【実施例1】
【0023】
図1は、本発明の実施例1の洗浄装置1を示す概略図である。
本実施例の洗浄装置1は、被洗浄物2が収容されると共に液体が貯留される洗浄槽3と、この洗浄槽3内の貯留液を加温する加温手段4と、洗浄槽3内の気体を外部へ吸引排出して洗浄槽3内を減圧する減圧手段5と、減圧された洗浄槽3内の液相部へ外気を導入する液相給気手段6と、減圧された洗浄槽3内の気相部へ外気を導入する気相給気手段7と、これら各手段4〜7を制御する制御手段(図示省略)とを備える。
【0024】
被洗浄物2は、洗浄を図りたい物品であり、たとえば、医療器械、電子部品または機械部品である。被洗浄物2は、洗浄槽3内に設けられた網棚8に載せられて、洗浄槽3内に収容される。
【0025】
洗浄槽3は、内部空間の減圧に耐える中空容器であり、本実施例では略矩形のボックス状に形成されている。洗浄槽3は、上方へ開口する洗浄槽本体9と、この洗浄槽本体9の開口部を開閉するドア10とを備える。ドア10を閉じた状態では、洗浄槽本体9とドア10との隙間はパッキン11で封止される。
【0026】
図示しないが、洗浄槽3には、給水手段および排水手段の他、所望により薬液供給手段も設けられる。給水手段は、洗浄槽3内へ水を供給する手段であり、排水手段は、洗浄槽3外へ水を排出する手段である。また、薬液供給手段は、洗浄槽3内へ薬液を供給する手段である。給水手段による給水に薬液供給手段による薬液を投入することで、所望濃度の洗浄液とすることができる。
【0027】
洗浄槽3には、圧力センサ12と温度センサ13とが設けられる。圧力センサ12は、洗浄槽3の上部に設けられる一方、温度センサ13は、洗浄槽3の下部に設けられる。そのため、洗浄槽3内に液体を貯留した状態では、圧力センサ12により洗浄槽3内の気相部の圧力を検出でき、温度センサ13により洗浄槽3内の液相部の温度を検出できる。
【0028】
加温手段4は、被洗浄物2の浸漬洗浄時、洗浄槽3内の液体を加温する。また、本実施例では、加温手段4は、浸漬洗浄後の被洗浄物2の乾燥時、洗浄槽3内へ導入される気体を加温する。
【0029】
加温手段4は、本実施例では蒸気ヒータ14から構成される。具体的には、洗浄槽3内の下部にはパイプ材が設けられ、このパイプ材には、一端部から給蒸路15を介して蒸気が供給され、他端部からドレン排出路16を介してドレンが排出される。給蒸路15には、給蒸弁17が設けられる一方、ドレン排出路16には、スチームトラップ18が設けられる。給蒸弁17の開閉または開度を制御して、洗浄槽3内の温度を調整することができる。
【0030】
減圧手段5は、洗浄槽3内の気体を外部へ吸引排出して、洗浄槽3内を減圧する。本実施例では、洗浄槽3内からの排気路19に、熱交換器20、逆止弁21および真空ポンプ22が順に設けられて構成される。
【0031】
熱交換器20は、排気路19内の流体と冷却水とを混ぜることなく熱交換する間接熱交換器である。熱交換器20には、熱交給水路23を介して冷却水が供給され、熱交排水路24を介して冷却水が排出される。熱交換器20において、排気路19内の蒸気を、冷却水により冷却し凝縮させることができる。熱交給水路23(または熱交排水路24)に設けた熱交給水弁25の開閉により、熱交換器20への通水の有無を切り替えることができる。
【0032】
真空ポンプ22は、水封式であり、周知のとおり、封水と呼ばれる水が供給されつつ運転される。そのために、真空ポンプ22には、封水給水路26を介して水が供給される。封水給水路26には封水給水弁27が設けられており、この封水給水弁27は、真空ポンプ22の発停と連動して開閉される。
【0033】
液相給気手段6は、被洗浄物2の浸漬洗浄時、減圧された洗浄槽3内の液相部へ、液相給気路28を介して外気を導入する。また、詳細は後述するが、液相給気手段6は、浸漬洗浄後の被洗浄物2の乾燥時、排水済の洗浄槽3内に外気を導入するのにも用いられる。外気は、液相給気ノズル29を介して導入されるのが好ましい。液相給気ノズル29は、水平に配置されたパイプ材に、その長手方向へ離隔して複数のノズル穴29aが下方へ開口して形成されている。洗浄槽3内には、平面視において、液相給気ノズル29が蛇行して配置されるのが好ましい。液相給気ノズル29への液相給気路28には、フィルタ30および液相給気弁31が順に設けられている。洗浄槽3内が減圧された状態で液相給気弁31を開けると、洗浄槽3の内外の差圧により、フィルタ30を介した空気を洗浄槽3内へ導入することができる。なお、液相給気ノズル29は、蒸気ヒータ14の上部に配置されるのが好ましい。
【0034】
気相給気手段7は、減圧された洗浄槽3内の気相部へ、気相給気路32を介して外気を導入する。洗浄槽3内への気相給気路32には、フィルタ33および気相給気弁34が順に設けられている。洗浄槽3内が減圧された状態で気相給気弁34を開けると、洗浄槽3の内外の差圧により、フィルタ33を介した空気を洗浄槽3内へ導入して、洗浄槽3内を復圧することができる。
【0035】
制御手段は、前記各センサ12,13の検出信号や経過時間などに基づき、前記各手段4〜7などを制御する制御器である。具体的には、給蒸弁17、真空ポンプ22、熱交給水弁25、封水給水弁27、液相給気弁31、気相給気弁34の他、圧力センサ12および温度センサ13などは、制御器に接続されている。また、制御器には、図示しないが、前述したとおり、給水手段(たとえば給水弁)、排水手段(たとえば排水弁)および薬液供給手段(たとえば薬液弁)も接続されている。そして、制御器は、以下に述べるように、所定の手順(プログラム)に従い、洗浄槽3内の被洗浄物2の洗浄と、その後の乾燥を図る。
【0036】
以下、本実施例の洗浄装置1の運転方法の一例について説明する。
運転開始に先立ち、洗浄槽3内に被洗浄物2を収容し、洗浄槽3のドア10を気密に閉じる。その後、所定のスタートボタンを押すなど、運転開始を指示すると、制御器は、被洗浄物2の洗浄工程と乾燥工程とを順次に実行する。
【0037】
洗浄工程では、被洗浄物2が浸漬される所定水位まで、給水手段により洗浄槽3内に給水する。この間、気相給気弁34を開けておくか、減圧手段5を作動させておけばよい。洗浄槽3内への給水後には、所望により、薬液供給手段により薬液を投入する。そして、加温手段4による貯留液の加温動作、減圧手段5による洗浄槽3内の減圧動作、減圧下の洗浄槽3内への液相給気手段6または気相給気手段7による復圧動作などを利用して、被洗浄物2を洗浄する。なお、洗浄工程での減圧動作では、真空ポンプ22を作動させると共に、熱交給水弁25を開けて熱交換器20に通水するのが好ましい。
【0038】
洗浄工程では、たとえば、加温手段4により洗浄槽3内の液体を所定温度まで加温後、次に述べる液相給気パルス制御と気相給気パルス制御との内、一方または双方を実行して、被洗浄物2を洗浄する。洗浄槽3内の液体を所定温度まで加温するには、本実施例では蒸気ヒータ14への給蒸弁17を開ければよい。その間、その他の弁25,27,31,34は閉じられており、真空ポンプ22は停止している。
【0039】
液相給気パルス制御では、減圧手段5により、洗浄槽3内の液体を沸騰させるかその直前まで洗浄槽3内を減圧した状態で、液相給気手段6により、被洗浄物2よりも下方から洗浄槽3内の液相部に外気を導入して液体を突沸させる。これにより、貯留液の爆発的な噴上げとそれに続く落下とによって、貯留液を大きく揺動させることができ、被洗浄物2を効果的に洗浄することができる。その後、洗浄槽3内の貯留液を再び所定温度まで加温し、洗浄槽3内を減圧後に洗浄槽3内の液相部に外気を導入することを、所定の終了条件を満たすまで繰り返すのがよい。
【0040】
気相給気パルス制御では、減圧手段5により、洗浄槽3内の液体を沸騰させ続けるように洗浄槽3内の減圧を継続し、この減圧中、洗浄槽3内の気相部に外気を導入して、液体の沸騰が止むまで瞬時に一時的に復圧することを、所定の終了条件を満たすまで繰り返す。この制御によれば、洗浄槽3内の復圧の度に、それまでの沸騰により液体中に生じていた気泡は、瞬時に凝縮する。この凝縮時の圧力波や圧力差で、液体が撹拌および移送され、被洗浄物2の洗浄が図られる。また、被洗浄物2が貫通穴や袋穴を有する場合、沸騰により生じた蒸気を穴内に溜め、復圧時にその蒸気溜まりを一気に消して、穴内に液体を勢いよく入れることでも、被洗浄物2の洗浄が図られる。
【0041】
洗浄工程の終了後、洗浄槽3内の貯留水は、排水手段により排水される。具体的には、気相給気弁34を開けた状態で、排水弁(図示省略)を開ければよい。液相給気ノズル29は、ノズル穴29aが下方へ開口して形成されているので、洗浄槽3内からの排水時、液相給気ノズル29内からも排水することができる。なお、水を入れ替えて(あるいは入れ替えないで)、洗浄工程を複数回繰り返したり、洗浄工程後に濯ぎ工程を実施したりしてもよい。洗浄工程と濯ぎ工程とは、貯留水への薬液の投入の有無、または薬液の種類が異なるが、基本的には同様の内容で実施される。洗浄工程や濯ぎ工程の後、乾燥工程が行われる。
【0042】
図2は、本実施例の洗浄装置1による乾燥工程の一例を示す概略図であり、洗浄槽3内の圧力P(縦軸)と経過時間t(横軸)との関係を示している。図中、符号P0は、大気圧を示している。
【0043】
乾燥工程では、洗浄槽3内へ気体を導入させると共に真空ポンプ22を作動させる通風動作により、洗浄槽3内の被洗浄物2の乾燥が図られる。
図2において、実線が通風動作を示している。通風動作は、たとえば設定時間だけ行われる。
【0044】
通風動作の際、洗浄槽3内への気体の導入は、気相給気手段7ではなく、液相給気手段6の液相給気ノズル29から行うのが好ましい。従って、好適には、気相給気弁34を閉じたまま、液相給気弁31を開けた状態で、真空ポンプ22を作動させればよい。この場合、真空ポンプ22による排気に伴い、洗浄槽3内には液相給気ノズル29から外気が導入され、洗浄槽3内に通風して被洗浄物2の乾燥を図ることができる。
【0045】
真空ポンプ22による洗浄槽3内からの排気口(洗浄槽3に対する排気路19の接続部)19aは、被洗浄物2よりも上方である一方、液相給気ノズル29は、被洗浄物2よりも下方に配置される(しかもノズル穴29aが下向きである)ので、液相給気ノズル29からの空気は、排気口19aへショートパスすることなく、被洗浄物2を通過して被洗浄物2を効果的に乾燥させる。また、前述したとおり、洗浄工程の終了時、液相給気ノズル29内からも排水されているので、液相給気ノズル29内から導入される空気が湿るおそれがなく、被洗浄物2を迅速に乾燥することができる
【0046】
通風動作では、真空ポンプ22の吸込みに伴い、液相給気ノズル29から洗浄槽3内へ外気を引き込む(つまり外気を自然に導入する)ことができる。その際、液相給気ノズル29の各ノズル穴29aから外気を導入することで、真空ポンプ22の吸込風量が少なくても、洗浄槽3内における空気の流れを均一にして、被洗浄物2を均一に乾燥させることができる。
【0047】
通風動作では、熱交給水弁25を閉じたままとして、熱交換器20に通水しないのが好ましい。これにより、熱交換器20で使用される水の節約を図ることができる。但し、所望により、通風動作でも、熱交給水弁25を開けて、熱交換器20に通水してもよい。
【0048】
通風動作では、給蒸弁17を開けて、蒸気ヒータ14を作動させるのが好ましい。これにより、洗浄槽3内に温風を流通させて、被洗浄物2の乾燥を迅速に図ることができる。液相給気ノズル29のノズル穴29aは、下向きに形成されており、ノズル穴29aからの空気は蒸気ヒータ14に接触して確実に加温されることになる。温度センサ13の検出温度に基づき、給蒸弁17を制御することで、温風の温度(洗浄槽3内の温度)を設定温度(たとえば60〜100℃)に維持することができる。なお、乾燥用ファンを設置した場合と比較して、真空ポンプ22による通風量は少ないので、その分、蒸気ヒータ14での加熱量(また後述する実施例2のように電気ヒータの場合にはその容量や出力)を小さくすることができる。
【0049】
ところで、
図2において二点鎖線で示すように、乾燥工程では、通風動作に加えて、真空乾燥動作や、大気圧(または大気圧付近)までの復圧動作を行ってもよい。
【0050】
たとえば、
図2において二点鎖線Xで示すように、乾燥工程の開始時、通風動作に代えて、真空乾燥動作を実施してもよい。その場合、気相給気弁34および液相給気弁31を閉じた状態で、減圧手段5により洗浄槽3内を所定圧力まで(または所定時間)減圧すればよい。この際、真空ポンプ22を作動させるが、熱交換器20には通水してもよいし、通水しなくてもよい。また、加温手段4は、停止させているが、所望により作動させてもよい。洗浄槽3内を減圧することで、被洗浄物2の粗熱を取ると共に、被洗浄物2からの水切りを図ることができる。真空乾燥動作の終了に伴い、液相給気弁31を開ければ、洗浄槽3内がやや復圧されて、通風動作に移行することができる。
【0051】
また、
図2において二点鎖線Yで示すように、通風動作中(あるいは通風動作終了後)、復圧動作として、洗浄槽3内を一時的に大気圧(または大気圧付近)まで復圧してもよい。これには、減圧手段5(具体的には真空ポンプ22)を停止させればよい。これにより、液相給気ノズル29からの給気により、洗浄槽3内が大気圧まで復圧されることになる。そして、復圧状態のまま所定時間保持するのが好ましい。その間も加温手段4を作動させておくことで、洗浄槽3内に空気を滞留させた状態でその空気を加温して、被洗浄物2の乾燥を図ることができる。また、この復圧動作により被洗浄物2を加温しておけば、その後の真空乾燥動作により、被洗浄物2の真空乾燥を確実に図ることができる。
【0052】
その後、
図2において二点鎖線Zで示すように、洗浄槽3内を再び減圧して、真空乾燥動作を実施するのがよい。乾燥工程の最終部で行う真空乾燥動作では、加温手段4を作動させる必要はないし、熱交換器20に通水する必要もない。この真空乾燥動作でも、液相給気弁31や気相給気弁34を閉じた状態で、洗浄槽3内を所定圧力まで(または所定時間)減圧すればよい。これにより、被洗浄物2の冷却を図ることができる。
【0053】
所定の終了条件を満たすと、乾燥工程を終了する。乾燥工程の終了時、減圧手段5を停止すると共に、液相給気弁31(および/または気相給気弁34)を開ければよい。これにより、洗浄槽3内を大気圧まで復圧して、一連の運転を終了する。
【実施例2】
【0054】
図3は、本発明の実施例2の洗浄装置1を示す概略図である。
本実施例2の洗浄装置1も、基本的には前記実施例1と同様である。そこで、以下においては、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0055】
本実施例2の洗浄装置1は、加温手段4および液相給気手段6の構成において、前記実施例1と相違する。具体的には、加温手段4は、蒸気ヒータ14ではなく、電気ヒータ35,36から構成される。しかも、電気ヒータとして、洗浄槽3外の液相給気路28aに第一電気ヒータ35を備えると共に、洗浄槽3内に第二電気ヒータ36を備える。第二電気ヒータ36は、前記実施例1の蒸気ヒータ14と同様、液相給気ノズル29よりも下方に設けられる。なお、第一電気ヒータ35は、第一液相給気路28aを通過する空気を加温可能に構成される。また、第一電気ヒータ35は、第二電気ヒータ36よりも小容量(小出力)のヒータとされている。各電気ヒータ35,36は、制御器に接続され、オンオフ制御されるか、出力(電力)が制御される。
【0056】
本実施例2の液相給気手段6では、フィルタ30と液相給気ノズル29が、第一液相給気路28aを介して接続される。フィルタ30から液相給気ノズル29への第一液相給気路28aには、第一電気ヒータ35と第一液相給気弁31aとが順に設けられる。第一液相給気路28aには、第一電気ヒータ35と第一液相給気弁31aとをバイパスするように、第二液相給気路28bが設けられる。つまり、フィルタ30と第一電気ヒータ35との間の第一液相給気路28aと、第一液相給気弁31aと液相給気ノズル29との間の第一液相給気路28aとが、第二液相給気路28bで接続される。この第二液相給気路28bには、第二液相給気弁31bが設けられる。
【0057】
第一液相給気路28aと第二液相給気路28bの管径を変えておけば、各液相給気路28a,28bによる給気流量を変えることができる。たとえば、第一液相給気路28aの管径(内径)を第二液相給気路28bの管径(内径)よりも大きくしておくのがよい。この場合、洗浄工程では、第二液相給気弁31bを開けて、第二液相給気路28bにより比較的小流量で給気することができ、乾燥工程では、第一液相給気弁31aを開けて、第一液相給気路28aにより比較的大流量で給気することができる。
【0058】
本実施例2の洗浄装置1の運転方法も、基本的には前記実施例1と同様であるが、特に次の点が異なる。洗浄工程において、洗浄槽3内に被洗浄物が浸漬された状態で、液相部へ給気する際、第二液相給気弁31bを開けて第二液相給気路28bから給気するのがよい。その際、第一電気ヒータ35は停止させておけばよい。洗浄工程において、貯留液を加温したい場合、第二電気ヒータ36が用いられる。
【0059】
一方、乾燥工程の通風動作時、液相給気ノズル29から洗浄槽3内へ給気する際、第一液相給気弁31aを開けて第一液相給気路28aから給気するのがよい。その際、第一電気ヒータ35を作動させることで、加温した空気を洗浄槽3内へ供給することができる。この場合、洗浄槽3内の第二電気ヒータ36を作動させる必要はない。温度センサ13の検出温度に基づき第一電気ヒータ35の発停(または出力)を制御することで、給気温度(洗浄槽3内の温度)を所望に調整することができる。その他の構成および制御は、前記実施例1と同様のため、説明を省略する。
【0060】
本発明の洗浄装置1は、前記各実施例の構成(制御を含む)に限らず、適宜変更可能である。特に、(a)洗浄槽3と、洗浄槽3内の減圧手段5と、洗浄槽3内への給気手段6(7)と、制御手段とを備え、(b)減圧手段5は、洗浄槽3内からの排気路19に真空ポンプ22を備え、(c)制御手段は、洗浄後の被洗浄物2の乾燥工程の乾燥動作として、給気手段6(7)から洗浄槽3内へ気体を導入させると共に真空ポンプ22を作動させる通風動作を行わせるのであれば、その他の構成は適宜に変更可能である。
【0061】
たとえば、前記実施例2では、液相給気ノズル29には、第一液相給気路28aと第二液相給気路28bとにより給気可能とされたが、場合により、第二液相給気路28bの設置を省略してもよい。その場合、第一液相給気弁31aを開ければ、フィルタ30および第一電気ヒータ35を介した空気が供給されるが、第一電気ヒータ35の作動の有無を状況に応じて切り替えればよい。具体的には、洗浄工程では、洗浄槽3内の第二電気ヒータ36を用いるので、第一電気ヒータ35を停止させておけばよいし、乾燥工程では、洗浄槽3外の第一電気ヒータ35を用いるので、第二電気ヒータ36を停止させておけばよい。
【0062】
また、前記実施例2では、洗浄槽3外に第一電気ヒータ35を設ける一方、洗浄槽3内に第二電気ヒータ36を設けたが、場合により、第一電気ヒータ35および/または第二電気ヒータ36の設置を省略することができる。第一電気ヒータ35の設置を省略する場合、乾燥工程において洗浄槽3内を加温する際、前記実施例1と同様に、第二電気ヒータ36を作動させればよい。特に、第二電気ヒータ36が出力(発熱量)を調整できる場合、第一電気ヒータ35の設置を省略しやすい。なお、第一電気ヒータ35を設置しない場合、液相給気手段6の構成は、第一液相給気路28aの設置を省略して、実施例1と同様に構成することができる。一方、第二電気ヒータ36の設置を省略しても、第一電気ヒータ35を用いて、温風による通風動作を実施可能である。また、両電気ヒータ35,36の設置を省略しても、常温空気による通風動作を実施可能である。
【0063】
さらに、本発明は、通風動作を実行可能であれば、従来公知の各種の浸漬洗浄装置にも適用可能である。たとえば、超音波振動子を備えた超音波洗浄装置や、洗浄槽内へエアポンプで空気を吹き込むバブリング洗浄装置にも適用可能である。