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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-215280(P2019-215280A)
(43)【公開日】2019年12月19日
(54)【発明の名称】端末およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G01H 1/00 20060101AFI20191122BHJP
【FI】
   G01H1/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2018-113117(P2018-113117)
(22)【出願日】2018年6月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】特許業務法人藤央特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 達之
(72)【発明者】
【氏名】眞澤 史郎
(72)【発明者】
【氏名】前木 陽
(72)【発明者】
【氏名】関口 知紀
【テーマコード(参考)】
2G064
【Fターム(参考)】
2G064AB19
2G064AB23
2G064AB28
2G064BA02
2G064BA13
2G064BD05
2G064BD42
2G064DD23
(57)【要約】
【課題】センサの検出精度の向上を図ること。
【解決手段】端末は、センサと制御部と記憶部とを有し、制御部は、端末が存在する第2環境においてセンサに第1入力信号を出力させる較正信号を算出し、較正信号に基づいてセンサを振動が検出可能な状態にする第2入力信号を生成してセンサに入力し、第2環境においてセンサに第1入力信号を出力させる第2入力値を算出し、第1入力値と、第2入力値と、第2環境における特定環境因子と、対応情報と、に基づいて、対応情報を更新することにより、更新後の対応情報から特定環境因子に対応する特定補正係数を取得し、第2環境において端末の外部からの振動によりセンサが出力する実測データと、特定補正係数と、を出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動を検出するセンサと、前記センサを制御する制御部と、前記制御部がアクセス可能な記憶部と、を有する端末であって、
前記記憶部は、
前記端末が存在する第1環境で前記端末の外部からの振動として前記センサに入力する第1入力信号と、前記センサに前記第1入力信号を出力させる第1入力値と、前記第1環境に関する環境因子と前記環境因子の補正係数との対応情報と、を記憶しており、
前記制御部は、
前記端末が存在する第2環境において前記センサに前記第1入力信号を出力させる較正信号を算出し、
前記較正信号に基づいて前記センサを振動が検出可能な状態にする第2入力信号を生成して前記センサに入力し、
前記第2環境において前記センサに前記第1入力信号を出力させる第2入力値を算出し、
前記第1入力値と、前記第2入力値と、前記第2環境における特定環境因子と、前記対応情報と、に基づいて、前記対応情報を更新することにより、更新後の対応情報から前記特定環境因子に対応する特定補正係数を取得し、
前記第2環境において前記端末の外部からの振動により前記センサが出力する実測データと、前記特定補正係数と、を出力する、
ことを特徴とする端末。
【請求項2】
請求項1に記載の端末であって、
前記制御部は、
前記実測データと、前記特定補正係数と、に基づいて、前記実測データを補正し、
補正後の実測データを出力する、
ことを特徴とする端末。
【請求項3】
請求項1に記載の端末であって、
前記制御部は、前記実測データと前記特定補正係数とを前記記憶部に出力する、
ことを特徴とする端末。
【請求項4】
請求項1に記載の端末であって、
コンピュータと通信可能な通信部を有し、
前記通信部は、前記実測データと前記特定補正係数とを、前記コンピュータに送信する、
ことを特徴とする端末。
【請求項5】
請求項1に記載の端末であって、
前記制御部は、
前記対応情報に基づいて、前記特定環境因子が異常値であるか否かを判断し、
前記異常値でないと判断された場合、前記第1入力値と、前記第2入力値と、前記特定環境因子と、前記対応情報と、に基づいて、前記対応情報を更新することにより、更新後の対応情報から前記特定環境因子に対応する特定補正係数を取得する、
ことを特徴とする端末。
【請求項6】
請求項1に記載の端末であって、
前記制御部は、前記第2入力信号を生成して前記センサに入力する都度、前記第1入力値と、前記第2入力値と、前記第2環境における特定環境因子と、前記対応情報と、に基づいて、前記対応情報を更新することにより、更新後の対応情報から前記特定環境因子に対応する特定補正係数を取得する、ことを特徴とする端末。
【請求項7】
請求項1に記載の端末であって、
前記制御部は、前記第1入力信号および前記第2入力信号を周波数変換して比較し、前記第2入力値を算出する、ことを特徴とする端末。
【請求項8】
請求項1に記載の端末であって、
前記制御部は、
前記端末に対する認証結果に基づいて、前記較正信号の算出、第2入力信号の生成および前記センサへの入力、前記第2入力値の算出、前記特定補正係数の取得を許可するように制御する、ことを特徴とする端末。
【請求項9】
請求項8に記載の端末であって、
コンピュータと通信可能な通信部を有し、
前記通信部は、前記実測データを第1ポートから前記コンピュータに送信し、前記特定補正係数を第2ポートから前記コンピュータに送信する、ことを特徴とする端末。
【請求項10】
請求項1に記載の端末であって、
前記記憶部は、前記第1環境において前記端末の外部からの振動に対する前記センサの出力の感度を示す感度情報を記憶しており、
前記制御部は、
前記感度情報と、前記特定補正係数と、に基づいて、前記実測データを補正し、
補正後の実測データを出力する、
ことを特徴とする端末。
【請求項11】
請求項10に記載の端末であって、
前記記憶部は、
複数の前記第2入力信号の各々について前記対応情報を有し、
前記制御部は、
前記複数の第2入力信号のうち任意の第2入力信号を基準信号に設定し、
前記複数の第2入力信号の各々が前記センサに入力された場合、前記第2入力信号ごとに、前記対応情報から前記特定環境因子における特定補正係数を取得し、前記複数の第2入力信号のうち前記基準信号を除く他の第2入力信号の特定補正係数と、前記基準信号の特定補正係数とに基づいて、前記感度情報を更新し、
更新後の感度情報と、前記基準信号の特定補正係数と、に基づいて、前記実測データを補正し、
補正後の実測データを出力する、
ことを特徴とする端末。
【請求項12】
振動を検出するセンサと、前記センサを制御する制御部と、前記制御部がアクセス可能な記憶部と、コンピュータと通信可能な通信部と、を有する端末であって、
前記記憶部は、
前記端末が存在する第1環境で前記端末の外部からの振動として前記センサに入力する第1入力信号と、前記センサに前記第1入力信号を出力させる第1入力値と、を記憶しており、
前記制御部は、
前記端末が存在する第2環境において前記センサに前記第1入力信号を出力させる較正信号を算出し、
前記較正信号に基づいて前記センサを振動が検出可能な状態にする第2入力信号を生成して前記センサに入力し、
前記第2環境において前記センサに前記第1入力信号を出力させる第2入力値を算出し、
前記第2環境において前記端末の外部からの振動により前記センサが出力する実測データを取得し、
前記通信部は、
前記第1入力値と、前記第2入力値と、前記第2環境における特定環境因子と、前記実測データとを、前記コンピュータに送信した結果、前記コンピュータから補正後の実測データを受信する、
ことを特徴とする端末。
【請求項13】
振動を検出するセンサと、前記センサを制御する制御部と、前記制御部がアクセス可能な記憶部と、コンピュータと通信可能な通信部と、を有する端末であって、
前記記憶部は、
前記端末が存在する第1環境で前記端末の外部からの振動として前記センサに入力する第1入力信号と、前記センサに前記第1入力信号を出力させる第1入力値と、前記第1環境において前記端末の外部からの振動に対する前記センサの出力の感度を示す感度情報とを記憶しており、
前記制御部は、
前記端末が存在する第2環境において前記センサに前記第1入力信号を出力させる較正信号を算出し、
前記較正信号に基づいて前記センサを振動が検出可能な状態にする第2入力信号を生成して前記センサに入力し、
前記第2環境において前記センサに前記第1入力信号を出力させる第2入力値を算出し、
前記第2環境において前記端末の外部からの振動により前記センサが出力する実測データを取得し、
前記通信部は、
前記第1入力値と、前記第2入力値と、前記第2環境における特定環境因子と、前記実測データとを、前記コンピュータに送信した結果、前記コンピュータから前記特定環境因子に対応する特定補正係数を受信し、
前記制御部は、
前記感度情報と、前記特定補正係数と、に基づいて、前記実測データを補正し、
補正後の実測データを出力する、
ことを特徴とする端末。
【請求項14】
端末と、前記端末と通信可能なコンピュータと、を有するシステムであって、
前記端末は、
振動を検出するセンサと、前記センサを制御する制御部と、前記制御部がアクセス可能な記憶部と、前記コンピュータと通信可能な通信部と、を有し、
前記記憶部は、前記端末が存在する第1環境で前記端末の外部からの振動として前記センサに入力する第1入力信号と、前記センサに前記第1入力信号を出力させる第1入力値と、を記憶しており、
前記制御部は、
前記端末が存在する第2環境において前記センサに前記第1入力信号を出力させる較正信号を算出し、
前記較正信号に基づいて前記センサを振動が検出可能な状態にする第2入力信号を生成して前記センサに入力し、
前記第2環境において前記センサに前記第1入力信号を出力させる第2入力値を算出し、
前記第2環境において前記端末の外部からの振動により前記センサが出力する実測データを取得し、
前記通信部は、
前記第1入力値と、前記第2入力値と、前記第2環境における特定環境因子と、前記実測データとを、前記コンピュータに送信した結果、前記コンピュータから補正後の実測データを受信し、
前記コンピュータは、
前記第1環境に関する環境因子と前記環境因子の補正係数との対応情報と、前記第1環境において前記端末の外部からの振動に対する前記センサの出力の感度を示す感度情報とを、記憶しており、
前記第1入力値と、前記第2入力値と、前記第2環境における特定環境因子と、前記実測データとを、前記コンピュータから受信すると、前記対応情報と、に基づいて、前記対応情報を更新することにより、更新後の対応情報から前記特定環境因子に対応する特定補正係数を取得し、
前記感度情報と、前記特定補正係数と、に基づいて、前記実測データを補正し、
補正後の実測データを前記端末に送信する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項15】
端末と、前記端末と通信可能なコンピュータと、を有するシステムであって、
前記端末は、
振動を検出するセンサと、前記センサを制御する制御部と、前記制御部がアクセス可能な記憶部と、前記コンピュータと通信可能な通信部と、を有し、
前記記憶部は、前記端末が存在する第1環境で前記端末の外部からの振動として前記センサに入力する第1入力信号と、前記センサに前記第1入力信号を出力させる第1入力値と、前記第1環境において前記端末の外部からの振動に対する前記センサの出力の感度を示す感度情報とを記憶しており、
前記制御部は、
前記端末が存在する第2環境において前記センサに前記第1入力信号を出力させる較正信号を算出し、
前記較正信号に基づいて前記センサを振動が検出可能な状態にする第2入力信号を生成して前記センサに入力し、
前記第2環境において前記センサに前記第1入力信号を出力させる第2入力値を算出し、
前記第2環境において前記端末の外部からの振動により前記センサが出力する実測データを取得し、
前記通信部は、
前記第1入力値と、前記第2入力値と、前記第2環境における特定環境因子と、前記実測データとを、前記コンピュータに送信した結果、前記コンピュータから前記特定環境因子に対応する特定補正係数を受信し、
前記感度情報と、前記特定補正係数と、に基づいて、前記実測データを補正し、
補正後の実測データを出力し、
前記コンピュータは、
前記第1環境に関する環境因子と前記環境因子の補正係数との対応情報を、記憶しており、
前記第1入力値と、前記第2入力値と、前記第2環境における特定環境因子と、前記実測データとを、前記コンピュータから受信すると、前記対応情報と、に基づいて、前記対応情報を更新することにより、更新後の対応情報から前記特定環境因子に対応する特定補正係数を取得し、
前記特定補正係数を前記端末に送信する、
ことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサを有する端末およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長期間に亘る計測時に生じるゼロ点変動を温度に応じて補正する振動計測装置がある(たとえば、下記特許文献1を参照)。この振動計測装置は、振動を検出し、検出した振動に応じて振動データを出力する振動検出部と、静止状態と判断された際に振動検出部が出力する振動データに基づいて静止状態データを生成する静止状態データ生成部と、温度を検出し、検出した温度に応じて温度データを出力する温度検出部と、温度データが所定温度を示す場合、所定温度に対応する基準値と、温度データに対応する静止状態データと、に基づいて補正情報を算出する補正値算出部と、補正情報を記憶する記憶部と、記憶部が記憶する補正情報に基づいて振動データを補正し、補正した振動データを含む振動情報を生成するデータ補正部と、を備える。
【0003】
また、自己診断、自己較正または補正機能付の静電容量式加速度センサがある(たとえば、下記特許文献2を参照)。この静電容量式加速度センサは、第1の電極と、前記第1の電極に対向して配置され、ばね手段により支持され、前記第1の電極に向かって変位する第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間の静電容量に基づいて加速度を検出する検出手段と、前記第2の電極を変位させるように前記第1の電極と前記第2の電極との間に較正電圧を与える刺激手段と、前記較正電圧によって引き起こされる前記第2の電極の変位を測定する測定手段と、前記第2の電極の変位に基づいて、前記検出手段の較正を行う較正手段と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−161384号公報
【特許文献2】特開平9−133708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
Internet of Things(IoT)の普及に伴い、センサアレイや当該センサアレイを用いたセンサネットシステムの利用や利用する分野が拡大している。たとえば、超高精度のセンサを1,000,000個規模で接続するセンサアレイシステムが石油探査用に検討されている。このようなセンサアレイシステムでは、個々のセンサの較正や補正の方法が、センサアレイシステムのスケールアウトと各センサの高精度化の両立に対する障害となる。
【0006】
したがって、将来的に、大規模でかつ高精度なセンサアレイシステムを運用するためには、
(1)気温などの環境変化を想定して工数をかけ、事前に調整されたセンサを用い、
(2)事前作成された較正および補正データを用いてデータ処理を実施し、
(3)経時変化対策としてオフサイト(たとえば、製油所において精製設備以外の付帯設備のある地域)での定期較正を実施する、
ことが必要となる。しかしながら、センサのコスト上昇やセンサアレイシステム運用の可用性低下を招く問題があり、次世代の大規模でかつ高精度なセンサアレイシステムの実用化を阻んでいる。
【0007】
また、上記特許文献1の振動計測装置は、信号無入力状態での出力値をゼロ点と定義し、その推移からゼロ点オフセットの補正をおこなうため、標準信号入力を現地で生成して感度補正を実施しない。すなわち、事前作成された較正および補正データを用いていないことになる。
【0008】
また、上記特許文献2の静電容量式加速度センサは、主にセンサ内部のばね機構の経時劣化を想定して、センサ内部に変位を与えるアクチュエータを新たに搭載し、加速度測定中に極短時間での補正作業を実施する。したがって、標準信号自体を現地で較正しない。
【0009】
本発明は、
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明の第1側面となる端末は、振動を検出するセンサと、前記センサを制御する制御部と、前記制御部がアクセス可能な記憶部と、を有する端末であって、前記記憶部は、前記端末が存在する第1環境で前記端末の外部からの振動として前記センサに入力する第1入力信号と、前記センサに前記第1入力信号を出力させる第1入力値と、前記第1環境に関する環境因子と前記環境因子の補正係数との対応情報と、を記憶しており、前記制御部は、前記端末が存在する第2環境において前記センサに前記第1入力信号を出力させる較正信号を算出し、前記較正信号に基づいて前記センサを振動が検出可能な状態にする第2入力信号を生成して前記センサに入力し、前記第2環境において前記センサに前記第1入力信号を出力させる第2入力値を算出し、前記第1入力値と、前記第2入力値と、前記第2環境における特定環境因子と、前記対応情報と、に基づいて、前記対応情報を更新することにより、更新後の対応情報から前記特定環境因子に対応する特定補正係数を取得し、前記第2環境において前記端末の外部からの振動により前記センサが出力する実測データと、前記特定補正係数と、を出力する、ことを特徴とする。
【0011】
本願において開示される発明の第2側面となる端末は、振動を検出するセンサと、前記センサを制御する制御部と、前記制御部がアクセス可能な記憶部と、コンピュータと通信可能な通信部と、を有する端末であって、前記記憶部は、前記端末が存在する第1環境で前記端末の外部からの振動として前記センサに入力する第1入力信号と、前記センサに前記第1入力信号を出力させる第1入力値と、を記憶しており、前記制御部は、前記端末が存在する第2環境において前記センサに前記第1入力信号を出力させる較正信号を算出し、前記較正信号に基づいて前記センサを振動が検出可能な状態にする第2入力信号を生成して前記センサに入力し、前記第2環境において前記センサに前記第1入力信号を出力させる第2入力値を算出し、前記第2環境において前記端末の外部からの振動により前記センサが出力する実測データを取得し、前記通信部は、前記第1入力値と、前記第2入力値と、前記第2環境における特定環境因子と、前記実測データとを、前記コンピュータに送信した結果、前記コンピュータから補正後の実測データを受信する、ことを特徴とする。
【0012】
本願において開示される発明の第3側面となる端末は、振動を検出するセンサと、前記センサを制御する制御部と、前記制御部がアクセス可能な記憶部と、コンピュータと通信可能な通信部と、を有する端末であって、前記記憶部は、前記端末が存在する第1環境で前記端末の外部からの振動として前記センサに入力する第1入力信号と、前記センサに前記第1入力信号を出力させる第1入力値と、前記第1環境において前記端末の外部からの振動に対する前記センサの出力の感度を示す感度情報とを記憶しており、前記制御部は、前記端末が存在する第2環境において前記センサに前記第1入力信号を出力させる較正信号を算出し、前記較正信号に基づいて前記センサを振動が検出可能な状態にする第2入力信号を生成して前記センサに入力し、前記第2環境において前記センサに前記第1入力信号を出力させる第2入力値を算出し、前記第2環境において前記端末の外部からの振動により前記センサが出力する実測データを取得し、前記通信部は、前記第1入力値と、前記第2入力値と、前記第2環境における特定環境因子と、前記実測データとを、前記コンピュータに送信した結果、前記コンピュータから前記特定環境因子に対応する特定補正係数を受信し、前記制御部は、前記感度情報と、前記特定補正係数と、に基づいて、前記実測データを補正し、補正後の実測データを出力する、ことを特徴とする。
【0013】
本願において開示される発明の第1側面となるシステムは、端末と、前記端末と通信可能なコンピュータと、を有するシステムであって、前記端末は、振動を検出するセンサと、前記センサを制御する制御部と、前記制御部がアクセス可能な記憶部と、前記コンピュータと通信可能な通信部と、を有し、前記記憶部は、前記端末が存在する第1環境で前記端末の外部からの振動として前記センサに入力する第1入力信号と、前記センサに前記第1入力信号を出力させる第1入力値と、を記憶しており、前記制御部は、前記端末が存在する第2環境において前記センサに前記第1入力信号を出力させる較正信号を算出し、前記較正信号に基づいて前記センサを振動が検出可能な状態にする第2入力信号を生成して前記センサに入力し、前記第2環境において前記センサに前記第1入力信号を出力させる第2入力値を算出し、前記第2環境において前記端末の外部からの振動により前記センサが出力する実測データを取得し、前記通信部は、前記第1入力値と、前記第2入力値と、前記第2環境における特定環境因子と、前記実測データとを、前記コンピュータに送信した結果、前記コンピュータから補正後の実測データを受信し、前記コンピュータは、前記第1環境に関する環境因子と前記環境因子の補正係数との対応情報と、前記第1環境において前記端末の外部からの振動に対する前記センサの出力の感度を示す感度情報とを、記憶しており、前記第1入力値と、前記第2入力値と、前記第2環境における特定環境因子と、前記実測データとを、前記コンピュータから受信すると、前記対応情報と、に基づいて、前記対応情報を更新することにより、更新後の対応情報から前記特定環境因子に対応する特定補正係数を取得し、前記感度情報と、前記特定補正係数と、に基づいて、前記実測データを補正し、補正後の実測データを前記端末に送信する、ことを特徴とする。
【0014】
本願において開示される発明の第1側面となるシステムは、端末と、前記端末と通信可能なコンピュータと、を有するシステムであって、前記端末は、振動を検出するセンサと、前記センサを制御する制御部と、前記制御部がアクセス可能な記憶部と、前記コンピュータと通信可能な通信部と、を有し、前記記憶部は、前記端末が存在する第1環境で前記端末の外部からの振動として前記センサに入力する第1入力信号と、前記センサに前記第1入力信号を出力させる第1入力値と、前記第1環境において前記端末の外部からの振動に対する前記センサの出力の感度を示す感度情報とを記憶しており、前記制御部は、前記端末が存在する第2環境において前記センサに前記第1入力信号を出力させる較正信号を算出し、前記較正信号に基づいて前記センサを振動が検出可能な状態にする第2入力信号を生成して前記センサに入力し、前記第2環境において前記センサに前記第1入力信号を出力させる第2入力値を算出し、前記第2環境において前記端末の外部からの振動により前記センサが出力する実測データを取得し、前記通信部は、前記第1入力値と、前記第2入力値と、前記第2環境における特定環境因子と、前記実測データとを、前記コンピュータに送信した結果、前記コンピュータから前記特定環境因子に対応する特定補正係数を受信し、前記感度情報と、前記特定補正係数と、に基づいて、前記実測データを補正し、補正後の実測データを出力し、前記コンピュータは、前記第1環境に関する環境因子と前記環境因子の補正係数との対応情報を、記憶しており、前記第1入力値と、前記第2入力値と、前記第2環境における特定環境因子と、前記実測データとを、前記コンピュータから受信すると、前記対応情報と、に基づいて、前記対応情報を更新することにより、更新後の対応情報から前記特定環境因子に対応する特定補正係数を取得し、前記特定補正係数を前記端末に送信する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の代表的な実施の形態によれば、センサの検出精度の向上を図ることができる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、油田探査システムの運用例を示す説明図である。
図2図2は、端末内のセンサの側断面図である。
図3図3は、端末の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、コンピュータ(運用管理システム、コンテナ型データセンタ、データ解析センタ)のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図5図5は、センサ補正例1を示す図表である。
図6図6は、内部標準信号の補正処理手順例を示すフローチャートである。
図7図7は、出荷前のセンサに対する処理を示す説明図である。
図8図8は、Cd(t)とVs(t)との相関関係を示すグラフである。
図9図9は、環境因子測定および仮補正(ステップS608)の具体例を示す説明図である。
図10図10は、センサ補正例2を示す図表である。
図11図11は、現地設置後のLSIの動作処理手順例1を示すフローチャートである。
図12図12は、補正用出力検波時の信号処理方法例を示す図表である。
図13図13は、内部標準信号の現地での他の較正例を示す説明図である。
図14図14は、現地設置後のLSIの動作処理手順例2を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<油田探査システム>
図1は、油田探査システムの運用例を示す説明図である。油田探査システム100は、上述したセンサアレイシステムをオイルガス分野に適用した例である。以下、油田探査システム100の運用例を(1)〜(9)の順に説明する。
【0018】
(1)端末101が開発される。端末101は、センサと通信機能とを搭載する。センサは、振動を検出する。センサは、たとえば、サーボ式のMEMS加速度センサである。開発時では、標準温度(たとえば、20[℃])での入力加速度に対するセンサ出力(出力電圧)に基づいて、センサ個体差の影響を排除するため、ユニバーサルな感度直線が取得される。また、外部標準信号(たとえば、0.6[g])での温度に対する標準補正係数(温度誤差)に基づいて、外部環境変動の影響を排除するため、ユニバーサルな補正直線が取得される。外部標準信号とは、端末101の外部からセンサを振動させるために与えられる基準となる加速度となる入力信号である。
【0019】
(2)端末群が量産されて出荷される。端末群(センサアレイ)は、端末101の集合である。センサごとに、標準温度での外部標準信号(複数の入力加速度)に対応するセンサ出力電圧に基づいて、センサ個体差の影響を排除するため、補正した感度直線が取得される。
【0020】
(3)端末群(たとえば、100万個)が探査対象領域110に敷設される。また、データ収集機構102も探査対象領域に敷設されてもよい。データ収集機構102が敷設された場合、データ収集機構102は、各端末101の通信機能により各端末101から検出信号を受信可能である。
【0021】
(4)起震車(パイブロサイス車とも呼ばれる)103が地面を叩いて人工的に起震する。これにより、地震波が探査対象領域の地中に伝搬する。端末101は、地中からの反射波wbをセンサにより検出する。反射波wbは、地震波waが地中の地層で反射された振動波である。反射波wbの値は、反射層(ガス、オイル、水など)により異なる。検出された反射波wbは、端末101に保持され、または、端末101からデータ収集機構102に転送される。
【0022】
(5)回収車104が端末101およびデータ収集機構102を回収する。
(6)観測車105内の運用管理システム106が、回収した端末101およびデータ収集機構102から検出データを取得する。
(7)コンテナ型データセンタ107が、取得された検出データ群を蓄積する。
(8)コンテナ型データセンタ107が、蓄積した検出データ群をデータ解析センタ108に転送する。
(9)データ解析センタ108が、受信した検出データ群を用いてデータ解析する。
【0023】
なお、本実施例では、油田探査システム100を例に挙げて、以降説明を行うが、油田探査システム100に限らず、センサアレイを大規模で使用するシステムであれば、侵入者の歩行により発生する振動を検知して当該侵入者がセキュリティポイントに到着までの時間を予測して対策を講じるセキュリティシステムや、トンネルの崩落、地震後の地すべりなどの兆候(地盤の動き)を事前に検知することで構造物の寿命や欠陥を予測する構造物のモニタリングシステムにも適用可能である。
【0024】
<端末101の構成例>
図2は、端末101内のセンサの側断面図である。センサ201は、筐体1を有する。(A)および(B)において、センサ201は、筐体1の内部空間であるキャビティ7に、上部電極群(3a1,4a1,5a1,3b1,4b1,5b1)と、下部電極群(3a2,4a2,5a2,3b2,4b2,5b2)と、シーソー型可動構造体2と、を有する。
【0025】
シーソー型可動構造体2は、左右非対称であり、図2では、中心から左側を重い大質量側2a、右側を小質量側2bとする構造体である。シーソー型可動構造体2は、図面を貫通する方向に支持バネ2cを有し、シーソー型可動構造体2を揺動可能に支持する。
【0026】
図2の構成の符号nxm(n,mは数字、xはアルファベット小文字のaまたはb)について、xは大質量側2a(x=a)または小質量側2b(x=b)を示し、mは上部(m=1)または下部(m=2)を示す。mを表記しない場合は、上部および下部を区別しない。また、a,bではなくxと表記した場合は、大質量側2aおよび小質量側2bを区別しない。
【0027】
シーソー型可動構造体2は、電極3〜5を保護するために、その上面2d両端に下部ストッパ6a2,6b2を有する。下部ストッパ6a2,6b2は、筐体1の天井面8に設けられた上部ストッパ6a1,6b1に対向配置される。
【0028】
また、シーソー型可動構造体2は、その上面2d両端の下部ストッパ6a2,6b2間に、下部電極群として下部検出電極3a2,3b2を有する。下部検出電極3a2,3b2は、下部電極群中最も下部ストッパ6a2,6b2に近接配置される。下部検出電極3a2,3b2は、筐体1の天井面8に設けられた上部検出電極3a1,3b1に対向配置される。
【0029】
また、シーソー型可動構造体2は、下部検出電極3a2,3b2間に、下部電極群として下部ACサーボ電極4a2,4b2を有する。下部ACサーボ電極4a2,4b2は、下部検出電極3a2,3b2に近接配置される。下部ACサーボ電極4a2,4b2は、筐体1の天井面8に設けられた上部ACサーボ電極4a1,4b1に対向配置される。
【0030】
また、シーソー型可動構造体2は、下部ACサーボ電極4a2,4b2間に、下部電極群として下部DCサーボ電極5a2,5b2を有する。下部DCサーボ電極5a2,5b2は、下部ACサーボ電極4a2,4b2に近接配置される。下部DCサーボ電極5a2,5b2は、筐体1の天井面8に設けられた上部DCサーボ電極5a1,5b1に対向配置される。なお、電極3〜5の配列は、図2に限定されず、他の配列でもよい。
【0031】
検出電極3は、シーソー型可動構造体2の揺動を検出する。具体的には、たとえば、シーソー型可動構造体2が揺動すると、検出電極3a1,3a2間および検出電極3b1,3b2間の距離が変化してその静電容量も変化する。この静電容量の変化により、シーソー型可動構造体2の小質量側2bが上昇すると、水平時に比べて角度誤差が生じる。
【0032】
DCサーボ電極5は、DCサーボ電圧の印加により、シーソー型可動構造体2を(B)に示すように水平に維持する。具体的には、たとえば、DCサーボ電極5aが吸着するように、または、DCサーボ電極5bが反発するように、DCサーボ電圧がDCサーボ電極5に印加されると、シーソー型可動構造体2は水平になる。
【0033】
ACサーボ電極4は、ACサーボ電圧の印加により、シーソー型可動構造体2の揺動を抑制する。具体的には、たとえば、(B)のように、シーソー型可動構造体2が揺動していない水平状態において、(A)のように、センサ201が反射波wbを受けるとシーソー型可動構造体2が揺動しようとして、検出電極3a1,3a2間および検出電極3b1,3b2間の静電容量が変化する。この変化が生じたら、当該揺動を抑えようとするために同相のACサーボ電圧がACサーボ電極4に印加される。この印加されたACサーボ電圧が、当該揺動に対応する加速度として検出される。
【0034】
なお、ストッパ6は、検出電極3の吸着を規制し、かつ、ストッパ6が当接したときにACサーボ電圧の最大振幅となる高さを有する。
【0035】
図3は、端末101の構成例を示すブロック図である。端末101は、センサ201と、LSI301と、データメモリ302と、通信IF303と、を有する。LSI301は、センサ201にDCサーボ電圧を印加したり、センサ201からの検出データ(たとえば、検出電極3の静電容量)を検出するとセンサ201にACサーボ電圧を印加したりする。
【0036】
LSI301は、印加したACサーボ電圧をシーソー型可動構造体2の揺動による加速度に換算して、加速度データとして通信IF303に出力する制御部である。データメモリ302は、LSI301で計算されたデータ(加速度データ含む)を記憶する記憶部である。通信IF303は、LSI301からの各種出力データをデータ収集機構102に送信する。なお、図3では、LSI301を実装する例を説明したが、LSI301に替えて、LSI301による処理は、データメモリ302に記憶されたプログラムをプロセッサに実行させることで実現してもよい。
【0037】
このほか、図示はしないが、端末101は、端末101内部の温度を検出する温度センサを有してもよい。これにより、端末101は、環境温度を検出することができる。なお、検出した温度は、LSI301によりデータメモリ302に格納される。
【0038】
<コンピュータのハードウェア構成例>
図4は、コンピュータ(運用管理システム106、コンテナ型データセンタ107、データ解析センタ108)のハードウェア構成例を示すブロック図である。コンピュータ400は、プロセッサ401と、記憶デバイス402と、入力デバイス403と、出力デバイス404と、通信インターフェース(通信IF)405と、を有する。プロセッサ401、記憶デバイス402、入力デバイス403、出力デバイス404、および通信IF405は、バス406により接続される。プロセッサ401は、コンピュータ400を制御する。記憶デバイス402は、プロセッサ401の作業エリアとなる。また、記憶デバイス402は、各種プログラムやデータを記憶する非一時的なまたは一時的な記録媒体である。記憶デバイス402としては、たとえば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリがある。入力デバイス403は、データを入力する。入力デバイス403としては、たとえば、キーボード、マウス、タッチパネル、テンキー、スキャナがある。出力デバイス404は、データを出力する。出力デバイス404としては、たとえば、ディスプレイ、プリンタがある。通信IF405は、ネットワークと接続し、データを送受信する。
【0039】
<センサ201の補正例1>
図5は、センサ201の補正例1を示す図表である。センサ201の補正例1は、センサ201の一般的な補正例である。図5では、(1)開発時、(2)出荷前、(3)現地設置後の時期において、目的(A),(B)別にセンサ201の補正方法を説明する。なお、以降、説明で登場するグラフは、直線に限らず、曲線でもよく、また、換算テーブルでもよく、また、データメモリ302に格納される。
【0040】
(1)開発時
[(A)センサ201の個体差の影響排除]
グラフ501Aは、入力加速度に対するセンサ出力電圧の変化を示す。入力加速度とはセンサ201に与えられる加速度である。センサ出力電圧とは、センサ201から出力されるACサーボ電圧である。
【0041】
開発時では、センサ201の個体差の影響排除のため、標準温度において、複数のサンプル(図5では、例としてセンサ201のサンプルA〜C)についてセンサ201に入力加速度を与えたときのセンサ出力電圧が計測され、統計処理によりユニバーサルな感度直線501aを示すデータ1−Aが得られる。データ1−Aは、ユニバーサルな感度直線501aのパラメータ(a,b)である。下記式(1)により、開発時における標準温度での入力加速度とセンサ出力電圧との関係が得られる。
【0042】
入力加速度@標準温度=a×センサ出力電圧+b・・・式(1)
【0043】
[(B)外部環境変動の影響排除]
グラフ501Bは、温度に対する標準補正係数の変化を示す。ここでは、20℃を標準温度とする。標準補正係数とは温度変化によって生じる温度誤差を示すあらかじめ設定された係数である。標準補正係数が「1.0」であれば、温度誤差がないことを示す。
【0044】
開発時では、外部環境変動の影響排除のため、外部標準信号において、複数のサンプル(図5では、例としてセンサ201のサンプルA〜C)について環境温度に対する標準補正係数があらかじめ与えられており、統計処理によりユニバーサルな補正直線501bを示すデータ1−Bが得られる。ユニバーサルな補正直線501bは、出荷前の環境温度と環境温度の補正係数との対応関係を示す対応情報である。ユニバーサルな補正直線501bは、標準温度(20℃)で標準補正係数が1.0となるように調整される。このため、ある環境温度での外部標準信号入力時にセンサ201が示す加速度は、下記式(2)によって求められる。
【0045】
外部標準信号入力時にセンサ201が示す加速度@環境温度=外部標準信号入力時にセンサ201が示す加速度@標準温度×標準補正係数@環境温度
・・・式(2)
【0046】
外部標準信号は、具体的には、たとえば、外部からセンサ201に振動を与えた場合にシーソー型可動構造体2に生じる加速度であり、データメモリ302に格納される。標準補正係数@環境温度は、ある環境温度での標準補正係数であり、補正直線501bから特定される。
【0047】
(2)出荷前
[(A)センサ201の個体差の影響排除]
グラフ502Aは、入力加速度に対するセンサ出力電圧の変化を示す。出荷前では、センサ201のサンプルごとに、標準温度での入力加速度を与えたときのセンサ出力電圧が計測され、統計処理によりセンサ201個別で補正した感度直線502aを示すデータ2−Aが得られる。データ2−Aは、センサ201個別で補正した感度直線502aのパラメータ(a´,b´)である。感度直線502aは、出荷前において端末101の外部からの振動に対するセンサ201の出力の感度を示す感度情報である。下記式(2)により、出荷前における標準温度での入力加速度とセンサ出力電圧との関係が得られる。
【0048】
入力加速度@標準温度=a´×センサ出力電圧+b´・・・式(3)
【0049】
(3)現地設置後
現地設置後では、センサ出力電圧と、データ2−Aと、現地での実測の環境温度と、データ1−Bと、を用いて、LSI301は、下記式(4)により、加速度を算出する。この加速度は、センサ201個体差および外部環境変動の影響がある程度軽減されたデータとなる。
【0050】
現地での実測加速度=(a´×センサ出力電圧+b´)×標準補正係数@実測環境温度
・・・式(4)
【0051】
<センサ201の補正例2>
つぎに、センサ201の補正例2について、図6図11を用いて説明する。センサ201の補正例2は、センサ201の補正例1を改善した補正例である。
【0052】
図6は、内部標準信号の補正処理手順例を示すフローチャートである。図7は、出荷前のセンサ201に対する処理を示す説明図である。ステップS601〜S604は、出荷前に実施される処理であり、ステップS605〜S609は、端末101の現地設置後に実施される処理である。内部標準信号とは、センサ201から外部標準信号相当の加速度を出力させるためにセンサ201に印加される電圧である。ユーザは、センサ201の較正を実施しておく(ステップS601)。
【0053】
具体的には、たとえば、LSI301は、DCサーボ電極5に対しDCサーボ電圧Vh1(ACサーボ電圧でもよいが、ここでは、DCサーボ電圧とする。また、大質量側2aのDCサーボ電極への印加を想定しているが、小質量側2bまたは両方も可能)をバイアス印加して、シーソー型可動構造体2を水平に維持する(定常状態、図7の処理(a)を参照)。
【0054】
つぎに、ユーザは、センサ201内のシーソー型可動構造体2の最大振幅を確認する(ステップS602)。具体的には、たとえば、LSI301は、定常状態からスタートして、DCサーボ電極5にDCサーボ電圧を徐々に印加していく。この場合、定常状態を基準に片側(大質量側2aまたは小質量側2b)振幅のみで実施してもよいが、両側振幅で実施したほうが望ましい。
【0055】
そして、LSI301は、ストッパ6の接触時、すなわち、検出電極3の静電容量変化がなくなる際(印加電圧を変えても検出電極3の数値が変わらない、または静電容量の変化率が大きく変化する印加電圧で定義)における、検出電極3の静電容量Cdt1とLSI301がDCサーボ電極5に出力したDCサーボ電圧の変化量Vst1とを、シーソー型可動構造体2の最大振幅として測定し、データメモリ302に格納する(図7の処理(b)を参照)。
【0056】
ストッパ6は、上部電極3x1,4x1,5x1と下部電極3x2,4x2,5x2との接触による破損や貼り付きを防止する目的で設置されている。すなわち、DCサーボ電極5への電圧印加の方法次第では、電極間距離が一定値より狭くなると、クーロン力>バネの復元力となって、上部電極3x1,4x1,5x1と下部電極3x2,4x2,5x2とが貼り付いてしまう。ストッパ6にはこの張り付きを防止する効果もある。
【0057】
つぎに、LSI301は、外部標準信号を決定する(ステップS603)。具体的には、たとえば、センサ201が外部から揺らされ、シーソー型可動構造体2が揺動する。このときにシーソー型可動構造体2に発生する加速度を外部標準信号となる加速度Srとする。LSI301は、加速度Srが発生したときの検出電極3の変位trに相当する検出電極3の静電容量Cdr1と、LSI301がDCサーボ電極5に出力したDCサーボ電圧の変化量Vsr1とを、外部標準信号となる加速度Srに対応する電圧情報として測定し、データメモリ302に格納する(図7の処理(c)を参照)。
【0058】
つぎに、LSI301は、実際に内部標準信号に相当するDCサーボ電圧を測定する(ステップS604)。具体的には、たとえば、LSI301は、下記式(5)により、内部標準信号となるDCサーボ電圧V1を算出する。
【0059】
V1=Vsr1・sinωt+Vh1・・・・・・・・式(5)
【0060】
ωはDCサーボ電圧V1の角周波数である。LSI301は、算出したDCサーボ電圧V1をDCサーボ電極5に印加して励振させる。ここでは正弦波を使用したが、これに限らず矩形波等を使用してもよい。
【0061】
そして、LSI301は、検出電極3の静電容量の変化を抑制するACサーボ力をシーソー型可動構造体2に与えるために、外部標準信号となる加速度Srに相当するACサーボ電圧の出力電圧ピーク値Var1を取得して、データメモリ302に格納する。出力電圧ピーク値Var1はセンサ201のシーソー型可動構造体2に入力(印加)される入力値である。出力電圧ピーク値Var1が印加されたときのシーソー型可動構造体2の揺動で発生する加速度が、外部標準信号に相当する。これにより、出荷前の補正が終了する。
【0062】
ステップS605以降が、現地設置後の処理となる。現地設置後、LSI301は内部標準信号を較正する(ステップS605)。具体的には、たとえば、LSI301は、DCサーボ電極5に対しDCサーボ電圧Vh2(ACサーボ電圧でもよいが、ここでは、DCサーボ電圧とする。また、大質量側2aのDCサーボ電極5への印加を想定しているが、小質量側2bまたは両方も可能)をバイアス印加して、シーソー型可動構造体2を水平に維持する(定常状態)。
【0063】
LSI301は、定常状態からスタートして、DCサーボ電極5にDCサーボ電圧を徐々に印加していく(定常状態を基準に片側(大質量側2aまたは小質量側2b)振幅のみで実施してもよいが、両側振幅で実施したほうが望ましい)。そして、LSI301は、ストッパ6の接触時、すなわち、検出電極3の静電容量変化がなくなる際(印加電圧を変えても検出電極の数値が変わらない、または静電容量の変化率が大きく変化する印加電圧で定義)における、検出電極3の静電容量Cdt2と、LSI301がDCサーボ電極5に出力したDCサーボ電圧の変化量がバイアスであるDCサーボ電圧Vh2からVst2に至るまでのCd(t)とVs(t)との相関関係と、を測定する。
【0064】
Vst2は、検出電極3の静電容量変化がなくなる際のDCサーボ電圧の変化量である。Cd(t)は検出電極3の静電容量の時間的変化、Vs(t)はDCサーボ電極5への出力電圧の時間的変化を示す。相関関係とは、Vs(t)の変化に対応するCd(t)の変化である。
【0065】
図8は、Cd(t)とVs(t)との相関関係を示すグラフである。相関関係R1は、出荷前におけるCd(t)とVs(t)との相関関係であり、相関関係R2は、現地設置後におけるCd(t)とVs(t)との相関関係である。横軸は、DCサーボ電極5への出力電圧のバイアスVhからの変化量を示し、縦軸は、検出電極3の静電容量を示す。相関関係R1、R2は、データメモリ302に格納されている。
【0066】
静電容量Cdt1および変化量Vst1は、ステップS602(図7の処理(b)に対応)で得られる。静電容量Cdr1および変化量Vsr1は、ステップS603(図7の処理(c)に対応)で得られる。
【0067】
ステップS605では、LSI301は、現地にて外部標準信号となる加速度Srが印加されたときのピーク変位量trを与えるACサーボ出力電圧Vsr2を決定する。ACサーボ出力電圧Vsr2は、現地設置後においてセンサ201に外部標準信号を出力させる較正信号である。ピーク変位量trに相当する検出電極容量Cdr2は、近似的に下記式(6)で求められる。
【0068】
Cdr2=Cdt2×Cdr1/Cdt1・・・(6)
【0069】
このように、LSI301は、上記式(6)で求められたCdr2を相関関係R2に与えることにより、外部標準信号となる加速度Srが与えられたときのピーク変位量trを与えるACサーボ出力電圧Vsr2を算出する。
【0070】
これにより、電源やLSI301の誤差、環境変化による電極3〜5の変形の影響が軽減された外部標準信号となる加速度Srを得るためのACサーボ出力電圧Vsr2が決定される。これにより、内部標準信号が較正されたことになる。
【0071】
図6において、LSI301は、現地較正済内部標準信号であるDCサーボ電圧V2を算出してDCサーボ電極5に印加することで、DCサーボ電極5を励振させる(ステップS606)。すなわち、LSI301は、センサ201を振動が検出可能な状態にする。具体的には、たとえば、LSI301は、下記式(7)により、DCサーボ電圧V2を算出する。
【0072】
V2=Vsr2×sinωt+Vh2・・・(7)
【0073】
DCサーボ電極5の励振により、シーソー型可動構造体2が揺動して加速度が発生可能な状態にする。したがって、端末101の現地設置の影響を軽減し、より高精度な内部標準信号を得るためのDCサーボ電圧の印加が可能となる。
【0074】
つぎに、LSI301は、補正用出力検波を実行する(ステップS607)。具体的には、たとえば、LSI301は、検出電極3の静電容量変化を抑制するACサーボ力をシーソー型可動構造体2に与えるために、外部標準信号に相当するACサーボ電極4へのACサーボ出力電圧Var2を算出する。ACサーボ出力電圧Var2は、設置環境やセンサ201の経時変化起因の誤差が生じた場合の補正用データとなる。
【0075】
つぎに、LSI301は、環境因子測定および仮補正を実行する(ステップS608)。環境因子とは、センサ201が存在する環境においてセンサ201に影響を与える因子であり、たとえば、現地の環境温度である。仮補正とは、環境因子測定で得られた環境因子、ここでは、現地の環境温度を用いて、内部標準信号V2が印加されたときの現地測定に基づく補正直線を更新する処理である。
【0076】
図9は、環境因子測定および仮補正(ステップS608)の具体例を示す説明図である。図9の各グラフ902B−0,902B−1,902B−2,…,902B−n−1,902B−n(nは、1以上の整数)は、横軸を現地環境温度(出荷前のみ標準温度)、縦軸を補正係数とする。仮補正1,2,…,n−1,nを実行するごとに現地で計測した現地環境温度とその補正係数とを特定する点P1,P2,…,Pn−1,Pnがプロットされ、たとえば、仮補正1,2,…,n−1,nの都度、最小二乗法を用いて近似直線として補正直線901b1,901b2,…,901bn−1,901bnが生成される。
【0077】
まず、点P0は、たとえば、標準温度を20[℃]、外部標準信号を0.6[g]とした場合に、ユニバーサルな補正直線501bにおいて標準補正係数が1.0となる点である。
【0078】
点P1,P2,…,Pn−1,Pnの補正係数は、出荷前にステップS604で求めた外部標準信号である加速度Srに相当するACサーボ電圧の出力電圧ピーク値Var1と、現地設置後にステップS607で求めたACサーボ出力電圧Var2との比(Var1/Var2)である。ACサーボ出力電圧Var2の値は、仮補正1,2,…,n−1,nごとに異なる値となる。
【0079】
また、図9は、補正直線901b1,901b2,…,901bn−1,901bnを求めたが直線に限らず曲線でもよい。
【0080】
図6に戻り、LSI301は、ステップS608で求めた補正直線との比較による補正異常検知を実行する(ステップS609)。具体的には、たとえば、LSI301は、更新前後の補正直線で傾きまたは/および切片の変化割合が所定の変化割合を超えたか否かを判断する。超えた場合は、LSI301は、更新後の補正直線を採用せず、更新前の補正直線を維持する。超えていない場合は、LSI301は、更新後の補正直線を採用する。
【0081】
また、LSI301は、更新前の補正直線901bn−1と既存プロット点P0〜Pn−1との距離の分布から求めた標準偏差をσとした際に、更新前の補正直線901bn−1と新規プロット点Pnとの距離が、予め規定したkに対して、平均値±kσを超えたか否かを判断してもよい。平均値±kσを超えた場合は、LSI301は、更新後の補正直線を採用せず、更新前の補正直線を維持する。超えていない場合は、LSI301は、更新後の補正直線を採用する。
【0082】
図10は、センサ201の補正例2を示す図表である。図10では、(1)開発時、(2)出荷前、(3)現地設置後の時期において、目的(A),(B)別にセンサ201の補正方法を説明する。なお、(1)開発時、および(2)出荷前の(A)センサ201個体差の影響排除については、図5のセンサ201の補正例1と同一内容であるため、説明を省略する。また、(2)出荷前の(B)外部環境変動の影響排除については、図9で説明したので、ここでの説明を省略する。
【0083】
(3)現地設置後
[(C)現地較正後の内部標準信号V2]
外部標準信号である加速度Srが外部から印加されると、シーソー型可動構造体2に当該加速度に相応した力が働き、結果として変位(揺動)が発生する。この外部標準信号(加速度Sr)によらず、当該変位を電圧としてセンサ201自身が発生できれば、当該変位を標準信号とすることができる。ここでいう電圧とは、出荷前において、この変位を与えるためにDCサーボ電極5に重畳させる電圧である。
【0084】
Vsr1は、出荷前において、外部標準信号である加速度Srに相当する変位を与える電圧である。Vsr2は、現地において、外部標準信号である加速度Sr相当の変位を与える電圧である。Vsr1およびVsr2は、この変位を与えるためにDCサーボ電極5に重畳させる電圧である。このVsr2が、現地にて内部標準信号をV1からV2に較正するために用いられるデータ3−B1である。
【0085】
電圧Vsr2について具体的に説明すると、現地にて、DCサーボ電極5の定常状態(Vh2)から、DCサーボ電極5に電圧を徐々に印加していき、検出電極3を用いて、予め設置されたストッパの接触時、すなわち、容量変化がなくなる際の検出電極容量Cdt2とLSI301のDCサーボ電極5への出力電圧変化分Vst2に至るまでのCd(t)とVs(t)の相関関係を測定しておく。
【0086】
電圧と変位の関係から、現地にて外部標準信号印加時のピーク変位量trを与える電圧Vsr2を決定する。ピーク変位量trに相当する検出電極容量Cdr2は、近似的に上記式(6)で決定される。したがって、Cd(t)とVs(t)の相関関係を示す関係式内のCd(t)にCdr2を代入することで、Vs(t)=電圧Vsr2が決定される。そして、式(7)に電圧Vsr2およびバイアスであるDCサーボ電圧Vh2を与えることで、現地較正済内部標準信号V2が決定される。
【0087】
[(D)現地較正済内部標準信号V2を用いた測定]
現地較正済内部標準信号V2がセンサ201に印加された状態で、図9で説明したように、LSI301は、実測された現地環境温度と比(Var1/Var2)とにより決定される点Pnがグラフ902B−nにプロットし、最新の補正直線901bnを生成する。最新の補正直線901bnがデータ3−B2である。開発時において標準温度での外部標準信号である加速度に、データ3−B2(補正直線901bn)における現地環境温度での補正係数を乗じることで、現地較正済内部標準信号V2がセンサ201に印加されたときにセンサ201が示す現地環境温度での加速度を得ることができる。
【0088】
現地設置後では、LSIは、現地較正済内部標準信号V2をセンサ201に印加する。そして、センサが反射波wbを受けると、センサ201が示す現地環境温度での加速度に応じて、LSI301は、実測データとなるセンサ出力電圧(生データ)を出力する。このセンサ出力電圧(生データ)と、データ2−A(a´,b´)と、実測した現地環境温度と、データ3−B2(補正直線901bn)と、を用いて、LSI301は、下記式(8)により、現地加速度を出力する。
【0089】
現地加速度=(a´×センサ出力電圧(生データ)+b´)×現地補正係数@現地環境
温度・・・(8)
【0090】
このように、現地加速度を出力することで、センサ201の個体差および外部環境変動の影響が従来よりも軽減される。
【0091】
<現地設置後のLSI301の動作処理手順例1>
図11は、現地設置後のLSI301の動作処理手順例1を示すフローチャートである。まず、LSI301は、動作モードの確認をする(ステップS1101)。動作モードは、「測定」および「待機」の2種類である。動作モードは、たとえば、動作モードを選択するボタン(不図示)の入力により、「測定」および「待機」のいずれかに選択される。
【0092】
動作モード「測定」が選択されると(ステップS1101:測定)、LSI301は、たとえば、センサ201が地震の反射波wbを信号検波することで入力加速度に相当する電圧を検出する(ステップS1102)。LSI301は検出した電圧についてデジタル化およびノイズ除去を施す(ステップS1103)ことで、センサ出力電圧(生データ)を生成する。つぎに、LSI301は、センサ201個体差較正をおこなう(ステップS1104)。具体的には、たとえば、LSI301は、データメモリ302からデータ2−A(a´,b´)を読み出して、式(3)を用いて入力加速度を較正する。
【0093】
つぎに、LSI301は、たとえば、温度センサ(不図示)から現地環境温度を実測する(ステップS1105)。そして、LSI301は、最新の補正直線901bnをデータメモリ302から読み出して、ステップS1105で実測した現地環境温度から補正係数を特定する(ステップS1106)。なお、当該現地での最初の測定の場合(仮補正未実施)、最新の補正直線901bnは、ユニバーサルな補正直線501bである。
【0094】
このあと、LSI301は、温度補正処理を実行する(ステップS1107)。具体的には、たとえば、LSI301は、式(8)により、ステップS1104で求めた入力加速度に、ステップS1106で特定した補正係数を乗算することで、入力加速度を補正する。
【0095】
このあと、LSI301は、補正した入力加速度をディスプレイ(不図示)に表示したり、データ収集機構102に送信したり、データメモリ302に格納し、動作モードを「待機」に設定する(ステップS1108)。そして、ステップS1101に戻る。
【0096】
また、ステップS111において、動作モード「待機」が選択されると(ステップS1101:待機)、LSI301は、更新ボタン(不図示)からの現地更新入力を待ち受ける(ステップS1109)。現地更新入力がない場合(ステップS1109:No)、ステップS1101に戻る。一方、現地更新入力があった場合(ステップS1109:Yes)、LSI301は、補正直線更新処理を実行する(ステップS1110)。
【0097】
補正直線更新処理(ステップS1110)により補正直線が更新されると、LSI301は更新確認を実行する(ステップS1111)。更新確認とは、たとえば、更新候補の補正直線の了承および拒否のいずれかの入力である。この場合、LSI301は、ユーザによる了承および拒否の判断のため、更新候補の補正直線をディスプレイ(不図示)に表示してもよい。
【0098】
拒否が選択された場合(ステップS1111:拒否)、ステップS1111に戻る。一方、了承が選択された場合(ステップS1111:了承)、LSI301は、最終的に更新候補の補正直線に更新して(ステップS1112)、ステップS1101に戻る。すなわち、LSI301は、データメモリ302において、既存補正直線を更新候補の補正直線で上書き保存する。これにより、以降の動作モード「測定」(ステップS1102〜S1108)においては、ステップS1112で更新された最新の補正直線901bnがステップS1106で適用される。
【0099】
つぎに、補正直線更新処理(ステップS1110)について説明する。LSI301は、ステップS605で説明したように、内部標準信号をV1からV2に較正する(ステップS1121)。具体的には、たとえば、LSI301は、式(7)により現地較正済内部標準信号V2を生成する。つぎに、LSI301は、ステップS606で説明したように、現地較正済内部標準信号V2をセンサ201のDCサーボ電極5に印加して、DCサーボ電極5を励振させる(ステップS1122)。
【0100】
つぎに、LSI301は、ステップS607で説明したように、補正用出力検波をおこなう(ステップS1123)。具体的には、たとえば、LSI301は、検出電極3の静電容量変化を抑制するACサーボ力をシーソー型可動構造体2に与えるために、現地較正済内部標準信号V2に相当するACサーボ電極4へのACサーボ出力電圧Var2を算出する。
【0101】
つぎに、LSI301は、ステップS608で説明したように、環境因子測定および仮補正を実行する(ステップS1124)。これにより、現地環境温度を用いて、現地較正済内部標準信号V2が印加されたときの補正直線901bnを更新することができる。
【0102】
このあと、LSI301は、既存補正直線901bn−1との比較による補正異常検知をおこなう(ステップS1125)。具体的には、たとえば、直線近似で補正直線901bnに更新する場合、既存補正直線901bn−1と比べて、傾きまたは/および切片が予め規定した変化割合を超えた場合、補正異常を検知したとして、NGに遷移する。変化割合を超えていない場合は、正常であるため、OKに遷移する。
【0103】
また、たとえば、既存補正直線901bn−1と既存プロット点P0〜Pn−1との距離の分布から求めた標準偏差をσとした際に、既存補正直線901bn−1と新規プロット点Pnとの距離Dnが、予め規定したkに対して、Dn>平均値±kσとなった場合、補正異常を検知したとして、NGに遷移する。Dn>平均値±kσでない場合は、正常であるため、OKに遷移する。OKに遷移した場合、LSI301は、新規生成した補正直線901bnを更新候補として設定し(ステップS1126)、ステップS1111に移行する。
【0104】
これにより、補正係数および内部標準信号V1を現地の環境に応じて適切に較正することができ、高精度なセンシングが可能となる。
【0105】
<補正用出力検波時の信号処理方法例>
図12は、補正用出力検波時の信号処理方法例を示す図表である。方式Iは、信号電圧を時間空間処理であつかう方式であり、方式IIは、信号電圧を周波数空間処理であつかう方式である。また、方式Iおよび方式IIのいずれにおいても、枝番のi)は、信号処理を実行するLSI301が端末101に実装されている方式であり、枝番のii)は、信号処理を実行するLSI301が端末101以外(データ収集機構102、観測車105、データ解析センタ108)に実装されている方式である。
【0106】
枝番i)の方式の場合、各端末101で信号処理が実行され、実行後に端末101が回収される。したがって、上位装置(データ収集機構102、観測車105、データ解析センタ108)へのデータ転送が低減される。
【0107】
枝番ii)の方式の場合、信号処理の処理速度が速く、大容量データに対応することが端末101よりも容易であるため、センシング精度の向上が容易になる。また、データセンタが実行主体の場合、データを保存できるため、信号処理のやり直しも可能となる。
【0108】
方式Iでは、時間空間での出力波形の振幅の標準波形との差が確認される(図10のデータ3−B1を参照)。また、取得した信号波形をそのまま使用することができる。また、時間空間処理のため、計算処理が簡便である。なお、方式Iの信号波形は正弦波や余弦波に限らず、有限時間の定数を示す矩形波でもよい。矩形波の場合、定電圧発生回路がLSI301に存在すれば、当該波形の生成は不要となり、信号処理が簡便化される。
【0109】
方式IIでは、周波数空間での着目周波数帯域の信号強度の標準波形との差が確認される。具体的には、たとえば、時間空間の信号波形に対してフーリエ変換が実施される。また、周波数帯域に変換されると、環境ノイズの影響が低減される。また、周波数空間処理のため、内部標準信号に特徴のある信号(例:sinωt)が使用された場合、その周波数帯域を対象とすることで、精度確保が可能となる。また、周波数空間処理のため、環境ノイズや内部ノイズの影響を受け難い周波数帯域を対象とすることで、精度低減を抑制することができる。
【0110】
<現地での感度較正例>
図13は、現地での感度較正例を示す説明図である。図13では、図10と比較して説明する。図10では、外部標準信号を1つとしたが、図13のグラフ1302Aでは、複数の外部標準信号および複数の内部標準信号が用いられる。具体的には、たとえば、出荷前のデータ2−Aに示したグラフ502Aにおいて、複数の外部標準信号(ここでは、入力加速度Srを−0.6[g]、−0.3[g],0.0[g],0.3[g],0.6[g]とする)におけるセンサ出力電圧を、外部標準信号の各々について外部標準信号である加速度Sr相当の変位を与える電圧Vsr1とする。また、複数の内部標準信号を、複数の加速度(−0.6[g]、−0.3[g],0.0[g],0.3[g],0.6[g])Sr相当の変位を与える電圧Vsr2とする。これにより、上記式(7)により、現地較正済内部標準信号V2が複数生成される。
【0111】
図9および図10に示したデータ3−B2は、現地較正済内部標準信号V2ごとに生成される。具体的には、たとえば、入力加速度の基準値をたとえば0.6[g]とする(以下、基準入力加速度)。現地環境温度が検出されると、LSIは、基準入力加速度0.6[g]に対応する現地較正済内部標準信号V2での補正直線901bnにおいて、検出した現地環境温度に対応する現地補正係数(以下、基準現地補正係数)を特定する。そして、LSIは、グラフ503Aに、入力加速度(横軸)の基準値0.6[g]における加速度効果修正係数(縦軸)として1.00をプロットする。加速度効果修正係数とは、入力加速度に応じて感度直線502aを修正するために用いられる修正係数である。
【0112】
LSIは、他の5つの入力加速度(−0.6[g]、−0.3[g],0.0[g],0.3[g])についても、同様に、LSIは、当該各入力加速度に対応する現地較正済内部標準信号V2での補正直線901bnにおいて、検出した現地環境温度に対応する現地補正係数を特定する。そして、LSIは、グラフ503Aに、当該各入力加速度(横軸)における加速度効果修正係数(縦軸)として、特定した現地補正係数を基準現地補正係数で割った値をプロットする。
【0113】
これにより、加速度効果修正係数の変化を示す折れ線グラフ503aがデータ3−Cとして生成される。他の5つの入力加速度については、現地での測定の都度、LSIは、加速度効果修正係数がグラフ503Aにプロットし、入力加速度ごとに、加速度効果修正係数の平均値を算出する。これにより、折れ線グラフ503aがデータ3−Cとして更新される。
【0114】
つぎに、LSIは、感度直線502aを補正する。具体的には、たとえば、上述した6つの入力加速度の加速度効果修正係数をそれぞれ読み出して、各々対応する入力加速度に乗算する。たとえば、データ3−Cにおいて、入力加速度が−0.6[g],0.0[g],0.6[g]の加速度効果修正係数は、1.0であるため、−0.6[g],0.0[g],0.6[g]は変更されない。
【0115】
一方、入力加速度が−0.3[g],0.3[g]の加速度効果修正係数は、それぞれ0.99であるため、LSIは、−0.3[g],0.3[g]の各々に0.99を乗じて入力加速度を−0.3[g],0.3[g]から−0.297[g],0.297[g]に更新する。これにより、感度直線502aは折れ線となる感度直線504aに更新される。
【0116】
つぎに、LSIは、基準入力加速度0.6[g]に対応する現地較正済内部標準信号V2がセンサ201に印加する。そして、センサが反射波wbを受けると、センサ201が示す現地環境温度での加速度に応じて、LSI301はセンサ出力電圧(生データ)を出力する。
【0117】
LSIは、グラフ504を参照して、感度直線504aの折れ線の区間S1〜S5からセンサ出力電圧(生データ)に対応する区間を特定する。LSIは、特定した区間の折れ線の傾きa”および切片b”を、データ4−Aとして感度直線504aから取得する。
【0118】
そして、LSIは、出力したセンサ出力電圧(生データ)と、データ4−A(a”,b”)と、実測した現地環境温度と、データ3−B2(補正直線901bn)と、を用いて、LSI301は、下記式(9)により、現地加速度を出力する。
【0119】
現地加速度=(a”×センサ出力電圧(生データ)+b“)×基準現地補正係数@現地
環境温度・・・・(9)
【0120】
このように、現地加速度を出力することで、センサ201の個体差および外部環境変動の影響が従来よりも軽減される。これにより、端末101内部の電子回路の経時変化や、環境因子(ここでは環境温度)の影響を軽減した上での現地での内部標準信号の較正と、それを利用した環境因子の影響の軽減が可能となる。したがって、端末101の長期的な精度の維持や向上を図ることができる。
【0121】
<現地設置後のLSI301の動作処理手順例2>
図14は、現地設置後のLSI301の動作処理手順例2を示すフローチャートである。動作処理手順例2は、事前にライセンスキーの認証有無を確認する例である。図11と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明を省略する。まず、LSI301は、端末101がライセンスキーの認証済みか否かを判断する(ステップS1400)。
【0122】
たとえば、端末101と認証元のコンピュータ400とが通信可能な状態とし、認証元のコンピュータ400は、端末101から入力されたライセンスキーと、認証元のコンピュータ400が保持するライセンスキーとが一致するか否かを判定する。
【0123】
不一致の場合、端末101は認証されておらず、端末101のLSI301は、ステップS1101、S1109〜S1112の実行が禁止されたままである。一方、一致した場合、認証元のコンピュータ400は、端末101のLSI301で実行が禁止されているステップS1101、S1109〜S1112が実行できるように設定する。これにより、端末101が認証される。
【0124】
認証済みの場合(ステップS1400:Yes)、ステップS1101に遷移し、認証済みでない場合(ステップS1140:No)、ステップS1102に移行する。したがって、認証済みでない端末101は、ステップS1102〜S1108を繰り返し実行することになる。
【0125】
このように、認証済みの確認をおこなうことで、たとえば、端末101のユーザ群のうち有償のライセンシーの端末101のみが、ステップS1101、S1109〜S1112が実行することができる。
【0126】
また、上述した例において、端末101の通信IF303は専用ポートを有し、端末は、通常ポートから、現地加速度やセンサ出力電圧(生データ)を上位装置に送信し、専用ポートから、補正用のデータ(Vsr2,データ2−A,3−B1,3−B2,4−A)を上位装置に送信してもよい。これにより、上位装置は、専用ポートの使用回数、すなわち、専用ポートからの受信回数を管理することで、現地更新の使用頻度を特定することができる。また、図14に示したように、ライセンスキーを設定した場合には、上位装置は、現地更新の使用頻度に応じて、課金額を増減するように管理してもよい。
【0127】
また、上述した例において、センサ201は加速度を出力することとしたが、加速度の替わりに角速度を出力してもよい。この場合、LSI301は、角速度をそのまま用いてもよく、加速度に変換してもよい。
【0128】
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。例えば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、または置換をしてもよい。
【0129】
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
【0130】
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、IC(Integrated Circuit)カード、SDカード、DVD(Digital Versatile Disc)の記録媒体に格納することができる。
【0131】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0132】
2 シーソー型可動構造体
100 油田探査システム
101 端末
102 データ収集機構
106 運用管理システム
107 コンテナ型データセンタ
108 データ解析センタ
201 センサ
301 LSI
302 データメモリ
400 コンピュータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14