【解決手段】不動産Rを対象とするクラウドファンディングに対する出資希望者に投資スキーム紹介画面を提示するサービス提供者サーバ1において、申込画面表示制御部101は、出資希望者が使用するユーザ端末2に、出資希望者が出資申込を行うための出資申込画面を表示させる。そして、スキーム画面表示制御部102は、ユーザ端末2に、投資スキーム紹介画面を表示させる制御を実行する。さらに、締結前画面表示制御部103は、ユーザ端末2に、契約締結前交付書面確認同意画面を表示させる制御を実行する。
所定の出資対象に対する有価証券の募集又は私募に利用され、前記募集又は私募における第1のサービスを提供する第1の提供者および第2のサービスを提供する第2の提供者のいずれか又はその両方によって管理される情報処理装置であって、
前記出資対象への出資を希望する出資希望者に対して、前記第1の提供者又は前記第2の提供者と、前記出資対象に係る1以上の主体との1以上の契約を少なくとも含む投資スキームを提示する投資スキーム提示手段と、
前記投資スキームが提示されるにあたり、前記出資希望者が出資申込を行う際の所定タイミングに、前記出資希望者に対し前記投資スキームを提示する制御を実行する提示時期制御手段と、
を備える情報処理装置。
前記投資スキームは、前記第1の提供者又は前記第2の提供者と前記第1の提供者に関する主体との金銭消費貸借契約を締結することを少なくとも含む投資スキームである、
請求項1に記載の情報処理装置。
所定の出資対象に対する有価証券の募集又は私募に利用され、前記募集又は私募における第1のサービスを提供する第1の提供者および第2のサービスを提供する第2の提供者のいずれか又はその両方によって管理される情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
前記出資対象への出資を希望する出資希望者に対して、前記第1の提供者又は前記第2の提供者と、前記出資対象に係る1以上の主体との1以上の契約を少なくとも含む投資スキームを提示する投資スキーム提示ステップと、
前記投資スキームが提示されるにあたり、前記出資希望者が出資申込を行う際の所定タイミングに、前記出資希望者に対し前記投資スキームを提示する制御を実行する提示時期制御ステップと、
を含む情報処理方法。
所定の出資対象に対する有価証券の募集又は私募に利用され、前記募集又は私募における第1のサービスを提供する第1の提供者および第2のサービスを提供する第2の提供者のいずれか又はその両方によって管理されるコンピュータに、
前記出資対象への出資を希望する出資希望者に対して、前記第1の提供者又は前記第2の提供者と、前記出資対象に係る1以上の主体との1以上の契約を少なくとも含む投資スキームを提示する投資スキーム提示ステップと、
前記投資スキームが提示されるにあたり、前記出資希望者が出資申込を行う際の所定タイミングに、前記出資希望者に対し前記投資スキームを提示する制御を実行する提示時期制御ステップと、
を含む制御処理を実行させる情報処理プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本サービス]
本発明の実施形態を説明する前に、本発明が適用されるサービス(以下「本サービス」と呼ぶ)の概要について説明する。
【0012】
まず、本サービスの前提として、本サービスを提供する者(以下「サービス提供者」と呼ぶ)Mは、所定の出資対象に対して、出資を希望する者(以下「出資希望者」と呼ぶ)を募り、多数の出資希望者のうち、実際に出資を行う者(以下「出資者」と呼ぶ)Iを決定する。
このような前提の元、後述するサービス提供者サーバは、決定された出資者に対して、本サービスに係る有価証券の募集又は私募が、期初、期中、期末からなる投資スキーム(後述する
図1乃至
図3を参照)である旨を提示する。
これにより、出資希望者は、自身がこれから出資申込を行おうとする出資対象が、出資対象に係る資金の流れや権利・契約関係の概要を認識したうえで出資申込を行うことができる。
【0013】
次に、
図1乃至
図3を参照して、本サービスの概要について説明する。なお、
図1乃至
図3において、各種資金の流れは実線F、各種権利の移転は破線P、各種契約関係は点線S、各種行為は一点鎖線Aで示されている。
【0014】
[期初]
図1は、本サービスを構成する期初の投資スキームを示す図である。
【0015】
期初では、本サービスが提供される際の前提となる各種契約が締結される。以下、各種契約の具体的内容について説明する。
ここで、本実施形態におけるサービス提供者の役割は、有価証券の募集に関するサービス(以下、「クラウドファンディングサービス」と呼ぶ)と、ファンドの営業に関するサービス(以下「アセットマネジメントサービス」と呼ぶ)との2つに大別される。
【0016】
後述する出資者と間で匿名組合契約を締結する主体は、このアセットマネジメントサービスの提供者である。また、有価証券の募集又は私募を行う主体は、クラウドファンディングサービスの提供者である。(募集とは500名以上の出資者から資金を集める行為であり、出資者が500名未満の場合は私募と呼ばれる。)なお、アセットマネジメントサービスの提供者は、ファンドの営業者と呼ばれることもある。他方、クラウドファンディングサービス提供者は、有価証券の自己による募集又は私募、あるいは募集又は私募の「取り扱い」を行うことができる。
これらを前提として、例えば、アセットマネジメントサービスの提供者とクラウドファンディングサービスの提供者が同一の場合には、有価証券の自己募集又は自己私募となる。他方、アセットマネジメントサービスの提供者とクラウドファンディングサービスの提供者が同一でない場合、クラウドファンディングサービスの提供者により有価証券の募集又は私募の取り扱いが行われることになる。
以下の説明においては、便宜上、上述の有価証券の自己募集を行う場合を例として、説明するものとする。なお、当然ながら、本サービスは、有価証券の自己募集を行う場合のみに適用可能であるわけではなく、例えば、クラウドファンディングサービスの提供者が、有価証券の募集又は私募を取り扱う事例においても適用が可能であり、限定されるものではない。
【0017】
(匿名組合契約)
サービス提供者Mは、期前において決定した出資者Iとの間で匿名組合契約S1を締結する。
匿名組合契約とは、当事者の一方が匿名組合員として、相手方である営業者の営業のために出資を行い、その営業より生じる利益の分配を受けることを約束することをいう。つまり、匿名組合契約とは、営業者が匿名組合員から集めた財産を運用して利益をあげ、これを匿名組合員に分配することを約束することをいう。
サービス提供者Mと出資者Iとの間で匿名組合契約S1が締結されると、匿名組合契約上の営業者としてのサービス提供者Mは、匿名組合契約上の匿名組合員としての出資者Iが出資した出資金F1を、自らの営業のために利用し、その営業により生じた利益を分配金として出資者Iに分配することになる。
具体的には、
図1に示すように、出資者Iからサービス提供者Mに対し出資金F1が出資されるとともに、サービス提供者Mから出資者Iに対し出資の持ち分に応じた権利(以下「出資持分」と呼ぶ)P1が付与される。
【0018】
(金銭消費貸借契約)
サービス提供者Mは、特別目的会社(Special Purpose Company/SPC)Bとの間で金銭消費貸借契約S2を締結する。
特別目的会社とは、企業が資産の証券化等を目的として設立する会社のことをいう。特別目的会社Bはサービス提供者Mの子会社であってもよい。特別目的会社Bはサービス提供者Mの子会社である場合、貸金業登録を要さずサービス提供者Mから子会社である特別目的会社Bに貸付金として資金F2を提供することができる。その結果、証券化に必要となるコストを抑えることができるので、少額でも不特定多数から出資金の募集を行うことができる。
金銭消費貸借契約とは、借主が、貸主から金銭を借入れてその金銭を消費し、借入れた金銭の額と同額の金銭(利息付の場合は利息分も含めて)を貸主に返済することを約束することをいう。例えばローンは金銭消費貸借契約の一例である。
具体的に例えば、サービス提供者Mと特別目的会社Bとの間で金銭消費貸借契約S2が締結されると、金銭消費貸借契約上の借主としての特別目的会社Bが、金銭消費貸借契約上の貸主としてのサービス提供者Mから資金F2を借り入れる。その後、特別目的会社Bは、借入れた資金F2を消費し、借り入れた資金F2(元本)に利息を加えた額をサービス提供者Mに返済する。
【0019】
(不動産売買契約)
サービス提供者Mから資金F2を借入れた特別目的会社Bは、この資金F2を元手に、不動産Rを所有する者(以下「不動産所有者」と呼ぶ)Dから不動産Rを購入する。即ち、特別目的会社Bは、不動産所有者Dとの間で不動産売買契約S3を締結する。
不動産売買契約とは、不動産を売買の対象とする売買契約のことをいい、売主が不動産の所有権を買主に移転することを約束し、買主がその代金を支払うことを約束することをいう。
特別目的会社Bと不動産所有者Dとの間で、不動産Rを売買の対象とする不動産売買契約S3が締結されると、不動産売買契約上の買主としての特別目的会社Bから、不動産売買契約上の売主としての不動産所有者Dに対価が支払われ、不動産Rの所有権P2が特別目的会社Bに移転する。
具体的には、
図1に示すように、不動産所有者Dから特別目的会社Bに不動産Rの所有権P2が移転するとともに、特別目的会社Bから不動産所有者Dに不動産Rの取得に係る対価F3が支払われる。なお、不動産売買契約S3は、期初の時点で履行される。
なお、不動産売買契約は、必ずしも売買契約である必要はなく、例えば、不動産賃貸契約を締結してもよい。その場合、例えば、後述する期末(
図3を参照)において、賃借権等の形で第三者に売却する等を行ってもよい。
【0020】
(工事請負契約)
不動産所有者Dから不動産Rを購入した特別目的会社Bは、不動産Rの商品価値を高めるために、不動産リノベーション工事を請負う業者(以下「施工業者」と呼ぶ)Eにリノベーション工事A1を依頼する。即ち、特別目的会社Bは、施工業者Eとの間で工事請負契約S4を締結する。
工事請負契約とは、当事者の一方が、ある工事(例えばリノベーション工事)を完了することを約束し、相手方が、その工事の結果に対しその報酬を支払うことを約束することをいう。
特別目的会社Bと施工業者Eとの間で不動産Rのリノベーション工事A1についての工事請負契約S4が締結されると、工事請負契約S4における当事者の一方としての施工業者Eは、不動産Rのリノベーション工事A1を行い、工事請負契約上の相手方となる特別目的会社Bは、リノベーション工事A1の結果に対し報酬を支払う。
具体的には、
図1に示すように、施工業者Eによる不動産Rのリノベーション工事A1が行われ、特別目的会社Bから施工業者Eにリノベーション工事A1についての工事対価F4が支払われる。なお、工事請負契約S4は、期初の時点で履行が完了する。
なお、工事請負契約の事例としては、必ずしも不動産リノベーション工事である必要はなく、例えば、不動産等の新規開発に関する工事等でもよい。
【0021】
(不動産運営管理委託契約)
特別目的会社Bは、リノベーション工事によって商品価値が高まった不動産Rの運営収益を得るために、不動産の運営管理A2の委託を受ける会社(以下「運営管理会社」)Gに不動産Rの運営管理A2を委託する。即ち、特別目的会社Bは、運営管理会社Gとの間で不動産運営管理委託契約S5を締結する。
不動産運営管理委託契約とは、委託者が所有する不動産の運営管理A2を受託者に委託するものである。具体的には、受託者が運営管理A2の状況を委託者に運営報告A3として報告し、受託者の運用管理により得られた収益の一部を受託者の収益とするとともに残りを委託者の収益とすることを約束する。
特別目的会社Bと運営管理会社Gとの間で不動産運営管理委託契約S5が締結されると、受託者である運営管理会社Gは、委託者である特別目的会社Bの委託内容に基づいて不動産Rの運営管理A2を開始することになる。
【0022】
[期中]
図2は、本サービスを構成する期中の投資スキームを示す図である。
【0023】
期中では、期初で締結された匿名組合契約S1、金銭消費貸借契約S2、及び不動産運営管理委託契約S5について履行される。以下、契約の履行が行われる順番に従って説明をする。
【0024】
(不動産運営管理委託契約)
不動産Rの運営管理A2を委託された運営管理会社Gは、特別目的会社Bとの間で締結された不動産運営管理委託契約S5に基づいて、不動産Rの運営管理A2を行う。
具体的には例えば、運営管理会社Gは、不動産Rを賃貸借物件とする賃貸人として、賃借人に対し不動産Rを賃貸する。これにより、運営管理会社Gは運営収益F5としての賃貸収入を得ることができる。運営管理会社Gは、特別目的会社Bに対し不動産Rの運営管理A2の状況(例えば賃貸状況)を運営報告A3として報告する。また、運営管理会社Gは、運営収益F5の一部を運営管理会社Gの収益とするとともに、残りを特別目的会社Bの収益とすることができる。
【0025】
(金銭消費貸借契約)
上述したように、運営管理会社Gの運営管理A2により得られた運営収益F5のうち、一部は運営管理会社Gの収益になり、残りが特別目的会社Bの収益になる。特別目的会社Bは、この収益の一部をサービス提供者Mに返済する元利金(元本に利息を加えた金額)F6に充当する。
【0026】
(匿名組合契約)
特別目的会社Bは、運営収益F5から運営管理会社Gの収益を差引いた残りを、元利金F6、利益配当等F7、及び報酬等F8としてサービス提供者Mに提供する。サービス提供者Mは、特別目的会社Bから提供されてきた元利金F6、利益配当等F7、及び報酬等F8の一部を、出資持分に基づく分配金F9として出資者Iに分配する。
【0027】
[期末]
図3は、本サービスを構成する期末の投資スキームを示す図である。
【0028】
期末では、期初で締結された匿名組合契約S1及び金銭消費貸借契約S2が期中に引き続いて履行される。また、期初で締結された不動産運営管理委託契約S5が契約期間満了又は解除によって終了するとともに、不動産運営管理委託契約S5の対象となっていた不動産Rが売却される。即ち、特別目的会社Bと不動産購入者Hとの間で不動産売買契約S6が締結される。
なお、上述の通り、不動産売買契約が締結されるのは、あくまで例示であり、特に限定されるものではない。具体的に例えば、賃借権等の譲渡や、リファイナンス等が行われる場合も十分に想定される。
【0029】
(不動産運営管理委託契約)
期初で締結された不動産運営管理委託契約S5が契約期間満了又は解除によって終了する。これにより、不動産運営管理委託契約S5に基づく運営管理会社Gの運用管理義務は消滅する。
【0030】
(不動産売買契約)
特別目的会社Bは、期初及び期中で不動産運営管理委託契約S5の対象となっていた不動産Rを不動産購入者Hに売却する。即ち、特別目的会社Bと不動産購入者Hとの間で、不動産Rについて、特別目的会社Bを売主とし、不動産購入者Hを買主とする不動産売買契約S6が締結される。なお、不動産購入者Hは特に限定されず、不動産Rを当初所有していた不動産所有者Dであってもよいし、不動産所有者D以外の者であってもよい。
具体的には、
図3に示すように、特別目的会社Bから不動産購入者Hに不動産Rの所有権P2が移転するとともに、不動産購入者Hから特別目的会社Bに不動産Rの取得に係る対価F10が支払われる。
【0031】
(金銭消費貸借契約)
不動産売買契約S6に基づいて不動産購入者Hから特別目的会社Bに対して不動産売却についての対価F10が支払われると、特別目的会社Bは、不動産売却についての対価F10の一部をサービス提供者Mに返済する元利金F6に充当する。
【0032】
(匿名組合契約)
特別目的会社Bは、元利金F6、利益配当等F7、報酬等F8、及び不動産売買の代理又は媒介の手数料F11をサービス提供者Mに送金する。サービス提供者Mは、特別目的会社Bから送金されてきた元利金F6、利益配当等F7、報酬等F8、及び不動産売買の代理又は媒介の手数料F11のうち一部を、出資持分に基づく分配金F9として出資者Iに分配する。また、サービス提供者Mは、元利金F6、利益配当等F7、報酬等F8、及び不動産売買の代理又は媒介の手数料F11の中から、期初で出資者Iにより出資された出資金F1を出資者Iに戻す。これにより、出資者Iは、期初に出資した出資金F1の返還を受けることができるとともに、期中から期末にわたって、出資持分に基づく分配金F9の分配を受けることができたことになる。
このように、特別目的会社Bは、貸付金である資金F2の元利金の返済だけではなく、元利金F6、利益配当等F7、報酬等F8、及び不動産売買の代理又は媒介の手数料F11をサービス提供者Mに提供する。これにより、不動産特定共同事業法、貸金業法、金融商品取引法の電子申込型電子募集取扱業務に該当することなく、不動産Rの運用管理や処分から得られる収益を出資者Iに還元することができる。つまり、金融商品取引法によると、ファンドの持分は有価証券とみなされて規制の対象となるが、有価証券としては、エクイティ(株主資本)出資に近いリスクとリターンのバランスを実現させることができる。
【0033】
[システム構成(第1実施形態)]
図4は、本サービスを実現可能とするサービス提供者サーバ1を含む情報処理システムの構成を示す図である。
【0034】
上述の本サービスの実現を可能とすべく、本発明の一実施形態に係るサービス提供者サーバ1を含む情報処理システムは、
図4に示すように、サービス提供者M(
図1)により管理されるサービス提供者サーバ1と、n人の(nは、1以上の任意の整数値)出資希望者(図示せず)又は出資者I(
図1)の夫々により使用されるユーザ端末2−1乃至2−nとを含むように構成される。
サービス提供者サーバ1と、ユーザ端末2−1乃至2−nの夫々とはインターネット等の所定のネットワークNを介して相互に接続されている。
【0035】
[ハードウェア構成]
図5は、
図4の情報処理システムのうちサービス提供者サーバ1のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0036】
サービス提供者サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20とを備えている。
【0037】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0038】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0039】
出力部16は各種液晶ディスプレイ等で構成され、各種情報を出力する。
入力部17は、各種ハードウェア等で構成され、各種情報を入力する。
記憶部18は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置等(
図4の例ではサービス提供者サーバ1自身や他のユーザ端末2等)との間で行う通信を制御する。
【0040】
ドライブ20は、必要に応じて設けられる。ドライブ20には磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなり、リムーバブルメディア30が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア30から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア30は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0041】
なお、ユーザ端末2の構成は、タッチパネルを有してもよい点を除き、サービス提供者サーバ1の構成と基本的に同様であるので、ここではそれらの説明は省略する。また、後述する
図6には、サービス提供者サーバ1のCPU11に対応するCPU21と、サービス提供者サーバ1の通信部19に対応する通信部24と、タッチパネルを構成するタッチ操作入力部22及び表示部23が示されている。
ここで、タッチ操作入力部22は、例えば表示部23に積層される静電容量式又は抵抗膜式(感圧式)の位置入力センサにより構成され、タッチ操作がなされた位置の座標を検出する。
表示部23は、液晶等のディスプレイにより構成され、各種画像を表示する。
このように、本実施形態では、タッチ操作入力部22と表示部23とにより、タッチパネルが構成されている。
なお、本明細書で「表示媒体」と呼ぶ場合、単に表示部23を意味せず、タッチ操作入力部22と表示部23とで構成される「タッチパネル」を意味する。
【0042】
このような
図6のサービス提供者サーバ1及び
図4のユーザ端末2の各種ハードウェアと各種ソフトウェアとの協働により、サービス提供者サーバ1において、各種処理の実行が可能になる。
即ち、サービス提供者サーバ1は、出資申込受付処理等の各種処理を実行するにあたり、
図6に示すような機能的構成を有する。
【0043】
[機能的構成(第1実施形態、第2実施形態)]
図6は、
図5のサービス提供者サーバ1及び
図4のユーザ端末2の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図7乃至
図13は、出資申込受付処理においてユーザ端末2の表示部23に表示される画面の具体例を示す図である。具体的には、
図7は出資申込画面、
図8は投資スキーム紹介画面、
図9は契約締結前交付書面確認同意画面、
図10は匿名組合契約書確認同意画面、
図11は出資申込口数入力画面、
図12は申込確認画面、
図13は申込完了画面の具体例を示している。
以下、適宜
図7乃至
図13の画面の例を参照しながら
図6の機能ブロック図を説明する。
【0044】
図6に示すように、サービス提供者サーバ1のCPU11においては、申込画面表示制御部101と、スキーム画面表示制御部102と、締結前画面表示制御部103と、契約画面表示制御部104と、口数入力画面表示制御部105と、申込確認画面表示制御部106と、申込完了画面表示制御部107とが機能する。
さらに、サービス提供者サーバ1の記憶部18の一領域には、画像DB401が設けられている。
【0045】
申込画面表示制御部101は、ユーザ端末2の表示部23に、出資申込画面を表示させる制御を実行する。出資申込画面は、クラウドファンディングを利用して有価証券の募集又は私募を図るプロジェクトの概要を示す画面である。出資希望者は、出資申込画面を閲覧することにより、プロジェクトの概要を確認しながらプロジェクトに出資申込を行うか否かを決定する。なお、出資申込画面は画像DB401に記憶されて管理されている。
例えば
図7に示す出資申込画面の表示領域K1乃至K6の夫々には、プロジェクトの愛称、不動産Rの写真、プロジェクトの概要、インベストメント・ハイライト(運用理念)、プロジェクトの詳細情報、及び出資申込を行うためのボタンJの夫々が表示されている。
【0046】
具体的には、
図7に示すように、出資申込画面の表示領域K1のプロジェクトの愛称には、例えば「○○町古民家再生プロジェクト」といった表示をさせることができる。
また、表示領域K3のプロジェクトの概要には、例えば「本プロジェクトは、株式会社○○が施設運営を担う不動産の取得・リノベーションを行うための有価証券の募集又は私募を目的としています。本プロジェクトの対象物件は、宿泊施設の稼働率が全国平均と比べても相対的に高い京都府、中でも新選組に縁の深い○○地区に立地しており、観光名所である二条城やJR京都駅からのアクセスも良いエリアとなっています。また、京町家3号ファンド及び京町家4号ファンドの対象物件は連棟の不動産となっており、多人数の宿泊ニーズにも対応可能となる予定です。本プロジェクト終了時には、外部の投資家への売却を含めたリファイナンスを実施し、その資金を原資として出資金の返還及び分配金の支払いが行われる予定です。なお、プロジェクト終了以降も対象物件は株式会社○○により宿泊施設として継続運営されることを想定しております。」といった表示をさせることができる。
【0047】
また、表示領域K4のインベストメント・ハイライトには、例えば「京都の町家において、経験・実績・成長性を有する施設運営者本プロジェクトにおいて宿泊施設の運営を担う株式会社○○は、京町家を宿泊施設として運営することに特化した会社で、本プロジェクト開始直前(20XX年11月末)で、運営委託されている物件が21棟あり、その平均稼働率は84%、平均宿泊単価約3.7万円/日となっています。株式会社○○は、これまで過去2件の京町家プロジェクトを本サービスで行っております。20XX年11月には追加の有価証券の募集又は私募を実施し、今後の環境変化への対応や事業運営の安定化に向けた体制面の強化を進めており、本プロジェクトについても事業拡大の一環として行われます。」「1.京都における安定した観光客の宿泊需要 20XX年において日本における観光客数は2,000万人を突破し、中でも外国人による訪問地として相対的に人気の高い京都府では、特に県庁所在地のある京都市において、客室数の伸びは2%弱にとどまっている一方で、外国人宿泊客数は300万人を超える水準に達しており(20XX年)、年率でみると約44%(20XX−20XX年)の増加を示しています。」「2.運用収益と売却益による最大限の投資家利益の追求 本プロジェクトでは、京町家を宿泊施設として運営・売却することを想定しており、期中の運用収益を改善することで、物件売却時の売却益を最大化し、これらの収益を投資家に還元することで、○○債や○○銘柄と比べて、相対的に高い利回りを達成できるよう努めます。なお、最終的に目標を上回る収益を達成した場合、投資家への分配が想定を上回る場合があります。」といった表示をさせることができる。
【0048】
また、表示領域K5のプロジェクトの詳細情報には、例えば「残り募集日数262日」「募集総額61,000,000円」「申込総額60,200,000円」「プロジェクト正式名称 京町家4号ファンド」「募集ステータス 募集中」「投資対象 宿泊施設」「想定運用期間 36ヶ月」「分配 期中分配あり」「想定利回り(IRR) 6.5%(税引前)※弊社手数料控除後」「想定投資倍率(MOIC) 1.21x(税引前)※弊社手数料控除後」「一口あたり出資金額50,000円」「最低出資口数 3口」「出資者特典 20万円(4口)以上出資された方に、当宿泊施設の5,000円割引券を贈呈」「弊社運用手数料 年率2.0%(元本に対して)」「弊社成果報酬 想定利回り(IRR)6.5%を超過する収益の20%分」「投資案件の運用状況により、運用期間/利回り/投資倍率等は変動する可能性があります。」といった表示をさせることができる。
【0049】
スキーム画面表示制御部102は、ユーザ端末2の表示部23に、投資スキーム紹介画面を表示させる制御を実行する。投資スキーム紹介画面は、これまでにない新しい投資スキームのクラウドファンディングであることを示す画面である。出資希望者は、投資スキーム紹介画面を閲覧することにより、これまでにない新しい投資スキームのクラウドファンディングであることを認識したうえで、プロジェクトに出資申込を行うか否かを決定することになる。なお、投資スキーム紹介画面は画像DB401に記憶されて管理されている。
例えば
図8に示す投資スキーム紹介画面の表示領域K11乃至K14の夫々には、プロジェクトの愛称、ファンドのスキーム図、スケジュール、プロジェクトの詳細情報の夫々が表示されている。
具体的には、
図8に示すように、投資スキーム紹介画面の表示領域K11のプロジェクトの愛称には、
図7の表示領域K1と同様に、例えば「○○町古民家再生プロジェクト」といった表示をさせることができる。
また、表示領域K12には、
図1乃至
図3の夫々に示されたファンドのスキーム図の夫々が表示される。
また、表示領域K13のスケジュールには、募集期間や運用期間に関する情報を表示させることができる。
【0050】
締結前画面表示制御部103は、
図7に示す出資申込を行うためのボタンJが押下されたことをトリガとして、ユーザ端末2の表示部23に、
図9に示す契約締結前交付書面確認同意画面を表示させる制御を実行する。契約締結前交付書面確認同意画面は、契約締結前交付書面に記載された内容を出資希望者が確認し同意できるようにするための画面である。なお、契約締結前交付書面確認同意画面は画像DB401に記憶されて管理されている。
例えば
図9に示す契約締結前交付書面確認同意画面には、書面の名称、営業者(サービス提供者)の名称等の情報、匿名組合契約を締結するにあたり負担しなければならないリスク等が記載された文書(以下「同意文書」と呼ぶ)、同意ボタン、及び送信ボタンが表示されている。ここで、同意文書は、表示領域K21に表示されており、画面をスクロールさせることで同意文書の全体を表示させることができる。図示はしないが、表示領域K21に表示された同意文書には、
図8に示す投資スキーム紹介画面の内容が表示される。投資スキーム紹介画面とは、これまでにない新しい投資スキームのクラウドファンディングであることを示す画面のことをいう。出資希望者は、投資スキームの内容を含む同意文書を確認して、同意ボタンにチェックを入れたうえで送信ボタンを押下する。これにより、出資希望者による同意文書についての同意がなされる前に、出資希望者に対して投資スキームを少なくとも一度は確認させることが可能となる。
【0051】
契約画面表示制御部104は、契約締結前交付書面確認同意画面の同意ボタンが押下された後に送信ボタンが押下されたことをトリガとして、ユーザ端末2の表示部23に、匿名組合契約書確認同意画面を表示させる制御を実行する。匿名組合契約書確認同意画面は、匿名組合契約書に記載された内容を出資希望者が確認し同意できるようにするための画面である。なお、匿名組合契約書確認同意画面は画像DB401に記憶されて管理されている。
例えば
図10に示す匿名組合契約書確認同意画面には、書面の名称、営業者(サービス提供者)の名称、匿名組合契約書の内容が記載された文書、同意ボタン、及び送信ボタンが表示されている。なお、
図10に示された匿名組合契約書確認同意画面は、画面をスクロールさせることにより、匿名組合契約書の全体を表示させることができる。
【0052】
口数入力画面表示制御部105は、匿名組合契約書確認同意画面の同意ボタンが押下された後に送信ボタンが押下されたことをトリガとして、ユーザ端末2の表示部23に、出資申込口数入力画面を表示させる制御を実行する。出資申込口数入力画面は、出資希望者が出資申込を行う口数を入力できるようにするための画面である。なお、出資申込口数入力画面は画像DB401に記憶されて管理されている。
例えば
図11に示す出資申込口数入力画面には、プロジェクトの愛称、出資についての詳細情報、口数入力欄、確認画面に進むためのボタンが表示されている。
具体的には、プロジェクトの愛称には、例えば「○○町古民家再生プロジェクト」といった表示をさせることができる。
また例えば、出資についての詳細情報のうち、出資可能口数には「16口」、プロジェクトIDには「JP−0005」、プロジェクト正式名称には「京町家4号ファンド」、といった表示をさせることができる。また、一口当たりの募集価格には「50,000円」、最低出資口数には「3口」といった表示をさせることができる。また、口数入力欄に「4」を入力することにより、申込金額には「200,000円」、想定利回り(IRR)には「6.5%(税引前)」、想定投資倍率(MOIC)には「1.21x(税引前)」といった表示をさせることができる。
【0053】
申込確認画面表示制御部106は、出資申込口数入力画面の申込口数欄に整数値が入力された後に、確認画面に進むためのボタンが押下されたことをトリガとして、ユーザ端末2の表示部23に、申込確認画面を表示させる制御を実行する。申込確認画面は、出資希望者が出資申込の前に出資申込の内容を最終確認するための画面である。なお、申込確認画面は画像DB401に記憶されて管理されている。
例えば
図12に示す申込確認画面には、出資申込の内容、出資申込をキャンセルするためのボタン、及び出資申込を決定するためのボタンが表示されている。
具体的には、出資申込の内容のうち、プロジェクトIDには「JP−0005」、プロジェクト愛称には「○○町古民家再生プロジェクト」、プロジェクト正式名称には「京町家4号ファンド」、一口当たりの募集価格には「50,000円」、申込口数には「4口」、申込金額には「200,000円」、想定利回り(IRR)には「6.5%(税引前)」、想定投資倍率(MOIC)には「1.21x(税引前)」といった表示をさせることができる。
【0054】
申込完了画面表示制御部107は、申込確認画面の出資申込を決定するためのボタンが押下されたことをトリガとして、ユーザ端末2の表示部23に、申込完了画面を表示させる制御を実行する。申込完了画面は、出資申込が正常に行われた旨を出資希望者に伝えるための画面である。なお、申込完了画面は画像DB401に記憶されて管理されている。
例えば
図13に示す申込完了画面には、出資申込が完了した旨のメッセージ、今後のプロセスについての案内が表示されている。
具体的には、出資申込が完了した旨のメッセージは、例えば「出資の申込みが完了しました。下記の「今後のプロセスについてのご案内」をよくお読みいただき、プロジェクト成立後に配信されるメールをお待ち頂きますよう、宜しくお願い致します。なお、出資申込を受付けた旨をメールで今しがたお送り致しましたが、下記の内容はそのメール中にも記載してありますので、そちらも併せてご確認ください。」といった表示をさせることができる。
また、今後のプロセスについての案内は、例えば「(1)まずはプロジェクトが成立するまでお待ちください。プロジェクトは、成立に必要となる最低金額が設定されます。なお、プロジェクトが成立しなかった場合は出資申込が自動的にキャンセルされます。」「(2)プロジェクト成立後、振込のご案内をメールでお送りします。プロジェクトが成立した後、「振込先口座」「振込金額」「振込期限」のご案内をメールにてお送り致しますので、そちらのメールをご確認ください。ご案内のメールは、プロジェクト成立後に送られる場合もありますが、応募締切後に送られる場合もあります。プロジェクトごとに異なりますので、その点をご承知おき下さい。なお、銀行の1日の振込上限金額より大きい金額の出資を申込まれた方は、事前に振込上限金額の変更を銀行窓口でご実施いただくと振込みがスムーズになりますので、ご検討ください。」「(3)振込完了後、プロジェクトを運用開始します。振込が完了した後、プロジェクト詳細ページに記載の投資スケジュールに従い運用を開始します。」といった表示をさせることができる。
【0055】
[処理フロー(第1実施形態)]
次に、
図14を参照して、
図6のサービス提供者サーバ1が実行する出資申込受付処理について説明する。
即ち、
図14は、
図6のサービス提供者サーバ1で実行される出資申込受付処理を示すフローチャートである。
【0056】
ステップS11において、申込画面表示制御部101は、ユーザ端末2の表示部23に、出資申込画面を表示させる制御を実行する。
【0057】
ステップS12において、スキーム画面表示制御部102は、ユーザ端末2の表示部23に、投資スキーム紹介画面を表示させる制御を実行する。
即ち、スキーム画面表示制御部102は、例えば、
図8に記載の投資スキームを示した画面を表示部23に表示する制御を実行する。
【0058】
ステップS13において、申込画面表示制御部101は、ステップS12で表示された出資申込画面で、出資申込を行うためのボタンJが押下されたか否かを判定する。
ボタンJが押下されていない場合、ステップS13においてNOであると判定されて、処理はステップS11に戻される。
これに対して、ボタンJが押下されている場合、ステップS13においてYESであると判定されて、処理はステップS14に進む。
【0059】
ステップS14において、締結前画面表示制御部103は、ユーザ端末2の表示部23に、契約締結前交付書面確認同意画面を表示させる制御を実行する。
【0060】
ステップS15において、契約画面表示制御部104は、契約締結前交付書面確認同意画面の同意ボタンが押下された後に送信ボタンが押下されたことをトリガとして、ユーザ端末2の表示部23に、匿名組合契約書確認同意画面を表示させる制御を実行する。
【0061】
ステップS16において、口数入力画面表示制御部105は、匿名組合契約書確認同意画面の同意ボタンが押下された後に送信ボタンが押下されたことをトリガとして、ユーザ端末2の表示部23に、出資申込口数入力画面を表示させる制御を実行する。
【0062】
ステップS17において、申込確認画面表示制御部106は、出資申込口数入力画面の申込口数欄に整数値が入力された後に、確認画面に進むためのボタンが押下されたことをトリガとして、ユーザ端末2の表示部23に、申込確認画面を表示させる制御を実行する。
【0063】
ステップS18において、申込完了画面表示制御部107は、申込確認画面の出資申込を決定するためのボタンが押下されたことをトリガとして、ユーザ端末2の表示部23に、申込完了画面を表示させる制御を実行する。これにより出資申込受付処理は終了する。
【0064】
[システム構成(第2実施形態)]
図15は、本サービスを実現可能とするサービス提供者サーバ1を含む情報処理システムの他の構成を示す図である。
【0065】
本発明の一実施形態に係るサービス提供者サーバ1を含む情報処理システムは、
図15に示すように、サービス提供者M(
図1)により管理されるサービス提供者サーバ1と、n人の(nは、1以上の任意の整数値)出資希望者(図示せず)又は出資者I(
図1)の夫々により使用されるユーザ端末2−1乃至2−nと、特別目的会社B(
図1)により使用されるSPC端末3と、不動産所有者Dにより使用される不動産所有者端末4と、施工業者Eにより使用される施工業者端末5(
図1)と、運営管理会社Gにより使用される運営管理会社端末6(
図1)と、不動産購入者により使用される不動産購入者端末7と(
図3)と、を含むように構成される。
サービス提供者サーバ1と、ユーザ端末2−1乃至2−nの夫々と、SPC端末3と、不動産所有者端末4と、施工業者端末5(
図1)と、運営管理会社端末6(
図1)と、不動産購入者により使用される不動産購入者端末7と(
図1)はインターネット等の所定のネットワークNを介して相互に接続されている。
このようなシステム構成とすることにより、本サービスを提供する際に前提となる各種契約の締結をシステム上で容易に行うことが可能となる。
【0066】
[セカンダリ取引支援サービス(第3実施形態)]
図16は、サービス提供者のパターン毎のプライマリ取引の概要を示す図である。
【0067】
上述したように、サービス提供者の役割は、クラウドファンディングサービスと、アセットマネジメントサービスとの2つに大別される。
サービス提供者は、アセットマネジメントサービスを提供する場合には出資者と間で匿名組合契約を締結する主体になり、クラウドファンディングサービスを提供する場合には有価証券の募集又は私募を行う主体になる。
なお、第1実施形態及び第2実施形態では、アセットマネジメントサービスの提供者(以下、「AMサービス提供者」と呼ぶ)とクラウドファンディングサービスの提供者(以下、「CFサービス提供者」と呼ぶ)が同一である場合が想定されていた。
このため、第1実施形態及び第2実施形態では、
図16(A)に示すように、サービス提供者Mには、CFサービスの提供者M1(以下、「CFサービス提供者M1」と呼ぶ)と、AMサービスの提供者M2(以下、「AMサービス提供者M2」と呼ぶ)とが含まれていた。
【0068】
ただし、上述したように、CFサービス提供者M1とAMサービス提供者M2が同一である必要はない。この場合、
図16(B)に示すように、CFサービス提供者M1が、有価証券の募集又は私募の取り扱いを行うことになる。
【0069】
なお、
図16(A)及び(B)に示す取引の形態は、いずれも「プライマリ取引」に該当する。
「プライマリ取引」とは、新たに発行された有価証券を直接的に出資者Iが取得する取引形態のことをいう。
プライマリ取引では、AMサービス提供者M2が1件あたり1000乃至10000口程度の出資持分P1を発行することが想定できる。このため、仮に1口の単価を5万円とした場合には、募集総額は5千万円乃至5億円になる。なお、出資持分P1を取得する出資者Iの人数は100乃至1000人程度であり、1人あたりの平均の口数は10口程度になることが想定できる。
また、プライマリ取引は、出資持分P1を取り崩して換金することができないクローズドエンド型となるため、流動性に乏しい取引となる。
【0070】
本サービスでは、上述のプライマリ取引を支援するサービスのみならず、「セカンダリ取引」を支援するサービス(以下、「セカンダリ取引支援サービス」)も提供される。
「セカンダリ取引」とは、プライマリ取引とは異なる取引形態であり、既に出資者Iにより取得された出資持分P1を、出資者I間で売買する取引形態のことをいう。
セカンダリ取引の場合、出資者I間で出資持分P1を売買することができるので、出資者Iの分散化が進むとともに、出資持分P1の流動性を高めることができる。
【0071】
ここで、出資者Iの分散化が進むことで、出資者Iの管理に要するコストが上昇してしまうという考え方がある。
しかしながら、仮に出資者Iの分散化が進んだとしても、出資者Iの管理(例えば名簿の管理や書面交付等)については、後述するセカンダリ取引支援サービスで十分にフォローすることができる。
【0072】
以下、
図17乃至
図23を参照して、AMサービス提供者M2とCFサービス提供者M1が同一でない場合に提供可能なサービスの一例である「セカンダリ取引支援サービス」について説明する。
【0073】
図17は、セカンダリ取引支援サービスの概要を示す図である。
【0074】
上述したように、セカンダリ取引支援サービスによれば、出資者I毎に付与された出資持分P1を出資者I間で流通させることができる。
これにより、有価証券の募集又は私募の金融商品としての流動性が高まるので、出資者Iの利便性が向上し、各種各様な出資者Iに投資機会を提供することが可能となる。その結果、出資者Iの資産形成に寄与することができる。
【0075】
具体的には、セカンダリ取引支援サービスは次のような流れで提供される。
まず、出資持分P1の売り手となる出資者I1と、CFサービス提供者M1との間で、出資持分P1の売買契約S7−1が締結される。この売買契約S7−1に基づいて、CFサービス提供者M1から出資者I1に売却額F21の支払いがなされると、出資者I1により保有されていた出資持分P1がCFサービス提供者M1に移転する。
次に、出資持分P1の買い手が出資者I2に決まると、出資持分P1の買い手となる出資者I2と、CFサービス提供者M1との間で、出資持分P1の売買契約S7−2が締結される。この売買契約S7−2に基づいて、出資者I1からCFサービス提供者M1に購入額F22の支払いがなされると、CFサービス提供者M1により保有されていた出資持分P1が出資者I2に移転する。その後、適宜AMサービス提供者M2に対し出資者に関する情報のアップデートがなされる。
このように、セカンダリ取引支援サービスは、出資持分P1が出資者I1から出資者I2に移転する場合、出資者I1と出資者I2との直接的な取引は行われずに、CFサービス提供者M1を介した間接的な取引がなされる。
【0076】
セカンダリ取引支援サービスにおいて、CFサービス提供者M1は、1つのプロジェクト(銘柄)について、例えば100乃至1000名の出資者I間のセカンダリ取引のオペレーションを行う。
【0077】
ここで、CFサービス提供者M1がセカンダリ取引のオペレーションを行う数が膨れ上がってしまうのではないかという考え方がある。
しかしながら、セカンダリ取引支援サービスによれば、注文の提示や書面の交付が自動で行われる。このため、CFサービス提供者M1がセカンダリ取引のオペレーションを行う必要があるのは、約定を行う際の最終確認のタイミングに限定されるため問題はない。
【0078】
セカンダリ取引支援サービスにおいて、出資者Iは、プライマリ取引と同様に、セカンダリ取引においても各出資者Iの年収、金融資産、投資経験等に基づき算出された出資可能総額を上限とした出資を行う。
【0079】
ここで、セカンダリ取引が行われることで、出資持分P1の流動性が高まると、出資者Iによっては出資総額が大きくなってしまうのではないかという考え方がある。
しかしながら、出資総額は、プライマリ取引、セカンダリ取引の区別なく、最大でも出資可能総額以内に限定されるため問題はない。
【0080】
また、セカンダリ取引が行われることで、キャピタルロスが膨れ上がってしまうという考え方がある。
しかしながら、セカンダリ取引支援サービスでは、価格が自動的に決定されたり約定されたりしないための措置が講じられているため問題はない。
【0081】
図18は、セカンダリ取引支援サービスのプロセスで生じ得る各種リスクに対応する際の原則の内容を示す図である。
【0082】
図18に示すように、セカンダリ取引支援サービスは、大きく分けて3つのプロセスで構成されている。
【0083】
1つ目のプロセス(以下、「第1プロセス」と呼ぶ)では、サービス提供者サーバ1による「注文価格の提示」が行われる。
具体的には、出資持分P1の売り手となる出資者I1は、ユーザ端末2−1にインストールされた専用のアプリケーションソフトウェア(以下、「専用アプリ」と呼ぶ)を用いて、出資持分P1を売却するにあたり希望する額(以下、「希望売却価格」と呼ぶ)を入力する(ステップSS11)。すると、ユーザ端末2−1は、出資者I1により入力された希望売却価格をサービス提供者サーバ1に送信する。
また、出資持分P1の買い手になり得る出資者I2は、ユーザ端末2−2にインストールされた専用アプリを用いて、出資持分P1を購入するにあたり希望する額(以下、「希望購入価格」と呼ぶ)を入力する(ステップSS12)。すると、ユーザ端末2−2は、出資者I2により入力された希望購入価格をサービス提供者サーバ1に送信する。
【0084】
サービス提供者サーバ1は、ユーザ端末2−1及び2−2の夫々から送信されてきた希望売却価格及び希望購入価格の夫々を取得する。そして、サービス提供者サーバ1は、対象となる有価証券の概要と条件とを少なくとも含む有価証券に関する情報(以下、「有価証券情報」)を所定のWEBサイトに表示させる(ステップSS13)。
【0085】
2つ目のプロセス(以下、「第2プロセス」と呼ぶ)では、サービス提供者サーバ1による「条件の再提示」が行われる。
具体的には、サービス提供者サーバ1は、売り手となる出資者I1と、買い手となり得る出資者I2との夫々の希望に基づいて、必要に応じて内容(例えば条件、価格等)の少なくとも一部を修正した有価証券情報の再提示を行う(ステップSS14)。
【0086】
第1プロセスに戻り、サービス提供者サーバ1から有価証券情報の再提示を受けた出資者I1及び出資者I2夫々は、専用アプリを夫々用いて、上述のステップSS11及びステップSS12の夫々と同様に、希望売却価格の入力、及び希望購入価格の入力との夫々を行う。
サービス提供者サーバ1は、ユーザ端末2−1及び2−2の夫々から送信されてきた希望売却価格及び希望購入価格の夫々を取得する。そして、サービス提供者サーバ1は、上述のステップSS13と同様に、対象となる有価証券の有価証券情報を所定のWEBサイトに表示させる)。
【0087】
このように、第1プロセス及び第2プロセスでは、サービス提供者サーバ1が、売り手となる出資者I1と、買い手となり得る出資者I2との夫々の希望に基づいて生成された有価証券情報を、所定のWEBサイトに表示させる。
即ち、本サービスでは、サービス提供者サーバ1が、価格が自動的に決定されないようにすることで、出資者Iの意に反するキャピタルロスの発生を抑えることができる。
【0088】
第3プロセスでは、サービス提供者サーバ1による「約定の執行」が行われる。(ステップSS15)。
具体的には、サービス提供者サーバ1は、
図17に示す売買契約S7−1と売買契約S7−2とが同一の売買条件であることを確認する。
即ち、本サービスでは、CFサービス提供者M1による管理の及ぶ範囲で約定がなされるようにするため、CFサービス提供者M1が全ての取引の相手方になる。
【0089】
図19は、
図18の第1プロセスで売り手となる出資者のユーザ端末に表示されるGUIの具体例を示す図である。
【0090】
図18の第1プロセスにおいて、売り手となる出資者I1のユーザ端末2−1には、例えば
図19(A)に示すGUIが表示される。売り手となる出資者I1は、
図19(A)に示すGUIに希望売却価格等の売却条件を入力する。
具体的には例えば、
図19(A)に示すGUIには、売り手となる出資者I1が現在出資しているプロジェクトを示す情報として、「プロジェクトID」と、「プロジェクト正式名称」と、「出資クラス」と、「出資口数」と、「出資金額」との夫々を示す情報が表示される。そして、これらの情報とともに、「入力」と表記されたボタンJ11が表示される。
【0091】
ボタンJ11が押下されると、
図19(B)に示すGUIが表示される。即ち、売り手となる出資者I1のユーザ端末2−1には、例えば
図19(B)に示すような、売却条件を入力するためのGUIが表示される。
具体的には例えば、
図19(B)に示すGUIには、売却条件として、「プロジェクトID」と、「プロジェクト名称」と、「売却希望口数」と、「単価」と、「売却金額」と、「売却条件期限」との夫々を示す情報が表示される。
そして、これらの情報が入力されると、
図19(C)に示すように、売却希望情報ページがアップデートされて、新たなプロジェクト(銘柄)が追加される。
【0092】
図20は、
図18の第1プロセスで買い手となる出資者のユーザ端末に表示されるGUIの具体例を示す図である。
【0093】
図18の第1プロセスにおいて、買い手となる出資者I2のユーザ端末2−2には、例えば
図20(A)に示すGUIが表示される。
具体的には例えば、
図20(A)に示すGUIには、購入条件として、「プロジェクトID」と、「プロジェクト正式名称」と、「総口数」と、「一口単価」と、「ファンド総額」と、「運用終了予定日」との夫々を示す情報が表示される。そして、これらの情報とともに、「購入希望」の欄に、「希望する」と表記されたボタンJ12が表示される。
ここで、買い手となる出資者I2が、所望のプロジェクト(銘柄)のボタンJ12を押下すると、
図20(B)に示すように、購入希望情報ページが表示される。購入希望情報ページには、対象となるプロジェクト(銘柄)を示す各種の情報が表示される。具体的には、「プロジェクトID」と、「プロジェクト正式名称」と、「購入希望口数」と、「単価」と、「売買金額」と、「指値期限」とが表示される。ここで、セカンダリ取引支援サービスでは、預託金余力がチェックされて、問題なければ受付がなされて、購入希望情報ページに新たなプロジェクトが追加される。
【0094】
図21は、
図18の第2プロセスで、CFサービス提供者の端末に表示されるGUIの具体例を示す図である。
【0095】
上述の第2プロセスでは、
図21(A)及び(B)の夫々に示すGUIが、CFサービス提供者M1の端末(図示せず)に表示される。
具体的には、「プロジェクトID」と、「プロジェクト正式名称」と、「マッチング」と、「単価」と、「売却希望口数」と、「売却金額」と、「売却条件期限」との夫々を示す情報が表示される。
CFサービス提供者M1は、これらの情報を確認しながら、希望売却価格や希望購入価格を変えることで、約定できる可能性のある出資者Iにメッセージを送信することで再提示する。
換言すれば、CFサービス提供者M1は、売り手側及び買い手側の夫々の条件を見て、約定できる投資家の条件をクリックし約定させ、出資者Iにメッセージを送信することができる。
これにより、出資者Iは、自身の判断に基づいて価格を修正する。その結果、CFサービス提供者M1による約定に至る場合もある。
【0096】
図22は、
図18の第3プロセスで、CFサービス提供者の端末に表示されるGUIの具体例を示す図である。
【0097】
上述の第2プロセスでは、
図22(A)及び(B)の夫々に示すGUIが、CFサービス提供者M1の端末(図示せず)に表示される。
具体的には、「プロジェクトID」と、「プロジェクト正式名称」と、「マッチング」と、「単価」と、「売却希望口数」と、「売却金額」と、「売却条件期限」との夫々を示す情報が表示される。
CFサービス提供者M1は、これらの情報を確認しながら、売り手としての出資者I1、及び買い手としての出資者I2の夫々の条件を確認して、約定できる出資者Iの条件をクリックすることで約定させ、その旨を出資者Iにメッセージを送信してもよい。
ここで、CFサービス提供者M1は、売り手となる出資者I1間、及び買い手となる出資者I2間で夫々売買契約を締結するが、実際には出資者Iから予め売買契約約款に同意をもらい、上記の段階(CFサービス提供者M1による約定のタイミング)で契約締結となるようにしてもよい。
【0098】
図21に網掛けで示された箇所について、希望売却価格や希望購入価格を変えることで、約定できる可能性のある出資者Iにメッセージを送信することで再提示する。
これにより、出資者Iは、自身の判断で価格を修正する。その結果、CFサービス提供者M1による約定に至る場合もある。
【0099】
以上、
図17乃至
図22を参照して説明したセカンダリ取引支援サービスは、各種の法令に合致させることを可能とするサービスである。
具体的には例えば、金融商品取引法は、いわゆる私設取引システム(Proprietary Trading System/PTS)について規定する。このPTSに該当する場合には、取引を行うに際して、同法の規定による制約を受けることになり、その詳細については、例えば、「金融商品取引法二条8項10号」や、「内閣府定義令17条1号」に規定されている。
【0100】
ここで、金融商品取引法二条8項10号によれば、PTSに該当するためには、「顧客の間の交渉に基づく価格を用いる方法」に該当することが必要となる。
この点について、セカンダリ取引支援サービスは、あくまでもCFサービス提供者M1等が契約のための条件等を提示するものであり、顧客(例えば出資者I)間で価格交渉は行わせない。このため、セカンダリ取引支援サービスは同法の規定に該当しない。
さらに言えば、セカンダリ取引支援サービスは、上述したようにCFサービス提供者M1と売り手となる出資者I1との間の相対取引と、CFサービス提供者M1と買い手となる出資者I2との間の相対取引という2つの相対取引を約定させるものである。したがって、セカンダリ取引支援サービスは、同法に規定される「同時に多数の者を一方の当事者又は各当事者として次に掲げる売買価格の決定方法又はこれに類似する方法により行うもの」に該当しない。
【0101】
また例えば、同法の内閣府定義令17条1号の「顧客の提示した指値が、取引の相手方となる他の顧客の提示した指値と一致する場合に、当該顧客の提示した指値を用いる方法」に該当すれば、同法の規制を受けることになる。
この点について、セカンダリ取引支援サービスでは、出資者Iが希望条件等を入力するものの、単に希望条件が一致したからと言って、自動的に売買が成立する訳ではない。したがって、セカンダリ取引支援サービスは同法の規定に該当しない。
換言すると、セカンダリ取引支援サービスでは、顧客(例えば出資者I)の提示した指値と、取引の相手方となる他の顧客(例えば出資者I)の提示した指値とが自動的に付け合せられるのではなく、CFサービス提供者M1の判断による約定のプロセスを経るようにすることができる。
【0102】
また例えば、同法の内閣府定義令17条1号の「金融商品取引業者が、同一の銘柄に対し自己又は他の金融商品取引業者等の複数の売付け及び買付けの気配を提示し、当該複数の売付け及び買付けの気配に基づく価格を用いる方法」に該当すれば、同法の規制を受けることになる。
この点について、セカンダリ取引支援サービスでは、注文価格を提示するのはあくまでも顧客(例えば出資者I1)であり、また、CFサービス提供者M1の判断による約定のプロセスを経ることになる。つまり、CFサービス提供者M1から気配値を出さないし、他の金融商品取引業者等の気配値も表示しない。したがって、セカンダリ取引支援サービスは同定義令の規定に該当しない。
【0103】
また例えば、同法に関する金融庁による「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」では、「取引所金融商品市場に取り次ぐシステム」、及び「多数の注文による有価証券の需給を集約した提示気配に基づき、顧客との間で有価証券の売買を行う自己対当売買のシステム」という基準を定めている。
この点について、セカンダリ取引支援サービスでは、上述したように、出資者I間で価格交渉が行われず、出資者Iが希望する条件に一致したからと言って自動的に売買が成立せず、CFサービス提供者M1から気配値が出されることがなく、他の金融商品取引業者の気配値も表示されないので、「取引所金融商品市場に取り次ぐシステム」には該当せず、「多数の注文による有価証券の需給を集約した提示気配に基づき、顧客との間で有価証券の売買を行う自己対当売買のシステム」にも該当しない。
【0104】
[機能的構成(第3実施形態)]
図23は、
図16乃至
図22を参照して説明したセカンダリ取引支援サービスを実現させるための
図5のサービス提供者サーバ及び
図4のユーザ端末の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0105】
図23に示すように、サービス提供者サーバ1のCPU11においては、セカンダリ取引管理部108が機能すること以外は
図6に示す機能的構成と同様である。したがって、申込画面表示制御部101、スキーム画面表示制御部102、締結前画面表示制御部103、契約画面表示制御部104、口数入力画面表示制御部105、申込確認画面表示制御部106、及び申込完了画面表示制御部107の説明は省略する。
【0106】
セカンダリ取引管理部108は、出資者Iにより希望された内容に基づいて、出資者IとCFサービス提供者M1との利益の分配に係る契約の締結の管理を行う。
このような機能的構成を有するサービス提供者サーバ1を含む情報処理システムにより、上述のセカンダリ取引支援サービスを実現化させることができる。
【0107】
以上のように、セカンダリ取引支援サービスによれば、例えばプライマリ取引に見られる出資持分P1の流動性の乏しさの問題を解消することができるが、さらに以下のような場面において、各種のサービスを提供することができる。
即ち、例えば(1)出資者Iが希望条件を入力する場面では、(a)所定のアルゴリズムを用いて算出された参考価格をユーザ端末2に表示させることができる。(b)ユーザ端末2に表示された参考資料をクリックすると、対象となるファンドの運用状況が表示される。これにより、希望売却価格や希望購入価格を入力する出資者Iを援助することができる。(c)出資者Iが、対象となるファンドの希望購入価格を入力すると、そのファンドの保有者の端末(例えばスマートフォン)にその情報(希望購入価格)が送られ、買い手としての出資者Iの条件が表示されるようにすることができる。
また、例えば(2)CFサービス提供者M1の判断による約定の場面では、マッチングできそうな条件があれば、それをフラッシュでCFサービス提供者M1に伝えることができる。
また、例えば(3)CFサービス提供者M1による再提示の場面では、価格を変えることでマッチングできそうな提示条件を探索し、これを価格変更案とともに出資者Iに自動送信することができる。
また、例えば(4)現行の法律が変わり、いわゆる私設取引システム(PTS)の認可が不要になった場面では、(a)取引所機能(例えば板情報の掲示、出資者Iの希望条件の自動マッチング)を備えることが可能になる。(b)出資者I同士で、ネゴシエーションが可能になる。
なお、上述の段落[0099]乃至段落[0103]等に記載のセカンダリ取引支援サービスの各種ポイント(顧客間で価格交渉を行わせない等)は、現行の法律が変わり、PTSの認可が不要となった場合であっても有用であり、例えば、上述の通り、「投資家の意に反したキャピタルロスの発生を抑える」という効果を奏することができる。
【0108】
以上本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0109】
例えば、上述の実施形態では、運営管理会社Gは不動産Rを賃貸借物件として運営しているが、これに限定されず、例えば宿泊用の施設として運営してもよいし、飲食店として運営してもよい。
【0110】
例えば、上述の実施形態では、ユーザに対して、同意文書の中で投資スキームを提示するものとして説明を行っているが、特に限定されない。即ち、例えば、申込画面提示前に単独で投資スキームの提示を行ってもよいし、さらに言えば、その他の各種画面(契約締結前交付書面確認同意画面、匿名組合契約書確認同意画面、出資申込口数入力画面、申込確認画面、申込完了画面等)が提示される前後において、単独で投資スキームが提示されるものとしてもよい。
【0111】
また例えば、上述の実施形態では、ユーザに確認される各種契約書として、契約締結前交付書面、匿名組合契約書を、例として説明を行っているが、特に限定されない。即ち、サービス提供者サーバ1は、その他、有価証券の募集又は私募に係るあらゆる契約の契約書をユーザに対して提示することができる。
【0112】
また例えば、上述の
図7乃至
図13に記載の各種画面の構成は、あくまで例示であり、限定されない。サービス提供者サーバ1は、本サービスの提供者の希望する任意の情報(項目)が任意の態様により含まれた表示画面を、ユーザに対して提示することができる。
さらに言えば、サービス提供者サーバ1は、これらの情報の全て又は一部を必ずしも表示画面として生成し、ユーザに提示する必要はない。即ち、例えば、サービス提供者サーバ1は、これらの情報の全て又は一部を音声で出力し、内容をユーザに確認させる等してもよい。
【0113】
具体的に例えば、
図9に示す契約締結前交付書面同意画面の表示領域K21には、
図8に示す投資スキーム紹介画面の内容を含む同意文書が表示される。これにより、同意文書に対する同意の前に出資希望者に対して投資スキームを確認させることができるが、同意文書に対する同意の前に出資希望者に対して投資スキームを確認させる手法はこれに限定されるものではない。例えば
図7に示す出資申込を行うためのボタンJが押下されると、出資希望者に対して投資スキームを確認させる手段(以下、「確認手段」と呼ぶ)として、YES/NOのポップアップ画面(図示せず)が表示されるようにしてもよい。この場合、ボタンJが押下されることでポップアップ画面が表示されるので、出資希望者による出資申込の前(即ち同意文書に対する同意よりもさらに前)に、出資希望者に対して投資スキームを少なくとも一度は確認させることができる。また例えば、サービス提供者サーバ1は、投資スキームが表示された画面が表示されてから次の画面に遷移するまでの時間を検出し、その時間が短かった場合等に、自動で投資スキームを表示してもよい。さらに言えば、確認手段は、常にサービス提供者サーバに備えられている必要はなく、サービス提供者サーバ1は、必要に応じて、適宜、備えていればよい。
【0114】
また例えば、上述の実施形態において、本サービスに係る投資スキームは、期初、期中、期末の3つのスキームから構成されているものとして、説明を行っているが、特に限定されない。即ち、例えば、期前、期後の2つのスキームから構成されるものとしてもよいし、さらに細分化して第1期、第2期、第3期、第4期の4つのスキームから構成されるものとしてもよい。
【0115】
また例えば、上述の実施形態では、画像DB401等のデータベースに各種データ保存をする構成となっているが、これに限定されない。例えばブロックチェーン等の技術を利用して保存する構成とすることもできる。
【0116】
また例えば、上述の実施形態におけるセカンダリ取引支援サービスは、各種の法令に適合させることを可能とするサービスであり、その適用対象となる法令として、上述の金融商品取引法二条8項10号等の規定がある。
ただし、上述の金融商品取引法二条8項10号等の各種規定は、セカンダリ取引支援サービスが適合可能な法令の一例に過ぎない。セカンダリ取引支援サービスは、上述の各種法令以外の法令に適合すべく、あらゆる形態に変形させることもできる。また、さらに言えば、セカンダリ取引支援サービスは、上述の各種法令に適合することを前提とすることなく、上述の各種法令に適合しない形態に変形させることもできる。
【0117】
ここで、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、
図6の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。
即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に
図6の例に限定されない。また、機能ブロックの存在場所も、
図6に特に限定されず、任意でよい。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
さらに言えば、ハードウェア又はソフトウェアにより実行される一連の処理のうち、一部の処理について、ユーザによりデータ入力を行う等、ユーザのマニュアル操作により実行することもできる。
【0118】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。
また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0119】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0120】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
特に、ユーザに対して投資スキームを提示する順序は、本サービスの提供者等の任意でよく、限定されない。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0121】
以上を換言すると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を有する各種各様の実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置(例えば
図6のサービス提供者サーバ1)は、
所定の出資対象(例えば
図1の不動産Rを対象とするクラウドファンディング)に対する有価証券の募集又は私募に利用され、前記募集又は私募における第1のサービスを提供する第1の提供者(クラウドファンディングサービス提供者)および第2のサービスを提供する第2の提供者(アセットマネジメントサービス提供者)のいずれか又はその両方によって管理される情報処理装置(例えば
図6のサービス提供者サーバ1)であって、
前記出資対象への出資を希望する出資希望者に対して、前記第1の提供者又は前記第2の提供者と、前記出資対象に係る1以上の主体との1以上の契約を少なくとも含む投資スキームを(例えば
図8の投資スキーム紹介画面)提示する投資スキーム提示手段(例えば
図6のスキーム画面表示制御部102)と、
前記投資スキームが提示されるにあたり、前記出資希望者が出資申込を行う際の所定タイミングに、前記出資希望者に対し前記投資スキームを提示する制御を実行する提示時期制御手段(例えば
図6のスキーム画面表示制御部102)と、
を備える。
これにより、各種法令等を遵守しつつ、ユーザに効率的な理解を促すことができる有価証券の募集又は私募の手法を提供することができる。
【0122】
また、
前記投資スキームは、前記第1の提供者又は前記第2の提供者(アセットマネジメントサービスの提供者又はクラウドファンディングサービスの提供者)と前記第1の提供者に関する主体(SPC)との金銭消費貸借契約を締結することを少なくとも含む投資スキームである。
【0123】
また、
前記投資スキームは、前記金銭消費貸借契約とは異なる前記出資希望者と前記第1の提供者(アセットマネジメントサービス提供者)との利益の分配に係る契約を締結することをさらに含む投資スキームである。
【0124】
また、
前記出資希望者により希望された内容に基づいて、当該出資希望者と前記第1の提供者との前記利益の分配に係る契約の締結の管理を行う管理手段をさらに備えることができる。
これにより、上述のセカンダリ取引支援サービスの提供を実現化させることができる。
【0125】
また、
前記出資希望者が出資申込を行うための出資申込画面を前記出資希望者に提示する出資申込画面提示手段(例えば
図6の申込画面表示制御部101)を、
さらに備える。