【解決手段】判別条件が成立した場合に、記憶手段に記憶されている情報に基づいて判別手段により判別が実行され、その判別結果を示すための識別情報が表示手段に動的表示手段により動的表示され、特定の判別結果を示すための特定識別情報で停止表示した場合に特定遊技が実行される。そして、記憶手段に記憶されている情報に基づく判別が実行されるまでに、情報に基づく事前判別が事前判別手段により実行され、事前判別の結果に基づいて所定数の特定図柄が表示手段に表示された特定図柄の表示数を、情報の数に関わらず可変表示させる。これにより、遊技者の遊技に対する興趣を向上させることができるという効果がある。
前記図柄数可変表示手段は、前記記憶手段に記憶されている前記情報の数が1以上である場合には、前記特定図柄の数として1以上の範囲で前記特定図柄の表示数を可変するものであることを特徴とする請求項1または2記載の遊技機。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、
図1から
図87を参照し、第1実施形態として、本発明をパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)10に適用した場合の一実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態におけるパチンコ機10の正面図であり、
図2はパチンコ機10の遊技盤13の正面図であり、
図3〜5はパチンコ機10の遊技盤13の正面視右下領域に設けられた普電入賞装置640の構造を模式的に示した模式図であり、
図6〜
図9はパチンコ機10の遊技盤13の正面視左上領域に設けられた特殊可変入賞装置65の構造を模式的に示した模式図であり、
図10はパチンコ機10の後面図である。
【0023】
図1に示すように、パチンコ機10は、略矩形状に組み合わせた木枠により外殻が形成される外枠11と、その外枠11と略同一の外形形状に形成され外枠11に対して開閉可能に支持された内枠12とを備えている。外枠11には、内枠12を支持するために正面視(
図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ18が取り付けられ、そのヒンジ18が設けられた側を開閉の軸として内枠12が正面手前側へ開閉可能に支持されている。
【0024】
内枠12には、多数の釘や球が入球可能な入球口63,64,640等を有する遊技盤13(
図2参照)が裏面側から着脱可能に装着される。この遊技盤13の正面を球(遊技球)が流下することにより弾球遊技が行われる。なお、内枠12には、球を遊技盤13の正面領域(遊技領域)に発射する球発射ユニット112a(
図21参照)やその球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13の正面領域まで誘導する発射レール(図示せず)等が取り付けられている。尚、遊技盤13に設けられた多数の入球口の内容については、
図2を参照して後述する。
【0025】
内枠12の正面側には、その正面上側を覆う正面枠14と、その下側を覆う下皿ユニット15とが設けられている。正面枠14及び下皿ユニット15を支持するために正面視(
図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ19が取り付けられ、そのヒンジ19が設けられた側を開閉の軸として正面枠14及び下皿ユニット15が正面手前側へ開閉可能に支持されている。なお、内枠12の施錠と正面枠14の施錠とは、シリンダ錠20の鍵穴21に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことでそれぞれ解除される。
【0026】
正面枠14は、装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には略楕円形状に開口形成された窓部14cが設けられている。正面枠14の裏面側には2枚の板ガラスを有するガラスユニット16が配設され、そのガラスユニット16を介して遊技盤13の正面がパチンコ機10の正面側に視認可能となっている。
【0027】
正面枠14には、球を貯留する上皿17が正面側へ張り出して上面を開放した略箱状に形成されており、この上皿17に賞球や貸出球などが排出される。上皿17の底面は正面視(
図1参照)右側に下降傾斜して形成され、その傾斜により上皿17に投入された球が球発射ユニット112a(
図21参照)へと案内される。また、上皿17の上面には、枠ボタン22が設けられている。この枠ボタン22は、例えば、第3図柄表示装置81(
図2参照)で表示される演出のステージを変更したり、スーパーリーチの演出内容を変更したりする場合などに、遊技者により操作される。
【0028】
正面枠14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。窓部14cの周縁には、LED等の発光手段を内蔵した電飾部29〜33が設けられている。パチンコ機10においては、これら電飾部29〜33が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部29〜33が点灯または点滅して、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前のリーチ中である旨が報知される。また、正面枠14の正面視(
図1参照)左上部には、LED等の発光手段が内蔵され賞球の払い出し中とエラー発生時とを表示可能な表示ランプ34が設けられている。
【0029】
また、右側の電飾部32下側には、正面枠14の裏面側を視認できるように裏面側より透明樹脂を取り付けて小窓35が形成され、遊技盤13正面の貼着スペースK1(
図2参照)に貼付される証紙等がパチンコ機10の正面から視認可能とされている。また、パチンコ機10においては、より煌びやかさを醸し出すために、電飾部29〜33の周りの領域にクロムメッキを施したABS樹脂製のメッキ部材36が取り付けられている。
【0030】
窓部14cの下方には、貸球操作部40が配設されている。貸球操作部40には、度数表示部41と、球貸しボタン42と、返却ボタン43とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部40が操作されると、その操作に応じて球の貸出が行われる。具体的には、度数表示部41はカード等の残額情報が表示される領域であり、内蔵されたLEDが点灯して残額情報として残額が数字で表示される。球貸しボタン42は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿17に供給される。返却ボタン43は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿17に球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部40が不要となるが、この場合には、貸球操作部40の設置部分に飾りシール等を付加して部品構成は共通のものとしても良い。カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との共通化を図ることができる。
【0031】
上皿17の下側に位置する下皿ユニット15には、その中央部に上皿17に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿50が上面を開放した略箱状に形成されている。下皿50の右側には、球を遊技盤13の正面へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル51が配設される。
【0032】
操作ハンドル51の内部には、球発射ユニット112aの駆動を許可するためのタッチセンサ51aと、押下操作している期間中には球の発射を停止する発射停止スイッチ51bと、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器(図示せず)などが内蔵されている。操作ハンドル51が遊技者によって右回りに回動操作されると、タッチセンサ51aがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が回動操作量に対応して変化し、その可変抵抗器の抵抗値に対応した強さ(発射強度)で球が発射され、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤13の正面へ球が打ち込まれる。また、操作ハンドル51が遊技者により操作されていない状態においては、タッチセンサ51aおよび発射停止スイッチ51bがオフとなっている。
【0033】
下皿50の正面下方部には、下皿50に貯留された球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー52が設けられている。この球抜きレバー52は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿50の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から球が自然落下して排出される。この球抜きレバー52の操作は、通常、下皿50の下方に下皿50から排出された球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される)を置いた状態で行われる。下皿50の右方には、上述したように操作ハンドル51が配設され、下皿50の左方には灰皿53が取り付けられている。
【0034】
図2に示すように、遊技盤13は、正面視略正方形状に切削加工したベース板60に、球案内用の多数の釘(図示せず)や風車の他、レール61,62、一般入球口63、特図入球口64、640、可変入賞装置65、V入賞装置650、普通図柄始動口(スルーゲート)67、可変表示装置ユニット80等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠12(
図1参照)の裏面側に取り付けられる。ベース板60は光透過性の樹脂材料からなり、その正面側からベース板60の後面側に配設された各種構造体を遊技者に視認させることが可能に形成される。一般入球口63、特図入球口64、普電入賞装置640、V入賞装置65、可変入賞装置650、可変表示装置ユニット80は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の正面側からタッピングネジ等により固定されている。
【0035】
遊技盤13の正面中央部分は、正面枠14の窓部14c(
図1参照)を通じて内枠12の正面側から視認することができる。以下に、主に
図2を参照して、遊技盤13の構成について説明する。
【0036】
遊技盤13の正面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール62が植立され、その外レール62の内側位置には外レール62と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール61が植立される。この内レール61と外レール62とにより遊技盤13の正面外周が囲まれ、遊技盤13とガラスユニット16(
図1参照)とにより前後が囲まれることにより、遊技盤13の正面には、球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。遊技領域は、遊技盤13の正面であって2本のレール61,62とレール間を繋ぐ樹脂製の外縁部材73とにより区画して形成される領域(入賞口等が配設され、発射された球が流下する領域)である。
【0037】
2本のレール61,62は、球発射ユニット112a(
図9参照)から発射された球を遊技盤13上部へ案内するために設けられたものである。内レール61の先端部分(
図2の左上部)には戻り球防止部材68が取り付けられ、一旦、遊技盤13の上部へ案内された球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。外レール62の先端部(
図2の右上部)には、球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム69が取り付けられ、所定以上の勢いで発射された球は、返しゴム69に当たって、勢いが減衰されつつ中央部側へ跳ね返される。
【0038】
返しゴム69の左上側には第1図柄表示装置37が設けられている。この第1図柄表示装置37は、透明の樹脂(例えば、ABS)にて形成されている遊技盤13の裏面(遊技領域を形成する面とは反対側の面)に覆われるように配設されており、発射された球が第1図柄表示装置37に衝突しないように構成している。
【0039】
この第1図柄表示装置37には、発光手段である複数のLED及び7セグメント表示器を備える第1図柄表示装置37が配設されている。第1図柄表示装置37は、主制御装置110(
図21参照)で行われる各制御に応じた表示がなされるものであり、主にパチンコ機10の遊技状態の表示が行われる。本実施形態では、球が、特図入球口64へ入球(入賞)した場合に、第1図柄表示装置37が作動するように構成されている。つまり、第1図柄表示装置37は、特図入球口64に球が入球した場合に実行される抽選(特図抽選)の抽選結果を示すための表示手段である。なお、本実施形態では、特別図柄の種別が1種類のパチンコ機10を用いているため、第1図柄表示装置37にて1種類の特図抽選の結果が表示されるが、例えば、特別図柄の種別を2種類(第1特別図柄、第2特別図柄)有するパチンコ機10であれば、第1図柄表示装置37に各特別図柄の種別に応じた表示領域を設ければ良い。
【0040】
また、第1図柄表示装置37は、LEDにより、パチンコ機10の遊技状態(例えば、通常状態、時短状態等)の何れであるかを点灯状態により示したり、特別図柄(第1図柄)が変動中(抽選結果を示すための図柄の組み合わせを停止表示させるための動的表示中)であるか否かを点灯状態により示したり、停止図柄が遊技者に有利な大当たりに対応した図柄か不利な大当たりに対応した図柄か外れ図柄であるかを点灯状態により示したり、保留球数を点灯状態により示すと共に、7セグメント表示装置により、大当たり中のラウンド数やエラー表示を行う。また、特別図柄の変動を一時的に停止(中断)させている状態であることも点灯状態にて示すことが可能に構成している。複数のLEDは、それぞれのLEDの発光色(例えば、赤、緑、青)が異なるよう構成され、その発光色の組み合わせにより、少ないLEDでパチンコ機10の各種遊技状態を示唆することができる。なお、本実施形態では、発光手段(7セグメント表示装置)の発光色の組み合わせにより各種遊技状態を報知するように構成しているが、遊技者が各種遊技状態を識別可能な構成であれば良く、例えば、発光手段が点灯している期間と消灯している期間との長さ(点滅態様)を可変させることにより各種遊技状態を報知するように構成しても良い。
【0041】
尚、本パチンコ機10では、特図入球口64へ入球(入賞)があったことを契機として抽選(特別図柄の抽選)が行われる。そして、その特別図柄の抽選において、大当たりか否かの当否判定(大当たり抽選)を行う。ここで、大当たりに当選したと判定されたことに基づいて、遊技者に有利な特典遊技状態となる大当たり遊技が実行される。
【0042】
大当たり遊技が実行されると、可変入賞装置650の特定入賞口650aに球を容易に入賞させることが可能な開放状態となり、特定入賞口650aに球を入賞させることで多くの賞球を短期間で獲得可能な遊技が実行される。この大当たり遊技は、特別図柄の抽選結果が停止表示(確定表示)された後に(場合に)実行されるものであり、所定時間(例えば1秒)のオープニング期間(可変入賞装置650の特定入賞口650aに球を入球させ難い閉鎖状態が設定される期間)と、開放状態が設定されるラウンド遊技期間と、1のラウンド遊技期間が終了した後に、次のラウンド遊技が開始されるまでの所定期間(例えば、0.5秒)、閉鎖状態が設定されるインターバル期間と、最後のラウンド遊技期間が終了した後に、所定期間(例えば、2秒)の閉鎖状態が設定されるエンディング期間と、からなる大当たり遊技期間が設定される。
【0043】
このように、大当たり当選を示す特別図柄の抽選結果が停止表示(確定表示)された後に、オープニング期間が設定することにより、大当たり遊技中において特定入賞口650aが開放状態となるタイミングに合わせて球を任意の方向に向けて発射させる準備を行うことができるため、大当たり遊技を円滑に行わせることができる。また、このオープニング期間を、今回の大当たり遊技の遊技内容を遊技者に報知する期間として用いることができるため、分かり易い遊技を提供することができる。
【0044】
また、大当たり遊技の最終期間としてエンディング期間を設定することにより、最後のラウンド遊技が終了した直後から、新たな特別図柄の抽選が実行されることを抑制することができるため、大当たり遊技の終了後に実行される遊技に向けて、球を任意の方向に向けて発射させる準備を行うことができるため、遊技の切り替えを円滑に行わせることができる。
【0045】
なお、特別図柄の抽選で大当たり当選した場合に実行される大当たり遊技の各期間(オープニング期間、ラウンド期間、エンディング期間)の長さについては、大当たり当選した時点における遊技状態や、当選した大当たりの種別に応じて異なる長さを設定しても良く、例えば、大当たり遊技終了後に実行される遊技内容として、大当たり当選時の遊技内容とは異なる遊技内容が設定される大当たりに当選した場合には、その大当たり遊技のエンディング期間(例えば、10秒)が、他の大当たり遊技のエンディング期間(例えば、2秒)よりも長くなるように設定しておき、そのエンディング期間中に遊技者に対して大当たり遊技終了後に実行される遊技内容を事前に案内する演出を実行可能に構成すると良い。これにより、遊技者に対して分かり易い遊技を提供することができる。
【0046】
一方、大当たり当選時の遊技内容と、大当たり遊技終了後に実行される遊技内容とが同一となる大当たりに当選した場合には、その大当たりのエンディング期間(例えば、1秒)を、他の大当たり遊技のエンディング期間(例えば、2秒)よりも短くなるように設定するように構成すると良い。これにより、遊技者に対して効率良く遊技を行わせることができる。
【0047】
また、大当たり当選時の遊技内容と、大当たり遊技終了後に実行される遊技内容とを実際に判別する構成を用いること無く、例えば、当選した大当たりの種別と、大当たり当選した時点における遊技状態とに基づいて、大当たり遊技終了後に設定される遊技状態を予め規定しておき、その規定内容に応じて、各大当たり遊技のエンディング期間を予め設定しておけば良い。
【0048】
具体的な説明は後述するが、本実施形態におけるパチンコ機10では、遊技状態が通常状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の低確率状態)である場合に遊技者に実行させる遊技と、時短状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の高確率状態)である場合に遊技者に実行させる遊技と、を異ならせるように構成し、通常状態中に実行させる遊技よりも、時短状態中に実行させる遊技のほうが遊技者に有利となる(大当たり遊技が実行され易くなる)ように構成している。
【0049】
つまり、通常状態が設定されている状態で大当たり当選し、その大当たり当選に基づいて実行される大当たり遊技の終了後に時短状態が設定される大当たり遊技のエンディング期間のほうが、既に時短状態が設定されている状態で大当たり当選し、その大当たり当選に基づいて実行される大当たり遊技の終了後に再度時短状態が設定される大当たり遊技のエンディング期間よりも長くなるように大当たり遊技の内容(動作シナリオ)を規定しておけば良い。これにより、予め規定された内容に従って大当たり遊技を実行するだけで、遊技者に適した期間のエンディング期間を設定することができる。
【0050】
なお、当選した大当たりの種別や、大当たり当選時の遊技状態に応じてエンディング期間以外の期間を異ならせるように予め規定しても良く、オープニング期間や、インターバル期間を異ならせても良い。また、当選した大当たりの種別が同一であっても、大当たり当選時の遊技状態に応じて大当たり遊技中の各期間の長さを異ならせるように構成しても良い。これにより、遊技者に対して、どの大当たり種別で大当たり当選したか(特別図柄の抽選結果)だけでは無く、大当たり当選時の遊技状態についても興味を持たせることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0051】
さらに、大当たり抽選において大当たり当選した場合は、その大当たり種別の判定も行う。詳細な説明は後述するが、判定される大当たり種別としては、大当たり遊技のラウンド数が4ラウンドで大当たり遊技終了後に時短状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の高確率状態)が付与される4R時短大当たりとして、時短状態の継続期間を異ならせた大当たり種別(時短状態が設定された後、大当たり当選することなく特別図柄の抽選が4回実行されるまで時短状態が継続する時短大当たり(時短回数4回)と、大当たり当選することなく特別図柄の抽選が15回実行されるまで時短状態が継続する時短大当たり(時短回数15回))が用意されている。
【0052】
なお、本実施形態では、特別図柄の抽選で大当たりに当選しなかった場合は外れと判定され、遊技者に特典が付与されないように構成しているが、これに限ること無く、例えば、大当たり抽選の抽選結果として上述した大当たりでは無い外れと判定された場合の一部において、上述した大当たりよりも遊技者に付与される特典が少ない(例えば、1ラウンドのみV入賞装置65を開放させる特典)小当たり遊技が実行されるように構成しても良い。第1図柄表示装置37には、変動終了後の停止図柄として抽選の結果が大当たりであるか否か(小当たりであるか否か)が示されるだけでなく、大当たりである場合はその大当たり種別に応じた図柄が示される。
【0053】
本実施形態では、遊技状態として、「通常状態」、「時短状態」の何れかが設定されるように構成している。通常状態は、特別図柄の大当たり確率が低確率(1/100)に設定され、普通図柄の当たり確率が低確率(1/1000)に設定される遊技状態(以下、特別図柄の低確率状態、普通図柄の低確率状態と称す)であり、時短状態は、特別図柄の大当たり確率が低確率(1/100)に設定され、普通図柄の当たり確率が高確率(300/1000)に設定される遊技状態(以下、特別図柄の低確率状態、普通図柄の高確率状態と称す)である。
【0054】
ここで、「4R大当たり(時短4回)」とは、最大ラウンド数が4ラウンドの大当たり遊技(可変入賞装置650を4ラウンド分開放させる大当たり遊技)の後に、時短状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の高確率状態)へ移行させることが可能な大当たりのことであって、大当たり遊技終了後に時短回数が4回の時短状態が設定される。
【0055】
「4R大当たり(時短15回)」とは、最大ラウンド数が4ラウンドの大当たり遊技(可変入賞装置650を4ラウンド分開放させる大当たり遊技)の後に、時短状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の高確率状態)へ移行させることが可能な大当たりのことであって、大当たり遊技終了後に時短回数が15回の時短状態が設定される。
【0056】
本実施形態では、時短状態が設定された後、所定の終了条件(時短終了条件)が成立した場合に、遊技状態が時短状態から通常状態へと移行するように構成しており、上述した時短回数とは、時短終了条件を示すものである。つまり、時短回数4回とは、時短状態が設定されてから大当たりに当選すること無く、特別図柄の抽選が4回実行された(4回目の特別図柄変動が停止表示した)場合に時短終了条件が成立し、時短回数15回とは、時短状態が設定されてから大当たりに当選すること無く、特別図柄の抽選が15回実行された(15回目の特別図柄変動が停止表示した)場合に時短終了条件が成立するように規定されている。
【0057】
即ち、「4R大当たり(時短4回)」のほうが、「4R大当たり(時短15回)」よりも、成立し易い時短終了条件が規定されている大当たり種別となるため、「4R大当たり(時短4回)」よりも、「4R大当たり(時短15回)」のほうが、時短状態が継続し易い大当たり種別となり、遊技者に有利となる大当たり種別となる。
【0058】
なお、本実施形態では、時短状態を終了させるための時短終了条件として、時短状態中の特別図柄抽選の回数に関する条件(時短回数)を規定しているが、時短終了条件としてそれ以外の構成を用いても良く、例えば、特別図柄抽選の結果が大当たり以外であって、特定の抽選結果(特定の外れ)である回数が所定回数(例えば、3回)に到達した場合に成立する時短終了条件や、時短状態が設定されてからの経過時間が所定時間(例えば、100秒)経過した場合に成立する時短終了条件や、時短状態中に球が特定の入球口(例えば、一般入球口63a)に入球した個数が所定個数(例えば、5個)に到達した場合に成立する終了条件を設定しても良い。
【0059】
図2に戻り説明を続ける。遊技盤13の表面に形成される遊技領域の左下方側には、球が入球することにより10個の球が賞球として払い出される複数の左一般入球口63aが配設されている。また、遊技領域の中央部分には、可変表示装置ユニット80が配設されている。可変表示装置ユニット80には、特図入球口64への入球(始動入賞)をトリガとして、第1図柄表示装置37における変動表示と同期させながら、第3図柄の変動表示を行う液晶ディスプレイ(以下単に「表示装置」と略す)で構成された第3図柄表示装置81と、普通図柄始動口(スルーゲート)67への球の通過をトリガとして普通図柄(第2図柄)を変動表示するLEDで構成される第2図柄表示装置(図示せず)とが設けられている。また、可変表示装置ユニット80には、第3図柄表示装置81の外周を囲むようにして、センターフレーム86が配設されている。
【0060】
第3図柄表示装置81は15インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成されるものであり、表示制御装置114(
図21参照)によって表示内容が制御されることにより、例えば左、中及び右の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄(第3図柄)によって構成され、これらの第3図柄が図柄列毎に縦スクロールして第3図柄表示装置81の表示画面上にて第3図柄が可変表示(動的表示)されるようになっている。本実施形態の第3図柄表示装置81は、主制御装置110(
図21参照)の制御に伴った遊技状態の表示が第1図柄表示装置37で行われるのに対して、その第1図柄表示装置37の表示に応じた装飾的な表示を行うものである。なお、表示装置に代えて、例えばリール等を用いて第3図柄表示装置81を構成するようにしても良い。
【0061】
第2図柄表示装置は、球が普通図柄始動口(スルーゲート)67を通過する毎に表示図柄(第2図柄(図示せず))としての「○」の図柄と「×」の図柄とを所定時間交互に点灯させる変動表示を行うものである。パチンコ機10では、球が普通図柄始動口(スルーゲート)67を通過したことが検出されると、当たり抽選が行われる。その当たり抽選の結果、当たりであれば、第2図柄表示装置において、第2図柄の変動表示後に「○」の図柄が停止表示される。また、当たり抽選の結果、外れであれば、第2図柄表示装置において、第3図柄の変動表示後に「×」の図柄が停止表示される。
【0062】
パチンコ機10は、第2図柄表示装置における変動表示が所定図柄(本実施形態においては「○」の図柄)で停止した場合に、普電入賞装置640に付随された電動役物640aが所定時間だけ作動状態(開放状態)となる当たり遊技(普図当たり遊技)が実行されるよう構成している。
【0063】
第2図柄の変動表示にかかる時間は、普図抽選の結果、及び、普通図柄の確率状態(低確率状態、高確率状態)に関わらず常に一定(3秒)となるように構成されている。このように構成することで、例えば、普通図柄の低確率状態中(通常状態中)に普図当たり遊技が実行され難くするために、普通図柄の変動表示にかかる時間(普図変動時間)が時短状態中よりも通常状態中のほうが長くなるように構成したパチンコ機10において、普通図柄の当たり遊技(普図当たり遊技)が実行され難い通常状態(普通図柄の低確率状態)から、普図当たり遊技が実行され易い時短状態(普通図柄の高確率状態)へと遊技状態が移行する場合に、通常状態中に実行された長時間の普通図柄変動(時短状態中よりも遊技者に不利となる普図当たり遊技)の実行中に時短状態へと移行してしまい、時短状態が設定されたにも関わらず、時短状態中の普通図柄抽選が実行されない期間が長時間設定されてしまうことを抑制することができる。
【0064】
本実施形態では、通常状態と時短状態とで、普通図柄の変動時間を可変させること無く、実行される普図当たり遊技の遊技内容(電動役物640aの開放パターン)を異ならせるように構成している。具体的には、通常状態中に実行される普図当たり遊技よりも、時短状態中に実行される普図当たり遊技のほうが、遊技者に有利な普図当たり遊技、即ち、球が、特電作動口643に入賞し易くなるように構成している。具体的には、通常状態が設定されている場合は、4.1秒間のオープニング期間(電動役物640aの閉鎖期間)を経て、0.1秒の開放期間が設定される普図当たり遊技(通常普図当たり遊技)が実行され、時短状態が設定されている場合は、0.1秒のオープニング期間(電動役物640aの閉鎖期間)を経て、3秒の開放期間が設定される普図当たり遊技(時短普図当たり遊技)が実行される。
【0065】
このように、普通図柄の確率状態に応じて、電動役物640aが開放状態となる期間を異ならせた普図当たり遊技を実行することにより、通常状態(普通図柄の低確率状態)よりも時短状態(普通図柄の高確率状態)のほうが普図当たり遊技中に普電入賞装置640内に球を入賞させ易くすることができる。
【0066】
さらに、詳細な説明は後述するが、本実施形態では、通常状態と、時短状態とで普図当たり遊技中に普電入賞装置640に入賞した球が特電作動口643へと入球する割合を異ならせるように構成している。具体的には、通常状態中に実行される通常普図当たり遊技中に普電入賞装置640に入賞した球よりも、時短普図当たり遊技中に普電入賞装置640に入賞した球のほうが、特電作動口643に入球し易くなるように構成している。このように構成することで、通常状態が設定されている場合は、球を普電入賞装置640に入賞させ難く、且つ、たとえ普電入賞装置640に入賞した場合であっても特電作動口643へと入球し難くし、時短状態が設定されている場合は、球を普電入賞装置640に入賞させ易く、且つ、普電入賞装置640に入賞した場合に特電作動口643へと球を入球させ易くすることができる。
【0067】
つまり、本実施形態では、発射された球が特電作動口643へと入球するまでの複数の過程において、特電作動口643への球の入球を許容する状態と、規制する状態とを設定される遊技状態に応じて可変しているため、特電作動口643への球の入球のし易さを、設定される遊技状態に応じて確実に異ならせることができる。
【0068】
図2を参照して上述した通り、本実施形態では、通常状態が設定されている遊技状態中も、時短状態が設定されている遊技状態中も、遊技者に有利となる遊技方法が同一(左打ち遊技)となるように構成している。このように構成されたパチンコ機10では、通常状態中にも普通図柄の抽選契機が成立し(スルーゲート67への球通過が発生し)、普通図柄の抽選が実行される。そして、普通図柄抽選の結果、当たり当選した場合には、左打ち遊技によって発射された球が到達可能な遊技領域に設けられた電動役物640aが開放制御されるため、時短普図当たり遊技よりも普電入賞装置640内に球を入賞させ難い通常普図当たり遊技の実行中において、球が普電入賞装置640に入賞してしまう虞があった。
【0069】
これに対して、本実施形態のパチンコ機10は、通常状態中に実行される普図当たり遊技中に球が普電入賞装置640に入賞したとしても、その入賞球が特電作動口643へと入球し難くなるように構成している。このように構成することで、通常状態(普通図柄の低確率状態)と、時短状態(普通図柄の高確率状態)と、で同一の遊技方法で遊技を実行する構成を有するパチンコ機10において、通常状態中に普電入賞装置640に球が入球してしまったとしても、その球が特電作動口643へと入球してしまうことを抑制することができる。
【0070】
なお、本実施形態では、通常状態(普通図柄の低確率状態)と、時短状態(普通図柄の高確率状態)とで、普通図柄の変動パターンとして同一の変動時間(3秒)が設定されるように構成しているが、これに限ること無く、例えば、遊技状態が普通図柄の低確率状態(通常状態)の場合と、普通図柄の高確率状態(時短状態)の場合とで、普通図柄の高確率状態(時短状態)の方が普通図柄の変動時間が短くなるように構成しても良い。また、普通図柄の高確率状態中(普図高確中)において、普通図柄の当たり確率を高める、1回の当たりに対する電動役物640aの開放時間や開放回数を増やすなど、その他の方法を用いて普通図柄の高確率状態を、普通図柄の低確率状態よりも普電入賞装置640へ球が入球しやすい状態としている場合は、第2図柄の変動表示にかかる時間を遊技状態にかかわらず一定としてもよい。一方、第2図柄の変動表示にかかる時間を、普図高確中において通常状態よりも短く設定する場合は、当たり確率を遊技状態にかかわらず一定にしてもよいし、また、1回の当たりに対する電動役物640aの開放時間や開放回数を遊技状態にかかわらず一定にしてもよい。
【0071】
普通図柄始動口(スルーゲート)67は、可変表示装置ユニット80の左側の領域(左側領域)において遊技盤13に組み付けられ、遊技盤に発射された球のうち、遊技盤13の左側領域を流下する球の殆ど(約100%)が通過可能に構成されている。普通図柄始動口(スルーゲート)67を球が通過すると、第2図柄の当たり抽選が行われる。この第2図柄の当たり抽選の後、第2図柄表示装置にて変動表示を行い、当たり抽選の結果が当たりであれば、変動表示の停止図柄として「○」の図柄を表示し、当たり抽選の結果が外れであれば、変動表示の停止図柄として「×」の図柄を表示する。
【0072】
球の普通図柄始動口(スルーゲート)67の通過回数は、合計で最大1回まで保留され、その保留球数が上述した第2図柄保留ランプ84において表示される。第2図柄保留ランプ84は、最大保留数分の1つ設けられ、第3図柄表示装置81の下方に左右対称に配設されている。
【0073】
なお、第2図柄の変動表示は、本実施形態のように、第2図柄表示装置において複数のランプの点灯と非点灯を切り換えることにより行うものの他、第1図柄表示装置37a,37b及び第3図柄表示装置81の一部を使用して行うようにしても良い。同様に、第2図柄保留ランプの点灯を第3図柄表示装置81の一部で行うようにしても良い。また、普通図柄始動口(スルーゲート)67の球の通過に対する最大保留球数は1回に限定されるものでなく、2回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、普通図柄始動口(スルーゲート)67の組み付け数は1つに限定されるものではなく、複数(例えば、2つ)であっても良い。また、普通図柄始動口(スルーゲート)67の組み付け位置は可変表示装置ユニット80の左方に限定されるものではなく、例えば、可変表示装置ユニット80の右方でも良い。また、本実施形態では、左打ち遊技によって遊技盤13の左側領域を流下する球の殆どがスルーゲート67を通過するように構成しているが、これに限ること無く、一部の球のみがスルーゲート67を通過するように構成しても良い。
【0074】
次に、普通図柄抽選で当たり当選した場合に開放状態となる普電入賞装置640の構成について説明をする。普電入賞装置640は、
図2に示した通り、可変表示装置ユニット80の下方に設けられており、その内部へと球を入賞可能にする開放状態と、その開放状態よりも入賞し難い閉鎖状態とに可変可能な電動役物640aが、遊技盤13上に形成された遊技領域のうち左側領域(可変表示装置ユニット80よりも正面視左側の領域)を流下する球が到達する箇所に電動役物640aが付設されている。本実施形態では、左打ち遊技によって発射された球が、約3球の1球の割合で普電入賞装置640へと到達(電動役物640aが開放状態であれば普電入賞装置640へと入賞可能な位置に到達)するように構成している。
【0075】
電動役物640aは、通常、閉鎖状態を維持しているものであり、普通図柄抽選で当たり当選した場合に、電動役物640aが予め定められた可変パターンで所定期間開放状態へと可変動作される普図当たり遊技が実行される。つまり、本実施形態では、普通図柄抽選によって当たり当選し普図当たり遊技が実行させることにより、普電入賞装置640に球が入賞し易い状態を遊技者に提供可能に構成している。
【0076】
以上、説明をした通り、本実施形態では、継続して左打ち遊技を実行することにより、普通図柄の抽選契機を成立可能にし(スルーゲート67へと球を通過可能にし)、且つ、普通図柄の抽選で当たり当選した場合に開放状態となる普電入賞装置640内に球を入賞させることが可能となるように構成している。さらに、左打ち遊技によって、特別図柄の抽選契機も成立させることができるように構成している。加えて、特別図柄の抽選で大当たりに当選した場合に実行される大当たり遊技によって可変動作される可変入賞装置650も左打ち遊技によって発射された球が入賞可能となる位置に配設されている。
【0077】
このように構成することで、遊技状態に関わらず、常に同一の遊技方法(左打ち遊技)で遊技者に遊技を行わせることができるため、遊技者に対して遊技方法を変更させる煩わしさを与えることが無く、スムーズに遊技を行わせることができる。
【0078】
ここで、
図3から
図5を参照して、普電入賞装置640の構成および普電入賞装置640内に入賞した球の流れについて詳細に説明をする。
図3は、普電入賞装置640の内部構成を模式的に示した模式図であって、
図4は、普電入賞装置640内に入賞した球がアウト口644へ流入する流れを示した模式図であって、
図5は、普電入賞装置640内に入賞した球が特電作動口643に入球する流れを示した模式図である。
【0079】
本実施形態では、スルーゲート67を球が通過したことを契機に普通図柄の抽選が実行され、普通図柄の抽選で当たりに当選した場合に、電動役物640aを所定の可変パターンで開放動作させる普図当たり遊技が実行される。そして、この普図当たり遊技にて電動役物640aが開放状態へと可変すると、球が普電入賞装置640内へと入賞し得る状態となる。
【0080】
図3に示した通り、普電入賞装置640内には第2可動弁642が設けられている。この第2可動弁642は、普図当たり遊技の実行を契機に、普電入賞装置640内に流入し第1流路641aを流下した球を、特電作動口643へと連通する第2流路641bへと誘導可能な第1状態と、アウト口644へと連通する第3流路641cへと誘導可能な第2状態とに所定の可変パターンで可変するように構成されている。また、普電入賞装置640に入賞した球は、球検知センサ640sにより検知され、1回の普図当たり遊技における普電入賞装置640への球の入賞数を計測可能に構成している。詳細な説明は省略するが、本実施形態では、1回の普図当たり遊技にて普電入賞装置640へと入賞した球数が所定個数(例えば10個)に到達した場合には、その時点で普図当たり遊技が終了するように構成している。なお、本実施形態では、球が特電作動口643へと入賞した場合に賞球(4個)が払い出され、アウト口644に入球した場合には賞球が払い出されないように構成している。
【0081】
この普電入賞装置640は、遊技者が普電入賞装置640内の球流れを視認できるように透過性を有するアクリル樹脂でカバー体が形成されており、そのカバー体が遊技盤13に取り付けられている。よって、普電入賞装置640内の球流れを遊技者に視認させることができるため、普電入賞装置640に入賞した球の挙動を遊技者に楽しませることができる。
【0082】
普電入賞装置640に設けられた電動役物640aは、第2隔壁640k2の上端部側を回動の基部として設けられており、球が普電入賞装置640へと入賞し難い閉鎖状態(
図3参照)と、その閉鎖状態よりも球が普電入賞装置640へと入賞し易い開放状態(
図4参照)と、に可変可能に構成されている。
図3に示した通り、閉鎖状態中の電動役物640aは、普電入賞装置640内に収納されるように構成されており、具体的には、第2隔壁640k2の垂直線上よりも左側(
図3の視点で左側)に第1隔壁640k1の先端部が突出するように構成されており、その第1隔壁640k1の先端部の下方位置に閉鎖状態の電動役物640aが収まるように構成している。このように構成することで、閉鎖状態の電動役物640aが、左打ち遊技によって発射された球と接触し難くすることができるため、電動役物640aが破損する事態を発生させ難くすることができる。
【0083】
詳細な説明は後述するが、本実施形態では普図当たり遊技が実行される時点にて設定されている遊技状態に応じて、普電入賞装置640内に入賞した球が特電作動口643に入賞する確率(入賞のし易さ)を異ならせるように構成している。具体的には、普図当たり遊技が実行されてから電動役物640aが所定の開放パターンで開放制御されるまでの期間(普図当たりオープニング期間)を異ならせることにより、通常状態中に実行される普図当たり遊技にて普電入賞装置640内に入賞した球が、時短状態中に実行される普図当たり遊技にて普電入賞装置640内に入賞した球よりも、特電作動口643に入賞し難くなるように構成している。
【0084】
このように構成することで、通常状態中も時短状態中も同一の遊技方法(左打ち遊技)で遊技を行わせる本実施形態のパチンコ機10において、通常状態中に特電作動口643へ球が入賞することを抑制することができる。さらに、本実施形態では、通常状態中に実行される普図当たり遊技のほうが、時短状態中に実行される普図当たり遊技よりも球が普電入賞装置640内に入賞し難い普図当たり遊技が実行されるように構成している。この構成によっても、通常状態中に特電作動口643へ球が入賞することを抑制することができる。つまり、本実施形態では、通常状態中は時短状態中よりも普電入賞装置640内に球を入賞させ難くする対策に加え、通常状態中に普電入賞装置640内に球が入賞した場合には、時短状態中に普電入賞装置640内に球が入賞した場合よりも特電作動口643に球が入賞し難くする対策を有している。このように、通常状態中における特電作動口643への球の入賞を抑制する構成を複数段階で設けることにより、より確実に抑制することができる。
【0085】
次に、
図4を参照して、通常状態が設定されている場合に実行される普図当たり遊技にて球が普電入賞装置640内に入賞した際の球流れについて説明をする。
図4は、通常状態中における普図当たり遊技にて普電入賞装置640に入賞した球の流れを示した模式図である。本実施形態では、遊技者に遊技方法を変更させる煩わしさを与えないようにするために、常時左打ち遊技で遊技が実行可能となるように構成している。よって、普通図柄の低確率状態である通常状態中においても、普通図柄の抽選契機が成立し(スルーゲート67へと球が通過し)、普図当たり遊技が実行された場合に普電入賞装置640内に球が入賞する虞があった。
【0086】
即ち、通常状態(普通図柄の低確率状態)は、普電入賞装置640内に球を入賞させ易い時短状態(普通図柄の高確率状態)に比べて、普電入賞装置640内に球を入賞させ難い遊技状態ではあるが、本実施形態では、通常状態と時短状態とで同一の遊技方法(左打ち遊技)が実行されるため、低確率ではあるが、通常状態中に普電入賞装置640内に球が入賞してしまう可能性があった。
【0087】
上述した通り、普電入賞装置640内には、V入賞装置65を開放動作させる当たり遊技(役物当たり遊技)の実行契機となる特電作動口643が設けられており、通常状態中に球が特電作動口643へ入球し、役物当たり遊技が実行されてしまうと、通常状態の遊技を行っている遊技者に対して過剰に有利な遊技を提供してしまうという問題があった。
【0088】
これに対して、本実施形態では、通常状態中に普電入賞装置640に入賞した球が特電作動口643に入球する割合と、時短状態中に普電入賞装置640に入賞した球が特電作動口643に入球する割合と、を異ならせるように構成している。具体的には、通常状態で普図当たり遊技が実行される場合は、時短状態で普図当たり遊技が実行される場合よりも、普図当たり遊技が開始されてから電動役物640aが開放状態となる(最初に開放状態となる)までの期間を長く設定し、普図当たり遊技の開始に基づいて可動する第2可動弁642が第2状態(普電入賞装置640に入賞した球をアウト口644へと誘導可能な状態)を維持するタイミングでのみ球が普電入賞装置640に入賞し得るように構成している。
【0089】
つまり、
図4に示した通り、通常状態中に実行される普図当たり遊技中に普電入賞装置640へと球が入賞すると、球の流下期間が約0.5秒に設計された第1流路641aを球が流下し、第2状態に位置する第2可動弁642によって第3流路641cへと誘導され、アウト口644に入球することになる(第2可動弁642に到達してからアウト口644へと入球するまでの期間が約0.3秒に設計)。このように構成することで、たとえ、通常状態中に普電入賞装置640に球が入賞したとしても、特電作動口643に球が入球することを抑制することができるため、通常状態の遊技を行っている遊技者に対して過剰に有利な遊技を提供してしまうことを抑制することができる。
【0090】
また、通常状態中に球が特電作動口643に入球することを抑制するために、通常状態中に実行される普図当たり遊技によって球が普電入賞装置640に入賞しないようにするための特殊な構成を用いる必要が無いため、遊技盤13の設計自由度を高めることができる。
【0091】
さらに、詳細な説明は後述するが、通常状態中に実行される普図当たり遊技では、第2可動弁642を第2状態へと可変させるタイミング(普図当たり遊技開始時)が、電動役物640aが開放状態となるタイミング(普図当たり遊技開始から4.1秒後)よりも早く、例え、第2可動弁642が第1状態に位置している状態で普図当たり遊技が開始されたとしても、第2可動弁642が可変動作している際中に球が第2可動弁642に到達することが無いように構成している。このように構成することで、可変動作中の第2可動弁642と普電入賞装置640に入賞した球とが接触してしまい、普電入賞装置640内で球詰まりが発生してしまう事態や、第2可動弁642が故障してしまう事態を防止することができる。
【0092】
なお、本実施形態では、普電入賞装置640内に設けられた特電作動口643に球が入球した場合には、賞球として4個の球が払い出され、アウト口644に球が入球した場合には、賞球が払い出されないように構成しているが、これに限ること無く、例えば、アウト口644に球が入球した場合には、特電作動口643に球が入球した場合よりも多くの数の賞球(例えば、10個)が払い出されるように構成しても良い。このように構成することで、普通図柄の抽選に基づいて遊技者に付与される特典を遊技状態に応じて可変させることが可能となる。具体的には、通常状態が設定されている状態では、遊技者に対して時短状態よりも多くの賞球を特典として付与し、時短状態が設定されている状態では、遊技者に対して、通常状態よりも少ない賞球に加え、通常状態では付与されない(され難い)役物当たり遊技を特典として付与することができる。よって、何れの遊技状態が設定されている場合であっても、普通図柄の抽選結果に対して遊技者に興味を持たせることができる。
【0093】
また、特電作動口643に球が入球した場合と、アウト口644に球が入球した場合と、で同一数の賞球(4個)を払い出すように構成しても良く、この場合、普電入賞装置640に入賞した球が特電作動口643に入球したのか、アウト口644に入球したのかを分かり難くするように構成すると良い。これにより、払い出された賞球の数によって何れの入球口(特電作動口643、アウト口644)に球が入球したのかを遊技者が把握できないため、遊技者に対して普電入賞装置640に球を入賞させた後、V入賞装置65を開放動作させる当たり遊技(役物当たり遊技)が実行されるか否かが抽選で決定されているように思わせる演出を実行することができ、演出効果を高めることができる。さらに、この場合、球検知センサ640sが球を検知した場合に、賞球(4個)を払い出すように構成すると良い、これにより、遊技者に対して普電入賞装置640への球の入賞に基づいて遊技者に付与される賞球をいち早く払い出すことができる。
【0094】
図4に示した通り、電動役物640aが開放状態へと位置した場合は、第1隔壁640k1の先端側と電動役物640aとが略並行となりその間に球流路が形成される。よって、開放状態へと位置した電動役物640aが球を受け止めた際に、その衝撃で球が普電入賞装置640外に跳ね返ってしまうことを抑制することができる。
【0095】
次に、
図5を参照して、時短状態が設定されている場合に実行される普図当たり遊技にて球が普電入賞装置640内に入賞した際の球流れについて説明をする。
図5は、時短状態中における普図当たり遊技にて普電入賞装置640に入賞した球の流れを示した模式図である。
図5に示した通り、時短状態中に普図当たり遊技が実行された場合は、通常状態中に実行される普図当たり遊技よりも、普図当たり遊技が開始されてから電動役物640aが開放状態(最初に開放状態)となるまでの期間が短く設定されているため、第2可動弁642が第1状態(普電入賞装置640に入賞した球を特電作動口643へと誘導可能な状態)を維持しているタイミングで電動役物640aが開放状態となる。
【0096】
よって、普電入賞装置640に入賞した球が第1流路641aを流下し、第2可動弁642へと到達した場合には(普電入賞装置640に球が入賞してから0.5秒には)、第2可動弁642が第1状態に位置しているため、第1流路641aと連通する第2流路641bを流下し(流下期間は約0.2秒に設計)、特電作動口643に入球する。そして、特電作動口643への球の入球を図示しない検知手段(近接センサ)が検知することに基づいてV入賞装置65を開放動作させる役物当たり遊技が開始される。
【0097】
図5に示した通り、第2可動弁642が第1状態に位置した場合には、第1流路641aを流下(
図5の視点で垂直下方向に流下)する球が第2可動弁642と接触し難くなる位置まで、第2可動弁642が可変するように構成している。これにより、球と第2可動弁642とが頻繁に接触してしまい第2可動弁642が故障してしまうことを抑制することができる。なお、詳細な説明は後述するが、時短状態中に普図当たり遊技が実行される場合には、普図当たり遊技が開始されてから0.1秒後に電動役物640aが開放状態となり、普電入賞装置640に球が入賞可能な状態となる。よって、普図当たり遊技が実行されてから第2可動弁642の位置に球を到達させるまでの最短期間は、0.6秒(普図当たり遊技が開始してから電動役物640aが開放状態となるまでの0.1秒と、普電入賞装置640に入賞した球が第2可動弁642に到達するまでの0.5秒とを、合算した値)となる。
【0098】
第2可動642は、普図当たり遊技が開始されると同時に可変動作し、その可変動作期間(第1状態から第2状態(第2状態から第1状態)へと可変させるために要する期間)が0.1秒となるように構成している。また、普図当たり遊技にて電動役物640aが閉鎖状態となってから1秒後に第2可動弁642を可変動作させるように構成しているため、電動役物640aが閉鎖状態へと可変される直前に普電入賞装置640に入賞した球が第2可動弁642に到達するまでの期間(0.5秒)の倍の期間(1秒)が経過した場合に第2可動弁642を可変動作するように構成している。よって、時短状態中に実行される普図当たり遊技においても、可変動作中の第2可動弁642と球とが接触し難くすることができる。
【0099】
図2に戻り説明を続ける。可変表示装置ユニット80の左方(
図2の視点で左方)には、左打ち遊技によって発射され左側領域を流下する球が入賞し得るようにV入賞装置65が設けられている。ここで、
図6から
図9を参照して、V入賞装置65の具体的な構成、及び、V入賞装置65内に入賞した球の流れについて説明をする。本実施形態では、普電入賞装置640内に設けられた特電作動口643に球が入球したことを契機に、V入賞装置65を開放動作させる役物当たり遊技が実行されるように構成している。そして、V入賞装置65内に設けられたV入賞口165に球が入賞することで大当たり遊技(V大当たり遊技)が実行されるように構成している。
【0100】
つまり、本実施形態では、特別図柄の抽選で大当たり当選した場合に成立する大当たり遊技(特図大当たり遊技)の実行契機に加え、特定の入賞口(V入賞口165)に球が入賞した場合に成立する大当たり遊技(V大当たり遊技)の実行契機を有している。このように、大当たり遊技を実行させるための契機を複数設けることにより、遊技者に対して飽きの来ない遊技を提供することができる。
【0101】
まず、
図6を参照して、V入賞装置65の構成について説明をする。V入賞装置65には、V入賞装置65内に球が入賞し易い開放状態と、その開放状態よりも球が入賞し難い閉鎖状態とに可変可能な開閉扉65aが設けられている。この開閉扉65aは、遊技盤13の左側領域を流下する球が到達し得る位置(
図2参照)に設けられており、役物当たり遊技が実行される場合に開放状態へと可変される。
【0102】
V入賞装置65内には、開放状態中の開閉扉65aを通過した球が流下する第1流路65bが第1隔壁65k1と第2隔壁65k2との間の空間に形成され、その第1流路65bを流下した球(流下期間0.5秒)が到達する位置に貯留弁66aが設けられている。この貯留弁66aの上面には球を1個貯留可能な貯留部が形成されており、役物当たり遊技中に最初にV入賞装置65に入賞した球が貯留部に一時的に貯留するように構成している。また、貯留弁66aの上方には貯留センサ65sが設けられており、球が貯留部に貯留されていることを検知可能に構成している。さらに、V入賞装置65に入賞した球を検知するための球検知センサ65s2が第1流路65bの上流側に設けられており、球検知センサ65s2が球を検知したことに基づいて、役物当たり遊技中にV入賞装置65へと入賞した球数を計測すると共に、入賞した球に対する賞球払出制御が実行される。このように、V入賞装置65に入賞した球が直後に流下する位置に球検知センサ65s2を設けることにより、V入賞装置65へと規定数以上の球が入賞してしまう事態を抑制することができると共に、役物当たり遊技中の賞球を遊技者に即座に付与することができる。
【0103】
また、第1流路65bと連通するように第2流路65cが形成されており、第2流路65cの下流側には、第1アウト口163aが設けられている。
図6に示した通り、第2流路65cは、第1流路65bを流下した球が直接流入するのでは無く、貯留弁66aの貯留部に球が貯留されている状態で、第1流路65bを流下した後続の球が、貯留弁66aの貯留部に貯留されている球と接触し、第2流路65cへと誘導されるように構成している。第2流路65cの下流側に設けられた第1アウト口163aは、入球した球をパチンコ機10の外部へと排出するための入球口であって、第2流路65cを流下(流下期間0.1秒)し、第1アウト口163aに入球した球は、図示しない球排出経路を流下してパチンコ機10の外部へと排出される。
【0104】
詳細な説明は後述するが、貯留弁66aは、役物当たり遊技の進行に応じて(役物当たり遊技が実行される動作シナリオに対応させて)、球を貯留可能な貯留状態と、その貯留状態よりも球を貯留し難い解除状態と、に可変動作されるように構成している。この貯留弁66aが解除状態に位置すると、第1流路65bと、第3流路65dと、が連通し、第1流路65bを流下した球、又は、貯留弁66aの貯留部に貯留されていた球が第3流路65dを流下する。この第3流路65dは、第1隔壁65k1の下端側と、第3隔壁65k3との間の空間に形成された幅が約15ミリの垂直方向に直線状に形成された流路である。
【0105】
第3流路65dの下流側が臨む位置には、第1可動弁66bが配設されている。この第1可動弁66bは、パチンコ機10に電源が投入されたことを契機に予め定められた可動パターンで、第3流路65dを流下した球を受け止め可能な誘導位置(突出位置)と、第3流路65dを流下した球を受け止め不可能な通過位置(埋没位置)と、に可動するように構成している。具体的には、主制御装置110の入出力ポート205に接続され、主制御装置110によって駆動制御される第1可動弁ソレノイド209dの動作に応じて可動するように構成しており、第1可動弁ソレノイド209dがオンに設定された場合(通電させた場合)に、第1可動弁66bがV入賞装置65内から退避する通過位置(遊技盤13に埋没する位置)へと可動し、第1可動弁ソレノイド209dがオフに設定された場合(電気を遮断させた場合)に、第1可動弁66bがV入賞装置65内に突出する誘導位置(遊技盤13から突出する位置)へと可動するように構成している。
【0106】
誘導位置(突出位置)に位置する第1可動弁66bは、その上面を球が流下可能に構成されており、
図6に示した通り、第1可動弁66bの上面の下流端側が第4流路65eに向けて下り傾斜するように構成している。よって、第1可動弁66bが誘導位置(突出位置)に位置した状態で第3流路65dを流下した球(流下期間0.2秒)は、第1可動弁66bの上面を第4流路65eに向けて流下することになる。第4流路65eの下流側には第2アウト口163bが設けられており、第4流路65eを流下した球(流下期間0.2秒)は第2アウト口163bに入球する。この第2アウト口163bは、上述した第1アウト口163aと同様に、入球した球をパチンコ機10の外部へと排出させるための入球口であって、第2アウト口163bに入球した球は図示しない球排出経路を流下し、パチンコ機10の外部へと排出される。
【0107】
一方、第1可動弁66bが通過位置に位置している状態では、第3流路65dと、第5流路65fとが連通し、第3流路65dを流下した球(流下期間0.2秒)が第5流路65f(流下期間0.1秒)へと流入する。そして、第5流路65fの下流側にはV入賞口165が設けられている。V入賞口165は、大当たり遊技を実行するための契機となり得る入賞口であって、大当たり遊技が実行されていない状態で球がV入賞口165に入賞した場合に、大当たり遊技が実行される。
【0108】
図6に示した通り、V入賞装置65内には、第1アウト口163aと、第2アウト口163bとが設けられている。このように構成することで、貯留弁66aが貯留状態である場合にV入賞装置65に入賞した球が、貯留弁66aが解除状態となった場合に球が通過し得る流路(第3流路65d、第4流路65e、第5流路65f)へと流入することを確実に防止することができる。なお、本実施形態の構成に限ること無く、例えば、第1アウト口163aを排除し、第2流路65cと、第4流路65eと、を連通させ、貯留弁66aが貯留状態であって、第2流路65cを流下した球が、第2アウト口163bへと入球するように構成しても良い。この場合、
図6では垂直方向に直線的に設けられている第3隔壁65k3を、上端側から下端側に向けて
図6の視点で右下方向へと傾けて、即ち、隔壁65k3の下端側方向に向けての延長線上が第4隔壁65k4の右側(
図6の視点で右側)となるように設けると良い。このように構成することで、第2流路65cを流下した球が第5流路65fへと流入してしまう事態を抑制することができる。
【0109】
このように、本実施形態では、大当たり遊技を実行させる契機が2つ、即ち、特別図柄の抽選によって大当たり当選したことを契機として大当たり遊技を実行させる場合と、役物当たり遊技中に球がV入賞口165へと入賞したことを契機として大当たり遊技を実行させる場合とがある。以降、実行契機を区分けして大当たり遊技を説明する際に、V入賞口165へと入賞したことを契機として実行される大当たり遊技のことをV大当たり遊技とも称す。
【0110】
上述した通り、本実施形態のV入賞装置65は、役物当たり遊技が実行されることで球が入賞可能な開放状態となり、貯留弁66aに貯留された1個の球のみが第3流路65dを流下するように構成し、第3流路65dを流下した球が第1可動弁66bに到達した際における第1可動弁66bの稼働状況に応じて、V入賞口165に球が入賞するか否かが決定するように構成している。
【0111】
詳細な説明は後述するが、第1可動弁66bは、誘導位置に位置する時間(球がV入賞口165へと入賞し得ない時間)が5秒に対して、通過位置に位置する時間(球がV入賞口165へと入賞し得る時間)が0.5秒となる可動パターンで常時可動しているため、第3流路65dを流下した球がV入賞口165へと入賞する割合は、約1/11となる。
【0112】
また、1回の役物当たり遊技においてV入賞装置65へと複数個の球を入賞させたとしても、第3流路65dを流下させる球数が1個となるように貯留弁66aが動作制御されるため、役物当たり遊技が11回実行された場合に1回の大当たり遊技が実行される割合となるように構成している。
【0113】
次に、
図7から
図9を参照して、役物当たり遊技の実行中におけるV入賞装置65に入賞した球流れの内容について説明をする。まず、
図7を参照して、役物当たり遊技の前半期間(貯留弁66aが貯留状態である期間)における球流れについて説明をする。
図7は、役物当たり遊技のうち、貯留弁66aが貯留状態である場合におけるV入賞装置65内の球流れを示す模式図である。詳細な説明は後述するが、貯留弁66aは、役物当たり遊技が実行されてから、V入賞装置65が閉鎖状態となるまでの間、貯留状態となるように動作制御されるように構成している。そして、貯留弁66aが貯留状態中に複数の球がV入賞装置65に入賞した場合には、最初に入賞した球P1が貯留弁66aに形成される貯留部に貯留され、次点で入賞した球P2は、貯留弁66aに貯留されている球P1と当接し、第2流路65cを流下し、アウト口163aに入球する。
【0114】
このように、貯留弁66aが貯留状態である場合は、貯留弁66aの貯留部に貯留された球P1以外の入賞球(例えば、球P2)が、全てアウト口163aに入球するように構成しているため、複数の球がV入賞装置65内に滞留することが無い。また、貯留弁66aは、V入賞装置65のV開閉扉65aが閉鎖状態となってから(閉鎖状態にさせるための動作制御を実行してから)、貯留状態が解除されるため、1回の役物当たり遊技にて第3流路65dを流下させる球数を確実に1個にすることが可能となる。
【0115】
このように構成することで、役物当たり遊技中にV入賞装置65へと球を入賞させるタイミングや、入賞数に応じて、V入賞口165への球の入賞のし易さが可変することが無いため、全ての遊技者に対して公平な遊技を提供することができる。
【0116】
次に、
図8を参照して、貯留弁66aが貯留状態から解除状態へと移行した際の球流れ(役物当たり遊技の後半期間)の内容について説明をする。
図8は、役物当たり遊技のうち、貯留弁66aが貯留状態から解除状態へと移行した場合における球流れを示す模式図である。
図8に示した通り、V開閉扉65aが閉鎖状態となり、新たな球がV入賞装置65に入賞し得ない状態となった後に、貯留弁66aが解除状態(図では点線で表示)へと移行すると、貯留弁66aの貯留部に貯留されていた球P1(
図7参照)が、第3流路65dを流下する。
図8に示した状態では、第1可動弁66bが誘導位置に位置しているため、球P1が第1可動弁66bの上面に形成された下り傾斜を転動し、第4流路65eを流下し、第2アウト口163bに入球する。
【0117】
一方、貯留弁66aの貯留部に貯留されていた球P1(
図7参照)が、第3流路65dを流下し、第1可動弁66bに到達したタイミングで、第1可動弁66bが通過位置に位置している場合の球流れについて、
図9を参照して説明をする。
図9は、役物当たり遊技のうち、貯留弁66aが貯留状態から解除状態へと移行した場合における球流れを示す模式図である。
図9に示した通り、第3流路65dを流下した球が第1可動弁66bに到達したタイミングにおいて、第1可動弁66bが通過位置に位置している場合は、第5流路66fを流下し、V入賞口165へと入賞する。
【0118】
図2に戻り説明を続ける。可変表示装置ユニット80の下方には、球が入球し得る特図入球口64が配設されている。この特図入球口64へ球が入球すると遊技盤13の裏面側に設けられる特図入球口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その特図入球口スイッチのオンに起因して主制御装置110(
図21参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37aで示される。また、特図入球口64に球が入球した場合には、特典として4個の賞球が払い出される。本実施形態では、左打ち遊技によって発射された球のうち、約15球に1球の割合で球が特図入球口64へと入球し得るように構成している。
【0119】
図10に示すように、パチンコ機10の後面側には、制御基板ユニット90,91と、裏パックユニット94とが主に備えられている。制御基板ユニット90は、主基板(主制御装置110)と音声ランプ制御基板(音声ランプ制御装置113)と表示制御基板(表示制御装置114)とが搭載されてユニット化されている。制御基板ユニット91は、払出制御基板(払出制御装置111)と発射制御基板(発射制御装置112)と電源基板(電源装置115)とカードユニット接続基板116とが搭載されてユニット化されている。
【0120】
裏パックユニット94は、保護カバー部を形成する裏パック92と払出ユニット93とがユニット化されている。また、各制御基板には、各制御を司る1チップマイコンとしてのMPU、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等が、必要に応じて搭載されている。
【0121】
なお、主制御装置110、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114、払出制御装置111及び発射制御装置112、電源装置115、カードユニット接続基板116は、それぞれ基板ボックス100〜104に収納されている。基板ボックス100〜104は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、そのボックスベースとボックスカバーとが互いに連結されて、各制御装置や各基板が収納される。
【0122】
また、基板ボックス100(主制御装置110)及び基板ボックス102(払出制御装置111及び発射制御装置112)は、ボックスベースとボックスカバーとを封印ユニット(図示せず)によって開封不能に連結(かしめ構造による連結)している。また、ボックスベースとボックスカバーとの連結部には、ボックスベースとボックスカバーとに亘って封印シール(図示せず)が貼着されている。この封印シールは、脆性な素材で構成されており、基板ボックス100,102を開封するために封印シールを剥がそうとしたり、基板ボックス100,102を無理に開封しようとすると、ボックスベース側とボックスカバー側とに切断される。よって、封印ユニット又は封印シールを確認することで、基板ボックス100,102が開封されたかどうかを知ることができる。
【0123】
払出ユニット93は、裏パックユニット94の最上部に位置して上方に開口したタンク130と、タンク130の下方に連結され下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール131と、タンクレール131の下流側に縦向きに連結されるケースレール132と、ケースレール132の最下流部に設けられ、払出モータ216(
図21参照)の所定の電気的構成により球の払出を行う払出装置133とを備えている。タンク130には、遊技ホールの島設備から供給される球が逐次補給され、払出装置133により必要個数の球の払い出しが適宜行われる。タンクレール131には、当該タンクレール131に振動を付加するためのバイブレータ134が取り付けられている。
【0124】
また、払出制御装置111には状態復帰スイッチ120が設けられ、発射制御装置112には可変抵抗器の操作つまみ121が設けられ、電源装置115にはRAM消去スイッチ122が設けられている。状態復帰スイッチ120は、例えば、払出モータ216(
図21参照)部の球詰まり等、払出エラーの発生時に球詰まりを解消(正常状態への復帰)するために操作される。操作つまみ121は、発射ソレノイドの発射力を調整するために操作される。RAM消去スイッチ122は、パチンコ機10を初期状態に戻したい場合に電源投入時に操作される。
【0125】
次に、
図21を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。
図21は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
【0126】
主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。MPU201には、該MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202と、そのROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM203と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。主制御装置110では、MPU201によって、大当たり抽選や第1図柄表示装置37a,37b及び第3図柄表示装置81における表示の設定、第2図柄表示装置における表示結果の抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。
【0127】
なお、払出制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置に対して動作を指示するために、主制御装置110から該サブ制御装置へ各種のコマンドがデータ送受信回路によって送信されるが、かかるコマンドは、主制御装置110からサブ制御装置へ一方向にのみ送信される。
【0128】
RAM203は、各種エリア、カウンタ、フラグのほか、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
【0129】
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図示せず)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図示せず)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
【0130】
主制御装置110のMPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン204を介して入出力ポート205が接続されている。入出力ポート205には、払出制御装置111、音声ランプ制御装置113、第1図柄表示装置37a,37b、第2図柄表示装置、第2図柄保留ランプが接続される。また、大当たり遊技が実行される場合に可変入賞装置650の特定入賞口650aを開状態と閉状態とに可変させるための開閉扉を開閉駆動するための特定入賞口ソレノイド209a、V入賞装置65の開閉扉を開閉駆動するためのV入賞口ソレノイド209b、V入賞装置65内に設けられた貯留弁66aを可変駆動させるための貯留ソレノイド209c、同じく、V入賞装置65内に設けられた第1可動弁66bを可変駆動させるための第1可動弁ソレノイド209d、普電入賞装置640内に設けられた第2可動弁641を可変駆動させるための第2可動弁ソレノイド209e、その他の各種装置を駆動させるためのその他ソレノイド209z等からなるソレノイド209が接続され、MPU201は、入出力ポート205を介してこれらに対し各種コマンドや制御信号を送信する。
【0131】
また、入出力ポート205には、図示しないスイッチ群(各入球口に球が入球したことを検知するスイッチや、球が特定位置に位置していることを検知するスイッチ等)からなる各種スイッチ208、電源装置115に設けられた後述のRAM消去スイッチ回路253が接続され、MPU201は各種スイッチ208から出力される信号や、RAM消去スイッチ回路253より出力されるRAM消去信号SG2に基づいて各種処理を実行する。
【0132】
払出制御装置111は、払出モータ216を駆動させて賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU211は、そのMPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、ワークメモリ等として使用されるRAM213とを有している。
【0133】
払出制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。なお、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
【0134】
払出制御装置111のMPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や払出モータ216、発射制御装置112などがそれぞれ接続されている。また、図示はしないが、払出制御装置111には、払い出された賞球を検出するための賞球検出スイッチが接続されている。なお、該賞球検出スイッチは、払出制御装置111に接続されるが、主制御装置110には接続されていない。
【0135】
発射制御装置112は、主制御装置110により球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回動操作量に応じた球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット112aを制御するものである。球発射ユニット112aは、図示しない発射ソレノイドおよび電磁石を備えており、その発射ソレノイドおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、球の発射を停止させるための発射停止スイッチ51bがオフ(操作されていないこと)を条件に、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)に対応して発射ソレノイドが励磁され、操作ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
【0136】
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29〜33、表示ランプ34など)227における点灯および消灯の出力、変動演出(変動表示)や予告演出といった表示制御装置114で行われる第3図柄表示装置81の表示態様の設定などを制御するものである。演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを有している。
【0137】
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、音声出力装置226、ランプ表示装置227、その他装置228、枠ボタン22などがそれぞれ接続されている。その他装置228には、パチンコ機10に設けられる演出用の駆動役物を動作させるための各種駆動モータが含まれる。
【0138】
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から受信した各種のコマンド(変動パターンコマンド、停止種別コマンド等)に基づいて、第3図柄表示装置81の表示態様を決定し、決定した表示態様をコマンド(表示用変動パターンコマンド、表示用停止種別コマンド等)によって表示制御装置114へ通知する。また、音声ランプ制御装置113は、枠ボタン22からの入力を監視し、遊技者によって枠ボタン22が操作された場合は、第3図柄表示装置81で表示されるステージを変更したり、スーパーリーチ時の演出内容を変更したりするように、表示制御装置114へ指示する。ステージが変更される場合は、変更後のステージに応じた後面画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、変更後のステージに関する情報を含めた後面画像変更コマンドを表示制御装置114へ送信する。ここで、後面画像とは、第3図柄表示装置81に表示させる主要な画像である第3図柄の後面側に表示される画像のことである。表示制御装置114は、この音声ランプ制御装置113から送信されるコマンドに従って、第3図柄表示装置81に各種の画像を表示する。
【0139】
なお、遊技者によって枠ボタン22が操作された場合に、図示しない演出用の役物を駆動させるためにその他装置228へ役物駆動コマンドを送信したり、枠ボタン22への操作内容に対応した音声を音声出力装置226に出力させるための音声出力コマンドを設定したり、枠ボタン22への操作内容に対応した発光態様でランプ表示装置227を発光させるためのランプ出力コマンドを設定したりするように構成しても良い。
【0140】
また、音声ランプ制御装置113は、表示制御装置114から第3図柄表示装置81の表示内容を表すコマンド(表示コマンド)を受信する。音声ランプ制御装置113では、表示制御装置114から受信した表示コマンドに基づき、第3図柄表示装置81の表示内容に合わせて、その表示内容に対応する音声を音声出力装置226から出力し、また、その表示内容に対応させてランプ表示装置227の点灯および消灯を制御する。
【0141】
表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113及び第3図柄表示装置81が接続され、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81における第3図柄の変動演出などの表示を制御するものである。また、表示制御装置114は、第3図柄表示装置81の表示内容を通知する表示コマンドを適宜音声ランプ制御装置113へ送信する。音声ランプ制御装置113は、この表示コマンドによって示される表示内容にあわせて音声出力装置226から音声を出力することで、第3図柄表示装置81の表示と音声出力装置226からの音声出力とをあわせることができる。
【0142】
電源装置115は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252と、RAM消去スイッチ122(
図10参照)が設けられたRAM消去スイッチ回路253とを有している。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110〜114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する装置である。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチ208などの各種スイッチや、ソレノイド209などのソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を各制御装置110〜114等に対して必要な電圧を供給する。
【0143】
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201及び払出制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断、電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110及び払出制御装置111へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110及び払出制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110及び払出制御装置111は、NMI割込処理(図示せず)を正常に実行し完了することができる。
【0144】
RAM消去スイッチ回路253は、RAM消去スイッチ122(
図10参照)が押下された場合に、主制御装置110へ、バックアップデータをクリアさせるためのRAM消去信号SG2を出力するための回路である。主制御装置110は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、バックアップデータをクリアすると共に、払出制御装置111においてバックアップデータをクリアさせるための払出初期化コマンドを払出制御装置111に対して送信する。
【0145】
次に、本実施形態における第3図柄表示装置81の表示内容について
図11〜
図19を参照して説明する。
図11(a)および(b)は本実施形態における第3図柄表示装置81の表示内容を模式的に示した模式図である。第3図柄表示装置81は、15インチサイズの液晶ディスプレイで構成されるものであり、後述する表示制御装置114によって表示内容が制御されることにより、例えば上、中及び下の3つの図柄列(L1〜L3)が表示される(
図11(b)参照)。第3図柄表示装置81の表示画面に表示される第3図柄(特別図柄)の変動表示に対応して変動する装飾図柄)は、「0」から「9」の数字を模した識別情報が付された10種類の主図柄によりそれぞれ構成されている。
【0146】
本実施形態のパチンコ機10では、主図柄が数字を模した識別情報に応じて異なる種類の表示態様を用いて形成されている。このように、各識別情報に対応させた表示態様を用いることで、遊技者に対して特別図柄の抽選結果を視覚的に報知することができるため分かり易い遊技を行わせることができる。また、本実施形態のパチンコ機10においては、後述する主制御装置110による抽選結果が大当たりであった場合に、同一の主図柄が揃う(例えば「777」)変動表示が行われ、その変動表示が終わった後に大当たりが発生するよう構成されている。つまり、第3図柄は、主制御装置110による特別図柄の抽選結果を示すための図柄として第3図柄表示装置81に表示されるものである。
【0147】
主表示領域Dmは、左・中・右のそれぞれ3つの図柄列Z1,Z2,Z3が表示される。各図柄列Z1〜Z3には、上述した第3図柄が規定の順序で表示される。即ち、各図柄列Z1〜Z3には、数字の昇順または降順に主図柄が配列され、図柄列Z1〜Z3毎に周期性をもって上下方向へスクロールして変動表示が行われる。
【0148】
そして、
図11(a)に示した通り、主表示領域Dmは、左右方向に形成される1つの有効ラインL1を有しており、各図柄列Z1〜Z3が停止表示された状態で、第3図柄が有効ラインL1上に大当たり図柄の組合せ(本第1実施形態では、同一の主図柄の組合せ)で揃って停止されれば、大当たりとして大当たり動画が表示される。
【0149】
なお、第3図柄表示装置81における第3図柄の変動表示の態様は、上記のものに限定されることはなく任意であり、図柄列の数、図柄列における図柄の変動表示の方向、各図柄列の図柄数などは適宜変更可能である。また、第3図柄表示装置81にて変動表示される図柄は上記に限られることはなく、例えば図形やキャラクタ等の画像と数字とを組み合わせた図柄を第3図柄として構成してもよい。さらに、第3図柄が変動表示される領域を可変させる構成にしてもよく、例えば、第3図柄表示装置81の表示画面上で特定の演出が実行される場合は、第3図柄の変動表示領域を小さくしたり、変動表示領域を遊技者が視認し難い位置(例えば、表示画面の隅部)へと移動させたりすることで、第3図柄が変動しているか否かを遊技者が分かり難くするようにしてもよい。また、特別図柄が変動している期間中に、第3図柄の変動を一旦停止(仮停止)させ、再度変動させるように構成してもよい。
【0150】
さらに、本実施形態では、特別図柄の変動に対応した第3図柄を変動表示(動的表示)させるように構成しているが、これに限ること無く、普通図柄の変動に対応した第3図柄を変動表示(動的表示)させるように構成しても良い。この場合、第3図柄表示装置81の表示面にて実行されている第3図柄の変動表示が特別図柄の変動に対応しているのか、普通図柄の変動に対応しているのかを、遊技者に分かり難く報知するように構成しても良い。これにより、第3図柄表示装置81の表示面にて実行されている第3図柄の変動表示の結果に応じてどのような特典が遊技者に付与されるのかを分かり難くすることができる。
【0151】
また、特別図柄の変動(抽選)に対応した変動表示と、普通図柄の変動(抽選)に対応した変動表示と、を共に実行可能に構成したパチンコ機10であれば、実行される遊技内容(遊技状態)に応じて第3図柄の対象を切り替えるように構成しても良く、例えば、通常状態中は特別図柄の変動(抽選)に対応させた第3図柄の変動表示を実行し、時短状態中は普通図柄の変動(抽選)に対応させた第3図柄の変動表示を実行するように構成しても良い。この場合、遊技者に有利な抽選(遊技者が抽選結果をより注視する側の抽選)が実行される図柄種別に対応させて第3図柄を変動表示させると良い。一方、変動している図柄の種別に対応するように第3図柄の表示態様や表示領域を異ならせても良い。これにより分かり易い遊技を遊技者に提供することができる。
【0152】
図11(a)に示すように、第3図柄表示装置81の表示画面は、大きくは上下に2分割され、下側の2/3が第3図柄を変動表示する主表示領域Dm、それ以外の上側の1/3が予告演出、キャラクタおよび保留球数などを表示する副表示領域Dsとなっている。
【0153】
主表示領域Dmは、左・中・右の3つの表示領域Dm1〜Dm3に区分けされており、その3つの表示領域Dm1〜Dm3に、それぞれ3つの図柄列Z1,Z2,Z3が表示される。各図柄列Z1〜Z3には、上述した第3図柄が規定の順序で表示される。即ち、各図柄列Z1〜Z3には、数字の昇順または降順に主図柄が配列され、図柄列Z1〜Z3毎に周期性をもって上から下へとスクロールして変動表示が行われる。特に、左図柄列Z1においては主図柄の数字が降順に現れるように配列され、中図柄列Z2及び右図柄列Z3においては主図柄の数字が昇順に現れるように配列されている。
【0154】
また、主表示領域Dmには、図柄列Z1〜Z3毎に上・中・下の3段に第3図柄が表示される。この主表示領域Dmの中段部が有効ラインL1として設定されており、毎回の遊技に際して、左図柄列Z1→右図柄列Z3→中図柄列Z2の順に、有効ラインL1上に第3図柄が停止表示される。この停止表示状態は最低1秒間保持される。このように、停止した第3図柄を一定期間(1秒以上)表示させておくことで、遊技者が大当たりに対応する第3図柄の組み合わせであるか否か(特別図柄の抽選結果が大当たりであるか否か)を見落としてしまうことを抑制することができる。また、第3図柄の停止時に有効ラインL1上に大当たり図柄の組合せ(本実施形態では、同一の主図柄の組合せ)が揃えば、大当たりが確定し、大当たり遊技が開始され、大当たり動画(オープニング演出)が表示される。
【0155】
また、停止表示された第3図柄の組み合わせが外れに対応する組み合わせであって、保留球が存在する場合は、1秒間の停止表示(確定表示)後に、保留球に基づく抽選に対応する変動表示が開始される。なお、複数の保留球が存在する場合は、時間的に最も古い入球に対応する保留球に基づいて抽選が実行される。
【0156】
一方、保留球が存在しない状態で、特別図柄の外れに対応する組み合わせの第3図柄が1秒間停止表示(確定表示)された場合は、その後も第3図柄が停止表示された状態が継続する。この状態は、所定時間(例えば、15秒)が経過するか、または、特図入球口64に対して新たに遊技球が入球するまで継続する。そして、第3図柄が停止表示されてから所定時間(例えば、15秒)が経過した場合は、遊技が実行されていないことを示すデモ演出が表示される。遊技者が遊技球を所定時間(例えば、15秒)連続して発射させているにも関わらず、特図入球口64への入球が無いという状況は稀であり、第3図柄が停止表示された状態が所定時間(例えば、15秒)継続する場合の多くは、遊技者が遊技を辞めたことで、パチンコ機10による遊技が全く行われていないことに起因する。よって、本実施形態のパチンコ機10では、第3図柄が停止表示されてから所定時間(例えば、15秒)が経過した時点で、遊技者が遊技を行っていないと判断し、デモ演出を開始する。これにより、遊技を開始するためにパチンコ機10を選択しようとしている遊技者が、デモ演出の表示の有無に基づいて遊技が行われているか否かを容易に判断することができる。一方、所定時間(例えば、15秒)が経過する前に特図入球口64に対して新たに遊技球が入球した場合は、その新たな入球に対応する第3図柄の変動表示が実行される。
【0157】
副表示領域Dsは、主表示領域Dmよりも上方に横長に設けられており、さらに左右方向に3つの小領域Ds1〜Ds3に等区分されている。このうち、小領域Ds1は、特図入球口64、スルーゲート67に入球された遊技球のうち変動が未実行である遊技球(保留球)の数である保留球数を表示する領域であり、小領域Ds2およびDs3は、予告演出画像を表示する領域である。
【0158】
実際の表示画面では、
図11(b)に示すように、主表示領域Dmに第3図柄の主図柄が合計9個表示される。副表示領域Dsにおいては、右の小領域Ds3に動画が表示され、通常より大当たりへ遷移し易い状態であることが遊技者に示唆される。中央の小領域Ds2では、通常は、所定のキャラクタ710(本実施形態ではハチマキを付けた少年)が所定動作をし、時として所定動作とは別の特別な動作をしたり、別のキャラクタが現出する等して予告演出が行われる。
【0159】
一方、第3図柄表示装置81(第1図柄表示装置37)にて変動表示が行われている間に球が特図入球口64に入球した場合、その入球回数は最大4個まで保留され、その保留球数は第1図柄表示装置37により示されると共に、副表示領域Dsの小領域Ds1においても示される。またスルーゲート67へ入球した場合、その入球回数は最大1回まで保留され、その保留球数は第1図柄表示装置37により示されると共に、副表示領域Dsの小領域Ds1においても示される。小領域Ds1には、保留球数1球につき1つの保留球数図柄が表示され、その保留球数図柄の表示数に応じて、保留球数が表示される。即ち、小領域Ds1に1つの保留球数図柄が表示されている場合は、保留球数が1球であることを示し、4つの保留球数図柄が表示されている場合は、保留球数が4球であることを示す。また、小領域Ds1に保留球数図柄が表示されていない場合は、保留球数が0球である、即ち、保留球が存在しないことを示す。なお、小領域Ds1のうち、左半分には、特図入球口64への入球に基づく保留球数を示す保留球数図柄を表示し、小領域Ds1のうち、右半分には、スルーゲート67への入球に基づく保留球数を示す保留球数図柄を表示する構成としている。
図11(b)の例では、小領域Ds1の左半分に4つの保留球数図柄が表示されている一方で、右半分には保留球数図柄が1つも表示されていないので、特別図柄の保留球が4つ存在するが、普通図柄の保留球は0個となっている状態を示している。
【0160】
なお、本実施形態においては、特図入球口64への入球は、最大4回まで保留されるように構成し、スルーゲート67への入球は、最大1回まで保留されるように構成したが、最大保留球数はこれに限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、小領域Ds1における保留球数図柄の表示に代えて、保留球数を第3図柄表示装置81の一部に数字で、或いは、4つに区画された領域を保留球数分だけ異なる態様(例えば、色や点灯パターン)にして表示するようにしても良い。また、第1図柄表示装置37により保留球数が示されるので、第3図柄表示装置81に保留球数を表示させないものとしてもよい。更に、可変表示装置ユニット80に、保留球数を示す保留ランプを最大保留数分の4つ設け、点灯状態の保留ランプの数に応じて、保留球数を表示するものとしてもよい。
【0161】
また、
図11を参照して示した表示画面では、主表示領域Dmの上方に副表示領域Dsが形成されているが、表示領域をこれ以外の態様で形成しても良く、例えば、主表示領域Dmの下方に副表示領域Dsを形成しても良い。また、この場合、設定されている遊技状態に応じて、第3図柄表示装置81の表示画面の表示領域を可変形成すると良い。これにより、第3図柄表示装置81の表示画面を見るだけで、異なる遊技状態へ移行したことを遊技者が容易に把握することができる。さらに、特別図柄の抽選結果が大当たり当選している期待度が高いことを示す第3図柄の変動表示が実行されている状態といった、遊技者に対して主表示領域Dmの表示態様を注視させる状態では、副表示領域Dsの表示領域を小さくしたり、副表示領域Dsを非表示にしたりするように構成しても良い。
【0162】
<第1実施形態における第3図柄表示装置81での演出内容について>
次に、
図12〜
図19を参照して、本実施形態における第3図柄表示装置81で実行される演出内容について説明する。本実施形態では、特別図柄の抽選(特図抽選)で大当たりに当選した場合、その大当たり遊技終了後に、時短状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の高確率状態)が設定される。この時短状態は、特別図柄の抽選が規定回数に達するまで(予め定められた時短状態の終了条件が成立するまで)継続され、特別図柄の抽選が規定回数実行されると、時短状態の終了条件が成立し、通常状態が設定されるように構成している。
【0163】
時短状態は、普通図柄の高確率状態が設定される状態であり、遊技状態が通常状態である場合と比べ、普図当たり遊技によって普電入賞装置640へと球が入球可能な開放状態が設定され易くなるように構成している。
【0164】
そして、普通図柄の当たりに当選し、球が普電入賞装置640内の特電作動口643に入球すると役物当たり遊技が実行され、V入賞装置65内に設けられたV入賞口165に球を入賞させるための遊技が実行される。
【0165】
ここで、本実施形態では、遊技盤13の左側領域を狙って発射した遊技球は、100%の確率でスルーゲート67を通過するよう構成されている。そして、スルーゲート67を遊技球が通過したことで実行される普通図柄の抽選において、時短状態が設定されている場合は、3/10の確率で当たり当選するように設計されており、普通図柄の抽選で当たり当選した場合には、電動役物640aが開放状態となる普図当たり遊技が実行される。
【0166】
時短状態中に実行される普図当たり遊技は、左打ち遊技を継続して実行することでその殆どで(約100%)球を普電入賞装置640へと入賞させることができる期間(3秒間)電動役物640aが開放状態となる普図当たり遊技が実行される。
【0167】
さらに、時短状態中に実行される普図当たり遊技では、普電入賞装置640に入賞した球の殆どが特電作動口643へと入球するように構成され、球が特電作動口643へと入球したことを契機に役物当たり遊技が実行される。そして、役物当たり遊技が実行されることでV入賞装置65が開放動作され、V入賞装置65に入賞した球が約1/11の割合でV入賞口165へと入賞し、V入賞口165へと球の入賞を契機に大当たり遊技(V大当たり遊技)が実行されるように構成している。
【0168】
つまり、時短状態中は、特別図柄の抽選で大当たり当選を狙う遊技(特図遊技)を実行するよりも、V入賞口165に遊技球を入賞(V入賞)させることで大当たりを狙う遊技(特電遊技)のほうが大当たり遊技を実行させ易くできるので、遊技者は特電遊技において役物当たり遊技によるV入賞(V大当たり遊技)を所望しながら遊技を実行することになる。
【0169】
上述したように、本実施形態では、特電遊技として普電入賞装置640に球を入賞させるため(普通図柄抽選の実行契機となるスルーゲート67に球を通過させるため)に遊技盤13の左側領域を狙って球を発射する必要がある。さらに、本実施形態では、遊技盤13の左側領域を狙って遊技(左打ち遊技)を実行していると、特図入球口64にも球が入球するため、時短状態中において、特図遊技(特別図柄の抽選を行う遊技)と、特電遊技(普通図柄の抽選を行う遊技)と、の両方が実行されることになる。
【0170】
特図遊技よりも特電遊技のほうが遊技者に有利な遊技となる時短状態は、特図遊技によって実行される特別図柄抽選が規定回数に達するまでの時間(即ち、規定回数分の特別図柄の変動時間)が経過するまで継続するように構成しているため、遊技状態が時短状態へ移行すると、その時短状態が終了し通常状態へと移行する契機となる特別図柄の変動時間が経過するまでに、特電遊技によるV入賞を期待しながら遊技を実行することが、本実施形態における時短状態中の基本的な遊技方法となる。
【0171】
この時短遊技の状態を、遊技者に分かり易く伝えるべく、第3図柄表示装置81において、様々な演出を実行する。詳しくは、
図12〜
図19を参照して後述するが、大当たり遊技が実行され、大当たり終了時に、遊技状態が遊技者にとって有利な状態である時短状態であることを示すためのVラッシュモードへと移行し、時短状態が設定されたことを報知する。そして、Vラッシュ中における様々な演出について説明する。以下、説明の簡略化のために、時短状態を「Vラッシュ」と称す。
【0172】
まず、
図12(a)を参照して、本実施形態における第3図柄表示装置81において表示される大当たりエンディング画面について説明する。
図12(a)は、大当たり(遊技)のエンディング画面の一例を示した図である。大当たり遊技の最終ラウンドが終了すると、
図12(a)に示した通り、第3図柄表示装置81の副表示領域Dsには、「大当たり終了後Vラッシュが始まるよ!!」という文字が表示され、大当たり遊技終了後に時短状態が設定されることを示すVラッシュモードに移行することを遊技者に分かりやすく示している。そして、主表示領域Dmには、大当たり遊技の終了後に設定される時短状態が継続する期間を示すための残時短期間態様801が「40秒」の「Vラッシュ期間40秒ゲット」というコメントが表示される。
【0173】
ここで、残時短期間態様801の表示内容について説明をする。本実施形態では、上述したように、時短状態の終了条件として、特別図柄の抽選回数が規定回数(例えば、4回)に到達した場合に成立する終了条件が設定されている。よって、特別図柄の抽選が規定回数に達するまでの時間(即ち、規定回数分の特別図柄の変動時間を合計した時間)が経過するまで時短状態が継続される。残時短期間態様801は、時短状態の終了条件が成立するまでの特別図柄の変動時間を合計した合計時間の示す表示態様が表示される。
【0174】
次に、
図12(a)に示した状態における各図柄の保留状況について
図12(c)を参照して説明をする。
図12(c)は、
図12(a)に示した表示画面が表示される場合における各図柄の保留状況を示した模式図である。本実施形態では、特別図柄の保留記憶を最大で4個、普通図柄の保留記憶を最大で1個、記憶可能に構成している。
図12(c)では、実行中の特別図柄変動の状況を説明するための実行中特図th0と、保留記憶されている特別図柄の入賞情報を説明するための特図第1保留th1〜特図第4保留th4と、実行中の普通図柄変動の状況を説明するための実行中普図fh0と、保留記憶されている普通図柄の入賞情報を説明するための普図第1保留fh1と、を用いて各図柄の状況を説明している。
【0175】
図12(c)は、特図第1保留th1〜特図第4保留th4には、10秒間の変動パターンが設定されている特別図柄の保留が4つ貯まっている状態である。つまり、今回の時短状態の期間は、特別図柄抽選4回分の変動時間を合算した値である40秒が設定される。よって、遊技者にとって有利となる遊技状態の継続期間を示すための残時短期間表示態様801には「40秒」の文字が表示され、Vラッシュの期間がいつまで続くかを分かり易く報知することができる。
【0176】
なお、上述したように、本実施形態では、遊技者に有利となるVラッシュの継続期間を残時短期間表示態様801に示すように、具体的な秒数で表示するよう構成したが、継続期間の残期間が分かるものであればよく、インジケータなどを用いて遊技者に報知しても良い。このように構成することで、遊技者によりどきどき感のある遊技を提供することができる。
【0177】
また、本実施形態では、
図12(a)に示した通り、Vラッシュの継続期間として算出された「40秒」の全てを示す表示態様で残時短期間態様801を表示しているが、これに限ること無く、Vラッシュに突入することを報知する時点では、Vラッシュの継続期間として算出された値(例えば、40秒)のうち一部のみ(例えば、30秒)を報知するように構成し、Vラッシュの実行中に未報知分(例えば、10秒)に対応する値を追加報知するように構成しても良い。
【0178】
この場合、例えば、時短回数4回が設定される場合において、獲得済の4個の特別図柄の保留(特図保留)のうち、3個の特図保留に対応する特別図柄の変動時間を合算した値、つまり、
図12(c)の場合であれば、特図第1保留th1〜特図第3保留th3の合算値である「30秒」をVラッシュ突入時に表示すれば良い。このように構成することで、Vラッシュの継続期間として算出された値の一部のみを報知するための処理を簡素化することができる。
【0179】
図12(a)に示した通り、本実施形態では、時短状態が終了するまでに実行される複数回の特別図柄抽選の変動時間を合算してVラッシュの継続期間を表示するように構成している。さらに、現在の特図保留数が遊技者に把握され難くするために、第3図柄表示装置81の表示面にて特図保留数を示すための表示態様を表示しないように構成している。これにより、Vラッシュの継続期間として表示される残時短期間態様801の値が、何個分の特図保留に対応した変動時間の合算値であるかを遊技者に分かり難くすることができる。また、個々の特別図柄抽選の変動時間を遊技者に分かり難くすることができる。
【0180】
よって、例えば、特別図柄の抽選結果が大当たりである場合と、外れである場合とで異なる変動時間の変動パターンが設定されるパチンコ機10であっても、残時短期間態様801の表示態様によって、特図保留内の抽選結果(特図保留内に大当たり当選に対応する入賞情報が含まれているか否か)が遊技者に事前に把握されてしまうことを抑制することができる。
【0181】
また、例えば、特別図柄の抽選結果が大当たりである場合に変動時間が50秒の変動パターンが選択されるように構成し、特別図柄の抽選結果が外れである場合に変動時間が10秒、20秒、30秒の何れかの変動パターンが選択されるように構成したパチンコ機10であって、特図第1保留th1が「10秒」、特図第2保留th2が「30秒」、特図第3保留th3が「20秒」、特図第4保留th4が「10秒」である場合には、Vラッシュの継続期間を示す残時短期間態様801の表示態様として、「50秒」を表示させるように構成すると良い。このように構成することで、Vラッシュの継続期間である「90秒」(特図保留4個分の変動時間の合算値)よりも少ない期間であって、且つ、時短状態中に実行される特別図柄抽選にて大当たり当選(時短1回目の特別図柄抽選が大当たり当選しており、変動時間50秒が設定)していることに対する期待感を遊技者に持たせることができる。
【0182】
つまり、Vラッシュが継続する全期間では無く、一部の期間のみを表示する場合には、上述したように大当たり当選している場合に設定される変動時間(50秒)に対応した値を表示する構成以外にも、例えば、時短1回目が外れ変動(変動時間10秒)で、時短2回目が大当たり変動(変動時間50秒)であると遊技者に思わせる「60秒」の表示態様で残時短期間態様801を表示するように構成しても良い。つまり、実際のVラッシュの継続期間を示す値よりも小さく、且つ、少なくとも大当たり変動で選択され得る変動時間と、外れ変動で選択され得る変動時間と、を組み合わせた場合に算出される値を表示すれば良い。
【0183】
なお、本実施形態では、第3図柄表示装置81の表示面に獲得済の特図保留数を表示しないように構成しているが、これに限ること無く、特図保留数を示すための表示態様を表示しても良い。この場合であっても、特図保留数を示すための表示態様を遊技者がその内容を視認し難い表示態様で表示することで遊技者に対して現在獲得している特図保留数を分かり難くすることができる。
【0184】
次に、
図12(b)を参照し、第3図柄表示装置81において表示されるVラッシュ開始画面について説明する。
図12(b)は、大当たりのエンディング期間が終了し、Vラッシュが開始される表示態様の一例を示した図であり、
図12(d)は、
図12(b)に示した表示画面が表示された場合における各図柄状況を示した図である。つまり、
図12(b)は、大当たりのエンディング時に特図第1保留th1で示されていた特図保留が変動を開始する時点における表示画面を示したものであって、大当たりのエンディング時に特図第1保留th1であった特図保留が実行中特図th0へとシフトし、また、特図第2保留th2は特図第1保留th1に、特図第3保留th3は特図第2保留th2に、特図第4保留th4は特図第3保留th3にそれぞれシフトされた状態における表示画面である。また、Vラッシュが開始されてから新たに特図入球口64に入球が無く、特図第4保留th4が空の状態である。そして、実行中普図fh0に示す様に、普通図柄の抽選も変動を開始しており、普図第1保留fh1に保留が貯まっている状態である(
図12(d)参照)。
【0185】
Vラッシュが開始されると、主表示領域Dmには、現在がVラッシュ期間であることを示す遊技状況報知態様として「Vラッシュ中」の文字が表示される。そして主表示領域Dmの横には、うさぎを模したキャラクタ810が袋810aの中から何かを取り出そうとしているように動的表示される。これは、普通図柄が変動中であることを示している。
【0186】
そして、主表示領域Dmの中央には、遊技者に有利となるVラッシュ期間の残期間を示すためのタイマ812が表示されている。このタイマ812には、時短状態の終了契機までの特別図柄の規定回数分の変動時間が合算された値が表示される。
図12(b)では、時短状態中の特別図柄の抽選回数が4回に規定されており、実行中特図th0の変動時間である10秒と、特図第1保留th1から特図第3保留th3までの変動時間を合算した値である「40.0秒」がタイマ812に示されている。このタイマ812は、実行中特図th0の変動時間が減算される度にその値が減算されるように表示され、遊技者がVラッシュの期間が進行していることを容易に理解させることができる。
【0187】
さらに、副表示領域Dsには、「タイマが0になるとVラッシュ終了!!」の文字が表示され、減算されているタイマ812の値が0になった場合に、Vラッシュが終了してしまうことを遊技者に報知している。上述したように、Vラッシュ期間中は、遊技者は、V入賞口165に球を入球させることを目的として遊技が実行される。よって、遊技者は、タイマ812に表示されている値の変位状況を視認することにより有利期間が終了してしまうまでの期間(残期間)を容易に理解することができる。
【0188】
そして、主表示領域Dmの左上の表示領域HR1には「1連目」の文字が示され、通常状態から大当たりに当選し(所謂、初当たり)、Vラッシュが開始されてから、遊技状態が通常状態に移行しないまま何回目のVラッシュ期間であるかを示している。さらに、表示領域HR1の下に示される表示領域HR2には「0pt」が表示されており、Vラッシュ期間中に当選した大当たりで獲得した賞球数が表示される。このように、表示領域HR1にVラッシュが継続している回数、表示領域HR2にVラッシュ中の大当たりで獲得した賞球数を表示しておくことで、遊技者が遊技者自身のタイミングで、遊技履歴を確認することができ、遊技の利便性を向上することができる。
【0189】
また、主表示領域Dmには、Vラッシュ変動領域811が表示され、このVラッシュ変動領域811の左領域811a、中領域811b、右領域811cにはそれぞれ図柄が変動(動的表示)するような表示態様が表示されている。このVラッシュ変動領域811には、Vラッシュ中の遊技状況を遊技者に示唆するための情報が表示される。
図12(b)では、現在、特図と普図との変動中であり、Vラッシュ変動領域811によって、Vラッシュ期間が経過していることを示している。
【0190】
次に、
図13(a)を参照して、本実施形態における第3図柄表示装置81において表示されるVラッシュ中に普図当たりに当選した場合の表示画面について説明する。
図13(a)は、Vラッシュ中に普図当たりに当選した場合の表示画面の一例を示した図であり、
図13(c)は、
図13(a)に示した表示画面が表示された場合における各図柄状況を示した図である。本実施形態では、上述したように、普通図柄の抽選に当選した場合に、普電入賞装置640に付随する電動役物640aが、遊技球が入球可能となるよう開放される。
【0191】
図13(c)に示すように、実行中普図保留fh0は、普通図柄の抽選で当たり当選したことを示す「○」が示される。そして、主表示領域Dmの右上には、Vラッシュの開始時には(
図12(b)参照)袋810aから何かを探していたキャラ810が、普通図柄の抽選に当選し特典を獲得したことを示すための報知態様である「ラッキー」の文字が書かれたチケット810bを取り出すアニメーションが表示される。そして、主表示領域Dmの右下の表示領域HR3には、普電入賞装置640を模式的に示した画像が表示され、普通図柄の抽選に当選し、電動役物640aが開放されている状態で表示されている。さらに、副表示領域Dsには「電チューに入ればV獲得チャンス!!」という文字が表示される。これらの表示内容により、遊技者は電チューを狙って遊技を実行することを理解できるので、正しい遊技方法を遊技者に案内することができる。つまり、上述した表示領域HR3の表示態様、および、副表示領域Dsの表示態様は、遊技者に対して実行すべき遊技の内容を案内するための案内報知態様となる。
【0192】
また、主表示領域Dm中央に表示されているタイマ812は、その値として30.9秒が表示されている。
図13(a)の遊技状況では、実行中特図th0に示される実行中の特図変動の残り変動時間は、0.9秒であり、特図第1保留th1〜特図第3保留th3までの特図抽選がVラッシュの期間である。よって、その合算した値である30.9秒がタイマ812に表示されている。なお、
図13(a)では、Vラッシュの開始時(
図12(b)参照)には貯留されていなかった特図第4保留th4が保留されているが、これはVラッシュの規定回数の期間が経過した後に実行される特図抽選となるため、この特図第4保留th4の変動時間は合算されない。よって、特図第4保留th4には「‐」が示されている(
図13(c)参照)。
【0193】
次に、
図13(b)を参照して、本実施形態における第3図柄表示装置81において表示されるVラッシュ中に役物当たりした場合の表示画面について説明する。
図13(b)は、Vラッシュ中に役物当たり遊技が実行された場合の表示画面の一例を示した図であり、
図13(d)は、
図13(b)に示した表示画面が表示された場合における各図柄状況を示した図である。本実施形態では、上述したように、普電入賞装置640内の特電作動口643に遊技球が入賞した場合には、V入賞装置65に付随するV開閉扉65aが開放状態となる役物当たり遊技が実行される。
【0194】
図13(b)は、
図13(a)で示した普図当たりによって普電入賞装置640内の特電作動口643に遊技球が入賞した場合の表示画面である。
図13(a)では、特図第1保留th1に保留されていた保留球が、
図13(b)では実行中特図th0にシフトされている。そして、その残変動時間が9.9秒であり変動が仮停止していることを示す「?」が示されている(
図13(d)参照)。本実施形態では、役物当たり遊技、或いは、大当たり遊技が実行される場合に、実行中の特別図柄変動の変動時間の減算を、各当たり遊技が終了するまで中断(仮停止)させるように構成している。
【0195】
そして、主表示領域Dmには、
図13(a)までは、特図の変動時間と共に減少していたタイマ812の値の減算表示が、特図の変動(特別図柄変動の変動時間の減算)が中断された時間(即ち、特電作動口643に入賞した時間)で中断表示されている。さらに、タイマ812の減算表示が中断していることを示すための「STOP!!」の文字が表示される。これらの表示内容により、遊技者はVラッシュの期間が経過することが中断されていることを把握することができる。そして、表示領域HR3には、V開閉扉65aが開放された状態のV入賞装置65が模式的に表示され、「狙え!!」という文字と共に表示されている。
【0196】
これにより遊技者は、V入賞装置65のV開閉扉65aの開放していること(役物当たり遊技が実行されていること)を、第3図柄表示装置81を視認することで理解することができる。つまり、
図13(b)における表示領域HR3の表示態様、及び、副表示領域Dsの表示態様は、Vラッシュ中における遊技状況を遊技者に報知するための遊技状況報知態様の機能と、役物当たり遊技中において実行すべき遊技を遊技者に案内するための案内報知態様の機能と、を有するものとなる。
【0197】
また、Vラッシュ変動領域811は、左領域811aと右領域811cとに「V」の文字が停止表示され、所謂リーチ表示態様となるように表示されている。さらに、副表示領域Dsには、「Vに入れば大当たり!!」の文字が表示されており、これらの表示内容により、遊技者は、もう少しでV入賞口165に遊技球を入賞させることができるのではないかという期待感をもちながら遊技を実行することができる。
【0198】
つまり、
図11(b)に示した通り、パチンコ機10における一般的な遊技、即ち、特別図柄の抽選を実行し、その抽選結果が大当たり当選であることを期待しながら実行される遊技(特図遊技)では、抽選結果を示すための複数の識別情報(第3図柄表示装置81にて動的表示される各図柄(第3図柄))が複数列(例えば、3列)で変動表示(動的表示)され、その複数の図柄列のうち、一の図柄列を除いた他の図柄列が大当たり当選を示すための識別情報の組合せとなるリーチ表示態様(例えば、同一の識別情報の組合せ)で停止表示されると、大当たり当選の期待度が高まるリーチ演出が実行されるように構成している。
【0199】
本実施形態のパチンコ機10における時短状態(Vラッシュ)中に実行される遊技(特電遊技)は、特別図柄の抽選では無く、普通図柄の抽選を基点に様々な過程を経て最終的にV入賞口165へと球を入賞させることで大当たり遊技(V大当たり遊技)を実行させる遊技となるため、特電遊技の具体的な遊技内容を遊技者が理解し難いという問題があった。これに対して、本実施形態では、上述した複雑な遊技性を有する特電遊技の進行状況(大当たり遊技が実行されるまでの各種過程)に応じて、Vラッシュ変動領域811の左領域811a、中領域811b、右領域811cの各領域にて変動表示(動的表示)される図柄(文字)の変動表示態様を、あたかも特図遊技が実行されているかのような演出態様が実行されるように構成している。このように構成することで、遊技者は特電遊技における具体的な遊技内容を把握しなくとも、第3図柄表示装置81の表示面に表示される各表示態様を把握することができるため、遊技者に対して分かり易い遊技を提供することができる。
【0200】
次に、
図14(a)を参照して、本実施形態における第3図柄表示装置81において表示されるVラッシュ中の役物当たり遊技中のV入賞画面について説明する。
図14(a)は、Vラッシュ中の役物当たり遊技中にV入賞口165に遊技球が入賞し、大当たりが付与される場合の表示画面の一例を示した図であり、
図14(c)は、
図14(a)に示した表示画面が表示された場合における各図柄状況を示した図である。本実施形態では上述したように、Vラッシュ中に、役物当たり遊技が実行され、役物当たり遊技中にV入賞口165に球を入賞した場合(V入賞した場合)には、大当たり遊技(V大当たり遊技)が付与される。
【0201】
図14(a)は、
図13(b)で示した役物当たり遊技中に、V入賞口165に球が入賞した場合の表示画面である。上述した通り、役物当たり遊技中は特別図柄の変動が中断されているため、実行中特図th0は、変動時間を9.9秒残したまま仮停止している。そして、特図第1保留th1と特図第2保留th2は今回のVラッシュの規定回数内の保留であり、変動時間はそれぞれ10秒が設定されている。よって、Vラッシュ期間の残期間は、
図13(b)で示した時点から変わること無く「29.9秒」となる(
図14(c)参照)。
【0202】
そして、球がV入賞して大当たり遊技(V大当たり遊技)が実行されることが確定した場合には、Vラッシュ期間の減算が所定期間(大当たり遊技期間)の間減算されない状態となるため、
図13(b)に示したタイマ812にて表示させた「29.9秒」の表示態様が、そのタイマ812よりも目立たない表示領域HR4にて表示される。表示領域HR4には「タイムストック29.9秒」が表示されている。
【0203】
本実施形態では、特図の仮停止中にV入賞(V大当たり遊技)が発生した場合には、その仮停止していた特図変動が終了した後に実行される特別図柄抽選が今回実行される大当たり遊技の大当たり種別に対応して設定される時短回数分実行されるまで時短状態が継続するように構成している。即ち、大当たり遊技終了後に実行される中断されていた特別図柄変動(再開特図変動)によって、時短終了条件を成立させるための情報(時短回数)が更新(減算)されないように構成している。
【0204】
つまり、
図14(c)に示した状態では、大当たり遊技終了後に時短回数4回が設定される場合には、中断中の特別図柄変動の残期間(9.9秒)に、特図保留4個分の特図変動時間を合算した値が、次のVラッシュの継続期間となる。このように構成することで、通常状態において特図遊技を行い、大当たり当選することで設定される時短状態(Vラッシュ初突入時)に対して、Vラッシュ中に大当たり遊技(V大当たり遊技)が実行され、その大当たり遊技終了後に再度設定される時短状態(Vラッシュ継続時)のほうが、再開特図変動の変動時間(残変動時間)分、Vラッシュ継続期間を長く設定することができるため、Vラッシュ初突入時よりも、Vラッシュ継続時のほうが遊技者に有利なVラッシュを提供し易くすることができる。よって、遊技者に対して、Vラッシュが継続することをより期待させながら遊技を行わせることができる。
【0205】
なお、Vラッシュ初突入時よりも、Vラッシュ継続時のほうが遊技者に有利な時短状態を設定するために他の手法を用いても良く、例えば、通常状態中に大当たり遊技の実行条件が成立(特図抽選で大当たりに当選)し、その大当たり遊技終了後に時短状態が設定される場合と、時短状態で大当たり遊技の実行条件が成立(特電遊技でV入賞)し、その大当たり遊技終了後に時短状態が設定される場合とで、特別図柄の変動パターンとして異なる変動パターンが選択されるように構成しても良く、具体的には、通常状態中に大当たり遊技の実行条件が成立(特図抽選で大当たりに当選)し、その大当たり遊技終了後に時短状態が設定される場合よりも、時短状態で大当たり遊技の実行条件が成立(特電遊技でV入賞)し、その大当たり遊技終了後に時短状態が設定される場合のほうが長い変動時間の変動パターンが選択され易くなるように構成すると良い。このように構成することで、Vラッシュ初突入時よりも、Vラッシュ継続時のほうが時短状態中に実行される特別図柄変動の変動時間を長くし易くすることができるため、結果として、Vラッシュの継続期間を長くすることができる。よって、Vラッシュを継続させた遊技者に対して付加価値を付与することができるため遊技者の遊技意欲を高めることができる。
【0206】
一方、本実施形態のパチンコ機10とは反対の技術思想として、再開特図変動の実行により時短終了条件を成立させるための情報(時短回数)が更新(減算)されるように構成しても良いし、Vラッシュ初突入時のほうがVラッシュ継続時よりも長い変動時間の特別図柄変動が実行され易くなるように構成しても良い。このように構成することで、Vラッシュが過剰に継続してしまうことを抑制しつつ、Vラッシュ中に実行される特電遊技にて一度も大当たり遊技(V大当たり遊技)を実行させることなくVラッシュが終了してしまい遊技意欲が低下することを抑制することができる。
【0207】
また、本実施形態のように、実行中の特図変動の中断タイミングが、大当たり遊技(V大当たり遊技)終了後のVラッシュの継続期間の長さに大きな影響を与える構成を用いる場合には、特図変動を中断させることが可能となる状態(例えば、普通当たり遊技に当選した状態)において、実行中の特図変動の残変動時間を示すための情報を遊技者に報知するように構成し、遊技者が、特図変動を中断させるか否かを選択し得るように構成しても良い。つまり、実行中の特図変動の残変動時間が所定時間よりも長い(例えば、30秒)である場合には、特図変動を中断させるための遊技(普図当たり遊技中に特電作動口643に球を入賞させ役物当たり遊技を実行させる遊技)を実行し、V入賞を狙う遊技を選択し、実行中の特図変動の残変動時間が所定時間よりも短い(例えば、2秒)である場合には、特図変動を中断させない遊技を選択することが可能となるように構成しても良い。
【0208】
また、V入賞によって大当たり遊技(V大当たり遊技)が付与された場合には、その仮停止していた特別図柄の変動時間と、その時点で保留されていたVラッシュの規定回数内の特別図柄の変動時間が次のVラッシュの予め設定された期間として表示されるよう構成している。そしてその時間を主表示領域DmのH表示領域HR4に表示するよう構成している。よって、遊技者は、表示領域HR4を確認することで、次のVラッシュにストックされた期間を確認することができる。
【0209】
そして、主表示領域DmのVラッシュ中の遊技状態を示すためのVラッシュ変動領域811では、
図13(b)では変動していた中領域811bに「V」が停止表示される。そして、左領域811aと右領域811cは役物当たりが実行された際に、「V」の文字が停止表示されているため、左領域811aと中領域811bと右領域811cとを合わせて「VVV」と大当たりに当選したことを示唆する報知態様が表示される。また、副表示領域Dsには「大当たりおめでとう!!」の文字が表示される。これらの表示内容により、役物当たり中に、V入賞口165に遊技球を入賞させ、大当たりが付与されたことを遊技者に分かりやすく示している。
【0210】
なお、本実施形態では、Vラッシュ変動領域811は、役物当たりが実行された場合に左領域811aと右領域811cとを停止表示し、役物当たり中にV入賞した場合に中領域811bを停止表示するよう構成したが、これに限ることなく、普図当たりに当選した場合に、左領域811aを、役物当たりが実行された場合に、右領域811cを、V入賞した場合に中領域811bを停止表示するよう構成しても良い。このように遊技条件の成立などを契機として、段階的な演出を実行するよう構成することで、遊技者はV変動領域811を視認すると、遊技段階がどの段階なのかを瞬時に判断することができる。よって、遊技者により多くの情報を提供することができる。また、停止される文字は、大当たりが付与され、遊技者が特典を獲得することが出来ることを示すためのものならよく、「当たり」や「V入賞」などと表示してもよい。このように大当たりを示す文字を複数表示されるよう構成することで、よりバリエーションのある演出を遊技者に提供することができる。
【0211】
次に、
図14(b)を参照して、本実施形態における第3図柄表示装置81において表示されるVラッシュ中の役物当たり中の外れ画面について説明する。
図14(b)は、Vラッシュ中の役物当たり中にV入賞口165に遊技球が入賞しなかった場合の表示画面の一例を示した図である。本実施形態では、役物当たりに実行された場合に、実行されていた特別図柄の変動を仮停止するよう構成したが、役物当たり中にV入賞できなかった場合には、その仮停止していた特別図柄の変動が再開される。
【0212】
図14(b)は、
図13(b)において役物当たりが実行された場合からV入賞口165に遊技球が入賞しなかった場合の表示画面である。主表示領域Dmの、Vラッシュ中の遊技状況を示すV変動領域811では、中領域811bにV入賞しなかったことを示す「×」の文字が表示される。よってVラッシュ変動領域811には「V×V」という外れ表示態様が表示される。これにより、遊技者は、今回の役物当たり中に、V入賞口165に遊技球を入賞させることができなかったことを理解することができる。
【0213】
そして、主表示領域Dmには、仮停止していた特図の変動が再開することを示すための「再開!!」という文字が表示される。そして、タイマ812に示されるVラッシュの残期間を示すための表示態様が、実行中特図th0に示す特図の変動再開(
図14(d)参照)とともに再び減少し始める。これにより遊技者は、このタイマ812に示す時間内にV入賞させることを目指して遊技を実行しなければならないことを容易に理解できる。
【0214】
次に、
図15(a)を参照して、本実施形態における第3図柄表示装置81において表示されるVラッシュ中の大当たりエンディング画面について説明する。
図15(a)は、Vラッシュ中の大当たりエンディングの表示画面の一例を示した図であり、
図15(c)は、
図15(a)に示した表示画面が表示された場合における各図柄状況を示した図である。本実施形態では、Vラッシュ期間中に、大当たりに当選、或いは、V入賞した場合には、再度Vラッシュ期間(時短状態)が設定される。
【0215】
図15(a)は、
図14(a)に示したV入賞より付与された大当たりのエンディング画面を示した図である。上述したように、Vラッシュ中に大当たりが付与された場合には、仮停止していた実行中特図th0と前回のVラッシュ期間の規定回数であった特図第2保留th2までの変動時間を合算した値がタイムストックとして表示領域HR4に「タイムストック29.9秒」の文字が表示されている。そして、
図15(c)の特図第3保留th3に対応する特図保留、即ち、大当たり遊技が実行される前のVラッシュ中では、Vラッシュ期間(時短期間)として加算されていなかった特図保留の変動時間が算出される。
【0216】
上述したように、Vラッシュ中に大当たりが付与された場合には、その大当たり遊技の終了時に、再度Vラッシュが設定される。そのVラッシュの期間は大当たり中に仮停止していた特図の変動の残時間と、大当たり種別により付与された特図の抽選回数分の変動時間が合算された値が設定される。
図15(a)では、表示領域HR4に表示されているようにタイムストックとして29.9秒、即ち、中断されている特図変動の残期間(9.9秒)と、前回のVラッシュ中に既にタイマ812に加算表示されていた特図第1保留th1、及び特図第2保留th2に対応する特図保留の変動時間(合計20秒)を合算した秒数がタイムストックとして既に表示されており、このタイムストックされている秒数に対して、大当たり遊技終了時点において新たにVラッシュ期間に加算可能な値として特図第3保留th3に対応する特図保留の変動時間(15秒)が加算される。
【0217】
なお、
図15(a)に示した例では、大当たり遊技の終了後に時短4回が付与される大当たり遊技のエンディング画面を示しており、タイムストックとして保留されている特図保留は特図第2保留th2まで(特図保留2個分)であるため、あと2個分の特図保留の変動時間を今回のVラッシュ期間としてタイマ812に加算表示することができるが、
図15(a)では、タイマ812に加算表示可能な特図保留が1個しか無いため(特図第4保留th4に特図保留が記憶されていないため)、特図第3保留th3に対応する特図保留の変動時間のみが加算表示される。
【0218】
本実施形態では、Vラッシュ中に大当たりが付与され、その時点でタイムストックされている特図保留数が今回付与される時短(Vラッシュ)の規定回数(時短回数)に足りない場合には、大当たり遊技終了後までに保留記憶された特図保留に対応する変動時間を、タイムストックの値に上乗せする演出を実行するように構成しており、
図15(a)では、特図第3保留th3に示された15秒の外れ変動パターンが実行される特図保留に対応させて上乗せ期間表示態様802に「+15秒GET」の文字が表示される。これにより、遊技者は、遊技者にとって有利となる期間がさらに延長されたという喜びを得ることができる。さらに、本実施形態では、大当たり遊技のエンディング期間中にVラッシュ期間を上乗せする演出を実行するように構成しているため、大当たり遊技のエンディング時に有利期間が延長されるのではないかという期待感を持ちながら遊技を実行することができるため、大当たり中の演出により注目させることが出来る。
【0219】
また、主表示領域Dmの表示領域HR1にはVラッシュが2回継続されたことを示す「2連目」の文字が表示され、また、表示領域HR2にはVラッシュ中の大当たりで獲得出来た賞球数である「670P」が表示される。このように、遊技結果を遊技者が視認しやすい位置に表示し、大当たりが実行され特典を得るたびにその値が増加することで、より満足感を遊技者に与えることができる。そして、副表示領域Dsには、Vラッシュが再度設定されたことを示す「Vラッシュ継続」の文字が表示される。これにより遊技者は、遊技者にとって有利となるVラッシュが継続されることを容易に理解することができる。
【0220】
次に、
図15(b)を参照して、本実施形態における第3図柄表示装置81において表示されるVラッシュ中のタイマ上乗せ画面について説明する。
図15(b)は、Vラッシュ中のタイマ上乗せ画面の表示内容の一例を示した図である。上述したように、本実施形態では、Vラッシュ中に実行された大当たりエンディング時に新たに入賞した特図保留や、大当たり前にはVラッシュの規定回数の期間外であった特別図柄の変動時間の上乗せ演出を実行する。そして、大当たり終了時にVラッシュの規定回数分の保留球数が保留されていない状態である場合には、Vラッシュの規定回数分の特図保留が貯まるまで、Vラッシュ期間中も新たに増加した保留球数分の上乗せ演出を実行する。
【0221】
図15(b)は、
図15(a)に示した大当たりのエンディング時から遊技が進行し、新たに特図入球口64に遊技球が入賞した場合の表示画面を示した図であり、
図15(d)は、
図15(b)に示した表示画面が表示された場合における各図柄状況を示した図である。主表示領域Dmには、Vラッシュ変動領域がVラッシュの期間が経過していることを示す変動表示態様が表示されている。
図15(b)は、
図15(d)に示した通り、実行中特図th0が変動を再開し、残変動時間が3.2秒となり、特図第1保留th1と特図第2保留th2とには、変動時間としてそれぞれ10秒が設定されている保留が記憶されている。そして、特図第3保留th3は15秒の変動時間の保留球が記憶されている状態である。よって、第3図柄表示装置81の主表示領域Dmに表示されているタイマ812は、これらの値が合算された「38.2」秒が表示されている。
【0222】
図15(a)の状態は、上述した通り、Vラッシュ期間として新たな特図保留2個分の変動時間を上乗せ可能な状態であるが、新たな特図保留を1個しか獲得していない状態(特図第3保留th3のみ)である。この場合、
図15(b)に示した通り、次に新たな特図保留を獲得した場合に、その獲得した特図保留の変動時間が上乗せ表示されるように構成している。
【0223】
具体的には、特図第4保留th4には追加入賞があったことが示されており、この新たな特図保留には、20秒の変動時間が設定されている。よって、今回のVラッシュ期間に20秒が加算される演出が実行される。そして主表示領域Dmに表示されているキャラ810が、Vラッシュの期間が追加され、遊技者に有利期間延長を示すためのチケット810bを、Vラッシュの残期間を示すためのタイマ812に投げている様子が表示される。この演出が実行された後、タイマ812に表示されている残期間に今回追加入賞した特図の変動時間がVラッシュの残期間に加算され、タイマ812にその値である「58.2秒」が表示される。また、副表示領域Dsには、「タイマ上乗せ!!」の文字が表示され、Vラッシュ期間が延長(追加)されたことを分かり易く報知している。
【0224】
次に、
図16(a)を参照して、本実施形態における第3図柄表示装置81において表示されるVラッシュ終了画面について説明する。
図16(a)は、Vラッシュの終了を示す表示画面の一例を示した図であり、
図16(c)は、
図16(a)に示した表示画面が表示された場合における各図柄状況を示した図である。本実施形態では、Vラッシュ期間中に、V入賞口165に遊技球を入賞させられなかった場合、或いは、特別図柄の抽選で大当たりに当選しなかった場合には、Vラッシュ期間が終了し、遊技状態が通常状態へと移行する。
【0225】
図16(c)に示した通り、今回のVラッシュの最終変動である実行中特図th0fが外れで停止したことを示す「×」の表示が示されている。特図第1保留th1〜特図第3保留th3まで保留球は貯まっているが、これらの保留球はVラッシュの規定回数外の保留球である。なお、実行中普図fh0は変動している状態であり、普図第1保留fh1普図保留球が貯まっている。
【0226】
そして、主表示領域Dmには「VGET×2」という今回何回Vラッシュが継続されたかどうか示す文字が表示され、さらに、「PGET×1500」という今回のVラッシュ中の大当たりで、賞球(特典)をどれだけ獲得できたかを示すための文字が表示される。これにより、今回のVラッシュの遊技結果を遊技者が分かり易く報知している。また、副表示領域Dsには、有利期間が終了してしまったことを報知するための「Vラッシュ終了」の文字が表示される。これらの表示態様により、遊技者に対し、Vラッシュ期間が終了してしまったことを遊技者に対し分かり易く報知することができる。
【0227】
次に、
図16(b)を参照して、Vラッシュ延長画面について説明する。
図16(b)は、Vラッシュの期間が延長したことを示す表示画面の一例を示した図であり、
図16(d)は、
図16(b)に示した表示画面が表示された場合における各図柄状況を示した図である。
【0228】
本実施形態では、時短状態が設定されている場合において、Vラッシュ演出を実行するように構成している。そして、時短状態は、予め定められた規定回数の特別図柄変動が終了した場合に終了するように構成している。具体的には、時短回数4回が設定された場合には、時短状態が設定されてから4回目の特別図柄変動が停止表示(確定表示)した場合に、時短状態を終了し、通常状態へと移行するように構成している。ここで、特別図柄の抽選(変動)と、普通図柄の抽選(変動)とは、独立して実行されるものであるため、Vラッシュ期間の終了間際(時短状態における特別図柄の最終変動が停止表示する直前)に、普図当たり遊技が実行された場合には、時短状態が終了した後(通常状態へと移行した後)に、役物当たり遊技を実行させることができる場合がある。
【0229】
この場合、遊技状態が時短状態から通常状態へと移行するタイミングでVラッシュ演出を終了してしまうと、Vラッシュ演出が終了したにも関わらず、役物当たり遊技が開始される事態は発生してしまい、遊技者を困惑させてしまう虞があった。そこで、本実施形態では、Vラッシュ期間の終了タイミング(時短状態における特別図柄の最終変動停止タイミング)において、普図当たり遊技が実行されている場合には、その普図当たり遊技が終了するまで、或いは、その普図当たり遊技を契機に実行される役物当たり遊技が終了するまで、Vラッシュ演出を延長するように構成している。これにより、V大当たり遊技を狙う特電遊技期間に対応させてVラッシュ演出を実行することができるため、遊技者に分かり易い演出を実行することができる。
【0230】
具体的には、
図16(d)に示した通り、実行中普図tf0に当たり当選したことを示す「○」の文字が示される状態、即ち、普図当たり遊技中に、時短状態の最終変動である特別図柄変動が停止表示(実行中特図th0が外れで停止していることを示す「×」で停止表示)した場合には、
図16(b)に示した通り、第3図柄表示装置81の主表示領域Dmには、Vラッシュ中の遊技状況を示すためのVラッシュ変動領域811の左領域811a、中領域811b、右領域811cが変動している状態で表示されている。即ち、Vラッシュが継続されていることを遊技者に示唆している。
【0231】
そして、タイマ812には、時短状態の規定回数分の特図の変動が全て終了したことを示す「00.0秒」が表示される。しかしながら、主表示領域の上方には、「Vラッシュ延長中」の文字が表示されている。このように表示されることで、遊技者は、終了してしまったと思っていたVラッシュが延長されていることを知り、思わぬ喜びを得ることができる。そして、副表示領域Dsには「ラストチャンス!!」の文字が表示され、今回の普図当たりで特電作動口643に遊技球を入賞させ、V入賞口165に遊技球を入賞させなければ、Vラッシュが終了してしまうことを、遊技者は容易に理解することができる。
【0232】
なお、
図16(b)に示した状態、即ち、Vラッシュの延長表示中に球を特電作動口643へと入球させた場合には、通常のVラッシュ期間中と同様に役物当たり遊技が実行される。この場合、
図13(b)に示した役物当たり遊技中の表示画面が表示されると共に、副表示領域Dsには継続して「ラストチャンス!!」の文字が表示される。これにより、今回の役物当たり遊技にてV入賞口165に球が入賞しなければVラッシュ期間が終了してしまうことを遊技者に分かり易く報知することができる。そして、「ラストチャンス!!」と表示された役物当たり遊技にて球がV入賞口165に入賞した場合には、通常のVラッシュ期間中と同一のV大当たり遊技が実行される。一方で球がV入賞口165に入賞しなかった場合には、役物当たり遊技終了後に、
図16(a)に示したVラッシュ終了画面が表示される。
【0233】
以上、
図16(a)、及び
図16(b)を参照して説明をした通り、本実施形態では、遊技状態の移行状況では無く、特電遊技を実行可能な期間をVラッシュ期間として一連のVラッシュ演出を実行するように構成している。このように構成することで遊技者に分かり易い演出を提供することができる。なお、
図16(a)に示したVラッシュ期間の終了を示す終了画面の表示タイミングは、Vラッシュ期間の特別図柄の最終変動が停止表示された後に限ること無く、例えば、特別図柄の最終変動の残期間が所定時間(例えば、5秒)となった場合に表示を開始し、特別図柄の最終変動が停止表示され、次の特図変動が開始されるタイミングで終了画面の表示を終了させるように構成しても良い。この場合、タイマ812に表示するVラッシュ期間を、Vラッシュの終了画面が表示されるまでの期間として算出すると良い。
【0234】
このように構成することで、タイマ812の値が0になった後に、所定時間(例えば、5秒)を用いて終了画面を表示することができるため、遊技者にVラッシュ期間中の遊技結果を分かり易く報知することができる。なお、このような構成を用いた場合には、例えば、Vラッシュの終了画面を表示する時点において普通図柄の抽選状況を事前判別し、Vラッシュの終了画面を表示し得る期間内にて普図当たり遊技が実行されると事前判別した場合には、Vラッシュの終了画面を表示するタイミングにて、
図16(b)に示した延長画面を表示するように構成しても良いし、一旦終了画面を表示した後に、普図当たり遊技が実行された場合に、終了画面を延長画面へと切り替えるように構成しても良い。このよに、終了画面を延長画面へと切り替えるように構成を用いることで、終了画面が表示された後にもV大当たり遊技を狙える可能性を残すことができるため、遊技者に対して最後まで期待感を持たせたまま遊技を行わせることができる。なお、本実施形態では、
図16(b)に示した延長画面が表示されている状態では、遊技状態として通常状態が設定されるように構成している。このような構成を用いた場合、例えば、時短状態中にV大当たり遊技が実行される場合よりも、通常状態中にV大当たり遊技が実行された場合のほうが遊技者に有利となる大当たり遊技が実行されるように構成すると良い。これにより、延長画面が表示されている期間は、Vラッシュ期間が間もなく終了してしまうことを示す期間であると共に、有利な大当たり遊技が実行され得る期間であることを示すことになる。よって、Vラッシュ期間中の遊技を行っている遊技者に対して、最後まで期待感を持たせた遊技を行わせることができる。加えて、この場合、遊技状態として通常状態が設定されている状態を、Vラッシュ期間が延長している特殊通常状態と、通常の通常状態とに区分けして管理可能に構成し、特殊通常状態が設定されている場合のみ、遊技者に有利な大当たり遊技が付与されるように構成し、通常の通常状態中にV大当たり遊技が実行された場合にはペナルティとして賞球を殆ど得ることが出来ず、大当たり遊技の終了後に通常状態が設定される不利大当たり遊技が実行されるように構成すると良い。また、これに限ること無く、例えば、Vラッシュ期間の特別図柄の最終変動が停止表示された時点で延長画面の表示条件が成立している場合には、時短状態を終了させず、延長画面表示の終了条件が成立した場合に時短状態を終了させるように構成しても良い。これにより、時短状態が終了するタイミングが可変することになるため、遊技者に対して、どのタイミングで時短状態が終了するのかを分かり難くすることができる。
【0235】
次に、
図17(a)を参照して、本実施形態における第3図柄表示装置81において表示される大当たり遊技のエンディング時の特殊画面について説明する。
図17(a)は、大当たり遊技のエンディング時の特殊画面の表示画面の一例を示した図であり、
図17(c)は、
図17(a)に示した表示画面が表示された場合における各図柄状況を示した図である。本実施形態では、上述したように、Vラッシュ中に大当たり遊技が実行された場合に、大当たり遊技の終了後、再度Vラッシュの期間が特別図柄の保留球数と変動時間とに基づいて設定されるが、大当たり遊技のエンディング時に保留球内に変動時間が200秒の当たり変動が実行される保留球があれば、所定期間の経過後に必ず大当たりに当選することを示す天国モード演出が実行される。
【0236】
図17(a)は、大当たり遊技のエンディング時に、変動時間が200秒の当たり変動が保留されている場合の表示画面である。
図17(c)に示すように、
図17(a)で示す大当たり遊技のエンディング時の各図柄の保留状況は、実行中特図th0は、大当たり遊技中であるため特別図柄の変動が実行されていない。また、実行中普図fh0は変動中であることを示す「↓」が示されており、普図第1保留fh1は記憶されていることが示されている。そして、特図第1保留th1と特図第2保留th2とには、それぞれ10秒の外れ変動パターンが実行される保留球が記憶されていることが示されている。
【0237】
そして、特図第3保留th3には、200秒の当たり変動パターンが実行される保留球が示されている。本実施形態では、詳しくは後述するが、時短遊技中(Vラッシュ中)の特別図柄の変動パターンとして、当否判定結果が当たりである場合に、変動時間が200秒の当たりロング変動(以下、特殊当たりと称す)が実行される場合がある。さらに、特別図柄の抽選において当選する大当たり(大当たりA、大当たりB)においては、大当たり遊技終了後に時短状態が設定される。よって、遊技者はこの特殊当たりの変動が停止するまで(天国モード中)は、特電遊技においてV入賞口165に入賞させることができなくても、必ず、特殊当たりにより当選した大当たり遊技により、大当たり遊技終了後再度Vラッシュの期間が設定されることため、安心して特電遊技を実行することができる。なお、
図17(c)に示すように、特図第4保留th4は保留球があることを示しているが、特図第3保留th3において大当たり遊技が実行されるので、特図第3保留th3の保留球によって実行される大当たり遊技の終了後に設定されるVラッシュの期間として設定されるため、変動時間は「‐」が示されている。
【0238】
そして、
図17(a)に示す様に、大当たり遊技のエンディング時に保留内に特殊当たりがある場合には、第3図柄表示装置81の主表示領域Dmにおいて、保留内に特殊当たりがあることを示す「天国モード突入」の文字が表示される。また、遊技状態が通常状態である場合や、保留内に特殊当たりがないVラッシュ中には表示されない第1ラッキーキャラクタ820aと第2ラッキーキャラクタ820bが表示される。また、副表示領域Dsに「超ラッキー!!」の文字が表示される。このように、通常状態時や保留内に特殊当たりがないVラッシュ中には表示されない第1ラッキーキャラクタ820aと第2ラッキーキャラクタ820bとが表示されることで遊技者は、遊技状況が特殊な状況であるのではないかという期待感を持つことができ、わくわくしながら遊技を継続することができる。つまり、第1ラッキーキャラクタ820aと第2ラッキーキャラクタ820bとは、遊技者にとって現在の遊技状況が特殊な遊技状況であることを示唆するための特殊遊技状況示唆態様となる。
【0239】
また、主表示領域Dmの中央には、「220秒」と書かれた特殊期間表示態様803が表示される。この特殊期間表示態様803に表示される値は、特別図柄の抽選で特殊当たりに当選する変動が停止するまでの時間、即ち、天国モードの期間として設定される値が表示される。つまり、これから実行される特殊遊技期間を示すための特殊遊技期間報知態様となる。よって、この特殊期間表示態様803に表示される値は、特殊当たりの変動時間である200秒と、特殊当たりに当選するまでの保留球数分の変動時間が合算された値が表示される。
図17(c)では、特図第1保留th1と特図第2保留th2とがそれぞれ10秒の変動時間が設定されている。さらに、特図第3保留th3に示される特殊当たりの変動時間は200秒であるため、特図第1保留th1〜特図第3保留th3までの変動時間の値を合算した「220秒」が、天国モードが設定される期間である。
【0240】
本実施形態のパチンコ機10における時短状態(Vラッシュ)の期間は、大当たり遊技のエンディング時に第3図柄表示装置81において遊技者に対し報知するよう構成したが、時短遊技状態における特別図柄の変動時間は、特殊当たり変動である200秒を除くと最大でも50秒が最長の変動時間として設定される変動パターンが実行されるよう構成している(
図25(c)参照)。よって、
図17(a)に示す様に、200秒を超える極端に長い時間が特殊期間表示態様803に表示される場合には、必ず再度時短状態が設定されることを遊技者は理解することができ、安心して特電遊技を実行することができる。
【0241】
なお、本実施形態では、大当たり遊技のエンディング時に、保留球内に特殊当たり変動があるかを判別し、特殊当たりがある場合には、大当たり遊技のエンディング時に、遊技者に対し報知するよう構成したが、報知態様はこれに限られるものではない。例えば、保留内に特殊当たりがある場合には、大当たりのエンディング時には、特殊当たり変動が実行されるまでの時間を報知するよう構成し、特殊当たりの変動が開始される時に、「200秒」の期間延長があったことを遊技者に報知するようにしてもよい。このように構成することで、終わってしまったかと思われたVラッシュの期間が、突然長い期間延長されたという思わぬ喜びを遊技者に対し与えることができる。
【0242】
次に、
図17(b)を参照して、本実施形態における第3図柄表示装置81において表示される天国モード中の画面について説明する。
図17(b)は、天国モード中の表示画面の一例を示した図であり、
図17(d)は、
図17(b)に示した表示画面が表示された場合における各図柄状況を示した図である。本実施形態では、大当たりのエンディング時に保留球内に特殊当たりがある場合に、その特殊当たりの変動が停止するまでの時間を、天国モードと称し、遊技者が安心して特電遊技を実行することができる期間となるよう構成している。
図17(b)は、
図17(a)に示した天国モードに移行してから、遊技状況が進行した場合の表示画面の一例である。
【0243】
図17(b)に示す様に、主表示領域Dmの表示領域HR1には、遊技状態が通常状態から時短状態(Vラッシュ)に移行してから10回目のVラッシュ期間であることを示す「10連目」の文字が表示されている。そして、表示領域HR1の下方に設けられている表示領域HR2には、Vラッシュに移行してから実行された大当たり遊技によって獲得した賞球数を示す「6000pt」の文字が表示されている。主表示領域Dmの上方には「天国モード中」の文字が表示され、現在の遊技状態を遊技者が瞬時に判断できるよう示している。また、Vラッシュ中と同様に、Vラッシュ変動領域811が表示され、左領域811a、中領域811b、右領域811cの各領域には、普通図柄の抽選が実行されており、特電遊技が進行していることを示す変動表示態様が示されている。また、Vラッシュ中と同様に、主表示領域Dmの右上には、キャラクタ810が袋810aの中から何かを探しているアニメーションが表示される。これは、普通図柄の抽選が実行されていることを示すものである。
【0244】
そして、
図17(d)に示す様に、実行中特図th0では、残り変動時間30秒の特別図柄の変動が実行されている。この実行中特図th0は、
図17(c)に示した遊技状況では、特図第3保留th3に示されていた特殊当たりが実行される保留球が変動を開始しているものである。よって
図17(b)で実行されている天国モードの残期間は、この実行中特図th0の残変動時間である30秒である。また、特図第1保留th1〜特図第3保留th3には保留球が存在していることを示しているが、実行されている天国モードの期間外に実行される特図抽選であるため、変動時間は「‐」が示されている。また、実行中普図fh0は、普図抽選が実行されていることを示す「↓」が示されており、また普図第1保留fh1にも保留球が記憶されている状況である。
【0245】
主表示領域Dmのタイマ812は、実行中特図th0の変動の残期間に合わせて減算されるよう表示されている。
図17(d)に示す様に、実行中特図th0の残変動時間はth0であるため、タイマ812には「30.0秒」の文字が表示されている(
図17(b)参照)。また、副表示領域Dsには「タイマ0でいいことがあるよ」という文字が表示され、タイマ812に表示されている残期間の値が0になると大当たりに当選することを遊技者に対して示唆している。つまり、副表示領域Dsには、これからの遊技状況を遊技者に対して示唆するための示唆演出報知態様が表示される。
【0246】
上述したように、本実施形態では、特殊当たりに当選し、当たり図柄が停止するまでの期間である天国モード中の一部の表示態様を、Vラッシュモードと同一となるよう構成している。このように構成することで、天国モード中もVラッシュ中と同様に、特電遊技を実行し、V入賞口165に遊技球を入賞させることが、遊技者にとって有利となる基本的な遊技方法であることを遊技者に対し案内することができる。よって、分かり易い遊技を遊技者に提供することができる。
【0247】
なお、表示態様はこれに限られるものではなく、天国モード専用の演出を実行するように構成しても良い。このように構成することで、演出の種類に幅を持たせることができ、演出効果を更に高めることができる。
【0248】
次に、
図18(a)を参照して、本実施形態における第3図柄表示装置81において表示される役物当たり中のチャンス演出画面について説明する。
図18(a)は、役物当たり中のチャンス演出の表示画面の一例を示した図であり、
図18(c)は、
図18(a)に示した表示画面が表示された場合における各図柄状況を示した図である。本実施形態では、上述したように、普通図柄の当たりに当選し、特電作動口643に遊技球が入賞すると役物当たりが実行され、役物当たりの実行中にV入賞装置65内のV入賞口165に遊技球が入賞した場合に大当たりが付与される。
図18(a)では、
図13(b)に示した遊技状況から役物当たり中にV入賞口165内に遊技球が入賞しやすいタイミングをチャンス演出とし遊技者に対し報知する。
【0249】
図18(c)に示すように、
図18(a)の各図柄の保留状況は、実行中特図th0は役物当たり中であるため、変動を仮停止していることを示す「?」が示されている。そして、特図第1保留th1〜特図第2保留th2までの各保留球は、それぞれ10秒のはずれ変動を示している。また、特図第3保留th3は、現在実行されているVラッシュの期間外に実行される特図変動であるため、変動時間は「‐」を示している。さらに、特図第4保留th4は保留されていないことを示している。そして、実行中普図fh0は、普図抽選の当たりに当選したことを示す「○」が示されている。
【0250】
そして、
図18(a)は、
図13(b)に示した役物当たり中に、V入賞口165に遊技球が入賞しやすいことを遊技者に報知するための報知画面である。本実施形態では、上述したように、役物当たり中にV入賞装置65内に入賞した遊技球は、貯留弁66aに貯留される。そして、この貯留弁66aは、3秒の期間のうち1.5秒間は、遊技球が第3流路65d(
図7参照)を流下するよう開放状態となるよう構成されている。そして、V入賞口165の上方に配設されている第1可動弁66bは、遊技状態に関わらず5.5秒間の内、0.5秒間遊技球が、V入賞口165への第5流路を流下可能な開放状態となるよう構成されている(
図27(a)参照)。
【0251】
つまり、V入賞口165に遊技球を入賞させるには、貯留弁66aが開放されてから第3流路65dを流下した遊技球を第1可動弁66bが開放状態に設定されている間に、V入賞口165に入球させる必要がある。よって、本実施形態では、貯留弁66aが開放状態に設定されてから2秒以内に第1可動弁66bが開放状態になるかを判別し、2秒以内に第1可動弁66bが開放状態となると判別した場合には、
図18(a)に示すように、主表示領域Dmに表示されているVラッシュ変動領域811のまわりに強調態様811zを表示する。そして、副表示領域Dsには、「V入賞の大チャンス!!」という文字が表示される。つまり、遊技者に対し強調態様811zは、有利となる遊技状態に移行しやすいタイミングを報知するためのタイミング報知態様となる。このように構成することで遊技者は、V入賞し易いタイミングを理解することができ、遊技を実行しやすくなる。
【0252】
なお、本実施形態では、V入賞し易いタイミングを強調表示態様811zや、副表示領域Dsのコメントにて報知するよう構成したが、これに限ることなく、V入賞し難いタイミングも報知するよう構成しても良い。このように構成することで、より親切な遊技を遊技者に対し提供することができる。
【0253】
次に、
図18(b)を参照して、本実施形態における第3図柄表示装置81において表示されるVラッシュ中の普図停止画面について説明する。
図18(b)は、Vラッシュの期間中に普通図柄の抽選が停止した場合の表示画面の一例を示した図であり、
図18(d)は、
図18(b)に示した表示画面が表示された場合における各図柄状況を示した図である。本実施形態では、上述したように、Vラッシュ(時短状態)中には、普通図柄の抽選に当選し、特電作動口643に遊技球を入賞させ、V入賞を狙う特電遊技を実行することが、遊技者にとって最も有利な遊技方法となる。よって、このVラッシュ中に、普通図柄の抽選が実行されていない場合には、特電遊技を実行できない状態であるため、遊技球の発射を促す演出を第3図柄表示装置81において実行する。
【0254】
図18(d)に示す様に、
図18(a)のVラッシュ中の各図柄の保留状況は、実行中特図th0は変動中であり、残変動時間が2秒であることが示されている。また、特図第1保留th1と特図第2保留th2とにはそれぞれ10秒間の外れ変動が実行される保留球が記憶されている。そして、特図第3保留th3と特図第4保留th4とは、保留球が記憶されていない状態である。よって、
図18(b)に示すVラッシュの残期間は実行中特図th0の残変動時間と、特図第1保留th1と特図第2保留th2との変動時間を合算した22.2秒である。そして、実行中普図fh0は、普図抽選が実行されていないことを示す「‐」が示されている。さらに、普通第1保留fh1にも保留球が記憶されていない。
【0255】
図18(d)に示した様に、Vラッシュ中に普通図柄の抽選が実行されずに停止している場合には、普通入賞装置640に付随する電動役物640aが開放状態に設定されず、特電作動口643に遊技球を入球させることは不可能である。つまり、Vラッシュ中の基本的な遊技方法となる特電遊技を実行することができず、さらに、特図抽選は実行されているため、規定回数分の特図抽選が狩猟した場合にそのままVラッシュが終了してしまう。さらに、本実施形態では、特図入球口64、或いは、普通入賞装置640に遊技球を入球させるには、遊技盤13の左側領域を狙って遊技球を発射する左打ち遊技を実行する必要があり、左打ち遊技を実行した場合には、普通図柄の抽選の契機となるスルーゲート67への遊技球の通過が100%実行されるよう構成している。つまり、
図18(b)に示した特図抽選は実行されていながら、普図抽選が実行されていないという遊技状況は、遊技球が発射されていない状況である。よって、第3図柄表示装置81において、遊技者に対して、遊技球の発射を促す演出を実行する。
【0256】
主表示領域Dmには「Vラッシュ中」の文字が表示され、さらに、タイマ812にはVラッシュの残り期間を示す「22.2秒」が時間の経過に合わせて減算されているように表示している。これらの表示内容により、遊技者はVラッシュ遊技が実行されており、その残期間が減少していることを容易に理解することができる。また、普通図柄の抽選が実行されている場合には変動表示が実行されていたV変動領域811では、左領域811aには「打」、中領域811bには「っ」、右領域には「て」と合わせて「打って」という文字が、キャラクタ810が案内しているアニメーションによって、遊技者に示されている。つまり、V変動領域811は、普通図柄の抽選が実行されていないことを示し、Vラッシュが終了してしまうことを遊技者に対し示すための警告表示態様となっている。
【0257】
また、副表示領域Dsには「遊技を開始してください」の文字が表示される。これらの表示内容により、遊技者に対し、普通図柄の抽選が実行されておらず特電遊技が実行できないことを報知することができ、また、特図抽選は実行されているため、このまま遊技者にとって有利な期間となるVラッシュ期間が終了してしまうことを警告することができる。このように構成することで、遊技者が思わぬ形で有利期間が終了してしまうことを抑制することができる。
【0258】
なお、上述した遊技球の発射を促す演出は、この表示態様に限られるものではない。つまり、普通図柄の抽選が実行されていないことが遊技者に対して伝わるものであればよく、「WARNING」など危険を示す文字を第3図柄表示装置81全体に表示しても良い。このように構成することで、遊技者が損をしてしまう恐れがあることをより警告することができる。
【0259】
次に、
図19(a)を参照して、本実施形態における第3図柄表示装置81において表示されるVラッシュ中の特図停止画面について説明する。
図19(a)は、Vラッシュ中に特別図柄の抽選が実行されていない場合の表示画面の一例を示した図であり、
図19(c)は、
図19(a)に示した表示画面が表示された場合における各図柄状況を示した図である。本実施形態では、上述したように、時短状態(Vラッシュ)は、特別図柄の抽選がその規定回数分実行されるまで継続し、その規定回数分の変動時間を合算した値をVラッシュの規定期間として遊技者に対し報知するよう構成している。よって、特別図柄の抽選が実行されていない場合には、その規定された期間が判別されていないため、遊技者にVラッシュがいつまで続くかを期待させるような演出を実行する。
【0260】
図19(c)に示すように、
図19(a)に示す遊技状況の各保留図柄の保留状況は、実行中特図th0は特別図柄の抽選が実行されていないことを示す「‐」が示されている。また特図第1保留th1〜特図第4保留th4は、保留球が記憶されていないことを示している。一方、実行中普図fh0は普図抽選が実行されていることを示す「↓」が示めされており、普図第1保留fh1も記憶されている状態である。
【0261】
このように、Vラッシュ中に特図抽選が実行されていない場合には、規定回数分の特別図柄の抽選が実行されるまで、特電遊技を実行することができる。
図19(a)に示す様に、タイマ812には特別図柄の抽選が実行されておらず、また規定期間に到達していないことを示す「???秒」の文字が表示されている。またV変動領域811には普通図柄の抽選が実行されていることを示す「↓↓↓」の変動表示が表示されている。そして、副表示領域Dsには、「いつまで続くかドキドキ」というVラッシュの規定期間に到達していないことを示唆するための報知態様が表示されている。これらの表示内容により、遊技者は、特別図柄の抽選が実行されていないためVラッシュの残期間が減っていない状態であるが、普通図柄の抽選は実行されているため特電遊技を実行できていることを理解することができる。このように構成することで、Vラッシュの期間が経過しないまま特電遊技を実行できるという遊技者にとって有利な遊技状況がいつまで続くかを遊技者がわくわくしながら遊技を実行することができる。つまり、
図19(a)に示す表示内容は、遊技者に対し、有利な状態であることを示すための示唆報知内容となっている。
【0262】
なお、上述したようにVラッシュ期間中に特別図柄の保留球がなくなった場合には、一度Vラッシュの期間が終了してしまったように報知し、次に特図入球口64に遊技球が入球した場合に、Vラッシュの期間が復活したような復活演出を実行しても良い。このように構成することで、遊技者は終了してしまったかと思われたVラッシュ期間が復活したように思い、思わぬ喜びを得ることができる。
【0263】
次に、
図19(b)を参照して、本実施形態における第3図柄表示装置81において表示されるVラッシュ中のラッキータイム画面について説明する。
図19(b)は、Vラッシュ中のラッキータイム画面の一例を示した図であり、
図19(d)は、
図19(b)に示した表示画面が表示された場合における各図柄状況を示した図である。本実施形態では、上述したように、時短状態(Vラッシュ)中にV大当たり遊技が実行されると、中断中の特別図柄変動の残時間と、V大当たり遊技終了後に設定される時短回数(4回)分の特別図柄変動時間が、V大当たり遊技終了後の時短期間(Vラッシュ期間)として設定されるように構成している。
【0264】
よって、V大当たり遊技が実行される時点において中断されている特別図柄変動の残期間が長ければ長いほど、次回のVラッシュ期間を長くすることができる。しかしながら、第3図柄表示装置81の表示面ではVラッシュ期間をタイマ812の表示態様を用いて表示(減算表示)しているが、実行中の特別図柄変動の残期間は表示していないため、遊技者は、特別図柄変動が中断する毎に、実行中の特別図柄変動の残期間の長さが長いことを期待しながら遊技を行う必要があった。
【0265】
そこで、本実施形態では、実行中の特別図柄変動の残期間の長さが所定条件を満たしている場合に、その旨を遊技者に報知するための演出を実行するように構成している。具体的には、特別図柄変動の残期間が所定時間(例えば、30秒)よりも長い場合、或いは、次に実行される特別図柄変動の変動時間よりも、実行中の特別図柄変動の残期間が長い場合に、ラッキータイム演出を実行し得るように構成している。このように構成することで、ラッキータイム中にV当たり遊技を実行させた場合には、次回のVラッシュ期間を長くすることができるため、遊技者に対して、意欲的に遊技を行わせることができる。
【0266】
ラッキータイム演出が実行されると、主表示領域Dmに「ラッキータイム突入」の文字が表示されると共に、期間表示態様851として「10秒」が表示される。
図19(b)に示した表示画面では、実行中の特別図柄変動の残期間が、次に実行される特別図柄変動の変動時間よりも長い状態であることを示すラッキータイム演出が実行されており、
図19(d)に示した通り、実行中の特別図柄変動の残期間が20秒で、次に実行される特別図柄変動の変動時間が10秒である場合に、その差分である10秒が期間表示態様851に表示される。この期間表示態様851に表示された秒数は、特別図柄変動の変動時間の減算に対応させて減算表示され、0秒が表示された場合に、ラッキータイム演出が終了する。
【0267】
そして、副表示領域Dsには、ラッキータイム中の特典を遊技者に案内するための案内表示態様として「ラッキータイム中の役物当たりはチャンス」のコメントが表示される。これにより、遊技者に対してラッキータイム中の遊技を意欲的に行わせることができる。なお、詳細な図示は省略したが、本実施形態では、実行中の特別図柄変動の残期間が所定時間未満(例えば、5秒未満)である場合に、その旨を遊技者に報知可能な演出としてアンラッキー演出も実行可能に構成している。つまり、このアンラッキー演出が実行されている場合にV大当たり遊技が実行されると、次に設定されるVラッシュ期間が短くなり易いことを遊技者に把握させることができるように構成している。
【0268】
このようにアンラッキー演出を実行することで、遊技者に対して、Vラッシュ期間中に取りあえずV大当たり遊技を実行させるためにアンラッキー演出中も積極的に特電遊技を実行するか、Vラッシュ期間は減算されていくが、アンラッキー演出が終了するまで特電遊技を行わず、V大当たり遊技終了後により長いVラッシュ期間が設定されることを目指すかを選択させることが可能となり、遊技の興趣を向上させることができる。
【0269】
なお、本実施形態では、上述したラッキータイム演出やアンラッキー演出を特別図柄の変動時間が所定条件を満たした場合に実行するように構成しているが、これに限ること無く、所定条件を満たした場合に、演出の実行の有無を抽選で決定するように構成しても良いし、遊技者が操作可能な操作手段(枠ボタン22)への操作結果に基づいて演出の実行の有無を決定するように構成しても良い。さらに、ラッキータイム演出やアンラッキー演出として表示可能な期間の長さに応じて演出の実行頻度を可変させても良く、実行中の特別図柄変動の残期間が50秒を越える場合には、高確率でラッキータイム演出が実行されるように構成しても良い。
【0270】
本実施形態では、
図19(b)に示した通り、ラッキータイム演出が実行されている期間中に、遊技者に有利となる期間を、期間表示態様851を用いて遊技者に報知しているが、これに限ること無く、期間表示態様851を表示すること無くラッキータイムであることを示す表示態様のみを表示するように構成しても良い。これにより、遊技者に対して、有利度合いを把握させ難くすることができるため、V大当たり遊技終了後に設定されるVラッシュ期間の長さを予測する楽しみを提供することができる。
【0271】
さらに、ラッキータイム演出やアンラッキー演出の実行条件として、Vラッシュ期間の残期間、即ち、時短状態が終了するまでの特別図柄変動の合算期間が所定時間(例えば、30秒)以上であることを実行条件として設けても良いし、Vラッシュ期間における特別図柄の最終変動中はラッキータイム演出やアンラッキー演出が実行されないように構成しても良い。
【0272】
<第1実施形態におけるパチンコ機10の遊技状態の遷移について>
次に、
図20を参照して、本第1実施形態におけるパチンコ機10の遊技状態の遷移内容について説明をする。
図20は本第1実施形態におけるパチンコ機10にて設定される遊技状態の流れを示した遷移図である。
【0273】
本第1実施形態では、遊技状態として、通常状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の低確率状態)と、時短状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の高確率状態)と、2つの遊技状態を設定可能に構成しており、遊技状態に関わらず、大当たり遊技が終了した後に時短状態が設定され、その時短状態中に時短終了条件(例えば、特別図柄抽選が大当たりに当選すること無く所定回数(4回)実行された場合に成立する条件)が成立した場合に通常状態が設定されるように構成している。
【0274】
まず、遊技状態として通常状態が設定されている場合について説明をする。本実施形態のパチンコ機10では、初期状態(主制御装置110の立ち上げ処理(
図54参照)にてRAM消去スイッチ122(
図10参照)が操作されたと判別した際の処理が実行された状態)では、遊技状態として通常状態が設定される。この通常状態は、普通図柄の低確率状態となるため普電入賞装置640内に球を入賞させ難い(普通図柄の高確率状態よりも入賞させ難い)遊技状態であることから、特図入球口64に球を入球させるための左打ち遊技が実行される。
【0275】
この通常状態中において、特別図柄(特図)の抽選(特図抽選)にて大当たりに当選した場合には、大当たり種別として大当たりA、或いは大当たりBの何れかが設定され、大当たり遊技が実行される。詳細な説明は、
図24を参照して後述するが、本実施形態では、特図抽選で大当たりに当選した場合の99%の割合で大当たり種別として「大当たりA(4R(ラウンド)、時短4回)」が設定され、1%の割合で大当たり種別として「大当たりB(4R(ラウンド)、時短15回)」が設定されるように構成している。
【0276】
つまり、通常状態中に大当たりに当選した場合には、大当たり遊技終了後に時短状態が設定されるように構成しており、設定された大当たり種別に応じて時短状態の終了条件が異なるように構成している。具体的には、設定され易い大当たり種別(大当たりA)のほうが、設定され難い大当たり種別(大当たりB)よりも、成立し易い時短終了条件が設定されるように構成している。このように構成することで、通常状態の遊技を行っている遊技者に対して、特図抽選で大当たり当選を目指す遊技に加え、設定される大当たり種別が遊技者に有利な大当たり種別(大当たりB)となることを期待しながら遊技を行わせることができる。
【0277】
なお、詳細な説明は省略するが、通常状態が設定されている間は、特図抽選の抽選結果を示すための動的表示(演出表示)が第3図柄表示装置81の表示面にて実行され、第3図柄表示装置81の表示面にて実行される動的表示態様(演出態様)を把握することにより、実行中の特図抽選の結果を遊技者が予測できるように構成している。また、上述した通り、通常状態中は、普通図柄の低確率状態が設定されているため、普通図柄の抽選(普図抽選)によって普電入賞装置640に球が入賞し難い状態であることから、第3図柄表示装置81の表示面にて普図抽選の結果を遊技者に示唆するための演出表示が実行されない、或いは、特図抽選の結果を示唆するための動的表示態様よりも、目立たない表示態様で実行するように構成している。
【0278】
このように構成することで、通常状態が設定されている期間は、普図抽選の結果に基づいて実行される演出よりも、特図抽選の結果に基づいて実行される演出を、遊技者に注視させることができるため、通常状態中は、特図抽選を主とした遊技(特図遊技)が実行されることを視覚的に把握させることが可能となる。よって、遊技者に分かり易い遊技を提供することができる。
【0279】
そして、大当たり遊技の終了後に時短状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の高確率状態)が設定されると、普図抽選に基づいて普電入賞装置640が開放状態となり易くなり、普図抽選に基づいて特電作動口643に球を入球させることで実行される役物当たり遊技にて大当たり遊技(V大当たり遊技)を目指す遊技(特電遊技)のほうが、特図抽選に基づいて大当たり遊技(特図大当たり遊技)を目指す遊技(特図遊技)よりも遊技者に有利な遊技となるように構成している。
【0280】
このように、設定される遊技状態に応じて遊技者が狙うべき大当たりの実行契機を異ならせることで、設定される遊技状態に応じて異なる遊技を遊技者に実行させることができるため、遊技者が遊技に早期に飽きてしまうことを抑制することができる。なお、本実施形態では、通常状態中は特図抽選を狙う特図遊技が普図抽選を狙う特電遊技よりも遊技者に有利となるように構成し、時短状態中は普図抽選を狙う特電遊技が特図抽選を狙う特図遊技よりも遊技者に有利となるように構成することで、遊技状態に応じて遊技者が実行すべき遊技の内容を異ならせているが、これに限ること無く、特別図柄の種別を複数設け(第1特別図柄、第2特別図柄)、設定される遊技状態に応じて、遊技者が実行すべき特図抽選に対応する特別図柄の種別を異ならせるように構成しても良く、例えば、通常状態が設定されている場合は、第1特別図柄の特図抽選を狙う第1特図遊技が第2特別図柄の特図抽選を狙う第2特図遊技よりも遊技者に有利となるようにし、通常状態とは異なる遊技状態(例えば、時短状態)が設定されている場合は、第2特別図柄の特図抽選を狙う第2特図遊技が第1特別図柄の特図抽選を狙う第1特図遊技よりも遊技者に有利となるように構成しても良い。
【0281】
また、本実施形態では、
図2を参照して上述した通り、特図遊技を実行する場合も、特電遊技を実行する場合も、同一の遊技方法(左打ち遊技)を実行させるように遊技盤13を構成することで、遊技状態が可変する毎に遊技方法を可変させる煩わしさを遊技者に与え無いように構成しているが、これに限ること無く、設定される遊技状態に応じて遊技方法を異ならせるように構成しても良く、例えば、通常状態中は左打ち遊技(可変表示装置ユニット80の左側に形成される遊技領域(左側領域)を狙う遊技)を実行させ、時短状態中は右打ち遊技(可変表示装置ユニット80の右側に形成される遊技領域(右側領域)を狙う遊技)を実行させるように構成しても良い。この場合、左側領域に特図遊技を実行させるための構成として、特図入球口64を設け、右側領域に特電遊技を実行させるための構成として、スルーゲート67、普電入賞装置640、V入賞装置65を設け、左側領域、或いは右側領域を流下した球が到達可能な遊技領域(下方領域)に、大当たり遊技として開放動作される可変入賞装置650を設けるように構成すると良い。
【0282】
このように構成することで、遊技者に主として実行させる遊技内容(特図遊技、特電遊技)に応じて遊技方法(左打ち遊技、右打ち遊技)を異ならせることができるため、遊技者に対して、遊技方法を可変させる楽しさを提供することができる。
【0283】
また、このように、遊技者に主として実行させる遊技内容(特図遊技、特電遊技)に応じて遊技方法(左打ち遊技、右打ち遊技)を異ならせる場合には、遊技者に対して実行すべき遊技方法(左打ち遊技、右打ち遊技)を案内するための案内報知(例えば、第3図柄表示装置81の表示面にて表示される「右打ち」の表示態様)を実行するように構成すると良い。
【0284】
さらに、遊技者に主として実行させる遊技内容(特図遊技、特電遊技)に応じて遊技方法(左打ち遊技、右打ち遊技)を異ならせる場合に、左側領域、或いは右側領域を流下した球が到達可能な遊技領域(下方領域)に、大当たり遊技として開放動作される可変入賞装置650を設けることで、特図遊技に基づいて大当たり遊技が実行される場合も、特電遊技に基づいて大当たり遊技が実行される場合も、大当たり遊技の実行を契機に遊技方法を可変させる必要が無く、円滑に遊技を行わせることができる。
【0285】
図20に戻り説明を続ける。本実施形態では、特別図柄の変動回数(特図抽選の回数)に基づいて時短状態の終了条件が成立するように構成している。また、普通図柄の抽選(普図抽選)は、特別図柄の抽選(特図抽選)に関わること無く独立して実行可能に構成している。つまり、普図抽選の実行契機は、特図抽選の状況に関わらず成立するように構成している。
【0286】
加えて、本実施形態では、特別図柄変動(特図変動)普電入賞装置640内に設けられた特電作動口643に球が入賞し、役物当たり遊技が実行されると、実行中の特別図柄変動を中断するように構成し、役物当たり遊技が終了した場合に、中断していた特別図柄変動を再開させるように構成している。また、役物当たり遊技中に球がV入賞口165に入賞し大当たり遊技(V大当たり遊技)が実行された場合には、その大当たり遊技が終了した場合に、中断していた特別図柄変動を再開させるように構成している。
【0287】
このように構成された本実施形態では、時短状態が設定されている場合に、特図抽選に基づいて成立し得る時短状態の終了条件(時短終了条件)が成立するまでに、即ち、所定回数(例えば、4回)の特図抽選が実行されるまでに、数多くのV大当たり遊技を狙う特電遊技が実行される。具体的に例を示すと、時短終了条件として特図変動4回が設定された場合には、4回目の特図抽選が終了するまでの期間、即ち、4回の特図抽選に対してそれぞれ10秒の変動時間が設定された場合には、今回設定された時短状態が40秒後(4回目の特図抽選が終了するタイミング)まで継続することになる。
【0288】
この場合、
図12(a)に示した通り、大当たり遊技終了時に特図保留数が4個ある場合には、大当たり遊技終了後に設定される時短状態が終了するまでの期間として「40秒」が表示される。
【0289】
さらに、上述した通り、本実施形態では、時短状態中の役物当たり遊技や大当たり遊技(V大当たり遊技)が実行されている間、実行中の特図変動の変動時間が減算されないように構成しているため、実際に時短状態が設定される期間は、時短終了条件が成立するまでの特図変動時間と、その特図変動時間の減算が中断されている中断時間と、を合算した期間となる。特図変動の減算が中断される中断時間は、上述した通り、当たり遊技(役物当たり遊技、大当たり遊技)が実行されている期間が該当し、その当たり遊技の実行期間は、遊技者の遊技内容によって期間の長さが前後するため遊技者に対して中断時間を正確に報知することができない。
【0290】
よって、本実施形態では、時短状態が終了するまでの残時間(特図変動時間)を表示し(
図13(a)参照)、特図変動時間の減算が中断される場合には、その減算が再開されるまで、時短状態が終了するまでの残時間(特図変動時間)の減算表示が中断されていることを示すための表示態様(
図13(b)参照)を表示するように構成している。
【0291】
このように構成することで、第3図柄表示装置81の表示面に表示される時短状態が終了するまでの期間を示す表示態様(
図12(a)の残時短期間表示態様801)の表示内容と、実際に時短状態が終了するまで期間と、が相違すること無く、遊技者に分かり易い遊技を提供することができる。
【0292】
時短状態(普通図柄の高確率状態)中に実行される普通図柄抽選(普図抽選)は、当たり当選の確率が約33%となるように構成しており、通常状態(普通図柄の低確率状態)中に実行される普通図柄抽選(普図抽選)の当たり確率(1%)に比べて、普図当たりに当選し易くなるように構成している。さらに、本実施形態では、設定されている遊技状態に関わらず、普通図柄の変動パターンとして3秒の変動時間が設定されるように構成している。よって、時短状態中に継続して左打ち遊技を実行することにより、約10秒に1回は普図当たり遊技が実行され普電入賞装置640が開放状態となるように構成している。
【0293】
図3から
図5を参照して上述した通り、時短状態中に普図当たり遊技が実行された場合には、普電入賞装置640に入賞した球が特電作動口643へと入球し易く(通常状態中に実行される普図当たり遊技よりも入球し易く)なるように構成しており、普図当たり遊技の実行回数と略同一回数の役物当たり遊技を実行可能に構成している。そして、
図6から
図9を参照して上述した通り、1回の役物遊技において球がV入賞口165に入賞し、大当たり遊技(V大当たり遊技)が実行される確率が約1/11となるように構成している。
【0294】
つまり、本第1実施形態では、時短状態中において、約10秒に1回の割合で、球をV入賞口165に入賞させるチャンスとなる役物当たり遊技が実行されるように構成している。役物当たり遊技の遊技結果がV入賞口165へと球を入賞できた場合(V入賞である場合)は、役物当たり遊技の後、大当たり遊技(大当たり種別が大当たりCの大当たり遊技(10R(ラウンド)、時短4回))が実行され、その大当たり遊技終了後に再度時短状態が設定される。つまり、時短状態中にV大当たり遊技(球をV入賞口165に入賞させることにより実行される大当たり遊技)が実行された場合には、その大当たり遊技終了後に必ず時短状態が設定されるように構成している。よって、一旦時短状態が設定されると、特電遊技にて大当たり遊技を実行させ続ける限り時短状態が終了することが無いため、遊技者に対して期待感を持たせて特電遊技を実行させることができる。
【0295】
また、詳細な説明は後述するが、特電遊技によって大当たり遊技が実行された場合は、その大当たり遊技の終了後に、中断していた特図変動が再開されることになるが、その再開された特図変動によって、時短終了条件を成立させるための特図抽選(特図変動)回数が更新されないように構成している。即ち、再開後の特図変動が終了した後に、特図変動が4回実行されるまで時短状態が継続するように構成している。
【0296】
つまり、特図変動の残期間が長時間(例えば、30秒)である場合に役物当たり遊技が実行され、その役物当たり遊技によってV大当たり遊技が実行された場合には、大当たり遊技後に設定される時短状態の期間が、「30秒+特図変動4回分」となるのに対して、特図変動の残期間が短時間(例えば、0.5秒)である場合に役物当たり遊技が実行され、その役物当たり遊技によってV大当たり遊技が実行された場合には、大当たり遊技後に設定される時短状態の期間が、「0.5秒+特図変動4回分」となる。
【0297】
このように構成することで、経過時間に基づいて終了条件が成立する時短状態中にV大当たり遊技を狙う特電遊技を実行する場合において、V大当たり遊技が早く実行されるほうが遊技者に有利となるのでは無く、実行中の特図変動の残期間が長い状態でV大当たり遊技が実行されたほうが遊技者に有利とすることが可能となる。よって、時短状態が設定されてから所定期間が経過した状態でV大当たり遊技が実行されていない場合であっても、遊技者に対して期待感を持たせながら継続して遊技を行わせることが可能となる。
【0298】
なお、本実施形態では、大当たり終了後に再開される特図変動に基づいて時短回数(時短終了条件を成立させるために更新される特図変動回数)が更新(減算)されないように構成しているが、これに限ること無く、大当たり終了後に再開される特図変動に基づいて時短回数(時短終了条件を成立させるために更新される特図変動回数)が更新されるように構成しても良い。このように構成した場合であっても、再開後の特図変動期間(残変動期間)が長いほど、遊技者に有利とすることができるため、時短状態が設定されてから所定期間が経過した状態でV大当たり遊技が実行されていない場合であっても、遊技者に対して期待感を持たせながら継続して遊技を行わせることが可能となる。
【0299】
図20に戻り、説明を続ける。時短状態中に実行される役物当たり遊技の遊技結果が、V入賞口165へと球を入賞させることが出来なかった場合(非V入賞の場合)は、時短状態が終了するまで繰り返し特電遊技が実行される。
【0300】
また、時短状態中において、特別図柄変動(特図変動)が終了すると、時短終了条件が成立しているか、即ち、時短終了条件として設定された回数分の特図変動が終了したかが判別され、時短終了条件が成立している場合には、遊技状態が通常状態へと移行し、特図遊技が実行される。一方、時短終了条件が成立していない場合は、次の特図変動が実行される。詳細な説明は
図25(c)を参照して後述するが、本実施形態では、時短状態中に実行される特図抽選の変動パターンとして、特図抽選の結果が当たり当選(1/100)の場合には50秒、或いは200秒の変動時間が設定される変動パターンが選択され、特図抽選の結果が外れ(99/100)の場合には、10秒〜50秒の変動時間が設定される変動パターンが選択されるように構成している。即ち、時短終了条件が成立するまでに実行される特図抽選(時短終了条件として時短4回が設定された場合には、大当たり遊技終了後に実行される4回の特図抽選)にて大当たり当選した場合のほうが、長い期間時短状態を継続させ易くすることができるように構成している。さらに、時短状態中に特図抽選で大当たり当選した場合には、その大当たり遊技終了後に再度時短状態が設定される。よって、時短状態が設定される限られた期間内で特図抽選により大当たり当選した場合の付加価値を遊技者に提供することができるため、遊技の興趣を向上させることができる。
【0301】
なお、本実施形態では、大当たり遊技終了時に獲得している特別図柄の保留記憶内に200秒の変動時間が設定される大当たり情報があると判別した場合には、その旨を報知するための特殊演出を実行するように構成している(
図17(a)参照)。
【0302】
さらに、本実施形態では、大当たり遊技終了後に設定される時短状態の終了条件として、成立し易い時短終了条件(時短4回)と、成立し難い時短終了条件(時短15回)と、を設定可能に構成している。ここで、時短15回が設定された場合には、時短状態中に実行される15回目の特図抽選が終了するまで時短状態が継続することになるため、特図変動回数の増加分に応じて時短期間を長くすることができると共に、時短状態中に大当たり当選する確率を高くすることができ、大当たり当選時に設定される長時間の変動パターンによってより時短期間を長くすることができる。
【0303】
また、本第1実施形態のパチンコ機10は、
図2に示した通り、通常状態中も、時短状態中も、大当たり遊技中も、全て同一の遊技方法(左打ち遊技)で遊技を行わせるように構成されているため、時短状態中に特図抽選が実行されない状況が発生することを抑制することができる。なお、本実施形態では、特図変動の変動パターンが特別図柄の保留数(特図保留数)に関わらず選択されるように構成しているが、これに限ること無く、例えば、時短状態が設定されている場合は、特図保留数が多いほど長い変動時間が設定される変動パターンが選択され易くなるように構成すると良い。
【0304】
このように構成することで、時短状態が設定される前段階(例えば、大当たり遊技中)において、特図保留数を上限(4個)に到達させようと意欲的に遊技を行わせることができる。また、時短状態中に特図変動が実行されない状態(時短終了条件が成立しない状態)が発生することを抑制することができる。
【0305】
さらに、詳細な説明は省略するが、本実施形態では、時短状態が設定されている期間中において、即ち、所定回数の特別図柄変動(特図変動)が終了するまでの期間において、普通図柄の抽選を実行させ、最終的にV入賞装置65内のV入賞口165に球を入賞させる特電遊技を実行させるように構成している。そして、V入賞装置65は役物当たり遊技中に球を入賞させ易く構成しており、役物当たり遊技中は特図変動の変動時間が減算されない(中断する)ように構成している。さらに、役物当たり遊技は複数の終了条件を有しており、具体的には、役物当たり遊技中にV入賞装置65に入賞した球数が所定数(3個)に到達した場合に成立する第1終了条件(球入賞終了条件)と、役物当たり遊技が実行されてからの経過期間が所定期間(3秒)に到達した場合に成立する第2終了条件(時間経過終了条件)と、を有しており、第1終了条件、或いは、第2終了条件のうち何れかの終了条件が成立した場合に、役物当たり遊技を終了するように構成している。また、普通図柄の変動期間中、及び、普図当たり遊技の実行期間中は、新たな普通図柄の抽選(普図抽選)が実行されないが、普図当たり遊技中に特電作動口643へと球が入賞し、役物当たり遊技が実行されている期間中は、新たな普図抽選を実行可能に構成している。
【0306】
このように構成されたパチンコ機10では、時短状態中に役物当たり遊技を実行させることで、特図変動を中断させながらより多くの役物当たり遊技が実行されることを目指して特電遊技が行われる。しかしながら、普通図柄の抽選結果が停止表示されるまでの普通図柄の変動期間や、普図当たり遊技の実行期間中において球を普電入賞装置640へと入賞させることができない期間(電動役物640aが閉鎖状態となる期間)といった役物当たり遊技を実行させることができない期間は、時短状態中における特別図柄の変動時間を無駄に減算させる期間となるため、時短状態中において、遊技者に不利な不利時短期間となる。
【0307】
よって、例えば、時短状態中に設定される普通図柄の変動パターンとして、変動時間が短い普図短変動パターン(変動時間3秒)と、変動時間が長い普図長変動パターン(変動時間15秒)と、を選択可能に構成した場合には、上述した不利時短期間が短くなるように、普図短変動パターンが選択されることを期待しながら遊技を行うことになる。さらに、本実施形態のように、役物当たり遊技の実行期間中は特図変動が中断される(特図変動の変動時間を減算する処理を中断させる)構成を用いた場合には、不利時短期間と、特図変動の中断期間と、が重複する期間を長くすることにより、不利時短期間中に特別図柄の変動時間が減算されてしまうことを抑制することができる。
【0308】
そこで、時短状態中の不利時短期間を短くするために、時短状態中において役物当たり遊技が実行される場合に実行中の普図変動の残時間を判別し、その残時間が所定時間(例えば、10秒)よりも長い場合は、役物当たり遊技を球入賞によって終了させるのでは無く、時間経過によって終了させたほうが良いことを促す演出を実行するように構成すると良い。このように構成することで、役物当たり遊技の実行期間を長くすることができる分、不利時短期間を短くすることができる。
【0309】
<第1実施形態におけるパチンコ機10の電気的構成について>
次に、
図21を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。
図21は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
【0310】
主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。MPU201には、該MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202と、そのROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM203と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。なお、払出制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置に対して動作を指示するために、主制御装置110から該サブ制御装置へ各種のコマンドがデータ送受信回路によって送信されるが、かかるコマンドは、主制御装置110からサブ制御装置へ一方向にのみ送信される。
【0311】
主制御装置110では、特別図柄の抽選、普通図柄の抽選、第1図柄表示装置37における表示の設定、第2図柄表示装置83における表示の設定、および、第3図柄表示装置81における表示の設定といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。そして、RAM203には、これらの処理を制御するための各種カウンタが設けられている。ここで、
図22を参照して、主制御装置110のRAM203内に設けられるカウンタ等について説明する。
図22は、主制御装置110のRAM203内に設けられるカウンタ等を模式的に示した模式図である。これらのカウンタ等は、特別図柄の抽選、普通図柄の抽選、第1図柄表示装置37における表示の設定、第2図柄表示装置83における表示の設定、および、第3図柄表示装置81における表示の設定などを行うために、主制御装置110のMPU201で使用される。
【0312】
特別図柄の抽選や、第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81の表示の設定には、特別図柄の抽選に使用する第1当たり乱数カウンタC1と、特別図柄の大当たり種別を選択するために使用する第1当たり種別カウンタC2と、特別図柄における外れの停止種別を選択するために使用する停止種別選択カウンタ(図示せず)と、第1当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する第1初期値乱数カウンタCINI1と、変動パターン選択に使用する変動種別カウンタCS1と、が用いられる。
【0313】
また、普通図柄の抽選には、第2当たり乱数カウンタC4が用いられ、第2当たり乱数カウンタC4の初期値設定には第2初期値乱数カウンタCINI2と、普通図柄の変動パターン選択に使用する変動種別カウンタCS1と、が用いられる。これら各カウンタは、更新の都度、前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。
【0314】
各カウンタは、例えば、タイマ割込処理(
図39参照)の実行間隔である2ミリ秒間隔で更新され、また、一部のカウンタは、メイン処理(
図55参照)の中で不定期に更新されて、その更新値がRAM203の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM203には、4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる特図入球口64への入球に対応する特別図柄保留球格納エリア203aが設けられており、特別図柄保留球格納エリア203aには、特図入球口64への入球タイミングに合わせて、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止種別選択カウンタC3、及び変動種別カウンタCS1の各値がそれぞれ格納される。
【0315】
そして、特別図柄の始動条件(変動条件)が成立した場合に、特別図柄保留球格納エリア203aの保留第1エリアに格納されている各種値を特別図柄実行エリアへシフトし、格納されている各種値に基づいた特別図柄変動が開始される。
【0316】
なお、本実施形態では、特別図柄の種別が1種類の構成を用いているが、これに限ること無く、特別図柄の種別を2種類以上設けても良い。この場合、例えば、特図入球口64(第1入球口)への球の入球に基づいて一の特別図柄種別(例えば、第1特別図柄)の抽選条件を成立させるために、第1特別図柄保留球格納エリアに上述した各値を格納し、特図入球口64(第1入球口)とは異なる入球口(例えば、第2入球口)への球の入球に基づいて他の特別図柄種別(例えば、第2特別図柄)の抽選条件を成立させるために、第1特別図柄保留球格納エリアとは異なる第2特別図柄保留球格納エリアに上述した各値を格納するように構成すれば良い。
【0317】
そして、第1特別図柄の始動条件(変動条件)、或いは、第2特別図柄の始動条件(変動条件)が成立した場合に、対応する特別図柄種別の特別図柄保留球格納エリアの保留第1エリアに格納されている各種値を特別図柄実行エリアへシフトし、格納されている各種値に基づいた特別図柄変動が開始されるように構成すれば良い。このように構成することで、複数の特別図柄種別を用いたパチンコ機10であっても、各々の特別図柄変動を円滑に実行することができる。
【0318】
さらに、複数の特別図柄種別(第1特別図柄、第2特別図柄)を有するパチンコ機10であれば、第1特別図柄の抽選と、第2特別図柄の抽選とを同時に(並行して)実行可能に構成しても良く、この場合、各特別図柄保留球格納エリア(第1特別図柄保留球格納エリア、第2特別図柄保留球格納エリア)がそれぞれ特別図柄実行エリアを有するように構成すれば良い。これにより、各特別図柄の始動条件が成立した場合に、速やかに次の特別図柄変動を実行させることができる。
【0319】
また、本実施形態では、特別図柄の抽選結果が大当たりと外れのみとなるように構成しているが、これに限ること無く、例えば、特別図柄の抽選結果が外れである場合の一部において、大当たり当選時よりも少ない特典(大当たり当選時とは異なる特典)を遊技者に付与可能な小当たりに当選し得るように構成しても良い。このように構成することで、大当たり当選しなかった場合であっても、遊技者に特典を付与する機会を設けることができるため、遊技の興趣を向上させることができる。この場合、主制御装置110のRAM203内に、小当たり種別カウンタを設け、取得した小当たり種別カウンタの値を特別図柄保留球格納エリアに格納可能に構成し、特別図柄の抽選を実行する場合に参照するように構成すれば良い。
【0320】
加えて、特別図柄抽選で小当たり当選可能に構成した場合には、例えば、大当たり当選に基づく遊技状態の移行内容と、小当たり当選に基づく遊技状態の移行内容と、を異ならせるように構成しても良く、例えば、大当たり当選した場合は、大当たり遊技の開始時に遊技状態を通常状態へと移行させ、さらに、設定された大当たり種別に基づいて、大当たり遊技終了後に新たな遊技状態を設定可能に構成し、小当たり当選した場合は、小当たり当選時の遊技状態を維持したまま小当たり遊技を実行し、その小当たり遊技終了後も遊技状態を移行させないように構成しても良い。
【0321】
このように構成することで、当選した当たり種別(大当たり、小当たり)に応じて、遊技状態の移行の有無や、移行内容を異ならせることができるため、バリエーションに富んだ遊技を提供することができる。
【0322】
さらに、本実施形態のRAM203には、1つの保留エリア(保留第1エリア)からなるスルーゲート67への入球(球の通過)に対応する普通図柄保留球格納エリア203bが設けられており、普通図柄保留球格納エリア203bには、スルーゲート67への入球タイミングに合わせて、第2当たり乱数カウンタC4、及び普図変動種別カウンタCS2の各値がそれぞれ格納される。
【0323】
そして、普通図柄の始動条件(変動条件)が成立した場合に、普通図柄保留球格納エリア203bの保留第1エリアに格納されている各種値を普通図柄実行エリアへシフトし、格納されている各種値に基づいた普通図柄変動が開始される。
【0324】
次に、
図22を参照して、各カウンタについて詳しく説明する。第1当たり乱数カウンタC1は、所定の範囲(例えば、0〜399)内で順に1ずつ加算され、最大値(例えば、0〜399の値を取り得るカウンタの場合は399)に達した後0に戻る構成となっている。特に、第1当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の第1初期値乱数カウンタCINI1の値が当該第1当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。
【0325】
また、第1初期値乱数カウンタCINI1は、第1当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成される。即ち、例えば、第1当たり乱数カウンタC1が0〜399の値を取り得るループカウンタである場合には、第1初期値乱数カウンタCINI1もまた、0〜399の範囲のループカウンタである。この第1初期値乱数カウンタCINI1は、タイマ割込処理(
図39参照)の実行毎に1回更新されると共に、メイン処理(
図55参照)の残余時間内で繰り返し更新される。
【0326】
第1当たり乱数カウンタC1の値は、例えば定期的に(本実施形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が特図入球口64に入球したタイミングでRAM203の特別図柄保留球格納エリア203aに格納される。そして、特別図柄の大当たりとなる乱数の値は、主制御装置110のROM202に格納される第1当たり乱数テーブル202aによって設定されており、第1当たり乱数カウンタC1の値が、第1当たり乱数テーブル202aによって設定された大当たりとなる乱数の値と一致する場合に、特別図柄の大当たりと判定する。
【0327】
ここで、
図23(b)を参照して、第1当たり乱数テーブル202aについて説明する。
図23(b)は、第1当たり乱数テーブル202aに規定されている内容を模式的に示した模式図である。この第1当たり乱数テーブル202aは、特別図柄の抽選において、大当たりと判別される乱数値(判定値)が規定されたテーブルである。
【0328】
具体的には、第1当たり乱数テーブル202aには、大当たりと判定される判定値が所定範囲内に規定されており所定範囲の判定値が規定されている。
図23(b)に示した通り、第1当たり乱数カウンタC1の値のうち「0〜3」が大当たり判定値として規定されており、それ以外の値(「4〜399」)が外れの判定値として規定されている。
【0329】
なお、本実施形態では、大当たりに当選する確率が遊技状態に関わらず同一の確率となるように構成しているが、これに限ること無く、遊技状態に応じて大当たり確率が異なる様に構成しても良い。また、その場合、特別図柄の大当たり確率を、高確率状態と低確率状態の2種類、或いは、3種類以上にしても良い。この場合、例えば、特別図柄の状態と、普通図柄の状態と、を組み合わせることによって設定される最大で4種類の遊技状態毎に特別図柄の大当たり確率を異ならせるように構成しても良いし、単純に、特別図柄の状態を高確率状態、通常確率状態、低確率状態のように3種類以上設定可能にし、各状態に対して異なる大当たり確率を設定するように構成しても良い。
【0330】
なお、特別図柄の抽選結果として「小当たり」に当選し得るように構成する場合は、第1当たり乱数テーブル202aに「小当たり」に対応する第1当たり乱数カウンタC1の値を規定するように構成すれば良い。このように構成することで、特別図柄の大当たり抽選と小当たり抽選と、を同一の処理で実行することができるため、大当たり抽選と小当たり抽選とを異なる処理で実行する場合に比べ、主制御装置110の処理負荷を軽減することができる。また、1つの特別図柄抽選において、大当たりと小当たりとに重複して当選してしまうことを禁止することができる。
【0331】
第1当たり種別カウンタC2は、特別図柄の大当たりとなった場合に、第1図柄表示装置37の表示態様を決定するものであり、所定の範囲(例えば、0〜99)内で順に1ずつ加算され、最大値(例えば、0〜99の値を取り得るカウンタの場合は99)に達した後0に戻る構成となっている。第1当たり種別カウンタC2の値は、例えば、定期的に(本実施形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が特図入球口64へと入球したタイミングでRAM203の特別図柄保留球格納エリア203aに格納される。
【0332】
本実施形態のパチンコ機10における第1当たり種別カウンタC2の値は、0〜99の範囲のループカウンタとして構成されている。本実施形態では取得した第1当たり種別カウンタC2の値を用いて、第1当たり種別選択テーブル202cを参照して大当たりに当選した場合の大当たり種別を判別するように構成している。ここで、
図24を参照して第1当たり種別選択テーブル202c内容について説明をする。
【0333】
図24(a)は、第1当たり種別選択テーブル202cに規定されている内容を模式的に示した模式図である。
図24(a)に示した通り、この第1当たり種別選択テーブル202cには、特別図柄の抽選で大当たりに当選した場合に参照される特図大当たり種別選択テーブル202c1と、V入賞口165へと球が入賞(V入賞)した場合に参照されるV大当たり種別選択テーブル202c2と、を有している。
【0334】
まず、
図24(b)を参照して、特図大当たり種別選択テーブル202c1の内容について説明をする。
図24(b)は、特図大当たり種別選択テーブル202c1に規定されている内容を示した模式図である。上述した通り、この特図大当たり種別選択テーブル202c1は、特別図柄の抽選で大当たり当選した場合に設定する大当たり種別を選択するためのデータテーブルであって、取得した第1当たり種別カウンタC2の値に応じて異なる大当たり種別が規定されているものである。
【0335】
具体的には、第1当たり種別カウンタC2の値が「0〜98」の範囲には、「大当たりA」が規定されており、「99」の値には、「大当たりB」が規定されている。
【0336】
ここで、各大当たり種別に対応して実行される大当たり遊技の内容、及び、大当たり遊技終了後に設定される遊技状態の内容について説明をする。本実施形態では、各大当たり種別に応じて実行される大当たり遊技の開放動作内容(ラウンド遊技内容)、即ち、大当たり遊技中に実行される可動部材(可変入賞装置650)に対する動作内容(開放タイミング、開放回数)を時系列に規定した開放動作シナリオが主制御装置110のROM202が有する各種動作シナリオテーブル202eに予め記憶されている。
【0337】
そして、大当たりに当選した場合に設定された大当たり種別に対応する開放動作シナリオが各種動作シナリオテーブル202eから読み出され、主制御装置110のRAM203内の実行中シナリオ格納エリア(図示せず)に格納される。開放動作シナリオが実行中シナリオ格納エリア(図示せず)に格納されると、主制御装置110のメイン処理(
図55参照)が実行される毎(4ミリ秒毎)に、シナリオ内容が更新され、大当たり遊技中の制御を実行する大当たり制御処理(
図56のS1804参照)において、現在のシナリオ内容を判別し、その判別結果に基づいた処理を実行するように構成している。
【0338】
このように構成することで、例えば、一つの開放動作制御によって複数の可動部材を可動させる場合において、各可動部材の動作内容を時系列に規定した開放動作シナリオを用いることにより、複数の可動部材に対する動作制御を一元管理することができる。よって、各可動部材に対して別個に動作制御を実行する場合に比べて、各可動部材の動作タイミングを適正に設定することができるとともに、一つの可動部材に不具合が生じた場合における他の可動部材に対する動作処理を円滑に実行することができる。
【0339】
「大当たりA」は、大当たり遊技としてラウンド数(ラウンド遊技が実行される回数)が4ラウンドで、4ラウンドの間、可変入賞装置650が開放動作される大当たり遊技が実行される大当たり種別である。このラウンド遊技とは、球が可変入賞装置650に10球入賞する、或いは、開放期間が30秒を経過するまでの間、第1アタッカ650を継続して開放させる遊技のことである。つまり、4ラウンドのラウンド遊技が実行される「大当たりA」では、最大で40個の球を可変入賞装置650へと入賞させることができる大当たり遊技となる。
【0340】
さらに、「大当たりA」は、大当たり遊技終了後に時短状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の高確率状態)が設定されるように規定されており、時短状態が継続する期間として「時短4回」、即ち、時短状態中に特別図柄の抽選で大当たり当選すること無く4回実行されるまで(4回目の特別図柄の抽選結果が停止表示(確定表示)されるまで)の時短期間が規定されている。
【0341】
「大当たりB」は、大当たり遊技としてラウンド数(ラウンド遊技が実行される回数)が4ラウンドで、4ラウンドの間、可変入賞装置650が開放動作される大当たり遊技が実行される大当たり種別である。そして、大当たり遊技終了後に時短状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の高確率状態)が設定されるように規定されており、時短状態が継続する期間として「時短15回」、即ち、時短状態中に特別図柄の抽選で大当たり当選すること無く15回実行されるまで(15回目の特別図柄の抽選結果が停止表示(確定表示)されるまで)の時短期間が規定されている。
【0342】
つまり、本実施形態では、特別図柄の抽選で大当たりに当選した場合には、必ず4ラウンドの大当たり遊技が実行され、その大当たり遊技の終了後に時短状態が設定されるように構成している。そして、設定された大当たり種別が「大当たりA」である場合(大当たり当選時の99%)には時短回数「4回」が、「大当たりB」である場合(大当たり当選時の1%)には時短回数「15回」が設定されるように構成している。
【0343】
本実施形態のパチンコ機10では、時短状態中に、通常状態中における特図遊技(特図入球口64へと球を入球させ、特別図柄抽選で大当たり当選を目指す遊技)よりも、大当たり遊技が実行され易い特電遊技(普通図柄の抽選を基点としてV入賞口165に球を入賞(V入賞)させることで大当たりを目指す遊技)が実行されるように構成しており、通常状態よりも時短状態のほうが遊技者に有利な遊技状態となるように構成している。よって、遊技者に有利な遊技状態である時短状態が終了し難い(時短状態の終了条件が成立し難い)「大当たりB」のほうが、「大当たりA」よりも遊技者に有利な大当たり種別となる。
【0344】
なお、本実施形態では、特別図柄の抽選で大当たりに当選した場合に、全ての大当たりで同一のラウンド数の大当たり遊技が実行されるように構成しているが、これに限ることなく、選択された大当たり種別に応じて異なる数のラウンド遊技を実行可能に構成しても良い。また、本実施形態では、特別図柄の抽選で大当たりに当選した場合に、全ての大当たりで大当たり遊技終了後に時短状態を設定するように構成し、大当たり種別に応じて時短回数(時短終了条件)を異ならせるように構成しているが、これに限ること無く、選択される大当たり種別に応じて大当たり遊技終了時に時短状態が設定される大当たり種別と、通常状態が設定される大当たり種別と、を設けても良い。
【0345】
次に、
図24(c)を参照して、V大当たり種別選択テーブル202c2の内容について説明をする。
図24(c)は、V大当たり種別選択テーブル202c2に規定されている内容を模式的に示した模式図である。このV大当たり種別選択テーブル202c2は、球がV入賞口165に入賞(V入賞)したことを契機に実行される大当たり遊技(V大当たり遊技)の遊技内容が規定されているデータテーブルである。具体的には、第1当たり種別カウンタC2の値が「0〜99」の全範囲に「大当たりC」が規定されている。
【0346】
この「大当たりC」は、大当たり遊技としてラウンド数(ラウンド遊技が実行される回数)が10ラウンドで、10ラウンドの間、可変入賞装置650が開放動作される大当たり遊技が実行される大当たり種別である。そして、大当たり遊技終了後に時短状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の高確率状態)が設定されるように規定されており、時短状態が継続する期間として「時短4回」、即ち、時短状態中に特別図柄の抽選で大当たり当選すること無く4回実行されるまで(4回目の特別図柄の抽選結果が停止表示(確定表示)されるまで)の時短期間が規定されている。
【0347】
つまり、本実施形態では、特図抽選に基づいて実行される大当たり遊技(特図遊技で実行される大当たり遊技)よりも、V入賞に基づいて実行される大当たり遊技(特電遊技で実行される大当たり遊技)のほうが、ラウンド数の多い大当たり遊技が実行されるように構成している。つまり、大当たり遊技中に付与される特典量(賞球数)の面でも、通常状態よりも時短状態のほうが遊技者に有利な遊技状態となる。
【0348】
本実施形態では、特電作動口643に球が入賞したことに基づいて、第1当たり種別カウンタC2の値を取得するように構成し、役物当たり遊技中にV入賞したことに基づいて実行される大当たり遊技(V大当たり遊技)は、V入賞した役物当たり遊技の実行契機となった特電作動口643への球の入賞時に取得した第1当たり種別カウンタC2の値に基づいてV大当たり種別選択テーブル202c2を参照して選択された大当たり種別に基づいて実行されるように構成している。
【0349】
なお、本実施形態では、V大当たり種別選択テーブル202c2に規定されている大当たり種別が1種類(大当たりC)のみであるため、何れの役物当たり遊技によってV入賞した場合であっても同一内容の大当たり遊技が実行されるものであるが、これに限ること無く、V大当たり種別選択テーブル202c2に、取得した第1当たり種別カウンタC2の値に応じて複数の大当たり種別を規定しても良い。また、普電入賞装置640内に複数の特電作動口を設け、その複数の特電作動口のうち球が入賞した特電作動口に対応させて大当たり種別を設定するように構成しても良い。さらに、役物当たり遊技が実行されている間にV入賞口165に球が入賞したことに基づいて第1当たり種別カウンタC2の値を取得し、その取得した第1当たり種別カウンタC2の値に基づいて大当たり種別を選択するように構成しても良い。
【0350】
また、本実施形態では、大当たりに当選した時点、或いは、V入賞口165に球が入賞した時点において設定されている遊技状態に関わらず、大当たり遊技終了後の遊技状態を選択するように構成しているが、これに限ることなく、大当たりに当選した時点、或いは、V入賞口165に球が入賞した時点において設定されている遊技状態に応じて、大当たり遊技終了後に設定される遊技状態を可変させるように構成しても良く、この場合、例えば、時短状態の終了間際(時短状態における特別図柄の最終変動の停止直前)に、普図当たり遊技が実行され、時短状態が終了した後の通常状態が設定されている状態で実行される役物当たり遊技中にV入賞した場合、即ち、通常状態中に特電遊技でV入賞した場合にのみ、大当たり遊技の終了後に時短終了条件が成立し難い時短状態(例えば、時短回数が20回の時短状態)が設定されるように構成しても良い。
【0351】
本実施形態では、大当たり種別の種類は3種類としたが、それに限らず、2種類以下でもよいし、4種類以上設けるように構成してもよい。また、特別図柄の抽選で大当たりに当選した場合と、特電遊技でV入賞した場合とで、同一の大当たり種別が設定され得るように構成しても良い。さらに、過去に選択された大当たり種別に関する情報(例えば、大当たり遊技内容や、遊技状態の移行内容)に基づいて、今回選択される大当たり種別の選択割合や種類を異ならせるように構成しても良い。このように構成することで、過去の遊技履歴(大当たり履歴)に対しても遊技者に興味を持たせることができる。また、この場合、過去の大当たり履歴に基づいて次回の大当たり時に設定され易い大当たり種別を遊技者に示唆可能な示唆演出を実行するように構成すると良い。これにより、遊技者に対して遊技を継続的に行わせ易くすることができる。
【0352】
変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS1によって、いわゆる短時間外れ、長時間外れ、ノーマルリーチ、スーパーリーチ等の大まかな表示態様(変動時間)が決定される。表示態様の決定は、具体的には、図柄変動の変動時間の決定である。変動種別カウンタCS1により決定された変動時間に基づいて、音声ランプ制御装置113や表示制御装置114により第3図柄表示装置81で表示される第3図柄のリーチ種別や細かな図柄変動態様が決定される。変動種別カウンタCS1の値は、後述するメイン処理(
図55参照)が1回実行される毎に1回更新され、当該メイン処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。尚、変動種別カウンタCS1の値(乱数値)から、図柄変動の変動時間を一つ決定する乱数値を格納した変動パターン選択テーブル202d(
図25参照)は、主制御装置110のROM202内に設けられている。
【0353】
ここで、
図25を参照して変動パターン選択テーブル202dの内容について説明をする。
図25(a)は変動パターン選択テーブル202dに規定されている内容を模式的に示した模式図である。
図25(a)に示した通り、変動パターン選択テーブル202dには、遊技状態として通常状態を設定している状態で用いられる通常用テーブル202d1と、時短状態を設定している状態で用いられる時短用テーブル202d2と、が規定されている。詳細については後述するが、本実施形態では遊技状態に応じて変動パターンを選択するために用いるデータテーブルを異ならせているため、遊技状態に応じて選択される変動パターン(変動時間)を異ならせることができる。
【0354】
次に、変動パターン選択テーブル202dに規定されている各テーブルの詳細な内容について、
図25(b)及び
図25(c)を参照して説明をする。
図25(b)は通常用テーブル202d1に規定されている内容を模式図に示した模式図である。この通常用テーブル202d1は、遊技状態として通常状態が設定されている場合に参照されるデータテーブルであって、特別図柄の抽選結果が大当たりである場合のほうが、外れである場合よりも長い変動時間の変動パターンが選択され易くなるように規定している。
【0355】
具体的には、
図25(b)に示した通り、特別図柄(特図)の抽選結果が「大当たり(当たり)」であって、変動種別カウンタCS1の値が「0〜50」の範囲に変動時間が20秒の当たりノーマルリーチ各種が対応付けて規定され、「51〜198」の範囲に変動時間が60秒〜120秒の当たりスーパーリーチが規定されている。
図25(b)では、当たりスーパーリーチの変動パターンの説明を簡略化するために、変動種別カウンタCS1の値が「51〜198」の範囲に「60秒〜120秒」と示しているが、実際には、予め定められた変動時間(例えば、変動時間60秒、変動時間100秒、変動時間120秒)が、対応する変動種別カウンタCS1の値の範囲にそれぞれ規定されているものである。つまり、特別図柄の抽選結果が「大当たり(当たり)」であって、取得した変動種別カウンタCS1の値が「51〜198」の範囲である場合には、取得した値に対応する「60秒〜120秒」の何れかの変動時間が設定された変動パターンが設定されるものである。
【0356】
また、抽選結果が「外れ」の場合は、変動種別カウンタCS1の値が「0〜179」の範囲に変動時間が8秒の短外れが対応付けて規定され、「180〜194」の範囲に変動時間が20秒の外れノーマルリーチ対応付けて規定され、「195〜198」の範囲に変動時間が60秒〜120秒の外れスーパーリーチが対応付けて規定されている。なお、抽選結果が「外れ」であって、変動種別カウンタCS1の値が「195〜198」の範囲に示した内容は、上述した抽選結果が「大当たり(当たり)」の場合と同一の目的であり、その説明を簡素化したものである。
【0357】
つまり、本実施形態では、通常状態中において実行される特別図柄抽選の結果に関わらず、選択され得る変動時間の種類を同一にし、各変動時間が選択される割合のみを異ならせるように構成している。そして、特別図柄の抽選結果が大当たり(当たり)である場合のほうが、外れである場合よりも長い変動時間が選択される割合を高くするように構成している。よって、実行中の特別図柄変動が長くなればなるほど、大当たり当選の期待度を高めることができるため、長い変動時間の特別図柄変動が実行された場合において、その変動時間が経過するまでに遊技者が遊技に飽きてしまうことを抑制することができる。
【0358】
なお、本実施形態では、つまり、本実施形態では、通常状態で実行される特別図柄の抽選に対して設定される変動時間として、第1特別図柄の保留球数が少ないほど長い変動時間が設定されるように構成している。このように構成することで、第1特別図柄の抽選が実行されない期間が頻繁に発生してしまう事態を抑制することができる。また、第1特別図柄の保留球数が上限に到達している場合には、短い変動時間が設定されるため、保留球数が上限に到達した状態で特図入球口64に球が入球してしまう事態を抑制することができる。
【0359】
また、本実施形態では、通常状態中において実行される特別図柄抽選の結果に関わらず、選択され得る変動時間の種類が同一となるように構成することで、設定される変動時間の長さを把握することにより特別図柄の抽選結果が遊技者に事前にばれてしまうことを抑制することができるように構成しているが、これに限ること無く、特別図柄の抽選結果が大当たり(当たり)の場合のみ選択される変動時間や、外れの場合のみ選択される変動時間を一部設定可能に構成しても良い。
【0360】
図25(b)に示した通り、本実施形態では、特別図柄の抽選結果(当否判定結果)と、取得した変動種別カウンタCS1の値と、に基づいて変動パターンを選択するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、大当たり当選した場合において設定される大当たり種別に基づいて変動パターンを選択するように構成しても良い。
【0361】
次に、
図25(c)を参照して変動パターン選択テーブル202dに設けられた時短用テーブル202d2の内容について説明をする。
図25(c)は時短用テーブル202d2に規定された内容を模式的に示した模式図である。
図25(c)に示した通り、時短用テーブル202d2には、図柄種別、抽選結果、および変動種別カウンタCS1の値の範囲と、変動パターンとが対応付けて規定されている。
【0362】
具体的には、
図25(c)に示した通り、当否判定結果(抽選結果)が「当たり(大当たり)」である場合は、変動種別カウンタCS1の値が「0〜99」の範囲に変動時間が50秒の「当たりショート」が規定され、「100〜198」の範囲に変動時間が200秒の「当たりロング」が規定されている。また、「外れ」である場合は、変動種別カウンタCS1の値が「0〜149」の範囲、に変動時間が10秒の「ショート外れA」が規定され、「150〜169」の範囲に、変動時間が15秒の「ショート外れB」が規定され、「170〜189」の範囲に、変動時間が20秒の「ショート外れC」が規定され、「190〜196」の範囲に、変動時間が30秒の「ロング外れA」が規定され、「197,198」の値に、変動時間が50秒の「ロング外れB」が規定されている。
【0363】
上述した通り、時短状態中は、通常状態中とは異なり、特別図柄の抽選結果が当たりである場合と、外れである場合とで、選択され得る変動時間の種類が異なるように構成しており、大当たりに当選した場合に選択され得る変動時間のほうが、外れの場合に選択され得る変動時間よりも長くなるように構成している。
【0364】
本実施形態では、上述した通り、時短状態が設定されている期間が遊技者に有利な遊技状態となり、その時短期間において、普通図柄の抽選を基点に特電遊技が実行される。また、時短状態の終了条件(時短終了条件)として、特別図柄の変動回数(抽選回数)に基づく終了条件(時短回数)が設定されている。
【0365】
よって、時短状態中に実行される特別図柄変動として、長い変動時間が選択されたほうが、遊技者に有利な遊技状態である時短状態が設定される期間を長くすることができる。そして、時短状態中に実行される特別図柄抽選、例えば、時短4回が設定されている場合には、時短状態が設定されてから実行される4回分の特別図柄抽選において、大当たり当選(1/100)した場合に、その付加価値として長い変動時間の変動パターンが選択されるように構成している。このように構成することで、時短状態という限られた期間内に特別図柄の大当たりに当選した場合に、遊技者により有利な遊技を提供することができるため、遊技者に対して意欲的に遊技を行わせることができる。
【0366】
また、特別図柄の抽選結果が外れである場合にも、「10秒〜50秒」と選択される変動時間に最大で5倍の差を設けているため、より長い変動時間の外れ変動が選択されることを遊技者に期待させながら遊技を行うことができる。
【0367】
なお、本実施形態では、
図12(a)に示した通り、大当たり遊技の終了画面において、時短状態の期間(Vラッシュ期間)の長さを示すための残時短期間態様801が表示されるように構成しており、この残時短期間態様801は、時短終了条件が成立するまでの範囲内であって、既に獲得済の特別図柄保留に含まれる入賞情報に基づいて事前に判別された変動時間を合算した値を表示するように構成している。
【0368】
このように構成することで、残時短期間態様801として表示された秒数が、複数個の外れ変動の変動時間を合算した表示態様なのか、それとも1個の大当たり変動の変動時間に対応する表示態様なのか、を遊技者に予測させる楽しみを提供することができる。
【0369】
図22に戻り説明を続ける。第2当たり乱数カウンタC4は、例えば0〜999の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり999)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。また、第2当たり乱数カウンタC4が1周した場合、その時点の第2初期値乱数カウンタCINI2の値が当該第2当たり乱数カウンタC4の初期値として読み込まれる。第2当たり乱数カウンタC4の値は、本実施形態ではタイマ割込処理(
図39参照)毎に、例えば定期的に更新され、球が普通始動口(スルーゲート)67を通過したことが検知された時に取得され、RAM203の普通図柄保留球格納エリア203bに格納される。
【0370】
そして、普通図柄の当たりとなる乱数の値は、主制御装置のROM202に格納される第2当たり乱数テーブル202bによって設定されており、第2当たり乱数カウンタC4の値が、第2当たり乱数テーブル202bによって設定された当たりとなる乱数の値と一致する場合に、普通図柄(第2図柄)の当たりと判定する。また、この第2当たり乱数テーブル202bは、普通図柄の低確率時用と、その低確率時より普通図柄の当たりとなる確率の高い高確率時用との2種類に分けられ、それぞれに含まれる大当たりとなる乱数の個数が異なって設定されている。このように、当たりとなる乱数の個数を異ならせることにより、普通図柄の低確率時と普通図柄の高確率時とで、当たりとなる確率が変更される。
【0371】
この第2当たり乱数テーブル202bに規定されている内容について、
図23(c)を参照して説明をする。
図23(c)は、第2当たり乱数テーブル202bに規定されている内容を模式的に示した模式図である。
図23(c)に示した通り、普通図柄の低確率状態である場合は、取得した第2当たり乱数カウンタC4が「0」の値に普図当たりが規定され、普通図柄の高確率状態である場合は、取得した第2当たり乱数カウンタC4が「0〜299」の範囲に普図当たりが規定されている。
【0372】
つまり、本実施形態では、普通図柄の低確率状態が設定されている場合には、普通図柄の抽選で当たりとなる確率(1/1000)が低確率に設定されている。これにより、普通図柄の低確率状態である通常状態と、普通図柄の高確率状態である時短状態と、で同一の遊技方法(左打ち遊技)が実行される本実施形態において、通常状態中に普図当たりに当選し難くすることができるため、通常状態中に普図当たり遊技が実行され普電入賞装置640内に球が入賞する事態を発生し難くすることができる。一方、普通図柄の高確率状態が設定されている場合には、普通図柄の抽選で当たりとなる確率(300/1000)が高確率に設定されている。これにより、時短状態中において普通図柄の当たり当選に基づく普図当たり遊技を実行し易くすることができる。
【0373】
なお、本実施形態では上述した通り、通常状態中に実行される普図当たり遊技では、時短状態中に実行される普図当たり遊技に対して、球が普電入賞装置640に入賞し難くなるように構成し、さらに、通常状態中に普電入賞装置640に球が入賞したとしても、その入賞した球が特電作動口643に入球し難くなるように構成している。即ち、本実施形態では、通常状態中において普図当たりに当選し難くし、万が一、普図当たりに当選した場合であっても、その普図当たり遊技中に球が普電入賞装置640に入賞し難くし、さらに、球が普電入賞装置640に入賞したとしても、その入賞した球が特電作動口643に入賞し難くなるように構成している。
【0374】
このように、普通図柄の抽選が実行されてから特電作動口643へと球が入賞するまでの複数の過程(3つの過程)において、通常状態中は時短状態中よりも遊技を進行させ難くするように構成することで、通常状態中に実行された普通図柄の抽選を契機に特電作動口643に球が入賞し、役物当たり遊技が実行されることを確実に防止することができる。
【0375】
また、本実施形態では、上述した3つの過程において、通常状態中に普通図柄の抽選が実行されたことに基づく特電作動口643への球の入賞を規制するように構成するかわりに、通常状態中においても普通図柄の変動時間として短い変動時間(時短状態中と同一の3秒)が設定されるように構成している。つまり、短い期間で普通図柄の抽選が実行され易くなるように構成したとしても、上述した3つの過程における規制によって、球が特電作動口643に入賞することを規制しているため、通常状態中に実行された普通図柄の抽選を契機に特電作動口643に球が入賞し、役物当たり遊技が実行されることを確実に防止することができる。
【0376】
このように、通常状態中における普通図柄の変動時間を短く設定することで、遊技状態が切り替わるタイミング、例えば、大当たり遊技終了後に時短状態が設定されるタイミングにおいて、通常状態(普通図柄の低確率状態)中に実行された長い変動時間の普通図柄変動が遊技状態の移行タイミングを跨いで実行されてしまい、時短状態中の特別図柄変動が開始されたにも関わらず、時短状態中の普通図柄の抽選を実行することができない事態が発生することを抑制することができる。よって、本実施形態のように、時短状態が期間管理されるパチンコ機10において、限定された時短期間を有効に用いた遊技(特電遊技)を遊技者に提供することができる。
【0377】
なお、本実施形態では、上述した3つの過程(普通図柄の当たり確率、普図当たり遊技における普電入賞装置640への球の入賞率、普電入賞装置640に入賞した球が特電作動口643へと入賞する入賞率)において、通常状態中における特電作動口643への球の入賞を規制するように構成しているが、これに限ること無く、2つ以下の過程において規制するように構成しても良い。また、本実施形態では、普電入賞装置640に入賞した球が特電作動口643に入賞しない場合は、アウト口644に入球し、遊技者に特典(例えば、賞球)が付与されないように構成しているが、これに限ること無く、例えば、アウト口644に球が入球した場合には、特電作動口643に球が入球した場合よりも多くの賞球が払い出されるように構成しても良い。
【0378】
このように構成することにより、通常状態中に特電作動口643へと球が入賞することを抑制しながらも、普電入賞装置640に入賞した場合に異なる特典(役物当たり遊技を実行する特典とは異なる特典)を遊技者に付与することができるため、遊技者に対して、意外性のある遊技を提供することができる。また、普通図柄の低確率状態が設定されている状態において、普図当たり当選した場合の付加価値を遊技者に提供することができる。
【0379】
第2初期値乱数カウンタCINI2は、第2当たり乱数カウンタC4と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜999)、タイマ割込処理(
図39参照)毎に1回更新されると共に、メイン処理(
図55参照)の残余時間内で繰り返し更新される。
【0380】
このように、RAM203には種々のカウンタ等が設けられており、主制御装置110では、このカウンタ等の値に応じて大当たり抽選や第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81における表示の設定、第2図柄表示装置83における表示結果の抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行することができる。
【0381】
普図変動種別カウンタCS2は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。この普図変動種別カウンタCS2の値は、後述するメイン処理(
図55参照)が1回実行される毎に1回更新され、当該メイン処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、普図変動種別カウンタCS2の値によって、普通図柄の変動時間が決定される。具体的には、取得した普図変動種別カウンタCS2の値を用いて、普通図柄の変動時間が決定されるように構成している。
【0382】
図21に戻り説明を続ける。ROM202は、
図22に図示した各種カウンタに対応して規定される各種データテーブル等を有している。ここで、
図23(a)を参照して、本実施形態のパチンコ機10における主制御装置110のROM202の内容について説明をする。
図23(a)は、本実施形態におけるパチンコ機10の主制御装置110のROM202の内容を模式的に示した模式図である。
【0383】
図23(a)に示した通り、本実施形態におけるパチンコ機10の主制御装置110のROM202は、第1当たり乱数テーブル202a、第2当たり乱数テーブル202b、大当たり種別選択テーブル202c、変動パターン選択テーブル202d、各種動作シナリオテーブル202eを少なくとも有している。なお、第1当たり乱数テーブル202a、第2当たり乱数テーブル202b、大当たり種別選択テーブル202c、変動パターン選択テーブル202dについては、
図22に図示した各種カウンタを説明する際に上述したため、その説明を省略する。
【0384】
各種動作シナリオテーブル202eは、主制御装置110が動作制御を管理する各種可動部材の動作内容が予め時系列で規定されている動作シナリオを有するデータテーブルであって、主制御装置110の制御処理において、可動部材を動作制御する際に読み出されるものである。本実施形態では、可動部材を動作制御する際に、この各種動作シナリオテーブル202eのうち、今回の動作制御条件と合致する動作シナリオを読み出し、その読み出した動作シナリオをRAM203の記憶エリアに一時的に記憶する。そして、4ミリ秒間隔で実行されるメイン処理(
図55参照)において、記憶エリアに記憶された動作シナリオの内容を定期的に(4ミリ秒単位で)更新させ、更新後の値に対応するエリアに可動部材を可変動作させる動作シナリオがある場合には、その動作シナリオに基づく動作制御を実行するように構成している。また、各動作シナリオテーブルは、可動部材毎に設けられるのでは無く、可動部材を動作制御させる1つのイベント(大当たり遊技、普図当たり遊技、役物当たり遊技)単位で設定されるものである。よって、1つのイベント内で複数の可動部材を動作制御する必要があるイベント(例えば、普図当たり遊技)に対応する動作シナリオテーブルには、複数の可動部材に対して実行する動作制御内容が規定されている。
【0385】
ここで、
図26〜
図28を参照して、各種動作シナリオテーブル202eの内容について説明をする。
図26(a)は、各種動作シナリオテーブル202eの内容を模式的に示した模式図である。
図26(a)に示した通り、各種動作シナリオテーブル202eには、大当たり動作シナリオテーブル202e1、役物当たり動作シナリオテーブル202e2、普図当たり動作シナリオテーブル202e3、第1可動弁シナリオテーブル202e4を有している。
【0386】
まず、
図26(b)を参照して、役物当たり動作シナリオテーブル202e2の内容について説明をする。
図26(b)は、役物当たり動作シナリオテーブル202e2に規定されている各種内容を模式的に示した模式図である。役物当たり動作シナリオテーブル202e2は、役物当たり遊技中の動作内容が設定された役物当たりシナリオが規定されているデータテーブルであり、役物当たり遊技のオープニング期間(役物当たり遊技が開始されてからV入賞装置65が開放するまで(V入賞口ソレノイド209bがオンに設定されるまで)の期間)、ラウンド期間(V入賞装置65が開放される最大期間)、エンディング期間(V入賞装置65の開放期間が終了し、貯留ソレノイド209cがオフに設定されてからの猶予期間)が規定されており、役物当たり遊技が開始される場合に設定され、周期的(主制御装置110のメイン処理が実行される毎に)値が1加算されるシナリオカウンタ(図示せず)の値に対応した動作制御が実行される。
【0387】
具体的には、役物当たり遊技が開始されると、シナリオカウンタの値が「1」にセットされる。シナリオカウンタ「1」には、対応する動作シナリオとして、貯留ソレノイド209cをオンに設定する動作シナリオが規定されているため、役物当たり遊技の開始と同時に貯留ソレノイド209cがオンに設定され、貯留弁66aの上面に形成される貯留部に球を貯留可能な状態へと貯留弁66aが可動される。そして、シナリオカウンタの値が4ミリ秒毎に加算されていき、シナリオカウンタ「25」、即ち、役物当たり遊技が開始されてから0.1秒後にオープニング期間を終了させ、次いで、シナリオカウンタの値が「26」となるタイミングでV入賞口ソレノイド209bをオンに設定し、V開閉扉65a(Vアタッカー)を開放させる。つまり、本実施形態では、役物当たり遊技が開始されてからV入賞装置65を開放状態とするまでの期間を用いて貯留弁66aを貯留状態へと可変させるように構成している。このように構成することで、V入賞装置65が開放状態となった直後に勢いよく球がV入賞装置65へと入賞したとしても、V入賞装置65が開放状態となるタイミングにおいて既に貯留弁66aを貯留状態へと可変されているため、球が貯留弁66aを通過してV入賞口165に入賞してしまうことを確実に防止することができる。
【0388】
次いで、シナリオカウンタの値が「375」のタイミング、即ち、役物当たり遊技が開始されてから1.6秒経過したタイミングに、V入賞口ソレノイド209bをオフに設定し、V開閉扉65a(Vアタッカー)を閉鎖させるシナリオが規定されている。そして、V開閉扉65a(Vアタッカー)の閉鎖制御を実行後、即ち、シナリオカウンタの値が「376」のタイミングで、役物当たり遊技のエンディング期間が設定され、貯留ソレノイド209cがオフに設定されるように規定している。そして、シナリオカウンタの値が「750」に到達するまで、役物当たり遊技の閉鎖状態(エンディング期間)が設定される。
【0389】
つまり、本実施形態のパチンコ機10において実行される役物当たり遊技では、貯留弁66aを貯留状態へと移行させた後に、V入賞装置65が開放するように構成している。そして、V入賞装置65を閉鎖するタイミング(シナリオカウンタ「375」)よりも後に、貯留ソレノイド209cがオフに設定されるようにシナリオが規定されている。このように構成することで、役物当たり遊技の開始時、或いは終了時において、不測の事態が発生してしまい、意図しないタイミングで役物当たり遊技が実行されることを抑制することができる。
【0390】
次に、
図27(a)を参照して、第1可動弁動作シナリオ202e4の内容について説明をする。
図27(a)は、第1可動弁シナリオ202e4に規定されているシナリオの内容を示した模式図である。本実施形態の第1可動弁66bは、パチンコ機10に電源が投入されている間、予め定められた動作パターンで可動するように動作制御されるものであり、パチンコ機10に電源が投入された場合に実行される主制御装置110の立ち上げ処理(
図54参照)にて第1可動弁66bの動作が設定されるものである(
図54のS1715参照)。そして、主制御装置110のメイン処理(
図55参照)にて4ミリ秒毎に実行される処理によってシナリオカウンタの値が更新(1加算)されるように構成されている。
【0391】
図27(a)に示した通り、本実施形態における第1可動弁66bは、V入賞口165へと球を入賞させることが可能なV入賞可能状態と、V入賞口165へと球を入賞させることが困難なV入賞困難状態との何れかの状態に位置するように構成している。第1可動弁動作シナリオ202e4は、シナリオカウンタの値が「1」〜「1500」の範囲に対して、第1可動弁ソレノイド209dをオン(第1可動弁66bを球がV入賞口165に入賞可能な状態)にする動作シナリオと、第1可動弁ソレノイド209dをオフ(第1可動弁66bを球がV入賞口165に入賞困難な状態)にする動作シナリオと、が規定されている。
【0392】
具体的には、シナリオカウンタの値が「1」〜「1250」の範囲、即ち、第1可動弁動作シナリオ202e4が設定されてから5秒が経過するまでは、第1可動弁ソレノイド209dがオフ、シナリオカウンタの値が「1251」〜「1500」の範囲、即ち、第1可動弁動作シナリオ202e4が設定されてから5秒〜5.5秒の間は、第1可動弁ソレノイド209dがオンに設定されるように動作シナリオが規定されている。そして、シナリオカウンタの値が上限値「1500」に到達した場合には、次のメイン処理(
図55参照)が実行される際に、シナリオカウンタの値を「1500」から「1」へと切り替え、以降、パチンコ機10の電源が断されるまで繰り返し第1可動弁動作シナリオ202e4に基づく動作制御を実行するように構成している。
【0393】
つまり、本実施形態のパチンコ機10では、V入賞口165への球の入賞を許容、禁止するための可変部材である第1可動弁66bを、5.5秒間の間、0.5秒間だけV入賞口165に球を入賞させることが可能な状態へと切り替えるように可変動作するように構成している。これにより、第1可動弁66bにランダムなタイミングで球が到達した場合において、その球が第1可動弁66bを通過し、V入賞口165へと入賞する確率は、1/11となるように構成している。よって、遊技者に対してどの役物当たり遊技でV入賞口165へと球が入賞するのかを分かり難くすることができ、全ての役物当たり遊技において意欲的に遊技を行わせることができる。
【0394】
さらに、本実施形態のパチンコ機10では、1回の役物当たり遊技中にV入賞装置65へと複数個の球が入賞したとしても、第1可動弁66bへと到達し得る球の数が1個となるように構成している。これにより、役物当たり遊技における大当たり確率(球がV入賞口165へと入賞する確率)が約1/11となるため、遊技者に対して過剰に大当たり遊技が提供されてしまうことを抑制することができる。
【0395】
なお、本実施形態では、第1可動弁66bの動作内容として、パチンコ機10に電源が投入されている期間中、常時同一の動作内容が設定されるように構成しているが、これに限らず予め定められている動作パターンで有れば良く、例えば、第1可動弁ソレノイド209dのオフ期間(5.5秒)、オン期間(0.5)秒と規定される第1動作パターンと、オフ期間(3秒)、オン期間(0.2秒)、オフ期間(2秒)、オン期間(0.3秒)と規定される第2動作パターンと、を順に設定する動作シナリオを設定しても良い。
【0396】
また、本実施形態では、パチンコ機10に電源が投入されてから同一の動作シナリオを繰り返し設定するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、パチンコ機10に電源が投入されてからの経過時間を計測する計測手段を設け、その計測手段による計測結果に基づいて、異なる動作シナリオへと切り替えるように構成しても良い。この場合、計測手段の計測結果が特定の計測結果(例えば、電源投入から1時間以内や、電源投入から3時間〜3時間10分等)である場合のみ、通常の動作シナリオよりも、第1可動弁ソレノイド209dがオンに設定される期間の割合が、オフに設定される期間の割合に対して高くなるように構成すると良い。このように構成することで、特定の期間だけ時短遊技中に大当たり遊技(V大当たり遊技)が実行され易くすることができ、その期間を目指して遊技者に遊技を行わせることが可能となり、遊技の稼働を向上させることができる。
【0397】
また、遊技状況に応じて動作シナリオの制御内容を異ならせても良く、例えば、特定の大当たり遊技が実行されるタイミング、終了するタイミング、にて第1可動弁動作シナリオ202e4を初期状態(シナリオカウンタの値「1」)から開始させるように構成しても良いし、特別図柄抽選の結果が所定回数(例えば、本パチンコ機10の大当たり確率の逆数である300回)に渡って連続して外れであった場合に、通常の動作シナリオよりも、第1可動弁ソレノイド209dがオンに設定される期間の割合が、オフに設定される期間の割合に対して高くなる特殊動作シナリオを設定するように構成しても良い。そして、この特殊動作シナリオが一旦設定されると、その後、時短状態が設定され、その時短状態が終了するまでの期間継続して設定され続けるように構成すると良い。これにより、特殊動作シナリオが設定されることで遊技者に対して継続して遊技を行わせることができる。なお、この場合、遊技者に対して特殊動作シナリオが設定されたことを報知するための報知手段を設けると良い。このように構成することで、遊技者に対して特殊動作シナリオが設定されていることを分かり易く報知することができる。
【0398】
次に、
図27(b)を参照して、普図当たり動作シナリオテーブル202e3の内容について説明をする。
図27(b)は、普図当たり動作シナリオテーブル202e3に規定されている内容を示した模式図である。この普図当たり動作シナリオテーブル202e3は、普通図柄抽選で当たり当選した場合に実行される普図当たり遊技の動作パターンが格納されているデータテーブルであって、普図当たり遊技が開始される時点において設定されている遊技状態に対応した動作シナリオが設定されるものである。
【0399】
具体的には、普図当たり動作シナリオテーブル202e3には、通常状態中に実行される普図当たり遊技の動作シナリオが規定されている通常用普図当たりシナリオ202e31と、時短状態中に実行される普図当たり遊技の動作シナリオが規定されている時短用普図当たりシナリオ202e32と、が規定されている。
【0400】
ここで、
図27(c)を参照して、通常用普図当たりシナリオ202e31の内容について説明をする。
図27(c)は、通常用普図当たりシナリオ202e31に規定されているシナリオ内容を示した模式図である。この通常用普図当たりシナリオ202e31は、普通図柄変動処理(
図48のS106参照)において、当たり当選した普通図柄変動が停止した(確定した)時点における遊技状態が通常状態であると判別した場合(
図48のS1118:No)設定される動作シナリオである。
【0401】
通常用普図当たりシナリオ202e31は、シナリオカウンタの値が「1」〜「1050」の範囲に対して、普電入賞装置640の電動役物640aを動作制御する普電ソレノイドと、普電入賞装置640へと入賞した球の流下先を振り分ける第2可動弁642を動作制御する第2可動弁ソレノイド209eと、をそれぞれオン、オフに設定するための動作シナリオが規定されている。
【0402】
具体的には、シナリオカウンタの値が「1」〜「1025」の範囲、即ち、通常用普図当たりシナリオ202e31が設定されてから(通常状態中の普図当たり遊技が実行されてから)4.1秒が経過するまでは、普電ソレノイドがオフ(電動役物640aが閉鎖状態)、第2可動弁ソレノイド209eがオフ(球をアウト口644へと流下させる状態)が継続し、その後、シナリオカウンタの値が「1026」〜「1050」の範囲、即ち、通常用普図当たりシナリオ202e31が実行されてから4.1秒から4.2秒の間の0.1秒間、普電ソレノイドがオン(電動役物640aが開放状態)、第2可動弁ソレノイド209eがオン(球を特電作動口643へと流下させる状態)となるように動作シナリオが規定されている。
【0403】
つまり、通常状態で普図当たり遊技が実行された場合には、閉鎖状態(4.1秒)、開放状態(0.1秒)の普図当たり遊技が実行される。さらに、0.1秒間の開放状態中に球が普電入賞装置640へと入賞したとしても、その時点では第2可動弁643が入賞球をアウト口644へと流下させる位置(
図4参照)へと可変しているため、球が特電作動口643へと入賞することを確実に防止することができる。
【0404】
次に、
図28を参照して、時短用普図当たりシナリオ202e32の内容について説明をする。
図28は、時短用普図当たりシナリオ202e32に規定されているシナリオ内容を示した模式図である。この時短用普図当たりシナリオ202e32は、普通図柄変動処理(
図48のS106参照)において、当たり当選した普通図柄変動が停止した(確定した)時点における遊技状態が通常状態であると判別した場合(
図48のS1118:Yes)設定される動作シナリオである。
【0405】
時短用普図当たりシナリオ202e32、シナリオカウンタの値が「1」〜「1025」の範囲に対して、普電入賞装置640の電動役物640aを動作制御する普電ソレノイドと、普電入賞装置640へと入賞した球の流下先を振り分ける第2可動弁642を動作制御する第2可動弁ソレノイド209eと、をそれぞれオン、オフに設定するための動作シナリオが規定されている。
【0406】
具体的には、シナリオカウンタの値が「1」〜「25」の範囲、即ち、通常用普図当たりシナリオ202e31が設定されてから(通常状態中の普図当たり遊技が実行されてから)0.1秒が経過するまでは、普電ソレノイドがオフ(電動役物640aが閉鎖状態)、第2可動弁ソレノイド209eがオン(球を特電作動口643へと流下させる状態)に設定される状態を継続し、その後、シナリオカウンタの値が「26」〜「775」の範囲、即ち、時短用普図当たりシナリオ202e32が設定されてから0.1秒から3.1秒の間の3秒間、普電ソレノイドがオン(電動役物640aが開放状態)に設定され、第2可動弁ソレノイド209eが継続してオンに設定され、シナリオカウンタの値が「776」〜「1024」の範囲、即ち、時短用普図当たりシナリオ202e32が設定されてから3.1秒〜4.1秒が経過するまでは、普電ソレノイドがオフ(電動役物640aが閉鎖状態)、第2可動弁ソレノイド209eがオン(球を特電作動口643へと流下させる状態)に設定され、シナリオカウンタの値が「1025」、即ち、時短用普図当たりシナリオ202e32に規定される上限値となった場合に、第2可動弁ソレノイド209eがオフ(球をアウト口644へと流下させる状態)となるように動作シナリオが規定されている。
【0407】
つまり、時短状態で普図当たり遊技が実行された場合には、短時間の閉鎖状態(0.1秒)、を経て、即座に普図当たり遊技における電動役物640aの開放動作が3秒間実行される。よって、通常状態における普図当たり遊技よりも、球を普電入賞装置640へと入賞させ易くすることができる。
【0408】
さらに、時短用普図当たりシナリオ202e32では、球が普電入賞装置640へと入賞可能な期間において、第2可動弁643を特電作動口643へと球を入賞させることが可能な位置(
図5参照)を設定することができるため、普図当たり遊技中に特電作動口643へと球を入賞させ易くすることができる。
【0409】
加えて、上述した通常用普図当たりシナリオ202e31と、時短用普図当たりシナリオ202e32と、では、第2可動弁ソレノイド209dに対する動作シナリオが同一となるように規定しているため、動作シナリオに基づく動作制御内容を統一化することができ、可変部材を制御する処理を簡略化することができる。
【0410】
なお、詳細な説明は省略するが、この普図当たり遊技には、時間経過に基づいて成立する時間終了条件(普図当たりシナリオが上限値まで更新される成立する条件)と、普電入賞装置640への球の入賞数が上限値(例えば、5個)に到達した場合に成立する入賞終了条件と、が設定されている。通常の遊技を行っている場合は、時間終了条件が先に成立するように入賞終了条件が設定されている。これにより、例えば、普図当たり遊技において、普電入賞装置640内へと不正に球を大量に入賞させる行為を抑制することができる。
【0411】
図21に戻り、説明を続ける。RAM203は、
図22に図示した各種カウンタのほか、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。
【0412】
なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
【0413】
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(
図55参照)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(
図54参照)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(
図53参照)が即座に実行される。
【0414】
また、RAM203は、
図29に示すように、特別図柄保留球格納エリア203a、普通図柄保留球格納エリア203b、特別図柄保留球数カウンタ203c、普通図柄保留球数カウンタ203d、入賞個数カウンタ203e、動作カウンタ群203f、遊技状態格納エリア203g、時短カウンタ203h、大当たりフラグ203i、時短終了フラグ203j、役物当たりフラグ203k、特図仮停止フラグ203m、特図変動時間カウンタ203n、Vフラグ203p、その他メモリエリア203zを有している。
【0415】
特別図柄保留球格納エリア203aは、上限個数(本実施形態では、4個)まで、特図入球口64に球が入球(始動入賞)したことに基づいて取得された各種カウンタ値を記憶するための記憶エリアである。
【0416】
特別図柄保留球実行エリア(図示せず)は、特別図柄を変動表示開始するための各種カウンタ値が格納される記憶エリアであり、特別図柄が変動停止した場合に、特別図柄保留球格納エリア203aに各種カウンタ値が記憶されている場合に、その各種カウンタ値がシフトして記憶される記憶エリアである。
【0417】
特別図柄保留球格納エリア203a、特別図柄保留球実行エリア(図示せず)は、始動入賞の検出に伴ってカウンタ用バッファ(
図22参照)より取得した第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、変動種別カウンタCS1の値がそれぞれ記憶される。MPU201は、タイマ割込処理(
図39参照)の中で、球が特図入球口64へ球が入球(始動入賞)したことを検出すると、カウンタ用バッファから各カウンタC1〜C2,CS1の値を取得し、特別図柄保留球格納エリア203aにそれぞれ格納する。
【0418】
MPU201は、特別図柄変動(抽選)の実行開始タイミングであることを検出すると、大当たり抽選や、第1図柄表示装置37または第3図柄表示装置81の表示の設定等の処理を実行するために、上述した特別図柄保留球格納エリア203aに記憶されている各始動入賞に対応するデータ(カウンタC1〜C2,CS1の各値)のうち、一の始動入賞に対応するデータを、この特別図柄保留球実行エリアへシフトする。なお、本実施形態におけるシフトとは、一の領域に記憶されているデータを別の領域へ移動させることを示す。
【0419】
普通図柄保留球格納エリア203bはスルーゲート67への球の通過(始動入賞)検出に伴ってカウンタ用バッファ(
図22参照)より取得した第2当たり乱数カウンタC4、普図変動種別カウンタCS2の各値が記憶される記憶エリアである。主制御装置110のMPU201は、タイマ割込処理(
図39参照)の中で、球がスルーゲート67を通過(始動入賞)したことを検出すると、カウンタ用バッファから第2当たり乱数カウンタC4の値、普図変動種別カウンタCS2の値を取得し、普通図柄保留球格納エリア203bに格納する。普通図柄保留球格納エリア203bは、一の始動入賞に対応するデータ(カウンタC4,CS2の値)が、最大1回分まで記憶(保留)できるように、1つの保留エリアを有している。普通図柄保留球格納エリア203bには、スルーゲート67へ通過(始動入賞)した順に保留球のデータが、データが空いている保留エリアの内、消化される順序の早い保留エリアから順に記憶される。
【0420】
また、普通図柄保留球実行エリア(図示せず)は、始動入賞に基づいて、普通図柄の変動表示演出の実行開始タイミングであることを検出すると、各カウンタ値が格納され、普通図柄の当たり抽選や、第1図柄表示装置37または第3図柄表示装置81の表示(変動パターン)の設定等の処理において参照すべきデータ(カウンタC4,CS2の値)を記憶するためのメモリである。
【0421】
なお、MPU201は、普通図柄の変動表示演出の実行開始タイミングであることを検出すると、当たり抽選や、第2図柄表示装置83の表示の設定等の処理を実行するために、上述した普通図柄保留球格納エリア203bに記憶されている各始動入賞に対応するデータ(第2当たり乱数カウンタC4の値、普図変動種別カウンタCS2の値)のうち、一の始動入賞に対応するデータを、この普通図柄保留球実行エリア(図示せず)へシフトする。なお、本実施形態におけるシフトとは、一の領域に記憶されているデータを別の領域へ移動させることを示す。
【0422】
第1特別図柄保留球数カウンタ203c、2ミリ秒毎に定期的に実行されるタイマ割込処理(
図39参照)の中で検出される特図入球口64への入賞に基づいて、第1図柄表示装置37で行われる変動表示演出(第3図柄表示装置81で行われる変動表示演出)の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。特別図柄保留球数カウンタ203cは、電源投入後のRAM203の初期設定処理(
図54のS1701参照)によって、初期値としてゼロが設定される。そして、始動入賞が検出されて変動表示の保留球数が増加する毎に、それぞれ最大値4まで1加算される。一方、特別図柄保留球数カウンタ203cは、変動表示演出が実行される毎に1減算される。
【0423】
また、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(即ち、保留球数)は、特特図入球口64に球が入球(始動入賞)したことに基づいて、特別図柄保留球格納エリア203aにカウンタ値が格納された場合に、主制御装置110から出力される特別図柄保留球数コマンドによって音声ランプ制御装置113に通知される。特別図柄保留球数コマンドは、始動入賞が検出されて特別図柄保留球数カウンタ203cが1加算される毎に、主制御装置110から音声ランプ制御装置113に対して送信されるコマンドである。
【0424】
MPU201は、特別図柄保留球実行エリア(図示せず)にカウンタ用バッファから取得される上記カウンタC1〜C2,CS1の各値がそれぞれ記憶された場合には、特別図柄保留球実行エリア(図示せず)に格納されたデータを、特別図柄変動開始処理(
図41のS205参照)において参照し、その参照データに基づいて大当たり抽選を行うと共に、その抽選結果に対応する変動パターン及び停止種別を決定する。第1図柄表示装置37では、主制御装置110の制御により、この決定された変動パターンおよび停止種別に基づいて、変動表示が行われる。
【0425】
また、ここで決定された変動パターン及び停止種別は、特図変動パターンコマンドおよび停止種別コマンドによって、音声ランプ制御装置113や表示制御装置114へ通知される。そして、表示制御装置114の制御によって、第3図柄表示装置81では、変動パターンコマンドおよび停止種別コマンドにより通知された変動パターンおよび停止種別に基づいて、変動表示演出が行われる。
【0426】
普通図柄保留球数カウンタ203dは、2ミリ秒毎に定期的に実行されるタイマ割込処理(
図39参照)の中で検出されるスルーゲート67を球が通過(以下「始動入賞」と称す)したことに基づいて、第2図柄表示装置83で行われる変動表示の保留球数(待機回数)を最大1回まで計数するカウンタである。この普通図柄保留球数カウンタ203dは、スルーゲート67を球が通過したことに基づいて記憶される保留球数の合計を記憶するカウンタである。電源投入後のRAM203の初期設定処理(
図54のS1701参照)によって、初期値としてゼロが設定される。そして、始動入賞が検出されて変動表示の保留球数が増加する毎に、最大値まで1加算される(
図49のS1204参照)。一方、普通図柄保留球数カウンタ203dは、普通図柄の変動表示が実行される毎に1減算される(
図48のS1105参照)。
【0427】
入賞個数カウンタ203eは、役物当たり遊技におけるラウンド遊技中にV入賞装置65に入賞した球の数や可変入賞装置650の特定入賞口650aに入賞した球の数をカウントするためのカウンタである。具体的には、V入賞装置65に設けられた検出口(図示せず)を球が通過したと検出されることに基づいて、1ずつ加算されて更新される。一方、1つのラウンドが終了した場合に、V入賞装置65に入賞した個数(入賞個数カウンタ203eの値)と排出された個数(各入賞口に設けられた球の通過数を検知可能な検知手段の検知結果を累積した個数)とが一致しているか判別された後に、初期値である「0」にリセットされる。なお、この入賞個数カウンタ203eの値は、電源断時にはバックアップされる。また、初期化された状態では、0に設定される。
【0428】
動作カウンタ群203kは、設定された各種動作シナリオの進行状況を計測(更新)するためのカウンタであって、各種動作シナリオテーブル202eに格納されているシナリオのそれぞれに対応させたシナリオカウンタから構成されており、各種動作シナリオテーブル202eの何れかの動作シナリオが設定された場合に、主制御装置110のメイン処理(
図55参照)における4ミリ秒毎に実行される処理として、カウンタ値の更新処理が実行される。
【0429】
本実施形態では、各種動作シナリオテーブル202eに格納されているシナリオが重複して実行される場合がある。例えば、普図当たり遊技に関するシナリオと、役物当たり遊技に関するシナリオは同時に実行可能に構成している。よって、シナリオカウンタを各種動作シナリオテーブル202eに格納されているシナリオに対応させて設けているが、これに限ること無く、同時に実行し得るシナリオの上限数分のシナリオカウンタを設けて場良い。この場合、シナリオカウンタに種別を設け、新たな動作シナリオを設定する場合に、未使用のシナリオカウンタ種別を判別し、その判別結果に基づいてシナリオカウンタを設定し、設定したシナリオカウンタに対して、どの動作シナリオで用いるかを示すための使用情報を設定し、主制御装置110のRAM203の記憶手段に設定した使用情報を設定するように構成すれば良い。さらに、使用情報が設定される記憶手段に対して、他のRAM203の各種構成と同様に、パチンコ機10の電源が断された状態でも記憶された情報を保持可能なバックアップ機能を持たせると良い。このように構成することで、動作シナリオに基づく動作制御中に停電等によりパチンコ機10の電源が断された場合であっても、電源復旧後の動作制御を、停電前の状態から継続させることが可能となる。
【0430】
遊技状態格納エリア203gは、現在設定されている遊技状態を一時的に格納するための記憶領域であって、大当たり遊技終了後に設定される遊技状態(時短カウンタ203hの設定状況)に対応した遊技状態が記憶される。具体的には、時短カウンタ203hの値が0である場合に通常状態が記憶され、時短カウンタ203hの値が0よりも大きい値である場合に時短状態が記憶される。
【0431】
さらに、大当たり遊技や、役物当たり遊技が実行されている状態では、各当たり遊技が実行されている状態であることを示す当たり遊技状態(大当たり状態、役物当たり遊技状態)と、実行されている大当たり遊技に対応する大当たり種別を示す種別情報も記憶されるように構成されている。加えて、普図当たり遊技の実行中であることを示す普図当たり遊技中情報も記憶されるように構成されている。
【0432】
そして、遊技状態格納エリア203gに格納(記憶)された情報に基づいて、状態コマンドが設定され、その状態コマンドが音声ランプ制御装置113へと出力される。音声ランプ制御装置113では出力された状態コマンドを受信し、従状態設定エリア223gに一時的に記憶する。
【0433】
この遊技状態格納エリア203gに記憶された情報は、パチンコ機10の電源が断された場合であっても、その情報を保持可能に構成されており、パチンコ機10の電源を入れた際に実行される立ち上げ処理(
図54参照)において、遊技状態格納エリア203gに記憶されている情報に対応する状態コマンドを設定するように構成している。
【0434】
これにより、停電等によりパチンコ機10の電源が断された場合であっても、現在の遊技状態を音声ランプ制御装置113側が判別可能にすることができる。
【0435】
時短カウンタ203jは、普通図柄の高確率状態が設定されている状態を示すためのカウンタであって、普通図柄の高確率状態が設定されている場合に対応する値が設定される。この時短カウンタ203jには、大当たり遊技終了後に、その当選した大当たり種別に対応した値が設定される(
図56のS1914,1915)。そして、大当たり遊技に当選した場合に0にクリアされる。これにより、大当たり遊技中は普通図柄の高確率状態が設定されないため、大当たり遊技中において遊技者に過度な特典を付与してしまうことを抑制することができる。
【0436】
なお、本実施形態では、普通図柄の高確率状態が設定されると、時短カウンタ203jの値がセットされ、特別図柄抽選(変動)に基づいて、時短カウンタ203jの値が減算され、時短カウンタ203jの値が0となった場合に、時短状態が終了し、通常状態へと移行するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、次回の大当たり遊技が実行されるまでは、普通図柄の高確率状態が継続するように構成しても良い。この場合、時短カウンタ203jの値として、「10000」を設定するように構成すれば良い。
【0437】
また、本実施形態では、時短状態を終了させるための条件、時短カウンタ203jの値を減算させるための条件として、特別図柄抽選(変動)の回数に基づいて時短カウンタ203jの値を減算させる条件のみを設定しているが、これに限ること無く、例えば、主制御装置110の実行する各種処理の処理内容によって成立し得る終了条件が成立した場合に、時短カウンタ203jの値を減算するように構成してもよい。具体的には、普通図柄の高確率状態が設定されている状態で実行される各図柄抽選の抽選結果が所定の抽選結果(例えば、特殊外れ当選)となった場合、或いは、普通図柄抽選の結果が所定の抽選結果(例えば、特殊普図当たり当選)となった場合にも、時短カウンタ203jの値を減算させるように構成しても良いし、特電作動口643へと球が入賞した場合に、時短カウンタ203jの値を減算させるように構成しても良い。
【0438】
加えて、本実施形態では、時短カウンタ203jの値を1ずつ減算するように構成しているが、成立した終了条件の種別に応じて、時短カウンタ203jの値を複数まとめて(例えば、2)減算するように構成しても良いし、現状の時短カウンタ203jの値に関わらず、時短カウンタ203jの値が「0」になるように減算するように構成しても良い。このように構成することで、時短状態がいつまで継続するのかを遊技者に分かり難くすることができ、時短状態中の遊技に対して遊技者に興味を持たせることができる。
【0439】
さらに、時短状態が設定される条件の成立内容(大当たり種別)に応じて、時短状態を終了させる条件を異ならせても良い。これにより、遊技者に対して、大当たり遊技を実行させることだけでは無く、実行された大当たり遊技に対応する大当たり種別に対しても興味を持たせることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0440】
大当たりフラグ203iは、特図入球口64に球が入球したことに基づいて、取得した第1当たり乱数カウンタC1の値が、変動開始時に大当たりであると判定された場合に、オンに設定されるフラグである。また、大当たり遊技が終了するとオフに設定される。
【0441】
時短終了フラグ203hは、時短の終了条件が成立している状態であることを示すためのフラグであって、時短の終了条件が成立している場合にオンに設定されるものである。この時短終了フラグ203hは、主制御装置110のMPU201が実行する特別図柄変動開始処理(
図41のS205参照)において、時短カウンタ203hの値が1である、即ち、今回の特図変動が時短状態の最終変動であると判別した場合にオンに設定される(
図41のS311参照)。そして、特別図柄変動停止処理(
図45のS208参照)において参照され(
図45のS802参照)、オンであると判別した場合に、時短カウンタ203jの値を「0」にリセットし、時短状態を終了させるための処理を実行し(
図45のS803参照)、オフに設定される(
図45のS804参照)。
【0442】
また、時短終了フラグ203jがオンに設定されている状態で実行される特別図柄変動中(時短状態の最終変動中)において、V入賞口165に球が入賞しV大当たり遊技が実行された場合にも、オフに設定される(
図52のS1508参照)。
【0443】
つまり、本実施形態では、特別図柄の変動開始タイミングにて時短カウンタ203hの減算処理を実行し、特別図柄の変動停止タイミングにて時短終了を決定するための終了処理を実行するように構成している。そして、特別図柄の変動中に役物当たり遊技によって特別図柄変動が中断され、その役物当たり遊技を契機に大当たり遊技(V大当たり遊技)が実行された場合には、時短終了フラグ203hがオフに設定されるように構成している。
【0444】
よって、例えば、時短終了フラグ203hがオンに設定されている状態でV大当たり遊技が実行され、その大当たり遊技終了後に中断されていた特別図柄変動を再開したとしても、その再開された特別図柄変動の変動停止タイミングにて時短状態が終了してしまうことを抑制することができる。さらに、本実施形態のパチンコ機10では、特別図柄の変動開始時にて時短カウンタ203hの減算処理を実行しているため、特別図柄変動の再開時に時短終了フラグ203hの減算処理が実行されることが無い。よって、大当たり遊技の終了後に時短状態が設定される場合には、再開後の特別図柄変動が終了した次の特別図柄変動が開始された時点から時短カウンタ203jの値を減算する処理が実行される。
【0445】
このように構成することで、遊技者に対して設定された時短状態でより長く遊技を行わせることが可能となり、遊技者の遊技意欲を高めることができる。なお、本実施形態では、時短状態の最終変動のみ時短状態を更新させる処理を特別図柄の変動停止時としているが、これに限ること無く、例えば、時短カウンタ203jの値が所定値(例えば、2)である場合も時短状態を更新させる処理を特別図柄の変動停止時としても良い。
【0446】
役物当たりフラグ203kは、役物当たり遊技が実行されることを示すためのフラグであって、役物当たり遊技が実行される場合にオンに設定されるものである。この役物当たりフラグ203kは、普図当たり遊技中において普電入賞装置640に入賞した球が特電作動口643へと入賞し、且つその時点で、役物当たり遊技が実行されていない場合にオンに設定される(
図50のS1307参照)。そして、主制御装置110のMPU201により実行される各種処理において、役物当たり遊技中であるかを判別する際に参照され、役物当たり遊技が終了する場合にオフに設定される。なお、本実施形態では、役物当たりフラグ203kがオンに設定されている場合は、特別図柄変動が中断されるように構成している。
【0447】
特図仮停止フラグ203mは、特図の変動時間の更新(減算)を停止する期間を示すフラグであって、オンに設定されている場合に変動時間の更新(減算)を停止し、オンに設定された状態からオフに設定された場合に、停止されていた変動時間の更新(減算)が再開されるものである。
【0448】
この特図仮停止フラグ203mは、特別図柄変動が仮停止(中断)されていることを示すためのものであって、特別図柄変動が仮停止(中断)されている場合に、オンに設定されものである。なお、本実施形態では、特電作動口643に球を入賞させた場合に役物当たり遊技を実行可能に構成し、その役物当たり遊技が実行されると、実行中の特別図柄の変動が停止されるように構成している。
【0449】
特図変動時間カウンタ203nは、特別図柄の変動時間を計測するためのカウンタであって、特別図柄変動パターン選択処理(
図43のS6のS307参照)にて選択された変動パターンに対応する変動時間を示す値がセットされる(
図43のSS509参照)。そして、特別図柄変動実行中処理(
図44のS206参照)が実行される毎に値が更新(減算)される。特別図柄変動処理(
図40のS104参照)にて値が0であるかが判別される(
図40のS204参照)。ここで、特図変動時間カウンタ203aの値が0であると判別されると(
図40のS204:No)、変動中の特別図柄を停止させるための特別図柄変動停止処理(
図45のS287参照)が実行される。
【0450】
さらに、この特図変動時間カウンタ203nは、役物当たり遊技や大当たり遊技が実行された場合に、その値を減算するための処理が中断されるように構成されている。よって、役物当たり遊技中、或いは、大当たり遊技中に特図変動時間カウンタ203nの値が減算されることがない。
【0451】
Vフラグ203pは、役物当たり遊技中に球がV入賞口へと入賞したことを示すためのフラグであって、役物当たり遊技中に球がV入賞口へと入賞した場合にオンに設定されるものである。このVフラグ203pの設定状況は、役物当たり制御処理(
図58のS1805参照)において参照され(
図58のS2008参照)、オンに設定されている場合は大当たり遊技(V大当たり遊技)の開始が設定される(
図58のS2010参照)。その後、オフに設定される(
図58のS2011参照)。
【0452】
その他メモリエリア203zは、遊技に必要なその他のデータや、カウンタ、フラグ等が設定(記憶)される。
【0453】
図9に戻って説明を続ける。主制御装置110のMPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン204を介して入出力ポート205が接続されている。入出力ポート205には、払出制御装置111、音声ランプ制御装置113、第1図柄表示装置37、第2図柄表示装置83、第2図柄保留ランプ、特定入賞口650aの開閉板650bの下辺を軸として前方側に開閉駆動するための特定入賞口ソレノイド209aや、V入賞装置65の開閉扉65aを開閉駆動するためのV入賞口ソレノイド209bや、V入賞装置65内に設けられた貯留弁66aを駆動させるための貯留ソレノイド209cや、第1可動弁66bを駆動させるための第1可動弁ソレノイド209dや、普電入賞装置640内の第2可動弁643を駆動させるための第2可動弁ソレノイド209eや、電動役物640aを駆動するためのソレノイド(その他ソレノイド209z)などからなるソレノイド209が接続され、MPU201は、入出力ポート205を介してこれらに対し各種コマンドや制御信号を送信する。
【0454】
また、入出力ポート205には、図示しないスイッチ群やセンサ群(例えば、V入賞装置65内の貯留弁66aに形成される貯留部に貯留されている球を検知する貯留センサ65s等)などからなる各種スイッチ208や、電源装置115に設けられた後述のRAM消去スイッチ回路253が接続され、MPU201は各種スイッチ208から出力される信号や、RAM消去スイッチ回路253より出力されるRAM消去信号SG2に基づいて各種処理を実行する。
【0455】
払出制御装置111は、払出モータ216を駆動させて賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU211は、そのMPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、ワークメモリ等として使用されるRAM213とを有している。
【0456】
払出制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。なお、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(
図53参照)が即座に実行される。
【0457】
払出制御装置111のMPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や払出モータ216、発射制御装置112などがそれぞれ接続されている。また、図示はしないが、払出制御装置111には、払い出された賞球を検出するための賞球検出スイッチが接続されている。なお、該賞球検出スイッチは、払出制御装置111に接続されるが、主制御装置110には接続されていない。
【0458】
発射制御装置112は、主制御装置110により球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回転操作量に応じた球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット112aを制御するものである。球発射ユニット112aは、図示しない発射ソレノイドおよび電磁石を備えており、その発射ソレノイドおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、球の発射を停止させるための打ち止めスイッチ51bがオフ(操作されていないこと)を条件に、操作ハンドル51の回動量に対応して発射ソレノイドが励磁され、操作ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
【0459】
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29〜33、表示ランプ34など)227における点灯および消灯の出力、変動演出(変動表示)や予告演出といった表示制御装置114で行われる第3図柄表示装置81の表示態様の設定などを制御するものである。演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを有している。
【0460】
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、音声出力装置226、ランプ表示装置227、枠ボタン22などがそれぞれ接続されている。
【0461】
音声ランプ制御装置113は、枠ボタン22からの入力を監視し、遊技者によって枠ボタン22が操作された場合は、第3図柄表示装置81で表示されるステージを変更したり、スーパーリーチ時の演出内容を変更したりするように、音声出力装置226、ランプ表示装置227を制御し、また、表示制御装置114へ指示する。ステージが変更される場合は、変更後のステージに応じた背面画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、変更後のステージに関する情報を含めた背面画像変更コマンドを表示制御装置114へ送信する。ここで、背面画像とは、第3図柄表示装置81に表示させる主要な画像である第3図柄の背面側に表示される画像のことである。
【0462】
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110からのコマンドや、音声ランプ制御装置113に接続された各種装置等の状況に応じてエラーを判定し、そのエラーの種別を含めてエラーコマンドを表示制御装置114へ送信する。表示制御装置114では、受信したエラーコマンドによって示されるエラー種別(例えば、振動エラー)に応じたエラーメッセージ画像を第3図柄表示装置81に遅滞無く表示させる制御が行われる。
【0463】
音声ランプ制御装置113のROM222には、
図30(a)に示すように、変動パターン選択テーブル222aと、動作シナリオテーブル222bと、が少なくとも記憶されている。
【0464】
変動パターン選択テーブル222aは、図示しない変動パターン選択用のカウンタ値に各変動パターンの種別(ど外れ、リーチ外れ、リーチ各種等)の変動パターンがそれぞれ設定されている。音声ランプ制御装置113は、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドが示す変動パターン種別、当否判定結果、取得した選択用のカウンタ値に基づいて、詳細な変動パターンを選択する。これにより、変動時間や変動パターンの種別等の大まかな情報は厳守しつつ、音声ランプ制御装置113が多種多様の変動態様を選択することができる。よって、同じ変動表示態様等が頻繁に表示されることが防止でき、遊技者が早期に飽きてしまう不具合を抑制できる。
【0465】
なお、本実施形態では、遊技状態が通常状態である場合には、実行される特別図柄変動に対応させて第3図柄表示装置81にて第3図柄が変動表示される変動演出が実行される。この変動演出では、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドが示す変動パターン種別、当否判定結果、取得した選択用のカウンタ値に基づいて、詳細な変動パターンが決定されるため、遊技者は、第3図柄表示装置81にて実行される変動演出を視認することで今回の特別図柄変動が大当たり当選しているか否かを予測しながら遊技(特図遊技)を行うことができる。
【0466】
一方、時短状態が設定されている場合は、特別図柄抽選の結果を示すための変動演出が第3図柄表示装置81にて実行されず、普通図柄の抽選を契機にV当たり遊技を目指す特電遊技の遊技内容を案内するための演出(Vラッシュ演出)が実行されるように構成している。よって、変動パターン選択テーブル222aには、遊技状態が通常状態である場合に参照される変動パターンとして様々な変動パターンが規定されており、時短状態である場合に参照される変動パターンが規定されていない。なお、時短状態中において第3図柄表示装置81の表示面にて特別図柄変動に対応させて第3図柄を小さく表示する場合には、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドが示す変動パターン種別(変動時間)に対応させた変動表示態様のみを規定するように構成すれば良い。
【0467】
動作シナリオテーブル222bは、主制御装置110側で実行されている各種装置に対する動作制御の状況を音声ランプ制御装置113側で把握するためのデータテーブルであって、主制御装置110のROM202が有する各種動作シナリオテーブル202eと同一のデータテーブルから形成されるものである。この動作シナリオテーブル222bは、主制御装置110側から動作制御の開始を示すコマンド(例えば、当たり遊技の開始を示すコマンド)を受信した場合に、受信したコマンドに対応する動作シナリオを設定する際に参照される。ここで設定された動作シナリオは、主制御装置110側の更新動作と同期するように更新制御される。
【0468】
このように構成することで、動作制御の開始を示すコマンドのみを主制御装置110側から出力するだけで、音声ランプ制御装置113側で各種装置の動作状況や今後の動作展開を容易に把握することが可能となる。なお、本実施形態では、主制御装置110側の処理負荷を軽減させることを目的として、音声ランプ制御装置113側に動作シナリオテーブル222bを設けているが、これに限ること無く、主制御装置110の各種動作シナリオテーブル202eが有する各種動作シナリオの進捗状況をコマンド設定し、音声ランプ制御装置113側へと出力するように構成しても良い。
【0469】
次に、
図30(b)を参照して、音声ランプ制御装置113のMPU221のRAM223について説明する。
図30(b)に示すように、音声ランプ制御装置113のRAM223には、コマンド記憶領域223a、入賞情報格納エリア223b、特別図柄保留球数カウンタ223c、特図変動開始フラグ223d、停止種別選択フラグ223e、演出カウンタ223f、従状態設定エリア223g、先読みカウンタ223h、時短期間カウンタ223i、未報知期間格納エリア223j、未報知保留数格納エリア223k、中断フラグ223m、特殊当たりフラグ223n、延長フラグ223p、Vラッシュフラグ223q、変動時間カウンタ223r、報知済保留数格納エリア223s、その他メモリエリア223zが少なくとも設けられている。
【0470】
コマンド記憶領域223aは、主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ出力された各種コマンドがそのコマンドに対する処理が実行されるまで一時的に記憶され領域である。詳細には、リングバッファで構成され、FIFO(First In First Out)方式によってデータの読み書きが行われる。音声ランプ処理装置113のコマンド判定処理(
図61参照)が実行されると、コマンド記憶領域223aに記憶された未処理のコマンドのうち、最初に格納されたコマンドが読み出され、コマンド判定処理によって、そのコマンドが解析されて、そのコマンドに応じた処理が行われる。
【0471】
入賞情報格納エリア223bは、1つの実行エリアと、4つのエリア(第1エリア〜第4エリア)とを特別図柄に対して有しており、これらの各エリアには、入賞情報がそれぞれ格納される。この入賞情報格納エリア223aに格納される情報により、保留球の抽選結果等が変動開始前に音声ランプ制御装置113により判別できる。
【0472】
特別図柄保留球数カウンタ223cは、主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203cと同様に、第1図柄表示装置37(および第3図柄表示装置81)で行われる変動演出(変動表示)であって、主制御装置110において保留されている変動演出の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。即ち、特別図柄に対応する保留球の数が、主制御装置110より出力される保留球数コマンドに基づいて設定される。
【0473】
上述したように、音声ランプ制御装置113は、主制御装置110に直接アクセスして、主制御装置110のRAM203に格納されている特別図柄保留球数カウンタ203cの値を取得することができない。よって、音声ランプ制御装置113では、主制御装置110から送信される保留球数コマンドに基づいて保留球数をカウントし、特別図柄保留球数カウンタ223cにて、その保留球数を管理するようになっている。
【0474】
具体的には、主制御装置110では、特図入球口64への入球によって変動表示の保留球数が加算された場合、又は、主制御装置110において特別図柄における変動表示が実行されて保留球数が減算された場合に、加算後または減算後の特別図柄保留球数カウンタ203cの値を示す保留球数コマンドを、音声ランプ制御装置113へ送信する。
【0475】
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110より送信される保留球数コマンドを受信すると、その保留球数コマンドから、主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203cの値を取得して、特別図柄保留球数カウンタ223cに格納する。このように、音声ランプ制御装置113では、主制御装置110より送信される保留球数コマンドに従って、特別図柄保留球数カウンタ223cの値を更新するので、主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203cと同期させながら、その値を更新することができる。
【0476】
特別図柄保留球数カウンタ223cの値は、保留球数図柄の表示に用いられる。即ち、音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドの受信に応じて、そのコマンドにより示される保留球数を特別図柄保留球数カウンタ223cに格納すると共に、格納後の特別図柄保留球数カウンタ223cの値を表示制御装置114に通知するべく、表示用保留球数コマンドを表示制御装置114に対して送信する。
【0477】
表示制御装置114では、この表示用保留球数コマンドを受信すると、そのコマンドにより示される保留球数の値、即ち、音声ランプ制御装置113の特別図柄保留球数カウンタ223cの値分の保留球数を第3図柄表示装置81の副表示領域Ds1(
図11(b)参照)に表示するように、画像の描画を制御する。上述したように、第1特別図柄保留球数カウンタ223cは、主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203cと同期しながら、その値が変更される。従って、第3図柄表示装置81に表示される保留球数図柄の数も、主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203cの値に同期させながら、変化させることができる。よって、第3図柄表示装置81には、変動表示が保留されている保留球の数を正確に表示させることができる。
【0478】
特図変動開始フラグ223dは、電源投入時に初期値としてオフに設定され、主制御装置110から出力された特別図柄の変動パターンを通知する特図変動パターンコマンドを受信した場合にオンに設定される。一方、第3図柄表示装置81における変動表示の設定がなされるときにオフされる。
【0479】
特図停止種別選択フラグ223eは、主制御装置110から出力される特別図柄の変動停止種別を通知する停止種別コマンドを受信した場合にオンに設定される。一方、第3図柄表示装置81における変動表示の設定がなされるときにオフされる。
【0480】
演出カウンタ223fは、変動パターンの選択や、各種演出の選択等に使用されるカウンタであって、0から98の範囲で繰り返し更新される。なお、メイン処理が実行される毎に1ずつ加算されて更新される。
【0481】
従状態設定エリア223gは、主制御装置110から出力される状態コマンドに対応したデータが設定される。従状態設定エリア223gに設定されるデータにより、現在の遊技状態を音声ランプ制御装置113でも判別することができる。なお、状態設定コマンドは、電源投入時にも主制御装置110より出力されて、バックアップされた遊技状態が音声ランプ制御装置113により判別可能に構成されている。
【0482】
先読みカウンタ223hは、時短状態として設定される時短回数のうち、変動時間が先読みされている特図保留数を計測するためのカウンタであって、時短状態が設定される場合に設定される時短回数に対応する値がセットされ、変動時間の先読みを実行した特図保留数に応じて減算されるものである。そして、後述する時短期間カウンタ223iの値が0となった場合において参照され、先読みカウンタ223hの値が0では無い場合は、時短状態中にも関わらず、特別図柄変動が実行されている状態となり、専用の演出(
図19(a)参照)を表示するための処理が実行される。
【0483】
時短期間カウンタ223iは、時短状態が終了するまでの特別図柄変動の時間(特図変動時間)を示すカウンタであって、時短状態の終了条件が成立する特別図柄変動が終了するまでの複数個の特図変動時間を累積した値が設定されるものである。この時短期間カウンタ223iの値は、音声ランプ制御処理113のメイン処理(
図60参照)にて1ミリ秒毎に実行される演出更新処理(
図72のS4111)において、参照、減算される(
図72のS5303,S5304参照)。
【0484】
時短期間カウンタ223iの示す値は、時短状態中に実行されるVラッシュ演出にてVラッシュの残期間を示すためタイマ812の表示態様を設定する際に用いられる(
図12(c)参照))。本実施形態では、
図2に示した通り、通常状態中、大当たり遊技中、時短状態中と同一の遊技方法(左打ち遊技)で遊技が行われるように構成しており、大当たり遊技終了後に設定される時短状態が開始されるタイミングでは特別図柄保留球数カウンタ223cの値が上限(4)に到達し易くなるように構成している。
【0485】
よって、時短回数4回が設定される大当たり遊技のエンディング画面(
図12(a)参照)では、その時点で獲得している特別図柄保留情報(入賞情報格納エリア223bに格納されている特別図柄の入賞情報)に基づいて、時短状態が終了するまでの変動時間(特図変動4回分の変動時間の累計値)が表示される。
【0486】
なお、時短回数が特別図柄保留球数カウンタ223cの上限値(4)よりも多い値であったり、時短回数4回が設定された場合であっても、大当たり遊技終了時の特別図柄保留数(特図保留数)が4個に到達していない場合は、その時点で獲得されている特別図柄保留情報に応じて時短期間カウンタ223iの値を設定すると共に、先読みカウンタ223hの値から、時短期間カウンタ223iに加算された特別図柄保留の数が減算される。そして、新たな特別図柄保留情報を獲得した場合に、獲得した特別図柄保留情報に基づいて特別図柄変動時間が時短期間カウンタ223iに加算され、先読みカウンタ223hの値が減算される。
【0487】
未報知期間格納エリア223jは、時短期間カウンタ223iに変動時間を加算可能な状態、即ち、先読みカウンタ223hの値が1以上である場合において、入賞コマンドを受信したにも関わらず、その入賞コマンドに含まれる特別図柄保留情報に応じた特図変動時間の値を時短期間カウンタ223iに加算できない場合(例えば、大当たり遊技中、役物当たり遊技中)において、受信した入賞コマンドに含まれる特別図柄保留情報に応じた特図変動時間を一時的に格納するエリアである。
【0488】
この未報知期間格納エリア223jに格納された値(特図変動時間)は、時短期間を加算可能な状態となった場合に読み出され、時短期間カウンタ223iに加算する際に参照される。このように構成することで、時短期間を加算可能な状態か否かに関わらず、入賞コマンドを受信した際に、その入賞コマンドに含まれる特図変動時間を読み出す処理を実行するだけで良く、音声ランプ制御装置113の処理負荷を軽減することができる。
【0489】
未報知保留数格納エリア223kは、上述した未報知期間格納エリア223jに特図変動時間が格納された入賞コマンドの数、即ち、特別図柄保留球の数を一時的に格納するための記憶エリアであって、時短期間を加算可能な状態となった場合に読み出され、読み出した値に対応させて先読みカウンタ223hの値が減算される。
【0490】
中断フラグ223mは、時短期間カウンタ223hの値が減算されない状態であることを示すためのフラグであって、時短期間カウンタ223hの値が減算されない状態、即ち、役物当たり遊技、大当たり遊技が実行される場合にオンに設定されるものである。
【0491】
特殊当たりフラグ223nは、保留記憶されている特別図柄内に特殊当たり(「大当たりB」)を示す入賞情報が含まれている場合にオンに設定されるフラグである。この特殊当たりフラグ223nは、大当たり終了処理(
図69のS4914参照)において、保留記憶内に特殊当たりを示す入賞情報が含まれていると判別した場合にオンに設定される(
図69のS5013参照)。
【0492】
本実施形態では、大当たり遊技終了時点で獲得している特図保留内に特殊当たりが存在する場合には、その特殊当たりに対応する特別図柄変動が終了するまでの期間のみがVラッシュ中の時短期間として表示されるように構成し、さらに、特図保留内に特殊当たりが存在していることを遊技者に報知するための演出(天国モード)が実行されるように構成している(
図17(a)参照)。
【0493】
このように構成することで、遊技者に対して、所定期間経過後(第3図柄表示装置81の表示面に表示される時短期間の経過後)に、大当たり遊技(特図抽選で当選した大当たり遊技)が実行されることを事前に報知することができるため、遊技者に安心して遊技を行わせることができる。さらに、本実施形態では、天国モードが設定された場合には、特殊当たりに対応する特別図柄変動の変動時間が終了するまでの期間が時短期間として報知されるように構成しているため、大当たり遊技(特殊当たり)時点における時短期間の残期間を0秒にすることができる。よって、何秒後に大当たり遊技が実行されるのかを遊技者に分かり易く報知することができるため、天国モードの時短期間中(特殊当たりの大当たり遊技が実行されるまでの期間中)に、V大当たり遊技を何回実行させることができるかを楽しませながら遊技を行わせることができる。
【0494】
さらに、天国モードが設定された場合には、特殊当たりに対応する特別図柄変動の変動時間が終了するまでの期間が時短期間として報知されるように構成しているため、特殊当たりに対応する特図保留よりも後に獲得した特図保留に対応する特図変動時間を遊技者が事前に判別できないようにすることができる。これにより、例えば、時短期間が残り10秒の段階で特殊当たりに対応した大当たり遊技が実行された場合に、次に実行される特別図柄変動の変動時間が10秒であることが事前に遊技者に把握されてしまい、遊技意欲が低下してしまうことを抑制することができる。
【0495】
延長フラグ223pは、時短状態の終了条件が成立したタイミングで普図当たり遊技が実行されていることを示すためのフラグであって、時短状態の終了条件が成立したタイミングで普図当たり遊技が実行されている場合に、オンに設定される。本実施形態では、普図当たり遊技の動作シナリオとして、通常状態中の普図当たり遊技に対応する通常用普図当たりシナリオ202e31と、時短状態中の普図当たり遊技に対応する時短用普図当たりシナリオ202e32と、を有しており、普図当たり遊技の実行タイミングにおいて設定されている遊技状態に基づいて普図当たり遊技の遊技内容を可変設定するように構成している。
【0496】
よって、例えば、時短状態の終了間際に普図当たり遊技が実行された場合には、遊技状態が通常状態へと移行した後も、時短状態中の普図当たり遊技が実行される場合がある。そのような状態が発生した場合には、時短状態中の遊技モードを示すVラッシュ演出の終了タイミングを普図当たり遊技の終了タイミングまで延長させた演出を実行するように構成している(
図16(c)参照)。これにより、遊技者に対してV入賞を狙うべき期間(Vラッシュ期間)を分かり易く報知することができる。
【0497】
Vラッシュフラグ223qは、Vラッシュ期間であることを示すためのフラグであって、通常状態中の特別図柄抽選(特図抽選)にて大当たり当選した場合にオンに設定され、時短状態の終了条件が成立した場合にオフに設定されるものである。このVラッシュフラグ223qは、時短期間中(Vラッシュ中)に大当たり遊技が実行される場合も継続してオンが設定されるように構成している。これにより、Vラッシュ期間における各種累積情報(V大当たり遊技獲得数や、Vラッシュ期間中の獲得球数を示すための情報)の算出対象となる期間を容易に設定することができる。
【0498】
変動時間カウンタ223rは、特別図柄の変動時間を計測するためのカウンタであって、特別図柄の変動パターンコマンドを受信した場合に、受信した変動パターンコマンドに対応する変動時間が設定され、音声ランプ制御処理113のメイン処理(
図60参照)にて1ミリ秒毎に実行される演出更新処理(
図72のS4111)において、参照、減算される(
図72のS5303,S5304参照)。この変動時間カウンタ223hの値は、特別図柄変動が中断し得るタイミングにおける実行中の特別図柄変動の残期間を判別する際に参照され、その残期間に応じて異なる演出態様を設定するために用いられる。
【0499】
報知済保留数格納エリア223sは、既に時短期間カウンタ223iの値に加算した変動時間に対応する特図保留数を格納するためのエリアであって、未報知保留数格納エリア223kの値が更新された際に、更新された値が格納されると共に、特別図柄変動が終了した場合に値が減算されるものである。そして、新たな時短回数が設定される大当たり遊技の終了時において、先読みカウンタ223hに設定される値から報知済保留数格納エリア223sに格納される値を減算することで、新たな時短状態が設定された場合において、既に、時短状態の残期間として報知されている特別図柄保留球数を減算し、時短期間を新たに加算表示可能な特別図柄保留球数を先読みカウンタ223hの値に対応させるために用いられる。
【0500】
その他メモリエリア223zは上述したデータ以外のデータを格納する領域として設けられており、音声ランプ制御装置113のMPU221が使用するその他カウンタ値などを一時的に記憶しておくための領域である。
【0501】
なお、本実施形態では、通常状態中において獲得している特図保留に対応した変動時間を遊技者に示唆する演出が実行されないように構成しているが、これに限ること無く、通常状態における特図保留内容に応じて演出態様を可変させるように構成しても良い。
【0502】
例えば、特別図柄の停止種別(大当たりを示す第3図柄の組合せ)を、獲得している特図保留に対応した変動時間に基づいて可変設定しても良く、特図保留の変動時間の合計が100秒を越えている状態で大当たり当選した場合に、奇数の数字がぞろ目で停止表示される第3図柄の組合せを表示するように構成しても良い。
【0503】
また、通常状態中に第3図柄表示装置81の表示面に表示される保留図柄の表示態様を、特図抽選による大当たり当選の有無に加え、変動時間の長短に基づいて可変設定するように構成しても良い。
【0504】
なお、本実施形態では、Vラッシュに突入した場合に、獲得済の特図保留に基づく変動時間を全て報知するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、獲得済の特図保留に基づく変動時間の一部のみを遊技者に報知するように構成しても良いし、遊技者が操作手段を操作することにより、Vラッシュの継続期間(時短状態が終了するまでの期間)を示すための特別図柄の変動時間が報知されない遊技性を選択可能に構成しても良い。
【0505】
また、本実施形態では、時短終了条件が成立するまでに実行される複数回の特図変動に対応する変動時間を合算して報知するように構成しているが、これに限ること無く、個々の特図保留に対応する変動時間を通技者が識別可能となるように構成しても良い。この場合、例えば、時短終了条件が成立するまでに実行される特図変動に対応する特図保留の表示態様を、キャラクタを模した表示態様で表示し、その表示されるキャラクタの種別に応じて当該特図保留に対応する特図変動の変動時間の長さを遊技者が大まかに把握できるように構成しても良い。
【0506】
本実施形態では、大当たり遊技が実行された後に必ず遊技者に有利な遊技状態である時短状態が設定されるように構成しているため、大当たり遊技が実行されるとVラッシュフラグを設定するための処理を実行するように構成しているが、例えば、大当たり遊技終了後に時短状態と、通常状態とが特定の割合で設定されるように構成している場合には、大当たり遊技が実行されたとしても、その大当たり遊技の終了後に時短状態が設定されない虞がある。この場合は、大当たり遊技終了後(大当たり遊技のエンディング期間中)に、大当たり遊技終了後に時短状態が設定されるか否かを設定されている大当たり種別に基づいて判別し、時短状態が設定されると判別した場合に、その時点で獲得している特図保留後に可変させることができる。
【0507】
次に、本実施形態のパチンコ機10における普通図柄抽選を契機に実行される遊技内容について、
図31及び
図32を参照して説明をする。
図31は、通常状態において、普図当たり遊技が実行された場合の遊技の流れを示したタイミングチャートであって、
図32は、時短状態において、普図当たり遊技が実行された場合の遊技の流れを示したタイミングチャートである。
【0508】
ここで、
図31を参照して、通常状態において、普図当たり遊技が実行された場合の遊技の流れについて説明をする。本実施形態では、普通図柄の抽選で当たり当選したことを契機に、普図当たり遊技、役物当たり遊技、大当たり遊技(V大当たり遊技)の順で進行し得る遊技(特電遊技)を実行可能に構成している。つまり、特別図柄の抽選を行うこと無く、大当たり遊技を実行させることができるように構成している。
【0509】
まず、通常状態において、普通図柄抽選で当たり当選した場合は、通常用普図当たりシナリオ202e31(
図27(c)参照)に基づいた普図当たり遊技が実行され、普電入賞装置640が開放制御される。通常状態中に実行される普図当たり遊技では、
図27(c)に示した通り、普図当たり遊技が開始されてから電動役物640aが開放状態となるまでに4秒(t1)を要し、その後0.1秒(t2)の開放状態を経て、1秒(t3)の閉鎖状態を経て、普図当たり遊技が終了する。そして、普図当たり遊技の開始タイミングから4秒(t4)の間、第2可動弁643を球が特電作動口643へと入賞可能な状態となるように第2可動弁ソレノイド209eがオンに設定され、その後、球がアウト口644へと誘導される状態となるように第2可動弁ソレノイド209eがオフに設定される。
【0510】
よって、通常状態中に実行される普図当たり遊技では、球が普電入賞装置640内へ入賞し難く、且つ、入賞した場合であっても、その入賞球がアウト口644へと誘導されることになる。これにより、通常状態中に特電作動口643へと球が入賞し、役物当たり遊技が実行されることを確実に抑制することができる。このように構成することで、特別図柄の抽選により大当たり遊技の実行を狙う特図遊技が実行される通常状態中と、普通図柄の抽選により大当たり遊技の実行を狙う特電遊技が実行される時短状態中と、で同一の遊技方法を実行させるように構成したとしても、通常状態中に特電遊技によって大当たり遊技が実行されることを抑制し、遊技者に過剰に大当たり遊技を提供してしまうことを抑制することができる。
【0511】
また、本実施形態では、時短状態中において特別図柄抽選が所定回数(4回、又は15回)実行されることで時短状態が終了するように構成しているため、時短状態中に特別図柄抽選が実行されない事態を防止する必要がある。これに対して、本実施形態では、通常状態、大当たり遊技状態、時短状態と、同一の遊技方法を実行させるように構成しているため、時短状態中に普通図柄の抽選のみを実行させる遊技が行われることを抑制することができる。
【0512】
なお、本実施形態では、通常状態中に特電遊技が実行されることを禁止するように普図当たり遊技の動作内容を設定しているが、これに限ること無く、例えば、通常状態中に実行される普図当たり遊技の一部にて、時短状態中に実行される普図当たり遊技と同一の動作シナリオが選択されるように構成しても良い。これにより、遊技者に対して意外性のある遊技を行わせることができる。
【0513】
図31に戻り説明を続ける。上述した通り、通常状態中に普図当たり遊技が実行された場合は、普電入賞装置640に入賞した球が特電作動口643へと入賞することが無いため、特電作動口643への球の入賞を契機に実行される役物当たり遊技が実行されることが無く、V入賞装置65が開放動作される役物当たり遊技、及び、可変入賞装置650が開放動作される大当たり遊技が実行されず、普図当たり遊技が終了したことに基づいて新たな普通図柄変動(普図変動)が実行される。なお、第1可動弁66b(
図31(h))は、パチンコ機10に電源が投入されている期間、常時駆動する動作シナリオが設定されるため、役物当たり遊技の実行の有無に関わらず、第1可動弁動作シナリオ202e4(
図27(a)参照)に基づいた動作パターンで駆動されている。
【0514】
次に、
図32を参照して、時短状態において、普図当たり遊技が実行された場合の遊技の流れのうち、大当たり遊技(V大当たり遊技)が実行される場合における遊技の流れについて説明をする。
【0515】
まず、時短状態において、普通図柄抽選で当たり当選した場合は、時短用普図当たりシナリオ202e32(
図28参照)に基づいた普図当たり遊技が実行され、普電入賞装置640が開放制御される。時短状態中に実行される普図当たり遊技では、
図28に示した通り、普図当たり遊技が開始されてから電動役物640aが開放状態となるまで0.1秒(t1)を要し、その後3秒(t2)の開放状態を経て、1秒(t3)の閉鎖状態を経て、普図当たり遊技が終了する。そして、普図当たり遊技の開始タイミングから4秒(t4)の間、第2可動弁643を球が特電作動口643へと入賞可能な状態となるように第2可動弁ソレノイド209eがオンに設定され、その後、球がアウト口644へと誘導される状態となるように第2可動弁ソレノイド209eがオフに設定される。
【0516】
よって、時短状態中に実行される普図当たり遊技では、球が普電入賞装置640内へ入賞し易く(通常状態中の普図当たり遊技よりも入賞し易く)、且つ、入賞球が特電作動口643へと入賞し易く(通常状態中の普図当たり遊技よりも入賞し易く)なるように構成している。これにより、時短状態中に実行される普図当たり遊技にて、特電作動口643へと球を入賞させ易くし役物当たり遊技を実行され易くすることができる。
【0517】
特電作動口643へと入賞した球、図示しない特電作動口入賞スイッチ(
図32(e))により球の通過(入賞)が検知され、その検知結果を契機にV入賞装置65を開放動作させる役物当たり遊技が実行される。役物当たり遊技が開始されると、0.1秒(t5)の待機期間を経過した後に、V開閉扉65aを開放させるためにV入賞口ソレノイド209bが1.5秒(t6)オンに設定され、その後、1.4秒(t7)の間V入賞口ソレノイド209bをオフに設定する役物当たり遊技が実行される。また、役物当たり遊技の開始を契機に、1.6秒(t8)の間、貯留弁66aを貯留状態に位置させるために貯留ソレノイド209cがオンに設定される。つまり、役物当たり遊技によって球がV入賞装置65へと入賞可能となる期間においては、貯留弁66aが貯留状態(
図7参照)に維持されるため、1回の役物当たり遊技中に、V入賞口165に複数の球が到達し得ないようにすることができる。
【0518】
そして、期間t8の経過後に貯留ソレノイド209cがオフに設定されると、貯留弁66aの貯留部に貯留されていた1個の球が第1可動弁66bに向けて流下する。第1可動弁66bは5秒(t10)の閉鎖状態と、0.5秒(t9)の開放状態と、に交互に切り替わるように第1可動弁動作シナリオ202e4に基づいて駆動されており、貯留弁66aにて貯留されていた球が第1可動弁66aに到達した場合に、第1可動弁66bが閉鎖状態であれば球が第2アウト口163bに向けて流下し、第1可動弁66bが開放状態であれば球がV入賞口165に向けて流下する。V入賞口165に球が入賞すると、図示しないV入賞スイッチ(
図32(i))により、球の通過が検知され、その検知結果に基づいて、大当たり遊技(V大当たり遊技)が開始される。
【0519】
以上、説明をした通り、本実施形態では、時短状態中に普図当たり遊技が実行される場合には、普電入賞装置640に球を入賞させ易く(通常状態中の普図当たり遊技よりも入賞させ易く)、且つ、入賞した球が特電作動口643へと入賞し易い普図当たり遊技を実行し、通常状態中に普図当たり遊技が実行される場合には、普電入賞装置640に球を入賞させ難く(時短状態中の普図当たり遊技よりも入賞させ難く)、且つ、球が普電入賞装置640に入賞した場合であっても、その入賞した球が特電作動口643へと入賞し難い普図当たり遊技を実行するように構成している。
【0520】
このように構成することで、時短状態中に特別図柄変動を継続的に実行させるために、特別図柄の抽選契機となる特別入球口64を狙う遊技方法と、普通図柄の抽選契機となるスルーゲート67を狙う遊技方法と、を同一にした場合であっても、遊技状態に応じて役物当たり遊技が実行される確率を大きく異ならせることができる。また、通常状態中の普図当たり遊技において、不正に球を普電入賞装置640へと入賞させる行為(例えば、電動役物640aの近傍に球を磁石で止めておき、開放タイミングに合わせて球を入賞させる行為)が実行されたとしても、その入賞球が特電作動口643に入賞することを防止することができるため、遊技者に公平な遊技を提供することができる。
【0521】
また、本実施形態では、特別図柄の抽選契機、或いは、普通図柄の抽選契機を成立させるための遊技だけでは無く、普図当たり遊技、役物当たり遊技、大当たり遊技の何れも左打ち遊技で実行させることができるため、遊技者に対して遊技方法を変更させる煩わしさを感じさせること無く円滑に遊技を行うことができる。
【0522】
表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113及び第3図柄表示装置81が接続され、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81における第3図柄の変動表示(変動演出)や予告演出を制御するものである。この表示制御装置114の詳細については、詳細について後述する。
【0523】
電源装置115は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252と、RAM消去スイッチ122(
図10参照)が設けられたRAM消去スイッチ回路253とを有している。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110〜114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する装置である。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチ208などの各種スイッチや、ソレノイド209などのソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を各制御装置110〜114等に対して必要な電圧を供給する。
【0524】
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201及び払出制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断、電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110及び払出制御装置111へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110及び払出制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110及び払出制御装置111は、NMI割込処理(
図53参照)を正常に実行し完了することができる。
【0525】
RAM消去スイッチ回路253は、RAM消去スイッチ122(
図10参照)が押下された場合に、主制御装置110へ、バックアップデータをクリアさせるためのRAM消去信号SG2を出力するための回路である。主制御装置110は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、バックアップデータをクリアすると共に、払出制御装置111においてバックアップデータをクリアさせるための払出初期化コマンドを払出制御装置111に対して送信する。
【0526】
<第1実施形態における表示制御装置の電気的構成について>
次に、
図33〜
図38を参照して、本第1制御例における表示制御装置114の電気的構成について説明する。
図33は、表示制御装置114の電気的構成を示すブロック図である。表示制御装置114は、MPU231と、ワークRAM233と、キャラクタROM234と、常駐用ビデオRAM235と、通常用ビデオRAM236と、画像コントローラ237と、入力ポート238と、出力ポート239と、バスライン240,241とを有している。
【0527】
入力ポート238の入力側には音声ランプ制御装置113の出力側が接続され、入力ポート238の出力側には、MPU231、ワークRAM233、キャラクタROM234、画像コントローラ237がバスライン240を介して接続されている。画像コントローラ237には、常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236が接続されると共に、バスライン241を介して出力ポート239が接続されている。また、出力ポート239の出力側には、第3図柄表示装置81が接続されている。
【0528】
なお、パチンコ機10は、特別図柄の大当たりとなる抽選確率や、1回の特別図柄の大当たりで払い出される賞球数が異なる別機種であっても、第3図柄表示装置81で表示される図柄構成が全く同じ仕様の機種があるので、表示制御装置114は共通部品化されコスト低減が図られている。
【0529】
以下では、先にMPU231、キャラクタROM234、画像コントローラ237、常駐用ビデオRAM235、通常用ビデオRAM236について説明し、次いで、ワークRAM233について説明する。
【0530】
まず、MPU231は、主制御装置110の変動パターンコマンドに基づく音声ランプ制御装置113から出力された表示用変動パターンコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81の表示内容を制御するものである。MPU231は、命令ポインタ231aを内蔵しており、命令ポインタ231aで示されるアドレスに格納された命令コードを読み出してフェッチし、その命令コードに従って各種処理を実行する。MPU231には、電源投入(停電からの復電を含む。以下、同じ。)直後に、電源装置115からシステムリセットがかけられるようになっており、そのシステムリセットが解除されると、命令ポインタ231aは、MPU231のハードウェアによって自動的に「0000H」に設定される。そして、命令コードがフェッチされる度に、命令ポインタ231aは、その値が1ずつ加算される。また、MPU231が命令ポインタの設定命令を実行した場合は、その設定命令により指示されたポインタの値が命令ポインタ231aにセットされる。
【0531】
なお、詳細については後述するが、本実施形態において、MPU231によって実行される制御プログラムや、その制御プログラムで使用される各種の固定値データは、従来の遊技機のように専用のプログラムROMを設けて記憶させるのではなく、第3図柄表示装置81に表示させる画像のデータを記憶させるために設けられたキャラクタROM234に記憶させている。
【0532】
詳細については後述するが、キャラクタROM234は、小面積で大容量化を図ることが可能なNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されている。これにより、画像データだけでなく制御プログラム等を十分に記憶させておくことができる。そして、キャラクタROM234に制御プログラム等を記憶させておけば、制御プログラム等を記憶する専用のプログラムROMを設ける必要がない。よって、表示制御装置114における部品点数を削減することができ、製造コストを削減できるほか、部品数増加による故障発生率の増加を抑制することができる。
【0533】
一方で、一般的にNAND型フラッシュメモリは、特にランダムアクセスを行う場合において読み出し速度が遅くなるという問題点がある。例えば、複数のページに連続して並んだデータの読み出しを行う場合において、2ページ目以降のデータは高速読み出しが可能であるが、最初の1ページ目のデータの読み出しには、アドレスが指定されてからデータが出力されるまでに大きな時間を要する。また、連続していないデータを読み出す場合は、そのデータを読み出す度に大きな時間を要する。このように、NAND型フラッシュメモリは、その読み出しに係る速度が遅いため、MPU231が直接キャラクタROM234から制御プログラムを読み出して各種処理を実行するように構成すると、制御プログラムを構成する命令の読み出しに時間がかかる場合が発生し、MPU231として高性能のプロセッサを用いても、表示制御装置114の処理性能を悪化させてしまうおそれがある。
【0534】
そこで、本実施形態では、MPU231のシステムリセットが解除されると、まず、キャラクタROM234のNAND型フラッシュメモリ234aに記憶されている制御プログラムを、各種データの一時記憶用に設けたワークRAM233に転送して格納する。そして、MPU231はワークRAM233に格納された制御プログラムに従って、各種処理を実行する。ワークRAM233は、後述するようにDRAM(Dynamic RAM)によって構成され、高速でデータの読み書きが行われるので、MPU231は遅滞なく制御プログラムを構成する命令の読み出しを行うことができる。よって、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
【0535】
キャラクタROM234は、MPU231において実行される制御プログラムや、第3図柄表示装置81に表示される画像のデータを記憶したメモリであり、MPU231とバスライン240を介して接続されている。MPU231は、バスライン240を介してシステムリセット解除後にキャラクタROM234に直接アクセスし、そのキャラクタROM234の後述する第2プログラム記憶エリア234a1に記憶された制御プログラムを、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aへ転送する。また、バスライン240には画像コントローラ237も接続されており、画像コントローラ237はキャラクタROM234の後述するキャラクタ記憶エリア234a2に格納された画像データを、画像コントローラ237に接続されている常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236へ転送する。
【0536】
このキャラクタROM234は、NAND型フラッシュメモリ234a、ROMコントローラ234b、バッファRAM234c、NOR型ROM234dをモジュール化して構成されている。
【0537】
NAND型フラッシュメモリ234aは、キャラクタROM234におけるメインの記憶部として設けられる不揮発性のメモリであり、MPU231によって実行される制御プログラムの大部分や第3図柄表示装置81を駆動させるための固定値データを記憶する第2プログラム記憶エリア234a1と、第3図柄表示装置81に表示させる画像(キャラクタ等)のデータを格納するキャラクタ記憶エリア234a2とを少なくとも有する。
【0538】
ここで、NAND型フラッシュメモリは、小さな面積で大きな記憶容量が得られる特徴を有しており、キャラクタROM234を容易に大容量化することができる。これにより、本パチンコ機において、例えば2ギガバイトの容量を持つNAND型フラッシュメモリ234aを用いることにより、第3図柄表示装置81に表示させる画像として、多くの画像をキャラクタ記憶エリア234a2に記憶させることができる。よって、遊技者の興趣をより高めるために、第3図柄表示装置81に表示される画像を多様化、複雑化することができる。
【0539】
また、NAND型フラッシュメモリ234aは、多くの画像データをキャラクタ記憶エリア234a2に記憶させた状態で、更に、制御プログラムや固定値データも第2プログラム記憶エリア234a1に記憶させることができる。このように、制御プログラムや固定値データを、従来の遊技機のように専用のプログラムROMを設けて記憶させることなく、第3図柄表示装置81に表示させる画像のデータを記憶させるために設けられたキャラクタROM234に記憶させることができるので、表示制御装置114における部品点数を削減することができ、製造コストを削減できるほか、部品数増加による故障発生率の増加を抑制することができる。
【0540】
ROMコントローラ234bは、キャラクタROM234の動作を制御するためのコントローラであり、例えば、バスライン240を介してMPU231や画像コントローラ237から伝達されたアドレスに基づいて、NAND型フラッシュメモリ234a等から該当するデータを読み出し、バスライン240を介してMPU231又は画像コントローラ237へ出力する。
【0541】
ここで、NAND型フラッシュメモリ234aは、その性質上、データの書き込み時にエラービット(誤ったデータが書き込まれたビット)が比較的多く発生したり、データを書き込むことができない不良データブロックが発生したりする。そこで、ROMコントローラ234bは、NAND型フラッシュメモリ234aから読み出したデータに対して公知の誤り訂正を施し、また、不良データブロックを避けてNAND型フラッシュメモリ234aへのデータの読み書きが行われるように公知のデータアドレスの変換を実行する。
【0542】
このROMコントローラ234bにより、エラービットを含むNAND型フラッシュメモリ234aから読み出されたデータに対して誤り訂正が行われるので、キャラクタROM234としてNAND型フラッシュメモリ234aを用いたとしても、誤ったデータに基づいてMPU231が処理を行ったり、画像コントローラ237が各種画像を生成したりすることを抑制することができる。
【0543】
また、ROMコントローラ234bによってNAND型フラッシュメモリ234aの不良データブロックが解析され、その不良データブロックへのアクセスが回避されるので、MPU231や画像コントローラ237は、個々のNAND型フラッシュメモリ234aで異なる不良データブロックのアドレス位置を考慮することなく、キャラクタROM234へのアクセスを容易に行うことができる。よって、キャラクタROM234にNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、キャラクタROM234へのアクセス制御が複雑化することを抑制することができる。
【0544】
バッファRAM234cは、NAND型フラッシュメモリ234aから読み出したデータを一時的に記憶するバッファとして用いられるメモリである。MPU231や画像コントローラ237からバスライン240を介してキャラクタROM234に割り振られたアドレスが指定されると、ROMコントローラ234bは、その指定されたアドレスに対応するデータを含む1ページ分(例えば、2キロバイト)のデータがバッファRAM234cにセットされているか否かを判断する。そして、セットされていなければ、その指定されたアドレスに対応するデータを含む1ページ分(例えば、2キロバイト)のデータをNAND型フラッシュメモリ234a(またはNOR型ROM234d)より読み出してバッファRAM234cに一旦セットする。そして、ROMコントローラ234bは、公知の誤り訂正処理を施した上で、指定されたアドレスに対応するデータを、バスライン240を介してMPU231や画像コントローラ237に出力する。
【0545】
このバッファRAM234cは、2バンクで構成されており、1バンク当たりNAND型フラッシュメモリ234aの1ページ分のデータがセットできるようになっている。これにより、ROMコントローラ234bは、例えば、一方のバンクにデータをセットした状態のまま他方のバンクを使用して、NAND型フラッシュメモリ234aのデータを外部に出力したり、MPU231や画像コントローラ237より指定されたアドレスに対応するデータを含む1ページ分のデータをNAND型フラッシュメモリ234aから一方のバンクに転送してセットする処理と、MPU231や画像コントローラ237によって指定されたアドレスに対応するデータを他方のバンクから読み出してMPU231や画像コントローラ237に対して出力する処理とを、並列して処理したりすることができる。よって、キャラクタROM234の読み出しにおける応答性を向上させることができる。
【0546】
NOR型ROM234dは、キャラクタROM234におけるサブの記憶部として設けられる不揮発性のメモリであり、NAND型フラッシュメモリ234aを補完することを目的にそのNAND型フラッシュメモリ234aよりも極めて小容量(例えば、2キロバイト)に構成されている。このNOR型ROM234dには、キャラクタROM234に記憶される制御プログラムのうち、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されていないプログラム、具体的には、MPU231においてシステムリセット解除後に最初に実行されるブートプログラムの一部を格納する第1プログラム記憶エリア234d1が少なくとも設けられている。
【0547】
ブートプログラムは、第3図柄表示装置81に対する各種制御が実行可能となるように表示制御装置114を起動するための制御プログラムであり、システムリセット解除後にMPU231が先ずこのブートプログラムを実行する。これにより、表示制御装置114において各種制御が実行可能に状態とすることができる。第1プログラム記憶エリア234d1は、このブートプログラムのうち、バッファRAM234cの1バンク分(即ち、NAND型フラッシュメモリ234aの1ページ分)の容量の範囲で、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令(例えば、1ページの容量が2キロバイトであれば、1024ワード(1ワード=2バイト)分の命令)を格納する。なお、第1プログラム記憶エリア234d1に格納されるブートプログラムの命令数は、バッファRAM234cの1バンク分の容量以下に収まっていればよく、表示制御装置114の仕様に合わせて適宜設定されるものであってもよい。
【0548】
MPU231は、システムリセットが解除されると、ハードウェアによって命令ポインタ231aの値を「0000H」に設定すると共に、バスライン240に対して命令ポインタ231aにて示されるアドレス「0000H」を指定するように構成されている。一方、キャラクタROM234のROMコントローラ234bは、バスライン240にアドレス「0000H」が指定されたことを検知すると、NOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cの一方のバンクにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力する。
【0549】
MPU231は、キャラクタROM234から受け取った命令コードをフェッチすると、そのフェッチした命令コードに従って各種処理を実行するとともに、命令ポインタ231aを1だけ加算し、命令ポインタ231aにて示されるアドレスをバスライン240に対して指定する。そして、キャラクタROM234のROMコントローラ234bは、バスライン240によって指定されたアドレスがNOR型ROM234dに記憶されたプログラムを指し示すアドレスである間、先にNOR型ROM234dからバッファRAM234cにセットされたプログラムの中から、対応するアドレスの命令コードをバッファRAM234cより読み出して、MPU231に対して出力する。
【0550】
ここで、本実施形態において、制御プログラムを全てNAND型フラッシュメモリ234aに格納するのではなく、ブートプログラムのうち、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令をNOR型ROM234dに格納するのは、次の理由による。即ち、NAND型フラッシュメモリ234aは、上述したように、最初の1ページ目のデータの読み出しにおいて、アドレスを指定してからデータが出力されるまでに大きな時間を要する、というNAND型フラッシュメモリ特有の問題がある。
【0551】
このようなNAND型フラッシュメモリ234aに対して制御プログラムを全て格納すると、システムリセット解除後にMPU231が最初に実行すべき命令コードをフェッチするためにMPU231からバスライン240を介してアドレス「0000H」が指定された場合、キャラクタROM234はアドレス「0000H」に対応するデータ(命令コード)を含む1ページ分のデータをNAND型フラッシュメモリ234aから読み出してバッファRAM234cにセットしなければならい。そして、NAND型フラッシュメモリ234aの性質上、その読み出しからバッファRAM234cへのセットに多大な時間を要することになるので、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してからアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取るまでに多くの待ち時間を消費する。よって、MPU231の起動にかかる時間が長くなるので、結果として、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御が即座に開始されないおそれがあるという問題点が生じる。
【0552】
これに対し、NOR型ROMは高速にデータを読み出すことが可能なメモリであるので、ブートプログラムのうち、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令をNOR型ROM234dに格納することによって、システムリセット解除後にMPU231からバスライン240を介してアドレス「0000H」が指定されると、キャラクタROM234は即座にNOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力することができる。よって、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してから短い時間でアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取ることができ、MPU231の起動を短時間で行うことができる。従って、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234に制御プログラムを格納しても、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御を即座に開始することができる。
【0553】
さて、ブートプログラムは、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラム、即ち、NOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムを除く制御プログラムや、その制御プログラムで用いられる固定値データ(例えば、後述する表示データテーブル、転送データテーブルなど)を、所定量(例えば、NAND型フラッシュメモリ234aの1ページ分の容量)ずつワークRAM233のプログラム格納エリア233aやデータテーブル格納エリア233bへ転送するようにプログラミングされている。そして、MPU231は、まず、システムリセット解除後に第1プログラム記憶エリア234d1から読み出したブートプログラムに従って、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを、第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムがセットされているバッファRAM234cのバンクとは異なるバンクを使用しながら、所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、格納する。
【0554】
ここで、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムは、上述したように、バッファRAM234cの1バンク分に相当する容量で構成されているので、内部バスのアドレスが「0000H」に指定されたことを受けて第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムがバッファRAM234cにセットされる場合、そのブートプログラムはバッファRAM234cの一方のバンクにのみセットされる。よって、第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムに従って、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムをプログラム格納エリア233aに転送する場合は、バッファRAM234cの一方のバンクにセットされた第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムを残したまま、他方のバンクを使用してその転送処理を実行することができる。従って、その転送処理後に、第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムを再度バッファRAM234cにセットし直すといった処理が不要であるので、ブート処理に係る時間を短くすることができる。
【0555】
第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムは、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを所定量だけプログラム格納エリア233aに転送すると、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233a内の第1の所定番地に設定するようにプログラミングされている。これにより、システムリセット解除後、MPU231によって第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムが所定量だけプログラム格納エリア233aに転送されると、命令ポインタ231aがプログラム格納エリア233aの第1の所定番地に設定される。
【0556】
よって、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムのうち所定量のプログラムがプログラム格納エリア233aに格納されると、MPU231は、そのプログラム格納エリア233aに格納された制御プログラムを読み出して、各種処理を実行することができる。即ち、MPU231は、第2プログラム記憶エリア234a1を有するNAND型フラッシュメモリ234aから制御プログラムを読み出して命令フェッチするのではなく、プログラム格納エリア233aを有するワークRAM233に転送された制御プログラムを読み出して命令フェッチし、各種処理を実行することになる。後述するように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、制御プログラムの殆どを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aに記憶させた場合であっても、MPU231は高速に命令をフェッチし、その命令に対する処理を実行することができる。
【0557】
ここで、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムには、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが含まれている。一方、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムは、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aに所定量だけ第2プログラム記憶エリア234a1から転送される制御プログラムの中に、その残りのブートプログラムが含まれるようにプログラミングされていると共に、プログラム格納エリア233aに格納されたその残りのブートプログラムの先頭アドレスを第1の所定番地として命令ポインタ231aを設定するようにプログラミングされている。
【0558】
これにより、MPU231は、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムによって、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを所定量だけプログラム格納エリア233aに転送した後、その転送した制御プログラムに含まれる残りのブートプログラムを実行する。
【0559】
この残りのブートプログラムでは、プログラム格納エリア233aに転送されていない残りの制御プログラムやその制御プログラムで用いられる固定値データ(例えば、後述する表示データテーブル、転送データテーブルなど)を全て第2プログラム記憶エリア234a1から所定量ずつプログラム格納エリア233a又はデータテーブル格納エリア233bに転送する処理を実行する。また、ブートプログラムの最後で、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233a内の第2の所定番地に設定する。具体的には、この第2の所定番地として、プログラム格納エリア233aに格納された、ブートプログラムによるブート処理(
図73のS6001参照)の終了後に実行される初期設定処理(
図73のS6002参照)に対応するプログラムの先頭アドレスを設定する。
【0560】
MPU231は、この残りのブートプログラムを実行することによって、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムや固定値データが全てプログラム格納エリア233a又はデータテーブル格納エリア233bに転送される。そして、ブートプログラムがMPU231により最後まで実行されると、命令ポインタ231aが第2の所定番地に設定され、以後、MPU231は、NAND型フラッシュメモリ234aを参照することなく、プログラム格納エリア233aに転送された制御プログラムを用いて各種処理を実行する。
【0561】
よって、制御プログラムの殆どを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、システムリセット解除後にその制御プログラムをワークRAM233のプログラム格納エリア233aに転送することで、MPU231は、読み出し速度が高速なDRAMによって構成されるワークRAMから制御プログラムを読み出して各種制御を行うことができる。従って、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
【0562】
また、上述したように、NOR型ROM234dにブートプログラムを全て格納せずに、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令を格納しておき、残りのブートプログラムについては、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶させても、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを確実にプログラム格納エリア233aに転送することができる。よって、キャラクタROM234は、極めて小容量のNOR型ROM234dを追加するだけで、MPU231の起動を短時間で行うことができるようになるので、その短時間化に伴うキャラクタROM234のコスト増加を抑制することができる。
【0563】
画像コントローラ237は、画像を描画し、その描画した画像を所定のタイミングで第3図柄表示装置81に表示させるデジタル信号プロセッサ(DSP)である。画像コントローラ237は、MPU231から送信される後述の描画リスト(
図38参照)に基づき1フレーム分の画像を描画して、後述する第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれか一方のフレームバッファに描画した画像を展開すると共に、他方のフレームバッファにおいて先に展開された1フレーム分の画像情報を第3図柄表示装置81へ出力することによって、第3図柄表示装置81に画像を表示させる。画像コントローラ237は、この1フレーム分の画像の描画処理と1フレーム分の画像の表示処理とを、第3図柄表示装置81における1フレーム分の画像表示時間(本実施形態では、20ミリ秒)の中で並列処理する。
【0564】
画像コントローラ237は、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に、MPU231に対して垂直同期割込信号(以下、「V割込信号」と称す)を送信する。MPU231は、このV割込信号を検出する度に、V割込処理(
図75(b)参照)を実行し、画像コントローラ237に対して、次の1フレーム分の画像の描画を指示する。この指示により、画像コントローラ237は、次の1フレーム分の画像の描画処理を実行すると共に、先に描画によって展開された画像を第3図柄表示装置81に表示させる処理を実行する。
【0565】
このように、MPU231は、画像コントローラ237からのV割込信号に伴ってV割込処理を実行し、画像コントローラ237に対して描画指示を行うので、画像コントローラ237は、画像の描画処理および表示処理間隔(20ミリ秒)毎に、画像の描画指示をMPU231より受け取ることができる。よって、画像コントローラ237では、画像の描画処理や表示処理が終了していない段階で、次の画像の描画指示を受け取ることがないので、画像の描画途中で新たな画像の描画を開始したり、表示中の画像情報が格納されているフレームバッファに、新たな描画指示に伴って画像が展開されたりすることを防止することができる。
【0566】
画像コントローラ237は、また、MPU231からの転送指示や、描画リストに含まれる転送データ情報に基づいて、画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236に転送する処理も実行する。
【0567】
なお、画像の描画は、常駐用ビデオRAM235および通常用ビデオRAM236に格納された画像データを用いて行われる。即ち、描画の際に必要となる画像データは、その描画が行われる前に、MPU231からの指示に基づき、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235または通常用ビデオRAM236へ転送される。
【0568】
ここで、一般的にNAND型フラッシュメモリは、ROMの大容量化を容易にする一方、読み出し速度がその他のROM(マスクROMやEEPROMなど)と比して遅い。これに対し、表示制御装置114では、MPU231が、キャラクタROM234に格納されている画像データのうち一部の画像データを電源投入後に常駐用ビデオRAM235に転送するように、画像コントローラ237に対して指示するよう構成されている。そして、後述するように、常駐用ビデオRAM235に格納された画像データは、上書きされることなく常駐されるように制御される。
【0569】
これにより、電源が投入されてから常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データの転送が終了した後は、常駐用ビデオRAM235に常駐された画像データを使用しながら、画像コントローラ237にて画像の描画処理を行うことができる。よって、描画処理に使用する画像データが常駐用ビデオRAM235に常駐されていれば、画像描画時に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234から対応する画像データを読み出す必要がないため、その読み出しにかかる時間を省略でき、画像の描画を即座に行って第3図柄表示装置81に描画した画像を表示することができる。
【0570】
特に、常駐用ビデオRAM235には、頻繁に表示される画像の画像データや、主制御装置110または表示制御装置114によって表示が決定された後、即座に表示すべき画像の画像データを常駐させるので、キャラクタROM234をNAND型フラッシュメモリ234aで構成しても、第3図柄表示装置81に何らかの画像を表示させるまでの応答性を高く保つことができる。
【0571】
また、表示制御装置114は、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データを用いて画像の描画を行う場合は、その描画が行われる前に、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して描画に必要な画像データを転送するように、MPU231が画像コントローラ237に対して指示するよう構成されている。後述するように、通常用ビデオRAM236に転送された画像データは、画像の描画に用いられた後、上書きによって削除される可能性はあるものの、画像描画時には、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234から対応する画像データを読み出す必要がなく、その読み出しにかかる時間を省略できるので、画像の描画を即座に行って第3図柄表示装置81に描画した画像を表示することができる。
【0572】
また、通常用ビデオRAM236にも画像データを格納することによって、全ての画像データを常駐用ビデオRAM235に常駐させておく必要がないため、大容量の常駐用ビデオRAM235を用意する必要がない。よって、常駐用ビデオRAM235を設けたことによるコスト増大を抑えることができる。
【0573】
画像コントローラ237は、NAND型フラッシュメモリ234aの1ブロック分の容量である132キロバイトのSRAMによって構成されたバッファRAM237aを有している。
【0574】
MPU231が、転送指示や描画リストの転送データ情報によって画像コントローラ237に対して行う画像データの転送指示には、転送すべき画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、転送先の情報(常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236のいずれに転送するかを示す情報)、及び転送先(常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスが含まれる。なお、格納元最終アドレスに代えて、転送すべき画像データのデータサイズを含めてもよい。
【0575】
画像コントローラ237は、この転送指示の各種情報に従って、キャラクタROM234の所定アドレスから1ブロック分のデータを読み出して一旦バッファRAM237aに格納し、常駐用ビデオRAM235または通常用ビデオRAM236の未使用時に、バッファRAM237aに格納された画像データを常駐RAM235または通常用ビデオRAM236に転送する。そして、転送指示により示された格納元先頭アドレスから格納元最終アドレスに格納された画像データが全て転送されるまで、その処理を繰り返し実行する。
【0576】
これにより、キャラクタROM234から時間をかけて読み出された画像データを一旦そのバッファRAM237aに格納し、その後、その画像データをバッファRAM237aから常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236へ短時間で転送することができる。よって、キャラクタROM234から画像データが常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236へ転送される間に、常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236が、その画像データの転送で長時間占有されるのを防止することができる。従って、画像データの転送により常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236が占有されることで、画像の描画処理にそれらのビデオRAM235,236が使用できず、結果として必要な時間までに画像の描画や、第3図柄表示装置81への表示が間に合わないことを防止することができる。
【0577】
また、バッファRAM234cから常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236への画像データへの転送は、画像コントローラ237によって行われるので、常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236が画像の描画処理や第3図柄表示装置81への表示処理に未使用である期間を容易に判定することができ、処理の単純化を図ることができる。
【0578】
常駐用ビデオRAM235は、キャラクタROM234より転送された画像データが、電源投入中、上書きされることがなく保持され続けるように用いられ、電源投入時主画像エリア235a、背面画像エリア235c、キャラクタ図柄エリア235e、エラーメッセージ画像エリア235fが設けられているほか、電源投入時変動画像エリア235b、第3図柄エリア235dが少なくとも設けられている。
【0579】
電源投入時主画像エリア235aは、電源が投入されてから常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データが格納されるまでの間に第3図柄表示装置81に表示する電源投入時主画像に対応するデータを格納する領域である。また、電源投入時変動画像エリア235bは、第3図柄表示装置81に電源投入時主画像が表示されている間に遊技者によって遊技が開始され、特図入球口64への入球が検出された場合に、主制御装置110において行われた抽選結果を変動演出によって表示する電源投入時変動画像に対応する画像データを格納する領域である。
【0580】
MPU231は、電源部251から電源供給が開始されたときに、キャラクタROM234から電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データを電源投入時主画像エリア235aへ転送するように、画像コントローラ237へ転送指示を送信する(
図73のS6003,S6004参照)。
【0581】
ここで、
図34を参照して、電源投入時変動画像について説明する。
図34は、表示制御装置114が電源投入直後において、常駐用ビデオRAM235に対して格納すべき画像データをキャラクタROM234から転送している間に、第3図柄表示装置81にて表示される電源投入時画像を説明する説明図である。
【0582】
表示制御装置114は、電源投入直後に、キャラクタROM234から電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データを、電源投入時主画像エリア235aおよび電源投入時変動画像エリア235bへ転送すると、続いて、常駐用ビデオRAM235に格納すべき残りの画像データを、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に対して転送する。この残りの画像データの転送が行われている間、表示制御装置114は、先に電源投入時主画像エリア235aに格納された画像データを用いて、
図34(a)に示す電源投入時主画像を第3図柄表示装置81に表示させる。
【0583】
このとき、変動開始の指示コマンドである主制御装置110からの変動パターンコマンドに基づき音声ランプ制御装置113から送信される表示用変動パターンコマンドを受信すると、表示制御装置114は、
図34(b)に示すように、電源投入時主画像の表示画面上に、画面に向かって右下の位置に「○」図柄の電源投入時変動画像と、
図34(c)に示すように、「○」図柄と同位置に「×」図柄の電源投入時変動画像とを、変動期間中、交互に繰り返して表示する。そして、主制御装置110からの変動パターンコマンドや停止種別コマンドに基づき音声ランプ制御装置113から送信される表示用変動パターンコマンドおよび表示用停止種別コマンドから、主制御装置110にて行われた抽選の結果を判断し、「特別図柄の大当たり」である場合は
図34(b)に示す画像を変動演出の停止後に一定期間表示させ、「特別図柄の外れ」である場合は
図34(c)に示す画像を変動演出の停止後に一定期間表示させる。
【0584】
MPU231は、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データが常駐用ビデオRAM235に対して転送されるまで、画像コントローラ237に対し、電源投入時主画像エリア235aに格納された画像データを用いて電源投入時主画像の描画を行うよう指示する。これにより、残りの常駐すべき画像データが常駐用ビデオRAM235に転送されている間、遊技者やホール関係者は、第3図柄表示装置81に表示された電源投入時主画像を確認することができる。よって、表示制御装置114は、電源投入時主画像を第3図柄表示装置81に表示させている間に、時間をかけて残りの常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送することができる。また、遊技者等は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間、何らかの処理が行われていることを認識できるので、残りの常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データが、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されるまでの間、動作が停止していないか、といった不安を持つことなく、常駐用ビデオRAM235への画像データの転送が完了するまで待機することができる。
【0585】
また、製造時の工場等における動作チェックにおいても、電源投入時主画像がすぐに第3図柄表示装置81に表示されることによって、第3図柄表示装置81が電源投入によって問題なく動作が開始されていることをすぐに確認することができ、更に、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いることにより動作チェックの効率が悪化することを抑制できる。
【0586】
また、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間に遊技者が遊技を開始し、特図入球口64に入球が検出された場合は、電源投入時変動画像エリア235bに常駐された電源投入時変動画像に対応する画像データを用いて電源投入時変動画像が描画され、
図34(b)及び(c)に示す画像が交互に第3図柄表示装置81に表示されるように、MPU231から画像コントローラ237に対して指示される。これにより、電源投入時変動画像を用いて簡単な変動演出を行うことができる。よって、遊技者は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間であっても、その簡単な変動演出によって確実に抽選が行われたことを確認することができる。
【0587】
また、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示される段階で、すでに電源投入時変動演出画像に対応する画像データが電源投入時変動画像エリア235bに常駐されているので、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間に特図入球口64に入球が検出された場合は、対応する変動演出を第3図柄表示装置81に即座に表示させることができる。
【0588】
図33に戻って、説明を続ける。背面画像エリア235cは、第3図柄表示装置81に表示される背面画像に対応する画像データを格納する領域である。ここで、
図35を参照して、背面画像と、その背面画像のうち、背面画像エリア235cに格納される背面画像の範囲について説明する。
図35は、4種類の背面画像と、各背面画像に対して常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納される背面画像の範囲を説明する説明図であり、
図35(a)は、「街中ステージ」に対応する背面Aに対して、
図35(b)は、「森ステージ」、「川ステージ」、および「空ステージ」に対応する背面B〜Dに対してそれぞれ示したものである。また、
図28は、「島ステージ」に対応する背面Eに対して示したものである。
【0589】
各背面A〜Dに対応する背面画像は、
図35に示すように、いずれも第3図柄表示装置81において表示される表示領域よりも水平方向に長い画像が、キャラクタROM234に用意されている。画像コントローラ237は、その画像を水平方向に左から右へスクロールさせながら背面画像が第3図柄表示装置81に表示されるように、画像の描画をおこなう。
【0590】
各背面A〜Dに用意された画像(以下、「スクロール用画像」と称す。)は、いずれも位置aおよび位置cのところで背面画像が連続するように画像が構成されている。そして、位置cから位置dの間の画像および位置aから位置a’の間の画像は、表示領域の水平方向の幅分の画像によって構成されており、位置cから位置dの間にある画像が表示領域として第3図柄表示装置81に表示された後に、位置aから位置a’の間にある画像を表示領域として第3図柄表示装置81に表示させると、第3図柄表示装置81にスムーズなつながりで背面画像がスクロール表示されるようになっている。
【0591】
背面種別選択テーブル(図示せず)に基づいて背面種別の変更が決定され、ステージが「街中ステージ」、「森ステージ」、「川ステージ」、または「空ステージ」に変更されると、MPU231は、対応する背面画像のまず位置aから位置a’の間を表示領域の初期位置として設定し、その初期位置の画像が第3図柄表示装置81に表示されるように、画像コントローラ237を制御する。そして、時間の経過とともに、表示領域をスクロール用画像に対して左から右に移動させ、順次その表示領域が第3図柄表示装置81に表示されるように画像コントローラ237を制御し、更に、表示領域が位置cから位置dの間の画像に到達した場合、再び表示領域を位置aから位置a’の画像として第3図柄表示装置81に表示されるように画像コントローラ237を制御する。よって、第3図柄表示装置81には、位置a〜位置cの間の画像を、左方向に向かって流れるように、スムーズなつながりで繰り返しスクロールされて表示させることができる。
【0592】
一方、背面Eにおける背面画像は、時間の経過とともに、(a)→(b)→(c)→(a)→・・・の順で、第3図柄表示装置81に表示される。具体的には、背面Eは、島にそびえる山の画像と、山のふもとに広がる砂浜の画像と、島を囲む海の画像とが、その表示される位置が固定された状態で第3図柄表示装置81に表示される。一方、山の上に広がる空の画像は、その色調が時間経過とともに変化する。
【0593】
ステージが「島ステージ」に変更されると、背面Eの初期背面画像として、朝やけを示すオレンジ色の空が表示される。そして、時間の経過とともに空の色調がオレンジ色から徐々に鮮やかな青色に変化して、所定時間経過後、昼を示す鮮やかな青色の空が表示される。次に、時間の経過とともに空の色調が鮮やかな青色から徐々に黒色に変化して、所定時間経過後、夜を示す黒色の空が表示される。その後、時間の経過とともに空の色調が黒色から徐々に白みはじめ更にオレンジ色に変化する。そして、所定時間経過後、朝やけ示す背面画像に戻る繰り返し背面画像が第3図柄表示装置81に表示される。
【0594】
次いで、各背面画像において、背面画像エリア235cに格納される背面画像の範囲について説明する。初期ステージである街中ステージに対応する背面Aは、
図35(a)に示すように、その背面Aの全範囲、即ち、位置aから位置dに対応する画像データが全て常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納される。通常、初期ステージである「街中ステージ」を表示させたまま、ステージを変更せずに遊技が行われる場合が多いので、多頻度で表示される「街中ステージ」に対応する背面Aの画像データを全て背面画像エリア235cに常駐させておくことで、キャラクタROM234へのデータアクセス回数を減らすことができる。よって、表示制御装置114にかかる処理負荷を軽減することができる。
【0595】
一方、「森ステージ」に対応する背面B、「川ステージ」に対応する背面C、および「空ステージ」に対応する背面Dは、
図35(b)に示すように、その背面の一部領域、即ち、位置aから位置bの間の画像に対応する画像データだけが常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納される。また、島ステージに対応する背面Eに対応する画像データが、電源投入後の立ち上げ処理の中で常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納され、常駐される。
【0596】
ここで、即座に背面画像を変更するためには、全ての背面画像について全範囲の画像データを常駐用ビデオRAM235に常駐させておくことが理想的であるが、そのようにすると常駐用ビデオRAM235として非常に大きな容量のRAMを用いなければならず、コストの増大につながるおそれがある。
【0597】
これに対し、本パチンコ機10では、ステージが変更された場合に最初に表示される背面画像の初期位置を、位置aから位置a’の範囲に固定し、その初期位置を含む位置aから位置bの間の画像に対応する画像データを常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納しておく構成としているので、キャラクタROM234を読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成しても、変動開始時の抽選によりステージの変更が決定された場合に、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに常駐されている画像データを用いることによって、即座にその背面B〜Dの初期位置を第3図柄表示装置81に表示させることができ、また、時間経過とともにスクロール表示または色調を変化させながら表示させることができる。また、背面B〜Dについては、一部範囲の画像に対応する画像データだけを格納するので、常駐用ビデオRAM235の記憶容量の増大を抑制でき、コストの増大を抑えることができる。
【0598】
また、背面B〜Dは、初期位置の画像が表示された後、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに常駐された画像データを用いて位置aから位置bの範囲を左から右に向けてスクロールさせている間に、位置b’から位置dの画像に対応する画像データをキャラクタROM234から通常用RAM236へ転送完了できるように、その位置aから位置bの範囲が設定されている。これにより、位置aから位置bの範囲をスクロールさせる間に位置b’から位置dの画像データを通常用ビデオRAM236へ転送できるので、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納された画像データを用いて位置aから位置bの範囲をスクロールさせた後、遅滞なく通常用ビデオRAM236に格納された背面画像に対応する画像データを用いて、位置b’から位置dの範囲をスクロールさせて第3図柄表示装置81に表示させることができる。
【0599】
同様に、背面Eは、初期位置の画像が表示された後、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに常駐された画像データを用いて画像を表示させている間に、残りの画像の画像データがキャラクタROM234から通常用RAM236へ転送が完了できるように、画像データの範囲が設定されている。これにより、画像を表示させている間に残りの画像に対応する画像データを通常用ビデオRAM236へ転送できるので、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに常駐された画像データを用いて画像を表示させた後、遅滞なく通常用ビデオRAM236に格納された背面画像に対応する画像データを用いて、残りの画像を時間経過とともに、順次、第3図柄表示装置81に表示させることができる。
【0600】
なお、背面B〜Eにおいて、通常用ビデオRAM236に格納される画像データは、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236a(
図33参照)に設けられた背面画像専用のサブエリアに格納される。これにより、背面画像専用のサブエリアに格納された背面画像データが、他の画像データによって上書きされることがないので、背面画像を確実に表示させることができる。
【0601】
また、背面B〜Dにおいて、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納される画像データと、通常用ビデオRAM236に格納される画像データとでは、位置b’から位置bの間の画像に対応する画像データが重複して格納される。そして、MPU231による画像コントローラ237の制御により、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納された画像データを用いて位置bまでの画像を第3図柄表示装置81に表示させ、次いで、通常用ビデオRAM236に格納された画像データを用いて位置b’からの画像を第3図柄表示装置81に表示させることで、第3図柄表示装置81にスムーズなつながりで背面画像がスクロール表示されるようになっている。
【0602】
更に、MPU231は、通常用ビデオRAM236の画像データを用いて、位置cから位置dの間の画像を表示領域として第3図柄表示装置81に表示されるように画像コントローラ237を制御すると、次いで、MPU231は、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cの画像データを用いて、位置aから位置a’の間の画像を表示領域として第3図柄表示装置81に表示されるように画像コントローラ237を制御する。これにより、第3図柄表示装置81には、位置a〜位置cの間の画像が、左方向に向かって流れるように、スムーズなつながりで繰り返しスクロールされて表示させることができる。
【0603】
図33に戻って、説明を続ける。第3図柄エリア235dは、第3図柄表示装置81に表示される変動演出において使用される第3図柄を常駐するためのエリアである。即ち、第3図柄エリア235dには、第3図柄である「0」から「9」の数字を付した上述の10種類の主図柄に対応する画像データが常駐される。これにより、第3図柄表示装置81にて変動演出を行う場合、逐一キャラクタROM234から画像データを読み出す必要がないので、キャラクタROM234にNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、第3図柄表示装置81において素早く変動演出を開始することができる。よって、特図入球口64、または第2入球口640への入球が発生してから、第1図柄表示装置37では変動演出が開始されているにも関わらず、第3図柄表示装置81において変動演出が即座に開始されないような状態が発生するのを抑制することができる。
【0604】
また、第3図柄エリア235dには、「0」から「9」の数字が付されていない主図柄として、木箱といった後方図柄からなる主図柄や、後方図柄とかんな,風呂敷,ヘルメット等のキャラクタを模した付属図柄とからなる主図柄に対応する画像データも常駐される。これらの画像データは、一の変動演出が停止してから所定時間経過しても、始動入賞に伴う次の変動演出が開始されない場合に、第3図柄表示装置81に表示されるデモ演出に用いられる。これにより、デモ演出が第3図柄表示装置81に表示されると、そのデモ演出において、第3図柄として数字の付されていない主図柄が表示される。よって、遊技者は、数字の付されていない主図柄を第3図柄表示装置81の表示画像から視認することによって、当該パチンコ機10がデモ状態にあることを容易に認識することができる。
【0605】
キャラクタ図柄エリア235eは、第3図柄表示装置81に表示される各種演出で使用されるキャラクタ図柄に対応する画像データを格納する領域である。本パチンコ機10では、「少年」や「老人」、「少女」をはじめとする様々なキャラクタが各種演出にあわせて表示されるようになっており、これらに対応するデータがキャラクタ図柄エリア235eに常駐されることにより、表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドの内容に基づいてキャラクタ図柄を変更する場合、キャラクタROM234から対応の画像データを新たに読み出すのではなく、常駐用ビデオRAM235のキャラクタ図柄エリア235eに予め常駐されている画像データを読み出すことによって、画像コントローラ237にて所定の画像を描画できるようになっている。これにより、キャラクタROM234から対応の画像データを読み出す必要がないので、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、キャラクタ図柄を即座に変更することができる。
【0606】
エラーメッセージ画像エリア235fは、パチンコ機10内にエラーが発生した場合に表示されるエラーメッセージに対応する画像データを格納する領域である。本パチンコ機10では、例えば、遊技盤13の裏面に取り付けられた振動センサ(図示せず)の出力から、音声ランプ制御装置113によって振動を検出すると、音声ランプ制御装置113は振動エラーの発生をエラーコマンドによって表示制御装置114に通知する。また、音声ランプ制御装置113により、その他のエラーの発生が検出された場合にも、音声ランプ制御装置113は、エラーコマンドによって、そのエラーの発生をそのエラー種別と共に表示制御装置114へ通知する。表示制御装置114では、エラーコマンドを受信すると、その受信したエラーに対応するエラーメッセージを第3図柄表示装置81に表示させるように構成されている。
【0607】
ここで、エラーメッセージは、遊技者の不正防止やエラーに対する遊技者の保護の観点から、エラーの発生とほぼ同時に表示されることが求められる。本パチンコ機10では、エラーメッセージ画像エリア235fに、各種エラーメッセージに対応する画像データが予め常駐されているので、表示制御装置114は、受信したエラーコマンドに基づいて、常駐用ビデオRAM235のエラーメッセージ画像エリア235fに予め常駐されている画像データを読み出すことによって、画像コントローラ237にて各エラーメッセージ画像を即座に描画できるようになっている。これにより、キャラクタROM234から逐次エラーメッセージに対応する画像データを読み出す必要がないので、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、エラーコマンドを受信してから対応するエラーメッセージを即座に表示させることができる。
【0608】
通常用ビデオRAM236は、データが随時上書きされ更新されるように用いられるもので、画像格納エリア236a、第1フレームバッファ236b、第2フレームバッファ236cが少なくとも設けられている。
【0609】
画像格納エリア236aは、第3図柄表示装置81に表示させる画像の描画に必要な画像データのうち、常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを格納するためのエリアである。画像格納エリア236aは、複数のサブエリアに分割されており、サブエリア毎に、そのサブエリアに格納される画像データの種別が予め定められている。
【0610】
MPU231は、常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データのうち、その後の画像の描画で必要となる画像データを、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに設けられたサブエリアのうち、その画像データの種別を格納すべき所定のサブエリアに転送するように、画像コントローラ237に対して指示をする。これにより画像コントローラ237は、MPU231により指示された画像データをキャラクタROM234から読み出し、バッファRAM237aを介して、画像格納エリア236aの指定された所定のサブエリアにその読み出した画像データを転送する。
【0611】
なお、画像データの転送指示は、MPU231が画像コントローラ237に対して画像の描画を指示する後述の描画リストの中に、転送データ情報を含めることによって行われる。これにより、MPU231は、画像の描画指示と、画像データの転送指示とを、描画リストを画像コントローラ237に送信するだけで行うことができるので、処理負荷を低減することができる。
【0612】
第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cは、第3図柄表示装置81に表示すべき画像を展開するためのバッファである。画像コントローラ237は、MPU231からの指示に従って描画した1フレーム分の画像を、第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれか一方のフレームバッファに書き込むことによって、そのフレームバッファに1フレーム分の画像を展開すると共に、その一方のフレームバッファに画像を展開している間、他方のフレームバッファから先に展開された1フレーム分の画像情報を読み出し、駆動信号と共に第3図柄表示装置81に対してその画像情報を送信することによって、第3図柄表示装置81に、その1フレーム分の画像を表示させる処理を実行する。
【0613】
このように、フレームバッファとして、第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cの2つを設けることによって、画像コントローラ237は、一方のフレームバッファに描画した1フレーム分の画像を展開しながら、同時に、他方のフレームバッファから先に展開された1フレーム分の画像を読み出して、第3図柄表示装置81にその読み出した1フレーム分の画像を表示させることができる。
【0614】
そして、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、第3図柄表示装置81に画像を表示させるために1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとは、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に、MPU231によって、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかが交互に入れ替えて指定される。
【0615】
即ち、あるタイミングで、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定されて、画像の描画処理および表示処理が実行されると、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒後に、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定される。これにより、先に第1フレームバッファ236bに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第2フレームバッファ236cに新たな画像が展開される。
【0616】
そして、更に次の20ミリ秒後には、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定される。これにより、先に第2フレームバッファ236cに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第1フレームバッファ236bに新たな画像が展開される。以後、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとを、20ミリ秒毎に、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかを交互に入れ替えて指定することによって、1フレーム分の画像の描画処理を行いながら、1フレーム分の画像の表示処理を20ミリ秒単位で連続的に行わせることができる。
【0617】
ワークRAM233は、キャラクタROM234に記憶された制御プログラムや固定値データを格納したり、MPU231による各種制御プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリであり、DRAMによって構成される。このワークRAM233は、プログラム格納エリア233a、データテーブル格納エリア233b、簡易画像表示フラグ233c、表示データテーブルバッファ233d、転送データテーブルバッファ233e、ポインタ233f、描画リストエリア233g、計時カウンタ233h、格納画像データ判別フラグ233i、描画対象バッファフラグ233j、背面画像変更フラグ233w、背面画像判別フラグ233x、デモ表示フラグ233y、確定表示フラグ233zを少なくとも有している。
【0618】
プログラム格納エリア233aは、MPU231によって実行される制御プログラムを格納するためのエリアである。MPU231は、システムリセットが解除されると、キャラクタROM234から制御プログラムを読み出してワークRAM233へ転送し、このプログラム格納エリア233aに格納する。そして、全ての制御プログラムをプログラム格納エリア233aに格納すると、以後、MPU231はプログラム格納エリア233aに格納された制御プログラムを用いて各種制御を実行する。上述したように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、制御プログラムを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
【0619】
データテーブル格納エリア233bは、主制御装置110からのコマンドに基づき表示させる一の演出に対し、時間経過に伴い第3図柄表示装置81に表示すべき表示内容を記載した表示データテーブルと、表示データテーブルにより表示される一の演出において使用される画像データのうち常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データの転送データ情報ならびに転送タイミングを規定した転送データテーブルとが格納される領域である。
【0620】
これらのデータテーブルは、通常、キャラクタROM234のNAND型フラッシュメモリ234aに設けられた第2プログラム記憶エリア234a1に固定値データの一種として記憶されており、システムリセット解除後にMPU231によって実行されるブートプログラムに従って、これらのデータテーブルがキャラクタROM234からワークRAM233へ転送され、このデータテーブル格納エリア233bに格納される。そして、全てのデータテーブルがデータテーブル格納エリア233bに格納されると、以後、MPU231は、データテーブル格納エリア233bに格納されたデータテーブルを用いて第3図柄表示装置81の表示を制御する。上述したように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、各種データテーブルを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
【0621】
ここで、各種データテーブルの詳細について説明する。まず、表示データテーブルは、主制御装置110からのコマンドに基づいて第3図柄表示装置81に表示される各演出の演出態様毎に1つずつ用意されるもので、例えば、変動演出、オープニング演出、ラウンド演出、エンディング演出、デモ演出に対応する表示データテーブルが用意されている。
【0622】
変動演出は、音声ランプ制御装置113からの表示用変動パターンコマンドを受信した場合に、第3図柄表示装置81おいて開始される演出である。なお、表示用変動パターンコマンドが受信される場合には、変動演出の停止種別を示す表示用停止種別コマンドも受信される。例えば、変動演出が開始された場合に、その変動演出の停止種別が外れであれば、外れを示す停止図柄が最終的に停止表示される一方、その変動演出の停止種別が大当たりA、大当たりBのいずれかであれば、それぞれの大当たり示す停止図柄が最終的に停止表示される。遊技者は、この変動演出における停止図柄を視認することで大当たり種別を認識でき、大当たり種別に応じて付与される遊技価値を容易に判断することができる。
【0623】
オープニング演出は、これからパチンコ機10が特別遊技状態へ移行して、通常時には閉鎖されている大開放口が繰り返し開放されることを遊技者に報知するための演出であり、ラウンド演出は、これから開始されるラウンド数を遊技者に報知するための演出である。エンディング演出は、特別遊技状態の終了を遊技者に報知するための演出である。
【0624】
なお、デモ演出は、上述したように、一の変動演出が停止してから所定時間経過しても、始動入賞に伴う次の変動演出が開始されない場合に、第3図柄表示装置81に表示される演出であり、「0」から「9」の数字が付されていない主図柄からなる第3図柄が停止表示されると共に、背面画像のみが変化する。第3図柄表示装置81にデモ演出が表示されていれば、遊技者やホール関係者が、当該パチンコ機10において遊技が行われていないことを認識することができる。
【0625】
データテーブル格納エリア233bには、オープニング演出、ラウンド演出、エンディング演出およびデモ演出に対応する表示データテーブルをそれぞれ1つずつ格納する。また、変動演出用の表示データテーブルである変動表示データテーブルは、設定される変動演出パターンが32パターンあれば、1変動演出パターンに1テーブル、合計で32テーブルが用意される。
【0626】
ここで、
図36を参照して、表示データテーブルの詳細について説明する。
図36は、表示データテーブルのうち、変動表示データテーブルの一例を模式的に示した模式図である。表示データテーブルは、第3図柄表示装置81において1フレーム分の画像が表示される時間(本実施形態では、20ミリ秒)を1単位として表したアドレスに対応させて、その時間に表示すべき1フレーム分の画像の内容(描画内容)を詳細に規定したものである。
【0627】
描画内容には、1フレーム分の画像を構成する表示物であるスプライト毎に、そのスプライトの種別を規定すると共に、そのスプライトの種別に応じて、表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報、フィルタ指定情報といった、スプライトを第3図柄表示装置81に描画させるための描画情報が規定されている。
【0628】
スプライトの種別は、表示すべきスプライトを特定するための情報である。表示位置座標は、そのスプライトを表示すべき第3図柄表示装置81上の座標を特定するための情報である。拡大率は、そのスプライトに対して予め設定された標準的な表示サイズに対する拡大率を指定するための情報で、その拡大率に従って表示されるスプライトの大きさが特定される。なお、拡大率が100%より大きい場合は、そのスプライトが標準的な大きさよりも拡大されて表示され、拡大率が100%未満の場合は、そのスプライトが標準的な大きさもよりも縮小されて表示される。
【0629】
回転角度は、スプライトを回転させて表示させる場合の回転角度を特定するための情報である。半透明値は、スプライト全体の透明度を特定するためのものであり、半透明値が高いほど、スプライトの背面側に表示される画像が透けて見えるように画像が表示される。αブレンディング情報は、他のスプライトとの重ね合わせ処理を行う場合に用いられる既知のαブレンディング係数を特定するための情報である。色情報は、表示すべきスプライトの色調を指定するための情報である。そして、フィルタ指定情報は、指定されたスプライトを描画する場合に、そのスプライトに対して施すべき画像フィルタを指定するための情報である。
【0630】
変動表示データテーブルでは、各アドレスに対応して規定される1フレーム分の描画内容として、1つの背面画像、9個の第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)、その画像において光の差し込みなどを表現するエフェクト、少年画像や文字などの各種演出に用いられるキャラクタといった各スプライトに対する描画情報が、アドレス毎に規定されている。なお、エフェクトやキャラクタに関する情報は、そのフレームに表示すべき内容に合わせて、1つ又は複数規定される。
【0631】
ここで、背面画像は、表示位置は第3図柄表示装置81の画面全体に固定され、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報およびフィルタ指定情報は、時間経過に対して一定とされるので、変動表示データテーブルでは、背面画像の種別を特定するための情報である背面種別のみが規定されている。この背面種別は、遊技者によって選択されているステージ(「街中ステージ」、「森ステージ」、「川ステージ」、「空ステージ」、「島ステージ」のいずれか)に対応する背面A〜Eのいずれかを表示させるか、背面A〜Eとは異なる背面画像を表示させるかを特定する情報が記載されている。また、背面種別は、背面A〜Eとは異なる背面画像を表示させることを特定する場合、どの背面画像を表示させるかを特定する情報も合わせて記載されている。
【0632】
MPU231は、この背面種別によって、背面A〜Eのいずれかを表示させることが特定される場合は、背面A〜Eのうち抽選により決定されたステージに対応する背面画像を描画対象として特定し、また、そのフレームに対して表示すべき背面画像の範囲を時間経過に合わせて特定する。一方、背面A〜Eとは異なる背面画像を表示させることが特定される場合は、背面種別から表示させるべき背面画像を特定する。
【0633】
なお、本実施形態では、表示データテーブルにおいて、背面画像の描画内容として背面種別のみを規定する場合について説明するが、これに代えて、背面種別と、その背面種別に対応する背面画像のどの範囲を表示すべきかを示す位置情報とを規定するようにしてもよい。この位置情報は、例えば、初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間を示す情報であってもよい。この場合、MPU231は、そのフレームに対して表示すべき背面画像の範囲を、位置情報により示される初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間に基づいて特定する。
【0634】
また、位置情報は、この表示データテーブルに基づく画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間を示す情報であってもよい。この場合、MPU231は、そのフレームに対して表示すべき背面画像の範囲を、表示用データベースに基づき画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始された段階で表示されていた背面画像の位置と、位置情報により示される該画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間とに基づいて特定する。
【0635】
更に、位置情報は、背面種別に応じて、初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間を示す情報および表示データテーブルに基づく画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間を示す情報のいずれかを示すものであってもよいし、背面種別および位置情報とともに、その位置情報の種別情報(例えば、初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間を示す情報であるか、表示用データベースに基づく画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間を示す情報であるかを示す情報)を、背面画像の描画内容として規定してもよい。その他、位置情報は、経過時間を示す情報ではなく、表示すべき背面画像の範囲が格納されたアドレスを示す情報であってもよい。
【0636】
第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)は、表示すべき第3図柄を特定するための図柄種別情報として、図柄種別オフセット情報が記載されている。このオフセット情報は、各第3図柄に付された数字の差分を表す情報である。第3図柄の種別を直接特定するのではなく、オフセット情報を特定するのは、変動演出における第3図柄の表示は、1つ前に行われた変動演出の停止図柄および今回行われる変動演出の停止図柄に応じて変わるためであり、変動が開始されてから所定時間経過するまでの図柄オフセット情報では、1つ前に行われた変動演出の停止図柄からのオフセット情報を記載する。これにより、1つ前の変動演出における停止図柄から変動演出が開始される。
【0637】
一方、変動が開始されてから所定時間経過後は、音声ランプ制御装置113を介して主制御装置110より受信した停止種別コマンド(表示用停止種別コマンド)に応じて設定される停止図柄からのオフセット情報を記載する。これにより、変動演出を、主制御装置110より指定された停止種別に応じた停止図柄で停止させることができる。
【0638】
なお、各第3図柄には固有の数字が付されているので、1つ前の変動演出における変動図柄や、主制御装置110より指定された停止種別に応じた停止図柄を、その第3図柄に付された数字で管理し、また、オフセット情報を、各第3図柄に付された数字の差分で表すことにより、そのオフセット情報から容易に表示すべき第3図柄を特定することができる。
【0639】
また、図柄オフセット情報において、1つ前に行われた変動演出の停止図柄のオフセット情報から今回行われている変動演出の停止図柄のオフセット情報に切り替えられる所定時間は、第3図柄が高速に変動表示されている時間となるように設定されている。第3図柄が高速に変動表示されている間は、その第3図柄が遊技者に視認不能な状態であるので、その間に、図柄オフセット情報を1つ前に行われた変動演出の停止図柄のオフセット情報から今回行われている変動演出の停止図柄のオフセット情報に切り替えることによって、第3図柄の数字の連続性が途切れても、その数字の連続性の途切れを遊技者に認識させないようにすることができる。
【0640】
表示データテーブルの先頭アドレスである「0000H」には、データテーブルの開始を示す「Start」情報が記載され、表示データテーブルの最終アドレス(
図37の例では、「02F0H」)には、データテーブルの終了を示す「End」情報が記載されている。そして、「Start」情報が記載されたアドレス「0000H」と「End」情報が記載されたアドレスとの間の各アドレスに対して、その表示データテーブルで規定すべき演出態様に対応させた描画内容が記載されている。
【0641】
MPU231は、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、使用する表示データテーブルを選定し、その選定した表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに格納すると共に、ポインタ233fを初期化する。そして、1フレーム分の描画処理が完了する度にポインタ233fを1加算し、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいて、ポインタ233fが示すアドレスに規定された描画内容に基づき、次に描画すべき画像内容を特定して後述する描画リスト(
図33参照)を作成する。この描画リストを画像コントローラ237に送信することで、その画像の描画指示を行う。これにより、ポインタ233fの更新に従って、表示データテーブルで規定された順に描画内容が特定されるので、その表示データテーブルで規定された通りの画像が第3図柄表示装置81に表示される。
【0642】
このように、本パチンコ機10では、表示制御装置114において、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、MPU231により実行すべきプログラムを変更するのではなく、表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに適宜置き換えるという単純な操作だけで、第3図柄表示装置81に表示すべき演出画像を変更することができる。
【0643】
ここで、従来のパチンコ機のように、第3図柄表示装置81に表示させる演出画像を変更する度にMPU231で実行されるプログラムを起動するように構成した場合、演出画像の多種多様化に伴って複雑かつ膨大化するプログラムの起動や実行の処理に多大な負荷がかかるため、表示制御装置114における処理能力が制限となって、制御可能な演出画像の多様化に限界が生じてしまうおそれがあった。これに対し、本パチンコ機10では、表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに適宜置き換えるという単純な操作だけで、第3図柄表示装置81に表示すべき演出画像を変更することができるので、表示制御装置114の処理能力に関係なく、多種多様な演出画像を第3図柄表示装置81に表示させることができる。
【0644】
また、このように各演出態様に対応して表示データテーブルを用意し、表示すべき演出態様に応じた表示データテーブルバッファを設定して、その設定されたデータテーブルに従い、1フレームずつ描画リストを作成することができるのは、パチンコ機10では、始動入賞に基づいて行われる抽選の結果に基づいて、予め第3図柄表示装置81に表示させる演出が決定されるためである。これに対し、パチンコ機といった遊技機を除くゲーム機などでは、ユーザの操作に基づいてその場その場で表示内容が変わるため、表示内容を予測することができず、よって、上述したような各演出態様に対応する表示データテーブルを持たせることはできない。このように、各演出態様に対応して表示データテーブルを用意し、表示すべき演出態様に応じた表示データテーブルバッファを設定して、その設定されたデータテーブルに従い、1フレームずつ描画リストを作成する構成は、パチンコ機10が、始動入賞に基づいて行われる抽選の結果に基づき予め第3図柄表示装置81に表示させる演出態様を決定する構成であることに基づいて初めて実現できるものである。
【0645】
次いで、
図37を参照して、転送データテーブルの詳細について説明する。
図37は、転送データテーブルの一例を模式的に示した模式図である。転送データテーブルは、演出毎に用意された表示データテーブルに対応して用意されるもので、上述したように、表示データテーブルで規定されている演出において使用されるスプライトの画像データのうち、常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに転送するための転送データ情報ならびにその転送タイミングが規定されている。
【0646】
なお、表示データテーブルに規定された演出において使用されるスプライトの画像データが、全て常駐用ビデオRAM235に格納されていれば、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルは用意されていない。これにより、データテーブル格納エリア233bの容量増大を抑制することができる。
【0647】
転送データテーブルは、表示データテーブルにおいて規定されるアドレスに対応させて、そのアドレスで示される時間に転送を開始すべきスプライトの画像データ(以下、「転送対象画像データ」と称す)の転送データ情報が記載されている(
図37のアドレス「0001H」及び「0097H」が該当)。ここで、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、その転送対象画像データの転送開始タイミングが設定されており、転送データテーブルでは、その転送開始タイミングに対応するアドレスに対応させて、転送対象画像データの転送データ情報が規定される。
【0648】
一方、表示データテーブルにおいて規定されるアドレスで示される時間に、転送を開始すべき転送対象画像データが存在しない場合は、そのアドレスに対応して転送を開始すべき転送対象画像データが存在しないことを意味するNullデータが規定される(
図37のアドレス「0002H」が該当)。
【0649】
転送データ情報としては、その転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスが含まれる。
【0650】
なお、転送データテーブルの先頭アドレスである「0000H」には、表示データテーブルと同様に、データテーブルの開始を示す「Start」情報が記載され、転送データテーブルの最終アドレス(
図37の例では、「02F0H」)には、データテーブルの終了を示す「End」情報が記載されている。そして、「Start」情報が記載されたアドレス「0000H」と「End」情報が記載されたアドレスとの間の各アドレスに対して、その転送データテーブルで規定すべき転送対象画像データの転送データ情報が記載されている。
【0651】
MPU231は、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、使用する表示データテーブルを選定すると、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが存在する場合は、その転送データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、後述するワークRAM233の転送データテーブルバッファ233eに格納する。そして、ポインタ233fの更新毎に、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルから、ポインタ233fが示すアドレスに規定された描画内容を特定して、後述する描画リスト(
図33参照)を作成すると共に、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルから、その時点において転送を開始すべき所定のスプライトの画像データの転送データ情報を取得して、その転送データ情報を作成した描画リストに追加する。
【0652】
例えば、
図37の例では、ポインタ233fが「0001H」や「0097H」となった場合に、MPU231は、転送データテーブルの当該アドレスに規定された転送データ情報を、表示データテーブルに基づいて作成した描画リストに追加して、その追加後の描画リストを画像コントローラ237へ送信する。一方、ポインタ233fが「0002H」である場合、転送データテーブルのアドレス「0002H」には、Nullデータが規定されているので、転送を開始すべき転送対象画像データが存在しないと判断し、生成した描画リストに転送データ情報を追加せずに、描画リストを画像コントローラ237へ送信する。
【0653】
そして、画像コントローラ237は、MPU231より受信した描画リストに転送データ情報が記載されていた場合、その転送データ情報に従って、転送対象画像データを、キャラクタROM234から画像格納エリア236aの所定のサブエリアに転送する処理を実行する。
【0654】
ここで、上述したように、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、転送データテーブルでは、転送対象画像データの転送データ情報が所定のアドレスに対して規定されているので、この転送データテーブルに規定された転送データ情報に従って、画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aに転送することにより、表示データテーブルに従って所定のスプライトを描画する場合に、そのスプライトの描画に必要な常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。そして、その画像格納エリア236aに格納された画像データを用いて、表示データテーブルに基づき、所定のスプライトの描画を行うことができる。
【0655】
これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
【0656】
また、本パチンコ機10では、表示制御装置114において、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定するのに合わせて、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが転送データテーブルバッファ233eに設定されるので、その表示データテーブルで用いられるスプライトの画像データを、所望のタイミングで確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
【0657】
また、転送データテーブルでは、スプライトに対応する画像データ毎にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ画像データが転送されるように、その転送データ情報を規定する。これにより、その画像データの転送をスプライト毎に管理し、また、制御することができるので、その転送に係る処理を容易に行うことができる。そして、スプライト単位でキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236への画像データの転送を制御することにより、その処理を容易にしつつ、詳細に画像データの転送を制御できる。よって、転送にかかる負荷の増大を効率よく抑制することができる。
【0658】
また、転送データテーブルは、表示データテーブルと同様のデータ構造を有し、表示データテーブルにおいて規定されるアドレスに対応させて、そのアドレスで示される時間に転送を開始すべき転送対象画像データの転送データ情報が規定されているので、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルに基づいて所定のスプライトの画像データが用いられる前に、確実にその画像データが通常用ビデオRAM236へ格納されるように、転送開始のタイミングを指示することができるので、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、多種多様な演出画像を容易に第3図柄表示装置81に表示させることができる。
【0659】
簡易画像表示フラグ233cは、第3図柄表示装置81に、
図34(a)〜(c)に示す電源投入時画像(電源投入時主画像および電源投入時変動画像)を表示するか否かを示すフラグである。この簡易画像表示フラグ233cは、電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データが常駐用ビデオRAMの電源投入時主画像エリア235a又は電源投入時変動画像エリア235bに転送された後に、MPU231により実行されるメイン処理(
図73参照)の中でオンに設定される(
図73のS6005参照)。そして、画像転送処理の常駐画像転送処理によって、全ての常駐対象画像データが常駐用ビデオRAM235に格納された段階で、第3図柄表示装置81に電源投入時画像以外の画像を表示させるために、オフに設定される(
図85(b)のS7605参照)。
【0660】
この簡易画像表示フラグ233cは、画像コントローラ237から送信されるV割込信号を検出する毎にMPU231によって実行されるV割込処理の中で参照され(
図75(b)のS6301参照)、簡易画像表示フラグ233cがオンである場合は、電源投入時画像が第3図柄表示装置81に表示されるように、簡易コマンド判定処理(
図75(b)のS6308参照)および簡易表示設定処理(
図75(b)のS6309参照)が実行される。一方、簡易画像表示フラグ233cがオフである場合は、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンドに応じて、種々の画像が表示されるように、コマンド判定処理(
図76〜
図81参照)および表示設定処理(
図82〜
図84参照)が実行される。
【0661】
また、簡易画像表示フラグ233cは、V割込処理の中でMPU231により実行される転送設定処理の中で参照され(
図85(a)のS7501参照)、簡易画像表示フラグ233cがオンである場合は、常駐用ビデオRAM235に格納されていない常駐対象画像データが存在するため、常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送する常駐画像転送設定処理(
図85(b)参照)を実行し、簡易画像表示フラグ233cがオフである場合は、描画処理に必要な画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送する通常画像転送設定処理(
図86参照)を実行する。
【0662】
表示データテーブルバッファ233dは、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド等に応じて第3図柄表示装置81に表示させる演出態様に対応する表示データテーブルを格納するためのバッファである。MPU231は、その音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド等に基づいて、第3図柄表示装置81に表示させる演出態様を判断し、その演出態様に対応する表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから選定して、その選定された表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに格納する。そして、MPU231は、ポインタ233fを1ずつ加算しながら、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいてそのポインタ233fで示されるアドレスに規定された描画内容に基づき、1フレーム毎に画像コントローラ237に対する画像描画の指示内容を記載した後述の描画リスト(
図33参照)を生成する。これにより、第3図柄表示装置81には、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルに対応する演出が表示される。
【0663】
MPU231は、ポインタ233fを1ずつ加算しながら、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいてそのポインタ233fで示されるアドレスに規定された描画内容に基づき、1フレーム毎に画像コントローラ237に対する画像描画の指示内容を記載した後述の描画リスト(
図38参照)を生成する。これにより、第3図柄表示装置81には、表示データテーブルに対応する演出が表示される。
【0664】
転送データテーブルバッファ233eは、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド等に応じて、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルに対応する転送データテーブルを格納するためのバッファである。MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに表示データテーブルを格納するのに合わせて、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから選定して、その選定された転送データテーブルを転送データテーブルバッファ233eに格納する。なお、表示データテーブルバッファ233dに格納される表示データテーブルにおいて用いられるスプライトの画像データが全て常駐用ビデオRAM235に格納されている場合は、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが用意されていないので、MPU231は、転送データテーブルバッファ233eに転送対象画像データが存在しないことを意味するNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする。
【0665】
そして、MPU231は、ポインタ233fを1ずつ加算しながら、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルにおいてそのポインタ233fで示されるアドレスに規定された転送対象画像データの転送データ情報が規定されていれば(即ち、Nullデータが記載されていなければ)、1フレーム毎に生成される画像コントローラ237に対する画像描画の指示内容を記載した後述の描画リスト(
図38参照)に、その転送データ情報を追加する。
【0666】
これにより、画像コントローラ237は、MPU231より受信した描画リストに転送データ情報が記載されていた場合、その転送データ情報に従って、転送対象画像データを、キャラクタROM234から画像格納エリア236aの所定のサブエリアに転送する処理を実行する。ここで、上述したように、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、転送データテーブルでは、転送対象画像データの転送データ情報が所定のアドレスに対して規定されている。よって、この転送データテーブルに規定された転送データ情報に従って、画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aに転送することにより、表示データテーブルに従って所定のスプライトを描画する場合に、そのスプライトの描画に必要な常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。
【0667】
これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
【0668】
ポインタ233fは、表示データテーブルバッファ233dおよび転送データテーブルバッファ233eの各バッファにそれぞれ格納された表示データテーブルおよび転送データテーブルから、対応する描画内容もしくは転送対象画像データの転送データ情報を取得すべきアドレスを指定するためのものである。MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに表示データテーブルが格納されるのに合わせて、ポインタ233fを一旦0に初期化する。そして、画像コントローラ237から1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒ごとに送信されるV割込信号に基づいてMPU231により実行されるV割込処理の表示設定処理(
図75(b)のS6303参照)の中で、ポインタ更新処理(
図84のS7205参照)が実行され、ポインタ233fの値が1ずつ加算される。
【0669】
MPU231は、このようなポインタ233fの更新が行われる毎に、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルから、ポインタ233fが示すアドレスに規定された描画内容を特定して、後述する描画リスト(
図38参照)を作成すると共に、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルから、その時点において転送を開始すべき所定のスプライトの画像データの転送データ情報を取得して、その転送データ情報を作成した描画リストに追加する。
【0670】
これにより、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルに対応する演出が第3図柄表示装置81に表示される。よって、表示データテーブルバッファ233dに格納する表示データテーブルを変更するだけで、容易に第3図柄表示装置81に表示させる演出を変更することができる。従って、表示制御装置114の処理能力に関わらず、多種多様な演出を表示させることができる。
【0671】
また、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルが格納されている場合は、その転送データテーブルに基づいて、対応する表示データテーブルによって所定のスプライトの描画が開始されるまでに、そのスプライトの描画で用いられる常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
【0672】
描画リストエリア233gは、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブル、及び、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルに基づいて生成される、1フレーム分の画像の描画を画像コントローラ237に指示する描画リストを格納するためのエリアである。
【0673】
ここで、
図38を参照して、描画リストの詳細について説明する。
図38は、描画リストの内容を模式的に示した模式図である。描画リストは、画像コントローラ237に対して、1フレーム分の画像の描画を指示する指示表であり、
図38に示すように、1フレームの画像で使用する背面画像、第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)、エフェクト(エフェクト1,エフェクト2,・・・)、キャラクタ(キャラクタ1,キャラクタ2,・・・,保留球数図柄1,保留球数図柄2,・・・,エラー図柄)といったスプライト毎に、そのスプライトの詳細な描画情報(詳細情報)を記述したものである。また、描画リストには、画像コントローラ237に対して所定の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送させるための転送データ情報もあわせて記述される。
【0674】
各スプライトの詳細な描画情報(詳細情報)には、対応するスプライト(表示物)の画像データが格納されているRAM種別(常駐用ビデオRAM235か、通常用ビデオRAM236か)を示す情報と、そのアドレスとが記述されており、画像コントローラ237は、そのRAM種別およびアドレスによって指定されるメモリ領域から、当該スプライトの画像データを取得する。また、その詳細な描画情報(詳細情報)には、表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報およびフィルタ指定情報が含まれており、画像コントローラ237は、各種ビデオRAMより読み出した当該スプライトの画像データにより生成される標準的な画像に対し、拡大率に応じて拡大縮小処理を施し、回転角度に応じて回転処理を施し、半透明値に応じて半透明化処理を施し、αブレンディング情報に応じて他のスプライトとの合成処理を施し、色情報に応じて色調補正処理を施し、フィルタ指定情報に応じてその情報により指定された方法でフィルタリング処理を施した上で、表示位置座標に示される表示位置に各種処理を施して得られた画像を描画する。そして、描画した画像は、画像コントローラ237によって、描画対象バッファフラグ233jで指定される第1フレームバッファ236b又は第2フレームバッファ236cのいずれかに展開される。
【0675】
MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいて、ポインタ233fによって示されるアドレスに規定された描画内容と、その他の描画すべき画像の内容(例えば、保留球数図柄を表示する保留画像や、エラーの発生を通知する警告画像など)とに基づき、1フレーム分の画像の描画に用いられる全スプライトに対する詳細な描画情報(詳細情報)を生成すると共に、その詳細情報をスプライト毎に並び替えることによって描画リストを作成する。
【0676】
ここで、各スプライトの詳細情報のうち、スプライト(表示物)のデータの格納RAM種別とアドレスとは、表示データテーブルに規定されるスプライト種別や、その他の画像の内容から特定されるスプライト種別に応じて生成される。即ち、スプライト毎に、そのスプライトの画像データが格納される常駐用ビデオRAM235のエリア、又は、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aのサブエリアが固定されているので、MPU231は、スプライト種別に応じて、そのスプライトの画像データが格納されている格納RAM種別とアドレスとを即座に特定し、それらの情報を描画リストの詳細情報に容易に含めることができる。
【0677】
また、MPU231は、各スプライトの詳細情報のうち、その他の情報(表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報およびフィルタ指定情報)について、表示データテーブルに規定されるそれらの情報をそのままコピーする。
【0678】
また、MPU231は、描画リストを生成するにあたり、1フレーム分の画像の中で、最も背面側に配置すべきスプライトから前面側に配置すべきスプライト順に並び替えて、それぞれのスプライトに対する詳細な描画情報(詳細情報)を記述する。即ち、描画リストでは、最初に背面画像に対応する詳細情報が記述され、次いで、第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)、エフェクト(エフェクト1,エフェクト2,・・・)、キャラクタ(キャラクタ1,キャラクタ2,・・・,保留球数図柄1,保留球数図柄2,・・・,エラー図柄)の順に、それぞれのスプライトに対応する詳細情報が記述される。
【0679】
画像コントローラ237では、描画リストに記述された順番に従って、各スプライトの描画処理を実行し、フレームバッファにその描画されたスプライトを上書きによって展開していく。従って、描画リストによって生成した1フレーム分の画像において、最初に描画したスプライトが最も背面側に配置させ、最後に描画したスプライトが最も前面側に配置させることができるのである。
【0680】
また、MPU231は、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルにおいて、ポインタ233fによって示されるアドレスに転送データ情報が記載されている場合、その転送データ情報(転送対象画像データが格納されたキャラクタROM234における格納元先頭アドレスおよび格納元最終アドレスと、その転送対象画像データを格納すべき画像格納エリア236aに設けられたサブエリアの格納先先頭アドレス)を、描画リストの最後に追加する。画像コントローラ237は、描画リストにこの転送データ情報が含まれていれば、その転送データ情報に基づいて、キャラクタROM234の所定の領域(格納元先頭アドレスおよび格納元最終アドレスによって示される領域)から画像データを読み出して、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに設けられた所定のサブエリア(格納先アドレス)に、転送対象となる画像データを転送する。
【0681】
計時カウンタ233hは、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにより第3図柄表示装置81にて表示される演出の演出時間をカウントするカウンタである。MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに一の表示データテーブルを格納するのに合わせて、その表示データテーブルに基づいて表示される演出の演出時間を示す時間データを設定する。この時間データは、演出時間を第3図柄表示装置81における1フレーム分の画像表示時間(本実施形態では、20ミリ秒)で割った値である。
【0682】
そして、1フレーム分の画像の描画処理および表示処理が完了する20ミリ秒毎に画像コントローラ237から送信されるV割込信号に基づいて、MPU231により実行されるV割込処理(
図75(b)参照)の表示設定処理が実行される度に、計時カウンタ233hが1ずつ減算される(
図82のS7207参照)。その結果、計時カウンタ233hの値が0以下となった場合、MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにより表示される演出が終了したことを判断し、演出終了に合わせて行うべき種々の処理を実行する。
【0683】
格納画像データ判別フラグ233iは、対応する画像データが常駐用ビデオRAM235に常駐されない全てのスプライトに対して、それぞれ、そのスプライトに対応する画像データが通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに格納されているか否かを表す格納状態を示すフラグである。
【0684】
この格納画像データ判別フラグ233iは、電源投入時にメイン処理の中でMPU231により実行される初期設定処理(
図74のS6002参照)によって生成される。ここで生成される格納画像データ判別フラグ233iは、全てのスプライトに対する格納状態が、画像格納エリア236aに格納されていないことを示す「オフ」に設定される。
【0685】
そして、格納画像データ判別フラグ233iの更新は、MPU231により実行される通常画像転送設定処理(
図86参照)の中で、一のスプライトに対応する転送対象画像データの転送指示を設定した場合に行われる。この更新では、転送指示が設定された一のスプライトに対応する格納状態を、対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されていることを示す「オン」に設定する。また、その一のスプライトと同じ画像格納エリア236aのサブエリアに格納されることになっているその他のスプライトの画像データは、一のスプライトの画像データが格納されることによって必ず未格納状態となるので、その他のスプライトに対応する格納状態を「オフ」に設定する。
【0686】
また、MPU231は、常駐用ビデオRAM235に画像データが常駐されていないスプライトの画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送する際に、格納画像データ判別フラグ233iを参照し、転送対象のスプライトの画像データが、既に通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに格納されているか否かを判断する(
図86のS7713参照)。そして、転送対象のスプライトに対応する格納状態が「オフ」であり、対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されていなければ、その画像データの転送指示を設定し(
図86のS7714参照)、画像コントローラ237に対して、その画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aの所定サブエリアに転送させる。一方、転送対象のスプライトに対応する格納状態が「オン」であれば、既に対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されているので、その画像データの転送処理を中止する。これにより、無駄にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して転送されるのを抑制することができ、表示制御装置114の各部における処理負担の軽減や、バスライン240におけるトラフィックの軽減を図ることができる。
【0687】
描画対象バッファフラグ233jは、2つのフレームバッファ(第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236c)の中から、画像コントローラ237によって描画された画像を展開するフレームバッファ(以下、「描画対象バッファ」と称す)を指定するためのフラグで、描画対象バッファフラグ233jが0である場合は描画対象バッファとして第1フレームバッファ236bを指定し、1である場合は第2フレームバッファ236cを指定する。そして、この指定された描画対象バッファの情報は、描画リストと共に画像コントローラ237に送信される(
図87のS7802参照)。
【0688】
これにより、画像コントローラ237は、描画リストに基づいて描画した画像を、指定された描画対象バッファ上に展開する描画処理を実行する。また、画像コントローラ237は、描画処理と同時並列的に、描画対象バッファとは異なるフレームバッファから先に展開済みの描画画像情報を読み出し、駆動信号と共に第3図柄表示装置81に対して、その画像情報を転送することで、第3図柄表示装置81に画像を表示させる表示処理を実行する。
【0689】
描画対象バッファフラグ233jは、描画対象バッファ情報が描画リストと共に画像コントローラ237に対して送信されるのに合わせて、更新される。この更新は、描画対象バッファフラグ233jの値を反転させることにより、即ち、その値が「0」であった場合は「1」に、「1」であった場合は「0」に設定することによって行われる。これにより、描画対象バッファは、描画リストが送信される度に、第1フレームバッファ236bと第2フレームバッファ236cとの間で交互に設定される。また、描画リストの送信は、1フレーム分の画像の描画処理および表示処理が完了する20ミリ秒毎に画像コントローラ237から送信されるV割込信号に基づいて、MPU231により実行されるV割込処理の描画処理(
図75(b)のS6306参照)が実行される度に行われる。
【0690】
即ち、あるタイミングで、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定されて、画像の描画処理および表示処理が実行されると、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒後に、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定される。これにより、先に第1フレームバッファ236bに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第2フレームバッファ236cに新たな画像が展開される。
【0691】
そして、更に次の20ミリ秒後には、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定される。これにより、先に第2フレームバッファ236cに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第1フレームバッファ236bに新たな画像が展開される。以後、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとを、20ミリ秒毎に、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかを交互に入れ替えて指定することによって、1フレーム分の画像の描画処理を行いながら、1フレーム分の画像の表示処理を20ミリ秒単位で連続的に行わせることができる。
【0692】
背面画像変更フラグ233wは、第3図柄表示装置81に表示される背面画像の種別を変更するか否かを判別するためのフラグである。この背面画像変更フラグ233wがオンであれば、背面画像の種別を変更することを意味し、オフであれば変更を行わないことを意味する。背面画像変更フラグ233wは、音声ランプ制御装置113から送信される背面画像変更コマンドを受信した場合にオンに設定される(
図81(a)のS7001参照)。また、この背面画像変更フラグ233wは、通常画像転送設定処理において参照され(
図86のS7709参照)、背面画像の変更処理が実行される際にオフに設定される(
図86のS7710参照)。これにより、音声ランプ制御装置113から受信した背面画像変更コマンドや演出モード変更コマンドに対応した背面画像を表示することができる。
【0693】
背面画像判別フラグ233xは、設定されている背面画像種別を示すフラグである。このフラグは、例えば1バイトで構成されており、各ビットに対して各背面種別が対応付けられている。この背面画像判別フラグ233xのうち、いずれかのビットがオンであれば、そのオンのビットに対応する背面種別が現在の背面種別として設定されていることを意味する。例えば、背面画像判別フラグ233xの0ビット目がオンであれば、背面Aが設定されていることを意味する。この背面画像判別フラグ233xは、音声ランプ制御装置113から送信される背面画像変更コマンドを受信した場合に、そのコマンドにより通知された背面画像に対応するビットがオンに設定される(
図81(a)のS7002参照)。この際、他のビットは全てオフに設定される。この背面画像判別フラグ233xにより、容易に現在設定されている背面種別を特定することができる。
【0694】
デモ表示フラグ233yは、デモ演出中であるか否かを示すフラグである。このデモ表示フラグ233yがオンであればデモ演出中であることを意味し、オフであればデモ演出中でないことを意味する。このデモ表示フラグ233yは、表示設定処理(
図82参照)において、デモ用表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定した場合にオンに設定され(
図82のS7221参照)、デモ用表示データテーブル以外の他の表示データテーブルが表示データテーブルバッファ233dに対して設定された場合にオフに設定される(
図77(a)のS6505、
図78(a)のS6705、
図78(b)のS6805、
図79のS6905参照)。このデモ表示フラグ233yにより、現在がデモ演出中であるか否かを容易に判別することができる。
【0695】
確定表示フラグ233zは、確定表示演出の実行中であるか否かを示すフラグである。ここで、確定表示演出とは、変動パターン後に停止図柄を所定期間(例えば、1秒)停止表示(確定表示)する演出を示す。この確定表示フラグ233zがオンであれば、確定表示演出中であることを意味し、オフであれば、確定表示演出中でないことを意味する。確定表示フラグ233zは、表示設定処理(
図82参照)の中で、確定表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定した場合にオンに設定され(
図82のS7214)、確定表示データテーブル以外の他の表示データテーブルが表示データテーブルバッファ233dに対して設定された場合にオフに設定される(
図86(a)のS6505、
図78(a)のS6705、
図78(b)のS6805、
図79のS6905参照)。この確定表示フラグ233zにより、現在が確定表示演出中であるか否かを容易に判別することができる。
【0696】
<第1実施形態における主制御装置により実行される制御処理について>
次に、
図39から
図58のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU201の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、その立ち上げ処理後に実行されるメイン処理と、定期的に(本実施形態では2m秒間隔で)起動されるタイマ割込処理と、NMI端子への停電信号SG1の入力により起動されるNMI割込処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込処理とNMI割込処理とを説明し、その後、立ち上げ処理とメイン処理とを説明する。
【0697】
図39は、主制御装置110内のMPU201により実行されるタイマ割込処理を示すフローチャートである。タイマ割込処理は、例えば2ミリ秒毎に実行される定期処理である。タイマ割込処理では、まず各種入賞スイッチの読み込み処理を実行する(S101)。即ち、主制御装置110に接続されている各種スイッチの状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。
【0698】
次に、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を実行する(S102)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では399)に達した際、0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。同様に、第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では999)に達した際、0にクリアし、その第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値をRAM203の該当するバッファ領域に格納する。
【0699】
更に、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、第2当たり乱数カウンタC4の更新を実行する(S103)。具体的には、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、第2当たり乱数カウンタC4をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施形態ではそれぞれ、399,99,999)に達した際、それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1,C2,C4の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。
【0700】
次に、第1図柄表示装置37a,37bにおいて表示を行うための処理であると共に、第3図柄表示装置81による第3図柄の変動パターンなどを設定する特別図柄変動処理を実行する(S104)。その後、特図入球口64への球の入球(始動入賞)や普電入賞装置640への球の入球(始動入賞)に伴う始動入賞処理を実行する(S105)。尚、特別図柄変動処理、始動入賞処理の詳細は、
図40〜
図47を参照して後述する。
【0701】
始動入賞処理を実行した後は、第2図柄表示装置において表示を行うための処理である普通図柄変動処理を実行し(S106)、普通図柄始動口(スルーゲート)67における球の通過に伴うスルーゲート通過処理を実行する(S107)。尚、普通図柄変動処理、及び、スルーゲート通過処理の詳細は、
図48および
図49を参照して後述する。スルーゲート通過処理を実行した後は、特電始動口入賞処理を実行し(S108)、次いで、V入口通過処理(S109)とV通過処理(S110)を実行する。尚、特電始動口入賞処理、V入口通過処理、およびV通過処理の詳細は、
図50から52を参照して後述する。V通過処理を実行した後は、次いで、発射制御処理を実行し(S111)、更に、定期的に実行すべきその他の処理を実行して(S112)、タイマ割込処理を終了する。なお、発射制御処理は、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、且つ、発射を停止させるための発射停止スイッチ51bが操作されていないことを条件に、球の発射のオン/オフを決定する処理である。主制御装置110は、球の発射がオンである場合に、発射制御装置112に対して球の発射指示をする。
【0702】
次に、
図40を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行されるタイマ割込処理の一処理である特別図柄変動処理(S104)を説明する。
図40は、この特別図柄変動処理(S104)を示すフローチャートである。特別図柄変動処理(
図40、S104)は、特別図柄を、取得した各カウンタ値に基づいて、各種判定(当否判定)や決定を行い、所定の制御によりその決定された変動表示態様で、第1図柄表示装置37に変動表示を可能に制御したり、第3図柄表示装置81にて第3図柄、第4図柄の変動表示演出を実行させるための各種コマンドを設定したり、判定結果(当否判定結果)を示す表示態様で停止表示させるための制御が実行される。以下、特別図柄変動処理(
図40、S104)について説明する。
【0703】
特別図柄変動処理(
図40、S104)では、まず、大当たり遊技中(大当たり中)、或いは役物当たり遊技中(役物当たり中)であるかを判別する(S201)。ここでは、遊技状態格納エリア203gに記憶されている情報に基づいて現在が大当たり遊技中(大当たり中)、或いは役物当たり遊技中(役物当たり中)であるかが判別される。
【0704】
S201の処理において、大当たり中又は役物当たり中であると判別した場合には(S201:Yes)、次に、特図仮停止フラグ203mがオンに設定されているかを判別し(S202)、オンに設定されていると判別した場合は(S202:Yes)、仮停止されている特図に対応する第1図柄表示装置83の表示を更新し(S203)、本処理を終了する。一方、S202の処理において、特図仮停止フラグ203mがオンに設定されていないと判別した場合は(S202:No)、そのまま本処理を終了する。
【0705】
ここで、特図仮停止フラグ203mは、役物当たり遊技が実行される場合オンに設定されるものである。本実施形態では、役物当たり遊技が実行されている間は、特別図柄の抽選結果を示すための変動表示(特図変動表示)に設定されている変動時間が更新(減算)されないように構成しており、その期間は、第1図柄表示装置83にて特別図柄の変動表示が仮停止されていることを示すための仮停止表示態様が表示されるように構成している。
【0706】
このように構成することで、遊技者に対して、役物当たり遊技の開始に伴って実行中であった特別図柄の変動表示が仮停止していることを報知することができるため、実行中の特別図柄変動が消滅してしまったと遊技者に不信感を与えてしまうことを抑制することができる。なお、特別図柄の変動表示が仮停止中であることを示すための表示態様としては、例えば、通常の変動表示中であることを示すための表示態様(例えば、0.2秒間隔で点灯、消灯を繰り返す点滅表示態様)と同一の表示態様でも良いし、変動表示中であることを示すための表示態様よりも点滅間隔が遅い表示態様(例えば、0.5秒間隔で点灯、消灯を繰り替える点滅表示態様)を用いても良い。さらに、第1図柄表示装置83の表示態様として複数色の表示態様を表示可能に構成している場合は、仮停止中である場合にのみ表示され得る専用色を用いた点滅表示態様を用いても良い。
【0707】
一方、S201の処理において、現在が大当たり中、或いは役物当たり中では無いと判別した場合には(S201:No)、特図変動時間カウンタ203nの値が0よりも大きいか、即ち、特別図柄が変動表示中であるかを判別する(S204)。特別図柄の変動表示中である(特図変動時間カウンタ203nの値が0よりも大きい)と判別した場合には(S204:Yes)、特別図柄変動実行中処理を実行する(S206)。
【0708】
この特別図柄変動実行中処理(S206)では、特別図柄が変動している期間中に第1図柄表示装置83に表示されている特別図柄の変動表示態様を可変(更新)するための処理が実行される。この特別図柄変動実行中処理(S206)については、
図44を参照して詳しく後述する。
【0709】
そして、S206の処理を終えると、次に、特別図柄変動実行中処理(S206)にて更新された特図変動時間カウンタ203nの値が0であるかを判別し(S207)、S207の処理にて特図変動時間カウンタ203nが0であると判別した場合は(S207:Yes)、特別図柄変動停止処理を実行し(S208)、その後、本処理を終了する。
【0710】
特別図柄変動停止処理(S208)では、変動表示中の特別図柄に規定されている変動時間が経過した場合に、特別図柄の抽選結果を示す図柄で変動表示を停止する処理が実行される。この特別図柄変動停止処理(S208)の詳細については、
図45を参照して後述する。また、S207の処理にて特図変動時間カウンタ203nが0では無いと判別した場合は(S207:No)、そのまま本処理を終了する。
【0711】
一方、S204の処理において特図変動時間カウンタ203nが0よりも大きくない(0である)と判別した場合は(S204:No)、即ち、現在が特図変動中では無いと判別した場合は、次に、特別図柄変動開始処理を実行する(S205)。この特別図柄変動開始処理(S205)では、特別図柄の新たな抽選(変動)を実行するための処理が行われるものであり、新たな抽選(変動)を実行可能な状態であるかの判別と、新たな抽選(変動)を実行可能な状態である場合には、新たな抽選(変動)を行う処理が実行される。この特別図柄変動開始処理(S205)については、
図41から
図43を参照して詳しく後述する。特別図柄変動開始処理(S205)を実行した後、本処理を終了する。
【0712】
以上、
図40を参照して説明をした通り、本実施形態では特別図柄の抽選(変動)を実行可能な構成において、1回の特別図柄変動処理内で特別図柄に関する変動処理(S204〜S208)を実行するように構成している。よって、特別図柄に対して新たな抽選(変動)の実行が可能となった場合に遅滞なく変動処理を実行することができ、円滑な遊技を提供することができる。
【0713】
次に、
図41を参照して、特別図柄変動処理(
図40、S104)の一処理である特別図柄変動開始処理(S205)について説明する。
図41は、この特別図柄変動開始処理(S205)を示すフローチャートである。
【0714】
特別図柄変動開始処理(
図41のS205)では、まず、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N1)を取得し(S301)、取得した特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N1)が0より大きいかを判別する(S302)。特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N1)が0であると判別した場合には(S302:No)、そのまま本処理を終了する。一方、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N1)が0より大きいと判別した場合には(S302:Yes)、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N1)を1減算する(S303)。
【0715】
そして、減算後の保留球数を示した保留球数コマンドを設定し(S304)、特別図柄保留球格納エリア203aの保留エリア1〜保留エリア4に格納されているデータを、実行エリア側に順にシフトさせる処理を行う(S305)。より具体的には、保留エリア1→実行エリア、保留エリア2→保留エリア1、保留エリア3→保留エリア2、保留エリア4→保留エリア3といった具合に各エリア内のデータをシフトする。
【0716】
次に、特別図柄大当たり判定処理を実行する(S306)。この特別図柄大当たり判定処理(S306)の詳細については、
図42を参照して後述するが、特別図柄保留球実行エリア(図示せず)にシフトされた第1当たり乱数カウンタC1の値を用いて、設定されている遊技状態に基づいて、大当たりか否かの大当たり判定を実行する。
【0717】
次に、特別図柄変動パターン選択処理が実行される(S307)。特別図柄変動パターン選択処理(S307)は、詳しく後述するが、特別図柄保留球実行エリア(図示せず)に格納された変動種別カウンタCS2の値に基づいた当否判定の結果に基づいて、変動パターンを各カウンタ値に基づいて選択するための処理である。
【0718】
S307の処理を実行後、次いで、時短カウンタ203hの値が0より大きいかを判別する(S308)。時短カウンタ203hの値が0であると判別した場合には(S308:No)、そのまま本処理を終了する。一方、時短カウンタ203hの値が0より大きいと判別した場合には(S308:Yes)、次に、時短カウンタ203hの値が1であるか否かを判別する(S309)。時短カウンタ203hの値が1ではないと判別した場合には(S309:No)、時短カウンタ203hの値を1減算し(S310)、その後、本処理を終了する。一方、時短カウンタ203hの値が1であると判別した場合には(S309:Yes)、時短終了フラグ203jをオンに設定し(S311)、その後、本処理を終了する。
【0719】
つまり、本実施形態では、時短状態中において、特別図柄の変動開始タイミングに時短回数を更新するための処理を実行し、今回の特別図柄変動が時短状態における最終変動である場合には、時間回数を更新すること無く、時短終了フラグ203jをオンに設定する処理を実行するように構成している。詳細は後述するが、この時短終了フラグ203jの設定状況は、特別図柄の変動停止時に参照され、特別図柄の変動停止時に時短終了フラグ203jがオンに設定されている場合には、時短カウンタ203hの値を0にセットし、時短状態を終了させるように構成している。そして、特別図柄の変動中に特電遊技によって役物当たり遊技が実行され、V大当たり遊技が開始されると、時短終了フラグ203jをオフに設定する処理を実行するように構成している。
【0720】
このように構成することで、例えば、時短状態における特別図柄の最終変動中にV大当たり遊技が実行されることに基づいて、特別図柄変動が中断した場合には、その大当たり遊技終了後において、中断していた特別図柄変動の残期間に対応する特別図柄変動が再開されるが、その再開後の特別図柄変動が停止表示された場合には、時短終了フラグ203jがオフに設定されているため、時短状態が終了することが無い。また、特別図柄変動の再開時には、特別図柄変動開始処理(
図41のS205参照)が実行されないため、時短カウンタ203hの値が減算されることも無い。
【0721】
これにより、時短状態中に大当たり遊技(V大当たり遊技)が実行された場合には、その大当たり遊技に対応する大当たり種別(大当たりC)に対応する時短回数(4回)に中断中の特別図柄変動の残期間を加算した期間が、時短状態が設定される時短期間として設定されることになる。よって、通常状態中に特図遊技を実行し、特別図柄抽選で大当たり当選した場合に設定される時短状態の継続期間よりも、時短状態中に特電遊技を実行し、V入賞口165へと球の入賞で大当たり遊技(V大当たり遊技)を実行した場合のほうが、中断されている特別図柄変動の残期間が加算される分、遊技者に有利となる時短状態の継続期間を長くし易くすることができる。
【0722】
即ち、通常状態中の遊技に基づいて時短状態が設定される場合よりも、時短状態中の遊技に基づいて時短状態が再度設定される場合のほうが、設定される時短状態の継続期間を長くし易くすることができるため、遊技者に対して、より有利な遊技状態が設定されることを期待しながら意欲的に遊技を行わせることができる。
【0723】
さらに、特別図柄の変動開始タイミングに、時短回数を更新するための処理と、時短状態を終了させるための処理と、を実行する構成を用いた場合では、特別図柄変動の再開時には、特別図柄変動開始処理(
図41のS205参照)が実行されないため、時短カウンタ203hの値が減算されることは無いが、時短状態における最後の特別図柄変動の変動期間中の遊技状態が通常状態となるため、時短状態中の遊技を遊技者に最大限提供することができないという問題があった。
【0724】
これに対して、本実施形態では、時短回数を更新するための処理と、時短状態を終了させるための処理と、を異なるタイミングで実行可能に構成している。具体的には、特別図柄の変動開始タイミングにて時短回数を更新するための処理を実行し、特別図柄の変動停止タイミングにて時短状態を終了させるための処理を実行するように構成している。このように構成することで、特別図柄変動の再開時に時短回数が更新されること無く、且つ、時短状態における最後の特別図柄変動の変動期間中の遊技状態として時短状態を設定することができるため、遊技者に対して時短状態中の遊技を最大限提供することができる。
【0725】
なお、本実施形態では、特別図柄の変動停止タイミングにて時短状態を終了させるための処理を実行するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、次の特別図柄変動の開始条件が成立した状態であって、次の特別図柄変動の抽選が実行されるまでの期間、例えば、特別図柄変動開始処理(
図41のS205参照)においてS305の処理が実行され、S306の処理が実行される前のタイミングで時短状態を終了させるための処理を実行するように構成しても良い。
【0726】
また、詳細な説明は後述するが、本実施形態では、時短状態中における残時短回数の管理を音声ランプ制御装置113側で実行するように構成している。つまり、大当たり遊技終了時に設定される状態コマンドに含まれる遊技状態を示す情報(時短状態が設定されることを示す情報、時短回数を示す情報)を受信したことに基づいて、今回設定される時短状態の情報を記憶し、特別図柄変動が開始されることを示す特図変動パターンコマンドを受信したことに基づいて、残時短回数を更新することで、音声ランプ制御装置113側で時短状態の遊技状況を管理するように構成している。
【0727】
このように構成することで、主制御装置110の制御処理において、残時短回数を示すためのコマンドや、時短状態の最終変動(時短終了フラグ203jがオンに設定されたこと)を示すためのコマンドを設定しなくても、音声ランプ制御装置113が時短状態の遊技状況を管理し、現在の遊技状況に対応した演出態様を設定することができる。よって、主制御装置110における制御処理を簡素化することができる。
【0728】
次に、
図42を参照して、特別図柄変動開始処理(
図41のS205)の一処理である特別図柄大当たり判定処理(S306)について説明する。
図42は、この特別図柄大当たり判定処理(S306)を示すフローチャートである。
【0729】
特別図柄大当たり判定処理(
図42のS306)では、まず、特別図柄保留球実行エリア(図示せず)に記憶されている各カウンタ値を取得する(S401)。そして、第1当たり乱数テーブル202a(
図23(b)参照)に基づいて、S401の処理で取得した第1当たり乱数カウンタC1の値が大当たり判定値と一致するか否かを判定し、その抽選結果(判定結果)を取得する(S402)。
【0730】
S402の処理を終えると、次に、今回の抽選結果が大当たりであるかを判別し(S403)、大当たりであると判別した場合は(S403:Yes)、特別図柄の大当たり当選を示すように大当たりフラグ203iをオンに設定する(S404)。本実施形態では大当たりフラグ203iが、大当たり当選の有無を示す情報を記憶(設定)することが可能に構成されている。
【0731】
そして、特別図柄の抽選結果を大当たりに設定し(S405)、取得した当たり種別カウンタC2の値に基づいて、第1図柄表示装置37に表示する特別図柄の大当たり図柄をセットし(S406)、本処理を終了する。一方、S403の処理において今回の抽選結果が大当たりでは無いと判別した場合は(S403:No)、第1図柄表示装置37に特別図柄の外れ図柄をセットし(S407)、本処理を終了する。
【0732】
次に、
図43を参照して、特別図柄変動開始処理(
図41のS205)の一処理である特別図柄変動パターン選択処理(S307)について説明する。
図43はこの特別図柄変動パターン選択処理(S307)を示すフローチャートである。
【0733】
特別図柄変動パターン選択処理(
図43のS307)では、まず、特別図柄大当たり判定処理(
図42のS306)において、特別図柄の抽選結果が大当たりであるか否か、即ち、特別図柄の大当たりが設定されているか否かを判別する(S501)。ここで、大当たりであるか否かの判定は、特別図柄に対して大当たりフラグ203iがオンであるか否かで判別される。この大当たりフラグ203iは、上述した特別図柄大当たり判定処理(
図42参照)におけるS404の処理でオンに設定されるものである。
【0734】
S501の処理において、特別図柄の大当たりが設定されていると判別された場合には(S501:Yes)、大当たり種別選択テーブル202c(
図24参照)と、取得している第1当たり種別カウンタC2の値とに基づいて、大当たり種別を決定する(S502)。次いで、特別図柄実行エリアに格納されている変動種別カウンタCS2の値を取得し(S503)、遊技状態格納エリア203gに記憶されている情報に対応する現在の遊技状態(通常状態、潜伏状態、確変状態)に対応した変動パターン選択テーブル202dを読み出す(S504)。
【0735】
そして、S503の処理で取得した変動種別カウンタCS2の値と、S504の処理で読み出した変動パターン選択テーブル202dとに基づいて変動パターンを選択し(S505)、S505の処理で選択した変動パターンに基づいて、特図変動パターンコマンドを設定する(S506)。ここで設定される特図変動パターンコマンドには、特別図柄抽選の抽選結果、特別図柄の変動時間を示す情報が含まれており、主制御装置110のメイン処理(
図55)の外部出力処理(
図55のS1801参照)にて音声ランプ制御装置113へと出力される。
【0736】
次に、特別図柄の停止図柄を示す特図停止種別コマンドを設定し(S507)、第1図柄表示装置37で特別図柄の変動開始を設定し(S508)、選択した変動パターンの変動時間を示す値を特図変動時間カウンタ203nの値にセットし(S509)、本処理を終了する。S507の処理で設定される特図停止種別コマンドには、今回の特別図柄変動の結果を示す停止図柄の種別、即ち、リーチ外れや、リーチにならない外れといった大まかな種別を示す情報が含まれており、主制御装置110のメイン処理(
図55)の外部出力処理(
図55のS1801参照)にて音声ランプ制御装置113へと出力される。
【0737】
一方、S501の処理において、特別図柄の抽選結果が外れである(即ち、特別図柄に対する大当たりフラグ203iがオフである)と判別した場合には(S501:No)、S502の処理をスキップしてS503の処理へ移行する。
【0738】
次に、
図44を参照して、特別図柄変動処理(
図40のS104)の一処理である特別図柄変動実行中処理(S206)について説明をする。
図44は特別図柄変動実行中処理(S206)を示すフローチャートである。この特別図柄変動実行中処理(S206)では、実行中の特別図柄変動の変動時間を更新するための処理が実行される。
【0739】
特別図柄変動実行中処理(S206)では、まず、特図仮停止フラグ203mがオンに設定されているかを判別する(S701)。
【0740】
S701の処理において、特図仮停止フラグ203mがオンに設定されていると判別した場合は(S701:Yes)、特図変動再開コマンドを設定し(S702)、特図仮停止フラグ203mをオフに設定し(S703)、特図変動時間カウンタ203nの値を1減算し(S704)、第1図柄表示装置37の特別図柄の表示を更新し(S705)、本処理を終了する。
【0741】
本実施形態では、2ミリ秒毎に実行されるタイマ割込処理(
図39参照)にて実行される特別図柄変動処理(
図40のS104参照)内で、特別図柄変動実行中処理(
図44のS206参照)を実行するように構成しており、その特別図柄変動実行中処理(
図44のS205参照)内で特図変動時間カウンタ203nの値を更新(1減算)するように構成している。よって、例えば、特別図柄の変動時間として30秒の変動時間が設定された場合には、特図変動時間カウンタ203nの値として「15000」が設定され、2ミリ秒毎に値が1減算されるように構成している。
【0742】
一方、S701の処理において特図仮停止フラグ203mがオンに設定されていないと判別した場合(S701:No)は、S702,S703の処理をスキップしてS704の処理へ移行する。
【0743】
次に、
図45を参照して、特別図柄変動処理(
図40のS104)の一処理である特別図柄変動停止処理(S208)について説明する。
図45はこの特別図柄変動停止処理(S208)を示すフローチャートである。この特別図柄変動停止処理(S208)は、現在が特図変動時間カウンタ203nの値が「0」であると判別した場合、即ち、特別図柄(特図)の変動時間が経過した場合に実行される処理である。
【0744】
特別図柄変動停止処理(
図45のS208)を実行すると、まず大当たりフラグ203iがオンに設定されているかを判別する(S801)。大当たりフラグ203iがオンに設定されていると判別した場合には(S801:Yes)、次に、今回の特別図柄変動で当選した大当たりシナリオを設定し(S806)、大当たりフラグ202i、時短カウンタ203hの値をリセットし(S807)、遊技状態格納エリア203gに現在の遊技状態が大当たり中(大当たり遊技中)であることを示す情報を記憶し(S808)、S809の処理へ移行する。遊技状態格納エリア203gは、抽選遊技に関する遊技状態(通常状態、時短状態)と、当たり遊技に関する遊技状態を記憶することができるように構成しており、S808の処理を実行することにより、大当たり当選したタイミングにおける抽選遊技に関する遊技状態(通常状態、時短状態)と、大当たり中であることを示す遊技状態とが記憶される。
【0745】
このように構成することで、大当たり遊技終了時点で、大当たりに当選したタイミングで設定されていた遊技状態を判別することができる。
【0746】
一方、S801の処理において、大当たりフラグ203iがオフに設定されていると判別した場合、即ち、今回の特別図柄抽選の結果が外れであった場合には(S801:No)、次いで、時短終了フラグ203jがオンに設定されているか否かを判別する(S802)。時短終了フラグ203jがオンに設定されていると判別した場合には(S802:Yes)、即ち、今回変動停止された特別図柄変動が時短状態の最終変動であると判別した場合は、時短カウンタ203hの値を0にリセットし(S803)、時短終了フラグ203jをオフに設定し(S804)、遊技状態格納エリア203gに現在の遊技状態が通常状態であることを示す情報を記憶し(S805)、S809の処理へ移行する。S802の処理において、時短終了フラグ203jがオフに設定されていると判別した場合には(S802:No)、S803〜S805の処理をスキップし、S809の処理へ移行する。
【0747】
S809の処理では、特別図柄を確定停止することを音声ランプ制御装置113に対して指示するための特図確定コマンドを設定し(S809)、第1図柄表示装置37で変動表示している特別図柄の変動表示を停止する処理を実行し(S810)、本処理を終了する。
【0748】
このように、特別図柄変動停止処理(S208)では、特別図柄の抽選(抽選遊技)結果を示す図柄で変動表示を停止する処理(S809,S810)が実行される。
【0749】
なお、本実施形態では、特電作動口643に球が入賞し、役物当たり遊技が実行されると、実行中の特別図柄変動を中断させるように構成しているが、これに限ること無く、例えば、特電作動口643に球が入賞した場合に実行される所定判別の結果に基づいて、実行中の特別図柄変動を中断させるのでは無く、破棄するように構成しても良い。このように構成することで、時短状態の継続期間を示す特別図柄変動が中断する場合と、破棄される場合とを現出させることが可能となるため、時短状態の継続期間を急に減算(終了)させることが可能となり、遊技者に対して緊張感のある演出を実行することができる。
【0750】
次に、
図46を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行されるタイマ割込処理(
図39)の一処理である始動入賞処理(S105)を説明する。
図46は、この始動入賞処理(S105)を示すフローチャートである。始動入賞処理(
図46のS105)は、特図入球口64に球が入球(始動入賞)したか判別して、始動入賞した場合には、保留上限個数(特図入球口64に最大4個)まで、取得した各カウンタ値を特別図柄保留球格納エリア203aにそれぞれ格納する処理である。
【0751】
また、保留球に基づいて取得された各カウンタ値が、特別図柄保留球格納エリア203aにそれぞれ記憶されると、特別図柄保留球格納エリア203aのそれぞれに記憶されている各カウンタ値に基づいて、事前に当否判定結果や選択される変動パターン等を予測する処理(所謂、先読み処理)が実行される。以下、始動入賞処理(
図46のS105)について説明する。
【0752】
始動入賞処理(
図46のS105)では、まず、球が始動口である特図入球口64に入球(始動入賞)したか否かを判別する(S901)。ここでは、特図入球口64内に設けられた球検知スイッチ(図示せず)への球の入球を検出する。球が特図入球口64に入球した(始動入賞があった)と判別した場合には(S901:Yes)、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N1)を取得し(S902)、その取得した値(N1)が4未満であるかを判別する(S903)。
【0753】
つまり、現時点で特図入球口64に対する保留個数が上限値である4個よりも少ない状態であるか(即ち、保留個数が上限値まで記憶されていないか)が判別される。取得した値(N1)が4未満であると判別した場合には(S903:Yes)、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N1)を1加算し(904)、音声ランプ制御装置113に対して始動口の保留個数(特別図柄の抽選権利保留数)を通知するための保留球数コマンドを設定する(S905)。
【0754】
そして、各種カウンタ値(第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、変動種別カウンタCS1)の各値をカウンタ用バッファから読み出し(取得して)、RAM203の特別図柄保留球実行エリアの対応する保留球数の記憶エリアに各々保留(格納)する(S906)。
【0755】
次に、先読み処理を実行し(S907)、その後、本処理を終了する。この先読み処理(S907)については、
図47を参照して後述するが、新たに特別図柄保留球格納エリア203aに記憶された各カウンタ値から当否判定結果や、決定される変動パターン、停止種別等を判別する処理が実行される。なお、本実施形態では、新たに記憶された各カウンタ値に基づいて当否判定結果や、決定される変動パターン、停止種別等を判別する処理を実行するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、新たな始動入賞があった場合に、特別図柄保留球格納エリア203aに記憶(格納)されている全ての保留記憶に対して当否判定結果や、決定される変動パターン、停止種別等を判別する処理を実行するように構成しても良い。
【0756】
また、本実施形態では、特別図柄保留球格納エリア203aに新たな情報(入賞情報)を格納する場合、即ち、特別図柄の抽選権利を新たに獲得した場合に、特別図柄の抽選権利(入賞情報)の内容を事前に判別する構成としているが、これに限ること無く、例えば、球がスルーゲート67を通過した場合や、普通図柄の抽選結果に応じて、特別図柄の抽選権利(入賞情報)の内容を事前に判別するように構成しても良い。
【0757】
また、S901の処理で球が特図入球口64に入球していないと判別した場合(S901:No)、或いは、S903の処理で、現時点で特図入球口64に対する保留個数が上限値であると判別した場合(S903:No)は、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N1)を加算する処理をスキップして、本処理を終了する。
【0758】
上述した通り、本実施形態では、特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N1)を加算した場合に、加算された入賞に関する情報(入賞情報)に基づいた先読み処理(S907)を実行するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、S903の処理で特別図柄保留球数カウンタ203cの値(N1)が上限数(4)であると判別した場合(S903:No)、即ち、特別図柄の保留球数が上限に到達している状態で特図入球口64に球を入球させた場合に先読み処理(S907)を実行することができるように構成しても良い。これにより、特別図柄の保留球数が上限に到達している状態においても、先読み処理を実行させるために遊技者に継続して遊技を行わせることができる。また、特別図柄の保留球数が上限に到達している状態で特図入球口64に球を入球させた場合に付加価値を付与することができるため、特別図柄の保留球数が上限に到達している状態で特図入球口64に球が入球した際に遊技意欲が低下してしまうことを抑制することができる。
【0759】
次に、
図47を参照して、始動入賞処理(
図46のS105)の一処理である先読み処理(S907)について説明する。
図47は、この先読み処理(S907)を示すフローチャートである。
【0760】
先読み処理(
図47のS907)では、まず、新たに特別図柄保留格納エリア203aに記憶された格納エリアから各種カウンタ値である、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、変動種別カウンタCS1の各値を読み出す(S1001)。そして、読み出したデータを先読み保留記憶エリアの空いている記憶エリアのうち、入賞順序がもっとも小さいエリアに記憶する(S1002)。
【0761】
次に、新たに先読み保留記憶エリアに記憶された各カウンタ値に基づいて、当否判定結果を判定する。なお、ここでは、特別図柄の低確率状態である場合の当否判定と、特別図柄の高確率状態である場合の当否判定との両方が判別される。これは、新たな保留記憶が発生したタイミング(特別図柄保留格納エリア203aに新たな保留(入賞情報)が記憶されたタイミング)と、今回新たに保留された入賞情報に基づいて大当たり判定が実行されるタイミングとにはタイムラグが発生することから、今回新たに保留された入賞情報に基づく大当たり判定が実行されるタイミングで設定されている遊技状態(特別図柄の確率状態)を予測することが困難だからである。
【0762】
次に、当否判別結果が大当たりであるか否かを判別する(S1003)。判別結果が大当たりであると判別した場合は(S1003:Yes)、大当たりに当選する条件(抽選時に設定される遊技状態)と、当選した場合の大当たり種別とを示す入賞コマンドを設定し(S1004)、その後、本処理を終了する。
【0763】
一方、S1003の処理における判別結果が大当たりでは無いと判別した場合は(S1003:No)、外れを示す入賞コマンドを設定し(S1005)、その後、本処理を終了する。
【0764】
ここで、S1004、或いはS1005の処理で設定された入賞コマンドは、上述した当否判定結果を示すための情報(当否判定結果に基づいて異なる意味を持たせる情報)に加え、共通情報として、S1001の処理によって読み出された各種カウンタ値の値を示すための情報も含んで設定される。そして、本処理で設定された入賞コマンドが主制御装置110のメイン処理(
図55参照)にて実行される外部出力処理(S1801)によって音声ランプ制御装置113に対して出力される。
【0765】
音声ランプ制御装置113側では、入賞コマンドを受信した場合に、入賞コマンドに含まれる各種情報に基づいて、保留球の表示態様を可変させて(例えば、保留球の色を通常とは異なる色で可変して)表示させたり、変動開始前に予告図柄等を表示して遊技者に当否判定結果を示唆したりする演出(先読み演出)を実行できる。
【0766】
なお、本実施形態では、特別図柄の確率状態が1つ(特別図柄の低確率状態)しかないため、入賞コマンドに設定する情報(当否判定結果)を遊技状態に関わらず設定することができるが、例えば、特別図柄の確率状態を複数(特別図柄の高確率状態、特別図柄の低確率状態)有する遊技機においては、特別図柄の高確率状態の場合の当否判定結果と、特別図柄の低確率状態の場合の当否判定結果とを判別し、各判別の結果に基づいた入賞コマンドを設定するように構成しても良いし、特別図柄が高確率状態であっても、低確率状態であっても大当たりと判定される判定値(第1当たり乱数カウンタC1の値)を規定し、その判定値を読み出した場合のみ特別図柄の大当たりを示す入賞コマンドを設定するように構成しても良い。
【0767】
このように構成することで、音声ランプ制御装置113側に対して、特定の大当たりであることを事前判別した場合のみ大当たりを示す入賞コマンドを出力することになるため、先読み演出が実行されない特別図柄変動に対して、大当たり当選の期待感を持たせることができる。
【0768】
さらに、特別図柄保留格納エリア203aに格納(記憶)されている保留記憶(入賞情報)に基づく特別図柄の抽選が行われる際の遊技状態を正確に判別して、その遊技状態に基づいて当否判定を実行するように構成してもよい。この場合には、変動パターンの選択を保留球数によって可変するのではなく、変動開始時の保留球数に関わらず一定の変動パターンを選択するように構成することで判別が可能となる。先読みを実行する場合に、その保留球が変動開始されるまでの変動順序を保留記憶されている情報に基づいて判別することで変動開始時の遊技状態を判別できる。
【0769】
また、本実施形態では、特別図柄保留格納エリア203aに新たな保留記憶(入賞情報)が格納(記憶)された場合に、その入賞情報に基づく先読み処理を実行し、その先読み処理の中で当否判定を事前に予測する構成を用いているが、これに限ること無く、主制御装置110の先読み処理において、特別図柄保留格納エリア203aに新たに格納(記憶)された入賞情報(保留記憶)の内容(各カウンタ値)を示す情報を入賞コマンドとして設定し、音声ランプ制御装置113側で受信した入賞コマンドに含まれる情報に基づいて当否判定結果を予測するように構成しても良い。
【0770】
このように構成することで、主制御装置110の処理負荷を軽減することができる。また、音声ランプ制御装置113側で、先読み演出を実行するか否かを判別する処理を実行し、先読み演出を実行すると判別した場合に、主制御装置110から受信した入賞コマンドに含まれる情報を解析(当否判定結果の予測)するように構成すると良い。これにより、先読み演出を実行しない場合には、具体的な先読み処理(当否判定結果の予測)が実行されないため、パチンコ機10にて無駄な制御が実行されることを抑制することができる。また、無題に実行された先読み処理の結果を遊技者に不正に取得されてしまう不具合を抑制することができる。
【0771】
次に、
図48を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行されるタイマ割込処理の一処理である普通図柄変動処理(S106)について説明する。
図48は、この普通図柄変動処理(S106)を示すフローチャートである。普通図柄変動処理(S106)は、第2図柄(普通図柄)の変動表示や、電動役物640aの開放時間などを制御するための処理である。
【0772】
この普通図柄変動処理(
図48のS106)では、まず、今現在が、普通図柄(第2図柄)の当たり中であるかを判別する。(S1101)。普通図柄(第2図柄)の当たり中としては、第2図柄表示装置83において当たりを示す表示がなされてから(当たり図柄が停止表示してから)電動役物640aの開閉制御がなされている最中まで(当たり遊技が終了するまで)が含まれる。普通図柄(第2図柄)の当たり中であると判別した場合には(S1101:Yes)、そのまま本処理を終了する。
【0773】
一方、普通図柄(第2図柄)の当たり中でないと判別した場合には(S1101:No)、第2図柄表示装置83の普通図柄が変動表示中であるかを判別する(S1102)。普通図柄の変動表示中では無い、即ち、現在が新たな普通図柄変動(抽選)を実行可能な状態であると判別した場合は(S1102:No)、次に、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)を取得し(S1103)、その値が0よりも大きいかを判別する(S1104)。
【0774】
S1104の処理で普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)が0であると判別された場合には(S1104:No)、そのまま本処理を終了する。一方、普通図柄保留球数カウンタ203dの値が0よりも大きいと判別した場合は(S1104:Yes)、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)を1減算する(S1105)。つまり、S1104の処理において新たな普通図柄変動を実行するための条件(普通図柄変動に用いるための入賞情報が保留記憶されていること)が成立していると判別された場合は、保留記憶されている入賞情報を用いて普通図柄変動を実行するため、普通図柄保留球数カウンタ203dの値を1減算する。
【0775】
次に、普通図柄保留球格納エリア203bに格納されたデータをシフトする(S1106)。S1106の処理では、普通図柄保留球格納エリア203bの普通図柄保留1〜普通図柄保留4に格納されているデータを、実行エリア側に順にシフトさせる処理を行う。より具体的には、普通図柄保留1→実行エリアといった具合に各エリア内のデータをシフトする。データをシフトした後は、普通図柄保留球実行エリア(図示せず)に格納されている第2当たり乱数カウンタC4の値を取得する(S1107)。
【0776】
次に、時短カウンタ203hがオンであるか否か、即ち、現在が普通図柄の高確率状態であるか否かを判別し(S1108)、時短カウンタ203hがオンに設定されていると判別した場合は(S1108:Yes)、高確率時用の第2当たり乱数テーブル202b(
図23(c)参照)の当たり判定値に基づいて当否判定結果(抽選結果)を取得しS1111の処理へ移行する。一方、時短カウンタ203hがオフであると判別した場合は(S1108:No)、低確率時用の第2当たり乱数テーブル202b(
図23(c)参照)の当たり判定値に基づいて、当否判定結果が取得され(S1110)、S1111の処理へ移行する。
【0777】
S1111の処理では、今回の普通図柄変動(抽選)が当たりであるかを判別し(S1111)、当たりであると判別した場合は(S1111:Yes)、当たり時の表示態様である「○」の表示態様を設定し(S1112)、普図変動種別カウンタの値を用いて普図変動パターンに基づいて普通図柄の変動時間を決定する(S1114)。一方、S1111の処理で、今回の普通図柄変動(抽選)が当たりでは無い(外れである)と判別した場合は(S1111:No)、外れ時の表示態様である「×」の表示態様を設定し(S1113)、上述したS1114の処理へ移行する。
【0778】
上述した通り、本実施形態では、設定されている遊技状態に関わらず、常に変動時間として3秒が設定されるように構成している。このように構成することで、遊技状態が切り替わるタイミングにおいて、具体的には、一般的に長い変動時間が設定され易い通常状態(普通図柄の低確率状態)から、短い変動時間が設定され易い時短状態(普通図柄の高確率状態)へと遊技状態が切り替わる大当たり遊技終了のタイミングにおいて、長い変動時間の普通図柄変動が実行されており、時短状態が設定されたにも関わらず、時短状態中の普通図柄抽選が実行されない事態が発生することを抑制することができる。
【0779】
また、本実施形態では、時短状態中において普通図柄抽選を契機に大当たり遊技(V大当たり遊技)を狙う特電遊技(Vラッシュ)が実行されるように構成しており、時短状態中(Vラッシュ中)は、第3図柄表示装置81の表示面にも、普通図柄抽選に基づく演出が表示されるように構成している。このように、普通図柄抽選(変動)に基づく演出を実行する場合において、変動時間を統一させることで演出データの量を減らすことができる。
【0780】
さらに、本実施形態では、通常状態中に普図当たり遊技が実行され、普電入賞装置640へと球が入賞した場合であっても、役物当たり遊技の実行契機となる特電作動口643へと球が入賞させ難くなるように構成している。よって、同一の変動時間(3秒)のみが設定されるように構成したとしても、普図当たり遊技の実行タイミングを計って遊技を行うメリットを生じなくさせることができる。
【0781】
なお、普通図柄の変動時間の設定方法については、本実施形態の構成に限ること無く、遊技状態に応じて変動時間を異ならせたり、普図保留球数に応じて変動時間を異ならせたり、取得した所定値に応じて変動時間を異ならせたりしても良く、例えば、本実施形態では、普通図柄変動の変動時間を、設定されている普通図柄の確率状態(高確率状態、低確率状態)と、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(普図保留数)と、に基づいて可変設定するように構成しても良い。さらに、設定された普通図柄の変動時間によって、普電入賞装置640への球の入球のし易さが異なるように構成しても良い。
【0782】
このように、設定される普通図柄の変動時間の長さに応じて、普電入賞装置640への球の入球具合を可変させるように構成することで、普電入賞装置640への球の入球のし易さを遊技状態に応じて容易に可変することができるため、様々な遊技性を創り出すことができる。
【0783】
一方、S1102の処理において、普通図柄(第2図柄)が変動表示中ではないと判別した場合には(S1102:No)、第2図柄表示装置83において実行している普通図柄の変動時間が経過したかを判別し(S1115)、変動時間が経過していないと判別した場合は(S1115:No)、そのまま本処理を終了する。
【0784】
一方、S1115の処理において変動時間が経過していると判別した場合は(S1115:Yes)、次に、第2図柄表示装置83の停止表示を設定する(S1116)。S1116の処理では、今回の普通図柄の抽選が当たりである場合には、第2図柄表示装置83には「○」図柄が停止表示(点灯表示)されるように設定する。一方、普通図柄の抽選が外れである場合には、第2図柄表示装置83には「×」図柄が停止表示(点灯表示)される。つまり、上述したS1112、或いはS1113の処理で設定された表示態様を停止表示させるための設定が行われる。
【0785】
S1116の処理により、停止表示を設定すると、第2図柄表示装置83における変動表示が終了し、S1112の処理、或いはS1113の処理で設定された表示態様で、停止図柄(第2図柄)が第2図柄表示装置83に停止表示(点灯表示)される。
【0786】
次に、今回の普通図柄の抽選結果は当たりであるかを判別する(S1117)。今回の普通図柄の抽選結果は当たりであると判別した場合には(S1117:Yes)、電動役物640aの開閉制御態様(開放パターン)を設定するための処理が実行される。一方、子泣きの普通図柄の抽選結果が当たりでは無い(外れである)と判別した場合は(S1117:No)、そのまま本処理を終了する。
【0787】
次に、本実施形態における電動役物640aの開閉制御態様(開放パターン)について説明をする。本実施形態のパチンコ機10では、普通図柄の当否判定を行うタイミング(S1108〜S1111の処理を行うタイミング)にて設定されている普通図柄の確率状態(高確率状態、低確率状態)に基づいて普通図柄の当否判定を実行し、電動役物640aの開放制御態様(開放パターン)を設定するタイミング(S1115の処理で変動時間が経過したと判別したタイミング)にて設定されている普通図柄の確率状態(高確率状態、低確率状態)に基づいて電動役物640aの開放制御態様(開放パターン)を設定するように構成している。
【0788】
即ち、本実施形態では、普通図柄に関する変動処理(抽選処理)と、特別図柄に関する変動処理(抽選処理)とが独立して実行されるように構成されており、さらに、特別図柄に関する変動処理(抽選処理)の結果に基づいて普通図柄の確率状態(高確率状態、低確率状態)が可変するように構成している。よって、普通図柄に関する変動処理(抽選処理)が実行されている期間中に並行して実行される特別図柄に関する変動処理(抽選処理)の結果によっては、普通図柄の当否判定を行うタイミングでは普通図柄の高確率状態が設定され、電動役物640aの開放制御態様(開放パターン)を設定するタイミングでは普通図柄の低確率状態が設定される場合が発生する。
【0789】
このような状況において、例えば、普通図柄の当否判定を行うタイミングにて設定されている普通図柄の確率状態(高確率状態、低確率状態)に基づいて、電動役物640aの開放制御態様(開放パターン)を設定してしまうと、普通図柄の低確率状態が設定されている状態で、電動役物640aがロング開放(普通図柄の高確率状態中が設定されている場合に実行される開放パターン)してしまうという問題があった。
【0790】
そこで、本実施形態では、電動役物640aの開放制御態様(開放パターン)を設定するタイミングにおける普通図柄の確率状態(高確率状態、低確率状態)を判別し、その判別結果に基づいて電動役物640aの開放制御態様(開放パターン)を設定するように構成している。これにより、設定されている遊技状態に応じた開放パターンで電動役物640aを開放させることができる。
【0791】
S1117の処理において、今回の普通図柄の抽選結果が当たりであると判別した場合は(S1117:Yes)、次に、現在の普通図柄の確率状態(高確率状態、低確率状態)を判別するために、時短カウンタ203hがオンであるかを判別し(S1118)、時短カウンタ203hがオンでは無い(オフである)、即ち、現在が普通図柄の低確率状態であると判別した場合は(S1118:No)、通常用普図当たりシナリオ動作を設定する(S1119)。
【0792】
一方、S1118の処理において、時短カウンタ203hがオンに設定されていると判別した場合は(S1118:Yes)、時短用普図当たりシナリオ動作を設定する(S1120)。
【0793】
次いで、S1119、或いはS1120の処理において設定されたシナリオに基づいて電動役物640aの開閉制御開始を設定し(S1121)、本処理を終了する。
【0794】
なお、本実施形態では、普通図柄の当否判定を行うタイミングにおける普通図柄の確率状態に基づいて普通図柄の当否判定を実行し、普通図柄の当たり遊技にて可動させる電動役物640aの開放制御態様(開放パターン)を設定するタイミングにおける普通図柄の確率状態に基づいて電動役物640aの開放パターンを設定するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、普通図柄の当否判定を行うタイミングで普通図柄の高確率状態が設定されており、且つ普通図柄の当たり遊技にて可動させる電動役物640aの開放制御態様(開放パターン)を設定するタイミングでも普通図柄の高確率状態が設定されている場合にのみ、電動役物640aがロング開放するように構成しても良いし、普通図柄の当否判定を行うタイミングで設定されている遊技状態に基づいて、電動役物640aの開放パターンを設定するように構成しても良い。
【0795】
また、詳細な説明は省略しているが、普通図柄変動処理(
図48のS106参照)において決定された各種情報(普通図柄抽選の結果、普通図柄変動の変動時間、普図当たりシナリオ等)は、それぞれ各種情報の内容を示すコマンドが設定され、主制御装置110のメイン処理(
図55)の外部出力処理(
図55のS1801参照)にて音声ランプ制御装置113へと出力される。
【0796】
次に、
図49を参照して、本第1実施形態にて実行されるスルーゲート通過処理(S107)を実行する。本処理は、タイマ割込処理(
図39参照)の中で実行され、普通図柄始動口(スルーゲート)67における球の通過の有無を判断し、球の通過があった場合に、第2当たり乱数カウンタC4が示す値を取得し実行エリアに格納するための処理である。
【0797】
スルーゲート通過処理(
図49のS107)では、まず、球が普通図柄始動口(スルーゲート)67を通過したか否かを判定する(S1201)。ここでは、普通図柄始動口(スルーゲート)67における球の通過を3回のタイマ割込処理にわたって検出する。そして、球が普通図柄始動口(スルーゲート)67を通過したと判定されると(S1201:Yes)、次に、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)を取得し(S1202)、次いで、その取得した普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)が1よりも大きくないか(普通図柄の保留球数が上限値に到達していないか)を判別する(S1203)。
【0798】
S1203の処理で、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)が1よりも大きい(上限値の1である)と判別した場合は(S1203:No)、そのまま本処理を終了する。一方、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)が1よりも大きくない(0である)と判別した場合は(S1203:Yes)、普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)に1を加算し(S1204)、普図保留球数コマンド(普通図柄保留球数カウンタ203dの値(M)を示すためのコマンド)を設定し(S1205)、第2当たり乱数カウンタC4の値を普通図柄保留球格納エリア203bに格納し(S1206)、本処理を終了する。
【0799】
次に、
図50を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される特電始動口入賞処理(S108)について説明する。
図50は、タイマ割込処理(
図39参照)の中で実行される特電始動口入賞処理(S108)を示すフローチャートである。本実施形態のパチンコ機10は、
図2に示した通り、普電入賞装置640内に特電作動口643を有しており、球を特電作動口643に入賞させることにより、V入賞装置65を所定の可変パターンが開放させる役物当たり遊技を実行するように構成している。この特電始動口入賞処理(S108)では、特電作動口643に球が入賞した場合における各種処理が実行される。
【0800】
特電始動口入賞処理(S108)が実行されると、まず、特電始動入賞、即ち、特電作動口643に遊技球が入賞したかを判別する(S1301)。このS1301の処理では、特電作動口643に入賞した球を検知可能な検知スイッチ(図示せず)から球を検知したことを示す検知信号が出力されたか(されているか)が判別される。S1301の処理において、特電作動口643に遊技球が入賞していないと判別した場合は(S1301:No)、そのまま本処理を終了する。
【0801】
一方、特電作動口643に遊技球が入賞したと判別した場合は(S1301:Yes)、次いで、現在が普通図柄の当たり遊技中であるかを判別する(S1302)。現在が普通図柄の当たり遊技中ではないと判別した場合は(S1302:No)、特電作動口643に球が入賞し得ない状態であるため、エラーコマンドを設定し(S1309)、その後、本処理を終了する。S1309の処理を行うことで、普図当たり遊技期間外に遊技球が特電作動口643に入賞した状態、即ち、不正に遊技球を特電作動口643に入賞させる遊技が行われた場合、或いは、特電作動口643に付設された部材(例えば、電動役物640a、第2可動弁642)の不具合が発生している場合を迅速に外部に報知することができる。
【0802】
S1302の処理において、現在が普通図柄の当たり遊技中であると判別した場合は(S1302:Yes)、次に、現在が特電作動中(役物当たり遊技中)であるかを判別し(S1303)、現在が特電作動中(役物当たり遊技中)であると判別した場合は(S1303:Yes)、新たな役物当たり遊技を実行することができない状態であるため、そのまま本処理を終了する。一方、現在が特電作動中(役物当たり遊技中)ではないと判別した場合は(S1303:Yes)、次いで、現在が特別図柄の変動中であるか否かを判別する(S1304)。現在が特別図柄の変動中であると判別した場合には(S1304:Yes)、特図仮停止フラグ203mをオンに設定し(S1305)、特図仮停止コマンドを設定し(S1306)、役物当たりフラグ203kをオンに設定し(S1307)、S1308の処理へ移行する。
【0803】
即ち、S1304の処理において、現在が特別図柄の変動中であると判別した場合には、実行中の特別図柄変動の変動時間の減算を中断させるためにS1305,S1306の処理を実行する。これにより、役物当たり遊技が実行される場合に実行中の特別図柄変動が中断する。また、S1307の処理において設定された仮停止コマンドは、主制御装置110のメイン処理(
図55)の外部出力処理(
図55のS1801参照)にて音声ランプ制御装置113へと出力される。
【0804】
一方、S1304の処理において、現在が特別図柄の変動中ではないと判別した場合には(S1304:No)、S1305,S1306の処理をスキップし、S1307の処理へ移行する。S1308の処理では、特電作動コマンドを設定し(S1308)、その後、本処理を終了する。
【0805】
以上、説明をした通り、特電始動口入賞処理(S108)は、特電作動口643に球が入賞した場合において、その入賞が正常に入賞したものであるかの判別処理手段と、その入賞に基づいて新たな役物当たり遊技を実行可能であるかの判別処理手段と、特別図柄変動に対する処理(実行中の特別図柄変動を中断させる処理、役物当たり遊技中に新たな特別図柄変動が実行されないようにする処理)を実行する手段と、役物当たり遊技を実行する手段と、を有するものである。
【0806】
次に、
図51を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行されるV入口通過処理(S109)について説明する。
図51は、タイマ割込処理(
図39参照)の中で実行されるV入口通過処理(S109)を示すフローチャートである。
【0807】
V入口通過処理(S109)では、まず貯留センサ65s(
図6参照)がオンであるかを判定し(S1401)、貯留センサ65sがオンでなければ(貯留センサ65s01:No)、そのまま本処理を終了する。一方、貯留センサ65sがオンであると判定した場合は(S1401:Yes)、次に、V入賞口開放期間中、即ち、役物当たり遊技中であるかを判別する(S1402)。S1402の処理において、V入賞口開放期間中(役物当たり遊技中)であると判別された場合は(S1402:Yes)、V入口通過コマンドを設定し(S1403)、本処理を終了する。V入賞口開放期間中ではない場合は(S1402:No)、役物当たり遊技中でないにも関わらず、V入賞装置65へ遊技球が入球した場合であるので、エラーコマンドを設定し(S1404)、本処理を終了する。
【0808】
S1403の処理において設定されたV入口通過コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行されるメイン処理(
図55参照)の外部出力処理(S1801)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113では、V入口通過コマンドを受信すると、V入口を通過した遊技球をカウントすると共に、表示制御装置114へV入口通過に基づく演出を実行させるためのコマンドを送信する。これにより、V入賞装置65への入球に基づく役物当たり遊技中の演出を実行することができる。
【0809】
次に、
図52を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行されるV通過処理(S110)について説明する。
図52は、タイマ割込処理(
図39参照)の中で実行されるV通過処理(S110)を示すフローチャートである。
【0810】
V通過処理(S110)が実行されると、まず、V通過ありか、即ち、V入賞口165に遊技球が入賞したかを判別し(S1501)、V入賞口165に遊技球が入賞していないと判別した場合は(S1501:No)、そのまま本処理を終了する。V入賞口165に遊技球が入賞したと判別した場合は(S1501:Yes)、次いで、現在がV有効期間中であるかを判別する(S1502)。S1502の処理では、役物当たり遊技に関する動作シナリオが設定されている期間をV有効期間中であると判別し、それ以外の場合に、V有効期間中では無いと判別する。
【0811】
S1502の処理において、V有効期間中であると判別した場合は(S1502:Yes)、次に、現在が役物当たり遊技中であるかを判別し(S1503)、役物当たり遊技中であれば(S1503:Yes)、今回の役物当たり遊技に対応するV通過時大当たり種別値を取得し(S1504)、大当たり種別に対応したVフラグをオンに設定し(S1505)、時短カウンタ203hの値を0に設定し(S1506)、S1507の処理へ移行する。
【0812】
つまり、S1504〜S1506の処理では、役物当たり遊技中に遊技球がV入賞口165へ入賞したことに基づいて、大当たり遊技を実行するための処理が実行される。一方、S1503の処理において、役物当たり遊技中では無いと判別した場合は(S1503:No)、新たに大当たり遊技を実行するための処理を行う必要が無いため、S1504〜S1506の処理をスキップして、S1507の処理へ移行する。
【0813】
S1507の処理では、V通過コマンドを設定し(S1507)、本処理を終了する。ここで設定されるV通過コマンドは、主制御装置110の制御処理で設定される他のコマンドと同様に音声ランプ制御装置113へと送信される。音声ランプ制御装置113がV通過コマンドを受信した場合、例えば、役物当たり遊技中にV通過コマンドを受信した場合は、役物当たり遊技中に実行されるVラッシュ中の演出に成功し、役物当たり遊技に続いて、大当たり遊技が実行されることを示すための演出を実行する。また、大当たり遊技中にV通過コマンドを受信した場合は、役物当たり遊技中にV通過コマンドを受信した場合と同様の演出を実行する。
【0814】
一方で、役物当たり遊技中の所定タイミングでV通過コマンドを受信しなかった場合は、Vチャレンジに失敗したことを示すための残念演出を実行し、大当たり遊技中の所定タイミングでV通過コマンドを受信しなかった場合は、残念演出からの復活演出を実行し、継続して大当たり遊技が実行されることを遊技者に報知する。
【0815】
なお、本実施形態では、V入賞口165に遊技球が入賞したことを示すためのコマンド(V通過コマンド)のみを設定する構成を示したが、V入賞口165に遊技球が入賞しなかったことを示すためのコマンド(例えば、V非通過コマンド)を設定するように構成しても良い。この場合、例えば、本実施形態ではV入賞口165に入球可能な遊技球は、貯留弁66aにより滞留されている遊技球(例えば、1個)だけであるため、貯留弁66aに貯留されている遊技球の有無(個数)を判別する個数判別手段と、痔亜2アウト高163bへの遊技球の通過を検知する検知手段と、を設け、個数判別手段により判別された個数分の遊技球が検知手段により検知された場合に、上述したV非通過コマンドを設定するように構成すれば良い。これにより、音声ランプ制御装置113にて適切な演出を実行することができ、演出効果を高めることができる。また、上述した構成を用いることで、V入賞装置65内で遊技球が詰まったことを迅速に判別することができる。
【0816】
一方、S1502の処理において、現在がV有効期間中では無いと判別した場合は(S1502:No)、エラーコマンドを設定し(S1508)、本処理を終了する。S1508の処理を行うことで、V有効期間外に遊技球がV入賞口165に入賞した状態、即ち、不正に遊技球をV入賞口165に入賞させる遊技が行われた場合、或いは、V入賞口165に付設された部材(例えば、V開閉扉65a、貯留弁66a、第1可動弁66b)の不具合が発生している場合を迅速に外部に報知することができる。
【0817】
なお、本実施形態では、
図26(b)に示した通り、役物当たり遊技において球がV入賞口165へと入賞し得るタイミングが役物当たり遊技のエンディング期間となるように動作シナリオを規定しているため、S1506〜S1508の処理をV通過処理(S110)にて実行するように、即ち、球がV入賞口165へと入賞したタイミングで実行するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、役物当たり遊技中に常に球がV入賞口165へと入賞し得るように役物当たり遊技の動作シナリオが規定されている場合であれば、V通過処理(S110)では、S1505の処理のみを実行し、S1506〜S1508の処理を、役物当たり制御処理(
図58のS1805参照)において、Vフラグがオンに設定されている場合に実行される処理として実行するように構成すると良い。これにより、役物当たり遊技中が実行された直後に球がV入賞口165に入賞したとしても、大当たり遊技が開始されるまでは時短状態を継続させることができるため、遊技者に違和感を与えること無く遊技を行わせることができる。
【0818】
次に、
図53を参照して、NMI割込処理について説明をする。
図53は、主制御装置110内のMPU201により実行されるNMI割込処理を示すフローチャートである。NMI割込処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に、主制御装置110のMPU201により実行される処理である。このNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM203に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から主制御装置110内のMPU201のNMI端子に出力される。すると、MPU201は、実行中の制御を中断してNMI割込処理を開始し、電源断の発生情報の設定として、電源断の発生情報をRAM203に記憶し(S1601)、NMI割込処理を終了する。
【0819】
なお、上記のNMI割込処理は、払出発射制御装置111でも同様に実行され、かかるNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM213に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から払出制御装置111内のMPU211のNMI端子に出力され、MPU211は実行中の制御を中断して、NMI割込処理を開始するのである。
【0820】
次に、
図54を参照して、主制御装置110に電源が投入された場合に主制御装置110内のMPU201により実行される立ち上げ処理について説明する。
図54は、この立ち上げ処理を示すフローチャートである。
【0821】
この立ち上げ処理は電源投入時のリセットにより起動される。立ち上げ処理(
図54)では、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S1701)。例えば、スタックポインタに予め決められた所定値を設定する。次いで、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置113、払出制御装置111等の周辺制御装置)が動作可能な状態になるのを待つために、ウエイト処理(本実施形態では1秒)を実行する(S1702)。そして、RAM203のアクセスを許可する(S1703)。
【0822】
その後は、電源装置115に設けたRAM消去スイッチ122(
図10参照)がオンされているか否かを判別し(S1704)、オンされていれば(S1704:Yes)、処理をS1712へ移行する。一方、RAM消去スイッチ122がオンされていなければ(S1704:No)、更にRAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S1705)、記憶されていなければ(S1705:No)、前回の電源遮断時の処理が正常に終了しなかった可能性があるので、この場合も、処理をS1712へ移行する。
【0823】
RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S1705:Yes)、RAM判定値を算出し(S1706)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S1707:No)、即ち、算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS1712へ移行する。なお、RAM判定値は、例えばRAM203の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM203の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
【0824】
S1712の処理では、サブ側の制御装置(周辺制御装置)となる払出制御装置111を初期化するために払出初期化コマンドを送信する(S1712)。払出制御装置111は、この払出初期化コマンドを受信すると、RAM213のスタックエリア以外のエリア(作業領域)をクリアし、初期値を設定して、遊技球の払い出し制御を開始可能な状態となる。主制御装置110は、払出初期化コマンドの送信後は、RAM203の初期化処理(S1713、S1714)を実行する。
【0825】
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ122を押しながら電源が投入される。従って、立ち上げ処理の実行時にRAM消去スイッチ122が押されていれば、RAM203の初期化処理(S1713、S1714)を実行する。
【0826】
また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様に、RAM203の初期化処理(S1713、S1714)を実行する。RAMの初期化処理(S1713、S1714)では、RAM203の使用領域を0クリアし(S1713)、その後、RAM203の初期値を設定する(S1714)。RAM203の初期化処理の実行後は、S1710の処理へ移行する。
【0827】
一方、RAM消去スイッチ122がオンされておらず(S1704:No)、電源断の発生情報が記憶されており(S1705:Yes)、更にRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S1707:Yes)、RAM203にバックアップされたデータを保持したまま、電源断の発生情報をクリアする(S1708)。次に、サブ側の制御装置(周辺制御装置)を駆動電源遮断時の遊技状態に復帰させるための復電時の払出復帰コマンドを送信し(S1709)、S1710の処理へ移行する。払出制御装置111は、この払出復帰コマンドを受信すると、RAM213に記憶されたデータを保持したまま、遊技球の払い出し制御を開始可能な状態となる。
【0828】
次に、音声ランプ制御装置113に対して、各種演出を実行することを許可する演出許可コマンドを出力する(S1710)。その後、割込みを許可し(S1711)、第1可動弁動作シナリオに基づく動作を設定する(S1715)。そして、後述するメイン処理に移行する。
【0829】
次に、
図55を参照して、上記した立ち上げ処理後に主制御装置110内のMPU201により実行されるメイン処理について説明する。
図55は、このメイン処理を示すフローチャートである。このメイン処理では、大別して、カウンタの更新処理と、電源断時処理とが実行される。
【0830】
メイン処理(
図55参照)においては、まず、タイマ割込処理(
図39参照)の中でRAM223に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置(周辺制御装置)に送信する外部出力処理を実行する(S1801)。具体的には、タイマ割込処理(
図39参照)におけるスイッチ読み込み処理で検出した入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出制御装置111に対して獲得球数に対応する賞球コマンドを送信する。また、特別図柄変動処理(
図40参照)や始動入賞処理(
図46参照)で設定された保留球数コマンドを音声ランプ制御装置113に送信する。更に、この外部出力処理(
図55のS1801)により、主制御装置110の各種処理にて設定された各種コマンドを音声ランプ制御装置113に送信し、第3図柄表示装置81にて表示される各種演出(変動演出、装飾演出等)を設定するための情報とする。また、大当たり制御処理(
図56参照)で設定されたオープニングコマンド、ラウンド数コマンド、エンディングコマンドを音声ランプ制御装置113へ送信する。さらに、その他制御処理において設定された各種コマンドを音声ランプ制御装置113へ送信する。加えて、球の発射を行う場合には、発射制御装置112へ球発射信号を送信する。
【0831】
次に、変動種別カウンタCS1の値を更新する(S1802)。具体的には、変動種別カウンタCS1を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では198)に達した際、0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。
【0832】
変動種別カウンタCS1の更新が終わると、払出制御装置111より受信した賞球計数信号や払出異常信号を読み込み(S1803)、次いで、特別図柄の大当たり状態である場合に、音声ランプ制御装置113にて大当たり演出を実行させるためのコマンドの設定や、可変入賞装置650の特定入賞口(大開放口)650aを開放動作するための大当たり制御処理を実行する(S1804)。
【0833】
大当たり制御処理(S1804)の詳細な内容については、
図56〜
図57を参照して後述するが、この大当たり制御処理(S1804)では、大当たり状態のラウンド毎に特定入賞口650a(以下、入賞口等と称す)を開放し、入賞口等(特定入賞口650a)の最大開放時間が経過したか、又は入賞口等(特定入賞口650a)に球が規定数入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると入賞口等(特定入賞口650a)を閉鎖する。この入賞口等(特定入賞口650a)の開放と閉鎖とを所定ラウンド数繰り返し実行する。尚、本実施形態では、大当たり制御処理(S1804)をメイン処理において実行しているが、タイマ割込処理において実行しても良い。
【0834】
次いで、球が特電作動口643に入賞した場合に実行される役物当たり遊技に関する役物当たり制御処理を実行する(S1805)。この役物当たり制御処理(S1805)では、役物当たり遊技中に開放動作されるV入賞装置65に対して、V開閉扉65aを開放する期間と、閉鎖する期間とを、予め定められたシナリオ(役物当たり動作シナリオ)に基づいて設定するための処理が実行される。なお。役物当たり制御処理(S1805)の詳細な内容については、
図58を参照して後述する。
【0835】
次に、普電入賞装置640に付随する電動役物640aの開閉制御を行う電動役物開閉処理を実行する(S1806)。電動役物開閉処理では、普通図柄変動処理(
図48参照)のS1121の処理によって電動役物の開閉制御開始が設定された場合に、電動役物の開閉制御を開始する。尚、この電動役物の開閉制御は、普通図柄変動処理におけるS1119の処理、S1120の処理、によって設定された期間が終了するまで継続される。
【0836】
次に、第1図柄表示装置37A,37Bの表示を更新する第1図柄表示更新処理を実行する(S1807)。第1図柄表示更新処理では、特別図柄変動開始処理(
図41のS205)によって変動パターンが設定された場合に、その変動パターンに応じた変動表示を、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて開始する。本実施形態では、第1図柄表示装置37A,37BのLEDの内、変動が開始されてから変動時間が経過するまでは、例えば、現在点灯しているLEDが赤であれば、その赤のLEDを消灯すると共に緑のLEDを点灯させ、緑のLEDが点灯していれば、その緑のLEDを消灯すると共に青のLEDを点灯させ、青のLEDが点灯していれば、その青のLEDを消灯すると共に赤のLEDを点灯させる。
【0837】
なお、メイン処理は4ミリ秒毎に実行されるが、そのメイン処理の実行毎にLEDの点灯色を変更すると、LEDの点灯色の変化を遊技者が確認することができない。そこで、遊技者がLEDの点灯色の変化を確認することができるように、メイン処理が実行される毎にカウンタ(図示せず)を1カウントし、そのカウンタが100に達した場合に、LEDの点灯色の変更を行う。即ち、0.4s毎にLEDの点灯色の変更を行う。尚、カウンタの値は、LEDの点灯色が変更されたら、0にリセットされる。
【0838】
また、第1図柄表示更新処理では、特別図柄変動開始処理(
図41参照)によって設定された変動パターンに対応する変動時間が終了した場合に、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて実行されている変動表示を終了し、特別図柄変動停止処理(
図45のS208参照)によって、特別図柄変動パターン選択処理(
図43のS307参照)のS507で設定された表示態様で、停止図柄を第1図柄表示装置37A,37Bに停止表示(点灯表示)する。
【0839】
さらに、本実施形態では、一方の特別図柄が大当たりを示す表示態様(大当たり図柄)で停止表示された場合に、他方の特別図柄を、外れを示す表示態様(外れ図柄)で停止表示させるように構成しており、そのための停止表示も実行される。
【0840】
次に、第2図柄表示装置の表示を更新する第2図柄表示更新処理を実行する(S1808)。第2図柄表示更新処理では、普通図柄変動開始処理(
図48参照)のS1114の処理によって第2図柄の変動時間が設定された場合に、第2図柄表示装置において変動表示を開始する。これにより、第2図柄表示装置では、第2図柄としての「○」の図柄と「×」の図柄とを交互に点灯させる変動表示が行われる。また、第2図柄表示更新処理(S1808)では、普通図柄変動処理(
図48参照)のS1116の処理によって第2図柄表示装置の停止表示が設定された場合に、第2図柄表示装置において実行されている変動表示を終了し、普通図柄変動開始処理(
図48参照)のS1112の処理またはS1113の処理によって設定された表示態様で、停止図柄(第2図柄)を第2図柄表示装置に停止表示(点灯表示)する。
【0841】
その後は、RAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S1809)、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていなければ(S1809:No)、停電監視回路252から停電信号SG1は出力されておらず、電源は遮断されていない。よって、かかる場合には、次のメイン処理の実行タイミングに至ったか否か、即ち今回のメイン処理の開始から所定時間(本実施形態では4m秒)が経過したか否かを判別し(S1810)、既に所定時間が経過していれば(S1810:Yes)、処理をS1801へ移行し、上述したS1801以降の各処理を繰り返し実行する。
【0842】
一方、今回のメイン処理の開始から未だ所定時間が経過していなければ(S1810:No)、所定時間に至るまで間、即ち、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、第1初期値乱数カウンタCINI1、第2初期値乱数カウンタCINI2及び変動種別カウンタCS1の更新を繰り返し実行する(S1811,S1812)。
【0843】
まず、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2との更新を実行する(S1811)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では479、232)に達した際、0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域にそれぞれ格納する。次に、変動種別カウンタCS1の更新を、S1811の処理と同一の方法によって実行する(S1812)。なお、このS1812の処理では、変動種別カウンタCS1の値と同様に普図変動種別カウンタCS2の値も更新される。
【0844】
ここで、S1801〜S1808の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を繰り返し実行することにより、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2(即ち、第1当たり乱数カウンタC1の初期値、第2当たり乱数カウンタC4の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCS1、普図変動種別カウンタCS2の値についてもランダムに更新することができる。よって、特別図柄や普通図柄の抽選に関する判定値を更新するための処理内容を把握され難くすることができ、当たりに対応する判定値が取得されるタイミングを狙った不正遊技が実行されることを抑制することができる。
【0845】
また、S1809の処理において、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S1809:Yes)、停電の発生または電源のオフにより電源が遮断され、停電監視回路252から停電信号SG1が出力された結果、
図53のNMI割込処理が実行されたということなので、S1813以降の電源遮断時の処理が実行される。まず、各割込処理の発生を禁止し(S1813)、電源が遮断されたことを示す電源断コマンドを他の制御装置(払出制御装置111や音声ランプ制御装置113等の周辺制御装置)に対して送信する(S1814)。そして、RAM判定値を算出して、その値を保存し(S1815)、RAM203のアクセスを禁止して(S1816)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。ここで、RAM判定値は、例えば、RAM203のバックアップされるスタックエリア及び作業エリアにおけるチェックサム値である。
【0846】
なお、S1809の処理は、S1801〜S1808で行われる遊技の状態変化に対応した一連の処理の終了時、又は、残余時間内に行われるS1811とS1812の処理の1サイクルの終了時となるタイミングで実行されている。よって、主制御装置110のメイン処理において、各設定が終わったタイミングで電源断の発生情報を確認しているので、電源遮断の状態から復帰する場合には、立ち上げ処理の終了後、処理をS1801の処理から開始することができる。即ち、立ち上げ処理において初期化された場合と同様に、処理をS1801の処理から開始することができる。よって、電源遮断時の処理において、MPU201が使用している各レジスタの内容をスタックエリアへ退避したり、スタックポインタの値を保存しなくても、初期設定の処理(S1701)において、スタックポインタが所定値(初期値)に設定されることで、S1801の処理から開始することができる。従って、主制御装置110の制御負担を軽減することができると共に、主制御装置110が誤動作したり暴走したりすることなく正確な制御を行うことができる。
【0847】
次に、
図56のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される大当たり制御処理(S1804)を説明する。
図56は、この大当たり制御処理(S1804)を示すフローチャートである。この大当たり制御処理(S1804)は、メイン処理(
図55参照)の中で実行され、パチンコ機10が特別図柄の大当たり状態である場合に、大当たりに応じた各種演出を実行するための情報(コマンド)の設定や、入賞口等(特定入賞口(大開放口)650a)を開放又は閉鎖するための処理である。
【0848】
大当たり制御処理(S1804)では、まず、特別図柄の大当たりが開始されるタイミングであるかを判別する(S1901)。具体的には、特別図柄変動停止処理(
図45のS208参照)のS806の処理が実行され、特別図柄の大当たりの開始が設定されている場合、或いは、役物当たり制御処理(
図58のS1805参照)のS2010の処理が実行され、大当たりの開始が設定されている場合に、各種動作シナリオテーブル202eが有する大当たり動作シナリオテーブル202e1に対応させて動作カウンタがセットされる。そして、動作カウンタの値が大当たり動作シナリオテーブル202e1に規定されている大当たり開始タイミングと一致した場合に、大当たりが開始されると判別する。S1901の処理において、特別図柄の大当たり開始タイミングであると判別した場合には(S1901:Yes)、オープニングコマンドを設定して(S1902)、本処理を終了する。
【0849】
なお、オープニングコマンドは遊技状態や大当たり種別に応じて遅延(可変)して送信するように構成してもよい。具体的には、定期的(4ms毎)に更新されるオープニングカウンタを設ける。そして、特別図柄の大当たりまたは役物当たりが開始される場合に、オープニングカウンタを0に初期化して、その後、オープニングカウンタが所定値(例えば、大当たりA,Bの場合は2500、大当たりCの場合は5000)となった場合に、オープニングコマンドを送信するようにすればよい。このようにすることで、例えば、左打ち遊技であって、特図抽選で大当たりとなった場合には、大当たりの開始(特定入賞口650aが開放される)までの時間を短くし、左打ち遊技であって、特電遊技の結果、役物当たり遊技にて大当たりとなった場合には、大当たりの開始(特定入賞口650aが開放される)までの時間を長くすることができる。このように構成することで、役物当たり遊技中の球流れ状況を注視していた遊技者に対して大当たり遊技への準備をさせる期間を確保することができる。
【0850】
一方、S1901の処理において、大当たり開始タイミングでは無いと判別した場合は(S1901:No)、次に、現在が大当たり中であるかを判別する(S1903)。このS1903の処理では、遊技状態格納エリア203gに記憶されている当たり遊技に関する遊技情報を読み出して判別が行われる。
【0851】
大当たり中としては、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81において特別図柄の大当たり(特別図柄の大当たり遊技中も含む)を示す表示がなされている最中と、大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。また、V入賞口165に球が入賞したことを示す表示がなされている最中も含まれる。S1903の処理において大当たり中では無いと判別した場合は(S1903:No)、そのまま本処理を終了する。一方、大当たり中であると判別した場合は(S1903:Yes)、次に、新たなラウンドの開始タイミングであるか判別する(S1904)。
【0852】
S1904の処理において新たなラウンドの開始タイミングであると判別した場合、即ち、取得した動作カウンタの値が大当たり動作シナリオテーブル202e1に規定されているラウンド遊技の開始タイミングであると判別した場合は(S1904:Yes)、特定入賞口ソレノイド209aをオンに設定し(S1905)、新たに開始するラウンド数を示すラウンド数コマンドを設定し(S1906)、その後、本処理を終了する。
【0853】
一方、S1904の処理において、新たなラウンドの開始タイミングではないと判別した場合には(S1904:No)、ラウンドの終了タイミングであるか判別する(S1907)。ラウンドの終了タイミングであると判別した場合には、即ち、取得した動作カウンタの値が大当たり動作シナリオテーブル202e1に規定されているラウンド遊技の終了タイミングであると判別した場合は(S1907:Yes)、特定入賞口ソレノイド209aをオフに設定し(S1908)、入賞個数カウンタ203eの値を0にクリアする(S1909)。その後、この処理を終了する。
【0854】
一方、S1907の処理において、ラウンドの終了タイミングでないと判別した場合には(S1907:No)、エンディング演出の開始タイミングであるか判別する(S1910)。エンディング演出の開始タイミングは、大当たり遊技における最終ラウンド(大当たりAの場合であれば4ラウンド目)が終了して特定入賞口650aが閉状態にされ、球はけ時間である待機時間(本実施形態では、3秒)が経過した場合に、エンディング演出の開始タイミングであると判別する。エンディング演出の開始タイミングであると判別した場合には(S1910:Yes)、エンディングの開始を示すエンディングコマンドを設定して(S1911)、本処理を終了する。
【0855】
一方、S1910の処理において、エンディング演出の開始タイミングでないと判別した場合は(S1910:No)、次に、大当たりの終了タイミングであるか否かを判別する(S1912)。なお、大当たりの終了タイミングとは、具体的には、取得した動作カウンタの値が大当たり動作シナリオテーブル202e1に規定されている大当たり遊技の終了タイミングである。S1912の処理において、大当たりの終了タイミング(エンディング演出の終了タイミング)であると判別した場合は(S1912:Yes)、次いで、大当たりの種別が大当たりBであるか否かを判別する(S1913)。大当たりBであると判別した場合は(S1913:Yes)、時短カウンタ203hの値に15を設定し(S1914)、S1916の処理へ移行する。S1913の処理において、大当たりの種別が大当たりBではない(大当たりA、又は大当たりCである)と判別した場合には(S1913:No)、S1915の処理へ移行する。
【0856】
S1915の処理では、時短カウンタ203hの値に4を設定し(S1915)、次に、大当たり後の遊技状態に対応する状態コマンドを設定し(S1916)、大当たりの終了を設定するための大当たり終了を設定して(S1917)、本処理を終了する。
【0857】
一方、S1912の処理において、大当たり終了のタイミングではないと判別した場合には(S1912:No)、入賞処理を実行し(S1918)、その後、本処理を終了する。ここで、
図57を参照して、この入賞処理(S1918)について詳細に説明する。
図57は、この入賞処理(S1918)の内容を示したフローチャートである。
【0858】
入賞処理(
図57のS1918)では、まず、ラウンド有効期間であるか判別する(S2001)。ラウンド有効期間とは、ラウンド遊技が設定されている期間、即ち、特定入賞口650aが開放している期間である。ラウンド有効期間外であると判別した場合には(S2001:No)、この処理を終了する。一方、ラウンド有効期間内であると判別した場合には(S2001:Yes)、次いで、特定入賞口650aを球が通過したかを判別する(S2002)。特定入賞口650aを球が通過したと判別した場合には(S2002:Yes)、入賞個数カウンタの値に1加算して更新し(S2003)、加算後の入球数を示すコマンドを設定する(S2004)。一方、特定入賞口650aを球が通過していないと判別した場合には(S2002:No)、そのまま本処理を終了する。
【0859】
S2004の処理を実行後、次いで、入賞個数カウンタの値が10であるか判別する(S2005)。入賞個数カウンタの値が10であると判別した場合には(S2005:Yes)、動作カウンタの値を現在のラウンド終了を示す値の1つ手前に更新し(S2006)、その後、本処理を終了する。S2005の処理において、入賞個数カウンタの値が10ではないと判別した場合には(S2005:No)、S2006の処理をスキップし、そのまま本処理を終了する。
【0860】
このように構成することで、ラウンド遊技の終了条件として、時間の経過(30秒経過)を契機に成立する終了条件と、球の入賞(10個入賞)を契機に成立する終了条件と、を設けた場合において、何れの終了条件が成立した場合であっても、同一の動作シナリオに基づいて大当たり遊技の動作制御を実行することができる。よって、主制御装置110の制御処理を簡素化することができる。
【0861】
次に、
図58のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される役物当たり制御処理(S1805)を説明する。
図58は、この役物当たり制御処理(S1805)を示すフローチャートである。この役物当たり制御処理(S1805)は、メイン処理(
図55参照)の中で実行されるものであり、特電始動口入賞処理(
図50のS108参照)にて役物当たりフラグ203kがオンに設定されたことを契機に設定される動作シナリオ(役物当たり動作シナリオテーブル202e2に規定されている動作シナリオ)の更新状況(取得した動作カウンタの値)に基づいて各種制御処理が実行される。
【0862】
役物当たり制御処理(S1805)では、まず、役物当たりが開始されるタイミングであるかを判別する(S2101)。ここでは、役物当たり動作シナリオテーブル202e(
図26(b)参照)に対応する動作カウンタの値が1であるかを判別する。役物当たりの開始タイミングであると判別した場合には(S2101:Yes)、役物当たりオープニングコマンドを設定して(S2102)、本処理を終了する。
【0863】
一方、S2101の処理において、役物当たり開始タイミングでは無いと判別した場合は(S2101:No)、次に、現在が役物当たり中であるかを判別する(S2103)。役物当たり中では無いと判別した場合は(S2103:No)、そのまま本処理を終了する。一方、役物当たり中であると判別した場合は(S2103:Yes)、次に、開放動作のタイミングであるか判別する(S2104)。具体的には、役物当たり動作シナリオテーブル202eに対応する動作カウンタの値が26であるかを判別する。開放動作のタイミングであると判別した場合には(S2104:Yes)、開放ソレノイド(V入賞口ソレノイド209b)をオンに設定し(S2105)、その後、本処理を終了する。なお、図示は省略するが、V入賞装置65の役物当たり動作シナリオテーブル202eに対応する動作カウンタの値に応じて、開放ソレノイド(V入賞口ソレノイド209b)を閉鎖(オフに設定)する処理や、貯留ソレノイド209cをオンに設定する処理が実行される。
【0864】
一方、S2104の処理において、開放動作のタイミングではないと判別した場合には(S2104:No)、次に、役物当たり終了のタイミングであるか判別する(S2106)。具体的には、役物当たり動作シナリオテーブル202eに対応する動作カウンタの値が750であるかを判別する。役物当たり終了のタイミングであると判別した場合には(S2106:Yes)、役物当たりフラグ203kをオフに設定し(S2107)、次に、Vフラグ203pがオンであるか否かを判別する(S2108)。Vフラグ203pがオフであると判別した場合には(S2108:No)、そのまま本処理を終了する。Vフラグ203pがオンであると判別した場合には(S2108:Yes)、大当たりの開始を設定し(S2110)、Vフラグ203pをオフに設定し(S2111)、その後、本処理を終了する。
【0865】
一方、S2106の処理において、役物当たり終了のタイミングではないと判別した場合には(S2106:No)、V通過検出処理を実行し(S2112)、その後、本処理を終了する。
【0866】
<第1実施形態における音声ランプ制御装置により実行される制御処理について>
次に、
図59から
図72を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU221の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、その立ち上げ処理後に実行されるメイン処理とがある。
【0867】
まず、
図59を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される立ち上げ処理を説明する。
図59は、この立ち上げ処理を示したフローチャートである。この立ち上げ処理は電源投入時に起動される。
【0868】
立ち上げ処理が実行されると、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S4001)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定する。その後、電源断処理中フラグがオンしているか否かによって、今回の立ち上げ処理が瞬間的な電圧降下(瞬間的な停電、所謂「瞬停」)によって、S4117の電源断処理(
図60参照)の実行途中に開始されたものであるか否かが判断される(S4002)。
図60を参照して後述する通り、音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から電源断の発生情報を受信すると(
図60のS4114参照)、S4117の電源断処理を実行する。かかる電源断処理の実行前に、電源断処理中フラグがオンされ、該電源断処理の終了後に、電源断処理中フラグはオフされる。よって、S4117の電源断処理が実行途中であるか否かは、電源断処理中フラグの状態によって判断できる。
【0869】
電源断処理中フラグがオフであれば(S4002:No)、今回の立ち上げ処理は、電源が完全に遮断された後に開始されたか、瞬間的な停電が生じた後であってS4117の電源断処理の実行を完了した後に開始されたか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって(主制御装置110からの電源断コマンドを受信することなく)開始されたものである。よって、これらの場合には、RAM223のデータが破壊されているか否かを確認する(S4003)。
【0870】
RAM223のデータ破壊の確認は、次のように行われる。即ち、RAM223の特定の領域には、S4006の処理によって「55AAh」のキーワードとしてのデータが書き込まれている。よって、その特定領域に記憶されるデータをチェックし、該データが「55AAh」であればRAM223のデータ破壊は無く、逆に「55AAh」でなければRAM223のデータ破壊を確認することができる。RAM223のデータ破壊が確認されれば(S4003:Yes)、S4004へ移行して、RAM223の初期化を開始する。一方、RAM223のデータ破壊が確認されなければ(S4003:No)、S4008へ移行する。
【0871】
なお、今回の立ち上げ処理が、電源が完全に遮断された後に開始された場合には、RAM223の特定領域に「55AAh」のキーワードは記憶されていないので(電源断によってRAM223の記憶は喪失するから)、RAM223のデータ破壊と判断され(S4003:Yes)、S4004へ移行する。一方、今回の立ち上げ処理が、瞬間的な停電が生じた後であってS4117の電源断処理の実行を完了した後に開始されたか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって開始された場合には、RAM223の特定領域には「55AAh」のキーワードが記憶されているので、RAM223のデータは正常と判断されて(S4003:No)、S4008へ移行する。
【0872】
電源断処理中フラグがオンであれば(S4002:Yes)、今回の立ち上げ処理は、瞬間的な停電が生じた後であって、S4117の電源断処理の実行途中に、音声ランプ制御装置113のMPU221にリセットがかかって開始されたものである。かかる場合は電源断処理の実行途中なので、RAM223の記憶状態は必ずしも正しくない。よって、かかる場合には制御を継続することはできないので、処理をS4004へ移行して、RAM223の初期化を開始する。
【0873】
S4004の処理では、RAM223の全範囲の記憶領域をチェックする(S4004)。チェック方法としては、まず、1バイト毎に「0FFh」を書き込み、それを1バイト毎に読み出して「0FFh」であるか否かを確認し、「0FFh」であれば正常と判別する。かかる1バイト毎の書き込み及び確認を、「0FFh」に次いで、「55h」、「0AAh」、「00h」の順に行う。このRAM223の読み書きチェックにより、RAM223のすべての記憶領域が0クリアされる。
【0874】
RAM223のすべての記憶領域について、読み書きチェックが正常と判別されれば(S4005:Yes)、RAM223の特定領域に「55AAh」のキーワードを書き込んで、RAM破壊チェックデータを設定する(S4006)。この特定領域に書き込まれた「55AAh」のキーワードを確認することにより、RAM223にデータ破壊があるか否かがチェックされる。一方、RAM223のいずれかの記憶領域で読み書きチェックの異常が検出されれば(S4005:No)、RAM223の異常を報知して(S4007)、電源が遮断されるまで無限ループする。RAM223の異常は、表示ランプ34により報知される。なお、音声出力装置226により音声を出力してRAM223の異常報知を行うようにしても良いし、表示制御装置114にエラーコマンドを送信して、第3図柄表示装置81にエラーメッセージを表示させるようにしてもよい。
【0875】
S4008の処理では、電源断フラグがオンされているか否かを判別する(S4008)。電源断フラグはS4117の電源断処理の実行時にオンされる(
図60のS4116参照)。つまり、電源断フラグは、S4117の電源断処理が実行される前にオンされるので、電源断フラグがオンされた状態でS4008の処理に至るのは、今回の立ち上げ処理が、瞬間的な停電が生じた後であってS4117の電源断処理の実行を完了した状態で開始された場合である。従って、かかる場合には(S4008:Yes)、音声ランプ制御装置113の各処理を初期化するためにRAMの作業エリアをクリアし(S4009)、RAM223の初期値を設定した後(S4010)、割込み許可を設定して(S4011)、メイン処理へ移行する。なお、RAM223の作業エリアとしては、主制御装置110から受信したコマンド等を記憶する領域以外の領域をいう。
【0876】
一方、電源断フラグがオフされた状態でS4008の処理に至るのは、今回の立ち上げ処理が、例えば電源が完全に遮断された後に開始されたためにS4004からS4006の処理を経由してS4008の処理へ至ったか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって(主制御装置110からの電源断コマンドを受信することなく)開始された場合である。よって、かかる場合には(S4008:No)、RAM223の作業領域のクリア処理であるS4009をスキップして、処理をS4010へ移行し、RAM223の初期値を設定する(S4010)。
【0877】
なお、S4009のクリア処理をスキップするのは、S4004からS4006の処理を経由してS4008の処理へ至った場合には、S4004の処理によって、既にRAM223のすべての記憶領域はクリアされているし、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって、立ち上げ処理が開始された場合には、RAM223の作業領域のデータをクリアせず保存しておくことにより、音声ランプ制御装置113の制御を継続できるからである。
【0878】
次に、
図60を参照して、音声ランプ制御装置113の立ち上げ処理後に音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理について説明する。
図60は、このメイン処理を示したフローチャートである。メイン処理が実行されると、まず、該メイン処理が開始されてから、又は、前回S4101の処理が実行されてから1ミリ秒以上が経過したか否かが判別され(S4101)、1ミリ秒以上経過していなければ(S4101:No)、S4102〜S4111の処理を行わずにS4112の処理へ移行する。S4101の処理で、1ミリ秒経過したか否かを判別するのは、S4102〜S4111が表示(演出)に関する処理であり、短い周期(1ミリ秒以内)で編集する必要がないのに対して、S4112のコマンド判定処理やS4113の変動表示設定処理を短い周期で実行する方が好ましいからである。S4112の処理が短い周期で実行されることにより、主制御装置110から送信されるコマンドの受信洩れを防止でき、S4112の処理が短い周期で実行されることにより、コマンド判定処理によって受信されたコマンドに基づき、変動表示演出に関する設定を遅滞なく行うことができる。
【0879】
S4101の処理で1ミリ秒以上経過していれば(S4101:Yes)、まず、S4103〜S4113の処理によって設定された、表示制御装置114に対する各種コマンドを、表示制御装置114に対して送信するコマンド出力処理を実行する(S4102)。次いで、表示ランプ34の点灯態様の設定や後述するS4108の処理で編集されるランプの点灯態様となるよう各ランプの出力を設定し(S4103)、その後電源投入報知処理を実行する(S4104)。電源投入報知処理は、電源が投入された場合に所定の時間(例えば30秒)電源が投入されたことを知らせる報知を行うものであり、その報知は音声出力装置226やランプ表示装置227により行われる。また、第3図柄表示装置81の画面において電源が供給されたことを報知するようコマンドを表示制御装置114に送信するものとしても良い。なお、電源投入時でなければ、電源投入報知処理による報知は行わずにS4105の処理へ移行する。
【0880】
S4105の処理では客待ち演出が実行され、その後、保留個数表示更新処理が実行される(S4106)。客待ち演出では、パチンコ機10が遊技者により遊技されない時間が所定時間経過した場合に、第3図柄表示装置81の表示をタイトル画面に切り替える設定などが行われ、その設定がコマンドとして表示制御装置114に送信される。
【0881】
その後、枠ボタン入力監視・演出処理が実行される(S4107)。この枠ボタン入力監視・演出処理では、演出効果を高めるために遊技者に操作される枠ボタン22が押されたか否かの入力を監視し、枠ボタン22の入力が確認された場合に対応した演出を行うよう設定する処理である。この処理では、枠ボタン22の遊技者による操作が検出されると、表示制御装置114に対して枠ボタン22が操作されたことを通知する枠ボタン操作コマンドを設定する。
【0882】
枠ボタン入力監視・演出処理が終わると、次いで、ランプ編集処理を実行し(S4108)、その後音編集・出力処理を実行する(S4109)。ランプ編集処理では、第3図柄表示装置81で行われる表示に対応するよう電飾部29〜33の点灯パターンなどが設定される。音編集・出力処理では、第3図柄表示装置81で行われる表示に対応するよう音声出力装置226の出力パターンなどが設定され、その設定に応じて音声出力装置226から音が出力される。
【0883】
S4109の処理後、液晶演出実行管理処理を実行し(S4110)、次に、演出更新処理を実行する(S4111)。この演出更新処理(S4111)の詳細については、
図72を参照して後述する。S4111の処理を実行後、S4112の処理へ移行する。液晶演出実行管理処理では、主制御装置110から送信される変動パターンコマンドに基づいて第3図柄表示装置81で行われる変動表示に要する時間と同期した時間が設定される。この液晶演出実行監視処理で設定された時間に基づいてS4108のランプ編集処理が実行される。なお、S4109の音編集・出力処理も第3図柄表示装置81で行われる変動表示に要する時間と同期した時間で実行される。
【0884】
S4111の処理後、主制御装置110より受信したコマンドに応じた処理を行うコマンド判定処理(S4112)が実行され、S4113の処理へ移行する。このコマンド判定処理(S4112)の詳細については、
図61を参照して後述する。
【0885】
S4113の処理では、第3図柄表示装置81において変動表示演出を表示させるために、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドに基づいて表示用変動パターンコマンドを生成し、そのコマンドを表示制御装置114に送信するために設定する処理である変動表示設定処理を実行する。この変動表示設定処理の詳細については、
図71を参照して後述する。
【0886】
S4113の処理が終わると、ワークRAM233に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別する(S4114)。電源断の発生情報は、主制御装置110から電源断コマンドを受信した場合に記憶される。S4114の処理で電源断の発生情報が記憶されていれば(S4114:Yes)、電源断フラグ及び電源断処理中フラグを共にオンして(S4116)、電源断処理を実行する(S4117)。電源断処理の実行後は、電源断処理中フラグをオフし(S4118)、その後、処理を、無限ループする。電源断処理では、割込処理の発生を禁止すると共に、各出力ポートをオフして、音声出力装置226およびランプ表示装置227からの出力をオフする。また、電源断の発生情報の記憶も消去する。
【0887】
一方、S4114の処理で電源断の発生情報が記憶されていなければ(S4114:No)、RAM223に記憶されるキーワードに基づき、RAM223が破壊されているか否かが判別され(S4115)、RAM223が破壊されていなければ(S4115:No)、S4101の処理へ戻り、繰り返しメイン処理が実行される。一方、RAM223が破壊されていれば(S4115:Yes)、以降の処理の実行を停止させるために、処理を無限ループする。ここで、RAM破壊と判別されて無限ループするとメイン処理が実行されないので、その後、第3図柄表示装置81による表示が変化しない。よって、遊技者は、異常が発生したことを知ることができるので、ホールの店員などを呼びパチンコ機10の修復などを頼むことができる。また、RAM223が破壊されていると確認された場合に、音声出力装置226やランプ表示装置227によりRAM破壊の報知を行うものとしても良い。
【0888】
次に、
図61を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理(S4112)について説明する。
図61は、このコマンド判定処理(S4112)を示したフローチャートである。このコマンド判定処理(S4112)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理(
図60参照)の中で実行され、上述したように、主制御装置110から受信したコマンドを判定する。以下、コマンド判定処理(S4112)の詳細を説明する。
【0889】
コマンド判定処理(S4112)では、まず、RAM223に設けられたコマンド記憶領域223aから、未処理のコマンドのうち主制御装置110より受信した最初のコマンドを読み出して解析し、主制御装置110より第1可動弁動作コマンドを受信したか否かを判別する(S4201)。第1可動弁動作コマンドを受信したと判別された場合には(S4201:Yes)、受信した第1可動弁動作コマンドに基づいて、動作シナリオの更新を設定し(S4202)、その後、本処理を終了する。
【0890】
つまり、本実施形態では、パチンコ機10において電源投入時に実行される第1可動弁66bへの動作制御に関するコマンド(第1可動弁動作コマンド)を受信した場合に、遅滞無く動作シナリオを更新させるために、コマンド判定処理の最優先判別順序に第1可動弁コマンドの受信を判別するための処理を設けている。このように構成することで、主制御装置110側の動作制御内容と、音声ランプ制御装置113側での状況把握内容とを容易に同期させることができる。
【0891】
なお、本実施形態では、パチンコ機10において電源投入時に実行される第1可動弁66bへの動作制御に関するコマンド(第1可動弁動作コマンド)を受信した場合にのみ動作シナリオ(第1可動弁66bの動作状況を音声ランプ制御装置113側で把握するための動作シナリオ)を設定するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、所定期間毎(1時間毎)に主制御装置110側から第1可動弁66bの動作制御内容を示すコマンドを出力したり、大当たり遊技が実行される毎に第1可動弁66bの動作制御内容を示すコマンドを出力したりするように構成しても良い。そして、受信したコマンドの内容と、更新している動作シナリオの内容と、を比較し、動作シナリオの更新内容を補正する処理を実行しても良い。これにより、音声ランプ制御装置113側による主制御装置110側の動作制御内容の把握精度をより高めることができる。さらに、主制御装置110側から出力されるコマンドを受信するまでに要するタイムラグを予め考慮して、音声ランプ制御装置113側の動作シナリオの更新処理を実行するように構成しても良い。
【0892】
一方、S4201の処理において、第1可動弁動作コマンドを受信していないと判別された場合には(S4201:No)、主制御装置110より特図変動パターンコマンドを受信したか否かを判別する(S4203)。ここで、特図変動パターンコマンドは、特別図柄の変動パターン(変動時間)を通知するためのコマンドである。S4203の処理において、特図変動パターンコマンドを受信したと判別された場合には(S4203:Yes)、特図変動開始処理を実行し(S4204)、本処理を終了する。この特図変動開始処理(S4204)の詳細については、
図62を参照して後述する。
【0893】
一方、S4203の処理において、特図変動パターンコマンドを受信していないと判別した場合には(S4203:No)、特図停止種別コマンドを受信したか否かを判別する(S4205)。特図停止種別コマンドを受信したと判別した場合は(S4205:Yes)、停止種別選択フラグ223eをオンに設定し(S4206)、受信した特図停止種別コマンドから停止種別を抽出し(S4207)、その後、本処理を終了する。
【0894】
一方、S4205の処理において、特図停止種別コマンドを受信していないと判別した場合は(S4205:No)、次に、主制御装置110より保留球数コマンドを受信したか判別する(S4208)。ここで、保留球数コマンドを受信したと判別した場合には(S4208:Yes)、受信した保留球数コマンドの図柄種別(特別図柄、普通図柄)を解析し、音声ランプ制御装置113のRAM223に設けられた対応するカウンタの値を更新する(S4209)。具体的には、特別図柄の保留球数コマンドを受信した場合は、その保留球数コマンドに含まれる主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203cの値(即ち、特別図柄の変動表示の保留球数)を抽出し、その抽出したカウンタ値に合わせて、音声ランプ制御装置113のRAM223に設けられた特別図柄保留球数カウンタ223cの値を更新する。
【0895】
また、普通図柄の保留球数コマンドを受信した場合は、その保留球数コマンドに含まれる主制御装置110の普通図柄保留球数カウンタ203dの値(即ち、普通図柄の変動表示の保留球数)を抽出し、その抽出したカウンタ値に合わせて、音声ランプ制御装置113のRAM223に設けられた普通図柄保留球数カウンタの値を更新する。
【0896】
ここで、保留球数コマンドは、球が各種入球口(特図入球口64、スルーゲート67)に入球(始動入賞)し、各種保留球数カウンタの値が加算された場合、或いは、各種変動開始処理を実行する際に、各種保留球数カウンタの値が減算されたときに主制御装置110から送信されるものであるので、始動入賞時や変動表示設定時毎に、S4209の処理によって、音声ランプ制御装置113の特別図柄保留球数カウンタ223c、普通図柄保留球数カウンタの値を、主制御装置110の特別図柄保留球数カウンタ203c、普通図柄保留球数カウンタ203dの値に合わせることができる。
【0897】
よって、ノイズなどの影響により、音声ランプ制御装置113のRAM223が有する特別図柄保留球数カウンタ223cの値が、主制御装置110の各種保留球数カウンタ203c,203dの値とずれてしまっても、始動入賞時、変動表示設定時、即ち、各種保留球数変更されることに基づいて保留球数コマンドが通知されれば、音声ランプ制御装置113の特別図柄保留球数カウンタ223cの値を修正し、主制御装置110の各種保留球数カウンタ各種保留球数カウンタ203c,203dの値に合わせることができる。
【0898】
また、S4208の処理において、保留球数コマンドを受信していないと判別した場合は(S4208:No)、主制御装置110より入賞コマンドを受信したか判別する(S4210)。S4210の処理において、入賞コマンドを受信したと判別した場合は(S4210:Yes)、入賞コマンド処理を実行し(S4211)、本処理を終了する。この入賞コマンド処理(S4211)は、受信した入賞情報コマンドに含まれる入賞情報に対応する図柄種別(特別図柄、普通図柄)を解析し、その解析結果に対応する記憶領域(音声ランプ制御装置113のRAM223内の入賞情報格納エリア223b)に格納(記憶)する処理と、受信した入賞情報に基づいた演出(先読み演出)を実行するための処理を行うものである。なお、詳細な内容については、
図63を参照して後述する。
【0899】
S4210の処理において、入賞コマンドを受信していないと判別した場合は(S4210:No)、次に、主制御装置110より状態コマンドを受信したか否かを判別する(S4212)。状態コマンドを受信したと判別した場合には(S4212:Yes)、状態コマンド受信処理を実行し(S4213)、本処理を終了する。この状態コマンド受信処理(S4213)の詳細については、
図64を参照して後述するが、主制御装置110から出力される状態コマンドに基づいてパチンコ機10の遊技状態(通常状態、時短状態)と、当たり遊技状態(大当たり中、役物当たり中)を従状態設定エリア223gに設定する処理が実行される。
【0900】
次に、S4212の処理において、状態コマンドを受信していないと判別した場合は(S4212:No)、主制御装置110より停止関連コマンドを受信したかを判別する(S4214)。S4214の処理において停止関連コマンドを受信したと判別した場合は(S4214:Yes)、停止関連処理を実行し(S4215)、本処理を終了する。この停止関連処理(S4215)の詳細な説明は
図65を参照して後述するが、主制御装置110から出力される各種停止コマンドに基づいて、第3図柄表示装置81に表示される第3図柄や第4図柄を用いた変動演出の表示態様を設定するための処理が実行される。
【0901】
本実施形態では、特別図柄の変動表示が実行される期間として、特別図柄変動を実行する際に変動パターン(変動時間)を予め設定するように構成しているが、予め設定された変動パターンに基づいて特別図柄変動を実行している最中でも、他の特別図柄変動の結果に応じて強制的に特別図柄変動を停止させる処理を実行する場合がある。そのため、音声ランプ制御装置113側で停止関連処理(S4215)を実行し、特別図柄変動が停止されたタイミングに対応させて第3図柄、第4図柄の変動表示(変動演出)を停止することができるように構成している。これにより、特別図柄の変動状況と第3図柄表示装置81に表示される変動演出の状況とを同期させることができ、遊技者に分かり易い表示態様を提供することができる。
【0902】
一方、S4214の処理において、停止関連コマンドを受信していないと判別した場合は(S4214:No)、主制御装置110より普図関連コマンドを受信したかを判別し(S4216)、普図関連コマンドを受信したと判別した場合は(S4216:Yes)、普図関連処理を実行し(S4217)、本処理を終了する。普図関連処理(S4217)の詳細については、
図66を参照して後述する。
【0903】
S4216の処理において、普図関連コマンドを受信していないと判別した場合には(S4216:No)、主制御装置110より当たり関連コマンドを受信したかを判別し(S4218)、当たり関連コマンドを受信したと判別した場合は(S4218:Yes)、当たり関連処理を実行し(S4219)、本処理を終了する。当たり関連処理(S4219)の詳細については、
図67を参照して後述するが、特別図柄の抽選の結果、大当たり又は小当たりに当選した場合に実行される大当たり遊技又は小当たり遊技に対応した演出表示を第3図柄表示装置81に実行させるための処理を行うものである。
【0904】
S4218の処理において、当たり関連コマンドを受信していないと判別した場合には(S4218:No)、その他のコマンドに応じた処理を実行して(S4220)、本処理を終了する。S4220の処理では、その他のコマンドが、音声ランプ制御装置113で用いるコマンドであればそのコマンドに対応した処理を行い、処理結果をRAM223に記憶し、表示制御装置114で用いるコマンドであればそのコマンドを表示制御装置114に送信するように、コマンドの設定を行うものである。
【0905】
以上、本実施形態の音声ランプ制御装置113にて実行されるコマンド判定処理(
図61のS4112)について説明をしたが、コマンド判定処理(S4112)において、各種コマンドに対する受信の有無を判別する順序について、本実施形態に示した順序以外の順序を用いても良く、例えば、状態コマンドを受信したか否かを判別する処理を、特図変動パターンコマンドを受信したか否かを判別する処理よりも先に実行するよう判別順序を規定しても良い。
【0906】
このように構成することで、変動パターンコマンドと状態コマンドとが同時に主制御装置110から出力される場合、即ち、主制御装置110の特別図柄変動開始処理(
図41のS205参照)の中で、特別図柄変動パターン選択処理(
図43のS307参照)を実行し、特図変動パターンコマンドを設定し、その後に遊技状態が可変したことを示す状態コマンドを設定した場合であっても、音声ランプ制御装置113側で現在設定されている遊技状態を特図変動パターンコマンドよりも先に判定することができる。
【0907】
次に、
図62を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される特図変動開始処理(S4204)について説明をする。
図62は、特図変動開始処理(S4204)を示したフローチャートである。この特図変動開始処理(S4204)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理(
図61参照)の中で実行されるものであって、設定されている遊技状態に応じて第3図柄表示装置81に表示される特別図柄に対応する表示態様(主変動用変動パターン、従変動用変動パターン)を設定する処理が実行される。
【0908】
そして、表示制御装置114は、ここで設定された表示態様(表示用コマンド)と、後述する変動表示設定処理(
図71参照)にて設定された表示用変動パターンコマンドとに基づいて第3図柄表示装置81の表示領域に表示される表示態様を設定する。以下、特図変動開始処理(S4204)の詳細を説明する。
【0909】
特図変動開始処理が設定されると、まず。特図変動開始フラグ223dをオンに設定し(S4301)、受信した特図変動パターンコマンドから変動パターンを抽出し(S4302)、変動パターン選択テーブル222aを用いて詳細な表示態様を選択する(S4303)。
【0910】
次に、従状態設定エリア223gに設定(記憶)されている情報(現在の遊技状態を示す情報)を読み出して、現在の遊技状態が時短状態であるかを判別する(S4304)。S4304の処理で、現在が時短状態では無い(通常状態)であると判別した場合は(S4304:No)、通常状態中の表示用コマンドを設定し(S4305)、本処理を終了する。S4305の処理において表示用コマンドが設定されると、音声ランプ制御装置113のメイン処理(
図60参照)のコマンド出力処理(
図60のS4102)において、表示制御装置114へと送信され、
図11(b)に示したような主表示領域Dmにて特別図柄抽選の結果を示すための演出態様が設定される。
【0911】
一方、S4304の処理で、現在の遊技状態が時短状態であると判別した場合は(S4304:Yes)、時短状態中の表示用コマンドを設定し(S4306)、報知済保留数格納エリア223sの値を1減算し(S4307)、今回受信した変動パターンに対応する値(変動時間)を、変動時間カウンタ223rにセットし(S4308)、本処理を終了する。
【0912】
次に、
図63を参照して音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される入賞コマンド処理(S4211)について説明をする。
図63は、入賞コマンド処理(S4211)を示したフローチャートである。この入賞コマンド処理(S4211)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理(
図61参照)の中で実行されものであって、受信した入賞コマンドの種別(特別図柄、普通図柄)と、現在の遊技状態と、に応じて入賞コマンド受信時に実行する演出(所謂、先読み演出)を設定するための処理が実行される。
【0913】
入賞コマンド処理(S4211)を実行すると、まず、受信した入賞コマンドに含まれる情報に基づいてどの図柄種別に対応するものであるのかを解析し、対応する入賞情報記憶エリア223bに設定(格納)する(S4401)。そして、Vラッシュフラグ223qがオンに設定されているかを判別し(S4402)、オンに設定されていないと判別した場合は(S4402:No)、S4412の処理へ移行し、その後、本処理を終了する。一方、オンに設定されていると判別した場合は(S4402:Yes)、受信した入賞コマンドに含まれる変動時間情報を抽出する(S4403)。
【0914】
そして、先読みカウンタ223hの値が1以上であるか否かを判別する(S4404)。先読みカウンタ223hの値が1より小さい(0である)と判別した場合は(S4404:No)、今回受信した入賞情報に含まれる変動時間(特別図柄の変動時間)を、Vラッシュの残期間として上乗せ報知することが出来ない状態であるため、抽出した変動時間を未報知期間格納エリア223jに格納し(S4410)、未報知保留数格納エリア223kの値を1加算し(S4411)、S4412の処理へ移行する。
【0915】
一方、S4404の処理において、先読みカウンタ223hの値が1以上であると判別した場合は(S4404:Yes)、今回受信した入賞コマンドに含まれる変動時間(特別図柄の変動時間)を、Vラッシュの残期間として上乗せ報知することが可能な状態であるため、次いで、中断フラグ223mがオンであるか否かを判別する(S4405)。S44405の処理では、現時点が上乗せ報知を実行可能なタイミングであるかを判別する。本実施形態では、Vラッシュ中において、役物当たり遊技期間中、及び大当たり遊技期間中は、Vラッシュの残期間を上乗せ報知しないように構成している。このように構成することで、遊技者に対して各種当たり遊技に集中させて遊技を行わせることができる。
【0916】
S4405の処理において、中断フラグ223mがオフであると判別した場合は(S4404:No)、次に、特殊当たりフラグ223nがオンであるか否かを判別する(S4406)。特殊当たりフラグ223nがオフであると判別した場合は(S4406:No)、現在が、上乗せ報知を実行可能な状態であるため、時短期間カウンタ223iの値にS4403の処理で抽出した変動時間に対応する値を加算し(S4407)、報知済保留数格納エリア223sの値を1加算し、S4409の処理へ移行する。
【0917】
図示は省略するが、S4407の処理において変動時間が加算された場合には、その加算値に対応する表示用コマンドが設定され第3図柄表示装置81の表示面にて上乗せ報知演出(
図15(a)参照)が実行される。なお、本実施形態では、上乗せ報知演出として、S4407の処理で加算された全ての値を報知するように構成しているが、これに限ること無く、加算された値を上限に複数回に分けて上乗せ報知演出を実行するように構成しても良い。このように構成することで、何を契機にVラッシュの残期間(残時短期間)が上乗せされているのかを遊技者に分かり難くすることができるため、遊技者が早期に飽きることの無い演出を実行することができる。
【0918】
また、それ以外にも、S4407の処理において加算された値が所定値に到達するまで、或いは、時短期間カウンタ223iの値が所定値まで減算するまでは、S4407の処理において加算された値を報知しないように構成し、複数の入賞コマンドに含まれる変動時間(特別図柄の変動時間)を合算して報知するように構成しても良い。これにより、1回の上乗せ報知演出にて上乗せされる残時短期間の長さに意外性を持たせることができる。また、この場合、例えば、特別図柄の大当たり当選時に設定される長さの変動時間(例えば、50秒)と同一の変動時間分の時短期間カウンタ223iに加算された場合に、上乗せ報知演出にて50秒の上乗せ報知演出を実行するように構成すると良い。このように構成することで、特別図柄の大当たりに当選したのではと遊技者に思わせることができ、演出効果を高めることができる。
【0919】
一方、S4405の処理において、中断フラグ223mがオンであると判別した場合と(S4405:Yes)、S4406の処理において、特殊当たりフラグ223nがオンであると判別した場合は(S4406:Yes)、抽出した変動時間を未報知期間格納エリア223jに格納し(S4410)、上述したS4411の処理へ移行する。
【0920】
S4411の処理を終えると、先読みカウンタ223hの値を1減算し(S4409)、次いで、その他の処理を実行し(S4412)、その後、本処理を終了する。
【0921】
次に、
図64を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される状態コマンド受信処理(S4212)について説明する。
図64は、この状態コマンド受信処理(S4212)を示したフローチャートである。この状態コマンド受信処理(S4212)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理(
図61参照)の中で実行されるものであって、設定されている遊技状態に応じて第3図柄表示装置81に表示される表示モードを異ならせて設定するための処理を実行するものである。以下、状態コマンド受信処理(S4213)の詳細を説明する。
【0922】
状態コマンド受信処理(S4213)が実行されると、まず、現在設定されている遊技状態が変更されるか否かを判別する(S4501)。ここでは、従状態設定エリア223gに設定されている遊技状態と、今回受信した状態コマンドが示す遊技状態とが、相違するか否かが判別される。S4501の処理において、遊技状態に変更がないと判別した場合は(S4501:No)、S4502〜S4508の処理をスキップし、S4509の処理へ移行する。遊技状態に変更があると判別した場合は(S4501:Yes)、変更後の遊技状態が通常状態であるかを判別する(S4502)。
【0923】
S4502の処理において、変更後の遊技状態が通常状態であると判別した場合(今回受信した状態コマンドが通常状態を示すコマンドである場合)は(S4502:Yes)、次いで、現在が、普通図柄の当たり中であるか否かを判別する(S4503)。普通図柄の当たり中ではないと判別した場合は(S4503:No)、通常モードを示す表示用コマンドを設定し(S4504)、今回受信した状態コマンドが示す情報を従状態設定エリア223gに記憶(設定)し(S4509)、本処理を終了する。
【0924】
ここで、S4504の処理で設定されたコマンドが表示制御装置114に通知されることにより通常状態中における変動演出表示が実行されることになる。このように、本実施形態では、音声ランプ制御装置113にて、主制御装置110から出力された状態コマンドに基づいて第3図柄表示装置81の表示領域にて表示される各種表示態様の種別(モード、背景)を設定し、その種別を示すコマンドを表示制御装置114へと出力するように構成している。
【0925】
このように構成することで、例えば、音声ランプ制御装置113側で設定されている遊技状態に対してそれぞれ変動演出表示の表示態様を設定する必要を無くすことが可能となる。つまり、現在設定されている遊技状態に対応する各種表示態様の種別を示すコマンド(種別コマンド)と、特別図柄の変動表示に対応する変動パターンコマンド(共通コマンド)とを表示制御装置114に出力するだけで、表示制御装置114側で受信した種別コマンドと、共通コマンドとに基づいて、現在の遊技状態と受信した変動パターンとに対応した表示態様で第3図柄表示装置81に表示させる表示データを設定することができる。よって、音声ランプ制御装置113の処理負荷を軽減させることができる。
【0926】
なお、上述したように、音声ランプ制御装置113から受信した複数のコマンドを表示制御装置114側で組み合わせることにより第3図柄表示装置81に表示させる表示データを設定するように構成した場合には、表示制御装置114側から音声ランプ制御装置113側へと設定後の表示データの内容を示す情報(確認情報)を出力するように構成し、音声ランプ制御装置113側で受信した確認情報が適正であるかを判別する判別手段を設け、その判別結果が適正では無いと判別した場合に、適正な情報を示す簡易的な表示用変動パターンコマンドを設定し、既に設定されている表示データの内容を簡易的な表示データに書き換えるように構成すると良い。
【0927】
このように構成することで、音声ランプ制御装置113が主制御装置110から受信した各種コマンドに対して適正な表示データが設定されなかった場合に、適正な情報を示す簡易的な表示データを設定することができ、その簡易的な表示データに基づく変動演出表示を表示することができる。よって、実際の遊技結果(特別図柄の抽選結果)とは異なる内容の変動演出表示が実行されてしまい、遊技者の遊技意欲が低下してしまうことを抑制することができる。また、上述した簡易的な表示データにとしては、例えば、どの遊技状態にも対応しない特殊モード(例えば、黒背景のモード)を表示する表示データや、第4図柄の変動表示を実行する表示データといった、通常の変動演出表示にて用いる表示データよりもデータ量の少ない表示データを用いれば良い。
【0928】
なお、本実施形態では、上述した構成を用いているがこれに限ること無く、音声ランプ制御装置113側で、現在の遊技状態と、受信した変動パターンとに基づいた表示用変動パターンコマンドを設定するように構成しても良い。
【0929】
図64に戻り説明を続ける。S4502の処理において、変更後の遊技状態が通常状態では無いと判別した場合(今回受信した状態コマンドが通常状態を示すコマンドでは無い場合)は(S4502:No)、次いで、変更後の遊技状態が時短状態であるかを判別し(S4507)、遊技状態が時短状態である(今回受信した状態コマンドが時短状態を示すコマンドである)と判別した場合は(S4507:Yes)、Vラッシュモードを示す表示用コマンドを設定し(S4508)、上述したS4509の処理へ移行する。遊技状態が時短状態はないと判別した場合は(S4507:No)、S4508の処理をスキップし、本処理を終了する。
【0930】
一方、S4503の処理において、現在が普通図柄の当たり中であると判別した場合は(S4503:Yes)、延長モードを示す表示用コマンドを設定し(S4505)、延長フラグ223pをオンに設定し(S4506)、上述したS4509の処理へ移行する。S4505の処理において表示用コマンドが設定されると、音声ランプ制御装置113のメイン処理(
図60参照)のコマンド出力処理(
図60のS4102)において、表示制御装置114へと送信され、
図16(b)に示した延長画面を示す表示態様が設定される。
【0931】
次に、
図65を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理(
図61参照)内の一処理である停止関連処理(S4215)について説明する。
図65は、停止関連処理(S4215)の内容を示したフローチャートである。この停止関連処理(S4215)は、主制御装置110から停止関連コマンド(他の特別図柄抽選の抽選結果に基づいて停止表示される場合に設定されるコマンド)を受信した場合の表示態様を設定するための処理が実行される。
【0932】
停止関連処理(S4215)が実行されると、まず、今回受信した停止関連コマンドが特図確定コマンドであるかを判別する(S4601)。特図確定コマンドであると判別した場合は(S4601:Yes)、変動停止用の表示コマンドを設定し(S4602)、S4603の処理へ移行する。一方、特図確定コマンドを受信していないと判別した場合は(S4601:No)、S4602の処理をスキップし、S4603の処理へ移行する。
【0933】
S4603の処理では、今回受信した停止関連コマンドが特図仮停止コマンドであるかを判別する(S4603)。特図仮停止コマンドを受信したと判別した場合は(S4603:Yes)、中断フラグ223mをオンに設定し(S4604)、特別図柄の仮停止態様を示す表示コマンドを設定し(S4605)、S4606の処理へ移行する。一方、特図仮停止コマンドを受信していないと判別した場合は(S4603:No)、S4604,S4605の処理をスキップし、S4606の処理へ移行する。
【0934】
S4605の処理で特別図柄の仮停止態様を示す表示コマンドが設定されると、
図13(b)に示したように、仮停止中であることを示す表示態様(「STOP」の文字)が表示されると共に、特別図柄変動の残期間を示すためのタイマ812の減算表示が中断される。
【0935】
S4606の処理では、今回受信した停止関連コマンドが特図変動再開コマンドであるかを判別する(S4606)。この特図変動再開コマンドは、主制御装置110の特別図柄変動実行中処理(
図44のS206参照)において、特別図柄の変動が再開した場合に設定されるコマンドである(
図44のS702参照)。特図変動再開コマンドを受信したと判別した場合は(S4606:Yes)、中断フラグ223mをオフに設定し(S4607)、特別図柄の変動再開を示す表示コマンドを設定し(S4608)する。
【0936】
そして、中断フラグ223mがオンに設定されていた期間中に、未報知情報の更新があったかを判別する(S4609)。この処理では、未報知期間格納エリア223j、未報知保留数格納エリア223kに新たな変動時間を示す情報が格納されたかを判別する。S4609の処理において、更新が無いと判別した場合は(S4609:No)、そのまま本処理を終了する。一方、更新があると判別した場合は(S4609:Yes)、更新内容に対応させて時短期間カウンタ223iの値を加算し(S4610)、未報知期間格納エリア223j、未報知保留数格納エリア223k、報知済保留数格納エリア223sの情報を更新し、本処理を終了する。一方、特図変動再開コマンドを受信していないと判別した場合は(S4606:No)、そのまま本処理を終了する。
【0937】
なお、S4610の処理によって加算された値は、中断フラグ223がオフに設定されるタイミング、即ち、特図変動が再開され、第3図柄表示装置81の表示面にて表示されるタイマ812の数値が減算を開始するタイミングで纏めて上乗せ報知される。このように構成することで、特別図柄の変動時間の減算がストップしている状態では、各種当たり遊技に注視させると共に、各種当たり遊技の終了後に纏めて上乗せ報知演出が実行されるため、各種当たり遊技の終了後においても遊技者にVラッシュの残期間が大量に上乗せされることに期待を持たせることができる。
【0938】
次に、
図66を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される普図関連処理(S4217)について説明する。
図66は、この普図関連処理(S4217)を示したフローチャートである。この普図関連処理(S4217)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理(
図61参照)の中で実行されるものである。以下、普図関連処理(S4217)の詳細を説明する。
【0939】
普図関連処理(S4217)が実行されると、まず、今回受信した普図関連コマンドが普図変動パターンコマンドであるか否かを判別する(S4701)。受信したコマンドが普図変動パターンコマンドであると判別した場合は(S4701:Yes)、表示用小当たり開始コマンドを設定し(S4702)、その後、本処理を終了する。
【0940】
S4701の処理において、受信したコマンドが普図変動パターンコマンドではないと判別した場合は(S4701:No)、次いで、今回受信した普図関連コマンドが普図当たり開始コマンドであるか否かを判別する(S4703)。受信したコマンドが普図当たり開始コマンドであると判別した場合は(S4703:Yes)、表示用小当たり入賞コマンドを設定し(S4704)、その後、本処理を終了する。
【0941】
S4703の処理において、受信したコマンドが普図当たり開始コマンドではないと判別した場合は(S4703:No)、次いで、今回受信した普図関連コマンドが特電作動コマンドであるか否かを判別する(S4705)。受信したコマンドが特電作動コマンドであると判別した場合は(S4705:Yes)、表示用V当たり入賞コマンドを設定し(S4706)、次いで、延長フラグ223pがオンに設定されているかを判別し(S4707)、オンに設定されていると判別した場合、即ち、時短状態の終了タイミングにおいて実行中の普図当たり遊技にて特電作動口643へと球が入賞したことにより実行された役物当たり遊技であると判別した場合は(S4707:Yes)、延長フラグ223pをオフに設定し(S4708)、その後、本処理を終了する。一方、S4707の処理において延長フラグ223pがオンでは無いと判別した場合は(S4707:No)、S4708の処理をスキップして本処理を終了する。
【0942】
S4705の処理において、受信したコマンドが特電作動コマンドではないと判別した場合は(S4705:No)、次いで、今回受信した普図関連コマンドが普図当たり終了コマンドであるか否かを判別する(S4709)。受信したコマンドが普図当たり終了コマンドではないと判別した場合は(S4709:No)、そのまま本処理を終了する。受信したコマンドが普図当たり終了コマンドであると判別した場合は(S4709:Yes)、次いで、延長フラグ223pがオンであるか否かを判別する(S4710)。延長フラグ223pがオンであると判別した場合は(S4710:Yes)、延長フラグ223pをオフに設定し(S4711)、Vラッシュ終了を示す表示用コマンドを設定し(S4712)、Vラッシュフラグ223qをオフに設定し(S4713)、その後、本処理を終了する。
【0943】
S4710の処理において、延長フラグ223pがオフであると判別は(S4710:No)、普図当たり終了を示す表示用コマンドを設定し(S4714)、その後、本処理を終了する。
【0944】
以上、説明をした通り、本実施形態では、時短状態における特別図柄の最終変動が停止した状態で普図当たり遊技が実行されている場合には、Vラッシュ演出を延長させるために延長フラグ223pがオンに設定される。そして、その普図当たり遊技に基づいて実行される特電遊技の進行状況に応じて、Vラッシュ演出の終了タイミングを異ならせている。具体的には、普図当たり遊技にて特電作動口643へと球が入賞しなかった場合は、その普図当たり遊技の終了タイミングでVラッシュ演出を終了させ、特電作動口643へと球が入賞し、役物当たり遊技が実行された場合は、その役物当たり遊技の終了タイミングでVラッシュ演出を終了させる。なお、役物当たり遊技にてV入賞口165へと球が入賞した場合は、大当たり遊技(V大当たり遊技)に基づく演出が優先して実行される。
【0945】
このように構成することで、遊技者に対して、V大当たり遊技を目指すことが可能な期間を遊技状態に問わず報知することができるため、遊技者に分かり易い遊技を提供することができる。
【0946】
次に、
図67を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理(
図61参照)内の一処理である当たり関連処理(S4219)について説明する。
図67は、当たり関連処理(S4219)の内容を示したフローチャートである。この当たり関連処理(S4219)では、特別図柄の抽選の結果、大当たり又は役物当たりに当選した場合に実行される大当たり遊技又は役物当たり遊技に対応した演出表示を第3図柄表示装置81に実行させるための処理を行うものであり、大当たり又は役物当たりに当選した場合に主制御装置110から送信される様々なコマンドに対応した処理が実行される。
【0947】
加えて、当たり遊技(大当たり遊技、役物当たり遊技)中に獲得した賞球の数を示すための賞球数コマンドを受信した場合に、その賞球数コマンドが示す賞球数を累積し、累積結果に基づいた表示用賞球数コマンドを設定する処理が実行される。
【0948】
当たり関連処理(S4219)では、まず、コマンド判定処理(
図61参照)により受信したコマンドが、大当たり関連コマンドであるかを判別する(S4801)。受信したコマンドが大当たり関連コマンドであると判別した場合には(S4801:Yes)、大当たり関連処理を実行し(S4802)、本処理を終了する。
【0949】
ここで、
図68を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される当たり関連処理(
図67のS4219)内の一処理である大当たり関連処理(S4802)について説明する。
図68は、大当たり関連処理(S4802)の内容を示したフローチャートである。大当たり関連処理では、大当たりに当選した場合に実行される大当たり遊技に対応した演出表示を第3図柄表示装置81に実行させるための処理を行うものであり、大当たりに当選した場合に、主制御装置110から送信される様々なコマンドに対応した処理が実行される。
【0950】
大当たり関連処理(S4802)では、まず、当たり関連処理(
図67のS4801)により受信した当たり関連のコマンドが、大当たり開始コマンドであるかを判別する(S4901)。大当たり開始コマンドであると判別した場合には(S4901:Yes)、表示用大当たり開始コマンドを設定する(S4902)。ここで設定される表示用大当たり開始コマンドは、RAM223に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU221により実行されるメイン処理(
図60参照)のコマンド出力処理(S4102)の中で、表示制御装置114に向けて送信される。表示制御装置114は、表示用大当たり開始コマンドを受信すると、大当たりの開始を示唆する演出を第3図柄表示装置81に表示する。
【0951】
次いで、Vラッシュフラグ223qがオンであるか否かを判別する(S4903)。Vラッシュフラグ223qがオンであると判別した場合は(S4903:Yes)、今回の大当たりが特殊当たり(大当たりB)であるかを判別し(S4911)、特殊当たり(大当たりB)であると判別した場合は(S4911:Yes)、特殊当たりフラグ223nをオフに設定し(S4912)、そのまま本処理を終了する。一方、S4911の処理で今回の大当たりが特殊当たり(大当たりB)では無いと判別した場合は(S4911:No)、S4912の処理をスキップして、そのまま本処理を終了する。
【0952】
S4903の処理において、Vラッシュフラグ223qがオフであると判別した場合は(S4903:No)、今回実行される大当たりで付与される時短回数を抽出し(S4904)、入賞情報格納エリア223bに格納されている特図入賞情報を読み出し(S4905)、読み出した特図入賞情報から抽出した時短回数を上限に対象を選定し(S4906)、選定した特図入賞情報の数を未報知保留数格納エリア223kに格納し(S4907)、選定した特図入賞情報に含まれる変動時間を算出し(S4908)、算出した変動時間を未報知期間格納エリア223jに格納し(S4909)、Vラッシュフラグ223qをオンに設定し(S4910)、その後、本処理を終了する。
【0953】
一方、S4901の処理において、大当たり開始コマンドを受信していないと判別した場合には(S4901:No)、次に、ラウンド数コマンドを受信したか判別する(S4913)。ラウンド数コマンドを受信した場合には(S4913:Yes)、ラウンド数に基づいて表示用ラウンド数コマンドを設定し(S4914)、本処理を終了する。なお、本実施形態では主制御装置110からラウンド数コマンドとしてラウンド数を示す情報を送信しているため、受信したラウンド数コマンドに基づいて表示用ラウンド数コマンドを設定しているが、例えば、主制御装置110から送信するコマンドデータの容量を軽減するために、主制御装置110から新たなラウンドが開始されたことを示すための情報をラウンド更新コマンドとして送信する構成する場合は、音声ランプ制御装置113のRAM223にラウンド更新コマンドを受信した場合に、受信したラウンド更新コマンドの数を蓄積するラウンド数蓄積カウンタを設け、そのラウンド数蓄積カウンタの値に基づいて音声ランプ制御装置113側で現在のラウンド数を算出し、表示用ラウンド数コマンドを設定するように構成しても良い。
【0954】
一方、S4913の処理において、ラウンド数コマンドを受信していないと判別した場合には(S4913:No)、大当たり終了コマンドを受信したか判別する(S4915)。大当たり終了コマンドを受信していないと判別した場合には(S4915:No)、そのまま本処理を終了する。一方、大当たり終了コマンドを受信したと判別した場合には(S4915:Yes)、大当たり終了処理を実行し(S4916)、本処理を終了する。
【0955】
ここで、
図69を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される大当たり関連処理(
図68のS4802)内の一処理である大当たり終了処理(S4919)について説明する。
図69は、大当たり終了処理(S4919)の内容を示したフローチャートである。
【0956】
大当たり終了処理(S4919)では、今回実行される大当たりで付与される時短回数を先読みカウンタ223hにセットし(S5001)、先読みカウンタ223hの値から、報知済保留数格納エリア223sの値を減算し(S5002)、その後、未報知保留数格納エリア223kに格納されている値を読み出す(S5003)。次いで、未報知保留数格納エリア223kの値が1以上であるか否かを判別し(S5004)。未報知保留数格納エリア223kの値が1より小さい(0である)と判別した場合は(S5004:No)、大当たり遊技のエンディング画面(
図15(a)参照)にて上乗せ報知演出を実行することが出来ない状態であるため(上乗せさせる変動時間情報が無いため)、表示用上乗せ無しコマンドを設定し(S5014)、その後、本処理を終了する。
【0957】
一方、S5004の処理において、未報知保留数格納エリア223kの値が1以上であると判別した場合は(S5004:Yes)、即ち、上乗せ報知可能な変動時間を示す情報(上乗せ報知に用いられていない特別図柄の変動時間情報)がある場合は、読み出した値に対応させて先読みカウンタ223hの値を減算し(S5005)、未報知保留数格納エリア223kに格納されている値のうち、S5005の処理で減算された値に対応した値をクリアし(S5006)、未報知期間格納エリア223jに格納されている変動時間を読み出す(S5007)。
【0958】
その後、入賞情報格納エリア223bに含まれている入賞情報(特図保留情報)の中に特殊当たり(大当たりB)の当選を示す入賞情報が含まれているかを判別し(S5008)、含まれていないと判別した場合は(S5008:No)、読み出した変動時簡に対応する表示用上乗せコマンドを設定し(S5009)、未報知期間格納エリア223jに格納されている変動時間のうち、今回今回の上乗せ演出に用いられた変動時間に対応する期間をクリアし(S5010)、本処理を終了する。
【0959】
一方、S5008の処理において、入賞情報格納エリア223b内に特殊当たり(大当たりB)の当選を示す入賞情報が含まれていると判別した場合は(S5008:Yes)、特殊当たり変動が終了するまでの変動時間に対応する表示用コマンドを設定する(S5011)。つまり、次々々回に実行される特別図柄変動が特殊当たり当選に対応する特別図柄変動である場合は、たとえ、上乗せ報知演出として特別図柄保留4個分の変動時間を合算して報知可能な状態であったとしても、次回の特別図柄変動の変動時間と、次々回の特別図柄変動の変動時間と、特殊当たり当選に対応する特別図柄変動(特殊当たり変動)の変動時間とを合算した変動時間のみが上乗せ報知演出で用いられる。
【0960】
さらに、特殊モード(天国モード)を示す表示用コマンドを設定し(S5012)、特殊当たりフラグ223nをオンに設定し(S5013)、上述したS5010の処理へ移行する。
【0961】
これにより、大当たり遊技の終了時点で特別図柄の保留内に特殊当たり(大当たりB)の当選を示す入賞情報がある場合には、
図17(a)に示した通り、特殊モード(天国モード)への移行を報知する演出と、特殊当たり変動が終了するまでの変動時間「220秒」が表示されることになる。よって、特殊当たり遊技(大当たりBが設定される大当たり遊技)が実行されるまでの期間を遊技者に分かり易く報知することができる。また、特殊当たり遊技の終了後は、再度時短状態が設定されるため、遊技者に安心して天国モード中の遊技を行わせることができる。さらに、特殊当たり変動より後に保留記憶されている特別図柄の変動時間を遊技者に報知することが無いため、大当たり遊技終了後に設定される時短状態(Vラッシュ)の期間を大当たり遊技が終了するまで遊技者に分かり難くすることができる。
【0962】
図67に戻り、説明を続ける。S4801の処理において、受信したコマンドが大当たり関連コマンドではないと判別した場合には(S4801:No)、受信したコマンドが、役物当たり関連コマンドであるかを判別する(S4803)。受信したコマンドが役物当たり関連コマンドであると判別した場合には(S4803:Yes)、役物当たり関連処理(S4804)を実行し、本処理を終了する。
【0963】
ここで、
図70を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される当たり関連処理(
図67のS4219)内の一処理である役物当たり関連処理(S4804)について説明する。
図70は、役物当たり関連処理(S4804)の内容を示したフローチャートである。役物当たり関連処理では、役物当たりが実行された場合に実行される役物当たり遊技に対応した演出表示を第3図柄表示装置81に実行させるための処理を行うものであり、役物当たりが実行された場合に、主制御装置110から送信される様々なコマンドに対応した処理が実行される。
【0964】
役物当たり関連処理(S4804)では、まず、当たり関連処理(
図67のS4219)により受信した当たり関連のコマンドが、役物当たり開始コマンドであるかを判別する(S5101)。
【0965】
S5101の処理において、役物当たり開始コマンドを受信したと判別した場合には(S5101:Yes)、表示用役物当たり開始コマンドを設定し(S5102)、本処理を終了する。
【0966】
一方、S5101の処理において、受信したコマンドが役物当たり開始コマンドではないと判別した場合には(S5101:No)、次に、受信したコマンドがV入口通過コマンドであるかを判別する(S5103)。
【0967】
S5103の処理において、V入口通過コマンドを受信したと判別した場合には(S5103:Yes)、表示用役物当たり入賞コマンドを設定し(S5104)、本処理を終了する。
【0968】
一方、S5103の処理において、受信したコマンドがV入口通過コマンドではないと判別した場合には(S5103:No)、次に、受信したコマンドがV通過コマンドであるかを判別する(S5105)。
【0969】
S5105の処理において、V通過コマンドを受信したと判別した場合には(S5105:Yes)、表示用V当たりコマンドを設定し(S5106)、本処理を終了する。
【0970】
一方、S5105の処理において、受信したコマンドがV通過コマンドではないと判別した場合には(S5105:No)、次に、受信したコマンドがエンディングコマンドであるかを判別する(S5107)。受信したコマンドがエンディングコマンドではないと判別した場合には(S5107:No)、そのまま本処理を終了する。一方、受信したコマンドがエンディングコマンドであると判別した場合には(S5107:Yes)、表示用エンディングコマンドを設定し(S5108)、本処理を終了する。
【0971】
図67に戻り、説明を続ける。S4803の処理において、受信したコマンドが役物当たり関連コマンドではないと判別した場合には(S4803:No)、賞球コマンドを受信したかどうか判別する(S4805)。受信したコマンドが賞球コマンドではないと判別した場合には(S4805:No)、そのまま本処理を終了する。一方、受信したコマンドが、賞球コマンドであると判別した場合には(S4805:Yes)、受信したコマンドに対応する値を賞球数カウンタ(図示せず)の値に加算し(S4806)、加算した後の賞球数カウンタの値に対応した表示用賞球数コマンドを設定し(S4807)、本処理を終了する。
【0972】
なお、詳細な説明は省略するが、本実施形態のパチンコ機10では、Vラッシュフラグ223qがオンに設定されている期間(有利継続期間)中に受信した賞球数コマンドに対応する賞球数を賞球数カウンタにて累積するように構成している。そして、当たり遊技(大当たり遊技、役物当たり遊技)中やVラッシュ演出中に、賞球数カウンタの累積値に応じた賞球数を示す情報が表示されるように構成している(
図12(c)の表示領域HR2参照)。
【0973】
このように構成することで、時短状態(Vラッシュ)が設定されてから、Vラッシュが終了するまでの期間(有利継続期間)中に獲得した球数の累計を遊技者に分かり易く報知することができる。
【0974】
本実施形態では、有利継続期間中に獲得した賞球数の累計値を有利継続期間中に表示するように構成しているが、有利継続期間中に獲得した賞球数を遊技者に報知可能な構成であれば良く、例えば、有利継続期間中のうち、大当たり遊技で獲得した賞球数と、役物当たり遊技で獲得した賞球数とを区分けして表示するように構成しても良い。この場合、賞球コマンドを受信した時点の当たり遊技状態(大当たり中、役物当たり中)を従状態設定エリア223gに設定されている情報に基づいて判別し、判別結果毎に賞球数を累積する手段を設けると良い。これにより、有利継続期間中に獲得した賞球数を容易に区分けすることができる。
【0975】
さらに、有利継続期間内における1回の遊技期間(大当たり遊技期間と、次の大当たり遊技が実行されるまでの潜確状態期間とを合わせた期間)において獲得した賞球数を累積して表示するように構成しても良い。この場合、1回の遊技期間内に獲得した賞球数の累積数を履歴情報として記憶する記憶手段を設け、その記憶手段に記憶されている情報を履歴表示するように構成すると良い。
【0976】
また、本実施形態では、Vラッシュ期間中において特電遊技に基づいて実行されたV大当たり遊技の回数を累積表示するように構成している(
図12(c)の表示領域HR1参照)が、これに限ること無く、上述した通り、有利継続期間内に獲得した賞球数を累積表示する構成を用いる場合は、特別図柄の抽選結果が遊技者に有利となる抽選結果(大当たり)となった回数を表示したり、特別図柄の抽選結果が遊技者に有利となる抽選結果(大当たり)となった抽選確率を表示したりするように構成しても良い。
【0977】
このように構成することで、有利継続期間中に実行された特別図柄の抽選結果と、有利継続期間中に獲得した賞球数と、を遊技者に分析させることが可能となり、意欲的に遊技を行わせることができる。
【0978】
次に、
図71を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される変動表示設定処理(S4113)について説明する。
図71は、この変動表示設定処理(S4113)を示したフローチャートである。この変動表示設定処理(
図71のS4113)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理(
図60参照)の一処理である。上述したように、変動表示設定処理(
図71のS4113)は、第3図柄表示装置81において変動表示演出を表示させるために、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドに基づいて、特別図柄の表示用変動パターンコマンドを設定し、そのコマンドを表示制御装置114に送信する処理を実行する。また、抽出した停止種別(大当たりA〜大当たりC)に基づいて、その停止種別を表示制御装置114に通知するための表示用特図停止種別コマンドを設定する処理を実行する。
【0979】
変動表示設定処理(S4113)では、まず、RAM223に設けられた特図変動開始フラグ223dがオンに設定されているか判別する(S5201)。そして、特図変動開始フラグ223dはオフであると判別した場合には(S5201:No)、主制御装置110より特図変動パターンコマンドを受信していない状態であるので、S5205の処理へ移行する。一方、特図変動開始フラグ223dはオンであると判別した場合には(S5201:Yes)、特図変動開始フラグ223dをオフに設定する(S5202)。
【0980】
そして、コマンド判定処理(
図61のS4112参照)にて実行される特図変動開始処理(
図62のS4204参照)のS4302の処理において、主制御装置110から受信した変動パターンコマンドから抽出した変動演出に関する変動パターンに基づいて、特別図柄の表示用変動パターンコマンドを設定し(S5203)、特別図柄保留球数カウンタ223cの値を1減算し(S5204)、S5205の処理へ移行する。
【0981】
S5203の処理で設定された表示用変動パターンコマンドは、音声ランプ制御装置113のメイン処理(
図60参照)で実行されるコマンド出力処理(
図60のS4102)にて表示制御装置114へと出力される。表示制御装置114は受信した表示用変動パターンコマンドと、遊技状態を示すための各種表示用コマンドとに基づいて第3図柄表示装置81の表示領域(表示画面)に表示する表示データを作成する。
【0982】
S5205の処理では、停止種別選択フラグ223eがオンに設定されているかを判別し(S5205)、オンに設定されていないと判別した場合は(S5205:No)、そのまま本処理を終了する。一方、オンに設定されていると判別した場合は(S5205:Yes)、停止種別選択フラグ223eをオフに設定し(S5206)、抽出した停止種別をそのまま設定し(S5207)、表示用特図停止種別コマンドを設定し(S5208)、本処理を終了する。
【0983】
次に、
図72を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される演出更新処理(S4111)について説明する。
図72は、この演出更新処理(S4111)を示したフローチャートである。この演出更新処理(S4111)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理(
図60参照)の一処理であり、Vラッシュ期間中に設定された各種カウンタの値を更新すると共に、更新後のカウンタの値に基づいた演出態様を設定するための処理を実行するものである。
【0984】
演出更新処理(S4111)では、まず、中断フラグ223mがオンに設定されているかを判別し(S5300)、中断フラグ223mがオンに設定されている場合は(S5300:Yes)、S5309の処理へ移行し、本処理を終了する。一方、中断フラグ223mがオンに設定されていない場合、即ち、特別図柄変動が中断されていない場合は(S5300:No)、次に、変動時間カウンタ223rの値が0より大きいか否かを判別する(S5301)。変動時間カウンタ223rの値が0よりも大きく無い(0である)と判別した場合は(S5301:No)、S5309の処理へ移行する。変動時間カウンタの値が0より大きいと判別した場合は(S5301:Yes)、変動時間カウンタの値を更新し(S5302)、次いで、時短期間カウンタ223iの値が0より大きいか否かを判別する(S5303)。時短期間カウンタ223iの値が0であると判別した場合は(S5303:No)、そのまま本処理を終了する。
【0985】
一方、S5303の処理において、時短期間カウンタ223iの値が0より大きいと判別した場合は(S5303:Yes)、時短期間カウンタ223iの値を更新し(S5304)、次いで、更新後の時短期間カウンタ223iの値が0であるか否かを判別する(S5305)。更新後の時短期間カウンタ223iの値が0ではないと判別した場合は(S5305:No)、時短期間カウンタ223iの値に対応する表示用コマンドを設定する(S5306)。ここで設定された表示用コマンドは、他の表示用コマンドと同様に、音声ランプ制御装置113のメイン処理(
図60参照)のコマンド出力処理(
図60のS4102参照)にて表示制御装置114へと出力される。そして、表示制御装置114にて画像データが作成され、Vラッシュ中に第3図柄表示装置81の表示面に表示されるタイマ812の表示態様として表示される(
図13(a)参照)。
【0986】
次いで、変動時間カウンタの値が残期間5秒を示す値であるか否かを判別する(S5307)。S5307の処理において、変動時間カウンタ223rの値が残期間5秒を示す値であると判別した場合は(S5307:Yes)、残変動時間が少ないことを示す表示用コマンドを設定し(S5308)、S5309の処理へ移行する。S5308の処理において表示用コマンドが設定されると、音声ランプ制御装置113のメイン処理(
図60参照)のコマンド出力処理(
図60のS4102)において、表示制御装置114へと送信され、遊技者に対して、実行中の特別図柄変動の残時間が少ないことを示すための演出態様(例えば、アンラッキー演出)が設定される。これにより、遊技者は、V大当たり遊技を実行させるための特電遊技を実行するか否かを選択しながら遊技を行うことが出来る。
【0987】
なお、本実施形態では、実行中の特別図柄変動の残期間が5秒となった場合に(S5307:Yes)、残変動時間が少ないことを示す表示用コマンドを設定するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、S5308の処理を実行する前に、残変動時間が少ないことを示す表示用コマンドを設定するか否かを決定するための抽選処理を実行し、その抽選処理の結果が表示用コマンドを設定すると決定した場合にのみ残変動時間が少ないことを示す表示用コマンドを設定するように構成しても良い。このように構成することで、実行中の特別図柄変動の残時間が少ないことを示すための演出態様(例えば、アンラッキー演出)が設定されていない(第3図柄表示装置81にてアンラッキー演出が実行されていない)状態では、実行中の特別図柄変動の残期間が長いか短いかを遊技者が判別し難くすることができる。
【0988】
また、S5307の処理において、変動時間カウンタ223rの値が残期間5秒を示し値では無いと判別した場合は(S5307:No)、入賞情報格納エリア223bから次変動の変動時間(次に実行される特別図柄変動の変動時間)を読み出し(S5313)、変動時間カウンタ223rの値が示す秒数(実行中の特別図柄変動の残秒数)に10秒を加算した値のほうが、S5313の処理で読み出した次変動の変動時間を示す秒数よりも大きいか(長いか)を判別する(S5314)。
【0989】
S5314の処理で、変動時間カウンタ223rの値が示す秒数(実行中の特別図柄変動の残秒数)に10秒を加算した値のほうが、S5313の処理で読み出した次変動の変動時間を示す秒数よりも大きい(長い)と判別した場合は(S5314:Yes)、現在の状況が遊技者に有利な状況、即ち、V大当たり遊技を実行した場合に、V大当たり遊技終了後に設定されるVラッシュ期間が長くなり易い状況であることを遊技者に報知するためのラッキータイムを示す表示用コマンドを設定し(S5315)、S5309の処理へ移行する。一方、S5314の処理で、変動時間カウンタ223rの値が示す秒数(実行中の特別図柄変動の残秒数)に10秒を加算した値のほうが、S5313の処理で読み出した次変動の変動時間を示す秒数よりも大きくない(短い)と判別した場合は(S5314:No)、S5315の処理をスキップしてS5309の処理へ移行する。
【0990】
S5315の処理において表示用コマンドが設定されると、音声ランプ制御装置113のメイン処理(
図60参照)のコマンド出力処理(
図60のS4102)において、表示制御装置114へと送信され、
図19(b)に示したラッキータイム演出の表示態様が設定される。このように構成することで、Vラッシュ期間において遊技者により有利となる期間を遊技者が把握することができるため、Vラッシュ期間中の遊技が単調になることを抑制することができる。なお、本実施形態では、ラッキータイム演出の実行契機として、実行中の特別図柄変動の残期間が、次の特別図柄変動の変動時間よりも10秒以上長い場合を設定しているが、これに限ること無く、特別図柄変動を中断させた場合に残変動時間が長くなる期間をラッキータイム演出にて遊技者に報知できれば良く、例えば、次の特別図柄変動の変動時間に関わらず、実行中の特別図柄変動の残期間が所定秒数(例えば、50秒)以上であると判別したことをラッキータイム演出の実行契機としても良い。
【0991】
また、本実施形態では、S5314の処理において、変動時間カウンタ223rの値が示す秒数(実行中の特別図柄変動の残秒数)に10秒を加算した値のほうが、S5313の処理で読み出した次変動の変動時間を示す秒数よりも大きい(長い)場合に、必ずS5315の処理を実行するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、S5315の処理を実行する前に、残変動時間が長いことを示す表示用コマンドを設定するか否かを決定するための抽選処理を実行し、その抽選処理の結果が表示用コマンドを設定すると決定した場合にのみ残変動時間が長いことを示す表示用コマンドを設定するように構成しても良い。このように構成することで、実行中の特別図柄変動の残時間が長いことを示すための演出態様(例えば、ラッキータイム演出)が設定されていない(第3図柄表示装置81にてラッキータイム演出が実行されていない)状態では、実行中の特別図柄変動の残期間が長いか短いかを遊技者が判別し難くすることができる。
【0992】
一方、S5305の処理において、更新後の時短期間カウンタ223iの値が0であると判別した場合は(S5305:Yes)、先読みカウンタ223hの値が0より大きいか否かを判別する(S5310)。先読みカウンタ223hの値が0より大きいと判別した場合は(S5310:Yes)、時短状態の終了条件が成立していないにも関わらず、特別図柄変動が実行されていない状態であるため、Vラッシュ継続の「???」を示す表示用コマンドを設定し(S5311)、S5309の処理へ移行する。S5311の処理にて設定された表示コマンドは、他の表示用コマンドと同様に、音声ランプ制御装置113のメイン処理(
図60参照)のコマンド出力処理(
図60のS4102参照)にて表示制御装置114へと出力される。そして、表示制御装置114にて画像データが作成され、Vラッシュ中にて、時短終了条件が更新されない期間であることを示す表示態様(
図19(a)参照)が表示される。
【0993】
一方、S5310の処理において、先読みカウンタ223hの値が0であると判別した場合は(S5310:No)、Vラッシュ終了を示す表示用コマンドを設定し(S5312)、Vラッシュフラグ223qをオフに設定し、S5309の処理へ移行する。S5309の処理では、その他の演出更新処理を実行し(S5309)、本処理を終了する。
【0994】
<第1実施形態における表示制御装置の制御処理について>
次に、
図73から
図87を参照して、表示制御装置114のMPU231により実行される各制御について説明する。かかるMPU231の処理としては大別して、電源投入後から繰り返し実行されるメイン処理と、音声ランプ制御装置113よりコマンドを受信した場合に実行されるコマンド割込処理と、画像コントローラ237より1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に送信されるV割込信号をMPU231が検出した場合に実行されるV割込処理とがある。MPU231は、通常、メイン処理を実行し、コマンドの受信やV割込信号の検出に合わせて、コマンド割込処理やV割込処理を実行する。なお、コマンドの受信とV割込信号の検出とが同時に行われた場合は、コマンド受信処理を優先的に実行する。これにより、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドの内容を素早く反映して、V割込処理を実行させることができる。
【0995】
まず、
図73を参照して、表示制御装置114内のMPU231により実行されるメイン処理について説明する。
図73は、このメイン処理を示したフローチャートである。メイン処理は、電源投入時の初期化処理を実行するものである。
【0996】
このメイン処理の起動は、具体的には、以下の流れに従って行われる。電源装置115から表示制御装置114に対して電源が投入され、システムリセットが解除されると、MPU231は、そのハードウェア構成によって、MPU231内に設けられた命令ポインタ231aを「0000H」に設定すると共に、命令ポインタ231aにて示されるアドレス「0000H」をバスライン240に対して指定する。キャラクタROM234のROMコントローラ234bは、バスライン240に指定されたアドレスが「0000H」であることを検知すると、NOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力する。そして、MPU231は、キャラクタROM234から受け取った命令コードをフェッチし、そのフェッチした命令に応じた処理の実行を開始することで、メイン処理を起動する。
【0997】
ここで、仮にシステムリセット解除後にMPU231によって最初に処理されるブートプログラムを全てNAND型フラッシュメモリ234aに記憶させた場合、キャラクタROM234は、バスライン240に指定されたアドレスが「0000H」であることを検知すると、アドレス「0000H」に対応するデータ(命令コード)を含む1ページ分のデータをNAND型フラッシュメモリ234aから読み出してバッファRAM234cにセットしなければならない。そして、NAND型フラッシュメモリ234aの性質上、その読み出しからバッファRAM234cへのセットに多大な時間を要するので、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してからアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取るまでに多くの待ち時間を消費することとなる。よって、MPU231の起動にかかる時間が長くなるので、結果として、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御が即座に開始されないおそれがあるという問題点が生じる。
【0998】
これに対し、本実施形態のように、ブートプログラムのうち、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令がNOR型ROM234dに格納されることにより、NOR型ROMは高速にデータを読み出すことが可能なメモリであるため、システムリセット解除後にMPU231からバスライン240を介してアドレス「0000H」が指定されると、キャラクタROM234は即座にNOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力することができる。よって、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してから短い時間でアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取ることができるので、MPU231においてメイン処理の起動を短時間で行うことができる。従って、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234に制御プログラムを格納しても、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御を即座に開始することができる。
【0999】
以上のようにしてメイン処理が実行されると、まず、ブートプログラムによって実行されるブート処理を実行し(S6001)、第3図柄表示装置81に対する各種制御が実行可能となるように表示制御装置114を起動する。
【1000】
ここで、
図74を参照して、ブート処理(S6001)について説明する。
図74は、表示制御装置114のMPU231において、メイン処理の中で実行されるブート処理(S6001)を示すフローチャートである。
【1001】
上述したように、本実施形態では、MPU231によって実行される制御プログラムや固定値データは、従来の遊技機のように専用のプログラムROMを設けて記憶させるのではなく、第3図柄表示装置81に表示させる画像のデータを記憶させるために設けられたキャラクタROM234に記憶させている。そしてキャラクタROM234は、小面積で大容量化を図ることが可能なNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されているため、画像データだけでなく制御プログラム等を十分に記憶させておくことができる一方、制御プログラム等を記憶する専用のプログラムROMを設ける必要がない。よって、表示制御装置114における部品点数を削減することができ、製造コストを削減できるほか、部品数増加による故障発生率の増加を抑制することができる。
【1002】
一方、NAND型フラッシュメモリは、特にランダムアクセスを行う場合において読み出し速度が遅いため、MPU231がNAND型フラッシュメモリ234aに格納された制御プログラムや固定値データを直接読み出して処理していては、MPU231として高性能のプロセッサを用いても、表示制御装置114の処理性能を悪化させてしまうおそれがある。そこで、本ブート処理では、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラム及び固定値データを、DRAMによって構成されるワークRAM233に設けられたプログラム格納エリア233aやデータテーブル格納エリア233bへ転送し格納する処理を実行する。
【1003】
具体的には、まず、上述のMPU231及びキャラクタROM234のハードウェアによる動作に基づき、システムリセット解除後にNOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1より読み出されバッファRAM234cにセットされたブートプログラムに従って、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムのうち、所定量だけプログラム格納エリア233aへ転送する(S6101)。ここで転送される所定量の制御プログラムには、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが含まれる。
【1004】
そして、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233aの第1の所定番地、即ち、プログラム格納エリア233aに格納されたその残りのブートプログラムの先頭アドレスを設定する(S6102)。これにより、MPU231は、S6101の処理によってプログラム格納エリア233aに転送され格納された制御プログラムに含まれる残りのブートプログラムの実行を開始する。
【1005】
また、S6102の処理により命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233aの所定番地に設定することで、MPU231は、そのワークRAM233のプログラム格納エリア233aに格納された制御プログラムを読み出しながら、各種処理を実行することになる。即ち、MPU231は、第2プログラム記憶エリア234a1を有するNAND型フラッシュメモリ234aから制御プログラムを読み出して命令フェッチするのではなく、プログラム格納エリア233aを有するワークRAM233に転送された制御プログラムを読み出して命令フェッチし、各種処理を実行する。上述したように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、制御プログラムを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、MPU231は高速に命令をフェッチし、その命令に対する処理を実行することができる。
【1006】
S6102の処理により命令ポインタ231aが設定されると、続いて、その設定された命令ポインタ231aによって実行が開始される残りのブートプログラムに従って、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムのうちプログラム格納エリア233aに未転送である残りの制御プログラムと固定値データとを、所定量ずつプログラム格納エリア233a又はデータテーブル格納エリア233bへ転送する(S6103)。具体的には、制御プログラムおよび一部の固定データを、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aに格納し、また、固定値データのうち上述の各種データテーブル(表示データテーブル、転送データテーブル)をデータテーブル格納エリア233bに転送する。
【1007】
そして、ブート処理に必要なその他の処理を実行(S6104)した後、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233aの第2の所定番地、即ち、このブート処理(
図73のS6001参照)の終了後に実行すべき初期化処理(
図73のS6002参照)に対応するプログラムの先頭アドレスを設定することで(S6105)、ブートプログラムの実行を終え、本ブート処理を終了する。
【1008】
このように、ブート処理(S6001)が実行されることによって、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラム及び固定値データは、全てDRAMによって構成されたワークRAM233のプログラム格納エリア233a及びデータテーブル格納エリア233bに転送され、格納される。そして、ブート処理の終了時に、命令ポインタ231aが上述の第2の所定番地に設定され、以後、MPU231は、NAND型フラッシュメモリ234aを参照することなく、プログラム格納エリア233aに転送された制御プログラムを用いて各種処理を実行する。
【1009】
よって、制御プログラムを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、システムリセット解除後にその制御プログラムや固定値データをワークRAM233のプログラム格納エリア233a及びデータテーブル格納エリア233bに転送することで、MPU231は、読み出し速度が高速なDRAMによって構成されるワークRAMから制御プログラムや固定値データを読み出して各種制御を行うことができるので、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、補助演出部を用いて多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
【1010】
一方、NOR型ROM234dにブートプログラムを全て格納せずに、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令を格納しておき、残りのブートプログラムについては、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶させても、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを確実にプログラム格納エリア233aに転送することができる。よって、キャラクタROM234は、極めて小容量のNOR型ROM234dを追加するだけで、MPU231の起動を短時間で行うことができるようになるので、その短時間化に伴うキャラクタROM234のコスト増加を抑制することができる。
【1011】
なお、
図74に示すブート処理では、S6101の処理によってプログラム格納エリア233aに転送される所定量の制御プログラムに、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが全て含まれるように構成されているが、必ずしもこれに限られるものではなく、S6101の処理によってプログラム格納エリア233aに転送される所定量の制御プログラムは、S6102の処理に続いて処理すべきブート処理を実行するブートプログラムの一部としてもよい。ここで転送されるブートプログラムは、残りのブートプログラムを全て含む制御プログラムを所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、更に、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を実行するものであってもよい。そして、プログラム格納エリア233aに格納された残り全てのブートプログラムによって、S6103〜S6105の処理を実行するようにしてもよい。
【1012】
また、S6101の処理によって転送されるブートプログラムは、残りのブートプログラムの一部を更に所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、続いて、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を実行するものであってもよい。また、この処理によってプログラム格納エリア233aに格納された一部のブートプログラムは、更に残りのブートプログラムの一部を所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、続いて、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を実行するものであってもよい。そして、残りのブートプログラムの一部を所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、続いて、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を、S6101及びS6102の処理を含めて複数回繰り返した後、S6103〜S6105の処理を実行するようにしてもよい。
【1013】
これにより、ブートプログラムのプログラムサイズが大きく、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが一度にプログラム格納エリア233aへ転送できなくても、MPU231はプログラム格納エリア233aに既に格納されたブートプログラムを使用して、所定量ずつプログラム格納エリア233aに転送することができる。
【1014】
また、本実施形態では、第1プログラム記憶エリア234d1に、ブートプログラムのうち、システムリセット解除時にまずMPU231によって実行されるブートプログラムの一部を記憶させる場合について説明したが、全てのブートプログラムを第1プログラム記憶エリア234d1に記憶させてもよい。この場合、MPU231は、ブート処理を開始すると、S6101及びS6102の処理を行わずに、S6103〜S6105の処理を実行してもよい。これにより、ブートプログラムをプログラム格納エリア233aへ転送する処理が不要となるので、キャラクタROM234かプログラム格納エリア233aへのプログラムの転送処理回数が減るため、ブート処理の処理時間を減らすことができる。よって、ブート処理後に可能となるMPU231における補助演出部の制御の開始をより早く行うことができる。
【1015】
ここで、
図73の説明に戻る。ブート処理を終了すると、次いで、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aに転送され格納された制御プログラムに従って、初期設定処理を実行する(S6002)。具体的には、スタックポインタの値をMPU231内に設定すると共に、MPU231内のレジスタ群や、I/O装置等に対する各種の設定などを行う。また、ワークRAM233、常駐用ビデオRAM235、通常用ビデオRAM236の記憶をクリアする処理などが行われる。更に、ワークRAM233に各種フラグを設け、それぞれのフラグに初期値を設定する。なお、各フラグの初期値として、特に明示した場合を除き、「オフ」又は「0」が設定される。
【1016】
更に、初期設定処理では、画像コントローラ237の初期設定を行った後、第3図柄表示装置81に特定の色の画像が画面全体に表示されるように、画像コントローラ237に対して、画像の描画および表示処理の実行を指示する。これにより、電源投入直後において、第3図柄表示装置81には、まず、特定の色の画像が画面全体に表示される。ここで、電源投入直後に第3図柄表示装置81の画面全体に表示される画像の色が、パチンコ機の機種に応じて異なる色となるように設定されている。これにより、製造時の工場等における動作チェックにおいて、電源投入直後に、その機種に応じた色の画像が第3図柄表示装置81に表示されるか否かを検査することで、パチンコ機10が正常に起動開始できるか否かを簡易かつ即座に判断することができる。
【1017】
次いで、電源投入時主画像に対応する画像データを常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aへ転送するように、画像コントローラ237に対して転送指示を送信する(S6003)。この転送指示には、電源投入時主画像に対応する画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスおよび最終アドレスと、転送先の情報(ここでは、常駐用ビデオRAM235)と、転送先である電源投入時主画像エリア235aの先頭アドレスとが含まれており、画像コントローラ237は、この転送指示に従って、電源投入時主画像に対応する画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aに転送される。
【1018】
そして、転送指示により示された画像データの転送が全て完了すると、画像コントローラ237は、MPU231に対して転送終了を示す転送終了信号を送信する。MPU231はこの転送終了信号を受信することにより、転送指示で指定した画像データの転送が終了したことを把握することができる。なお、画像コントローラ237は、転送指示により示された画像データの転送を全て完了した場合、画像コントローラ237の内部に設けられたレジスタまたは内蔵メモリの一部領域に、転送終了を示す転送終了情報を書き込むようにしてもよい。そして、MPU231は随時このレジスタまたは内蔵メモリの一部領域の情報を読み出し、画像コントローラ237による転送終了情報の書き込みを検出することによって、転送指示で指定した画像データの転送が終了したことを把握するようにしてもよい。
【1019】
電源投入時主画像エリア235aに転送された画像データは、電源が遮断されるまで上書きされないように保持される。S6003の処理により画像コントローラ237に対して送信された転送指示に基づき、電源投入時主画像に対応する画像データの電源投入時主画像エリア235aへの転送が終了すると、次いで、電源投入時変動画像に対応する画像データを常駐用ビデオRAM235の電源投入時変動画像エリア235bへ転送するように、画像コントローラに対して転送指示を送信する(S6004)。この転送指示には、電源投入時変動画像に対応する画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスと、その画像データのデータサイズと、転送先の情報(ここでは、常駐用ビデオRAM235)と、転送先である電源投入時変動画像エリア235bの先頭アドレスとが含まれており、画像コントローラは、この転送指示に従って、電源投入時変動画像に対応する画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の電源投入時変動画像エリア235bに転送される。そして、電源投入時変動画像エリア235bに転送された画像データは、電源が遮断されるまで上書きされないように保持される。
【1020】
S6004の処理により画像コントローラ237に対して送信された転送指示に基づき、電源投入時変動画像に対応する画像データの電源投入時変動画像エリア235bへの転送が終了すると、次いで、簡易画像表示フラグ233cをオンする(S6005)。これにより、簡易画像表示フラグ233cがオンの間は、後述する転送設定処理(
図85(a)参照)において、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送するように画像コントローラ237へ転送を指示する常駐画像転送設定処理が実行される(
図85(a)のS7502参照)。
【1021】
また、簡易画像表示フラグ233cは、この常駐画像転送設定処理による画像コントローラ237への転送指示に基づき、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データのキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235への転送が終了するまでの間、オンに維持される。これにより、その間は、V割込処理(
図75(b)参照)において、電源投入時画像(電源投入時主画像や電源投入時変動画像)(図示せず)が描画されるように、簡易コマンド判定処理(
図75(b)のS6308参照)および簡易表示設定処理(
図75(b)のS6309参照)が実行される。
【1022】
上述したように、本パチンコ機10では、キャラクタROM234にNAND型フラッシュメモリ234aを用いているため、その読み出し速度が遅いことに起因して、常駐用ビデオRAM235に格納すべき全ての画像データが、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されるまでに多くの時間を要する。そこで、本メイン処理のように、電源が投入された後、まず先に電源投入時主画像および電源投入時変動画像をキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送し、電源投入時主画像を第3図柄表示装置81に表示することで、残りの常駐すべき画像データが常駐用ビデオRAM235に転送されている間、遊技者やホール関係者は、第3図柄表示装置81に表示された電源投入時主画像を確認することができる。よって、表示制御装置114は、電源投入時主画像を第3図柄表示装置81に表示させている間に、時間をかけて残りの常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送することができる。一方、遊技者等は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間、何らかの初期化処理が行われていることを認識できるので、残りの常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されるまでの間、動作が停止していないか、といった不安を持つことなく、初期化が完了するまで待機することができる。
【1023】
また、製造時の工場等における動作チェックにおいても、電源投入時主画像がすぐに第3図柄表示装置81に表示されることによって、第3図柄表示装置81が電源投入によって問題なく動作が開始されていることをすぐに確認することができ、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いることにより動作チェックの効率が悪化することを抑制できる。
【1024】
また、パチンコ機10の表示制御装置114では、電源投入後に電源投入時主画像とあわせて電源投入時変動画像もキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送するので、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間に遊技者が遊技を開始したことにより、特図入球口64へ入球(始動入賞)があり、変動演出の開始指示が主制御装置110より音声ランプ制御装置113を介してあった場合、即ち、表示用変動パターンコマンドを受信した場合は、電源投入時変動画像をその変動演出期間中に即座に表示させ、簡単な変動演出を行うことができる。よって、遊技者は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間であっても、その簡単な変動演出によって確実に抽選が行われたことを確認することができる。
【1025】
また、上述したように、残りの常駐すべき画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されている間は、第3図柄表示装置81に電源投入時主画像が表示され続けるが、キャラクタROM234は読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されており、その転送に時間がかかるので、電源投入後、電源投入時主画像が表示され続ける時間も長くなる。しかしながら、本パチンコ機10では、電源投入後に常駐用ビデオRAM235に転送された電源投入時変動画像を用いて簡易的な変動演出を行うことができるので、電源が投入された直後、例えば、停電復帰直後などにおいて、電源投入時主画像が表示されている間であっても、遊技者に安心して遊技を行わせることができる。
【1026】
S6005の処理の後、割込許可を設定し(S6006)、以後、メイン処理は電源が切断されるまで、無限ループ処理を実行する。これにより、S6006の処理によって割込許可が設定されて以降、コマンドの受信およびV割込信号の検出に従って、コマンド割込処理およびV割込処理を実行する。
【1027】
次いで、
図75(a)を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるコマンド割込処理について説明する。
図75(a)は、そのコマンド割込処理を示すフローチャートである。上述したように、音声ランプ制御装置113からコマンドを受信すると、MPU231によってコマンド割込処理が実行される。
【1028】
このコマンド割込処理では、受信したコマンドデータを抽出し、ワークRAM233に設けられたコマンドバッファ領域に、その抽出したコマンドデータを順次格納して(S6201)、終了する。このコマンド割込処理によってコマンドバッファ領域に格納された各種コマンドは、後述するV割込処理のコマンド判定処理または簡易コマンド判定処理によって読み出され、そのコマンドに応じた処理が行われる。
【1029】
次いで、
図75(b)を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理について説明する。
図75(b)は、そのV割込処理を示すフローチャートである。このV割込処理では、コマンド割込処理によってコマンドバッファ領域に格納されたコマンドに対応する各種処理を実行すると共に、第3図柄表示装置81に表示させる画像を特定した上で、その画像の描画リストを作成し、その描画リストを画像コントローラ237に送信することで、画像コントローラ237に対し、その画像の描画処理および表示処理の実行を指示するものである。
【1030】
上述したように、このV割込処理は、画像コントローラ237からのV割込信号が検出されることによって実行が開始される。このV割込信号は、画像コントローラ237において、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に生成され、MPU231に対して送信される信号である。よって、このV割込信号に同期させてV割込処理を実行することにより、画像コントローラ237に対して描画指示が、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に行われることになる。よって、画像コントローラ237では、画像の描画処理や表示処理が終了していない段階で、次の画像の描画指示を受け取ることがないので、画像の描画途中で新たな画像の描画を開始したり、表示中の画像情報が格納されているフレームバッファに、新たな描画指示に伴って画像が展開されたりすることを防止することができる。
【1031】
ここでは、まず、V割込処理のフローの概略について説明し、次いで、各処理の詳細について他の図面を参照して説明する。このV割込処理では、
図75(b)に示すように、まず、簡易画像表示フラグ233cがオンであるか否かを判別し(S6301)、簡易画像表示フラグ233cがオンではない、即ち、オフであれば(S6301:No)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データの転送が完了していることを意味するので、電源投入時画像ではなく、通常の演出画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、コマンド判定処理(S6302)を実行し、次いで、表示設定処理(S6303)を実行する。
【1032】
コマンド判定処理(S6302)では、コマンド割込処理によってコマンドバッファ領域に格納された音声ランプ制御装置113からのコマンドの内容を解析し、そのコマンドに応じた処理を実行すると共に、表示用デモコマンドや表示用変動パターンコマンドが格納されていた場合は、デモ用表示データテーブル又は変動パターン種別に応じた変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定すると共に、設定された表示データテーブルに対応する転送データテーブルを転送データテーブルバッファ233eに設定する。
【1033】
このコマンド判定処理では、その時点でコマンドバッファ領域に格納されている全てのコマンドを解析して、処理を実行する。これは、コマンド判定処理が、V割込処理の実行される20ミリ秒間隔で行われるため、その20ミリ秒の間に複数のコマンドがコマンドバッファ領域に格納されている可能性が高いためである。特に、主制御装置110において、変動演出の開始が決定された場合、表示用変動パターンコマンドや表示用停止種別コマンドなどが同時にコマンドバッファ領域に格納されている可能性が高い。従って、これらのコマンドを一度に解析して実行することによって、主制御装置110や音声ランプ制御装置113によって選定された変動演出の態様や停止種別を素早く把握し、その態様に応じた演出画像を第3図柄表示装置81に表示させるように、画像の描画を制御することができる。なお、このコマンド判定処理の詳細については、
図76〜
図81を参照して後述する。
【1034】
表示設定処理(S6303)では、コマンド判定処理(S6302)などによって表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルの内容に基づき、第3図柄表示装置81において次に表示すべき1フレーム分の画像の内容を具体的に特定する。また、処理の状況などに応じて、第3図柄表示装置81に表示すべき演出態様を決定し、その決定した演出態様に対応する表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定する。なお、この表示設定処理の詳細については、
図82〜
図84を参照して後述する。
【1035】
表示設定処理が実行された後、次いで、タスク処理を実行する(S6304)。このタスク処理では、表示設定処理(S6303)もしくは簡易表示設定処理(S6309)によって特定された、第3図柄表示装置81に表示すべき次の1フレーム分の画像の内容に基づき、その画像を構成するスプライト(表示物)の種別を特定すると共に、各スプライト毎に、表示座標位置や拡大率、回転角度といった描画に必要な各種パラメータを決定する。
【1036】
次に、転送設定処理を実行する(S6305)。この転送設定処理では、簡易画像表示フラグ233cがオンである間は、画像コントローラ237に対して、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の所定エリアへ転送させる転送指示を設定する。また、簡易画像表示フラグ233cがオフである間は、転送データテーブルバッファ233eに設定される転送データテーブルの転送データ情報に基づき、画像コントローラ237に対して、所定の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aの所定サブエリアへ転送させる転送指示を設定すると共に、音声ランプ制御装置113から連続予告コマンドや背面画像変更コマンドを受信した場合にも、画像コントローラ237に対して、連続予告演出で使用する連続予告画像の画像データや変更後の背面画像の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aの所定サブエリアへ転送させる転送指示を設定する。なお、転送設定処理の詳細については、
図85および
図86を参照して後述する。
【1037】
次いで、描画処理を実行する(S6306)。この描画処理では、タスク処理(S6304)で決定された、1フレームを構成する各種スプライトの種別やそれぞれのスプライトの描画に必要なパラメータと、転送設定処理(S6305)により設定された転送指示とから、
図38に示す描画リストを生成し、描画対象バッファ情報と共に、その描画リストを画像コントローラ237に対して送信する。これにより、画像コントローラ237では、描画リストに従って、画像の描画処理を実行する(S6306)。なお、描画処理の詳細については、
図87を参照して後述する。
【1038】
次いで、表示制御装置114に設けられた各種カウンタの更新処理を実行する(S6307)。そして、V割込処理を終了する。S6307の処理によって更新されるカウンタとしては、例えば、停止図柄を決定するための停止図柄カウンタ(図示せず)がある。この停止図柄カウンタの値は、ワークRAM233に格納され、V割込処理が実行される度に、更新処理が行われる。そして、コマンド判定処理において、表示用停止種別コマンドの受信が検出されると、表示用停止種別コマンドにより示される停止種別(大当たりA、大当たりB、前後外れリーチ、前後外れ以外リーチ、完全外れ)に対応する停止種別テーブルと停止種別カウンタとが比較され、第3図柄表示装置81に表示される変動演出後の停止図柄が最終的に設定される。
【1039】
一方、S6301の処理において、簡易画像表示フラグ233cがオンであると判別されると(S6301:Yes)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データの転送が完了していないことを意味するので、電源投入時画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、簡易コマンド判定処理(S6308)を実行し、次いで、簡易表示設定処理(S6309)を実行して、S6304の処理へ移行する。
【1040】
次いで、
図76〜
図81を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述のコマンド判定処理(S6302)の詳細について説明する。まず、
図76は、このコマンド判定処理を示すフローチャートである。
【1041】
このコマンド判定処理では、
図76に示すように、まず、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがあるか否かを判別し(S6401)、未処理の新規コマンドがなければ(S6401:No)、コマンド判定処理を終了してV割込処理に戻る。一方、未処理の新規コマンドがあれば(S6401:Yes)、オン状態で新規コマンドを処理したことを表示設定処理(S6303)に通知する新規コマンドフラグをオンに設定し(S6402)、次いで、コマンドバッファ領域に格納されている未処理のコマンドすべてについて、そのコマンドの種別を解析する(S6403)。
【1042】
そして、未処理のコマンドの中に、表示用変動パターンコマンドがあるか否かを判別する(S6404)。そして、表示用変動パターンコマンドがあれば(S6404:Yes)、変動パターンコマンド処理を実行して(S6405)、S6401の処理へ戻る。
【1043】
ここで、
図77(a)を参照して、変動パターンコマンド処理(S6405)の詳細について説明する。
図77(a)は、変動パターンコマンド処理(S6405)を示すフローチャートである。この変動パターンコマンド処理(S6405)は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用変動パターンコマンドに対応する処理を実行するものである。
【1044】
変動パターンコマンド処理では、まず、表示用変動パターンコマンドによって示される変動演出パターンに対応した変動表示データテーブルを決定し、その決定した変動表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S6501)。
【1045】
ここで、主制御装置110において変動の開始の判断は、必ず数秒以上離れて行われるので、20ミリ秒以内に2以上の表示用変動パターンコマンドを受信することはなく、したがって、コマンド判定処理を実行する場合に、コマンドバッファ領域に2以上の表示用変動パターンコマンドが格納されている場合はあり得ないが、ノイズ等の影響によってコマンドの一部が変化し、別のコマンドが誤って表示用変動パターンコマンドとして解釈されるおそれもあり得る。S6501の処理では、このような場合に備え、2以上の表示用変動パターンコマンドがコマンドバッファ領域に格納されていると判断される場合は、変動時間が最も短い変動パターンに対応する変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定する。
【1046】
仮に、変動時間の長い変動パターンに対応する変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定してしまうと、実際には、設定した表示データテーブルよりも短い変動時間を有する変動演出が主制御装置110によって指示されていた場合に、設定された変動表示データテーブルに従った変動演出を第3図柄表示装置81に表示させている最中に主制御装置110から次の表示用変動パターンコマンドを受信することとなり、別の変動表示が急に開始されてしまうので、遊技者に対して違和感を持たせるおそれがあった。
【1047】
これに対し、本実施形態のように、変動時間が最も短い変動パターンに対応する変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定することで、実際には、設定した表示データテーブルよりも長い変動時間を有する変動演出が主制御装置110によって指示されていた場合であっても、後述するように、表示データテーブルバッファ233dに従った変動演出が終了したのち、主制御装置110から次の表示用パターンコマンドを受信するまでの間、デモ演出が表示されるように、表示設定処理によって、第3図柄表示装置81の表示が制御されるので、遊技者は違和感なく第3図柄表示装置81における第3図柄の変動を見続けることができる。
【1048】
次いで、S6501で設定された表示データテーブルに対応する転送データテーブルを決定してデータテーブル格納エリア233bから読み出し、それを転送データテーブルバッファ233eに設定する(S6502)。そして、S6501の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定された変動表示データテーブルに対応する変動パターンの変動時間を基に、その変動時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S6503)、ポインタ233fを0に初期化する(S6504)。そして、デモ表示フラグおよび確定表示フラグをいずれもオフに設定して(S6505)、変動パターンコマンドを終了し、コマンド判定処理に戻る。
【1049】
この変動パターンコマンド処理が実行されることにより、表示設定処理では、S6505の処理によって初期化されたポインタ233fを更新しながら、S6501の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定された変動表示データテーブルから、ポインタ233fに示されるアドレスに規定された描画内容を抽出し、第3図柄表示装置81において次に表示すべき1フレーム分の画像の内容を特定すると同時に、S6502の処理によって転送データテーブルバッファ233eに設定された転送データテーブルから、ポインタ233fに示されるアドレスに規定された転送データ情報を抽出し、設定された変動表示データテーブルにおいて必要なスプライトの画像データが、予めキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに転送されるように、画像コントローラ237を制御する。
【1050】
また、表示設定処理では、S6503の処理によって時間データが設定された計時カウンタ233hを用いて、変動表示データテーブルで規定された変動演出の時間を計時し、変動表示データテーブルにおける変動演出が終了すると判断された場合、主制御装置110からの表示用停止種別コマンドに応じた停止図柄を第3図柄表示装置81に表示するように、その停止表示の設定を制御する。
【1051】
ここで、
図76の説明に戻る。S6404の処理において、表示用変動パターンコマンドがないと判別されると(S6404:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用停止種別コマンドがあるか否かを判別し(S6406)、表示用停止種別コマンドがあれば(S6406:Yes)、停止種別コマンド処理を実行して(S6407)、S6401の処理へ戻る。
【1052】
ここで、
図77(b)を参照して、停止種別コマンド処理(S6407)の詳細について説明する。
図77(b)は、停止種別コマンド処理を示すフローチャートである。この停止種別コマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用変動種別コマンドに対応する処理を実行するものである。
【1053】
停止種別コマンド処理(S6407)では、まず、表示用停止種別コマンドによって示される停止種別情報(大当たりA〜G、小当たりA〜C、リーチ外れ、完全外れ、のいずれか)に対応する停止種別テーブルを決定し(S6601)、その停止種別テーブルと、V割込処理(
図75(b)参照)が実行されるたびに更新される停止種別カウンタの値とを比較して、第3図柄表示装置81に表示される変動演出後の停止図柄を最終的に設定する(S6602)。
【1054】
そして、各停止図柄毎に設けられた停止図柄判別フラグのうち、S6602の処理によって設定された停止図柄に対応する停止図柄判別フラグをオンすると共に、その他の停止図柄に対応する停止図柄判別フラグをオンに設定し(S6603)、コマンド判定処理に戻る。
【1055】
ここで、上述したように、変動表示データテーブルでは、そのデータテーブルに基づく変動が開始されてから所定時間経過後において、第3図柄表示装置81に表示すべき第3図柄を特定する種別情報として、S6602の処理によって設定された停止図柄からのオフセット情報(図柄オフセット情報)が記載されている。上述のタスク処理(S6304)では、変動が開始されてから所定時間が経過した後、S6603によって設定された停止図柄判別フラグからS6602の処理によって設定された停止図柄を特定すると共に、その特定した停止図柄に対して表示設定処理により取得された図柄オフセット情報を加算することによって、実際に表示すべき第3図柄を特定する。そして、この特定された第3図柄に対応する画像データが格納されたアドレスを特定する。第3図柄に対応する画像データは、上述したように、常駐用ビデオRAM235の第3図柄エリア235dに格納されている。
【1056】
なお、主制御装置110において変動の開始の判断は、必ず数秒以上離れて行われるので、20ミリ秒以内に2以上の表示用停止種別コマンドを受信することはなく、したがって、コマンド判定処理を実行する場合に、コマンドバッファ領域に2以上の表示用停止種別コマンドが格納されている場合はあり得ないが、ノイズ等の影響によってコマンドの一部が変化し、別のコマンドが誤って表示用停止種別コマンドとして解釈されるおそれもあり得る。S6601の処理では、このような場合に備え、2以上の表示用停止種別コマンドがコマンドバッファ領域に格納されていると判断される場合は、停止種別が完全外れであると仮定して、停止種別テーブルを決定する。これにより、完全外れに対応する停止図柄がS6602の処理によって設定される。
【1057】
仮に、「特別図柄の大当たり」に対応する停止図柄が設定されてしまうと、実際には、「特別図柄の外れ」であった場合であっても、第3図柄表示装置81には「特別図柄の大当たり」に対応する停止図柄が表示されることとなり、遊技者にパチンコ機10が「特別図柄の大当たり」となったと勘違いさせてしまい、パチンコ機10の信頼性を低下させるおそれがあった。これに対し、本実施形態のように、完全外れに対応する停止図柄が設定されることで、実際には、「特別図柄の大当たり」であれば、第3図柄表示装置81に完全外れの停止図柄が表示されても、パチンコ機10が「特別図柄の大当たり」になるので、遊技者を喜ばせることができる。
【1058】
図76に戻り、説明を続ける。S6406の処理において、表示用停止種別コマンドがないと判別されると(S6406:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用オープニングコマンドがあるか否かを判別し(S6408)、表示用オープニングコマンドがあれば(S6408:Yes)、オープニングコマンド処理を実行して(S6409)、S6401の処理へ戻る。
【1059】
ここで、
図78(a)を参照して、オープニングコマンド処理(S6409)の詳細について説明する。
図78(a)は、オープニングコマンド処理を示すフローチャートである。このオープニングコマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信したオープニングコマンドに対応する処理を実行するものである。
【1060】
オープニングコマンド処理では、まず、オープニング表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定する(S6701)。その後、オープニング表示データテーブルに対応する転送データテーブルを転送データテーブルバッファ233eに設定し(S6702)、設定したオープニング表示データテーブルを基に、時間データを計時カウンタ233hに設定する(S6703)。その後、ポインタ233fを0に初期化する(S6704)。そして、デモ表示フラグ233y、および確定表示フラグ233zをいずれもオフに設定して(S6705)、オープニングコマンドを終了し、コマンド判定処理に戻る。
【1061】
図76に戻り、説明を続ける。S6408の処理において、表示用オープニングコマンドがないと判別されると(S6408:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用ラウンド数コマンドがあるか否かを判別し(S6410)、表示用ラウンド数コマンドがあれば(S6410:Yes)、ラウンド数コマンド処理を実行して(S6411)、S6401の処理へ戻る。
【1062】
ここで、
図78(b)を参照して、ラウンド数コマンド処理(S6411)の詳細について説明する。
図78(b)は、ラウンド数コマンド処理を示すフローチャートである。このラウンド数コマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用ラウンド数コマンドに対応する処理を実行するものである。
【1063】
ラウンド数コマンド処理では、まず、表示用ラウンド数コマンドによって示されるラウンド数に対応したラウンド数表示データテーブルを決定し、その決定したラウンド数表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S6801)。次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S6802)。
【1064】
そして、S6801の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定されたラウンド数表示データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S6803)、ポインタ233fを0に初期化する(S6804)。そして、デモ表示フラグ233y、および確定表示フラグ233zをいずれもオフに設定して(S6805)、ラウンド数コマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
【1065】
図76に戻って説明を続ける。S6410の処理において、表示用ラウンド数コマンドがないと判別されると(S6410:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用エンディングコマンドがあるか否かを判別し(S6412)、表示用エンディングコマンドがあれば(S6412:Yes)、エンディングコマンド処理を実行して(S6413)、S6401の処理へ戻る。
【1066】
ここで、
図79を参照して、エンディングコマンド処理(S6413)の詳細について説明する。
図79は、エンディングコマンド処理を示すフローチャートである。このエンディングコマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用エンディングコマンドに対応する処理を実行するものである。
【1067】
エンディングコマンド処理では、まず、表示用エンディングコマンドによって示されるエンディング演出の表示態様に対応したエンディング表示データテーブルを決定し、その決定したエンディング表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S6901)。次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S6902)。
【1068】
次いで、S6901の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定されたエンディング表示データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S6903)、ポインタ233fを0に初期化する(S6904)。そして、デモ表示フラグ233y、および確定表示フラグ233zをいずれもオフに設定して(S6905)、エンディングコマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
【1069】
図76に戻り、説明を続ける。S6412の処理において、表示用エンディングコマンドがないと判別されると(S6412:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用変動停止コマンドがあるか否かを判別し(S6414)、表示用変動停止コマンドがあれば(S6414:Yes)、変動停止コマンド処理を実行して(S6415)、S6401の処理へ戻る。
【1070】
ここで、
図80(a)を参照して、変動停止コマンド処理(S6415)の詳細について説明する。
図80(a)は、変動停止コマンド処理を示すフローチャートである。この変動停止コマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用変動停止コマンドに対応する処理を実行するものである。
【1071】
この表示用変動停止コマンドとは、音声ランプ制御装置113の変動表示設定処理(
図73のS4112参照)において設定された表示用変動パターンコマンドの終了タイミング、即ち、主制御装置110における各特別図柄の変動パターンを設定する処理にて設定された変動パターン(変動時間)の終了タイミング(主制御装置110が停止コマンドを設定するタイミング)にて、音声ランプ制御装置113から出力される表示用停止コマンド(正常停止コマンド)と、音声ランプ制御装置113のへ変動停止処理(
図70のS4217参照)にて設定された各種表示コマンドを示すものである。
【1072】
上述した通り、本実施形態のパチンコ機10は、第1特別図柄の抽選(変動)と、第2特別図柄の抽選(変動)とを独立(並行)して実行可能に構成されており、さらに、一方の特別図柄が特定の抽選結果(例えば、大当たり)を示す図柄で停止(確定)表示された場合に、変動中の他方の特別図柄を、予め定められた変動パターン(変動時間)の終了の有無に関わらず、強制的に外れを示す図柄で停止表示するように構成している。
【1073】
そして、音声ランプ制御装置113では主制御装置110から強制的に特別図柄の変動を停止させる際に設定されるコマンドを受信した場合に、変動停止処理(
図70のS4217参照)を実行することで、特別図柄変動に対応する第3図柄、或いは第4図柄の表示態様を可変表示(強制的に停止表示される特別図柄の表示態様に対応させるように可変表示)させるための表示用コマンド(強制停止コマンド)を設定するように構成している。
【1074】
なお、本実施形態では、上述した正常停止コマンドを既に受信している場合であっても、第3図柄表示装置81に第3図柄、或いは第4図柄が停止表示されていない状態であれば、後で受信した強制停止コマンドに基づく停止表示が実行されるように構成している。即ち、強制停止コマンドが、正常停止コマンドよりも優先して処理されるように構成している。これにより、主制御装置110の制御内容に対応した表示態様で第3図柄、第4図柄を確実に表示することができる。
【1075】
加えて、表示用変動停止コマンドには、音声ランプ制御装置113の変動停止処理(
図70のS4217参照)において設定される仮停止を示す表示コマンドも含まれており、この仮停止を示す表示コマンド(表示用仮停止コマンド)を受信した場合には、変動停止表示データとして、停止表示される図柄が若干揺動する表示データが設定されるデータテーブルが決定されるように構成している。
【1076】
変動停止コマンド処理では、まず、表示用変動停止コマンドによって示される変動停止データテーブルを決定し、その決定した変動停止データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S6931)。次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S6932)。
【1077】
次いで、S6931の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定された変動停止データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S6933)、ポインタ233fを0に初期化する(S6934)。そして、デモ表示フラグ233y、および確定表示フラグ233zをいずれもオフに設定して(S6935)、変動停止コマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
【1078】
図76に戻り、説明を続ける。S6412の処理において、変動停止コマンドがないと判別されると(S6414:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用報知コマンドがあるか否かを判別し(S6416)、表示用報知コマンドがあれば(S6416:Yes)、表示用報知コマンド処理を実行して(S6417)、S6401の処理へ戻る。
【1079】
ここで、
図80(b)を参照して、追加演出コマンド処理(S6415)の詳細について説明する。
図80(b)は、報知コマンド処理を示すフローチャートである。この報知コマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信した(表示用)報知コマンドに対応する処理を実行するものである。
【1080】
この報知コマンドは、主制御装置110にて設定された各種異常状態を示すためのコマンドを音声ランプ制御装置113が受信した場合に設定される各種報知コマンドのうち、表示制御装置114に出力された表示用報知コマンドを表示制御装置114が受信した場合に実行される処理である。
【1081】
報知コマンド処理では、まず、報知コマンドによって示される報知態様に対応した表示(報知)データテーブルを決定し、その決定した表示(報知)データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S6951)。次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S6952)。
【1082】
次いで、S6951の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定された表示(報知)データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S6953)、ポインタ233fを0に初期化する(S6954)。そして、デモ表示フラグ233y、および確定表示フラグ233zをいずれもオフに設定して(S6955)、報知コマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
【1083】
なお、本実施形態では、音声ランプ制御装置113の設定した各種報知コマンドのうち、報知対象が第3図柄表示装置81(表示装置)であることを示す表示用コマンドのみを表示制御装置114が判別するように構成しているが、これに限ること無く、表示用コマンド以外の発光用コマンドや、音声出力用コマンドや、役物駆動用コマンドといった関連コマンドも一旦受信し、表示制御装置114の処理にて設定されたデータ内容(表示態様)を示すための情報を追加した状態で、関連コマンドを対応する制御装置に出力するように構成しても良い。
【1084】
図76に戻り、説明を続ける。S6416の処理において、表示用報知コマンドがないと判別されると(S6416:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、背面画像変更コマンドがあるか否かを判別し(S6418)、背面画像変更コマンドがあれば(S6418:Yes)、背面画像変更コマンド処理を実行して(S6419)、S6401の処理へ戻る。
【1085】
ここで、
図81を参照して、背面画像変更コマンド処理(S6419)の詳細について説明する。
図81は、背面画像変更コマンド処理を示すフローチャートである。この背面画像変更コマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信した背面画像変更コマンドに対応する処理を実行するものである。
【1086】
背面画像変更コマンド処理では、まず、オン状態で背面画像変更コマンドを受信したことに伴う背面画像の変更を通常画像転送設定処理(S7503)に通知する背面画像変更フラグ233wをオンに設定する(S7001)。そして、背面画像種別(背面A,B)毎に設けられた背面画像判別フラグ233xの各ビットのうち、背面画像変更コマンドによって示された背面画像種別に対応するビットをオンに設定すると共に、その他の背面画像種別に対応するビットをオフに設定して(S7002)、この背面画像変更コマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
【1087】
通常画像転送設定処理では、S7001の処理により設定される背面画像変更フラグ233wがオンされていることを検出すると、S7002の処理によって設定される背面画像判別フラグ233xから、変更後の背面画像種別を特定する。
【1088】
また、タスク処理では、表示データテーブルに規定された背面画像の背面種別によって、背面A,Bのいずれかを表示させることが規定されていた場合、S7002によって設定された背面画像判別フラグ233xから、その時点において表示すべき背面画像種別を特定し、更に、表示すべき背面画像の範囲を時間経過に合わせて特定して、その背面画像の範囲に対応する画像データが格納されているRAM種別(常駐用ビデオRAM235か、通常用ビデオRAM236か)と、そのRAMのアドレスを特定する。
【1089】
なお、遊技者が枠ボタン22を20ミリ秒以下で連続して操作することはないので、20ミリ秒以内に2以上の背面画像変更コマンドを受信することはなく、したがって、コマンド判定処理を実行する場合に、コマンドバッファ領域に2以上の背面画像変更コマンドが格納されている場合はないはずであるが、ノイズ等の影響によってコマンドの一部が変化し、別のコマンドが誤って背面画像変更コマンドとして解釈されるおそれもあり得る。S7002の処理では、2以上の背面画像コマンドがコマンドバッファ領域に格納されていると判断される場合、先に受信した背面画像コマンドによって示される背面画像種別に対応する背面画像判別フラグ233xをオンしてもよいし、後に受信した背面画像コマンドによって示される背面画像種別に対応する背面画像判別フラグ233xをオンしてもよい。また、任意の1の背面画像変更コマンドを抽出し、そのコマンドによって示される背面画像種別に対応する背面画像判別フラグ233xをオンしてもよい。この背面画像の変更は、パチンコ機10における遊技価値の直接影響を与えるものではないので、パチンコ機10の特性や操作性に応じて、適宜設定するのが好ましい。
【1090】
ここで、
図76の説明に戻る。S6418の処理において、背面画像変更コマンドがないと判別されると(S6418:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、エラーコマンドがあるか否かを判別し(S6420)、エラーコマンドがあれば(S6420:Yes)、エラーコマンド処理を実行して(S6421)、S6401の処理へ戻る。
【1091】
ここで、
図81(b)を参照して、エラーコマンド処理(S6421)の詳細について説明する。
図81(b)は、エラーコマンド処理を示すフローチャートである。このエラーコマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信したエラーコマンドに対応する処理を実行するものである。
【1092】
エラーコマンド処理では、まず、オン状態でエラーが発生していることを示すエラー発生フラグをオンに設定する(S7101)。そして、エラー種別毎に設けられたエラー判別フラグのうち、エラーコマンドによって示されるエラー種別に対応するエラー判別フラグをオンすると共に、その他のエラー判別フラグをオフに設定して(S7102)、エラーコマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
【1093】
表示設定処理では、S7101の処理によって設定されたエラー発生フラグに基づいて、エラーの発生を検出すると、S7102の処理によって設定されたエラー判別フラグから発生したエラー種別を判断し、そのエラー種別に対応する警告画像を第3図柄表示装置81に表示させるように処理を実行する。
【1094】
なお、2以上のエラーコマンドがコマンドバッファ領域に格納されていると判断される場合、S7102に処理では、それぞれのエラーコマンドによって示される全てのエラー種別に対応するエラー判別フラグをオンに設定する。これにより、全てのエラー種別に対応する警告画像が第3図柄表示装置81に表示されるので、遊技者やホール関係者が、エラーの発生状況を正しく把握することができる。
【1095】
ここで、
図76の説明に戻る。S6416の処理において、エラーコマンドがないと判別されると(S6420:No)、次いで、その他の未処理のコマンドに対応する処理を実行し(S6422)、S6401の処理へ戻る。
【1096】
各コマンドの処理が実行された後に再び実行されるS6401の処理では、再度、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがあるか否かを判別し、未処理の新規コマンドがあれば(S6401:Yes)、再びS6402〜S6422の処理を実行する。そして、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがなくなるまで、S6401〜S6422の処理が繰り返し実行され、S6401の処理で、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがないと判別されると、このコマンド判定処理を終了する。
【1097】
なお、V割込処理(
図75(b)参照)において簡易画像表示フラグ233cがオンの場合に実行される簡易コマンド判定処理(S6308)も、コマンド判定処理と同様の処理が行われる。ただし、簡易コマンド判定処理では、コマンドバッファ領域に格納されている未処理のコマンドから、電源投入時画像を表示するのに必要なコマンド、即ち、表示用変動パターンコマンドおよび表示用停止種別コマンドだけを抽出して、それぞれのコマンドに対応する処理である、変動パターンコマンド処理(
図77(a)参照)および停止種別コマンド処理(
図77(b)参照)を実行すると共に、その他のコマンドについては、そのコマンドに対応する処理を実行せずに破棄する処理を行う。
【1098】
ここで、この場合に実行される、変動パターンコマンド処理(
図77(a)参照)では、S6501の処理で、電源投入時変動画像の表示に対応した表示データテーブルバッファが表示データテーブルバッファ233dに設定され、また、その場合に必要となる電源投入時主画像および電源投入時変動画像の画像データは常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aおよび電源投入時変動画像エリア235bに格納されているので、S6502の処理では、転送データテーブルバッファ233eにはNullデータを書き込み、その内容をクリアする処理が行われる。
【1099】
次いで、
図82〜
図84を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述の表示設定処理(S6303)の詳細について説明する。
図82は、この表示設定処理を示すフローチャートである。
【1100】
この表示設定処理では、
図82に示すように、まず、新規コマンドフラグがオンであるか否かを判別し(S7201)、新規コマンドフラグがオンではない、即ち、オフであれば(S7201:No)、先に実行されるコマンド判定処理において新規コマンドが処理されていないと判断して、S7202〜S7204の処理をスキップし、S7205の処理へ移行する。一方、新規コマンドフラグがオンであれば(S7201:Yes)、先に実行されるコマンド判定処理において新規コマンドが処理されたと判断し、新規コマンドフラグをオフに設定した後(S7202)、S7203〜S7204の処理によって、新規コマンドに対応する処理を実行する。
【1101】
S7203の処理では、エラー発生フラグがオンであるか否かを判別する(S7203)。そして、エラー発生フラグがオンであれば(S7203:Yes)、警告画像設定処理を実行する(S7204)。
【1102】
ここで、
図83を参照して、警告画像設定処理の詳細について説明する。
図83は、警告画像設定処理を示すフローチャートである。この処理は、発生したエラーに対応する警告画像を第3図柄表示装置81に表示させる画像データを展開するための処理で、まず、エラー判別フラグを参照し、オンが設定された全てのエラー判別フラグに対応したエラーの警告画像を第3図柄表示装置81に表示させる警告画像データを展開する(S7301)。
【1103】
タスク処理(S6304)では、この展開された警告画像データを元に、その警告画像を構成するスプライト(表示物)の種別を特定すると共に、各スプライト毎に、表示座標位置や拡大率、回転角度といった描画に必要な各種パラメータを決定する。
【1104】
そして、警告画像設定処理では、S7301の処理の後、エラー発生フラグをオフに設定して(S7302)、表示設定処理に戻る。
【1105】
ここで、
図82の説明に戻る。警告画像設定処理(S7204)の後、又は、S7203の処理において、エラー発生フラグがオンではない、即ち、オフであると判別されると(S7203:No)、次いで、S7205の処理へ移行する。
【1106】
S7205では、ポインタ更新処理を実行する(S7205)。ここで、
図84を参照して、ポインタ更新処理の詳細について説明する。
図84は、ポインタ更新処理を示すフローチャートである。このポインタ更新処理は、表示データテーブルバッファ233dおよび転送データテーブルバッファ233eの各バッファにそれぞれ格納された表示データテーブルおよび転送データテーブルから、対応する描画内容もしくは転送対象画像データの転送データ情報を取得すべきアドレスを指定するポインタ233fの更新を行う処理である。
【1107】
このポインタ更新処理では、まず、ポインタ233fに1を加算する(S7401)。即ち、ポインタ233fは、原則、V割込処理が実行される度に1だけ加算されるように更新処理が行われる。また、上述したように、各種データテーブルは、アドレス「0000H」には、Start情報が記載されており、それぞれのデータの実体はアドレス「0001H」以降に規定されているところ、表示データテーブルが表示データテーブルバッファ233dに格納されるのに合わせてポインタ233fの値が0に初期化された場合は、このポインタ更新処理によってその値が1に更新されるので、アドレス「0001H」から順に、それぞれのデータテーブルから実体的なデータを読み出すことができる。
【1108】
S7401の処理によって、ポインタ233fの値を更新した後、次いで、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルにおいて、その更新後のポインタ233fで示されるアドレスのデータがEnd情報であるか否かを判別する(S7402)。その結果、End情報であれば(S7402:Yes)、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルにおいて、その実体データが記載されたアドレスを過ぎてポインタ233fが更新されたことを意味する。
【1109】
そこで、表示データテーブルバッファ233dに格納されている表示データテーブルがデモ用表示データテーブルであるか否かを判別して(S7403)、デモ用表示データテーブルであれば(S7403:Yes)、表示データテーブルバッファ233dに設定されているデモ用表示データテーブルの演出時間に対応する時間データを計時カウンタ233hに設定し(S7404)、ポインタ233fを1に設定して初期化し(S7405)、本処理を終了し、表示設定処理に戻る。これにより、表示設定処理では、デモ用表示データテーブルの先頭から順に描画内容を展開することができるので、第3図柄表示装置81には、デモ演出を繰り返し表示させることができる。
【1110】
一方、S7403の処理において、表示データテーブルバッファ233dに格納されている表示データテーブルがデモ用表示データテーブルでないと判別された場合は(S7403:No)、ポインタ233fの値を1だけ減算して(S7406)、本処理を終了し、表示設定処理に戻る。これにより、表示設定処理では、表示データテーブルバッファ233dにデモ用表示データテーブル以外の表示データテーブル、例えば、変動表示データテーブルが設定されている場合は、End情報が記載された1つ前のアドレスの描画内容が常に展開されるので、第3図柄表示装置81には、その表示データテーブルで規定される最後の画像を停止させた状態で表示させることができる。一方、S7402の処理において、更新後のポインタ233fで示されるアドレスのデータがEnd情報でなければ(S7402:No)、本処理を終了し、表示設定処理に戻る。
【1111】
ここで、
図82に戻り説明を続ける。ポインタ更新処理の後、表示データテーブルバッファ233dに設定されている表示データテーブルから、ポインタ更新処理によって更新されたポインタ233fで示されるアドレスの描画内容を取得する(S7206)。タスク処理(S6304)では、先に展開された警告画像などと共に、S7206の処理で展開された描画内容を元に、画像を構成するスプライト(表示物)の種別を特定すると共に、各スプライト毎に、表示座標位置や拡大率、回転角度といった描画に必要な各種パラメータを決定する。
【1112】
次いで、計時カウンタ233hの値を1だけ減算し(S7207)、減算後の計時カウンタ233hの値が0以下であるか否かを判別する(S7208)。そして、計時カウンタ233hの値が1以上である場合は(S7208:No)、そのまま表示設定処理を終了してV割込処理に戻る。一方、計時カウンタ233hの値が0以下である場合は(S7208:Yes)、表示データテーブルバッファ233dに設定されている表示データテーブルに対応する演出の演出時間が経過したことを意味する。このとき、表示データテーブルバッファ233dに変動表示データテーブルが設定されている場合は、その変動表示を終了すると共に停止表示を行うタイミングであるので、確定表示フラグがオンであるか否かを確認する(S7209)。
【1113】
その結果、確定表示フラグがオフであれば(S7209:No)、まだ確定表示の演出を行っておらず、確定表示の演出を行うタイミングなので、まず、確定表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定し(S7210)、次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S7211)。そして、確定表示データテーブルの演出時間に対応する時間データを計時カウンタ233hに設定し(S7212)、更に、ポインタ233fの値を0に初期化する(S7213)。そして、オン状態で確定表示演出中であることを示す確定表示フラグをオンに設定した後(S7214)、停止図柄判別フラグの内容をそのままワークRAM233に設けられた前回停止図柄判別フラグにコピーして(S7215)、V割込処理に戻る。
【1114】
これにより、表示データテーブルバッファ233dに変動表示データテーブルが設定されている場合などにおいて、その演出の終了に合わせて、変動演出における停止図柄の確定表示演出が第3図柄表示装置81に表示されるように、その描画内容を設定することができる。また、表示データテーブルバッファ233dに設定される表示データテーブルを確定表示データテーブルに変更するだけで、容易に、第3図柄表示装置81に表示させる演出を確定表示演出に変更することができる。そして、従来のように、別のプログラムを起動させることによって表示内容を変更する場合と比較して、プログラムが複雑かつ肥大化することなく、よって、MPU231に多大な負荷がかかることがないので、表示制御装置114の処理能力に関係なく、多種多様な演出画像を第3図柄表示装置81に表示させることができる。
【1115】
なお、S7215の処理によって設定された前回停止図柄判別フラグは、次に行われる変動演出において第3図柄表示装置81に表示すべき第3図柄を特定するために用いられる。即ち、上述したように、変動演出における第3図柄の表示は、1つ前に行われた変動演出の停止図柄に応じて変わるためであり、変動表示データテーブルでは、そのデータテーブルに基づく変動が開始されてから所定時間経過するまでは、1つ前に行われた変動演出の停止図柄からの図柄オフセット情報が記載されている。タスク処理(S6304)では、変動が開始されてから所定時間が経過するまで、S7215によって設定された前回停止図柄判別フラグから、1つ前に行われた変動演出の停止図柄を特定すると共に、その特定した停止図柄に対して表示設定処理により取得された図柄オフセット情報を加算することによって、実際に表示すべき第3図柄を特定する。これにより、1つ前の変動演出における停止図柄から変動演出が開始される。
【1116】
一方、S7209の処理において、確定表示フラグがオンであれば(S7209:Yes)、デモ表示フラグがオンであるか否かを判別する(S7216)。そして、デモ表示フラグがオフであれば(S7216:No)、確定表示演出の終了に伴って計時カウンタ233hの値が0以下になったことを意味するので、確定表示演出の終了から一定時間経過後に、第3図柄表示装置81にデモ演出を表示させるための処理を行う。
【1117】
まず、デモ表示データテーブルを取得して表示データテーブルバッファ233dへ設定し(S7217)、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S7218)。そして、デモ表示データテーブルの演出時間に対応する時間データを計時カウンタ233hに設定する(S7219)。そして、ポインタ233fを0に初期化し(S7220)、オン状態でデモ演出中であることを示すデモ表示フラグをオンに設定して(S7221)、本処理を終了し、V割込処理に戻る。
【1118】
これにより、確定表示演出が終了した後に、次の変動演出開始を示す表示用変動パターンコマンドを受信しなかった場合には、自動的に、第3図柄表示装置81にデモ演出が表示されるように、その描画内容を設定することができる。
【1119】
S7216の処理において、デモ表示フラグがオンであれば(S7216:Yes)、確定表示演出が終了した後にデモ演出が行われ、そのデモ演出が終了したことを意味するので、そのまま表示設定処理を終了し、V割込処理に戻る。そして、この場合、次回のV割込処理の中で実行されるポインタ更新処理によって、上述したように、再びデモ演出が開始されるように、各種設定が行われるので、音声ランプ制御装置113より新たな表示用変動パターンコマンドを受信するまでは、デモ演出を繰り返し第3図柄表示装置81に表示させることができる。
【1120】
なお、V割込処理(
図75(b)参照)において簡易画像表示フラグ233cがオンの場合に実行される簡易表示設定処理(S6309)でも、表示設定処理と同様の処理が行われる。ただし、簡易表示設定処理では、電源投入時変動画像による変動演出の演出時間が終了した後、所定時間、表示用停止種別コマンドに基づいて設定された停止図柄に応じた電源投入時変動画像の一方の画像を停止表示させることを規定した表示データテーブルを、表示データテーブルバッファ233dに設定する処理が行われる。
【1121】
次いで、
図85及び
図86を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述の転送設定処理(S6305)の詳細について説明する。まず、
図85(a)は、この転送設定処理を示すフローチャートである。
【1122】
この転送設定処理では、まず、簡易画像表示フラグ233cがオンか否かを判別する(S7501)。そして、簡易画像表示フラグ233cがオンであれば、(S7501:Yes)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されていないので、常駐画像転送設定処理を実行して(S7502)、転送設定処理を終了し、V割込処理へ戻る。これにより、画像コントローラ237に対して、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送させるための転送指示が設定される。なお、常駐画像転送設定処理の詳細については、
図85(b)を参照して後述する。
【1123】
一方、S7501の処理の結果、簡易画像表示フラグ233cがオンではない、即ち、オフであれば、(S7501:No)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されている。この場合は、通常画像転送設定処理を実行し(S7503)、転送設定処理を終了して、V割込処理へ戻る。これにより、以後のキャラクタROM234からの画像データの転送は、通常用ビデオRAM236に対して行われるように転送指示が設定される。なお、通常画像転送設定処理の詳細については、
図86を参照して後述する。
【1124】
次いで、
図85(b)を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行される転送設定処理(S6305)の一処理である常駐画像転送設定処理(S7502)について説明する。
図85(b)は、この常駐画像転送設定処理(S7502)を示すフローチャートである。
【1125】
この常駐画像転送設定処理では、まず、画像コントローラ237に対して、未転送の画像データの転送指示をしているか否かを判別し(S7601)、転送指示を送信していれば(S7601:Yes)、更に、その転送指示に基づき画像コントローラ237により行われる画像データの転送処理が終了したか否かを判別する(S7602)。このS7602の処理では、画像コントローラ237に対して画像データの転送指示を行った後、画像コントローラ237から、転送処理の終了を示す転送終了信号を受信した場合に、転送処理が終了したと判断する。そして、S7602の処理により、転送処理が終了していないと判別される場合(S7602:No)、画像コントローラ237において画像の転送処理が継続して行われているので、この常駐画像転送設定処理を終了する。一方、転送処理が終了したと判別される場合(S7602:Yes)、S7603の処理へ移行する。また、S7601の処理の結果、画像コントローラ237に対して、未転送の画像データの転送指示を送信していない場合も(S7601:No)、S7603の処理へ移行する。
【1126】
S7603の処理では、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての常駐対象画像データを転送したか否かを判別し(S7603)、未転送の常駐対象画像データがあれば(S7603:No)、その未転送の常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送するように、画像コントローラ237に対する転送指示を設定し(S7604)、本処理を終了する。
【1127】
これにより、描画処理において画像コントローラ237に対して送信される描画リストに、未転送の常駐対象画像データに関する転送データ情報が含められることになり、画像コントローラ237は、その描画リストに記載された転送データ情報を基に、常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送することができる。なお、転送データ情報には、常駐対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスと最終アドレス、転送先の情報(この場合は、常駐用ビデオRAM235)、及び転送先(ここで転送される常駐対象画像データを格納すべき常駐用ビデオRAM235に設けられたエリア)の先頭アドレスが含められる。画像コントローラ237は、この転送データ情報に基づいて画像転送処理を実行し、転送処理で指定された画像データをキャラクタROM234から読み出して一旦バッファRAM237aに格納した後、常駐用ビデオRAM235の未使用期間中に、常駐用ビデオRAM235の指定されたアドレスに転送する。そして、転送が完了すると、MPU231に対して、転送終了信号を送信する。
【1128】
S7603の処理の結果、全ての常駐対象画像データが転送されていれば(S7603:Yes)、簡易画像表示フラグ233cをオフに設定して(S7605)、本処理を終了する。これにより、V割込処理(
図75(b)参照)において、簡易コマンド判定処理(
図75(b)のS6308参照)および簡易表示設定処理(
図75(b)のS6309参照)ではなく、コマンド判定処理(
図76〜
図81参照)および表示設定処理(
図82〜
図84参照)が実行されるので、通常時の画像の描画が設定されることになり、第3図柄表示装置81には通常時の画像が表示される。また、以後のキャラクタROM234からの画像データの転送は、通常画像転送設定処理(
図86参照)により、通常用ビデオRAM236に対して行われる(
図85(a)のS7501:No参照)。
【1129】
MPU231は、この常駐画像転送設定処理を実行することにより、既にメイン処理の中で転送されている電源投入時主画像および電源投入時変動画像を除く、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に対して転送することができる。そして、MPU231は、常駐用ビデオRAM235に転送された画像データを、電源投入中、上書きすることなく保持され続けるよう制御する。これにより、常駐画像転送設定処理によって常駐用ビデオRAM235に転送された画像データは、電源投入中、常駐用ビデオRAM235に常駐されることになる。
【1130】
よって、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データが常駐用ビデオRAM235に転送された後、表示制御装置114は、この常駐用ビデオRAM235に常駐された画像データを使用しながら、画像コントローラ237にて画像の描画処理を行うことができる。これにより、描画処理に使用する画像データが常駐用ビデオRAM235に常駐されていれば、画像描画時に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234から対応する画像データを読み出す必要がないため、その読み出しにかかる時間を省略でき、画像の描画を即座に行って第3図柄表示装置81に描画した画像を表示することができる。
【1131】
特に、常駐用ビデオRAM235には、背面画像や、第3図柄、キャラクタ図柄、エラーメッセージといった、頻繁に表示される画像の画像データや、主制御装置110、音声ランプ制御装置113や表示制御装置114などによって表示が決定された後、即座に表示すべき画像の画像データを常駐させるので、キャラクタROM234をNAND型フラッシュメモリ234aで構成しても、遊技者によって任意のタイミングで行われる種々の操作から、第3図柄表示装置81に何らかの画像を表示させるまでの応答性を高く保つことができる。
【1132】
次いで、
図86を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行される転送設定処理(S6305)の一処理である通常画像転送設定処理(S7503)について説明する。
図86は、この通常画像転送設定処理(S7503)を示すフローチャートである。
【1133】
この通常画像転送設定処理では、まず、転送データテーブルバッファ233eに設定されている転送データテーブルから、先に実行された表示設定処理(S6303)のポインタ更新処理(S7205)によって更新されたポインタ233fで示されるアドレスに記載された情報を取得する(S7701)。そして、取得した情報が転送データ情報であるか否かを判別し(S7702)、転送データ情報であれば(S7702:Yes)、その転送データ情報から、転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを抽出して、ワークRAM233に設けられた転送データバッファに格納し(S7703)、更に、ワークRAM233に設けられ、オン状態で転送開始すべき画像データが存在することを示す転送開始フラグをオンに設定して(S7704)、S7705の処理へ移行する。
【1134】
また、S7702の処理において、取得した情報が転送データ情報ではなく、Nullデータであれば(S7702:No)、S7703及びS7704の処理をスキップして、S7705の処理へ移行する。S7705の処理では、画像コントローラ237に対して、前回行われた画像データの転送が終了した後に、新たに画像データの転送指示を設定したか否かを判別し(S7705)、転送指示を設定していれば(S7705:Yes)、更に、その転送指示に基づき画像コントローラ237により行われる画像データの転送が終了したか否かを判別する(S7706)。
【1135】
このS7706の処理では、画像コントローラ237に対して画像データの転送指示を設定した後、画像コントローラ237から、転送処理の終了を示す転送終了信号を受信した場合に、転送処理が終了したと判断する。そして、S7706の処理により、転送処理が終了していないと判別される場合(S7706:No)、画像コントローラ237において画像の転送処理が継続して行われているので、この通常画像転送設定処理を終了する。一方、転送処理が終了したと判別される場合(S7706:Yes)、S7707の処理へ移行する。また、S7705の処理の結果、前回の転送処理の終了後に、画像コントローラ237に対して画像データの転送指示を設定していない場合も(S7705:No)、S7707の処理へ移行する。
【1136】
S7707の処理では、転送開始フラグがオンか否かを判別し(S7707)、転送開始フラグがオンであれば(S7707:Yes)、転送開始すべき画像データが存在しているので、転送開始フラグをオフにし(S7708)、S7703の処理によって転送データバッファに格納した各種情報によって示されるスプライトの画像データを転送対象画像データに設定した上で、S7713の処理へ移行する。一方、転送開始フラグがオンではなく、オフであれば(S7707:No)、次いで、背面画像変更フラグ233wはオンか否かを判別する(S7709)。そして、背面画像変更フラグ233wがオンではなく、オフであれば(S7709:No)、転送開始すべき画像データが存在していないので、そのまま通常画像転送設定処理を終了する。
【1137】
一方、背面画像変更フラグ233wがオンであれば(S7709:Yes)、背面画像の変更を意味するので、背面画像変更フラグ233wをオフに設定した後(S7710)、背面画像種別毎に設けられた背面画像判別フラグ233xのうち、オン状態にある背面画像判別フラグ233xに対応する背面画像の画像データを特定し、その画像データを転送対象画像データに設定する(S7711)。更に、オン状態にある背面画像判別フラグ233xに対応する背面画像の画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを取得し(S7712)、S7713の処理へ移行する。
【1138】
S7713の処理では、転送対象画像データが通常用ビデオRAM236に既に格納されているか否かを判別する(S7713)。このS7713の処理における判別では、格納画像データ判別フラグ233iを参照することによって行われる。即ち、転送対象画像データとされたスプライトに対応する格納状態を格納画像データ判別フラグ233iより読み出して、その格納状態が「オン」であれば、転送対象となったスプライトの画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていると判断し、格納状態が「オフ」であれば、転送対象となったスプライトの画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていないと判断する。
【1139】
そして、S7713の処理の結果、転送対象画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていれば(S7713:Yes)、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して、その画像データを転送する必要がないので、そのまま通常画像転送設定処理を終了する。これにより、無駄に画像データがキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して転送されるのを抑制することができ、表示制御装置114の各部における処理負担の軽減や、バスライン240におけるトラフィックの軽減を図ることができる。
【1140】
一方、S7713の処理の結果、転送対象画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていなければ(S7713:No)、その転送対象画像データの転送指示を設定する(S7714)。これにより、描画処理において画像コントローラ237に対して送信される描画リストに、転送対象画像データの転送データ情報が含められることになり、画像コントローラ237は、その描画リストに記載された転送データ情報を基に、転送対象画像の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。なお、転送データ情報には、転送対象画像の画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスと最終アドレス、転送先の情報(この場合は、通常用ビデオRAM236)、及び転送先(ここで転送される転送対象画像の画像データを格納すべき通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに設けられたサブエリア)の先頭アドレスが含められる。画像コントローラ237は、この転送データ情報に基づいて画像転送処理を実行し、転送処理で指定された画像データをキャラクタROM234から読み出して、指定されたビデオRAM(ここでは、通常用ビデオRAM236)の指定されたアドレスに転送する。そして、転送が完了すると、MPU231に対して、転送終了信号を送信する。
【1141】
S7714の処理の後、格納画像データ判別フラグ233iを更新し(S7715)、この通常用転送設定処理を終了する。格納画像データ判別フラグ233iの更新は、上述したように、転送対象画像データとなったスプライトに対応する格納状態を「オン」に設定し、また、その一のスプライトと同じ画像格納エリア236aのサブエリアに格納されることになっているその他のスプライトに対応する格納状態を「オフ」に設定することによって行われる。
【1142】
このように、この通常用画像転送処理を実行することによって、先に実行されたコマンド判定処理の中で、表示用停止種別コマンドに対応する処理が実行され、その結果、表示用停止種別コマンドによって示される停止種別情報が大当たりの停止種別であると判別された場合は、ファンファーレ演出において使用する画像データを遅滞なくキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に転送させることができる。また、先に実行されたコマンド判定処理の中で背面画像変更コマンドの受信に基づいて背面画像の変更が行われた場合は、その背面画像で用いられる画像データのうち、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納されていない画像データを、遅滞なく、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に転送させることができる。
【1143】
また、本実施形態では、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、表示データテーブルが表示データテーブルバッファ233dに設定されるのに合わせて、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが転送データテーブルバッファ233eに設定される。そして、MPU231は、通常画像転送設定処理を実行することにより、転送データテーブルバッファ233eに設定された転送データテーブルのポインタ233fで示されるエリアに記載されている転送データ情報に従って、画像コントローラ237に対し転送対象画像データの転送指示を設定するので、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルで用いられるスプライトの画像データを、所望のタイミングで確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
【1144】
ここで、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、転送データテーブルでは、転送対象画像データの転送データ情報が所定のアドレスに対して規定されているので、この転送データテーブルに規定された転送データ情報に従って、画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aに転送することにより、表示データテーブルに従って所定のスプライトを描画する場合に、そのスプライトの描画に必要な常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。
【1145】
これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
【1146】
また、転送データテーブルでは、スプライトに対応する画像データ毎にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ画像データが転送されるように、その転送データ情報を規定する。これにより、その画像データの転送をスプライト毎に管理し、また、制御することができるので、その転送に係る処理を容易に行うことができる。そして、スプライト単位でキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236への画像データの転送を制御することにより、その処理を容易にしつつ、詳細に画像データの転送を制御できる。よって、転送にかかる負荷の増大を効率よく抑制することができる。