特開2019-217473(P2019-217473A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-217473(P2019-217473A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】回転霧化頭および塗装装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 5/04 20060101AFI20191129BHJP
【FI】
   B05B5/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-118188(P2018-118188)
(22)【出願日】2018年6月21日
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000110343
【氏名又は名称】トリニティ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷 真二
(72)【発明者】
【氏名】沼里 亮
(72)【発明者】
【氏名】近藤 貴仁
(72)【発明者】
【氏名】村井 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】上野 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】奥田 高稔
(72)【発明者】
【氏名】前田 健
(72)【発明者】
【氏名】原田 幸太
【テーマコード(参考)】
4F034
【Fターム(参考)】
4F034AA03
4F034BA23
4F034BB02
4F034BB12
4F034BB25
(57)【要約】
【課題】放出される糸状の塗料が接触して一体化されるのを抑制することが可能な回転霧化頭を提供する。
【解決手段】回転ヘッド1は、塗料が遠心力によって外縁部123に向けて拡散される拡散面122と、外縁部123に形成された複数の溝部124とを備える。複数の溝部124は、径方向に延びるように形成されており、隣接する溝部124の深さが異なり、各溝部124の幅が同じに設定されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗装装置の回転軸に取付可能に構成され、前記塗装装置の回転軸に取り付けられた場合に塗料が供給される回転霧化頭であって、
塗料が遠心力によって外縁部に向けて拡散される拡散面と、
前記外縁部に形成された複数の溝部とを備え、
前記複数の溝部は、径方向に延びるように形成されており、隣接する溝部の深さが異なり、各溝部の幅が同じに設定されていることを特徴とする回転霧化頭。
【請求項2】
請求項1に記載の回転霧化頭において、
前記複数の溝部は、周方向において交互に配置される第1溝部および第2溝部を含み、
前記第1溝部の深さは、前記第2溝部の深さよりも大きくされ、
前記第1溝部の幅は、前記第2溝部の幅と同じに設定されていることを特徴とする回転霧化頭。
【請求項3】
請求項2に記載の回転霧化頭において、
前記第1溝部の深さおよび幅は、前記第1溝部の延びる方向において径方向内側から放出端に向けて徐々に大きくなるように形成され、
前記第2溝部の深さおよび幅は、前記第2溝部の延びる方向において径方向内側から放出端に向けて徐々に大きくなるように形成され、
前記第1溝部の放出端の深さは、前記第2溝部の放出端の深さよりも大きくされ、
前記第1溝部の放出端の幅は、前記第2溝部の放出端の幅と同じに設定されていることを特徴とする回転霧化頭。
【請求項4】
請求項2に記載の回転霧化頭において、
前記第1溝部の深さおよび幅は、前記第1溝部の延びる方向において一定に形成され、
前記第2溝部の深さおよび幅は、前記第2溝部の延びる方向において一定に形成されていることを特徴とする回転霧化頭。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の回転霧化頭と、
前記回転霧化頭を回転させる駆動部とを備えることを特徴とする塗装装置。
【請求項6】
請求項5に記載の塗装装置において、
前記回転霧化頭と接地された被塗装物との間に電界を形成するために、前記回転霧化頭に電圧を印加する電源部を備え、
前記回転霧化頭から放出される糸状の塗料を静電微粒化するように構成されていることを特徴とする塗装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転霧化頭および塗装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転ヘッド(回転霧化頭)を備える塗装装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。このような塗装装置は、回転ヘッドから塗料を放出して微粒化(霧化)し、その微粒化された塗料を被塗装物に塗着させるように構成されている。
【0003】
特許文献1の回転ヘッドは、塗料が遠心力によって外縁部に向けて拡散される拡散面と、外縁部に形成された複数の溝部とを備えている。このため、塗料が溝部を通過することにより、回転ヘッドから放出される塗料が糸状に形成されるようになっている。そして、その糸状の塗料が微粒化されて被塗装物に塗着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−42749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、回転ヘッドから放出される糸状の塗料において、周方向に隣接する糸状の塗料が接触して一体化(結合)すると、微粒化性能が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、放出される糸状の塗料が接触して一体化されるのを抑制することが可能な回転霧化頭および塗装装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による回転霧化頭は、塗装装置の回転軸に取付可能に構成され、塗装装置の回転軸に取り付けられた場合に塗料が供給されるものであり、塗料が遠心力によって外縁部に向けて拡散される拡散面と、外縁部に形成された複数の溝部とを備える。複数の溝部は、径方向に延びるように形成されており、隣接する溝部の深さが異なり、各溝部の幅が同じに設定されている。なお、幅が同じとは、幅が厳密に同じ場合だけではなく、幅が実質的に同じ場合を含む。
【0008】
このように構成することによって、隣接する溝部の深さが異なることにより、溝部から放出される糸状の塗料において隣接するもの同士の位置が異なる(隣接する糸状の塗料の放出位置が軸方向においてずらされる)ので、放出される糸状の塗料が接触するのを抑制することができる。また、各溝部の幅が同じであることにより、各溝部から放出される糸状の塗料の直径の均等化を図ることができる。
【0009】
上記回転霧化頭において、複数の溝部は、周方向において交互に配置される第1溝部および第2溝部を含み、第1溝部の深さは、第2溝部の深さよりも大きくされ、第1溝部の幅は、第2溝部の幅と同じに設定されていてもよい。
【0010】
このように構成すれば、隣接する溝部の深さを容易に異ならせることができる。
【0011】
上記第1溝部および第2溝部を含む回転霧化頭において、第1溝部の深さおよび幅は、第1溝部の延びる方向において径方向内側から放出端に向けて徐々に大きくなるように形成され、第2溝部の深さおよび幅は、第2溝部の延びる方向において径方向内側から放出端に向けて徐々に大きくなるように形成され、第1溝部の放出端の深さは、第2溝部の放出端の深さよりも大きくされ、第1溝部の放出端の幅は、第2溝部の放出端の幅と同じに設定されていてもよい。
【0012】
このように構成すれば、放出端の深さの異なる第1溝部および第2溝部を形成することができる。
【0013】
上記第1溝部および第2溝部を含む回転霧化頭において、第1溝部の深さおよび幅は、第1溝部の延びる方向において一定に形成され、第2溝部の深さおよび幅は、第2溝部の延びる方向において一定に形成されていてもよい。
【0014】
このように構成すれば、深さの異なる第1溝部および第2溝部を形成することができる。
【0015】
本発明による塗装装置は、上記回転霧化頭と、回転霧化頭を回転させる駆動部とを備える。
【0016】
このように構成することによって、隣接する溝部の深さが異なることにより、溝部から放出される糸状の塗料において隣接するもの同士の位置が異なる(隣接する糸状の塗料の放出位置が軸方向においてずらされる)ので、放出される糸状の塗料が接触するのを抑制することができる。また、各溝部の幅が同じであることにより、各溝部から放出される糸状の塗料の直径の均等化を図ることができる。
【0017】
上記塗装装置において、回転霧化頭と接地された被塗装物との間に電界を形成するために、回転霧化頭に電圧を印加する電源部を備え、回転霧化頭から放出される糸状の塗料を静電微粒化するように構成されていてもよい。
【0018】
このように構成すれば、シェーピングエアに影響されることなく塗料を良好に微粒化することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の回転霧化頭および塗装装置によれば、放出される糸状の塗料が接触して一体化されるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態による塗装装置を説明するための概略構成図である。
図2図1の塗装装置の回転ヘッドを示した断面図である。
図3図2の回転ヘッドの先端を示した斜視図である。
図4図3の回転ヘッドの先端を径方向の外側から見た拡大図である。
図5図3の回転ヘッドの先端を軸方向から見た拡大図である。
図6図3の回転ヘッドの先端を拡大して示した切断端面図である。
図7図6の回転ヘッドの溝部に塗料が流入した状態を示した図であって、図6のA−A線に沿って切断した断面図である。
図8】第2実施形態による回転ヘッドの先端を示した斜視図である。
図9図8の回転ヘッドの先端を径方向の外側から見た拡大図である。
図10図8の回転ヘッドの先端を軸方向から見た拡大図である。
図11図8の回転ヘッドの先端を拡大して示した切断端面図である。
図12】第3実施形態による回転ヘッドの先端を示した斜視図である。
図13図12の回転ヘッドの先端を径方向の外側から見た拡大図である。
図14図12の回転ヘッドの先端を軸方向から見た拡大図である。
図15図12の回転ヘッドの先端を拡大して示した切断端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
(第1実施形態)
まず、図1および図2を参照して、本発明の第1実施形態による塗装装置100について説明する。
【0023】
塗装装置100は、図1に示すように、回転ヘッド1から糸状の塗料P1を放出するとともに、その糸状の塗料P1を微粒化(霧化)することにより、塗料粒子(微粒化された塗料)P2を形成して被塗装物200に塗着させるように構成されている。なお、被塗装物200は、たとえば車両のボディである。この塗装装置100は、回転ヘッド1と、エアモータ2と、キャップ3と、塗料供給部4と、電圧発生器5とを備えている。
【0024】
回転ヘッド1は、液体の塗料が供給され、その塗料を遠心力によって放出するように構成されている。この回転ヘッド1は、図2の例のように、円筒状に形成されており、基端側(X2方向側)に配置される取付部11と、先端側(X1方向側)に配置されるヘッド部12とを含んでいる。取付部11は、エアモータ2の回転軸21に取付可能に構成され、ヘッド部12は、液体の塗料が供給されるように構成されている。なお、回転ヘッド1の直径は、たとえば20〜80mmである。また、回転ヘッド1は、本発明の「回転霧化頭」の一例である。
【0025】
取付部11の内周面には、回転軸21が取り付けられている。回転軸21は、中空状に形成され、内部に塗料供給管6が配置されている。塗料供給管6は、塗料供給部4(図1参照)に格納された塗料をヘッド部12に供給するために設けられており、先端61にノズル(図示省略)が形成されている。
【0026】
ヘッド部12は、内面12aおよび外面12bを有し、内面12aが先端側に向けて拡径するように形成されている。内面12aの中央には軸方向から見て円形の凹部121が形成され、その凹部121を塞ぐようにハブ13が設けられている。このため、凹部121およびハブ13により塗料空間Sが区画され、塗料空間Sには塗料供給管6の先端61が臨むように配置されている。ハブ13の外縁部には、塗料空間Sから塗料を流出させるための流出孔13aが形成されている。複数の流出孔13aは、周方向(回転ヘッド1の回転方向)に所定の間隔を隔てて配置されている。
【0027】
そして、流出孔13aに対して径方向(回転ヘッド1の軸方向と直交する方向)の外側の内面12aが、塗料が遠心力により拡散される拡散面122として機能する。この拡散面122は、先端側に向けて拡径するように形成され、流出孔13aから流出した塗料を膜状にするように構成されている。また、拡散面122の外縁部123には、膜状の塗料を糸状にして放出するための複数の溝部124(図3参照)が形成されている。なお、図2では見やすさを考慮して溝部124の図示を省略している。溝部124の数は、回転ヘッド1の直径によるが、たとえば300〜1800個である。また、溝部124の詳細については後述する。
【0028】
エアモータ2(図1参照)は、回転ヘッド1を回転させるために設けられている。このエアモータ2は、回転可能な回転軸21を有し、その回転軸21が回転ヘッド1に連結されている。なお、エアモータ2は、本発明の「駆動部」の一例である。
【0029】
キャップ3は、回転ヘッド1の外周面を覆うように構成され、先端側に向けて縮径するようにテーパ状に形成されている。このキャップ3は、回転ヘッド1の軸方向から見て円環状に形成され、内部に回転ヘッド1が配置されている。すなわち、キャップ3は、回転ヘッド1の周囲を取り囲むように設けられている。
【0030】
図1に示すように、塗料供給部4は、着脱可能に設けられ、内部に塗料が格納されている。塗料供給部4に格納された塗料は、塗料供給管6(図2参照)を介して回転ヘッド1に供給可能になっている。
【0031】
電圧発生器5は、負の高電圧を発生させるとともに、その負の高電圧が回転ヘッド1に印加されるように構成されている。この電圧発生器5は、接地された被塗装物200と回転ヘッド1との間に電界を形成するために設けられている。被塗装物200と回転ヘッド1との間の電界により、糸状の塗料P1が静電微粒化されるとともに、帯電された塗料粒子P2が被塗装物200に塗着されるようになっている。また、電圧発生器5には電圧制御部7が接続されており、電圧制御部7により電圧発生器5の出力電圧を制御可能である。電圧制御部7は、回転ヘッド1に印加される電圧を制御することにより、回転ヘッド1と被塗装物200との間の電界強度の変動を抑制するために設けられている。なお、電圧発生器5は、本発明の「電源部」の一例である。
【0032】
このような塗装装置100では、回転ヘッド1の溝部124から糸状の塗料P1を放出するとともに、その糸状の塗料P1を静電気力により微粒化(霧化)するように構成されている。つまり、塗装装置100では、シェーピングエアを吐出するエア吐出部が設けられていないため、シェーピングエアによらず塗料粒子P2が形成されるようになっている。
【0033】
−回転ヘッドの溝部−
次に、図3図7を参照して、第1実施形態による回転ヘッド1の溝部124の詳細について説明する。
【0034】
複数の溝部124は、図3に示すように、拡散面122の外縁部123に形成され、膜状の塗料を糸状にして放出するために設けられている。この複数の溝部124は、径方向に延びるように形成されており、隣接する溝部124の深さが異なり、各溝部124の幅が同じに設定されている。なお、幅が同じとは、幅が厳密に同じ場合だけではなく、幅が実質的に同じ場合を含んでいる。
【0035】
具体的には、複数の溝部124は、図4図6に示すように、周方向において交互に配置される溝部1241および1242を含んでいる。溝部1241および1242は、断面がたとえばV字状(三角形状)に形成され、長さが同じに設定されている。このため、図5に示すように、溝部1241および1242の径方向の内側端部は、軸方向から見て周方向に所定の間隔を隔てて配置されている。また、溝部1241および1242の径方向の外側端部は、塗料の放出端1241aおよび1242aであり、ヘッド部12の外面12bに達するように形成されている。したがって、図4に示すように、溝部1241および1242の断面が外面12bに現れており、回転ヘッド1の先端が外面12b側から見て凹凸状になっている。なお、溝部1241および1242は、それぞれ、本発明の「第1溝部」および「第2溝部」の一例である。
【0036】
図5および図6に示すように、溝部1241の深さおよび幅は、溝部1241の延びる方向において径方向内側から放出端1241aに向けて徐々に大きくなるように形成されている。同様に、溝部1242の深さおよび幅は、溝部1242の延びる方向において径方向内側から放出端1242aに向けて徐々に大きくなるように形成されている。すなわち、溝部1241および1242は、径方向における外側ほどV字状の断面積が大きくなるように形成されている。そして、溝部1241の放出端1241aの深さは、溝部1242の放出端1242aの深さよりも大きくされている。また、溝部1241の放出端1241aの幅Wa(図4参照)は、溝部1242の放出端1242aの幅Wb(図4参照)と同じに設定されている。このため、図6に示すように、溝部1241の底部の軸方向に対する傾斜度合いは、溝部1242の底部の軸方向に対する傾斜度合いよりも大きくされている。なお、溝部1242の底部の軸方向に対する傾斜度合いは、拡散面122の軸方向に対する傾斜度合いよりも大きくされている。
【0037】
ここで、溝部1241の放出端1241aの幅Waと、溝部1242の放出端1242aの幅Wbとが同じに設定されており、回転ヘッド1の内面12aにおける溝部1241形成用の占有面積の周方向の長さと、回転ヘッド1の内面12aにおける溝部1242形成用の占有面積の周方向の長さとが同じである。これにより、図7に示すように、溝部1241に流入する塗料Paの量と、溝部1242に流入する塗料Pbの量とが同じになるようにされている。すなわち、溝部1241内の塗料Paの断面積と、溝部1242内の塗料Pbの断面積とが同じになっている。したがって、溝部1241から放出される糸状の塗料P1の直径と、溝部1242から放出される糸状の塗料P1の直径とが同じになるようにされている。
【0038】
そして、図6に示すように、溝部1242の放出端1242aの底部は、溝部1241の放出端1241aの底部よりも先端側に配置されている。これにより、溝部1241から放出される糸状の塗料P1の放出位置L1と、溝部1242から放出される糸状の塗料P1の放出位置L2とが軸方向においてずらされている。すなわち、回転ヘッド1では、溝部1242からの糸状の塗料P1が溝部1241からの糸状の塗料P1に比べて先端側に放出されるようになっている。
【0039】
−塗装時の動作例−
次に、図1図7を参照して、塗装装置100の動作例について説明する。
【0040】
まず、塗装時には、図1に示すように、電圧発生器5により回転ヘッド1に負の高電圧が印加され、被塗装物200が接地されている。これにより、回転ヘッド1と被塗装物200との間に電界が形成されている。なお、負の高電圧は、たとえば−30000〜−70000Vである。そして、エアモータ2により回転ヘッド1が高速回転される。なお、回転ヘッド1の回転速度(1分あたりの回転数)は、回転ヘッド1の直径によるが、たとえば10000〜50000rpmである。
【0041】
次に、図2に示すように、塗料供給管6のノズルから液体の塗料が吐出され、塗料空間Sに塗料が供給される。なお、ノズルから吐出される塗料の流量は、回転ヘッド1の直径によるが、たとえば10〜300cc/minである。塗料空間Sに供給された塗料は、遠心力により流出孔13aから流出される。
【0042】
そして、流出孔13aから流出した塗料は、遠心力により拡散面122に沿って径方向の外側に流れる。その拡散面122に沿って流れる塗料は膜状になり、外縁部123に到達して複数の溝部124(図3参照)に供給される。膜状の塗料が溝部124に流入することにより、回転ヘッド1の径方向の外側端部に到達するまでに塗料が周方向において分断される。すなわち、少なくとも回転ヘッド1の径方向の外側端部では、図7に示すように、塗料が溝部124から溢れておらず、各溝部124内の塗料は隣接する溝部124内の塗料と分離されている。溝部124を通過する塗料は糸状になり、回転ヘッド1の径方向の外側端部(外面12bに現れた溝部124)から糸状の塗料P1(図1参照)が放出される。
【0043】
ここで、図4図7に示すように、複数の溝部124は、深さが異なる溝部1241および1242によって構成され、溝部1241および1242は、周方向において交互に配置されている。このため、溝部1241から放出される糸状の塗料P1の放出位置L1(図6参照)と、溝部1242から放出される糸状の塗料P1の放出位置L2(図6参照)とが軸方向においてずらされるとともに、放出位置L1からの糸状の塗料P1と放出位置L2からの糸状の塗料P1とが周方向において同径かつ交互に配置される。これにより、周方向において隣接する糸状の塗料P1の間隔が長くなり、隣接する糸状の塗料P1が接触しにくくなる。
【0044】
また、溝部1241および1242の幅が同じに設定されており、遠心力によって膜厚が均一化された膜状の塗料が、各溝部1241および1242にほぼ均等に供給される。このため、溝部1241に流入する塗料Pa(図7参照)の量と、溝部1242に流入する塗料Pb(図7参照)の量とがほぼ同じになる。つまり、周方向に並ぶ溝部124に流入する塗料の量は溝部124の幅と相関があることから、溝部124の幅が同じにされることにより、溝部124の深さの相違にかかわらず、各溝部124に流入する塗料の均等化が図られる。これにより、溝部1241から放出される糸状の塗料P1の直径と、溝部1242から放出される糸状の塗料P1の直径とがほぼ同じになる。すなわち、各溝部124に流入する塗料が均等化されることにより、各溝部124から放出される糸状の塗料P1の直径の均等化が図られる。
【0045】
回転ヘッド1から放出された糸状の塗料P1は、静電気力によって微粒化される。糸状の塗料P1は、回転ヘッド1の直径や塗料の種類によるが、たとえば、直径が0.03〜0.1mmであり、長さが2〜46mmである。糸状の塗料P1の寸法は、塗料の流量および回転ヘッド1の回転速度などに基づいて調整される。静電微粒化されて形成される塗料粒子P2(図1参照)の粒径は、たとえばザウター平均粒径で10〜50μmである。そして、塗料粒子P2は負に帯電されており、接地された被塗装物200に引き寄せられる。このため、塗料粒子P2が被塗装物200に塗着され、被塗装物200の表面上に塗装膜(図示省略)が形成される。
【0046】
なお、電圧発生器5により回転ヘッド1に印加される電圧は、電圧制御部7(図1参照)により制御されていてもよい。たとえば、回転ヘッド1と被塗装物200との間に流れる電流(放電電流)が一定になるように、電圧発生器5により回転ヘッド1に印加される電圧が電圧制御部7により調整される。このため、回転ヘッド1と被塗装物200との距離が小さくなり、放電電流が大きくなった場合には、その放電電流の変化を打ち消すように、回転ヘッド1に印加される電圧が低くされる。一方、回転ヘッド1と被塗装物200との距離が大きくなり、放電電流が小さくなった場合には、その放電電流の変化を打ち消すように、回転ヘッド1に印加される電圧が高くされる。このようにすれば、回転ヘッド1と被塗装物200との間の電界強度の変動を抑制することが可能である。
【0047】
−効果−
第1実施形態では、上記のように、深さの異なる溝部1241および1242を周方向において交互に配置することによって、溝部124から放出される糸状の塗料P1において隣接するもの同士の位置が異なる(溝部1241の放出位置L1と溝部1242の放出位置L2とが軸方向においてずらされる)ので、放出される糸状の塗料P1が接触して一体化されるのを抑制することができる。また、溝部1241および1242の幅を同じにすることによって、各溝部1241および1242から放出される糸状の塗料P1の直径の均等化を図ることができる。したがって、放出される糸状の塗料P1の微細化および均等化を図ることにより、微粒化性能の向上を図ることができる。その結果、塗料粒子P2の微粒化および均等化を図ることができるので、塗装品質の向上を図ることができる。
【0048】
(第2実施形態)
次に、図8図11を参照して、本発明の第2実施形態による回転ヘッド1aについて説明する。第2実施形態では、第1実施形態と異なり、回転ヘッド1aの溝部125の底部の傾斜度合いが同じにされている。なお、回転ヘッド1aは、本発明の「回転霧化頭」の一例である。
【0049】
第2実施形態では、複数の溝部125は、図8に示すように、拡散面122の外縁部123に形成され、膜状の塗料を糸状にして放出するために設けられている。この複数の溝部125は、径方向に延びるように形成されており、隣接する溝部125の深さが異なり、各溝部125の幅が同じに設定されている。
【0050】
具体的には、複数の溝部125は、図9に示すように、周方向において交互に配置される溝部1251および1252を含んでいる。溝部1251および1252は、図11に示すように、底部の軸方向に対する傾斜度合いが同じにされている。また、図10に示すように、溝部1251が溝部1252よりも長くなるように形成され、溝部1251が溝部1252よりも径方向内側に延びるように形成されている。溝部1251および1252のその他の構成は、それぞれ、上記した溝部1241および1242と同様である。なお、溝部1251および1252は、それぞれ、本発明の「第1溝部」および「第2溝部」の一例である。
【0051】
したがって、溝部1251の放出端1251aの深さは、溝部1252の放出端1252aの深さよりも大きくされている。また、溝部1251の放出端1251aの幅は、溝部1252の放出端1252aの幅と同じに設定されている。
【0052】
第2実施形態のその他の構成および効果は、第1実施形態と同様である。
【0053】
(第3実施形態)
次に、図12図15を参照して、本発明の第3実施形態による回転ヘッド1bについて説明する。第3実施形態では、第1実施形態と異なり、回転ヘッド1bの溝部126の延びる方向における断面形状が同じにされている。なお、回転ヘッド1bは、本発明の「回転霧化頭」の一例である。
【0054】
第3実施形態では、複数の溝部126は、図12に示すように、拡散面122の外縁部123aに形成され、膜状の塗料を糸状にして放出するために設けられている。この複数の溝部126は、径方向に延びるように形成されており、隣接する溝部126の深さが異なり、各溝部126の幅が同じに設定されている。ここで、外縁部123aは、軸方向に対する傾斜度合いが拡散面122よりも大きくなるように形成されている。すなわち、外縁部123aは、拡散面122に比べて拡径度合いが大きくされている。
【0055】
具体的には、複数の溝部126は、図13に示すように、周方向において交互に配置される溝部1261および1262を含んでいる。図14および図15に示すように、溝部1261の深さおよび幅は、外縁部123aでは溝部1261の延びる方向において一定に形成され、溝部1262の深さおよび幅は、外縁部123aでは溝部1262の延びる方向において一定に形成されている。
【0056】
溝部1261および1262は、図15に示すように、底部の軸方向に対する傾斜度合いが同じにされている。また、図14に示すように、溝部1261が溝部1262よりも長くなるように形成され、溝部1261が溝部1262よりも径方向内側に延びるように形成されている。なお、溝部1261および1262は、拡散面122では径方向における内側ほどV字状の断面積が小さくなるように形成されている。溝部1261および1262のその他の構成は、それぞれ、上記した溝部1241および1242と同様である。なお、溝部1261および1262は、それぞれ、本発明の「第1溝部」および「第2溝部」の一例である。
【0057】
したがって、溝部1261の放出端1261aの深さは、溝部1262の放出端1262aの深さよりも大きくされている。また、溝部1261の放出端1261aの幅は、溝部1262の放出端1262aの幅と同じに設定されている。
【0058】
第3実施形態のその他の構成および効果は、第1実施形態と同様である。
【0059】
(他の実施形態)
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0060】
たとえば、第1実施形態では、シェーピングエアを吐出するエア吐出部が設けられていない例を示したが、これに限らず、シェーピングエアを吐出するエア吐出部が設けられていてもよい。なお、第2および第3実施形態についても同様である。
【0061】
また、第1実施形態では、放電電流に応じて回転ヘッド1に印加される電圧が調整される例を示したが、これに限らず、放電電流にかかわらず回転ヘッドに印加される電圧が一定であってもよい。なお、第2および第3実施形態についても同様である。
【0062】
また、第1実施形態では、回転ヘッド1が円筒状に形成される例を示したが、これに限らず、回転ヘッドがカップ状(椀状)に形成されていてもよい。なお、第2および第3実施形態についても同様である。
【0063】
また、第1実施形態では、深さの異なる2種類の溝部1241および1242が設けられる例を示したが、これに限らず、深さの異なる3種類以上の溝部が設けられていてもよい。なお、第2および第3実施形態についても同様である。
【0064】
また、第1実施形態では、溝部124の断面がV字状である例を示したが、これに限らず、溝部の断面がU字状(円弧状)などのその他の形状であってもよい。なお、第2および第3実施形態についても同様である。
【0065】
また、第1実施形態では、塗料空間Sから塗料を流出させるための流出孔13aが形成される例を示したが、これに限らず、塗料空間から塗料を流出させるためのスリット状の溝が形成されていてもよい。なお、第2および第3実施形態についても同様である。
【0066】
また、第1〜第3実施形態において、塗料は、水性塗料であってもよいし、溶剤系塗料であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、回転霧化頭およびそれを備える塗装装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0068】
1、1a、1b 回転ヘッド(回転霧化頭)
2 エアモータ(駆動部)
5 電圧発生器(電源部)
21 回転軸
100 塗装装置
122 拡散面
123、123a 外縁部
124、125、126 溝部
200 被塗装物
1241、1251、1261 溝部(第1溝部)
1241a、1242a、1251a、1252a、1261a、1262a 放出端
1242、1252、1262 溝部(第2溝部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
図14
図15