特開2019-215309(P2019-215309A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2019-215309ナビゲーションシステム、ナビゲーション方法及び航空機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-215309(P2019-215309A)
(43)【公開日】2019年12月19日
(54)【発明の名称】ナビゲーションシステム、ナビゲーション方法及び航空機
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/10 20060101AFI20191122BHJP
【FI】
   G01S5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-113960(P2018-113960)
(22)【出願日】2018年6月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100136504
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 毅彦
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 豊
(72)【発明者】
【氏名】阪口 晃敏
(72)【発明者】
【氏名】山根 章弘
(72)【発明者】
【氏名】奈良橋 俊之
(72)【発明者】
【氏名】小野村 陽一
(72)【発明者】
【氏名】金田一 久美子
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062AA08
5J062BB03
5J062CC07
5J062CC12
(57)【要約】
【課題】GPS信号等の人工衛星から発信されるナビゲーション信号を利用できない場合であっても、十分な精度で航空機をナビゲートできるようにすることである。
【解決手段】実施形態に係るナビゲーションシステムは、位置情報の取得対象となる航空機に搭載される受信機であって、3機以上の別の航空機にそれぞれ搭載されたナビゲーション装置から電波信号として発信された前記3機以上の航空機の各位置情報を含むナビゲーション信号を受信する受信器と、前記位置情報の取得対象となる航空機に搭載される信号処理装置であって、前記ナビゲーション信号に基づいて前記位置情報の取得対象となる航空機の位置を算出する信号処理装置とを有するものである。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報の取得対象となる航空機に搭載される受信機であって、3機以上の別の航空機にそれぞれ搭載されたナビゲーション装置から電波信号として発信された前記3機以上の航空機の各位置情報を含むナビゲーション信号を受信する受信器と、
前記位置情報の取得対象となる航空機に搭載される信号処理装置であって、前記ナビゲーション信号に基づいて前記位置情報の取得対象となる航空機の位置を算出する信号処理装置と、
を有するナビゲーションシステム。
【請求項2】
3機以上の航空機にそれぞれ搭載され、少なくとも3つの人工衛星から発信される衛星ナビゲーション信号を受信する第1のナビゲーション装置であって、受信した前記衛星ナビゲーション信号に基づいて前記3機以上の航空機の位置を算出し、算出した前記3機以上の航空機の位置情報を含むナビゲーション信号を電波信号として発信する第1のナビゲーション装置と、
位置情報の取得対象となる航空機に搭載され、前記3機以上の航空機の位置情報を含む前記ナビゲーション信号を受信する第2のナビゲーション装置であって、受信した前記3機以上の航空機の位置情報を含む前記ナビゲーション信号に基づいて前記位置情報の取得対象となる航空機の位置を算出する第2のナビゲーション装置と、
を有するナビゲーションシステム。
【請求項3】
双曲線航法によって前記位置情報の取得対象となる航空機の位置を算出するようにした請求項1又は2記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記ナビゲーション信号をGPS信号の出力よりも高い出力で発信するようにした請求項1乃至3のいずれか1項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記ナビゲーション信号を1950kHzよりも高い周波数で発信するようにした請求項1乃至4のいずれか1項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記ナビゲーション信号を極超短波の電波信号として発信するようにした請求項1乃至5のいずれか1項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項7】
請求項1記載のナビゲーションシステムを搭載した航空機。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のナビゲーションシステムで前記位置情報の取得対象となる航空機の位置を算出するナビゲーション方法。
【請求項9】
3機以上の飛行中の航空機にそれぞれ搭載された第1のナビゲーション装置で少なくとも3つの人工衛星から発信される衛星ナビゲーション信号を受信し、受信した前記衛星ナビゲーション信号に基づいて前記3機以上の航空機の位置を算出するステップと、
前記3機以上の航空機の位置情報を含むナビゲーション信号を電波信号として前記第1のナビゲーション装置から発信するステップと、
位置情報の取得対象となる飛行中の航空機に搭載された第2のナビゲーション装置で前記ナビゲーション信号を受信し、受信した前記ナビゲーション信号に基づいて前記位置情報の取得対象となる航空機の位置を算出するステップと、
を有するナビゲーション方法。
【請求項10】
前記3機以上の航空機は前記衛星ナビゲーション信号の妨害範囲の外側を飛行する請求項9記載のナビゲーション方法。
【請求項11】
前記3機以上の航空機と前記位置情報の取得対象となる航空機との間における距離を500km以内にして前記ナビゲーション信号を発信及び受信する請求項9又は10記載のナビゲーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ナビゲーションシステム、ナビゲーション方法及び航空機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、航空機等の移動体を目的地まで導くための代表的なシステムとしてアメリカ合衆国が運用する全地球測位網(GPS:Global Positioning System)を利用したナビゲーションシステム(航法装置)が知られている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。GPSを利用したナビゲーションシステムは、複数のGPS衛星からの電波をGPS受信機で受信することによって、GPS受信機が搭載されている移動体の空間位置を検出するシステムである。尚、GPS衛星の正式名称は、NAVSTAR(Navigation Satellite with Time and Ranging)である。
【0003】
GPS衛星は、約20,000kmの高度で飛行しているため、GPS信号の強度は他のデータリンク用の電波信号の強度に比べて弱い。このため、妨害電波(ジャマー)が送信された場合には、妨害電波の有効範囲内ではGPS信号の受信が困難となる恐れがある。実際にGPS信号を装った信号による電波妨害(ジャミング)や欺瞞も報告されている。このため、GPS信号の電波妨害を抑制する技術が提案されている(例えば特許文献3参照)。
【0004】
GPS等の人工衛星を利用した全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)としては、他にロシアのGLONASS(GLObal’naya NAvigatsionnaya Sputnikovaya Sistema)や欧州連合が計画しているGalileoが挙げられる。尚、特定の地域を対象とする航法衛星システム(NSS:Navigation Satellite System)は、地域航法衛星システム(RNSS:Regional Navigational Satellite System)と呼ばれる。
【0005】
現在では、航空機等の移動体のナビゲーションシステムの多くは、GPSに依存している。このため、GPS信号の受信が困難な環境下でも使用可能なナビゲーションシステムの開発及び運用が重要である。
【0006】
GPS信号を利用しないナビゲーションシステムとしては、ロラン(LORAN:LOng−RAnge Navigation)システムやオメガ電波航法システム(OMEGA radio navigation system)が知られている。ロランシステム及びオメガ電波航法システムは、いずれも地上に設置した基地局から電波信号を発信するシステムであり、海面高度付近まで使用することができる。
【0007】
ロランシステム及びオメガ電波航法システムは、2点からの距離差が一定である点の軌跡は双曲線になるという幾何学法則を用いるナビゲーションシステムである。具体的には、3箇所以上の基地局から発信されたナビゲーション信号を航空機側のナビゲーションシステムで受信し、ナビゲーション信号の到達時間の差に基づいて描かれる2つの双曲線の交点として航空機の位置が特定される。このような2つの双曲線の交点として航空機の位置を特定する航法は双曲線航法と呼ばれる。
【0008】
ロランシステムのうち、周波数が100kHzの電波信号をナビゲーション信号として使用するロランシステムはロランCと呼ばれ、周波数が1750kHzから1950kHzの電波信号をナビゲーション信号として使用するロランシステムはロランAと呼ばれる。ロランCで使用されるナビゲーション信号は、周波数が30kHzから300kHzの電波である長波(LF:Low Frequency)に該当する。
【0009】
他方、オメガ電波航法システムでは、周波数が10.2kHzから13.6kHzの電波信号がナビゲーション信号として使用される。オメガ電波航法システムで使用されるナビゲーション信号は、周波数が3kHzから30kHzの電波である超長波(VLF:Very Low Frequency)に該当する。
【0010】
このようにロランシステム及びオメガ電波航法システムでは、主にLF帯又はVLF帯の周波数を有する電波信号が使用される。このため、地表波の利用によって、基地局に設けられた送信機(トランスミッタ)と航空機等の移動体に設けられた受信機(レシーバ)との間を結ぶ直線距離(LOS:Line of Sight)の範囲外での測位が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特表平9−503058号公報
【特許文献2】特表2003−517762号公報
【特許文献3】特開2007−232688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、GPSの普及に伴ってロランシステム及びオメガ電波航法システムの基地局の数は減少している。このため、ロランシステム及びオメガ電波航法システムの使用範囲は限定的である。また、ロランシステム及びオメガ電波航法システムの基地局に必要な送信設備が大型であるという問題やナビゲーション信号の周波数が低いことに起因してナビゲーション精度が低下する場合があるという問題がある。
【0013】
そこで、本発明は、GPS信号等の人工衛星から発信されるナビゲーション信号を利用できない場合であっても、十分な精度で航空機をナビゲートできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の実施形態に係るナビゲーションシステムは、位置情報の取得対象となる航空機に搭載される受信機であって、3機以上の別の航空機にそれぞれ搭載されたナビゲーション装置から電波信号として発信された前記3機以上の航空機の各位置情報を含むナビゲーション信号を受信する受信器と、前記位置情報の取得対象となる航空機に搭載される信号処理装置であって、前記ナビゲーション信号に基づいて前記位置情報の取得対象となる航空機の位置を算出する信号処理装置とを有するものである。
【0015】
また、本発明の実施形態に係るナビゲーションシステムは、3機以上の航空機にそれぞれ搭載され、少なくとも3つの人工衛星から発信される衛星ナビゲーション信号を受信する第1のナビゲーション装置であって、受信した前記衛星ナビゲーション信号に基づいて前記3機以上の航空機の位置を算出し、算出した前記3機以上の航空機の位置情報を含むナビゲーション信号を電波信号として発信する第1のナビゲーション装置と、位置情報の取得対象となる航空機に搭載され、前記3機以上の航空機の位置情報を含む前記ナビゲーション信号を受信する第2のナビゲーション装置であって、受信した前記3機以上の航空機の位置情報を含む前記ナビゲーション信号に基づいて前記位置情報の取得対象となる航空機の位置を算出する第2のナビゲーション装置とを有するものである。
【0016】
また、本発明の実施形態に係る航空機は、上述したナビゲーションシステムを搭載したものである。
【0017】
また、本発明の実施形態に係るナビゲーション方法は、上述したナビゲーションシステムで前記位置情報の取得対象となる航空機の位置を算出するものである。
【0018】
また、本発明の実施形態に係るナビゲーション方法は、3機以上の飛行中の航空機にそれぞれ搭載された第1のナビゲーション装置で少なくとも3つの人工衛星から発信される衛星ナビゲーション信号を受信し、受信した前記衛星ナビゲーション信号に基づいて前記3機以上の航空機の位置を算出するステップと、前記3機以上の航空機の位置情報を含むナビゲーション信号を電波信号として前記第1のナビゲーション装置から発信するステップと、位置情報の取得対象となる飛行中の航空機に搭載された第2のナビゲーション装置で前記ナビゲーション信号を受信し、受信した前記ナビゲーション信号に基づいて前記位置情報の取得対象となる航空機の位置を算出するステップとを有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係るナビゲーションシステムの全体構成図。
図2図1に示すナビゲーションシステムの詳細構成図。
図3図1に示すナビゲーションシステムで位置情報の取得対象となる航空機2の位置を算出する際の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態に係るナビゲーションシステム、ナビゲーション方法及び航空機について添付図面を参照して説明する。
【0021】
(ナビゲーションシステムの構成及び機能)
図1は本発明の実施形態に係るナビゲーションシステムの全体構成図であり、図2図1に示すナビゲーションシステムの詳細構成図である。
【0022】
ナビゲーションシステム1は、位置情報の取得対象となる航空機2の位置を求めるシステムである。具体的には、ナビゲーションシステム1は、3機以上の別の航空機3の位置をGPS信号に基づいて算出し、3機以上の別の航空機3の位置に基づいて位置情報の取得対象となる航空機2の位置を求めるシステムである。従って、ナビゲーションシステム1の一部は位置情報の取得対象となる航空機2に搭載され、ナビゲーションシステム1の別の一部は3機以上の別の航空機3に搭載される。
【0023】
より具体的には、ナビゲーションシステム1は、複数の第1のナビゲーション装置4及び第2のナビゲーション装置5を有する。3機以上の複数の航空機3には、それぞれ第1のナビゲーション装置4が搭載される。一方、位置情報の取得対象となる航空機2には、第2のナビゲーション装置5が搭載される。
【0024】
各第1のナビゲーション装置4は、少なくとも3つのGPS衛星6等の人工衛星から電波信号として発信される衛星ナビゲーション信号を受信し、受信した衛星ナビゲーション信号に基づいて第1のナビゲーション装置4の搭載対象となる航空機3の位置を算出する衛星ナビゲーション通信装置である。第1のナビゲーション装置4は、3機以上の複数の航空機3にそれぞれ搭載されるため、複数の航空機3に搭載された複数の第1のナビゲーション装置4によって、3機以上の航空機3の各位置が算出されることになる。
【0025】
第1のナビゲーション装置4の搭載対象となる3機以上の複数の航空機3はそれぞれ移動するため、各第1のナビゲーション装置4において算出される航空機3の位置は時間的に変化する。従って、各第1のナビゲーション装置4では、各時刻における航空機3の位置を表す時系列の位置情報が取得されることになる。
【0026】
また、各第1のナビゲーション装置4は、算出した航空機3の各時刻における位置を表す位置情報をナビゲーション信号として発信するように構成される。従って、3機以上の複数の航空機3に搭載された複数の第1のナビゲーション装置4からは、複数の航空機3の位置情報を含むナビゲーション信号が電波信号として発信されることになる。
【0027】
以降では、図示されるように人工衛星がGPS衛星6であり、衛星ナビゲーション信号がGPS信号である場合を例に説明するが他の人工衛星から発信される衛星ナビゲーション信号に基づいて複数の航空機3の各位置を検出する場合においても同様である。
【0028】
図示されるようにGPS信号に基づいて複数の航空機3の各位置が検出される場合であれば、各第1のナビゲーション装置4は、GPS信号を受信するためのアンテナ7を備えたGPS受信機8、GPS受信機8で受信したGPS信号に基づく公知の信号処理によってGPS受信機8が搭載された航空機3の各時刻における緯度、経度及び高度を含む位置を算出し、得られた航空機3の各時刻における位置情報をナビゲーション信号に変換する第1の信号処理装置9、第1の信号処理装置9で生成されたナビゲーション信号を電波信号として発信するアンテナ10を備えた無線機11で構成することができる。尚、第1の信号処理装置9は電気信号を処理する回路で構成することができる。
【0029】
一方、第2のナビゲーション装置5は、複数の第1のナビゲーション装置4から発信された3機以上の航空機3の位置情報を含む複数のナビゲーション信号を受信し、受信した3機以上の航空機3の位置情報を含む複数のナビゲーション信号に基づいて、位置情報の取得対象となる航空機2の位置を算出するナビゲーション通信装置である。
【0030】
第2のナビゲーション装置5は、位置情報の取得対象となる航空機2とは別の3機以上の複数の航空機3にそれぞれ搭載された第1のナビゲーション装置4から電波信号として発信される3機以上の航空機3の各位置情報を含むナビゲーション信号を受信するためのアンテナ12を備えた受信機13、受信機13で受信したナビゲーション信号に対する信号処理によって受信機13が搭載された航空機2の各時刻における緯度、経度及び高度を含む位置を算出する第2の信号処理装置14で構成することができる。第2の信号処理装置14は電気信号を処理する回路で構成することができる。
【0031】
航空機2の各時刻における位置は、例えば、双曲線航法によって算出することができる。双曲線航法では、異なる2つの位置から電波信号として発信された2つのナビゲーション信号の位相差に基づいて2つのナビゲーション信号の発信位置から受信位置までの距離の差が求められ、距離の差が一定となる位置を表す第1の双曲線が求められる。更に、第1の双曲線を求めるための2つのナビゲーション信号の発信位置のうち一方と同じ発信位置と、第1の双曲線を求めるための2つのナビゲーション信号の発信位置のいずれとも異なる発信位置から発信された別の組合せの2つのナビゲーション信号の位相差に基づいて、同様に第2の双曲線が求められる。そして、第1の双曲線と第2の双曲線の交点として3つのナビゲーション信号の受信位置を特定することができる。
【0032】
従って、互いに異なる位置を飛行する3機以上の複数の航空機3に搭載された第1のナビゲーション装置4から発信される3つ以上のナビゲーション信号を用いて上述したような双曲線航法演算を行えば、ナビゲーション信号の受信位置である航空機2の位置を求めることができる。すなわち、GPS信号を用いることなく3機以上の複数の航空機3に搭載された第1のナビゲーション装置4から発信される3つ以上のナビゲーション信号のみに基づいて航空機2の位置を求めることができる。
【0033】
GPS信号を用いずに航空機2の位置情報を取得することが必要となるのは、航空機2に搭載されたGPSナビゲーション装置15でGPS信号を受信できない場合である。典型的な例として、信号発信装置16から発信されるGPS妨害信号による電波妨害(ジャミング)範囲に航空機2が浸入した場合には、GPS信号の受信ができなくなる。また、航空機2の位置が、ロランシステムやオメガ電波航法システム等の地上に設置した基地局17からの通達範囲外となる場合には、GPS信号の代替となり得る電波信号の受信も困難となるか、受信できたとしても航空機2の位置の検出精度が著しく低下する。
【0034】
そこで、航空機2に搭載されたGPSナビゲーション装置15でGPS信号を受信できない場合には、ナビゲーション信号を発信する3機以上の複数の航空機3に、GPS信号のジャミング範囲の外側を飛行させることができる。そうすると、GPS信号のジャミング範囲の外側を飛行する複数の航空機3ではGPS信号を受信できるため、複数の航空機3の位置をそれぞれ基準位置として検出することができる。そして、複数の航空機3の位置を基準位置とする双曲線航法演算によって航空機2の位置を算出することができる。
【0035】
また、信号発生装置16がGPS欺瞞信号を送信し、航空機2のGPSナビゲーション装置15に誤った位置情報を認識させようとする場合においても、第2の信号処理装置14の出力する位置情報と比較することにより、GPSナビゲーション装置15が欺瞞信号を受けていることを特定できる。そして、GPSナビゲーション装置15の出力を用いずに第2の信号処理装置14の出力を用いることにより、欺瞞を回避することが可能である。
【0036】
例えば、航空機2が防衛目的で前方展開している場合であれば、地対空ミサイル(SAM:surface−to−air missile)による防空圏及びGPS信号のジャミング範囲の外側に3機以上の複数の航空機3を配置することによって、航空機2のナビゲーションを行うことができる。
【0037】
ナビゲーションシステム1による航空機2のナビゲーションが有用となる典型的なケースとしては、上述したように信号発信装置16からGPS妨害信号又はGPS信号を模擬したGPS欺瞞信号が発信されている場合が挙げられる。GPS妨害信号又はGPS欺瞞信号は本来のGPS信号よりも高い出力で発信される。そこで、ナビゲーションシステム1で使用されるナビゲーション信号についてもGPS信号の出力よりも高い出力で発信することがジャミングへの耐性を高める観点から効果的である。
【0038】
航空機2で受信されるナビゲーション信号の強度は、ナビゲーション信号が受信される航空機2と、ナビゲーション信号を発信する複数の航空機3との間における各距離によっても変化する。すなわち、ナビゲーション信号が受信される航空機2と、ナビゲーション信号を発信する各航空機3との間における距離が長い程、航空機2で受信されるナビゲーション信号の強度が低下する。
【0039】
そこで、ナビゲーション信号を発信する3機以上の航空機3と、ナビゲーション信号が受信される航空機2との間における距離を500km以内にしてナビゲーション信号を発信及び受信することが航空機2で受信されるナビゲーション信号の強度を十分な強度とする観点から効果的である。すなわち、ナビゲーション信号を発信する3機以上の航空機3と、ナビゲーション信号が受信される航空機2との間における距離を500km以内にすれば、約20、000kmの距離を伝播するGPS衛星6からのGPS信号の強度よりも遙かに大きい強度でナビゲーション信号を航空機2に到達させることができる。
【0040】
また、ナビゲーション信号を1950kHzよりも高い周波数で発信すれば、ロランシステム及びオメガ電波航法システムを用いる場合に比べて双曲線航法演算による航空機2の位置の検出精度を向上させることができる。より好適な条件として、ナビゲーション信号を、周波数が300MHzから3GHzである極超短波(UHF:Ultra High Frequency)の電波信号として発信すれば、航空機2の位置の検出精度を、LVやVLV等のUHFよりも低い周波数の電波信号を用いる場合に比べて向上させることができる。
【0041】
(ナビゲーション方法)
次にナビゲーションシステム1による航空機2のナビゲーション方法について説明する。
【0042】
図3は、図1に示すナビゲーションシステム1で位置情報の取得対象となる航空機2の位置を算出する際の流れを示すフローチャートである。
【0043】
まずステップS1において、GPS信号に基づいて位置の検出を行う第1のナビゲーション装置4をそれぞれ搭載した3機以上のナビゲーション用の航空機3がGPS信号を受信可能なエリアに配置される。例えば、GPS信号のジャミング範囲の外側を飛行する経路で3機以上の航空機3が飛行する。そして、3機以上の飛行中の航空機3にそれぞれ搭載された第1のナビゲーション装置4で少なくとも3つのGPS衛星6から発信されるGPS信号が受信され、受信したGPS信号に基づいて3機以上の航空機3の位置が算出される。
【0044】
次に、ステップS2において、3機以上の航空機3の位置情報を含む複数のナビゲーション信号が電波信号として複数の航空機3に搭載された複数の第1のナビゲーション装置4から発信される。GPS信号のジャミングに対抗しつつナビゲーション精度を向上させる観点からは、GPS信号の出力よりも高い出力で1950kHzよりも高い周波数を有するナビゲーション信号、特にUHFのナビゲーション信号を発信することが好適である。また、位置情報の取得対象となる航空機2から500km以内の位置に複数の航空機3を配置してナビゲーション信号を発信することが好適である。
【0045】
一方、ナビゲーションの対象となる航空機2、すなわち位置情報の取得対象となる航空機2は、GPS信号を受信できないエリアを飛行することができる。例えば、位置情報の取得対象となる航空機2は、GPS信号のジャミング範囲の外側を飛行することができる。
【0046】
次に、ステップS3において、位置情報の取得対象となる飛行中の航空機2に搭載された第2のナビゲーション装置5で3機以上の航空機3の位置情報を含む複数のナビゲーション信号が受信される。
【0047】
次に、ステップS4において、位置情報の取得対象となる航空機2に搭載された第2のナビゲーション装置5において、位置情報の取得対象となる航空機2の位置が算出される。すなわち、位置情報の取得対象となる航空機2に搭載された第2のナビゲーション装置5により、3機以上の航空機3の位置を入力データとする双曲線航法演算等のデータ処理が実行される。これにより、3機以上の航空機3の位置情報を含む複数のナビゲーション信号に基づく航空機2の緯度、経度及び高度を含む空間位置を各時刻について取得することができる。
【0048】
(効果)
以上のようなナビゲーションシステム1及びナビゲーション方法は、3機以上の航空機3から各航空機3の空間位置を表すナビゲーション信号を発信することによって、ナビゲーションの対象となる航空機2の位置を取得できるようにしたものである。
【0049】
このため、ナビゲーションシステム1及びナビゲーション方法によれば、GPSに依存せずに航空機2のナビゲーションを行うことが可能となる。また、ナビゲーション信号を航空機3から発信するため、地上に設置される基地局からナビゲーション信号を発信する場合とは異なり、LOSを確保することができる。その結果、ナビゲーションの対象となる航空機2がGPS信号等のジャミング範囲内に進入した場合であっても、電波信号を利用した航空機2のナビゲーションを行うことが可能である。
【0050】
(他の実施形態)
以上、特定の実施形態について記載したが、記載された実施形態は一例に過ぎず、発明の範囲を限定するものではない。ここに記載された新規な方法及び装置は、様々な他の様式で具現化することができる。また、ここに記載された方法及び装置の様式において、発明の要旨から逸脱しない範囲で、種々の省略、置換及び変更を行うことができる。添付された請求の範囲及びその均等物は、発明の範囲及び要旨に包含されているものとして、そのような種々の様式及び変形例を含んでいる。
【符号の説明】
【0051】
1 ナビゲーションシステム
2 航空機
3 航空機
4 第1のナビゲーション装置
5 第2のナビゲーション装置
6 GPS衛星
7 アンテナ
8 GPS受信機
9 第1の信号処理装置
10 アンテナ
11 無線機
12 アンテナ
13 受信機
14 第2の信号処理装置
15 GPSナビゲーション装置
16 信号発信装置
17 基地局
図1
図2
図3