【解決手段】電子機器10は、支持プレート30と、支持プレート30の上面30a側で支持され、使用位置と収納位置との間で上下動する複数のキートップ25と、キートップ25に対して、支持プレート30の上面30aと平行する方向に相対移動可能な駆動部材として機能するフレーム26とを備える。キートップ25は、受圧部25bを有する。フレーム26は、キートップ25に対して相対移動することで受圧部25bと接触する押圧部26cを有する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る電子機器について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電子機器10の平面図である。
図1は、ヒンジ機構12L,12Rによってディスプレイ筐体14を本体筐体16から開いてノート型PCの使用形態とした電子機器10を上から見た図である。
図2Aは、
図1に示す電子機器10の側面図である。
図2Bは、
図2Aに示す状態からディスプレイ筐体14を開き方向に回動させて360度位置としたタブレット型PCの使用形態での側面図である。
【0026】
本実施形態に係る電子機器10は、ノート型PC及びタブレット型PCとして使用可能なコンバーチブル型PCである。電子機器10は、ディスプレイ筐体14を本体筐体16に対して90度〜180度程度の角度位置に回動させた状態ではノート型PCとして好適に使用可能なノートモードとなる(
図1及び
図2A参照)。電子機器10は、ディスプレイ筐体14を本体筐体16に対して360度位置まで回動させた状態ではタブレット型PCとして好適に使用可能なタブレットモードとなる(
図2B参照)。電子機器10はディスプレイ筐体14を本体筐体16に対して0度〜180度程度の角度範囲で回動可能な一般的なノート型PCでもよい。電子機器10はコンバーチブル型PCやノート型PC以外、例えば携帯電話、スマートフォン又は電子手帳等であってもよい。
【0027】
以下、
図1及び
図2Aに示すノートモードを基準とし、ディスプレイ18を視認しながらキーボード装置20を操作する使用者から見た方向で、手前側を前、奥側を後と呼び、本体筐体16の厚み方向を上下方向、幅方向を左右方向と呼んで説明する。
【0028】
本体筐体16に対するディスプレイ筐体14の角度位置については、ディスプレイ筐体14を本体筐体16に対して完全に閉じた状態とし、互いの前面14aと上面16aとが対面した姿勢、つまりディスプレイ18とキーボード装置20が対面した姿勢を0度位置(
図2A中に本体筐体16の上に2点鎖線で示したディスプレイ筐体14参照)と呼ぶ。そして、この0度位置を基準として、ディスプレイ筐体14を開き方向に回動させる方向で角度を刻みながら説明する。例えばディスプレイ筐体14の前面14aと本体筐体16の上面16aとが直交した姿勢を90度位置と呼ぶ。前面14aと上面16aとが同一方向(上方)を向いて互いに平行した姿勢を180度位置(
図2A中に本体筐体16の右に2点鎖線で示したディスプレイ筐体14参照)と呼ぶ。ディスプレイ筐体14と本体筐体16の裏面14b,16b同士が対面した姿勢を360度位置(
図2B参照)と呼ぶ。これら0度位置、180度位置及び360度位置等の表記については、本体筐体16、ディスプレイ筐体14又はヒンジ機構12L,12Rの構造により、角度数字の示す正確な角度位置から多少ずれた角度位置となることも当然生じることがある。
【0029】
図1、
図2A及び
図2Bに示すように、電子機器10は、ディスプレイ筐体14と本体筐体16とを左右一対のヒンジ機構12L,12R(以下、まとめて「ヒンジ機構12」と呼ぶこともある)によって0度位置から360度位置まで回動可能に連結した構成である。
【0030】
ディスプレイ筐体14は、ヒンジ機構12を通過した図示しないケーブルにより本体筐体16と電気的に接続されている。ディスプレイ18は、例えばタッチパネル式の液晶ディスプレイによって構成される。
【0031】
本体筐体16は、扁平箱状に形成され、その後端部にヒンジ機構12が設けられている。本体筐体16の内部には、図示しない基板、演算装置及びメモリ等の各種電子部品が収納されている。キーボード装置20は、本体筐体16の上面16aに設けられている。キーボード装置20の略中央にはポインティングスティック(操作部材)22が設けられている。ポインティングスティック22はディスプレイ18に表示されるカーソル(マウスポインタ)を操作するための操作部材であり、マウスの代わりとして操作できる。キーボード装置20の前側にはタッチパッド23が設けられている。タッチパッド23はディスプレイ18に表示されるカーソル(マウスポインタ)を操作するためのものである。タッチパッド23の後側には、ポインティングスティック22又はタッチパッド23によるカーソル操作と連係して機能する3つの機能ボタンが設けられている。
【0032】
キーボード装置20は、前後左右方向に並ぶように配列された複数のキースイッチ24を備える。各キースイッチ24の操作面を構成する各キートップ25は、周囲の隙間がフレーム(駆動部材)26によって埋められている。キーボード装置20は、隣接するキートップ25間がフレーム26によって区画され、それぞれが独立した構成からなるアイソレーション型の構造である。
【0033】
フレーム26は、各キートップ25が配置される複数のキー挿入孔26a(
図3Aも参照)が形成された網目状のプレートである。本実施形態の場合、フレーム26は、本体筐体16の上面16aを形成するカバー部材と一体成形されており、例えばマグネシウム等の金属材料或いは樹脂材料で形成されている。フレーム26は、本体筐体16と別体に構成され、本体筐体16に固定された構成でもよい。
【0034】
本体筐体16は、少なくとも0度位置及び360度位置において、キートップ25を通常操作時の使用位置(第1位置)から下方に押し下げた収納位置(第2位置)に移動させて保持するキー位置設定機構28を備える(
図3A及び
図3B参照)。これにより電子機器10は、0度位置や360度位置でキートップ25が本体筐体16の上面16aから突出しない薄型構造となっている。キー位置設定機構28によるキートップ25の上下動作は、ヒンジ機構12によるディスプレイ筐体14の回動動作と連動する。
【0035】
図3Aは、キートップ25が使用位置にある状態でのキーボード装置20とフレーム26との位置関係を模式的に示す側面断面図である。
図3Bは、
図3Aに示す状態からキー位置設定機構28によってキートップ25が収納位置とされた状態でのキーボード装置20とフレーム26との位置関係を模式的に示す側面断面図である。
【0036】
図3A及び
図3Bに示すように、キーボード装置20は、キートップ25をガイド機構29で上下動可能に支持したキースイッチ24と、キースイッチ24を上面30a側で支持する支持プレート30とを備える。支持プレート30は、ベースプレート31と、ベースプレート31の上面に積層されたメンブレンシート32と、ベースプレート31の下面に積層されたバックライトシート33とで構成した3層構造である。
【0037】
ベースプレート31は、薄いアルミニウム板等の金属板に切り起こし成形や打ち抜き成形を施したものであり、キースイッチ24の取付板となるものである。全てのキースイッチ24は、1枚のベースプレート31を共用している。メンブレンシート32は、例えば押圧された場合に接点が閉じる三層構造のスイッチシートである。メンブレンシート32は、固定接点及び可動接点が重なる位置が押圧された場合に、固定接点と可動接点とが密着することで接点を閉じるものである。メンブレンシート32は、3層構造以外、例えばゴム製の導電部が回路を短絡させる接触スイッチを用いた構造等でもよい。メンブレンシート32は各所に貫通孔を有し、この貫通孔を通してガイド機構29がベースプレート31の上面に着地する。メンブレンシート32は、ベースプレート31の下面側に積層されてもよい。バックライトシート33は、LED素子等の光源から発せられた光を導光して反射することにより、各キートップ25を下面側から照射する。バックライトシート33は省略してもよく、代わりに防水シートを設けてもよい。
【0038】
キートップ25は、支持プレート30の上方にガイド機構29及びラバードーム(弾性部材)36を介して上下動可能に配設される。キートップ25は樹脂等で成形され、平面視で略四角形状を有する。キートップ25は、操作面となる上面25aと、上面25aの4辺の縁部から下方に延びた四周の外周側面25b,25c,25d,25eとを有する。
【0039】
ガイド機構29は、キートップ25を上下動可能に支持するものであり、ベースプレート31とキートップ25との間に折り畳み可能に取り付けられている。ガイド機構29は、例えば2枚の枠体を筋交い状に取り付けたパンタグラフ構造である。ラバードーム36は、キートップ25が押下された場合にメンブレンシート32を押圧し、キートップ25の押下操作が解除された際にキートップ25を元の位置に復帰させる弾性部材である。ラバードーム36は、メンブレンシート32とキートップ25との間に配設されている。ラバードーム36は、シリコンゴム等、可撓性を有する弾性材料で形成されている。キートップ25は、ガイド機構29によって上下動可能にガイドされた状態で、ラバードーム36によって弾性支持されている。
【0040】
キースイッチ24は、キートップ25が押下操作されるとその操作力でラバードーム36が弾性変形すると共にメンブレンシート32が押圧され、メンブレンシート32は接点を閉じる。キートップ25への押下操作が解除されると、ラバードーム36の弾性復元力によってキートップ25が元の位置(使用位置)に戻り、メンブレンシート32が接点を開く。
【0041】
次に、各キートップ25を収納位置に押し下げて保持するキー位置設定機構28の構成例を説明する。
図4は、キー位置設定機構28の構成を模式的に示す平面図である。
【0042】
図3A、
図3B及び
図4に示すように、キー位置設定機構28は、キートップ25と、フレーム26と、前後スライダ38と、リンク機構40とを有する。
【0043】
図3A及び
図3Bに示すように、キートップ25は、前側の外周側面25bが後側から前側に向かって次第に上から下へと傾斜した前下がりの傾斜面で構成されている。以下、この前側の外周側面25bを受圧部25bとも呼ぶ。
【0044】
フレーム26は、支持プレート30の上面30a上に移動可能に載置され、段付きねじ42を用いて支持プレート30と連結されている。キーボード装置20は、支持プレート30を板厚方向に貫通し、前後方向に延びた複数のガイド長孔44を有する。段付きねじ42は、ねじ部42aがガイド長孔44を通してフレーム26の下面26bにねじ止めされる。その際、段付きねじ42の段部42bは、フレーム26の下面26bに突き当てられると共に、ガイド長孔44内で移動可能に配置される。これにより支持プレート30は、段付きねじ42の頭部42cとフレーム26の下面26bとの間で上下方向に移動不能に、且つガイド長孔44に沿って移動可能に支持される。つまり支持プレート30及びこれに支持された各キースイッチ24は、フレーム26(本体筐体16)に対して、ガイド長孔44に沿って前後方向に移動可能な状態で連結されている。
【0045】
フレーム26は、キー挿入孔26aの四周の内壁面のうち、キートップ25の受圧部25bと対向する前側の内壁面に押圧部26cを有する。押圧部26cは、前側から後側に向かって次第に下から上へと傾斜した後上がりの傾斜面であり、受圧部25bと摺動可能に対向配置されている。押圧部26cは、キートップ25が使用位置にある状態で、その後端縁部が受圧部25bの前端縁部を上方からほとんど覆い隠す位置にある(
図3A参照)。これによりキーボード装置20の平面視で受圧部25bと押圧部26cとの間の隙間が隠される。押圧部26cは、キートップ25が収納位置にある状態で、その後端縁部が受圧部25bの後端縁部に近接し、キートップ25の上面25aがフレーム26の上面26dと略面一となる。
【0046】
前後スライダ38は、本体筐体16に対して前後方向にスライド可能に設けられた長尺矩形状のプレートである。前後スライダ38は、キーボード装置20の左右で一対設けられており、それぞれ支持プレート30の側縁部、具体的にはベースプレート31の側縁部と連結されている。前後スライダ38は、リンク機構40からの駆動力を受けて前後方向にスライドし、これによりキーボード装置20、つまり支持プレート30及びこれに支持された各キースイッチ24を前後方向に移動させる。
【0047】
リンク機構40は、ヒンジ機構12によるディスプレイ筐体14の回動動作と前後スライダ38の動作とを連動させる機構である。リンク機構40の説明に先立ち、ヒンジ機構12の構成例を説明する。
【0048】
図5は、ヒンジ機構12とリンク機構40の構成例を模式的に示す平面図である。以下では、
図5に示すように、リンク機構40及びこれと連動するリンク機構40として、左側のヒンジ機構12L及び左側のリンク機構40の構成を代表的に説明する。なお、右側のヒンジ機構12R及びこれと連動する右側のリンク機構40は左側のものと左右対称構造である以外は同一構造のため、その詳細な説明は省略する。
【0049】
図5に示すように、ヒンジ機構12は、左右方向に延在する第1シャフト46と、第1シャフト46と平行して設置された第2シャフト47と、第1シャフト46及び第2シャフト47を回転可能に軸支して収納する箱状のヒンジ筐体48とを備える(
図2A及び
図2Bも参照)。
【0050】
第1シャフト46は、一端部に固定された取付板46aが本体筐体16に固定されることで本体筐体16と一体的に回転する。第2シャフト47は、一端部に固定された取付板47aがディスプレイ筐体14に固定されることでディスプレイ筐体14と一体的に回転する。第1シャフト46及び第2シャフト47の他端部はヒンジ筐体48の内部で回転可能な状態で支持されている。本実施形態の場合、第1シャフト46及び第2シャフト47はヒンジ筐体48内に収容された図示しない歯車列を介して同期回転する。
【0051】
第1シャフト46は、ヒンジ筐体48の外側となる部分の外周面に第1カム部材50と第2カム部材51とが外嵌されると共に、各カム部材50,51間に可動筒体52が外挿されている。各カム部材50,51は、互いの間に可動筒体52が移動する間隔を介して配置され、それぞれ第1シャフト46の外周面に対して回転不能な状態で嵌合している。可動筒体52は、第1シャフト46の外周面に対して回転可能に且つ軸方向に移動可能な状態で外挿されている。
【0052】
第1カム部材50は、可動筒体52側の端面に周方向に沿って軸方向位置が変化する第1カム面54を有する。第2カム部材51は、可動筒体52側の端面に周方向に沿って軸方向位置が変化する第2カム面55を有する。
【0053】
可動筒体52は、取付板46aの表面で左右方向に移動可能に支持されたスライドリンク56と固定されている。可動筒体52は、左右端面のそれぞれに周方向に沿って軸方向位置が変化する第1受圧面57及び第2受圧面58を有する。スライドリンク56の右側面には、コイルばね60の一端が係止されている。コイルばね60の他端は、取付板46aの表面に突設された係止ピン61に係止されている。コイルばね60は、可動筒体52が第1カム部材50側に移動する方向に向かってスライドリンク56を常時付勢している。
【0054】
スライドリンク56は、前側に突出した連結板56aを有する。連結板56aには、孔部56bが形成され、孔部56bには揺動リンク62から突出した連結ピン62aが回転可能に挿入されている。揺動リンク62は、平面視略L字状のプレートである。揺動リンク62は、L字の短辺となる部分の端部が連結ピン62aを用いてスライドリンク56と回転可能に連結され、L字の長辺となる部分の端部がリンクピン62bを用いて前後スライダ38の後端部と回転可能に連結されている。揺動リンク62のL字の角部となる部分は、取付板46aに対して回転軸62cを用いて回転可能に支承されている。
【0055】
図6A及び
図6Bは、各カム部材50,51と可動筒体52を周方向に展開して模式的に示した展開図である。
図6Aは0度位置での位置関係を示し、
図6Bは90度位置での位置関係を示している。
図6A及び
図6B中に示す矢印は、ディスプレイ筐体14を0度位置から360度位置に向かって回動させる場合の各カム部材50,51及び可動筒体52の動作を示している。つまりディスプレイ筐体14を360度位置から0度位置に向かって回動させる場合は、各カム部材50,51及び可動筒体52は
図6A及び
図6B中に示す矢印とは逆方向に動作する。
【0056】
図6A及び
図6Bに示すように、第1カム部材50の第1カム面54は、周方向に沿って軸方向(左右方向)に螺旋状に変位する第1作動面54a及び第2作動面54cと、周方向に沿って延在する第1空振り面54b及び第2空振り面54dとを有する。第2カム部材51の第2カム面55は、周方向に沿って軸方向(左右方向)に螺旋状に変位する第1作動面55a及び第2作動面55cと、周方向に沿って延在する第1空振り面55b及び第2空振り面55dとを有する。
【0057】
可動筒体52の第1受圧面57は、周方向に沿って軸方向(左右方向)に螺旋状に変位する第1受圧面57a及び第2受圧面57bと、周方向に沿って延在する空振り面57cとを有する。第2受圧面58は、周方向に沿って延在する空振り面58aと、周方向に沿って軸方向(左右方向)に螺旋状に変位する第1受圧面58b及び第2受圧面58cとを有する。第1受圧面57は、第1カム面54に摺接可能に対向配置され、第2受圧面58は、第2カム面55に摺接可能に対向配置されている。
【0058】
第1カム面54及び第1受圧面57では、0度位置から30度位置までの間は、第1作動面54aが第1受圧面57aに摺接する(
図6A参照)。このため、可動筒体52が次第に左側(第2カム面55側)に移動する。30度位置から180度位置までの間は、第1空振り面54bに第1受圧面57aと第2受圧面57bとの間の頂部が摺接する(
図6B参照)。このため、可動筒体52は移動しない。180度位置から270度位置までの間は、第2作動面54cに第1受圧面57aと第2受圧面57bとの間の頂部が摺接する。このため、可動筒体52が次第に右側(第1カム面54側)に移動する。270度位置から360度位置までの間は、第2空振り面54dに第1受圧面57aと第2受圧面57bとの間の頂部が摺接する。このため、可動筒体52は移動しない。
【0059】
第2カム面55及び第2受圧面58では、0度位置から30度位置までの間は第1作動面55aに第2受圧面58cが摺接する(
図6A参照)。このため、可動筒体52が次第に左側(第2カム面55側)に移動する。30度位置から180度位置までの間は、第1空振り面55bに第1受圧面58bと第2受圧面58cとの間の頂部が摺接する(
図6B参照)。このため、可動筒体52は移動しない。180度位置から270度位置までの間は、第2作動面55cが第1受圧面58bに摺接する。このため、可動筒体52が次第に右側(第1カム面54側)に移動する。270度位置から360度位置までの間は、第2空振り面55dに第1受圧面58bと第2受圧面58cとの間の頂部が摺接する。このため、可動筒体52は移動しない。
【0060】
つまりリンク機構40は、ディスプレイ筐体14を本体筐体16に対してヒンジ機構12を介して回動させる動作と連動して可動筒体52が左右に移動し、これによりスライドリンク56が左右に移動し、揺動リンク62を揺動させる。その結果、前後スライダ38が前後に移動する。
【0061】
次に、ディスプレイ筐体14の回動動作した際のキー位置設定機構28の動作を説明する。
【0062】
先ず、ディスプレイ筐体14が0度位置にある場合は、可動筒体52(スライドリンク56)が最も第1カム部材50側(
図6A中で最も右側)に移動した位置にあり、前後スライダ38が最も前側に移動した位置にある。この状態では、
図3Bに示すように、キーボード装置20が最も前側に移動した位置にある。このため、キートップ25は、受圧部25bがフレーム26の押圧部26cに押圧されて押し下げられた収納位置に保持されている。従って、キートップ25の上面25aがフレーム26の上面26dと面一又は僅かに低い位置にあり、キーボード装置20の上面は平面状に構成される。その結果、本体筐体16に対して閉じられたディスプレイ筐体14がキートップ25に干渉することがなく、電子機器10の板厚が可及的に薄型化されている。
【0063】
次に、ディスプレイ筐体14が0度位置から開き方向に回動されるとヒンジ機構12のヒンジ筐体48も回動し、各カム部材50,51の各カム面54,55が可動筒体52の各受圧面57,58に摺接する。
【0064】
0度位置から30度位置の間では、可動筒体52(スライドリンク56)が次第に第2カム部材51側(
図6A中で左側)に移動し、前後スライダ38が次第に後側に移動する。前後スライダ38が前側に移動すると、キーボード装置20も後側に移動する。このため、キートップ25は、フレーム26に対して相対的に後側に移動し、受圧部25bが押圧部26cに摺接しつつ、次第に押圧部26cから離間する。その結果、受圧部25bが押圧部26cに沿って次第に上昇するため、ラバードーム36の付勢力によってキートップ25も上昇する。
【0065】
30度位置では、可動筒体52(スライドリンク56)が最も第2カム部材51側(
図6A中で最も左側)に移動した位置となり、前後スライダ38が最も後側に移動した位置となる。この状態では、
図3Aに示すように、キーボード装置20が最も後側に移動した位置にある。このため、キートップ25は、受圧部25bがフレーム26の押圧部26cから離間して最も上昇した使用位置となる。つまり電子機器10では、ディスプレイ筐体14を30度位置まで開いた段階でキートップ25がフレーム26の上面26dから上方に突出した使用位置となるため、キーボード装置20が使用可能な状態となる。
【0066】
30度位置から180度位置の間は、
図6Bに示すように可動筒体52(スライドリンク56)の左右方向位置が変化しない。従って、前後スライダ38の位置も変化しないため、キートップ25は使用位置に維持される(
図3A参照)。つまり電子機器10では、ノート型PCとしての使用が想定される30〜180度位置の間ではキーボード装置20が使用可能な状態に維持される。
【0067】
180度位置から270度位置の間では、
図6A及び
図6Bから明らかなように、可動筒体52(スライドリンク56)が次第に第1カム部材50側(
図6A中で右側)に移動し、前後スライダ38が次第に前側に移動する。このため、キーボード装置20も前側に移動する。つまり、キートップ25がフレーム26に対して相対的に前側に移動し、受圧部25bが押圧部26cに摺接しつつ押圧される。その結果、受圧部25bが押圧部26cに沿って次第に下降するため、ラバードーム36の付勢力に抗してキートップ25も下降する。
【0068】
270度位置では、可動筒体52(スライドリンク56)が最も第1カム部材50側(
図6A中で最も右側)に移動した位置となり、前後スライダ38が最も前側に移動した位置となる。この状態では、
図3Bに示すように、0度位置の場合と同様、キートップ25が収納位置に保持される。従って、キートップ25の上面25aがフレーム26の上面26dと面一又は僅かに低い位置にあり、キーボード装置20の上面は平面状に構成される。
【0069】
270度位置から360度位置の間は、
図6A及び
図6Bから明らかなように、可動筒体52(スライドリンク56)の左右方向位置が変化しない。従って、前後スライダ38の位置も変化しないため、キートップ25は収納位置に維持される(
図3B参照)。つまり、電子機器10は、タブレット型PCでの背面となる本体筐体16の上面16aが平板状に構成され、キートップ25による凹凸形状がない。このため、タブレット型PCとして使用する際、キーボード装置20が邪魔になることがない。
【0070】
一方、360度位置にあるディスプレイ筐体14を閉じ方向に回動動作させる場合には、上記の開き方向への回動動作と逆方向の動作が生じる。すなわち、ディスプレイ筐体14が360度位置から270度位置を経て180度位置へと回動されるのに伴い、次第にキートップ25が上昇し、180度位置で使用位置に復帰する。
【0071】
180度位置から30度位置まではキートップ25の使用位置が維持される。そして、ディスプレイ筐体14が30度位置から0度位置へと回動されるのに伴い、今度は、可動筒体52(スライドリンク56)が次第に第1カム部材50側(
図6A中で右側)に移動し、前後スライダ38が次第に前側に移動する。このため、キーボード装置20も前側に移動するため、キートップ25がフレーム26に対して相対的に前側に移動し、受圧部25bが押圧部26cに摺接しつつ押圧される。その結果、受圧部25bが押圧部26cに沿って次第に下降するため、キートップ25もラバードーム36の付勢力に抗して下降する。そして、0度位置では、
図3Bに示すように、キートップ25は、再び収納位置に保持される。その結果、キートップ25がフレーム26の上面26dと面一又は僅かに低い位置となるため、ディスプレイ18がキートップ25に干渉することなくディスプレイ筐体14を閉じることができる。
【0072】
図7に示すように、キートップ25は、受圧部25bにリブ64を設けた構成としてもよい。すなわち、
図3に示す構成例のキー位置設定機構28は、キートップ25の前側の外周側面25bを受圧部25bとして機能させている。このため、受圧部25bがフレーム26の押圧部26cとの摺動を繰り返した場合、両者の材質等によっては受圧部25bが擦れや摩耗を生じる可能性もある。そこで、
図7に示すように、例えば押圧部26cとの摺動方向(前後方向)に沿って延在した突起状のリブ64を左右一対設けてもよい。そうすると、受圧部25bは、左右のリブ64が押圧部26cに摺接するため、受圧部25b自体の擦れや摩耗の発生を抑制できる。キートップ25は、リブ64を設ける代わりに受圧部25bにコーティング等を施工し、受圧部25bの摩耗を抑制してもよい。
【0073】
図8に示すように、キートップ25は、前側の外周側面25bを受圧部25bとして機能させるのに代えて、例えば右側を向いた外周側面25eに板片66を形成し、この板片66の前面に受圧部25bと同様な受圧部66aを設けてもよい。この場合、フレーム26の押圧部26cは、キートップ25の一方の外周側面25eに沿って延在する位置に形成されればよい。このような構成においても、キートップ25がフレーム26に対して前後方向に相対移動すると、受圧部66aが押圧部26cと摺動し、キートップ25が使用位置と収納位置との間で移動する。また、板片66は、キートップ25の側方に突出し、フレーム26で覆われているため、板片66がキーボード装置20の外観上に露出しない。板片66及び受圧部66aは、キートップ25の左側を向いた外周側面25d或いは左右両方の外周側面25d,25eに設けてもよい。
【0074】
図9に示すように、キートップ25は、前側の外周側面25bを受圧部25bとして機能させるのに代えて、例えば左側を向いた外周側面25dを受圧部25dとして機能させてもよい。この場合、キーボード装置20の支持プレート30は、例えば
図10に示す駆動方向変換部68と同様な構成により、前後スライダ38が前後方向に移動した際、左右方向に移動する構成とすればよい。また、フレーム26の押圧部26cは、キートップ25の外周側面25dに対向するキー挿入孔26aの左側の内壁面に形成される。従って、このような構成では、キートップ25がフレーム26に対して左右方向に相対移動すると、受圧部25dが押圧部26cと摺動し、キートップ25が使用位置と収納位置との間で移動する。キートップ25は、右側を向いた外周側面25eを受圧部25eとして機能させてもよい。また、キーボード装置20を左右方向に移動させる構成とした場合には、
図8に示す板片66及び受圧部66aをキートップ25の前側(後側)の外周側面25b(25c)に設けてもよい。
【0075】
当該電子機器10は、ポインティングスティック22をキートップ25と同様に上昇した使用位置と下降した収納位置とに移動させるスティック位置設定機構80を備えてもよい。
【0076】
図10Aは、ポインティングスティック22を上下動させるスティック位置設定機構80の構成を模式的に示す側面断面図であり、ポインティングスティック22が使用位置ある状態でのポインティングスティック22とフレーム26との位置関係を模式的に示している。
図10Bは、
図10Aに示す状態からスティック位置設定機構80によってポインティングスティック22が収納位置とされた状態での側面断面図である。
【0077】
スティック位置設定機構80は、支持部材82と、フレーム26に設けられた規制部84とを有する。
【0078】
支持部材82は、支持プレート30の下面30b側で板ばね(第2弾性部材)86の付勢力によって下降した下降位置(
図10B参照)と、板ばね86の付勢力に抗して上昇した上昇位置(
図10A参照)とに上下動可能である。板ばね86は、支持部材82と支持プレート30の下面30bとの間に介在し、支持部材82を下方に移動させる方向に常時付勢している。支持部材82は、前端部がピボット軸構造の回動軸部82aを介して支持プレート30と連結され、後端部に規制傾斜面82bが設けられている。規制傾斜面82bは、前側から後側に向かって次第に下から上に傾斜した後上がりの傾斜面である。支持部材82は、規制傾斜面82bの前側上面に配置された支持台88を介してポインティングスティック22を支持している。ポインティングスティック22は、支持プレート30の開口30dと、フレーム26の開口26eを通してキーボード装置20の上面に露出している。回動軸部82aは、ピボット軸構造以外、例えばベースプレート31から下方に突出させたフック形状部に支持部材82の前端部を回動可能に係合させた構成等でもよい。
【0079】
規制部84は、フレーム26の下面26bから支持プレート30の開口30eを通って下側に延び、さらに前側に屈曲した略L字状の板片である。規制部84は、先端部に後側から前側に向かって次第に上から下に傾斜した前下がりの傾斜面(先端傾斜面84a)を有する。
【0080】
このようなスティック位置設定機構80では、
図3Aに示すようにキートップ25が使用位置にある状態では、
図10Aに示すように支持部材82の規制傾斜面82bがフレーム26の規制部84の上面84b上で保持されている。このため、ポインティングスティック22は、キーボード装置20の上面上に突出した使用位置にある。その結果、キーボード装置20は、キートップ25と共にポインティングスティック22を使用することができる。
【0081】
スティック位置設定機構80では、
図3Bに示すようにキートップ25が収納位置にある状態では、キーボード装置20が前側に移動しているため、
図10Bに示すように支持部材82の規制傾斜面82bが規制部84の前側に滑り落ちている。このため、支持部材82は、板ばね86の付勢力によって下降位置にあり、ポインティングスティック22はキーボード装置20の上面から埋没した収納位置にある。このため、キーボード装置20は、キートップ25と共にポインティングスティック22も収納位置となり、より一層薄型化された状態となる。
【0082】
なお、
図10Bに示す収納位置にあるポインティングスティック22は、ディスプレイ筐体14の回動動作に応じてキーボード装置20が再び後側に移動すると、規制傾斜面82bが規制部84の先端傾斜面84aを乗り上げるため、再び
図10Aに示す使用位置に保持される。また、
図9に示す構成例のようにキーボード装置20を左右方向に移動させる構成とした場合、支持部材82や規制部84も左右方向に沿った配置とすればよい。
【0083】
図11は、第2の実施形態に係る電子機器10Aに搭載されるキー位置設定機構28Aの構成を模式的に示す要部拡大平面図である。
図12は、
図11に示すキー位置設定機構28Aの構成要素の分解斜視図である。
図13Aは、
図11に示すキー位置設定機構28Aにおいてキートップ25が使用位置にある状態を模式的に示す
図11中のXIII−XIII線に沿う断面図である。
図13Bは、
図13Aに示す状態からキー位置設定機構28Aによってキートップ25が収納位置とされた状態での断面図である。なお、第2の実施形態に係る電子機器10Aにおいて、上記第1の実施形態に係る電子機器10と同一又は同様な機能及び効果を奏する要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略し、以下同様である。
【0084】
図11〜
図13Bに示すように、キー位置設定機構28Aは、キートップ25に設けられた突出片70と、左右スライダ(駆動部材。スライド部材)72と、前後スライダ38と、リンク機構40とを有する。
【0085】
突出片70は、キートップ25の後側の外周側面25cから突出し、左右方向に沿って1又は複数設けられている。例えば
図11に示すキートップ25は、アルファベットキーであり、このキートップ25は突出片70を2個有する。例えば
図12に示すキートップ25は、シフトキー等の左右に長いキーであり、このキートップ25は突出片70を4個有する。各突出片70の左側面には、右側から左側に向かって次第に上から下へと傾斜した傾斜面である受圧部70aが設けられている。
【0086】
左右スライダ72は、支持プレート30の上面30a側で各キートップ25の左右並び方向に沿って延在した角柱状部材である。左右スライダ72は、例えばPOM等の樹脂材料やアルミニウム等の金属材料で形成されている。左右スライダ72は、支持プレート30の上面30a上で左右方向に移動可能に支持され、フレーム26の下面側に隠されている。左右スライダ72は、各キートップ25の各突出片70に対応する位置に駆動穴部72aを有する。駆動穴部72aの左側の内壁面には、左側から右側に向かって次第に下から上へと傾斜した傾斜面である押圧部72bが設けられている。左右スライダ72は、駆動穴部72aの押圧部72bから連続した保持面72cを有する。保持面72cは、押圧部72bの最下部から連続して形成され、支持プレート30の上面30aと平行して左側へと延在している。
【0087】
駆動穴部72aは、キートップ25の突出片70が相対移動可能な状態で挿入される。この際、押圧部72bが受圧部70aと対向配置される。キートップ25が使用位置にある状態で、受圧部70aは押圧部72bの最上部に位置している(
図13A参照)。キートップ25が収納位置にある状態で、受圧部70aは押圧部72bを通過して保持面72cに位置している(
図13B参照)。
【0088】
本実施形態の場合、前後スライダ38と左右スライダ72との間には、駆動方向変換部68が設けられ、前後スライダ38の前後方向に移動した際、左右スライダ72が左右方向に移動する構成となっている。駆動方向変換部68は、例えば前後スライダ38から突出したプレートに形成されたクランク形状のガイド孔68aと、左右スライダ72の端部に突設され、ガイド孔68aに挿入されたガイドピン68bとで構成されている。ガイド孔68aは、後側から前側に向かって次第に右側から左側に傾斜した傾斜形状を有する。駆動方向変換部68では、前後スライダ38が前側に移動すると、ガイド孔68aによるガイドピン68bのガイド作用下に左右スライダ72が右側に移動する。反対に、前後スライダ38が後側に移動すると左右スライダ72が左側に移動する。
【0089】
当該電子機器10Aの場合、キーボード装置20は前後スライダ38と切り離されており、本体筐体16と固定されている。従って、当該電子機器10Aでは、ディスプレイ筐体14が0度位置にある場合は、
図13Bに示すように、左右スライダ72が最も右側に移動した位置にある。このため、キートップ25は、受圧部70aが左右スライダ72の押圧部72bを通過して保持面72cに位置した収納位置に保持されている。従って、キートップ25の上面25aがフレーム26の上面26dと面一又は僅かに低い位置にあり、キーボード装置20の上面は平面状に構成される。その結果、本体筐体16に対して閉じられたディスプレイ筐体14がキートップ25に干渉することがなく、電子機器10の板厚が可及的に薄型化されている。しかも左右スライダ72は、上記従来技術の回転軸部材のように捻回負荷は受けないため、上記のような樹脂材料で形成することもでき、薄型化も容易である。なお、当該電子機器10Aでは、キートップ25の一部及び突出片70は、支持プレート30のメンブレンシート32及びベースプレート31に形成された凹部30c内に埋没する構成となっている(
図13B参照)。
【0090】
次に、ディスプレイ筐体14が0度位置から開き方向に回動されると、0度位置から30度位置の間では、前後スライダ38の後側への移動に伴って左右スライダ72が次第に左側に移動する。このため、キートップ25は、左右スライダ72に対して相対的に右側に移動し、受圧部70aが押圧部72bに摺接する。その結果、受圧部70aが押圧部72bに沿って次第に上昇するため、ラバードーム36の付勢力によってキートップ25も上昇する。
【0091】
30度位置では、前後スライダ38が最も後側に移動した位置となるため、
図13Aに示すように、キートップ25は、受圧部70aが押圧部72bの最上部に位置し、最も上昇した使用位置となる。つまり電子機器10Aにおいても、ディスプレイ筐体14を30度位置まで開いた段階でキートップ25がフレーム26の上面26dから上方に突出した使用位置となるため、キーボード装置20が使用可能な状態となる。
【0092】
なお、キー位置設定機構28Aは、30度位置から360度位置の間についても、上記した電子機器10のキー位置設定機構28の場合と同様にキートップ25が動作するため、詳細な説明は省略する。また、キー位置設定機構28Aは、360度位置にあるディスプレイ筐体14を閉じ方向に回動動作させる場合にも、上記した電子機器10のキー位置設定機構28の場合と同様に上記の開き方向への回動動作と逆方向の動作が生じる。つまり、ディスプレイ筐体14が30度位置から0度位置へと回動される場合には、前後スライダ38が次第に前側に移動し、左右スライダ72が次第に右側に移動する。このため、受圧部70aが押圧部72bに摺接しつつ押圧される。その結果、受圧部70aが押圧部72bに沿って次第に下降するため、ラバードーム36の付勢力に抗してキートップ25も下降する。そして、0度位置では、
図13Bに示すように、キートップ25は、再び収納位置に保持される。
【0093】
図14に示すように、突出片70は、後側の外周側面25cではなく、左右一方又は両方の外周側面25d,25eに設けてもよい。この場合、左右スライダ72に代えて、前後スライダ38と共に前後方向にスライドし、キートップ25の左右側部でキートップ25の前後並び方向に沿って延在する第2前後スライダ74を用いればよい。第2前後スライダ74は、左右スライダ72を前後方向に沿って配置した以外は左右スライダ72と同様な構成でよい。
【0094】
以上のように、上記実施形態に係る電子機器10(10A)は、支持プレート30と、支持プレート30の上面30a側で支持され、使用位置と収納位置との間で上下動する複数のキートップ25と、キートップ25に対して、支持プレート30の上面30aと平行する方向に相対移動可能な駆動部材として機能するフレーム26(左右スライダ72)とを備える。キートップ25は、フレーム26(左右スライダ72)に接近する方向に向かって次第に上から下へと傾斜した受圧部25b(25d,25e,66a,70a)を有する。フレーム26(左右スライダ72)は、キートップ25に接近する方向に向かって次第に下から上へと傾斜した押圧部26c(72b)を有する。そして、フレーム26(左右スライダ72)とキートップ25とが互いに接近する方向に相対移動した場合に、受圧部25b(25d,25e,66a,70a)が押圧部26c(72b)によって押圧され、キートップ25が使用位置から収納位置に移動する。
【0095】
従って、当該電子機器10(10A)では、キートップ25とフレーム26(左右スライダ72)とのそれぞれに、受圧部25b(25d,25e,66a,70a)と押圧部26c(72b)とを設け、キートップ25とフレーム26(左右スライダ72)とを相対移動させるだけで、非使用時にキートップ25を下方に押し下げた収納位置に保持することができる。このため、上記従来技術のように、キートップ25を押下げるための特殊な部品を複数追加する必要がなく、低コストでキートップ25を本体筐体16内に収納することができ、さらに本体筐体16の薄型化を図ることができる。なお、上記各実施形態では、受圧部25b(25d,25e,66a,70a)及び押圧部26c(72b)の両方が傾斜面である構成を例示したが、受圧部25b(25d,25e,66a,70a)と押圧部26c(72b)とは少なくとも一方が傾斜面で構成されていればよい、キートップ25を収納位置に押し下げることができる。
【0096】
上記電子機器10は、キートップ25を支持した支持プレート30を前後スライダ38で直接的に移動させる構成としている。また、上記電子機器10Aは、前後スライダ38の前後方向の移動を駆動方向変換部68を介して左右スライダ72の左右方向の移動に変換する構成としている。このため、当該電子機器10,10Aは、上記従来技術のように、前後スライダ38の移動で回転軸部材を回転させ、さらにこの回転軸部材に接合した押圧片を上下動させる構成に比べ、前後スライダ38の移動量を少ない伝達ロスでキートップ25の収納位置への移動に利用できる。その結果、前後スライダ38の前後方向の移動量自体を低減してもキートップ25を確実に収納位置へと移動させることができ、ヒンジ機構12の負荷を低減できる。しかも当該電子機器10,10Aは、前後スライダ38の前後方向の移動量を低減できるため、上記した通り、例えばディスプレイ筐体14を0度位置に向かって閉じる際、従来70度位置付近から開始していた前後スライダ38の移動を30度位置付近から開始することができる。このため、当該電子機器10,10Aをノートモードで使用している際、ディスプレイ筐体14を例えば50度程度まで閉じたとしてもキートップ25が下降を開始することがなく、利便性が高い。
【0097】
上記電子機器10は、
図3Bに示すように、押圧部26cが受圧部25bよりも摺動方向距離が長く設定されている。このため、キートップ25が収納位置となった際、押圧部26cには受圧部25bよりも摺動距離に余裕があるため、キーボード装置20の移動距離が設定値よりもオーバーストロークした際の公差を吸収できる。略同様に、上記電子機器10Aは、
図13Bに示すように、押圧部72bに連続する保持面72cを有する。このため、キートップ25が収納位置となった際の左右スライダ72の移動距離が設定値よりもオーバーストロークした際の公差を吸収できる。
【0098】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0099】
上記では、ディスプレイ筐体14を0度位置から開き動作する際に前後スライダ38が後側に移動し、360度位置から閉じ動作する際に前後スライダ38が前側に移動する構成を例示した。このディスプレイ筐体14の回動方向と前後スライダ38の移動方向との関係は逆でもよく、具体的にはディスプレイ筐体14を開き動作する際に前後スライダ38が前側に移動し、閉じ動作する際に前後スライダ38が後側に移動する構成としてもよい。この場合、上記したキー位置設定機構28では、前側の外周側面25bではなく、後側の外周側面25cに後下がりの受圧部25cを設け、フレーム26側の押圧部26cもこの受圧部25cと摺動可能に対向する構成とすればよい。同様に、他のキー位置設定機構28Aやスティック位置設定機構80についても適宜構成を変更してもよい。
【0100】
上記では、キー位置設定機構28は、キーボード装置20を前後スライダ38で移動させる構成を例示したが、前後スライダ38でフレーム26を移動させ、キーボード装置20を本体筐体16に固定した構成としてもよい。
【0101】
上記ではスティック位置設定機構80は、電子機器10のキー位置設定機構28と併用した構成を例示したが、スティック位置設定機構80は単独で搭載されてもよい。また、上記ではスティック位置設定機構80の支持部材82は、回動軸部82aで回動して上下動する構成を例示したが、図示しない上下方向の昇降機構によって支持部材82を上下動可能に構成してもよい。スティック位置設定機構80は、ポインティングスティック22以外の操作部材、例えばキーボード装置20の周囲に設けられた各種押しボタン等に適用してもよい。
【0102】
上記では左右スライダ72は、キートップ25の後側部に沿って配置された構成を例示したが、左右スライダ72は、キートップ25の前側部に沿って配置されてもよい。また、左右スライダ72は、フレーム26と一体構造とされてもよい。この場合は、前後スライダ38によってフレーム26を移動させてもよいし、
図3A及び
図3Bに示す構成例と同様にキートップ25(キーボード装置20)をこのフレーム26(左右スライダ72)に対して移動させてもよい。
【0103】
上記では、キー位置設定機構28,28A及びスティック位置設定機構80は、ヒンジ機構12の回転をリンク機構40を介して前後スライダ38に伝達する構成を例示した。この機械式のリンク機構40に代えて、例えばヒンジ機構12によるディスプレイ筐体14の回動角度に応じて駆動される電動モータ等のアクチュエータを用いて前後スライダ38を介して、或いは前後スライダを介さずにキーボード装置20や左右スライダ72、フレーム26等を移動させる構成としてもよい。
【0104】
上記では、例えば0度位置で収納位置にあるキートップ25を30度位置で使用位置にするように構成したが、このキートップ25の位置の切換角度は30度位置以外であっても勿論よい。