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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-216853(P2019-216853A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】超音波撮像装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20191129BHJP
【FI】
   A61B8/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-114909(P2018-114909)
(22)【出願日】2018年6月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000888
【氏名又は名称】特許業務法人 山王坂特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 千鶴枝
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】栗原 浩
(72)【発明者】
【氏名】尾形 太
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601BB03
4C601BB06
4C601EE04
4C601GB06
4C601HH12
4C601HH15
4C601HH17
4C601HH24
4C601HH28
4C601HH29
4C601HH31
4C601HH38
4C601JB45
4C601JB47
(57)【要約】
【課題】有限の開口幅の超音波探触子を用いながら、SNや空間分解能を低下させることなくコントラストが高い画像を生成する。
【解決手段】送信ビームのビームパターン、および、受信ビームが形成される受信走査線の位置、のうち少なくとも一方を、送信ビームの送信ごとに異ならせる。2以上の送信ビームはいずれも、超音波探触子の同一の送信開口内の振動子から送信され、送信ごとに生じたエコーは、超音波探触子の同一の受信開口内の振動子において受信される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静止した状態の超音波探触子の複数の振動子から被検体の所定の照射範囲に対して、超音波の送信ビームを2以上送信させる送信部と、
前記送信ビームの送信ごとに前記被検体において発生するエコーを前記複数の振動子が受信して出力する受信信号を、前記エコーの発生ごとに受け取って、予め定めておいた1以上の受信走査線上の複数の受信焦点について受信ビームフォーミングすることにより、1以上の受信ビームを前記エコーの受信ごとに形成する受信部と、
前記受信ビームの信号を用いて、前記照射範囲内の同一の撮像断面についての2以上の輝度画像を生成する輝度画像生成部と、
生成された2以上の前記輝度画像を合成する輝度画像合成部とを有し、
前記2以上の送信ビームはいずれも、前記超音波探触子の同一の送信開口内の振動子から送信され、送信ごとに生じたエコーは、前記超音波探触子の受信ごとに同一の受信開口内の振動子において受信され、
前記送信ビームのビームパターン、および、前記受信ビームが形成される前記受信走査線の位置、のうち少なくとも一方は、前記送信ビームの送信ごとに異なることを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波撮像装置であって、前記送信ビームのビームパターンが前記送信ビームごとに異なるとは、前記送信ビームの送信方向および送信ビームの形状の少なくとも一方が前記送信ビームごとに異なることを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の超音波撮像装置であって、前記送信開口および受信開口は、いずれも前記超音波探触子の全開口であることを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項4】
請求項1に記載の超音波撮像装置であって、前記超音波探触子の前記送信開口および前記受信開口には前記振動子が2次元に配列され、前記2以上の送信ビームは、送信方向の前記撮像断面の面内方向の成分が一致し、前記撮像断面に垂直な面の面内方向の成分が異なっていることを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項5】
請求項1に記載の超音波撮像装置であって、前記送信部は、生成する前記輝度画像ごとに、所定数の前記送信ビームのセットを前記照射範囲に送信させ、
前記送信ビームのセットは、前記撮像断面に垂直な面の面内における前記送信ビームの送信方向の成分が、送信ビームのセット間で異なり、前記撮像断面の面内における前記所定数の送信ビームの間隔が、送信ビームのセット間で同一であることを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の超音波撮像装置であって、前記送信ビームのセットを構成する複数の前記送信ビームの送信方向は、前記撮像断面に直交する面内において、複数の前記送信ビーム間で異なることを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項7】
請求項5に記載の超音波撮像装置であって、前記送信部は、一つの輝度画像を生成するために送信する前記送信ビームのセットを構成する送信ビームの数を、当該輝度画像の生成に必要な受信走査線の数よりも低減し、
前記受信部は、前記送信ビームのセットを構成する送信ビームの少なくとも一部については、2以上の前記受信走査線について前記受信ビームを生成することにより、前記輝度画像の生成に必要な数の受信走査線について受信ビームを生成し、
前記送信ビームのセットを構成する複数の送信ビームは、前記撮像断面の面内成分の位置が、次の輝度画像を生成するための送信ビームのセットとは異なっていることを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項8】
請求項1に記載の超音波撮像装置であって、前記受信部は、1回の前記送信ビームの送信に対して、前記受信ビームを複数形成し、他の回の前記送信ビームの送信で形成された前記受信ビームと空間的な位置が重なる点について、受信ビームのデータをコヒーレントに加算することを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項9】
請求項5に記載の超音波撮像装置であって、前記輝度画像ごとの前記送信ビームのセットを構成する複数の前記送信ビームの一部は、送信方向が前記輝度画像間で同一であることを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項10】
請求項7に記載の超音波撮像装置であって、前記送信部は、3以上の前記送信ビームのセットを送信させ、
前記輝度画像生成部は、一つの前記送信ビームのセットを構成する複数の送信ビームの送信によって得られた受信信号により前記輝度画像を生成し、
前記輝度画像合成部は、前記輝度画像生成部が生成した前記輝度画像を、その直前の別の送信ビームのセットを構成する複数の送信ビームの送信によって得られた輝度画像と合成することを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項11】
請求項1に記載の超音波撮像装置であって、前記超音波探触子には前記振動子が2次元に配列され、
前記送信部は、前記2以上の送信ビームのフォーカス深度を、前記撮像断面上および前記撮像断面と直交する面上の少なくとも一方において異ならせることを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項12】
請求項1に記載の超音波撮像装置であって、前記送信部は、前記送信開口内の2次元配列された振動子に送信パルス信号を出力することにより、前記超音波探触子から前記送信ビームを送信させ、
前記送信部は、前記送信開口内の振動子に対して出力する前記送信パルス信号の振幅を、前記撮像断面に直交する方向の前記振動子の位置に応じた重み分布で重み付けして出力し、前記重み分布を前記2以上の送信ビームごとに異ならせることを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項13】
請求項1に記載の超音波撮像装置であって、前記エコーごとに設定される前記受信走査線の方向は、前記撮像断面に直交する面内においてはずれており、前記撮像断面の面内においては一致していることを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項14】
請求項1に記載の超音波撮像装置であって、前記超音波探触子の振動子は、2次元に配列されており、
前記受信部は、受信ビームフォーミングのために、前記2次元に配列された振動子がそれぞれ出力する受信信号を加算する処理を行う構成であり、
前記受信部は、前記加算する処理において、前記撮像断面に直交する方向に配列されている前記振動子の出力する受信信号を、前記撮像断面に対する前記振動子の位置に応じて重み付けした後加算し、
前記受信部は、前記重み付けに用いる重みの分布を、前記エコーによって異ならせることを特徴とする超音波撮像装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペックルノイズを低減する超音波撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波画像のスペックルノイズを低減する有効な手法として空間コンパウンド法が用いられている。この方法は、撮像対象に対する超音波ビームの角度を変えた複数の送受信を行うマルチルック処理を行って、超音波ビームの角度が異なる複数の送受信ごとに輝度画像を得た後、得られた輝度画像を合成する。各送受信で得られる輝度画像のスペックルノイズパターンは、超音波ビームの角度が異なるため少しずつ異なり、輝度画像を合成することでスペックルノイズパターンを低減させることができ,コントラストが高い画像を作ることができる。
【0003】
具体的には、例えば非特許文献1に開示されている空間コンパウンド法では,探触子の送受信開口を複数に分割し、それぞれの送信開口から超音波ビームを送信することにより、撮像点に対して入射角度の異なる送信ビームを複数送信する。
【0004】
一方、特許文献1に開示されている空間コンパウンド法では、複数回の超音波ビームを送受信する際に、受信時に探触子の長軸開口は変化させず,短軸方向(エレベーション方向)の受信開口を複数種類に縮小(変化)させることにより、受信ビームに角度をつけてマルチルック処理を行っている。
【0005】
特許文献2では,探触子をエレベーション方向に精度よく移動させながら、異なる複数の位置から所定の3次元領域に超音波ビームを送受信することにより、マルチルック処理
を行い、送信開口合成や空間コンパウンドを行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】1998 IEEE Ultrasonic Symposium Proceedings PP.1623−1626
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6464638号明細書
【特許文献2】特開2017−159028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
非特許文献1の空間コンパウンド法では,送受信に用いる探触子の開口の位置を変えるために、開口を分割して縮小する。開口幅が小さくなると、全開口から送受する場合と比較して、送受信できる超音波ビームの強度が低下するため,受信信号のSNが低下する。また、送受信される超音波ビーム特性も劣化するため、生成される輝度画像の空間分解能が劣化する。
【0009】
特許文献1の空間コンパウンド法では、探触子の長軸開口は変化させないため、長軸方向を撮像断面とする場合には空間分解能の劣化は生じないが、マルチルックによるスペックルノイズパターン低減の効果を十分に得るためには,短軸方向の受信開口は半分程度に狭める必要がある。このため、受信信号のSN低下は避けられない。
【0010】
特許文献2の技術では、探触子を移動させることによりマルチルック処理を行うため、探触子の全開口から送受信できるが、探触子を精度よく移動させるためのロボットアームと,探触子の位置を正確に把握する装置が必要となり、装置構成が大掛かりで複雑になる。
【0011】
本発明の目的は、有限の開口幅の超音波探触子を用いながら、SNや空間分解能を低下させることなくコントラストが高い画像を生成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、以下のような超音波撮像装置が提供される。すなわち、本発明の超音波撮像装置は、静止した状態の超音波探触子の複数の振動子から被検体の所定の照射範囲に対して、超音波の送信ビームを2以上送信させる送信部と、送信ビームの送信ごとに被検体において発生するエコーを複数の振動子が受信して出力する受信信号を、エコーの発生ごとに受け取って、予め定めておいた1以上の受信走査線上の複数の受信焦点について受信ビームフォーミングすることにより、1以上の受信ビームをエコーの受信ごとに形成する受信部と、受信ビームの信号を用いて、照射範囲内の同一の撮像断面についての2以上の輝度画像を生成する輝度画像生成部と、生成された2以上の輝度画像を合成する輝度画像合成部とを有する。2以上の送信ビームはいずれも、超音波探触子の同一の送信開口内の振動子から送信され、送信ごとに生じたエコーは、超音波探触子の受信ごとに同一の受信開口内の振動子において受信される。送信ビームのビームパターン、および、受信ビームが形成される受信走査線の位置、のうち少なくとも一方は、送信ビームの送信ごとに異なる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、有限の開口幅の超音波探触子を用いながら、送信開口または受信開口を分割する必要がないため、SNや空間分解能を低下させることなくコントラストが高い画像を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1の超音波撮像装置の全体構成を示すブロック図
図2】実施形態1の超音波撮像装置において送信ビームパターンを変更する場合の、(a)および(d)送信ビームの空間的配置と波面の概念を説明する図、(b)および(e)受信ビームの受信走査線の空間的配置を説明する図、(c)および(f)送信ビームおよび受信走査線の空間的配置を説明する図、(g)画像合成を説明する図
図3】実施形態1の超音波撮像装置において受信走査線の位置を変更する場合の、(a)および(d)送信ビームの空間的配置と波面の概念を説明する図、(b)および(e)受信ビームの受信走査線の空間的配置を説明する図、(c)および(f)送信ビームおよび受信走査線の空間的配置を説明する図、(g)画像合成を説明する図
図4】実施形態1の超音波撮像装置の動作を示すフローチャート
図5】実施形態2の超音波探触子の照射範囲と撮像断面と送信ビームt1,t2を示す斜視図
図6】実施形態2の超音波撮像装置において、(a)および(d)送信ビームの空間的配置と波面の概念を説明する図、(b)および(e)受信ビームの受信走査線の空間的配置を説明する図、(c)および(f)送信ビームおよび受信走査線の空間的配置を説明する図、(g)画像合成を説明する図
図7】(a)実施形態2の超音波探触子の照射範囲と撮像断面と送信ビームt1のセットを示す斜視図、(b)実施形態2の超音波探触子の照射範囲と撮像断面と送信ビームt2のセットを示す斜視図
図8】実施形態2の超音波撮像装置の動作を示すフローチャート
図9】実施形態2の変形例として開口合成を行う場合の送信ビームと受信ビームの空間的配置の一例を説明する図
図10】実施形態2の変形例の開口合成を超音波撮像装置の一部を示すブロック図
図11】実施形態2の変形例の開口合成を超音波撮像装置の動作を示すフローチャート
図12】(a)実施形態2の変形例の2セットの送信ビームの到達位置をx方向にずらす場合の送信ビームと受信ビームの空間的配置の一例を説明する図、(b)および(c)実施形態2の変形例の3セットの送信ビームの到達位置をx方向にずらす場合の送信ビームと受信ビームの空間的配置の一例を説明する図
図13】(a)実施形態2の送信ビームのセットを構成する複数の送信ビームの到達位置がx方向に平行に並ぶ例を説明する図、(b)実施形態3の送信ビームのセットを構成する複数の送信ビームの到達位置がy方向にずれている例を説明する図、(c)実施形態3の送信ビームのセットを構成する複数の送信ビームの到達位置が予め定めたパターンである例を説明する図
図14図13(c)のパターンで送信ビームを送信する場合の超音波撮像装置の動作の一例を示すフローチャート
図15】実施形態4の超音波撮像装置の送信ビームの到達位置と受信走査線の位置の例を説明する図
図16】(a)および(b)実施形態4の超音波撮像装置の送信ビームの到達位置と受信走査線の位置と、輝度画像の合成の例を説明する図
図17図16(a)または(b)に示した送受信を行う場合の超音波撮像装置の動作の一例を示すフローチャート
図18】実施形態6の超音波撮像装置において受信走査線の位置を変更する場合の、(a)および(d)送信ビームの空間的配置と波面の概念を説明する図、(b)および(e)受信ビームの受信走査線の空間的配置を説明する図、(c)および(f)送信ビームおよび受信走査線の空間的配置を説明する図、(g)画像合成を説明する図
図19】実施形態6の超音波撮像装置において超音波診断装置の受信ごとに変更された開口の位置を示す説明図
図20】実施形態6に示した送受信を行う場合の超音波撮像装置の動作の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0016】
<<実施形態1>>
実施形態1の超音波撮像装置100について、図1図3を用いて説明する。図1は、実施形態1の超音波撮像装置100の構成を示すブロック図である。図2は、送信ビームのビームパターンが輝度画像によって異なる例であり、図3は、受信ビームの受信走査線の位置が輝度画像によって異なる例である。図4は、超音波撮像装置100の動作を示すフローチャートである。
【0017】
図1のように、実施形態1の超音波撮像装置100は、送信部102と、受信部104と、輝度画像生成部30と、輝度画像合成部40とを備えている。さらに、送信部102および受信部104には、これらに超音波探触子108への信号の送受を切り換える送受切替部101が接続されている。また、超音波撮像装置100には、全体の制御を行う制御部106が配置されている。超音波撮像装置100の送受切替部101には、超音波探触子108が接続され、輝度画像合成部40には表示部122が接続されている。
【0018】
各部の構成および動作について図1〜4を参照しながら以下説明する。なお、超音波撮像装置100の装置全体の動作は、制御部106によって制御されることにより、図4のフローが実現される。また、超音波撮像装置100の各部は、制御部106も含めて、コンピュータシステムであるCPUとメモリによって構成され、ソフトウエアによって各部の機能が実現される構成であってもよいし、その一部または全部がASIC(Application Specific Integrated Circuit)のようなカスタムICやFPGA(Field Programmable Gate Array)のようなプログラマブルIC等のハードウエアによって構成され、その機能を実現する構成であってもよい。
【0019】
送信部102は、静止した状態の超音波探触子108に配列された複数の振動子に送信信号を出力し、複数の振動子から被検体120の所定の照射範囲11に対して、超音波の送信ビームt1、t2を2以上順に送信させる(図2(a)、(d)および図4のステップ401,404参照)。
【0020】
送信ビームt1、t2の送信ごとに、被検体120にはエコーが発生する。エコーは、超音波探触子108の複数の振動子によって受信される。受信部104は、エコーの発生ごとに複数の振動子から受信信号を受け取って、予め定めておいた1以上の受信走査線上の複数の受信焦点について焦点を合わせるように受信ビームフォーミングすることにより、1以上の受信ビームをエコーの受信ごとに形成する。具体的には、受信部104は、送信ビームt1によって生じたエコーの受信信号については、1以上の受信走査線r1等に沿って受信ビームを形成し(図2(b)および図4のステップ402)、送信ビームt2によって生じたエコーの受信信号については、受信走査線r2等に沿って受信ビームを形成する(図2(e)および図4のステップ405)。
【0021】
輝度画像生成部30は、受信ビームr1、r2の信号をそれぞれ用いて、被検体120の同一の撮像断面についての2以上の輝度画像A、Bを生成する(図2(g))。例えば、輝度画像生成部30は、送信ビームt1のエコーの受信信号を受信走査線r1等について受信ビームフォーミングした1以上の受信ビームを用いて輝度画像Aを生成し(ステップ403)、送信ビームt2のエコーの受信信号を受信走査線r2等について受信ビームフォーミングして1以上の受信ビームを用いて輝度画像Bを生成する(ステップ406)。
【0022】
輝度画像合成部40は、2以上の輝度画像A、Bを加算平均する合成処理を行い(空間コンパウンド)、生成された合成画像を表示部122に表示する(図2(g)およびステップ407)。
【0023】
このとき、本実施形態1では、2以上の送信ビームt1,t2はいずれも、超音波探触子の同一の送信開口内の振動子から送信され、送信ごとに生じたエコーは、超音波探触子の同一の受信開口内の振動子において受信される。よって、有限開口幅の超音波探触子の開口を分割する必要がなく、全開口を送信開口および受信開口として用いることができるため、全開口の振動子から送信ビームを送信し、全開口の振動子でエコーを受信することができる。これにより、受信信号のSN低下は最小限に抑えられ,空間分解能の劣化も抑圧された輝度画像を生成できる。
【0024】
しかも、本実施形態1においては、送信ビームのビームパターン、および、受信ビームが形成される受信走査線の位置のうち、少なくとも一方は、送信ビームの送信ごとに異なるように設定されている。ここで、送信ビームのビームパターンとは、送信ビームの送信方向に起因する送信ビームのビーム形状を言う。送信ビームのビームパターンが送信ビームの送信ごとに異なるとは、送信ビームの形状が送信ビームごとに異なることを言う。また、送信ビームの形状は、集束ビームか拡大ビームかだけでなく、送信焦点の位置や送信開口の範囲が異なることによっても異なる。具体例として、図2(a)、(b)、(d)、(e)に送信ビームおよび受信走査線の位置を、図2(c),(f)に照射範囲の最深部における送信ビームおよび受信ビームの位置を、それぞれ示す。図2(a)〜(f)のように、送信ビームt1、t2の送信方向が互いに異なる場合、受信ビームが形成される受信走査線r1、r2の位置は一致していてもよい。
【0025】
また、別の具体例として、図3(a)、(b)、(d)、(e)に送信ビームおよび受信走査線の位置を、図3(c),(f)に照射範囲11の最深部における送信ビームおよび受信ビームの方向を示す。図3(a)〜(f)のように送信ビームt1、t2のビームパターン(送信方向およびビーム形状)を同じにしてもよい。この場合、受信ビームが形成される受信走査線r1、r2の位置は異なるように設定する。
【0026】
<スペックルノイズパターン低減の原理>>
本実施形態の超音波撮像装置において、スペックルノイズパターンが低減される原理について以下説明する。本実施形態では、送信ビームのビームパターン、および、受信ビームの受信走査線の位置、のうちいずれかが、送信ビームの送信ごとに異なるように設定するため、受信ビームr1が形成される受信走査線上の複数の受信焦点にそれぞれ到達する送信ビームt1の波面は、受信ビームr2が形成される受信走査線上の焦点に到達する送信ビームt2の波面の形状とは異なる形状になる。
【0027】
具体的には、例えば、図2(a)のように、照射範囲11の中ほどの深度に送信焦点ft1に集束する送信ビームt1をある方向に向けて送信した場合、照射範囲11の左右方向の中央に設定した受信走査線r1のある深度の受信焦点fsには、波面12が到達する。一方、図2(d)のように送信ビームt1に対して送信焦点ft2が同じ深度で送信方向が異なる送信ビームt2を送信した場合、受信走査線r2(=r1)の受信焦点fsには、送信ビームt2の波面13が到達する。よって、受信焦点fsに到達する送信ビームt1の波面12と送信ビームt2の波面13は、異なる形状になる。
【0028】
また、図3のように、送信ビームt1と送信ビームt2は、同じビーム形状で同じ送信方向であるが、受信ビームr1、r2の位置が異なるため、受信ビームr1、r2の受信走査線の同じ深度の受信焦点ft、fuにそれぞれ到達する送信ビームt1の波面14と送信ビームの波面15は、波面の形状が異なる。
【0029】
スペックルノイズは、被検体120内の無数の反射体により、超音波の散乱波が生じ、散乱波同士が干渉して超音波探触子120に戻ることにより生じるノイズであり、ランダムな小輝点群として発生する。受信走査線の受信焦点(撮像点)の位置における送信ビームの波面の形状が異なる場合、受信焦点に存在する反射体により生じる散乱の方向や位相も異なるため、受信走査線の受信焦点におけるスペックルノイズの信号強度も異なる。したがって、各受信焦点の信号強度を画素値とする輝度画像に生じるスペックルノイズのパターンも異なる。
【0030】
本実施形態では、上述のように送信ビームのビームパターン、および、受信ビームが形成される受信走査線の位置、少なくとも一方を送信ビームの送信ごとに異ならせることにより、受信焦点に到達する波面の形状を異ならせることができる。これにより、2以上の輝度画像A,Bのスペックルノイズのパターンが異なり、輝度画像A、Bを合成することにより、スペックルノイズパターンが平均化されてノイズを低減することができる。
【0031】
上述してきたように、実施形態1の超音波撮像装置によれば、撮像断面上の輝度画像A,Bは,同一の送信開口から送信され、同一の受信開口を用いて受信された受信信号を用いるため,有限幅の超音波探触子の開口を分割する必要がなく、全開口を送信開口および受信開口とすることができる。よって、受信信号のSN低下は最小限に抑えられ,空間分解能の劣化も抑圧された輝度画像A,Bを得ることができる。しかも、輝度画像Aと輝度画像Bのスペックルノイズパターンはそれぞれ異なっているため,これらを合成することにより、スペックルノイズパターンを低減できる。
【0032】
なお、上記説明では、送信ビームt1の送信により得た受信信号から1以上の受信走査線について受信ビームr1等を形成することを説明したが、輝度画像Aを生成するためには、撮像範囲全体に、複数の受信走査線を設定し、それぞれについて受信ビームを生成する必要がある。そのため、1回の送信ビームt1の送信で得た受信信号を用いて、パラレルビームフォーミングにより、輝度画像の生成に必要な複数の受信走査線の受信ビームを一度に形成する構成とすることができる。また、複数回送信ビームを送信して、その都度、1または数本の受信ビームを形成する動作を繰り返すことにより輝度画像の生成に必要な複数の受信ビームを形成してもよい。
【0033】
<<実施形態2>>
実施形態2の超音波撮像装置について以下説明する。
【0034】
実施形態2の超音波撮像装置の構造は、振動子が2次元に配列された超音波探触子108を用い、超音波の照射範囲11が3次元空間であるという点が実施形態1とは異なる。他の構成は、実施形態1と同様であるので、異なる構成を中心に以下説明する。
【0035】
図5に示したように、実施形態2の超音波撮像装置は、振動子がx方向およびy方向に2次元に配列されて超音波探触子108を用いる。深度方向がz方向であり、超音波探触子108による超音波の被検体120への照射範囲11は、xyz方向の3次元空間である。超音波探触子108は、照射範囲11内の所望の方向に、集束ビームの送信ビームを送信することができる。撮像断面21は、図5に示したように、xz平面(y=0)である。
【0036】
実施形態2では、実施形態1と同様に、2以上の送信ビームはいずれも、超音波探触子の同一の送信開口内の振動子から送信され、送信ごとに生じたエコーは、超音波探触子の同一の受信開口内の振動子において受信される。
【0037】
このとき2以上の送信ビーム(送信ビームt1と送信ビームt2)は、図6のように送信方向の撮像断面21の面内成分が一致し、撮像断面21に垂直な面22の面内成分が異なっている。これをさらに詳しく説明する。図6(a)、(d)は、送信ビームt1、t2としてそれぞれ、所定数の送信ビームのセットを送信する例である。図6(a)と図6(d)を比較すると明らかなように、送信ビームt1は、撮像断面(xz平面)21の面内の成分t1xが、送信ビームt2の撮像断面21の面内成分t2xと一致している。一方、送信ビームt1の撮像断面21に垂直な面(yz面)22の面内成分t1yは、送信ビームの垂直面22の面内成分t2yとは異なっている。
【0038】
送信ビームt1のセットと、送信ビームt2のセットの位置関係を斜視図で示すと図7(a),(b)のようになる。図7(a)、(b)から明らかなように、実施形態2では、2つの送信ビームt1、t2の送信方向が、撮像断面21に対して垂直な面22の面内で異なるように送信する。これにより、図6(a)〜(e)に示したように、受信走査線r1、r2(=r1)を撮像断面21の面内であって、送信ビームt1、t2の撮像断面21の面内成分t1x、t2xと重なる位置に設定した場合であっても、送信ビームt1と送信ビームt2は、送信方向の垂直面22の面内成分t1y、t2yが異なっているため、受信走査線r1、r2(=r1)の同じ位置の受信焦点(撮像点)に到達する波面を送信ビームt1と送信ビームt2とで異ならせることができる。これにより、複数の受信走査線r1に沿った受信ビームから生成される輝度画像Aと、受信走査線r2に沿った受信ビームから生成される輝度画像Bとは、スペックルノイズパターンが異なる。図6(g)のように輝度画像A,Bを合成することにより、スペックルノイズパターンが低減された合成画像を生成することができる。
【0039】
また、図6(c)、(f)には、照射範囲11の最深部における送信ビームおよび受信走査線の位置を示す。図8に実施形態2の超音波撮像装置のフローチャートを示す。図8を用いて実施形態2の超音波撮像装置の撮像手順について説明する。まず、ステップ801において、送信部102が、送信ビームt1のセットを構成する送信ビームt1−nを送信し、送信のたびに、受信部104は、ステップ802において送信方向の撮像断面21の面内成分t1xと一致した1本の受信走査線r1−nを設定して受信ビームを生成する。これを輝度画像Aの生成に必要な所定数の受信走査線の受信ビームが生成されるまで繰り返す(ステップ803,804)。得られた受信ビームの受信データを用いて、輝度画像生成部30が輝度画像Aを生成する(ステップ805)。送信ビームt2についても同様であり、送信部102が、送信ビームt2のセットを構成する送信ビームt2−mを送信し、送信のたびに、受信部104は、ステップ802において送信方向の撮像断面21の面内成分t1xと一致した1本の受信走査線r2−mを設定して受信ビームを生成する。これを輝度画像Bの生成に必要な所定数の受信走査線の受信ビームが生成されるまで繰り返す。得られた受信ビームの受信データを用いて、輝度画像生成部30が輝度画像Bを生成する(ステップ806〜810)。輝度画像合成部40は、輝度画像A、Bを合成して合成画像を生成して表示する(ステップ811)。
【0040】
なお、本実施形態は図8の撮像手順に限定されるものではなく、1回の送信ビームの送信につき、パラレルビームフォーミングにより複数本の受信走査線を設定してもよい。これにより、1枚の輝度画像の生成に必要な送信の回数を低減できる。
【0041】
<実施形態2の変形例 開口合成>
図8に示した例では、送信ビームを送信するたびに、1本の受信走査線について受信ビームを得たが、本実施形態は、この構成には限られない。図9に示すように、1回の送信ビームの送信について、複数の受信走査線を設定する構成としてもよい。このとき、一部の受信走査線が、他の送信ビームの送信において設定した受信走査線と重なるように設定してもよい。この場合、重なった受信走査線についてそれぞれ生成した受信ビームのデータをコヒーレント加算することにより開口合成を行うことができる。コヒーレント加算は,加算する受信データの位相情報を維持した状態で互いに重ね合わせることをいう。具体的には、図9の例では、送信ビームt1のセットのうち、送信ビームt1−1では受信走査線r1−1、r1−2、r1−3を設定し、送信ビームt1−2では受信走査線r1−1〜r1−4を設定し、送信ビームt1−5では受信走査線r1−3〜r1−5を設定する。したがって、図9の例では、受信走査線r1−1、r1−2、r1−4の受信ビームがそれぞれ2回生成され、受信走査線r1−3の受信ビームは、少なくとも3回生成される。そこで図10に、本実施形態の超音波撮像装置の一部の構成図,図11にフローチャートを示したように、ステップ1002、1007において、受信部104が受信ビームのデータを生成し、輝度画像生成部30が受信ビームのデータをメモリ20に一旦格納する。ステップ1005、1009において、輝度画像生成部30は、同じ受信走査線について複数回生成された受信ビームがある場合には、それらをコヒーレント加算することにより開口合成した後、開口合成後の受信ビームを用いて輝度画像を生成する。すなわち,図6で示すt1x−1〜t1x−7の送信で得られた異なるx方向から得られた受信ビームを使ったコヒーレント加算を行い,撮像断面21のデータを生成し,それらを輝度画像に変換する。これにより、SN比の大きな高解像度の輝度画像を生成することができる。ステップ811において、輝度画像合成部40は、送信ビームt1のセットにより得た輝度画像Aと、送信ビームt2のセットにより得た輝度画像Bを合成することにより、スペックルノイズパターンを低減した合成画像を得る。すなわち,複数の方向の送信で得られる受信データのうち,x方向に異なるデータはコヒーレントに加算し,y方向に異なるデータは輝度画像として合成することに等しい。なお、図11のフローにおいて、上述した以外のステップは、図8のフローと同様であるので説明を省略する。
【0042】
<実施形態2の変形例 送信ビームt1、t2の位置をずらす例>
上述した図6においては、送信ビームt1のセットを構成する送信ビームt1−1、t1−2、・・・、t1−7の送信方向の撮像断面21における成分t1x−1、t1x−2、・・・、t1x−7と、送信ビームt2のセットを構成する送信ビームt2−1、t2−2、・・・、t2−7の送信方向の撮像断面21における成分t2x−1、t2x−2、・・・、t2x−7とが一致している例を示したが、本実施形態はこの構成に限られるものではない。図12(a)のように、送信ビームt1のセットを構成する送信ビームの成分t1x−1、t1x−2、・・・、t1x−7は、送信ビームt2のセットを構成する送信ビームの成分t2x−1、t2x−2、・・・、t2x−7に対してx方向にずれていてもよい。ただし、送信ビームt1のセットを構成する送信ビームの成分t1x−1、t1x−2、・・・、t1x−7は、その間隔L1が、送信ビームt2のセットを構成する送信ビームの成分t2x−1、t2x−2、・・・、t2x−7の間隔L2と同一であることが望ましい。また、送信ビームt1のセットを構成する送信ビームの撮像断面21に垂直な面22の面内における成分t1y−1〜t1y−7は、送信ビームt2のセットを構成する送信ビームの成分t2y−1〜t2y−7とは異なるように設定する。
【0043】
なお、図12(a)において、送信ビームt1のセットを構成する送信ビームt1−1、t1−2、・・・、t1−7の送信ごとに受信部104が設定する受信走査線r−1、r−2、・・・、r−7は、送信ビームt2のセットを構成する送信ビームt2−1、t2−2、・・・、t2−7の送信ごとに受信部104が設定する受信走査線と、一致していてもよいし、x方向にずれていてもよい。
【0044】
また、上述した図6(a)〜(g)では、送信ビームt1のセットとt2の2セットを送信し、撮像断面21について輝度画像A、Bを得て、一つの合成画像を得る構成であったが、送信ビームを3セット以上送信することももちろん可能である。例えば、図12(b)、(c)のように、送信ビームt1、t2、t3のセットを構成する複数の送信ビームの照射範囲11の最深部(z=zmax)の到達位置が、セットごとにx方向に平行に並び、かつ、y方向にずれるように送信する。送信ビームt1、t2、t3のセットごとに得られた受信信号を用いて輝度画像生成部30が撮像断面21の輝度画像を生成し、それらを輝度画像合成部40が合成することにより一つの合成画像を得る。なお、受信走査線r−1、r−2、・・・、r−7の位置は、図12(b)、(c)のように送信ビームのセット間で一致していてもよいし、x方向にずれていてもよい。
【0045】
<<実施形態3>>
実施形態3の超音波撮像装置について説明する。
【0046】
実施形態2の超音波撮像装置では、送信ビームのセットを構成する複数の送信ビームの照射範囲21の最深部における到達位置が、x方向に平行に一列に並んでいる例について説明したが、実施形態3では、送信ビームのセットを構成する複数の送信ビームの到達位置が、x方向に平行に一列に並んでおらずy方向にずれてジグザグに位置する例について図13(b)、(c)を用いて説明する。
【0047】
図13(a)は、実施形態2と同様の例であり、送信ビームt1のセットを構成する複数の送信ビームt1−1〜t1−5と、送信ビームt2のセットを構成する複数の送信ビームt2−1〜t2−5の照射範囲11の最深部への到達位置が、それぞれx方向に平行に並ぶように送信されている。
【0048】
図13(b)は、実施形態3の送信ビームt1、t2のセットの例であり、送信ビームt1のセットを構成する複数の送信ビームt1−1、t1−2、t1−3、t1−4、t1−5と、送信ビームt2のセットを構成する複数の送信ビームt2−1、t2−2、t2−3、t2−4、t2−5の到達位置が、y方向の異なる位置に交互に(じぐざぐに)位置する。すなわち、送信ビームt1およびt2のうち、送信ビームt1−1、t2−2、t1−3、t2−4、t1−5が、x方向に平行に一列にならび、送信ビームt2−1、t1−2、t2−3、t1−4、t2−5が、x方向に平行に一列に並ぶように送信部102によって送信される。
【0049】
輝度画像生成部30は、送信ビームt1−1、t1−2、t1−3、t1−4、t1−5の送信でそれぞれ得られた受信信号を用いて輝度画像Aを生成し、送信ビームt2−1、t2−2、t2−3、t2−4、t2−5の送信でそれぞれ得られた受信信号を用いて輝度画像Bを生成する。輝度画像合成部40は、輝度画像Aと輝度画像Bを合成することにより、合成画像を得る。
【0050】
このように、図13(b)の送信ビームt1、t2のセットは、これらを構成する送信ビームの到達位置が、y方向の異なる位置に交互に位置するため、送信ビームt1のセットと送信ビームt2のセットは、これらを構成する複数の送信ビームの撮像断面21に垂直な面の面内方向の成分が送信ごとに異なっている。よって、輝度画像Aと輝度画像Bは、スペックルノイズのパターンが異なるため、輝度画像Aと輝度画像Bを合成することにより、スペックルノイズパターンが平均されて低減した合成画像を得ることができる。
【0051】
なお、受信走査線r−1、r−2、・・・、r−7は、図13(b)のように送信ビームt1、t2のセットに対して同一の位置に設定してもよい、撮像断面21内に位置していればx軸方向に位置ずれしていてもよい。
【0052】
また、図12(b)の例において、送信部102が送信ビームt1のセットを構成する複数の送信ビームt1−1、t1−2、t1−3、t1−4、t1−5と、送信ビームt2のセットを構成する複数の送信ビームt2−1、t2−2、t2−3、t2−4、t2−5を送信する順番は、送信ビームt1−1、t1−2、t1−3、t1−4、t1−5を順次送信した後、送信ビームt2−1、t2−2、t2−3、t2−4、t2−5を順次送信してもよい。また、この順番に限らず、送信ビームt1−1、t2−2、t1−3、t2−4、t1−5を順次送信した後、送信ビームt2−1、t1−2、t2−3、t1−4、t2−5を順次送信してもよい。すなわち、後者の場合、送信ビームが順次送信される位置は、図13(a)の場合と同じになるが、その送信で得られた受信走査線についての受信データは、輝度画像生成部30が一旦メモリ20に格納し、輝度画像生成部30が、図9(b)に示した送信ビームt1−1、t1−2、t1−3、t1−4、t1−5の送信で得られた受信データをメモリ20から読み出して輝度画像Aの生成に用いればよい。また、輝度画像Bの生成の際には、送信ビームt2−1、t2−2、t2−3、t2−4、t2−5の送信で得られた受信データをメモリ20から読み出して用いる。
【0053】
一方、図13(c)の例は、3セットの送信ビームt1、t2、t3を送信する例である。図13(c)のように、送信ビームt1、t2、t3のセットは、これらを構成する送信ビームの到達位置が、送信ビームごとに予め定められたパターンでy方向の異なる2つ位置のいずれかに選択的に到達する。そのパターンは、送信ビームt1、t2、t3のセットごとに異なるように予め定められている。
【0054】
また、3つの送信ビームt1、t2、t3のセットは、それらをそれぞれ構成する複数の送信ビームの位置が、図13(c)に示すように2つのセット間で重なり合うように設定されている。例えば、送信ビームt1のセットを構成する送信ビームt1−1〜t1−7、送信ビームt2のセットを構成する送信ビームt2−1〜t2−7、および、送信ビームt3のセットを構成する送信ビームt3−1〜t3−8のうち、送信ビームt1−1と送信ビームt2−1は、照射範囲11の最深部(z=zmax)の到達位置が同じである。同様に、送信ビームt2−1と送信ビームt3−1は、到達位置が同じでる。他の送信ビームも図13(c)に示した通り、2つの送信ビームの到達位置が同じである。
【0055】
図13(c)の例は、2つの送信ビームの到達位置が重なり合っているため、送信部102は、送信ビームt1、t2、t3のセットを構成する複数の送信ビームを送信する際には、重なりあった位置には1回のみ送信ビームを送信すればよい。撮像手順の例を図14のフローチャートを用いて説明する。まず、送信部102は6本の送信ビームt1−1、t2−2、t1−4、t1−5、t2−6、t3−8を順次送信し、さらに6本の送信ビームt2−1、t1−2、t1−3、t2−4、t1−6、t1−7を順次送信する(ステップ1301)。受信部104は、送信ビームの送信のたびに、その送信ビームに対応させて予め定めておいた位置の受信走査線について受信ビームを生成する。輝度画像生成部30は、受信部104が生成した受信ビームの受信データを一旦メモリ20に格納する(ステップ1302)。これをすべての送信ビームの送信が終わるまで繰り返す(ステップ1303)。そして、輝度画像生成部30は、輝度画像Aの生成に用いる送信ビームt1−1〜t1−7の送信で得られた受信データをメモリ20から読み出して、輝度画像Aを生成する(ステップ1304)。次に輝度画像生成部30は、輝度画像Bの生成に用いる送信ビームt2−1、t2−2、t2−3(=t1−3)、t2−4、t2−5(=t1−5)、t2−6、t2−7(=t1−7)の送信で得られた受信データをメモリ20から読み出して、輝度画像Bを生成する(ステップ1305)。さらに、輝度画像生成部30は、輝度画像Cの生成に用いる送信ビームt3−1(=t2−1)、t3−2(=t1−2)、t3−3(=t2−2)、t3−4(=t1−4)、t3−5(=t2−4)、t3−6(=t1−6)、t3−7(=t2−6)、t3−8の送信で得られた受信データをメモリ20から読み出して、輝度画像Cを生成する(ステップ1306)。輝度画像合成部40は、輝度画像Aと輝度画像Bと輝度画像Cとを合成して合成画像を生成し、表示部122に表示する(ステップ1307)。
【0056】
このように、受信走査線についての受信データを一旦メモリ20に格納することにより、到達位置が重なりあう送信ビームを2回送信する必要がなくなるため、送信回数を低減でき、フレームレートを向上させることができる。
【0057】
なお、メモリ20を用いず、すべての送信ビームt1、t2、t3のセットを構成する送信ビームを順次送信して、その都度受信ビームを生成し、輝度画像A,B,Cを順次生成することももちろん可能である。
【0058】
<<実施形態4>>
実施形態4の超音波撮像装置について、図15を用いて説明する。
【0059】
実施形態4の超音波撮像装置の基本的な構造は、実施形態1〜3と同様であるが、実施形態4では、フレームレートを向上させるため、図15に示すように、1フレームの輝度画像を生成するために送信する送信ビームのセットを構成する送信ビームの数を輝度画像の生成に必要な受信走査線の数よりも低減する。受信部104は、送信ビームのセットを構成する複数の送信ビームの少なくとも一部の送信について、図9の例と同様に、2以上の受信走査線について受信ビームを生成することにより、輝度画像の生成に必要な数の受信走査線について受信ビームを生成する。これにより、送信ビームの数を低減しながらも輝度画像を生成することができるため、フレームレートを向上させることができる。また、超音波の送受信の動作は、図8のフローと同様に輝度画像ごとに行ってもよいし、図14のフローのように、すべての送信ビームを送信した後で輝度画像の生成に用いる受信ビームを選択して画像生成してもよい。また、図11のフローのように開口合成を行ってもよい。
【0060】
このとき、本実施形態では、図15に示したように、一つの輝度画像を生成するための送信ビームt1のセットを構成する複数の送信ビームt1−1、t1−2、t1−3は、撮像断面の面内成分(x方向)の位置が、次の輝度画像を生成するための送信ビームt2のセットを構成する複数の送信ビームt2−1、t2−2に対してx方向にずれるように設定している。これにより、輝度画像Aと輝度画像Bとを合成した際にスペックルノイズパターンをより効果的に抑制することができる。
【0061】
また、図16(a)、(b)に示したように送信ビームの到達位置および受信走査線を配置し、図17のフローに示した手順により送受信を行ってもよい。送信部102と受信部104は、送信ビームの送信と、1または2以上の受信ビームの生成を一つの輝度画像に生成に必要なすべての受信走査線の受信ビームが得られるまで繰り返し(ステップ1601〜1603)、輝度画像生成部30は、1つの輝度画像(例えばA)を生成し、メモリ20に格納する(ステップ1604)。輝度画像生成部30は、前回生成してメモリ20に格納しておいた輝度画像(B)を読み出して、今回生成した輝度画像(A)と合成して合成画像を生成する(ステップ1605)。これにより、1枚輝度画像を生成するたびに、1枚の合成画像を生成できるため、フレームレートを向上させることができる。
【0062】
この場合、図13(a)のように、受信走査線と同数の送信ビームからなる送信ビームのセットを送信することももちろん可能であるが、図16(a),(b)のように、受信走査線の数よりも送信ビームの数を低減した送信ビームのセットを送信することにより、さらにフレームレートを向上させることができる。
【0063】
また、図16(a)、(b)のように、前回の輝度画像(B)の生成のために送信ビームと、今回の輝度画像(A)の生成のための送信ビームが、撮像断面の面内成分(x方向)において位置がすれるように設定することにより、輝度画像Aと輝度画像Bとを合成した際にスペックルノイズパターンをより効果的に抑制することができる。
【0064】
<<実施形態5>>
実施形態5の超音波撮像装置について用いて説明する。
【0065】
実施形態5の超音波撮像装置では、輝度画像Aの生成のために送信する送信ビームt1が、輝度画像Bの生成のために送信する送信ビームt2に対して、送信ビームの方向を変更する方法以外の要因で,ビーム形状が異なるように送信する。
【0066】
具体的には、送信ビームt1と送信ビームt2のフォーカス深度を撮像断面上および前記撮像断面と直交する面上の少なくとも一方において異ならせることによりビーム形状を異ならせることができる。このとき、振動子を2次元(x方向およびy方向)に配列した超音波探触子108を用い、x方向に並んだ振動子の列とy軸方向に並んだ振動子の列に送信部102が入力する送信信号(電気パルス)のタイミングを調整することにより、送信される送信ビームのxz面におけるフォーカス位置とyz面におけるフォーカス位置とを異なる深度(z方向)に設定することが可能である。具体的には例えば,振動子がx方向にN個,y方向にM個配列された超音波探触子108の場合,ある深度d1にフォーカス点を設定したx方向のN個の振動子に与える送信信号のタイミングをそれぞれTx1,Tx2,・・・・TxNとする。また,d1とは異なる深度d2にフォーカス点を設定した場合にy方向のM個の振動子に与える送信信号のタイミングをそれぞれTy1,Ty2,・・・・TyMとする。この場合,x方向にn番目,y方向にm番目の振動子に対して与える送信信号のタイミングをTxn+Tymに設定することにより、送信される送信ビームのxz面におけるフォーカス位置とyz面におけるフォーカス位置とを異なる深度(z方向)に設定することが可能である。
【0067】
また、フォーカス深度の設定と同時に,異なるy方向に送信ビーム方向を設定することでも,送信ビームt1と送信ビームt2のビーム形状を異なるように設定でき,スペックルノイズパターンをより効果的に抑制することができる。
【0068】
また、送信ビームt1と送信ビームt2とで超音波の周波数を変えてもよい。上記と同様に,異なる周波数の設定と同時に異なる送信ビーム方向を設定してもよい。
【0069】
また、送信開口のy軸方向(撮像断面に直交する方向)に並ぶ振動子に入力する送信信号の振幅に、y軸方向の振動子の位置に応じた重み分布を設定し、重みの分布の形状を、送信ビームt1と送信ビームt2とで異ならせることにより、ビーム形状を異ならせてもよい。さらに図16(a)、(b)のように送信ビームt1と送信ビームt2を撮像断面21を挟んでy方向の向きを異ならせてもよい。この場合、送信ビームt1、t2の音圧が撮像断面(xz面)21に集中するようなビーム形状になるように、y軸方向に並ぶ振動子に入力する送信信号の振幅の重み分布の形状を、送信ビームt1、t2でそれぞれ設定することが望ましい。
【0070】
送信ビームt1、t2のビーム形状以外の構成は、実施形態1〜4と同様であるので説明を省略する。
【0071】
<<実施形態6>>
実施形態6の超音波撮像装置について用いて説明する。
【0072】
実施形態2〜5は送信ビームt1、t2のビームパターンを変更する例について説明したが、送信ビームt1、t2のビームパターンを変更する代わりに、もしくは、送信ビームt1、t2のビームパターンを変更するのに加えて、受信ビームの受信走査線の位置等を変更してもよい。
【0073】
例えば、図18(b)、(c)、(e)、(f)に示すように、輝度画像Aを生成するための受信走査線と輝度画像Bを生成するための受信走査線r1、r2の位置をy方向にずらす。このとき、受信走査線r1、r2は、yz面において平行であってもよいし、異なる角度に傾斜させてもよい。なお、図18(a)、(b)のように送信ビームについては、実施形態2と同様であっても構わないし、実施形態5のように送信ビームのビーム形状も異ならせてもよい。
【0074】
また、送信ビームt1、t2のビームパターンを変更するのに加えて、図19のようにエコーを受信する超音波探触子108の受信開口108aの位置を、送信ビームt1、t2、t3によって変更することにより、受信ビームの音圧分布の形状(受信ビームのパターン)を変更してもよい。これにより、輝度画像によってスペックルノイズパターンが変わる。
【0075】
また、受信部104は、受信ビームフォーミングのために、2次元に配列された振動子がそれぞれ出力する受信信号を加算する処理して受信ビームを形成する際に、撮像断面(xz面)に直交するy方向に配列されている振動子の出力する受信信号を、撮像断面に対する振動子の位置に応じて重み付けした後加算する。このとき、受信部104は、重み付けに用いる重みの分布を、エコーによって(すなわち、その受信ビームを用いる輝度画像によって)異ならせる構成としてもよい。これにより、受信ビームの音圧分布形状が、輝度画像によって変わるため、スペックルノイズパターンが変わる。
【0076】
実施形態6の超音波撮像装置において、上記した以外の構成は、実施形態2〜4と同様であるので説明を省略する。
【0077】
なお、実施形態6において、送信ビームt1、t2のビームパターンを変更し、さらに受信ビームの受信走査線の位置等を変更する場合,図20のフローに示した手順により送受信を行ってもよい。すなわち、送信部102が、送信ビームを送信した後、受信部104は、複数の受信ビームのセットを、受信走査線の位置等を異ならせて複数回生成する(ステップ1701〜1702)。これにより、輝度画像生成部30は、受信ビームのセットの数と同数の複数の輝度画像を生成し、メモリ20に格納する(ステップ1703)。これらのステップを,合成に必要なすべての輝度画像が格納されるまで,あらかじめ設定してある送信ビームの変更ごとに行う(ステップ1704)。輝度画像生成部30は、メモリ20に格納しておいたすべての輝度画像を読み出して合成し,合成画像を生成する(ステップ1705)。
【0078】
このように、送信ビームのビームパターンの変更と受信ビームの受信走査線の位置等の変更とを組み合わせて、より多くの輝度画像を生成してこれらを合成し、合成画像を作ることで,スペックルノイズパターンをより効果的に抑制することができる。
【符号の説明】
【0079】
20 メモリ
30 輝度画像生成部
40 輝度画像合成部
100 超音波撮像装置
108 超音波探触子
102 送信部
104 受信部
120 被検体
122 表示部

図1
図2
図3
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図5
図6
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図20