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特開2019-216880超音波診断装置、超音波診断方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-216880(P2019-216880A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】超音波診断装置、超音波診断方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/06 20060101AFI20191129BHJP
【FI】
   A61B8/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2018-115507(P2018-115507)
(22)【出願日】2018年6月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100155620
【弁理士】
【氏名又は名称】木曽 孝
(72)【発明者】
【氏名】川端 章裕
(72)【発明者】
【氏名】武田 義浩
(72)【発明者】
【氏名】酒井 智仁
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DD03
4C601DE04
4C601EE06
4C601GB03
4C601JB33
4C601JB34
4C601JB51
4C601JC04
4C601JC10
4C601JC37
(57)【要約】
【課題】動態変化に対する反応が遅れることなく、時間軸方向のノイズを抑制して、CFM画像における動態描出の安定性を向上できる超音波診断装置、超音波診断方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】超音波診断装置は、超音波プローブによって得られた受信信号から1フレーム分の動態データからなるフレームデータを生成するフレームデータ生成部と、フレームデータに基づいて動態の状態を示すカラードプラ画像を生成するカラードプラ画像処理部と、カラードプラ画像を表示部に表示させる表示処理部と、を備える。カラードプラ画像処理部は、時間軸方向に連続する複数のフレームに対応するフレームデータを用いて、フレーム間メディアンフィルター処理を行うフレーム間メディアンフィルター処理部を有する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に向けて超音波を送信するように超音波プローブを駆動するとともに、被検体内で反射された反射波に基づく受信信号を前記超音波プローブから受信して、超音波画像を生成し、表示する超音波診断装置であって、
前記超音波プローブによって得られた受信信号から1フレーム分の動態データからなるフレームデータを生成するフレームデータ生成部と、
前記フレームデータに基づいて動態の状態を示すカラードプラ画像を生成するカラードプラ画像処理部と、
前記カラードプラ画像を表示部に表示させる表示処理部と、を備え、
前記カラードプラ画像処理部は、
時間軸方向に連続する複数のフレームに対応する複数の前記フレームデータを用いて、フレーム間メディアンフィルター処理を行うフレーム間メディアンフィルター処理部を有する、超音波診断装置。
【請求項2】
前記フレーム間メディアンフィルター処理部は、前記複数のフレームデータ間で、同一座標値毎に、前記動態データの中央値を取得し、最新フレームの前記動態データを前記中央値に変換する、請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記フレーム間メディアンフィルター処理部は、前記フレーム間メディアンフィルター処理を行うに際し、新しいフレームの前記動態データほど大きな重みを付与する、請求項1または2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記動態データは、動態の流速を示す速度データ及び流量を示すパワーデータの少なくとも一方を含み、
前記カラードプラ画像処理部は、前記速度データ及び前記パワーデータの少なくとも一方に基づいて前記カラードプラ画像を生成する、請求項1から3のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記フレーム間メディアンフィルター処理部は、前記速度データに基づいて前記カラードプラ画像を生成する場合に、前記速度データの絶対値に対して前記フレーム間メディアンフィルター処理を適用し、得られた結果に対して元の速度データの符号を復元する、請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記フレーム間メディアンフィルター処理部は、前記速度データに基づいて前記カラードプラ画像を生成する場合に、前記速度データの折り返しの有無を判定し、折り返しがある場合に、折り返しを示す速度データに対してパルス繰り返し周波数PRFに相当する速度値を加算又は減算して補正し、補正後の速度データに対して前記フレーム間メディアンフィルター処理を適用する、請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記カラードプラ信号処理部は、
前記フレームデータに対して多重解像度解析を利用した多重解像度処理を行う多重解像度処理部を有し、
前記フレーム間メディアンフィルター処理と前記多重解像度処理が択一的に施される、請求項1から6のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記カラードプラ信号処理部は、
前記フレームデータに対して多重解像度解析を利用した多重解像度処理を行う多重解像度処理部を有し、
前記フレーム間メディアンフィルター処理及び前記多重解像度処理の両方が施される、請求項1から6のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記フレーム間メディアンフィルター処理部と前記多重解像度処理部の組合せのうち、適用する組合せを選択する操作を受け付ける操作入力部と、
前記操作入力部を介して受け付けた操作に対応する組合せを、適用する組合せとして設定する設定部と、を備える、請求項7又は8に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記操作入力部は、前記組合せが予め登録された組合せテーブルの中から適用する組合せを選択可能である、請求項9に記載の超音波診断装置。
【請求項11】
前記組合せは、診断部位及び/又は前記超音波プローブの種類に対応付けられている、請求項10に記載の超音波診断装置。
【請求項12】
前記操作入力部を介して、前記組合せと、前記診断部位及び/又は前記超音波プローブの種類の対応付けを変更可能である、請求項11に記載の超音波診断装置。
【請求項13】
前記フレームデータを順次記憶するフレームデータ記憶部を備え、
前記カラードプラ画像処理部は、フリーズ状態において、前記フレームデータ記憶部から前記フレームデータを読み出して処理を行う、請求項1から12のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項14】
前記受信信号のデータを順次記憶する受信データ記憶部を備え、
前記フレームデータ生成部及び前記カラードプラ画像処理部は、フリーズ状態において、前記受信データ記憶部から前記受信データを読み出して処理を行う、請求項1から12のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項15】
被検体に向けて超音波を送信するように超音波プローブを駆動するとともに、被検体内で反射された反射波に基づく受信信号を前記超音波プローブから受信して、超音波画像を生成し、表示する超音波診断装置であって、
前記超音波プローブによって得られた受信信号から1フレーム分の動態データからなるフレームデータを生成するフレームデータ生成部と、
前記フレームデータに基づいて動態の状態を示すカラードプラ画像を生成するカラードプラ画像処理部と、
前記カラードプラ画像を表示部に表示させる表示処理部と、を備え、
前記動態データは、動態の流速を示す速度データを含み、
前記カラードプラ画像処理部は、前記速度データに基づいて前記カラードプラ画像を生成する場合に、前記速度データの絶対値に対して多重解像度解析を利用した多重解像度処理を適用し、得られた結果に対して、元の速度データの符号を復元する多重解像度処理部を有する、超音波診断装置。
【請求項16】
前記多重解像度処理は、原画像からの多重解像度分解、各スケールにおける画像処理、及び原画像への再構成を含み、
前記多重解像度分解は、ウェーブレット変換、カーブレット変換、ピラミッド変換のいずれか一つによって行われる、請求項7〜12及び15のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項17】
前記表示処理部は、Bモード画像と前記カラードプラ画像を合成して前記表示部に表示させる、請求項1から16のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項18】
被検体に向けて超音波を送信するように超音波プローブを駆動するとともに、被検体内で反射された反射波に基づく受信信号を前記超音波プローブから受信して、超音波画像を生成し、表示する超音波診断方法であって、
前記超音波プローブによって得られた受信信号から1フレーム分の動態データからなるフレームデータを生成する第1工程と、
前記フレームデータに基づいて動態の状態を示すカラードプラ画像を生成する第2工程と、
前記カラードプラ画像を表示部に表示させる第3工程と、を備え、
前記第2工程は、時間軸方向に連続する複数のフレームに対応する複数の前記フレームデータを用いて、フレーム間メディアンフィルター処理を行う工程を含む、超音波診断方法。
【請求項19】
被検体に向けて超音波を送信するように超音波プローブを駆動するとともに、被検体内で反射された反射波に基づく受信信号を前記超音波プローブから受信して、超音波画像を生成し、表示する超音波診断方法であって、
前記超音波プローブによって得られた受信信号から1フレーム分の動態データからなるフレームデータを生成する第1工程と、
前記フレームデータに基づいて動態の状態を示すカラードプラ画像を生成する第2工程と、
前記カラードプラ画像を表示部に表示させる第3工程と、を備え、
前記動態データは、動態の流速を示す速度データを含み、
前記第2工程は、前記速度データに基づいて前記カラードプラ画像を生成する場合に、前記速度データの絶対値に対して多重解像度解析を利用した多重解像度処理を適用し、得られた結果に対して、元の速度データの符号を復元する工程を含む、超音波診断方法。
【請求項20】
被検体に向けて超音波を送信するように超音波プローブを駆動するとともに、被検体内で反射された反射波に基づく受信信号を前記超音波プローブから受信して、超音波画像を生成し、表示する超音波診断装置のコンピューターに、
前記超音波プローブによって得られた受信信号から1フレーム分の動態データからなるフレームデータを生成する第1処理と、
前記フレームデータに基づいて動態の状態を示すカラードプラ画像を生成する第2処理と、
前記カラードプラ画像を表示部に表示させる第3処理と、を実行させるためのプログラムであって、
前記第2処理は、時間軸方向に連続する複数のフレームに対応する複数の前記フレームデータを用いたフレーム間メディアンフィルター処理を含む、プログラム。
【請求項21】
被検体に向けて超音波を送信するように超音波プローブを駆動するとともに、被検体内で反射された反射波に基づく受信信号を前記超音波プローブから受信して、超音波画像を生成し、表示する超音波診断装置のコンピューターに、
前記超音波プローブによって得られた受信信号から1フレーム分の動態データからなるフレームデータを生成する第1処理と、
前記フレームデータに基づいて動態の状態を示すカラードプラ画像を生成する第2処理と、
前記カラードプラ画像を表示部に表示させる第3処理と、を実行させるためのプログラムであって、
前記動態データは、動態の流速を示す速度データを含み、
前記第2処理は、前記速度データに基づいて前記カラードプラ画像を生成する場合に、前記速度データの絶対値に対して多重解像度解析を利用した多重解像度処理を適用し、得られた結果に対して、元の速度データの符号を復元する処理を含む、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置、超音波診断方法及びプログラムに関し、特に、カラードプラ法を利用した動態解析に有用な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医用画像診断装置の一つとして、超音波を被検体に向けて送信し、その反射波を受信して受信信号に所定の信号処理を行うことにより、被検体内部の形状、性状又は動態を超音波画像として可視化する超音波診断装置が知られている。超音波診断装置は、超音波プローブを体表に当てる又は体内に挿入するという簡単な操作で超音波画像を取得することができるので、安全であり、被検体にかかる負担も小さい。
【0003】
このような超音波診断装置において、血流などの動態解析を行う場合、Bモード画像に生体内の動き情報(例えば、血流)を示すカラー画像を重ねて表示するカラードプラ法(CFM:Color Flow Mapping)が有用である(例えば、特許文献1参照)。カラードプラ法では、例えば、血流の流速、方向、パワー(流量)及び分散(乱れ具合)の4つの情報を得ることができ、異常血流の位置や範囲を把握することができる。以下において、カラードプラ法により得られる超音波画像を「CFM画像」と称する。
【0004】
また、超音波診断装置では、生体組織の輪郭を鮮明に描出するために、ノイズ除去処理などの各種画像処理が行われる。例えば、特許文献2では、時間軸方向及び空間軸方向において多重解像度解析により画像処理することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2011/036891号
【特許文献2】特開2010−259658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に開示の手法は、動態描出の安定性(動きの滑らかさ)やノイズ抑制には有効であるが、空間軸方向に加えて時間軸方向にも多重解像度解析を行うため、処理負荷が大きいという課題がある。
また、特許文献2には、血流速度のデータが流速スケールを超える折り返し現象の対処について記載されておらず、折り返し現象が発生した場合に適切な表示が行えないという問題が生じる。
【0007】
本発明の目的は、処理負荷の増加を抑制しつつ、時間軸方向のノイズを抑制して、CFM画像における動態描出の安定性を向上できる超音波診断装置、超音波診断方法及びプログラムを提供することである。
また、本発明の別の目的は、動態描出の表現や安定性を向上でき、速度データが大きい場合でも適切な表示が行える超音波診断装置、超音波診断方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る超音波診断装置は、
被検体に向けて超音波を送信するように超音波プローブを駆動するとともに、被検体内で反射された反射波に基づく受信信号を前記超音波プローブから受信して、超音波画像を生成し、表示する超音波診断装置であって、
前記超音波プローブによって得られた受信信号から1フレーム分の動態データからなるフレームデータを生成するフレームデータ生成部と、
前記フレームデータに基づいて動態の状態を示すカラードプラ画像を生成するカラードプラ画像処理部と、
前記カラードプラ画像を表示部に表示させる表示処理部と、を備え、
前記カラードプラ画像処理部は、
時間軸方向に連続する複数のフレームに対応する複数の前記フレームデータを用いて、フレーム間メディアンフィルター処理を行うフレーム間メディアンフィルター処理部を有する、ことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る超音波診断装置は、
被検体に向けて超音波を送信するように超音波プローブを駆動するとともに、被検体内で反射された反射波に基づく受信信号を前記超音波プローブから受信して、超音波画像を生成し、表示する超音波診断装置であって、
前記超音波プローブによって得られた受信信号から1フレーム分の動態データからなるフレームデータを生成するフレームデータ生成部と、
前記フレームデータに基づいて動態の状態を示すカラードプラ画像を生成するカラードプラ画像処理部と、
前記カラードプラ画像を表示部に表示させる表示処理部と、を備え、
前記動態データは、動態の流速を示す速度データを含み、
前記カラードプラ画像処理部は、前記速度データに基づいて前記カラードプラ画像を生成する場合に、前記速度データの絶対値に対して多重解像度解析を利用した多重解像度処理を適用し、得られた結果に対して、元の速度データの符号を復元する多重解像度処理部を有する、ことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る超音波診断方法は、
被検体に向けて超音波を送信するように超音波プローブを駆動するとともに、被検体内で反射された反射波に基づく受信信号を前記超音波プローブから受信して、超音波画像を生成し、表示する超音波診断方法であって、
前記超音波プローブによって得られた受信信号から1フレーム分の動態データからなるフレームデータを生成する第1工程と、
前記フレームデータに基づいて動態の状態を示すカラードプラ画像を生成する第2工程と、
前記カラードプラ画像を表示部に表示させる第3工程と、を備え、
前記第2工程は、時間軸方向に連続する複数のフレームに対応する複数の前記フレームデータを用いて、フレーム間メディアンフィルター処理を行う工程を含む、ことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る超音波診断方法は、
被検体に向けて超音波を送信するように超音波プローブを駆動するとともに、被検体内で反射された反射波に基づく受信信号を前記超音波プローブから受信して、超音波画像を生成し、表示する超音波診断方法であって、
前記超音波プローブによって得られた受信信号から1フレーム分の動態データからなるフレームデータを生成する第1工程と、
前記フレームデータに基づいて動態の状態を示すカラードプラ画像を生成する第2工程と、
前記カラードプラ画像を表示部に表示させる第3工程と、を備え、
前記動態データは、動態の流速を示す速度データを含み、
前記第2工程は、前記速度データに基づいて前記カラードプラ画像を生成する場合に、前記速度データの絶対値に対して多重解像度解析を利用した多重解像度処理を適用し、得られた結果に対して、元の速度データの符号を復元する工程を含む、ことを特徴とする。
【0012】
本発明に係るプログラムは、
被検体に向けて超音波を送信するように超音波プローブを駆動するとともに、被検体内で反射された反射波に基づく受信信号を前記超音波プローブから受信して、超音波画像を生成し、表示する超音波診断装置のコンピューターに、
前記超音波プローブによって得られた受信信号から1フレーム分の動態データからなるフレームデータを生成する第1処理と、
前記フレームデータに基づいて動態の状態を示すカラードプラ画像を生成する第2処理と、
前記カラードプラ画像を表示部に表示させる第3処理と、を実行させるためのプログラムであって、
前記第2処理は、時間軸方向に連続する複数のフレームに対応する複数の前記フレームデータを用いたフレーム間メディアンフィルター処理を含む、ことを特徴とする。
【0013】
本発明に係るプログラムは、
被検体に向けて超音波を送信するように超音波プローブを駆動するとともに、被検体内で反射された反射波に基づく受信信号を前記超音波プローブから受信して、超音波画像を生成し、表示する超音波診断装置のコンピューターに、
前記超音波プローブによって得られた受信信号から1フレーム分の動態データからなるフレームデータを生成する第1処理と、
前記フレームデータに基づいて動態の状態を示すカラードプラ画像を生成する第2処理と、
前記カラードプラ画像を表示部に表示させる第3処理と、を実行させるためのプログラムであって、
前記動態データは、動態の流速を示す速度データを含み、
前記第2処理は、前記速度データに基づいて前記カラードプラ画像を生成する場合に、前記速度データの絶対値に対して多重解像度解析を利用した多重解像度処理を適用し、得られた結果に対して、元の速度データの符号を復元する処理を含む、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、処理負荷の増加を抑制しつつ、時間軸方向のノイズを抑制して、CFM画像における動態描出の安定性を向上することができる。
また、動態描出の表現や安定性を向上でき、速度データが大きい場合でも適切な表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施の形態に係る超音波診断装置の外観を示す図である。
図2図2は、超音波プローブの構成を示す図である。
図3図3は、超音波診断装置の制御系の主要部を示すブロック図である。
図4図4は、CFMモード信号処理部を示すブロック図である。
図5図5は、CFM画像処理部を示すブロック図である。
図6図6は、フレーム間メディアンフィルター処理を説明するための図である。
図7図7は、多重解像度処理を説明するための図である。
図8図8は、CFMモードで選択し得る多重解像度処理とフレーム間メディアンフィルター処理との組合せの一例を示す図である。
図9図9は、診断部位及び超音波プローブの種類に対応付けられる処理のデフォルト設定の一例を示す図である。
図10図10は、超音波診断処理の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、CFMモード信号処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施の形態に係る超音波診断装置Aの外観を示す図である。図2は、超音波プローブ2の構成を示す図である。図3は、超音波診断装置Aの制御系の主要部を示すブロック図である。
【0018】
図1に示すように、超音波診断装置Aは、超音波診断装置本体1及び超音波プローブ2を備える。超音波診断装置本体1と超音波プローブ2は、ケーブル3を介して接続される。なお、超音波プローブ2は、超音波診断装置本体1と無線通信を介して接続されてもよい。
【0019】
超音波診断装置Aは、被検体内の形状、性状又は動態を超音波画像として可視化し、画像診断するために用いられる。超音波診断装置Aは、表示モードとして、Bモード画像のみを表示させるモード(以下、「Bモード」と称する)、Bモード画像上にカラードプラ法によって得られるCFM画像を重畳して表示させるモード(以下、「CFMモード」と称する)を、有する。以下において、Bモード画像にCFM画像を重畳した画像を「CFMモード画像」と称する。超音波診断装置Aは、CFMモード画像において、動態(例えば、血流)を鮮明に描出できることが特徴的である。
【0020】
CFMモードには、例えば、動態の流速及び方向をカラー表示するV表示(速度表示)、動態の流速及び分散をカラー表示するV−T表示(速度―分散表示)、動態のパワーをカラー表示するP表示(パワー表示)がある。なお、CFMモードは、T表示(分散表示)、dP表示(方向付パワー表示)等を含んでもよい。
【0021】
V表示及びV−T表示では、超音波プローブ2に近づく方向の流れが赤系統の色で表示され、遠ざかる流れが青系統の色で表示される。また、動体の速度が速いほど明るく表示され、遅いほど暗く表示される。P表示では、パワーが大きいほど明るく表示され、小さいほど暗く表示される。これにより、利用者は、動体の流速、方向、パワー及び分散を視覚的に把握することができる。
【0022】
超音波プローブ2は、被検体に対して超音波を送信するとともに、被検体で反射された超音波エコーを受信し、受信信号に変換して超音波診断装置本体1に送信する。超音波プローブ2には、コンベックスプローブ、リニアプローブ、又はセクタプローブ等の任意の電子スキャン方式のプローブを適用することができる。
【0023】
図2に示すように、超音波プローブ2は、超音波放射側から順に、音響レンズ21、音響整合層22、振動子アレイ23、バッキング材24を有する。なお、音響レンズ21の表面(超音波放射面)には、保護層が配置されてもよい。
【0024】
音響レンズ21は、超音波をスライス方向に収束させるレンズであり、例えば、スライス方向における中央部が盛り上がったかまぼこ形状を有する。
音響整合層22は、超音波を効率よく被検体内に進入させるための中間的物質であり、振動子(図示略)と被写体の音響インピーダンスを整合させる。
【0025】
振動子アレイ23は、スキャン方向に単列又は多列で配置された複数の短冊状の振動子(図示略)により構成される。
バッキング材24は、振動子アレイ23で発生する不要振動を減衰する。
【0026】
超音波プローブ2によれば、スライス方向に収束する超音波のビームプロファイルが得られる。また、駆動する振動子を切り替えることにより、超音波をスキャン方向に収束させることもできる(いわゆる電子スキャン方式)。
【0027】
超音波診断装置本体1は、超音波プローブ2からの受信信号を用いて、被検体の内部状態を超音波画像として可視化する。図3に示すように、超音波診断装置本体1は、送信部11、受診部12、ROI設定部13、フレームデータ記憶部14、受信データ記憶部15、表示処理部16、表示部17、操作入力部18、Bモード信号処理部20、CFMモード信号処理部30、及び制御部40等を備える。
【0028】
送信部11、受信部12、ROI設定部13、Bモード信号処理部20、CFMモード信号処理部30及び表示処理部16は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)等の、各処理に応じた少なくとも一つの専用ハードウェア(電子回路)で構成される。
【0029】
制御部40は、演算/制御装置としてのCPU(Central Processing Unit)41、主記憶装置としてのROM(Read Only Memory)43及びRAM(Random Access Memory)42等を有する。ROM43には、基本プログラムや基本的な設定データが記憶される。CPU41は、ROM43から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM42に展開し、展開したプログラムを実行することにより、超音波診断装置本体1の各機能ブロック(送信部11、受信部12、ROI設定部13、フレームデータ記憶部14、受信データ記憶部15、表示処理部16、表示部17、Bモード信号処理部20及びCFMモード信号処理部30)の動作を集中制御する。
【0030】
本実施の形態では、機能ブロックを構成する各ハードウェアと制御部40とが協働することにより、各機能ブロックの機能が実現される。なお、制御部40がプログラムを実行することにより、各機能ブロックの一部又は全部の機能が実現されるようにしてもよい。
【0031】
送信部11は、制御部40の指示に従って、送信信号(駆動信号)を生成して、超音波プローブ2に出力する。図示を省略するが、送信部11は、例えば、クロック発生回路、パルス発生回路、パルス幅設定部及び遅延回路を有する。
【0032】
クロック発生回路は、パルス信号の送信タイミングや送信周波数を決定するクロック信号を発生させる。パルス発生回路は、所定の周期で予め設定された電圧振幅のバイポーラー型の矩形波パルスを発生させる。パルス幅設定部は、パルス発生回路から出力される矩形波パルスのパルス幅を設定する。パルス発生回路で生成された矩形波パルスは、パルス幅設定部への入力前又は入力後に、超音波プローブ2の個々の振動子ごとに異なる配線経路に分離される。遅延回路は、生成された矩形波パルスを、振動子ごとの送信タイミングに応じて遅延させ、超音波プローブ2に出力する。
【0033】
受信部12は、制御部40の指示に従って、超音波プローブ2からの受信信号を受信し、受信データ記憶部15、Bモード信号処理部20及びCFMモード信号処理部30へ出力する。図示を省略するが、受信部12は、例えば、増幅器、A/D変換回路、整相加算回路を有する。
【0034】
増幅器は、超音波プローブ2の各振動子により受信された超音波に応じた受信信号を予め設定された所定の増幅率でそれぞれ増幅する。A/D変換回路は、増幅された受信信号を所定のサンプリング周波数でデジタルデータに変換する。整相加算回路は、A/D変換された受信信号に対して、振動子に対応した配線経路毎に遅延時間を与えて時相を整え、これらを加算(整相加算)する。
【0035】
送信部11及び受信部12による超音波の送受信処理は、Bモード画像の生成及びCFM画像の生成のそれぞれについて行われる。具体的には、Bモード画像を生成するための超音波の送受信は、全走査領域に対して行われ、CFM画像を生成するための超音波の送受信は、後述する関心領域に対応する走査領域に対して行われる。一般に、CFM画像を生成する場合、同じ音響線上において超音波の送受信が複数回行われる。
【0036】
ROI設定部13は、制御部40の指示に従って、超音波画像における関心領域(ROI:Region of Interest)を設定する。ROI設定部13は、例えば、操作入力部18の操作によりBモード画像上で設定された領域を、関心領域として設定する。関心領域は、診断対象(例えば、血流部)を含むように設定され、Bモード画像上にROI枠として表示される。このROI枠内に、CFM画像が重畳して表示される。
【0037】
フレームデータ記憶部14は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリ又は高速書き換えが可能な不揮発性メモリで構成される。フレームデータ記憶部14は、Bモード信号処理部20及びCFMモード信号処理部30で生成されたフレームデータを、フレーム単位で記憶する。CFM画像用のフレームデータは、CFMモード信号処理部30で画像処理が行われる前の動態データで構成される。動態データは、動態の速度を示す速度データV、流量を示すパワーデータP及び乱れ具合を示す分散データTを含む。フレームデータ記憶部14に記憶されたフレームデータは、制御部40の制御に従って読み出され、Bモード信号処理部20及びCFMモード信号処理部30(CFM画像処理部32)において所定の画像処理が施される。
【0038】
受信データ記憶部15は、フレームデータ記憶部14と同様に、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリ又は高速書き換えが可能な不揮発性メモリで構成される。受信データ記憶部15は、受信部12からの受信信号に基づく受信データ(RFデータ)を記憶する。なお、フレームデータ記憶部14及び受信データ記憶部15は、同じ記憶装置で構成されてもよい。
【0039】
Bモード信号処理部20は、制御部40の指示に従って、受信部12又は受信データ記憶部15からのBモード画像用の受信データに、包絡線検波処理、対数圧縮処理等を施して、ダイナミックレンジやゲインの調整を行って輝度変換することで、Bモード画像データを生成する。なお、Bモード信号処理部20は、超音波プローブ2の種類に応じた座標変換及び画素補間を行うDSC(Digital Scan Converter)を含む。
【0040】
CFMモード信号処理部30は、制御部40の指示に従って、受信部12又は受信データ記憶部15からのCFM画像用の受信データに基づいて、CFM画像データを生成する。CFM画像データは、輝度情報及び色情報を含む。CFMモード信号処理部30の詳細については後述する。
【0041】
表示処理部16は、制御部40の指示に従って、Bモード信号処理部20及びCFMモード信号処理部30において生成された画像データを、表示部17に対応する表示信号に変換して出力し、表示部17にBモード画像又はCFMモード画像を表示させる。例えば、表示処理部16は、Bモード選択時には、Bモード信号処理部20からのBモード画像データを表示信号に変換して表示部17に出力する。また、表示処理部16は、CFMモード選択時には、Bモード信号処理部20からのBモード画像データと、CFMモード信号処理部30からのCFM画像データとを合成し、合成されたCFMモード画像データを表示信号に変換して表示部17に出力する。また、表示処理部16は、ROI設定部13による関心領域の設定に応じて、Bモード画像又はCFMモード画像にROI枠を重畳する。
【0042】
表示部17は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、CRTディスプレイ等で構成される。表示部17は、制御部40の指示に従って、表示処理部16からの表示信号に基づいて画像を表示する。
【0043】
操作入力部18は、例えば、診断に関する情報の入力を受け付ける。操作入力部18は、例えば、複数の入力スイッチを有する操作パネル、キーボード、及びマウス等を有する。なお、操作入力部18は、表示部17と一体的に設けられるタッチパネルで構成されてもよい。利用者は、操作入力部18を介して、関心領域、診断部位、超音波プローブ2の種類、及びCFMモード信号処理部30における画像処理方法(フレーム間メディアンフィルター処理と多重解像度処理の組合せ)などを設定することができる。
【0044】
図4は、CFMモード信号処理部30を示すブロック図である。図5は、CFM画像処理部32を示すブロック図である。図4に示すように、CFMモード信号処理部30は、フレームデータ生成部31、CFM画像処理部32及びCFM画像変換部33を有する。
【0045】
フレームデータ生成部31は、受信部12又は受信データ記憶部15からのCFM画像用の受信データに基づいて、速度データV、パワーデータP及び分散データTを含む1フレーム分の動態データからなるフレームデータを生成する。本実施の形態では、フレームデータ生成部31は、直交検波処理部311、コーナーターン処理部312、MTI(Moving Target Indicator)フィルター処理部313、相関演算部314及びデータ変換部315を有している。
【0046】
直交検波処理部311は、制御部40の指示に従い、CFM画像用の受信データを直交検波することにより、複素ドプラ信号I(実部)、Q(虚部)を取得する。
コーナーターン処理部312は、制御部40の指示に従い、直交検波処理部311からの複素ドプラ信号I、Qに対して、同一音響線ごとに、コーナーターン処理(深さ方向/アンサンブル方向変換処理)を行う。
MTIフィルター処理部313は、制御部40の指示に従い、コーナーターン処理部312からの複素ドプラ信号I、Qをフィルタリングして、不要な血管壁や組織等を示すクラッター成分を除去する。
相関演算部314は、制御部40の指示に従い、MTIフィルター処理部313からの複素ドプラ信号I、Qに基づいて、ドプラ信号の自己相関演算の平均値(位相差ベクトルの平均値)を示す自己相関信号D(実部)、N(虚部)を算出する。
データ変換部315は、制御部40の指示に従い、相関演算部314からの自己相関信号D、Nに基づいて、速度データV、パワーデータP及び分散データTを算出する。算出された速度データV、パワーデータP及び分散データTは、フレームデータとして、CFM画像処理部32に出力されるとともに、フレームデータ記憶部14に記憶される。
なお、本実施の形態で示すフレームデータ生成部31の構成は一例であり、これに限定されない。
【0047】
CFM画像処理部32は、フレームデータ生成部31(データ変換部315)又はフレームデータ記憶部14からのフレームデータに基づいてCFM画像データを生成する。図5に示すように、CFM画像処理部32は、ノイズ除去フィルター処理部321、フレーム間メディアンフィルター処理部322、空間フィルター処理部323、多重解像度処理部324及びパーシスタンス処理部325を有する。
【0048】
ノイズ除去フィルター処理部321は、いわゆるキーホールフィルターで構成され、CFM画像のフレームデータをフィルタリングして、低速、低パワーの信号をノイズとして除去する。ノイズ除去フィルター処理は、例えば、V表示及びV−T表示では、速度データVに対してのみ適用され、P表示では、パワーデータPに対してのみ適用される。なお、ノイズ除去フィルター処理は、ノイズが検出されたときに、速度データV、パワーデータP及び分散データTのすべてに対して適用されてもよい。
【0049】
フレーム間メディアンフィルター処理部322は、連続する複数のフレーム間でフレーム間メディアンフィルター処理を行う。すなわち、フレーム間メディアンフィルター処理部322は、時間軸方向に連続する複数のフレームに対応するフレームデータを用いて、同一座標値(画素)ごとに動態データ(速度データV、パワーデータ又は分散データT)の中央値を取得し、最新フレームの動態データを、取得した中央値に変換する。フレーム間メディアンフィルター処理は、V表示及びV−T表示では、速度データVに対してのみ適用され、P表示では、パワーデータPに対してのみ適用されるのが好ましい。これにより、CPU41の処理負荷を軽減することができる。フレーム間メディアンフィルター処理部322の詳細については後述する。
【0050】
空間フィルター処理部323は、いわゆる2次元の加重平均フィルターで構成され、速度データV、パワーデータP及び分散データTをスムージングする。空間フィルター処理は、例えば、V表示及びV−T表示では、速度データV及び分散データTに対して適用され、P表示では、パワーデータPに対して適用される。
【0051】
多重解像度処理部324は、フレームデータに対して多重解像度解析を利用した多重解像度処理を行う。多重解像度処理は、原画像からの多重解像度分解、各スケールにおける画像処理、及び原画像への再構成を含む。多重解像度分解には、例えば、ウェーブレット変換、カーブレット変換、又はピラミッド変換を適用することができる。多重解像度処理は、V表示及びV−T表示では、速度データVに対してのみ適用され、P表示では、パワーデータPに対してのみ適用されるのが好ましい。これにより、CPU41の処理負荷を軽減することができる。多重解像度処理部324の詳細については後述する。
【0052】
パーシスタンス処理部325は、いわゆるIIRフィルターで構成され、フレーム間で残像効果が現れるように、フレームデータを処理する。
【0053】
CFM画像変換部33は、例えば、DSCで構成され、フレームデータを構成する速度データV、パワーデータP又は分散データTのうち、CFMモードで使用する動体データを輝度値に変換するとともに、超音波プローブ2の種類に応じた座標変換及び画素補間を行う。
【0054】
図6は、フレーム間メディアンフィルター処理を説明するための図である。図6に示すように、フレーム間メディアンフィルター処理部322は、最新フレームのフレームデータF5と、過去フレームのフレームデータF1〜F4を一時的に記憶しておき、これらのフレームデータF1〜F5の同じ画素の動態データP1〜P5に対してフレーム間メディアンフィルター処理を適用する。すなわち、最新フレームの動態データP5は、動態データP1〜P5のうちの中央値に変換される。このフレーム間メディアンフィルター処理が、全画素の動態データに対して行われる。なお、過去フレームのフレームデータF1〜F4の動態データP1〜P4は、過去フレームに対するフレーム間メディアンフィルター処理を適用する前の値を記憶しておく。
【0055】
このように、フレーム間でフレーム間メディアンフィルター処理を行うことにより、1フレームにだけ局所的に現れるノイズが排除され、動態の状態変化が滑らかに描出されるので、動態描出の安定性が向上する。
Bモード画像は、動態ではなく生体組織で反射したS/N特性のよい受信信号に基づいて生成されるので、CFM画像のような不安定さはなく、フレーム間でフレーム間メディアンフィルター処理を行う効果は少ない。これに対して、CFM画像は、血流等の動態で反射したS/N特性の悪い受信信号に基づいて生成されるので、フレーム間でフレーム間メディアンフィルター処理を行うことが有効である。
【0056】
ここで、フレーム間メディアンフィルター処理部322は、フレーム間メディアンフィルター処理を行うに際し、新しいフレームの動態データほど大きな重みを付与する重み付けメディアンフィルターとして構成することが好ましい。重み付けメディアンフィルターは公知の技術であり、フィルター処理の対象となる個々のデータが重みの数だけ繰り返されたものとして、メディアンフィルター処理を適用する。これにより、動態変化への対応が遅くなるというフレーム間メディアンフィルター処理の欠点を抑制することができる。
【0057】
また、速度データVを用いるV表示またはV−T表示では、動態の平均流速に相当する周波数がパルス繰り返し周波数PRFの1/2を超えると折り返し現象が生じて、動態の流れが反対方向の色で描出される。このような折り返し現象が起こっている場合でも適切に扱えるように、フレーム間メディアンフィルター処理部322で速度データVに対してフレーム間メディアンフィルター処理を行う場合、以下のように行うことが好ましい。
【0058】
すなわち、速度データVの絶対値に対してフレーム間メディアンフィルター処理を適用し、得られた結果に対して元の速度データVの符号を復元する。これにより、速度データVのようにCFM画像に折り返しが生じうる場合でも、フレーム間メディアンフィルター処理において適切な結果が得られる。
なお、「フレーム間メディアンフィルター処理によって得られた結果に対して元の速度データVの符号を復元する」とは、中央値として選択された速度データVに対応する元の速度データVを出力することも含む。
【0059】
例えば、フレーム間メディアンフィルター処理の対象である3つのフレームの特定画素における速度データVが−120、0、125である場合、フレーム間メディアンフィルター処理をそのまま適用すると、中央値は0になり、CFM画像に黒抜けが生じる。これに対して、上述した手法によれば、中央値が120(−120の絶対値)となり、元の速度データVの符号を復元した−120で当該画素における速度データVが変換されるので、黒抜けは生じない。
【0060】
または、速度データVの折り返しの有無を判定し、折り返しがある場合に、折り返しを示す速度データVに対してパルス繰り返し周波数PRFに相当する速度値を加算または減算して補正し、補正後の速度データVに対してフレーム間メディアンフィルター処理を適用してもよい。これにより、速度データVのようにCFM画像に折り返しが生じうる場合でも、フレーム間メディアンフィルター処理において適切な結果が得られる。
【0061】
折り返しの有無は、例えば、フレーム間メディアンフィルター処理の対象である複数フレームの特定画素における速度データVのうち、PRF/2に相当する速度値を正方向または負方向に超えるデータ数によって判定することができる。例えば、半数以上の速度データVがPRF/2に相当する速度値を超える場合に、折り返しがあると判定する。なお、折り返しの有無の判定には、特許第5652395号公報に開示されているような公知の技術を適用できる。
折り返しを示す速度データVが負の値である場合、すなわち速度データVが+PRF/2に相当する速度値を超えることにより折り返しが生じている場合は、折り返し周波数PRFをに相当する速度値を加算して補正し、補正後の速度データVに対してフレーム間メディアンフィルター処理を適用する。
一方、折り返しを示す速度データVが正の値である場合、すなわち速度データVが−PRF/2に相当する速度値を超えることにより折り返しが生じている場合は、折り返し周波数PRFに相当する速度値を減算して補正し、補正後の速度データVに対してフレーム間メディアンフィルター処理を適用する。
【0062】
図7は、多重解像度処理を説明するための図である。図7において、原画像LL(0)が、フレームデータに相当する。図7に示すように、原画像LL(0)に2次元ウェーブレット変換を適用すると、スケール1の低周波成分LL(1)及び垂直、水平、対角方向の高周波成分HL(1)、LH(1)、HH(1)に分解される。次に、スケール1の低周波成分LL(1)に2次元ウェーブレット変換を適用すると、スケール2の低周波成分LL(2)及び垂直、水平、対角方向の高周波成分HL(2)、LH(2)、HH(2)に分解される。
同様にして、スケール2の低周波成分LL(2)に2次元ウェーブレット変換を適用すると、スケール3の低周波成分LL(3)及び垂直、水平、対角方向の高周波成分HL(3)、LH(3)、HH(3)に分解される。
スケール1、2、3の低周波成分LL(1)、LL(2)、LL(3)は、それぞれ、原画像LL(0)を1/2、1/4、1/8に低解像度化した画像に相当する。
【0063】
すなわち、原画像LL(0)に対してn(nは2以上の自然数)回の多重解像度分解を適用することで、スケールnの低周波成分LL(n)及び垂直、水平、対角方向の高周波成分HL(n)、LH(n)、HH(n)が得られ、原画像LL(0)は、1/2に低解像度化される。
【0064】
そして、多重解像度分解されたスケール画像ごとに画像処理が適用され、画像処理後のスケール画像に対して多重解像度分解とは逆向きのウェーブレット変換(逆ウェーブレット変換)が適用される。具体的には、スケール3の低周波成分LL(3)及び垂直、水平、対角方向の高周波成分HL(3)、LH(3)、HH(3)に対して画像処理を適用し、画像処理後のスケール3に対して逆ウェーブレット変換を適用すると、スケール2の低周波成分LL(2)が再構成される。画像処理には、例えば、低周波成分のスムージングやエッジ強調、高周波成分のゲイン増減がある。
同様にして、スケール2の低周波成分LL(2)及び垂直、水平、対角方向の高周波成分HL(2)、LH(2)、HH(2)に対して画像処理を適用し、画像処理後のスケール2に対して逆ウェーブレット変換を適用すると、スケール1の低周波成分LL(1)が再構成される。最終的に画像処理が適用された原画像LL(0)が再構成される。
【0065】
このように、フレームデータに対して空間軸方向に多重解像度処理を適用して、低解像度化したスケール画像ごとにスムージングやエッジ強調、ゲイン増減などの画像処理を行うことによって、CFM画像において鮮明に動態を描出することができる。具体的には、血流などの動態の芯が明瞭になる、縁が滑らかになる、動態描出が安定するという効果が得られる。
【0066】
多重解像度処理においても、フレーム間メディアンフィルター処理と同様に、速度データVを用いるV表示またはV−T表示では、折り返し現象を考慮することが好ましい。
すなわち、速度データVの絶対値に対して多重解像度処理を適用し、得られた結果に対して元の速度データの符号を復元する。
または、速度データVの折り返しの有無を判定し、折り返しがある場合に、折り返しを示す速度データVに対してパルス繰り返し周波数PRFに相当する速度値を加算または減算して補正し、補正後の速度データVに対してフレーム間メディアンフィルター処理を適用してもよい。 これにより、速度データVのようにCFM画像に折り返しが生じうる場合でも、多重解像度処理において適切な結果が得られる。
【0067】
上述したように、超音波診断装置Aでは、CFM画像処理部32において、フレーム間メディアンフィルター処理及び多重解像度処理を実行可能であるが、診断部位によっては、CFMモード画像に対する要求が異なる。
例えば、診断部位が整形(炎症性の血流)や甲状腺である場合は、空間軸方向及び時間軸方向の両方に対して高い安定性が要求されるので、フレーム間メディアンフィルター処理及び多重解像度処理の両方を実行することが好ましい。
これに対して、診断部位が心臓や頸動脈である場合は、空間軸方向には高い安定性が要求されるので、多重解像度処理は実行した方がよいが、時間軸方向には血流の変化に対する追従性が要求されるため、フレーム間メディアンフィルター処理を実行することが好ましいとはいえない。特に、診断部位が心臓である場合は、小さな逆流を捉えるために、空間軸方向にも動態データを強く加工しない、すなわち多重解像度処理を実行しないか弱い効果で適用することが望ましいとも考えられる。
そこで、本実施の形態では、CFMモードにおける画像処理方法(フレーム間メディアンフィルター処理と多重解像度処理の組合せ)を、利用者が選択できるようになっている。
【0068】
図8は、CFMモードで選択し得る多重解像度処理とフレーム間メディアンフィルター処理との組合せの一例を示す図である。図8に示す組合せテーブルには、処理No.0〜6の7通りの組合せが登録されている。組合せテーブルは、例えば、制御部40のROM43に予め記憶される。
【0069】
図8に示すように、多重解像度処理は、OFF、ON(設定1)、ON(設定2)の3段階から選択することができる。「OFF」は、多重解像度処理を実行しないことを示すフラグであり、「ON(設定1)」及び「ON(設定2)」は、多重解像度処理を実行することを示すフラグである。「ON(設定1)」と「ON(設定2)」は、多重解像度処理における各スケール画像に対する画像処理(例えば、ゲインの増加/減少)のレベルが異なる。
【0070】
フレーム間メディアンフィルター処理も同様に、OFF、ON(設定1)、ON(設定2)の3段階から選択することができる。「OFF」は、フレーム間メディアンフィルター処理を実行しないことを示すフラグであり、「ON(設定1)」及び「ON(設定2)」は、フレーム間メディアンフィルター処理を実行することを示すフラグである。「ON(設定1)」と「ON(設定2)」は、フレーム間メディアンフィルター処理の対象となるフレーム数や、重みが異なる。
【0071】
例えば、利用者が操作入力部18を操作して処理No.1を選択すると、設定1の多重解像度処理が実行され、フレーム間メディアンフィルター処理については実行されない。また例えば、利用者が操作入力部18を操作して処理No.2を選択すると、設定1の多重解像度処理が実行されるとともに、設定1のフレーム間メディアンフィルター処理が実行される。
【0072】
利用者は、操作入力部18を操作することにより、図8に示す処理No.0〜6の中から、所望の処理を簡単に選択することができる。これにより、利用者は、診断に最適なCFMモード画像の提供を受けることができる。
【0073】
また、CFMモード画像に対する要求は、超音波プローブ2の種類によっても異なる。例えば、コンベックスプローブは、リニアプローブに比較して周波数帯域が一般的に低く、深い部位を描出するのに使用するため、フレームレートが遅くなりがちである。この場合、フレーム間メディアンフィルター処理による追従性の低下という欠点が強くなるため、フレーム間メディアンフィルター処理は実行しない方が好ましいということになる。
そこで、本実施の形態では、CFMモードにおける画像処理方法(フレーム間メディアンフィルター処理と多重解像度処理の組合せ)が、超音波プローブ2の種類に対応付けられている。
【0074】
図9は、診断部位及び超音波プローブ2の種類に対応付けられる処理のデフォルト設定の一例を示す図である。図9は、診断部位及び超音波プローブ2の種類に処理No.(画像処理の組合せ)が対応付けられていることを示している。なお、診断部位及び超音波プローブ2の種類の何れか一方に、画像処理の組合せが対応付けられてもよい。
例えば、診断部位が「血管」で、超音波プローブ2の種類が「リニアプローブ」である場合、処理No.1に基づいて、多重解像度処理及びフレーム間メディアンフィルター処理が実行される。
【0075】
このように、多重解像度処理とフレーム間メディアンフィルター処理との組合せは、診断部位及び超音波プローブ2の種類に応じて予め設定されているのが好ましい。これにより、利用者は、図8に示すような組合せテーブルの中から所望の組合せを選択しなくても、診断モードにおいて必須の設定項目である診断部位及び超音波プローブ2の種類を設定するだけで、最適な組合せが自動的に選択されるので、利便性が向上する。
【0076】
また、診断部位及び超音波プローブ2の種類に応じて予め設定される画像処理の組合せは、操作入力部18を介して、利用者が変更できるようにしてもよい。これにより、利用者は、実際に得られるCFMモード画像を確認しながら、より好ましい動態描出が得られるように画像処理の組合せを設定することができる。この場合、変更後の設定は、ユーザー設定として記憶されてもよい。
【0077】
図10は、超音波診断処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、例えば、超音波診断装置Aにおいて、CFMモードが選択されることに伴い、CPU41がROM43に格納されている所定のプログラムを実行することにより実現される。CFMモードの選択は、例えば、操作入力部18における診断モードの選択によって行われる。
【0078】
ここでは、CFMモードとして、動態の流速及び方向をカラー表示するV表示が選択された場合について説明する。また、超音波診断装置Aは、CFMモード画像をリアルタイムで表示するリアルタイム再生機能及び記録したCFMモード画像を読み出して表示するフリーズ再生機能を有しているものとする。
【0079】
図10のステップS1において、制御部40は、CFMモードにおいて実行される画像処理に関する設定情報を取得する(設定部としての処理)。画像処理に関する設定情報とは、例えば、図8に示すような組合せテーブルの中から選択された処理に登録されている情報(多重解像度処理とフレーム間メディアンフィルター処理の組合せ)である。
【0080】
ステップS2において、制御部40は、送信部11及び受信部12を制御して、超音波プローブ2を介して超音波の送受信を行う。超音波の送受信処理は、Bモード画像の生成及びCFM画像の生成のそれぞれについて行われる。
【0081】
ステップS3において、制御部40は、Bモード信号処理部20を制御して、Bモード信号処理を行う。この処理により、Bモード画像データが生成され、表示処理部16に出力される。なお、Bモード信号処理では、Bモード画像用のフレームデータが中間生成され、フレームデータ記憶部14に記憶される。フレームデータ記憶部14に記憶されたフレームデータは、フリーズ再生時に用いられる。
【0082】
ステップS4において、制御部40は、CFMモード信号処理部30を制御して、CFMモード信号処理を行う。この処理により、CFM画像データが生成され、表示処理部16に出力される。なお、CFMモード信号処理では、CFM画像用のフレームデータが中間生成され、フレームデータ記憶部14に記憶される。フレームデータ記憶部14に記憶されたフレームデータは、フリーズ再生時に用いられる。
【0083】
具体的には、図11に示すフローチャートに従って、CFMモード信号処理が行われる。すなわち、図11のステップS41において、制御部40は、フレームデータ生成部31を制御して、速度データV、パワーデータP及び分散データTを含む動態データからなるフレームデータを生成する。
ステップS42において、制御部40は、ノイズ除去フィルター処理部321を制御して、フレームデータをフィルタリングして、低速、低パワーの信号をノイズとして除去する。
【0084】
ステップS43において、制御部40は、図10のステップS1で取得した設定情報に基づいて、フレーム間メディアンフィルター処理を適用するか否かを判定する。フレーム間メディアンフィルター処理を適用する場合(ステップS43で“YES”)、ステップS44の処理に移行する。フレーム間メディアンフィルター処理を適用しない場合(ステップS43で“NO”)、ステップS45の処理に移行する。
ステップS44において、制御部40は、フレーム間メディアンフィルター処理部322を制御して、連続する複数のフレーム間でフレーム間メディアンフィルター処理を行う。
【0085】
ステップS45において、制御部40は、空間フィルター処理部323を制御して、フレームデータをスムージングする。
【0086】
ステップS46において、制御部40は、図10のステップS1で取得した設定情報に基づいて、多重解像度処理を適用するか否かを判定する。多重解像度処理を適用する場合(ステップS46で“YES”)、ステップS47の処理に移行する。多重解像度処理を適用しない場合(ステップS46で“NO”)、ステップS48の処理に移行する。
ステップS47において、制御部40は、多重解像度処理部324を制御して、多重解像度処理を行う。
【0087】
ステップS48において、制御部40は、パーシスタンス処理部325を制御して、フレーム間で残像効果が現れるように、フレームデータを処理する。以上により、CFM画像用のフレームデータに対する画像処理が終了する。
【0088】
図10に戻り、ステップS5において、制御部40は、表示処理部16を制御して、Bモード画像データとCFM画像データを合成して、CFMモード画像を表示部17に表示させる(リアルタイム再生)。CFMモード画像では、ROI枠内にCFM画像が表示される。V表示では、超音波プローブ2に近づく方向の流れが赤系統の色で表示され、遠ざかる流れが青系統の色で表示される。また、動態の速度が速いほど明るく表示され、遅いほど暗く表示される。
【0089】
ステップS6において、制御部40は、操作入力部18を介して、フリーズ操作が入力されたか否かを判定する。フリーズ操作が行われると、超音波の送受信処理が中断され、フレームデータ記憶部14に記憶されたフレームデータを用いてCFMモード画像のフリーズ再生が行われる。フリーズ操作が入力された場合(ステップS6で“YES”)、ステップS7の処理に移行する。フリーズ操作が入力されていない場合(ステップS6で“NO”)、ステップS2の処理に移行し、リアルタイム再生が継続される。
【0090】
ステップS7において、制御部40は、Bモード信号処理部20、CFMモード信号処理部30およびフレームデータ記憶部14を制御して、フリーズ再生を行う。具体的には、フレームデータ記憶部14からBモード画像用のフレームデータとCFM画像用のフレームデータが読み出され、ステップS3〜S5に対応する処理が行われる。
【0091】
ステップS8において、制御部40は、操作入力部18を介して、再生フレームの変更操作が入力されたか否かを判定する。例えば、操作入力部18を操作することにより、CFMモード画像の再生状況を示すタイムライン上で、フリーズ再生を開始するフレームを指定することができる。再生フレームの変更操作が入力された場合(ステップS8で“YES”)、ステップS7の処理に移行し、指定されたフレームからフリーズ再生が開始される。再生フレームの変更操作が入力されていない場合(ステップS8で“NO”)、ステップS9の処理に移行する。
【0092】
ステップS9において、制御部40は、操作入力部18を介して、CFMモードを変更する設定変更操作が入力されたか否かを判定する。この設定変更操作は、画像処理の組合せを変更する操作、CFMモードの表示(V表示/V−T表示/P表示)を変更する操作を含む。設定変更操作が行われた場合(ステップS9で“YES”)、ステップS7の処理に移行して、変更後の設定に基づいてCFM画像処理及びCFMモード画像の表示が行われる。設定変更操作が行われていない場合(ステップS9で“NO”)、ステップS10の処理に移行する。
【0093】
ステップS10において、制御部40は、操作入力部18を介して、超音波診断の終了を指示する終了操作が入力されたか否かを判定する。終了操作が行われた場合(ステップS10で“YES”)、超音波診断処理を終了する。終了操作が行われていない場合(ステップS10で“NO”)、ステップS8の処理に移行する。なお、フリーズ再生を解除する操作が入力されると、ステップS2に移行して、リアルタイム再生が行われる。
【0094】
このように、実施の形態に係る超音波診断装置Aは、被検体に向けて超音波を送信するように超音波プローブ2を駆動するとともに、被検体内で反射された反射波に基づく受信信号を超音波プローブ2から受信して、超音波画像を生成し、表示する。超音波診断装置Aは、超音波プローブ2によって得られた受信信号から1フレーム分の動態データからなるフレームデータを生成するフレームデータ生成部31と、フレームデータに基づいて動態の状態を示すCFM画像を生成するCFM画像処理部32と、CFM画像を表示部17に表示させる表示処理部16と、を備える。CFM画像処理部32は、時間軸方向に連続する複数のフレームに対応するフレームデータを用いて、フレーム間メディアンフィルター処理を行うフレーム間メディアンフィルター処理部322を有する。
具体的には、超音波診断装置Aにおいて、フレーム間メディアンフィルター処理部322は、複数のフレームデータ間で、同一座標値ごとに動態データの中央値を取得し、最新フレームの動態データを中央値に変換する。
【0095】
また、本実施の形態に係る超音波診断方法は、被検体に向けて超音波を送信するように超音波プローブ2を駆動するとともに、被検体内で反射された反射波に基づく受信信号を超音波プローブ2から受信して、超音波画像を生成し、表示する方法であって、超音波プローブ2によって得られた受信信号から1フレーム分の動態データからなるフレームデータを生成する第1工程(図11のステップS41)と、フレームデータに基づいて動態の状態を示すCFM画像を生成する第2工程(図11のステップS42〜S48)と、CFM画像を表示部17に表示させる第3工程(図10のステップS5)と、を備える。第2工程は、時間軸方向に連続する複数のフレームに対応するフレームデータを用いて、フレーム間メディアンフィルター処理を行う工程(図11のステップS44)を含む。
【0096】
また、本実施の形態に係るプログラムは、被検体に向けて超音波を送信するように超音波プローブ2を駆動するとともに、被検体内で反射された反射波に基づく受信信号を超音波プローブ2から受信して、被検体の内部情報を超音波画像で表示する超音波診断装置のコンピューターに、超音波プローブ2によって得られた受信信号から1フレーム分の動態データからなるフレームデータを生成する第1処理(図11のステップS41)と、フレームデータに基づいて動態の状態を示すCFM画像を生成する第2処理(図11のステップS42〜S48)と、CFM画像を表示部17に表示させる第3処理(図10のステップS5)と、を実行させる。第2処理は、時間軸方向に連続する複数のフレームに対応するフレームデータを用いたフレーム間メディアンフィルター処理(図11のステップS44)を含む。
このプログラムは、例えば、当該プログラムが格納されたコンピューター読取可能な可搬型記憶媒体(光ディスク、光磁気ディスク、及びメモリカードを含む)を介して提供される。また例えば、このプログラムは、当該プログラムを保有するサーバーから、ネットワークを介してダウンロードにより提供することもできる。
【0097】
実施の形態に係る超音波診断装置A、超音波診断方法及びプログラムによれば、処理負荷の増加を抑制しつつ、時間軸方向のノイズを抑制して、CFM画像における動態描出の安定性を向上することができる。
【0098】
また、超音波診断装置Aにおいて、フレーム間メディアンフィルター処理部322は、フレーム間メディアンフィルター処理を行うに際し、新しいフレームの動態データほど大きな重みを付与する。
これにより、動態変化への対応が遅くなるというフレーム間メディアンフィルター処理の欠点を抑制することができる。
【0099】
また、超音波診断装置Aにおいて、動態データは、動態の流速を示す速度データV及び流量を示すパワーデータPの少なくとも一方を含み、CFM画像処理部32は、速度データV及びパワーデータPの少なくとも一方に基づいてCFM画像を生成する。
これにより、V表示、V−T表示、又はP表示において、CFM画像における動態描出の表現や安定性を向上することができる。
【0100】
また、超音波診断装置Aにおいて、フレーム間メディアンフィルター処理部322は、速度データVに基づいてCFM画像を生成する場合に、速度データVの絶対値に対してフレーム間メディアンフィルター処理を適用し、得られた結果に対して元の速度データの符号を復元する。
これにより、速度データVのようにCFM画像に折り返しが生じうる場合でも、フレーム間メディアンフィルター処理において適切な結果が得られる。
【0101】
また、超音波診断装置Aにおいて、フレーム間メディアンフィルター処理部322は、速度データVに基づいてCFM画像を生成する場合に、速度データVの折り返しの有無を判定し、折り返しがある場合に、折り返しを示す速度データVに対してパルス繰り返し周波数PRFに相当する速度値を加算又は減算して補正し、補正後の速度データVに対してフレーム間メディアンフィルター処理を適用する。
これにより、速度データVのようにCFM画像に折り返しが生じうる場合でも、フレーム間メディアンフィルター処理において適切な結果が得られる。
【0102】
また、超音波診断装置Aにおいて、CFMモード信号処理部30は、フレームデータに対して多重解像度解析を利用した多重解像度処理を行う多重解像度処理部324を有し、フレーム間メディアンフィルター処理と多重解像度処理の何れか一方が択一的に、又は2つの処理の両方が施される。
これにより、利用者は、診断に最適なCFMモード画像の提供を受けることができる。
【0103】
また、超音波診断装置Aは、フレーム間メディアンフィルター処理部322と多重解像度処理部324の組合せのうち、適用する組合せを選択する操作を受け付ける操作入力部18と、操作入力部18を介して受け付けた操作に対応する組合せを、適用する組合せとして設定する制御部40(設定部)と、を備える。
また、超音波診断装置Aにおいて、操作入力部18は、組合せが予め登録された組合せテーブルの中から適用する組合せを選択可能である。
これにより、利用者は、操作入力部18を操作することにより、所望の画像処理を簡単に選択することができる。
【0104】
また、超音波診断装置Aにおいて、フレーム間メディアンフィルター処理と多重解像度処理の組合せは、診断部位及び/又は超音波プローブ2の種類に対応付けられている。
これにより、診断モードにおいて必須の設定項目である診断部位及び/又は超音波プローブ2の種類を設定するだけで、最適な組合せが自動的に選択されるので、利便性が向上する。
【0105】
また、超音波診断装置Aにおいて、操作入力部18を介して、フレーム間メディアンフィルター処理と多重解像度処理の組合せと、診断部位及び/又は超音波プローブ2の種類の対応付けを変更可能である。
これにより、利用者は、実際に得られるCFMモード画像を確認しながら、より好ましい動態描出が得られるように画像処理の組合せを設定することができる。
【0106】
また、超音波診断装置Aは、フレームデータを順次記憶するフレームデータ記憶部14を備え、CFM画像処理部32は、フリーズ状態において、フレームデータ記憶部14からフレームデータを読み出して処理を行う。
これにより、フリーズ後に画像処理の組合せを変更することができるので、超音波の送受信を改めて行うことなく、診断に適したCFM画像を得ることができる。
【0107】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0108】
例えば、実施の形態では、CFMモード信号処理部30は、前段から順に、ノイズ除去フィルター処理部321、フレーム間メディアンフィルター処理部322、空間フィルター処理部323、多重解像度処理部324及びパーシスタンス処理部325を有しているが、これらの機能が実行される順番はこれに限定されない。また、すべての要素が必須ではなく、例えば、多重解像度処理部324においてスムージングを行う場合は、空間フィルター処理部323はなくてもよい。
【0109】
また例えば、実施の形態では、フリーズ状態において、フレームデータ記憶部14からフレームデータを読み出してCFM画像処理が行われる場合について説明したが、CFMモード信号処理部30は、フリーズ時に、受信データ記憶部15から受信データを読み出して処理を行うようにしてもよい。
これにより、フリーズ後に画像処理の組合せを変更することができるので、超音波の送受信を改めて行うことなく、診断に適したCFM画像を得ることができる。
【0110】
上記実施の形態では、以下の発明も開示されている。
すなわち、超音波診断装置Aは、被検体に向けて超音波を送信するように超音波プローブ2を駆動するとともに、被検体内で反射された反射波に基づく受信信号を超音波プローブ2から受信して、超音波画像を生成し、表示する。超音波診断装置Aは、超音波プローブ2によって得られた受信信号から1フレーム分の動態データからなるフレームデータを生成するフレームデータ生成部31と、フレームデータに基づいて動態の状態を示すCFM画像を生成するCFM画像処理部32と、CFM画像を表示部17に表示させる表示処理部16と、を備える。動態データは、動態の流速を示す速度データVを含み、CFM画像処理部32は、速度データVに基づいてCFM画像を生成する場合に、速度データVの絶対値に対して多重解像度解析を利用した多重解像度処理を適用し、得られた結果に対して、元の速度データの符号を復元する。
また、超音波診断装置Aにおいて、多重解像度処理は、原画像LL(0)からの多重解像度分解、各スケールにおける画像処理、及び原画像LL(0)への再構成を含み、多重解像度分解は、ウェーブレット変換、カーブレット変換、ピラミッド変換のいずれか一つによって行われる。
これにより、速度データVのようにCFM画像に折り返しが生じうる場合でも、多重解像度処理において適切な結果が得られる。したがって、空間軸方向に安定したCFM画像を得ることができる。すなわち、動態描出の表現や安定性を向上でき、速度データが大きい場合でも適切なCFM表示を行うことができる。
【0111】
本発明は、超音波を利用してCFM画像により診断を行う場合に好適であるが、しこりの硬さを画像化したエラストグラフィー画像により診断を行う場合にも応用できる。
【0112】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0113】
A 超音波診断装置
1 超音波診断装置本体
2 超音波プローブ
11 送信部
12 受信部
13 ROI設定部
14 フレームデータ記憶部
15 受信データ記憶部
16 表示処理部
17 表示部
18 操作入力部
20 Bモード信号処理部
30 CFMモード信号処理部
31 フレームデータ生成部
32 CFM画像処理部
33 CFM画像変換部
40 制御部
321 ノイズ除去フィルター部
322 フレーム間メディアンフィルター処理部
323 空間フィルター処理部
324 多重解像度処理部
325 パーシスタンス処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11