面の歪みを大きくすることができる。したがって、薄肉部11に踏力検出部6を設けることにより、ハウジング5の歪みを測定することが容易になる。図3に示すように、薄肉部11を一方の保持部7に設けた構成を示したが、薄肉部11を設ける位置はこれに限られるものではない。ただし、ペダルアーム3からハウジング5に加えられた力により生じる歪みが大きいから、連結部10よりも保持部7に薄肉部11を設けることが好ましい。
【0024】
図5は、本発明の実施形態に係る踏力検出装置1の他の変形例の構造を概略的に示す側面図である。同図に示すように、踏力検出部6が、シャフト4と保持部7との間に配置された構成としてもよい。シャフト4と保持部7との間に踏力検出部6を配置すれば、踏力検出部6はハウジング5の歪みとともにシャフト4から直接加えられた力をも検出することができるから、検知精度が高くなる。このような位置に配置する踏力検出部6には、シャフト4の外形に対応した円筒形状の歪み検出素子を用いることができる。
【0025】
なお、図5では、シャフト4を取り囲むように踏力検出部6が設けられた態様を示している。しかし、この態様は一例でありシャフト4と保持部7との間の全部に踏力検出部6が設けられていなくてもよい。両者の間の一部に踏力検出部6が設けられていれば、精度良く歪みを検知することができる。
【0026】
踏力検出部6は、ハウジング5の歪み量を検知し、検知した歪み量に基づいて踏力を検出するもの、すなわち、測定したハウジング5の歪み量を信号として取り出すものである。踏力検出部6の構造について図6図9を参照して以下に説明する。
【0027】
図6は踏力検出部6の構造を示す分解斜視図であり、図7はハウジング5に取り付けられた踏力検出部6の構造を示す断面図である。これらの図に示すように、踏力検出部6は、回路基板20の二つの面のうちのいずれかが、ハウジング5の表面から離れた状態でハウジング5の表面に対向して、二つの固定用ナット29によってハウジング5に固定されている。ハウジング5の表面に歪みが生じた場合、生じた歪みに対応して回路基板20にも歪みが生じる。
【0028】
回路基板20の一方の面20Aには、抵抗21が形成されている。回路基板20の一方の面20Aの反対側の他方の面20Bには、抵抗21の抵抗値を電圧値に変換する変換回路22が形成されている。また、他方の面20Bには、抵抗21の抵抗値を変換回路22が変換した電圧値に基づいた信号を外部に出力するコネクタ部23を備えている。踏力検出部6がハウジング5に取り付けられた状態において、カバー部材25の開口部28を介して外部の機器と接続可能な位置にコネクタ部23が取り付けられる。回路基板20はネジ24を用いてカバー部材25の内側の対向面25Aに取り付けられる。
【0029】
抵抗値を電圧値に変換する変換回路22は、抵抗値に基づいて踏力を算出する演算部としての機能を備えていても良い。変換回路22が演算部としての機能を備えている場合、コネクタ部23から出力される信号から直接踏力に関する情報が得られる。なお、変換回路22は、演算部としての機能を備えていない場合、コネクタ部23から出力される信号が外部の演算装置による踏力の算出に用いられる。
【0030】
踏力検出部6は、カバー部材25の内に回路基板20が取り付けられた状態でハウジング5に固定される。カバー部材25は、ハウジング5に固定された状態において、ハウジング5の表面に対向する対向面25A、対向面25Aの周囲を取り囲む側面25B、およびハウジング5の表面に接する側面25Bの端によって形成される開口25Cと、を備えている。対向面25A、側面25Bおよび開口25Cにより囲まれた、内部空間が回路基板20の収納部25Dである。回路基板20は、収納部25D内の対向面25Aに、一方の面20Aまたは他方の面20Bが開口25Cを臨んで(開口25Cの方向を向いて)配置されている。また、回路基板20は、対向面25Aから離れて配置されている。
【0031】
カバー部材25は、対向面25Aがハウジング5の表面に対向して配置され、収納部25Dを挟んで対向する箇所(図7におけるZ軸方向の両側)に設けられるとともに開口25Cから対向面25Aに向かう方向(図7におけるX軸方向)に貫通して形成された二つの挿入孔26に挿入された固定用ナット29によって、ハウジング5の表面に固定されている。挿入孔26と固定用ナットの間には、円筒状のガイド27が設けられている。この構成により、カバー部材25の開口25Cをハウジング5の表面に密着させ、ハウジング5の表面に生じた歪みがカバー部材25を介して回路基板20に伝わる。
【0032】
図8は回路基板20において抵抗21が形成された一方の面20Aの構造を概略的に示す平面図である。同図に示すように、回路基板20の一方の面20Aに設けられた抵抗21は、回路基板20の歪み量の変化にともなって抵抗値が変化する歪み抵抗21aと、抵抗値が一定の固定抵抗21bとが、四つずつ設けられている。歪み抵抗21aと固定抵抗21bとを用いてホイートストンブリッジ30(図9参照)を構成することにより、回路基板20の歪みに伴って変化する電圧を出力することができる。
【0033】
図9は、歪み抵抗21aを備えたホイートストンブリッジ30の構成を示す回路図である。同図に示すように、電圧電源(Vdd)31と基準電位点(GND)32との間を、歪み抵抗21aと固定抵抗21bの順に接続した直列接続と、固定抵抗21bと歪み抵抗21aの順に接続した直列接続とを、並列に接続する。各直列接続は、歪み抵抗21aと固定抵抗21bとが反対の順で接続されているから、中点33の電位と中点34の電位とが、歪み抵抗21aの抵抗変化にともなって変化する。この中点電位の変化を差動増幅器35により増幅して出力する。差動増幅器35から出力される中点電位の差に基づく出力は、歪み抵抗21aによって検知されたハウジング5の歪みの大きさに対応して変化する。したがって、中点電位の差に基づく出力により、ペダル2に加えられた踏力によって生じたハウジング5の歪みを検知することができる。
【0034】
回路基板20には、歪み抵抗21aと固定抵抗21bとが四つずつ設けられており、ホイートストンブリッジ30が二つ形成されている。ホイートストンブリッジ30を複数備えることにより、ハウジング5の歪みの測定精度が増し、一方を他方の予備として使用できるから冗長性が向上する。ただし、踏力検出部6はホイートストンブリッジ30を一つだけ備えた構成としてもよい。
【0035】
図9に示した歪み抵抗21aと固定抵抗21bとの組み合わせの代わりに、歪み抵抗21aの感度軸方向が異なるように配置し、歪みが生じる方向に対する感度を異ならせた二つの歪み抵抗21aを用いてホイートストンブリッジ30を構成してもよい。この場合、歪み抵抗21aの感度軸方向が直交するように(感度軸が90°で交差するように)配置することが好ましい。
【実施例】
【0036】
市販のブレーキユニットを用いて、通常状態およびスタック状態においてハウジング表面の歪みを実際に測定して、各状態においてハウジング表面に測定可能な歪みが生じること、特にZ方向に大きな歪みが生じることを確認した。
そこで、図10に示す線対称の構造を備えた踏力検出装置モデルについて、通常状態と、弾性体8が伸縮しなくなってペダルアーム3が動かなくなった状態(スタック状態)において、ペダルに所定の踏力が加えられた場合にハウジング5の4つの各部位(P1〜P4)に生じる歪み量をシミュレーション計算により求めた。
【0037】
弾性体8が伸縮しなくなったスタック状態は、バネ乗数を無限大に設定することにより求めた。このため、スタック状態では、ペダル2に加えられた踏力は、ペダルアーム3における取付部9を支点とし、シャフト4を作用点として、ハウジング5に加えられる。部位P1とP2についてはZ方向の歪みを求め、部位P3とP4についてはX方向の歪みを求めた。各状態についてシミュレーション計算により得られた結果を表1および表2に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
表1および表2に示した結果から、ペダル2に加えられた踏力に応じて、ハウジング5の表面に生じる歪みの大きさも変化することが分かる。ハウジング5の複数の部位で踏力に応じて表面の歪みの大きさが変化することが確認されたことから、踏力検出部6(図1図5参照)を設置する部位は、周囲の取り付け可能な空間の状況などを考慮して決めればよい。
【符号の説明】
【0041】
1 :踏力検出装置
2 :ペダル
3 :ペダルアーム
4 :シャフト
5 :ハウジング
6 :踏力検出部
7 :保持部
8 :弾性体
9 :取付部
10 :連結部
11 :薄肉部
20 :回路基板
20A :一方の面
20B :他方の面
21 :抵抗
21a :歪み抵抗
21b :固定抵抗
22 :変換回路
23 :コネクタ部
24 :ネジ
25 :カバー部材
25A :対向面
25B :側面
25C :開口
25D :収納部
26 :挿入孔
27 :ガイド
28 :開口部
29 :固定用ナット
30 :ホイートストンブリッジ
31 :Vdd
32 :GND
33,34 :中点
35 :差動増幅器
50 :本体
60 :ペダル装置(移動量検出装置、ペダルモジュール)
61 :回転角度測定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10