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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-217468(P2019-217468A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】有機物処理システム
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/04 20060101AFI20191129BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   C02F11/04 AZAB
   B09B3/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-117722(P2018-117722)
(22)【出願日】2018年6月21日
(11)【特許番号】特許第6609670号(P6609670)
(45)【特許公報発行日】2019年11月20日
(71)【出願人】
【識別番号】515145700
【氏名又は名称】サイエンスシード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】中島 晋也
【テーマコード(参考)】
4D004
4D059
【Fターム(参考)】
4D004AA02
4D004AA04
4D004CA18
4D004CB04
4D004CC07
4D004CC11
4D004DA01
4D004DA02
4D004DA11
4D059AA01
4D059AA07
4D059BA12
4D059BA24
4D059BK12
4D059CA30
4D059CC10
4D059EA01
4D059EA02
(57)【要約】
【課題】バイオガスを生成する設備からの廃液を用いて、光合成をする生物を安定的に育成できるようにする。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る有機物処理システムSは、有機物を生物処理してバイオガスを生成する有機物処理設備20と、光合成をする生物を育成する生物育成設備30と、生物処理の廃液を含む液体を有機物処理設備20から生物育成設備30へ供給する液体供給管21と、生物処理によって生成された二酸化炭素を含む気体を有機物処理設備20から前記生物育成設備30へ供給する気体供給管22と、光合成をする生物が利用可能な栄養物を保持する栄養物保持部71と、液体に含まれる栄養物の量又は割合に基づいて、栄養物保持部71から生物育成設備30へ補充する栄養物の量を制御する制御部と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物を生物処理してバイオガスを生成する有機物処理設備と、
光合成をする生物を育成する生物育成設備と、
前記生物処理の廃液を含む液体を前記有機物処理設備から前記生物育成設備へ供給する液体供給管と、
前記生物処理によって生成された二酸化炭素を含む気体を前記有機物処理設備から前記生物育成設備へ供給する気体供給管と、
前記光合成をする生物が利用可能な栄養物を保持する栄養物保持部と、
前記液体に含まれる前記栄養物の量又は割合に基づいて、前記栄養物保持部から前記生物育成設備へ補充する前記栄養物の量を制御する制御部と、
を有する有機物処理システム。
【請求項2】
前記液体供給管又は前記生物育成設備の中で、前記液体に含まれる前記栄養物の量又は割合を測定するセンサをさらに有し、
前記制御部は、前記センサが測定した前記栄養物の量又は割合に基づいて、前記栄養物保持部から前記生物育成設備へ補充する前記栄養物の量を制御する、請求項1に記載の有機物処理システム。
【請求項3】
二酸化炭素を保持する二酸化炭素保持部をさらに有し、
前記制御部は、前記気体に含まれる二酸化炭素の量又は割合に基づいて、前記二酸化炭素保持部から前記生物育成設備へ補充する二酸化炭素の量を制御する、請求項1又は2に記載の有機物処理システム。
【請求項4】
前記気体供給管又は前記生物育成設備の中で、前記気体に含まれる二酸化炭素の量又は割合を測定するセンサをさらに有し、
前記制御部は、前記センサが測定した二酸化炭素の量又は割合に基づいて、前記二酸化炭素保持部から前記生物育成設備へ補充する二酸化炭素の量を制御する、請求項3に記載の有機物処理システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記有機物処理設備に投入された前記有機物の量又は組成に基づいて、前記栄養物保持部から前記生物育成設備へ補充する前記栄養物の量を制御する、請求項1から4のいずれか一項に記載の有機物処理システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記有機物処理設備が稼働している際に、前記栄養物保持部から前記生物育成設備へ前記栄養物を補充する、請求項1から5のいずれか一項に記載の有機物処理システム。
【請求項7】
前記生物育成設備において前記液体中で光合成微生物を育成する培養槽と、
前記培養槽から排出される前記液体を濾過した後の濾液を前記培養槽に供給する濾液供給管と、
をさらに有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の有機物処理システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記濾液の透明度に基づいて、前記培養槽に供給される前記濾液を希釈する、請求項7に記載の有機物処理システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記液体に含まれる前記栄養物の量又は割合に基づいて、前記培養槽に供給される前記濾液を希釈する、請求項7又は8に記載の有機物処理システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記濾液に含まれる前記栄養物の量又は割合に基づいて、前記栄養物保持部から前記生物育成設備へ補充する前記栄養物の量を制御する、請求項7から9のいずれか一項に記載の有機物処理システム。
【請求項11】
前記制御部は、前記液体に含まれる前記栄養物の量又は割合に基づいて、前記培養槽から排出される前記液体の濾過を開始する時刻を制御する、請求項7から10のいずれか一項に記載の有機物処理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機物を処理するための有機物処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
食品残渣、糞尿等の有機物(有機性廃棄物)に対して、細菌を用いて生物処理することによって、メタンガス等のバイオガスを生成する技術が知られている。特許文献1には、有機物を処理してバイオガスを生成する処理設備からの廃液(消化液)及び二酸化炭素を、光合成をする生物を育成する育成設備へ供給するシステムが記載されている。このようなシステムによれば、バイオガスを発電等に利用できるとともに、有機物を処理する際に排出される廃液及び二酸化炭素を光合成微生物の育成に利用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−3312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたシステムでは、処理設備の稼働中には有機物の処理が途中であるため、育成設備への廃液の供給は停止する。また、処理設備へ投入される有機物の量や種類によって、育成設備へ供給される廃液の成分や量は変動する。光合成をする生物は、廃液に含まれる栄養分を用いて生育する。そのため、育成設備へ供給される廃液の成分や量が変動することによって、光合成をする生物の生育状況が不安定になる可能性がある。
【0005】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、バイオガスを生成する設備からの廃液を用いて、光合成をする生物を安定的に育成できる有機物処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の有機物処理システムは、有機物を生物処理してバイオガスを生成する有機物処理設備と、光合成をする生物を育成する生物育成設備と、前記生物処理の廃液を含む液体を前記有機物処理設備から前記生物育成設備へ供給する液体供給管と、前記生物処理によって生成された二酸化炭素を含む気体を前記有機物処理設備から前記生物育成設備へ供給する気体供給管と、前記光合成をする生物が利用可能な栄養物を保持する栄養物保持部と、前記液体に含まれる前記栄養物の量又は割合に基づいて、前記栄養物保持部から前記生物育成設備へ補充する前記栄養物の量を制御する制御部と、を有する。
【0007】
前記有機物処理システムは、前記液体供給管又は前記生物育成設備の中で、前記液体に含まれる前記栄養物の量又は割合を測定するセンサをさらに有し、前記制御部は、前記センサが測定した前記栄養物の量又は割合に基づいて、前記栄養物保持部から前記生物育成設備へ補充する前記栄養物の量を制御してもよい。
【0008】
有機物処理システムは、二酸化炭素を保持する二酸化炭素保持部をさらに有し、前記制御部は、前記気体に含まれる二酸化炭素の量又は割合に基づいて、前記二酸化炭素保持部から前記生物育成設備へ補充する二酸化炭素の量を制御してもよい。
【0009】
有機物処理システムは、前記気体供給管又は前記生物育成設備の中で、前記気体に含まれる二酸化炭素の量又は割合を測定するセンサをさらに有し、前記制御部は、前記センサが測定した二酸化炭素の量又は割合に基づいて、前記二酸化炭素保持部から前記生物育成設備へ補充する二酸化炭素の量を制御してもよい。
【0010】
前記制御部は、前記有機物処理設備に投入された前記有機物の量又は組成に基づいて、前記栄養物保持部から前記生物育成設備へ補充する前記栄養物の量を制御してもよい。
【0011】
前記制御部は、前記有機物処理設備が稼働している際に、前記栄養物保持部から前記生物育成設備へ前記栄養物を補充してもよい。
【0012】
有機物処理システムは、前記生物育成設備において前記液体中で光合成微生物を育成する培養槽と、前記培養槽から排出される前記液体を濾過した後の濾液を前記培養槽に供給する濾液供給管と、をさらに有してもよい。
【0013】
前記制御部は、前記濾液の透明度に基づいて、前記培養槽に供給される前記濾液を希釈してもよい。
【0014】
前記制御部は、前記液体に含まれる前記栄養物の量又は割合に基づいて、前記培養槽に供給される前記濾液を希釈してもよい。
【0015】
前記制御部は、前記濾液に含まれる前記栄養物の量又は割合に基づいて、前記栄養物保持部から前記生物育成設備へ補充する前記栄養物の量を制御してもよい。
【0016】
前記制御部は、前記液体に含まれる前記栄養物の量又は割合に基づいて、前記培養槽から排出される前記液体の濾過を開始する時刻を制御してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、バイオガスを生成する設備からの廃液を用いて、光合成をする生物を安定的に育成できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】有機物処理システムの模式図である。
図2】有機物処理システムのブロック図である。
図3】有機物処理システムの機能を示す模式図である。
図4】栄養物を補充する処理のフローチャートを示す図である。
図5】二酸化炭素を補充する処理のフローチャートを示す図である。
図6】濾過を制御する処理のフローチャートを示す図である。
図7】濾液を希釈する処理のフローチャートを示す図である。
図8】有機物処理システムの機能を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[有機物処理システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る有機物処理システムSの模式図である。有機物処理システムSは、受入装置10と、有機物処理設備20と、生物育成設備30と、濾過設備40と、制御装置100と、を含む。有機物処理システムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0020】
受入装置10、有機物処理設備20、生物育成設備30、濾過設備40及び制御装置100は、ローカルエリアネットワーク、インターネット等のネットワークNを介して接続される。受入装置10、有機物処理設備20、生物育成設備30、濾過設備40及び制御装置100のうち少なくとも一部は、ネットワークNを介さず直接接続されてもよい。
【0021】
受入装置10は、利用者が投入する食品残渣、糞尿等の有機物A(有機性廃棄物)を受け入れる装置である。受入装置10は、有機物処理設備20の一部として構成されている。受入装置10は、受け入れた有機物Aを、パイプ、バルブ、ポンプ等を介して有機物処理設備20へ搬送する。
【0022】
有機物処理設備20は、受入装置10から搬送された有機物Aに対して生物処理を行うことによってメタンガス等のバイオガスBを生成する装置である。有機物処理設備20は、例えば有機物Aを加熱及び加水分解して可溶化するための可溶化槽と、可溶化された有機物Aを生物処理することによってバイオガスBを生成するための消化槽(発酵槽)とを備える。可溶化槽及び消化槽は、併せて1つの槽として構成されてもよく、あるいはそれぞれ複数の槽に分割されてもよい。可溶化槽及び消化槽には、それぞれの処理に利用される菌、酵母等の微生物が添加される。有機物処理設備20は、ここに示した構成に限られず、有機物Aを生物処理してバイオガスBを生成可能なその他構成であってもよい。
【0023】
有機物処理設備20は、生成したバイオガスBと、有機物Aに対する生物処理の残渣である廃液C(消化液ともいう)とを、それぞれパイプ、バルブ、ポンプ等を介して生物育成設備30へ搬送する。バイオガスBは、メタン及び二酸化炭素を含む気体である。廃液Cは、リン、窒素、カリウム等の栄養物を含む液体である。また、有機物処理設備20は、バイオガスB及び廃液Cに関する値を測定し、測定値を制御装置100に送信する。
【0024】
生物育成設備30は、光合成をする光合成生物である藻(光合成微生物)を培養する培養槽と、培養槽に対して光を照射する光照射部とを備える。培養槽は、藻及び栄養物を含む培養液を保持するための槽である。光照射部は、藻が利用可能な波長の光を発生させる、LED(Light Emitting Diode)、蛍光灯等の光源を含む。藻は、有機物処理設備20から搬送されたバイオガスBに含まれる二酸化炭素と、有機物処理設備20から搬送された廃液に含まれる栄養物とを利用して、光合成しながら増殖する。これにより、有機物処理システムSは、バイオガスを生成する際に残った物質をさらに光合成生物の育成に利用できるため、無駄な物質の排出を低減し、収益性を向上できる。
【0025】
生物育成設備30は、育成した藻を含む培養液Dを、パイプ、バルブ、ポンプ等を介して濾過設備40へ搬送する。生物育成設備30が育成する光合成生物は、藻に限られず、光合成をする細菌、植物等、その他の生物であってもよい。
【0026】
濾過設備40は、生物育成設備30から搬送された培養液Dを濾過する設備である。培養液Dは、濾過設備40によって、藻と濾液Eとに分離される。培養液Dから分離された藻は、例えば豚、牛、魚、昆虫等の動物を育成するための飼料として利用される。
【0027】
濾過設備40は、培養液Dから分離した濾液Eを、パイプ、バルブ、ポンプ等を介して生物育成設備30へ搬送する。また、濾過設備40は、濾液Eに関する値を測定し、測定値を制御装置100に送信する。
【0028】
制御装置100は、受入装置10、有機物処理設備20、生物育成設備30及び濾過設備40から受け取った情報に基づいて、有機物処理設備20、生物育成設備30及び濾過設備40の作動を制御するコンピュータである。
【0029】
[有機物処理システムSの構成]
図2は、本実施形態に係る有機物処理システムSのブロック図である。図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、図2に示していないデータの流れがあってよい。図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置内に別れて実装されてよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてよい。
【0030】
制御装置100は、制御部110と、記憶部120とを有する。制御部110は、測定情報取得部111と、制御情報取得部112と、補充制御部113と、濾過制御部114とを有する。記憶部120は、制御情報記憶部121と、タイマ情報記憶部122とを有する。
【0031】
記憶部120は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部120は、制御部110が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部120は、制御装置100の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークNを介して制御部110との間でデータの授受を行ってもよい。
【0032】
制御部110は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部120に記憶されたプログラムを実行することにより、測定情報取得部111、制御情報取得部112、補充制御部113及び濾過制御部114として機能する。また、制御部110は、廃液測定部51、二酸化炭素測定部52及び濾液測定部53から、測定情報を示す信号を受信する。また、制御部110は、栄養物バルブ61、二酸化炭素バルブ62、希釈バルブ63及び濾過バルブ64へ、制御信号を送信する。各部の詳細については、図3図7を用いて後述する。
【0033】
制御部110の機能の少なくとも一部は、電気回路によって実行されてもよい。また、制御部110の機能の少なくとも一部は、ネットワーク経由で実行されるプログラムによって実行されてもよい。
【0034】
制御情報記憶部121は、廃液測定部51、二酸化炭素測定部52及び濾液測定部53が測定した測定情報に基づいて栄養物バルブ61、二酸化炭素バルブ62、希釈バルブ63及び濾過バルブ64を制御するための制御内容を示す制御情報を予め記憶する。タイマ情報記憶部122は、濾過を開始する時刻を示すタイマ情報を予め記憶する。制御情報記憶部121及びタイマ情報記憶部122は、それぞれ記憶部120上の記憶領域であってもよく、あるいは記憶部120上で構成されたデータベースであってもよい。
【0035】
本実施形態に係る有機物処理システムSは、図2に示す具体的な構成に限定されない。例えば制御装置100は、1つの装置に限られず、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。
【0036】
[栄養物及び二酸化炭素を補充する制御方法の説明]
図3は、有機物処理システムSの機能を示す模式図である。図3は、各設備の配置を模式的に表しており、実際の配置と異なっていてもよい。また、図3は、各設備間の配管中で物体が搬送される向きを矢印で表している。
【0037】
有機物処理システムSは、有機物処理設備20からの廃液及び二酸化炭素を含む培養液を保持する培養槽中で、光合成生物である藻Fを育成する。以下に、有機物処理システムSにおいて、培養液の成分を安定化するために生物育成設備30へ栄養物及び二酸化炭素を補充する制御方法を説明する。
【0038】
有機物処理設備20は、液体供給管21と、気体供給管22とを有する。液体供給管21は、有機物処理設備20が排出した廃液を含む液体を生物育成設備30へ供給するための管である。本実施形態に係る液体供給管21は、廃液を含む液体として、有機物処理設備20が排出した廃液をそのまま生物育成設備30へ供給しているが、有機物処理設備20が排出した廃液を水等と混合した上で生物育成設備30へ供給してもよい。液体供給管21には、内部を通る物体に圧力を加えるポンプが設けられてもよい。液体供給管21の一端は有機物処理設備20に接続されており、他端は生物育成設備30に接続されている。
【0039】
気体供給管22は、有機物処理設備20が生成したバイオガスを生物育成設備30へ供給するための管である。気体供給管22には、内部を通る物体に圧力を加えるポンプが設けられてもよい。気体供給管22の一端は有機物処理設備20に接続されており、他端は生物育成設備30に接続されている。気体供給管22の途中には、バイオガスに含まれるメタンと二酸化炭素とを分離するガス分離装置23が設けられている。ガス分離装置23を通過した気体のうち、メタンを含む気体は不図示の発電装置へ送られる。ガス分離装置23を通過した気体のうち、二酸化炭素を含む気体は生物育成設備30へ送られる。
【0040】
液体供給管21の途中には、廃液を含む液体に関する値を測定する廃液測定部51が設けられている。廃液測定部51は、例えば廃液に含まれるリン、窒素及びカリウムの栄養物の量又は割合(濃度)を測定するセンサを含む。あるいは廃液測定部51は、生物育成設備30の培養槽に保持されている培養液に含まれる栄養物の量又は割合を測定するセンサを含んでもよい。廃液測定部51は、廃液を含む液体の測定値を、制御装置100へ送信する。液体の測定値は、例えば生物育成設備30へ供給される液体中の栄養物の量又は割合である。
【0041】
また、液体供給管21の途中であって、廃液測定部51よりも生物育成設備30側には、栄養物バルブ61を介して、栄養物保持部71が接続されている。栄養物バルブ61は、制御装置100によって開閉を制御可能な弁(例えば電磁弁又は電動弁)である。栄養物バルブ61は、制御装置100から受け取った制御信号に従って、物体を通す開状態と、物体を通さない閉状態との間で切り替えられる。開状態の栄養物バルブ61は、制御装置100から受け取った制御信号に従って、物体の流量を変更してもよい。栄養物保持部71は、栄養物バルブ61を介して、濾液供給管42に接続されてもよい。
【0042】
別の方法として、液体供給管21の途中であって、廃液測定部51よりも有機物処理設備20側に、栄養物バルブ61を介して、栄養物保持部71が接続されてもよい。この場合に、廃液測定部51は、栄養物保持部71から栄養物が補充された後の液体に含まれる栄養物の量又は割合を測定する。これにより、補充制御部113は、フィードバック制御を行うことになるため、栄養物が補充された後の液体に含まれる栄養物の量又は割合を目的とする値(後述の基準値)に正確に近づけることができる。また、廃液測定部51の測定値を参照することによって、栄養物バルブ61が正常に機能しているか否かを判定できる。
【0043】
栄養物保持部71は、それぞれ異なる種類の栄養物を保持する複数のタンクを含む。栄養物保持部71が保持する栄養物は、例えばリン、窒素及びカリウムの単体又は化合物である。栄養物保持部71は、光合成生物が利用するその他の物質を保持してもよい。
【0044】
気体供給管22の途中には、二酸化炭素を含む気体に関する値を測定する二酸化炭素測定部52が設けられている。二酸化炭素測定部52は、例えば気体供給管22を通る気体に含まれる二酸化炭素の量又は割合(濃度)を測定するセンサを含む。二酸化炭素測定部52は、二酸化炭素を含む気体の測定値を、制御装置100へ送信する。気体の測定値は、例えば生物育成設備30へ供給される気体中の二酸化炭素の量又は割合である。
【0045】
あるいは二酸化炭素測定部52は、生物育成設備30の培養槽に保持されている培養液のpH(水素イオン指数)を測定するセンサであってもよい。培養液に溶存している二酸化炭素が多いほど培養液のpHが低下するため、制御装置100は培養液のpHに基づいて培養液中の二酸化炭素の量又は割合を推定できる。
【0046】
また、気体供給管22の途中であって、二酸化炭素測定部52よりも生物育成設備30側には、二酸化炭素バルブ62を介して、二酸化炭素保持部72が接続されている。二酸化炭素バルブ62は、制御装置100によって開閉を制御可能な弁(例えば電磁弁又は電動弁)である。二酸化炭素バルブ62は、制御装置100から受け取った制御信号に従って、物体を通す開状態と、物体を通さない閉状態との間で切り替えられる。開状態の二酸化炭素バルブ62は、制御装置100から受け取った制御信号に従って、物体の流量を変更してもよい。
【0047】
別の方法として、気体供給管22の途中であって、二酸化炭素測定部52よりも有機物処理設備20側に、二酸化炭素バルブ62を介して、二酸化炭素保持部72が接続されてもよい。この場合に、二酸化炭素測定部52は、二酸化炭素保持部72から二酸化炭素が補充された後の気体に含まれる二酸化炭素の量又は割合を測定する。これにより、補充制御部113は、フィードバック制御を行うことになるため、二酸化炭素が補充された後の気体に含まれる二酸化炭素の量又は割合を目的とする値(後述の基準値)に正確に近づけることができる。また、二酸化炭素測定部52の測定値を参照することによって、二酸化炭素バルブ62が正常に機能しているか否かを判定できる。
【0048】
二酸化炭素保持部72は、二酸化炭素を含む気体を保持するタンクを含む。二酸化炭素保持部72が保持する気体は、大気よりも二酸化炭素濃度が高い気体であり、好ましくは二酸化炭素の単体である。
【0049】
制御装置100において、測定情報取得部111は、廃液測定部51及び二酸化炭素測定部52から、廃液を含む液体の測定値と、二酸化炭素を含む気体の測定値とを、測定情報として取得する。
【0050】
制御情報取得部112は、制御情報記憶部121から、廃液測定部51及び二酸化炭素測定部52の測定情報に対応する栄養物バルブ61及び二酸化炭素バルブ62の制御内容を示す制御情報を取得する。栄養物バルブ61及び二酸化炭素バルブ62の制御内容は、予め実験又はシミュレーションによって決定され、制御情報として制御情報記憶部121に記憶されている。
【0051】
例えば制御情報記憶部121が記憶する制御情報は、例えば液体の測定値及び基準値の間の差分値と、栄養物バルブ61を開状態に維持する時間とを関連付けた情報である。該制御情報は、廃液測定部51が測定した廃液を含む液体の測定値が基準値より低い場合に、補充制御部113が栄養物バルブ61を開放して栄養物を補充するために用いられる。開状態の栄養物バルブ61を通る物体の流量は略一定であるため、栄養物バルブ61を開状態に維持する時間は、液体供給管21へ補充する栄養物の量に対応する。栄養物バルブ61を通る物体の流量を制御することによって、液体供給管21へ補充する栄養物の量が調整されてもよい。
【0052】
また、例えば制御情報記憶部121が記憶する制御情報は、例えば気体の測定値及び基準値の間の差分値と、二酸化炭素バルブ62を開状態に維持する時間とを関連付けた情報である。該制御情報は、二酸化炭素測定部52が測定した二酸化炭素を含む気体の測定値が基準値より低い場合に、補充制御部113が二酸化炭素バルブ62を開放して二酸化炭素を補充するために用いられる。開状態の二酸化炭素バルブ62を通る物体の流量は略一定であるため、二酸化炭素バルブ62を開状態に維持する時間は、気体供給管22へ補充する二酸化炭素の量に対応する。二酸化炭素バルブ62を通る物体の流量を制御することによって、気体供給管22へ補充する二酸化炭素の量が調整されてもよい。
【0053】
栄養物及び二酸化炭素の基準値は、例えば光合成生物である藻Fが所定の時間(例えば1日)で倍増するために必要な栄養物の量又は割合、及び二酸化炭素の量又は割合である。藻Fが2倍の量に増殖するために掛かる時間であるダブリングタイムは、培養液中の栄養物及び二酸化炭素の濃度に応じて変動する。そのため、補充制御部113は、栄養物及び二酸化炭素の少なくとも一方の補充を制御することによって、ダブリングタイムを一定にできる。
【0054】
補充制御部113は、液体の測定値及び基準値の間の差分値と、気体の測定値及び基準値の間の差分値とを算出する。補充制御部113は、制御情報取得部112が取得した制御情報に従って、算出した差分値に関連付けられた栄養物バルブ61及び二酸化炭素バルブ62を開状態に維持する時間を特定する。そして補充制御部113は、特定した時間の間、栄養物バルブ61及び二酸化炭素バルブ62を開状態に維持する。これにより補充制御部113は、廃液測定部51が測定した廃液を含む液体の測定値に基づいて栄養物保持部71から液体供給管21へ栄養物を補充する制御をするとともに、二酸化炭素測定部52が測定した二酸化炭素を含む気体の測定値に基づいて二酸化炭素保持部72から気体供給管22へ二酸化炭素を補充する制御をする。
【0055】
具体的には、廃液測定部51が測定した液体中の栄養物の量又は割合が、基準値より低い場合に、補充制御部113は、栄養物保持部71から液体供給管21へ栄養物を補充するように栄養物バルブ61を制御する。二酸化炭素測定部52が測定した気体中の二酸化炭素の量又は割合が基準値より低い場合に、補充制御部113は、二酸化炭素保持部72から気体供給管22へ二酸化炭素を補充するように二酸化炭素バルブ62を制御する。このように、補充制御部113は、生物育成設備30へ供給される液体及び気体の成分に変動があっても、測定情報に応じて栄養物及び二酸化炭素の少なくとも一方の補充を制御することによって、藻Fを安定的に育成できる。
【0056】
補充制御部113は、受入装置10を介して有機物処理設備20に投入された有機物の量又は組成に基づいて、栄養物及び二酸化炭素の補充を制御してもよい。この場合に、受入装置10は、受け入れた有機物の量又は組成を測定するセンサを備える。受入装置10は、有機物の測定値を、制御装置100へ送信する。補充制御部113は、受入装置10が測定した有機物の測定値に基づいて、栄養物バルブ61及び二酸化炭素バルブ62を制御する。
【0057】
例えば補充制御部113は、有機物処理設備20に投入された有機物の量又は組成に基づいて、有機物から生成される栄養物及び二酸化炭素の量又は割合を推定する。そして補充制御部113は、推定した栄養物の量又は割合が基準値より低い場合に、栄養物保持部71から液体供給管21へ栄養物を補充するように栄養物バルブ61を制御する。また、補充制御部113は、推定した二酸化炭素の量又は割合が基準値より低い場合に、二酸化炭素保持部72から気体供給管22へ二酸化炭素を補充するように二酸化炭素バルブ62を制御する。
【0058】
これにより、補充制御部113は、液体供給管21及び気体供給管22において栄養物及び二酸化炭素を測定しなくとも、投入された有機物に対する測定情報に基づいて栄養物及び二酸化炭素の少なくとも一方の補充を制御することができる。
【0059】
[藻を濾過する制御方法の説明]
以下に、有機物処理システムSにおいて、藻Fを回収して培養液を再利用するために生物育成設備30からの藻Fを含む培養液を濾過し、濾液を希釈して生物育成設備30へ搬送する制御方法を説明する。
【0060】
生物育成設備30は、培養液供給管31を有する。培養液供給管31は、生物育成設備30の培養槽に保持されている藻Fを含む培養液を濾過設備40へ供給するための管である。培養液供給管31には、内部を通る物体に圧力を加えるポンプが設けられてもよい。培養液供給管31の一端は生物育成設備30に接続されており、他端は濾過設備40に接続されている。
【0061】
また、培養液供給管31の途中には、濾過バルブ64が設けられている。濾過バルブ64は、制御装置100によって開閉を制御可能な弁(例えば電磁弁又は電動弁)である。濾過バルブ64は、制御装置100から受け取った制御信号に従って、物体を通す開状態と、物体を通さない閉状態との間で切り替えられる。開状態の濾過バルブ64は、制御装置100から受け取った制御信号に従って、物体の流量を変更してもよい。
【0062】
濾過設備40は、フィルタ41と、濾液供給管42とを備える。フィルタ41は、生物育成設備30から搬送された培養液を濾過する部材であり、培養液中の藻Fを液体から分離可能な大きさの複数の穴を有する。培養液は、フィルタ41を通過することによって、藻Fと濾液とに分離される。
【0063】
濾液供給管42は、生物育成設備30からの培養液を濾過して得られた濾液を生物育成設備30へ供給するための管である。濾液供給管42には、内部を通る物体に圧力を加えるポンプが設けられてもよい。濾液供給管42の一端は濾過設備40に接続されており、他端は生物育成設備30に接続されている。これにより、濾過設備40は、藻Fを濾過した後に残った濾液を生物育成設備30に供給できるため、濾液に含まれる栄養物を再利用できる。
【0064】
濾液供給管42の途中には、濾液に関する値を測定する濾液測定部53が設けられている。濾液測定部53は、例えば濾液の透明度を測定するセンサを含む。あるいは濾液測定部53は、廃液測定部51と同様に栄養物の量又は割合を測定するセンサを含んでもよい。濾液測定部53は、濾液の測定値を、制御装置100へ送信する。濾液の測定値は、例えば生物育成設備30へ供給される濾液の透明度である。
【0065】
また、濾液供給管42の途中であって、濾液測定部53よりも生物育成設備30側には、希釈バルブ63を介して、水保持部73が接続されている。希釈バルブ63は、制御装置100によって開閉を制御可能な弁(例えば電磁弁又は電動弁)である。希釈バルブ63は、制御装置100から受け取った制御信号に従って、物体を通す開状態と、物体を通さない閉状態との間で切り替えられる。開状態の希釈バルブ63は、制御装置100から受け取った制御信号に従って、物体の流量を変更してもよい。
【0066】
別の方法として、濾液供給管42の途中であって、濾液測定部53よりも濾過設備40側に、希釈バルブ63を介して、水保持部73が接続されてもよい。この場合に、濾液測定部53は、水保持部73から水が補充された後の濾液の透明度を測定する。これにより、補充制御部113は、フィードバック制御を行うことになるため、希釈された後の濾液の透明度を目的とする値(後述の基準値)に正確に近づけることができる。また、濾液測定部53の測定値を参照することによって、希釈バルブ63が正常に機能しているか否かを判定できる。
【0067】
水保持部73は、濾液を希釈するための水を保持するタンクを含む。水保持部73は、濾液を希釈可能なその他の液体を保持してもよい。
【0068】
制御装置100において、濾過制御部114は、タイマ情報記憶部122から、濾過を開始する時刻を示すタイマ情報を取得する。タイマ情報記憶部122に記憶されているタイマ情報が示す濾過を開始する時刻は、所定の時間間隔で自動的に設定されてもよく、ユーザによって予め設定されてもよい。例えば濾過を開始する時刻は、例えば光合成生物である藻Fが2倍の量に増殖するために掛かる時間(ダブリングタイム)ごとに設定される。
【0069】
濾過制御部114は、タイマ情報が示す濾過を開始する時刻に現在時刻が到達した場合に、濾過バルブ64を開状態に切り替え、所定の時間の経過後に閉状態に切り替える。濾過バルブ64を開状態に維持する所定の時間は、例えば生物育成設備30の培養槽に保持されている培養液の半分が濾液供給管42から排出される時間であり、タイマ情報記憶部122に予め記憶されている。このように藻Fが2倍の量に増殖するダブリングタイムごとに、生物育成設備30の培養槽に保持されている培養液の半分を排出することによって、培養液中の藻Fの量を一定の範囲内に保つことができ、藻Fの生育量を安定化できる。
【0070】
濾過制御部114は、廃液測定部51及び二酸化炭素測定部52が測定した測定情報に基づいてタイマ情報を変更することによって、濾過を制御してもよい。上述のように、ダブリングタイムは、培養液中の栄養物及び二酸化炭素の濃度に応じて変動する。そこで濾過制御部114は、廃液測定部51が測定した廃液を含む液体の測定値、及び二酸化炭素測定部52が測定した二酸化炭素を含む気体の測定値に基づいて、タイマ情報が示す濾過を開始する時刻を変更する。濾過制御部114は、変更後の時刻に、濾過を開始する。液体の測定値及び気体の測定値と、濾過を開始する時刻との関係は、予め実験又はシミュレーションによって決定され、タイマ情報記憶部122に記憶されている。
【0071】
このように、濾過制御部114は、生物育成設備30へ供給される液体及び気体の成分に変動があっても、測定情報に応じて濾過を開始する時刻を変更することによって、培養液中の藻Fの量を一定の範囲内に保つことができ、藻Fの生育量を安定化できる。
【0072】
濾過制御部114は、液体の測定値及び気体の測定値に加えて、藻Fの量の測定値に基づいて、タイマ情報を変更してもよい。この場合に、生物育成設備30は、培養液の単位体積中の藻Fの量を測定するセンサを備える。生物育成設備30は、藻Fの量の測定値を、制御装置100へ送信する。制御装置100において、濾過制御部114は、液体の測定値、気体の測定値、及び藻Fの量の測定値に基づいて、タイマ情報が示す濾過を開始する時刻を変更する。濾過制御部114は、変更後の時刻に、濾過を開始する。液体の測定値、気体の測定値、及び藻Fの量の測定値と、濾過を開始する時刻との関係は、予め実験又はシミュレーションによって決定され、タイマ情報記憶部122に記憶されている。このように、濾過制御部114は、藻Fの量の測定値に基づいてタイマ情報を変更することによって、培養液中の藻Fの量を一定の範囲内により正確に保つことができ、藻Fの生育量を安定化できる。
【0073】
測定情報取得部111は、濾液測定部53から、濾液の測定値を、測定情報として取得する。制御情報取得部112は、制御情報記憶部121から、濾液測定部53の測定情報に対応する希釈バルブ63の制御内容を示す制御情報を取得する。希釈バルブ63の制御内容は、予め実験又はシミュレーションによって決定され、制御情報として制御情報記憶部121に記憶されている。
【0074】
例えば制御情報記憶部121が記憶する制御情報は、例えば濾液の測定値及び基準値の間の差分値と、希釈バルブ63を開状態に維持する時間とを関連付けた情報である。該制御情報は、濾液測定部53が測定した濾液の測定値が基準値より低い場合に、補充制御部113が希釈バルブ63を開放して水を補充するために用いられる。開状態の希釈バルブ63を通る物体の流量は略一定であるため、希釈バルブ63を開状態に維持する時間は、濾液供給管42へ補充する水の量に対応する。希釈バルブ63を通る物体の流量を制御することによって、濾液供給管42へ補充する水の量が調整されてもよい。
【0075】
補充制御部113は、濾液の測定値及び基準値の間の差分値を算出する。補充制御部113は、制御情報取得部112が取得した制御情報に従って、算出した差分値に関連付けられた希釈バルブ63を開状態に維持する時間を特定する。そして補充制御部113は、特定した時間の間、希釈バルブ63を開状態に維持する。これにより補充制御部113は、濾液測定部53が測定した濾液の測定値に基づいて水保持部73から濾液供給管42へ水を補充する(すなわち濾液を希釈する)制御をする。
【0076】
具体的には、廃液測定部51が測定した濾液の透明度が基準値より低い場合に、補充制御部113は、水保持部73から濾液供給管42へ水を補充するように希釈バルブ63を制御する。生物育成設備30の培養槽の透明度が低いと、藻Fが受ける光量が低下し、藻Fの生育環境が悪化するおそれがある。補充制御部113は、生物育成設備30へ供給される濾液の透明度に応じて濾液を希釈することによって、藻Fが受ける光量を向上できる。
【0077】
補充制御部113は、廃液測定部51が測定した液体中の栄養物の量又は割合が基準値以上である場合、又は二酸化炭素測定部52が測定した気体中の二酸化炭素の量又は割合が基準値以上である場合に、水保持部73から濾液供給管42へ水を補充するように希釈バルブ63を制御してもよい。これにより、補充制御部113は、廃液を含む液体に含まれる栄養物が過多である場合や、気体に含まれる二酸化炭素が過多である場合に、濾液を希釈することによって、生物育成設備30に供給される栄養物及び二酸化炭素の量を調整できる。
【0078】
補充制御部113は、濾液測定部53が測定した濾液の測定値に基づいて、栄養物バルブ61を制御してもよい。この場合に、濾液測定部53が測定した濾液中の栄養物の量又は割合が基準値より低い場合に、補充制御部113は、栄養物保持部71から液体供給管21へ栄養物を補充するように栄養物バルブ61を制御する。これにより、補充制御部113は、生物育成設備30へ供給される濾液の成分に変動があっても、測定情報に応じて栄養物の補充を制御することによって、藻Fを安定的に育成できる。
【0079】
制御装置100は、以上に説明した(1)栄養物の補充、(2)二酸化炭素の補充、(3)濾過の制御、(4)濾液の希釈のうち、少なくとも一部の制御を実行することによって、藻Fの生育環境を安定化し、藻Fを安定的に育成することができる。制御装置100は、該制御のうち複数を組み合わせて実行することによって、藻Fの生育環境をより細かく調整できる。
【0080】
有機物処理設備20の稼働中には、有機物の処理が途中であるため、有機物処理設備20からの廃液を生物育成設備30に供給できない場合がある。本実施形態に係る有機物処理システムSは、栄養物保持部71から生物育成設備30へ栄養物を随時補充できるため、有機物処理設備20が稼働している際(すなわち有機物を処理している途中)であっても、生物育成設備30へ栄養物を供給し続けることができる。
【0081】
[有機物処理システムSの制御方法のフローチャート]
本実施形態に係る有機物処理システムSの制御方法は、(1)栄養物を補充する処理、(2)二酸化炭素を補充する処理、(3)濾過を制御する処理、及び(4)濾液を希釈する処理を含む。以下ではそれらの処理それぞれのフローチャートを独立して説明するが、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0082】
図4は、栄養物を補充する処理のフローチャートを示す図である。図4のフローチャートは、例えばユーザが制御装置100に対して所定の開始操作を行うことによって開始される。
【0083】
測定情報取得部111は、廃液測定部51から、廃液を含む液体の測定値を示す測定情報を取得する(S11)。制御情報取得部112は、制御情報記憶部121から、ステップS11で取得した測定情報に対応する栄養物バルブ61の制御内容を示す制御情報を取得する(S12)。
【0084】
ステップS11で取得した測定情報が示す液体の測定値(例えば生物育成設備30へ供給される液体中の栄養物の量又は割合)が、ステップS12で取得した制御情報が示す基準値以上である場合に(S13のNO)、制御装置100はステップS11に戻って処理を繰り返す。
【0085】
ステップS11で取得した測定情報が示す液体の測定値が、ステップS12で取得した制御情報が示す基準値より低い場合に(S13のYES)、補充制御部113は、栄養物バルブ61を開状態に切り替えるように制御することによって、栄養物の補充を開始する(S14)。このとき、補充制御部113は、栄養物の補充を開始してからの時間の測定を開始する。
【0086】
栄養物の補充を開始してから制御情報が示す時間が経過していない場合に(S15のNO)、制御装置100はステップS15を繰り返す。栄養物の補充を開始してから制御情報が示す時間が経過した場合に(S15のYES)、補充制御部113は、栄養物バルブ61を閉状態に切り替えるように制御することによって、栄養物の補充を終了する(S16)。
【0087】
所定の終了条件(例えばユーザが制御装置100に対して所定の終了操作を行うこと)が満たされていない場合に(S17のNO)、制御装置100はステップS11に戻って処理を繰り返す。所定の終了条件が満たされた場合に(S17のYES)、制御装置100は処理を終了する。
【0088】
図5は、二酸化炭素を補充する処理のフローチャートを示す図である。図5のフローチャートは、例えばユーザが制御装置100に対して所定の開始操作を行うことによって開始される。
【0089】
測定情報取得部111は、二酸化炭素測定部52から、二酸化炭素を含む気体の測定値を示す測定情報を取得する(S21)。制御情報取得部112は、制御情報記憶部121から、ステップS21で取得した測定情報に対応する二酸化炭素バルブ62の制御内容を示す制御情報を取得する(S22)。
【0090】
ステップS21で取得した測定情報が示す気体の測定値(例えば生物育成設備30へ供給される気体中の二酸化炭素の量又は割合)が、ステップS22で取得した制御情報が示す基準値以上である場合に(S23のNO)、制御装置100はステップS21に戻って処理を繰り返す。
【0091】
ステップS21で取得した測定情報が示す気体の測定値が、ステップS22で取得した制御情報が示す基準値より低い場合に(S23のYES)、補充制御部113は、二酸化炭素バルブ62を開状態に切り替えるように制御することによって、二酸化炭素の補充を開始する(S24)。このとき、補充制御部113は、二酸化炭素の補充を開始してからの時間の測定を開始する。
【0092】
二酸化炭素の補充を開始してから制御情報が示す時間が経過していない場合に(S25のNO)、制御装置100はステップS25を繰り返す。二酸化炭素の補充を開始してから制御情報が示す時間が経過した場合に(S25のYES)、補充制御部113は、二酸化炭素バルブ62を閉状態に切り替えるように制御することによって、二酸化炭素の補充を終了する(S26)。
【0093】
所定の終了条件(例えばユーザが制御装置100に対して所定の終了操作を行うこと)が満たされていない場合に(S27のNO)、制御装置100はステップS21に戻って処理を繰り返す。所定の終了条件が満たされた場合に(S27のYES)、制御装置100は処理を終了する。
【0094】
図6は、濾過を制御する処理のフローチャートを示す図である。図6のフローチャートは、例えばユーザが制御装置100に対して所定の開始操作を行うことによって開始される。
【0095】
濾過制御部114は、タイマ情報記憶部122から、濾過を開始する時刻を示すタイマ情報を取得する(S31)。タイマ情報が示す濾過を開始する時刻は、所定の時間間隔で自動的に設定されてもよく、ユーザによって予め設定されてもよい。測定情報取得部111は、廃液測定部51及び二酸化炭素測定部52から、廃液を含む液体の測定値を示す測定情報及び二酸化炭素を含む気体の測定値を示す測定情報を取得する(S32)。
【0096】
濾過制御部114は、ステップS32で取得した測定情報が示す液体の測定値及び気体の測定値に基づいて、ステップS31で取得したタイマ情報が示す濾過を開始する時刻を変更する(S33)。液体の測定値及び気体の測定値と、濾過を開始する時刻との関係は、タイマ情報記憶部122に予め記憶されている。
【0097】
ステップS31で取得したタイマ情報が示す濾過を開始する時刻(又はステップS33で変更した時間)に現在時刻が到達していない場合に(S34のNO)、制御装置100はステップS31に戻って処理を繰り返す。
【0098】
ステップS31で取得したタイマ情報が示す濾過を開始する時刻(又はステップS33で変更した時間)に現在時刻が到達した場合に(S34のYES)、濾過制御部114は、濾過バルブ64を開状態に切り替えるように制御することによって、濾過を開始する(S35)。このとき、濾過制御部114は、濾過を開始してからの時間の測定を開始する。
【0099】
濾過を開始してから所定の時間が経過していない場合に(S36のNO)、制御装置100はステップS36を繰り返す。濾過を開始してから所定の時間が経過した場合に(S36のYES)、濾過制御部114は、濾過バルブ64を閉状態に切り替えるように制御することによって、濾過を終了する(S37)。濾過を継続する時間は、タイマ情報記憶部122に予め記憶されている。
【0100】
所定の終了条件(例えばユーザが制御装置100に対して所定の終了操作を行うこと)が満たされていない場合に(S38のNO)、制御装置100はステップS31に戻って処理を繰り返す。所定の終了条件が満たされた場合に(S38のYES)、制御装置100は処理を終了する。
【0101】
図7は、濾液を希釈する処理のフローチャートを示す図である。図7のフローチャートは、例えばユーザが制御装置100に対して所定の開始操作を行うことによって開始される。
【0102】
測定情報取得部111は、濾液測定部53から、濾液の測定値を示す測定情報を取得する(S41)。制御情報取得部112は、制御情報記憶部121から、ステップS41で取得した測定情報に対応する希釈バルブ63の制御内容を示す制御情報を取得する(S42)。
【0103】
ステップS41で取得した制御情報が示す濾液の測定値(例えば生物育成設備30へ供給される濾液の透明度)が、ステップS42で取得した制御情報が示す基準値以上である場合に(S43のNO)、制御装置100はステップS41に戻って処理を繰り返す。
【0104】
ステップS41で取得した制御情報が示す濾液の測定値が、ステップS42で取得した制御情報が示す基準値より低い場合に(S43のYES)、補充制御部113は、希釈バルブ63を開状態に切り替えるように制御することによって、水の補充(すなわち濾液の希釈)を開始する(S44)。このとき、補充制御部113は、水の補充を開始してからの時間の測定を開始する。
【0105】
水の補充を開始してから制御情報が示す時間が経過していない場合に(S45のNO)、制御装置100はステップS45を繰り返す。水の補充を開始してから制御情報が示す時間が経過した場合に(S45のYES)、補充制御部113は、希釈バルブ63を閉状態に切り替えるように制御することによって、水の補充を終了する(S46)。
【0106】
所定の終了条件(例えばユーザが制御装置100に対して所定の終了操作を行うこと)が満たされていない場合に(S47のNO)、制御装置100はステップS41に戻って処理を繰り返す。所定の終了条件が満たされた場合に(S47のYES)、制御装置100は処理を終了する。
【0107】
[変形例]
有機物処理システムSが光合成生物として藻を育成する例を以上に説明したが、有機物処理システムSは光合成生物として植物を育成することも可能である。図8は、有機物処理システムSの機能を示す模式図である。図8の有機物処理システムSでは、図3の有機物処理システムSと比較して、生物育成設備30が藻Fの代わりに植物Gを育成しており、濾過設備40が省略されている。
【0108】
生物育成設備30は、光合成をする光合成生物である植物Gを栽培する栽培容器と、栽培容器に対して光を照射する光照射部とを備える。栽培容器は、土の上で植物Gを栽培(すなわち土耕栽培)してもよく、水の上で植物Gを栽培(すなわち水耕栽培)してもよい。光照射部は、植物Gが利用可能な波長の光を発生させる、LED、蛍光灯等の光源を含む。植物Gは、有機物処理設備20から搬送されたバイオガスに含まれる二酸化炭素と、有機物処理設備20から搬送された廃液に含まれる栄養物とを利用して、光合成しながら成長する。植物Gは、例えば人間の食料や、豚、牛、魚、昆虫等の動物を育成するための飼料として利用される。
【0109】
有機物処理システムSは、藻Fを育成する場合と同様に、廃液測定部51及び二酸化炭素測定部52が測定した測定情報に基づいて、植物Gへ栄養物の補充及び二酸化炭素を補充する制御をする。これにより、有機物処理システムSは、植物Gを安定的に育成できる。
【0110】
[本実施形態の効果]
本実施形態に係る有機物処理システムSは、有機物処理設備20から供給される液体及び気体を生物育成設備30に供給する際に、液体に含まれる栄養物及び気体に含まれる二酸化炭素に関する値を測定し、測定値に基づいて栄養物及び二酸化炭素を生物育成設備30に補充する。これにより、有機物処理システムSは、生物育成設備30へ供給される液体及び気体の成分に変動があっても、栄養物及び二酸化炭素の少なくとも一方の補充を制御することによって、光合成生物を安定的に育成できる。
【0111】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【0112】
制御装置100のプロセッサは、図4〜7に示す制御方法に含まれる各ステップ(工程)の主体となる。すなわち、制御装置100のプロセッサは、図4〜7に示す制御方法を実行するためのプログラムを記憶部から読み出し、該プログラムを実行して有機物処理システムSの各部を制御することによって、図4〜7に示す制御方法を実行する。図4〜7に示す制御方法に含まれるステップは一部省略されてもよく、ステップ間の順番が変更されてもよく、複数のステップが並行して行われてもよい。
【符号の説明】
【0113】
S 有機物処理システム
20 有機物処理設備
21 液体供給管
22 気体供給管
30 生物育成設備
40 濾過設備
42 濾液供給管
51 廃液測定部
52 二酸化炭素測定部
71 栄養物保持部
72 二酸化炭素保持部
100 制御装置
110 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2019年7月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物を生物処理してバイオガスを生成する有機物処理設備と、
光合成をする光合成微生物を育成する培養槽を備える生物育成設備と、
前記生物処理の廃液を含む液体を前記有機物処理設備から前記生物育成設備の前記培養槽へ供給する液体供給管と、
前記生物処理によって生成された二酸化炭素を含む気体を前記有機物処理設備から前記生物育成設備へ供給する気体供給管と、
前記培養槽から排出される前記液体を濾過した後の濾液を前記培養槽に供給する濾液供給管と、
前記光合成生物が利用可能な栄養物を保持する栄養物保持部と、
前記液体に含まれる前記栄養物の量又は割合に基づいて、前記栄養物保持部から前記生物育成設備へ補充する前記栄養物の量を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記濾液の透明度に基づいて、前記培養槽に供給される前記濾液を希釈する有機物処理システム。
【請求項2】
有機物を生物処理してバイオガスを生成する有機物処理設備と、
光合成をする光合成微生物を育成する培養槽を備える生物育成設備と、
前記生物処理の廃液を含む液体を前記有機物処理設備から前記生物育成設備の前記培養槽へ供給する液体供給管と、
前記生物処理によって生成された二酸化炭素を含む気体を前記有機物処理設備から前記生物育成設備へ供給する気体供給管と、
前記培養槽から排出される前記液体を濾過した後の濾液を前記培養槽に供給する濾液供給管と、
前記光合成微生物が利用可能な栄養物を保持する栄養物保持部と、
前記液体に含まれる前記栄養物の量又は割合に基づいて、前記栄養物保持部から前記生物育成設備へ補充する前記栄養物の量を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記液体に含まれる前記栄養物の量又は割合に基づいて、前記培養槽に供給される前記濾液を希釈する有機物処理システム。
【請求項3】
有機物を生物処理してバイオガスを生成する有機物処理設備と、
光合成をする光合成微生物を育成する培養槽を備える生物育成設備と、
前記生物処理の廃液を含む液体を前記有機物処理設備から前記生物育成設備の前記培養槽へ供給する液体供給管と、
前記生物処理によって生成された二酸化炭素を含む気体を前記有機物処理設備から前記生物育成設備へ供給する気体供給管と、
前記培養槽から排出される前記液体を濾過した後の濾液を前記培養槽に供給する濾液供給管と、
前記光合成微生物が利用可能な栄養物を保持する栄養物保持部と、
前記液体に含まれる前記栄養物の量又は割合に基づいて、前記栄養物保持部から前記生物育成設備へ補充する前記栄養物の量を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記濾液に含まれる前記栄養物の量又は割合に基づいて、前記栄養物保持部から前記生物育成設備へ補充する前記栄養物の量を制御する有機物処理システム。
【請求項4】
有機物を生物処理してバイオガスを生成する有機物処理設備と、
光合成をする光合成微生物を育成する培養槽を備える生物育成設備と、
前記生物処理の廃液を含む液体を前記有機物処理設備から前記生物育成設備の前記培養槽へ供給する液体供給管と、
前記生物処理によって生成された二酸化炭素を含む気体を前記有機物処理設備から前記生物育成設備へ供給する気体供給管と、
前記培養槽から排出される前記液体を濾過した後の濾液を前記培養槽に供給する濾液供給管と、
前記光合成微生物が利用可能な栄養物を保持する栄養物保持部と、
前記液体に含まれる前記栄養物の量又は割合に基づいて、前記栄養物保持部から前記生物育成設備へ補充する前記栄養物の量を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記液体に含まれる前記栄養物の量又は割合に基づいて、前記培養槽から排出される前記液体の濾過を開始する時刻を制御する有機物処理システム。
【請求項5】
前記液体供給管又は前記生物育成設備の中で、前記液体に含まれる前記栄養物の量又は割合を測定するセンサをさらに有し、
前記制御部は、前記センサが測定した前記栄養物の量又は割合に基づいて、前記栄養物保持部から前記生物育成設備へ補充する前記栄養物の量を制御する、請求項1から4のいずれか一項に記載の有機物処理システム。
【請求項6】
二酸化炭素を保持する二酸化炭素保持部をさらに有し、
前記制御部は、前記気体に含まれる二酸化炭素の量又は割合に基づいて、前記二酸化炭素保持部から前記生物育成設備へ補充する二酸化炭素の量を制御する、請求項1から5のいずれか一項に記載の有機物処理システム。
【請求項7】
前記気体供給管又は前記生物育成設備の中で、前記気体に含まれる二酸化炭素の量又は割合を測定するセンサをさらに有し、
前記制御部は、前記センサが測定した二酸化炭素の量又は割合に基づいて、前記二酸化炭素保持部から前記生物育成設備へ補充する二酸化炭素の量を制御する、請求項に記載の有機物処理システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記有機物処理設備に投入された前記有機物の量又は組成に基づいて、前記栄養物保持部から前記生物育成設備へ補充する前記栄養物の量を制御する、請求項1からのいずれか一項に記載の有機物処理システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記有機物処理設備が稼働している際に、前記栄養物保持部から前記生物育成設備へ前記栄養物を補充する、請求項1からのいずれか一項に記載の有機物処理システム。