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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-216613(P2019-216613A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01F 12/46 20060101AFI20191129BHJP
   A01F 12/52 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   A01F12/46
   A01F12/52 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-114303(P2018-114303)
(22)【出願日】2018年6月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 大介
【テーマコード(参考)】
2B094
2B396
【Fターム(参考)】
2B094AA03
2B094AA05
2B094AA11
2B094JA02
2B094JA05
2B094JC01
2B094JD12
2B094JE04
2B094JE07
2B094JE17
2B396JA04
2B396JC07
2B396JC08
2B396KC01
2B396KC11
2B396LA02
2B396LA24
2B396LC09
2B396LG07
2B396LG12
2B396LL04
2B396LL08
2B396LN02
2B396LN07
2B396LN13
2B396LR02
2B396LR13
2B396MC02
2B396MC07
2B396ME04
2B396MG07
(57)【要約】
【課題】脱穀装置と揚穀ケースとの間の空間にグレンタンク側からアクセス可能にしてメンテナンス性を向上できるようにしたコンバインを提供する。
【解決手段】脱穀装置とグレンタンクとの間に配置され、脱穀装置で処理された脱穀処理物をグレンタンクに搬送するバケット式の揚穀装置7を備える。揚穀装置7は、バケットコンベアと、そのバケットコンベアを内部に収容する揚穀ケース72とを有している。揚穀ケース72には、互いに対向する第1開口721と第2開口722とが設けられており、第2開口722は、脱穀装置と揚穀ケース72との間の空間を揚穀ケース72の内部空間に連通させるように形成されている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀装置とグレンタンクとの間に配置され、前記脱穀装置で処理された脱穀処理物を前記グレンタンクに搬送するバケット式の揚穀装置を備え、
前記揚穀装置は、バケットコンベアと、前記バケットコンベアを内部に収容する揚穀ケースとを有し、
前記揚穀ケースには、互いに対向する第1開口と第2開口とが設けられており、前記第2開口が、前記脱穀装置と前記揚穀ケースとの間の空間を前記揚穀ケースの内部空間に連通させるように形成されているコンバイン。
【請求項2】
前記揚穀装置は、前記第1開口に対して着脱自在に設けられた第1蓋体と、前記第2開口に対して着脱自在に設けられた第2蓋体とを有し、
前記第2蓋体は、前記第1蓋体と同一方向から取り外し可能に構成されている請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記脱穀装置と前記揚穀ケースとの間に、前記脱穀装置で処理された脱穀処理物を前記脱穀装置に還元搬送するための還元装置が配置されており、
前記還元装置は、コンベアと、前記コンベアを内部に収容する還元ケースとを有し、
前記還元ケースには、前記第2開口に対向する第3開口が設けられている請求項1または2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記還元装置は、前記第3開口に対して着脱自在に設けられた第3蓋体を有し、
前記第3蓋体は、前記第1蓋体と同一方向から取り外し可能に構成されている請求項3に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記揚穀ケースの下方部が前記還元ケースの下方部に連結されている請求項3または4に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バケット式の揚穀装置を備えたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、脱穀装置とグレンタンクとの間にバケット式の揚穀装置が配置されたコンバインが記載されている。揚穀装置は、バケットコンベアと、バケットコンベアを内部に収容する揚穀ケース(外装ケース)とを有し、脱穀装置で処理された脱穀処理物をグレンタンクに搬送する。この揚穀ケースの側面部及び底面部には掃除口が形成されており、その掃除口を介して揚穀ケースの内部を清掃可能に構成されている。
【0003】
上記の掃除口は、揚穀ケースのグレンタンク側に臨む側面部と底面部とに亘って開口しているため、グレンタンク側から揚穀ケースの内部にアクセスして清掃を行うことができる。その一方で、脱穀装置と揚穀ケースとの間の空間にグレンタンク側からアクセスすることは難しく、それ故に、当該空間に配置された他の部材のメンテナンスを行う場合には作業が煩雑になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−315314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、脱穀装置と揚穀ケースとの間の空間にグレンタンク側からアクセス可能にしてメンテナンス性を向上できるようにしたコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコンバインは、脱穀装置とグレンタンクとの間に配置され、前記脱穀装置で処理された脱穀処理物を前記グレンタンクに搬送するバケット式の揚穀装置を備え、前記揚穀装置は、バケットコンベアと、前記バケットコンベアを内部に収容する揚穀ケースとを有し、前記揚穀ケースには、互いに対向する第1開口と第2開口とが設けられており、前記第2開口が 、前記脱穀装置と前記揚穀ケースとの間の空間を前記揚穀ケースの内部空間に連通させるように形成されている。かかる構成によれば、第1開口及び第2開口を介して、脱穀装置と揚穀ケースとの間の空間にグレンタンク側からアクセス可能となるため、メンテナンス性を向上することができる。
【0007】
前記揚穀装置は、前記第1開口に対して着脱自在に設けられた第1蓋体と、前記第2開口に対して着脱自在に設けられた第2蓋体とを有し、前記第2蓋体は、前記第1蓋体と同一方向から取り外し可能に構成されていることが好ましい。これにより、各蓋体を取り外すときの手間を軽減して、メンテナンス性を効果的に向上できる。
【0008】
前記脱穀装置と前記揚穀ケースとの間に、前記脱穀装置で処理された脱穀処理物を前記脱穀装置に還元搬送するための還元装置が配置されており、前記還元装置は、コンベアと、前記コンベアを内部に収容する還元ケースとを有し、前記還元ケースには、前記第2開口に対向する第3開口が設けられていることが好ましい。かかる構成によれば、第1開口及び第2開口、並びに第3開口を介して、還元装置の内部にグレンタンク側からアクセスできるため、メンテナンス性を更に向上できる。
【0009】
前記還元装置は、前記第3開口に対して着脱自在に設けられた第3蓋体を有し、前記第3蓋体は、前記第1蓋体と同一方向から取り外し可能に構成されていることが好ましい。これにより、第3蓋体を含む各蓋体を取り外すときの手間を軽減して、メンテナンス性を効果的に向上できる。
【0010】
上記のように第1〜第3開口を介して還元装置の内部にグレンタンク側からアクセスできることから、還元装置は、揚穀装置に近接して配置されていてもよい。したがって、例えば、前記揚穀ケースの下方部が前記還元ケースの下方部に連結されていてもよく、かかる位置関係であってもメンテナンス性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】コンバインの左側面図
図2】コンバインの右側面図
図3】コンバインの平面図
図4】脱穀装置と選別装置とを示す縦断面図
図5】脱穀装置の右後方斜視図
図6】揚穀装置の縦断面図
図7】揚穀装置の要部を示す右後方斜視図
図8】揚穀装置の左後方斜視図
図9】第1蓋体と第2蓋体を取り外した揚穀装置の要部を示す右側面図
図10】揚穀装置の下方部を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るコンバインの一例について説明する。
【0013】
[コンバインの全体構造]
まずは、コンバインの全体構造について簡単に説明する。図1〜3は、それぞれ、本実施形態のコンバイン100の左側面、右側面、及び平面を示す。図中には、コンバイン100の前後方向、左右方向、及び、上下方向を矢印で示している。コンバイン100は、走行装置1と、刈取装置2と、脱穀装置3と、選別装置4と、貯留装置5と、動力装置6とを備える。
【0014】
走行装置1は、機体フレーム10の下方に設けられている。走行装置1は、トランスミッション11と、左右一対に設けられたクローラ装置12とを有する。トランスミッション11は、機体フレーム10に搭載された動力装置6の動力をクローラ装置12に伝達する。クローラ装置12は、コンバイン100を前後方向に走行させたり、コンバイン100を左右方向に旋回させたりする。
【0015】
刈取装置2は、走行装置1の前方に設けられている。刈取装置2は、リール21と、カッター(刈刃)22と、オーガ(横送りスクリュー)23と、搬送コンベア24とを有する。リール21は、回転することによって圃場の穀稈をカッター22へ案内する。カッター22は、リール21によって案内された穀稈を切断する。オーガ23は、カッター22によって切断された穀稈を所定の位置(搬送コンベア24の穀稈供給口)に集合させる。搬送コンベア24は、オーガ23によって集合させた穀稈を脱穀装置3のフロントロータ33(図4参照)まで搬送する。
【0016】
脱穀装置3は、刈取装置2の後方であって、左右方向一方側(本実施形態では左側)に配置されている。脱穀装置3は、扱胴31と、その扱胴31の下方に設けられた受網32とを有する。扱胴31は、扱室30(図4参照)に収容されている。扱胴31は、回転することによって穀稈を脱穀しながら後方へ搬送する。受網32は、扱胴31によって搬送される穀稈を支持するとともに、脱穀処理物を選別装置4へ落下させる。扱胴31の下方には、穀粒搬送用のスクリューコンベアである一番コンベア143と二番コンベア144(図4参照)とが設けられている。これらは、いずれも脱穀処理物を水平方向(左右方向)に搬送する。
【0017】
選別装置4は、脱穀装置3の下方に設けられている。選別装置4は、前後方向に揺動することにより、受網32から漏下した脱穀処理物を揺動選別する揺動選別装置41を有する。揺動選別装置41で選別された穀粒は、一番コンベア143によって搬送された後、バケット式の揚穀装置7によって上方へ持ち上げられ、グレンタンク51の投入口153に投入される。また、選別装置4は、揺動選別装置41に向けて風を送る送風装置42を有する。送風装置42は、脱穀処理物に含まれる藁屑などの夾雑物を吹き飛ばす。藁屑などの夾雑物は、選別装置4の後方に設けられた排稈口45から外部へ排出される。
【0018】
貯留装置5は、刈取装置2の後方であって、左右方向他方側(本実施形態では右側)に配置されている。貯留装置5は、脱穀装置3と左右方向に隣接して設けられている。脱穀装置3及び選別装置4と、貯留装置5とは、機体フレーム10の上方で左右に並列配置されている。貯留装置5は、穀粒を貯留するためのグレンタンク51を備える。グレンタンク51は、選別装置4から一番コンベア143及び揚穀装置7を介して搬送されてきた穀粒を貯留する。揚穀装置7は、脱穀装置3とグレンタンク51との間に配置されている。グレンタンク51は、その後端部の縦軸芯51p周りで機体フレーム10に対して回動可能に支持されている。グレンタンク51内の穀粒を排出する際には、排出オーガ52が用いられる。排出オーガ52は、上下左右方向に回動自在に構成されており、穀粒を任意の場所に排出できる。
【0019】
動力装置6は、運転部13の下方で且つ貯留装置5の前方に設けられている。動力装置6は、エンジン61で構成されている。本実施形態のエンジン61は、ディーゼルエンジンであり、燃料を燃焼させて得た熱エネルギーを運動エネルギーに変換する。より具体的に説明すると、エンジン61は、燃料を燃焼させて得た熱エネルギーを、走行装置1など各部を駆動する動力に変換する。動力装置6は、電気によって動力を発生させる電動モータであっても構わない。また、動力装置6はエンジン61と電動モータの双方を備えていてもよい。
【0020】
運転部13は、グレンタンク51の前方で機体フレーム10の右側前部に設けられている。運転部13はキャビン14で覆われており、そのキャビン14の後方にグレンタンク51が設けられている。図面には現れていないが、キャビン14の内部には、オペレータが着席する運転座席や、その運転座席の前方に配置された操向ハンドルが設置され、それらの周囲に変速レバーやクラッチレバー、スイッチ類など種々の操作具が配置されている。
【0021】
[脱穀装置]
次に、脱穀装置3について説明する。図4に示すように、脱穀装置3は、扱室30と、扱胴31と、受網32と、フロントロータ33とを有する。扱室30は、受網32、機枠300などによって区画形成されている。機枠300には、扱胴31の上方に配置された上部カバー301と、扱胴31の前方に配置された前壁部材302と、扱胴31の後方に配置された後壁部材303とが取り付けられている。搬送コンベア24で搬送されてきた穀稈は、フロントロータ33によって扱室30内へ送り込まれる。フロントロータ33は、穀稈を搬送するだけでなく、予備的な脱穀(プレ脱穀)を行う機能も有する。
【0022】
扱胴31は、前後方向に沿って延びた扱胴軸311と、掻き込みスクリュー312と、ツースバー(扱歯支持部材)313とを有する。扱胴31は、扱胴軸311を中心に回転する。扱胴軸311は、前壁部材302及び後壁部材303によって回転自在に支持されている。扱胴軸311にはエンジン61からの回転動力が伝達される。扱胴軸311は、直線状に形成された構造体であり、掻き込みスクリュー312と複数のツースバー313とを支持する。
【0023】
掻き込みスクリュー312は、扱胴31の前部に配置されている。掻き込みスクリュー312は、螺旋状のインペラ(掻き込み羽根)312bが着脱可能に形成された構造体である。掻き込みスクリュー312は、フロントロータ33によって送り込まれてきた穀稈を掻き込む。つまり、掻き込みスクリュー312は、回転することにより、フロントロータ33によって送り込まれてきた穀稈を取り込んで後方へ送り出す。掻き込みスクリュー312は、螺旋状のインペラ312bが形成された構造に限られず、複数のブレードが形成された構造でも構わない。
【0024】
掻き込みスクリュー312の後方には、扱胴軸311を中心として複数のツースバー313が配置されている。ツースバー313は、複数の扱歯313tが所定の間隔を設けて互いに平行に配置された構造体である。ツースバー313は、掻き込みスクリュー312が送り出した穀稈を脱穀する。つまり、ツースバー313は、回転することにより、掻き込みスクリュー312が送り出した穀稈を揉み込み、また打撃して脱穀物を落とす。ツースバー313は、複数の扱歯313tを有する構造に限られず、螺旋状のブレードを有する構造でもよい。本実施形態では、複数のツースバー313と、各ツースバー313同士に亘って設けられる複数の板部材314とにより、扱胴31の内部空間と扱胴31の外部空間とを隔てて全体として円筒状をなす回転体を構成しているが、これに代えて、円筒形状の回転体に複数の扱歯313tを備えた構造としてもよい。
【0025】
受網32は、扱胴31の下側外周面に沿って設けられ、前後方向から見て略U字状に形成されている。本実施形態では、複数のツースバー313によって構成される回転体の下方を覆うように、受網32が配置されている。受網32は、ツースバー313によって揉み込まれる穀稈を支持する。受網32は、主に網体321によって構成されている。網体321は、所定の間隔で平行にワイヤを張り巡らせてなる構造体である。受網32は、網体321の隙間を通じて、扱胴31により脱穀処理された脱穀処理物を漏下させる。受網32から漏下しなかった穀稈は、受網32の後端部から排稈として排出される。
【0026】
[選別装置]
次に、選別装置4について説明する。図4に示すように、選別装置4は、揺動選別装置41と、送風装置42とを備える。揺動選別装置41は、脱穀処理物を篩いにかけることによって穀粒を選別する。送風装置42は、脱穀処理物に含まれる藁屑などの夾雑物を吹き飛ばすことによって穀粒を選別する。
【0027】
揺動選別装置41は、フィードパン411と、チャフシーブ412と、ストローラック413とを有する。フィードパン411の後方下部にはチャフシーブ412が配置され、そのチャフシーブ412の後方にストローラック413が配置されている。フィードパン411は、広く平らに形成された構造体である。フィードパン411は、受網32から落下してきた脱穀処理物を受け止める。フィードパン411は、前後に揺動することにより、フィードパン411上の脱穀処理物を均しながら後方に移動させる。このとき、脱穀処理物は、斜めに取り付けられたフィン411fによって左右方向にも満遍なく広げられる。
【0028】
チャフシーブ412は、所定の間隔を設けて相互に平行に並べられた複数のシーブプレート412pを有する。複数のシーブプレート412pは、左右方向に沿って延在しつつ前後方向に並設されている。シーブプレート412pの角度は、脱穀処理物の量に応じて調整可能である。チャフシーブ412は、前後に揺動することにより、フィードパン411から送られてきた脱穀処理物を篩いにかけ、混入している夾雑物を浮き上がらせて穀粒と分離する。チャフシーブ412で選別された脱穀処理物(穀粒のみとなっている「一番処理物」)は、篩い網416を通った後に、第一流穀板431で案内されて一番樋43に落下し、一番コンベア143へ送られる。チャフシーブ412上に残った脱穀処理物は、後方に移動してストローラック413へ送られる。
【0029】
ストローラック413は、所定の間隔を設けて相互に平行に並べられた複数のラックプレート413pを有する。ストローラック413は、前後に揺動することにより、チャフシーブ412から送られてきた脱穀処理物を篩いにかけ、混入している比較的大きな夾雑物を支持して穀粒と分離する。ストローラック413で選別された脱穀処理物(穀粒と少数の小さな夾雑物となっている「二番処理物」)は、第二流穀板441で案内されて二番樋44に落下し、二番コンベア144へ送られ、後述する還元装置8によって選別装置4の前端側に還元搬送され、再度の選別処理に供される。ストローラック413上に残った脱穀処理物は、後方に移動して外部へ排出される。
【0030】
送風装置42は、揺動選別装置41の前部下方に配置され、揺動選別装置41に向かって選別風を供給する。送風装置42は、ファン421と、ファンケース422とを有する。本実施形態では、フィードパン411の下方にファン421が配置され、そのファン421を覆うようにファンケース422が配置されている。ファン421は、所定の角度で取り付けられた複数のファンプレート421pを有する。ファン421は、回転して風を送り出すことにより、チャフシーブ412及びストローラック413に載った夾雑物や、それらから落下した夾雑物を吹き飛ばす。ファンケース422は、板材を折り曲げて形成された構造体である。ファンケース422は、ファン421を覆うとともに、そのファン421が送り出した風を所定の方向へ案内する。
【0031】
[揚穀装置及びその周辺構造]
上述のように、本実施形態のコンバイン100は、脱穀装置3とグレンタンク51との間に配置され、脱穀装置3で処理された脱穀処理物(一番処理物)をグレンタンク51に搬送するバケット式の揚穀装置7を備える。揚穀装置7は、図5のように脱穀装置3の右側に配置され、図5では図示しないグレンタンク51の左側に配置されている。揚穀装置7は、図6に示すバケットコンベア71と、そのバケットコンベア71を内部に収容する揚穀ケース72とを有する。また、コンバイン100は、脱穀装置3で処理された脱穀処理物(二番処理物)を脱穀装置3に還元搬送する還元装置8を備えている。還元装置8は、脱穀装置3の後方下部から脱穀装置3の前方上部に向かって延びる傾斜姿勢で配置される。脱穀装置3と揚穀ケース72との間には、還元装置8を配置可能な間隙が形成されており、揚穀装置7と還元装置8とは脱穀装置3の右側下方で交差するように設けられている。
【0032】
図6のように、バケットコンベア71は、上下方向に間隔を設けて配置された一対のスプロケット711,712と、それらの間に巻回された無端状のチェーン713と、チェーン713に取り付けられた複数のバケット714とを有する。図6では三つのバケット714が描かれているが、実際には、多数のバケット714が所定の間隔で配列されている(図1参照)。揚穀ケース72の上方部は、スプロケット711を収容するギアケース部72Aで構成されている。揚穀ケース72の下方部は、スプロケット712を収容するギアケース部72Bで構成されている。連結部材78は、上下方向においてギアケース部72Aとギアケース部72Bとの間に配置され、揚穀ケース72を脱穀装置3に連結している。
【0033】
スプロケット712の回転支軸712aには、スプロケット715が固着されている。スプロケット715は、スプロケット712から右側へ離れて配置されている。チェーン716は、スプロケット715と、一番コンベア143の搬送終端部(右側端部)に設けられたスプロケット145との間に巻回されている。これにより、一番コンベア143から取り出した動力がバケットコンベア71に伝達され、図6において時計周り方向にチェーン713を回転させることができる。揚穀ケース72の内部には、チェーン713の長手方向に沿って板状のガイド体717が配置されており、固定具としてのボルト718によって揚穀ケース72に固定されている。
【0034】
一番コンベア143によって搬送された脱穀処理物は、揚穀ケース72の下方部に送り込まれ、バケットコンベア71で上方へ持ち上げられた後、ディスク式の移送装置73に受け渡される。移送装置73に供給された脱穀処理物は、グレンタンク51の投入口153に接続された排出口731を介して右側へと移送され、グレンタンク51の内部に投入される。バケット714は、スプロケット712の周りで下向きから上向きに姿勢を変える際に脱穀処理物を掬い上げ、スプロケット711の周りで上向きから下向きに姿勢を変える際に脱穀処理物を移送装置73に受け渡す。
【0035】
図7,8に示すように、揚穀ケース72の下部には、互いに対向する第1開口721と第2開口722とが設けられており、第2開口722が、脱穀装置3と揚穀ケース72との間の空間を揚穀ケース72の内部空間に連通させるように形成されている。第1開口721は、揚穀ケース72のグレンタンク51側の側面(右側面)に設けられ、第2開口722は、その反対側の側面(左側面)に設けられている。したがって、揚穀ケース72をグレンタンク51側から見ると、第1開口721は手前側に位置し、第2開口722は奥側に位置する。本実施形態において、第1開口721及び第2開口722は、揚穀ケース72の底面から上方へ離れた位置に、具体的にはギアケース部72Bの上方に設けられている。
【0036】
清掃などのメンテナンスを行う際には、グレンタンク51を横外方に向けて縦軸芯51p周りで回動する。これにより、図5のように脱穀装置3の右側が開放され、第1開口721を介して揚穀ケース72の内部にグレンタンク51側(即ち、右側)からアクセスできる状態となる。第1開口721の下縁とスプロケット712の上端とは、側面視において、概ねバケット714の上下方向の長さ(高さ)で離れて設けられており、第1開口721を介してスプロケット712のメンテナンスが可能に構成されている。また、第1開口721及び第2開口722の前縁及び後縁は、バケット714の移動軌跡の最内周端よりも外周側に位置し、バケット714の着脱を行うのに十分な幅を有して形成されている。本実施形態のコンバイン100においては、第1開口721及び第2開口722を介して、脱穀装置3と揚穀ケース72との間の空間にグレンタンク51側からアクセス可能である。そのため、当該空間に配置された他の部材、例えば還元装置8のメンテナンスを行う場合の作業が簡便になる。
【0037】
図7のように、揚穀装置7は、第1開口721に対して着脱自在に設けられた第1蓋体741を有する。第1蓋体741を着脱することで第1開口721を開閉できる。第1蓋体741は、板状に形成されている。揚穀ケース72の外面には、第1蓋体741を支持するための支持フレーム75が取り付けられている。支持フレーム75は、第1蓋体741の前方、後方及び下方の三箇所に設定されており、第1蓋体741は上下にスライドさせることで着脱できる。第1蓋体741は、固定具としての固定ボルト761〜763によって固定されている。固定ボルト761は揚穀ケース72に締結され、固定ボルト762,763はガイド体717に締結される。
【0038】
図8のように、揚穀装置7は、第2開口722に対して着脱自在に設けられた第2蓋体742を有する。第2蓋体742を着脱することで第2開口722を開閉できる。第2蓋体742は、上述した第1蓋体741と同様に構成されている。但し、第2蓋体742の固定に用いられる固定ボルト764〜766は、揚穀ケース72の内部から取り付けられており、各固定ボルト764〜766の頭部は揚穀ケース72の内部に配置されている。第1蓋体741及び第2蓋体742は、いずれも不透明な材料で形成されているが、透明または半透明の材料で形成して内部を見せるようにしてもよい。
【0039】
第2蓋体742は、第1蓋体741と同一方向から(即ち、グレンタンク51側から)取り外し可能に構成されている。このため、各蓋体を取り外すときの手間を軽減して、メンテナンス性を効果的に向上できる。第1蓋体741の取り外し作業は、固定ボルト761〜763をグレンタンク51側から操作して緩めた後、第1蓋体741を上方に引き上げることで行われる。第2蓋体742の取り外し作業は、第1開口721を介して固定ボルト764〜766をグレンタンク51側から操作して緩めた後、第2蓋体742を上方に引き上げることで行われる。このように、第2蓋体742は、第1蓋体741と同一方向から固定具を操作して揚穀ケース72に対する固定を解除できる。
【0040】
還元装置8は、図示しないコンベアと、そのコンベアを内部に収容する還元ケース82とを有する。コンベアは、スクリューコンベアにより構成されている。還元ケース82は、上述したように上方に向かって前方に傾いて延びている。二番コンベア144で搬送された脱穀処理物は、還元ケース82の下方部に供給され、コンベアによって上方へ搬送された後、脱穀装置3に還元搬送される。図9に示すように、還元ケース82には、第2開口722に対向する第3開口83が設けられている。第3開口83は、還元ケース82のグレンタンク51側の側面(右側面)に設けられている。このため、第1開口721及び第2開口722、並びに第3開口83を介して、還元装置8の内部にグレンタンク51側からアクセス可能であり、メンテナンス性を更に向上できる。
【0041】
図9のように、左右方向から見て、第1開口721、第2開口722及び第3開口83は、少なくとも一部が互いに重なっている(言い換えれば、揚穀装置7と還元装置8とが交差している交差箇所に各開口721,722,83が設けられる)ことが好ましい。本実施形態では、第1開口721に対して第2開口722が略全体で重なっており、それらに対して第3開口83が重なっている。これら三つの開口を介して還元装置8の内部にアクセスする際は、図9のように、第1開口721に対向したガイド体717の部分717p(図6参照)を取り外すことで作業性が高められる。当該部分717pは、固定ボルト762,763,765,766を緩めることで取り外せる。尚、図9では、第1開口721から見えるチェーン713やバケット714の記載を省略している。
【0042】
還元装置8は、第3開口83に対して着脱自在に設けられた第3蓋体84を有する。第3蓋体84を着脱することで第3開口83を開閉できる。第3蓋体84は、第1蓋体741と同一方向から(即ち、グレンタンク51側から)取り外し可能に構成されている。第3蓋体84の取り外し作業は、第1開口721及び第2開口722を介して固定ボルト85をグレンタンク51側から操作して緩めた後、第3蓋体84を還元ケース82から引き離すことで行われる。第3蓋体84を取り外すことで還元装置8の内部にアクセス可能となり、諸々のメンテナンスを行うことができる。
【0043】
揚穀ケース72と還元装置8とは、左右方向において互いに隣接して配置されている。図9の左右方向視では、揚穀ケース72の下方部を構成するギアケース部72Bが、還元ケース82の下方部を構成するギアケース部82Bに一部で重なっている。また、図10に示すように、揚穀ケース72の下方部が還元ケース82の下方部に連結されている。具体的には、ブラケット86を介してギアケース部72Bがギアケース部82Bに連結されている。これにより、揚穀ケース72の強度を高めて振動を軽減する効果が得られる。また、このように還元装置8が揚穀装置7に近接して配置されていて、上述のように三つの開口を介して還元装置8の内部にグレンタンク51側からアクセスしてメンテナンスする際に、揚穀装置7と還元装置8とが連結していて位置関係のズレが発生しないので、精密なメンテナンスを行うことができ、メンテナンス性に優れる。
【0044】
揚穀ケース72の下方部の後方部分は、底板723で形成されている。底板723は、脱穀処理物を掬い上げるときのバケット714の移動経路に沿って湾曲し、揚穀ケース72の下方部(即ち、ギアケース部72B)に対して着脱自在に設けられている。底板723の下端部723bは、ギアケース部72Bに形成された平板状部72pに載置されることで支持され、底板723の上端部723uはボルト77によってギアケース部72Bに固定されている。図10のように、底板723には多数のスリット723sが形成されている。スリット723sの大きさは、大豆などの脱穀処理物を漏下させずに、それに付着した土などを排出できる程度に設定されている。スリット723sは形成されていなくても構わない。
【0045】
ギアケース部72Bの側板724には、例えば溶接によって補強側板725が取り付けられている。補強側板725は、底板723の左右方向の縁部と、それに沿った側板724の縁部との隙間を塞ぐようにして、側板724の外面に配置されている。かかる補強側板725によれば、側板724の撓みを抑えて、ギアケース部72Bの左右方向への膨らみを抑えることができる。また、ギアケース部72Bが膨らんだときに底板723と側板724との隙間から脱穀処理物が漏れ落ちることを防止できる。
【0046】
前述の実施形態では、第1蓋体741及び第2蓋体742を、それぞれ、上下にスライドさせることで着脱できる例を示したが、これに限られず、例えば、機体の前後方向に沿って左右にスライドさせることで着脱できるようにしてもよい。また、第1蓋体及び第2蓋体は、スライド動作によって着脱される構成に限られない。
【0047】
本実施形態では普通型コンバインの例を示したが、これに限られず、本発明は自脱型コンバインであってもよい。
【0048】
本発明は、上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。
【符号の説明】
【0049】
3 脱穀装置
7 揚穀装置
8 還元装置
51 グレンタンク
71 バケットコンベア
72 揚穀ケース
82 還元ケース
83 第3開口
84 第3蓋体
100 コンバイン
721 第1開口
722 第2開口
741 第1蓋体
742 第2蓋体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10