【解決手段】膜分離装置1は、逆浸透膜モジュール4と、加圧ポンプ2と、加圧ポンプ2の回転速度を制御するポンプ制御部301と、逆浸透膜モジュール4に供給される給水の圧力を調整する給水圧力調整部302と、排水流量調整弁7と、逆浸透膜モジュール4の1次圧を測定する圧力測定手段16と、排水流量調整弁7の開度を制御する排水流量調整弁制御部303と、逆浸透膜モジュール4のフラッシング時において、給水時よりも、圧力測定手段16により測定される1次圧を低下させるように、ポンプ制御部301、給水圧力調整部302、及び排水流量調整弁制御部303を制御する連係制御部304と、を備える。
前記給水圧力調整弁制御部は、前記逆浸透膜モジュールのフラッシング時において、給水時よりも、前記給水圧力調整弁の開度を小さくする、請求項2に記載の膜分離装置。
前記排水流量調整弁制御部は、前記逆浸透膜モジュールのフラッシング時において、給水時よりも、前記排水流量調整弁の開度を大きくする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の膜分離装置。
前記ポンプ制御部は、前記逆浸透膜モジュールのフラッシング時において、給水時よりも、前記加圧ポンプの回転速度を小さくするか、又は前記加圧ポンプを停止させる、請求項1〜7のいずれか1項記載の膜分離装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔1 第1実施形態〕
〔1.1 膜分離装置の構成〕
本発明の第1実施形態に係る膜分離装置1について、図面を参照しながら説明する。
図1は、第1実施形態に係る膜分離装置1の全体構成図である。本実施形態に係る膜分離装置1は、例えば、淡水から純水を製造する純水製造システムに適用される。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係る膜分離装置1は、加圧ポンプ2と、加圧側インバータ3と、逆浸透膜モジュールとしてのRO膜モジュール4と、流量調整ユニット5と、逆止弁6と、排水流量調整部としての排水流量調整弁7と、給水ポンプ12と、給水側インバータ13と、給水圧力調整部としての給水圧力調整弁14と、圧力測定手段としての第1圧力センサ15及び第2圧力センサ16と、流量検出手段としての第1流量センサFM1及び第2流量センサFM2と、制御部30と、を備える。なお、制御部30と被制御対象機器との電気的接続線の図示については、省略している。
【0020】
また、膜分離装置1は、給水ラインL1と、供給水ラインL2と、透過水ラインL3と、第1濃縮水ラインL41と、第2濃縮水ラインL42と、循環水ラインL5と、排水ラインL6とを備える。本明細書における「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0021】
給水ラインL1は、給水W1を、供給水ラインL2との合流部である合流部J2まで供給するラインである。給水ラインL1の上流側の端部は、給水W1の供給源(不図示)に接続されている。給水ラインL1には、上流側から下流側に向けて順に、給水ポンプ12、給水圧力調整弁14、第1圧力センサ15、合流部J2が設けられている。
【0022】
給水ポンプ12は、給水ラインL1を流通する給水W1を吸入し、加圧ポンプ2へ向けて圧送(吐出)する装置である。給水ポンプ12には、給水側インバータ13から周波数が変換された駆動電力が供給される。給水ポンプ12は、供給(入力)された駆動電力の周波数(以下、「駆動周波数」ともいう)に応じた回転速度で駆動される。
【0023】
給水側インバータ13は、給水ポンプ12に、周波数が変換された駆動電力を供給する電気回路(又はその回路を持つ装置)である。給水側インバータ13は、制御部30と電気的に接続されている。給水側インバータ13には、制御部30から指令信号が入力される。給水側インバータ13は、制御部30により入力された指令信号(電流値信号又は電圧値信号)に対応する駆動周波数の駆動電力を給水ポンプ12に出力する。本実施形態においては、制御部30は、給水ポンプ12が給水W1を所定の一定圧力値で吐出するように、給水側インバータ13を制御する。
【0024】
給水圧力調整弁14は、実質的に無段階で開度を調整することにより、RO膜モジュール4に供給される給水W1の圧力を調整する比例弁である。給水圧力調整弁14は、制御部30と電気的に接続されており、制御部30からの制御により開度が調整される。
【0025】
第1圧力センサ15は、制御部30と電気的に接続されている。第1圧力センサ15は、給水圧力調整弁14により調整された後の給水W1の水圧(以下、「第1測定水圧値」ともいう)を測定し、第1測定水圧値は制御部30へ検出信号として送信される。
【0026】
供給水ラインL2は、給水W1を、供給水W2としてRO膜モジュール4に供給するラインである。供給水ラインL2の上流側の端部は、合流部J2に接続されている。供給水ラインL2の下流側の端部は、RO膜モジュール4の一次側入口ポートに接続されている。供給水ラインL2には、上流側から下流側に向けて順に、合流部J2、加圧ポンプ2、第2圧力センサ16、RO膜モジュール4が設けられている。
【0027】
加圧ポンプ2は、供給水ラインL2に設けられる。加圧ポンプ2は、供給水ラインL2において、給水W1を吸入し、供給水W2として、RO膜モジュール4へ向けて圧送(吐出)する装置である。加圧ポンプ2には、加圧側インバータ3から周波数が変換された駆動電力が供給される。加圧ポンプ2は、供給(入力)された駆動電力の周波数(以下、「駆動周波数」ともいう)に応じた回転速度で駆動される。
【0028】
加圧側インバータ3は、加圧ポンプ2に、周波数が変換された駆動電力を供給する電気回路(又はその回路を持つ装置)である。加圧側インバータ3は、制御部30と電気的に接続されている。加圧側インバータ3には、制御部30から指令信号が入力される。加圧側インバータ3は、制御部30により入力された指令信号(電流値信号又は電圧値信号)に対応する駆動周波数の駆動電力を加圧ポンプ2に出力する。
【0029】
第2圧力センサ16は、供給水ラインL2に設けられる。第2圧力センサ16は、制御部30と電気的に接続されている。第2圧力センサ16は、加圧ポンプ2から吐出された供給水W2の水圧(以下、「第2測定水圧値」ともいう)、とりわけ後述のRO膜モジュール4の一次側の圧力を測定し、第2測定水圧値は制御部30へ検出信号として送信される。
【0030】
RO膜モジュール4は、加圧ポンプ2から吐出された供給水W2を、溶存塩類が除去された透過水W3と、溶存塩類が濃縮された濃縮水W4とに膜分離処理する設備である。RO膜モジュール4は、単一又は複数のRO膜エレメント(不図示)を備える。RO膜モジュール4は、これらRO膜エレメントにより供給水W2を膜分離処理し、透過水W3及び濃縮水W4を製造する。
【0031】
透過水ラインL3は、RO膜モジュール4で分離された透過水W3を送出するラインである。透過水ラインL3の上流側の端部は、RO膜モジュール4の二次側ポートに接続されている。透過水ラインL3の下流側の端部は、需要箇所の装置等に接続されている。透過水ラインL3には、第1流量センサFM1(以下、「第1流量検出手段」とも呼称する)が設置される。
【0032】
第1流量センサFM1は、透過水ラインL3を流通する透過水W3の流量を検出流量値として検出する機器である。第1流量センサFM1は、透過水ラインL3に接続されている。第1流量センサFM1は、制御部30と電気的に接続されている。第1流量センサFM1で検出された透過水W3の検出流量値は、制御部30へ検出信号として送信される。第1流量センサFM1として、例えば、流路ハウジング内に軸流羽根車又は接線羽根車(不図示)を配置したパルス発信式の流量センサを用いることができる。
【0033】
第1濃縮水ラインL41は、RO膜モジュール4で分離された濃縮水W4を送出するラインである。第1濃縮水ラインL41の上流側の端部は、RO膜モジュール4の一次側出口ポートに接続されている。また、第1濃縮水ラインL41の下流側は、流量調整ユニット5の一次側に接続されている。
【0034】
また、第2濃縮水ラインL42は、流量調整ユニット5で流量が調整された濃縮水W4を送出するラインである。第2濃縮水ラインL42の上流側の端部は、流量調整ユニット5の二次側に接続されている。また、第2濃縮水ラインL42の下流側は、接続部J1において、循環水ラインL5及び排水ラインL6に分岐している。
【0035】
なお、以降では、第1濃縮水ラインL41と第2濃縮水ラインL42とをまとめて、「濃縮水ラインL4」と総称することがある。
【0036】
流量調整ユニット5は、当該流量調整ユニット5における差圧によらず、実質的に定流量の濃縮水W4を流通させる定流量要素と、当該流量調整ユニット5における差圧に実質的に比例して濃縮水W4の流量が高くなる比例要素とを備える。流量調整ユニット5における差圧は、具体的には、第1濃縮水ラインL41の水圧と第2濃縮水ラインL42の水圧との差圧である。定流量要素は、補助動力や外部操作を必要とせずに一定流量値を保持し、例えば水ガバナの名称で呼ばれるものを用いてもよい。また、比例要素としては、例えばオリフィスの名称で呼ばれるものを用いてもよく、オリフィスから流れる濃縮水W4の流量が、当該流量調整ユニット5における差圧に比例する。
【0037】
図2は、RO膜モジュール4の入口圧力と、流量調整ユニット5を流れる濃縮水の流量との関係の例を示すグラフである。流量調整ユニット5は、定流量要素を備えることから、入口圧力が発生すると、流量調整ユニット5を流れる濃縮水の流量は一気にA点まで上昇する。すなわち近似的には、入口圧力の発生と同時にA点の高さの流量が流量調整ユニット5に流れる。同時に、流量調整ユニット5は比例要素を備えることから、以降、入口圧力が上昇するに従い、流量調整ユニット5を流れる濃縮水の流量は、一次関数的に上昇する。
【0038】
なお、流量調整ユニット5において、定流量要素と比例要素とは一体的に構成されていてもよく、別体として構成されていてもよい。一体的に構成されている場合には、例えば、比例要素の流れ方向が、流量調整ユニット5の長軸方向と一致し、定流量要素の流れ方向が流量調整ユニット5の長軸方向に直交するように構成してもよい。あるいは、比例要素の流れ方向が流量調整ユニット5の長軸方向に直交し、定流量要素の流れ方向が流量調整ユニット5の長軸方向と一致するように構成してもよい。あるいは、定流量要素の流れ方向と比例要素の流れ方向が、共に流量調整ユニット5の長軸方向と一致するように構成してもよい。
【0039】
循環水ラインL5は、濃縮水ラインL4から分岐するラインであって、RO膜モジュール4で分離された濃縮水W4の一部である循環水W41を、合流部J2に返送するラインである。循環水ラインL5の上流側の端部は、接続部J1において、濃縮水ラインL4に接続されている。また、循環水ラインL5の下流側の端部は、合流部J2において、給水ラインL1に接続されている。循環水ラインL5には、逆止弁6が設けられている。
【0040】
排水ラインL6は、接続部J1において濃縮水ラインL4から分岐され、RO膜モジュール4で分離された濃縮水W4の残部である排水W42を装置外(系外)に排出するラインである。排水ラインL6には、排水流量調整手段としての排水流量調整弁7及び第2流量センサFM2(以下、「第2流量検出手段」とも呼称する)が設置される。
【0041】
排水流量調整弁7は、排水ラインL6から装置外へ排出される排水W42の排水流量を調整可能な弁である。排水流量調整弁7は、制御部30と電気的に接続されている。排水流量調整弁7の弁開度は、制御部30から送信される駆動信号により制御される。制御部30から電流値信号(例えば、4〜20mA)を排水流量調整弁7に送信して、弁開度を制御することにより、排水W42の排水流量を調整することができる。
【0042】
第2流量センサFM2は、排水ラインL6から装置外へ排出される排水W42の流量を検出流量値として検出する機器である。第2流量センサFM2は、排水ラインL6に接続されている。第2流量センサFM2は、制御部30と電気的に接続されている。第2流量センサFM2で検出された排水W42の検出流量値は、制御部30へ検出信号として送信される。第2流量センサFM2として、例えば、流路ハウジング内に軸流羽根車又は接線羽根車(不図示)を配置したパルス発信式の流量センサを用いることができる。
【0043】
〔1.2 制御部の機能ブロック〕
制御部30は、CPU、ROM、RAM、CMOSメモリ等を有し、これらはバスを介して相互に通信可能に構成される、当業者にとって公知のものである。CPUが、ROMに格納された各種プログラムを、バスを介して読み出し、該各種プログラムに従って膜分離装置1全体を制御することで、
図3の機能ブロック図に示すように、制御部30が、ポンプ制御部301、給水圧力調整弁制御部302、排水流量調整弁制御部303、連係制御部304の機能を実現するように構成される。
【0044】
ポンプ制御部301は、加圧側インバータ3を介して加圧ポンプ2の回転速度を制御することにより、加圧ポンプ2が吐出する供給水の流量を制御する。とりわけ、ポンプ制御部301は、RO膜モジュール4のフラッシング時において、給水時よりも加圧ポンプ2の回転速度を小さくするか、又は加圧ポンプ2を停止させる。
【0045】
給水圧力調整弁制御部302は、給水W1の圧力を調整する給水圧力調整弁14の開度を制御する。とりわけ、給水圧力調整弁制御部302は、RO膜モジュール4のフラッシング時において、給水時よりも給水圧力調整弁14の開度を小さくする。なお、本制御における開度の演算には、例えば、速度形デジタルPIDアルゴリズムを用いることができる。給水圧力調整弁制御部302は、給水圧力調整弁14の開度を非連続的に変更してもよい。
【0046】
排水流量調整弁制御部303は、排水流量調整弁7の開度を調整する。とりわけ、排水流量調整弁制御部303は、RO膜モジュール4のフラッシング時において、給水時よりも排水流量調整弁7の開度を大きくする。また、排水流量調整弁制御部303は、RO膜モジュール4のフラッシング時において、第2流量センサFM2によって測定される排水流量が、許容給水流量、すなわち、定格運転時の透過水量を最低回収率で除した値と、第1流量センサFM1によって測定される透過水W3の流量値との差分を超えないように、排水流量調整弁7の開度を調整してもよい。このようにフラッシング時の排水流量の目標値を定めることにより、大きなフラッシング効果を得ることが可能である。なお、本制御における開度の演算には、例えば、速度形デジタルPIDアルゴリズムを用いることができる。排水流量調整弁制御部303は、排水流量調整弁7の開度を非連続的に変更してもよい。
【0047】
連係制御部304は、RO膜モジュール4のフラッシング時において、給水時よりも、第2圧力センサ16により測定されるRO膜モジュール4の1次圧を低下させるように、ポンプ制御部301、給水圧力調整弁制御部302、排水流量調整弁制御部303を制御する。
【0048】
〔1.3 膜分離装置の動作〕
図4は、本実施形態に係る膜分離装置1の動作の流れを示すタイムチャートである。
図4には、3つのタイムチャートが記載されているが、これら3つのタイムチャートは共通の時間軸を有する。上段のタイムチャートは、膜分離装置1における制御対象である、給水圧力調整弁の開度、排水流量調整弁の開度、及び加圧ポンプの周波数の変化を示す。中段のタイムチャートは、上段のタイムチャートに示す制御に伴う、膜入口圧力及び給水圧力の変化を示す。下段のタイムチャートは、上段のタイムチャートに示す制御に伴う、給水流量、透過水流量、排水流量、実回収率の変化を、許容給水流量値と共に示す。
【0049】
時刻T
2でフラッシングを開始すると同時に、点A及び点Cに示すように、給水圧力を0.2MPaに下げるため、時間T
2〜T
3において給水圧力調整弁開度を下げる。これは、RO膜モジュール4の1次圧を下げることにより、膜のろ過方向への流れ(透過水量)を少なくすることで、付着物のRO膜からの脱着をしやすくし、フラッシング効果(付着物除去能)が向上されると共に、透過水量が少なくなり、節水効果が得られることを目的とするものである。
【0050】
時刻T
3において、点Bに示すように給水圧力が0.2MPaに下がった時点で、点Cに示すように給水圧力調整弁14の開度を固定する。
【0051】
その後、給水圧力が安定したことをトリガとして、点Dに示すように、加圧ポンプ2の周波数を30Hzに下げる。これは、透過水の流量を下げて、フラッシングの効果を高めることを目的とするものである。これにより、点Eに示すように膜入口圧力が下がると共に、点Fに示すように給水流量は減少し、点Gに示すように透過水流量も減少する。
【0052】
時刻T
5において、点Hに示すように、給水圧力を0.1MPaに更に下げるため給水圧力調整弁開度を下げる。これは、更に透過水流量を下げて、フラッシング効果をより高めることを目的とするものである。
【0053】
その後、点J及び点Kに示すように、給水流量及び透過水流量が安定したことをトリガとして、時刻T
6の点Lに示すように、排水流量が許容給水流量を超えない範囲で、排水流量調整弁の開度を上げる。より具体的には、排水流量目標値が、許容給水流量と瞬間的な透過水流量との差分となるように、排水流量調整弁7の開度を上げて排水流量を増やす。これにより、回収率を下げてフラッシング効果を高める。
本実施形態に係る膜分離装置1における動作の流れは上記の通りである。
なお、
図4のタイムチャートに示す各時刻及び各数値はあくまで一例であって、これには限定されない。
【0054】
〔1.4 第1実施形態の効果〕
上述した第1実施形態に係る膜分離装置1によれば、例えば、以下のような効果が得られる。
第1実施形態に係る膜分離装置1においては、RO膜モジュール4のフラッシング時において、給水時よりもRO膜モジュール4の1次圧を低下させるように、連係制御部304が、ポンプ制御部301、給水圧力調整弁制御部302、排水流量調整弁制御部303を制御する。
フラッシング時において、RO膜モジュール4の1次圧を下げることにより、膜のろ過方向への流れを少なくすることで、付着物のRO膜からの脱着をしやすくし、フラッシング効果(付着物除去能)が向上されると共に、透過水量が少なくなり、節水効果が得られる。
【0055】
また、膜分離装置1は、給水圧力調整部として、給水圧力調整弁14と給水圧力調整弁制御部302とを備え、RO膜モジュール4のフラッシング時において、給水時よりも給水圧力調整弁14の開度を小さくする。
フラッシング時において、給水圧力調整弁14の開度を小さくすることにより、RO膜モジュール4の1次圧が下がることで、RO膜のろ過方向への流れが少なくなり、付着物の膜面からの脱着がしやすくなり、フラッシング効果(付着物除去能)が向上されると共に、透過水量が少なくなり、節水効果が得られる。
【0056】
また、膜分離装置1は、排水流量調整弁7と排水流量調整弁制御部303とを備え、排水流量調整弁制御部303は、RO膜モジュール4のフラッシング時において、給水時よりも排水流量調整弁7の開度を大きくする。
フラッシング時において、回収率を落とし、濃縮度を低下させることにより、RO膜への付着スケールの剥離を促進させることが可能となる。
【0057】
また、排水流量調整弁制御部303は、RO膜モジュール4のフラッシング時において、排水流量が許容給水流量と透過水流量との差分を超えないように、排水流量調整弁7の開度を調整する。
排水流量を増加させる際の最適な条件として、許容給水量を超えない範囲で最大限とすることで、大きなフラッシング効果が得られる。
【0058】
また、ポンプ制御部301は、RO膜モジュール4のフラッシング時において、給水時よりも加圧ポンプ2の回転速度を小さくする。
フラッシング時において、加圧ポンプ2の回転速度を小さくすることにより、RO膜モジュール4の1次圧が下がることで、大きなフラッシング効果が得られると共に、透過水量が少なくなり節水効果が得られる。
【0059】
〔2 第2実施形態〕
〔2.1 膜分離装置の構成〕
本発明の第2実施形態に係る膜分離装置1Aについて、図面を参照しながら説明する。
図5は、第2実施形態に係る膜分離装置1Aの全体構成図である。なお、以下では、主として、膜分離装置1Aの構成のうち、第1実施形態に係る膜分離装置1と異なる点について説明する。
【0060】
膜分離装置1Aは、膜分離装置1とは異なり、給水ポンプ12、給水側インバータ13、給水圧力調整弁14を備えない。その代わり、膜分離装置1Aにおいては、給水ポンプ12A及び給水側インバータ13Aが設けられ、給水側インバータ13Aが、制御部30により入力された指令信号(電流値信号又は電圧値信号)に対応する駆動周波数の駆動電力を給水ポンプ12Aに出力することにより、給水ポンプ12Aが給水W1を吐出する給水圧力を制御する。つまり、給水ポンプ12Aが給水圧力調整部の一部として機能する。
【0061】
〔2.2 制御部の機能ブロック〕
制御部30Aは、CPU、ROM、RAM、CMOSメモリ等を有し、これらはバスを介して相互に通信可能に構成される、当業者にとって公知のものである。CPUが、ROMに格納された各種プログラムを、バスを介して読み出し、該各種プログラムに従って膜分離装置1A全体を制御することで、
図6の機能ブロック図に示すように、制御部30Aが、ポンプ制御部301、排水流量調整弁制御部303、連係制御部304、吐出圧力調整部306の機能を実現するように構成される。
【0062】
制御部30Aは、第1実施形態に係る制御部30が備える給水圧力調整弁制御部302の代わりに、吐出圧力調整部306を備える。これは、膜分離装置1Aが給水圧力調整弁14を備えず、給水ポンプ12A及び給水側インバータ13Aによって給水圧力を制御することに対応するものである。
吐出圧力調整部306は、給水側インバータ13Aを介して給水ポンプ12Aによる吐出圧力を調整する。とりわけ、吐出圧力調整部306は、RO膜モジュール4のフラッシング時において給水時よりも吐出圧力を低くする。
【0063】
なお、膜分離装置1Aの動作については、給水圧力調整弁制御部302の代わりに吐出圧力調整部306が給水圧力を制御する点を除けば、膜分離装置1の動作と同一であるため、その説明を省略する。
【0064】
〔2.3 第2実施形態の効果〕
上述した第2実施形態に係る膜分離装置1Aによれば、例えば、以下のような効果が得られる。
第2実施形態に係る膜分離装置1Aは、給水ポンプ12Aと、給水ポンプ12Aによる吐出圧力を調整する吐出圧力調整部306とを給水圧力調整部とし、吐出圧力調整部は、RO膜モジュール4のフラッシング時において、給水時よりも吐出圧力を低くする。
フラッシング時において、吐出圧力を低くすることにより、RO膜モジュール4の1次圧が下がることで、RO膜のろ過方向への流れが少なくなる。そのため、付着物の膜面からの脱着がしやすくなり、フラッシング効果(付着物除去能)が向上されると共に、透過水量が少なくなり、節水効果が得られる。
【0065】
〔3 変形例〕
流量調整ユニット5のメインユニットには、機械式のリリーフ弁があってもよい。