【解決手段】設計支援装置100の情報取得部26は、設計対象の建物の要件に関する情報を表す基本要件情報と、設計対象の建物の形状を表すオブジェクトである基本要件オブジェクトとを取得する。また、設計支援装置100の生成部27は、情報取得部26によって取得された基本要件情報と基本要件オブジェクトとに基づいて、設計対象の建物のうちの外壁のオブジェクトを生成する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0015】
<本発明の実施形態に係る設計支援装置の構成>
【0016】
図1に、本発明の実施形態に係る設計支援装置100の構成の一例を示す。本実施形態の設計支援装置100は、機能的には、
図1に示されるように、受付部10、コンピュータ20、及び表示部50を含んだ構成で表すことができる。本実施形態の設計支援装置100は、建築設計者によって行われる建築設計を支援する。
【0017】
建築設計の分野では、BIM(Building Information Modeling)の活用が進んでいる。建築設計者は、建築設計を行う際、設計対象の建物の3次元モデルを表すBIMモデルを作成することにより、設計作業を進める。
【0018】
建築設計者が建物の外壁設計を行う場合には、複数の外壁デザインを試験的に作成する場合がある。複数の外壁デザインを試験的に作成する場合、それらの外壁の価格を算出する場合には時間を要する。また、建築設計者が外壁設計を行う場合には、荷重計算及び熱負荷計算等の各種計算を行う必要があるが、複数の外壁の価格を算出した後、それら外壁の荷重計算及び熱負荷計算には時間がかかる。
【0019】
そこで、本実施形態では、建築設計者が外壁設計を行う際に、BIMモデルのうちの外壁のオブジェクトに、物性情報(例えば、外壁を構成する各建築部材の比重、及び熱負荷率等)及び価格情報等の各種情報を紐付ける。そして、本実施形態では、外壁のオブジェクトに付与された各種情報に基づいて、外壁の荷重計算、熱負荷計算、及び価格計算を自動的に行う。
【0020】
外壁のオブジェクトに付与された各種情報を用いることにより、各種計算処理を容易に行うことができる。これにより、外壁の設計支援を効率的かつ適切に行うことができる。
【0021】
以下、本実施形態について具体的に説明する。
【0022】
受付部10は、ユーザから入力された情報を受け付ける。受付部10は、例えばキーボード、マウス、又は外部装置からの入力を受け付ける入出力装置等によって実現される。例えば、ユーザは、設計支援の指示信号を、受付部10を介してコンピュータ20へ入力する。
【0023】
コンピュータ20は、CPU(Central Processing Unit)、各処理ルーチンを実現するためのプログラム等を記憶したROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、記憶手段としてのメモリ、ネットワークインタフェース等を含んで構成されている。コンピュータ20は、
図1に示されるように、機能的には、基本要件情報記憶部22と、オブジェクト記憶部24と、情報取得部26と、生成部27と、物性情報記憶部28と、価格情報記憶部30と、比重情報付与部32と、熱負荷情報付与部34と、価格情報付与部36と、外壁モデル設定部38と、荷重計算部40と、熱負荷計算部42と、価格計算部44と、結果出力部46とを備えている。
【0024】
基本要件情報記憶部22には、設計対象の建物の要件に関する情報を表す基本要件情報が格納されている。基本要件情報には、建築主の要望に応じた外壁に関する情報が含まれている。
図2に、基本要件情報の一例を示す。
図2に示されるように、基本要件情報は、例えばテーブル形式で表現される。本実施形態では、基本要件情報の一例である基本要件テーブルに、建築主の要望に応じた外壁に関する情報が格納されている場合を例に説明する。
【0025】
図2に示されるように、基本要件テーブルには、建築地「AAA」、外壁タイプ「BBB」、階高さ「CCC」、支持スパン「DDD」、風圧力「EEE」、窓タイプ「FFF」、及びバルコニーの有無「GGG」等が、外壁に関する情報として格納される。基本要件テーブルは、例えば、建築主の要望を聞き取った建築設計者によって作成され、基本要件情報記憶部22に格納される。
【0026】
例えば、基本要件テーブルの外壁タイプには、ダブルスキン及びカーテンウォール等の外壁の種別に関する情報が格納される。また、基本要件テーブルの窓タイプには、掃き出し窓、FIX窓、及びガラリ等の窓の種別に関する情報が格納される。
【0027】
オブジェクト記憶部24には、設計対象の建物の形状を表すオブジェクトである基本要件オブジェクトが格納されている。本実施形態の基本要件オブジェクトは、建物全体の形状を表すオブジェクトであり、建築主の要望に応じて予め作成される。例えば、建築設計者は、建築主の要望に応じて基本要件オブジェクトを作成し、基本要件オブジェクトをオブジェクト記憶部24へ格納する。
【0028】
情報取得部26は、設計支援の指示信号を受け付けると、基本要件情報記憶部22に格納されている基本要件テーブルと、オブジェクト記憶部24に格納されている基本要件オブジェクトを取得する。
【0029】
生成部27は、情報取得部26によって取得された基本要件テーブルの各情報と基本要件オブジェクトとに基づいて、設計対象の建物のうちの外壁のオブジェクト(以下、単に「外壁オブジェクト」と称する。)を生成する。
【0030】
図3に、外壁オブジェクトの生成を説明するための説明図を示す。
図3のX1に示されるように、コンピュータ上の仮想の3次元空間内において、外壁オブジェクトGが生成される。例えば、外壁オブジェクトGは、仮想の3次元空間内のベクトルVによって表現される。
【0031】
なお、外壁オブジェクトを生成するための各オブジェクトは予め用意されている。
図4に、外壁オブジェクトを生成するための外壁タイプのオブジェクトの一覧を示す。また、
図5に、外壁オブジェクトを生成するための窓タイプのオブジェクトの一覧を示す。
【0032】
例えば、生成部27は、基本要件テーブルから読み出した外壁タイプに応じて、
図4(A)〜(H)の何れかのオブジェクトを生成する。また、生成部27は、基本要件テーブルから読み出した窓タイプに応じて、
図5(A)〜(H)の何れかのオブジェクトを生成する。
図4(A)〜(H)の「Ew」は、外壁タイプを識別するための識別情報を表す。また、
図5(A)〜(H)の「Wt」は、窓タイプを識別するための識別情報を表す。なお、窓を構成するガラスに対しても種別が存在する。
【0033】
また、生成部27は、これらのオブジェクトを生成する際に、基本要件テーブルの各情報と外壁オブジェクトとに応じて外壁の仕様に関する情報(以下、単に「仕様情報」と称する。)を生成し、外壁オブジェクトへ付与する。
【0034】
外壁オブジェクトの仕様情報は、例えば、外壁を構成する建築材料に関する仕様(例えば、外壁の材料及び下地部材等)及び外壁に関する寸法(例えば、壁厚さ等)等である。なお、外壁オブジェクトの仕様情報に関して複数の候補がある場合には、それらの候補を表示部50により表示し、建築主又は建築設計者が選択をするようにしてもよい。
【0035】
例えば、生成部27は、
図6に示されるように、外壁タイプが「ダブルスキン」の外壁オブジェクトを生成する際には、基本要件テーブルの「階高さ」の情報に基づき、外壁の仕様情報Sとして外壁オブジェクトのうちの高さ寸法Lを生成する。また、生成部27は、基本要件テーブルに「マリオン」の寸法情報dが含まれている場合には、
図6に示されるように、外壁オブジェクトのうちのマリオンMの寸法情報dを決定する。
【0036】
物性情報記憶部28には、複数種類の建築部材(又は材料)の各々についての物性に関する情報を表す物性情報が格納されている。本実施形態では、各建築部材の比重及び熱貫流率が物性情報として格納されている。
【0037】
価格情報記憶部30には、複数種類の建築部材(又は材料)の各々についての価格に関する情報を表す価格情報が格納されている。
【0038】
比重情報付与部32は、生成部27により生成された外壁オブジェクトの仕様情報に対応する、比重に関する物性情報を、物性情報記憶部28から読み出す。そして、比重情報付与部32は、読み出した比重に関する物性情報を、外壁オブジェクトへ付与する。
【0039】
熱負荷情報付与部34は、生成部27により生成された外壁オブジェクトの仕様情報に対応する、熱負荷に関する物性情報を、物性情報記憶部28から読み出す。そして、熱負荷情報付与部34は、読み出した熱負荷に関する物性情報を、外壁オブジェクトへ付与する。熱負荷に関する物性情報としては、例えば、各部材の熱貫流率が挙げられる。
【0040】
価格情報付与部36は、生成部27により生成された外壁オブジェクトの仕様情報に対応する価格情報を、価格情報記憶部30から読み出す。そして、価格情報付与部36は、読み出した価格情報を、外壁オブジェクトへ付与する。
【0041】
例えば、
図3のX2に示されるように、比重情報付与部32は、外壁オブジェクトGの仕様情報に応じて、比重に関する物性情報H1を外壁オブジェクトGへ付与する。また、熱負荷情報付与部34は、外壁オブジェクトGの仕様情報に応じて、熱負荷に関する物性情報N1を、外壁オブジェクトGへ付与する。また、価格情報付与部36は、外壁オブジェクトGの仕様情報に応じて、価格情報K1を、外壁オブジェクトGへ付与する。
【0042】
更に、
図3のX3に示されるように、比重情報付与部32は、外壁オブジェクトGに含まれる窓のオブジェクトWの仕様情報に応じて、比重に関する物性情報H2を窓のオブジェクトWへ付与する。また、熱負荷情報付与部34は、窓のオブジェクトWの仕様情報に応じて、熱負荷に関する物性情報N2を、窓のオブジェクトWへ付与する。そして、価格情報付与部36は、窓のオブジェクトWの仕様情報に応じて、価格情報K2を、窓のオブジェクトWへ付与する。なお、窓のオブジェクトWに含まれるガラスにも種類がある(熱線反射ガラス、熱線吸収ガラス、Low−eガラス、単板ガラス、合わせガラス、及びペアガラス等)ため、ガラスの種別に応じた情報が付与される。
【0043】
図3のX2及びX3における各種情報の付与が終了すると、
図3のX4に示されるような、複合図形としての外壁オブジェクトG’が生成される。この外壁オブジェクトG’には、その材質等に応じて、比重に関する物性情報、熱負荷に関する物性情報、及び価格情報が付与されている。このため、これらの情報に基づき、後述する各種計算処理を自動的に実行することができる。
【0044】
また、
図3のX4に示される複合図形としての外壁オブジェクトG’は、各種寸法(例えば、外壁オブジェクト全体の幅Wwと高さHw、及び窓オブジェクトの幅Wgと高さHg)が変更可能とされている。外壁オブジェクトG’の各種寸法が変更されたとしても、外壁オブジェクトG’に付与された各種情報は変更されない。このため、外壁オブジェクトG’の各種寸法を変更した際にも、後述する各種計算処理を自動的に実行することができる。
【0045】
外壁モデル設定部38は、比重情報付与部32、熱負荷情報付与部34、及び価格情報付与部36によって各種情報が付与された外壁オブジェクトに基づいて、外壁モデルを設定する。例えば、外壁モデル設定部38は、
図3のX5に示されるような外壁モデルGM1,GM2を、設計対象の建物を表す基本要件オブジェクトObに応じて設定する。
【0046】
外壁モデルGM1,GM2には、比重に関する物性情報、熱負荷に関する物性情報、及び価格情報が付与されているため、後述する各種計算を容易に実行することができる。
【0047】
荷重計算部40は、比重情報付与部32によって比重に関する物性情報が付与された外壁オブジェクトを含む外壁モデルに基づいて、建物の荷重計算を行う。
【0048】
具体的には、荷重計算部40は、外壁オブジェクトの各部材に付与された比重(例えば、PCaパネル、GRCパネル、ECPパネル、及びALCパネル等の比重)と、外壁オブジェクトの各部材の容積とを掛け合わせることにより、外壁オブジェクトが表す壁の自重計算を行う。なお、荷重計算部40は、建物の荷重計算結果に基づき、設計対象の建物の構造計算を更に行っても良い。
【0049】
熱負荷計算部42は、熱負荷情報付与部34によって熱負荷に関する物性情報が付与された外壁オブジェクトを含む外壁モデルに基づいて、建物の熱負荷計算を行う。
【0050】
具体的には、熱負荷計算部42は、外壁オブジェクトの各部材に付与された熱貫流率と、外壁オブジェクトの各部材の容積とを掛け合わせることにより、外壁オブジェクトが表す壁の平均熱貫流率の計算を行う。そして、熱負荷計算部42は、例えば空調負荷計算時の外壁熱損失計算を行う。なお、熱負荷計算部42による計算結果は、CASBEE(建築環境総合性能評価システム)の計算にも用いることが可能である。
【0051】
価格計算部44は、価格情報付与部36によって価格情報が付与された外壁オブジェクトを含む外壁モデルに基づいて、建物の外壁の価格計算を行う。具体的には、価格計算部44は、外壁オブジェクトの各部材に付与された単価と各部材の容積(又は数量)とに基づいて、外壁オブジェクトが表す壁の価格計算を行う。
【0052】
なお、価格計算部44は、外壁オブジェクトに付与された仕様情報に基づいて、外壁の価格計算を行うようにしてもよい。例えば、価格計算部44は、以下の式(1)の計算式を用いて、外壁の価格計算を行うようにしてもよい。
【0054】
上記式(1)に示される、外壁の価格を表す関数f
Ew(EM)は、所定の引数EMに応じて決定される。また、上記式(1)のf
Ew(EM)は、建物の各壁に対応する外壁オブジェクトの価格を表す関数f
WE(Ew,Wt,bal,fe)の総和として表現される。
【0055】
Ewは外壁タイプの種別を表し、Wtは窓タイプの種別を表し、balはバルコニーの有無を表し、feは延焼線の有無を表す。各外壁オブジェクトの価格は、これらの情報によって定まる。また、上記式(1)は、コンクリートの量を表す「con」、ガラスの量を表す「glass」、鉄の量を表す「steel」、及びアルミウムの量を表す「aw」の関数として表現される。
【0056】
このため、各外壁オブジェクトに対して、その外壁を構成する各材料の仕様情報が分かれば、コンクリートの量を表す「con」、ガラスの量を表す「glass」、鉄の量を表す「steel」、及びアルミウムの量を表す「aw」が判明するため、外壁オブジェクトの価格を算出することができる。
【0057】
結果出力部46は、荷重計算部40によって計算された計算結果と、熱負荷計算部42によって計算された計算結果と、価格計算部44によって計算された計算結果とを結果として出力する。
【0058】
表示部50は、結果出力部46から出力された各種計算結果を表示する。表示部50は例えばディスプレイによって実現される。
【0060】
次に、設計支援装置100の作用を説明する。設計支援装置100の受付部10が、基本要件テーブルの入力を受け付けると、情報取得部26は基本要件テーブルを基本要件情報記憶部22へ格納する。また、設計支援装置100の受付部10が、基本要件オブジェクトの入力を受け付けると、情報取得部26は基本要件オブジェクトをオブジェクト記憶部24へ格納する。そして、設計支援装置100は、設計支援処理開始の指示信号を受け付けると、
図7に示す設計支援処理ルーチンを実行する。
【0062】
ステップS100において、情報取得部26は、基本要件情報記憶部22に格納されている基本要件テーブルを取得する。
【0063】
ステップS102において、情報取得部26は、オブジェクト記憶部24に格納されている基本要件オブジェクトを取得する。
【0064】
ステップS104において、生成部27は、上記ステップS100で取得された基本要件テーブルの各情報と、上記ステップS102で取得された基本要件オブジェクトとに基づいて、外壁オブジェクトを生成する。
【0065】
ステップS106において、生成部27は、上記ステップS100で取得された基本要件テーブルの各情報と、上記ステップS104で生成された外壁オブジェクトとに応じて、外壁の仕様情報を生成し、外壁オブジェクトへ付与する。
【0066】
ステップS108において、比重情報付与部32は、上記ステップS106で外壁オブジェクトへ付与された仕様情報に対応する比重に関する物性情報を、物性情報記憶部28から読み出す。そして、ステップS108において、比重情報付与部32は、読み出した比重に関する物性情報を、外壁オブジェクトへ付与する。
【0067】
ステップS110において、熱負荷情報付与部34は、上記ステップS106で外壁オブジェクトへ付与された仕様情報に対応する熱負荷に関する物性情報を、物性情報記憶部28から読み出す。そして、ステップS110において、熱負荷情報付与部34は、読み出した熱負荷に関する物性情報を、外壁オブジェクトへ付与する。
【0068】
ステップS112において、価格情報付与部36は、上記ステップS106で外壁オブジェクトへ付与された仕様情報に対応する価格情報を、価格情報記憶部30から読み出す。そして、ステップS112において、価格情報付与部36は、読み出した価格情報を、外壁オブジェクトへ付与する。
【0069】
ステップS114において、外壁モデル設定部38は、上記ステップS106、上記ステップS108、上記ステップS110、及び上記ステップS112で各種情報が付与された外壁オブジェクトに基づいて、外壁モデルを設定する。
【0070】
ステップS116において、荷重計算部40は、上記ステップS114で設定された外壁モデルのうちの各外壁オブジェクトの物性情報に基づいて、建物の荷重計算を行う。
【0071】
ステップS118において、熱負荷計算部42は、上記ステップS114で設定された外壁モデルのうちの各外壁オブジェクトの物性情報に基づいて、建物の熱負荷計算を行う。
【0072】
ステップS120において、価格計算部44は、上記ステップS114で設定された外壁モデルのうちの各外壁オブジェクトの価格情報に基づいて、建物の外壁の価格計算を行う。
【0073】
ステップS122において、結果出力部46は、上記ステップS116で得られた荷重計算の計算結果と、上記ステップS118で得られた熱負荷計算の計算結果と、上記ステップS120で得られた価格計算の計算結果とを結果として出力して、設計支援処理ルーチンを終了する。
【0074】
表示部50は、結果出力部46から出力された各種計算結果を表示する。設計支援装置100のユーザである建築設計者は、各種計算結果を参考にして設計作業を進める。
【0075】
以上詳細に説明したように、本実施形態の設計支援装置100は、設計対象の建物の要件に関する情報を表す基本要件テーブルと、設計対象の建物の形状を表す基本要件オブジェクトとに基づいて、設計対象の建物のうちの外壁オブジェクトを生成する。これにより、外壁の設計支援を適切に行うことができる。
【0076】
具体的には、設計対象の建物のBIMモデルを、基本要件テーブルと基本要件オブジェクトとに分けて管理することにより、基本要件テーブルの各情報を変更するのみで、基本要件オブジェクトに応じた外壁オブジェクトが自動的に生成される。これにより、建築主の要望に応じた外壁オブジェクトを自動的に生成することができる。
【0077】
また、本実施形態の設計支援装置100は、比重に関する物性情報、熱負荷に関する物性情報、及び価格情報を外壁オブジェクトへ付与する。これにより、外壁オブジェクトを含む設計対象の建物のBIMモデルの荷重計算結果、熱負荷計算結果、及び価格計算結果を自動的に取得することができる。
【0078】
また、本実施形態によれば、外壁オブジェクトに対して各種情報を付与することにより、設計の初期段階において、外壁設計に応じた荷重計算結果、熱負荷計算結果、及び価格計算結果を取得することができるため、外壁デザインの変更に応じて各種計算が繰り返されるという作業を低減することができる。
【0079】
また、本実施形態によれば、設計の初期段階において外壁に関する価格を算出することができるため、建築主の予算を考慮した外壁設計を適切に行うことができる。
【0080】
また、本実施形態によれば、建築設計者による外壁デザインの決定期間を短期間にすることができる。このため、構造設計者による構造計算、設備設計者による熱負荷計算の時間を十分に確保することができる。
【0081】
また、設計対象の建物の施工が行われる際に、本実施形態の設計支援装置100によって生成された外壁オブジェクトに対して、施工に関する工程表を紐付けることにより、外壁を構成する各建築部材の発注計画等にも利用することができる。
【0082】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0083】
例えば、また、各種情報が付与された外壁オブジェクトは、建物の施工が行われる際の作業所において、利用するようにしてもよい。この場合には、外壁オブジェクトに付与された荷重数量及び外形寸法等を活用し、揚重計画等に利用することができる。
【0084】
また、外壁オブジェクトの仕様情報を決定する際に、仕様情報に関して複数の候補がある場合には、建築主又は建築設計者による選択結果を取得し、その選択結果をデータベースに蓄積するようにしてもよい。この場合、データベースに格納された選択結果を利用して、次回の仕様情報の出力を決定するようにしてもよい(例えば、仕様情報のレコメンド)。
【0085】
また、上記実施形態では、基本要件情報の一例としての基本要件テーブルと基本要件オブジェクトに基づいて外壁オブジェクトを生成する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、設計対象の建物を表す他のBIMモデルに格納されている情報を用いて、外壁オブジェクトを生成するようにしてもよい。具体的には、外壁オブジェクトの窓の形式及び窓の数に関しては、設計対象の建物の面積に応じて異なる場合があるため、これらの情報が格納されているBIMモデルから情報を取得し、外壁オブジェクトの窓の形式及び窓の数等を決定するようにしてもよい。
【0086】
また、上記ではプログラムが記憶部(図示省略)に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、プログラムは、CD−ROM、DVD−ROM及びマイクロSDカード等の記録媒体の何れかに記録されている形態で提供することも可能である。