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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-217454(P2019-217454A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】竪型粉砕機
(51)【国際特許分類】
   B02C 15/04 20060101AFI20191129BHJP
【FI】
   B02C15/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-116323(P2018-116323)
(22)【出願日】2018年6月19日
(71)【出願人】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田辺 武利
(72)【発明者】
【氏名】采原 昌哉
(72)【発明者】
【氏名】竹野 豊
【テーマコード(参考)】
4D063
【Fターム(参考)】
4D063CC01
4D063CC03
4D063GD15
4D063GD19
(57)【要約】
【課題】回転テーブルの回転数を可変とした竪型粉砕機において、起動時の振動発生を抑制する。
【解決手段】本発明の竪型粉砕機は、回転テーブルと、回転テーブルを回転させるモータと、インバータを介してモータの回転数を制御する制御装置と、回転テーブルの回転に従動して回転する複数個のローラと、を有し、回転テーブルと複数個のローラとの間に供給された原料を粉砕する。制御装置は、原料の供給開始後直ちに単位時間当たり第1量の原料が供給される過剰供給期間において、回転テーブルの回転数を予め設定した所定の回転数に固定し、過剰供給期間の後に単位時間当たりの供給量が第1量より少ない第2量まで減少する供給量減少期間、及び供給量減少期間の後に単位時間当たりの供給量が増加する供給量増加期間において、回転テーブルの回転数を単位時間当たりの原料の供給量に追従して増減させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転テーブルと、
前記回転テーブルを回転させるモータと、
インバータを介して前記モータの回転数を制御する制御装置と、
前記回転テーブルの回転に従動して回転する複数個のローラと、を有し、
前記回転テーブルと前記複数個のローラとの間に供給された原料を粉砕する竪型粉砕機であって、
前記制御装置は、
原料の供給開始後直ちに単位時間当たり第1量の原料が供給される過剰供給期間において、前記回転テーブルの回転数を、予め設定した所定の回転数に固定し、
前記過剰供給期間の後に単位時間当たりの供給量が前記第1量より少ない第2量まで減少する供給量減少期間、及び前記供給量減少期間の後に単位時間当たりの供給量が増加する供給量増加期間において、前記回転テーブルの回転数を、単位時間当たりの原料の供給量に追従して増減させることを特徴とする竪型粉砕機。
【請求項2】
請求項1に記載の竪型粉砕機において、
前記過剰供給期間における前記所定の回転数は、前記供給量増加期間の開始時点における前記回転テーブルの回転数より大きいことを特徴とする竪型粉砕機。
【請求項3】
請求項2に記載の竪型粉砕機において、
前記制御装置は、前記供給量増加期間で単位時間当たりの供給量が前記第1量に達した後に、単位時間当たりの供給量が前記第1量に維持される供給量維持期間において、前記回転テーブルの回転数を、前記供給量増加期間の終了時点における回転数に固定し、
前記過剰供給期間における前記所定の回転数は、前記供給量維持期間における前記回転テーブルの回転数より小さいことを特徴とする竪型粉砕機。
【請求項4】
請求項1に記載の竪型粉砕機において、
前記回転テーブルと前記複数個のローラとによって粉砕された原料を分級する回転式の分級装置をさらに有し、
前記制御装置は、
前記過剰供給期間、前記供給量減少期間、及び前記供給量増加期間が始まってから所定の時間が経過するまでの間において、前記分級装置の回転数を所定値に固定し、
前記供給量増加期間が始まってから前記所定の時間が経過したことに応じて、前記分級装置の回転数を、単位時間当たりの原料の供給量に追従して上昇させることを特徴とする竪型粉砕機。
【請求項5】
請求項1に記載の竪型粉砕機において、
前記複数個のローラそれぞれを前記回転テーブルに向けて押圧する加圧装置をさらに有し、
前記制御装置は、
前記過剰供給期間、前記供給量減少期間、及び前記供給量増加期間が始まってから所定の時間が経過するまでの間において、前記加圧装置の押圧力を所定値に固定し、
前記供給量増加期間が始まってから前記所定の時間が経過したことに応じて、前記加圧装置の押圧力を、単位時間当たりの原料の供給量に追従して増加させることを特徴とする竪型粉砕機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転テーブルと粉砕ローラとにより石炭等の固体原料を粉砕する竪型粉砕機に関する。
【背景技術】
【0002】
モータによって回転される回転テーブルと、回転テーブル上に押圧された状態で回転する複数個の粉砕ローラとの作用により、供給された原料を粉砕する竪型粉砕機が特許文献1に記載されている。
【0003】
このような竪型粉砕機を起動する場合に、振動の発生が問題となる。この振動現象は、粉砕途中の粒子の層と粉砕ローラのすべりに起因する一種の摩擦振動であり、振動のタイプとしては自励振動の一種である。振動が発生する原因の一つは、原料の供給量が少ない起動時は回転テーブルと粉砕ローラとの間の粒子の層が薄いため、粉砕ローラが十分な摩擦を得られずにすべりを起こし、粒子の噛み込みが不連続になることである。振動が発生する条件で運転を継続すれば、振動が増幅して粉砕機自身及び周辺機器が破損する場合もある。
【0004】
上記のような竪型粉砕機の起動時の振動発生を抑制する技術として、特許文献1には、粉砕原料の過剰供給を一時的に実施することが記載されている。この技術によれば、起動時においても回転テーブルと粉砕ローラとが安定して粒子を噛み込むことができ、振動の発生が抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−147047号公報
【特許文献2】特許第5732803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、回転テーブルの回転数を一定とし、原料の供給量のみを調整している。しかしながら、この方法は負荷変動に対する応答性が悪く、対応できる負荷変動幅も小さい。そのため近年では、特許文献2に記載されているように、原料の供給量(負荷)の増減に応じて回転テーブルの回転数を増減させるシステムが導入されている。
【0007】
しかしながら、例えば、特許文献2の技術を特許文献1の竪型粉砕機に適用したとすると、原料の過剰供給に合わせて回転テーブルの回転数も過剰に増大するため、振動発生を抑制できないという課題がある。
【0008】
本発明では、回転テーブルの回転数を可変とした竪型粉砕機において、起動時の振動発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の竪型粉砕機は、回転テーブルと、前記回転テーブルを回転させるモータと、インバータを介して前記モータの回転数を制御する制御装置と、前記回転テーブルの回転に従動して回転する複数個のローラと、を有し、前記回転テーブルと前記複数個のローラとの間に供給された原料を粉砕する。前記制御装置は、原料の供給開始後直ちに単位時間当たり第1量の原料が供給される過剰供給期間において、前記回転テーブルの回転数を、予め設定した所定の回転数に固定し、前記過剰供給期間の後に単位時間当たりの供給量が前記第1量より少ない第2量まで減少する供給量減少期間、及び前記供給量減少期間の後に単位時間当たりの供給量が増加する供給量増加期間において、前記回転テーブルの回転数を、単位時間当たりの原料の供給量に追従して増減させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、粉砕テーブルの回転数を可変とした竪型粉砕機において、起動時の振動発生を抑制することができる。なお、上記した以外の課題、構成、及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態に係る竪型粉砕機の構成を示す図である。
図2図1の竪型粉砕機の部分拡大図であって、(a)は振動が発生しにくい状態を、(b)は振動が発生しやすい状態を示す。
図3】第1の実施形態に係る竪型粉砕機の起動時のタイミングチャートである。
図4】既存技術に係る竪型粉砕機の起動時のタイミングチャートである。
図5】本発明の第2の実施形態に係る竪型粉砕機の停止時のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について、図を参照して説明する。
【0013】
(竪型粉砕機の全体構成)
まず図1を用いて、本発明が適用される竪型粉砕機の全体構成を説明する。図1は、第1の実施形態に係る竪型粉砕機の全体構造を示す縦断面図である。竪型粉砕機のハウジング43には、給炭管(原料供給管)1と、回転テーブル2と、複数個の粉砕ローラ3とが収容されている。
【0014】
給炭管1は、ハウジング43の上部に配置されており、図示しない給炭装置(供給装置)から供給された石炭(原料)60を、ハウジング43内に供給する。回転テーブル2は、ハウジング43の下部に配置されている。回転テーブル2は、ハウジング43の下方の減速機12及び駆動力伝達シャフト13を介してモータ14の駆動力が伝達されて、鉛直方向に延びる回転軸線CL1(一点鎖線)周りに回転する。複数個の粉砕ローラ3は、回転テーブル2の上面において、円周方向に離間して配置されている。複数個の粉砕ローラ3は、タイヤ状から成り、回転テーブル2の回転に従動して、回転テーブル2の回転軸線CL1と交差する方向に延びる回転軸線CL2(二点鎖線)周りに回転する。
【0015】
複数個の粉砕ローラ3は、図示しないローラブラケットを介して加圧フレーム5により支持されている。加圧フレーム5に接続された加圧ロッド8を加圧装置9が下方へ引っ張ることにより、粉砕ローラ3へ粉砕荷重(押圧力)が伝達される。なお、第1の実施形態に係る加圧装置9は、油圧によって粉砕荷重(押圧力)を調整する。
【0016】
すなわち、複数個の粉砕ローラ3は、加圧装置9によって回転テーブル2に向けて押圧されている。なお、第1の実施形態に係る竪型粉砕機は、石炭60が供給されていない状態において、回転テーブル2と複数個の粉砕ローラ3とが接触(メタルタッチ)している。
【0017】
給炭管1は、回転テーブル2の回転軸線CL1と同軸線上に配置される。そのため、給炭管1を通じて供給される石炭60は、回転している回転テーブル2の中心部に落下した後、回転に伴う遠心力によって回転テーブル2上を渦巻き状の軌跡を描きながら径方向外側へ移動して、回転テーブル2と粉砕ローラ3との間に噛み込まれて粉砕される。
【0018】
粉砕された石炭60(粉体62と称する)は、回転テーブル2の外側のスロート4から導入される一次空気(熱風)61によって、乾燥されながら上方に吹き上げられる。吹き上げられた粉体62のうち、粒度が大きいものは分級装置20及びホッパ11によって回転テーブル2に戻されて、再び粉砕される。一方、粒度の小さいものは、一次空気61と共に複数の送炭管30に分配されて、製品微粉63としてボイラや微粉貯蔵器(図示せず)へ送られる。
【0019】
分級装置20は、給炭管1に回転自在に支持された回転軸22と、回転軸22の回転に伴って回転する回転フィン21と、回転軸22を回転駆動するモータ(図示せず)とを有する回転式である。回転フィン21は板の長手方向が回転軸22とほぼ平行に延び、かつ任意の角度で多数枚配置される。製品微粉63の粒度分布は、回転フィン21の回転数で調整される。
【0020】
分級装置20は、一次空気61によって吹き上げられた粉体62を微粒子と粗粒子とに分級する。そして、分級装置20は、微粒子を製品微粉63として送炭管30から外部に排出し、粗粒子をホッパ11に落下させる。ホッパ11は、分級装置20と回転テーブル2との間に配置されている。ホッパ11は、一次空気61によって吹き上げられた粉体62のうち、重力によって落下したもの、及び分級装置20によって分級された粗粒子を捕集して、回転テーブル2へ落下させる。
【0021】
モータ14は、インバータ15によって回転数が制御されるVVVF(Variable Voltage Variable Frequency)モータである。インバータ15は、制御装置16からの制御信号に従ってモータ14の回転数を増減させる。制御装置16は、加圧装置9、インバータ15、分級装置20、一次空気61を発生させるブロワ(図示せず)等の機器を制御し、外部装置である給炭装置や後段のボイラ等(図示せず)の制御部と通信し、相互に連携して竪型粉砕機の運転を行う。
【0022】
制御装置16は、CPU(Central Processing Unit)31、ROM(Read Only Memory)32、及びRAM(Random Access Memory)33を備えている。制御装置16は、ROM32に格納されたプログラムコードをCPU31が読み出して実行することによって、ソフトウェアとハードウェアとが協働して後述する各処理を実行する。また、RAM33は、CPU31がプログラムを実行する際のワークエリアとして用いられる。ただし、制御装置16の具体的な構成はこれに限定されず、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)などのハードウェアによって実現されてもよい。
【0023】
(振動発生を抑制する原理)
次に図2を用いて、竪型粉砕機の振動発生を抑制する原理を説明する。図2(a)、(b)はいずれも図1の回転テーブル2及び粉砕ローラ3の一部とその周辺を拡大したものであるが、図2(a)は振動が発生しにくい状態を示し、図2(b)は振動が発生しやすい状態を示している。
【0024】
図2(a)と図2(b)との違いは回転テーブル2上の石炭60の量であり、図2(a)ではその量が多く、図2(b)では少ない。図2(a)の状態では、石炭60が連続して粉砕ローラ3と回転テーブル2との間に噛み込まれるため、両者の間に粉砕途中の粒子の層が厚みδ1に維持され、粉砕ローラ3は安定して回転する。
【0025】
一方図2(b)の状態では、粉砕ローラ3と回転テーブル2との間への石炭60の噛み込みが不連続になるため、粉砕途中の粒子の層の厚みδ2(<δ1)が図2(a)より薄くなる。この状態では粉砕ローラ3が不定期にスリップを起こすため、粉砕ローラ3は上下に振動を始める。そして、一旦振動が始まると、石炭60の噛み込みはさらに不安定になるため、時間の経過に伴って振動は増幅していく。
【0026】
ここで、図2(b)の状態で振動が発生していても、回転テーブル2の回転数を一定に保って石炭60を増量していけば、図2(a)の安定した運転状態へと移行させられる。しかしながら、石炭60の増量に追従して回転テーブル2の回転数を増大させた場合は、粉砕ローラ3が起こすスリップの頻度は上昇し、振動が大きくなってしまう。したがって、特許文献2のように、回転テーブル2への石炭60の単位時間当たりの供給量の増大に追従して回転テーブル2の回転数を自動で増大させてしまうシステムでは、起動時に石炭60の過剰供給を行っても振動発生を抑制できない。
【0027】
なお、図2(b)の状態で回転テーブル2の回転数を非常に低く抑えておき、石炭60の供給量と回転テーブル2の回転数との両方をゆっくりと増大させれば振動は発生しない。しかしながら、この運用方法は、竪型粉砕機の起動から製品微粉63が十分量得られるまでに時間がかかりすぎて実用的でない。なぜなら、竪型粉砕機の後段装置がボイラ等の燃焼装置の場合、燃焼負荷の変動に対する高い応答性が要求されるからである。
【0028】
(第1の実施形態に係る制御装置16の動作)
図3を用いて、第1の実施形態に係る制御装置16の動作を説明する。図3(a)−(d)はいずれも横軸に同じ時間をとったタイミングチャートであり、縦軸はそれぞれが異なる竪型粉砕機の運転パラメータを示している。すなわち、図3(a)の縦軸は給炭量C、図3(b)の縦軸は回転テーブル2の回転数ω、図3(c)の縦軸は分級装置20の回転数Ns、図3(d)の縦軸は加圧装置9の油圧(作動圧力)Pを示している。なお、本明細書中の「給炭量」とは、単位時間当たりの石炭の供給量を指す。
【0029】
図3(a)に示すように、給炭装置は、時刻t1から給炭を開始している。給炭の開始時刻や給炭量の情報は、給炭装置の制御部から制御装置16へと送信されている。なお、竪型粉砕機は内部の石炭60を全て排出してから停止するため、時刻t1以前では、回転テーブル2上の石炭60の量は0である。
【0030】
給炭装置は、時刻t1から時刻t2の間に、実線で示される石炭60の過剰供給を行う(過剰供給期間)。換言すれば、給炭装置は、過剰供給期間において、石炭60の給炭量をC1(第1量)に固定する。次に、給炭装置は、時刻t2に過剰供給期間を終了し、給炭量をC1からC2(第2量)に直線的に減少させる(供給量減少期間)。次に、給炭装置は、給炭量がC2に達したことに応じて供給量減少期間を終了し、時刻t5で給炭量C1に達するまで、給炭量を直線的に増加させる(供給量増加期間)。さらに、給炭装置は、時刻t5で給炭量がC1に達したことに応じて、供給量増加期間を終了し、給炭量C1(定格給炭量)を維持する(供給量維持期間)。
【0031】
すなわち、過剰供給期間における給炭量C1は、供給量増加期間の開始時点における給炭量C2より多い。また、過剰供給期間における給炭量C1は、供給量維持期間における給炭量C1と同一である。なお、第1の実施形態では、過剰供給期間における給炭量を定格給炭量C1に一致させているが、C1よりも少ない給炭量に設定してもよい。安定して竪型粉砕機を起動可能な給炭量は、石炭60の粒径分布、硬度等の性状に左右されるため、実運用上の給炭量は試運転によって決定される。また、時刻t1から時刻t2までの時間についても、やはり石炭60の性状に合わせて試運転で決定される。
【0032】
また、図3(b)に示すように、制御装置16は、時刻t1から所定の時間を遡った時刻t0から回転テーブル2を回転数ω3で回転させる。時刻t0の到来は、給炭装置の制御部から通知されてもよいし、竪型粉砕装置の図示しない操作パネルを通じてオペレータによって指示されてもよい。次に、制御装置16は、過剰供給期間において回転テーブル2の回転数をω2(所定の回転数)に固定し、供給量減少期間において回転テーブル2の回転数をω2からω3に直線的に減少させ、供給量増加期間において回転テーブル2の回転数をω3からω1に直線的に増加させ、供給量維持期間において回転テーブル2の回転数をω1(定格回転数)に固定する。
【0033】
第1の実施形態において、回転テーブル2の回転数ωは、ω1>ω2>ω3であり、ω1×0.5≦ω2≦ω1×0.8に設定される。なお、図3(b)では、時刻t1から所定の時間をかけて回転テーブル2の回転数がω3からω2まで上昇するように図示しているが、これはモータ14の機械的な遅延であって、制御装置16からインバータ15への制御信号は時刻t1の時点で回転数ω2を示している。また、時刻t0における回転数ω3と、供給量増加期間の開始時点における回転数ω3とは、異なる回転数でもよい。
【0034】
ここで、時刻t1から時刻t2の間(過剰供給期間)における回転数ωの設定が非常に重要である。すなわち、第1の実施形態では、過剰供給期間における給炭量Cが定格給炭量C1であるのに対し、回転テーブル2の回転数ωは定格回転数ω1の0.5から0.8倍に抑えられている。これは以下の理由による。すなわち、時刻t1以前は回転テーブル2が空の状態のため、時刻t1において給炭量Cを定格給炭量C1までオーバーシュートさせても、時刻t1における回転テーブル2上の石炭60の量は連続で定格給炭を行っている期間(時刻t5以降の供給量維持期間)よりも少ない。仮にこの状態で図4の従来例に示すように、時刻t1から時刻t2の間における回転数ωをω1まで上昇させたとすると、図2(b)の状態となって振動が発生してしまう。そのため、時刻t1から時刻t2の回転数ωはω1よりも小さく抑える必要がある。
【0035】
また、過剰供給期間における回転数ω2の設定を、ω1の0.5から0.8倍と幅を持たせているのは、粉砕対象の石炭60の粒径分布、硬度等の性状に合わせて、適正な運転条件を試運転によって決定する必要があるためである。
【0036】
さらに、過剰供給期間では回転テーブル2の回転数がω2に固定されているのに対して、供給量減少期間及び供給量増加期間では、給炭量Cの増減に追従して回転数ωが増減する。すなわち、制御装置16は、供給量減少期間において、給炭量Cの減少に追従して回転数ωを減少させ、供給量増加期間において、給炭量Cの増加に追従して回転数ωを増加させる。より詳細には、供給量減少期間及び供給量増加期間において、給炭量Cと回転数ωとは正の相関関係(図3の例では、比例関係)がある。これにより、回転テーブル2上の石炭60が多くなりすぎたり、少なくなりすぎたりすることが抑制され、図2(a)の状態を維持することができる。
【0037】
また、図3(c)に示すように、制御装置16は、時刻t0から時刻t3までの間は分級装置20の回転数NsをNs3に固定し、時刻t3から時刻t4までの間に分級装置20の回転数NsをNs3からNs2まで直線的に増加させ、時刻t4から時刻t5までの間に分級装置20の回転数NsをNs2からNs1まで直線的に増加させ、時刻t5以降の分級装置20の回転数NsをNs1に固定する。
【0038】
すなわち、制御装置16は、過剰供給期間、供給量減少期間、及び供給量増加期間が始まってから所定の時間が経過するまでの間において、分級装置20の回転数Nsを所定値Ns3に固定する。また、制御装置16は、供給量増加期間が始まってから所定の時間が経過したことに応じて、分級装置20の回転数Nsを、給炭量Cに追従(正の相関、図3の例では比例)して増加させる。
【0039】
分級装置20の回転数Nsが大きくなるほど、回転テーブル2への細かい粒子の戻りを増加させる効果がある。そして、回転テーブル2上の石炭60が少ない状態において、細かい粒子は粉砕ローラ3のスリップと振動発生を誘発する傾向がある。そのため、図3(c)に示すように、分級装置20の回転数Nsを給炭量C及び回転テーブル2の回転数ωの上昇開始よりも遅れて増速させると、振動発生の抑制効果を高めることができる。
【0040】
ここで、時刻t3は時刻t2と時刻t5の間の時刻であり、時刻t4は時刻t3と時刻t5の間の時刻である。また、分級装置20の回転数Nsは、Ns1>Ns2>Ns3である。なお、時刻t3、t4のタイミング、時刻t3−t4間及び時刻t4−t5間の直線の傾き、回転数Ns1、Ns2、Ns3の具体的な値は、石炭60の性状により、試運転によって決定される。
【0041】
また、図3(d)に示すように、制御装置16は、時刻t0から時刻t3までの間は加圧装置9の油圧PをP2に固定し、時刻t3から時刻t5の間に加圧装置9の油圧PをP2からP1まで直線的に増加させ、時刻t5以降の加圧装置9の油圧PをP1に固定する。すなわち、制御装置16は、過剰供給期間、供給量減少期間、及び供給量増加期間が始まってから所定の時間が経過するまでの間において、加圧装置9の押圧力を所定値(油圧P2に対応する値)に固定する。また、制御装置16は、供給量増加期間が始まってから所定の時間が経過したことに応じて、加圧装置9の押圧力を、給炭量Cに追従(正の相関、図3の例では比例)して増加させる。
【0042】
加圧装置9の油圧Pを大きく設定するほど粉砕力が高まるため、粉砕ローラ3における細かい粒子の発生量を増加させる。回転テーブル2上の石炭60が少ない状態において、細かい粒子は粉砕ローラ3のスリップと振動発生を誘発する傾向がある。そこで、加圧装置9の油圧Pを、給炭量C、回転テーブル2の回転数ωの上昇開始よりも遅れて上昇させると、振動発生の抑制効果を高めることができる。ここで、加圧装置9の油圧Pは、P1>P2である。また、油圧P1、P2の具体的な値は、石炭60の性状により、試運転によって決定される。
【0043】
さらに、図示は省略するが、一次空気61の風量を、給炭量Cに追従(正の相関或いは比例)して増減させてもよい。すなわち、制御装置16は、給炭量Cのオーバーシュートと同じタイミング(時刻t1)でブロワに風量を増量させ、オーバーシュートが終わったタイミング(時刻t2)でブロワに風量を減量させ、さらに給炭量Cの増加に追従してブロワに風量を増量させてもよい。一次空気61の風量を増量すると、竪型粉砕機外への微粒子の搬出が促進されるため、原料を過剰供給している際の粉砕ローラ3のスリップを抑制できると共に、竪型粉砕機の起動時における出炭の遅れを小さくすることができる。
【0044】
以上のように、給炭量Cと回転テーブル2の回転数ωとが連動した竪型粉砕機の起動時において、石炭60を一時的に過剰供給する一方で、回転テーブル2の回転数ωをω2に固定する起動時専用制御を行うことで、粉砕ローラ3の振動発生を抑制することができる。
【0045】
なお、制御装置16は、不図示のセンサによって給炭量Cの変化を検出してもよいし、給炭装置の制御部から給炭量Cを示す情報を適宜受信してもよい。または、給炭量Cの推移を示す情報が予めROM32或いはRAM33に記憶されていてもよい。そして、制御装置16は、これらの情報に基づいて、図3(b)−(d)に示すように、運転パラメータを制御すればよい。
【0046】
(第2の実施形態に係る制御装置16の動作)
次に図5を用いて、第2の実施形態に係る制御装置16の動作を説明する。図5(a)、(b)はいずれも横軸に同じ時間をとったタイミングチャートであり、縦軸はそれぞれが異なる竪型粉砕機の運転パラメータを示している。すなわち、図5(a)の縦軸は給炭量C、図5(b)の縦軸は回転テーブル2の回転数ωを示している。なお、第1の実施形態との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。第2の実施形態に係る竪型粉砕機の構成は、図1に示される第1の実施形態と共通する。
【0047】
図5(a)に示すように、給炭装置は、供給量維持期間の実行中に時刻t6が到来したことに応じて、給炭量CをC1から0に減少させる。すなわち、給炭装置は、時刻t6において、竪型粉砕機への石炭60の供給を停止する。また、図5(b)に示すように、制御装置16は、時刻t6から時刻t7までの間に、回転テーブル2の回転数ωをω1からω4に直線的に減少させ、時刻t7から時刻t8までの間は回転テーブル2の回転数ωをω4(最低回転数)に固定し、時刻t8が到来したことに応じて回転テーブル2の回転数ωを0にする。
【0048】
すなわち、制御装置16は、給炭装置からの石炭60の供給が停止したことに応じて、回転テーブル2を、所定の時間(時刻t6−t7)をかけて定格回転数ω1から最低回転数ω4に減速し、その後に所定の時間(時刻t7−t8)だけ最低回転数ω4で定速回転させ、その後に停止させる。なお、回転テーブル2の回転数ωは、ω3≧ω4である。また、時刻t6、t7、t8のタイミング、回転数ω4の具体的な値は、石炭60の性状により、試運転によって決定される。
【0049】
給炭装置からの石炭60の供給が停止した状態で回転テーブル2を回転させると、回転テーブル2上の石炭60が徐々に減少する。そこで、時刻t6から時刻t7の間に、回転テーブル2上の石炭60の減少に追従(正の相関或いは比例)して、回転テーブル2の回転数ωを減少させることにより、粉砕ローラ3のスリップを抑制することができる。さらに、時刻t7から時刻t8までの間は回転テーブル2を最低回転数ω4で定速回転させることにより、回転テーブル2上の全ての石炭60を排出してから竪型粉砕機を停止させることができる。これにより、ハウジング43内に残留した石炭60の発火などによるトラブルを抑制できる。
【0050】
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、図1において、竪型粉砕機が空の状態で回転テーブル2と粉砕ローラ3とが接触(メタルタッチ)しているように描かれているが、同状態で両者の間に隙間を設けてもよい。また、タイヤ状の粉砕ローラ3の代わりに球状の粉砕ボールを用いても良い。この場合であっても、同様に振動の抑制が図れる。
【0051】
また、図1では、一体型の加圧フレーム5が複数の粉砕ローラ3を同時に懸架して加圧するように描かれているが、複数の粉砕ローラ3を個々に懸架して加圧する方式の竪型粉砕機にも適用可能である。さらに、回転テーブル2の外縁にダムリングを設けて粉砕ローラ3との間の粒子の層を確保してもよいし、上記した各種構造の内の2種類以上を組み合わせてもよい。
【0052】
また、上記の実施形態では、図3及び図5に示すように、竪型粉砕機の運転パラメータを直線的に変化させる例を説明したが、運転パラメータの変化特性はこれに限定されず、例えば、多次曲線、指数曲線、或いはこれらの組み合わせであってもよい。
【0053】
また、図3(b)の回転テーブル2の回転数ωについて、時刻t1から時刻t2までの間は回転テーブル2を回転数ω3で定速回転させるようにしても振動抑制の効果は期待できる。
【0054】
さらに、上記説明中では、原料の一例として石炭60を挙げたが、原料の具体例はこれに限定されず、例えばセメント原料等であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 原料供給管(給炭管)
2 回転テーブル
3 粉砕ローラ
4 スロート
5 加圧フレーム
8 加圧ロッド
9 加圧装置
11 ホッパ
12 減速機
13 駆動力伝達シャフト
14 モータ
15 インバータ
16 制御装置
20 分級装置
21 回転フィン
22 回転軸
30 送粉管(送炭管)
43 ハウジング
60 原料(石炭)
61 一次空気(熱風)
62 粉体
63 製品微粉
図1
図2
図3
図4
図5