【解決手段】本発明に係る吸収性物品1は、液透過性のトップシート10と、液不透過性のバックシート20と、トップシート10及びバックシート20の間に配置される吸収体30とを備え、吸収体30は、トウからなる繊維集合体32、フラッフパルプ33及び高吸収性ポリマー34が混入される吸収性コア31と、吸収性コア31を覆うキャリアシート35とを有するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に吸収性物品は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、トップシート及びバックシートの間に配置された吸収体と、で構成されており、これにより、尿などの体液は、トップシートを通って吸収体に吸収される。また、吸収体としては、フラッフパルプと高吸収性ポリマー(Super Absorbent Polymer;SAPとも称される)を含有する吸収性コアが、クレープ紙などのキャリアシートで包まれた態様が広く知られている。これらの吸収体は、フラッフパルプ短繊維及び高吸収性ポリマーを積繊ドラム上で積繊し、吸収性コアを作製した後に、キャリアシートに包まれることにより、形成される。
【0003】
一方で、フラッフパルプ短繊維の積繊体の代わりにフィラメント状の長繊維ウェブで構成されたトウ(繊維束)を開繊したもの(以下、トウからなる繊維集合体と称する)を吸収体に用いることが提案されている。フラッフパルプの代わりにトウからなる繊維集合体を用いることにより、柔軟性及び可撓性に優れる吸収体を得ることができる。また、柔軟性及び可撓性に優れる吸収体を用いることにより、衣服の下に吸収性物品を着用していることを目立たなくすることができ、フィット性も向上する。
【0004】
トウからなる繊維集合体を含有する吸収体を用いた吸収性物品として、例えば、特許文献1には、トウからなるフィラメントの集合体及び高吸収性ポリマーを有し、股間部の両側部以外の部分である主吸収部分に高吸収性ポリマーを有するとともに、股間部の両側部における高吸収性ポリマーの坪量が主吸収部分よりも少ないことを特徴とする吸収体を用いた吸収性物品が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、高吸収性ポリマーを含む長繊維ウェブと、高吸収性ポリマーを含むフラッフパルプ積繊層とを重ねた構造を有する吸収体が備えられる吸収性物品が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の吸収性物品では、吸収体は、フラッフパルプを用いることなく、トウからなる繊維集合体のみを用いるため、トウからなる繊維集合体の親水性は低く、それ自体の吸収速度はフラッフパルプよりも劣ることから、一度に多量の尿が排泄された場合には、吸収しきれずに、漏れが発生する場合があった。
【0008】
また、特許文献2に記載の吸収性物品では、吸収体は、長繊維ウェブとフラッフパルプ積繊層とを重ねた構造を有するため、フラッフパルプ積繊層により、吸収体全体の剛性が大きくなり、長繊維ウェブの柔軟性及び可撓性が損なわれ、良好な着用感が得られなくなる不具合があった。
【0009】
したがって、本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、本発明は、柔軟性及び可撓性に優れるというトウからなる繊維集合体を用いる利点を損なわずに、着用感を良好に維持し、かつ、吸収速度が良好な吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明に係る吸収性物品は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシート及び前記バックシートの間に配置される吸収体とを備える吸収性物品であって、前記吸収体は、トウからなる繊維集合体、フラッフパルプ及び高吸収性ポリマーが混入される吸収性コアと、前記吸収性コアを覆うキャリアシートとを有するものである。
【0011】
(2)上記構成(1)において、前記トウからなる繊維集合体、前記フラッフパルプ及び前記高吸収性ポリマーは、前記吸収性コアにほぼ均一に混入されることが好ましい。
【0012】
(3)上記構成(1)において、前記トウからなる繊維集合体及び前記フラッフパルプは、前記吸収性コアにほぼ均一に混入され、前記高吸収性ポリマーは、前記吸収性物品の長手方向及び幅方向のいずれか一方に関し、その分散密度が異なることが好ましい。
【0013】
(4)上記構成(1)から(3)のいずれか1つにおいて、前記トウからなる繊維集合体の坪量は、前記フラッフパルプの坪量よりも大きくなることが好ましい。
【0014】
(5)上記構成(1)から(4)のいずれか1つにおいて、前記トウからなる繊維集合体の構成繊維がセルロースアセテートからなる繊維であることが好ましい。
【0015】
(6)上記構成(1)から(5)のいずれか1つにおいて、前記フラッフパルプは、広葉樹クラフトパルプ及び針葉樹クラフトパルプの少なくとも一方であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、柔軟性及び可撓性に優れるトウからなる繊維集合体を用いる利点を損なわずに、着用感を良好に維持し、かつ、吸収速度が良好な吸収性物品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら発明を実施するための形態(以下、実施形態という)を詳細に説明する。また、実施形態の説明の全体を通して同じ要素に同じ符号を付する。なお、本明細書の説明において、吸収性物品1の長手方向とは、吸収性物品1が着用されたときに着用者の前後に亘る方向であり、図中、符号Yで示す方向である。また、吸収性物品1の幅方向とは、長手方向に対して横又は直交する方向であり、図中、符号Xで示す方向である。さらに、本明細書の説明において、身体側表面とは、各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側に配される面を指し、衣類側表面とは、各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面を指す。
【0019】
<吸収性物品>
まず、
図1及び
図2を参照しながら本実施形態に係る吸収性物品1を詳細に説明する。
図1は、本実施形態の吸収性物品1の平面図である。
図2は、
図1のX
1−X
1断面図である。
【0020】
本実施形態に係る吸収性物品1としては、軽失禁パッドが例示されるが、これに限定されるものではなく、軽失禁ライナー、生理用ナプキン、その他の吸収性物品であってもよい。
【0021】
図1に示すように、吸収性物品1は、身体側表面に配置された液透過性のトップシート10と、トップシート10に対向し、衣類側表面に配置された液不透過性のバックシート20と、トップシート10及びバックシート20の間に配置された吸収体30と、を備える。これにより、吸収体30は、トップシート10とバックシート20との間に挟まれた構造となっている。
【0022】
吸収性物品1の、長手方向の寸法は100mm以上400mm以下、幅方向の寸法は30mm以上110mm以下、であることが好ましい。吸収性物品1の寸法を上記の範囲に調整することにより、軽失禁パッド、軽失禁ライナー、生理用ナプキンなどに適した吸収性物品1を得ることができる。
【0023】
[トップシート]
トップシート10は、吸収体30に向けて体液を速やかに通過させるものであり、吸収体30を挟んで、バックシート20に対向して配置される。トップシート10は、肌と当接するシートとなることから、柔らかな感触で、肌に刺激を与えないような性質を有する、親水性不織布、開口ポリエチレンフィルムなどの開口性フィルム、ウレタンフォームなどの発泡フィルム又はこれらを積層した複合シートから形成される。なお、トップシート10は、単層であっても、複数層積層していてもよく、ドライタッチ性を付与するために多数の透孔が形成されていてもよい。
【0024】
また、上記のような性質を有する親水性不織布としては、ポリプロピレンやポリエチレンなどの合成繊維や、レーヨンなどの再生繊維、綿などの天然繊維を用いて、サーマルボンド法、エアスルー法、スパンレース法、スパンボンド法などの公知の加工法によって得られたものを用いることができる。
【0025】
トップシート10の坪量は、加工性及び強度の点から、13g/m
2以上40g/m
2以下であることが好ましい。トップシート10には、肌への刺激を低減させるために、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤などを塗布してもよい。
【0026】
[バックシート]
本実施形態に用いるバックシート20としては、液不透過性を有し、かつ、遮水性を有するシート材が用いられるが、ムレ防止のために透湿性を有していてもよい。このような特性を有するバックシート20の材料としては、例えば、ポリエチレンシートやポリエチレンラミネート不織布などの厚みの薄いプラスチックシートを挙げることができる。なお、バックシート20の坪量は、加工性及び強度の点から、15g/m
2以上60g/m
2以下であることが好ましい。
【0027】
なお、図示しないが、バックシート20の衣類側表面には、着用時に下着などに吸収性物品1を固着するための粘着剤層が設けられていてもよい。また、吸収性物品1が粘着剤層を有する場合、粘着剤層を保護するための剥離シートを有していてもよく、この剥離シートは、吸収性物品1の包装シートと部分的に接合されていてもよい。
【0028】
[吸収体]
図2に示すように、本実施形態の吸収性物品1に用いる吸収体30は、平面視において、略正方形又は略長方形に形成されるものであり、吸収体30の厚みは、吸収速度を良好にしつつ、着用感を損なわないように1.5mm以上6.0mm以下であることが好ましい。また、吸収体30の、長手方向の寸法は95mm以上395mm以下、幅方向の寸法は25mm以上105mm以下であることが好ましい。
【0029】
また、吸収体30は、トウからなる繊維集合体32、フラッフパルプ33及び高吸収性ポリマー34が混入される吸収性コア31と、吸収性コア31を包むように覆うキャリアシート35とを有している。
【0030】
このように、吸収性コア31は、トウからなる繊維集合体32及び少なくともフラッフパルプ33の両方を含有するため、トウからなる繊維集合体32により、吸収体30に柔軟性及び可撓性を付与することができ、フラッフパルプ33の優れた液拡散性により、吸収速度を向上させることができる。
【0031】
トウからなる繊維集合体32及びフラッフパルプ33は、吸収性コア31にほぼ均一に混入されることが好ましい。これにより、吸収体30にむらなく均一の柔軟性及び可撓性を付与することができるとともに、尿などの体液をむらなく均一に吸収体30全体に拡散することができる。
【0032】
トウからなる繊維集合体32は、トウを開繊した長繊維フィラメントの集合体であり、長繊維の配向方向が揃うように収束されている。本実施形態においては、長繊維の配向方向が、吸収性物品1の長手方向となるように、配置することが好ましい。例えば、連続フィラメントのトウを開繊し、適当な長さに切断することで、長繊維の束から構成された繊維集合体を製造することができる。
【0033】
トウからなる繊維集合体32の基材としては、綿などに由来する天然セルロース、レーヨンなどの再生セルロース、セルロースアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン、PETなどを用いることができ、これらの中でも、綿などに由来する天然セルロース、レーヨンなどの再生セルロース、セルロースアセテートを用いることが好ましく、嵩高さを得やすく、吸収体30に柔軟性及び可撓性を付与できる、セルロースアセテートを用いることがより好ましい。
また、トウからなる繊維集合体32の繊度は、特に限定されないが、吸収性コア31が所望の性能を発揮し、使用上十分な強度を有するようにする点から、例えば、0.1dtex以上10dtex以下であればよい。
【0034】
また、トウからなる繊維集合体32において、繊維間の絡みが弱いため、絡みを融着して固定させる目的で、バインダーを用いることが好ましい。バインダーとしては、トリアセチンなどを用いることができる。
【0035】
本実施形態において、トウからなる繊維集合体32の坪量は、40g/m
2以上300g/m
2以下である。トウからなる繊維集合体32の坪量が上記の範囲であることにより、吸収性を担保できる程度にフラッフパルプ33及び高吸収性ポリマー34を担持でき、柔軟性及び可撓性に優れる吸収体30を得ることができる。トウからなる繊維集合体32の坪量が300g/m
2を超えると、吸収体30の厚みを薄くする際の圧縮の度合いが大きくなり、トウからなる繊維集合体32の本来の柔軟性及び可撓性が損なわれるため好ましくない。また、トウからなる繊維集合体32の坪量は、60g/m
2以上200g/m
2以下であることが好ましい。
【0036】
フラッフパルプ33としては、木材パルプ、合成繊維、ポリマー繊維、非木材パルプなどを綿状に開繊したものを挙げることができるが、親水性、保水性及びコストの観点から、広葉樹クラフトパルプ及び/又は針葉樹クラフトパルプを開繊したものを用いることが好ましく、繊維長がより短く、より柔らかく、コストがより安価である広葉樹クラフトパルプを用いることがより好ましい。
【0037】
本実施形態において、吸収性コア31に含まれるフラッフパルプ33の坪量は、30g/m
2以上200g/m
2以下である。吸収性コア31に含まれるフラッフパルプ33の坪量を上記の範囲にすることにより、吸収体30に、柔軟性及び可撓性に優れるトウからなる繊維集合体32を用いることによる利点を損なわずに、着用感を良好に維持し、かつ、吸収体30全体としての吸収速度を向上させることができる。換言すると、フラッフパルプ33の坪量が大きすぎると、吸収体30全体としての、柔軟性及び可撓性が低下してしまう。また、フラッフパルプ33の坪量は、40g/m
2以上160g/m
2以下であることが好ましい。
【0038】
また、本実施形態において、トウからなる繊維集合体32の坪量は、フラッフパルプ33の坪量よりも大きくなることが好ましく、トウからなる繊維集合体32に対するフラッフパルプ33の坪量比は、0.6以上1.0未満であることがより好ましい。これにより、柔軟性及び可撓性に優れるトウからなる繊維集合体32を用いることによる利点を確実に維持することができる。
【0039】
高吸収性ポリマー34としては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸ナトリウム系、ポリアスパラギン酸塩系、(デンプン−アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物などの材料から形成されたものを使用することができる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸ナトリウム系が好ましい。
【0040】
また、本実施形態において、高吸収性ポリマー34は、吸収性物品1の幅方向に関し、その坪量(すなわち、分散密度)が異なるように形成されている。
図2に示すように、吸収性コア31は、幅方向における一方側(
図2の左側)に位置付けられるとともに幅方向の寸法が7.5mm以上32.5mm以下である領域Aと、幅方向における他方側に位置付けられるとともに幅方向の寸法が7.5mm以上32.5mm以下である領域B(
図2の右側)と、領域A及び領域Bの間に位置付けられるとともに幅方向の寸法が10mm以上40mm以下である領域Cとを有している。そして、領域Aにおける高吸収性ポリマー34の坪量と領域Bにおける高吸収性ポリマー34の坪量とは、同じであり、かつ、領域Cにおける高吸収性ポリマー34の坪量よりも大きくなっている。
【0041】
なお、本実施形態において、領域Aにおける高吸収性ポリマー34の坪量と領域Bにおける高吸収性ポリマー34の坪量とは、同じであり、かつ、領域Cにおける高吸収性ポリマー34の坪量よりも大きくなっているが、これに限定されるものではなく、例えば、領域Aにおける高吸収性ポリマー34の坪量と領域Bにおける高吸収性ポリマー34の坪量とは、異なる場合であっても、両者の高吸収性ポリマー34の坪量が領域Cにおける高吸収性ポリマー34の坪量よりも大きくなっていればよい。
【0042】
このように、吸収性コア31の両側に位置付けられる領域A,Bにおける高吸収性ポリマー34の坪量を、吸収性コア31の中央に位置付けられる領域Cにおける高吸収性ポリマー34の坪量よりも大きくすることで、尿などの体液を吸収して膨潤した高吸収性ポリマー34は、領域により膨潤の差が生じ、各領域の境目に膨潤の差による体液の流路が形成され、吸収体30全体の吸収速度が向上するとともに、吸収性物品1の両側からの体液の漏れを確実に抑制することができる。
【0043】
具体的には、領域A及び領域Bにおける高吸収性ポリマー34の坪量は、いずれも、40g/m
2以上450g/m
2以下であることが好ましく、領域Cにおける高吸収性ポリマー34の坪量は、0g/m
2以上150g/m
2以下であることが好ましい。
【0044】
キャリアシート35は、吸収性コア31の全体を包むように覆っていてもよいし、上下から挟持するように覆っていてもよい。キャリアシート35が吸収性コア31を覆うことにより、吸収性コア31の形状を維持することができ、加えて、高吸収性ポリマー34が吸収体30の外へ漏れることを防止することができる。キャリアシート35としては、ティシュ、吸収紙、スパンボンド不織布やエアレイド不織布などの親水性不織布を挙げることができ、液拡散性、保水性、コストの観点からティシュを用いることが好ましく、キャリアシート35の坪量は、強度と装着感の観点から、10g/m
2以上40g/m
2以下とすることが好ましく、15g/m
2以上20g/m
2以下とすることがより好ましい。
【0045】
吸収性コア31が、トウからなる繊維集合体32の構成繊維の配向方向に略平行に設けられた圧搾溝を少なくとも2本有することが好ましい。吸収性コア31に上記の圧搾溝を設けることにより、吸収体全体としての吸収速度をより向上させることができる。
【0046】
[立体ギャザー]
吸収性物品1の身体側表面には、立体ギャザーが設けられていることが好ましい(図示しない)。この立体ギャザーは、トップシート10とともに体液の閉じ込め空間を形成し、体液の漏れを防止できるようになっている。立体ギャザーは、立体ギャザーシートと、立体ギャザーシートの自由端部に沿って配された伸縮性弾性部材と、を備えていることが好ましい。伸縮性弾性部材としては、天然ゴム、合成ゴム、及びポリウレタンなどからなる、糸状、紐状、平型形状のものを適宜使用することができる。
【0047】
<吸収性物品の製造方法>
吸収性物品1の製造方法としては、特に限定はなく、従来公知の方法を採用することができ、例えば、衣類側から、バックシート20、吸収体30、トップシート10の順に積層し、トップシート10とバックシート20とを一部又は全周に亘ってホットメルト接着剤やヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボスなどを用いて固定することで製造することができる。そして、これを包装体に個別包装した後、長手方向に3つ折りにして折り畳めばよい。
【0048】
以上、本発明を、実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態の範囲には限定されないことは言うまでもなく、上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0049】
(変形例)
つぎに、
図3を参照しながら変形例の吸収性コア31を詳細に説明する。
図3は、変形例の吸収性コア31の縦断面図である。
【0050】
上記実施形態において、吸収性コア31の高吸収性ポリマー34は、吸収性物品1の幅方向に関し、その分散密度が異なるように形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、その分散密度がほぼ同じである(すなわち、ほぼ均一に吸収性コア31に混入される)ように形成されてもよい。
【0051】
また、上記実施形態において、吸収性コア31の高吸収性ポリマー34は、吸収性物品1の幅方向に関し、その分散密度が異なるように形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、吸収性物品1の長手方向に関し、その分散密度が異なるように形成されてもよい。
【0052】
この場合、
図3に示すように、吸収性コア31は、長手方向における一端(
図3の左側)に位置付けられるとともに長手方向の寸法が27.5mm以上157.5mm以下である領域Dと、長手方向における他端に位置付けられるとともに長手方向の寸法が27.5mm以上157.5mm以下である領域E(
図3の右側)と、領域D及び領域Eの間に位置付けられるとともに長手方向の寸法が40mm以上80mm以下である領域Fとを有している。そして、領域Dにおける高吸収性ポリマー34の坪量と領域Eにおける高吸収性ポリマー34の坪量とは、同じであり、かつ、領域Fにおける高吸収性ポリマー34の坪量よりも大きくなっている。
【0053】
なお、本実施形態において、領域Dにおける高吸収性ポリマー34の坪量と領域Eにおける高吸収性ポリマー34の坪量とは、同じであり、かつ、領域Fにおける高吸収性ポリマー34の坪量よりも大きくなっているが、これに限定されるものではなく、例えば、領域Dにおける高吸収性ポリマー34の坪量と領域Eにおける高吸収性ポリマー34の坪量とは、異なる場合であっても、両者の高吸収性ポリマー34の坪量が領域Fにおける高吸収性ポリマー34の坪量よりも大きくなっていればよい。
【0054】
このように、吸収性コア31の両端に位置付けられる領域D,Eにおける高吸収性ポリマー34の坪量を、吸収性コア31の中央に位置付けられる領域Fにおける高吸収性ポリマー34の坪量よりも大きくすることで、尿などの体液を吸収して膨潤した高吸収性ポリマー34は、領域により膨潤の差が生じ、各領域の境目に膨潤の差による体液の流路が形成され、吸収体30全体の吸収速度が向上するとともに、吸収性物品1の両端からの体液の漏れを確実に抑制することができる。
【0055】
具体的には、領域D及び領域Eにおける高吸収性ポリマー34の坪量は、いずれも、40g/m
2以上450g/m
2以下であることが好ましく、領域Fにおける高吸収性ポリマー34の坪量は、0g/m
2以上150g/m
2以下であることが好ましい。