特開2019-217265(P2019-217265A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-217265(P2019-217265A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】消火システム、及び、その方法
(51)【国際特許分類】
   A62C 3/08 20060101AFI20191129BHJP
【FI】
   A62C3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2019-91333(P2019-91333)
(22)【出願日】2019年5月14日
(31)【優先権主張番号】15/985,141
(32)【優先日】2018年5月21日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】コニー フン
(72)【発明者】
【氏名】リタ ジェイ.オランダ−
(72)【発明者】
【氏名】ジョン エー.ウェイドラー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】航空機の消火システムにおいてハロン1301の代替消火剤の沸点以下の低温環境での消火性能を改善する。
【解決手段】消火システム200は、消火剤250を貯蔵するように構成された流体貯蔵容器210A,210Bと、流体貯蔵容器210A,210Bに接続された流体流分離装置290と、を含む。消火剤250は、流体貯蔵容器210A,210Bから流体流分離装置290を通過し、流体流分離装置290は、当該流体流分離装置290を流れる消火剤250の少なくとも一部の温度を、流体流分離装置290の吐出位置の周囲環境条件で、消火剤250の沸点よりも高い温度まで上昇させる。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火剤を貯蔵するように構成された流体貯蔵容器と、
前記流体貯蔵容器に接続された流体流分離装置と、を含み、前記消火剤は、前記流体貯蔵容器から前記流体流分離装置を通過し、前記流体流分離装置は、当該流体流分離装置を流れる前記消火剤の少なくとも一部の温度を、前記流体流分離装置の吐出位置の周囲環境条件で、前記消火剤の沸点よりも高い温度まで上昇させる、消火システム。
【請求項2】
前記流体流分離装置は、消火剤吐出位置に設けられており、前記消火剤吐出位置で前記消火剤を吐出するための少なくとも1つの一体型吐出ノズルを含む、請求項1に記載の消火システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの一体型吐出ノズルは、気体吐出口、及び、液体吐出口のうちの一方又は両方を含む、請求項2に記載の消火システム。
【請求項4】
前記流体流分離装置に接続された少なくとも1つの吐出ノズルをさらに含み、当該少なくとも1つの吐出ノズルは、消火剤吐出位置に設けられている、請求項1〜3のいずれか1つに記載の消火システム。
【請求項5】
前記流体流分離装置は、
前記消火剤のうち温度が前記沸点を超える前記部分を、消火のために、空気流に対して、気体及び液体のいずれか一方の形態で吐出し、
前記消火剤のうち温度が前記沸点よりも低い他の部分を、冷却対象の表面に対して、気体及び液体のうちのいずれか一方の形態で吐出する、ように配置されている、請求項1〜4のいずれか1つに記載の消火システム。
【請求項6】
前記流体流分離装置は、少なくとも1つの固定弁を含み、当該少なくとも1つの固定弁は、前記流体流分離装置を流れるとともに温度が前記消火剤の前記沸点を超える前記消火剤の前記部分と、前記流体流分離装置を流れるとともに温度が前記消火剤の前記沸点よりも低い前記消火剤の他の部分との間の温度差を画定する、請求項1〜5のいずれか1つに記載の消火システム。
【請求項7】
前記流体流分離装置は、少なくとも1つの可動弁を含み、当該少なくとも1つの可動弁は、前記流体流分離装置の出口寸法を変化させることにより、前記流体流分離装置を流れるとともに温度が前記消火剤の前記沸点を超える前記消火剤の前記部分と、前記流体流分離装置を流れるとともに温度が前記消火剤の前記沸点よりも低い前記消火剤の部分との間の温度差を変化させる、請求項1〜6のいずれか1つに記載の消火システム。
【請求項8】
前記流体流分離装置は、当該流体流分離装置を流れる前記消火剤を、気体成分と液体成分とに機械的に分離するように構成されており、前記気体成分は、前記消火剤の前記沸点よりも高い温度を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の消火システム。
【請求項9】
前記流体流分離装置は、当該流体流分離装置を流れる前記消火剤の1つ以上の所定の特性を手動で調節できるように構成されている、請求項1〜8のいずれか1つに記載の消火システム。
【請求項10】
前記流体流分離装置は、当該流体流分離装置を流れる前記消火剤の1つ以上の所定の特性を自動で調節できるように構成されている、請求項1〜9のいずれか1つに記載の消火システム。
【請求項11】
消火システムを使用する方法であって、
流体貯蔵容器に消火剤を貯蔵することと、
前記流体貯蔵容器に接続された流体流分離装置を用いて、当該流体流分離装置を流れる前記消火剤を、高温吐出成分と低温吐出成分とに機械的に分離することと、を含み、前記高温吐出成分は、前記流体流分離装置の吐出位置の周囲環境条件で、前記消火剤の沸点よりも高い温度を有する、方法。
【請求項12】
前記消火剤が前記消火システムから吐出されると、エンタルピーの保存によって、前記高温吐出成分の少なくとも一部の温度を、前記沸点よりも高い温度まで上昇させることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記消火剤のうちの温度が前記沸点を超える前記高温吐出成分を、消火のために、エンジンに隣接する空気流に対して、気体及び液体のいずれか一方の形態で吐出することと、
前記消火剤のうちの温度が前記沸点よりも低い前記低温吐出成分を、前記エンジンの冷却対象の表面に対して、気体及び液体のうちのいずれか一方の形態で吐出することと、をさらに含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記1つ以上の流体流分離装置を流れる前記消火剤の温度を調節することをさらに含む、請求項11〜13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上の流体流分離装置を流れる前記消火剤の質量流量を調節することをさらに含む、請求項11〜14のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的な実施形態は、概して、消火システムに関し、より具体的には、ボルテックスチューブ(vortex tubes)を用いて、低温環境における消火剤の性能を高める消火システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、民間航空機における消火システムは、消火剤としてハロン1301(Halon 1301)を使用している。現在、ハロン1301は、環境上の理由により全ての産業における使用が段階的に廃止されつつある。ハロン1301の沸点は約−71°F(−57℃)である。ハロン1301に代わる消火剤が研究されているが、代替する消火剤の沸点は、ハロン1301よりも高い場合がある。代替消火剤の沸点が高い場合、代替消火剤の沸点以下の低温環境において、代替消火剤の性能に影響が及ぶ場合がある。
【発明の概要】
【0003】
したがって、上述した課題のうちの少なくとも1つ以上に対処するよう意図された装置及び方法が有用であろう。
【0004】
以下において、本開示による技術事項についての例を網羅的ではない態様で列挙しているが、これらの例には、特許請求の範囲に記載されているものも、いないものも含まれうる。
【0005】
本開示による要旨の一例は、消火システムに関する。当該消火システムは、消火剤を貯蔵するように構成された流体貯蔵容器と、前記流体貯蔵容器に接続された流体流分離装置と、を含む。前記消火剤は、前記流体貯蔵容器から前記流体流分離装置を通過し、前記流体流分離装置は、当該流体流分離装置を流れる前記消火剤の少なくとも一部の温度を、前記流体流分離装置の吐出位置の周囲環境条件で、前記消火剤の沸点よりも高い温度まで上昇させる。
【0006】
本開示による要旨の他の例は、エンジンを有するビークルのための消火システムに関する。当該消火システムは、消火剤を貯蔵するように構成された流体貯蔵容器と、前記流体貯蔵容器に接続された流体流分離装置と、を含む。前記流体流分離装置は、当該流体流分離装置を流れる前記消火剤を、高温吐出成分と低温吐出成分とに機械的に分離するように構成されており、前記高温吐出成分は、前記流体流分離装置の吐出位置の周囲環境条件で、前記消火剤の沸点よりも高い温度を有する。
【0007】
本開示による要旨のさらに他の例は、消火システムを使用する方法に関する。当該方法は、流体貯蔵容器に消火剤を貯蔵することと、前記流体貯蔵容器に接続された流体流分離装置を用いて、当該流体流分離装置を流れる前記消火剤を、高温吐出成分と低温吐出成分とに機械的に分離することと、を含み、前記高温吐出成分は、前記流体流分離装置の吐出位置の周囲環境条件で、前記消火剤の沸点よりも高い温度を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
一般的な文言による本開示の実施例の説明は以上のとおりである。次に、添付図面について言及するが、これらの図面は、必ずしも正確な縮尺にしたがっておらず、また、複数の図面にわたって、同一又は類似の部品については同じ参照符号で示している。
【0009】
図1】本開示の実施態様による、航空機を示す概略等角図である。
図2A】本開示の実施態様による、例示的な消火システムを示す概略図である。
図2B】本開示の実施態様による、例示的な消火システムを示す概略図である。
図3A】本開示の実施態様による、図1に示す航空機の一部(例えば、エンジン)を示す概略等角図である。
図3B】本開示の実施態様による、図3Aに示すエンジンの一部を示す例示的な等角切欠図である。
図4A】本開示の実施態様による、図2A及び図2Bのうちのいずれか一方に示す消火システムの一部を示す概略図である。
図4B-4C】本開示の実施態様による、図2A及び図2Bのうちのいずれか一方に示す消火システムの流体流分離装置の例を示す図である。
図5】本開示の実施態様による、図2A及び図2Bのうちのいずれか一方に示す消火システムの流体流分離装置の例を示す図である。
図6A】本開示の実施態様による、図2A及び図2Bのうちのいずれか一方に示す消火システムの流体流分離装置の例を示す図である。
図6B】本開示の実施態様による、図2A及び図2Bのうちのいずれか一方に示す消火システムの流体流分離装置の例を示す図である。
図6C】本開示の実施態様による、図2A及び図2Bのうちのいずれか一方に示す消火システムの流体流分離装置の例を示す図である。
図7】本開示の実施態様による方法を示す例示的なフロー図である。
図8】本開示の実施態様による方法を示す例示的なフロー図である。
図9A-9B】本開示の実施態様による、消火システムの例示的な出口平面を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1図2A、及び、図2Bを参照すると、本開示の実施態様においては、周囲温度が、使用される消火剤250の沸点以下である環境で利用される、消火システム200が提供される。本開示の実施態様は、新しいビークルに組み込んでもよいし、既存の消火システム用マニホールドに取り付けることによって既存のビークルに後付けしてもよい。本明細書に記載される消火システム200は、(低温環境条件を含む)周囲環境条件の下での動作を可能にさせ、例えば、当該消火システム200で使用される消火剤250の沸点付近の温度又はそれより低い温度を含む低温環境において動作することができる。本明細書において、「沸点」との用語は、消火剤250が消火システム200(出口平面900A〜900E;図9A及び図9Bを参照)から吐出され、例えば、エンジンコンパートメント115(又は、他の適切なコンパートメント)に入り、周囲環境に晒されたときの、消火剤250の沸点を指す。消火システム200の少なくとも一部における温度は、周囲温度と実質的に同じである場合があるが、消火システム200の上記一部における消火剤250の圧力及び速度は、消火システム200の上記一部において消火剤250を液状にするのに十分なものである。
【0011】
消火システム200は、消火剤250の沸点よりも高い温度まで、消火剤の温度を機械的に上昇させる。例えば、消火システム200は、約−65°F(−54℃)以下の温度での低温環境動作を提供する。消火システム200で使用可能な消火剤の例には、限定するものではないが、ハロン1301(約−71°F、すなわち約−57℃の沸点を有する)、HFC−125(ペンタフルオロエタン、約−55°F、すなわち約−48℃の沸点を有する)、CF3I(トリフルオロヨードメタン、約−9°F、すなわち約−23℃の沸点を有する)、ノベック(登録商標)1230(3M(登録商標)社により製造され、約120°F、すなわち約49℃の沸点を有する)、及び、重炭酸ナトリウム(NaHCO3)などの任意の適切な消火剤(又は、その混合物)が含まれる。
【0012】
消火システム200は、加圧流体貯蔵容器210P内に液体状で貯蔵されている消火剤250を使用する。加圧流体貯蔵容器210Pは、消火剤250を約100psiから約300psiの圧力で、或いは、約500psi以上の圧力で貯蔵するように構成されている。消火システム200は、当該消火システム200から消火剤250が吐出されると、受動的に当該消火剤250を加熱し、これによって、液状の消火剤250を消火のために気化させ、まき散らす。消火剤250の受動加熱は、流体流分離装置290(例えば、ランク・ヒルシュ・ボルテックスチューブ(Ranque-Hilsch vortex tube)としても知られるボルテックスチューブ260)を用いて機械的に行われる。当該流体流分離装置は、可動部や電気部品を使用せず、当該装置を通過する消火剤250の流体流600(図6)を動力源とする。ボルテックスチューブ260を通過する流体流600(例えば、高速流体流)の運動エネルギーは、熱エネルギーに変換され、このエネルギーが、流体流の少なくとも一部の温度を上昇させるため、結果として、ボルテックスチューブ260において、高温周縁流体流渦600HV(図6)及び低温軸流体流渦600CV(図6)が生成される。本開示の態様においては、消火剤250を高温吐出成分250H(図6)と低温吐出成分250C(図6)(高温吐出成分250Hは、低温吐出成分250Cよりも温度が高い)とに機械的に分離することにより、高温表面を冷却して消火を行う。消火剤250の機械的分離により、高温吐出成分250Hの温度が上昇して、いくつかの態様(以下に示す「表1」を参照)においては、低温環境(例えば、約−65F°(−54℃)以下の周囲温度)において当該消火剤を気化させることができる。表1に関して以下に説明するように、高温吐出成分250H、及び、低温吐出成分250Cは、液体状であってもよいし、気体状であってもよい。
【0013】
以下に、本開示による技術事項について説明するための例を網羅的でない態様で列挙するが、これらの例は、特許請求の範囲に記載されているものと記載されていないものとがある。
【0014】
本開示の実施態様によれば、消火システム200は、例えば、住居、ビークル(例えば、陸上用、海上用、水中用、航空宇宙用など)、屋外環境、商業的又は工業的(屋内又は屋外)環境などの任意の適切な用途で用いることができる。説明を容易にするために、図1に示すビークル100を用いて本開示の態様を説明する。ビークル100は、固定翼航空機として示されているが、上述したように他の適切なビークルであってもよい。ビークル100は、フレーム100Fを有する胴体102と、翼106と、エンジン108とを含む。エンジン108は、パイロン110によって翼106に接続されており、ナセル112を含む。各ナセル112は、それぞれのエンジン108のファン127及びコア126が配置されたエンジンコンパートメント115を形成している。エンジンコンパートメント115内には、1つ以上の火気ゾーン118(例えば、所定領域。図1図2A、及び、図3Bを参照)が設けられており、各火気ゾーン118には、消火システム200の1つ以上の吐出口(一体型吐出口、及び/又は、遠隔吐出口)が設けられている。ビークル100は、さらに、当該ビークル100の補助動力ユニットコンパートメント130に設けられた補助動力ユニット135を含む場合がある。補助動力ユニット135は、エンジン108が動作していない場合に、航空機のコンポーネント(例えば、電気システム、油圧システム、換気システムなど)が使用する補助動力を生成するための任意の適切な機上エンジンであってもよい。
【0015】
図2Aを参照すると、消火システム200は、流体貯蔵容器210A、210Bと、1つ以上の流体流分離装置290とを含む。図2Aには2つの流体貯蔵容器210A、210Bが図示されているが、2つの流体貯蔵容器210A、210Bよりも多い数、又は、少ない数の流体貯蔵容器を設けることもできる。流体貯蔵容器210A、210Bは、任意の適切な態様で消火剤250を貯蔵するように構成される。例えば、流体貯蔵容器210A、210Bは、(使用する消火剤250の沸点などの特性に応じて)極低温流体、又は、非極低温流体の態様で消火剤250を貯蔵する加圧容器210Pである。流体貯蔵容器210A、210Bは、当該流体貯蔵容器210A、210Bに消火剤250を充填するため、及び、流体貯蔵容器210A、210Bからの余分な圧力を逃がすための、任意の適切な流体入口211と圧力逃がし部212とを含む。
【0016】
1つ以上の流体流分離装置290は、任意の適切な方法で流体貯蔵容器210A、210Bに接続されている。例えば、1つ以上の流体流分離装置290と流体貯蔵容器210A、210Bとの接続は、任意の適切な導管240、241によって行われ、消火剤250は、流体貯蔵容器210A、210Bから、それぞれの導管240、241を通って、1つ以上の流体流分離装置290へと移動する。一態様においては、1つ以上の流体流分離装置290は、それぞれボルテックスチューブ260を含む。ここで、1つ以上の流体流分離装置290は、消火剤250がそれぞれの流体流分離装置290を通過し、それぞれの流体流分離装置290が、当該流体流分離装置290を流れる消火剤250の少なくとも一部610(図6)の温度を概ね消火剤250の沸点以上に上昇させるように、構成されている。消火剤250において温度が当該消火剤250の沸点を超える部分610は、気体又は液体としてそれぞれの流体分離装置290から吐出され、消火剤250において温度が当該沸点を下回る部分611(図6A)もまた、気体又は液体としてそれぞれの流体分離装置290から吐出される。以下の表1A、表1B、及び、表1C(まとめて表1と呼ぶ)は、消火システム200の周囲環境への出口(例えば、それぞれの出口平面900A〜900Eにあるもの。図9A及び図9Bにおける、高温出口開口部620及び低温出口開口部650を参照)を含む、流体流分離装置290の様々な位置における、消火剤250の状態(すなわち、気体又は液体)を示す。ただし、表1は、考えられる状態を網羅的に列挙しているわけではない。

【表1A】
【表1B】
【表1C】
【0017】
表1において、「低温ボトル」とは、約−65°F(−54℃)から消火剤250の沸点に近い温度で消火剤250を収容する流体貯蔵容器210A、210Bを指す。「低温コンパートメント」は、室内の温度が、約−65°F(−54℃)から消火剤250の沸点に近い温度であるコンパートメント115を指す。「超低温」なる用語は、約−65°F(−54℃)よりも低い温度を指す。「温暖」という用語は、温度が消火剤250の沸点を超えることを指す。一例として、表1に関しては、エンジンコンパートメント115、及び、流体貯蔵容器210A、210Bの温度が約−65°F(−54℃)の場合、低温軸流体流渦600CV(例えば、低温流体流)と高温周縁流体流渦600HV(例えば、高温流体流)とに分離され、その際、高温出口開口部620における高温周縁流体流渦600HVが、使用箇所(point of use)(例えば、エンジンコンパートメント115)の周囲環境において消火剤250の沸点よりも高い温度となり、エンジンコンパートメント115において気体となる一方で、低温出口開口部650における低温軸流体流渦600CVが、消火剤250の沸点よりも低い温度となり、低温軸流体流渦600CVから高温周縁流体流渦600HVへのエネルギー抽出により、エンジンコンパートメント115において液体となるように、分離が行われる。
【0018】
図1及び図2Aを参照すると、消火システム200は、ビークル100における1つ以上のエンジン108に対して消火剤250を使用するように構成されている。図2Aにおいては、1つ以上の流体流分離装置290は、エンジンコンパートメント115の各々に設けられている。1つ以上の流体流分離装置290は、消火剤250のうち温度が沸点を超える部分610(図6)を吐出するように配置されており、消火剤250は、気体270の形態で、1つ以上の火気ゾーン118(図3A)内の空気流300(図3A)に吐出されて、エンジン108の内部を通過、或いは当該エンジンの周りを通過し、エンジンコンパートメント115を通過して、これにより消火が行われる。一態様においては、1つ以上の流体流分離装置290は、消火剤250のうち温度が沸点を超える部分610(図6)を(例えば、エンジンコンパートメント115における気体270として)、空気流300(図3A)に垂直な方向に、当該空気流300(図3A)に対して吐出するように配置される。また、他の態様においては、流体流分離装置290は、消火剤250の部分610(図6)を、空気流300(図3A)に対して任意の適切な角度で吐出するように配置される。一態様においては、1つ以上の流体流分離装置290はまた、消火剤250のうちの他の、温度が沸点よりも低い部分611(図6)を、液体271として、コア126の表面126Sなどの冷却対象表面に対して吐出するようにも配置されている。他の態様においては、他の部分611を、エンジン108における任意の適切な部分に対して吐出してもよい。
【0019】
例えば、図3A及び図3Bを参照すると、ビークルのスターボード側のエンジン108は、単なる例として示されている。1つ以上の流体流分離装置290は、エンジン108の前側に隣接してエンジンコンパートメント115内(例えば、火気ゾーン118)に設けられてもよく、他の1つ以上の流体流分離装置290は、エンジン108の後側に隣接してエンジンコンパートメント115内に設けられてもよい。図3Bに示す1つ以上の流体流分離装置290は、エンジン108のポート側に設けられているが、1つ以上の流体流分離装置290は、エンジン108のスターボード側にも設けることができる。1つ以上の流体流分離装置290の各々は、それぞれの消火剤吐出位置301、302、303において、エンジン108(又は、補助動力ユニット135)に隣接して設けられており、消火剤吐出位置301、302、303で消火剤250を吐出するための少なくとも1つの一体型吐出ノズル601、602(図6A、6B、6C)を含む。少なくとも1つの一体型吐出ノズル601、602(図6A、6B、6C)は、第1吐出口603(図6A)と第2吐出口604(図6A)とを含む。
【0020】
他の態様においては、図5に示すように、1つ以上の流体流分離装置290に対して、任意の適切な態様で、少なくとも1つの遠隔吐出ノズル501、502を接続してもよい。例えば、少なくとも1つの遠隔吐出ノズル501、502と、1つ以上の流体流分離装置290のそれぞれの一体型吐出ノズル601、602(図6)との接続は、任意の適切な導管510、520を用いて行ってもよい。少なくとも1つの遠隔吐出ノズル501のうちの1つ又は複数(図4Aを参照)は、消火剤250を気体状に吐出するために1つ以上の流体流分離装置290に接続されており、少なくとも1つの遠隔吐出ノズル502のうちの他の1つ又は複数(図4Aを参照)は、消火剤250を液体状に吐出するために1つ以上の流体流分離装置290に接続されている。ここでは、少なくとも1つの遠隔吐出ノズル501、502の使用により、1つ以上の流体流分離装置290が入り込めない空間において当該少なくとも1つの遠隔吐出ノズル501、502を配置することができる。また、少なくとも1つの遠隔吐出ノズル501、502の使用により、第1吐出口603と第2吐出口604との間の離間距離を大きくすることもできる。少なくとも1つの遠隔吐出ノズル501、502の各々は、関連する1つ以上の流体流分離装置290に代えて、消火剤吐出位置(例えば、消火剤吐出位置301、302、303のうちの1つ又は複数)に設けることもできる。遠隔吐出ノズル501、502は、一体型吐出ノズル601、602のそれぞれに接続されることが図示されているが、他の態様においては、遠隔吐出ノズル501、502は、一体型吐出ノズル601、602のうちの一方にのみ接続されてもよい。
【0021】
図1及び2Bを参照すると、消火システム200は、ビークル100の補助動力ユニット135(又は、他の適切な特徴部及び/又は領域)に対して消火剤250を使用するように構成されている。例えば、図2Bにおいては、1つ以上の流体流分離装置290が、補助動力ユニットコンパートメント130に設けられている。ここで、1つ以上の流体流分離装置290は、消火剤250のうちの温度が沸点を超える部分610(図6)を気体270として、補助動力ユニットコンパートメント130に対して消火のため吐出するように配置されている。1つ以上の流体流分離装置290はまた、消火剤250のうちの、他の温度が沸点よりも低い部分611(図6)を液体271として、補助動力ユニット135の表面135Sなどの冷却対象表面に対して吐出するようにも構成されている。1つ以上の流体流分離装置290は、エンジンコンパートメント115に関して本明細書で記載したものと実質的に同様の態様で、補助動力ユニットコンパートメント130に設けることができる。
【0022】
図2A及び図4Aを参照すると、導管240、241は、1つ以上の流体流分離装置290のうち任意の適切な数の流体流分離装置を流体貯蔵容器210A、210Bに接続するのに適した構成を有しうる。例えば、単なる例として図4Aに示す導管241を参照すると(導管240も同様の構成を有しうる)、導管241は、1つ以上の流体流分離装置290を接続可能な1つ以上の分岐ライン400、401、402、403、404を含む。例えば、分岐ライン401が、エンジンの前方ポート側(図3B)に延在し、分岐ライン400が、エンジン108の前方スターボード側(図3B)に延在することで、分岐ライン400、401は、エンジン108を拡張している。分岐ライン402、403、404は、エンジン108の後側に隣接して、コア126の周辺(例えば、スターボード側、ポート側、下側、及び/又は、上側)に設けられている。
【0023】
図4B、4C、6A、6B、及び、6Cを参照すると、1つ以上の流体流分離装置290のうちの少なくとも1つは、当該1つ以上の流体流分離装置290が動作する際の圧力(例えば、約100psiを超える入口662の圧力)及び温度に耐えるように構成された任意の適切な材料で作製されている。例えば、1つ以上の流体流分離装置290のうちの1つは、鋼やチタンなどで構成することができる。1つ以上の流体流分離装置290のうちの少なくとも1つは、さらに、当該1つ以上の流体流分離装置290のうちの少なくとも1つを流れる消火剤250の1つ以上の所定の特性の手動調節及び自動調節のうちの一方又は両方を行えるようにも構成されている。所定の特性は、限定するものではないが、消火剤250の温度、消火剤250の質量流量、及び、消火剤250の液体状及び気体状それぞれの場合の質量状態を含む。例えば、本明細書で説明するように、流体流分離装置290は、ボルテックスチューブ260を含む。各ボルテックスチューブは、ボルテックスチャンバ部660と、チューブ部661とを含む。入口662は、ボルテックスチャンバ部660から延在し、ボルテックスチューブ260を導管240、241(図2Aも参照)に接続するように構成されている。上述したように、ボルテックスチューブ260は、第1吐出口603における一体型(高温)吐出ノズル601と、第2吐出口604における一体型(低温)吐出ノズル602とを含む。各流体流分離装置290は、当該流体流分離装置290を流れる消火剤250を高温吐出成分250Hと低温吐出成分250Cとに機械的に分離するように構成されており、高温吐出成分250Hは、消火剤250の沸点を超える温度を有する。流体流分離装置290は、消火剤250が、消火システム200(図2A及び図2B)から吐出されると、エンタルピー(enthalpy)を維持することによって、高温吐出成分250Hの温度を沸点よりも高い温度まで上昇させるように構成されている。
【0024】
一体型(高温)吐出ノズル601(又は、これに接続された遠隔吐出ノズル)は、表1に関して上で述べたように、高温吐出成分250Hが気体状又は液体状になるように、エンジンコンパートメント115に高温吐出成分250Hを吐出する。一体型(高温)吐出ノズル601は、高温出口開口部620を含み、その寸法は、第1スロットル弁621によって決定される。一態様においては、第1スロットル弁621は固定弁621Fであり、高温出口開口部620の寸法は決められていて変化しない。他の態様においては、第1スロットル弁621は、バタフライ弁621A1、ボール弁621A2、又は、調節プラグ弁(固定弁621Fと実質的に同様の形状を有するが、チューブ部661に出入りするように軸方向に移動可能)などの、調節弁621Aであってもよい。調節弁621Aの駆動は、手動による駆動、又は、第1弁スロットル駆動部622による自動駆動などの任意の適切な態様で行うことができる。第1弁スロットル駆動部622は、第1スロットル弁621を絞って高温出口開口部620の寸法を変化させるための、駆動モータ623、形状記憶合金(SMA)部材624、又は、任意の他の適切なアクチュエータのうちの、1つ又は複数を含んでよい。コントローラ630は、ボルテックスチューブ260(例えば、第1弁スロットル駆動部622)に接続することができ、消火システム200(図2A図2B)が動作する環境条件などによって、第1スロットル弁621を操作して高温出口開口部620の寸法を変更するための任意の適切な非一時的コンピュータプログラムコード及び構造体(例えば、プロセッサ、メモリなど)を含んでよい。コントローラ630は、環境条件を感知するセンサ631の信号に基づいて、及び/又は、作業員や他のコマンドデータの制御下で、第1スロットル弁621を操作するように構成することができる。
【0025】
一体型(低温)吐出ノズル602(又は、これに接続された遠隔吐出ノズル)は、上で表1に記載したように、エンジンコンパートメント115内で低温吐出成分250Cが気体状又は液体状になるように、エンジンコンパートメント115に低温吐出成分250Cを吐出する。同様に、一体型(低温)吐出ノズル602は、当該一体型(低温)吐出ノズル602の低温出口開口部650の寸法を設定又は調節するための、(例えば、少なくとも、固定されているか、或いは調節可能かという観点から)第1スロットル弁621と実質的に同様の第2スロットル弁640を含みうる。第2スロットル弁640が調節可能である場合、第2スロットル弁640は、第1弁スロットル駆動部622に関して上で述べたのと同様の態様で、第2弁スロットル駆動部642により自動的に駆動することができる(コントローラ630は、上述した態様で第2スロットル弁640を操作するように構成されている)。
【0026】
第1スロットル弁621、及び、第2スロットル弁640のうちの少なくとも一方が固定されている場合、少なくとも1つの固定弁621F、640Fは、それぞれの流体流分離装置290を流れるとともに温度が消火剤250の沸点を超える消火剤250の部分610と、それぞれの流体流分離装置290を流れるとともに温度が消火剤250の沸点よりも低い消火剤250の他の部分611との間の温度差を、少なくとも部分的に画定する。第1スロットル弁621、及び、第2スロットル弁640のうちの少なくとも一方が移動可能/調節可能である場合、調節弁621A、640Aは、それぞれの流体流分離装置290の高温出口開口部620及び低温出口開口部650のそれぞれの出口寸法を変化させて、それぞれの流体流分離装置290を流れるとともに温度が消火剤250の沸点を超える消火剤250の部分610と、それぞれの流体流分離装置290を流れるとともに温度が消火剤250の沸点よりも低い消火剤250の他の部分611との間の温度差、及び/又は、質量流量を異ならせる。
【0027】
図6Aを参照すると、本明細書で述べたように、流体流分離装置は、上述したような消火剤250の任意の適切な特性を調節するように構成されている。一例として、消火剤250の温度、消火剤250の質量流量、並びに、消火剤250の液体状及び気体状それぞれの場合の重量状態は、流体流分離装置290のチューブ部661の長さL1、L2のうちの一方又は両方を大きくしたり小さくしたりして調節する(例えば、上昇/増大、又は、下降/減少させる)ことができる。例えば、少なくともチューブ部661の長さL1を大きくすることにより、高温周縁流体流渦600HVと低温軸流体流渦600CVとの間の相互作用を増大させることができ、長さL1が増大すると、高温周縁流体流渦600HVによって、低温軸流体流渦600CVからより多くの熱が抽出されて、高温出口開口部620から出る消火剤250の部分610の温度を上昇させる(そして、低温出口開口部650から出る消火剤250の部分611の温度を下げる)。例えば、チューブ部661の長さL1と直径Dとの比は、一態様においては、約20:1であるが、他の態様においては、長さL1と直径Dとの比は、約20:1よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0028】
また、高温出口開口部620(及び/又は、低温出口開口部650)の寸法を増減することにより、高温出口開口部620及び低温出口開口部650から出ていく消火剤250の部分610、611の温度を調節することもできる。例えば、高温出口開口部620が小さくなる程(又は、低温出口開口部650が大きくなる程)、高温出口開口部620から出ていく部分610の温度が上昇し、また、この逆の場合もある。上述したように、高温出口開口部620、及び/又は、低温出口開口部650の開口寸法は固定されていてもよいし(例えば、変更不可/調節不可)、他の態様においては、これらの開口寸法は、自動又は手動で調節して変更することが可能であってもよい。高温出口開口部620から出ていく消火剤250の部分610が高温である程、例えば、エンジン108を通る空気流300(図3A)や、補助動力ユニットコンパートメント130(図2B)に吐出される消火剤の気化及び拡散の程度が大きくなる。
【0029】
少なくとも高温出口開口部620の寸法を増減することにより、流体流分離装置290を流れる消火剤の液状及び気体状それぞれの場合の質量状態(すなわち、流体流分離装置290を流れる消火剤250の低温質量分率683)及び質量流量600Fも調節することができる。例えば、高温出口開口部620の寸法が大きい程(又は、低温出口開口部650の寸法が小さいほど)、高温出口開口部620から出ていく消火剤250の部分610の質量流量600FHは大きくなり(これに応じて、低温出口開口部650から出ていく消火剤250の部分611の質量流量600FCが減少するとともに、高温出口開口部620から出ていく部分610の温度が減少し)、また、この逆の場合もある。他の例として、低温質量分率683(すなわち、出口開口寸法によって決定される、流体流分離装置290を流れる部分610と比較した場合の部分611の割合)が高い程、当該流体流分離装置の高温出口開口部620及び低温出口開口部650におけるそれぞれの消火剤250の流体流の間の温度差は大きくなる。例えば、低温質量分率が約0.8(例えば、80%)である場合、約120psiの入口662の圧力で、高温出口開口部620から吐出される消火剤250と、低温出口開口部650から吐出される消火剤250との間の温度差は、約140°F(60℃)になる。
【0030】
高温出口開口部620、及び、低温出口開口部650のうちの一方又は両方の寸法が調節可能である場合、上述したように、流体流分離装置が設けられている環境によって、上述した消火剤250の所定の特性のうちの1つ又は複数を調節することができる。例えば、エンジンコンパートメント115(図2A)、及び/又は、補助動力ユニットコンパートメント130(図2B)が寒冷ソーキング(cold-soaked)されている場合(例えば、コンパートメント及び設備が、周囲環境に晒されて、動作により生じる残留熱を含まない場合)、第1弁スロットル駆動弁622及び第2弁スロットル駆動部642のそれぞれによって、第1スロットル弁621及び第2スロットル弁640のうちの一方又は両方を駆動して、高温出口開口部620及び低温出口開口部650のそれぞれの寸法を調節することにより、寒冷ソーキングされた周囲環境において消火剤を効果的に濃縮/拡散、及び、作用させることができる。
【0031】
図6B及び図6Cにも示すように、一体型(高温)吐出ノズル601、及び、一体型(低温)吐出ノズル602のうちの一方又は両方は、収束ノズル(図6B)であってもよい。収束ノズルは、(亜音速の流体流のために)当該ノズルを通って出ていく消火剤250の流速を増加させて(図6A)、消火剤250を、さらに空気流300(図3A)へと流し込むことにより、或いは、さらにエンジンコンパートメント115(図2A)及び/又は補助動力ユニットコンパートメント130(図2B)へと流し込むことにより、当該消火剤250をより拡散させることができる。分岐ノズルは、(亜音速の流体流のために)当該ノズルを通って出ていく消火剤250の流速を減少させて(図6A)、所定の対象領域及び/又は空間に吐出する消火剤250の流体の範囲を広げることにより、消火剤をより拡散させることができる。
【0032】
次に図1図2A図2B図6A、及び、図7を参照すると、消火システム200を使用する方法が示されている。消火剤250は、流体貯蔵容器210A、210Bに貯蔵される(図7、ブロック700)。流体流分離装置290を流れる消火剤250は、流体流分離装置290によって、高温吐出成分250Hと低温吐出成分250Cとに機械的に分離され、高温吐出成分250Hの少なくとも一部は、消火剤250の沸点を超える温度を有する(図7、ブロック710)。一態様においては、1つ以上の流体流分離装置290を流れる消火剤250の1つ以上の所定の特性は、当該1つ以上の流体流分離装置290を用いて手動で、又は、自動的に調節することができる(図7、ブロック720)。例えば、本明細書で説明するように、1つ以上の流体流分離装置290を流れる消火剤250の温度は、上げることも下げることも可能である。例えば、消火剤250が、消火システム200から吐出されると、エンタルピーの保存により、高温吐出成分250Hの温度を消火剤250の沸点よりも高い温度まで上昇させることができる。また、本明細書で説明するように、1つ以上の流体流分離装置290を流れる消火剤250の質量流量は、増減させることができる。また、本明細書で説明するように、1つ以上の流体流分離装置290を流れる消火剤250の液体状及び気体状それぞれの場合の質量状態は、増減させることができる。
【0033】
消火剤250の高温吐出成分250H、及び、低温吐出成分250Cは、流体流分離装置290に接続されたそれぞれの吐出ノズル601、602を通って吐出される(図7、ブロック730)。消火剤250は、それぞれの流体流分離装置290の少なくとも1つの一体型吐出ノズル601、602を用いて(又は、図5に示す遠隔吐出ノズル501、502を介して)、消火剤吐出位置301、302、303(図3B)で吐出される。例えば、消火剤250のうちの温度が沸点を超える高温吐出成分250Hは、消火のために、エンジン108の火気ゾーン118内の空気流300(図3A)に対して、上記表1に従って気体又は液体として吐出される(すなわち、第1吐出口603)。消火剤250のうちの温度が沸点よりも低い低温吐出成分250Cは、エンジン108(又は、他の適切な熱源)の冷却対象の表面126Sに対して、上記表1に従って液体又は気体として吐出される(すなわち、第2吐出口604)。液体は、適切な熱源の方向にミスト(例えば、噴霧される液滴)として供給されてもよく、当該ミストは熱源に隣接して(上記表1で述べたように)気化する。
【0034】
次に、図1図2A図2B図6A、及び、図8を参照すると、消火システム200を使用する方法が示されている。消火剤250は、流体貯蔵容器210A、210Bに貯蔵される(図8、ブロック800)。流体貯蔵容器に接続された1つ以上のボルテックスチューブ260を用いて、当該1つ以上のボルテックスチューブを流れる消火剤250の少なくとも一部610の温度を、消火剤250の沸点を超える温度まで上昇させる(図8、ブロック810)。一態様においては、1つ以上の流体流分離装置290を流れる消火剤250の1つ以上の所定の特性は、当該1つ以上の流体流分離装置290を用いて手動で、又は、自動的に調節することができる(図8、ブロック820)。例えば、本明細書で説明するように、1つ以上の流体流分離装置290を流れる消火剤250の温度は、上げることも下げることも可能である。例えば、消火剤250が、消火システム200から吐出されると、エンタルピーの保存により、高温吐出成分250Hの温度を消火剤250の沸点よりも高い温度まで上昇させることができる。また、本明細書で説明するように、1つ以上の流体流分離装置290を流れる消火剤250の質量流量は、増減させることができる。本明細書で説明するように、1つ以上の流体流分離装置290を流れる消火剤250の液体状及び気体状それぞれの場合の質量状態は、増減させることができる。なお、流体流分離装置290を流れる総質量流量は、流体入口211と、両吐出ノズルの組み合わせ(例えば、一体型の高温及び低温の吐出ノズル601、602/高温及び低温の出口開口部620、650)との間で維持される。
【0035】
消火剤250の高温吐出成分250H、及び、低温吐出成分250Cは、流体流分離装置290に接続されたそれぞれの一体型吐出ノズル601、602(又は、図5に示すような遠隔吐出ノズル)を通って吐出される(図7、ブロック830)。消火剤250は、それぞれの流体流分離装置290の少なくとも1つの一体型吐出ノズル601、602を用いて(又は、図5に示す遠隔吐出ノズル501、502を介して)、それぞれの火気ゾーン118における消火剤吐出位置301、302、303(図3B)で吐出される。例えば、消火剤250のうちの温度が沸点を超える高温吐出成分250Hは、消火のために、エンジン108の火気ゾーン118内の空気流300(図3A)に対して吐出される。消火剤250のうちの温度が沸点よりも低い低温吐出成分250Cは、エンジン108の冷却対象の表面126Sに対して、上記表1に従って液体又は気体として吐出される。
【0036】
本開示の態様によれば、以下の例が提供される。
【0037】
A1.消火剤を貯蔵するように構成された流体貯蔵容器と、
前記流体貯蔵容器に接続されたボルテックスチューブと、を含み、前記消火剤は、前記流体貯蔵容器から前記ボルテックスチューブを通過し、前記ボルテックスチューブは、当該ボルテックスチューブを流れる前記消火剤の少なくとも一部の温度を、前記ボルテックスチューブの吐出位置の周囲環境条件で、前記消火剤の沸点よりも高い温度まで上昇させる、消火システム。
【0038】
A2.前記ボルテックスチューブは、消火剤吐出位置に設けられており、前記消火剤吐出位置で前記消火剤を吐出するための少なくとも1つの一体型吐出ノズルを含む、付記A1に記載の消火システム。
【0039】
A3.前記少なくとも1つの一体型吐出ノズルは、気体吐出口、及び、液体吐出口のうちの一方又は両方を含む、付記A2に記載の消火システム。
【0040】
A4.前記ボルテックスチューブに接続された少なくとも1つの遠隔吐出ノズルをさらに含み、当該少なくとも1つの遠隔吐出ノズルの各々は、消火剤吐出位置に設けられている、付記A1〜A3のいずれか1つに記載の消火システム。
【0041】
A5.前記少なくとも1つの遠隔吐出ノズルのうちの1つのノズルは、前記消火剤の高温吐出成分を気体状及び液体状のいずれか一方の形態で吐出するために、前記ボルテックスチューブに接続されており、
前記少なくとも1つの遠隔吐出ノズルの他の1つのノズルは、前記消火剤の低温吐出成分を気体状及び液体状のいずれか一方の形態で吐出するために、前記ボルテックスチューブにチューブに接続されている、付記A4に記載の消火システム。
【0042】
A6.前記ボルテックスチューブは、
前記消火剤のうちの温度が前記沸点を超える前記部分を、消火のために、空気流に対して、気体及び液体のいずれか一方の形態で吐出し、
前記消火剤のうちの、温度が前記沸点よりも低い他の部分を、冷却対象の表面に対して、気体及び液体のうちのいずれか一方の形態で吐出する、ように配置されている、付記A1〜A5のいずれか1つに記載の消火システム。
【0043】
A7.前記流体貯蔵容器は、加圧容器を含む、付記A1〜A6のいずれか1つに記載の消火システム。
【0044】
A8.前記ボルテックスチューブは、少なくとも1つの固定弁を含み、当該少なくとも1つの固定弁は、前記ボルテックスチューブを流れるとともに温度が前記消火剤の前記沸点を超える前記消火剤の前記部分と、前記ボルテックスチューブを流れるとともに温度が前記消火剤の前記沸点よりも低い前記消火剤の他の部分との間の温度差を画定する、付記A1〜A7のいずれか1つに記載の消火システム。
【0045】
A9.前記ボルテックスチューブは、少なくとも1つの可動弁を含み、当該少なくとも1つの可動弁は、前記ボルテックスチューブの出口寸法を変化させることにより、前記ボルテックスチューブを流れるとともに温度が前記消火剤の前記沸点を超える前記消火剤の前記部分と、前記ボルテックスチューブを流れるとともに温度が前記消火剤の前記沸点よりも低い前記消火剤の他の部分との間の温度差を変化させる、付記A1〜A8のいずれか1つに記載の消火システム。
【0046】
A10.前記ボルテックスチューブは、当該ボルテックスチューブを流れる前記消火剤の1つ以上の所定の特性を手動で調節できるように構成されている、付記A1〜A9のいずれか1つに記載の消火システム。
【0047】
A11.前記ボルテックスチューブは、当該ボルテックスチューブを流れる前記消火剤の1つ以上の所定の特性を自動で調節できるように構成されている、付記A1〜A10のいずれか1つに記載の消火システム。
【0048】
A12.前記ボルテックスチューブは、当該ボルテックスチューブを流れる前記消火剤の温度を調節するように構成されている、付記A1〜A11のいずれか1つに記載の消火システム。
【0049】
A13.前記ボルテックスチューブは、当該ボルテックスチューブを流れる前記消火剤の質量流量を調節するように構成されている、付記A1〜A12のいずれか1つに記載の消火システム。
【0050】
A14.前記ボルテックスチューブは、当該ボルテックスチューブを流れる前記消火剤の液体状及び気体状それぞれの場合の質量状態を調節するように構成されている、付記A1〜A13のいずれか1つに記載の消火システム。
【0051】
A15.前記ボルテックスチューブは、前記流体貯蔵容器に接続された複数のボルテックスチューブのうちの1つである、付記A1〜A14のいずれか1つに記載の消火システム。
【0052】
B1.エンジンを有するビークルのための消火システムであって、
消火剤を貯蔵するように構成された流体貯蔵容器と、
前記流体貯蔵容器に接続された流体流分離装置と、を含み、前記流体流分離装置は、当該流体流分離装置を流れる前記消火剤を、高温吐出成分と低温吐出成分とに機械的に分離するように構成されており、前記高温吐出成分は、前記流体流分離装置の吐出位置の周囲環境条件で、前記消火剤の沸点よりも高い温度を有する、消火システム。
【0053】
B2.前記流体流分離装置は、前記消火剤が前記消火システムから吐出されると、エンタルピーの保存によって、前記高温吐出成分の少なくとも一部の温度を、前記沸点よりも高い温度まで上昇させるように構成されている、付記B1に記載の消火システム。
【0054】
B3.前記流体流分離装置は、ボルテックスチューブを含む、付記B1又はB2に記載の消火システム。
【0055】
B4.前記ボルテックスチューブは、少なくとも1つの固定弁を含み、当該少なくとも1つの固定弁は、前記ボルテックスチューブを流れるとともに温度が前記沸点を超える前記消火剤の前記高温吐出成分と、前記ボルテックスチューブを流れるとともに温度が前記消火剤の前記沸点よりも低い前記消火剤の前記低温吐出部分との間の温度差を画定する、付記B3に記載の消火システム。
【0056】
B5.前記ボルテックスチューブは、少なくとも1つの可動弁を含み、当該少なくとも1つの可動弁は、前記ボルテックスチューブの出口寸法を変化させることにより、前記ボルテックスチューブを流れるとともに温度が前記消火剤の前記沸点を超える前記消火剤の前記高温吐出成分と、前記ボルテックスチューブを流れるとともに温度が前記消火剤の前記沸点よりも低い前記消火剤の前記低温吐出成分との間の温度差を変化させる、付記B3に記載の消火システム。
【0057】
B6.前記流体流分離装置は、消火剤吐出位置において前記エンジンに隣接して設けられており、前記流体流分離装置は、前記消火剤吐出位置で前記消火剤を吐出するための少なくとも1つの一体型吐出ノズルを含む、付記B1〜B5のいずれか1つに記載の消火システム。
【0058】
B7.前記少なくとも1つの一体型吐出ノズルは、気体吐出口、及び、液体吐出口のうちの一方又は両方を含む、付記B6に記載の消火システム。
【0059】
B8.前記流体流分離装置に接続された少なくとも1つの遠隔吐出ノズルをさらに含み、当該少なくとも1つの遠隔吐出ノズルの各々は、消火剤吐出位置において、前記エンジンに隣接して設けられている、付記B1〜B7のいずれか1つに記載の消火システム。
【0060】
B9.前記少なくとも1つの遠隔吐出ノズルのうちの1つのノズルは、前記消火剤の前記高温吐出成分、及び、前記低温吐出成分のうちの一方を吐出するために、前記流体流分離装置に接続されており、
前記少なくとも1つの遠隔吐出ノズルのうちの他の1つのノズルは、前記消火剤の前記高温吐出成分、及び、前記低温吐出成分のうちの他方を吐出するために、前記流体流分離装置に接続されている、付記B8に記載の消火システム。
【0061】
B10.前記流体流分離装置は、
前記消火剤のうちの温度が前記沸点を超える前記高温吐出成分を、消火のために、前記エンジンに隣接する空気流に対して、気体及び液体のいずれか一方の形態で吐出し、
前記消火剤のうちの温度が前記沸点よりも低い前記低温吐出成分を、前記エンジンの冷却対象の表面に対して、気体及び液体のうちのいずれか一方の形態で吐出する、ように配置されている、付記B1〜B9のいずれか1つに記載の消火システム。
【0062】
B11.前記流体貯蔵容器は、加圧容器を含む、付記B1〜B10のいずれか1つに記載の消火システム。
【0063】
B12.前記流体流分離装置は、当該流体流分離装置を流れる前記消火剤の1つ以上の所定の特性を手動で調節できるように構成されている、付記B1〜B11のいずれか1つに記載の消火システム。
【0064】
B13.前記流体流分離装置は、当該流体流分離装置を流れる前記消火剤の1つ以上の所定の特性を自動で調節できるように構成されている、付記B1〜B12のいずれか1つに記載の消火システム。
【0065】
B14.前記流体流分離装置は、当該流体流分離装置を流れる前記消火剤の温度を調節するように構成されている、付記B1〜B13のいずれか1つに記載の消火システム。
【0066】
B15.前記流体流分離装置は、当該流体流分離装置を流れる前記消火剤の質量流量を調節するように構成されている、付記B1〜B14のいずれか1つに記載の消火システム。
【0067】
B16.前記流体流分離装置は、当該流体流分離装置を流れる前記消火剤の液状及び気体状それぞれの場合の質量状態を調節するように構成されている、付記B1〜B15のいずれか1つに記載の消火システム。
【0068】
C1.消火剤を貯蔵するように構成された流体貯蔵容器と、
前記流体貯蔵容器に接続された流体流分離装置と、を含み、前記消火剤は、前記流体貯蔵容器から前記流体流分離装置を通過し、前記流体流分離装置は、当該流体流分離装置を流れる前記消火剤の少なくとも一部の温度を、前記流体流分離装置の吐出位置の周囲環境条件で、前記消火剤の沸点よりも高い温度まで上昇させる、消火システム。
【0069】
C2.前記流体流分離装置は、消火剤吐出位置に設けられており、前記消火剤吐出位置で前記消火剤を吐出するための少なくとも1つの一体型吐出ノズルを含む、付記C1に記載の消火システム。
【0070】
C3.前記少なくとも1つの一体型吐出ノズルは、気体吐出口、及び、液体吐出口のうちの一方又は両方を含む、付記C2に記載の消火システム。
【0071】
C4.前記流体流分離装置に接続された少なくとも1つの遠隔吐出ノズルをさらに含み、当該少なくとも1つの吐出ノズルの各々は、消火剤吐出位置に設けられている、付記C1〜C3のいずれか1つに記載の消火システム。
【0072】
C5.前記少なくとも1つの遠隔吐出ノズルのうちの1つのノズルは、前記消火剤の高温吐出成分を気体状及び液体状のいずれか一方の形態で吐出するために、前記流体流分離装置に接続されており、
前記少なくとも1つの遠隔吐出ノズルのうちの他の1つのノズルは、前記消火剤の低温吐出成分を気体状及び液体状のいずれか一方の形態で吐出するために、前記流体流分離装置に接続されている、付記C4に記載の消火システム。
【0073】
C6.前記流体流分離装置は、
前記消火剤のうち温度が前記沸点を超える前記部分を、消火のために、空気流に対して、気体及び液体のいずれか一方の形態で吐出し、
前記消火剤のうち温度が前記沸点よりも低い他の部分を、冷却対象の表面に対して、気体及び液体のうちのいずれか一方の形態で吐出する、ように配置されている、付記C1〜C5のいずれか1つに記載の消火システム。
【0074】
C7.前記流体貯蔵容器は、加圧容器を含む、付記C1〜C6のいずれか1つに記載の消火システム。
【0075】
C8.前記流体流分離装置は、少なくとも1つの固定弁を含み、当該少なくとも1つの固定弁は、前記流体流分離装置を流れるとともに温度が前記消火剤の前記沸点を超える前記消火剤の前記部分と、前記流体流分離装置を流れるとともに温度が前記消火剤の前記沸点よりも低い前記消火剤の他の部分との間の温度差を画定する、付記C1〜C7のいずれか1つに記載の消火システム。
【0076】
C9.前記流体流分離装置は、少なくとも1つの可動弁を含み、当該少なくとも1つの可動弁は、前記流体流分離装置の出口寸法を変化させることにより、前記流体流分離装置を流れるとともに温度が前記消火剤の前記沸点を超える前記消火剤の前記部分と、前記流体流分離装置を流れるとともに温度が前記消火剤の前記沸点よりも低い前記消火剤の他の部分との間の温度差を変化させる、付記C1〜C8のいずれか1つに記載の消火システム。
【0077】
C10.前記流体流分離装置は、当該流体流分離装置を流れる前記消火剤を、気体成分と液体成分とに機械的に分離するように構成されており、前記気体成分は、前記消火剤の前記沸点よりも高い温度を有する、付記C1〜C9のいずれかに記載の消火システム。
【0078】
C11.前記流体流分離装置は、当該流体流分離装置を流れる前記消火剤の1つ以上の所定の特性を手動で調節できるように構成されている、付記C1〜C10のいずれか1つに記載の消火システム。
【0079】
C12.前記流体流分離装置は、当該流体流分離装置を流れる前記消火剤の1つ以上の所定の特性を自動で調節できるように構成されている、付記C1〜C11のいずれか1つに記載の消火システム。
【0080】
C13.前記流体流分離装置は、当該流体流分離装置を流れる前記消火剤の温度を調節するように構成されている、付記C1〜C12のいずれか1つに記載の消火システム。
【0081】
C14.前記流体流分離装置は、当該流体流分離装置を流れる前記消火剤の質量流量を調節するように構成されている、付記C1〜C13のいずれか1つに記載の消火システム。
【0082】
C15.前記流体流分離装置は、当該流体流分離装置を流れる前記消火剤の液体状及び気体状それぞれの場合の質量状態を調節するように構成されている、付記C1〜C14のいずれか1つに記載の消火システム。
【0083】
C16.前記流体流分離装置は、ボルテックスチューブを含む、付記C1〜C15に記載の消火システム。
【0084】
C17.前記流体流分離装置は、前記流体貯蔵容器に接続された複数の流体流分離装置のうちの1つである、付記C1〜C16のいずれか1つに記載の消火システム。
【0085】
D1.消火システムを使用する方法であって、
流体貯蔵容器に消火剤を貯蔵することと、
前記流体貯蔵容器に接続された流体流分離装置を用いて、当該流体流分離装置を流れる前記消火剤を、高温吐出成分と低温吐出成分とに機械的に分離することと、を含み、前記高温吐出成分は、前記流体流分離装置の吐出位置の周囲環境条件で、前記消火剤の沸点よりも高い温度を有する、方法。
【0086】
D2.前記消火剤が前記消火システムから吐出されると、エンタルピーの保存によって、前記高温吐出成分の少なくとも一部の温度を、前記沸点よりも高い温度まで上昇させることをさらに含む、付記D1に記載の方法。
【0087】
D3. 前記流体流分離装置に接続された1つの吐出ノズルを介して、前記消火剤の前記高温吐出成分を吐出することと、
前記流体流分離装置に接続された他の吐出ノズルを介して、前記消火剤の前記低温吐出成分を吐出することと、をさらに含む、付記D1又はD2に記載の方法。
【0088】
D4.前記消火剤のうちの温度が前記沸点を超える前記高温吐出成分を、消火のために、エンジンに隣接する空気流に対して、気体及び液体のいずれか一方の形態で吐出することと、
前記消火剤のうちの温度が前記沸点よりも低い前記低温吐出成分を、前記エンジンの冷却対象の表面に対して、気体及び液体のうちのいずれか一方の形態で吐出することと、をさらに含む、付記D1〜D3のいずれか1つに記載の方法。
【0089】
D5.前記消火剤は、極低温流体の状態で前記流体貯蔵容器に貯蔵される、付記D1〜D4のいずれか1つに記載の方法。
【0090】
D6.それぞれの流体流分離装置の少なくとも1つの一体型吐出ノズルを用いて、消火剤吐出位置において前記消火剤を吐出することをさらに含む、付記D1〜D5のいずれか1つに記載の方法。
【0091】
D7.それぞれの流体流分離装置に接続された少なくとも1つの遠隔吐出ノズルを用いて、消火剤吐出位置において前記消火剤を吐出することをさらに含む、付記D1〜D6のいずれか1つに記載の方法。
【0092】
D8.前記1つ以上の流体流分離装置を用いて、当該1つ以上の流体流分離装置を流れる前記消火剤の1つ以上の所定の特性の手動調節を行うことをさらに含む、付記D1〜D7のいずれか1つに記載の方法。
【0093】
D9.前記1つ以上の流体流分離装置を用いて、当該1つ以上の流体流分離装置を流れる前記消火剤の1つ以上の所定の特性の自動調節を行うことをさらに含む、付記D1〜D8のいずれか1つに記載の方法。
【0094】
D10.前記1つ以上の流体流分離装置を流れる前記消火剤の温度を調節することをさらに含む、付記D1〜D9のいずれか1つに記載の方法。
【0095】
D11.前記1つ以上の流体流分離装置を流れる前記消火剤の質量流量を調節することをさらに含む、付記D1〜D10のいずれか1つに記載の方法。
【0096】
D12.前記1つ以上の流体流分離装置を流れる前記消火剤の液体状及び気体状それぞれの場合の質量状態を調節することをさらに含む、付記D1〜D11のいずれか1つに記載の方法。
【0097】
E1.消火システムを使用する方法であって、
流体貯蔵容器に消火剤を貯蔵することと、
前記流体貯蔵容器に接続された1つ以上のボルテックスチューブを用いて、前記1つ以上のボルテックスチューブを流れる前記消火剤の少なくとも一部の温度を、当該1つ以上のボルテックスチューブの吐出位置の周囲環境条件で、前記消火剤の沸点を超える温度まで上昇させることと、を含む方法。
【0098】
E2.それぞれのボルテックスチューブが消火剤吐出位置にある状態で、前記それぞれのボルテックスチューブの少なくとも1つの一体型吐出ノズルを用いて、前記消火剤を吐出することをさらに含む、付記E1に記載の方法。
【0099】
E3.それぞれのボルテックスチューブが消火剤吐出位置にある状態で、前記それぞれのボルテックスチューブに接続された少なくとも1つの遠隔吐出ノズルを用いて、前記消火剤を吐出することをさらに含む、付記E1又はE2に記載の方法。
【0100】
E4.前記消火剤のうちの温度が前記沸点を超える前記部分を、消火のために、空気流に対して、気体及び液体のいずれか一方の形態で吐出することと、
前記消火剤のうちの温度が前記沸点よりも低い他の部分を、冷却対象の表面に対して、気体及び液体のうちのいずれか一方の形態で吐出することと、をさらに含む、付記E1〜E3のいずれか1つに記載の方法。
【0101】
E5.前記消火剤は、極低温流体の状態で前記流体貯蔵容器に貯蔵される、付記E1〜E4のいずれか1つに記載の方法。
【0102】
E6.前記1つ以上のボルテックスチューブを用いて、当該1つ以上のボルテックスチューブを流れる前記消火剤の1つ以上の所定の特性の手動調節を行うことをさらに含む、付記E1〜E5のいずれか1つに記載の方法。
【0103】
E7.前記1つ以上のボルテックスチューブを用いて、当該1つ以上のボルテックスチューブを流れる前記消火剤の1つ以上の所定の特性の自動調節を行うことをさらに含む、付記E1〜E6のいずれか1つに記載の方法。
【0104】
E8.前記1つ以上のボルテックスチューブを流れる前記消火剤の温度を調節することをさらに含む、付記E1〜E7のいずれか1つに記載の方法。
【0105】
E9.前記1つ以上のボルテックスチューブを流れる前記消火剤の質量流量を調節することをさらに含む、付記E1〜E8のいずれか1つに記載の方法。
【0106】
E10.前記1つ以上のボルテックスチューブを流れる前記消火剤の液体状及び気体状それぞれの場合の質量状態を調節することをさらに含む、付記E1〜E9のいずれか1つに記載の方法。
【0107】
上述の図において、様々な要素及び/又はコンポーネントを繋ぐ実線がある場合、それらは、例えば、機械的接続、電気的接続、流体的接続、光学的接続、電磁気的接続、無線接続、その他の接続、及び/又は、これらの組み合わせを表す。本明細書において、「接続されている」とは、直接的または間接的に関連付けられていることを意味する。例えば、部材Aは、部材Bと、直接的に関連付けられていてもよいし、間接的に、例えば別の部材Cを介して、関連付けられていてもよい。なお、開示した様々な要素間の関係が必ずしも全て示してあるとは限らない。したがって、図面に記した接続以外の接続も存在しうる。様々な要素及び/又はコンポーネントを示すブロックを繋ぐ破線がある場合、これらは、機能及び目的の面で、実線で表したものに類似する接続を表す場合がある。ただし、破線で示す接続は、選択的に設けられるものであったり、本開示の代替的な実施例に関するものであったりする場合がある。同様に、破線で示した要素及び/又はコンポーネントがある場合、これらは、本開示における代替的な実施例を表す場合がある。実線及び/又は破線で示した1つ又は複数の要素を、本開示の範囲から逸脱することなく、ある特定の実施例から省くこともできる。外部要素がある場合は、点線で示している。仮想上(想像上)の要素も、説明の明確さのために図示している場合もある。当業者であれば分かるように、図面に示した構成要素のいくつかは、これらの図面、その他の図面、及び/又は、付随する開示に記載された他の構成要素を含むことなく様々な方法で組み合わせることが可能であるが、そのような組み合わせは、本開示において特に明示されていない。同様に、提示の実施例に限定されない追加の構成要素を、本明細書で図示及び説明した構成要素のいくつか又は全てと組み合わせることもできる。
【0108】
上述の図7及び図8において、ブロックは、処理やその一部を示す場合があり、様々なブロックを繋ぐ線は、それらの処理やその一部について特定の順序や従属関係を暗示するものではない。破線で示したブロックは、代替の処理及び/又はその一部を示す。様々なブロックを繋ぐ破線がある場合、これらは、処理やその一部の代替的な従属関係を示す。なお、開示されている様々な処理間の従属関係の全てが、必ずしも示されているとは限らない。図7及び図8、並びに、本明細書に記載の方法の処理を説明する付随の開示は、これらの処理が行われる順序を必然的に決定するものであると解釈されるべきではない。むしろ、1つの例示的な順序を示してはいるが、一連の処理は適宜変更可能であると理解すべきである。したがって、いくつかの処理を、異なる順序で、或いは、実質的に同時に行うこともできる。また、当業者であれば分かるように、記載した処理の全てを行う必要はない。
【0109】
上述した説明においては、開示された概念が十分に理解されるように、多くの具体的な詳細事項を述べているが、開示された概念は、これらの詳細事項の一部又は全てが無くても実施してよい。他の例においては、周知の装置及び/又は工程については詳細を省略して、開示が不必要に不明瞭になることを避けている。特定の実施例に関連させて説明している概念もあるが、これらの実施例は、限定することを意図するものではないことは理解されよう。
【0110】
本明細書で用いられる場合、特に明記しない限り、「第1」、「第2」等の語句は、単に標識として用いられており、これらの用語で言及している事項に対し、順序的、位置的、又は階層的な要件を課すものではない。また、例えば「第2の」事項について言及することによって、例えば、「第1の」事項やより小さい序数の事項、及び/又は、例えば「第3の」事項やより大きい序数の事項の存在を要件としたり排除したりするものではない。
【0111】
本明細書において、「一例」という場合は、当該例に関連させて述べる1つ又は複数の特徴、構造、性質が、少なくとも1つの実施態様に含まれるということを意味する。本明細書の様々な箇所で用いられる「一例」という用語は、同一の実施例を指す場合もあるし、そうでない場合もある。
【0112】
本明細書において、特定の機能を実行するように「構成された(configured to)」システム、装置、構造、物品、要素、コンポーネント、又はハードウェアは、一切の変更を要することなく実際にその特定の機能を実行できるものを指すのであって、さらなる変更後にその特定の機能を実行できる可能性を有するに過ぎないものを指すのではない。すなわち、特定の機能を実行するように「構成された」システム、装置、構造、物品、要素、コンポーネント、又は、ハードウェアは、その特定の機能を実行することを目的として、具体的に、選択され、作製され、実装され、利用され、プログラムされ、及び/又は、設計されたものを指す。本明細書において、「構成された」とは、システム、装置、構造、物品、要素、コンポーネント、又は、ハードウェアが既に備えている特性に言及するものであり、この特性により、当該システム、装置、構造、物品、要素、コンポーネント、又は、ハードウェアは、さらなる変更を要することなくその特定の機能を実行することができる。本開示において、特定の機能を実行するように「構成されている」ものとして記載されたシステム、装置、構造、物品、要素、コンポーネント、又は、ハードウェアは、この記載に加えて、或いは、この記載に代えて、当該機能を行うように「適合化された(adapted to)」、及び/又は、「動作可能な(operative to)」ものとして記載される場合もある。
【0113】
本明細書で開示の装置及び方法の様々な実施例は、様々なコンポーネント、特徴、及び、機能を有する。なお、本明細書で開示の装置、システム、及び、方法の様々な実施例は、本明細書で開示の装置、及び、方法の他の任意の例の部品、構成要素、及び、機能をどのような組み合わせで含んでもよく、そのような可能性の全ては、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
【0114】
本開示に関連する分野の当業者であれば、上記の記載及び関連図面に示された教示を受けて、本明細書に記載された実施例に対する様々な改変に想到するであろう。
【0115】
したがって、本開示は、例示した特定の実施例に限定されるものではなく、改変及び他の実施例も添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されている。また、上述の記載及び関連図面は、要素及び/又は機能のある特定の例示的な組み合わせに関連させて本開示の実施例を説明しているが、代替的な実施態様によって、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、要素及び/又は機能の別の組み合わせを提供することもできる。したがって、添付の特許請求の範囲に記載した符号は、例示のみを目的として示したものであり、特許請求の範囲に記載の要旨を本開示で提示した特定の実施例に限定することを意図したものではない。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9A
図9B
【外国語明細書】
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