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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-217427(P2019-217427A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】洗浄装置および洗浄装置の作動方法
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/04 20060101AFI20191129BHJP
【FI】
   B08B3/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-114581(P2018-114581)
(22)【出願日】2018年6月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100086379
【弁理士】
【氏名又は名称】高柴 忠夫
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(72)【発明者】
【氏名】渥美 元宏
(72)【発明者】
【氏名】坂本 憲一
【テーマコード(参考)】
3B201
【Fターム(参考)】
3B201AA46
3B201AB03
3B201AB45
3B201BB02
3B201BB03
3B201BB95
3B201CB15
3B201CD22
3B201CD43
(57)【要約】
【課題】洗浄対象への汚れの再付着を防ぎつつ、溶剤の廃棄量を低減する。
【解決手段】洗浄装置1は、第一洗浄槽11と、第一洗浄槽よりも上流側に位置する第二洗浄槽12とを含む2以上の洗浄槽と、洗浄槽から供給された洗浄液を再生し、洗浄槽に供給する洗浄液再生部20と、洗浄液再生部と、第一洗浄槽および第二洗浄槽とを接続する配管52と、洗浄液再生部および配管内の洗浄液の流れを制御するコントローラ30とを備える。
洗浄液再生部は、洗浄液に含まれる汚れを濃縮する濃縮モードと、濃縮を伴わない通常モードとの二つの運転モードを有し、コントローラは、通常モードにおいて、再生された洗浄液が第二洗浄槽に送られるように配管内の洗浄液の流れを制御し、濃縮モードにおいて、再生された洗浄液が第一洗浄槽に送られるように配管内の洗浄液の流れを制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一洗浄槽と、前記第一洗浄槽よりも上流側に位置する第二洗浄槽とを含む、カスケード式の2以上の洗浄槽と、
前記2以上の洗浄槽の少なくとも一つから供給された洗浄液を再生し、前記2以上の洗浄槽の少なくとも一つに供給する洗浄液再生部と、
前記洗浄液再生部と、前記第一洗浄槽および前記第二洗浄槽とを接続し、前記洗浄液再生部で再生された洗浄液が流れる配管と、
前記洗浄液再生部および前記配管内の洗浄液の流れを制御するコントローラと、
を備え、
前記洗浄液再生部は、内部に残留する洗浄液に含まれる汚れを濃縮する濃縮モードと、濃縮を伴わない通常モードとの二つの運転モードを有し、
前記コントローラは、
前記通常モードにおいて、再生された洗浄液が前記第二洗浄槽に送られるように前記配管内の洗浄液の流れを制御し、
前記濃縮モードにおいて、再生された洗浄液が前記第一洗浄槽に送られるように前記配管内の洗浄液の流れを制御する、
洗浄装置。
【請求項2】
前記第一洗浄槽は、前記2以上の洗浄槽のうち、最も下流側に位置する、
請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記第二洗浄槽は、前記2以上の洗浄槽のうち、最も上流側に位置する、
請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記第一洗浄槽からのみ前記洗浄液が前記洗浄液再生部に供給される、
請求項2に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記配管は、複数の弁を有し、
前記コントローラは、前記複数の弁の開閉を制御することにより前記配管内の洗浄液の流れを制御する、
請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記濃縮モードにおいて、前記洗浄液再生部への洗浄液の供給を停止する、
請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記濃縮モード終了後、一定時間前記配管内の洗浄液の流れを変更せずに保持する、
請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項8】
前記洗浄液再生部は、前記洗浄液を蒸留することにより再生する、
請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項9】
前記洗浄液は、炭化水素系溶剤、グリコール類系溶剤、臭素系溶剤、塩素系溶剤、フッ素系溶剤のいずれかを含有する、
請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項10】
第一洗浄槽と、前記第一洗浄槽よりも上流側に位置する第二洗浄槽とを含む、カスケード式の2以上の洗浄槽と、前記2以上の洗浄槽の少なくとも一つから供給された洗浄液を再生する洗浄液再生部と、を備えた洗浄装置の作動方法であって、
前記洗浄液再生部が内部に残留する洗浄液に含まれる汚れを濃縮しているときは、再生された洗浄液を前記第一洗浄槽に戻し、
前記洗浄液再生部が内部に残留する洗浄液に含まれる汚れを濃縮していないときは、再生された洗浄液を前記第二洗浄槽に戻す、
洗浄装置の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の洗浄槽を用いる洗浄装置および洗浄装置の作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機溶剤を用いて光学素子等の精密部品を洗浄することが知られている。
特許文献1には、有機溶剤を再利用しながら使用する洗浄装置が記載されている。この装置は一定時間毎に、蒸留再生装置内に溜まった汚れを含む有機溶剤を加熱して体積を減らし、汚れが濃縮された有機溶剤を廃棄している。これにより、廃棄する溶剤の量を減らし、溶剤に関するコストを低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−18370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、汚れを濃縮している間も蒸留された有機溶剤が洗浄槽に戻される。しかし、汚れの種類によっては有機溶剤と一緒に蒸発してしまうものがある。このような汚れは、汚れを濃縮している間に蒸留された有機溶剤に多く含まれる。その結果、汚れが洗浄対象に再付着する可能性がある。
濃縮しない場合、有機溶剤の廃棄量が多くなり、コスト増につながる。また、汚れを考慮して濃縮している間に蒸留された有機溶剤を再利用しないと、そもそも濃縮する意味がなくなる。
【0005】
上記事情を踏まえ、本発明は、洗浄対象への汚れの再付着を防ぎつつ、溶剤の廃棄量を低減することができる洗浄装置および洗浄装置の作動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様は、第一洗浄槽と、第一洗浄槽よりも上流側に位置する第二洗浄槽とを含む、カスケード式の2以上の洗浄槽と、2以上の洗浄槽の少なくとも一つから供給された洗浄液を再生し、2以上の洗浄槽の少なくとも一つに供給する洗浄液再生部と、洗浄液再生部と、第一洗浄槽および第二洗浄槽とを接続し、洗浄液再生部で再生された洗浄液が流れる配管と、洗浄液再生部および前記配管内の洗浄液の流れを制御するコントローラとを備える洗浄装置である。
洗浄液再生部は、内部に残留する洗浄液に含まれる汚れを濃縮する濃縮モードと、濃縮を伴わない通常モードとの二つの運転モードを有し、コントローラは、通常モードにおいて、再生された洗浄液が第二洗浄槽に送られるように配管内の洗浄液の流れを制御し、濃縮モードにおいて、再生された洗浄液が第一洗浄槽に送られるように配管内の洗浄液の流れを制御する。
本願発明における「上流」、「下流」とは、カスケード方式における上流あるいは下流を意味している。すなわち、通常被洗浄物は、最も下流側の洗浄槽に投入されてから、より上流側の洗浄槽に順次投入される。
【0007】
本発明の第二の態様は、第一洗浄槽と、第一洗浄槽よりも上流側に位置する第二洗浄槽とを含む、カスケード式の2以上の洗浄槽と、2以上の洗浄槽の少なくとも一つから供給された洗浄液を再生する洗浄液再生部と、を備えた洗浄装置の作動方法である。
この方法において、洗浄液再生部が内部に残留する洗浄液に含まれる汚れを濃縮しているときは、再生された洗浄液を第一洗浄槽に戻し、洗浄液再生部が内部に残留する洗浄液に含まれる汚れを濃縮していないときは、再生された洗浄液が第二洗浄槽に戻される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の洗浄装置および洗浄装置の作動方法によれば、洗浄対象への汚れの再付着を防ぎつつ、溶剤の廃棄量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る洗浄装置を示す模式図である。
図2】通常モードにおける洗浄液の流れを示す図である。
図3】濃縮廃棄モードにおける洗浄液の流れを示す図である。
図4】本実施形態の変形例に係る洗浄装置を示す模式図である。
図5】本発明の変形例に係る洗浄装置を示す模式図である。
図6】予備槽を備えた洗浄槽の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態について、図1から図4を参照して説明する。
図1は、本実施形態の洗浄装置1を示す模式図である。洗浄装置1は、二つの洗浄槽と、洗浄槽と接続された洗浄液再生部20と、洗浄装置1の各部を制御するコントローラ30とを備えている。
【0011】
洗浄槽は、未洗浄の被洗浄物が入れられる第一洗浄槽11と、第一洗浄槽11で一次洗浄された被洗浄物が入れられる第二洗浄槽12とを含む。二つの洗浄槽11、12は、いわゆるカスケード式の洗浄槽であり、それぞれ余剰槽11a、12aを備える。上流側の第二洗浄槽12でオーバーフローした洗浄液は、余剰槽12aに流入し、配管13を通って下流側の第一洗浄槽11に流入する。第二洗浄槽12には、必要に応じて、図示しない供給源から未使用の新しい洗浄液が供給される。
【0012】
被洗浄物は、例えばレンズ等の光学素子であり、複数の被洗浄物が金属等で形成された籠101に収容された状態で各洗浄槽内の洗浄液Dに浸される。各洗浄槽11、12には、それぞれ超音波源15が取り付けられており、洗浄液に浸かった被洗浄物に超音波源15で発生した超音波を当てることにより、被洗浄物を洗浄する。
洗浄液Dとしては、有機溶剤を使用できる。有機溶剤としては、例えば、炭化水素系溶剤またはグリコール類系溶剤、臭素系溶剤、塩素系溶剤、フッ素系溶剤等が好適である。
【0013】
本実施形態の洗浄液再生部20は、蒸留により洗浄液内の汚れを除去する洗浄液再生装置であり、その基本構造および動作原理は公知である。
洗浄液再生部20と第一洗浄槽11の余剰槽11aとは配管51で接続されており、第一洗浄槽11でオーバーフローした洗浄液Dが洗浄液再生部20に供給される。配管51には電磁弁61が取り付けられている。
洗浄液再生部20で蒸留された洗浄液は、配管52を通り、第二洗浄槽12に送られる。配管52は、分岐管52aを有し、分岐管52aは第一洗浄槽11と接続されている。分岐管52aには電磁弁62が取り付けられている。配管52の分岐管52aより下流側には、電磁弁63が取り付けられている。
【0014】
コントローラ30は、コンピュータやロジック回路、ソフトウェアなどを、単体または組み合わせて構成できる。コントローラ30は、タッチパネルや、キーボード、ボタンなどのユーザインターフェースを備え、使用者の指示を入力できる。コントローラ30は、洗浄液再生部20および電磁弁61、62、63に接続されており、入力された指示に基づいて洗浄液再生部20の動作および各電磁弁61、62、63の開閉状態を制御する。
コントローラ30は、上述した各部に制御信号を送信できれば、その接続態様に特に制限はない。したがって、各部と有線接続されてもよいし、無線接続されてもよい。コントローラ30が独立したユニットでなく、洗浄液再生部20など他ユニットの一部であってもよい。
さらに、コントローラ30から受け取った信号により洗浄液再生部20が電磁弁の開閉状態を切り替え、コントローラ30に電磁弁の状態が表示されてもよい。この場合は洗浄液再生部20が電磁弁を開閉するので、洗浄液再生部20がコントローラの一部機能を分担していると言える。
【0015】
上記のように構成された本実施形態の洗浄装置1の使用時の動作について説明する。この動作には、本実施形態の洗浄方法が含まれている。
使用者は、籠101に入れた被洗浄物を洗浄液Dの入った第一洗浄槽11に入れ、被洗浄物を超音波洗浄する。第一洗浄槽11における一次洗浄が終わった後、籠101を第二洗浄槽12に移動し、同様に被洗浄物の二次洗浄を行う。二次洗浄後の被洗浄物は、リンスや乾燥等の後工程のために洗浄装置1外に移動される。
【0016】
新たな被洗浄物の洗浄を継続すると、各洗浄槽内の洗浄液Dに含まれる汚れが増加する。汚れは第一洗浄槽11内の洗浄液Dにより多く含まれている。
【0017】
洗浄液再生部20は、通常時の運転(通常モード)において、第一洗浄槽11内の洗浄液Dを取り込み、これを洗浄液の沸点以上かつ想定される汚れの沸点以下の温度で加熱し、洗浄液を蒸留する。
図2に、通常モードにおける洗浄液の流れを示す。コントローラ30が電磁弁61を開くと余剰槽11a内の洗浄液が、配管51を通って洗浄液再生部20に流入する。流入した洗浄液は、洗浄液再生部20で蒸留される。蒸留された洗浄液は、配管52から第二洗浄槽12に戻される。
コントローラ30は、通常モードにおいて、電磁弁63を開き、電磁弁62を閉じる。したがって、通常モードにおいて蒸留された洗浄液は、第二洗浄槽12に選択的に送られる。
通常モードにおける洗浄液の供給は、連続的に行われてもよいし、間欠的に行われてもよい。連続的に行う場合、電磁弁61は、常時開放される。間欠的に行われる場合は、第一洗浄槽11内の洗浄液を取り込むときだけ電磁弁61が開かれる。
【0018】
さらに被洗浄物の洗浄を継続すると、洗浄液D内の汚れがさらに増える。その結果、通常モードでは洗浄液中の汚れを十分に除去することが困難になる。洗浄液再生部20は、蒸留により汚れを除去するが、汚れの濃度が一定レベルを超えると、洗浄液が汚れの一部を含んで気化してしまうためである。
【0019】
使用者は、洗浄結果等から洗浄液再生部20の再生が十分でないと判断した等の場合、ユーザインターフェースを使ってコントローラ30に、モード切替を指示する。指示を受け取ったコントローラ30は、洗浄液再生部20の運転モードを、通常モードから濃縮廃棄モード(濃縮モード)に変更する。
【0020】
濃縮廃棄モードは、洗浄液の液体成分を蒸発させて洗浄液の量を減らし、廃棄するためのモードである。
図3に、濃縮廃棄モードにおける洗浄液の流れを示す。コントローラ30は、洗浄液再生部20の運転モードを切り替えるとともに、電磁弁61を閉じて、第一洗浄槽11からの洗浄液取り込みを停止する。さらに、配管52の電磁弁63を閉じ、電磁弁62を開く。その結果、濃縮廃棄モード中に気化および冷却された洗浄液は、分岐管52aを通って第一洗浄槽11に戻される。
濃縮廃棄モード中は洗浄液取り込みが停止されるため、時間経過とともに洗浄液再生部20内の洗浄液の量が減少するとともに、汚れの濃度は上昇する。すなわち、洗浄液再生部20内の洗浄液の汚れは濃縮される。
【0021】
洗浄液再生部20内の洗浄液が濃縮されて所定の量以下まで減少したら、コントローラ30は、洗浄液再生部20に濃縮された洗浄液を廃棄させ、濃縮廃棄モードを終了する。洗浄液再生部20の運転モードは、通常モードに切り替わる。
濃縮廃棄モードの終了時点において、洗浄液再生部20から電磁弁62までの配管52および分岐管52a内には、まだ濃縮廃棄モード中に気化および冷却された洗浄液が残留している。コントローラ30は、電磁弁の開閉状態を変更せずに、一定時間通常モードで洗浄液再生部20を動作させ、通常モードで生じた蒸留済み洗浄液で、配管52および分岐管52a内に残留した洗浄液を押し出す。通常モードで生じた蒸留済み洗浄液を十分分岐管52aに送り込んだら、コントローラ30は、電磁弁62を閉じ、電磁弁63を開く。
【0022】
図4に、再生された洗浄液が流れる配管の他の例を示す。図4においては、通常モードおよび濃縮廃棄モードのいずれにおいても洗浄液が流れる配管52eを短く構成している。これにより、上述した「一定時間」を短縮できる。
例えば、図1に示す配管52の容量が3Lあり、洗浄液再生部20が通常モードで再生した洗浄液を1L/分のペースで送り出す場合は、上述の「一定時間」は概ね3分となる。図4に示すような配管52eが短い構成にすることで「一定時間」を大幅に短縮することができ、通常モードで再生された汚れの少ない洗浄液を第二洗浄槽12に迅速に供給できる。配管52eを洗浄液再生部20内に組み込めば、「一定時間」をゼロにする、すなわち、濃縮廃棄モード終了後直ちに電磁弁62および63の切り替えを行う構成にすることもできる。
【0023】
濃縮廃棄モード中に気化および冷却された洗浄液は、通常モードで蒸留した洗浄液よりも多量の汚れを含んでいる。従来は、濃縮廃棄モード中に気化および冷却された洗浄液を、通常モードと同様に、第二洗浄槽に戻していた。第二洗浄槽は、二次洗浄を行う槽であるため、汚れの再付着を防止する観点からは、許容できる汚れの量に限りがある。そのため、廃棄する洗浄液の濃縮を十分に行えない結果、多量の洗浄液を廃棄して、装置のランニングコストを増大させていた。
【0024】
ここで発明者は、第一洗浄槽11に着目した。第一洗浄槽11は、未洗浄の被洗浄物が投入されること、および、第一洗浄槽11で洗浄された被洗浄物が、上流側の第二洗浄槽12でさらに洗浄されることから、許容される洗浄液内の汚れの量の上限値を、第二洗浄槽12よりもはるかに高く設定できる。したがって、濃縮廃棄モード中の洗浄液を第一洗浄槽11に戻すことで、戻す洗浄液中における汚れの上限値を大きく引き上げることができ、第二洗浄槽12で洗浄された被洗浄物の洗浄品質に与える影響も最小限にできる。
発明者の検討では、濃縮廃棄モードにおける洗浄液の廃棄量を、本発明を適用することにより、洗浄品質に影響を与えずに従来の5分の1まで減少させることに成功している。洗浄液として用いる有機溶剤は決して安価ではないため、これによるランニングコストの低減効果は極めて大きい。
【0025】
本実施形態の洗浄装置および洗浄方法では、洗浄液再生部20が濃縮廃棄モードから通常モードに切り替わった後、一定時間は、第一洗浄槽11に蒸留した洗浄液を戻し続ける。その結果、配管52内に残留した濃縮廃棄モードで発生した洗浄液が第二洗浄槽12に流入することを確実に防ぎ、洗浄品質の低下を防止できる。
【0026】
本実施形態の洗浄装置および洗浄方法は、洗浄液再生部とカスケード式の複数の洗浄槽とを備える一般的な洗浄装置に対して、配管及び弁を適宜増設し、洗浄液再生部の動作プログラムを変更するだけで実施できるため、大掛かりな投資が必要なく、極めて簡便に行える。
【0027】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成要素の組み合わせを変えたり、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。
【0028】
本発明の変形例の一部について、以下に示す。
図5に示す変形例の洗浄装置1Aは、第一洗浄槽11と第二洗浄槽12との間に第三洗浄槽113および第四洗浄槽114を備え、計4つのカスケード式洗浄槽を有する。このような構成の洗浄装置にも本発明を好適に適用できる。
洗浄装置1Aにおいて、通常モードで蒸留再生された洗浄液を送る洗浄槽は、濃縮廃棄モードで蒸留された洗浄液を戻す洗浄槽より上流側であればよく、第三洗浄槽113や第四洗浄槽114であってもよい。同様に、濃縮廃棄モードで蒸留された洗浄液を戻す洗浄槽は、通常モードで蒸留再生された洗浄液を送る洗浄槽よりも下流側であればよく、第三洗浄槽113や第四洗浄槽114であってもよい。ただし、濃縮廃棄モードにおいて再生される洗浄液の汚れ濃度は比較的高いため、洗浄液が最も汚れやすい第一洗浄槽11に戻すのが最も好ましい。上述のルールを守る範囲内において、通常モードで蒸留再生された洗浄液および濃縮廃棄モードで蒸留された洗浄液のいずれも、複数の洗浄槽に送られてよい。
洗浄装置1Aの配管52には、第三洗浄槽113と接続された分岐管52bおよび電磁弁64の組と、第四洗浄槽114と接続された分岐管52cおよび電磁弁65の組とが接続されているため、電磁弁64および65をコントローラ30で開閉可能に構成すれば、洗浄液再生部20から洗浄液を送り込む洗浄槽を自由に設定することができる。
洗浄装置1Aの洗浄槽の数は4つであるが、洗浄槽の数は3つでもよいし、5つ以上でもよい。
【0029】
洗浄装置における各洗浄槽は、洗浄液の状態を好適に調整するための予備槽を備えてもよい。
図6に、予備槽151を備えた第一洗浄槽11Aの例を示す。余剰槽11aには配管152が設けられている。配管152の先端開口は予備槽151内に位置している。予備槽151と洗浄液再生部20とをつなぐ配管51には、電磁弁61が取り付けられている。第一洗浄槽11Aと予備槽151とは、ポンプ172およびフィルタ173を備えた循環用の配管171により接続されている。予備槽151には、冷媒が通る冷却管181と、熱媒が通る加温管182とが配置されている。この構成により、予備槽に貯留された洗浄液を所望の温度に調整することができる。
冷却管181および加温管182は一例であり、他の冷却装置や加温装置が予備槽に取り付けられてもよい。
【0030】
予備槽151内で所望の温度に調整された洗浄液は、ポンプ172によって汲み上げられ、フィルタ173で濾過された後、配管171を通って第一洗浄槽11Aに供給される。再生される洗浄液は、予備槽151から洗浄液再生部20に供給される。以上により、洗浄液の温度を好適に保持しつつ、第一洗浄槽11Aと予備槽151との間で洗浄液を循環させることができる。
【0031】
図6には、図1と同様の分岐管52aおよび電磁弁62を示しているが、洗浄槽が予備槽を有する場合、洗浄液再生部から供給される洗浄液が送り込まれる場所は適宜変更できる。例えば、再生された洗浄液は、予備槽151に送られてもよいし、配管152や配管171に送られてもよい。
【0032】
図6に示した予備槽は、温度調節を行う予備槽の例である。他には、真空ポンプやエダクターを備えた密閉構造の予備槽を例示できる。この予備槽では、洗浄液の脱気を行うことができるため、超音波洗浄を行う場合に好適である。脱気と温度調整の両方ができる構成としてもよいことは当然である。予備槽に特段の洗浄液調整機能がなく、洗浄槽との間で洗浄液の循環のみを行う構成であってもよい。
【0033】
第二洗浄槽12、第三洗浄槽113、第四洗浄槽114に予備槽が設けられてもよいことは当然である。複数の洗浄槽において、予備槽を有する洗浄槽と有さない洗浄槽とが混在していても構わない。
【0034】
上述の実施形態では、通常モードと濃縮廃棄モードとが切り替わるタイミングを使用者がコントローラに入力する例を説明した。これに代えて、通常モードと濃縮廃棄モードとが自動的に切り替わる構成が採用されてもよい。
コントローラが切り替え判定において参照する制御パラメータとしては、被洗浄物の洗浄時間や、洗浄した被洗浄物の量などを例示できる。前者の具体例としては、第一洗浄槽内に籠が位置していた時間(籠を沈めてから引き上げるまでの時間)を、後者の具体例としては、洗浄が行われた籠の数を、それぞれ例示できる。コントローラがこれらの情報を取得および記憶できるように洗浄装置の各部を構成することにより、使用者がユーザインターフェースから指示を入力しなくても、洗浄液再生部に所定の周期で通常モードと濃縮廃棄モードとを繰り返させることができる。
【符号の説明】
【0035】
1、1A 洗浄装置
11、11A 第一洗浄槽
12 第二洗浄槽
20 洗浄液再生部
30 コントローラ
52 配管
62、63、64、65 電磁弁
D 洗浄液
図1
図2
図3
図4
図5
図6