特開2019-215970(P2019-215970A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-215970(P2019-215970A)
(43)【公開日】2019年12月19日
(54)【発明の名称】ケーブル
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/36 20060101AFI20191122BHJP
   G02B 6/44 20060101ALI20191122BHJP
【FI】
   H01B7/36 Z
   G02B6/44 366
   G02B6/44 381
   G02B6/44 311
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-111255(P2018-111255)
(22)【出願日】2018年6月11日
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】安冨 徹也
(72)【発明者】
【氏名】松元 修作
【テーマコード(参考)】
2H001
2H150
5G315
【Fターム(参考)】
2H001BB07
2H001BB15
2H001BB16
2H001DD04
2H001KK16
2H001KK17
2H001KK22
2H150BB10
2H150BB19
2H150BC01
2H150BD02
5G315JB05
5G315JC02
5G315JC04
(57)【要約】
【課題】 安価にレーザマーキングを明瞭にし、外被の特性変化も少ないケーブルを提供する。
【解決手段】 ケーブルコア3の外周には樹脂製の外被5が設けられる。すなわち、ケーブル1は、最外周に樹脂製の外被5を有する。外被5は、第1被覆部5aと第2被覆部5bとからなる。第1被覆部5aは、外被5の表面の全周に露出する。また、第1被覆部5aの内周側には、第2被覆部5bが形成される。すなわち、外被5は、第1被覆部5aと第2被覆部5bの2層構造である。第1被覆部5aの母材樹脂には、レーザマーキング用の発色剤が添加される。また、第2被覆部5bの母材樹脂には、レーザマーキング用の発色剤は添加されていない。なお、第1被覆部5aと第2被覆部5bの母材樹脂は、例えば熱可塑性樹脂であって、互いに同一の樹脂であってもよく、異なる樹脂であってもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最外周に樹脂製の外被を有するケーブルであって、
前記外被は、前記外被の表面の少なくとも一部に露出し、レーザマーキング用の発色剤が添加された第1被覆部と、前記第1被覆部を除く部位において前記発色剤が添加されていない第2被覆部とを具備することを特徴とするケーブル。
【請求項2】
前記第1被覆部が、前記外被の表面の一部にのみ露出し、前記第1被覆部以外の部位において、前記第2被覆部が前記外被の表面に露出することを特徴とする請求項1記載のケーブル。
【請求項3】
前記外被の内面側は、全周に渡って前記第2被覆部で構成されることを特徴とする請求項2記載のケーブル。
【請求項4】
前記第1被覆部が、前記外被の表面の全周に露出し、前記第1被覆部の内周側に前記第2被覆部が形成されることを特徴とする請求項1記載のケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外被に印字がなされるケーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最外周が外被で覆われたケーブルには、ケーブルの識別等を目的として、印字がなされる場合がある。このような印字は、例えばインクジェットなどのインクによって行われるのが一般的であった。
【0003】
しかし、インクによる印字は、使用時に周囲との摩擦等によって剥げてしまい、印字の判別ができなる場合がある。
【0004】
これに対し、例えば、ケーブルの外被に、加熱された印字ロールを押し当てて、マーク印字を行う印字装置が提案されている(特許文献1)。
【0005】
また、所定の形態の文字をホットスタンプで外被に印字された光ケーブルが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭62−222519号公報
【特許文献2】特開2002−207143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、このようなケーブル外被の印字方法としては、レーザマーキングという技術が普及している。レーザマーキングは、所定の波長のレーザ光を外被に当てることで、外被樹脂材料がレーザ光を吸収して焼かれ、外被を黒色等に変化させたり、または、レーザ光の照射によって樹脂材料を発泡させて白色等に変化させたりするのが主流である。レーザマーキングによれば、印字内容の変更などにも容易に対応することができる。
【0008】
しかし、外被樹脂材料の種類や色に応じてレーザに対する反応のしやすさが異なる。このため、より明瞭な印字を施すためには、レーザ光を吸収し、発色しやくするための発色剤を外被樹脂材料に一定の割合で混ぜて、被覆することが一般的である。
【0009】
しかし、発色剤を使うと、発色剤の添加量に応じて価格が高価になる。また、発色剤の添加によって、外被の本来の特性(例えば機械的特性や耐環境特性など)が劣化する恐れがある。
【0010】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、安価にレーザマーキングを明瞭にし、外被の特性変化も少ないケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】

前述した目的を達するために本発明は、最外周に樹脂製の外被を有するケーブルであって、前記外被は、前記外被の表面の少なくとも一部に露出し、レーザマーキング用の発色剤が添加された第1被覆部と、前記第1被覆部を除く部位において前記発色剤が添加されていない第2被覆部とを具備することを特徴とするケーブルである。
【0012】
前記第1被覆部が、前記外被の表面の一部にのみ露出し、前記第1被覆部以外の部位において、前記第2被覆部が前記外被の表面に露出してもよい。
【0013】
この場合、前記外被の内面側は、全周に渡って前記第2被覆部で構成されてもよい。
【0014】
前記第1被覆部が、前記外被の表面の全周に露出し、前記第1被覆部の内周側に前記第2被覆部が形成されてもよい。
【0015】
本発明によれば、外被の表面の少なくとも一部に発色剤が添加されている第1被覆部を設け、その他の部位の第2被覆部には発色剤を添加していないため、発色剤の添加量が少なくてもよく、コスト増を最小限に抑えることができる。また、発色剤が添加される部位が少ないため、外被全体の特性変化を最小限に抑制することができる。
【0016】
この場合、外被の表面の一部のみを第1被覆部とすることで、印字部のみに効率よく発色剤を添加することができる。
【0017】
この際、外被の内面側が、全周に渡って第2被覆部で構成されれば、発色剤の添加部を外被の表層近傍のみとすることができ、発色剤の添加量を最小限にすることができる。
【0018】
また、外被の表面の全周に第1被覆部を露出させ、第1被覆部の内周側に第2被覆部を形成する2層構造とすることで、製造が容易である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、安価にレーザマーキングを明瞭にし、外被の特性変化も少ないケーブルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ケーブル1を示す断面図。
図2】ケーブル1aを示す断面図。
図3】光ファイバケーブル10を示す断面図。
図4】光ファイバケーブル10aを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、ケーブル1を示す断面図である。ケーブル1は、ケーブルコア3、外被5等により構成される。
【0022】
ケーブル1は、電気ケーブルや光ファイバケーブル等の例えば伝送ケーブルである。ケーブル1の略中央部には、ケーブルコア3が配置される。ここで、本発明におけるケーブルコア3とは、伝送主体となる部材を主とする構成であって、その構成は特に限定されない。
【0023】
例えば、ケーブル1が電気ケーブルの場合には、ケーブルコア3としては、電線内部の導線であってもよく、ケーブルが同軸ケーブルの場合には、内部導体と外部導体とを組み合わせたものなどであってもよい。また、ケーブル1が光ファイバケーブルの場合には、内部の光ファイバ心線であってもよく、後述するスロットを含めた構造であってもよい。このように、ケーブルコア3は、ケーブル1の最外周を外被5で被覆されたその内部の構造の全般を指すものとする。
【0024】
ケーブルコア3の外周には樹脂製の外被5が設けられる。すなわち、ケーブル1は、最外周に樹脂製の外被5を有する。外被5は、第1被覆部5aと第2被覆部5bとからなる。第1被覆部5aは、外被5の表面の全周に露出する。また、第1被覆部5aの内周側には、第2被覆部5bが形成される。すなわち、外被5は、第1被覆部5aと第2被覆部5bの2層構造である。
【0025】
第1被覆部5aの母材樹脂には、レーザマーキング用の発色剤が添加される。また、第2被覆部5bの母材樹脂には、レーザマーキング用の発色剤は添加されていない。なお、第1被覆部5aと第2被覆部5bの母材樹脂は、例えば熱可塑性樹脂であって、互いに同一の樹脂であってもよく、異なる樹脂であってもよい。
【0026】
ここで、レーザマーキング用の発色剤としては、レーザマーキングで従来から使用されている公知の発色剤(例えば、特開平1−254743号公報、特開平4−246456号公報、特開昭60−166488号公報、特開平2−48984号公報、特開平3−281286号公報、特開平5−25317号公報、特開平6−48042号公報、特開昭60−155493号公報、特開昭61−69488号公報、特開平1−306285号公報、特開平2−204888号公報、特開昭63−239059号公報、特開平6−8633号公報、特開平8−127175号公報、特開2000−129070号公報)が適用可能である。
【0027】
具体的には、例えば、カーボンブラック、黒色酸化鉄、チタンブラック、チタン酸化物、コバルト化合物、銅化合物、リン酸塩を含む顔料、無機鉛化合物、有機鉛化合物、黄色酸化鉄、タルク、炭酸カルシウム、アルミナ、クレー、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムなどが適用可能である。
【0028】
発色剤の添加量としては、例えば母材の樹脂に対して、0.2〜2.0質量%程度である。添加量が少なすぎると、発色剤の効果を得ることができず、発色剤の添加量が多くなると、添加量の増加に基づくコスト増や、母材樹脂の特性劣化等の問題が生じる。なお、レーザマーキングは、発色剤を含む第1被覆部5aの表層のごくわずかであっても効果を得ることができるため、第1被覆部5aの厚みは、0.05〜0.3mm程度でよい。
【0029】
なお、ケーブル1は、例えば以下のようにして製造される。ケーブルコア3の外周に、2層の押出被覆で外被5を成形し、冷却後にレーザによって外被5の表面に所定のマーキングを行う。以上を同一の製造ラインで行うことで、表面にレーザマーキングが施されたケーブル1を得ることができる。
【0030】
以上、本実施の形態のケーブル1によれば、レーザマーキングが施されるケーブル1の外表面が、発色剤が添加された第1被覆部5aで構成されるため、レーザによって明瞭な印字を施すことが可能である。
【0031】
また、外被5の内層側には、発色剤が添加されていない第2被覆部5bが形成されるため、発色剤の添加量を削減することができ、発色剤の添加によるコスト増を抑制することができる。また、外被5の全体に発色剤を添加する場合と比較して、発色剤の添加に伴う外被5の母材樹脂の特性変化を抑制することができる。
【0032】
次に、第2の実施形態について説明する。図2は、ケーブル1aの断面図である。なお、以下の説明において、ケーブル1と同様の構成については、図1と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0033】
ケーブル1aは、ケーブル1とほぼ同様の構成であるが、第1被覆部5aの配置が異なる。ケーブル1aの第1被覆部5aは、外被5の表面の一部にのみ露出する。すなわち、第1被覆部5a以外の部位においては、第2被覆部5bが外被5の表面に露出する。このように、本発明では、第1被覆部5aは、外被5の表面の少なくとも一部に露出し、第1被覆部を除く部位において第2被覆部5bが設けられる。
【0034】
なお、前述したように、ケーブル1aの外被5の押出被覆と同一ラインでレーザマーキングを行うことで、第1被覆部5aの位置とレーザマーキングの位置は容易に合わせることができる。
【0035】
また、図示した例では、外被5の内面側は、全周に渡って第2被覆部5bで構成される。すなわち、第1被覆部5aは、外被5の厚みの全体に設けてもよいが、第1被覆部5aは、外被5の表層のみに形成すればよい。また、図示した例では、第1被覆部5aは、互いに対向する2カ所に配置される例を示すが、少なくとも1ヵ所に設けられれば良い。
【0036】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、発色剤が添加された第1被覆部5aが、外被5の全周に渡って形成されないため、発色剤の添加量をより削減することができる。
【実施例】
【0037】
実際に、本発明にかかるケーブルを製造した、図3は、製造した光ファイバケーブル10の断面図である。光ファイバケーブル10は、いわゆるスロット型の光ファイバケーブルであり、主に、スロット13、テンションメンバ17、光ファイバテープ11、外被5等から構成される。
【0038】
スロット13の略中央には、テンションメンバ17が配置される。また、スロット13の外周には、複数の溝15が形成される。溝15には、それぞれ複数の光ファイバテープ11が収容される。
【0039】
溝15に光ファイバテープ11が収容された状態で、スロット13の外周には、押さえ巻き19が巻き付けられる。光ファイバケーブル10においては、押さえ巻き19が巻き付けられ、光ファイバテープ11が収容されたスロット13の全体がケーブルコア3となる。
【0040】
ケーブルコア3の外周には、外被5が設けられる。外被5は、内層の第2被覆部5bと、第2被覆部5bの外周を覆うように設けられる第1被覆部5aからなる。
【0041】
なお、図示した例では、スロット13の外周に溝15が5列配置され、それぞれの溝15に、4心の光ファイバテープ11が5枚ずつ収容される。すなわち、光ファイバケーブル10は、100心のスロットケーブルである。
【0042】
また、ケーブルコア3の外径は、φ8.3mmであり、第2被覆部5bの厚みは1.5mm、第1被覆部5aの厚みは0.2mmとした。すなわち、光ファイバケーブル10の外径はφ11.7mmとした。
【0043】
外被5の母材樹脂は、直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(LLDPE)とし、第1被覆部5aにのみ、発色剤としてカーボンブラックを0.5質量%添加した。
【0044】
なお、光ファイバケーブル10は、φ90mmの押出機とφ30mmの押出機をコモンヘッドで接続し、φ90mmで第2被覆部5b、φ30mmで第1被覆部5aを一括で押出被覆した。被覆後水槽で外被を約20℃まで冷やした後に、レーザマーカで白色印刷した。
【0045】
これに対し、第1被覆部5aを設けずに、外被5の全体を第2被覆部5bで構成したものと比較すると、第1被覆部5aを設けた物の方が、レーザによる印字が明瞭で視認しやすかった。一方、全てを第1被覆部5aで構成したものは、多くの発色剤が必要であった。
【0046】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0047】
例えば、同じ光ファイバケーブルであっても、本発明は、例えばドロップケーブルにも適用可能である。図4は、光ファイバケーブル10aを示す断面図である。
【0048】
光ファイバケーブル10aは、1心の光ファイバ21が外被5の略中央に配置され、その両側に、テンションメンバ17が配置される。外被5の光ファイバ21に対応する部位には、互いに対向する面にそれぞれノッチ23が形成される。ノッチ23は、外被5を引き裂く際に使用される。
【0049】
光ファイバケーブル10aは、スロット等が設けられず、外被5の内部に光ファイバ21が配置される。この場合には、光ファイバ21をケーブルコア3とする。また、光ファイバ21が複数配置される場合には、それらをまとめてケーブルコア3とする。すなわち、光ファイバケーブル10aもケーブルコア3が外被5で被覆される。
【0050】
この場合でも、ノッチ23の位置を避けて、外被5の外表面の一部に第1被覆部5aが露出する。第1被覆部5aの部位が、レーザマーキングされる部位となる。
【0051】
このように、本発明のケーブルは、最外周が外被5で覆われるものであれば、その内部の構造はいずれの構造であってもよい。例えば、図4に示す光ファイバケーブル10aに首部を介して支持線を連結して、自己支持型の光ファイバケーブルとしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1、1a………ケーブル
3………ケーブルコア
5………外被
5a………第1被覆部
5b………第2被覆部
10、10a………光ファイバケーブル
11………光ファイバテープ
13………スロット
15………溝
17………テンションメンバ
19………押さえ巻き
21………光ファイバ
23………ノッチ
図1
図2
図3
図4