【実施例】
【0016】
図1は、本発明の実施の形態における商品販売装置を具備する商品販売システムの全体構成を示す図である。
【0017】
図1において、商品販売システムは、商品販売装置100の一例として、自動販売機100a、無人店舗システム100b、ユーザ端末100c(ECサイト)を具備し、このほか、マイニング管理サーバ201、商品販売管理サーバ202、データベース203(これらを総称して「管理サーバ」と称する)がそれぞれ通信路を介して相互に通信可能な状態で接続されている。このときの通信路は有線または無線によるものであって、この通信路によって各ノードが接続されたネットワーク(内部ネットワーク)はセキュアな状態にある。
【0018】
このほか、商品販売システムを構成する内部ネットワークのほか、この内部ネットワークとは異なる外部ネットワークがあり、この外部ネットワークには、少なくとも、後述する暗号通貨の取引を行う取引所サーバ300が接続されている。また、商品販売システムの各ノードは、この取引所サーバ300と相互に通信可能な状態となっている。
【0019】
図1では、一例として、商品販売装置100が、3つの自動販売機100a(第1自動販売機100a−1、第2自動販売機100a−2、第3自動販売機100a−3)、2つの無人店舗システム100b(第1無人店舗システム100b−1、第2無人店舗システム100b−2)、2つのユーザ端末100c(第1ユーザ端末100c−1、第2ユーザ端末100c−2)によって構成されている例を示しており、これらの商品販売装置100は、様々な場所に設置可能であって、内部ネットワーク上のノードを構成する。
【0020】
この自動販売機100aは、1または複数種類の商品を販売可能であり、商品代金と引き替えに商品を消費者に販売(提供)する商品販売装置100の一例である。また、無人店舗システム100bは、上記の自動販売機100aよりも大規模なものであって、商品代金と引き替えに商品を消費者に販売(提供)する商品販売装置100の一例である。
【0021】
また、ユーザ端末100cは、消費者(ユーザ)によるEC(電子商取引)サイトの利用を可能とする端末であって、このEC(電子商取引)サイトでの商品売買、決済、サービスの提供等を受けることが可能なコンピュータである。このユーザ端末100cもまた、商品販売装置100の一例である。このECサイトで購入した商品は、決済が完了することによって即時または後日、提供される。なお、商品販売装置100によって提供される商品は、物品に限られず情報の提供(サービスの提供)も含まれる。
【0022】
上記のいずれの商品販売装置100においても、販売する商品に対して商品販売額(売価)が設定されており、この商品販売額に対する商品代金の支払いを条件に商品の販売を行う。商品販売装置100には、商品を選択する操作や、支払いに関する操作が可能な操作インターフェース、商品を消費者に払い出す払出機構、商品代金の決済が可能な決済機構等が設けられている。
【0023】
この商品販売装置100では、操作インターフェースで消費者による商品の選択操作や支払い操作を受け付けると、決済機構によって商品代金の決済が行われて完了することで、払出機構による商品の払い出しが行われるという一連の販売処理が行われる。これによって、商品販売装置100では、販売した商品に関する「販売商品情報」を記憶する。
【0024】
この「販売商品情報」は、消費者に販売した商品の商品種別、数量、決済方法、決済額(販売額)を含み、商品販売管理サーバ202に送信する。なお、決済方法として、後述する暗号通貨によるものであることが指定されている場合、「販売商品情報」には、その暗号通貨による決済にあたって識別した消費者の識別情報をも含む。すなわち、後述する暗号通貨による決済が行われた場合、消費者毎の販売情報を記憶することとなる。
【0025】
また、商品代金とは、商品の買い手である消費者が、売り手である商品販売装置100に対して支払う代金(金銭)であって、買い手側からすると商品の購入に要する購入代金であり、また、売り手側からすると商品の販売により得られる販売代金である。
【0026】
この商品代金は、商品販売装置100において、「商品の販売における決済に用いられる価値媒体」によって支払いが可能であって、この価値媒体として、硬貨や紙幣等からなる法定通貨と、この法定通貨とは異なるものであってこの法定通貨に代用されて決済が可能な暗号通貨(Cryptocurrency)(このほか、「デジタル通貨」、「仮想通貨」とも称する)とがある。
【0027】
すなわち、商品販売装置100が有する商品の決済機構では、消費者によって選択された、決済に用いる1または複数の価値媒体を用いて決済を行うことが可能である。つまり、法定通貨のみ、暗号通貨のみ、法定通貨と暗号通貨との併用による決済が可能である。
【0028】
このときの法定通貨は、一般的に定義されている、強制通用力(金銭債務の弁済手段として用いることができる法的効力)を有する通貨であって、各国や各地域に設けられた中央銀行等によって管理されるものである。この法定通貨には、貨幣や紙幣のほか、これらを電子データとして取り扱う電子マネーを含む。これに対して、暗号通貨は、法定通貨とは異なる管理体制で管理されており、商品の売買に関する取引データが時系列に連なった電子台帳(「取引台帳」、「ブロック」とも称する)をネットワーク上で分散管理したものである。
【0029】
このように、商品販売装置100では、法定通貨や暗号通貨を用いて商品の販売が可能となっている。
【0030】
特に、暗号通貨を用いて決済を行う場合、商品販売装置100における操作インターフェースには消費者を識別する消費者IDを読み取る読み取り部(識別部)が設けられており、商品販売装置100は、消費者が操作する端末やカードから読み取り部が消費者IDを読み取り、消費者を認証後、その消費者IDに対して関連付けられた暗号通貨を用いて決済が行われることとなる。この読み取り部は後述する検知部101によって実現される。
【0031】
マイニング管理サーバ201は、後述するような、商品販売装置100において行われるマイニング処理における情報を管理する装置である。詳細については後述するが、商品販売装置100において行われたマイニング処理におけるマイニング報酬に関する情報を一定期間ごとにデータベース203において管理することも可能である。
【0032】
商品販売管理サーバ202は、各商品販売装置100における商品の販売情報を管理する装置である。この商品販売管理サーバ202では、各商品販売装置100から受信した「販売商品情報」をもとにその商品販売装置100における商品ごとの在庫管理を行うほか、消費者毎の販売管理を行うことも可能である。
【0033】
このときの在庫管理に関する処理は、商品属性や商品販売装置100が設置された位置、商品の販売時期、その他の環境情報等を勘案して、必要な商品種別や商品数量等を算出して適宜、商品販売装置100に商品の補充等を可能とするものである。また、販売管理に関する処理は、各商品販売装置100から受信した「販売商品情報」に含まれる、暗号通貨による決済を行った消費者に対する販売商品の情報をもとに、消費者ごとの販売履歴等を管理するものである。
【0034】
より詳細には、販売管理では、各商品販売装置100が暗号通貨による決済を行うために消費者を識別し、その消費者に販売した商品に関する情報(商品種別や商品代金等)や、その消費者の、暗号通貨の引き落とし口座(後述する、「ウォレット」と同義)等からなる情報を管理する。これによって、商品販売管理サーバ202では、消費者ごとに販売履歴を管理し、販売した商品の商品種別や、消費者への販売代金(一定期間の販売額や販売総額等)等を管理することができるようになる。
【0035】
また、取引所サーバ300では、消費者が開設した取引口座に対するウォレット(暗号通貨の管理を行える機能)を管理しており、登録されている(入金されている)所定金額の暗号通貨を管理している。このウォレットにおいて管理している所定金額が暗号通貨として利用可能な上限額であることを示している。
【0036】
このほか、取引所サーバ300では、「法定通貨と暗号通貨との交換」、「他者に対する暗号通貨の送金」、「他者からの暗号通貨の受取」等が可能である。このときの「法定通貨と暗号通貨との交換」は、変動する交換レート(取引レート)に基づく交換取引を示し、取引所サーバ300と消費者との間の取引である。その一方、「他者に対する暗号通貨の送金」や「他者からの暗号通貨の受取」は、消費者間の個人取引である。この交換取引や個人取引を総じて、「取引(トランザクション)」と称する。
【0037】
このような取引では、商品の売買に関する取引データの検証や承認が行われることでその取引データによる取引を成立させる処理が行われる。この処理を取引制御処理(以下、「マイニング処理」)と称する。より詳細には、この取引データに基づき所定の演算処理が行われて出力される演算値をもとに取引データを時系列に既存の電子台帳につなげることで取引を成立させる処理である。この取引は、マイニング処理機能を有する装置(以下、「マイナー」と称する)によって行われる。
【0038】
つまり、マイナーによってマイニング処理が行われることで取引データによる取引が成立すると、取引所サーバ300では、「法定通貨と暗号通貨との交換」、「他者に対する暗号通貨の送金」、「他者からの暗号通貨の受取」等が成立することとなる。
【0039】
このとき、取引を成立させたマイナーは、暗号通貨による所定の取引報酬(以下、「マイニング報酬」と称する)を受け取る。このマイナーはネットワーク上に複数、存在しており(図示せず)、各マイナーが競い合ってマイニング処理を行っている。
【0040】
以下では、暗号通貨を用いて商品販売装置100が商品を販売する際の取引について説明する。なお、法定通貨を用いた商品を販売取引の処理については従来からの方法と同様であるため記載を省略する。
【0041】
取引所サーバ300が有する、暗号通貨の管理を行う機能であるウォレットに所定金額の暗号通貨が登録されている(入金されている)状態において、消費者が商品を購入する場合、消費者は、操作インターフェースを操作して購入する商品を選択し、決済方法の価値媒体を指定する。
【0042】
そして、消費者によって購入する商品が選択され、決済方法の価値媒体として暗号通貨が指定されると、商品販売装置100は、消費者を識別する消費者IDの読み込みを要求する。この消費者IDが読み込まれると、パスワード等を用いて消費者やその消費者に対するウォレットが有する所定金額を認証する。そして、消費者を認証すると、商品販売装置100は、この所定金額が商品代金以上であることを確認後、ネットワーク上にその商品の購入に関する取引データを公開して取引(トランザクション)を発生させる。これによって、ネットワーク(内部ネットワーク、外部ネットワーク)上に存在する全てのマイナーがこの取引データを参照することができるようになる。
【0043】
そして、各マイナーではこの取引データによる取引を成立させるマイニング処理が行われ、いずれかのマイナーによってマイニング処理が完了すると、商品販売装置100は、そのマイナーから取引(トランザクション)が成立したことを示す完了通知を受け付ける。なお、この取引の成立によって、消費者のウォレットから商品代金に対する暗号通貨が減算された状態となる。
【0044】
このような決済機構によって商品の販売における決済が完了すると、続いて、商品販売装置100では、払出機構によって、選択されている商品を払い出す処理を行う。そして、商品販売装置100は、販売した商品と、決済に関する情報とを対応付けて記憶する。
【0045】
以上のように、商品販売装置100では、法定通貨のほか、暗号通貨を用いて決済を行うことが可能である。
【0046】
図2は、本発明の実施の形態における商品販売装置の一例である自動販売機の機能を示す機能ブロック図である。
【0047】
図2において、本発明の自動販売機は、検知部101、商品販売制御部102、タイマー103、販売商品情報記憶部104、商品販売情報決定部105、通信部106、マイニング制御処理部107、マイニング処理部108、価値算出部109、マイニング情報記憶部110を具備して構成されている。
【0048】
商品の販売に際して、消費者は、購入する商品を選択して決済方法の価値媒体を選択する操作を行う。商品が選択されて価値媒体が選択されたことを検知部101が検知すると、検知部101は、その旨を商品販売制御部102へと通知する。
【0049】
商品販売制御部102は、「販売部」とも称し、商品の販売に関する制御処理(以下、「商品販売制御処理」と称する)を行う。
【0050】
また、商品販売制御部102では、商品の販売状態を管理しており、上記に示すような商品の販売処理を行うことが可能な状態である「販売モード」(通常モード)と、販売モードとは異なる状態である「待機モード」とのいずれの状態を管理する。「販売モード」は、商品の販売開始条件が成立したと判定することによって販売に関する準備処理(電力状態を省電力状態から通常電力状態へと回復させる処理等)を開始するときから、商品の販売が完了した後、販売処理が行われていない状態が一定時間継続したときまでの状態であって、「待機モード」は、「販売モード」ではないときの状態であって、商品の販売処理が可能となっていないことを示した状態である。
【0051】
このときの商品の販売開始条件とは、消費者(購入者)による商品の購入意思を示す操作(動作)を認識(確認)したことであって、例えば、法定通貨の入金(預かり入れ)、商品の選択操作の受け付け、暗号通貨の利用の際における消費者IDの読み込み等が該当する。
【0052】
販売商品情報記憶部104では、販売可能な商品に関する情報(商品種別、商品数量、商品販売額(売価))のほか、販売した商品に関する商品情報(商品種別、販売商品数量)と、決済情報(価値媒体の種別、売価情報、日時)とを記憶している。このほか、販売商品情報記憶部104では、「販売額記憶部」として、後述する交換レートを記憶している。
【0053】
このうち、商品販売額(売価)は、価値媒体ごとに設けられており、法定通貨に対する法定通貨販売額と、暗号通貨に対する暗号通貨販売額とが設定されている。この法定通貨販売額と暗号通貨販売額は対応するものであって、販売商品情報記憶部104が記憶している所定の交換レートによって決定される。このときの法定通貨販売額は、商品の決済に用いることが可能であるが、専らその商品の商品代金を消費者に提示する画面に表示するための情報として用いられ、商品の決済に用いられる商品代金としては暗号通貨販売額を用いる。以下では、特段の記載がない限り、商品代金は暗号通貨販売額である。
【0054】
通信部106は、外部の装置やシステムとの通信を行う通信インターフェースである。
【0055】
また、価値算出部109は、法定通貨と暗号通貨との交換取引に用いられる交換レートを用いて、法定通貨の価値に対する暗号通貨の価値、または、暗号通貨の価値に対する法定通貨の価値を算出する。
【0056】
タイマー103が所定の時間(1秒、1分、1時間等)を計時すると、商品販売制御部102は、取得部として、価値算出部109に対して交換レートの取得要求を行う。これを受けて、価値算出部109では、通信部106を介して、
図1に示す取引所サーバ300や他の装置(図示せず)などによって構成され、法定通貨と暗号通貨との交換取引に用いられる交換レートを管理する管理装置(交換レート管理装置)から、その要求時点における交換レートを取得して商品販売制御部102へと応答する。
【0057】
これによって、商品販売制御部102は、販売商品情報記憶部104で記憶している所定の交換レートをその取得した交換レートで更新する。販売商品情報記憶部104で記憶している所定の交換レートは所定の時間(1秒、1分、1時間等)ごとに最新の状態となる。
【0058】
マイニング処理部108は、「法定通貨と暗号通貨との交換」、「他者に対する暗号通貨の送金」、「他者からの暗号通貨の受取」等の取引に際して、商品の売買に関する取引データの検証や承認を行うことでその取引データによる取引を成立させる処理(マイニング処理)を行い、マイニング処理機能を実現するものである。つまり、本自動販売機は、商品の販売を行う装置であるほか、上記のマイニング処理機能を有する装置であるマイナーでもある。
【0059】
つまり、本自動販売機では、「法定通貨と暗号通貨との交換」、「他者に対する暗号通貨の送金」、「他者からの暗号通貨の受取」等の取引(トランザクション)におけるマイニング処理を行うことで、その取引成立によるマイニング報酬を受け取ることが可能となっている。
【0060】
このときのマイニング処理部108におけるマイニング処理の処理状態はマイニング制御処理部107によって管理されている。さらには、マイニング制御処理部107は、商品販売制御部102における商品の販売状態(「販売モード」若しくは「待機モード」のいずれかの状態)を管理する。
【0061】
マイニング制御処理部107では、外部ネットワーク、内部ネットワークを問わず、取引(トランザクション)の発生を検出すると、マイニング処理部108での販売状態を確認し、「待機モード」にある場合に、マイニング処理部108へマイニング処理を要求する。
【0062】
これによって、マイニング処理部108は、検出した取引(トランザクション)に対するマイニング処理を行う。このマイニング処理によって、取引データに基づく所定の演算処理が行われて出力される演算値をもとに、取引データを時系列に既存の電子台帳につなげると、取引(トランザクション)が成立した状態となる。このとき、本自動販売機(商品販売装置100)では、取引(トランザクション)による「マイニング報酬」を受け取る。若しくは、本自動販売機(商品販売装置100)では、取引(トランザクション)による「マイニング報酬」を受け取る権利を有する。
【0063】
一方で、マイニング処理部108によるマイニング処理の実行中に、マイニング制御処理部107が他のマイナーからマイニング完了通知を受け付けると、即座にマイニング処理部108におけるマイニング処理を停止する。この場合、マイニング処理部108によるマイニング処理とは異なる他のマイナーのマイニング処理によってその取引(トランザクション)が成立したことを示し、本自動販売機(商品販売装置100)では取引(トランザクション)を成立させることができなかったことを示す。
【0064】
そして、マイニング制御処理部107は、マイニング処理における処理結果である「マイニング処理情報」、およびマイニング処理の実行によって取引が成立したときに通信部106を介して受け取った「マイニング報酬」を、マイニング情報記憶部110に記憶する。
【0065】
このようにして、自動販売機では、マイニング処理部108によるマイニング処理によって受け取ったマイニング報酬を記憶することが可能である。
【0066】
このほか、マイニング処理における処理結果、およびマイニング処理の実行によって取引が成立したときに通信部106を介して受け取った「マイニング報酬」を、マイニング管理サーバ201を介してデータベース203に記憶するような構成であってもよい。なお、マイニング管理サーバ201によるマイニング制御処理によって、各商品販売装置100それぞれが連動して単一のマイニング処理を分散して行っても良い(
図3参照)。
【0067】
続いて、商品販売制御部102では、商品の販売に係る販売情報(商品販売情報)を決定する決定処理を行う。
【0068】
商品販売制御部102では、商品の販売に係る販売情報の決定条件が成立すると、これを検出して商品販売情報決定部105に対して商品販売情報の決定要求を行う。
【0069】
このときの決定条件は、第1に、タイマー103による計時によって予め指定された時間(時刻)、日付を計時したことを商品販売制御部102が検出したとき、または、第2に、マイニング制御処理部107が、マイニング情報記憶部110で記憶するマイニング報酬が累積して一定額以上となったことを検出してこの旨が商品販売制御部102に通知されたとき、または、第3に、マイニング制御処理部107が、マイニング情報記憶部110で記憶するマイニング報酬が一定期間において、指定された一定額以上となったことを商品販売制御部102が検出したときなどである。
【0070】
このようにして決定条件が成立することで決定要求を受け付けた商品販売情報決定部105では、マイニング情報記憶部110で記憶するマイニング報酬に応じて商品販売情報を決定する。
【0071】
すなわち、自動販売機では、商品販売情報決定部105によって決定された商品販売情報に基づいて商品の販売が可能となる。
【0072】
このときの商品販売情報は、少なくとも、商品種別とこの商品種別に対する商品の販売額とを含み、このほか、その販売額で販売する商品の販売数量に関する情報を含むことが可能である。
【0073】
商品販売情報決定部105では、決定条件が成立すると、一定期間(一週間、一ヶ月、3ヶ月等)のマイニング処理の実績における「マイニング報酬」を特定し、
図8に示すような割引額決定テーブルを参照して、そのマイニング報酬に対する商品の割引額を算出する。そして、商品販売情報決定部105では、算出した割引額を商品の販売額から差し引いた割引後販売額(上記に示す、「暗号通貨販売額」と同義。「値引後販売額」とも称する)を算出する。
【0074】
この割引後販売額が、商品販売情報における商品の販売額である。
【0075】
これによって、自動販売機では、マイニング報酬に対する商品の割引額を割り引いた割引後販売額からなる商品の販売額を含む商品販売情報に基づいて各商品を販売することが可能となる。なお、割引後販売額で販売する商品の販売数量は任意に決定することが可能である。
【0076】
上記例では、商品販売情報決定部105が、決定条件が成立すると、商品種別とこの商品種別に対する商品の販売額とを決定する処理を行っているが、この商品販売情報決定部105による決定処理に代えて、キャッシュバック処理(割り戻し処理)を行うこととしてもよい。
【0077】
すなわち、前者の場合、割引後の販売額によって商品を販売するものであるのに対して、後者の場合、商品の販売時の販売額は割引後の販売額とはならず、後ほど、商品販売情報決定部105において算出した「マイニング報酬に対する商品の割引額」やこの割引額に相当する相当額を都度、若しくは一定期間分を一括して、キャッシュバック(割り戻す)することで実質的に割り引いて商品を販売するものである。
【0078】
続いて、商品販売制御部102によって行われる商品販売制御処理における決済処理について説明する。この商品販売制御処理における決済処理では、商品販売情報の暗号通貨販売額によって決済が行われる。この暗号通貨販売額は、通常の販売額(割引無しの販売額)、または割引後販売額のいずれかである。
【0079】
この決済処理は、消費者が法定通貨を用いて決済する場合、暗号通貨を用いて決済する場合のいずれであっても、暗号通貨による一元決済を実現することを示すものである。
【0080】
商品販売制御処理を行う商品販売制御部102では、この決済に当たり、販売商品情報記憶部104において記憶している交換レートに基づいて法定通貨と暗号通貨とを相互に交換可能な価値交換部と、商品代金の支払いによる暗号通貨の残額を算出する算出部とを有している。
【0081】
消費者による商品代金の支払い方法として、「法定通貨のみによる支払い」、「暗号通貨のみによる支払い」、「法定通貨と暗号通貨との共用による支払い」がある。
【0082】
また、商品の購入後の残額の払い戻し方法として、「法定通貨のみによる払い戻し」、「暗号通貨のみによる払い戻し」がある。
【0083】
第1に、「法定通貨のみによる支払い」の場合、商品販売制御部102では、入金された法定通貨を価値交換部によって暗号通貨に交換し、選択された商品の暗号通貨販売額を満たすことによって、算出部によって、入金された法定通貨から商品の暗号通貨販売額(商品代金)を差し引いた暗号通貨の残額を算出する。
【0084】
そして、残額の払い戻し方法として、「法定通貨のみによる払い戻し」が指定されている場合、法定通貨を暗号通貨に交換した交換レートを用いて法定通貨に交換して交換後の法定通貨の払い戻しを行う。
【0085】
つまり、商品代金の支払時と払い戻し時との交換レートが同一となり、暗号通貨による決済であっても、法定通貨を用いた販売と同様の払い戻しが行われることとなる。
【0086】
また、残額の払い戻し方法として、「暗号通貨のみによる払い戻し」が指定されている場合、残額の暗号通貨を消費者IDに対するウォレットに残額を送金する取引(トランザクション)を発生させて払い戻しを行う。つまり、商品の販売時に入金された法定通貨と商品の暗号通貨販売額との差額が、暗号通貨に交換されることとなる。
【0087】
続いて、第2に、「暗号通貨のみによる支払い」の場合、商品販売制御部102では、消費者IDが読み込まれ、商品代金の支払いに用いる暗号通貨の金額の指定を受け付け、選択された商品の暗号通貨販売額を受け取る取引(トランザクション)を発生させて支払いを受ける。また、算出部によって、この商品の暗号通貨販売額と、入金された法定通貨から商品の暗号通貨販売額(商品代金)を差し引いた暗号通貨の残額を算出する。
【0088】
そして、残額の払い戻し方法として、「法定通貨のみによる払い戻し」が指定されている場合、価値交換部が法定通貨を暗号通貨に交換した交換レートを用いて暗号通貨の残額を法定通貨に交換して、交換後の法定通貨の払い戻しを行う。
【0089】
つまり、商品の販売時に指定された暗号通貨の金額と商品の暗号通貨販売額との差額が、法定通貨によって払い出されることとなり、商品の販売に基づいて暗号通貨と法定通貨の交換が行われることとなる。
【0090】
また、残額の払い戻し方法として、「暗号通貨のみによる払い戻し」が指定されている場合、消費者によって指定された、商品代金の支払いに用いる暗号通貨の金額が選択された商品の暗号通貨販売額よりも多いときであっても、その商品の暗号通貨販売額を受け取る取引(トランザクション)を発生させて支払いを受ける。
【0091】
そして、第3に、「法定通貨と暗号通貨との共用による支払い」の場合、商品販売制御部102では、入金された法定通貨については、価値交換部によって暗号通貨に交換し、かつ、暗号通貨については、消費者IDを読み込み、商品代金の支払いに用いる暗号通貨の金額の指定を受け付け、その指定された金額の暗号通貨を受け取る取引(トランザクション)を発生させて支払いを受ける。そして、商品販売制御部102では、これらの暗号通貨を合算して合算後の暗号通貨の合計額を算出する。そして、この合計額が、選択された商品の暗号通貨販売額を満たすことによって、算出部によって、合算後の暗号通貨の合計額から商品の暗号通貨販売額(商品代金)を差し引いた暗号通貨の残額を算出する。
【0092】
そして、残額の払い戻し方法として、「法定通貨のみによる払い戻し」が指定されている場合、法定通貨を暗号通貨に交換した交換レートを用いて暗号通貨の残額を法定通貨に交換して交換後の法定通貨の払い戻しを行う。
【0093】
つまり、商品代金の支払いに用いる暗号通貨の金額にもよるが、その暗号通貨が法定通貨によって払い出されることとなり、商品の販売に基づいて暗号通貨と法定通貨の交換が行われることとなる。
【0094】
また、残額の払い戻し方法として、「暗号通貨のみによる払い戻し」が指定されている場合、残額の暗号通貨を消費者IDに対するウォレットに残額を送金する取引(トランザクション)を発生させて払い戻しを行う。つまり、商品代金の支払いに用いる法定通貨の金額にもよるが、その法定通貨が暗号通貨によって払い出されることとなり、商品の販売に基づいて法定通貨と暗号通貨の交換が行われることとなる。
【0095】
このように、商品の販売処理が行われると、自動販売機では、「販売商品情報」を商品販売管理サーバ202へと送信する。この「商品販売情報」には、上記に示すように、消費者に販売した商品の商品種別、数量、決済方法、決済額(販売額)のほか、暗号通貨による決済にあたって識別した消費者の識別情報をも含まれる。
【0096】
以上のことから、自動販売機では、マイニング報酬に対する商品の割引額を割り引いた割引後販売額からなる商品の販売額を含む商品販売情報に基づいて各商品を販売することが可能となる。
【0097】
このほか、商品販売制御部102では、上記に示すように、商品販売情報決定部105による決定処理に代えて、キャッシュバック処理(割り戻し処理)が可能であって、以下では、このキャッシュバック処理について説明する。なお、決定処理、キャッシュバック処理は設定情報(実行する処理:決定処理/キャッシュバック処理、または、キャッシュバック:有り/無し(決定処理))に基づいていずれかが行われる。
【0098】
すなわち、キャッシュバック処理にあたっては、決定条件が成立したとしても上記に示すような決定処理は行われないことから「割引後販売額」での販売が行われず、「通常の販売額(割引無しの販売額)」によって販売が行われることを示している。
【0099】
つまり、この設定情報における設定を変更することによって、(1)マイニング報酬に対する割引額を割り引いた割引後販売額で商品の販売を可能とするための決定処理、または、(2)「通常の販売額(割引無しの販売額)」によって販売が行われるものの、後ほど商品代金の一部が割り戻されるキャッシュバック処理、のいずれかの処理を実行することが可能となる。
【0100】
自動販売機では、暗号通貨による決済が行われた場合に、その暗号通貨による決済にあたって識別した消費者の識別情報および設定情報を商品販売管理サーバ202へ通知し、この商品販売管理サーバ202からその消費者へのキャッシュバック指示を受け付けることで、消費者に販売した商品の商品代金の一部を割り戻すキャッシュバック処理を行う。なお、設定情報が商品販売管理サーバ202において管理している場合にはその設定情報の通知を必ずしも受ける必要はない。
【0101】
このときの商品販売管理サーバ202では、暗号通貨による決済にあたって消費者の識別情報および設定情報が通知されると、以下のような「キャッシュバック判定処理」が行われる。
【0102】
商品販売管理サーバ202によって行われるキャッシュバック判定処理では、まず、自動販売機から、暗号通貨による決済にあたって識別した消費者の識別情報および設定情報を受信すると、その消費者の識別情報に対して、データベース203において記憶している販売情報をもとに、一定期間(全期間を含む)の販売額を算出する。
【0103】
その一定期間の販売額が一定額以上であると判定すると、商品販売管理サーバ202では、その販売額に対するキャッシュバックを行う割戻額を算出する。この割戻額は、あらかじめ指定された額でもよいし、販売額に一定の割合を乗算した額でもよい。このときの一定の割合は、上限「2%」等の規則(法律を含む)を考慮した割合が好適である。なお、一定期間の販売額が一定額以上でなければキャッシュバックを行わないと判定してその旨を自動販売機に応答する。このほか、割戻額は、法定通貨、暗号通貨の少なくとも一方により規定されたものであればよい。
【0104】
商品販売管理サーバ202では、割戻額を算出されてキャッシュバックを行うことが可能となった場合、算出した割戻額を消費者の識別情報に対応付けて記憶するとともに、その識別情報の送信元の自動販売機へ応答する(キャッシュバック指示を行う)。
【0105】
このようなキャッシュバック判定処理によって、商品販売管理サーバ202から割戻額が対応付けられた識別情報を受け付けることでキャッシュバック指示が行われると、自動販売機では、消費者によって選択された方法によってキャッシュバック処理を行う。
【0106】
キャッシュバックの方法として、「法定通貨によるキャッシュバック」、または、「暗号通貨によるキャッシュバック」のいずれかが可能である。このとき、自動販売機では、初期設定として、「暗号通貨によるキャッシュバック」による方法が設定されている。もちろん、消費者に選択させるのではなく、初期設定された方法(上記例では、「暗号通貨によるキャッシュバック」による方法)で自動的にキャッシュバック処理を行ってもよい。
【0107】
そして、商品販売管理サーバ202からキャッシュバック指示を受け付けると、自動販売機では、消費者に対してキャッシュバックが可能であることを報知して、消費者からキャッシュバック方法の指定を含むキャッシュバック要求の操作を受け付けることを可能とする。
【0108】
自動販売機では、キャッシュバック要求の操作を受け付けるまでは消費者によるキャッシュバック方法の指定を受け付け可能な状態で待機する。なお、一定時間経過後もキャッシュバック操作を受け付けなければ、初期設定されている方法でキャッシュバック処理を行ってもよいし、キャッシュバック判定処理を取り消して今回の処理においてはキャッシュバックを行わないこととしてもよい。
【0109】
このキャッシュバック操作を一定時間経過しても受け付けていないときや、自動的にキャッシュバックするときにおけるキャッシュバックの方法として、上記例では、「暗号通貨によるキャッシュバック」を行う方法が設定されている(具体的な処理については、後述する「キャッシュバック要求の操作を受け付けて判別したキャッシュバック方法が「暗号通貨」である場合」における処理を参照)。これは、「法定通貨によるキャッシュバック」に比べて、消費者がその方法の選択操作や設定情報を意識せずとも、確実に、割戻額のキャッシュバックを受けることが可能となる。
【0110】
続いて、キャッシュバック要求の操作を受け付けると、自動販売機では、キャッシュバック方法を判別し、キャッシュバック方法が「法定通貨」である場合、決済機構によって商品代金の決済が完了後、法定通貨にて割戻額の割り戻しを行う。
【0111】
一方で、キャッシュバック要求の操作を受け付けて判別したキャッシュバック方法が「暗号通貨」である場合、自動販売機では、算出した割戻額を消費者の識別情報とともに商品販売管理サーバ202に通知する。
【0112】
このとき商品販売管理サーバ202では、受信した割戻額、消費者の識別情報をマイニング管理サーバ201へと送信して、マイニング管理サーバ201では、暗号通貨の割戻額を消費者IDに対するウォレットに送金する取引(トランザクション)を発生させて割り戻しを行う。
【0113】
以上のように、自動販売機では、マイニング処理を行うことによって獲得したマイニング報酬をもとに、「割引後販売額」での販売のほか、「通常の販売額(割引無しの販売額)」での販売後にキャッシュバックも可能である。
【0114】
つまり、自動販売機では、さまざまな方法でマイニング報酬を消費者に還元することが可能となっている。
【0115】
図3は、本発明の実施の形態における商品販売装置を含む商品販売システムにおける処理遷移を示すシーケンス図である。
【0116】
図3に示すシーケンス図では、マイニング管理サーバ201によるマイニング制御処理によって、各商品販売装置100それぞれが連動して単一のマイニング処理を分散して行う場合の例を示している。
【0117】
マイニング管理サーバ201では、取引(トランザクション)の発生を検出すると(S301)、商品販売装置100に対して分散してマイニング処理要求を行う(S302)。商品販売装置100では、このマイニング処理要求に基づいてマイニング処理を行う(S303)。このときのマイニング処理では、他の商品販売装置100において行われるマイニング処理範囲とは異なる処理範囲でのマイニング処理が行われる。例えば、商品販売装置100ごとに、上記に示すような演算値を出力するために行われる所定の演算処理における演算条件(範囲)等をかえることで、分散してマイニング処理を行う。
【0118】
所定の演算処理の結果、演算値が出力されると、商品販売装置100では他のマイナーに対してその演算値を公開する。他のマイナーによってその演算値が認められて取引(トランザクション)が成立すると、マイニング管理サーバ201では、商品販売装置100によるマイニング処理の結果が通知され(S304)、マイニング報酬を受け入れる(マイニング報酬を受ける権利を獲得する)(S305)。そして、マイニング管理サーバ201では、このマイニング報酬における報酬額を記憶し(S306)、各商品販売装置100に対して、受け入れたマイニング報酬の報酬額を通知する(S307)。
【0119】
これを受けて、商品販売装置100では、マイニング報酬の報酬額を記憶する。そして、決定条件が成立すると、そのマイニング報酬の報酬額をもとに商品販売情報を決定する(S308)。
【0120】
なお、上記例では、商品販売装置100において商品販売情報を決定するような構成を示しているが、これに限定されることなく、マイニング管理サーバ201においてマイニング報酬の報酬額をもとに商品販売情報を決定することも可能である。この場合、マイニング管理サーバ201では、決定した商品販売情報を各商品販売装置100に通知し、商品販売装置100がこの商品販売情報を記憶する。
【0121】
そして、商品販売装置100では、この商品販売情報をもとに商品の販売が行われると、販売した商品に関する「販売商品情報」を商品販売管理サーバ202へと送信する(S309)。これによって、商品販売管理サーバ202では各商品の在庫管理が可能となる(S310)。
【0122】
このように、マイニング管理サーバ201による管理のもと、各商品販売装置100で分散してマイニング処理を行うことによって、マイニング処理の成立確率が高まり、マイニング報酬を獲得する可能性が高まる。また、各商品販売装置100における処理負荷が低減されることにもなる。
【0123】
図4は、本発明の実施の形態における商品販売装置の一例である自動販売機において行われる商品販売制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0124】
図4において、自動販売機は、商品の販売開始条件が成立することによって処理が開始される。このときの商品の「販売開始条件」とは、上記に示すように、消費者(購入者)による商品の購入意思を示す操作(動作)を認識(確認)したことであって、例えば、法定通貨の入金(預かり入れ)、商品の選択操作の受け付け、電子マネーや暗号通貨ウォレットに対する消費者IDの読み込み等が該当する。
【0125】
この商品の販売開始条件が成立したと判定すると、自動販売機は、稼働状況を確認するために、商品の販売が行われておらず待機状態にあることを示す「待機モード」にあるか否かを判断する(S401)。自動販売機は、「待機モード」になく、商品の販売が行われている販売状態(待機状態とは異なる状態)にあることを示す「販売モード」にあると判断すると(S401でNO)、後述するS403に示す商品販売前処理が行われることとなる。つまり、商品の販売が可能な「販売モード」にあるときに消費者による商品購入操作を受け付けたことを示している。
【0126】
これに対して、自動販売機は、「待機モード」にあると判断すると(S401でYES)、この「待機モード」から「販売モード」へと移行して商品の販売を可能とする(S402)。
【0127】
続いて、自動販売機は、「商品販売前処理」を行う(S403)。この「商品販売前処理」は、商品の販売に際して支払いに関する確認を行う処理であって、支払い方法、入金額等を確認する。つまり、この「商品販売前処理」では成立した商品の販売開始条件の種類によって異なる処理である。
【0128】
第1に、成立した商品の販売開始条件が「法定通貨の紙幣や硬貨の入金」である場合、「商品販売前処理」は、入金(預かり入れ)されている金額(入金額)を確認し、商品の選択を要求(商品選択ボタンの点灯等)してこの要求に対する応答(商品選択ボタンの押下等)を受け付ける処理である。
【0129】
第2に、成立した商品の販売開始条件が「商品の選択操作の受け付け」である場合、「商品販売前処理」は、現金の入金要求、または暗号通貨ウォレットに対する消費者IDの読み込み要求を行い、現金が入金(預かり入れ)された場合にはその入金額を確認し、消費者IDの読み込みが行われた場合にはその消費者IDに対して支払い可能な金額(支払い上限額)を確認する処理である。
【0130】
第3に、成立した商品の販売開始条件が「電子マネーや暗号通貨ウォレットに対する消費者IDの読み込み」である場合、「商品販売前処理」は、その電子マネーや消費者IDに対して支払い可能な金額(支払い上限額)を確認し、商品の選択を要求して受け付ける処理である。
【0131】
続いて、自動販売機は、商品の販売時における消費者の商品代金の支払い方法が「現金」または「電子マネー」によるものであるか否かを判断する(S404)。
【0132】
商品の販売時における消費者の商品代金の支払い方法が「現金」または「電子マネー」によるものである場合(S404でYES)、自動販売機は、法定通貨である現金と、この現金等の法定通貨に代用される暗号通貨との交換に用いられる交換レート(「取引レート」とも称する)を管理する管理装置である取引所サーバ300との通信を行うことによって、この取引所サーバ300から商品の販売時における交換レートの情報を取得する(S405)。もちろん、上記に示すように、所定のタイミングで取得して商品販売装置100が記憶するような構成であってもよい。
【0133】
続いて、自動販売機は、取得した交換レートを用いて、入金(預かり入れ)されている現金を全額、暗号通貨に変換(交換)する(S406)。入金(預かり入れ)されている現金を全額、暗号通貨に変換(交換)することで、現金を用いた商品の購入であっても暗号通貨での支払いと同様に一元化することが可能となり、通貨の取り扱い効率が向上することとなる。なお、現金を全額、暗号通貨に変換(交換)する取引が完了すると、後述するS413に示す、マイニング処理が行われている(実行中)であるか否かの判断処理が行われることとなる。
【0134】
また、商品の販売時における消費者の商品代金の支払い方法が「現金」または「電子マネー」によるものであるか否かの判断処理(S404)において、支払い方法が「現金」または「電子マネー」によるものでないと判断する場合(S404でNO)、自動販売機は、続いて、支払い方法が、「暗号通貨」によるものであるか否かを判断する(S407)。つまり、暗号通貨ウォレットに対する消費者IDの読み込みが行われているか否かを判断する。
【0135】
この判断処理(S407)によって、支払い方法が、「暗号通貨」によるものであると判断しない場合(S407でNO)は「現金」や「電子マネー」でなく、かつ、「暗号通貨」でもないことから本フローチャートとしての処理は終了する。
【0136】
また、暗号通貨での支払いが選択されていると判断する場合(S407でYES)、自動販売機は、続いて、現金が入金(預かり入れ)されているか否かを判断する(S408)。すなわち、暗号通貨単独での支払いであるか、暗号通貨と現金との併用による支払いであるかを判断する。
【0137】
現金が入金(預かり入れ)されていると判断し(S408でYES)、暗号通貨と現金との併用による支払いである場合、自動販売機は、法定通貨である現金と、この現金等の法定通貨に代用される暗号通貨との交換に用いられる交換レートを管理する管理装置である取引所サーバ300との通信を行うことによって、この取引所サーバ300から商品の販売時における交換レートの情報を取得する(S409)。
【0138】
また、自動販売機は、この取得した交換レートを用いて、入金(預かり入れ)されている現金を全額、暗号通貨に交換し、変換後の暗号通貨と、S403の処理において読み込みが行われている消費者IDに対する暗号通貨ウォレットの金額とを加算して消費者が支払い可能な金額(支払い上限額)を算出する(S410)。
【0139】
このとき、S404の処理において読み込みが行われている消費者IDに対する暗号通貨ウォレットの金額全てを用いて支払い上限額とするのではなく、「販売している商品の商品代金との関係に基づいて指定される金額」を用いて支払い上限額としてもよい。
【0140】
このときの「販売している商品の商品代金との関係」とは、販売している商品の最大の商品代金に所定の倍率(1倍、5倍、10倍等)を掛けたものとしてもよいし、商品の売上げ単価に所定の倍率(1倍、3倍、5倍等)を掛けたものとしてもよいし、さらには、予め指定された任意の金額としてもよい。
【0141】
そして、S408における処理において現金が入金(預かり入れ)されていると判断されず(S408でNO)、暗号通貨単独での支払いである場合、自動販売機は、消費者IDに対する暗号通貨ウォレットの金額を確認する(S411)。
【0142】
このようにして、暗号通貨単独、または、暗号通貨と現金との併用により、商品代金の支払い方法が特定され、かつ、商品代金が確認されると(S410またはS411の処理が行われると)、続いて、自動販売機は、暗号通貨による支払額を消費者に確認する(S412)。
【0143】
これによって、法定通貨での支払いの場合、暗号通貨での支払いの場合のいずれにおいても、暗号通貨による一元処理が可能となる。
【0144】
以上の処理により、支払い方法、暗号通貨による支払額が指定された状態となる。
【0145】
続いて、自動販売機は、商品の販売開始条件が成立したと判断する、消費者(購入者)による商品の購入意思を示す操作が行われたときにマイニング処理が行われている(実行中)であるか否かを判断する(S413)。
【0146】
このマイニング処理が行われていると判断しない場合(S413でNO)、自動販売機は、商品の販売処理、マイニング処理のいずれも行われていない状態であることを示しており、上記同様、後述するS416に示す商品販売処理が行われることとなる。
【0147】
一方で、マイニング処理が行われていると判断する場合(S413でYES)、自動販売機は、実行中のマイニング処理を停止する停止タイミングを調整するタイミング制御処理を行う(S414)。
【0148】
このタイミング制御処理では、商品の販売開始条件が成立時に行っている状態にあるマイニング処理を停止するタイミングを制御(決定)するものであって、マイニング処理における複数の処理ポイント(チェックポイント)のうち、いずれかの処理ポイントになるまでマイニング処理の停止を先延ばし(延長)させて停止タイミングを調整する処理である。
【0149】
このようにしてマイニング処理の停止タイミングが制御されると、続いて、自動販売機では、その停止タイミングにマイニング処理の停止処理を行う(S415)。
【0150】
上記のような停止タイミングでマイニング処理の停止処理を行うことは、商品の販売開始条件の成立時に即座にマイニング処理を停止させるのではなく、商品代金の支払い方法が特定され、かつ、商品代金が確認された状態となるまでマイニング処理を行い続けることを示している。つまり、商品の販売準備が完了するまでは継続してマイニング処理を行い続けることを示している。
【0151】
これによって、少しでも長くマイニング処理を行うことが可能となり、マイニング処理におけるマイニング報酬の獲得確率を向上させることができる。
【0152】
続いて、自動販売機では、商品販売処理を行う(S416)。この商品販売処理では、消費者が指定した商品の販売を行う処理であって、詳細を
図5に示している。
【0153】
この商品販売処理によって商品が払い出されると、続いて、自動販売機では、商品代金の支払いに用いる暗号通貨の金額(預かり額)と、商品の販売額(商品代金)との差額があるか否かを判断する(S417)。
【0154】
このときの差額は、商品の販売後における、消費者が有する残りの価値を示すものであって、商品の販売直後の自動販売機では差額全てを暗号通貨で管理した状態にある。
【0155】
商品代金の支払いに用いる暗号通貨の金額(預かり額)と、商品の販売額(商品代金)との差額がなければ(S417でNO)、自動販売機は、S416に示す商品販売処理における取引(トランザクション)(具体的には
図5に示すS505における判断処理の結果)によって金銭的な取引が完了した状態にあるため、後述するS423以降の処理に移行する。
【0156】
また、S417の処理において、商品代金の支払いに用いる暗号通貨の金額(預かり額)と、商品の販売額(商品代金)との差額があれば(S417でYES)、自動販売機は、続いて、この差額の払い戻し方法(取り扱い方法)として、全額または一部を「現金(法定通貨)」で払い出すことが選択されているか否かを判断する(S418)。全額または一部を「現金(法定通貨)」で払い出すことが選択されている場合(S418でYES)、自動販売機は、商品の販売時の交換レートを用いてこの差額の全て若しくは一部を「現金」に変換(交換)して払い出しを行う(S419)。
【0157】
このとき、「現金(法定通貨)」として払い出す金額を消費者が自動販売機を操作することで指定することとしてもよい。
【0158】
また、「「現金」で払い出しが可能な上限額」を予め指定して記憶しておき、自動販売機は、この上限額までを「現金(法定通貨)」で払い出す処理を行い、差額と「現金(法定通貨)」で払い出した金額との差分を算出してその差分については暗号通貨として暗号通貨ウォレットに返金する取引(トランザクション)を行うこととしてもよい。なお、上記のS410において、「販売している商品の商品代金との関係に基づいて指定される金額」を用いた支払い上限額」が指定されている場合、その支払い上限額を「「現金」で払い出しが可能な上限額」としてもよい。
【0159】
また、S418における処理において、全額または一部を「現金(法定通貨)」で払い出すことが選択されていない場合(S418でNO)、自動販売機は、続いて、消費者IDを記憶した状態にあるか否かを判断する(S420)。商品の販売時に消費者によって暗号通貨の支払いが指定されており、消費者が操作する端末等から消費者IDの読み込みが行われているかを判断する。消費者IDを自動販売機が記憶した状態になければ(S420でNO)、自動販売機は、消費者に対して消費者IDの読み込みを要求して消費者IDを読み込む(S421)。また、消費者IDを自動販売機が記憶した状態にあれば(S420でYES)、自動販売機は、消費者IDをもとにS422における処理を行う。
【0160】
これにより、消費者IDが読み込まれた場合(S421)や、消費者IDを記憶した状態にある場合(S420でYES)、自動販売機は、その消費者IDに対して差額を返金する取引(トランザクション)を要求して(S422)返金を行う。
【0161】
以上のような処理によって、商品の販売、差額の返金(返還)が行われると、商品の販売が完了した状態となる。
【0162】
続いて、自動販売機は、商品の販売が完了した状態となってから即座にまたは一定時間(1秒、3分、30分等)以上、商品の未販売状態が継続しているか否かを判断する(S423)。一定時間以上、経過していない場合(S423でNO)、自動販売機は「販売モード」の状態を維持する。その一方で、商品の未販売状態が一定時間以上継続している場合(S423でYES)、自動販売機は、「販売モード」から「待機モード」へ移行させる(S424)。つまり、自動販売機をマイニング処理の実行が可能な状態とする。
【0163】
以上のような処理によって、自動販売機は、商品の販売を優先する一方で、商品の販売開始時にマイニング処理が実行されていたとしても最大限、マイニング処理を継続してマイニング報酬の獲得可能性を高めることが可能となっている。さらに、自動販売機は、商品の購入にあたり、法定通貨と暗号通貨との交換取引が可能となっている。
【0164】
図5は、本発明の実施の形態における商品販売装置の一例である自動販売機において行われる商品販売処理の流れを示すフローチャートである。
【0165】
図5は、
図4に示す商品販売処理の詳細な流れを示すものであって、商品の販売が可能な状態となると処理が開始される。
【0166】
図5において、自動販売機は、消費者によって販売する商品が指定されているか否かを判断する(S501)。自動販売機は、商品が指定されていない場合(S501でNO)、商品の指定を促して消費者による商品の指定を受け付け、また、商品の指定がされている場合(S501でYES)、続いて、指定されている商品に対する金額を預け入れされていることによって商品代金の支払いが可能であることが確認できているか否かを判断する(S502)。つまり、現金での支払いの場合、商品代金(暗号通貨販売額)に対する現金が入金されて暗号通貨に交換されているかを判断し、暗号通貨のみでの支払いの場合、S412に示す確認処理において消費者によって指定されている暗号通貨が、商品代金(暗号通貨販売額)を満たしているかを判断し、現金と暗号通貨との併用で支払いの場合、S412に示す確認処理において消費者によって指定されている暗号通貨と、現金で入金されて交換された暗号通貨との合計額が商品代金(暗号通貨販売額)を満たしているかを判断する。
【0167】
商品代金の支払いが可能であることが確認できていない場合(S502でNO)、自動販売機は、商品代金の支払いに必要な金額の預け入れを要求して必要な金額を預け入れられた状態とし、また、商品代金の支払いが可能であることが確認できている場合(S502でYES)、さらに、その預け入れられた金額に暗号通貨が含まれ、この暗号通貨を用いて商品代金の全て若しくは一部を支払うことが指定されているか否かを判断する(S503)。
【0168】
暗号通貨を用いて商品代金の全て若しくは一部を支払う場合(S503でYES)、自動販売機は、指定された商品の販売に関して指定されている暗号通貨販売額のうち、暗号通貨で支払う分の商品代金の取引(トランザクション)を要求する(S504)。そして、この取引(トランザクション)が成立したか否かを判断して(S505)、自動販売機は、取引が成立するまで(S505でNO)待ち、その取引(トランザクション)が成立すると(S505でYES)、自動販売機は、商品の払い出し処理を行う(S506)。
【0169】
そして、自動販売機は、販売した商品の情報(販売商品情報)として、販売した商品の種別、販売額(取引(トランザクション)が成立した暗号通貨による商品代金の決済額、または、取引(トランザクション)が成立した暗号通貨の金額に現金での支払額を加算した決済額)、支払い方法、販売個数等を記憶する(S507)。
【0170】
また、S503の処理において、暗号通貨を用いて商品代金の全て若しくは一部を支払うことが指定されていない場合(S503でNO)、すなわち、現金のみで商品代金を支払う場合、自動販売機では、S506以降の処理を行う。
【0171】
なお、自動販売機では、記憶された販売商品情報を逐次、商品販売管理サーバ202へ送信することとしてもよい。
【0172】
図6は、本発明の実施の形態における商品販売装置の一例である自動販売機において行われるマイニング制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0173】
図6に示すマイニング制御処理は、上記に示すように、任意の装置間の暗号通貨の取引(トランザクション)を成立させるマイニング処理に関する制御処理を示すものであって、自動販売機が商品の販売を行っていない場合やマルチタスクでの処理によって商品の販売とともにマイニング処理が可能である場合に行われる。
【0174】
図6において、自動販売機は、ネットワーク上に公開された取引要求であって、任意の装置間における暗号通貨の取引要求を検出すると処理が開始され、自動販売機に設定されている現時点における「稼働状況(動作モード)」の確認処理を実行する(S601)。この確認処理によって稼働状況が商品を販売している状態を示す「販売モード」であるか否かを判断する(S602)。
【0175】
自動販売機は、「販売モード」であると判断すると(S602でYES)、マルチタスク処理が可能(マルチタスク処理が有効となっている)か否かを判断する(S608)。このマルチタスク処理は、商品販売に関する処理(商品販売処理、メンテナンス処理(商品補充処理、商品代金決済処理等)を含む)の最小単位であるスレッドと、マイニング処理における最小単位であるスレッドとを並行して(交互に)行うことで2つの処理が同時に行われているようにみせる処理である。すなわち、S608における処理では2つの処理が並行して進められるか否かを判断している。
【0176】
マルチタスク処理によって2つの処理が並行して進められると判断する場合(S608でYES)、自動販売機は、後述するS603以降の処理を行う。また、マルチタスク処理によって2つの処理が並行して進められると判断しない場合(S608でNO)、自動販売機は、商品販売に関する処理をマイニング処理よりも優先することを示しており、マイニング処理を開始せず、本フローチャートにおける処理を終了する。
【0177】
続いて、S602における処理によって、商品の販売中である「販売モード」であると判断されない場合(S602でNO)、すなわち、任意の装置間における暗号通貨の取引要求を検出したときに自動販売機が「待機モード」にあるとき、自動販売機は、マイニング処理を実行する(S603)(マイニング処理フラグ=ON)。そして、このマイニング処理が成功するとマイニング処理結果を公開されたネットワーク上にその結果を出力(公開)する(詳細には、ネットワーク上に存在しているマイニング処理を行う他のマイナーに対してその結果を通知して公開する)(S604)。
【0178】
また、自動販売機は、マイニング処理が成立する前に他のマイナーからマイニング処理の結果が通知されることによってマイニング処理の停止要求を受信したか否かを判断し(S605)、他のマイナーからマイニング処理の結果が通知されると(S605でYES)、マイニング処理の停止処理を行う(S606)。このマイニング処理の停止処理は、S604によってマイニング処理が成立してマイニング処理結果を出力した場合にも行われる。このマイニング処理の停止処理は、前者の場合、実行中のマイニング処理を停止する処理であり、後者の場合、マイニング処理の成立に対するマイニング報酬を自らが受け取る権利を有することを明示する処理を行う(S606)。
【0179】
このようにして、マイニング処理が完了すると、自動販売機は、マイニング処理における処理の履歴情報であるマイニング処理情報を記憶する(S607)。このマイニング処理情報はマイニング管理サーバ201に記憶させてもよい。このように、マイニング処理情報をマイニング管理サーバ201に記憶させるようにすると、このマイニング管理サーバ201では、マイニング処理を行う全ての商品販売装置100のマイニング処理情報を記憶することが可能となる。
【0180】
以上に示すような処理によって、自動販売機は、マイニング処理を行うことが可能となる。
【0181】
なお、以上に示すような
図6の処理では、S608のようなマルチタスク処理が可能であるか否かを判断しているが、これに限定されることなく、マルチタスク処理の有無を問わず、商品販売に関する処理が行われている間はマイニング処理を行わないこととしてもよい。
【0182】
図7は、本発明の実施の形態における商品販売装置の一例である自動販売機において行われる商品販売情報決定処理の流れを示すフローチャートである。
【0183】
図7に示す商品販売情報決定処理は、自動販売機が販売する商品に関する情報(商品代金、数量等)をマイニング処理によって獲得したマイニング報酬の価値(金額)によって決定する処理である。
【0184】
図7では、各商品販売装置100が「商品販売情報決定処理」を行う例を示しているが、これに限定されることなく、各商品販売装置100から商品販売情報の決定要求を受け付けたマイニング管理サーバ201がこの「商品販売情報決定処理」を行い、マイニング管理サーバ201から各自動販売機がその決定された商品に関する情報を受け付けて記憶するような構成であってもよい。
【0185】
図7において、自動販売機では、予め指定された商品販売に関する販売情報の決定条件が成立することによって、一定期間のマイニング処理の実績におけるマイニング報酬の報酬額を特定する(S701)。例えば、単月当たりの、半月当たりの、半年当たりのマイニング報酬の合計報酬額を特定する。
【0186】
そして、自動販売機は、この特定したマイニング報酬の報酬額(合計報酬額)に対する商品の「割引額」を所定の算出方法に基づいて算出する(S702)。このときの算出方法はマイニング報酬の報酬額によって予め指定されている。
【0187】
このようにして、商品の「割引額」が算出されると、自動販売機では、暗号通貨のみによって商品を販売する場合における割引額(暗号通貨販売割引額)を決定し(S703)、また、現金のみまたは暗号通貨と現金とを併用して商品を販売する場合における割引額(現金販売割引額)を決定する(S704)。
【0188】
このときのS702に示すマイニング報酬の報酬額に対する商品の「割引額」の決定処理、S702の算出方法、S703とS704に示す割引額(暗号通貨販売割引額、現金販売割引額)の決定処理は、
図8に示すような割引額決定テーブルの情報に基づいて行われる。
【0189】
以上のような処理によって、商品の割引額を決定する処理(S701〜S704)を行うと、続いて、その割引額における商品の販売条件を決定する処理(S705〜S708)を行う。
【0190】
まず、自動販売機では、割引対象となる商品に関する情報である「割引対象情報(商品種別、販売個数、販売期間等)」を商品販売管理サーバ202から受信することで記憶しているか否かを判断する(S705)。すなわち、商品販売管理サーバ202によって中央集権的に割引対象が決定されているか否かを判断する。
【0191】
商品販売管理サーバ202から「割引対象情報(商品種別、販売個数、販売期間等)」を受信している場合(S705でYES)、自動販売機は、その記憶している「割引対象情報(商品種別、販売個数、販売期間等)」を読み出す(S707)。反対に、商品販売管理サーバ202から「割引対象情報(商品種別、販売個数、販売期間等)」を受信していない場合(S705でNO)、自動販売機は、予め設定されている「割引対象情報」を読み出す(S706)。
【0192】
そして、自動販売機は、その読み出したいずれかの「割引対象情報」をもとに各商品を暗号通貨を用いて販売するときと、現金のみおよび現金と暗号通貨とを併用して販売するときとのそれぞれの場合における販売額(暗号通貨販売額と法定通貨販売額)、販売する商品の種別、販売個数、販売期間等を含む商品販売情報を決定する(S708)。
【0193】
このような処理によって、自動販売機(商品販売装置)は、マイニング報酬の報酬額に対する商品販売情報を決定することが可能となる。この処理と同様の処理を行うことで、商品販売管理サーバ202において、マイニング報酬の報酬額に対する商品販売情報を決定することも可能である。なお、本件においては暗号通貨に一元化して処理しているため、暗号通貨販売額のみが用いられる。
【0194】
図8は、本発明の実施の形態における商品販売装置の一例である自動販売機において用いられる割引額決定テーブルである。
【0195】
図8に示す割引額決定テーブルは、
図7に示す商品販売情報決定処理におけるS702、S703、S704の処理に用いられる情報であるほか、商品販売情報決定処理を商品販売管理サーバ202において行ったときの処理に用いられる情報であって、マイニング報酬の報酬額に対する商品販売情報を決定するにあたって用いられる情報である。
【0196】
図8に示す割引額決定テーブルは、商品販売装置100が獲得したマイニング報酬に対して、そのマイニング報酬に対する割引額の算出方法および決定される割引額(「値引き額」、「減算額」、「還元額」とも称することがある)が関連付けられている。
【0197】
図8に示す割引額決定テーブルは、[マイニング報酬]項目、[基本割引額(算出方法)]項目、[割引額(現金販売割引額)]項目、[割引額(暗号通貨販売割引額)]項目、[備考]項目によって構成されている。
【0198】
[マイニング報酬]項目には、「最小通貨単位〜金額A未満」、「金額A以上〜金額B未満」、「金額B以上〜金額C未満」、「金額C以上」の範囲が規定されており、これらの範囲のマイニング報酬に対して[基本割引額(算出方法)]項目において基本割引額として、「最小通貨単位〜金額A」、「金額A+((金額A〜金額B)×指定割合a)かつ、最大割引額BB以下」、「金額B+((金額B〜金額C)×指定割合b)かつ、最大割引額CC以下」、「最大割引額CC」が対応付けられている。
【0199】
また、これらに対して、[割引額(現金販売割引額)]項目および[割引額(暗号通貨販売割引額)]項目において割引額として、「基本割引額」および「基本割引額」、「基本割引額」および「基本割引額」、「基本割引額」および「基本割引額」、「暗号通貨販売割引額」および「基本割引額」がそれぞれ対応付けられている。
【0200】
このことから、マイニング報酬が「最小通貨単位〜金額A未満」であるときの割引額は、「マイニング報酬そのもの」であることが示されている。また、マイニング報酬が「金額A以上〜金額B未満」であるときの割引額およびマイニング報酬が「金額B以上〜金額C未満」であるときの割引額それぞれは、「マイニング報酬と連動した額」であることが示されている。さらに、マイニング報酬が「金額C以上」であるときの割引額は、「予め指定された金額」であることが示されている。
【0201】
この
図8に示すような割引額決定テーブルを用いることによって、割引額をマイニング報酬に基づいて決定することができる。
【0202】
なお、
図8に示す金額A〜金額C、最大割引額BB、最大割引額CCは、暗号通貨の単位で表される価値を示すものである。また、指定割合a、指定割合bは、割合(%)を示すものである。さらに、最小通貨単位とは取引可能な最小の単位を示すものである。
【0203】
以上に示す実施の形態は、本発明の実施の一形態であって、これらの実施例に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。