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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-215295(P2019-215295A)
(43)【公開日】2019年12月19日
(54)【発明の名称】電磁石装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 24/00 20060101AFI20191122BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20191122BHJP
   H01F 6/06 20060101ALI20191122BHJP
   H01F 5/00 20060101ALI20191122BHJP
【FI】
   G01N24/00 610E
   A61B5/055 332
   H01F6/06 130
   H01F6/06 150
   H01F5/00 CZAA
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-113630(P2018-113630)
(22)【出願日】2018年6月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 拓
(72)【発明者】
【氏名】古閑 康則
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AB45
4C096AD08
4C096CA02
4C096CA25
4C096FA11
(57)【要約】
【課題】励磁状態であっても作業者が高磁場の影響を受けることなく磁場調整作業を行うことを可能にする電磁石装置を提供する。
【解決手段】電磁石装置70は、超伝導コイル33と、開口部26を有し、前記超伝導コイル33の上面に設けられるヨーク天板31と、前記開口部26に取り付けられ、前記超伝導コイル33が発生する磁束を集める磁極構造体32と、前記ヨーク天板31と前記磁極構造体32とを締結する第1部材36と、前記第1部材36に取り付けられて、体積が可変可能な第2部材37と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超伝導コイルと、
開口部を有し、前記超伝導コイルの一端面側に設けられるヨーク端板と、
前記開口部に取り付けられ、前記超伝導コイルが発生する磁束を集める磁極構造体と、
前記ヨーク端板と前記磁極構造体とを締結する第1部材と、
前記第1部材に取り付けられて、体積が可変可能な第2部材と、
を備えることを特徴とする電磁石装置。
【請求項2】
前記第1部材及び前記第2部材は、
前記超伝導コイルの円周方向に沿って、複数設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の電磁石装置。
【請求項3】
前記第1部材は、表面に凸部を有し、
前記第2部材は、前記凸部と対向する位置に、凹部を有する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電磁石装置。
【請求項4】
前記凸部及び前記凹部の形状は、逆円錐台形状である、
ことを特徴とする請求項3に記載の電磁石装置。
【請求項5】
前記第1部材は、表面に雄ネジを有し、
前記第2部材は、前記雄ネジと対向する位置に、雌ネジを有する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電磁石装置。
【請求項6】
分割された前記第2部材を締結するボルトを更に備える、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の電磁石装置。
【請求項7】
前記第2部材は、複数の前記第1部材と対向して設けられる、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の電磁石装置。
【請求項8】
前記第1部材は、いもネジであり、
前記第2部材は、円柱形状の鉄片である、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電磁石装置。
【請求項9】
前記ヨーク端板は、分割して構成される、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の電磁石装置。
【請求項10】
前記超伝導コイルの円周方向に沿って、前記超伝導コイルの側面を囲むように設けられる筒形状のヨーク側板を更に備え、
前記ヨーク端板、前記磁極構造体、前記ヨーク側板は、磁性材料で形成される、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の電磁石装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁場分布の乱れを調整することが可能な電磁石装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁石装置は、磁気共鳴イメージング(MRI:Magnetic Resonance Imaging)装置などに用いられているが、MRI装置に用いられる電磁石装置では、静磁場を発生させる静磁場コイルとして、超伝導コイルが用いられる。この超伝導コイルを永久電流モードで通電している場合、その超伝導コイルで発生する静磁場の磁場強度を時間的に一定に保つことができる。また、研究用加速器などに用いられる研究用磁石装置では、磁場が一定値またはある目標の磁場分布となるように、高精度な磁場分布調整が要求される。例えば、磁束密度が3Tである磁場が1ppm以下の精度で空間的にも時間的にも一定に保たれるようにすることが求められる。
【0003】
超伝導コイルを永久電流モードで通電している場合、超伝導コイル内部の磁束は保存され、その磁場強度は一定に保たれる。この性質を利用して、電磁石装置に超伝導コイルを用い、発生磁場を1年以上の長時間ほぼ一定に維持している例もある。これらの磁石装置では、主たる磁場を生成する超伝導コイルに加えて、磁場微調整用コイル(シムコイル)または鉄片(シム鉄)、および、磁束の磁路となるヨークを備え、磁石軸方向の磁場分布を微調整することが可能なようにされている。
【0004】
ところで、研究用磁石装置では、研究の目的に応じて種々の測定機器の入れ替えが行われるため、研究用磁石装置の励磁中に磁極を開閉する作業が発生する。この磁極の開閉作業は、研究用磁石装置の運転期間中に頻繁に行われるため、磁場微調整用シムコイルやシム鉄による磁場の微調整作業に加え、磁極の位置ずれに由来する誤差磁場を調整するメカニカルシムが行われる。
【0005】
例えば、特許文献1には、磁気ヨークに固定されて互いに対向する一対の永久磁石により形成される静磁場を調整するために、各永久磁石の磁極の対向面に非鉄材料からなるディスク20の表面に複数の穴22を設け、穴22内に鉄の含有量の異なるペレット14、16、18を挿入し、ディスク20をMRI装置の対向するマグネット12の内側に設けられたマウント装置に設けられている静磁場発生装置の例が開示されている(図8及び図9参照)。
図8において、縦軸方向は、上下に設けられた一対の磁石により形成される静磁場の方向に平行な方向であり、横平面は、その静磁場の方向に垂直な平面である。図8には、下側の対向する磁石間に固定されたプラスチックディスク100が図示されている。
図9において、プラスチックディスク100は、丸皿状をしており、その丸皿の表面上には、複数の穴22が設けられ、穴22には、鉄の含有量の異なるペレット14、16、18が挿入されている。このようなプラスチックディスク100を有する静磁場発生装置によって発生される静磁場に不均一が生じた場合には、プラスチックディスク100の表面上に形成された複数の穴22に鉄の含有量の異なるペレット14、16、18を挿入することにより、その不均一を解消することができる。従って、ペレット14、16、18は、前記のいわゆるシム鉄に相当するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6778054号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、特許文献1に開示された構造を有する静磁場発生装置では、鉄の含有量の異なるペレット14、16、18が上下に対向して設けられた丸皿状のプラスチックディスク100の内側面に設けられている。また、この静磁場発生装置で発生される静磁場の均一性を調整する作業(以下、磁場調整作業という)は、このペレットの鉄含有量を調整することによって行われる。しかしながら、この例の場合、ペレット14、16、18がプラスチックディスク100の内側面に設けられているため、その磁場調整作業を行うためには、作業者が上下のプラスチックディスク100の間に形成される静磁場の中に立ち入らなければならない。
【0008】
一般に、高磁場での特に長時間の磁場調整作業は、作業者の安全などに配慮して、磁場が励磁されている状態では行うことはできないとされている。また、研究用の電磁石装置は、発生する均一静磁場が超伝導コイルやヨーク側板などによって取り囲まれているため、実質的に励磁中の均一磁場の中に人が立ち入ることはできない。
【0009】
即ち、特許文献1に開示された磁極の構造を有するような静磁場発生装置では、静磁場発生装置が励磁されているときには磁場調整作業を行うのが困難であるという技術上の問題がある。
【0010】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、励磁状態であっても、作業者が高磁場の影響を受けることなく磁場調整作業を行うことが可能な電磁石装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る電磁石装置は、超伝導コイルと、開口部を有し、前記超伝導コイルの上面に設けられるヨーク天板と、前記開口部に取り付けられ、前記超伝導コイルが発生する磁束を集める磁極構造体と、前記ヨーク天板と前記磁極構造体とを締結する第1部材と、前記第1部材に取り付けられて、体積が可変可能な第2部材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、励磁状態であっても、作業者が高磁場の影響を受けることなく磁場調整作業を行うことが可能な電磁石装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係る電磁石装置の構成の一例を示す概略断面斜視図である。
図2】第1実施形態に係る電磁石装置のヨーク天板に取り付けられた磁極構造体の断面構造の一例を示す拡大図である。
図3】第1実施形態に係る電磁石装置のヨーク天板に取り付けられたボルトの構成の一例を示す斜視図である。
図4】第2実施形態に係る電磁石装置のボルトの構成の一例を示す斜視図である。
図5】第3実施形態に係る電磁石装置のボルトの構成の一例を示す斜視図である。
図6】第4実施形態に係る電磁石装置のボルトの構成の一例を示す断面斜視図である。
図7A】第5実施形態に係る電磁石装置のボルトの構成の一例を示す断面斜視図である。
図7B】第5実施形態に係る電磁石装置のボルトの構成の一例を示す斜視図である。
図8】従来の静磁場発生装置の磁極の構成の一例を示す断面図である。
図9】従来の静磁場発生装置の磁極の構成の一例を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態に係る電磁石装置について説明する。なお、以下の説明において参照する図面は、実施形態を概略的に示したものであるため、各部材のスケールや間隔、位置関係などが誇張、あるいは、部材の一部の図示が省略されている場合がある。また、例えば平面図とその断面図において、各部材のスケールや間隔が一致しない場合もある。また、以下の説明では、同一の名称及び符号については原則として同一又は同質の部材を示しており、詳細な説明を適宜省略することとする。また、本明細書において、「上」、「下」などは構成要素間の相対的な位置を示すものであって、絶対的な位置を示すことを意図したものではない。
【0015】
≪第1実施形態≫
図1乃至図3を参照して、第1実施形態に係る電磁石装置70の構成について、説明する。図1及び図2において、中心軸CLは、超伝導コイル33が発生する磁束の中心に設けられる軸を意味するものとする。
【0016】
図1に示すように、電磁石装置70は、ヨーク天板31、ヨーク側板34、超伝導コイル33、磁極構造体32、32K、第1部材36(ボルト根元部)、第2部材37(ボルト頭部)、ヨーク底板52、脚部55、超伝導コイル33を駆動するための電気回路装置(不図示)、超伝導を実現するための冷却構造(不図示)、これらを支持するための支持構造(不図示)、などを備えている。なお、本明細書において、ヨーク天板31、磁極構造体32、ヨーク側板34、ヨーク底板52を、総称してヨーク構造体と呼ぶものとする。
【0017】
超伝導コイル33は、ヨーク天板31、磁極構造体32、ヨーク側板34、ヨーク底板52、によって囲まれた空間に設けられる。超伝導コイル33の個数は、特に限定されるものではなく、1つであってもよいし、複数であってもよい。
超伝導コイル33が発生する磁束は、図1に示すような超伝導コイル33の輪の中で、例えば、下方から上方へと向かって発生する概ね直線状の磁束となる。超伝導コイル33が発生する磁束の大半は、磁極構造体32に集められた後、ヨーク天板31の各方向へと分散し、ヨーク側板34、ヨーク底板52を経由して、ヨーク底板52に設けられる磁極構造体32Kで集束する。その後、磁束は、磁極構造体32Kから吐出されて、再び、超伝導コイル33の輪の中へと戻る。
【0018】
ヨーク構造体は、超伝導コイル33が発生する磁束の磁路となる。従って、ヨーク構造体は、鉄などの磁性材料によって形成されることが好ましい。
【0019】
ヨーク天板31は、超伝導コイル33の上面に設けられ、ヨーク側板34の上面を塞ぐように取り付けられる。ヨーク天板31は、内側、即ち、磁極構造体32に近い側に形成されるヨーク天板31aと、外側、即ち、磁極構造体32から遠い側に形成されるヨーク天板31bと、を備えている。
ヨーク底板52は、超伝導コイル33の下面に設けられ、ヨーク側板34の下面を塞ぐように取り付けられる。また、ヨーク底板52の下面には、脚部55が取り付けられ、電磁石装置70は、脚部55によって支持され固定される。
【0020】
ヨーク天板31及びヨーク底板52の中心部には、中心軸CLを中心とする開口部26が配置される。開口部26の上部には、磁極構造体32が着脱可能に取り付けられている。また、開口部26の下部には、磁極構造体32Kが取り付けられている。
ヨーク天板31及びヨーク底板52の形状は、円形状に限定されるものではなく、6角形状などの多角形状であってもよい。なお、ヨーク天板31とヨーク底板52との相違は、脚部55を別にして、ヨーク側板34の上面に取り付けられているか、ヨーク側板34の下面に取り付けられているかの相違にすぎない。従って、本明細書におけるヨーク天板31の説明は、特に断らない限り、ヨーク底板52にもそのまま適用されるものとする。
【0021】
ヨーク側板34は、中心軸CLを対称軸とする筒形状であり、上面には、ヨーク天板31が取り付けられ、下面には、ヨーク底板52が取り付けられている。ヨーク側板34は、超伝導コイル33の円周方向に沿って、超伝導コイル33の側面を囲むように設けられる。ヨーク側板34の形状は、円筒形状に限定されるものではなく、6角筒形状などの多角筒形状であってもよい。
【0022】
磁極構造体32は、中心軸CLを対称軸とする対称構造を有している。また、磁極構造体32は、外周面において、磁石外側寄りの外径が大きく、且つ磁石内側寄りの外径が小さくなるような段付き構造を有している。また、磁極構造体32は、内周面27(図2参照)において、段付き構造を有していない。
【0023】
磁極構造体32は、開口部26に着脱可能に取り付けられ、超伝導コイル33が発生する磁束を集めてヨーク天板31へと導いている。
磁極構造体32は、図2に示すように、ヨーク接続部32a、外周傾斜部32b、磁束集束円筒部32c、という3つの部分により構成されている。
ヨーク接続部32aは、外周側面に係合部51及び係合部53が形成される。ヨーク接続部32aは、貫通孔に第1部材36が挿入されることで、ヨーク天板31と締結する。
外周傾斜部32bは、外周側面の径が、磁石外側から磁石内側へと向かって、次第に小さくなるように形成され、ヨーク接続部32aと磁束集束円筒部32cとの間に設けられる。
磁束集束円筒部32cは、外周側面の径が一定であり、円筒形状を有する。磁束集束円筒部32cは、超伝導コイル33が発生する磁束を集める役割を担っている。
【0024】
係合部51は、磁極構造体32の外周面に接するヨーク天板31aの内周面上側に、少なくとも1箇所以上形成される。或いは、係合部51は、ヨーク天板31aの外周面上側に接するヨーク天板31bの内周面に、少なくとも1箇所以上形成される。
係合部51は、磁石外側寄りに位置する部分の内周面の径を、磁石内側寄りに位置する部分の外周面の径より大きくした内周面の段付き構造によって実現される。
【0025】
係合部53は、ヨーク天板31aの内周面に接する磁極構造体32の外周面下側に、少なくとも1箇所以上形成される。或いは、係合部53は、ヨーク天板31bの内周面下側に接するヨーク天板31aの外周面に、少なくとも1箇所以上形成される。
係合部53は、磁石外側寄りに位置する部分の外周面の径を、磁石内側寄りに位置する部分の外周面の径より大きくした外周面の段付き構造によって実現される。
【0026】
ボルト35(35a、35b)は、第1部材36(ボルト根元部)と、第2部材37(ボルト頭部)と、を備えている。ボルト35aは、磁極構造体32に設置されて、磁極構造体32とヨーク天板31aとを締結する。ボルト35bは、ヨーク天板31aに設置されて、ヨーク天板31aとヨーク天板31bとを締結する。なお、ボルト35は、磁極構造体32及びヨーク天板31aのみならず、磁極構造体32K及びヨーク底板52にも設けられることが好ましい。
【0027】
ボルト35aは、開口部26を取り囲むように、超伝導コイル33の円周方向に沿って、複数設けられる。ボルト35aは、磁極構造体32の外面28から挿入されて、ヨーク天板31aの内部までねじ込まれる。
磁極構造体32には、外面28からヨーク天板31aの内部まで貫通する複数の貫通孔が予め設けられ、該貫通孔には、ボルト35aをねじ込むための雌ネジのネジ山が形成されている。
【0028】
ボルト35bは、開口部26を取り囲むように、超伝導コイル33の円周方向に沿って、複数設けられる。ボルト35bは、ヨーク天板31aの外面28から挿入されて、ヨーク天板31bの内部までねじ込まれる。
ヨーク天板31aには、外面28からヨーク天板31bの内部まで貫通する複数の貫通孔が予め設けられ、該貫通孔には、ボルト35bをねじ込むための雌ネジのネジ山が形成されている。
【0029】
第1部材36は、例えば、ステンレス等の非磁性材料によって構成されることが好ましく、磁極構造体32とヨーク天板31aとを締結する、或いは、ヨーク天板31aとヨーク天板31bとを締結する。
即ち、第1部材36は、係合部51及び係合部53の段差部分を介して、磁極構造体32とヨーク天板31aとの両者を固定する。或いは、第1部材36は、係合部51及び係合部53の段差部分を介して、ヨーク天板31aとヨーク天板31bとの両者を固定する。
【0030】
磁場調整の作業者(磁場の乱れを調整する作業者)は、第1部材36を、例えば、レンチ(ネジ回し)などで回転させることで、磁極構造体32に設けられた貫通孔に、第1部材36をねじ込む。或いは、磁場調整の作業者は、第1部材36を、例えば、レンチ(ネジ回し)などで回転させることで、ヨーク天板31aに設けられた貫通孔に、第1部材36をねじ込む。
【0031】
図3に示すように、第1部材36は、外面28から突出する六角形状の突出部分36_1と、レンチ等でねじ回し可能なねじ回し部分36_2と、突出部分36_1の表面に形成される凸部36_3と、を備えている。第1部材36に凸部36_3が形成されることで、第2部材37を設ける際、第1部材36に対する第2部材37の位置が決定され易くなる。即ち、磁場調整の作業者は、第1部材36の上に第2部材37を配置し易くなる。
【0032】
第2部材37は、例えば、鉄等の磁性材料によって構成されることが好ましく、第1部材36に対して着脱可能に取り付けられる。即ち、磁場調整の作業者は、第1部材36の表面に、第2部材37を設置する。
第2部材37は、凸部36_3と対向する位置に、凹部37_3を備えている。これにより、磁場調整の作業者は、第1部材36の凸部36_3と第2部材37の凹部37_3とが嵌り合うように、第1部材36の表面に、第2部材37を設置することが可能になる。なお、凸部36_3及び凹部37_3の形状は、両者が嵌り合う形状であれば、特に限定されるものではない。
【0033】
図3に示すように、第2部材37は、体積が可変可能である。第2部材37の体積が変化することで、電磁石装置70(図1参照)において、励磁状態であっても、作業者が高磁場の影響を受けることなく磁場調整作業を行うことが可能になる。
例えば、磁場調整の作業者は、第1部材36の表面に、第2部材37Bより体積が大きい第2部材37Cを取り付けることが可能である(図3(C)参照)。これにより、第2部材37は、第2部材37Bから第2部材37Cへと体積を大きくすることが可能である。
例えば、磁場調整の作業者は、第1部材36の表面に、第2部材37Bより体積が小さい第2部材37Aを取り付けることが可能である(図3(A)参照)。これにより、第2部材37は、第2部材37Bから第2部材37Aへと体積を小さくすることが可能である。
なお、磁場調整の作業者は、この磁場調整作業において、複数のボルト35の全てに、第2部材37を設置する必要はなく、磁場調整作業の状況に応じて、必要な箇所のボルト35のみに対して、第2部材37を設置すればよい。
【0034】
ここで、磁場調整の具体的な作業方法について、簡単に説明する。電磁石装置70の超伝導コイル33を励磁後、磁極構造体32の開口部26より超伝導コイル33の中心に向かって磁気センサーを挿入する。挿入した磁気センサーで磁場強度分布計測を実施し、磁場均一度を評価する。
磁場均一度が、仕様値を満たしていれば、磁場調整作業は終了となる。磁場均一度が仕様値を満たしていない場合は、第2部材37を第1部材36に配置する。第2部材37の配置作業後、磁気センサーによる磁場強度分布計測を実施し、磁場均一度を評価する。磁場均一度が仕様値を満たしていれば、磁場調整作業は終了となる。磁場均一度が仕様値を満たしていない場合は、第2部材37Bを、より大きい第2部材37C、あるいはより小さい第2部材37Aに変更し配置する。第2部材37の配置作業後、磁気センサーによる磁場強度分布計測を実施し、磁場均一度を評価する。以降この作業を磁場均一度が仕様値以下になるまで繰り返す。
【0035】
上記、第2部材37の配置作業により、磁極構造体32の超伝導コイル33の中心軸CLからの偏芯による磁場均一度の低下を調整することができ、具体的には、磁極構造体32の偏芯を0.2mmまで許容できる。
【0036】
ところで、超伝導コイル33に永久電流モードの通電がされている場合、超伝導コイル33には、一定の電流が流れ続けることから、超伝導コイル33の輪をくぐり抜ける磁束は保存される。そのため、超伝導コイル33の輪の中における静磁場の磁場強度は、時間的に一定に保たれる。また、超伝導コイル33の輪をくぐり抜けた磁束は、ヨーク構造体を通過し、磁路を形成する。その際、磁極構造体32及びヨークの磁気抵抗Rは、次の式(1)で表される。
【0037】
【数1】
【0038】
一般に、直流の電磁石装置では、巻回されたコイルの中央部位置におけるコイル径方向の静磁場強度分布を一定に保つためには、コイル周囲に設けられるヨークの磁気抵抗をコイル周回方向で一定にする必要がある。
【0039】
本実施形態では、複数のボルト35が、磁極構造体32からヨーク天板31aへとねじ込むように設けられ、或いは、ヨーク天板31aからヨーク天板31bへとねじ込むように設けられ、第1部材36が、外面28から突出する。そして、複数のボルト35は、超伝導コイル33の円周方向に沿って所定の間隔で円形状に並んでいる。
【0040】
従って、本実施形態に係る電磁石装置70によれば、ボルト35の第1部材36が外面28から突出し、第1部材36の表面に形成される凸部36_3に嵌り合うように設置される第2部材37の体積を調整することにより、各周回位置(角度)における磁気抵抗、即ち、磁場強度の分布を調整することが可能になる。
【0041】
例えば、磁場強度分布が一定になるように磁場調整を実施しても、一旦、磁極構造体32がヨーク天板31から外され、その後、再度取り付けられた場合には、その取り付け時の機械的な誤差のために、磁場強度分布に乱れが発生することは避けられない。
【0042】
しかしながら、本実施形態に係る電磁石装置70によれば、ボルト35の第2部材37を、第2部材37A,37B,37Cに交換して体積を調整することにより、その磁場の乱れを解消することができる。また、磁場調整の作業者は、電磁石装置70の外側から第2部材37の体積を調整することができる。従って、磁場調整の作業者は、超伝導コイル33が励磁状態であっても、超伝導コイル33が発生する高磁場の中に立ち入ることなく、即ち、高磁場の影響を受けることなく磁場調整作業を行うことが可能になる。
【0043】
≪第2実施形態≫
図4を参照して、第2実施形態に係るボルト35の構成について、説明する。なお、超伝導コイル33、ヨーク構造体などに対するボルト35の相対的な配置は、第1実施形態を参照できる。
【0044】
図4に示すように、ボルト35は、第1部材36Xと、第2部材37Xと、を備えている。
【0045】
第1部材36Xは、外面28から突出する六角形状の突出部分36X_1と、レンチ等でねじ回し可能なねじ回し部分36X_2と、突出部分36X_1の表面に形成される第2部材取り付け用雄ネジ36X_3と、を備えている。第1部材36Xに第2部材取り付け用雄ネジ36X_3が形成されることで、第2部材37Xを設ける際、第1部材36Xに対する第2部材37Xの位置が決定され易くなる。即ち、磁場調整の作業者は、第1部材36Xの上に第2部材37Xを配置し易くなる。
【0046】
第2部材37Xは、第2部材取り付け用雄ネジ36X_3と対向する位置に、雌ネジ37X_3を備えている。これにより、磁場調整の作業者は、第1部材36Xの第2部材取り付け用雄ネジ36X_3と第2部材37の雌ネジ37X_3とが嵌り合うように、第1部材36Xの表面に、第2部材37Xを設置することが可能になる。なお、第2部材取り付け用雄ネジ36X_3及び雌ネジ37X_3の形状は、特に限定されるものではない。
【0047】
第2実施形態に係るボルト35の構成によれば、第1部材36Xと第2部材37Xとが強固に固定されるため、例えば、ヨーク底板52に、ボルト35を設置した場合であっても、磁場調整の作業者は、第2部材37Xの落下などを気にする事無く安定した作業を行うことが可能となる。
【0048】
第2実施形態に係る電磁石装置70によれば、第1実施形態と同様に、第2部材37Xの体積量などを調整することで、磁場の乱れを調整することができる。また、第2実施形態に係る電磁石装置70によれば、励磁状態であっても、作業者が高磁場の影響を受けることなく磁場調整作業を行うことができる。
【0049】
≪第3実施形態≫
図5を参照して、第3実施形態に係るボルト35の構成について、説明する。なお、超伝導コイル33、ヨーク構造体などに対するボルト35の相対的な配置は、第1実施形態を参照できる。
【0050】
図5に示すように、ボルト35は、第1部材36Yと、第2部材37Yと、を備えている。
【0051】
第1部材36Yは、外面28から突出する六角形状の突出部分36Y_1と、レンチ等でねじ回し可能なねじ回し部分36Y_2と、突出部分36Y_1の表面に形成される逆円錐台形状の凸部36Y_3と、を備えている。第1部材36Yに逆円錐台形状の凸部36Y_3が形成されることで、第2部材37Yを設ける際、第1部材36Yに対する第2部材37Yの位置が決定され易くなる。即ち、磁場調整の作業者は、第1部材36Yの上に第2部材37Yを配置し易くなる。
【0052】
第2部材37Yは、逆円錐台形状の凸部36Y_3と対向する位置に、逆円錐台形状の凹部37Y_3を備えている。これにより、磁場調整の作業者は、第1部材36Yの逆円錐台形状の凸部36Y_3と第2部材37Yの逆円錐台形状の凹部37Y_3とが嵌り合うように、第1部材36Yの表面に、第2部材37Yを設置することが可能になる。
【0053】
また、第2部材37Yは、第2部材半体37Y_1と第2部材半体37Y_2とに分割可能である。分割された第2部材半体37Y_1と第2部材半体37Y_2とは、ボルト60によって締結される。ボルト60は、例えば、ステンレス等の非磁性材料により形成されることが好ましい。
【0054】
第3実施形態に係るボルト35の構成によれば、第1部材36Yと第2部材37Yとがボルト60によって強固に固定されるため、例えば、ヨーク底板52(図1参照)に、ボルト35を設置した場合であっても、磁場調整の作業者は、第2部材37Yの落下などを気にする事無く安定した作業を行うことが可能となる。
【0055】
第3実施形態に係る電磁石装置70によれば、第1実施形態と同様に、第2部材37Yの体積量などを調整することで、磁場の乱れを調整することができる。また、第3実施形態に係る電磁石装置70によれば、励磁状態であっても、作業者が高磁場の影響を受けることなく磁場調整作業を行うことができる。
【0056】
≪第4実施形態≫
図6を参照して、第4実施形態に係るボルト35の構成について、説明する。なお、超伝導コイル33、ヨーク構造体などに対するボルト35の相対的な配置は、第1実施形態を参照できる。
【0057】
図6に示すように、ボルト35は、第1部材36Zと、複数の第1部材36Zと対向して設けられる第2部材37Zと、を備えている。
【0058】
第1部材36Zは、外面28から突出する六角形状の突出部分36Z_1と、レンチ等でねじ回し可能なねじ回し部分36Z_2と、突出部分36Z_1の表面に形成される凸部36Z_3と、を備えている。第1部材36Zに凸部36Z_3が形成されることで、複数の第1部材36Zと対向して第2部材37Zを設ける際、複数の第1部材36Zに対する第2部材37Zの位置が決定され易くなる。即ち、磁場調整の作業者は、複数の第1部材36Zの上に第2部材37Zを配置し易くなる。
【0059】
第2部材37Zは、複数の第1部材36Zと対向する位置に、複数の凹部37Z_3を備えている。これにより、磁場調整の作業者は、第1部材36Zの複数の凸部36Z_3と第2部材37の複数の凹部37Z_3とが嵌り合うように、複数の第1部材36Zの表面に、第2部材37Zを設置することが可能になる。なお、凸部36Z_3及び凹部37Z_3の形状は、両者が嵌り合う形状であれば、特に限定されるものではない。
【0060】
第4実施形態に係るボルト35の構成によれば、1つの第2部材37Zで、複数の第1部材36Zを覆うことができるため、相対的な第2部材37Zの体積を増やすことができ、磁場調整効果をより高めることが可能になる。
【0061】
第4実施形態に係る電磁石装置70によれば、第1実施形態と同様に、第2部材37Zの体積量などを調整することで、磁場の乱れを調整することができる。また、第4実施形態に係る電磁石装置70によれば、励磁状態であっても、作業者が高磁場の影響を受けることなく磁場調整作業を行うことができる。
【0062】
≪第5実施形態≫
図7A及び図7Bを参照して、第5実施形態に係るボルト35の構成について、説明する。なお、超伝導コイル33、ヨーク構造体などに対するボルト35の相対的な配置は、第1実施形態を参照できる。
【0063】
図7A及び図7Bに示すように、ボルト35は、第1部材36Pと、第2部材37Pと、を備えている。
【0064】
第1部材36Pは、例えば、いもネジで構成される。
第1部材36Pは、磁極構造体32とヨーク天板31aとを締結する、或いは、ヨーク天板31aとヨーク天板31bとを締結する。即ち、第1部材36Pは、係合部51及び係合部53の段差部分を介して、磁極構造体32とヨーク天板31aとの両者を固定する、或いは、ヨーク天板31aとヨーク天板31bとの両者を固定する。
磁場調整の作業者は、第1部材36Pを、例えば、レンチ(ネジ回し)などで回転させることで、磁極構造体32に設けられた貫通孔に、第1部材36をねじ込む。或いは、磁場調整の作業者は、第1部材36Pを、例えば、レンチ(ネジ回し)などで回転させることで、ヨーク天板31aに設けられた貫通孔に、第1部材36をねじ込む。
【0065】
第2部材37Pは、例えば、円柱形状の鉄片で構成される。
第2部材37Pは、磁極構造体32と第1部材36Pとの高さの差によって生じる隙間に挿入される。或いは、第2部材37Pは、ヨーク天板31aとと第1部材36Pとの高さの差によって生じる隙間に挿入される。
【0066】
第5実施形態に係るボルト35の構成によれば、いもネジ及び円柱形状の鉄片の組み合わせによって、磁束密度の高い部位に、第2部材37Pを設置することができるため、磁場調整効果を効率的に高めることが可能になる。
【0067】
第5実施形態に係る電磁石装置70によれば、第1実施形態と同様に、第2部材37Pの体積量などを調整することで、磁場の乱れを調整することができる。また、第5実施形態に係る電磁石装置70によれば、励磁状態であっても、作業者が高磁場の影響を受けることなく磁場調整作業を行うことができる。
【0068】
なお、本発明は、以上に説明した実施形態および変形例に限定されるものではなく、さらに、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態および変形例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態や変形例の構成の一部を、他の実施形態や変形例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態や変形例の構成に他の実施形態や変形例の構成を加えることも可能である。また、各実施形態や変形例の構成の一部について、他の実施形態や変形例に含まれる構成を追加・削除・置換することも可能である。
【符号の説明】
【0069】
10 中心軸
26 開口部
28 外面
31 ヨーク天板(ヨーク端板)
32 磁極構造体
33 超伝導コイル
34 ヨーク側板
35 ボルト
36 第1部材
36_3、36Y_3 凸部
36X_3 雄ネジ
36P いもネジ
37 第2部材
37_3、37Y_3 凹部
37X_3 雌ネジ
37P 円柱形状の鉄片
55 脚部
60 ボルト
70 電磁石装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9