(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-215525(P2019-215525A)
(43)【公開日】2019年12月19日
(54)【発明の名称】書き込み可能な投影パネル
(51)【国際特許分類】
G03B 21/60 20140101AFI20191122BHJP
B43L 1/08 20060101ALI20191122BHJP
B43L 1/04 20060101ALI20191122BHJP
【FI】
G03B21/60
B43L1/08
B43L1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-74892(P2019-74892)
(22)【出願日】2019年4月10日
(31)【優先権主張番号】201810596491.9
(32)【優先日】2018年6月11日
(33)【優先権主張国】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519130867
【氏名又は名称】台灣揚▲しん▼股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】蘇 方旋
(72)【発明者】
【氏名】陳 家▲ふあ▼
(72)【発明者】
【氏名】許 富強
(72)【発明者】
【氏名】▲曾▼ 志能
(72)【発明者】
【氏名】謝 ▲啓▼堂
【テーマコード(参考)】
2C071
2H021
【Fターム(参考)】
2C071CA05
2C071CC01
2H021BA02
2H021BA08
(57)【要約】
【課題】書き込み可能な投影パネルは基板、反射層および書き込み層を含む。
【解決手段】反射層が基板上に配置され、書き込み層が受光面を有する。受光面は投影光束を受けるためのものであり、受光面の粗さが5μmから30μmの間にある。基板は反射層と書き込み層との間に配置され、または、反射層が基板と書き込み層との間に配置される。書き込み可能な投影パネルは優れた表示品質を有するほか、多様なペンで書き込むことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
書き込み可能な投影パネルであって、
基板と、
前記基板上に配置された反射層と、
投影光束を受けるための受光面を有する書き込み層とを含み、
前記受光面の粗さが5μmから30μmの間にあり、
前記基板が前記反射層と前記書き込み層との間に配置され、または、前記反射層が前記基板と前記書き込み層との間に配置されることを特徴とする、書き込み可能な投影パネル。
【請求項2】
前記基板がフレキシブルな基板であることを特徴とする、請求項1に記載の書き込み可能な投影パネル。
【請求項3】
前記反射層の厚さが20μm以上であることを特徴とする、請求項1に記載の書き込み可能な投影パネル。
【請求項4】
前記反射層が反射顔料層であり、前記反射顔料層中の顔料の重量パーセンテージが50wt%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の書き込み可能な投影パネル。
【請求項5】
前記反射層の材料が光硬化樹脂を含むことを特徴とする、請求項1に記載の書き込み可能な投影パネル。
【請求項6】
前記書き込み層の厚さが7μmから40μmの間にあることを特徴とする、請求項1に記載の書き込み可能な投影パネル。
【請求項7】
前記受光面の粗さが5μmから15μmの間にあることを特徴とする、請求項1に記載の書き込み可能な投影パネル。
【請求項8】
前記書き込み層が透明な書き込み層であることを特徴とする、請求項1に記載の書き込み可能な投影パネル。
【請求項9】
前記書き込み層の材料が光硬化樹脂を含むことを特徴とする、請求項1に記載の書き込み可能な投影パネル。
【請求項10】
前記書き込み層の材料がさらに、フッ化物およびケイ化物のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項9に記載の書き込み可能な投影パネル。
【請求項11】
前記書き込み層の硬度が3H/500g以上であることを特徴とする、請求項1に記載の書き込み可能な投影パネル。
【請求項12】
タッチセンサーフィルムをさらに含み、
前記基板と前記反射層が前記タッチセンサーフィルムと前記書き込み層との間に配置され、前記タッチセンサーフィルムが静電容量式タッチセンサーフィルムまたは電磁誘導式タッチセンサーフィルムであることを特徴とする、請求項1に記載の書き込み可能な投影パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は投影パネルに関し、特に書き込み可能な投影パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、一般的な黒板製作方法と言えば、一つは、木板基材上に黒板塗料を塗布した後、乾燥炉で加熱して乾かす方法があるが、この方法の基材が硬く、巻き窄めることができないため、黒板のサイズが大きすぎる場合、持ち運びが不便である。もう一つは、コンクリート壁に2本以上の黒板塗料を塗布し、数日乾燥させたら使用できる方法があるが、この方法の利用は特定の基材に制限されるため、大量生産においてネックになる場合がある。
【0003】
また、現在の黒板基材は木板またはコンクリート壁であり、投影パネルとした場合、底部の色が濃い緑色であるため、投影光線に対しゲイン効果を与えることができず、投影画面の視角効果と色彩飽和度を影響し、色収差を引き起こす。
【0004】
この「背景技術」部分は、本発明の内容に対する理解を促すためにあり、「背景技術」部分で開示された内容には、当業者が既知の従来技術を構成しないものも含まれている可能性がある。そして、「背景技術」部分で開示された内容は、当該内容または本発明の一つ若しくは複数の実施例で解決しようとする課題を示すものではなく、また本発明が出願前に既に当業者に把握され、または認識されていたことを意味するものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は書き込み可能な投影パネルを提供し、優れた表示品質を有するほか、多様なペンによる書き込みが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のその他の目的と利点について、本発明が開示する技術特徴から一層理解を深めることができる。
【0007】
本発明の一実施例が提供する書き込み可能な投影パネルは、基板、反射層および書き込み層を含む。反射層は基板上に配置され、かつ書き込み層が受光面を有する。受光面は投影光束を受けて、受光面の粗さが5μmから30μmの間にある。基板は反射層と書き込み層との間に配置され、または、反射層が基板と書き込み層との間に配置される。
【0008】
本発明の実施例の書き込み可能な投影パネルにおいて、反射層を用いて投影光束を反射するため、比較的に良い反射効果が得られ、さらに表示品質を高めることができる。また、書き込み層の受光面の粗さが5μmから30μmの間にあるため、異なる多種類のペン、例えば、チョーク(chalk)、水彩ペン、ホワイトボードマーカー(white
board marker)、クレヨン(crayon)なで書き込むことができて、従来のホワイトボードおよび黒板を代替するほか、投影画面を表示する時に防眩効果がある。
【0009】
本発明の上記およびその他の目的、特徴と利点をより明確に、かつわかり易く示すために、以下は実施例を挙げて、かつ図面を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施例の書き込み可能な投影パネルが投影光束を受ける場合の概略図である。
【
図2】本発明の別の実施例の書き込み可能な投影パネルの概略図である。
【
図3】本発明の別の実施例の書き込み可能な投影パネルの概略図である。
【
図4】本発明の別の実施例の書き込み可能な投影パネルの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の前記およびその他の技術内容、特徴および効果は、以下の図面を参照しながら行う好ましい実施例の詳細な説明において明確に示されている。以下の実施例において言及される方向用語、例えば、上、下、左、右、前または後などは図面を参照する方向のみである。従って、これらの方向用語は説明を目的とし、本発明を制限するものではない。
【0012】
図1は本発明の一実施例の書き込み可能な投影パネルが投影光束を受ける場合の概略図である。
図1を参照すると、本実施例の書き込み可能な投影パネル100は、基板110、反射層120および書き込み層130を含む。反射層120は基板110上に配置され、本実施例において、反射層120が例えば基板110と書き込み層130との間に配置される。書き込み層130は受光面131を有し、受光面131が投影机200により投射された投影光束201を受ける。
【0013】
本実施例において、投影光束201が受光面131を透過し、かつ反射層120に反射されることで、ユーザUに投影画面を見せることができる。反射層120は例えば反射顔料層であり、反射顔料層中の顔料の重量パーセンテージが例えば50wt%より大きいかまたは等しく、反射層120の厚さD1が例えば20μmより大きいかまたは等しいが、これに限定されない。反射層120の厚さD1は、顔料の重量パーセンテージに従って調整することができる。顔料は、可視光において赤色、緑色、青色、白色などの顔料の中から少なくとも一種を選択することができるが、これらの色に限定されない。一実施例において、選択された顔料の色が薄色系の顔料、例えば、可視光において薄赤色、薄緑色、薄青色の顔料であってもよい。本実施例において、顔料の色および厚さD1の組み合わせにより、書き込み可能な投影パネル100が投影画面を表示する時により良い色彩飽和度を有し、かつ色収差でユーザUの視角的体感が影響されることを防止できるため、書き込み投影パネル100が優れた表示効果を有する。また、表示効果を高めるよう、反射層120の書き込み層130に面した表面121は例えば平面である。本実施例において、反射層120の表面121は書き込み層130の受光面131と基板110との間に位置する。また、反射層120の材料が光硬化材料(例えば、光硬化樹脂)を含んでもよいが、これに限定されない。本実施例において、製作時に、まず化学コロイド料(例えば光硬化樹脂、即ち、反射層120を形成する材料)を基板110に塗布してから、光硬化工程を行い、上記反射層120を形成してもよいが、これに限定されない。
【0014】
本実施例において、書き込み層130の厚さが例えば40μmより小さいかまたは等しい。一実施例において、書き込み層130の厚さが例えば7μmから40μmの間にある。書き込み層130は例えば透明な書き込み層であるが、必要に応じて書き込み層130に顔料を添加してもよい。書き込み層130の受光面131が模様を施してもよい、模様を施した受光面131が粗い表面である。書き込み層130の受光面131の粗さが5μmから30μmの間にあり、ユーザUがチョーク、水彩ペン、クレヨンなど異なる多種類のペンを用いて書き込み層130に簡単に書き込み、または拭き取ることができる。粗さが5μmよりも低い場合、書き込み難い問題が生じ、粗さが30μmよりも高い場合、拭き取り難い問題が生じ有る。書き込み層130にチョーク、ホワイトボードマーカーで書き込むことができるため、本実施例の書き込み可能な投影パネル100は同時に黒板およびホワイトボードとして用いられることができる。上記チョークは従来のチョーク(主な成分は硫酸カルシウムを含む)、エコチョーク(主ない成分は炭酸カルシウムを含む)、水拭き式チョークなど各種のチョークを含む。一実施例において、ホワイトボードマーカーを使用して書き込みおよび拭き取りし易いように、受光面131の粗さが5μmから15μmの間にあってもよい。また、受光面131が上記の粗さを有するため、投影光束201を受けた時に、抗グレア効果が得られ、ユーザUが見た時に目が刺激されることを回避できる。本実施例において、受光面131の粗さと抗グレアレベルが例えば略正相関関係にある。
【0015】
書き込み層130により良い耐久性をもたらすために、書き込み層130の硬度が例えば3H/500gより大きいかまたは等しく、さらに、3H/765gより大きいかまたは等しい。ここで、硬度とは、鉛筆式硬度計で測定したものであり、3Hは鉛筆の硬度が3Hであることを意味し、500gは鉛筆の荷重が500gであることを意味する。書き込み層130の硬度が3H/500gであることは、硬度が3Hのペンを用いて荷重500gの条件で書き込み層130に書き込んだ時に、書き込み層130が破損しないことを意味する。書き込み層130の材料として硬質樹脂、例えばアクリル(Acrylic)を選択することができるが、これに限定されない。また、書き込み層130の材料は、例えば光硬化材料(例えば、光硬化樹脂)を含むが、これに限定されない。本実施例において、製作時に、まず化学コロイド料(例えば光硬化樹脂、即ち、書き込み層130を形成する材料)を基板110に塗布してから、光硬化プロセスを行い、上記の書き込み層130を形成してもよい。また、書き込み層130上に指紋が残らないよう、書き込み層130の材料はさらに指紋防止材料、例えばフッ化物およびケイ化物のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0016】
上記基板110はフレキシブルな基板または硬性基板とすることが可能であり、かつ、フレキシブルな基板は巻き窄めることができるため、書き込み可能な投影パネル100を運搬し易くすることができる。また、基板110がフレキシブルな基板である実施例において、ロールツーロール(roll to roll)の方式で基板110上に反射層120および書き込み層130を形成し、かつ反射層120および書き込み層130を形成する材料が光硬化材料であってもよいが、これに限定されない。このように、本実施例は、高速生産できる利点、大量生産および必要なサイズに応じて任意に切断できるなどの利点がある。一実施例において、基板110が透光基板または不透光基板であってもよく、かつ、本実施例は不透光基板の色について制限しない。
【0017】
図1において、反射層120が基板110と書き込み層130との間に配置されているが、別の実施例において、例えば
図2の書き込み可能な投影パネル100aで示されたように、基板110が反射層120と書き込み層130との間に配置されてもよい。
図2において、基板110は例えば透光基板であり、投影光束を透過させる。
【0018】
図3は本発明の別の実施例の書き込み可能な投影パネルの概略図である。
図3を参照すると、本実施例的書き込み可能な投影パネル100bと
図1の書き込み可能な投影パネル100が類似するが、主な相違点は、本実施例の書き込み可能な投影パネル100bはさらにタッチセンサーフィルム(sensor film)140を含み、かつ、基板110と反射層120がタッチセンサーフィルム140と書き込み層130との間に配置される。このタッチセンサーフィルム140は、例えば、基板110、反射層120および書き込み層130によって構成される積層構造102を完成した後、積層構造102の書き込み層130から離れた側に貼り付けてもよい。タッチセンサーフィルム140は静電容量式タッチセンサーフィルムまたは電磁式タッチセンサーフィルムであってもよい。静電容量式タッチセンサーフィルムは、例えば指、導電ペンによる書き込みおよび操作を検出することが可能であり、電磁式タッチセンサーフィルムは、例えば電磁ペン(electromagnetic stylus)による書き込みおよび操作を検出することができる。本実施例において、タッチセンサーフィルム140は、例えば、処理チップ(図示せず)を有し、処理チップがコンピュータに電気的に接続されて、検出したタッチ信号をコンピュータに伝送するが、これに限定されない。このように、本実施例の書き込み可能な投影パネル100bは、ユーザの書き込みに使用されるほか、タッチ操作が可能な投影パネルとして用いることもできる。
【0019】
上記タッチセンサーフィルム140は、上記書き込み可能な投影パネル100a中に応用することもできる。
図4が示すように、書き込み可能な投影パネル100cのタッチセンサーフィルム140は、例えば、基板110、反射層120および書き込み層130によって構成される積層構造102aが完成された後、積層構造102aの書き込み層130から離れた側に貼り付けてもよい。
【0020】
以上をまとめると、本発明の実施例の書き込み可能な投影パネルにおいて、反射層を用いて投影光束を反射するため、比較的によい反射効果が得られ、さらに表示品質を高めることができる。また、書き込み層の受光面の粗さが5μmから30μmの間にあるため、異なる多種類のペン、例えばチョーク、水彩ペン、ホワイトボードマーカー、クレヨンなどで書き込むことが可能であり、従来のホワイトボードおよび黒板を代替するほか、投影画面を表示する時に、抗グレアの効果が得られる。
【0021】
以上に記載したのは本発明の好ましい実施例であり、本発明の実施範囲がこれに限定されるべきではない。即ち、本発明の請求の範囲および発明の詳細な説明を基に行った簡単な等価変更および修正も本発明の請求範囲内に属する。また、本発明の実施例または請求項のいずれかが必ずしも本発明の開示した目的または利点または特徴を全て満たすとは限らない。その他、要約書と発明の名称は特許文献の検索のために用いられるものであり、本発明の権利範囲を制限するものではない。